平成23(ワ)30566 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年3月27日 東京地方裁判所
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平成25年3月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第30566号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成25年2月22日判決金沢市<以下略>原告ヱイワ機工株式会社同訴訟代理人弁護士松尾明弘同瀧澤慎一同訴訟復代理人弁護士秋山直美大阪市<以下略>被告有限会社メニ・テック大阪市<以下略>被告Y上記2 名訴訟代理人弁護士井上克己同三浦高敬主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告有限会社メニ・テック(以下「被告会社」という。)は,別紙1「被告商品目録」記載の商品を製造し,譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 2 被告らは,原告に対し,連帯して700万円及びこれに対する被告会社については平成23年10月1日から,被告Y(以下「被告Y」という。)については平成23年10月10日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支 払え。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。以下,証拠番号の枝番を省略することがある。)(1) 当事者ア原告は,石川県金沢市に本店を置く加湿機,空気調和機器の製造及び販売業等を営む会社である。 イ被告会社は,大阪市に本店を置く噴霧式加湿機,印刷周辺機器の販売業等を営む会社である。 ウ被告Yは,原告の元嘱託社員であり,平成22年12月末に原告を退社した後,平成23年2月頃からは,被告会社の従業員として稼働している。 〔甲33,弁論の全趣旨〕(2) 原告商品の製造販売原告は,平成5年以降,「クリ 員であり,平成22年12月末に原告を退社した後,平成23年2月頃からは,被告会社の従業員として稼働している。 〔甲33,弁論の全趣旨〕(2) 原告商品の製造販売原告は,平成5年以降,「クリーンウェッター」という商品名で業務用(主に印刷工場向け)の空気清浄加湿機(無水滴式加湿装置。エアワッシャ型とかエアーワッシャー方式とも呼ばれる。)を製造販売しており,平成16年11月からは,その改良版である「クリーンウェッターα」という商品名の空気清浄加湿機を併せて製造販売している。 「クリーンウェッターα」のうち,型番AW-71(以下「原告商品1」という。)の商品形態は別紙2「原告商品目録」【原告商品1】記載のとおりであり,また,型番AW-151(以下「原告商品2」といい,原告商品1と併せて「原告商品」という。)の商品形態は別紙2「原告商品目録」【原告商品2】記載のとおりである。〔甲1,46,乙2~4,弁論の全趣旨〕(3) 被告商品の製造販売被告は,平成22年12月以降,「エコシャワー」という商品名で業務用(主に印刷工場向け)の空気清浄加湿機(無水滴式加湿装置)を製造販売し ている。 「エコシャワー」のうち,型番MT-100(試作品)(以下「被告商品1-1」という。)の商品形態は別紙1「被告商品目録」【被告商品1-1】記載のとおりであり,また,型番MT-100(以下「被告商品1-2」といい,被告商品1-1と併せて「被告商品1」という。)の商品形態は別紙1「被告商品目録」【被告商品1-2】記載のとおりであり,さらに,型番MT-200(以下「被告商品2」といい,被告商品1と併せて「被告商品」という。)の商品形態は別紙1「被告商品目録」【被告商品2】記載のとおりである。〔甲2,乙1,弁論の全趣旨〕 2 本件は,原告が,被告 00(以下「被告商品2」といい,被告商品1と併せて「被告商品」という。)の商品形態は別紙1「被告商品目録」【被告商品2】記載のとおりである。