平成25年10月30日判決言渡平成25年(ネ)第10053号プログラム開発委託料等請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成23年(ワ)第13057号)口頭弁論終結日平成25年8月26日判決 控訴人 X訴訟代理人弁護士山口伸人同正木友啓同茂木香子同雨宮奈穂子被控訴人公益社団法人全日本ダンス協会連合会訴訟代理人弁護士千賀修一同加唐健介同根岸圭佑 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,1150万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要以下,控訴人(原審原告)を「原告」と,被控訴人(原審被告)を「被告」といい,原審において用いられた略語は,当審においてもそのまま用いる。 1 原審の経過(1) 原審における請求 事案の概要以下,控訴人(原審原告)を「原告」と,被控訴人(原審被告)を「被告」といい,原審において用いられた略語は,当審においてもそのまま用いる。 1 原審の経過(1) 原審における請求アプログラムⅠの使用許諾に係る請求原告は,平成10年に,被告との間で,プログラムⅠの開発委託契約を締結し,同年,プログラムⅠを開発・作成したことにより,プログラムⅠの著作権を取得し,被告に対しプログラムⅠについて使用許諾をしたと主張して,商法512条の報酬請求権に基づき,平成23年4月20日以前5年間のプログラムⅠの著作権使用許諾料合計190万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 イプログラムⅡの開発・作成に係る請求(ア) 主位的請求原告は,平成22年10月下旬,被告との間で,開発委託料を定めずにプログラムⅡの開発委託契約を締結し,同年12月から平成23年3月4日までの間に,被告に対し,プログラムⅡを開発・作成して納品したと主張して,商法512条の報酬請求権に基づき,プログラムⅡの開発委託料として合計960万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (イ) 予備的請求①原告は,被告との間で,プログラムⅡの作成につき請負契約を締結し,その際,相当の報酬を支払うことを黙示的に合意したと主張して,相当な報酬額の一部である960万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (ウ) 予備的請求② 原告は,プログラムⅡを作成したことにより,被告が不当に利得を得ていると主張して,不当利得返還請 払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (ウ) 予備的請求② 原告は,プログラムⅡを作成したことにより,被告が不当に利得を得ていると主張して,不当利得返還請求権に基づき,不当利得210万円及びこれに対する不当利得をした平成23年3月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息(民法704条)の支払を求めた。 (2) 原審の判断原審は,以下のとおり判断して,原告の請求をいずれも排斥した。 アプログラムⅠの使用許諾に係る請求についてプログラムⅠは,原告が被告の業務に従事する者として職務上作成したものであり,その著作者は被告であるから,原告がプログラムⅠの著作権を有することを前提とするプログラムⅠに係る使用許諾料の請求は理由がない。仮に,プログラムⅠの著作者が原告であったとしても,原告,被告間にはプログラムの使用許諾料の支払を求めない合意があったと認められるから,原告の請求は理由がない。 イプログラムⅡの開発・製作に係る請求プログラムⅡについては,原告,被告間に開発委託契約の成立も請負契約の成立も認められず,原告が不当に利得を得ているとも認められない。 これに対し,原告は,原判決の取消しを求めて,控訴を提起した。 (3) 当審における請求アプログラムⅠに係る請求当審において,原告は,原審での主張に係る著作物の使用許諾料の請求を撤回し,以下の主位的請求及び予備的請求を追加した。 (ア) 主位的請求原告は被告に対し,プログラムⅠを作成し,使用させていることに対する相当の報酬として,商法512条の報酬請求権に基づき,190万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (イ) 予備的請求 原告は て,商法512条の報酬請求権に基づき,190万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (イ) 予備的請求 原告は,プログラムⅠを複製して使用する被告の行為は,プログラムⅠについて原告の有する著作権(複製権)を侵害すると主張して,複製権侵害に基づく損害賠償金として190万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 イプログラムⅡに係る請求当審において,原告は,以下の予備的請求を追加した。 すなわち,原告は被告に対し,プログラムⅡを複製,使用する被告の行為は,プログラムⅡについて原告の有する著作権(複製権)を侵害すると主張して,複製権侵害に基づく損害賠償として作成費相当額である960万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 2 原告主張の請求原因並びにこれに対する被告の認否及び反論等は,次のとおり削除,付加,訂正するほかは,原判決の「第2 事案の概要」(原判決1頁20行目ないし6頁17行目)記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決1頁21行目を「1 主位的請求原因(商法512条に基づくプログラムⅠに係る作成・使用料及びプログラムⅡに係る開発委託料の請求について)」と改める。 (2) 原判決2頁12行目ないし13行目を削除する。 (3) 原判決2頁14行目ないし22行目を次のとおり改める。 「(2) プログラムⅠの作成・使用料及びプログラムⅡの開発委託料の請求根拠原告はプログラマーであり,被告からの開発委託契約に基づいて,業としてプログラムⅠを作成し,被告に使用させているのであるから,作成・使用料 ラムⅠの作成・使用料及びプログラムⅡの開発委託料の請求根拠原告はプログラマーであり,被告からの開発委託契約に基づいて,業としてプログラムⅠを作成し,被告に使用させているのであるから,作成・使用料に関する合意がなくとも,商法512条により,プログラムⅠの作成・使用につき,相当の対価を得る権利がある。