平成16(ワ)15905 独立行政法人国立病院機構労働条件承継

裁判年月日・裁判所
平成18年12月27日 東京地方裁判所
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判決文本文39,256 文字)

- 1 -主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 原告P11-1原告P21-2原告P31-3原告P4 ()、()、()、(-4、原告P5(1-5、原告P6(1-6、原告P7(1-7、原告))))P81-8原告P91-9原告P101-10原告P11 ()、()、()、(-11、原告P12(1-12、原告P13(1-13、原告P14(1)))-14)及び原告P15(1-15)が、被告に対して、いずれも、平成19年10月1日以降、別紙給与比較表「現在」欄記載の金額に基づく賃金請求権を有すること、及び、現在において、別紙労働条件一覧表1「従前の権利」欄記載の労働条件により働く権利を有する地位にあること(ただし、標題①に関しては、原告P8(1-8)だけの請求である)を、確認する。 。 原告P16(2-1、原告P17(2-2、原告P18(2-3、原告)))P19(2-4、原告P20(2-5、原告P21(2-6、原告P22)))(2-7、原告P23(2-8、原告P24(2-9)及び原告P25(2))-10)が、被告に対して、いずれも、別紙労働条件一覧表2「従前の権利」欄記載の労働条件により働く権利を有する地位にあることを、確認する。 被告は、上記2記載の各原告らに対して、それぞれ、500万円及びこれに対する平成16年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を、別紙賃金債権目録記載の各原告に対応する「差額C」欄の金員及びこれに対する平成18年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を、支払え。 、()()、、 被告は原告P263-1及び原告P273- 原告に対応する「差額C」欄の金員及びこれに対する平成18年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を、支払え。 、()()、、 被告は原告P263-1及び原告P273-2に対しそれぞれ500万円及びこれに対する平成16年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 -第2事案の概要本件は、全国各地に設置された国立病院や国立療養所(以下「国立病院・療養所」という)に正職員(定員内の常勤職員)又は賃金職員(1年以内の任。 用期間で、日々雇用という形式で任用されていた職員)として勤務していた原告らが、被告に対して、国立病院・療養所が被告に移行したことに伴って被告の常勤職員若しくは非常勤職員又は被告の委託事業者の職員になったことに関して、①正職員から常勤職員となった原告らに係る請求として、新たに定められた賃金等の労働条件は就業規則不利益変更の法理に照らして無効であるなどとして、国立病院・療養所当時と同一の労働条件に係る権利の確認を、②賃金職員から非常勤職員となった原告らに係る請求として、国立病院・療養所当時の雇用関係や労働条件が承継されているなどとして、従前の労働条件に係る権利の確認及び未払賃金の請求と、正職員となる期待権を侵害された等として慰謝料の請求を、③賃金職員から被告の委託事業者の職員となった原告らに係る請求として、期待権を侵害された等として慰謝料の請求を、それぞれ求めた事案である。 前提事実(当事者間に争いがないか、又は各項に記載した証拠により容易に認定できる事実)( )当事者 ア被告は、平成16年4月1日、独立行政法人通則法及び独立行政法人国立病院機構法(以下「国立病院機構法」という)に基づき設立された特。 定独立行政法人である(独立行政法人通則法2条、国立病 者 ア被告は、平成16年4月1日、独立行政法人通則法及び独立行政法人国立病院機構法(以下「国立病院機構法」という)に基づき設立された特。 定独立行政法人である(独立行政法人通則法2条、国立病院機構法2条、4条。 )イ原告P1(1-1、原告P2(1-2、原告P3(1-3、原告P)))4(1-4、原告P5(1-5、原告P6(1-6、原告P7(1-))))、()、()、()、 原告P81-8原告P91-9原告P101-10原告P11(1-11、原告P12(1-12、原告P13(1-1))- 3 -3、原告P14(1-14)及び原告P15(1-15(以下、併せ))て第1原告らというはいずれも国立病院・療養所の正職員看「」。)、、(護師、准看護師、事務職)として勤務していたが、平成16年4月1日以降、被告の常勤職員となったものである。 ウ原告P16(2-1、原告P17(2-2、原告P18(2-3、)))原告P19(2-4、原告P20(2-5、原告P21(2-6、原)))告P22(2-7、原告P23(2-8、原告P24(2-9)及び))原告P25(2-10(以下、併せて「第2原告ら」という)は、い)。 ずれも、国立病院・療養所の賃金職員(看護師、看護助手、検査技師、調理師、ボイラー技士、洗濯夫等)として勤務していたが、平成16年3月30日又は同月31日に退職となり、同年4月1日以降、被告の非常勤職員(職種は業務技術員)となったものである。 エ原告P26(3-1)及び原告P27(3-2(以下、併せて「第3)原告ら」という)は、国立病院・療養所の賃金職員(院内保育所の保母。 助手)として勤務していたが、平成16年3月30日又は同月31日に退職とな 3-1)及び原告P27(3-2(以下、併せて「第3)原告ら」という)は、国立病院・療養所の賃金職員(院内保育所の保母。 助手)として勤務していたが、平成16年3月30日又は同月31日に退職となり、同年4月1日以降、被告から業務委託を受けた事業者の職員となったものである。 、、(「」。)オ原告らはいずれも全日本国立医療労働組合以下全医労というの組合員である。 ( )被告の設立経緯 ア国立病院・療養所は、昭和20年に厚生省が旧陸海軍病院等を引き継いで発足し、結核、がん・循環器病の高度先駆的な医療や、重症心身障害、神経・筋疾患、エイズ等の治療を展開してきた。ところが、平成9年12月、行政改革会議最終報告において、中央省庁等改革の一環として「国民のニーズに即応した効率的な行政サービスの提供等を実現する、という行政改革の基本理念を実現するため、政策の企画立案機能と実施機能とを分- 4 -離し、事務・事業の内容・性質に応じて最も適切な組織・運営の形態を追求するとともに、実施部門のうち一定の事務・事業について、事務・事業の垂直的減量を推進しつつ、効率性の向上、質の向上及び透明性の確保を図るため、独立の法人格を有する『独立行政法人』を設立する」旨が発。 表され、国立病院・療養所は独立行政法人となることが決定された。 イ以後、平成10年6月の中央省庁等改革基本法制定、平成11年4月の「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画」についての閣議決定、平成11年7月の独立行政法人通則法の制定、平成12年12月の行政改革大綱の閣議決定を経て、平成14年12月13日、国立病院機構法が成立した。 ウ被告は、全国154か所の国立病院・療養所を承継し、平成16年4月1日に設立された。 ( )第1原告らの被告における労働 綱の閣議決定を経て、平成14年12月13日、国立病院機構法が成立した。 ウ被告は、全国154か所の国立病院・療養所を承継し、平成16年4月1日に設立された。 ( )第1原告らの被告における労働条件 ア被告設立の際に国立病院・療養所の正職員であった者は、平成16年4月1日(被告設立の日、国立病院機構法附則2条に基づき、被告の常勤)職員となった。 イ被告は、同日、独立行政法人通則法57条に基づき、被告常勤職員の労働条件を定めるため、独立行政法人国立病院機構職員就業規則及び同職員給与規程(以下「被告職員就業規則「被告職員給与規程」といい、併せ」て「被告職員就業規則等」という)を制定し、同日から施行した。 。 これにより、国立病院・療養所の正職員であった者は、それまで一般職の国家公務員に適用される一般職の職員の給与に関する法律(以下「給与法というや一般職の職員の勤務時間休暇等に関する法律以下勤」。)、(「務時間法」という)等の適用を受けていたが、同日から、被告職員就業。 規則等の適用を受けることになった。 ウ被告職員給与規程は、看護師及び准看護師並びに事務職に適用される各- 5 -基本給表を、別紙体系表①、②(以下「新体系表」という)のとおり定。 めた。 給与法による行政職(一)(事務職に適用される、医療職(三)(看護。)師に適用される)の各基本給は、別紙給与比較表「現在」欄のとおりで。 あったが、これが、被告においては、同表「独法」欄のとおりとなった。 被告職員給与規程による給与(基本給)と、給与法による給与(基本給)を比較すると、管理職の給与水準は変わらないが、一般職は減額となっている。ただし、平成19年9月30日までは、基本給が減額される場合に現給が保障される。 第1原告らは、具体的には、これによ 基本給)を比較すると、管理職の給与水準は変わらないが、一般職は減額となっている。ただし、平成19年9月30日までは、基本給が減額される場合に現給が保障される。 第1原告らは、具体的には、これにより、平成16年4月1日、以下のとおり、基本給が減額された(原告、職種、被告における同月の級号俸。 (基本給、国立病院・療養所における同年3月の級号俸(基本給)の順)に記載する。なお、原告P8(1-8)は、事務職(被告職員給与規程)及び行政職(一)(給与法)の級号俸であり、それ以外の原告は医療職(三)の級号俸である(乙26)。)原告P1(1-1)看護師2級131号(32万9850円)、2級34号(35万9700円)原告P2(1-2)看護師2級77号(30万5700円)、2級21号(31万3700円)原告P3(1-3)看護師2級137号(33万0800円)、2級36号(36万4000円)原告P4(1-4)看護師2級131号(32万9850円)、2級34号(35万9700円)原告P5(1-5)准看護師1級141号(28万6300円)、1級37号(31万2300円)原告P6(1-6)看護師- 6 -2級144号(33万1600円)、2級37号(36万6300円)原告P7(1-7)准看護師1級136号(28万5525円)、1級36号(31万0500円)原告P8(1-8)事務1級118号(27万8875円)、3級22号(29万8100円)原告P9(1-9)看護師2級86号(31万3075円)、2級23号(32万5600円)原告P10(1-10)看護師2級120号(32万7650円)、2級31号(35万3800円)原告P11(1-11)准看護師1級133号(28万5000円)、1級35号(30万8600円 円)原告P10(1-10)看護師2級120号(32万7650円)、2級31号(35万3800円)原告P11(1-11)准看護師1級133号(28万5000円)、1級35号(30万8600円)原告P12(1-12)准看護師1級120号(28万2450円)、1級31号(30万1000円)原告P13(1-13)准看護師1級113号(28万0700円)、1級30号(29万9200円)原告P14(1-14)看護師2級144号(33万1600円)、2級37号(36万6300円)原告P15(1-15)看護師2級117号(32万6900円)、2級31号(35万1800円)エ被告職員就業規則は、被告常勤職員の勤務時間について、「勤務時間)(第36条職員の勤務時間は、休憩時間を除き1日について8時間、1週間について40時間とする。 