令和5(行ケ)10104 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年8月28日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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令和6年8月28日判決言渡令和5年(行ケ)第10104号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和6年7月3日判決 原告アンバチュアインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士浜田治雄 被告特許庁長官 同指定代理人恩田春香同松永稔同棚田一也同海老原えい子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 原告のために、この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由 (本判決の本文中で用いる略語は、本件審決に定めるものに同じ。)第1 請求特許庁が不服2022-8441号事件について令和5年4月24日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 本件は、特許出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消 訴訟である。争点は、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件(特許法36条4項1号)を満たすか否かである。 1 特許庁における手続の経緯等(争いがない)(1) 原告は、平成31年3月4日、発明の名称を「非常に低い抵抗材料で形成された、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および 1 特許庁における手続の経緯等(争いがない)(1) 原告は、平成31年3月4日、発明の名称を「非常に低い抵抗材料で形成された、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および /または、他のデバイス」とする発明について、特許出願をした(特願2019-38972号)。 本願は、平成24年(2012年)3月30日を国際出願日とする特許出願(特願2014-502854号。パリ条約による優先権主張:平成23年(2011年)3月30日、米国)の一部を分割して平成29年5月24 日にした特許出願(特願2017-103000号)の一部をさらに分割し、新たな出願としたものである。 (2) 原告は、令和4年1月27日付けで拒絶査定を受けたため、同年6月2日、拒絶査定不服審判を請求し、同日、手続補正書を提出して特許請求の範囲についての補正(本件補正)をした。 (3) 特許庁は、同審判請求を不服2022-8441号事件として審理し、令和5年4月24日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との本件審決をし(出訴期間90日付加)、その謄本は、同年5月17日、原告に送達された。 (4) 原告は、同年9月13日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 2 本願発明の内容等(1) 本件補正後の特許請求の範囲(請求項の数・20)の記載は、別紙1「特許請求の範囲」のとおりであり、うち【請求項1】の記載は以下のとおりである。 【請求項1】 改変されたELR材料を含む第1のELR導体と、 改変されたELR材料を含む第2のELR導体と、第1のELR導体と第2のELR導体との間に配置されたバリア材料と、ここで、修飾ELR材料は、面および結晶構造を有するELR材料の第1の層を含み、 されたELR材料を含む第2のELR導体と、第1のELR導体と第2のELR導体との間に配置されたバリア材料と、ここで、修飾ELR材料は、面および結晶構造を有するELR材料の第1の層を含み、ここで、面は、結晶構造のb面に平行であり、 修飾材料の第2の層は、第1の層の面に結合されており、改質されたELR材料は、ELR材料単独のものよりも改善された動作特性を有する、ELR材料であるジョセフソン接合。 (2) 本願明細書の発明の詳細な説明及び図面(本願明細書等)には、別紙2 「本願明細書等の記載事項(抜粋)」の記載がある。 3 本件審決の理由本件審決の理由の要旨は、別紙3「本件審決の概要」のとおりであり、その骨子は以下のとおりである。 (1) ある種の物質をある温度(臨界温度)以下に冷やしたときに、抵抗値がゼ ロとなることを「超伝導」又は「超電導」ということ(技術常識1)、2つの超伝導体を弱く結合したときに、電子対がトンネル効果によってその結合部を通過する現象を「ジョセフソン効果」といい、ジョセフソン効果が生じるように2つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合するようにしたものを「ジョセフソン接合」ということ(技術常識2)は、いずれも技 術常識である。 (2) 本願発明は、「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」の間に「バリア材料」を配置して「ジョセフソン接合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成する発明であるから、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たすというためには、技術常識2を踏まえると、本願明細書等に(ア)「第 1のELR導体」及び「第2のELR導体」がいずれも超伝導状態、すなわ ち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ、(イ)「バリア材料」にジョセフソン効果 踏まえると、本願明細書等に(ア)「第 1のELR導体」及び「第2のELR導体」がいずれも超伝導状態、すなわ ち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ、(イ)「バリア材料」にジョセフソン効果による電流が流れていることの各事項が記載されている必要がある。 しかし、本願明細書等には、各実施例における導体につき様々な温度における抵抗値を測定した試験結果が記載されているが、いずれも抵抗値の下限値がゼロとされておらず、各実施例における導体の抵抗値がゼロとなったこ とを読み取ることはできないから、上記(ア)の事項が記載されているものとはいえない。 また、本願明細書等には、本願発明の「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」の間に配置された「バリア材料」にジョセフソン電流が流れることを示す試験結果等は記載されておらず、超伝導状態にはない導体の間に 配置されたバリア材料にジョセフソン効果が発現するという現象が生じ得ることを裏付ける試験結果等も記載されていないから、上記(イ)の事項が記載されているものとはいえない。 (3) したがって、本願明細書等の記載は、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、当業者に期待し得る程度を越える試行錯誤を要することなく、本願 発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているものとはいえないから、実施可能要件を満たすものではない。 4 原告の主張する審決取消事由実施可能要件に関する判断の誤り第3 当事者の主張 (原告の主張) 1 本願発明のELR導体又はその一部が超伝導状態となっていることについて(1) 本願発明の目的は、改善された高温低抵抗率動作特性を有するジョセフソン接合を提供するものである。本願発明は複数のジョセフソン接合を含む回路であって、この複 状態となっていることについて(1) 本願発明の目的は、改善された高温低抵抗率動作特性を有するジョセフソン接合を提供するものである。本願発明は複数のジョセフソン接合を含む回路であって、この複数のジョセフソン接合のそれぞれは、臨界温度が150 K(Kelvin)を超える修飾ELR(extremelylowresistance)材料を含む 第1のELR導体と、修飾ELR材料を含む第2のELR導体と、バリアを含み、前記第1のELR導体と前記第2のELR導体との間に配置された材料であって、改質ELR材料は、面および結晶構造を有するELR材料の第1の層を含み、この面は結晶構造のb面に平行であり、ELR材料の第1層の面に結合された改質材料の第2層を備えるジョセフソン接合を含む回路で ある。 (2) 本願明細書等は、抵抗の表現について、抵抗率のほかに抵抗現象(【0069】)、平均抵抗(【0052】)、おおよその抵抗率(【0891】)、抵抗値(【0073】)等様々に説明しているが、それがいずれも抵抗率を意味することを当業者は技術常識として直ちに理解する。 一般的理解として、抵抗率は材料の特徴的な特性であり、材料の電流を運ぶ能力を説明するものであり、材料のサンプルの抵抗にサンプルの断面積を掛け、サンプルの長さで割ったものとして表され、Ω・cmの単位で表される。例えば、銅の抵抗率は3.36×10-8Ω・cmである。 抵抗は抵抗率に直接関連しており、実際には正比例しているので、発明者 らは実験の目的のために、発明材料のサンプルの抵抗(Ω)のみを測定したが、各サンプルは、それ自体のサイズおよび長さを維持し、したがってこれらの係数は抵抗率に対して抵抗をスケーリングする定数にすぎないから当業者は抵抗と抵抗率との間 のサンプルの抵抗(Ω)のみを測定したが、各サンプルは、それ自体のサイズおよび長さを維持し、したがってこれらの係数は抵抗率に対して抵抗をスケーリングする定数にすぎないから当業者は抵抗と抵抗率との間の1対1の関係を容易に認識し、本発明の特徴に鑑み2つの間の特別な区別を引き出さない。 抵抗/抵抗率の急激な変化は、本発明の材料が非超伝導状態から超伝導状態に変化することを示す。例えば、図14Aにおいて、抵抗の実際の値(2Ω、2.5Ωなど)は、図の右側の90.75Kと85.75Kとの間で生じる抵抗の急激な低下に関連しておらず、または図14B~図14Gに示される抵抗の急激な変化1410にも関連しない。 そこで、本願発明において超伝導状態のELR材料は0Ω・cmから3. 36×10-8Ω・cmの範囲の抵抗率を有すると特定した。 (3) 被告は、サンプルの非遷移部分を含むサンプル全体にわたって抵抗を測定した場合に、改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移することを原告が実証したという事実を無視し続けている。 「サンプルの関連部分を分離することができ、サンプルのそのような分離さ れた部分でのみ測定を行うことができれば、改良されたELR材料のサンプルのその部分で完全な超伝導遷移が完全に実証されることになる」ことと、「改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移する」ことを前提として、本願明細書等の記載は実施可能要件を満たす。 (4) A博士の宣誓書(甲19)を証拠として提出する。原告はこの宣誓書の宣 言自体が真実であると主張するものではないが、ジョセフソン接合技術を多面的に理解するとき周知の制限された特定思考に固執してはならないことを主張する。 本願明細 出する。原告はこの宣誓書の宣 言自体が真実であると主張するものではないが、ジョセフソン接合技術を多面的に理解するとき周知の制限された特定思考に固執してはならないことを主張する。 本願明細書等に記載され、A博士の宣誓書によって支持されるように、改良ELR材料のより大きなサンプルの一部のみが超伝導状態に遷移すると、 図14B~Gの離散的なステップ1410に示されるように、より大きなサンプルの全体的な抵抗は「離散的なステップ」を含むか、または抵抗率がゼロになる一方で、他の部分の抵抗率は、それらの非超伝導値のままである。 例:図14F 2 本願発明の「ジョセフソン接合」は従来技術の「ジョセフソン接合」を超えるものであり、ELR導体が超伝導体でなくともジョセフソン効果が発生していることについて(1) 本願発明は、周知のジョセフソン接合技術を超越したジョセフソン接合技 術を提供するものであり、ジョセフソン接合技術に属する限り電流が流れるのは正しく常識である。本件審決の判断思考は周知のジョセフソン接合技術を前提とするものであり、周知技術の構成要件が記載されていないとの誤った結論に陥っている。 (2) 本願明細書等においては、ELR材料が0Ω・cmから3.36×10- 8Ω・cmの範囲の非常に低い抵抗率を有すること及び試験結果が開示されており、ELR材料が銅の抵抗率の50分の1の範囲であることが指摘されており(【0014】)、その試験結果も詳細に記述されている(【0051】~【0073】)。 