また,原告は,被告との開発委託契約に基づいて,業としてプログラムⅡを作成したから,開発委託契約に対価に関する明確な定めがなくとも,同条により,相当の対価を得る権利を有する。 (3) プログラムⅠの作成・使用料の請求」(4) 原判決3頁1行目の「原告が著作権を有するプログラムⅠの使用許諾料として」を,「プログラムⅠの作成・使用料として」と改める。 (5) 原判決3頁11行目の「使用許諾料」を「作成・使用料」と改める。 (6) 原判決4頁14行目末尾を改行して,次のとおり加える。 「3 著作権(複製権)侵害による損害賠償請求(1(3)及び(4)の請求の予備的請求)本件プログラムは,ソースコードにおいて「技術取得年月日」「納付日付」等特有の表現が用いられており,その表現自体あるいはその指令の組合せ,その表現順序に創作性が認められる。したがって,本件プログラムはプログラムの著作物である。仮に,本件プログラムがプログラムの著作物であると認められないとしても,本件プログラムは,被告の会員等に関する情報の集合物であって,パソコンを用いてそれらを検索できるように体系的に構成されたものであるから,データベースの著作物である。 原告は,本件プログラムを開発・作成してこれを創作した者であり,本件プログラムの著作権を有する。原告は,本件プログラムの全てにつき,平成23年2月23日に創作を行ったとして,原告名義にて平成23年3月11日付けでプログラ を開発・作成してこれを創作した者であり,本件プログラムの著作権を有する。原告は,本件プログラムの全てにつき,平成23年2月23日に創作を行ったとして,原告名義にて平成23年3月11日付けでプログラム著作物登録を行っている。 原告は,被告の業務に従事する者ではないから,本件プログラムは,著作権法15条2項の法人著作に該当しない。 被告は,本件プログラムを被告のパソコン内に複製して使用し続けており,原告の本件プログラムの複製権を侵害している。よって,原告は,被告に対し,複製権侵害による損害賠償として,プログラムⅠの作成料相当額である損害賠償金190万円及びプログラムⅡの作成料相当額である960万円を請求する。」(7) 原判決4頁15行目の「3」を「4」に改める。 (8) 原判決5頁12行目の「4」を「5」に改める。 (9) 原判決6頁17行目末尾を改行して,次のとおり加える。 「原告は商人ではなく,商法512条に基づく請求は理由がない。 また,原告が行った作業は,データベースの既製パッケージソフトを利用したデータの入力項目・入力方法の設定,その設定に従ったデータの入力作業,及び入力したデータの表示・印刷方法等の設定等の作業の範囲を超えるものではなく,プログラムの開発・作成と評価し得る創作的活動は,一切していない。したがって,原告は本件プログラムの著作者ではない。仮に,上記作業が本件プログラムの開発・作成の作業であると評価し得たとしても,原告は,被告が費用負担したパソコン講習を受けた上でデータ入力作業等に従事したとの経緯に照らすならば,本件プログラムは「法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物」(著作権法15条2項)に該当し,原告は本件プログラムの著作権者ではない。 6 抗弁1(プ ,本件プログラムは「法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物」(著作権法15条2項)に該当し,原告は本件プログラムの著作権者ではない。 6 抗弁1(プログラムⅠの作成に対する支払)被告は,別紙「被告の支払履歴」記載のとおり,平成10年7月から平成20年2月までの間に,「D」「E」「F」を支払先として,原告に対し,合計1091万5682円を支払っており,原告のプログラムⅠの作成に対する対価の支払は完了している。 7 抗弁2(プログラムⅠの使用料不払の合意)原告と被告は,被告が,原告に対し,入力等の費用や指導料等を随時支払うほかに,プログラムⅠの使用料の支払義務は負わない旨合意した。 8 抗弁に対する認否抗弁1のうち,平成12年6月6日(3口の支払),同年7月5日,同年11月6日(3口の支払),同年12月12日(3口の支払),平成13年4月5日(3口の支払),同年6月5日(2口の支払)の支払は認めるが,その余は否認する。 抗弁2の事実は否認する。プログラムⅠの作成には約6か月かかったのであり,プログラムⅠの作成・使用に対する対価を全く受け取らずに,無償でその使用を許 諾することはあり得ない。」第3 当裁判所の判断 1 原判決の「事実及び理由」欄の「第3 裁判所の判断」(原判決6頁18行目ないし12頁17行目)を引用する。ただし,次のとおり付加,訂正する。 (1) 原判決6頁19行目ないし10頁15行目を次のとおり改める。 「1 プログラムⅠに係る主位的請求(原告がプログラムⅠを作成し,これを被告に使用させていることの相当報酬としての商法512条の報酬請求権に基づく190万円の請求)について(1) 事実認定証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 し,これを被告に使用させていることの相当報酬としての商法512条の報酬請求権に基づく190万円の請求)について(1) 事実認定証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 原告は,Aが平成10年に被告の会長理事に就任した当時の妻であり,当時の氏名はDであり,Aとの婚姻前の氏名はEであった。原告は,平成3年4月2日に,Aが代表取締役として経営していたFの代表取締役にCに代わって就任し,以後,現在に至るまで同社の代表取締役を務めている(甲9の1・2,甲17)。その後の平成13年頃に,原告は,Aと離婚した。 原告は,Aが被告の会長に就任した直後の平成10年7月から同年10月にかけて,被告の費用負担の下で,大塚商会が実施したパソコン講習を受講し,パソコン関係の書籍を購入し(乙1の1の1枚目),ファイルメーカー(データベースソフト)をインストールした被告所有のパソコンを使用して,同年10月頃から同年11月頃にかけて,被告の会員名簿等のコンピュータ入力作業を行った(乙1の1の1枚目から2枚目)。その作業は,原告の主張に係るプログラムⅠの①②⑧~⑪に関する作業にほぼ相当するものと認められる(甲18)。