〔甲2,乙1,弁論の全趣旨〕 2 本件は,原告が,被告らに対し,①原告が販売する原告商品の形態は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものであるところ,被告会社が販売する被告商品の形態はこれと類似するものであるから,被告会社が被告商品を販売することは,原告商品との混同を生じさせるものであり,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争に該当する,②被告会社は,原告の従業員であった被告Yから原告商品に関する情報の提供を受けるなどの協力を得て,被告商品を製造し,原告を退社した被告Yを雇用し,同人に被告商品の営業を行わせて販売しているのであるから,上記不正競争は被告らの共同不法行為に当たる,と主張して,不競法2条1項1号,3条1号に基づき,被告商品の製造販売等の差止めと,不競法4条,5条2項に基づき,損害賠償として700万円及びこれに対する訴状送達の日(被告会社につき平成23年10月1日,被告Yにつき同月10日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求める事案である。 3 争点(1) 原告商品の形態の商品等表示性(2) 原告商品の形態の周知性(3) 原告商品の形態と被告商品の形態の類似性 (4) 混同のおそれの有無(5) 被告商品1-1の販売の有無(6) 被告Yの責任(7) 故意又は過失の有無(8) 損害の発生及びその額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(原告商品の形態の商品等表示性)について〔原告の主張〕(1) 商品の形態は,①特定の商品の形態が同種の商品と識別しうる独自の特徴 生及びその額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(原告商品の形態の商品等表示性)について〔原告の主張〕(1) 商品の形態は,①特定の商品の形態が同種の商品と識別しうる独自の特徴を有し(特別顕著性),かつ,②それが長期間にわたり継続的にかつ独占的に使用され,又は短期間であっても強力に宣伝されるなどして使用された結果,それが,商品自体の機能や美観等の観点から選択されたという意味を超えて,自他識別機能又は出所表示機能を有するに至り,需要者の間で広く認識された場合(周知性)には商品等表示性が認められる。 (2) 上記(1)①(特別顕著性)の要件についてア主位的主張(ア) 原告商品1について原告商品1の形態は,次の点において他の商品と識別し得る独自の特徴を有している。 a ネジやビスを目立たないようにするためにほとんど使用しておらず,ほとんど凹凸がない塩化ビニール製の直方体の筐体である点(特徴①)b 正面上部に本体の幅一杯の長方形の濃い青色の格子状のアルミカバーが付いた空気吹出口,中央部やや下部には同じ大きさの長方形の同じ色のアルミカバーが付いた空気吸込口があり,空気吹出口と空気吸込口に挟まれる位置に,横幅が空気吹出口や空気吸込口の3分の2程度の長さで同じ大きさの長方形の点検口が上下に並んでおり,本体ほ ぼ中央に位置する下方の水槽部点検口は透明な塩化ビニール製の取っ手の付いた蓋が嵌められている点(特徴②)c 空気吹出口や空気吸込口よりも挟まれた位置にあるエリミネーター点検口と水槽部点検口の横幅を短くし,縦に並んだ四つの口のうち中ほどの二つの点検口が他の所に比べて細くなるようにデザインされている点(特徴③)d 透明な水槽部点検口から,本体内の水シャワーが大量の水を噴出している様子が見えるように に並んだ四つの口のうち中ほどの二つの点検口が他の所に比べて細くなるようにデザインされている点(特徴③)d 透明な水槽部点検口から,本体内の水シャワーが大量の水を噴出している様子が見えるようになっている点(特徴④)e 色については,白っぽいアイボリー色の本体に,濃い青色の空気吹出口と空気吸込口が上下に並び,それらに挟まれる本体ほぼ中央に透明な水槽部点検口があり,さらに上部の空気吹出口の左下には青色の文字で商品名と型式番号が記載されている点(特徴⑤)原告商品1は,上記のような特徴から,上記各構成部分の大きさ,形状,色,質感が有機的に結合して,需要者に対して全体として加湿機能と空気清浄機能,冷却効果を併せ持つ商品で,同業他社の商品よりも性能の進んだ商品であるという印象を与えている。 (イ) 原告商品2について原告商品2の形態は,次の点において他の商品と識別し得る独自の特徴を有している。 a ネジやビスを目立たないようにするためにほとんど使用しておらず,ほとんど凹凸がない塩化ビニール製の直方体の筐体である点(特徴①)b 正面上部に本体の幅一杯の長方形の濃い青色の格子状のアルミカバーが付いた2個の空気吹出口,中央部やや下部には同じ大きさの長方形の同じ色のアルミカバーが付いた2個の空気吸込口があり,空気吹出口と空気吸込口に挟まれる位置に,横幅が空気吹出口や空気吸込口とほぼ同じ長さ,同じ高さの長方形の点検口が上下に並んでおり,本 体ほぼ中央に位置する下方の水槽部点検口は透明な塩化ビニール製の取っ手の付いた蓋が嵌められている点(特徴②)c 2個の横に並べられた空気吹出口や空気吸込口よりも挟まれた位置にあるエリミネーター点検口と水槽部点検口の横幅を短くし,縦に並んだ4種類の口のうち中ほどの二つの点検口が他の所に比べて細く 徴②)c 2個の横に並べられた空気吹出口や空気吸込口よりも挟まれた位置にあるエリミネーター点検口と水槽部点検口の横幅を短くし,縦に並んだ4種類の口のうち中ほどの二つの点検口が他の所に比べて細くなるようにデザインされている点(特徴③)d 透明な水槽部点検口から,本体内の水シャワーが大量の水を噴出している様子が見えるようになっている点(特徴④)e 色については,白っぽいアイボリー色の本体に,濃い青色の空気吹出口と空気吸込口が上下に並び,それらに挟まれる本体ほぼ中央に透明な水槽部点検口があり,さらに上部の空気吹出口の左下には青色の文字で商品名と型式番号が記載されている点(特徴⑤)原告商品2は,上記のような特徴から,上記各構成部分の大きさ,形状,色,質感が有機的に結合して,需要者に対して全体として加湿機能と空気清浄機能,冷却効果を併せ持つ商品で,同業他社の商品よりも性能の進んだ商品であるという印象を与えている。 イ予備的主張(ア) 原告商品1について原告商品1の形態は,次の点において他の商品と識別し得る独自の特徴を有している。 a 筐体正面の上部に空気吹出口が設けられ,空気吹出口には筐体正面のほぼ全幅にわたり濃青色の格子状のアルミカバーが設置されている点(特徴①’)b 筐体正面の中心付近からやや上方にかけて,筐体と同色のエリミネーター点検口と透明色の水槽部点検口が垂直方向に,筐体正面の幅の6割程度の幅で設置されている点(特徴②’) c 筐体正面の中心付近よりも下方に空気吸込口が設けられ,空気吸込口には筐体正面のほぼ全幅にわたり濃青色の水平状のアルミカバーが設置されている点(特徴③’)(イ) 原告商品2について原告商品2の形態は,次の点において他の商品と識別し得る独自の特徴を有している。 a 筐 ほぼ全幅にわたり濃青色の水平状のアルミカバーが設置されている点(特徴③’)(イ) 原告商品2について原告商品2の形態は,次の点において他の商品と識別し得る独自の特徴を有している。 a 筐体正面の上部に空気吹出口が設けられ,空気吹出口には筐体正面のほぼ全幅にわたり二つの濃青色の格子状のアルミカバーが設置されている点(特徴①’)b 筐体正面の中心付近からやや上方にかけて,筐体と同色のエリミネーター点検口と透明色の水槽部点検口が垂直方向に,筐体正面の幅の5割程度の幅で設置されている点(特徴②’)c 筐体正面の中心付近よりも下方に空気吸込口が設けられ,空気吸込口には筐体正面のほぼ全幅にわたり二つの濃青色の水平状のアルミカバーが設置されている点(特徴③’)(ウ) 筐体正面からは,空気吹出口及びそのカバー,二つの点検口,空気吸込口及びそのカバーが上記のバランスで配置されていることから,需要者としては,右図の赤線部分ように,筐体全体が直方体であるにもかかわらず,曲線的なイメージをも観念することが可能となる。 原告の無水滴式加湿装置では,あえて上記のように二つの点検口を筐体の全幅よりも小さくすることで,曲線的なイメージを観念させるなど, 独特の外観を呈している。 (3) 上記(1)②(周知性)の要件について原告商品は,主に印刷工場で空気の清浄化や加湿のために使用される無水滴式加湿装置であり,原告及び被告に東邦精機株式会社(以下「東邦精機」という。)及び株式会社富田技研(以下「富田技研」という。)を加えた4社でほぼ市場を独占している状況にある。 そして,上記4社が製造する無水滴式加湿装置は,それぞれ商品の形態に特徴があり,需要者は商品の外観を見れば,その形態を備えた商品がどの会社の商品であるかを認識するこ 場を独占している状況にある。 そして,上記4社が製造する無水滴式加湿装置は,それぞれ商品の形態に特徴があり,需要者は商品の外観を見れば,その形態を備えた商品がどの会社の商品であるかを認識することができる。 さらに,原告の無水滴式加湿装置のマーケットシェアは,少なくとも8割程度あり,その形態に対する需要者の認識も高いと考えられること,原告は平成5年に「クリーンウェッター」の販売を開始した以降,多数の宣伝広告,展示会への出展等を行い自社商品のピーアールに務めていることからすると,原告商品の特徴ある形態は,需要者である印刷工場(あるいはその従業員)にとって他社商品との識別が可能であって,商品等表示として需要者の間で広く認識されているというべきである(詳細は争点(2)における原告の主張のとおり)。 〔被告らの主張〕(1) 「クリーンウェッターα」シリーズの加湿機は,「クリーンウェッター」シリーズの加湿機を改良したものであり,型番が異なるように別の商品である。また,機能面の改良にとどまらず,両シリーズの加湿機は,商品の形態(空気吸込口の形態や本体の色)も異なっている。 したがって,「クリーンウェッター」シリーズの形態をもって「クリーンウェッターα」シリーズである原告商品の商品形態について商品等表示性を論じるのは誤りである。 (2) 産業用加湿機は,商品の性質上,形態や色彩によって需要者が商品を識別 するのではなく,商品の仕様,機能,価格,メンテナンスの容易性等を比較検討して購入決定を行うものである。また,時期を異にして複数台購入する需要者は,アフターサービス面も検討要素としている。 したがって,原告が主張する原告商品の形態は,そもそも需要者の選択動機にはならないというべきである。 (3) 特別顕著性について産業製 需要者は,アフターサービス面も検討要素としている。 したがって,原告が主張する原告商品の形態は,そもそも需要者の選択動機にはならないというべきである。 (3) 特別顕著性について産業製品や工業製品については,製品に要求される性能を追求すると必然的に限られた形状になる。特に空調設備機器については,四角いパッケージに機器を納めることは業界の常識である。 原告商品も被告商品も同じような性能が要求される空調設備機器であるところ,以下のとおり,原告が商品表示性を主張する原告商品の形態は,他の同種商品の形態に比較して何ら特徴ある形態であるとはいえないから,識別機能も出所表示機能も認められない。 ア主位的主張について(ア) 特徴①についてa ネジやビスをほとんど使用していない点原告商品の本体は,塩化ビニール製(プラスチックの1種)である。 塩化ビニールを接合する場合,一般に,ネジやビスを余り用いない。 塩化ビニールの接合には,溶接を用いるのが一般的である。ネジやビスは鉄製であるため,ネジやビスの取り外しの回数が増えると,塩化ビニールのネジ穴の溝がつぶれ,締め付ける力が弱くなり,部材を締結する機能を発揮できないからである。 したがって,原告商品がネジやビスをほとんど使用していないのは,本体が塩化ビニールであることに由来するものである。 b ほとんど凹凸が無い塩化ビニール製の直方体の筺体である点塩化ビニールは,錆対策やコスト面を考慮すると,加湿機のユニッ トを覆う素材として最も適した素材といえる。他社の加湿機にも,塩化ビニールを利用したものが多い。 ほとんど凹凸がないのは,原材料である塩化ビニールそのものに凹凸がないことと,凹凸などの加工を施せば,それだけコストが膨らむからである。 また,原材料の塩化ビニールは長 ルを利用したものが多い。 