本願発明は、高温超伝導(HTS)材料を改質した第1導体と、HTS 材料を改質した第2導体と、これら2つの導体間に配置されたバリア材料とからなる、改良されたジョセフソン接合回路であり、このことを当業者 は、高温超伝導(HTS)材料を改質した第1導体と、HTS 材料を改質した第2導体と、これら2つの導体間に配置されたバリア材料とからなる、改良されたジョセフソン接合回路であり、このことを当業者 が技術的に理解することに障害はない。本願明細書等には、繰り返し、高温で極めて低い抵抗すなわちELR材料で動作する特性が記載され(【0005】、【0011】等)、さらに高温とは150K以上の臨界温度であり(【0241】)、極めて低い抵抗とは0Ω・cmから3.36×10-8Ω・cmの範囲の抵抗率であって(【0014】)、本願発明の試験 結果として、金属クロムを選択して実施し、温度と抵抗の関係をプロットしたものが【0051】及び図14Aに記載されているから、当業者は本願発明を実施することができる。 本願発明の様々な実施例によれば、従来のジョセフソン接合の一般的な種類のいずれかは、上述のような改良されたELR材料を用いて構成する ことができる。一般的に言えば、ジョセフソン接合4600は、いわゆるジョセフソン効果を示す。ここでは、ELR状態でELR導体4620を通って流れる電流もまた、非常に低い抵抗状態でELR導体4620の間の接合部を横切って流れることができる。ジョセフソン接合は、例えばバリア4610を備えてもよい。バリア4610に流れる電流は、ジョセフ ソン電流と呼ばれる。臨界電流に達するまで、ジョセフソン電流は、非常に低い抵抗でバリア4610を通って流れることができる。しかし、バリア4610の臨界電流を超えると、電圧がバリア4610を横切って現れ、次に、この電圧は、さらに臨界電流を低減し、それによって、バリア4610を横切る大きな電圧を生成する。ジョセフソン効果は、理解されるよ うに、様々な回路におけるジョセ 4610を横切って現れ、次に、この電圧は、さらに臨界電流を低減し、それによって、バリア4610を横切る大きな電圧を生成する。ジョセフソン効果は、理解されるよ うに、様々な回路におけるジョセフソン接合4600で利用されてもよい。 本願明細書等には、金属としてクロム、パナジウム、ビスマスならびにコバルト等を選択した試験結果(【0051】、【0059】、【0063】から【0068】まで)が記載されている。そして、温度と抵抗率をプロットしたものが、図14A~図14Gである。 (被告の主張) 1 本願発明のELR導体又はその一部が超伝導状態となっていることについて(1) 本願明細書等には、当業者が実施し得る程度に、その構造、組成等が明らかであって、原告が主張するような150Kを超える温度において超伝導状態、すなわち抵抗率が0Ω・cmであるELR材料が開示されているとはいえない。 (2) 抵抗率ρは、超伝導状態か否かに関わらず、物質の断面積をS、長さをℓ、抵抗値をRとすればρ=RS/ℓで表されるものであって、ある物質の抵抗値がゼロであれば、抵抗率もゼロであり、また、ある物質の抵抗値がゼロでなければ、抵抗率もゼロではない。 (3) 原告の主張する「改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超 伝導状態へ超伝導遷移する」との前提は、何ら試験結果等により裏付けられておらず、また、実際にサンプルから超伝導状態へ遷移した部分のみを分離し、測定することはできないから、誤りである。 原告が、非超伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移した「改良ELR材料のサンプルの一部」のみを取り出して本願発明を実施し得ると主張している としても、本願明細書等は、改良ELR材料のサンプルについて、超伝導 伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移した「改良ELR材料のサンプルの一部」のみを取り出して本願発明を実施し得ると主張している としても、本願明細書等は、改良ELR材料のサンプルについて、超伝導状態へ遷移した部分のみを分離する具体的な方法等を何ら開示、示唆するものではない。 また、仮に「改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移」するとしても、本願明細書等に開示されたELR材料は 超伝導体ではないから、本願明細書等に開示されたELR材料によって、「2つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合するようにしたもの」(技術常識2)であるジョセフソン接合を実施することはできない。 (4) 本願明細書等の図14B~G、図15、図16~20、図21Bに示される「離散的なステップ」が、「改良ELR材料のより大きなサンプルの一部 のみが超伝導状態に遷移」し、「一方で、他の部分の抵抗率は、それらの非 超伝導値のままである」という物理現象に起因することは、何ら試験結果等により裏付けられたものではない。 2 本願発明の「ジョセフソン接合」は従来技術の「ジョセフソン接合」を超えるものであり、ELR導体が超伝導体でなくともジョセフソン効果が発生していることについて (1) 本願明細書等において、本願発明が、周知のジョセフソン接合技術ではなく、極めて低いもののゼロではない抵抗値の範囲内であってもジョセフソン接合を実現できることは、何ら試験結果等により裏付けられていない。そうすると、技術常識についての原告の主張は、根拠のない前提に基づくものであるから、理由がない。 (2) 本願明細書等のいずれの図面も、超伝導状態、すなわち抵抗率が0Ω・cm(抵抗値もゼロ)である「変更されたELR ての原告の主張は、根拠のない前提に基づくものであるから、理由がない。 (2) 本願明細書等のいずれの図面も、超伝導状態、すなわち抵抗率が0Ω・cm(抵抗値もゼロ)である「変更されたELR材料1060」を開示するものではなく、技術常識2によれば、これらの「変更されたELR材料1060」を第1のELR導体及び第2のELR導体に含むことにより、ジョセフソン接合に係る本願発明を構成することはできない。 すなわち、本願明細書等に開示された構造(本願層構造)、組成等が明らかなELR材料によって、ジョセフソン接合に係る本願発明を実施することはできず、本願明細書等には、ほかにその構造、組成等が明らかであって、高温状態において超伝導状態すなわち抵抗率が0Ω・cm(抵抗値もゼロ)であるELR材料の開示はない。 また、本願明細書等には、本願発明の「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」の間に配置された「バリア材料」にジョセフソン電流が流れることを示す試験結果等は記載されていない。そして、技術常識2によれば、超伝導状態(すなわち0Ω・cmの抵抗率)でなく、非常に低い抵抗状態のELR導体の間に配置されたバリアに流れる電流は、ジョセフソン電流では ないから、単に非常に低い抵抗状態である場合の「第1のELR導体」、 「第2のELR導体」、及び「第1のELR導体」と「第2のELR導体」との間に配置された「バリア材料」は、「ジョセフソン接合」を構成しない。 第4 当裁判所の判断 1 実施可能要件についての判断基準特許法36条4項1号に規定する実施可能要件については、明細書の発明の 詳細な説明が、当業者において、その記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発 条4項1号に規定する実施可能要件については、明細書の発明の 詳細な説明が、当業者において、その記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討すべきである。 2 本願発明の技術的意義別紙1「特許請求の範囲」及び別紙2「本願明細書等の記載事項(抜粋)」 の記載内容によれば、本願発明の技術的意義は、次のとおりと認められる(内容は本件審決の認定に同じ。)。 (1) 本願発明は、非常に低い抵抗(ELR)材料で形成された一つ又は複数のコンポーネントを含むジョセフソン接合又はジョセフソン接合を含む回路の発明である(【0005】)。 (2) 従来の超伝導エレメントを使用して動作するデバイスにおいては、電流を最小抵抗又はゼロ抵抗で輸送する能力を有する様々な成分の高温超伝導(HTS)材料が利用されてきたが、HTS材料は非常に低い動作温度(例えば、120K未満の温度)を必要とし、通常は、液体窒素ベースの冷却システム等の高価なシステムを使用して上記のような動作温度までコンポーネントを 冷却する必要があるため、実施コストを増大させるなどの問題があった(【0003】)。 (3) 本願発明は、「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」に、従来のHTS材料に関連付けられる転移温度より高い温度において非常に低い抵抗を提供する、「面及び結晶構造を有するELR材料の第1の層」を含む「改 変されたELR材料」と、「第1の層」の面に結合する「修飾材料の第2の 層」とからなる構成(本願層構造)とし、これらの間に「バリア材料」を配置して、「ジョセフソン接合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成することによ 」の面に結合する「修飾材料の第2の 層」とからなる構成(本願層構造)とし、これらの間に「バリア材料」を配置して、「ジョセフソン接合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成することにより、上記の課題を解決するものである(【0005】、【0011】、【0013】~【0015】、【0220】~【0223】、【0226】)。 3 検討(1) 証拠(乙1、2)及び弁論の全趣旨によれば、次の事項は、本願の原出願日である平成24年3月30日当時の技術常識であったと認められる。 原告は、これらの技術常識を争う主張もしているが、原告の主張を裏付けるに足りる証拠はない。 ア技術常識1ある種の物質をある温度(臨界温度)以下に冷やしたときに、抵抗値がゼロとなることを「超伝導」又は「超電導」ということ。 イ技術常識22つの超伝導体を弱く結合したときに、電子対がトンネル効果によっ てその結合部を通過する現象を「ジョセフソン効果」といい、ジョセフソン効果が生じるように2つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合するようにしたものを「ジョセフソン接合」ということ。 (2) 前記2のとおり、本願発明は、本願層構造をとる「第1のELR導体」と「第2のELR導体」の間に「バリア材料」を配置して、「ジョセフソン接 合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成する発明であるから、前記(1)の技術常識を踏まえると、本願発明においては、①「第1のELR導体」と「第2のELR導体」がいずれも超伝導状態、すなわち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ②「バリア材料」にジョセフソン効果によるトンネル電流が流れていることとなる。 そうすると、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たすというために 状態、すなわち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ②「バリア材料」にジョセフソン効果によるトンネル電流が流れていることとなる。 そうすると、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たすというためには、 本願明細書等に前記①及び②の各事項が記載されている必要があるというべきである。 そして、前記①の事項については、本願明細書等には本願発明の様々な実施例とその試験結果が記載されているが、それらのいずれからも各実施例における導体の抵抗値がゼロとなったことを読み取ることはできず、本願発明 の「第1のELR導体」と「第2のELR導体」が超伝導状態にあることを示す試験結果等は記載されていない。前記②の事項については、本願発明の「第1のELR導体」と「第2のELR導体」の間に配置された「バリア材料」にジョセフソン電流が流れる旨の段落【0223】の記載は、超伝導状態にない導体の間に配置されたバリア材料にジョセフソン効果が発現すると いう前記技術常識2に反する内容であり、このような現象が生じ得ることを裏付ける試験結果等が記載されていなければ、当業者は本願発明を実施することができると認識するものではないところ、前記「バリア材料」にジョセフソン電流が流れることを示す試験結果等は記載されていない。