その作業の内容は,既製のパッケージソフトであるデータベースソフトを使用したデータの入力項目・入力方法の設定,当該設定に従ったデータの入力作業,及び入力したデータの表示・印刷方法等の設定作業であった(甲13,甲14)。 上記作業の対価として,原告は被告から,平成10年10月13日に20万円 (中部入力代,内金),同年10月30日に3万円(パソコン入力),同年11月11日に280万円(会員名簿入力),同年11月11日に2万1000円(表組)の支払を受けた(括弧内は,被告の総勘定元帳における支払名目である,以下同じ。乙1の に3万円(パソコン入力),同年11月11日に280万円(会員名簿入力),同年11月11日に2万1000円(表組)の支払を受けた(括弧内は,被告の総勘定元帳における支払名目である,以下同じ。乙1の1)。なお,被告から原告に対する支払は,原告が代表取締役を務めるF名義のものも含まれる。 原告は,その後も,平成11年2月5日に48万5000円(入力,乙1の1),同年6月7日に41万5540円(パソコン指導出張費),同年12月6日に14万9800円(パソコン指導,以上乙1の3),平成12年6月6日に57万8175円(出張指導料,乙1の4)及び10万5000円(全ダ連だより作成,乙1の5)の支払を受けている。 原告は,平成12年6月6日頃,採点集計表を作成し,その対価として21万円の支払を受けた(乙1の6)。採点集計表の作成は,原告の主張に係るプログラムⅠの③~⑦に関する作業にほぼ相当すると認められる。その作業の内容は,既製のパッケージソフトであるデータベースソフトを使用したデータの入力項目・入力方法の設定,当該設定に従ったデータの入力作業,及び入力したデータの表示・印刷方法等の設定であった。原告は,その後も,採点集計表の作成業務を行い,その対価として,平成13年3月16日,1万6090円(乙1の10),同年6月5日,5万5750円(乙1の11)の支払を受けている。 原告は,その他,平成12年7月5日,パソコン指導料として23万0570円(乙1の6),同年11月6日,パソコン指導料として合計16万0900円(乙1の6ないし1の8),同年12月12日,同年8月から同年11月までのパソコン指導料として合計32万6370円(乙1の6ないし1の8),平成13年1月5日,平成12年12月のパソコン指導料として5万6485円(乙1の9),平成1 12日,同年8月から同年11月までのパソコン指導料として合計32万6370円(乙1の6ないし1の8),平成13年1月5日,平成12年12月のパソコン指導料として5万6485円(乙1の9),平成13年4月5日,パソコン指導とソフト作成の費用として合計8万5205円(乙1の11,1の14),同年5月10日,同年4月のパソコン指導料として9万6540円(乙1の12),同年6月5日,教師登録明細表等のコンピュータ指 導料として11万1500円(乙1の12),平成14年4月19日,パソコンデータ修正の出張費として3万4500円(乙1の13),同日,会員証及び会運営のためのソフト製作費として250万円(乙1の15),同年7月5日,同年4月から同年6月のパソコン指導料として9万円(乙1の13)の支払を受けた。平成15年及び平成16年には,原告に対する支払はなかった。 原告は,平成17年5月9日,7日分のスペシャルメンテナンス料として56万円(1日8万円)とその諸雑費一式12万9800円の支払を(乙1の16),平成18年11月13日,「全ダ連『X制作プログラム』使用料」の名目で38万円の支払を(乙1の17,乙2),平成19年1月31日,「全ダ連 X制作プログラム使用料」の名目で34万円の支払を(乙1の18,乙3),平成20年2月19日,平成19年度データベース(ファイルメーカー)保守料として36万円の支払を受けた(甲12,乙1の19)。これらの支払には,原告の指示により,原告の母であるG名義の口座に振り込まれたものがある。 平成20年3月7日,原告と被告との間で,別紙のとおり本件保守契約が締結された。本件保守契約において,原告と被告は,原告が被告に対し,①データベースのトラブルに対する対応,②システム構築及び運用に関する指導及び助言等の保 告と被告との間で,別紙のとおり本件保守契約が締結された。本件保守契約において,原告と被告は,原告が被告に対し,①データベースのトラブルに対する対応,②システム構築及び運用に関する指導及び助言等の保守義務を提供し(2条),保守料金は,年額36万円とし,年度末の一度払とし(5条),保守契約期間は,契約の開始日から1年ごとの自動更新とすること(年度ごとの保守料金の支払を定めているから,契約期間は,毎年4月から翌年3月までの1年間と認められる。6条1項),契約の解約方法については,原告又は被告から解約意思の通知を書面で通知し,通知を受け取った日の年度末日をもって契約終了日とすること(6条2項)が合意された。 被告は,本件保守契約に基づき,原告に対し,平成22年度分までの保守料金を支払ったが(甲10,甲12,乙5ないし7の各1・2),原告は,被告に対し,平成23年3月4日付け請求書で,「新規プログラム制作料」として940万円,「著作権使用料(平成10年~平成22年分)遡及分」として454万円の支払を 請求した。被告は,平成23年3月26日,原告に対し,本件保守契約を解約する旨を通知した(乙4の1・2)。 (2) 判断上記認定事実に基づいて,原告の請求の当否を以下のとおり判断する。 アプログラムⅠの作成についての相当報酬について原告の被告に対するプログラムⅠの作成に係る対価請求は理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 すなわち,上記認定事実によると,原告は,被告における会員名簿等の管理をデータベースソフトで処理するため,既存のパッケージソフトを使用して,プログラムⅠを作成したが,その作業の内容は,データの入力項目・入力方法の設定,その設定に従ったデータの入力,及び入力したデータの表示・印刷方法等の設定 理するため,既存のパッケージソフトを使用して,プログラムⅠを作成したが,その作業の内容は,データの入力項目・入力方法の設定,その設定に従ったデータの入力,及び入力したデータの表示・印刷方法等の設定等であった。また,原告は,プログラムⅠの修整を行い,被告の従業員に対しその使用方法等の指導等をした。