ほとんど凹凸がないのは,原材料である塩化ビニールそのものに凹凸がないことと,凹凸などの加工を施せば,それだけコストが膨らむからである。 また,原材料の塩化ビニールは長方形である。これらを使用すると,加湿機のユニットを格納する形態は筺体となる。また,特に空調設備機器については,四角いパッケージに機器を収めることは業界の常識である。 (イ) 特徴②についてa 空気吹出口,空気吸込口の形状及び大きさ,アルミカバーについて空気吹出口の内部には,シロッコファンという円筒形のファンが内蔵されている(甲1の裏面の原告商品のシステム図,甲2の1の裏面の運転動作図,乙7)。空気吹出口の面積が小さいとそれだけ吹き出される空気の速度が速くなり,印刷工場の紙を飛ばしてしまうおそれがある。格子状のアルミカバーは,市販品であると思われる。以上の点から,空気吹出口の大きさ及び形状は自ずと決まってくる。 空気吸込口の面積が小さいとそれだけ吸い込む空気の速度が速くなり,印刷工場の紙を吸い込むおそれがある。アルミカバーは,市販品であると思われる。以上の点から,空気吸込口の形状及び大きさも自ずと決まってくる。 また,空気吸込口から吸い込んだ空気と同量又はほぼ同量の空気を吹き出さないと加湿機としての機能が最大限に発揮できない。空気吸込口が空気吹出口より大きいと空気を吹き出す速度が速くなる。逆に,空気吹出口が空気吸込口より大きいと加湿能力が落ちてしまう。 したがって,空気吸込口と空気吹出口の大きさはいわば相関関係に あり,大きさは同じかほぼ同じとする必要がある。 b 点検口の位置,大きさ,形状について原告商品は,エアワッシャ方式を採用している。同方式を採用した場合,空気吹出口,空気吸込口,二つの点検口の位置関係は,技術的 じかほぼ同じとする必要がある。 b 点検口の位置,大きさ,形状について原告商品は,エアワッシャ方式を採用している。同方式を採用した場合,空気吹出口,空気吸込口,二つの点検口の位置関係は,技術的な面から必然的に限定される。 点検口が3分の2程度の長さになっているのは,本体が塩化ビニール製のため,本体の幅一杯の点検口にすると,本体の強度に問題が生じるからである。 エリミネーター点検口の内部にあるエリミネーターは,一枚物ではなく,何枚かに分割された状態で配置されている。清掃の際に,エリミネーターを本体から取り出す必要があるため,上記点検口は取り出しやすいようにある程度の幅が必要となってくる。 したがって,点検口が本体の3分の2程度の長さになっているのは,技術的な理由に基づく。 c 水槽部点検口に透明な塩化ビニール製の取っ手の付いた蓋が嵌められている点メンテナンスの際にカバーを外す必要があることから取っ手をつける必要がある。透明な塩化ビニール製は,メンテナンス時期を容易に確認できるようにするためである。これらの形態は,機能的なものである。 (ウ) 特徴③について二つの点検口の横幅を短くし,縦に並んだ四つの口の中ほどの二つの点検口が他の所に比べて細くなっている理由は,前記(イ)bのとおりであり,いずれも技術的な理由に基づくものである。 (エ) 特徴④について本体内の水シャワーが大量の水を噴出している様子が見えるのは,エ アワッシャ方式の加湿機の点検口に透明な塩化ビニール製の原材料を用いたことの当然の結果である。 (オ) 特徴⑤についてアイボリー色は,業務用機械のみならず,家電製品においても一般的な色である。また,白系と濃い青系の色の組合せは,マリンカラーとも言われる組合せで一般的なものである。 イ (オ) 特徴⑤についてアイボリー色は,業務用機械のみならず,家電製品においても一般的な色である。また,白系と濃い青系の色の組合せは,マリンカラーとも言われる組合せで一般的なものである。 イ予備的主張について(ア) 特徴①’及び③’についてa 前記ア(イ)aのとおり,空気吹出口の内部には,シロッコファンという円筒形のファンが内蔵されている。空気吹出口の面積が小さいとそれだけ吹き出される空気の速度が速くなり,印刷工場の紙を飛ばしてしまうおそれがある。格子状のアルミカバーは,市販品であると思われる。以上の点から,空気吹出口の大きさ及び形状は自ずと決まってくる。 