所属長は、職員の勤務時間について、業務上前項の規定により難いときは、当該規定にかかわらず、4週間を平均した場合の勤務時間が、、1週間について40時間となるように特定の日又は特定の週につき- 7 -当該規定による勤務時間を超え、又は満たさないように定めるものとする。 前項の規定による特定の日における勤務時間の延長又は短縮は別表第1に掲げる勤務の種類ごとに、これらに適用される同表の始業時刻及び就業時刻の変更に関する規定の範囲内において行うものとする。 前2項の規定による特定の日における1回の勤務時間は、16時間を超えない範囲において定めるものとする」。 と定めた。これは、勤務時間法7条、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)5条、厚生労働省訓52号が、看護師等の特定の職の者についてだけ変形労働時間制を適用できるとしていたものを、被告に移行後は、全職員に変形労働時間制を 院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)5条、厚生労働省訓52号が、看護師等の特定の職の者についてだけ変形労働時間制を適用できるとしていたものを、被告に移行後は、全職員に変形労働時間制を採用することができることにしたものである。 オ被告職員就業規則は、祝日代休について、「祝日代休)(第46条所属長は、職員に祝日法による祝日又は年末年始の休日(以下この節において「祝日」という)である勤務日等に割り振られた。 勤務時間の全部について特に勤務することを命じた場合には、当該祝日前に当該祝日に代わる日(以下「代休日」という)として、当該。 祝日後の勤務日等(祝日を除く)を指定することができる。 。 前項の規定に基づく代休日の指定は、勤務することを命じた祝日を起算日とする8週間後の日までの期間内にあり、かつ、当該祝日に割り振られた勤務時間と同一の時間数の勤務時間が割り振られた勤務日等(祝日を除く)について行わなければならない」。 。 と定めた。これは、勤務時間法15条、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)17条が、祝日(年末年始の休日を含む。以下も同様である)に勤務した場合、職員が代休日の指定を受けるか、その指。 - 8 -定を希望しないで休日給の支給を受けるかを選択することとしていたものを、被告に移行後は、休日給の支給を選択することを認めないことにしたものである。 ( )第2原告ら及び第3原告らの任用期間満了等 ア国立病院・療養所では、定員の枠内の正職員とは別に、賃金職員の任用が行われていた。 賃金職員は、国家公務員法2条2項に規定する一般職の国家公務員とされているが、1日8時間勤務で日々雇用という形式で任用され(任命権者が別段の措置を講じない限り日々更新される、1年以内の任用期間が。)定め 、国家公務員法2条2項に規定する一般職の国家公務員とされているが、1日8時間勤務で日々雇用という形式で任用され(任命権者が別段の措置を講じない限り日々更新される、1年以内の任用期間が。)定められていた定員外の非常勤職員である。平成15年11月現在、約6、、、、、、000名の看護師看護助手検査技師調理師ボイラー技士保育士医療事務従事者等が、賃金職員として稼働していた。 イ国立病院・療養所の賃金職員は、平成16年3月30日又は同月31日に任用期間が満了した。同年4月1日に国立病院・療養所が被告に移行した際、被告には賃金職員制度は設けられず、常勤職員と短時間勤務(1日6時間以内)の非常勤職員が配置された。 国立病院・療養所の賃金職員のうち、看護師や検査技師は、本人の希望に応じて病棟勤務の常勤職員又は外来勤務の短時間非常勤職員として採用され(夜勤可能な看護師約2800名と検査技師約450名が常勤職員となった、その他の職種については、本人が希望した場合には、短時間。)勤務の非常勤職員として採用され、他の事業者(病院が業務を委託することになった事業者を含む)への就職あっせんを希望した場合には、事業。 者への就職あっせんが行われた。 ウ第2原告らは、国立病院・療養所の賃金職員であったが、平成16年3月30日又は同月31日に任用期間満了となり、同年4月1日、被告の短時間非常勤職員となった。 - 9 -第2原告らが、賃金職員として国立病院・療養所に最初に任用された時期(翌年度の任用が繰り返されてきた期間の最初の任用の時期、任用期)間満了となった平成16年3月30日又は同月31日までの期間は、以下のとおりである(原告、職種(当初のもの、最初に任用された時期、。 )平成16年3月末までの期間の順に記載する(甲38の 期)間満了となった平成16年3月30日又は同月31日までの期間は、以下のとおりである(原告、職種(当初のもの、最初に任用された時期、。 )平成16年3月末までの期間の順に記載する(甲38の1、40、4。)2、44、46の1、48の1、50の1、52の1、54、56の1)原告P16(2-1)洗濯夫昭和58年1月11日21年3か月原告P17(2-2)調理助手平成2年3月28日14年原告P18(2-3)洗濯夫平成3年3月13年1か月原告P19(2-4)ボイラー技士昭和56年4月23年原告P20(2-5)看護助手昭和63年4月1日16年原告P21(2-6)看護助手昭和51年4月28年原告P22(2-7)看護助手昭和63年9月15年7か月原告P23(2-8)看護助手平成3年4月13年原告P24(2-9)看護助手平成7年4月9年原告P25(2-10)洗濯夫昭和63年11月15年3か月- 10 -エ被告は、平成16年4月1日、独立行政法人国立病院機構非常勤職員就業規則(以下「非常勤職員就業規則」という)を定め、同日から施行し。 た。 非常勤職員就業規則では、1週間の勤務時間を30時間以内とし、住居手当や扶養手当の規定がない、期末勤勉手当がないなど、国立病院・療養所の賃金職員の労働条件と異なる内容が定められた。第2原告らが現実に受け取る給与月額は減額となった(乙34、38)。 オ第3原告らは、国立病院・療養所の賃金職員として、国立病院に設置されていた院内保育所(厚生省第2共済組合の委託事業とされていた)に。 派遣されて勤務していたが、平成16年3月30日又は同月31日に任用。 、、期間満了となった院内保育所は国立病院が被告に移行したことに伴い。 、、民間業者に 合の委託事業とされていた)に。 派遣されて勤務していたが、平成16年3月30日又は同月31日に任用。 、、期間満了となった院内保育所は国立病院が被告に移行したことに伴い。 、、民間業者に委託されることになった第3原告らは就職あっせんを受け同年4月1日、院内保育所の委託を受けた事業者の職員となった。 第3原告らが、賃金職員として国立病院・療養所に最初に任用された時期(任用が継続されていた期間の最初、任用期間満了となった平成16)、。(、年3月30日又は同月31日までの期間は以下のとおりである原告職種、最初に任用された時期、平成16年3月末までの期間の順に記載する(甲58、60)。)原告P26(3-1)保母助手昭和62年3月17年1か月原告P27(3-2)保母助手平成4年3月12年1か月 争点 ( )第1原告らの請求について ア第1原告らの国立病院・療養所における労働条件が被告に承継されるか。 - 11 -イ被告職員就業規則等は、①給与が最大で10ないし11パーセント減額になったこと、②全従業員に対して変形労働制を採用できるとしたこと、③祝日に勤務した場合に休日給の選択ができなくなったことから、就業規則の不利益変更法理等に照らし、変更に合理性必要性等がなく、これに同意していない第1原告らに効力が及ばないといえるか。 ( )第2原告らの地位確認、未払給与請求について ア国(国立病院・療養所)が第2原告らを平成16年3月末で任用期間満了とし、被告が第2原告らを職員として承継しなかったことは、公序良俗に反し無効であり、第2原告らは、平成16年4月1日以降、従前の労働条件を承継した被告の職員となったといえるか。また、第2原告らが被告と合意した労働条件についての合意も公序良俗に反し無効か。 良俗に反し無効であり、第2原告らは、平成16年4月1日以降、従前の労働条件を承継した被告の職員となったといえるか。また、第2原告らが被告と合意した労働条件についての合意も公序良俗に反し無効か。 イ国(国立病院・療養所)が第2原告らを平成16年3月末で任用期間満了としたことは、解雇権濫用の法理に照らし、無効か。 ウ第2原告らについて、非常勤職員就業規則の適用がなく、従来の給与の支払を求めることができるとすれば、第2原告らが現実に受け取った給与との差額(未払給与)はいくらか。 ( )第2及び第3原告らの慰謝料請求について ア国(国立病院・療養所)及び被告が、第2及び第3原告らに対し、①国立病院・療養所において正職員と賃金差別をしてきたこと、②正職員に採用されるという期待権を侵害したこと、③退職するか、被告の非常勤職員又は業務委託事業者の職員になるかの二者択一を迫ったこと、によって精神的苦痛を与えたという不法行為が成立するか。 イ第2及び第3原告らの慰謝料の金額はいくらが相当か。 争点に対する当事者の主張( )第1原告らの請求について (原告らの主張)- 12 -ア独立行政法人制度は、定員や予算などの縛りを緩くして法人の自主性を高めることを目的とするもので、当該事業の需要の減少や当該業務部門における赤字の解消などのリストラを直接の目的とするものではない。このことからすれば、独立行政法人への移行に際しては、労働条件は従前のものを承継するのが原則とされるべきであり、これは他の独立行政法人における通例でもある。 独立行政法人化によって、被告職員の労働条件の決定は、勤務条件法定主義から労使の合意による決定と変更されている。しかし、使用者による労働条件の恣意的な不利益変更を防ぐ必要が高いことからすれば、労働条件は原則として よって、被告職員の労働条件の決定は、勤務条件法定主義から労使の合意による決定と変更されている。しかし、使用者による労働条件の恣意的な不利益変更を防ぐ必要が高いことからすれば、労働条件は原則として承継されるべきである。このことは国立病院機構法附則2条及び5条の規定からも明らかであるし、政府答弁でも当然の前提とされていた。 イ労働条件は承継されるのであるから、被告が新たに就業規則を定める場合には、就業規則の不利益変更に関する法理が適用される。 被告は、従前の定めを変更すること(賃金の引下げ、変形労働時間制の導入、休日給の選択の廃止)について、合理性必要性を主張立証しない。 また、以下のとおり、この変更には高度の必要性に基づく合理性がなく、かつ、労使協議が欠けていることは明らかであり、被告が新たに定めた被告職員就業規則等は、これに同意をしていない第1原告らに対し法的拘束力がない。 (ア)賃金の改定については、管理職の賃金には手をつけないまま、ベテラン看護師らに対して、職務の軽減もなく最大月4万円もの賃金の減額を行うというもので(当然、退職金も大幅な減額となる、不利益の。)程度は大きい。 被告は、第1原告らの賃金水準が高かったと主張するが、適正な賃金水準は病院の規模により異なる。