原告は被告から,平成10年以降,本件保守契約が締結される前である平成20年2月までの間に,プログラム(ソフト)作成料,プログラム使用料,データ入力料,パソコン指導料等の各種名目の下に,原告又はFを支払先として,合計1000万円を超える支払を受けた。 ところで,原告と被告とは,平成20年3月に本件保守契約を締結し,保守料金の額について合意をしたが,その際,プログラムⅠの作成料については,格別何らの取決めもすることなく,また,原告がプログラムⅠを作成した平成10年以降平成23年2月までの間,原告が被告に対して,プログラムⅠの作成料を請求した事実もない。 以上の事実を総合すると,原告は,プログラムⅠの作成に当たり,データ入力作業を行ったり,被告の従業員の指導等を行ったりしたことに対する支払名目で,被告から,長期間にわたって高額の支払を受けており,原告が実施した作業と支払名目が必ずしも対応していないとしても,本件保守契約締結以前に原告が行ったプログラムⅠ作成作業に対する対価の支払は,既に完了していると解するのが相当であ る。 また,原告がプログラムⅠの作成に関与したことに対する相当な報酬の額が,被告から支払を受けた金額を超えると認めるに足りる証拠もない。 イプログラムⅠの使用料請求について原告の被告に対するプログラムⅠの使用料に係る請求は理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 すなわち,①プログラムⅠは 証拠もない。 イプログラムⅠの使用料請求について原告の被告に対するプログラムⅠの使用料に係る請求は理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 すなわち,①プログラムⅠは,被告が使用する目的で作成されたものであり,被告が使用することは当初から予定されていたが,その使用料の支払についての合意がされていないことに照らすならば,被告が別途使用料を支払うことは当事者の間において想定されていないと解するのが合理的であること,②プログラムⅠの使用が開始された後においても,使用料の支払と窺える,被告から原告に対する定期的な支払はされていないこと(この点については,平成18年11月13日及び平成19年1月31日にプログラム使用料名目での支払がされているが,同支払は,必ずしも使用の対価として支払われたものとはいえない。また,原告もプログラムⅠの使用料の支払は受けていないと主張していることから,使用料は,単なる名目であると認めるのが相当である。),③上記のとおり,原告は,プログラムⅠに係る使用料の支払を受けていない事実があるにもかかわらず,平成23年2月に至るまで,使用料の支払を一切求めておらず,また,本件保守契約締結に際しても,使用料についての協議がされた形跡がないこと等の事実を総合すれば,原告,被告間において,原告がプログラムⅠの作成に関与したことについて,プログラムⅠの使用料の支払はない旨の合意がなされていたと認めるのが相当である。 (3) 小括以上のとおり,商法512条に基づくプログラムⅠの作成・使用料の請求は理由がない。 2 プログラムⅠに係る予備的請求(プログラムⅠの複製権侵害を理由とする190万円の請求)について 原告は,主に,既存のパッケージソフトを利用して,データの入力項目・入力方法の設 。 2 プログラムⅠに係る予備的請求(プログラムⅠの複製権侵害を理由とする190万円の請求)について 原告は,主に,既存のパッケージソフトを利用して,データの入力項目・入力方法の設定作業及びデータの入力,入力したデータの表示・印刷方法等の設定作業を担当し,プログラムⅠを作成したものであり,既存のパッケージソフトは,これを利用し,定められた手順に従って設定,入力等を行うことにより,容易にプログラムが作成できるように作られており,プログラムⅠもこのようにして作成されたものであると認められる。そして,本件全証拠によるも,プログラムⅠが,著作権法2条1項1号,10号の2,10号の3各所定の「著作物」,「プログラム」及び「データベース」に該当することを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告がプログラムⅠの著作権を有することを前提とした,複製権侵害による損害賠償請求は理由がない。 仮に,原告がプログラムⅠに関して,何らかの著作権を有するとしても,被告がプログラムⅠについて複製,使用するに当たり,原告の許諾があることは当事者間に争いはなく,したがって,被告がプログラムⅠに関して,複製権を侵害したとの主張は,主張自体失当である。」(2) 原判決10頁16行目冒頭の「2」を「3」に改める。 (3) 原判決11頁2行目の「平成23年」を「平成22年」に改める。 (4) 原判決11頁24行目の「被告の行った作業依頼は」から26行目までを,「原告,被告とも,プログラムⅡの作成は,本件保守契約における保守業務の一環として行われる作業と理解していたと認めるのが相当である。」に改める。 (5) 原判決12頁4行目を「4 プログラムⅡに係る予備的請求(当審において追加した予備的請求を含む)について」と改める。 (6) 原判決12頁10行 ていたと認めるのが相当である。」に改める。 (5) 原判決12頁4行目を「4 プログラムⅡに係る予備的請求(当審において追加した予備的請求を含む)について」と改める。 (6) 原判決12頁10行目末尾を改行して,次のとおり加える。 「(2) プログラムⅡの著作権侵害による損害賠償請求について前記のとおり,プログラムⅡは,プログラムⅠのソフトに新たな機能を付加,修整を施したものと認められる。しかし,本件全証拠によるも,プログラムⅡが,著作権法2条1項1号,10号の2,10号の3各所定の「著作物」,「プログラ ム」及び「データベース」に該当することを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告がプログラムⅡの著作権を有することを前提とした,複製権侵害による損害賠償請求は理由がない。」(7) 原判決12頁11行目の「(2)」を「(3)」と改める。 2 結論以上のとおり,原告の請求はいずれも理由がない。