平成26(ワ)29617 商標権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年9月10日 東京地方裁判所
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平成27年9月10日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第29617号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成27年7月16日判決埼玉県川口市<以下略>原告武田エンジニアリング株式会社同訴訟代理人弁護士石毛和夫同訴訟代理人弁理士髙田修治大阪府門真市<以下略>被告 TakedaWorks株式会社同訴訟代理人弁護士高砂健太郎同佐藤啓介 主文 1 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した金属製管継ぎ手を販売し,販売のために展示し,又はその広告をしてはならない。 2 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した金属製管継ぎ手の販売,販売のための展示又は広告に関し,別紙被告標章目録記載の標章をインターネットのウェブサイトに表示してはならない。 3 被告は,原告に対し,1115万2767円及びこれに対する平成26年11月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 主文第1項及び第2項同旨 2 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した金属製管継ぎ手を廃棄せよ。 3 被告 きる。 事実 及び理由 第1 請求 1 主文第1項及び第2項同旨 2 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した金属製管継ぎ手を廃棄せよ。 3 被告は,別紙被告標章目録記載4及び5の標章を付した金属製銘板を廃棄せよ。 4 被告は,原告に対し,1968万2191円及びこれに対する平成26年11月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告において原告の有する商標権に係る商標と類似する標章を付した商品を製造・販売するなどして上記商標権を侵害した旨主張して,被告に対し,商標法36条1項及び2項に基づき,上記標章を付した商品の販売等及びインターネット上のウェブサイトにおける上記標章の表示の差止め,上記標章を付した商品及び金属製銘板の廃棄を求めるとともに,民法709条に基づき,損害賠償金1968万2191円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成26年11月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠を掲記したもの以外は当事者間に争いがない。)当事者等ア原告は,ロータリージョイントやスイベルジョイント等の金属製管継ぎ手の製造を主たる事業とする株式会社である。 イ被告は,ロータリージョイント,スイベルジョイント,ローディングアームの設計,製造,修理,開発等を業とする株式会社である。 ウ株式会社武田製作所(以下「武田製作所」という。)は,平成21年5月29日午後5時,当裁判所において破産手続開始決定を受けて破産管財人が選任され,平成22年5月19日,破産手続終結決定を受けた(乙7)。 原告の商標権ア原告は,次の商標権(以下「本件商標権1」といい, 所において破産手続開始決定を受けて破産管財人が選任され,平成22年5月19日,破産手続終結決定を受けた(乙7)。 原告の商標権ア原告は,次の商標権(以下「本件商標権1」といい,その登録商標を「本件商標1」という。)を有している。なお,原告は,平成21年12月9日,本件商標権1を武田製作所から譲り受けた。 登録番号第5003930号出願日平成18年5月26日登録日平成18年11月17日登録商標別紙原告商標目録記載1のとおり指定商品第6類金属製管継ぎ手,金属製フランジ第17類ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキングイ原告は,次の商標権(以下「本件商標権2」といい,その登録商標を「本件商標2」という。)を有している(本件商標権1と本件商標権2を併せて「本件商標権」といい,本件商標1と本件商標2を併せて「本件商標」という。)。 登録番号第5712386号出願日平成26年8月18日登録日平成26年10月24日登録商標別紙原告商標目録記載2のとおり指定商品第6類金属製管継ぎ手,金属製フランジ被告による標章の使用被告は,金属製スイベルジョイント及び金属製ロータリージョイント(以下「被告商品」という。)