被告の規模からすれば、比較対象とす- 13 -る病院は看護師1000人以上の病院とすべきであり、これらの病院と比較すれば、第1原告らの賃金水準や被告の人件費率が高いとはいえない。 その不利益を補う代償措置は採られず、制度移行に伴う経過措置も施行を平成19年10月とするだけで不十分である。 被告にはベテランの常勤職員に重大な不利益を及ぼすことを受忍させるだけの高度の経営上の必要性もない。 (イ)変形労働時間制の導入については、様々な家庭環境を抱える労働者にと るだけで不十分である。 被告にはベテランの常勤職員に重大な不利益を及ぼすことを受忍させるだけの高度の経営上の必要性もない。 (イ)変形労働時間制の導入については、様々な家庭環境を抱える労働者にとって、勤務する職場に交代制勤務が導入されているかどうかが重要な意味を持つことからすれば、従来夜間を含む交代制勤務がなかった職場に導入することは著しい不利益変更である。 被告において、看護師以外の職について、恒常的に一定の職員が病院内の所定場所に勤務する必要性はないし、交代制勤務導入による職員定数や賃金面での配慮といった制度的保障もない。 (ウ)祝日出勤の場合の休日給支給の選択制廃止については、現在でも一般職の国家公務員に適用されている休日給を廃止する合理的な理由はな、、、いし祝日代休制度は代休消化のために年次休暇が取りにくくなった代休が祝日勤務をした直後には取れない、代休消化のために通常の勤務日の大幅な人員不足及び労働時間数の増加を招いただけであるなどの問題があり、制度の変更に合理性はない。 (エ)就業規則作成に関する労使協議についてみても、全医労が平成15、「」年3月4日に厚生労働大臣に独立行政法人移行に関する基本要求書、、を提出しすみやかに労使協議を開始するよう要求したにもかかわらず当局は、将来の法人機構の「長」が対応することであり、まだ「長」は決まっていないとの形式的な理由で、交渉を引き伸ばし、交渉を短期間、。 で打ち切るという不誠実な態度に終始し一方的に就業規則を作成した- 14 -(オ) さらに、独立行政法人化により、常勤職員、看護助手の大幅削減、夜勤の増加等の事態が生じ、被告の労働環境が著しく悪化している。 ウよって、第1原告らは、従前と同一の労働条件において被告で稼働する権利を有するから、その地位にあるこ 常勤職員、看護助手の大幅削減、夜勤の増加等の事態が生じ、被告の労働環境が著しく悪化している。 ウよって、第1原告らは、従前と同一の労働条件において被告で稼働する権利を有するから、その地位にあることの確認を求める。 (被告の主張)ア被告は、独立行政法人通則法57条及び58条により、独自に職員の給与水準及び給与以外の労働条件を適正に定めることができるのであって、当然に国の定めた労働条件を被告が承継するものではない。 、。 イ労働条件は承継されないから就業規則の不利益変更は問題にならないまた、被告が定めた労働条件には、以下のとおりの合理性があり、労使協議も誠実に行われ、何ら不当とされる点はない。 (ア)被告が定めた給与基準は合理性がある。 独立行政法人の給与については、その職員の業績が反映される仕組みを導入すべきであると指摘がされ、圧倒的な世論も国家公務員の給与水準の高さに批判的であった。特に、国立病院・療養所の一般職員の給与体系は、年功序列的であり、その給与体系からの脱却が必要であった。 国立病院・療養所における看護師の平均給与月額を年齢階層別に比較したところ、56歳以上では民間に比べ約20パーセントも高い基準となっていた(その一方で院長、副院長などの給与は民間と比較して約30パーセント程度低い水準であった。国立病院・療養所における人件。)費の割合は60.1パーセントであり、その抑制は急務であった。 そのため、被告は初任給の額は従来と変えずに、一定以上の号俸から基本給が最大で10パーセント程度下回る給与支給水準を設定した。さらに、被告は、給与水準が下がることによる不利益に対しては3年間の現給保障を行っており、第1原告らの生活に十分な配慮を行っている。 (イ)給与以外の労働条件についても、被告は、独立行政法人通則法58- 15 、給与水準が下がることによる不利益に対しては3年間の現給保障を行っており、第1原告らの生活に十分な配慮を行っている。 (イ)給与以外の労働条件についても、被告は、独立行政法人通則法58- 15 -条に基づき、国家公務員の勤務条件のほか、効率的な病院運営の観点や職員の労働時間短縮の観点も考慮した上で、新たに就業規則により労働条件を定めた。 変形労働時間制については、総労働時間の短縮に取り組むことが社会全体として求められていることを最優先し、業務の繁閑に応じた弾力的な勤務時間の配分を行うことにより、職員の時間外労働を減縮するとともに、病院における多種多様な業務を効率的に遂行する観点から、すべての職員に変形労働時間制を適用したものである。 祝日出勤の場合の休日給支給の選択制廃止については、総実労働時間の短縮に取り組むことが社会全体として求められていることを最優先し、さらに効率的な医療体制の確保の観点等も考慮して、所属長が職員に休日出勤を命じた場合には代休日を指定できると定め、職員の選択制を設けなかった。祝日代休制度が年次有給休暇の取得を困難にしているとはいえない。 (ウ)独立行政法人移行後の職員の雇用と処遇に関する方針は、被告理事長予定者の権限と判断により決定されるものである。被告は、理事長予定者の指名が行われた平成15年10月1日から間もない同年11月10日には「基本的方向」を発表し、その後、全医労と誠実に協議を行、い、その結果、専従期間、休日、休憩時間、業務技術員に係る規則の変更も行っているのだから、就業規則作成に関する労使協議にも問題はない。 ( )第2原告らの地位確認、未払給与請求について (原告らの主張)、、、、ア第2原告らはいずれも長期間国立病院・療養所の賃金職員として期間の定めのある雇用を反復継 はない。 ( )第2原告らの地位確認、未払給与請求について (原告らの主張)、、、、ア第2原告らはいずれも長期間国立病院・療養所の賃金職員として期間の定めのある雇用を反復継続してきた者である。第2原告らは、いずれも、採用時又は採用中に、いずれ定員内の常勤職員となることを約束さ- 16 -れ、常勤職員と全く同一の職責を果たしてきたにもかかわらず、国は、合理的理由なく、第2原告らを雇止めした。国は、雇止めにあたって、事前に十分な労使協議をしていない。第2原告らは、雇用を奪われることを避けるため、被告の非常勤職員となったが、被告の非常勤職員の労働条件は大幅に引き下げられている。 第2原告らに対する雇止めは、終局的に身分関係を喪失させることを目的として行われたものではなく、被告の医療業務に必要不可欠となる第2原告らの資格、能力を不当に低い労働条件で確保することを目的として行われたものであり、公序良俗に反し、無効である。この場合、第2原告らの労働条件は、少なくとも、従前の内容が承継されると解するのが相当である。 第2原告らが被告非常勤職員として稼働するに際して行った労働条件についての合意は、上記のように、不正な圧力に強いられたものであり、公序良俗に反し、無効であるし、労働条件の引下げに高度の必要性に基づく合理性はなく、第2原告らに対し法的拘束力を有しない。 イまた、国は、期間の定めのある労働契約を反復・継続して更新してきた第2原告らを雇止めにしたものであり、雇止めに合理的な理由はなく、解雇権濫用法理に照らして、無効である。この場合、従前の労働条件が承継されると解するのが相当であること、被告において合意された労働条件が無効であることは、前記アの場合と同様である。 ウしたがって、第2原告らは、従来の労働条件に基づく権利 の場合、従前の労働条件が承継されると解するのが相当であること、被告において合意された労働条件が無効であることは、前記アの場合と同様である。 ウしたがって、第2原告らは、従来の労働条件に基づく権利を有する。 従来の労働条件に基づく権利の内容のうち、被告非常勤職員の労働条件、「」で条件を引き下げられているのは別紙労働条件一覧表2の従来の権利欄記載の労働条件のとおりであり、第2原告らは、この「従来の権利」欄記載の労働条件に基づく権利を有する地位にあることの確認を求める。 また、従来の給与と被告非常勤職員の給与の差額は、別紙賃金債権目録- 17 -2の差額C欄記載のとおりであり、その支払を求める。 (被告の主張)ア国立病院・療養所の賃金職員は、年度当初から1日8時間勤務で日々雇用され、1年以内の任用期間が定められていた定員外の職員であり、翌年度以降の任用が保障されていたものではない。 、、第2原告らはいずれも平成16年3月30日又は同月31日をもって国立病院・療養所を任用期間満了により退職したものであり、国が不正な手段等によって「雇止め」したものではない。 被告は、①効率的・効果的な事務・事業の実施を確保するため、常勤職員と短時間非常勤職員とによる効率的な職員配置とすることが必要と判断したこと、②平成8年の人事院判定において、業務委託や短期又は短時間勤務職員によることができる業務にはそれらの職員を充てることなどの指摘がされていたこと、③徹底した経営の効率化・合理化に取り組むため、人件費の抑制をしなければならないことから、組織・運営体制の大幅な見直しを行い、賃金職員制度を採用しなかった。 賃金職員に対しては、常勤職員又は非常勤職員として採用したり、他の、。 事業所への就職あっせんを実施するなど雇用に十分な配慮がされている以上によ 幅な見直しを行い、賃金職員制度を採用しなかった。 賃金職員に対しては、常勤職員又は非常勤職員として採用したり、他の、。 事業所への就職あっせんを実施するなど雇用に十分な配慮がされている以上によれば、被告が第2原告らを「雇止め」したこと等が公序良俗に反し無効という原告らの主張は失当である。 イ非常勤職員である賃金職員の採用は、国家公務員法附則13条、人事委員規則8-12(職員の任免、人事院規則8-14(非常勤職員等の任)用に関する特例)等に基づいて行われる任用行為であり、任命権者が特殊の行政処分により一方的行為として採用する公法上の関係であるから、解雇権濫用の法理の適用の余地はない。 ( )第2及び第3原告らの慰謝料請求について (原告らの主張)- 18 -ア第2及び第3原告らは、国立病院・療養所において、定員内の正職員と同一の業務をこなし、同等の職責を担いながらも、国による不合理な差別により、大幅な賃金差別を受けてきた。 イ第2原告らは、採用の際及び採用後、正職員となることを採用担当者や上司から約束され、かつ、職場の実態としても先任順に賃金職員から定員内の正職員へ採用されることが労使慣行となっていた。このような実態からすれば、第2原告らが、被告の正職員になれるという期待を持つのは当然のことであり、この期待権は法的保護に値する。ところが、国は、第2原告らを雇止めし、被告は、従前の労働条件を大幅に下回る条件で第2原告らを雇用し、第2原告らの期待権を侵害した。 第3原告らが担当していた国立病院・療養所の院内保育所の業務は、その内容からすれば、本来、正職員によって行われるべきものであり、第3原告らは正職員となる期待権があった。仮に国立病院・療養所当時に正職員としての採用が無理であっても、被告に移行した際に、常勤職員として、 からすれば、本来、正職員によって行われるべきものであり、第3原告らは正職員となる期待権があった。仮に国立病院・療養所当時に正職員としての採用が無理であっても、被告に移行した際に、常勤職員として、、。 