本件控訴は理由がないので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官小田真治 ( 参考判決 )平成23年(ワ)第13057号プログラム開発委託料等請求事件口頭弁論終結日平成25年1月21日判決原告 X訴訟代理人弁 第13057号プログラム開発委託料等請求事件口頭弁論終結日平成25年1月21日判決原告 X訴訟代理人弁護士鈴木修被告公益社団法人全日本ダンス協会連合会訴訟代理人弁護士千賀修一同加唐健介同根岸圭佑 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は原告に対し、1150万円及びこれに対する平成23年5月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 主位的請求原因(プログラム使用許諾料及び開発委託料の請求)(1)コンピュータ・プログラムの開発委託契約平成10年、原告と被告は、①全日本ダンス協会連合会名簿、②個人会員名簿(作成日平成23年2月11日)、③ダンス教師講習(考査)アソシエイト採点集計表、④メンバー昇級試験採点集計表、⑤認定試験(昇級試験)ライセンシエイト採点集計表、⑥認定試験(昇級試験)フェロー採点集計表、⑦A認定試験採点集計表、⑧アマチュア指導員会員名簿、⑨教授所名簿、⑩ANAD指導員資格審査員名簿、⑪ANAD指導員名簿、⑫教師協会売掛金のコンピュータ・プログラム(以下 「プログラムⅠ」という。)の開発委託契約を締結し、同年、原告は被告に対し、プログラムⅠを開発・製作して納品した。 平成22年10月下旬、原告と被告は、⑬ジュニア普及指導員名簿、⑭著作権最 「プログラムⅠ」という。)の開発委託契約を締結し、同年、原告は被告に対し、プログラムⅠを開発・製作して納品した。 平成22年10月下旬、原告と被告は、⑬ジュニア普及指導員名簿、⑭著作権最終版、⑮地域会名簿、⑯受付にて販売書籍売上げ、⑰金種計算、⑱ラベル用、⑲定款(現行&改定案比較)のコンピュータ・プログラム(以下「プログラムⅡ」といい、プログラムⅠと併せて「本件プログラム」という。)の開発委託契約を締結し、同年12月から平成23年3月4日までの間、原告は被告に対しプログラムⅡを開発・製作して納品した。 原告は、本件プログラムの著作者であるから本件プログラムにつき著作者人格権及び著作権を有する(著作権法17条1項)。 (2)使用許諾料及び開発委託料の請求根拠原告と被告は本件プログラムの開発委託料を定めなかった。また、原告と被告は被告がプログラムⅠを使用することの対価(著作権使用許諾に対する料金)を定めなかった。しかし、原告は本件プログラムの開発、製作を営業として行ったものであるから営業的商行為であり(商法502条)、また原告は商人として本件プログラムを製作したのであるから、原告の上記製作行為は附属的商行為(商法503条)である。したがって、原告は被告に対し、プログラムⅠの使用及びプログラムⅡの開発、製作について相当な報酬ないし対価を請求する権利がある(商法512条)。 (3)プログラムⅠの使用許諾料の請求原告は被告に対し、平成10年にプログラムⅠを開発、製作して納品したが、その際、開発委託料の支払を全く受けていない。ところが、被告は、平成10年から今日に至るまで原告の許諾を受けてプログラムⅠを使用している。その間、被告は、原告に対し、上記使用に対する対価を全く支払っていない。 そこで原告は被告に対し原告が ところが、被告は、平成10年から今日に至るまで原告の許諾を受けてプログラムⅠを使用している。その間、被告は、原告に対し、上記使用に対する対価を全く支払っていない。 そこで原告は被告に対し原告が著作権を有するプログラムⅠの使用許諾料として、本件訴え提起日(平成23年4月20日)以前5年の使用期間につき合計190万 円を請求する。内訳は、プログラムⅠの①及び②計95万円(1年間の使用料19万円)、③~⑥各10万円(同各2万円)、⑦5万円(同1万円)、⑧10万円(同2万円)、⑨~⑪各5万円(同各1万円)、⑫25万円(同5万円)である。 (4)プログラムⅡの開発委託料の請求原告は被告に対し、プログラムⅡの開発委託料として合計960万円(内訳は、プログラムⅡの⑬20万円、⑭130万円、⑮150万円、⑯610万円、⑰30万円、⑱10万円、⑲10万円)を請求する。 (5)主位的請求のまとめ原告は被告に対し、プログラムⅠの使用許諾料190万円とプログラムⅡの開発委託料960万円の合計1150万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請負契約に基づく報酬請求(1(4)の請求の予備的請求原因)(1)請求の根拠プログラムⅡの製作契約は請負契約である。被告は原告に対して原告の仕事に対する報酬を支払ってきたこと(乙1の1~18)、また、平成20年3月7日には有償の保守契約を締結したことに見られるとおり、原告と被告との取引は有償とされてきた。そして、上記請負契約を口頭にて締結する際、被告が原告に対し相当の報酬を支払うことを原告と被告は黙示的に合意した。よって、原告は被告に対し、上記黙示の合意の効力によって相当な報酬を請求する権利がある。 (2)相当 約を口頭にて締結する際、被告が原告に対し相当の報酬を支払うことを原告と被告は黙示的に合意した。よって、原告は被告に対し、上記黙示の合意の効力によって相当な報酬を請求する権利がある。 (2)相当な報酬額について原告が被告に対し、プログラムⅡの報酬として960万円を請求することには、以下のとおり合理的な根拠がある。 ① プログラマーのプログラム製作の委託料の相場による算出原告はプログラムⅡを平成22年10月下旬から平成23年3月4日までの間作業をして製作した。原告は1日平均12時間(多い日は18時間、少ない日は6時間)作業した。したがって、原告の総作業時間は1200時間(12時間×100 日=1200時間)である。本件においては、1時間あたりのプログラムの製作のための報酬は1万円が妥当である。したがって、報酬は1200万円が妥当である。 そこで、原告はその80%の960万円を請求する。 ② 被告が事務員の人件費を節減できたことによる利益の観点からみた報酬原告がプログラムⅡを製作したことによって、被告はジュニア普及指導員名簿、地域会名簿の作成、被告事務所における書籍売上の会計処理、金種計算その他の煩雑で手間のかかる事務を遂行するための事務員数を節減できた。その節減できた事務員数は少なくみても3名を下らない。事務員一人あたりの給与を少なくても20万円とすれば、被告は1か月60万円の人件費の節減ができ、1年間では720万円(20万円×3名×12か月=720万円)の節減をすることができた。 以上の年間節減金額720万円につき、仮にその3年分を計上するだけでも、被告は2160万円の事務員人件費の削減の効果を享受できる。 