したがって、本願明細書等に前記①及び②の各事項が記載されているといえないことは、 本件審決が認定するとおりである。 4 原告の主張に対する判断(1) これに対し、原告は、以下のとおり、本願発明のELR導体又はその一部が超伝導状態となっている旨主張するので、以下検討する。 アまず、原告は、本願発明の第1のELR導体に含まれる修飾ELR材料 の臨界温度が150Kを超える旨主張する。 しかし、当業者が実施し 態となっている旨主張するので、以下検討する。 アまず、原告は、本願発明の第1のELR導体に含まれる修飾ELR材料 の臨界温度が150Kを超える旨主張する。 しかし、当業者が実施し得る程度にその構造、組成等が明らかであって、150Kを超える温度において超伝導状態すなわち抵抗値がゼロであるELR材料は、本願明細書等に開示されていない。 イ次に、原告は、本願明細書等で説明される抵抗現象、平均抵抗、おおよ その抵抗率、抵抗値等の表現が抵抗率を意味することを当業者は直ちに 理解する、図14A~図14AGが示す抵抗/抵抗率の急激な変化は、本願発明の材料が非超伝導状態から超伝導状態に変化することを示す、本願発明において超伝導状態のELR材料は0Ω・cmから3.36×10-8Ω・cmの範囲の抵抗率を有すると特定したと主張する。 しかし、抵抗率ρは「ρ=RS/ℓ」の式(S:物質の断面積、ℓ:長さ、 R:抵抗値)で表され(甲16~18)、抵抗値Rと抵抗率ρの関係は物質の断面積Sと長さℓに応じて変化するから、抵抗値Rと抵抗率ρは区別されるものである。確かに、断面積S及び長さℓの値が一定であれば、抵抗値Rは抵抗率ρと正比例するから、抵抗値Rが減少するときは、抵抗率ρも減少しているという関係にあるが、抵抗値と抵抗率の定義が異 なる以上、図14A~図14Gが示す「抵抗値」をもって、本願発明のELR材料が3.36×10-8Ω・cm以下の範囲の「抵抗率」を有すると当業者が理解することはできない。 また、いずれにせよ、超伝導状態とは抵抗値がゼロの状態であり(技術常識1)、その場合は抵抗率もゼロとなるが、本願発明の材料の抵抗値 がゼロとなった試験結果等が記載されていないことは、前記のとおり た、いずれにせよ、超伝導状態とは抵抗値がゼロの状態であり(技術常識1)、その場合は抵抗率もゼロとなるが、本願発明の材料の抵抗値 がゼロとなった試験結果等が記載されていないことは、前記のとおりである。 図14A~図14Gが示す抵抗の急激な変化が本願発明の材料が非超伝導状態から超伝導状態に変化することを示すとの点については、裏付けとなる試験結果等は本願明細書等に記載されていない(なお、段落【0 057】には、前記各図の「離散ステップ1410」とされるもの以外についてであるが、部分的な超伝導状態以外の要因によって生じる可能性が記載されている。)。 ウ原告は、さらに、改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移することを実証した、A博士の宣誓書(甲19) もこれを支持すると主張する。 しかし、改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超伝導状態へ超伝導遷移することが試験結果等により裏付けられたものでないことは前記のとおりであり、A博士の宣誓書(甲19)の内容をみても、原告の主張を裏付けるに足りる具体的根拠は記載されていない。 仮に「改良ELR材料のサンプルの一部が非超伝導状態から超伝導状態 へ超伝導遷移」するとしても、本願発明はそのような「超伝導状態のサンプルの一部」を取り出して「第1のELR導体」、「第2のELR導体」とするものではなく(その具体的方法も本件明細書等に記載されていない。)、ELR導体そのものは超伝導体ではない(したがって、技術常識2に照らすと、ジョセフソン接合を実施することはできない。)。 エ以上によれば、本願発明のELR導体又はその一部が超伝導状態となっている旨の原告の主張は、採用することができな 術常識2に照らすと、ジョセフソン接合を実施することはできない。)。 エ以上によれば、本願発明のELR導体又はその一部が超伝導状態となっている旨の原告の主張は、採用することができない。 (2) 原告は、本願発明の「ジョセフソン接合」は従来技術の「ジョセフソン接合」を超えるものであり、ELR導体が超伝導体でなくともジョセフソン効果が発生している旨主張する。 しかし、超伝導状態にない導体の間に配置されたバリア材料にジョセフソン効果が発現するというのは前記技術常識2に反する内容であり、このような現象が生じ得ることを裏付ける試験結果等が本願明細書等に記載されていないことは、既に述べたとおりである。 A博士の宣誓書(甲19)の内容をみても、原告の主張を裏付けるに足り る具体的根拠は記載されておらず、その他原告の縷々主張する点を裏付ける証拠はない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 5 結論以上のとおり、本願明細書等には、①「第1のELR導体」と「第2のEL R導体」がいずれも超伝導状態、すなわち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ② 「バリア材料」にジョセフソン効果によるトンネル電流が流れていることが記載されているとはいえず、当業者において、本願明細書の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本願発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものとはいえず、これを争う原告の主張に理由はないから、本願明細書等の記載は、特許法36条4項1号に規定する 要件(実施可能要件)を満たすものとは認められない。なお、仮に本件補正が特許法17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものとはいえず、補正を認めるべきではなかったと考えた場合で に規定する 要件(実施可能要件)を満たすものとは認められない。なお、仮に本件補正が特許法17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものとはいえず、補正を認めるべきではなかったと考えた場合でも、前記したところによれば、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たさないとの結論には変わりはない。 したがって、原告の請求は理由がないから、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 別紙1特許請求の範囲【請求項1】本文「事実及び理由」第2の2(1)に記載のとおり。 【請求項2】 前記バリア材料が絶縁材料を含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項3】前記バリア材料が導電性材料を含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項4】前記バリア材料が導電性金属を含む、請求項3に記載のジョセフソン接合。 【請求項5】前記バリア材料が半導体材料を含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項6】前記バリア材料がELR材料を含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項7】 前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、修正されたELR材料から形成されたELRワイヤを含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項8】前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、改変 2のELR導体はそれぞれ、修正されたELR材料から形成されたELRワイヤを含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項8】前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、改変されたE LR材料から形成されたELRナノワイヤを含む、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項9】前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、修正されたELR材料から形成されたELRトレースを含む、請求項1に記載のジョセフソン 接合。 【請求項10】前記修飾されたELR材料は、150を超える温度でELR状態で動作する、請求項1に記載のジョセフソン接合。 【請求項11】ジョセフソン接合であって、 150Kを超える臨界温度を有する改変ELR材料を含む第1のELR導体と、改変されたELR材料を含む第2のELR導体と、第1のELR導体と第2のELR導体との間に配置されたバリア材料とを備え、ここで、修飾ELR材料は、面および結晶構造を有するELR材料の第1の層を含み、 ここで、面は、結晶構造のb面に平行であり、修飾材料の第2の層は、第1の層の面に結合されているELR材料のジェセフソン接合(注:「ジョセフソン接合」の誤記と思われる。)【請求項12】 前記バリア材料が絶縁材料を含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項13】バリア材料が導電性材料を含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項14】バリア材料が導電性金属を含む、請求項13に記載のジョセフソン接合。 【請求項15】バリア材料が半導体材料を含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項16】バリア材料がELR材料を含む、請求項11に記載のジ 13に記載のジョセフソン接合。 【請求項15】バリア材料が半導体材料を含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項16】バリア材料がELR材料を含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項17】 前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、修正されたE LR材料から形成されたELRワイヤを含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項18】前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、修飾されたELR材料から形成されたELRナノワイヤを含む、請求項11に記載のジョセフ ソン接合。 【請求項19】前記第1のELR導体および前記第2のELR導体はそれぞれ、修正されたELR材料から形成されたELRトレースを含む、請求項11に記載のジョセフソン接合。 【請求項20】複数のジョセフソン接合を含む回路であって、この複数のジョセフソン接合のそれぞれは、臨界温度が150Kを超える修飾ELR材料を含む第1のELR導体と、修飾ELR材料を含む第2のELR導体と、 バリアを含み、前記第1のELR導体と前記第2のELR導体との間に配置された材料であって、改質ELR材料は、面および結晶構造を有するELR材料の第1の層を含み、この面は結晶構造のb面に平行であり、 ELR材料の第1層の面に結合された改質材料の第2層を備えるジョセフソン接合を含む回路以上 別紙2本願明細書等の記載事項(抜粋) 1 本願発明の課題や解決手段に関連した記載【0003】 従来の超伝導エレメントを使用して動作する、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または他のデ ) 1 本願発明の課題や解決手段に関連した記載【0003】 従来の超伝導エレメントを使用して動作する、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または他のデバイスは、超伝導状態における超伝導エレメントを維持するために高価な冷却システムに依存するなどの様々な欠点に苦しんでいる。例えば、従来の超電導コンデンサは、電流を最小抵抗またはゼロ抵抗で輸送する能力を有する、さまざまな成分の高温超伝導(HTS)材 料を利用している。しかしながら、HTS 材料は、非常に低い動作温度(例えば、120K 未満の温度)を必要とし、通常は、液体窒素ベースの冷却システムなどの高価なシステムを使用して、そのような動作温度までコンポーネントを冷却することにより実現される。このような冷却システムは、実施コストを増大させ、広範な商用使用および民生用使用、および/または、これらの材料を用いるコンデ ンサへの適用を妨げる。