空気吸込口の面積が小さいとそれだけ吸い込む空気の速度が速くなり,印刷工場の紙を吸い込むおそれがある。水平状のアルミカバーは,市販品であると思われる。以上の点から,空気吸込口の形状及び大きさも自ずと決まってくる。 また,空気吸込口から吸い込んだ空気と同量又はほぼ同量の空気を吹き出さないと加湿機としての機能が最大限に発揮できない。空気吸込口が空気吹出口より大きいと空気を吹き出す速度が速くなる。逆に,空気吹出口が空気吸込口より大きいと加湿能力が落ちてしまう。 したがって,空気吸込口と空気吹出口の大きさはいわば相関関係にあり,大きさは同じかほぼ同じとする必要がある。 空気吹出口と空気吸込口が筺体正面のほぼ全幅にわたっているのは,十分な加湿機能を確保するためである。 b 原材料の塩化ビニールは長方形である。これらを使用すると,加湿機のユニットを格納する形態は筺体となる。また,特に空調設備機器については,四角いパッケージに機器を収めることは業界の常識である。 c 原告商品2のアルミカバーが二つになっているのは,本体が大きいため,カバーを一つにするよりもカバー 。また,特に空調設備機器については,四角いパッケージに機器を収めることは業界の常識である。 c 原告商品2のアルミカバーが二つになっているのは,本体が大きいため,カバーを一つにするよりもカバーを二つにした方が,メンテナンスの際の取り外しが容易になるからである。カバーの色彩である濃青色というありふれた色彩が商品の特徴とならないことはいうまでもない。 (イ) 特徴②’についてa 原告商品は,エアワッシャ方式を採用している。同方式を採用した場合,空気吹出口,空気吸込口,二つの点検口の位置関係は,技術的な面から必然的に限定される。 b 点検口が本体正面の5割から6割程度の幅になっているのは,本体が塩化ビニール製のため,本体の幅一杯の点検口にすると,本体の強度に問題が生じるからである。 エリミネーター点検口の内部にあるエリミネーターは,一枚物ではなく,何枚かに分割された状態で配置されている。清掃の際に,エリミネーターを本体から取り出す必要があるため,上記点検口は取り出しやすいようにある程度の幅が必要となってくる。 したがって,点検口が本体の5割から6割の幅になっているのは,技術的な理由に基づく。 c 曲線的なイメージも観念させるとの点に対して原告は,原告の無水滴式加湿装置では,あえて二つの点検口を筺体の全幅よりも小さくすることで,曲線的なイメージを観念させるなど,独特の外観を呈していると主張する。 しかし,曲線をイメージさせるようなシールが貼付されていたり,筺体部分に溝を彫る等の加工がされていたりすれば,原告の主張も理解できなくはないが,このような加工等が何ら施されていない原告商品をみて,需要者が曲線的なイメージを観念し得ないことは明らかである。 (4) 周知性について全て争う(詳細は争点 告の主張も理解できなくはないが,このような加工等が何ら施されていない原告商品をみて,需要者が曲線的なイメージを観念し得ないことは明らかである。 (4) 周知性について全て争う(詳細は争点(2)における被告らの主張のとおり)。 2 争点(2)(原告商品の形態の周知性)について〔原告の主張〕(1) 原告商品(「クリーンウェッター」を含むシリーズ全体)の形態は,次のとおり,遅くとも被告が被告商品の製造販売を開始した平成22年頃には,全国の印刷工場を営む需要者及び印刷機材や加湿機を販売する代理店,商社などの取引者の間で原告の商品を表示するものとして,周知であった。 ア原告の売上高原告商品の平成13年から平成22年までの間の売上高は,別紙3「売上高一覧表」記載のとおりである。すなわち,平成20年のリーマンショックの影響を受け,平成21年以降,売上高はほぼ半減し,1億1千万ないし1億2千万円程度となったが,それまでは2億3千万ないし2億7千万円の売上げがあった。 イ市場占有率(ア) 公式な市場占有率のデータはないので,次のとおり原告の市場占有率を算定する。 (イ) すなわち,印刷組合加盟企業件数のうち一定規模以上の企業に対する原告商品の納入会社件数の割合を市場占有率とする。