3 不当利得返還請求(1(4)の請求の予備的請求原因)原告は、1(1)のとおりプログラムⅡを 、仮にその3年分を計上するだけでも、被告は2160万円の事務員人件費の削減の効果を享受できる。 3 不当利得返還請求(1(4)の請求の予備的請求原因)原告は、1(1)のとおりプログラムⅡを製作し引き渡すために、平成22年10月下旬から平成23年3月4日まで(少なくとも4か月間)、製作・引渡しの作業を行った。原告は上記期間、1日平均12時間(多い日は18時間、少ない日は6時間)作業した。1か月25日勤務として計算すると、原告の4か月間の総労働時間は1200時間(12時間×25日×4か月=1200時間)となる。原告は昭和33年2月19日生まれであるから、当時の年齢は満52歳である。原告は女性で学歴は高校卒である。平成20年度賃金センサスによれば、この場合の平均年収は373万円(月収約31万円)である。月収を31万円とし、1か月25日勤務する場合、1日あたりの収入は1万4000円、時給は1750円である。原告の上記4か月間の総労働時間1200時間に時給1750円を乗ずると、原告の得べかりし収入は210万円(1750円×1200時間=210万円)となる。 原告が製作したプログラムⅡは、被告がその業務を遂行する上で必須のプログラムである。しかも、プログラムⅡが製作されたことによって、被告の業務遂行上の 能率が向上した。被告は原告より、以上のとおり有用性があり価値があるプログラムⅡを製作してもらってこれを受領して使用するという利益を得ていながら、原告に対してその対価を一銭も支払わない。したがって、原告はそのために損失を及ぼされている。被告が受けた上記の利益は、上記210万円を下らない。被告が原告から無償にて上記の利益を得て、原告に損失を及ぼす法律上の原因はないから、被告は上記の利益を返還する義務がある(民法703条)、かつ被告は 告が受けた上記の利益は、上記210万円を下らない。被告が原告から無償にて上記の利益を得て、原告に損失を及ぼす法律上の原因はないから、被告は上記の利益を返還する義務がある(民法703条)、かつ被告は悪意の受益者であるからその受けた利益に利息を付さなければならない(民法704条)。 原告は被告に対し、不当利得210万円及びこれに対する不当利得した平成23年3月4日から支払済みまで民法所定年5分の割合による利息の支払を求める。 4 請求原因に対する認否及び反論(被告の主張)1(1)(コンピュータ・プログラムの開発委託契約)の事実は、原告が、プログラムⅡのうち、⑬~⑰のプログラムを作成したことは認めるが、その余の事実は否認する。原告と被告との間で、本件プログラムの開発委託契約を締結した事実はない。その余の請求原因事実は、否認ないし争う。 原告の元夫であるAは、平成10年以来、平成22年8月16日に退任するまで、被告の会長理事として、その業務を行ってきた。Aは、被告の会長理事に就任したのと同時期に、被告の業務を妻である原告に発注するようになり、自らの意に従う専務理事や事務局を採用した上で、同人らをして、上記業務の対価として被告から原告に対し多額の金銭を支払わせていた。 平成18年5月18日に、Bが被告の専務理事に就任した。Bは、上記の被告の原告に対する不明瞭な多額の支出を問題視し、被告と原告との間で契約を締結することにより、被告が原告に支払義務を負う金額を明確にすることとした。その結果、被告は、原告との間で、平成20年3月7日に、原告に対して支払う保守料は年間36万円であることを明記した別紙保守契約書(甲8)のとおり保守契約を締結するに至った(以下「本件保守契約」という。)。 平成20年7月11日にBに代わって被告の専務理事に して支払う保守料は年間36万円であることを明記した別紙保守契約書(甲8)のとおり保守契約を締結するに至った(以下「本件保守契約」という。)。 平成20年7月11日にBに代わって被告の専務理事に就任したCは、専務理事 に就任する際に、Bから、「従前、被告から原告に対して不明瞭な支出があったものの、保守契約が締結された以降は、年間36万円の保守料のほかには、被告から原告に対し金銭を支払う必要がない。」旨を伝えられた。そこで、Cらは、年間36万円の保守料以外には原告に対し金銭を支払う必要はないとの認識のもと、保守契約の範囲で、原告に対し、「システム構築及び運用に関する指導及び助言」を依頼してきた(本件保守契約2条2項)。 被告は、平成20年3月7日に原告との間で本件保守契約を締結して以降においては、本件保守契約に基づく保守義務の一環としての業務を依頼してきたのであり、原告と被告との間に、本件保守契約とは別個のコンピュータ・プログラムの開発委託契約は存しない。 本件保守契約は、被告から原告に対する解除通知により、平成23年3月26日に解除されている。被告は、原告に対し、本件保守契約に基づき、平成21年3月16日に平成20年度分保守料36万円を、平成22年3月31日に平成21年度分保守料36万円を、平成23年3月8日に平成22年度分保守料36万円を支払っている。 第3 裁判所の判断 1 プログラムⅠの使用許諾料の請求(第2の1(3))について(1)原告の主張原告は、プログラムⅠについて原告が著作権を有するとして、その使用許諾料の支払を求める。 (2)認定事実証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告は、Aが平成10年に被告の会長理事に就任した当時の妻であり、当時の氏名は、Dであり、 許諾料の支払を求める。 (2)認定事実証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告は、Aが平成10年に被告の会長理事に就任した当時の妻であり、当時の氏名は、Dであり、Aとの婚姻前の氏名は、Eであった。原告は、平成3年4月2日に、Aが代表取締役として経営していたF(甲9の1・2、甲17)の代表取締役にAに代わって就任し、以後、現在に至るまで同社の代表取締役を務めている。 原告は、Aが被告の会長に就任した直後の平成10年7月から同年10月にかけて、被告の費用負担において、大塚商会によるパソコン講習を受けるとともにパソコン関係書籍も購入した上(乙1の1の1枚目)、ファイルメーカーというデータベースソフトを導入した被告使用のパソコンにおいて、平成10年10月頃から同年11月頃にかけて、被告の会員名簿等のコンピュータ入力作業を行った(乙1の1の1枚目から2枚目)。