現在のHTS ベースのデバイスでは、これらの問題および他の問題が存在する。 【0005】変更された、開口された、積層された、および/または、それ以外の、新しい非常に低い抵抗(ELR)材料で形成された1 つまたは複数のコンポーネントを含 む、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または他のデバイス、コンポーネント、システム、および/または、装置が記載される。 ELR 材料は、通常は現在の高温超伝導体(HTS)に関連付けられる温度よりも高い温度での電流に対する非常に低い抵抗を提供し、とりわけ、高温度におけるデバイスの動作特性を向上させる。 2 改変されたELR材料及びELR状態の定義に関連した記載【0011】本説明のために、非常に低い抵抗( とりわけ、高温度におけるデバイスの動作特性を向上させる。 2 改変されたELR材料及びELR状態の定義に関連した記載【0011】本説明のために、非常に低い抵抗("ELR")材料は、HTS 材料、完全に導電する材料(例えば、完全導体)、および非常に低い抵抗を有する他の導電性材料を含む超伝導材料を含み得るが、これだけに限定されるものではない。本明細書に 記載されるように、これらのELR 材料は、変更されたELR 材料、開口されたELR材料および/または新しいELR 材料、ELR 膜及び/又は他のELR 成分材料(例えば、ナノワイヤ、ワイヤ、テープなど)を形成するために使用することができるものとして記載される。これらのELR 材料は、電子に対して非常に低い抵抗を示す、及び/又は、150K 以上の温度などの高温で、環境圧力または標準圧力で、極めて 高い電子のコンダクタンスを示す。本章では、とりわけ、本ELR 材料の構造と動作特性を説明する。 【0013】本説明のために、ELR 材料の動作特性、および/または、本発明の様々な実施例は、ELR 状態におけるELR 材料の抵抗(例えば、超伝導体、超電導状態に関す る)、ELR 状態に対するELR 材料の転移温度、ELR 状態におけるELR 材料の電荷を伝播する容量、ELR の材料の1 つまたはそれ以上の磁気特性、ELR 材料の一つまたはそれ以上の機械的性質、および/または、ELR 材の材料、他の動作特性を含むことができるが、これらに限定されるものではない。さらに、本説明のために、改良された動作特性は、高温でのELR 状態(例えば、超電導状態を含む)に おける動作、その同じ温度(またはより高い温度)で増加した電荷伝播容量での動作を含むこと い。さらに、本説明のために、改良された動作特性は、高温でのELR 状態(例えば、超電導状態を含む)に おける動作、その同じ温度(またはより高い温度)で増加した電荷伝播容量での動作を含むことができる。 【0014】この説明のために、"非常に低い抵抗"は、超伝導材料タイプII の超伝導状態での磁束流抵抗の大きさと同じような抵抗であり、一般に、0Ω-cm から293K での実質的に純粋な銅の抵抗率の50 分の1(1/50)の範囲の抵抗率で表現する ことができる。例えば、本明細書で使用されるような、実質的に純粋な銅は99.999%の銅である。本発明の様々な実施例では、ELR 材料の部分は0Ω・cm から3.36x10-8Ω-cm の範囲の抵抗率を有する。 【0015】一般的に理解されるように、転移温度は、ELR 材料が非常に低い抵抗で"動作 する"又は、非常に低い抵抗を示す(又は示し始める)温度、および/または、ELR 材料と関連する他の現象を示す温度である。非常に低い温度で動作するとき、このELR 材料は、ELR 状態にあると呼ばれる。転移温度より高い温度で、ELR 材料は、非常に低い抵抗を示さなくなり、ELR 材料は、非ELR 状態又は通常の状態にあると呼ばれる。換言すれば、転移温度は、ELR 材料が非ELR 状態とELR 状態 との間で変化する温度である。理解されるように、いくつかのELR 材料に対して転移温度は、非ELR 状態とELR 状態との間でELR 材料が変化する温度範囲とすることができる。また、理解されるように、ELR 材料は、転移温度のヒステリシスを持ち、ELR 材料が温かいときの転移温度とELR 材料が冷たいときの転移温度とを有する。 3 ELR材料の結晶構造と 。また、理解されるように、ELR 材料は、転移温度のヒステリシスを持ち、ELR 材料が温かいときの転移温度とELR 材料が冷たいときの転移温度とを有する。 3 ELR材料の結晶構造と動作特定に関連する記載【0021】図2 を参照すると、公知のELR 材料の従来の理解では、抵抗現象を担うものとして複数の開口原子250 によって、結晶構造100 内に形成された開口210 を認め ることができなかった。(例えば、開口が単一の単位セル400 の描写において容易に明らかではない図4 が参照される。)ある意味では、開口原子250 は、開口 210 の周りの離散的な原子的"境界"または"境界"を形成すると考えることができる。本発明のいくつかの実施例では、本発明のいくつかの実施例及び図2 に示すように、開口210 は、結晶構造230 の第1 の部分220 と第2の部分100 の間に現 れるが、本発明のいくつかの実施例では、開口210 は種々の他の結晶構造の他の 部分に現れるかもしれない。開口210 は図2 において、単純な"球体"としての原子の記載に基づいて示されており、そのような開口は、開口250 を含む結晶構造 100 中の種々の原子に関連する電子密度(図示せず)とその形状に関連することが理解される。 【0022】 本発明の種々の態様によれば、開口210 は、結晶構造100 を通る電荷の伝播を促進し、開口210 が結晶構造100 を通る電荷の伝播を促進するとき、ELR 材料はELR 状態で動作する。この説明のために、(それぞれの形態に沿って)"伝播する"および/または"伝播を促進する"とは、一般に、"伝導する"、および/または"伝導を促進する"、およびその各形態、および、"輸送"、および/または 説明のために、(それぞれの形態に沿って)"伝播する"および/または"伝播を促進する"とは、一般に、"伝導する"、および/または"伝導を促進する"、およびその各形態、および、"輸送"、および/または"輸送を 促進する、"、およびその各形態、および、"ガイドする"、および/または"ガイドを促進する"、およびその各形態、および/または、"運ぶ"、"容易に運ぶ""、およびその各形態を指す。この説明のために、電荷は、正電荷又は負電荷、および/または、そのような電荷のペアまたは他の組み合わせを含むことができ、さらに、そのような電荷は、1 つまたは複数の粒子の形態で、または、1つまたは 複数の波または波束の形態で結晶構造100 を通って伝播する。 【0023】本発明のいくつかの実施例では、結晶構造100 を通る電荷の伝播は、導波路に類似する方法であってもよい。本発明のいくつかの実施例では、開口210 は、結晶構造100 を通過する電荷を伝播する導波路であってもよい。導波路とその操作 は、一般的によく理解されている。特に、導波管の内部を取り囲む壁は、開口 210 の周りの開口原子250 の境界または外辺部と対応することができる。導波路とその操作に関連する一態様は、その断面である。原子レベルで、開口210 および/またはその断面は、ELR 材料の温度変化で実質的に変更することができる。 例えば、本発明のいくつかの実施例では、ELR 材料の温度変化は、開口210 の変 化を引き起こすことができる。その変化は、次に、ELR材料をELR 状態から非ELR 状態へ遷移させるかもしれない。例えば、ELR 材料の温度が上昇すると、開口 210 は、結晶構造100 を通過する電荷の伝播を制限し又は妨げ、対応するELR 材料は、EL 態から非ELR 状態へ遷移させるかもしれない。例えば、ELR 材料の温度が上昇すると、開口 210 は、結晶構造100 を通過する電荷の伝播を制限し又は妨げ、対応するELR 材料は、ELR 状態から非ELR 状態へ遷移するかもしれない。同様に、例えば、ELR材料の温度が低下すると、開口210 は、結晶構造100 を通過する電荷の伝播を容易にし(制限又は妨害するのとは対照的に)、対応するELR 材料は、非ELR 状態 からELR 状態へ遷移するかもしれない。 【0037】本発明の様々な実施例によれば、種々の公知のELR 材料の結晶構造は、公知のELR 材料および/または変更されていないELR 材料に対して、改善された動作特性で動作するように変更することができる。理解されるように、本発明のいくつ かの実施例では、改善された動作特性は、例えば、結晶構造100 の上に、材料の原子が第1の部分220 と第2の部分230 の間に一つまたは複数の結合を形成することによって、開口210 を橋渡しするように材料を積層することによって実現することができる。結晶構造100 の上に材料を積層する変更例は、種々の実験による試験結果と関連して以下でさらに詳細に記載される。 【0038】図10 は、第2視点から見たときの本発明の様々な実施例の変更されたELR 材料1060 の変更された結晶構造1010 を示す図である。図11 は、第1 の視点から見たときの本発明の様々な実施例の変更されたELR 材料1060 の変更された結晶構造1010 示す。ELR 材料360(例えば、図3 などに示される)は、変更された ELR 材料1060 を形成するために変更される。変更する材料1020 は、図11 に示すように、変更されたE 010 示す。ELR 材料360(例えば、図3 などに示される)は、変更された ELR 材料1060 を形成するために変更される。変更する材料1020 は、図11 に示すように、変更されたELR 材料1060 の変更された結晶構造1010 を形成するように、ELR 材料360 の結晶構造300 の原子(図3)と結合する。図示されるように、変更する材料1020 は、第1 の部分320 と第2 の部分330 との間の隙間を橋渡し、それによって、とりわけ、特に、開口310 の領域における変更された結晶構造 1010 の振動特性を変化させる。そうすることで、変更する材料1020 は、高い温 度で開口310 を維持する。したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020 は、結晶構造300 中の適切な原子と適合して結合するように選択される。 【0039】本発明のいくつかの実施例及び図10 に示されているように、変更する材料 1020 は、b-平面(例えば、"a-c"面)に平行である結晶構造300 の表面に結合する。変更する材料1020 が"a-c"面と結合する実施例では、a 軸の方向に延びる開口310 とa 平面に横たわる断面が維持される。そのような実施例では、電荷キャリアは、a 軸の方向に開口310 を通過して流れる。 【0040】 本発明のいくつかの実施例において、変更する材料1020 は、a 平面(例えば、"b-c"面)に平行である結晶構造300 の表面と結合する。変更する材料1020 が"b-c"面と結合するような実施例では、b 軸の方向に延びる開口310 とb 平面に横たわる断面が維持される。そのような実施例では、電荷キャリアは、b軸の方向に開口310 を通過して流れる。 "b-c"面と結合するような実施例では、b 軸の方向に延びる開口310 とb 平面に横たわる断面が維持される。そのような実施例では、電荷キャリアは、b軸の方向に開口310 を通過して流れる。 【0041】本発明の種々の実施例では、変更する材料1020 を有するELR 材料360 の特定の面に積層することを含む(すなわち、ELR 材料360 の特定の表面を変更する材料1020 で変更すること)。この説明から理解されるように、ELR 材料360 の"表面を変更すること"への言及は、最終的に、ELR 材料360 の一つまたは複数の単 位セル400 の面(場合によっては一面以上)を変更することを含む。すなわち、変更する材料1020 は、実際にELR 材料360 の単位セル400 内の原子に結合する。 【0042】たとえば、a 平面に平行なELR 材料360 の表面を変更することは、単位セル400の"b-c"面を変更することを含む。同様に、b-平面に平行なELR 材料360 の表面 を変更することは、単位セル400 の"a-c"面を変更することを含む。本発明のい くつかの実施例では、変更する材料1020 は、c 軸に平行な平面に対して実質的に平行であるELR 材料360 の表面に結合される。この説明のために、c 軸に平行な平面は、一般にab 平面と呼ばれ、理解されるように、a 面およびb 面を含む。 理解されるように、ab 面に平行なELR 材料の表面360 は、単位セル400 の"a-c"面と"b-c"面の混合物から形成される。変更する材料1020 がab 面に平行な表面 と結合するような実施例では、a 軸の方向に延びる開口310 とb 軸方向に延びる開口310 が維持される。 