を製造し,販売しているところ,これらの商品には,別紙被告標章目録記載の標章(以下,総称して「被告標章」といい,個別の標章を順に「被告標章1」ないし「被告標章7」という。)が付されていた(なお,被告標章の使用時期については争いがある。)。 被告の商標権被告は,次の商標権(以下「被告商標権」といい,その登録商標を「被告登録商標」という。)を有している。なお,被告は,平成21年1 の使用時期については争いがある。)。 被告の商標権被告は,次の商標権(以下「被告商標権」といい,その登録商標を「被告登録商標」という。)を有している。なお,被告は,平成21年12月4日,被告商標権を武田製作所から譲り受ける契約を締結し,そのころ移転登録手続をした(乙10)。 登録番号第5140182号出願日平成18年5月26日登録日平成20年6月13日登録商標別紙被告登録商標目録記載のとおり指定商品第6類金属製管継ぎ手,金属製フランジ第17類ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキング 2 争点 本件商標と被告標章との類否被告標章の商標的使用の有無原告の損害額被告標章の使用の差止め等の必要性の有無 3 争点に関する当事者の主張 争点 (本件商標と被告標章との類否)についてア原告の主張本件商標1は,欧文字「TKD」を,菱形輪郭の各辺の中央部が鉤形に突出された図形で囲んだ構成よりなる。本件商標1の文字部分と図形部分とは,外観上不可分的に一体をなすものではないため,本件商標1に接した取引者・需要者は,「TKD」の文字部分のみに注目して取引に当たることも少なくない。 以上からすれば,本件商標1の要部は「TKD」の文字部分である。 被告標章2ないし7の構成中,それぞれ「ロータリージョイント」「スイベルジョイント」「ROTARYJOINT」「SWIVELJOINT」「ROTARYJOINTS」「SWIVELJOINTS」の文字は,商品の普通名称を表すにすぎない。したがって,これらの標章の要部が「TKD」の文字にあることは明らかであり,被告標章1ないし7から「TKD」の外観及び「 S」「SWIVELJOINTS」の文字は,商品の普通名称を表すにすぎない。したがって,これらの標章の要部が「TKD」の文字にあることは明らかであり,被告標章1ないし7から「TKD」の外観及び「ティーケーディー」の称呼が生ずることは明らかである。 以上からすれば,本件商標と被告標章は,いずれも「TKD」の外観及び「ティーケーディー」の称呼を共通にするものであるから,互いに類似する。 よって,被告標章を付した被告商品を製造・販売等する被告の行為は,本件商標権を侵害し(商標法25条,37条1号),また被告標章4及び5が表示された金属製銘板を所持する行為も本件商標権を侵害する(同法37条5号)。 ロータリージョイント,スイベルジョイントなどの金属製継ぎ手は,幅広い事業領域の製造業者が需要者となるものであり,何ら特殊な取引形態をとるものではない。被告が被告標章の使用を継続すれば,本件商標との間で出所混同のおそれが生じるのは明らかであり,現に出所の混同が生じている。 なお,本件商標と被告標章との間で出所混同のおそれがあるか否かは,被告登録商標の知名度とは何ら関係がないものである。 イ被告の主張本件商標1の「TKD」の部分は,数多くある氏「タケダ」の各子音の欧文字を並べたものとして,一般的,普遍的なものであり,それ自体で出所の識別はできず,特定の観念が生じることもない。 したがって,本件商標1は,「TKD」からなる部分と,菱形輪郭の 各辺の中央部が鉤形に突出された図形で囲んだ部分からなる部分とを組み合わせた全体として識別力を有するものであり,全体的観察がされるべきである。 実際に,本件商標1は,菱形輪郭の各辺の中央部が鉤形に突出された図形で囲んだ部分と「TKD」の文字部分が一体感をもって認識されるよ として識別力を有するものであり,全体的観察がされるべきである。 実際に,本件商標1は,菱形輪郭の各辺の中央部が鉤形に突出された図形で囲んだ部分と「TKD」の文字部分が一体感をもって認識されるように工夫して規定されている(乙11参照)。 本件商標及び被告標章は,いずれも武田製作所が使用していたが,武田製作所について平成21年5月29日に破産手続が開始し,同社の取締役であった被告代表者は,その後,被告を設立し,被告は武田製作所から被告商標権を購入した。 そして,被告商品は金属製継ぎ手などであるところ,その需要者層は,一般消費者ではなくメーカーなどの技術担当者であり,これらの者は,製品の性能や製造元を吟味して購入を決定するため,「TKD」の文字だけが出所識別機能を果たすことはない。 