原告が主張するプログラムⅠの①②⑧~⑪の開発・製作にほぼ相当する作業と考えられるが(甲18)、その実質は、既製のパッケージソフトであるデータベースソフトを利用したデータの入力項目・入力方法の設定とその設定に従ったデータの入力作業や、入力したデータの表示・印刷方法等の設定にすぎない(甲13、甲14)。 原告は、上記作業の対価として、原告が代表取締役を務めるFに対する支払名義も含めて、被告から、平成10年10月13日、20万円(中部入力代、内金)、同年10月30日、3万円(パソコン入力)、同年11月11日、280万円(会員名簿入力)、同年11月11日、2万1000円(表組)の支払を受けた(括弧内は、被告の総勘定元帳における支払名目、以下同じ。乙1の1)。 原告は、その後も、平成11年2月5日、48万5000円(入力、乙1の1)、同年6月7日、 万1000円(表組)の支払を受けた(括弧内は、被告の総勘定元帳における支払名目、以下同じ。乙1の1)。 原告は、その後も、平成11年2月5日、48万5000円(入力、乙1の1)、同年6月7日、41万5540円(パソコン指導出張費)、同年12月6日、14万9800円(パソコン指導、以上乙1の3)、平成12年6月6日、57万8175円(出張指導料、乙1の4)及び10万5000円(全ダ連だより作成、乙1の5)の支払を受けている。 原告は、平成12年6月6日頃、採点集計表を作成し、その対価として21万円の支払を受けた(乙1の6)。採点集計表の作成は、原告が主張するプログラムⅠの③~⑦の開発・製作にほぼ相当する作業と考えられるが、前記同様に、その実質は、既製のパッケージソフトであるデータベースソフトを利用したデータの入力項目・入力方法の設定とその設定に従ったデータの入力作業や、入力したデータの表示・印刷方法等の設定にすぎない。原告は、その後も、採点集計表の作成業務を行 い、その対価として、平成13年3月16日、1万6090円(乙1の10)、同年6月5日、5万5750円(乙1の11)の支払を受けている。 原告は、そのほかにも、平成14年4月19日、会員証及び会運営のためのソフト製作費として、250万円の支払を受けた(乙1の15)。 しかし、平成15年及び平成16年には、原告に対する支払はなく、平成17年5月9日、原告に対し、7日分のスペシャルメンテナンス料として、56万円(1日8万円)とその諸雑費一式12万9800円が支払われ(乙1の16)、平成18年11月13日、「全ダ連『X制作プログラム』使用料」の名目で38万円が支払われ(乙1の17)、平成19年1月31日、「全ダ連 X制作プログラム使用料」の名目で34万円が支払われたが 6)、平成18年11月13日、「全ダ連『X制作プログラム』使用料」の名目で38万円が支払われ(乙1の17)、平成19年1月31日、「全ダ連 X制作プログラム使用料」の名目で34万円が支払われたが(乙1の18)、平成20年3月7日、別紙のとおり本件保守契約が締結された。 本件保守契約において、原告と被告は、原告が被告に対し、①データベースのトラブルに対する対応、②システム構築及び運用に関する指導及び助言、という保守義務を提供し(2条)、保守料金は、年額36万円とし、年度末の一度払いとし(5条)、保守契約期間は、契約の開始日から1年毎の自動更新とすること(年度毎の保守料金の支払を定めているから、契約期間は、毎年4月から翌年3月までの1年間と認められる。6条1項)、契約の解約方法については、原告又は被告から解約意思の通知を書面で通知し、通知を受け取った日の年度末日をもって契約終了日とすること(6条2項)を定めた。 被告は、本件保守契約に基づき、原告に対し、平成22年度分までの保守料金を支払ったが(甲10、甲12、乙5~7の各1・2)、平成23年3月26日、原告に対し、本件保守契約を解約する旨を通知した(乙4の1・2)。 (3)プログラムⅠの著作者について上記認定事実によれば、原告は、被告がファイルメーカーというデータベースのパッケージソフトを導入して会員名簿等の管理など被告の業務をデータベースソフトで処理するにあたり、被告の費用でパソコン講習を受けた上で、被告から対価の 支払を受けて入力作業等を行ったこと、しかし、原告の行った作業は、既製ソフトを利用したデータの入力項目・入力方法の設定とその設定に従ったデータの入力作業や、入力したデータの表示・印刷方法等の設定にすぎないこと、原告は、これらの作業の対価については、随時 作業は、既製ソフトを利用したデータの入力項目・入力方法の設定とその設定に従ったデータの入力作業や、入力したデータの表示・印刷方法等の設定にすぎないこと、原告は、これらの作業の対価については、随時被告から支払を受けており、本件保守契約が締結されるまでに、平成18年11月13日と平成19年1月31日に「プログラム使用料」の名目で38万円と34万円が支払われたほかには、プログラム使用許諾料が支払われたことがなく、本件保守契約が締結されてからは、契約に基づく保守料金年額36万円以外の支払がされたことはないこと、以上の事実が認められる。 上記事実によれば、被告の業務で用いるデータベースソフトを利用するために原告が行ったデータベースソフト利用上の設定・入力作業の結果について、それをプログラムの開発・製作の作業であると評価したとしても、原告は被告からパソコン講習費用の負担までしてもらった上で作業に従事したのであるから、その開発・製作されたプログラムは、被告の発意に基づき被告の業務に従事する者として原告が職務上作成したプログラムの著作物であるというべきであって、原告と被告との間の委託契約において別段の定めがない以上、著作権法15条2項に基づき、そのプログラムの著作者は、被告となるのであって、原告となるのではない。現に、平成10年以降、原告が被告の使用するデータベースソフトの入力作業等を行いながら、平成20年に本件保守契約が締結され、それ以前もそれ以後もプログラム使用許諾料の支払がされなかったということは、原告がプログラムの著作者とならず、被告は原告に対し、入力等の費用や指導料等を随時支払うほかにプログラム使用許諾料の支払義務を負わないことが、原告と被告との間において合意されていたことを裏付けている。平成18年11月と平成19年1月におけるプログラ 、入力等の費用や指導料等を随時支払うほかにプログラム使用許諾料の支払義務を負わないことが、原告と被告との間において合意されていたことを裏付けている。平成18年11月と平成19年1月におけるプログラム使用料名目の支払も、その前後に全くプログラム使用許諾料が支払われていないことからすれば、原告に対する支払名目にすぎず、被告が原告をプログラム著作者として認めていたことまで裏付けるものではない。