ここで,印刷組合に加盟している企業件数には,大日本印刷株式会社のような巨大企業から従業員1,2名の小規模な企業まで含まれるが,原告商品のような加 湿機を工場に設置するような規模の企業は,せいぜい従業員10名以上の企業である。そして,全組合員のうち従業員10名以上の企業の割合は,全日本印刷工業組合連合会作成の平成22年度組合員台帳調査集計結果報告書(甲3)によれば,54.42%(1772社÷3256社)であるから,印刷組合加盟企業件数の ち従業員10名以上の企業の割合は,全日本印刷工業組合連合会作成の平成22年度組合員台帳調査集計結果報告書(甲3)によれば,54.42%(1772社÷3256社)であるから,印刷組合加盟企業件数の54.42%を基に算出すると別紙4「市場占有率計算書」のとおりとなる。 (ウ) まず,東京都では,印刷組合加盟企業件数のうち従業員10名以上の規模の推定企業件数は836件であり,これに対する原告納入会社件数は239件であるから,東京都における市場占有率は28.59%となる。 また,東京都を含めた関東地区(1都3県)では,印刷組合加盟企業件数のうち従業員10名以上の規模の推定企業件数は1051件であり,これに対する原告納入会社件数は354件であるから,関東地区における市場占有率は33.68%となる。 さらに,大阪府では,印刷組合加盟企業件数のうち従業員10名以上の規模の推定企業件数は342件であり,これに対する原告納入会社件数は108件であるから,大阪府における市場占有率は31.58%となり,関西地区(2府1県)では,従業員10名以上の規模の推定企業件数は520件であり,これに対する原告納入会社件数は197件であるから,関西地区(2府1県)における市場占有率は37.88%となる。 さらに,愛知県では,印刷組合加盟企業件数のうち従業員10名以上の規模の推定企業件数は154件であり,これに対する原告納入会社件数は64件であるから,愛知県における市場占有率は41.56%となる。 このように,全国主要都市圏における市場占有率は,28%ないし4 1%である。 (エ) なお,原告商品のような霧も蒸気も出さない無水滴の加湿機が販売される以前は,印刷工場では,噴霧式加湿機が設置されてきた。現在でも,噴霧式加湿機は値段が安いこと,また,ノズ 1%である。 (エ) なお,原告商品のような霧も蒸気も出さない無水滴の加湿機が販売される以前は,印刷工場では,噴霧式加湿機が設置されてきた。現在でも,噴霧式加湿機は値段が安いこと,また,ノズル型なので天井から吊すことができスペースを取らないことから,噴霧式加湿機を設置している印刷工場は,加湿機を設置している印刷工場の6割から7割程度を占めると言われている。 そのため,残りの3割から4割が印刷工場向けの無水滴の加湿機の市場となり,これを原告及び同業2社(東邦精機,富田技研)の3社で占めているので,印刷工場向けの無水滴の加湿機の市場に限れば,原告の市場占有率は少なくとも上記各市場占有率の倍以上になり,全国主要都市圏における市場占有率は,70%以上となる(28%÷4割)。 ウ宣伝広告原告は,平成4年頃から,ダイレクトメールのほかに,業界向け新聞,雑誌,インターネットの広告等において,原告商品の宣伝広告活動を展開し,原告表示が周知となるべく努力してきた。 すなわち,原告は,平成4年以降現在に至るまで,原告商品の広告を印刷業界向け新聞,雑誌やインターネット等に多数載せている。 エ展示会への出展原告は,平成3年頃から,全国の印刷業界向けの展示会に出展し,原告商品の宣伝広告活動を展開し,その形態が周知となるべく努力してきた。 すなわち,原告は,平成3年以降現在に至るまで,原告商品を全国の印刷業界向けの展示会に多数出展した。 (2) 仮に「クリーンウェッターα」シリーズに限ったとしても,原告の販売する同シリーズの形態は,全国の印刷工場を含む需要者及び印刷機材や加湿機を販売する代理店,商社などの取引者の間で原告の商品を表示するものとし て周知である。 すなわち,原告は,平成16年11月に「クリーンウェッターα」シ 場を含む需要者及び印刷機材や加湿機を販売する代理店,商社などの取引者の間で原告の商品を表示するものとし て周知である。 