また,被告は,被告ホームページ等において,被告標章だけでなく被告登録商標をも用いており,被告登録商標がまず目に付くようになっている。 以上の取引の実情に加え,被告標章の使用に至る経緯からして,「TKD」は武田製作所を意味し,出所が原告であると識別させる機能はなく,需要者層からしても「TKD」には出所識別機能はないこと,本件商標1と被告標章との外観が大きく異なることからすれば,本件商標1と被告標章について全体的観察を行うと,出所を混同するおそれはなく,両者は類似しないというべきである。 被告及び被告登録商標は,「FOOMAJAPAN2014」という展覧会への出展,新聞・雑誌への広告,記事掲載等により,遅くとも平成26年6月末の時点で,被告商品の需要者の間で広く知られる状態 になっていた。 このような取引の実情を踏まえれば,本件商標2と被告標章の関係でも,「TKD」という文字から出所を混同するおそれはなく,被告標章が本件商標権2を侵害す で広く知られる状態 になっていた。 このような取引の実情を踏まえれば,本件商標2と被告標章の関係でも,「TKD」という文字から出所を混同するおそれはなく,被告標章が本件商標権2を侵害することはない。 ア被告の主張被告は,平成21年12月4日,破産した武田製作所から被告商標権を購入した。被告の商号は「TakedaWorks株式会社」であり,「Takeda」の各子音をとれば「TKD」の文字列になるため,被告は,被告標章中の「TKD」部分につき被告商号の略称として用いていたが,「TKD」から自他商品を識別させているわけではない。 また,被告は,被告標章とともに被告登録商標を用いており,しかも被告登録商標がその字体や大きさから目立つように記載しており,他方で被告標章は繰り返し出てくるものではなく,強調されてもいないから,需要者は,被告標章ではなく被告登録商標によって出所を識別するものである。 以上からすれば,被告標章は,商標として使用されておらず,本件商標を侵害しない。 イ原告の主張被告は,被告商品に被告標章を付して製造,販売するなどしており,そこにおいて被告標章が自他商品識別標識として機能していることは明らかである。 なお,繰り返し使用されることや,字体を変えたり強調されたりすることは,商標的使用の要件ではない。また,一つの商品について二つ以上の商標を同時に表示すること,例えば一つの商品に個別商標とともにいわゆる商号商標を同時に表示することは,企業の日常活動において一般的に行われていることであり,そのような使用態様ゆえに個別商標が出所識別機 能を喪失するいわれはない。 (原告の損害額)についてア原告の主張被告は,その事業の開始時期である平成21年7月1日から,被 そのような使用態様ゆえに個別商標が出所識別機 能を喪失するいわれはない。 (原告の損害額)についてア原告の主張被告は,その事業の開始時期である平成21年7月1日から,被告標章「TKD」を付した被告商品を製造・販売していたと推認される。 そして,被告商品の販売価額総額は,年間2000万円を下ることはないと考えられ,被告が本件商標権1の商標権者となった平成21年12月9日から本訴提起日(平成26年11月10日)までの間(4年と336日)に,被告商品は,少なくとも9841万0958円分は販売されたものと考えられる(336日分は日割計算)。 そして,被告が被告商品の製造・販売により受けた利益の額は,被告商品の販売価格の20%に相当する金額を下らない。 よって,原告は,被告に対し,商標法38条2項に基づいて,9841万0958円の20%に相当する1968万2191円の支払を請求する。 武田製作所の経営破綻に至る経緯,その前後の同社の顧客対応及び被告設立の経緯に鑑みれば,被告が武田製作所に対する旧顧客やその信頼を承継したなどとは到底解されない。むしろ,同社の旧顧客を引き継いだのは原告にほかならない。 以上からすれば,から除外すべき理由はない。また,本件での被告の営業努力はさほどのものではなく,利益に対する本件商標の寄与率は,少なくとも8%を下らない。 イ被告の主張 被告によるホームページの開設は平成26年4月であり,カタログの配布は同年1月であり,金属製銘板の作成は平成25年12月26日で あり,同銘板の使用は平成26年1月からである。 このように,被告が被告標章の使用を開始したのはいずれも平成26年1月以降である。 原告の損害額の算定に際しては,平成26年以降の取引のうち, あり,同銘板の使用は平成26年1月からである。 このように,被告が被告標章の使用を開始したのはいずれも平成26年1月以降である。 原告の損害額の算定に際しては,平成26年以降の取引のうち,商標権侵害と因果関係のない取引を除外すべきである。