【0043】 物から形成される。変更する材料1020 がab 面に平行な表面 と結合するような実施例では、a 軸の方向に延びる開口310 とb 軸方向に延びる開口310 が維持される。 【0043】本発明のいくつかの実施例において、変更する材料102 は導電性材料であってもよい。本発明のいくつかの実施例では、変更する材料102 は、高い酸素親和性 材料であるかもしれない。(すなわち、酸素と容易に結合する材料)("酸素結合材料")。本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020 は、酸素と容易に結合する導電性材料("酸素結合導電材料")であってもよい。このような酸素結合導電材料は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタンを含むが、それだけには限定されない。このような酸素結合導電材料は、ロジウムまた はベリリウムもまた含むことができるが、それだけには限定されない。他の変更する材料は、ガリウム又はセレンを含むことができる。他の変更する材料は、銀を含んでもよい。さらに他の変更する材料を用いることもできる。 【0044】本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020 の酸化物は、ELR 材料360 を変更する材料1020 で変更するときの様々な操作の間に形成するかもしれない。 したがって、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020 は、変更する材料1020 の実質的に純粋な形態および/または変更する材料1020 の種々の酸化物をを含むことができる。換言すれば、本発明のいくつかの実施例では、ELR 材料360 は、変更する材料1020 および/または変更する材料1020 の種々の酸化物 を含む。一例として、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020 は、 クロム及び/又は酸化 0 は、変更する材料1020 および/または変更する材料1020 の種々の酸化物 を含む。一例として、本発明のいくつかの実施例では、変更する材料1020 は、 クロム及び/又は酸化クロムを(CrxOy)を含んでもよいが、それに限定されるものではない。 【0045】本発明のいくつかの実施例では、ELR 材料360 は、YBCO であり、変更する材料 1020 は、酸素結合導電材料であってもよい。本発明のいくつかの実施例では、 ELR 材料360 は、YBCO であり、変更する材料1020 は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、またはベリリウムを含む群から選択されるが、これらに限定されない。本発明の実施例では、ELR 材料360 は、YBCOであり、変更する材料1020 は、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、及びベリリウムからなる群から選択され得る。本発明のいく つかの実施例では、ELR 材料360 は、YBCO であり、変更する材料1020 は他の変更する材料であってもよい。 4 変更されたELR材料の試験結果に関する記載【0051】 図14A-14G は、上記記載されたようにして得られた試験結果1400 を示す。試験試験結果1400 は温度の関数(K)として変更したELR 素材1060 の抵抗のプロットを含んでいる。より具体的には、試験試験結果1400 は、変更されたELR 素材1060であり、変更する材料1020 はクロムであり、ELR 材料360 はYBCO である。図14Aは、変更されたELR 材料1060 の抵抗が測定された温度の全範囲、すなわち、84K~ 286K である試験結果1400 を含んでいる。より詳細に示す 材料360 はYBCO である。図14Aは、変更されたELR 材料1060 の抵抗が測定された温度の全範囲、すなわち、84K~ 286K である試験結果1400 を含んでいる。より詳細に示すために、試験結果1400は、様々な温度範囲に分割されて図示されている。図14B は、240K~280K までの温度範囲内の試験結果1400 を示し、図14C は、21K~250K までの温度範囲内の試験結果1400 を示し、図14D は、180K~220K までの温度範囲内の試験結果1400 を示し、図14E は、150K~190K までの温度範囲内の試験結果1400 を示し、図14F は、 120K~160K までの温度範囲内の試験結果1400 を示し、図14G は、84.5K~124.5K までの温度範囲内の試験結果1400 を示している。 【0052】試験結果1400 は、変更されたELR 材料1060 の様々な部分がELR 材料360 に比べて、より高い温度においてELR 状態で動作することを示している。6つの試料の分析試験が行われた。各試料分析試験では、変更されたELR 材料1060 はゆっ くりと約286K から83K まで冷却された。冷却しながら、DC オフセットおよび/または熱電対効果の影響を低減するために、電流源は、デルタモードの構成で+60nA と-60nA の電流を流した。一定の時間間隔で、変更されたELR 材1060 の電圧を電圧計で測定した。各試料分析試験では、電圧測定の時系列は、512 点の高速フーリエ変換("FFT")を用いてフィルタ処理された。フィルタリ処理された データのうちFFT の最も低い44 の周波数はデータから除外され、残りのデータは時間領域に戻された。各試料分析試験でフ リエ変換("FFT")を用いてフィルタ処理された。フィルタリ処理された データのうちFFT の最も低い44 の周波数はデータから除外され、残りのデータは時間領域に戻された。各試料分析試験でフィルタ処理されたデータは、その後、試験結果1400 を生成するために統合された。 より具体的には、6つの試料の分析試験のすべての抵抗の測定は、"ビニング"と呼ばれる方法で温度範囲(例えば、80K~80.25K、80.25K~80.50K、80.5K~ 80.75K、等)の系列に整理された。次に、各温度範囲の平均抵抗測定を求めるために各温度範囲で測定された抵抗測定は、平均化された。これらの平均抵抗測定により試験結果1400 が得られた。 【0053】試験結果1400 は、温度に対する抵抗のプロットである種々の離散ステップ 1410 を含んでおり、各離散ステップ1410 は、比較的狭い温度範囲での抵抗の急激な変化を示している。各離散ステップ1410 では、変更されたELR 材料1060 の離散部分は、各温度でそのような部分の電荷伝播容量に電荷を伝播し始める。非常に小さなスケールで、変更されているELR 材360 の表面は、完全に平滑ではないので、ELR 材料360 の表面に露出された開口310 は、通常は、変更されたELR 材1060 試料の全幅または全長にわたって延びていない。したがって、本発明の いくつかの実施例では、変更する材料1020 は、ELR 材料360 の表面全体を覆い、開口310 の間で電荷を運ぶ導体として作用することができる。 【0054】試験結果1400 の詳細を説明する前に、ELR 材料360 と変更する材料1020 の様々な特性を説明する。これらの材料の抵抗対温度("R-T") として作用することができる。 【0054】試験結果1400 の詳細を説明する前に、ELR 材料360 と変更する材料1020 の様々な特性を説明する。これらの材料の抵抗対温度("R-T")の個別のプロファ イルは、一般によく知られている。これらの材料の個々のR-T プロファイルは、試験結果1400 に見られる離散ステップ1410 と同様の特徴を含むとは考えられない。実際、ELR 材料360 の変更されていない試料と変更する材料1020 は、同じであり、しばしば同一の試験方法と測定装置でそれぞれ試験された。各例では、ELR 材料360 の変更されていない試料のR-T プロファイルと変更する材料のRT プロファイルは、単独では離散ステップ1410 と同様の機能を含んでいなかった。 従って、離散ステップ1410 は、変更する材料1020 と変更するELR 材料360 の結果であり、温度上昇時に開口310 を維持し、それによって、変更する材料1060が、本発明の様々な実施例の高い温度において、ELR 状態のままでいられることが可能となる。 【0055】各離散ステップ1410 では、変更されたELR 材料1060 内の開口310 の様々な開口が、各開口310 の電荷伝播容量に電荷の伝播を開始する。電圧計で測定した結果、各電荷伝播開口310 は、変更されたELR 材料1060 の試料を通過する見かけの電圧が少しだけ低下する、短絡として現れる。見かけの電圧は、開口310 の追 加の開口が電荷の伝播を開始すると、変更されたELR 材料1060 の試料温度がELR材料360 の転移温度(すなわち、変更していないELR 材料がYBCO の場合の転移温度は、約90K である)に達するまで低下し続ける。 【0056】 ELR 材料1060 の試料温度がELR材料360 の転移温度(すなわち、変更していないELR 材料がYBCO の場合の転移温度は、約90K である)に達するまで低下し続ける。 【0056】試験結果1400 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が、約97K、100K、 103K、113K、126K、140K、146K、179K、183.5K、200.5K、237.5K、および250K で、電荷を伝播することを示している。理解されるように、変更されたELR 材料 1060 内の開口310 は、全温度範囲内の他の温度で電荷を伝播することができる。 【0057】試験結果1400 は、離散ステップ1410 として識別されていない比較的狭い温度範囲での抵抗の比較的急激な変化を含んでいる。これらの他の変化のいくつかは、 試験(例えば、FFT、フィルタリング、等)中に得られる測定値に使用されるデータ処理技術からのアーティファクトであるかもしれない。これらの他の変化のいくつかは、様々な温度で開口310 に影響を与える変更された結晶構造1010 中の共振周波数に起因する抵抗の変化であるかもしれない。これらの他の変化のいくつかは、追加の離散ステップ1410 であるかもしれない。また、270~274K の 温度範囲における抵抗の変化は、変更されたELR 材1060 中に存在する水と関連付けられる可能性があり、この水の一部は変更されたELR 材料1060 の試料調製中に導入された可能性がある。 【0058】変更する材料1020 はELR 材料360 の転移温度以上の温度でよく伝導するの対 して、ELR 材料360 は通常は伝導しないという点で、試験結果1400 は、離散ステップ1410 に加 変更する材料1020 はELR 材料360 の転移温度以上の温度でよく伝導するの対 して、ELR 材料360 は通常は伝導しないという点で、試験結果1400 は、離散ステップ1410 に加えて、ELR 材料360 のR-T プロファイルと異なっている。 【0059】図15 は、ELR 材料360 と変更する材料1020 の試料に対する追加の試験結果 1500 を示している。より具体的には、試験結果1500 では、変更する材料1020 は、クロムであり、ELR 材料360 はYBCO である。試験結果1500 では、ELR 材料 360 の試料は、a-平面又はb-平面に平行な結晶構造300 の面を露出させるために、上述した様々な技術を用いて調製された。試験結果1500 は、変更されたELR 材料1060 にロックインアンプとK6221 電流源を用いて24.0Hz で10nA の電流を流して得られた。試験結果1500 は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料 1060 の抵抗のプロットを含んでいる。図15 は、変更されたELR 材料1060 の抵抗 が温度の全範囲、すなわち80K~275K で測定された試験結果1500 を含む。試験結果1500 は、変更されたELR 材料1060 の様々な部分がELR 材料360 より高い温度でELR 状態で動作することを示している。5 つの試料の分析試験は、変更されたELR 材料1060 の試料でなされた。各試料分析試験では、変更されたELR 材料 1060 の試料をゆっくりと80K から275K まで加熱した。加熱しながら、変更され たELR 材料1060 の試料の電圧が一定の時間間隔で測定され、抵抗は、電流源から算出された。各試料分析試験では、抵抗測定値の時系 と80K から275K まで加熱した。加熱しながら、変更され たELR 材料1060 の試料の電圧が一定の時間間隔で測定され、抵抗は、電流源から算出された。