採用すべきであり第3原告らは被告の常勤職員となる期待権があったところが、国は、第3原告らを雇止めし、被告は院内保育所を外部業者に委託し、第3原告らの期待権を侵害した。 ウ国及び被告は、第2及び第3原告らに対し、国立病院・療養所の被告への移行に伴い、全員を雇止めし、雇用そのものを失うか、あるいは、被告非常勤職員又は委託業者職員になるか、いずれにしても国立病院・療養所の賃金職員よりも劣悪な労働条件を飲まざるを得ない二者択一を迫った。 エ第2・第3原告らは、上記ア(国だけ、イ(国及び被告、ウの(国))及び被告)の不法行為により、精神的苦痛を受けた。被告は、国の損害賠償責任を承継した。第2及び第3原告らの精神的苦痛は、少なくとも1人500万円をもって慰謝されるべきである。 (被告の主張)- 19 -ア国立病院・療養所において、正職員と賃金職員とでは、任用の性格や責、、任が異なり給与体系もそのことを前提に組み立てられているのであって賃金格差があるのは当然であり、不合理な差別ではなかった。 イ賃金職員は、正職員への任用が約束されたものではないし、第2原告らの上司が約束した事実もない。賃金職員を先任順に正職員化してきた実態もない。賃金職員を先任順に正職員にするという労使合意は改善命令時に破棄された。賃金職員は、任用期間満了をもって当然に雇用関係が満了したものであり、任用期間満了後に正職員として採用されることを期待する法的利益を認めることは到底できず、第2及び第3原告らが主張する期待権侵害はない。 ウ国が賃金職員を雇止めしたのは、 関係が満了したものであり、任用期間満了後に正職員として採用されることを期待する法的利益を認めることは到底できず、第2及び第3原告らが主張する期待権侵害はない。 ウ国が賃金職員を雇止めしたのは、労働条件を切り下げる圧力手段として行ったものではなく、任用期間満了によって当然に退職することになったものである。退職するか、被告の非常勤職員、業務委託先職員になるかの二者択一を迫ったのではない。 第3当裁判所の判断 第1原告らの請求について(争点( )) ( )労働条件の承継について ア国立病院機構法附則2条は、国立病院・療養所から被告への移行に伴う職員の引継ぎに関して「機構の成立の際現に厚生労働省の部局又は機関、で政令で定めるものの職員である者は、…(中略)…機構の成立の日において、機構の相当の職員となるものとする」と定めている。同法附則5。 条1項は、同じく移行に伴う権利義務の承継に関して「機構の成立の際、現に国が有する権利及び義務…(中略)…のうち、…(中略)…国立病院及び国立療養所の所管事務に関するものは、政令で定めるところにより、…(中略)…機構が承継する」と定めている。 。 また、独立行政法人通則法1条2項は「各独立行政法人の組織、運営及- 20 -び管理については、個別法に定めるほか、この法律の定めるところによる」と定めた上で、同法57条2項は「特定独立行政法人は、その職員。 の給与の支給の基準を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。…(後略」と、同条3項は「前項の給与の支給の基)準は、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間企業の従業員の給与、当該特定独立行政法人の業務の実績及び中期計画の第30条第2項第3号の人件費の見積り 一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間企業の従業員の給与、当該特定独立行政法人の業務の実績及び中期計画の第30条第2項第3号の人件費の見積りその他の事情を考慮して定められなければならない」と規定し、同法。 58条1項は「特定独立行政法人は、その職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。…(後略」と、同条2項は「前項の規程は、一般職)の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)の適用を受ける国家公務員の勤務条件その他の事情を考慮したものでなければならない」と規定している。 。 以上の各規定の内容及び国立病院機構法にはその職員の労働条件に関する規定がないことを総合すると、国立病院・療養所の職員は、被告設立の日に被告の職員となるが、被告の職員となった者の給与の支給の基準、勤務時間及び休日等の労働条件は、設立された被告自身が、国立病院機構法所定の各事情を考慮して決定することとされていることは明らかというべきである。 したがって、国立病院・療養所が被告に移行し、国立病院・療養所の正職員は当然に被告の常勤職員となるが、その労働条件は承継されない。 このように解すべきことは、国会における国立病院機構法案に関する審議において、法案を提出した政府側から、独立行政法人通則法附則2条の趣旨について「国の組織の改廃に伴いまして、本人の意に反する降任及、び免職が行われないよう…(中略)…その前後の官職の中身である職務と- 21 -責任が客観的に対応するものにつきましては承継する」というものにすぎないと説明されていること(乙23、衆議院厚生労働委員会平成14年11月22日、被告職員の労働条件について「給与基準といった 1 -責任が客観的に対応するものにつきましては承継する」というものにすぎないと説明されていること(乙23、衆議院厚生労働委員会平成14年11月22日、被告職員の労働条件について「給与基準といったものに)、つきましては、法人みずからが定める「身分は独立行政法人に承継さ」、れるわけでございますが、給与、勤務条件等につきましては、その法人がみずからのものとして決める」と説明されていること(乙23、24、衆議院厚生労働委員会平成14年11月20日及び22日)からも裏付けられるところである。 イこれに対して、原告らは、国立病院機構法附則2条及び5条1項は、賃金を始めとする労働条件の原則的承継を定めた規定であると主張する。しかし、同法附則2条は「厚生労働省の職員である者は…(中略)…機構、の相当の職員となる」と規定するものであって、労働条件に関して何らの言及をしていないから、同条は、国立病院・療養所の職員は、その職務に相当する被告の職員となることを意味し、職員の職務と責任が引き継がれる趣旨のものにすぎないことは明らかであるまた同法附則5条は権。 、、「利義務のうち…(中略)…所管事務に関するもの」の承継に関する規定にすぎず、職員との労働条件についての権利義務が所管事務に関するもの含まれるとは理解できず、職員の労働条件に関する規定ではないというべきである。したがって、原告らの主張は採用できない。 また、原告らは、被告が独自に職員の労働条件を決定できるとしても、中期目標(独立行政法人通則法に基づき主務大臣が示す目標であり、被告はこれに基づき中期計画を作成することが義務づけられており、計画期間満了後には、独立行政法人評価委員会により、業務の実績に関する評価を受けることが義務づけられている)の終了時の被告の業績に応じて労働。 に基づき中期計画を作成することが義務づけられており、計画期間満了後には、独立行政法人評価委員会により、業務の実績に関する評価を受けることが義務づけられている)の終了時の被告の業績に応じて労働。 条件を変更できるにすぎないから、独立行政法人に移行して直ちに労働条件を変更することは許されないとも主張する。しかし、証拠(乙6、8)- 22 -によれば、特殊法人等改革推進本部事務局の「独立行政法人の中期目標等の策定指針(平成15年4月18日)では、中期目標においては財務内」容の改善のために経費の削減に関する事項を定めることができるとされ、「()()特殊法人等改革推進本部参与会議の中期目標案及び中期計画素案に対する参与会議の指摘事項(平成15年7月)においても「人件費」、等の固定経費部分についても経費削減の対象とすべき」ことを踏まえ、中期目標や中期計画が策定されるべきとされていると認められるのであるから、原告らが主張するように、中期目標や中期計画の終了後でなければ労働条件の変更ができないとは認められない。 原告らは、政府が国立病院・療養所の独立行政法人化にあたり、労働条件が承継されることや、独立行政法人における労働条件を労使協議で決定することが条件となるとの説明や答弁をしていたとも主張する。しかし、証拠(甲77の5、乙23、24)によれば、平成14年11月20日及び同月22日に開催された国立病院・療養所の独立行政法人化に係る衆議院厚生労働委員会における質疑応答でも、労働条件の承継については、政府側から「法人の給与基準といったものにつきましては、法人みずからが定める「現在の、現給と申しましょうか、それを保障するという制度」、的な趣旨ではございません」と明確に否定する説明がされ、労働条件を。 定める手続についても、 ものにつきましては、法人みずからが定める「現在の、現給と申しましょうか、それを保障するという制度」、的な趣旨ではございません」と明確に否定する説明がされ、労働条件を。 定める手続についても、平成11年11月24日に開催された行政改革に、「、関する特別委員会では国務大臣から独立行政法人への移行準備として法人の成立時に速やかに労働協約が締結できるよう、成立前に関係者が事実上の交渉を行うことも可能でございます」との説明がされ、平成14。 年11月20日に開催された前記委員会でも「実質的、な懇談と申しま、しょうか協議と申しましょうか、そういうことが事実上行われながら円滑的に移行していく」と説明されるにとどまっていると認められるのであるから(平成15年10月30日以降、賃金職員に関しては7回の意見交換- 23 -や大臣会見が、就業規則に関しては合計11回の協議や労使交渉が行われているが(乙49、前記説明、答弁に照らし、その趣旨に反するもので)あったとは解されない、原告らの主張は明らかに事実に反するもので。)ある。 ウ以上によれば、従前の国立病院・療養所における労働条件が被告に承継されるとは認められない。 ( )就業規則の不利益変更の法理の適用について ア国立病院・療養所における労働条件は被告に承継されないから、被告において定められた労働条件は、全く新たに定められたものであって、従前の労働条件が変更されたものではない。したがって、被告が常勤職員に関して新たに定めた就業規則中に、国立病院・療養所における労働条件と比較して、職員に不利益な部分があったとしても、その不利益に関して、就業規則の不利益変更の法理が適用される余地はない。被告職員就業規則等は、従来の労働条件を変更して不利益を労働者に受忍させることを許容すること 員に不利益な部分があったとしても、その不利益に関して、就業規則の不利益変更の法理が適用される余地はない。被告職員就業規則等は、従来の労働条件を変更して不利益を労働者に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づく合理性(不利益の内容、程度に合理性があることのほか、十分な代償措置の付与、労使交渉の実施、多数従業員の受容等の事情を含む)がなければ、その効力が認められない。 というわけではない。 イしかし、被告で働く職員の労働条件は、被告において新たに定められる、。 といっても被告がその内容を全く自由に決められるというわけではない前記のとおり、独立行政法人通則法57条3項、58条2項は、被告職員の給与支給基準並びに勤務時間、休憩、休日及び休暇について「一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間企業の従業員の給与、当該特定独立行政法人の業務」、の実績及び中期計画の第30条2項3号の人件費の見積りその他の事情「、()一般職の職員の勤務時間休暇等に関する法律平成6年法律第33号- 24 -の適用を受ける国家公務員の勤務条件その他の事情」を考慮して職員の労働条件を定めることを義務づけている。 