具体的には,①平成23年から平成25年までに既に取引があった取引先との取引,②被告の株主(株式会社増野製作所)や被告と以前から関係がある取引先(三菱日立製鉄株式会社)との取引,③武田製作所の製品に対する信頼や武田製作所で重要な役割を果たしていた被告代表者に対する信頼で取引を依頼している武田製作所の顧客(三菱レイヨン株式会社,スチールプランテック株式会社,株式会社AQUA・J,S.TECH.SERVICE株式会社,株式会社ウエノ)との取引,④海外の顧客についても,武田製作所への信頼に加え,被告の従業員兼株主であるAとのつながりで依頼があったYellowYakIndustryやGAILとの取引,以上については,被告標章の使用との因果関係のない取引であり,損害算定の基礎から除外すべきである。 個々の被告商品についての利益率は算定できないので,被告の利益率として被告の全体の売上についての利益率を算定すると36.1%となる。 寄与率については,平成25年から平成26年にかけて被告の売上額に大きな変化はなく,被告標章の寄与はほとんどない。 一方,被告は,平成23年から平成26年にかけて順調に売上げを伸ばしており,平成25年から平成26年の売上げの上昇も,被告の企業としての成長によるものと解され,被告標章の寄与はほとんどない。 以上の諸事情や被告の営業努力からすれば,被告標章の寄与率は3%を上回ることはない。 争点 被告標章の使用の差止め等の必要性の有無)について ,被告標章の寄与はほとんどない。 以上の諸事情や被告の営業努力からすれば,被告標章の寄与率は3%を上回ることはない。 争点 被告標章の使用の差止め等の必要性の有無)についてア原告の主張被告の行為態様からすれば,被告標章の使用の差止め等の必要性がある。 イ被告の主張被告は,今後被告標章を使用しない。ホームページの記載も変更済みであり,「TKD」の記載も削除済みである。 なお,被告は,ホームページ上の「被告カタログ」「被告取扱マニュアル」「被告価格表」において「TKD」の記載を黒塗りするなどして記載を変更しており,金属製銘板は廃棄済みであり,被告ホームページのソースコードについても修正済みである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(本件商標と被告標章との類否)について 本件商標1は,「TKD」の文字を菱形及び長方形を組み合わせたような図柄の中に配置した商標であり,本件商標2は,「TKD」の標準文字に係る商標であるところ,本件商標1において,図柄部分が特段の観念を生じさせるものでもなく,また,文字部分と図柄部分とがそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとも認められない以上,出所表示機能の強い部分は「TKD」の文字部分であるというべきである。 この点に関し,被告は,「TKD」の文字部分は「タケダ」の各子音の欧文字を並べたものにすぎず,一般的,普遍的なものであり,出所表示機能はない旨主張するが,「TKD」の文字部分が「タケダ」の各子音の欧文字を並べたものであるからといって,当該部分が出所表示機能を有しないとは到底認められない。 また,被告は,武田製作所内部の「(TKDマーク)の基準寸法と画き方」と題す 分が「タケダ」の各子音の欧文字を並べたものであるからといって,当該部分が出所表示機能を有しないとは到底認められない。 また,被告は,武田製作所内部の「(TKDマーク)の基準寸法と画き方」と題する書面(乙11)を根拠として,本件商標1では,文字部分と図柄部 分とが一体感をもって認識されるように工夫して規定されている旨主張するが,そのような書面は需要者の認識に何ら影響を与えるものではないから,前記説示を左右しない。 また,本件商標2は,「TKD」の標準文字からなる商標であり,同商標全体が出所表示機能を有するものと認められる。 他方で,被告標章は,いずれも「TKD」の文字部分を有するところ,「ロータリージョイント」「スイベルジョイント」「ROTARYJOINT」「SWIVELJOINT」「ROTARYJOINTS」「SWIVELJOINTS」の文字部分は,いずれも被告が製造・販売する製品の一般名詞であって,これらの部分に出所表示機能があるとは解されない。 したがって,被告標章において出所表示機能を有する部分は,いずれも「TKD」の文字部分であると認められる。 以上のとおり,本件商標及び被告標章のうち出所表示機能がないか弱い部分を除いた要部は,いずれも「TKD」の文字部分であるから,外観,称呼のいずれの点からも,本件商標は被告標章と類似するものというべきである。 なお,「TKD」の文字部分は,各需要者によって,特段の観念を生じないか,あるいは,本件商標1を有していた武田製作所等についての観念が生じる可能性があるが,この点は,本件商標と被告標章との類否の結論に影響を及ぼさない(他の類否についても同様である。)