各試料分析試験では、抵抗測定値の時系列は、1024 ポイントのFFT を用いてフィルタ処理した。しかし、すべてのFFT から最も低い15 の周波数がデータから除去され、フィルタ処理された抵抗測定値は、時間領域に戻された。 各試料分析試験でフィルタ処理された抵抗測定値は、試験結果1500 を生成する ために上記説明したビニングプロセスを用いて統合された。次に、各温度範囲での抵抗測定値は、各温度範囲での平均抵抗測定値を得るために一緒に平均化された。これらの平均抵抗測定値は、試験結果1500 を形成する。 【0060】試験結果1500 は、抵抗対温度プロットにおいて、種々の離散ステップ1510 を 含む。各離散ステップ1510 は、図14A~図14G で説明した離散ステップ1410 と類似する、比較的狭い温度範囲で抵抗が比較的急激に変化することを示しいる。 各離散ステップ1510 では、変更されたELR 材料1060 の離散部分は、各温度での離散部分の電荷伝播容量に電荷を伝播する。 【0061】 試験結果1500 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約120K、145K、175K、225K、および250K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR材料1060 内の開口310 は、理解されるように、全温度範囲内の他の温度で、電荷を伝播するかもしれない。 【0062】 図16-20 は、ELR 材料360 および各種変更する材料1020 の試料に対する追加の 試験結果を示す。これらの追加の試験結果では、ELR かもしれない。 【0062】 図16-20 は、ELR 材料360 および各種変更する材料1020 の試料に対する追加の 試験結果を示す。これらの追加の試験結果では、ELR 材料360 の試料は、結晶構造300 の表面をa 面またはb 面、またはa 面またはb 面のいくつかの組み合わせに対して実質的に平行となるように露出させ、これらの露出面上に変更する材料が積層されるように、上述した様々な技術を用いて調製された。これらの変更された各試料は、ゆっくりと約300K から80K まで冷却された。以下に説明するよ うに、加温しながら、電流源は、電流を変更された試料にデルタモード設定で印加した。一定時間毎に、変更された試料の電圧を測定した。各試料の分析試験では、電圧測定の時系列は、FFT を用いて周波数領域で最低の周波数を除去するフィルタ処理し、フィルタ処理された測定値は、時間領域に戻された。保持された周波数の数は、一般に、各データ・セットで異なる。各試験からフィルタ処理さ れたデータは、その後、ビニングされ、一緒に平均化されて図16-21 に示す試験結果を生成した。 【0063】図16 は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料1060 の抵抗のプロットを含む試験結果1600 を示す。試験結果1600 では、変更する材料1020 はバナ ジウムであり、ELR 材料360 はYBCO である。試験結果1600 は、20nA 電流源を使用し、1024 ポイントのFFT を行い、12 個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11 回の試験で得られた。試験結果1600 は、変更されたELR 材料1060の様々な部分がELR 材料360 よりもより高い温度においてELR 状態で動作することを示 去された全ての情報を用いる11 回の試験で得られた。試験結果1600 は、変更されたELR 材料1060の様々な部分がELR 材料360 よりもより高い温度においてELR 状態で動作することを示している。試験結果1600 は、図14A-14G で説明したのと同様に、抵抗- 温度プロットにおいて種々の離散ステップ1610 を含む。試験結果1600 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約267K、257K、243K、232K、および219K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【0064】 図17 は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料1060 の抵抗のプロッ トを含む試験結果1700 を示す。試験結果1700 では、変更する材料1020 は、ビスマスでありELR 材料360 はYBCO である。試験結果1700 は、400nA の電流源を使用し、1024 ポイントのFFT を行い、12 個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる5 回の試験で得られた。試験結果1700 は、変更されたELR 材料1060の様々な部分がELR 材料360 よりも高い温度においてELR 状態で動作することを 示している。試験結果1700 は、図14A-14G で説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ1710 を含む。試験結果1700 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約262K、235K、200K、172K、および141K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【00 62K、235K、200K、172K、および141K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【0065】図18 は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料1060 の抵抗のプロットを含む試験結果1800 を示す。試験結果1800 では、変更する材料1020 は銅であり、ELR 材料360 はYBCO である。試験結果1800 は、200nA の電流源を使用し、 1024 ポイントFFT を行い、12 個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる 回の試験で得られた。試験結果1800 は、変更されたELR 材料1060 の様々な部分がELR 材料360 よりもより高い温度においてELR 状態で動作することを示している。試験結果1800 は、図14A-14G で説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ1810 を含む。試験結果1800 は、変更されたELR材料1060 内の開口310 が約268K、256K、247K、235K、および223K で電荷を伝播 することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【0066】図19 は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料1060 の抵抗のプロットを含む試験結果1900 を示す。試験結果1900 では、変更する材料1020 はコバ ルトであり、ELR 材料360 はYBCO である。試験結果1900 は、420nA 電流源を使 用し、1024 ポイントのFFT を行い、12 個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11 回の試験で得られた。試験結果19 である。試験結果1900 は、420nA 電流源を使 用し、1024 ポイントのFFT を行い、12 個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11 回の試験で得られた。試験結果1900 は、変更されたELR 材料1060の様々な部分がELR 材料360 よりもより高い温度においてELR 状態で動作することを示している。試験結果1900 は、図14A-14G で説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ1910 を含む。試験結果1900 は、変更 されたELR 材料1060 内の開口310 が約265K、236K、205K、174K、および143K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【0067】図20 は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料1060 の抵抗のプロッ トを含む試験結果2000 を示す。試験結果2000 では、変更する材料1020 はチタンであり、ELR 材料360 はYBCO である。試験結果2000 は、100nA 電流源を使用し、512 ポイントのFFT を行い、11 個の最低周波数が除去された全ての情報を用いる11 回の試験で得られた。試験結果2000 は、変更されたELR 材料1060 の様々な部分がELR 材料360 よりもより高い温度においてELR 状態で動作することを示 している。試験結果2000 は、図14A-14G で説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ2010 を含む。試験結果2000 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約266K、242K、および217K で電荷を伝播することを示している。変更さ トにおいて種々の離散ステップ2010 を含む。試験結果2000 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約266K、242K、および217K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【0068】図21A~21B は、温度の関数(K)として、変更されたELR 材料1060 の抵抗のプロットを含む試験結果2100 を示す。試験結果2100 では、変更する材料1020はクロムであり、ELR 材料360 はYBCO である。図21A は、変更されたELR 材料 1060 の抵抗が測定された温度の全範囲、すなわち80K~270K にわたる試験結果 2100 を含む。さらに詳しく説明するために、試験結果2100 は、図21B に示すよ うに、150K~250K の温度範囲で拡大された。試験結果2100 は、図16~20 で説明したのと同様の方法で得られた。具体的には、試験結果2100 は300nA の電流源を使用して25 回の試験で得られた。これらの試験データは、64 サイドポイントと4 次多項式を用いて、Savitzy-Golay で平滑化された。試験結果2100 は、変更されたELR 材料1060 の様々な部分がELR 材料360(ここでは、BSSCO)よりも高 い温度でELR 状態として動作することを示している。試験結果2100 は、図14A-14G で説明したのと同様に、抵抗-温度プロットにおいて種々の離散ステップ 2110 を含む。試験結果2100 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約184Kと214K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口 310 は、他の 0 を含む。試験結果2100 は、変更されたELR 材料1060 内の開口310 が約184Kと214K で電荷を伝播することを示している。変更されたELR 材料1060 内の開口 310 は、他の温度で電荷を伝播するかもしれない。 【0073】上述した種々の試験結果は、とりわけ、開口310 上の変更する材料1020 の影響が互いに近接する関係で変化すること示している図14 の試験結果1400 は、本発明の種々の実施例を支持している。具体的には、試験結果1400 中の各離散ステップ1410 は、変更されたELR 材料1060 によって運ばれた電荷の変化に対応す る。なぜなら、特定の層2310 中の開口310(より適切には、図示のように隣接する層間で形成された開口310)は、そのような開口310 の電荷伝播容量に電荷を伝播するからである。変更する材料1020 により近い層2310 中の開口310 は、より高い温度の離散ステップに1410 に対応するが、変更する材料1020 からより遠い層2310 中の開口310 は、より低い温度の離散ステップ1410 に対応する。離 散ステップ1410 は、変更する材料1020 に所与の相対距離の開口310(すなわち、層2310A と層2310B 間の開口310A)が特定の温度で電荷を伝播し、すぐに最大電荷伝播容量に達する、という意味で"離散"である。