被告の職員のうち、国立病院・療養所の正職員であった者で、被告の成立によって自動的に被告の常勤職員となったものについては、労働者の意思、選択によって被告の常勤職員となったわけではなく、また、労働者の立場から見ると、雇用主体の組織が変わっただけであって、その職務や責任が変質したわけではないから、被告が就業規則を作成し、職員の労働条件を決定するにあたっては、従前の労働条件である国家公務員の給与等の労働条件を十分に考慮することが求められることは当然であるといえる。 独立行政法人通則 ないから、被告が就業規則を作成し、職員の労働条件を決定するにあたっては、従前の労働条件である国家公務員の給与等の労働条件を十分に考慮することが求められることは当然であるといえる。 独立行政法人通則法の上記各規定は、国立病院・療養所の正職員(一般職の国家公務員であり、給与法、勤務時間法が適用されていた)であった。 者で、被告の成立によって被告の常勤職員となったものの労働条件を定めるにあたっては、給与法や勤務時間法の適用を受ける国家公務員の勤務条件その他の事情として、従前の労働条件であった国立病院・療養所におけ、、る労働条件を十分に考慮することを義務づけていると解されしたがって被告における労働条件はこのような考慮をした合理的な内容のものであることを要すると解される。 ウこれに反し、被告が従前の労働条件を全く無視した不利益な労働条件を定めた場合には、独立行政法人通則法の上記規定の趣旨に反して労働条件が定められたことにほかならないのであって、そのような場合には、当該労働条件を定めた就業規則や給与規程は、国立病院・療養所の正職員であった者で被告の常勤職員となったものに対して効力を有しないとされることもあると解される。 独立行政法人が定めた就業規則や給与規程が被告の職員に対して効力を有しないとされた場合、当該部分については労働関係を規律する根拠が失われることとなるが、国立病院・療養所の正職員であった者で被告の常勤- 25 -職員となったものについては、従前は国立病院・療養所の正職員として労働条件が定められ、その労働条件によって労働をしていたのであるから、このような場合には、従前の労働関係を規律した根拠規定が暫定的に労働関係を規律する根拠規定となる余地があるというべきである。 そうだとすると、被告職員就業規則等が従前の労働条件を無視したもの るから、このような場合には、従前の労働関係を規律した根拠規定が暫定的に労働関係を規律する根拠規定となる余地があるというべきである。 そうだとすると、被告職員就業規則等が従前の労働条件を無視したもので、合理的な内容であると認められないような場合には、第1原告らの被告における労働条件が従前の労働条件、すなわち給与法や勤務時間法に基づく労働条件の内容とされる場合もあり得ると解される。 ( )被告職員就業規則等が定める労働条件の合理性 そこで、被告職員就業規則等が定める給与、勤務時間、休日の定めが合理的な内容か否かを検討する。 ア給与支給水準について(ア)前提事実( )ウのとおり、被告は、看護師及び准看護師の給与体系 について別紙体系表①に、事務職につき別紙体系表②にそれぞれ記載のとおりの基本給表(以下「新体系表」という)を定めるとともに(併。 せて給与法の職務の級に対応する新体系表の職務の級は給与規程附則別表で定めている。乙26、平成19年9月30日までは、新たな基本)給が従前の額を下回る場合に現給保障を行う経過措置を定めた。 第1原告らの平成16年3月31日における基本給月額及び同年4月1日における級号俸に対応する新体系表上の基本給月額を比較すると、前提事実( )ウのとおり、原告P1(1-1)及び原告P4(1-4) が2万9850円、原告P2(1-2)が8000円、原告P3(1-3)が3万3200円、原告P5(1-5)が2万6000円、原告P()、()、 1-6が3万4700円原告P71-7が2万4975円原告P8(1-8)が1万9225円、原告P9(1-9)が1万2525円、原告P10(1-10)が2万6150円、原告P11(1-- 26 -11)が2万3600円、原告P12(1-12)が1万85 告P8(1-8)が1万9225円、原告P9(1-9)が1万2525円、原告P10(1-10)が2万6150円、原告P11(1-- 26 -11)が2万3600円、原告P12(1-12)が1万8550円、原告P13(1-13)が1万8500円、原告P14(1-14)が3万4700円、原告P15(1-15)が2万4900円、それぞれ基本給が減額されることとされ、その減額率は約2.5パーセントから約9.5パーセント(基本給のみ)である。 証拠(乙26)及び弁論の全趣旨によれば、新体系表は、従前の給与支給水準を定めていた給与法の給与表別表第8の俸給表と比較すると、平均約35歳程度以上の職員の基本給を減額するものであり、減額の幅は級号俸が上がる程大きくなるように定められており、最大約11パーセントの基本給の減額をしていると認められる。 (イ)そこで、このように被告の常勤職員の基本給を、国立病院・療養所の職員であった当時の基本給と比較して減額とすることに合理性があるかどうかを検討する。 証拠(乙5、7、27ないし31)によれば、平成14年12月12日参議院厚生労働委員会における独立行政法人国立病院機構法案に対する附帯決議において「中期目標の設定にあたっては、事務や事業の見、直しを行い、経営の一層の合理化、効率化と経費の削減に努めること」との決議がされ、平成15年4月に取りまとめられた「国立病院・療養所の独立行政法人における財政運営と効率化方策に関する懇談会報告書(同懇談会は、独立行政法人としての国立病院・療養所の財政運営」及び効率化のあり方について検討を行うため、平成13年7月に厚生労働省健康局長の懇談会として設置されたものである)においても「総。 、人件費の抑制及び人件費率の引下げに努めるとともに、民間的経営手法の積極的導入等を通 いて検討を行うため、平成13年7月に厚生労働省健康局長の懇談会として設置されたものである)においても「総。 、人件費の抑制及び人件費率の引下げに努めるとともに、民間的経営手法の積極的導入等を通じて、物件費の経費削減に努めるなど、一層の経営改善を推進する必要がある」などと報告されており、これらの決議や報告は、国家公務員の給与水準の引き下げを求める平成15年から平成1- 27 -6年にかけての世論とも合致するものであったと認められることからすれば、被告が、その設立にあたり、人件費を抑制すべく、職員の給与を見直したことに、およそ合理性がないということはできない。 また、証拠(乙32)及び弁論の全趣旨によれば、国立病院・療養所()()における看護師平均年齢35歳の平均給与月額平成14年9月分と人事院勤務条件の「民間給与の実態」調査に基づく民間病院等における看護師(平均年齢33.5歳)の平均給与月額(平成14年4月)を比較したところ、国立病院・療養所の方が平均12.3パーセント高いという格差があり、年齢が高くなるほど概ね格差が大きく、32歳ないし35歳では7.3パーセント、36歳ないし39歳では11.9パーセント、40歳ないし43歳では13.8パーセント、44歳ないし47歳では16.1パーセント、48歳ないし51歳では18.7パーセント、52歳ないし55歳では15.1パーセント、56歳以上では19.4パーセント、それぞれ国立病院・療養所の方が民間病院等より給与が高くなっていることが認められる。証拠(甲94の3、乙42)によれば、医業収益に占める人件費率をみると、民間病院平均が、平成14年は52.4パーセント、平成15年は51.7パーセントであるのに対し、国立病院・療養所では、平成14年は60.1パーセントであり、国立病院 業収益に占める人件費率をみると、民間病院平均が、平成14年は52.4パーセント、平成15年は51.7パーセントであるのに対し、国立病院・療養所では、平成14年は60.1パーセントであり、国立病院・療養所の人件費割合は民間病院の人件費割合より相当に高かったことが認められる。 そして、証拠(乙8)によれば、平成15年7月特殊法人等改革推進本部参与会議「中期目標(案)及び中期計画(素案)に対する参与会議の指摘事項」中で、中期目標及び中期計画を作成するにあたっては、経費削減につき「毎年度1%減とか目標期間中5%減」ではなく「期、、間中で1~2割の削減等、より大胆で意欲的な目標とすべき「人件」、費等の固定経費部分についても経費削減の対象とすべき」と指摘されて- 28 -いたと認められることも考慮すれば、被告が民間病院との乖離が大きくなる一定以上の号俸から上の号俸について給与支給基準を従前より下回るものに設定することには合理性があると認められる。 基本給の減額率が最大約11パーセントと設定されていることについては、前記のとおり、国立病院・療養所と民間病院の看護師の給与格差が平均12.3パーセントであったこと、とくに年齢が高い階層で格差が大きいことに照らすと、合理性を欠くものとは認められない。 (ウ)これに対して、原告らは、民間病院の賃金水準を重要視すべきではないとか、これを参考にするとしても、比較対象としては看護師数10()00人以上の民間病院赤十字病院や労災病院など全国規模の民間病院が比較対象とされるべきであると主張する。しかし、独立行政法人の給与を定めるにあたって民間企業の従業員の給与が参考とされるべきことは独立行政法人通則法57条3項に定められているとおりであるし、その際比較対象とすべき病院の規模についても、国家公務員の給 政法人の給与を定めるにあたって民間企業の従業員の給与が参考とされるべきことは独立行政法人通則法57条3項に定められているとおりであるし、その際比較対象とすべき病院の規模についても、国家公務員の給与を定めるにあたり行われる人事院の実態調査においても「企業規模100人、以上で、かつ事業所50人以上」が調査対象とされていること(弁論の全趣旨)からすれば、被告職員の給与と比較すべき対象を看護師数1000人以上の民間病院としなければ、比較として合理性に欠けるとは解されない。 原告らは、国立病院と療養所を区別して判断すれば、国立病院・療養所の人件費率は高くないと主張するが、問題とされるべきは、被告全体における人件費率であるのだから、ことさらに国立病院と療養所を区別して人件費率を論じる必要があるとも解されない。 原告らは、管理職の基本給は減額されていないことは公平性を欠くとか、職務軽減がないにもかかわらず賃金の減額をすることは許されないとも主張する。しかし、証拠(乙33)によれば、院長・所長、副院長- 29 -・副所長・部長といった役職で比較した場合、公務員給与が民間給与を大きく下回っていると認められるのであるから、これらの職の基本給を減額しないことが公平性を欠くとは考えられないし、合理的な範囲内で基本給を減額するために職務軽減をすることが必要であるとも解されないから、原告らの主張は理由がない。 (エ)以上のとおりであり、これに加えて、被告が常勤職員に対して新体系表の適用をするものの、平成19年9月30日までは現給保障をしていることも併せて考慮すれば、被告が定めた給与規程が合理性を欠くものであったとは認められない。 