。 また,本件商標1は,標準文字の商標ではなく,「TKD」の文字が菱形及び長方形を組み合わせ あるが,この点は,本件商標と被告標章との類否の結論に影響を及ぼさない(他の類否についても同様である。)。 また,本件商標1は,標準文字の商標ではなく,「TKD」の文字が菱形及び長方形を組み合わせたような図柄の中に配置されているから,外観の点では被告標章とは異なるものの,本件商標1のうち出所表示機能の強い部分は「TKD」の文字部分であるから,この点も,上記の類否の結論を左右しない。 この点,被告は,①武田製作所の取締役が被告の代表取締役となり,被告登録商標を購入したなどの経緯,②被告商品の需要者層はメーカーなどの技 術担当者であって,製品の性能や製造元を吟味して購入を決定すること,③被告ホームページ等において被告標章のみならず被告登録商標も用いられていることを考慮すれば,「TKD」は武田製作所を意味し,出所が原告であるとの識別機能はないから,本件商標と被告標章には混同のおそれはなく,ひいては両者は類似しない旨主張する。 しかし,被告の上記主張の趣旨は必ずしも明らかではないが,被告が主張する点を最大限考慮しても,本件商標と被告標章の要部が共に「TKD」の文字部分である以上,両者は類似するといわざるを得ない。なお,証拠(甲16)によれば,原告は武田製作所のグループ会社であって,武田製作所破産後も,ロータリージョイント標準品の製造・販売を行っていたことが認められるから,被告のみが武田製作所の顧客や同社への信頼を引き継いだものとは直ちには認められない。 また,被告は,自らの営業努力により平成26年6月末時点において被告商品の需要者間に広く知られる状態になっていたから,出所混同のおそれはなかったとも主張するが,被告が営業努力をしていたとしても,被告が上記時点において広く知られる状態になっていたことを認めるに足りる証拠はない 間に広く知られる状態になっていたから,出所混同のおそれはなかったとも主張するが,被告が営業努力をしていたとしても,被告が上記時点において広く知られる状態になっていたことを認めるに足りる証拠はないから,上記主張も採用できない。 告商品を製造販売していた(同行為の中止については,後記4を参照。)ものであり,具体的には,被告標章4ないし5が付された金属製銘板(乙5の1,2)を被告商品に取り付ける形で行われていたものと推認される。 このほか,被告は,製品カタログ(甲5,乙3),被告のウェブサイト(甲6ないし9),製品の取扱マニュアル(甲10),価格表(甲11)において,いずれも「TKD」の文字の入った被告標章を用いていたものである。 そして,本件商標を構成する「TKD」なる文字が被告商品の普通名称や品質,用途等を記述したものと解される余地はないこと等によれば,被告標章が出所表示機能を果たしていることは明らかである。 この点,被告は,被告のホームページ等には被告標章とともに被告登録商標を用いており,しかも被告登録商標がその字体や大きさから目立つように記載しており,他方で被告標章は繰り返し出てくるものではなく,強調されてもいないから,需要者は,被告標章ではなく被告登録商標によって出所を識別する旨主張する。 しかし,被告標章以外に別の商標も併せて用いられており,当該別の商標がその字体や大きさから目立つとしても,また,被告標章を繰り返し用いたり強調したりしていないとしても,それ故に被告が被告標章を商標的に使用していないことにはならないから,上記主張は採用できない。 なお,被告自身が,被告標章中の「TKD」部分は,被告の商号の一部である「Takeda」の各子音をとった文字列であるため,被告商号の略称として用いていたと はならないから,上記主張は採用できない。 なお,被告自身が,被告標章中の「TKD」部分は,被告の商号の一部である「Takeda」の各子音をとった文字列であるため,被告商号の略称として用いていたとも主張しているが,これはまさに商標的な使用であることをいうものといえる。したがって,被告による被告標章の使用は,出所表示機能を果たす態様で行われており,商標的使用に当たるというべきである。 以上からすれば,本件商標と被告標章とは類似する上,被告は被告標章を商標的に使用しているから,被告による被告標章の使用は,原告の本件商標権を侵害するものである。ただし,本件商標権2については,登録日が平成26年10月24日であるため,被告は,それ以降の期間のみ同商標権を侵害したこととなる。 証拠(甲5ないし11,乙1ないし5の2,7,8,10,13,14,16ないし19,21ないし24,26,39,51(ただし後記認定に反 する部分を除く。))