【DRY-RUN】主 文 本件上告はいずれもこれを棄却する。 理 由 被告人A同B同Cの各弁護人石橋三二の後記上告趣意におる判断は次のとおりで ある。 公判は被告人が出頭しな
主文本件上告はいずれもこれを棄却する。 理由被告人A同B同Cの各弁護人石橋三二の後記上告趣意におる判断は次のとおりである。 公判は被告人が出頭しなければ原則として開廷できないことは、刑事訴訟法第三三〇条の規定するところであつて、裁判の実際においても公判は被告人が出頭したときに開廷されるのが常例であることは何人も疑わない。公判が開かれて審判が行われたことが公判調書に記載されてあれば、被告人の出頭したことも一応推定されるのである。そこで、刑事訴訟法第六〇条は、被告人が出頭したことを公判調書の記載事項としないで、被告人が出頭しなかつたときにそのことを公判調書に記載すべきこととしたのである。されば、公判調書に被告人の出頭したことが記載されてなくとも反証のないかぎり被告人は出頭したものと認めなければならない。また、被告人は公判廷で身体の拘束を受けないことも刑事訴訟法第三三二条の規定するところであつて、このこともわが国で間違いなく実行されているので、刑事訴訟法第六〇条はこれを特に公判調書の明示的な記載事項としていないのである。従つて、公判調書にそのことが明記してないからとて、直ちに被告人が公判廷で身体の拘束を受けたものと認むべきではなく、むしろ公判調書の他の記載から被告人が身体の拘束を受けなかつたことが推定されれば。公判調書上おのずからそのことが明かにされているものと言わなければならない。そして、これは公判調書の記載自体から判断するのであるから、刑事訴訟法第六四条に違反するものではない。 本件について、記録を調べてみると、昭和二十二年十一月四日の原審公判調書には「検事米野操立会公判ヲ開廷ス弁護人石井平雄出頭ス裁判長ハ判決ノ宣告ヲ為ス旨ヲ告ケ判決主文ヲ朗読シ云々」と記載してあつて、被告人が出頭したか 録を調べてみると、昭和二十二年十一月四日の原審公判調書には「検事米野操立会公判ヲ開廷ス弁護人石井平雄出頭ス裁判長ハ判決ノ宣告ヲ為ス旨ヲ告ケ判決主文ヲ朗読シ云々」と記載してあつて、被告人が出頭したかどうか、- 1 -被告人が身体の拘束を受けなかつたかどうかについては何ら明示的な記載のないこと所論のとおりである。しかし前述した理由から記録上反証のない本件においては被告人は前記公判期日に出頭したものと認むべきであり、また被告人の身体の拘束については、立会の検事又は出頭した弁護人から異議の申立がさたれた形跡も公判調書に見えないのであるから、被告人は右の公判廷で身体の拘束を受けなかつたものと認めなければならない。されば、原審の訴訟手続には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。なお弁護人石井平雄の上告趣意書は提出期間経過後に出されたものであるから、これについては判断しない。 よつて、刑事訴訟法第四四六条により主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官宮本増蔵関与昭和二十三年三月三十日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官庄野理一裁判官島保裁判官河村又介- 2 -
▼ クリックして全文を表示