イ変形労働時間制について(ア)前提事実( )エのとおり、勤務時間法7条、人事院規則15-14 (職員の勤務時間、休日 れば、被告が定めた給与規程が合理性を欠くものであったとは認められない。 イ変形労働時間制について(ア)前提事実( )エのとおり、勤務時間法7条、人事院規則15-14 (職員の勤務時間、休日及び休暇)5条、厚生労働省訓52号は、看護師等を対象に変形労働時間制を定め、国立病院・療養所では、看護師等だけが変形労働時間制の対象であり、事務職にはその適用がなかったところ、被告職員就業規則36条は、変形労働時間制の対象を、事務職を含む全職員に広げた。 (イ)被告は病院・療養所を事業とするものであって、業務時間は24時間であり、従来から看護師等は24時間業務ができるように変形労働時間制が採られている。このような事業所においては、業務の必要性に対応できるようにするため、また、業務の繁閑に応じた弾力的な勤務時間の配分が行えるようにするため、事務職等を含めて就業規則に変形労働時間制が採用できるような定めをすることには、合理的な理由があるというべきである。前記のとおり、独立行政法人通則法は、勤務時間や休日の定めをするにあたって、国家公務員の勤務条件のほか、様々な事情を考慮することとしているのであって、従前の国家公務員の労働条件より不利な点があるからといって、そのことだけで、合理性がないとはい- 30 -えない。 原告らは、変形労働時間制の対象を拡大するに際して代償措置が採られていないし、看護師以外の職は賃金面などで相当な処遇を受けていないから、変形労働制の対象を拡大したのは著しく合理性を欠くと主張するけれども、被告が新たに勤務時間制度を策定するにあたり、変形労働時間制の導入に伴う代償措置を採り、又は特段の処遇がない限り、その変更に合理性がないとはいえない。 ウ祝日に勤務した場合の休日給支払の廃止について(ア)前提事実( )オのとおり、勤 り、変形労働時間制の導入に伴う代償措置を採り、又は特段の処遇がない限り、その変更に合理性がないとはいえない。 ウ祝日に勤務した場合の休日給支払の廃止について(ア)前提事実( )オのとおり、勤務時間法15条、人事院規則15-1 4(職員の勤務時間、休日及び休暇)17条によれば、祝日に勤務を命じられた場合には、職員が代休日の指定を受けるか、その指定を希望しない旨を予め申し出て、休日給の支給を受けるかを選択することができたところ、被告職員就業規則46条は、代休日の指定を受けるものとされ、休日給の支給を選択することができないことになった。 (イ)休日である祝日に勤務した場合に代休日の指定を受けずに休日給を受領することは、就業規則上に定められた休日数を実際には減少させることになる。そこで、休日給の制度を採らないことによって、職員の実質的な休日数を確保することは、職員の健康・福祉の増進を図り、さら。 、に効率的な医療体制を確保することにもなると考えられるしたがって祝日に勤務した場合には代休日の指定を受けることとし、休日給の支給を受ける選択を認めなかったことには、合理的な理由があるというべきである。 原告らは、代休制度の改正によって、代休の消化が優先されることとなった結果年次休暇が取りにくくなった、代休が祝日勤務をした直後に取れない、大幅な人員不足や労働時間の増加を招いただけであるなどと主張する。しかし、祝日代休制度が改められたことによって年次休暇が- 31 -取りにくくなり、又は総労働時間が増加したと認めるに足りる証拠はない。仮にそのような事態が生じたとしても、これらの問題は、直接的には、被告における職員配置等の問題と関連する問題であって、休日給選択制の廃止が直接的な原因となるものとはいえない。また、仮に代休が勤務をした祝日の直 な事態が生じたとしても、これらの問題は、直接的には、被告における職員配置等の問題と関連する問題であって、休日給選択制の廃止が直接的な原因となるものとはいえない。また、仮に代休が勤務をした祝日の直近に取れないという事実があったとしても、そのことから休日給選択を廃止したことが不合理ということにはならない。したがって、原告らの主張は理由がない。 エ原告らは、独立行政法人化により、常勤職員、看護助手の大幅削減、夜勤の増加等の事態が生じ、被告の労働環境が著しく悪化しているとして、こうした事情も、給与支給水準が下がったこと等に合理性がないとする理由に挙げている。しかし、被告において職員が大幅に削減され、夜勤が増加したと認めるに足りる証拠はない。 オ以上に検討したところによれば、被告職員就業規則等が従前の労働条件を無視したような不合理なものであるとは認められず、第1原告らに対して効力がないとは認められない。 ( )よって、第1原告らが、給与支給水準、変形労働時間制、祝日代休制度 変更について、従前の労働条件、すなわち、国立病院・療養所の正職員と同様の労働条件で働く権利を有すると認めることはできず、第1原告らの請求は理由がない。 第2原告らの地位確認・未払給与請求について(争点( )) ( )公序良俗違反について ア原告らは、国立病院・療養所が第2原告らを平成16年3月30日又は同月31日をもって退職としたことは公序良俗に反し無効であり、この場合、第2原告らは従前の労働条件で被告の職員となり、第2原告らと被告との間でされた被告非常勤職員の労働条件の合意も公序良俗に反して無効であると主張する。被告が同年4月1日以降、賃金職員制度を採用せず、- 32 -第2原告らの労働条件を大幅に切り下げた上で第2原告らを被告の非常勤、。 職 の労働条件の合意も公序良俗に反して無効であると主張する。被告が同年4月1日以降、賃金職員制度を採用せず、- 32 -第2原告らの労働条件を大幅に切り下げた上で第2原告らを被告の非常勤、。 職員として採用したことも不当であり無効であると主張するようであるしかし、第2原告らは、任用期間が定められた賃金職員であった者であり、平成16年3月30日又は同月31日に任用期間満了により賃金職員としての身分を喪失したのであって、国(国立病院・療養所)の何らかの行為があり、これによって賃金職員としての身分が失われたものではない(第2原告らに対して、平成16年3月30日又は同月31日付けで「退職した旨が記載された人事異動通知書が交付された事実が認められる乙」(51の1・2・4ないし8、11ないし14)けれども、これらの通知書がなければ退職とならないわけではない。すなわち、第2原告らが平。)成16年3月30日又は31日に任用期間満了によって賃金職員としての身分を喪失したことについて、無効と評価されるような法的効果を有する行為はそもそも存在しない。また、被告は、任用期間の満了により賃金職員としての身分を喪失した第2原告らを、新たに非常勤職員として採用したものであって、仮に、この採用が無効であるとすると、第2原告らは、そもそも被告の職員でないことになる。 原告らの主張は、国立病院・療養所における退職や被告における採用など各行為が別々に無効であるというのではなく、第2原告らが国立病院・療養所において長期にわたり賃金職員として反復継続して雇用(任用)されてきたところ、国立病院・療養所がそのまま被告に移行し、しかも第2原告らは被告に採用され、これまでと同様の職種を担当しているのであるから、このような経緯を全体的にみると、公序(社会の一般的秩序)に反 きたところ、国立病院・療養所がそのまま被告に移行し、しかも第2原告らは被告に採用され、これまでと同様の職種を担当しているのであるから、このような経緯を全体的にみると、公序(社会の一般的秩序)に反する行為の効力は否定されるという一般原理によれば、国が第2原告らを任用期間満了による退職とし、被告が賃金職員制度を採用せず、労働条件を大幅に切り下げた上で第2原告らを非常勤職員として採用したことは社会の一般的秩序に反し、社会的妥当性を欠くものであって、第2原告らは- 33 -国立病院・療養所における労働条件と同様の条件で被告の職員になったとみるべきであるという主張であると理解することができる。 イしかし被告は国とは異なるとはいえその職員はその長が任命し独、、、(立行政法人通則法26条、身分は公務員とされる(同法51条)上、被)、()、告は政府から予算の範囲内で財政措置を受けられる同法46条など国の財政と結びついているのであるから、被告職員の採用やその労働条件の決定は、予め定められている内容により、定められた方式に従って、明確に行われることが求められているというべきである。任用行為が反復継続していたという一定の事実が継続しているからといって、公序(社会の一般的秩序)を根拠として、賃金職員としての任用期間が満了し、被告の非常勤職員として採用された事実が明白であるにもかかわらず、従前の労、。 働条件で被告の職員となったとみることができるとするのは疑問であるウ被告で定められた労働条件など具体的な事情をみても、以下のとおり、賃金職員を任用期間満了により退職とし、従前とは異なる労働条件で非常勤職員としたことが、公序(社会の一般的秩序)に反するとは認められない。 (ア)そもそも、第2原告らは、制度上、任用期間が定め 、賃金職員を任用期間満了により退職とし、従前とは異なる労働条件で非常勤職員としたことが、公序(社会の一般的秩序)に反するとは認められない。 (ア)そもそも、第2原告らは、制度上、任用期間が定められた賃金職員であり、新たな任用行為がない限り、期間満了をもってその身分を喪失。 、(、する立場にあるというほかないしかも 証拠 乙43の1ないし1050の1)によれば、第2原告らに対する賃金職員採用通知書には、任用期間が平成16年3月30日又は同月31日までであること、同期間終了後は自動更新しない旨が明記され、期間満了により身分を喪失する、。 ことは第2原告らそれぞれに明確に伝えられていた事実が認められるしたがって、国が、独立行政法人移行直前であり、かつ、賃金職員の任用期間が満了する平成16年3月30日又は同月31日をもって、賃金職員を退職としたこと自体をとらえて、これを不当ということはできな- 34 -い。 (イ)被告は、人事制度を構築するにあたり、国立病院・療養所が独立行政法人化されて被告となった趣旨に合致するよう考慮すべきことは当然であるとしても、その目的、業務に最も適した制度を選択、決定することができるのであり、被告が賃金職員という制度を採用するか否かについては、基本的には被告の判断に委ねられる問題と解すべきである(国立病院機構法附則2条は、国立病院・療養所の正職員について、原則として、被告の担当の職員となることを定めたものであり、同条は、賃金職員が当然に被告に承継されることを定めたものとは認められない。 。)証拠(乙17)によれば、平成8年の人事院判定は「現在賃金職員、が従事している業務について精査し、業務の見直し、外部委託、病棟の区分見直し等により合理化し得る業務については合理化を行い、短期あるいは8時間 7)によれば、平成8年の人事院判定は「現在賃金職員、が従事している業務について精査し、業務の見直し、外部委託、病棟の区分見直し等により合理化し得る業務については合理化を行い、短期あるいは8時間未満の勤務で足る業務には、職務の再編を行って短期や短時間の非常勤職員を充て、また、常時勤務を要する職には部内の定員配分の一層の適正化等を行って常勤職員を充てるなど、それぞれあるべき姿に向けて努力し、賃金職員を減少させていくべきである」としたこ。 とが認められる。