及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 武田製作所は,平成21年5月29日午後5時,当裁判所において破産手続開始決定を受け,平成22年5月19日,破産手続終結決定を受けた(乙7)。 武田製作所の取締役であったBは,平成21年6月23日に設立された被告において代表取締役に就任した(乙7,8)。なお,被告は,同年7月1日に事業を開始した(甲7)。 武田製作所の海外事業部に所属していたAが,被告に入社したこともあり,被告では,代表者であるBやAとの個人的なつながりによって取引が開始された顧客も相当数存在した。 被告は,同年12月4日,武田製作所の破産管財人から,被告商標権を10万円(消費税別)で譲り受ける契約を締結し,そのころ移転登録 ながりによって取引が開始された顧客も相当数存在した。 被告は,同年12月4日,武田製作所の破産管財人から,被告商標権を10万円(消費税別)で譲り受ける契約を締結し,そのころ移転登録手続をした(乙10)。 被告は,平成25年10月10日ころ,株式会社パソナテックに対し,被告のWEBサイトの制作支援に関する業務を委託し,平成26年3月31日ころ,その納品を受けた(乙1)。 被告は,平成25年11月29日,製品カタログの改訂版(甲5,乙3,「Ver-08」と記載されたもの)の納品を受けた(乙2)。 被告は,同年12月26日,「TKDROTARYJOINT」ないし「TKDSWIVELJOINT」との記載のある金属製銘板(乙5の1,2)の納品を受けた(乙4)。 被告の製品カタログ(甲5,乙3,平成26年1月時点のもの),被告のウェブサイト(甲6ないし9,同年10月16日時点のもの),TKDロータリージョイントの取扱マニュアル(甲10,同年1月時点のもの),ロータリージョイント及びスイベルジョイントの価格表(甲11,同月時点のもの)には,いずれも「TKD」の文字の入った被告標 章が用いられていた。 上記金属製銘板,製品カタログ,ウェブサイトの表記,取扱マニュアル及び価格表では,被告標章と併せて被告登録商標も使用されており,被告登録商標の方が大きく記載されている場合が多かった。 ウ被告における平成26年1月1日から同年12月31日までの被告商品の売上高は,合計2億3941万2828円であった(乙26)。 被告の平成25年6月1日から平成26年5月31日まで(被告における決算期に対応する期間)の売上高は2億1582万4611円であり,同期間における売上原価は1億 であった(乙26)。 被告の平成25年6月1日から平成26年5月31日まで(被告における決算期に対応する期間)の売上高は2億1582万4611円であり,同期間における売上原価は1億3795万0910円であった(乙39)。 エ被告は,平成26年11月10日に本訴が提起された後,被告の製品取扱マニュアル(乙21)や価格表(乙22)上の「TKD」の記載を「Takeda」に変更し,製品カタログ(乙24)上の「TKD」の記載を黒塗りし,「TKD」との記載がある金属製銘板を廃棄した(乙23)。 オ被告は,平成26年6月に,「FOOMAJAPAN2014」という展示会に出展し,「食品機械・装置バイヤーズガイド」に広告を掲載し,会場内に広告ボードを設置した(乙13,14)。 また,平成25年10月2日付けの日刊工業新聞に,被告についての記事(乙16)が掲載されるとともに,被告は同新聞に複数回,広告記事(乙17)を掲載している。 このほか,被告は,平成26年5月26日,日食工機関誌「ふーま」に広告を掲載し(乙18),また,大阪府が発行する冊子「大阪の元気!ものづくり企業」の平成26年版にも掲載された(乙19)。 の事実からすれば,被告は,被告標章の使用を平成26年1月以降に開始し,同年11月10日に本訴が提起された後は,被告標章の使用をやめる方針を採り,今後被告標章を使用しない旨記載した答弁書を提 出した平成27年2月4日ころには,被告標章の使用をほぼ中止していたものと認められる。 そうすると,原告の損害額を算定するための基礎となる被告標章が使用された被告商品の売上高は,平成26年分の被告商品の売上高2億3941万2828円×314/365=2億0596万0624円(小数点以下切捨て)と算出さ 額を算定するための基礎となる被告標章が使用された被告商品の売上高は,平成26年分の被告商品の売上高2億3941万2828円×314/365=2億0596万0624円(小数点以下切捨て)と算出される(原告が損害賠償請求をしているのは,訴状提出日である平成26年11月10日までの分(314日分)であるため,日割計算をした。)。 