別の離散ステップ1410 は、変更する材料1020 からより離れた距離の開口310(すなわち、層2310B と層2310C の間の開口310B)がより離れた距離の結果として、より低い温度で電荷を 伝播し、開口310 に対する変更する材料1020 の影響を軽減するときに、達成さ れる。各離散ステップ1410 は、変更する B)がより離れた距離の結果として、より低い温度で電荷を 伝播し、開口310 に対する変更する材料1020 の影響を軽減するときに、達成さ れる。各離散ステップ1410 は、変更する材料1020 からの距離に基づいて電荷を運び始める開口310 の別の組に対応する。しかしながら変更する材料1020 は、ある距離において、いくつかの開口310 に高い温度で電荷を運ばせるような十分な影響を開口310 に及ぼすことができないので、それ故に、そのような開口310は、ELR 材料360 の温度と一致する温度で電荷を伝播する。 5 上記の試験結果を示す図(図14A、15~21B)図14A、15、21A、21Bは、ELR材料がYBCO、変更する材料がクロムの場合の試験結果である。 【図14A】 【図15】 【図21A】 【図21B】 【図16】ELR材料がYBCO、変更する材料がバナジウムの場合の試験結果 【図17】ELR材料がYBCO、変更する材料がビスマスの場合の試験結果 【図18】ELR材料がYBCO、変更する材料が銅の場合の試験結果 【図19】ELR材料がYBCO、変更する材料がコバルトの場合の試験結果 【図20】ELR材料がYBCO、変更する材料がチタンの場合の試験結果 6 「変更する材料」に関連する記載 【0119】いくつかの実施例では、ELR 材料に変更する成分を適用することは、ELR 材料の結晶構造内の1 つまたはそれ以上の酸素原子をELR 材料内に移動させ、ELR 材料の結晶構造を引っ張る酸素濃 】いくつかの実施例では、ELR 材料に変更する成分を適用することは、ELR 材料の結晶構造内の1 つまたはそれ以上の酸素原子をELR 材料内に移動させ、ELR 材料の結晶構造を引っ張る酸素濃度勾配を形成するかもしれない。いくつかの実施例では、クロムなどの変更する成分は、ELR 材内の酸素原子の"ゲッター"として 作用し、それによって、酸素原子を変更する成分に向かって移動させ、次に、ELR 材料の結晶構造内または、その一部の領域を引っ張るかもしれない。 【0121】本発明のいくつかの実施例では、組成物の種々の領域または部分にある歪みは、ELR 材料の動作特性(例えば、動作温度、電流容量など)を向上させるように、 ELR 材の結晶構造中の開口に影響を与える。 【0122】結晶構造を有する材料の変更は、その材料が期待される温度よりも高い温度で材料に電流を流すように、非常に低い抵抗のような低い抵抗を示すさせることができる。いくつかの実施例では、変更は、上述したように、適切な表面上に変更 する材料の層を付けるまたは形成する工程を含むことができる。変更する材料が付けられた、または形成された層は、歪みを発生させるか、あるいは材料の結晶構造を作る原子、および/または、結合の一部またはすべてに力をかけることができる。この力または歪みは、材料が低い抵抗又は非常に低い抵抗なのような異なる抵抗特性を示すように、この材料を変更するかもしれない。すなわち、材料 内で力や歪みが発生すると、材料は、材料内の特定の場所、および/または、特定の領域で、酸素拡散勾配を発生させる、および/または、維持させる、および/または、材料の結晶構造を、ねじれさせる、歪ませる、開かせる、閉じさせる、硬くする、または、1 つの場所から別の場所に電 特定の領域で、酸素拡散勾配を発生させる、および/または、維持させる、および/または、材料の結晶構造を、ねじれさせる、歪ませる、開かせる、閉じさせる、硬くする、または、1 つの場所から別の場所に電子の輸送を容易にする材料内の開口の幾何学的配置を維持するまたは変更するなど、配向および/または幾何学 的配置を維持するか変更するかもしれない。 【0126】いくつかの実施例では、種々の組成物は、ELR 材料の適切な表面上に付けられた、または形成された、1 つまたはそれ以上の変更する材料を含む。図1-Z は、ELR 材料110(本明細書では変更されていないELR 材料110 と呼ぶ)とELR 材料 110 の表面に付けられた変更する材料120 を有する、変更されたELR 材料の組成 物100(本明細書では変更されたELR 材料100 と呼ぶ)を示している。 【0129】いくつかの実施例では、変更する材料120 は、例えば、クロム、銅、ビスマス、コバルト、バナジウム、チタン、ロジウム、またはベリリウムなどの金属、または金属などの金属酸化物であってもよい。いくつかの実施例では、変更する材料 120 は、ELR 材料110 内に歪みを与えることができる、高い酸素親和性のある材料、"ゲッター"材料、ELR 材料110 の格子定数と異なる1 つまたはそれ以上の格子定数を有する材料(別のELR 材料を含む)であるかもしれない。例えば、いくつかの実施例では、変更する材料120 は、ELR 材料110 内に歪みを引き起こすために、容易に酸素と結合する、酸素を引きつける、または、酸素を捕まえる材料、 または、酸素含有量および/またはELR 材料内の酸素分布を変更する強い酸素親和性を有するかもしれない。いくつかの実施例では 易に酸素と結合する、酸素を引きつける、または、酸素を捕まえる材料、 または、酸素含有量および/またはELR 材料内の酸素分布を変更する強い酸素親和性を有するかもしれない。いくつかの実施例では、変更する材料120 は、ELR材110 内に歪みを引き起こすために、ELR 材料110 の格子定数と一致しない1 つまたはそれ以上の格子定数を有するかもしれない。 【0137】 説明したように、組成物400 は、同じELR 材料の(例えば、REBCO)の異なる形態または変異体の複数の層を含み、これらの同じELR 材料の異なる形態はELR材料の1 つまたはそれ以上に歪みを引き起こすかもしれない。例えば、層間の酸素含有量を変える(例えば、YBCO 中のOs とO7 との間の酸素化学量論/分率を変化させる)と、層内のELR 材料の結晶構造の結合を歪ませる、層間の格子不整合 を引き起こすかもしれない。また、例えば、層間のELR 材料の結晶配向を変える (例えば、ELR 材料の一つの層はa 軸配向を有し、別の層は、b 軸配向性を有する)と、層間の格子不整合を引き起こし、それにより同じような歪みを引き起こすかもしれない。 【0140】別のELR 材料またはELR 材料の異なる形態の層で形成されている組成物300、 400、500 を生成すると、本発明の様々な実施例を、種々のREBCO 材料の間の格子不整合(例えば、YBCO とNBCO)、または、類似の格子定数(例えば、BSCCO など)を有する他の材料に利用して、ELR 材料の層の種々の層に応力をかける/歪ませることを可能にする。いくつかの実施例では、追加された歪みは、ELR 材料の結晶構造中の開口の周りのフォノン周波数、および/または、分布及び/又は、 材料の層の種々の層に応力をかける/歪ませることを可能にする。いくつかの実施例では、追加された歪みは、ELR 材料の結晶構造中の開口の周りのフォノン周波数、および/または、分布及び/又は、 振幅を変更し、ELR 材料の抵抗の低下を可能にし、より高い温度においてELR 状態で動作するなどの改良された動作特性およびその他の利点を可能にするが、これらに限定されるものではない。 7 本願発明のジョセフソン接合に関連する記載 【0220】図46A-A~図46H-A は、本発明の1 つまたはそれ以上の実施例に係る様々なジョセフソン接合4600 を示す(図46A-A ではジョセフソン接合4600A として、図46B-A ではジョセフソン接合4600B として、図46C-A ではジョセフソン接合4600Cとして、図46D-A ではジョセフソン接合4600D として、図46E-A ではジョセフソ ン接合4600E として、図46F-A でジョセフソン接合4600F として、図46G-A ではジョセフソン接合4600G として、図46H-A ではジョセフソン接合4600H として記載される)。図46A-A は、バリア4610 によって分離された二つのELR 導体4620を含むジョセフソン接合4600A を示す。本発明のいくつかの実施例では、各ELR導体4620 は、本発明の様々な実施例係る、改善された動作特性で動作するELR 材料を含む。例えば、本発明のいくつかの実施例では、各ELR 導体4620 は、改 善された動作特性を持つ変更されたELR 材料1060 を含み、本発明のいくつかの実施例では、各ELR 導体4620 は、改善された動作特性を持つ新しいELR 材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、各ELR 特性を持つ変更されたELR 材料1060 を含み、本発明のいくつかの実施例では、各ELR 導体4620 は、改善された動作特性を持つ新しいELR 材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、各ELR 導体4620 は、本発明の様々な実施例に係るナノワイヤセグメント4110 を備える。 【0221】 本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、ELR 導体4620 の間に配置され、ELR 導体4620 に電気的に結合されている絶縁材料を含む。これらの実施例では、バリア4610 は、非常に薄く、通常は30 オングストローム以下であることが理解される。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、ELR 導体4620との間に配置された導電性金属などの導電性材料を含む。本発明のいくつかの実 施例では、バリア4610 は、ELR 導体4620 との間に配置された強磁性金属などの導電性材料を含む。これらの実施例では、バリア4610 は、絶縁材料よりも厚くてよく、通常は、数ミクロンの厚さを有することが理解される。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、ELR 導体4620 との間に配置された、導電性金属などの半導電性材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、 ELR 導体4620 の材料と異なるELR 材料などの、他の材料(すなわち、異なる化学組成、異なる結晶構造、異なる結晶構造の配向、異なる位相、異なる粒界、異なる臨界電流、異なる臨界温度を有するなどの意味で異なる)を含むが、これらに限定されるものではない。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、ELR導体4620 の材料と同じELR 材料を含むが、1 つまたはそれ以上の機械的な態様が 異なっている(すなわち、ELR 導体 のではない。本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、ELR導体4620 の材料と同じELR 材料を含むが、1 つまたはそれ以上の機械的な態様が 異なっている(すなわち、ELR 導体4620 の厚さと異なるELR 材料の厚さ、ELR 導体4620 の幅と異なるELR 導体4620 の幅、または他の機械的な相違)。いくつかの実施例では、バリア4610 は、ELR 導体4620 との間に形成された、部分的なまたは完全な空隙を含む。これらの実施例では、バリア4610 は、空気または他の気体で満たされた空隙を含むことができる。ELR 導体4620 が変更されたELR 材料 1020 を含む本発明のいくつかの実施例では、バリア4610 は、変更されていない ELR 材料360 を含んでもよい。 【0222】従来のジョセフソン接合の一般的な種類は、超伝導体-絶縁体-超伝導体("SIS")、超伝導体-通常導体-超伝導体("SNS")、超伝導体-鉄強磁性金属超伝導体("SFS")、超伝導体-絶縁体-通常導体-絶縁体-超伝導体("SINIS")、超 伝導体-絶縁体-通常導体-超伝導体("SINS"),超電導体-コンストリクション-超伝導体("SCS")などを含む。図46I-A は、トンネル接合(SIS)、点接触、Daydem ブリッジ(SCS)、サンドイッチ接合、種々の厚さのブリッジ、およびイオン注入ブリッジ(左から右、上から下)を含むジョセフソン接合のさまざまな例を示すが、これらに限定されるものではない。図46J-A は、ステップエッジ SNS 接合、ステップエッジ粒界接合、ランプエッジ接合部、両結晶粒界接合(左から右、上から下)を含むジョセフソン接合の他の例を示すが、これらに限定されるものではない。本 は、ステップエッジ SNS 接合、ステップエッジ粒界接合、ランプエッジ接合部、両結晶粒界接合(左から右、上から下)を含むジョセフソン接合の他の例を示すが、これらに限定されるものではない。