原告もプログラム使用許諾料の支払を受けていなかったことを自ら主張している。 (4)まとめ原告は、プログラムⅠの著作者であるとは認められないから、原告がプログラムⅠの著作権を有することを前提として、プログラムⅠの使用許諾料として訴訟提起前5年分190万円の支払を求める原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。なお、仮に原告がプログラムⅠの著作者となり、そして原告がプログラムⅠを開発した行為が商行為であるとしても、前記認定のとおり、プログラムⅠについて、被告が業務に不可欠なプログラムとして長年その使用を続けながら、原告に対する使用許諾料が支払われていなかった事実からすれば、原告と被告との間において、プログラムの使用許諾料の支払を求めない合意があったと認められ、いずれにしても原告の上記請求は理由がない。 よって、原告の主位的請求のうち、プログラムⅠの使用許諾料190万円の請求(第2の1(3))は、理由がない。 2 プログラムⅡの開発委託料の請求(第2の1(4))について本件保守契約は、原告が被告に提供する保守義務の内容を、①データベースのトラブルに関する対応、②システム構築及び運用に関する指導及び助言と定める。しかし、原告は、平成13年からカナダに居住し、1年のうち1~2回帰国していたに過ぎないから、データベ を、①データベースのトラブルに関する対応、②システム構築及び運用に関する指導及び助言と定める。しかし、原告は、平成13年からカナダに居住し、1年のうち1~2回帰国していたに過ぎないから、データベースのトラブル対応やシステム構築及び運用に関する指導・助言を、被告の必要に応じて随時行うことができたわけではない。一方、前記認定のとおり、要するに、原告は、被告の業務で用いるデータベースソフトの利用上の設定・入力作業を行っていたにすぎない。 そして、証拠及び弁論の全趣旨によれば、被告の専務理事C及びその指示を受けた被告の事務職員は、被告のデータベースソフトの利用上の設定について、原告に対し、①平成21年11月19日、会員名簿の項目の中に「ジュニアダンス普及指導員」を設けて、認定証及び名刺が使用できるようにすることを依頼し(プログラムⅡの⑬、甲2、枝番を含む。以下同じ。)、②平成23年1月、各ダンス教室が使う音楽(ダンス曲)についての音楽著作権の使用料を著作権協会に納付したかど うかを管理できるようにすることを依頼し(同Ⅱの⑭、甲3)、③平成23年1月、地域会名簿の作成を依頼し(同Ⅱの⑮、甲4)、④平成22年11月、被告事務所の受付での書籍販売を管理できるようにすることを依頼し(同Ⅱの⑯、甲5)、⑤平成23年2月、金種計算ができるようにすることを依頼し(同Ⅱの⑰、甲6)、⑥平成23年2月、ラベル印刷の設定を依頼し(同Ⅱの⑱)、⑦平成22年12月6日、定款の新旧対照表を作成する設定を依頼したこと(甲7、甲15)、原告は、これらの依頼された作業を平成22年10月下旬から平成23年3月4日までに完了したこと、そのような依頼に際して被告のC専務理事あるいは事務職員は、原告に対し、報酬の支払について何ら説明していないこと、以上の事実が認められる 平成22年10月下旬から平成23年3月4日までに完了したこと、そのような依頼に際して被告のC専務理事あるいは事務職員は、原告に対し、報酬の支払について何ら説明していないこと、以上の事実が認められる。 以上の事実によれば、原告がプログラムⅡの開発・製作と主張する作業の内容は、結局のところ、被告が使用しているデータベースソフトにおけるデータの入力・出力の設定を変更して、被告の使い勝手に合わせる作業であって、それ自体を独立したソフトウェアの開発・製作と評価できるようなものではない。しかも、1年のほとんどをカナダに在住している原告が、本件保守契約に基づいて平成20年度から平成22年度までの3年間だけで合計108万円もの保守料金の支払を受けているという本件の特殊事情の下において、本件保守契約を締結しているデータベースの構築及び運用について行った作業であるから、原告が作業のために相当程度の時間を要し、また、その業務内容は単純な「保守」ではなく、データベースシステムの構築及び運用の改善にも及んでいるとしても、その作業は、本件保守契約に定める「システム構築及び運用に関する指導及び助言」に含まれる保守業務であると評価するのが相当であり、被告の行った作業依頼は、本件保守契約に基づく保守作業の依頼であって、原告がプログラムⅡと称するプログラムの開発委託契約の申込みの意思表示ではないと評価するのが相当である。 よって、原告の主張するプログラムⅡの開発委託契約の成立が認められないから、原告の主位的請求のうち、プログラムⅡの開発委託料960万円の請求(第2の1(4))は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 3 予備的請求原因(第2の2、3)について(1)請負契約に基づく報酬請求(第2の2)について上記認定判断によれば、本 ))は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 3 予備的請求原因(第2の2、3)について(1)請負契約に基づく報酬請求(第2の2)について上記認定判断によれば、本件保守契約に基づく保守業務の依頼とは別に、被告が原告に対し、プログラムⅡの製作を請け負わせる請負契約の申込みをしたわけではないから、原告と被告の間におけるプログラムⅡの製作請負契約の成立が認められない。したがって、請負契約に基づく相当額の報酬として960万円の支払を求める原告の予備的請求(第2の2)も理由がない。 (2)不当利得返還請求(第2の3)について上記認定判断のとおり、原告がプログラムⅡの開発・製作と称する作業は、被告が本件保守契約に基づいて原告に依頼した保守作業であるから、原告がこれらの作業を完了し、被告がこれによる利益を受けたとしても、被告が受けた利益には、本件保守契約に基づく原告の保守義務の履行という法律上の原因がある。被告には、その利益を不当利得として原告に返還すべき義務はないから、不当利得210万円の返還を求める原告の予備的請求(第2の3)も理由がない。 東京地方裁判所民事第33部 裁判長裁判官小林久起 裁判官佐 々 木清一 裁判官見原涼介
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