この点に関し,原告は,被告商品のカタログ(乙3)における「Ver-08」との記載等を根拠に,被告標章の使用期間に関する被告の主張は虚偽であり,被告が設立直後である平成21年7月ころから被告標章を使用している旨主張するが,原告の主張する点を検討しても,同事実を認めるに足りる証拠はないといわざるを得ない。 他方,被告は,平成26年以降の被告商品の売上げに関しても,平成25年までの既存顧客に対する売上げは被告標章の使用との間に因果関係がなく,平成26年以降の新規顧客のうち,被告の株主や被告の従業員の知り合い,又は武田製作所時代からの顧客等との取引についても,被告標章の使用とは因果関係がない旨主張する。 しかし,上記主張の趣旨は必ずしも明確ではないが,被告標章を付した被告商品を譲渡する行為が被告標章の使用として商標権侵害行為とされるのであるから(商標法2条3項2号,37条1号),被告が指摘する相手方との取引(商標権侵害行為)によって被告が得た利益が損害額算定の基礎に算入されるべきことは明らかであり(同法38条2項),上記取引を損害額算定の基礎から除外することはできない。なお,被告標章を付したことが被告のるべき事柄である。 被告の平成25年6月1日から平成26年5月31日までの期間(被告の決算期に対応する期間)における利益率は,1-(1億3795万0910円÷2億1582万46 るべき事柄である。 被告の平成25年6月1日から平成26年5月31日までの期間(被告の決算期に対応する期間)における利益率は,1-(1億3795万0910円÷2億1582万4611円)=約0.361となる。したがって,侵害行為によって得た被告の利益額は,前記の被告商品の対象期間における売上高2億0596万0624円×被告の利益率0.361=7435万1785円(小数点以下切捨て)と算出される。 被告が平成26年に被告商品について取引を行う上での被告標章の使用の寄与度については,本件での諸事情(被告標章が被告登録商標と併記された態様で用いられることが多かったことや,被告が損害額算定から除外すべきであると主張する取引についての開始経緯等を含む。)を考慮して,15%と認めるのが相当である。 以上からすれば,被告が被告標章を使用したことにより,原告が被った損害額は,7435万1785円×0.15=1115万2767円(小数点以下切捨て)となる。 被告標章の使用の差止め等の必要性の有無)について エ認定のとおり,被告は,平成26年11月10日に本訴が提起された後,被告の製品取扱マニュアルや価格表上の「TKD」の記載を「Takeda」に変更し,製品カタログ上の「TKD」の記載を黒塗りし,「TKD」との記載がある金属製銘板を廃棄したものである。さらに,弁論の全趣旨によれば,被告は,平成27年2月4日ころ,今後被告標章を使用しない旨記載した答弁書を当裁判所に提出し,その後も,原告からの指摘を受けて,ホームページ等に残存した被告標章の使用を逐次中止していったことが認められる。 しかしながら,他方で,被告が本件の口頭弁論終結の直前に提出した被告 代表者の陳述書(乙51)には,「私は,武田エン ジ等に残存した被告標章の使用を逐次中止していったことが認められる。 しかしながら,他方で,被告が本件の口頭弁論終結の直前に提出した被告 代表者の陳述書(乙51)には,「私は,武田エンジニアリングに「TKD」の文字の使用権があるという誤認を前提として審理が進行していることについて,審理への不信感を排除することができません。」「私は強い憤りと遺憾の意を表明します。」「武田エンジニアリングが本件商標1の権利を持っているからといって,「TKD」の文字の使用については,制限がかからないはずです。」などという記載が多数含まれている。 被告代表者が本件口頭弁論終結直前にような考えを強調している経緯を踏まえても,被告が,今後,被告標章を用いるおそれがあると認められる。したがって,被告標章を付した被告商品の販売等の差止め,同標章を付した被告商品の販売等を目的とした同標章のウェブサイトへの表示の差止めの各請求はいずれも理由がある。 事情,とりわけ被告が「TKD」との記載がある金属製銘板を既に廃棄済みであること等によれば,被告標章を付した被告商品等の廃棄請求はいずれも理由がない。 5 結論以上によれば,原告の請求は,被告に対し,被告標章を付した被告商品の販売等の差止め,同標章を付した被告商品の販売等を目的とした同標章のウェブサイトへの表示の差止め,及び損害賠償金1115万2767円及びこれに対する平成26年11月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 主文 ないからいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官宇野遥子

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