このことに、国立病院・療養所の独立行政法人化が決定して以降、一貫してその総人件費の抑制や人件費率の引下げのための経営改善が求められていたこと(前記1( )ア(イ))も考慮すれば、行 政が担う事務・事業の内容・性質に応じて最も適切な組織・運営の形態を追求し、効率的・効果的な事務・事業の実施を確保することを目的と(、)、する独立行政法人独立行政法人通則法1条3条参照である被告がその設立に際し、効率的・効果的な事務・事業の実施を確保すべく、職員の種類を常勤職員と1日6時間以内の短時間勤務の非常勤職員で構成すると判断したことに合理性がないといえるものではない。 原告らは、被告が賃金職員制度を採用せず、労働条件を切り下げた非- 35 -常勤職員としたのは、被告の医療業務に必要不可欠な第2原告らの労働力を不当に低い労働条件で確保することを目的としたものであると主張する。確かに、証拠(乙34、38)によれば、被告の非常勤職員は、①勤務時間は週30時間以内とすること、②賃金は東京・神奈川・大阪では時給1100円、その他の地方都市は時給810円とされること、、、、、、③手当は通勤手当夜間看護等手当超過勤務手当休日給夜勤手当宿日直手当、賞与に限定され、俸給の調整額、調 阪では時給1100円、その他の地方都市は時給810円とされること、、、、、、③手当は通勤手当夜間看護等手当超過勤務手当休日給夜勤手当宿日直手当、賞与に限定され、俸給の調整額、調整手当、扶養手当、住宅手当、寒冷地手当は支給されないこと、④退職金は支給されないとされたことが認められ、これらの労働条件は、国立病院・療養所の賃金職員であったときと較べると、その待遇面を悪化させるものであると認め。 、、、、られるしかしこれらの労働条件自体は被告がその成立にあたり総人件費の抑制や人件費率の引下げが求められている状況の下で、非常勤職員について定めたものであって、その効力を否定しなければならないほど低廉なものであるとはいえない。国立病院・療養所の賃金職員であった第2原告らにとっては、確かに被告の非常勤職員の労働条件は引下げとなるけれども、前記のとおり、国立病院・療養所の賃金職員は任用期間が定められ、自動的に更新されるものではなかったことも併せて考えると、この切下げが、公序に反するとはいえない。 独立行政法人化に伴い定員の枠がはずれたのだから、賃金職員をすべて定員とすべきであったという原告らの主張も、考え得る人事制度に関する提言の一つとして理解できないではないが、これをしないことが公序に反するといいうるものでもない。 (ウ)原告らは、国立病院・療養所において全医労の努力により獲得された賃金職員の労働条件を大幅に切り下げることは許されないとも主張する。確かに、証拠(甲79、80の1ないし8・22、乙14、証人P28)及び弁論の全趣旨によれば、労働条件向上に向けた全医労の交渉- 36 -などによって、平成4年ころ、国立病院・療養所の賃金職員の労働条件は、期末手当や各種手当ての支給において、定員内職員とほぼ同様の水 論の全趣旨によれば、労働条件向上に向けた全医労の交渉- 36 -などによって、平成4年ころ、国立病院・療養所の賃金職員の労働条件は、期末手当や各種手当ての支給において、定員内職員とほぼ同様の水準の待遇を受けるなど、厚生省が作成した昭和50年「賃金職員に関する手引き(以下「手引き」という)に定められた水準を大幅に上回」。 るものにまでなっていた事実が認められる。 しかし、前記(イ)のとおり、被告で定められた労働条件は、その効力を否定しなければならないほど低廉なものであるとはいえないのであって、かつての労働条件と比較して大幅に切り下げられているとしても、そのことから、この労働条件が公序に反し、効力を否定すべきであるとはいえない。 (エ)以上のとおり、国立病院・療養所が第2原告らを平成16年3月30日又は同月31日をもって退職とし、被告が同年4月1日以降、賃金職員制度を採用せず、第2原告らを労働条件を大幅に切り下げた非常勤職員として採用したことは、公序に反するとはいえない。 エ以上によれば、公序良俗違反を根拠として第2原告らが従来と同様の労働条件で被告の職員となったとする原告らの主張は理由がない。 ( )解雇権濫用法理の適用 ア原告らは国が第2原告らを退職としたことは解雇権濫用の法理により無効であると主張するところであるが、この主張が、前記( )の公序良俗違 反により無効であるという主張と同様に、解雇権濫用の法理によれば、第2原告らは従来と同様の労働条件で被告の職員となったとみるべきであるという趣旨であれば、前記( )と同様であって、この主張を認めることは できない。 イ原告らの主張が、解雇権の濫用の法理により、第2原告らと国(国立病院・療養所)との間で、平成16年3月末の任用期間満了後に、従前と同様の条件で更新された 、この主張を認めることは できない。 イ原告らの主張が、解雇権の濫用の法理により、第2原告らと国(国立病院・療養所)との間で、平成16年3月末の任用期間満了後に、従前と同様の条件で更新されたと同様の関係となったと解すべきである(この関係- 37 -がさらに、被告に引き継がれた)という趣旨であれば、これも認めることができない。 すなわち、日々雇用の賃金職員は、国家公務員法2条2項の一般職の国家公務員であり、私法上の雇用契約上の地位とは異なる公法上の任用関係に基づく地位を有するものである。このような賃金職員であった第2原告、、らの地位は国による任用行為によって決定されると解されるのであってそれ以外の事情によって、その地位が決定されたり、変更されたりすることはない。第2原告らは、いずれも任用期間を平成16年3月30日又は同月31日までとして任用されたものであって、その日以降は、新たな任用行為がない限り、任用期間終了と同時に、当然にその身分を失うというほかない。私法上の雇用契約においては、期間の定めのある雇用契約が多数回にわたって更新された場合、雇用の継続が期待され、かつその期待が合理的であると認められるときには、解雇権濫用の法理が類推適用される余地があると解される。しかし、原告らの身分に関する第2原告らと被告との関係は、私法上の雇用関係ではなく、公法上の任用関係であるから、その身分は、任用行為によって決定され、任用行為以外の事情や当事者の期待、認識によって、その内容が変わる余地はない。 したがって、国が第2原告らを退職としたことについて、解雇権濫用の法理を適用する余地はない。 ウ以上のとおりであって、解雇権濫用法理の適用の主張は、いずれにしても理由がない。 ( )以上によれば、第2原告らは、国立病院・療養所において、平成16 、解雇権濫用の法理を適用する余地はない。 ウ以上のとおりであって、解雇権濫用法理の適用の主張は、いずれにしても理由がない。 ( )以上によれば、第2原告らは、国立病院・療養所において、平成16年 3月30日又は同月31日に任用期間満了により退職となり、同年4月1日に、新たに、被告の非常勤職員として採用されたというほかなく、第2原告らの地位確認、未払給与請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。 - 38 -(なお、弁論の全趣旨によれば、原告P21(2-6)は平成17年3月に被告を退職し、原告P24(2-9)は同年4月に被告の常勤職員となったことが認められ、いずれも被告の非常勤職員ではなくなっているのだから、両原告については、この点からも、別紙労働条件一覧表2「従前の権利」欄記載の労働条件による働く権利を有しないことが明らかである)。 第2及び第3原告らの慰謝料請求について(争点( )) ( )国立病院・療養所における正職員との賃金差別について 第2及び第3原告らがいずれも国立病院・療養所の賃金職員であったこと、国立病院・療養所において、正職員と賃金職員とでは、賃金体系が異なり、賃金に差違があったことは、当事者間に争いがない。 しかし、証拠(乙13、14)及び弁論の全趣旨によれば、賃金職員は、日々雇用の定員外の非常勤職員であり、1年以内の任用期間で、その任用予定期間内は任命権者が別段の措置を講じない限り任用が日々更新されるが、その期間が満了したときは当然に退職する職員として任用され、任用期間が満了したときには退職手当が支給されていたこと、任用期間が満了した翌年度にも採用される者は少なくなかったが、任用期間が満了すれば翌年には国立病院・療養所で勤務しないことになる者も多く、一旦賃金職員となった場合には 退職手当が支給されていたこと、任用期間が満了した翌年度にも採用される者は少なくなかったが、任用期間が満了すれば翌年には国立病院・療養所で勤務しないことになる者も多く、一旦賃金職員となった場合には、正職員の定年年齢に達するまで、当然のように任用が繰り返されるというわけではなかったこと(現実に、平成5年以降、国立病院・療養所における賃金職員の総数は減少を続けていた、また賃金職員が役職に就く。)ことはなかったことなどの事実が認められる。そうすると、国立病院・療養所において、正職員と賃金職員とでは、雇用形態、勤務条件、責任が異なっていたというべきであり、したがって、賃金職員が正職員と賃金体系が異な、、。 り賃金の格差があったとしてもこれを不当な差別ということはできないよって、国立病院・療養所において正職員と賃金職員との間に賃金差別があったとして、これを不法行為であるとする原告らの主張は理由がない。 - 39 -( ) 正職員に採用される期待権の侵害について ア原告らは、賃金職員が採用の際及び採用後に正職員となることを採用担当者や上司から約束され、かつ、職場の実態としても先任順に賃金職員から定員内の正職員へ採用されることが労使慣行となっていたと主張する。 確かに、証拠(甲38の1、40、42、44、46の1、48の1、52の1、54、56の1、原告P16、原告P20、原告P23)によれば、第2原告らに対しては、いずれも採用面接時やその他の機会に、正職員ではなく賃金職員であって、正職員とは待遇が異なることを知らされていたものの、上司や採用担当者から、原告P16(2-1)は「今は定員枠があり正職員にはなれませんが空きができたら賃金職員から正職員になれます」と、原告P17(2-2)は「資格を得ることができたなら。 ば正職員になれるよう 当者から、原告P16(2-1)は「今は定員枠があり正職員にはなれませんが空きができたら賃金職員から正職員になれます」と、原告P17(2-2)は「資格を得ることができたなら。 ば正職員になれるよう病院に働きかけると原告P182-3は数」、()「年経てば正職員になります」と、原告P19(2-4)は「定員職員の。 枠が空けば定員職員にする」と、原告P20(2-5)は「2年経たな。 いと正規職員になれませんがそれでもよろしいかと原告P21 、。」、(-6)は「順番がくれば定員になれる」と、原告P23(2-8)は「正規職員に欠員ができれば順次正職員に採用されると原告P24 、。」、(-9)は「定員定数の空きがあれば正職員になれる」と、原告P25(2-)は「2、3年すれば正職員になれるはずです」と言われていたと 。 認められる。 また、証拠(甲44、46の1、47の1ないし3、49の1、52の、、)、、 80の4・16証人P28及び弁論の全趣旨によればかつては賃金職員から定員内の正職員に採用されることは稀なことではなかったこと、平成4年以前は、賃金職員から定員内の常勤職員への採用がほぼ先任(、順によって行われていた例がありこのような運用がされていたとすれば職員の採用につき競争試験によるものとする国家公務員法の規定を潜脱す- 40 -る違法な運用がされていたというほかない、また、賃金職員の常勤化。)