本発明の様々な実施例によれば、上記の種類のジョセフソン接合のいずれかは、従来のジョセフソン接合の超伝導材料の代わりに、上述のような改良されたELR 材料を用いて構成することができる。 【0223】一般的に言えば、ジョセフソン接合4600 は、いわゆるジョセフソン効果を示す。ここでは、ELR 状態でELR 導体4620 を通って流れる電流もまた、非常に低い抵抗状態でELR 導体4620 の間の接合部を横切って流れることができる。ジョセフソン接合は、例えば、バリア4610 を備えてもよい。バリア4610 に流れる電流 は、ジョセフソン電流と呼ばれる。臨界電流に達するまで、ジョセフソン電流は、非常に低い抵抗でバリア4610 を通って流れることができる。しかし、バリア 4610 の臨界電流を超えると、電圧がバリア4610 を横切って現れ、次に、この電圧は、さらに臨界電流を低減し、それによって、バリア4610 を横切る大きな電圧を生成する。ジョセフソン効果は、理解されるように、様々な回路におけるジ ョセフソン接合4600 で利用されてもよい。 【0226】図46C-A および図46D-A は、いわゆる"ワイヤ構成"のジョセフソン接合4600を示す。図46C-A は、本発明の様々な実施例に係る改善された動作特性を示す変更されたELR 材料を含むELR 導体4620 を含むジョセフソン接合4600C を示す。 図46C-A に示すように、本発明のいくつかの実施例では、ジョセフソン接合 4600C の各ELR 導体46 たELR 材料を含むELR 導体4620 を含むジョセフソン接合4600C を示す。 図46C-A に示すように、本発明のいくつかの実施例では、ジョセフソン接合 4600C の各ELR 導体4620 は、ELR 材料3110 上に積層された変更する材料2720 を含む変更されたELR 材料を含む。本発明のいくつかの実施例では、変更されたELR 材は、基板2420 上に積層されてもよい(すなわち、ELR 材料は、基板2420上に積層される)。ELR 導体4620 は、理解されるように、変更されたELR 材料の他の形態を含んでもよい。図示のように、バリア4610 は、ELR 導体4620 の間に 配置され電気的にELR 導体4620 と結合されている。 以上 別紙3本件審決の概要注:原告の認否を各項の冒頭に示す。 1 本願発明の技術的意義について 〔原告:認める〕本願の特許請求の範囲の記載及び別紙2の本願明細書等の記載によれば、本願 発明の技術的意義は、次のとおりである。 (1) 本願発明は、非常に低い抵抗(ELR)材料で形成された一つ又は複数のコンポーネントを含むジョセフソン接合又はジョセフソン接合を含む回路の発明である。(【0005】)(2) 従来の超伝導エレメントを使用して動作するデバイスにおいては、電流を最 小抵抗又はゼロ抵抗で輸送する能力を有する様々な成分の高温超伝導(HTS)材料が利用されてきたが、HTS材料は非常に低い動作温度(例えば、120K未満の温度)を必要とし、通常は、液体窒素ベースの冷却システム等の高価なシステムを使用して上記のような動作温度までコンポーネントを冷却する必要があるため、実施コストを増大するなどの問題があった。(【0003】 )を必要とし、通常は、液体窒素ベースの冷却システム等の高価なシステムを使用して上記のような動作温度までコンポーネントを冷却する必要があるため、実施コストを増大するなどの問題があった。(【0003】) (3) 本願発明は、「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」に、従来のHTS材料に関連付けられる転移温度より高い温度において非常に低い抵抗を提供する、「面及び結晶構造を有するELR材料の第1の層」を含む「改変されたELR材料」と、「第1の層」の面に結合する「修飾材料の第2の層」とからなる構成(以下「本願層構造」という。)とし、これらの間に「バリア材 料」を配置して、「ジョセフソン接合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成することにより、上記の課題を解決しようとするものである。(【0005】、【0011】、【0013】~【0015】) 2 技術常識について(1) 技術常識1 〔原告:争う〕 量子工学ハンドブック(乙1)の記載によれば、「ある種の物質をある温度 (臨界温度)以下に冷やしたときに、抵抗値がゼロとなることを「超伝導」又は「超電導」という。」ことは、技術常識である(技術常識1)。 (2) 技術常識2 〔原告:認める〕岩波理化学辞典第5版(乙2)の記載によれば、「2つの超伝導体を弱く結合したときに、電子対がトンネル効果によってその結合部を通過する現象を 「ジョセフソン効果」といい、ジョセフソン効果が生じるように2つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合するようにしたものを「ジョセフソン接合」という。」ことは、技術常識である(技術常識2)。 3 検討 に2つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合するようにしたものを「ジョセフソン接合」という。」ことは、技術常識である(技術常識2)。 3 検討 〔原告:争う〕(1) 本願発明は、本願層構造をとる「第1のELR導体」及び「第2のELR導 体」の間に「バリア材料」を配置して「ジョセフソン接合」又は「ジョセフソン接合を含む回路」を構成する発明であるから、上記技術常識2を踏まえると、本願発明においては、(ア)「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」がいずれも超伝導状態、すなわち抵抗値がゼロの状態にあり、かつ、(イ)「バリア材料」にジョセフソン効果による電流が流れていることとなる。 そうすると、本願明細書等の記載が実施可能要件を満たすというためには、本願明細書等に上記(ア)及び(イ)の各事項が記載されている必要がある。 (2) 本願明細書等には、本願発明の実施例として、本願層構造における「改変されたELR材料」としてYBCOを、「修飾材料」としてクロム、バナジウム、ビスマス、銅、コバルト又はチタンを用いて本願層構造とした導体が記載され ており、これらの導体につき、様々な温度における抵抗値を測定した試験結果が記載されている(【0051】~「0068】、図14A~21B)。そして、これらの試験結果について、「改変されたELR材料」の様々な部分が「ELR材料」より高い温度において「ELR状態」(本願明細書等において、「ELR状態」とは、ELR材料が非常に低い温度で動作する状態をいい、超 伝導状態を含むものとされている(【0013】、【0015】)。)で動作 することが示されている旨が記載されている(【0052】、【0059】、【0063】~【0068 をいい、超 伝導状態を含むものとされている(【0013】、【0015】)。)で動作 することが示されている旨が記載されている(【0052】、【0059】、【0063】~【0068】)。 しかしながら、図14A~21Bは、いずれも上記の各試験結果を抵抗-温度曲線で示したグラフであるところ、抵抗値の下限値がゼロとされておらず、各実施例における導体の抵抗値がゼロとなったことを読み取ることはできない。 そうすると、これらの記載において、上記の各実施例における導体の抵抗値がゼロであること、すなわち本願発明の「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」が超伝導状態にあることを示す試験結果等は記載されていない。 以上によれば、本願明細書等に上記(ア)の事項が記載されているものとはいえない。 (3) また、本願明細書等に上記(イ)の事項が記載されているか否かについて検討すると、本願明細書等には、本願発明における「ジョセフソン接合」の構造に関する記載(【0220】~【0222】、【0226】)があるほか、本願発明の「バリア材料」に「ジョセフソン電流」が流れる旨が記載されている(【0223】)。 しかしながら、本願明細書等には、本願発明の「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」の間に配置された「バリア材料」にジョセフソン電流が流れることを示す試験結果等は記載されていない。かえって、上記(2)で検討したとおり、本願明細書等には、「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」が超伝導状態にあることが記載されているものとはいえないことからすれ ば、上記【0223】には、超伝導状態にはない導体の間に配置されたバリア材料にジョセフソン効果が発現するという、前記の技術常識2に反する現象が生じる旨が記載されていること えないことからすれ ば、上記【0223】には、超伝導状態にはない導体の間に配置されたバリア材料にジョセフソン効果が発現するという、前記の技術常識2に反する現象が生じる旨が記載されていることとなる。そうすると、本願明細書等において、このような現象が生じ得ることを裏付ける試験結果等が記載されていなければ、当業者は、本願発明を実施することができると認識するものではないというべ きであるところ、本願明細書等にはそのような記載は存在しない。 以上によれば、本願明細書等には上記(イ)の事項が記載されているものとはいえない。 (4) 以上のとおり、本願明細書等には、上記(ア)及び(イ)の各事項が記載されているものとはいえないから、本願明細書等の記載が、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、当業者に期待し得る程度を越える試行錯誤を要するこ となく、本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているものとはいえない。 したがって、本願明細書等の記載は、実施可能要件を満たすものではない。 (5) 請求人は、令和4年7月21日に提出された手続補正書により補正された審判請求書において、 「(2-1)実施可能要件について本願の請求項1 に対して、拒絶理由通知では、課題を解決する手段について、段落0219~0232、図46-A~図46H-Aについて、ジョセフソン効果の発現がなされていないと認定されています。 一方、本願の明細書の図14A-14Gに変更されたELR素材の試験 結果が記載されております。明細書に記載の通り、より高い温度においてELR状態で動作するものであり、すなわち、非常に低い抵抗であることは示されております。そのことは当業者であれば十分実施可能な程度に記載されているものであります 書に記載の通り、より高い温度においてELR状態で動作するものであり、すなわち、非常に低い抵抗であることは示されております。そのことは当業者であれば十分実施可能な程度に記載されているものであります。すなわち、本願の発明の詳細な説明は、特許法第 36 条第4 項第1 号の規定には該当しないものと思料致します。」 旨主張する。 上記主張について検討すると、「非常に低い抵抗」に関し、本願明細書の発明の詳細な説明には、「非常に低い抵抗は、超伝導材料タイプII の超伝導状態での磁束流抵抗の大きさと同じような抵抗であり、一般に、0Ω-cm から293K での実質的に純粋な銅の抵抗率の50 分の1(1/50)の範囲の抵抗率で表 現することができる。例えば、本明細書で使用されるような、実質的に純粋な 銅は99.999%の銅である。本発明の様々な実施例では、ELR 材料の部分は0Ω・cm から3.36x10-8Ω-cm の範囲の抵抗率を有する。」(【0014】)と記載されている。 この記載によると「非常に低い抵抗」とは、「改変されたELR材料」が上記の範囲内の抵抗率において動作することを意味するものといえるが、図14 A~14Gには、いずれも導体の抵抗値が記載されているに過ぎず、抵抗率は記載されていないことから、図14A~14Gに、「改変されたELR材料」が「非常に低い抵抗」、すなわち「ELR状態」で動作することを示しているとはいえない。 加えて、上記(2)で示したように、図14A~14Gには、導体の抵抗値が ゼロとなったことを読み取ることはできないから、これらの記載から、本願発明の「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」が超伝導状態にあることを示す試験結果であるということはできない。 そうすると、請求人 とを読み取ることはできないから、これらの記載から、本願発明の「第1のELR導体」及び「第2のELR導体」が超伝導状態にあることを示す試験結果であるということはできない。 そうすると、請求人の上記主張は採用できない。 以上

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