防止策として定められた任用中断日(任用期間が満了した日の翌日は、任用をしない)の定めが厳守されず、任用中断日にも勤務が割り当てられる賃金職員も多かったこと、任用期間満了後の翌年度採用にあたり賃金職員の意思が別途確認されていない実態もあったことが認められる。 これらの各事 い)の定めが厳守されず、任用中断日にも勤務が割り当てられる賃金職員も多かったこと、任用期間満了後の翌年度採用にあたり賃金職員の意思が別途確認されていない実態もあったことが認められる。 これらの各事実を併せて考慮すれば、賃金職員が順番が来れば又はいずれかの時期には定員内の常勤職員となれるとの期待を抱くのが当然であったいえる時期もあったと考えられる。 イしかし、他方で、証拠(各項に記載したもの)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 (ア)厚生省は、昭和50年、賃金職員の任用や給与、休暇等に関する取扱いを定めた「賃金職員に関する手引き」を作成し(その後、改正が行われた、賃金職員の任用や待遇は、これに従って取り扱うこととし。)た。ところが、かねてから賃金職員の労働条件向上を要求していた全医労との交渉等の結果、国立病院・療養所の賃金職員の労働条件は、期末手当や各種手当ての支給において、定員内職員とほぼ同様の水準の待遇を受けるなど、手引きに定められた水準を大幅に上回るものになっていた。また、賃金職員が先任順で正職員に任命されたり、任用期間満了の日の翌日は任用中断日としていながら実際上は勤務を割り当てたりするという扱いも続けられていた(甲79、80の1ないし8・22、乙。 14、証人P28)(イ)そこで、平成5年12月1日付け(北海道内に対しては平成4年10月20日)で、厚生省保健医療局国立病院部長から「業務の改善について(以下「改善命令」という)が発出された。改善命令は「定員」。 、管理の不徹底、不適切な処遇、法令に定めのない手当及び休暇の存在、()、、、…中略…法令が禁止する異科目経理の実施任用更新の不徹底等- 41 -違法又は不適切な待遇」を是正するため、賃金職員の過員の解消、処遇の適正化及び 手当及び休暇の存在、()、、、…中略…法令が禁止する異科目経理の実施任用更新の不徹底等- 41 -違法又は不適切な待遇」を是正するため、賃金職員の過員の解消、処遇の適正化及び改善(法令に定めのない手当及び休暇の是正、賃金職員の処遇についての手引きの順守等、賃金職員に対する採用条件の適正な)提示(募集、採用時における手引きで定めた労働条件の明示等、賃金)職員の任用更新の適正化(任用中断日の厳格な実施)等を行うよう求めるものであり、任用期間が当該年度の1年以内とされており、任用期間満了と同時に身分を喪失する賃金職員に対する処遇を、その身分に適した内容とするよう求めるものであった(乙15、16)。 (ウ)改善命令が発出されて以降、賃金職員の日額賃金、諸手当、退職金の額は手引きによる水準に引き下げられた。また、賃金職員の再任用に先立ち、更新面接や更新手続が設けられるようになり、任用中断日の運用も厳密に行われるようになった。再任用時にも、任命権者である病院長から、任用予定期間及びその終了後には自動更新しないことが明記された辞令が交付されるようになった。賃金職員に対して、先任順による常勤職員への採用の運用はなくなり、いつか正職員になれるというような話がされることは全くなくなった(甲44、46の1、49の1、。 56の1、原告P16、同P20、同P23)以上のとおり、認められる。 なお、第2原告らに属する原告らが、それぞれ賃金職員としての任用に際して、採用通知書には、任用期間の終期、期間終了後は自動更新しないことが明記され、期間満了により身分を喪失することが明確に伝えられていたことは前記2( )ウ(ア)のとおりである。原告P26(3-1)及び ()、、、原告P273-2についてもその採用通知書には 期間満了により身分を喪失することが明確に伝えられていたことは前記2( )ウ(ア)のとおりである。原告P26(3-1)及び ()、、、原告P273-2についてもその採用通知書には任用期間の終期期間終了後は自動更新しないことが明記され(乙43の12・13、50の2、期間満了により身分を喪失することが明確に伝えられていたと認)められる。 - 42 -ウ以上の事実によれば、賃金職員がいずれ正職員になれるとの期待を抱いたことに合理的な理由が認められた時期があったとしても、改善命令及び、、、これを受けたその後の運用によりそのような期待は解消されあるいはそのような期待は法的に保護するに値しないものとなったというべきである。 すなわち、賃金職員が抱いた正職員になれるとの期待は、国立病院・療養所における本来の賃金職員について定められた任用や処遇とは異なる妥当でない取扱いが原因となっていたものであるところ、そのような取扱いは、改善命令によって、定められていたとおりに正され、その後、そのような状態が第2及び第3原告らが任用期間満了により退職とされた平成1、、6年3月末まで約10年続いているのであるから以上の事情に照らせば上記のような期待は、これを解消するに足りる措置が採られ、かつ、その後時間が経過したことにより、解消されたというべきであるし、仮になお期待が続いていたとしても、そのような期待は法的に保護されないというほかない。 エ原告らは、政府が賃金職員の定員化を約束していたとも主張するが、原告がその根拠とする園田厚生大臣による回答(甲80の5)も、森下厚生大臣の回答(甲80の7)も、賃金職員の処遇改善を回答したものであって、その定員化を確約する文言はないのであるから、原告らの主張は理由がない。 オ原告らは、第3原 る回答(甲80の5)も、森下厚生大臣の回答(甲80の7)も、賃金職員の処遇改善を回答したものであって、その定員化を確約する文言はないのであるから、原告らの主張は理由がない。 オ原告らは、第3原告らが担当していた業務は正職員によって行われるべきものであったから、第3原告らは正職員となる期待権があったと主張する。しかし、賃金職員から正職員になれるとの期待は解消され、あるいは法的に保護されないことは、前記のとおりである。また、院内保育所につ、、、いて業務委託するか否かについての判断は賃金職員制度の採用と同様被告の判断に委ねられるべき問題と解されるから、第3原告らが担当して- 43 -いる院内保育所の業務は正職員が行うべきであるとか、病院・療養所が委託業務とせずに直接行うべきであるなどということはできない。したがって、原告らの主張は理由がない。 カ以上によれば、国立病院・療養所が第2及び第3原告らを任用期間満了により退職とし、被告が第2及び第3原告らを被告の常勤職員として採用しなかったことが、第2及び第3原告らの正職員になれるとの期待権を侵害したとは認められないから、原告らの主張は理由がない。 ( )退職か非常勤職員・委託事業者職員かの二者択一について 第2及び第3原告らは、国立病院・療養所の賃金職員であり、平成16年3月末に任用期間満了によって退職となったのであって、退職となったこと、、、。 について違法不当な点がないことはこれまで述べてきたとおりである、、被告は賃金職員としての任用期間が満了した者を非常勤職員として採用しあるいは、国は、任用期間が満了する者を被告の委託事業者職員に就職あっせんしたのであり、賃金職員を国(国立病院・療養所)や被告が、第2及び第3原告らに対して、退職して職を失うか、職を失いたく 採用しあるいは、国は、任用期間が満了する者を被告の委託事業者職員に就職あっせんしたのであり、賃金職員を国(国立病院・療養所)や被告が、第2及び第3原告らに対して、退職して職を失うか、職を失いたくないのであれば被告の非常勤職員又は被告の委託事業者職員になるかという選択を迫ったという事実はない。 したがって、二者択一を迫ったことが不法行為であるとする原告らの主張は理由がない。 ( )よって、第2及び3原告らの慰謝料請求は、その余の点について判断す るまでもなく、いずれも理由がない。 第4 結論 以上のとおりであるから、原告らの請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部- 44 -裁判長裁判官中西茂裁判官本多幸嗣裁判官千葉俊之は、差支えのため署名、押印することができない。 裁判長裁判官中西茂- 45 -- 46 -- 47 -- 48 -- 49 -- 50 -- 51 -- 52 -- 53 -- 54 -別紙賃金債権目録権利額支給額差額①②③④ABC同左の期間の期末AとBの差額の原告平成16年4月から平成16年4月から同左の期間のボー勤勉手当の合計額合計額平成18年6月まで平成18年6月までナスの合計額①③の差額②④の差額--の月額の合計賃金の月額の合計賃金5,255,0792,027,4963,274,792137,0001,980,2871,890,4963,870,7832-1P164,852,8531,776,7823,382,960137,0001,469,8931,639,7823,109,6752-2P174,708,2431,862,7792,878 ,852,8531,776,7823,382,960137,0001,469,8931,639,7823,109,6752-2P174,708,2431,862,7792,878,200137,0001,830,0431,725,7793,555,8222-3P184,813,9701,725,0513,275,694137,0001,538,2761,588,0513,126,3272-4P195,292,7002,030,8003,333,240137,0001,959,4601,893,8003,853,2602-5P202,496,409823,8781,404,00040,0001,092,409783,8781,876,2872-6P214,990,5501,843,1993,247,464137,0001,743,0861,706,1993,449,2852-7P225,335,4461,986,2122,926,224137,0002,409,2221,849,2124,258,4342-8P232,083,534755,2501,391,60040,000691,934715,2501,407,1842-9P244,982,3821,843,1993,413,444137,0001,568,9381,706,1993,275,1372-10P25(注1)権利額は、2004年4月移行した独立行政法人国立病院機構においても賃金職員であったと仮定した場合の賃金。計算方法は、実際働いた国立病院機構の非常勤職員の勤務時間を賃金職員の1日8時間・週40時間に換算して、厚労省発行の「賃金職員のてびき」を参照し 病院機構においても賃金職員であったと仮定した場合の賃金。計算方法は、実際働いた国立病院機構の非常勤職員の勤務時間を賃金職員の1日8時間・週40時間に換算して、厚労省発行の「賃金職員のてびき」を参照して日額単価、俸給の調整額、調整手当(地域手当、期末・勤勉手当を)計算した。 (注2)支給額は、独立行政法人国立病院機構で非常勤職員として採用されて、実際に支給された賃金(調整額が剥奪されて手当化された特殊業務手当を含む)およびボーナスを計上した。 (注3)原告・P21は平成17年3月末で退職、原告・P24は平成17年4月から常勤職員(療養介助職員)に採用されたため、2人とも平成17年3月までの賃金計算による比較となる。

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