すなわち,原告は,平成16年11月に「クリーンウェッターα」シリーズの販売を開始し,平成24年1月までの間に合計で323台を販売している(「クリーンウェッター」全体の累計販売台数は約2200台である。)。 この間,原告は,ダイレクトメールのほかに,業界向け新聞,雑誌,インターネットの広告等において,「クリーンウェッターα」シリーズの宣伝広告活動を展開し,原告商品の形態が周知となるべく努力してきた。 また,原告は,平成17年11月頃から,全国の印刷業界向けの展示会に「クリーンウェッターα」シリーズを出展し,原告商品の宣伝広告活動を展開し,原告商品の形態が周知となるべく努力してきた。 これらの長年にわたる原告の宣伝,広告活動により,原告の販売する「クリーンウェッターα」シリーズの形態は,全国の印刷工場を含む需要者及び印刷機材や加湿機を販売する代理店,商社などの取引者の間で,原告商品を表示するものとして周知である。 〔被告らの主張〕原告の主張は争う。 前記1〔被告らの主張〕(1)のとおり,原告商品は「クリーンウェッターα」シリーズの加湿機であり,「クリーンウェッター」シリーズの加湿機とは機種が異なる。原告の主張によると,原告が原告商品の宣伝広告を展開し始めたのは平成17年11月頃とのことであり,「クリーンウェッター」及び「クリーンウェッターα」シリーズの全体を通じた販売台数約2200台のうち「クリーンウェッターα」シリーズの販売台数は僅か323台にすぎない。これらの事実からすると,原告商品に周知性を認めることなど到底できない。 また,原告が商品等表示性を主張する原告商品の形態は,他 クリーンウェッターα」シリーズの販売台数は僅か323台にすぎない。これらの事実からすると,原告商品に周知性を認めることなど到底できない。 また,原告が商品等表示性を主張する原告商品の形態は,他の同種商品の形態に比較して何ら特徴ある形態であるとはいえないことからも,原告商品の形態に周知性は認められない。 3 争点(3)(原告商品の形態と被告商品の形態の類似性)について〔原告の主張〕(1) 被告商品1―1及び1-2の形態は,原告商品1の形態とはほぼ同一形態であり,類似性が認められる。 すなわち,本体はアイボリー色の塩化ビニール製の筐体で,上部に空気吹出口,真ん中やや下部に空気吸込口がある。また空気吸込口上部に上から同じような形状,大きさのエリミネーター点検口,水槽部点検口があり,それぞれ同じような取っ手が付いている。さらに,空気吸込口下部に2箇所の同じような形状,大きさの点検口があり,取っ手が付いている。 また,商品全体の大きさについても,幅,奥行きは同じで,高さだけが被告商品が5センチメートル高いだけであり,吹出口,点検口,吸込口及び下部点検口の形状,大きさ,位置が同じで,エリミネーター点検口が透明か不透明かの違いだけであるから,商品全体の形態において,被告商品1-1及び被告商品1-2は原告商品1とほぼ同一である。 そのため,取引者又は需要者が,両表示の外観に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似なものと受け取るおそれがある。 したがって,被告商品1-1及び1-2の形態は原告商品1の形態と類似する。 (2) 被告商品2の形態は,原告商品2の形態とはほぼ同一形態であり,類似性が認められる。 すなわち,本体はアイボリー色の塩化ビニール製の筐体で,上部に2個の空気吹出口,真ん中やや下部に2個の空気吸込 ) 被告商品2の形態は,原告商品2の形態とはほぼ同一形態であり,類似性が認められる。 すなわち,本体はアイボリー色の塩化ビニール製の筐体で,上部に2個の空気吹出口,真ん中やや下部に2個の空気吸込口がある。また空気吸込口上部に上から同じような形状,大きさのエリミネーター点検口,水槽部点検口があり,それぞれ同じような取っ手が付いている。さらに,空気吸込口下部に3箇所の同じような形状,大きさの点検口があり,取っ手が付いている。 また,商品全体の大きさについても,幅,奥行きは同じで,高さだけが被 告商品が5センチメートル高いだけであり,吹出口,点検口,吸込口及び下部点検口の形状,大きさ,位置が同じで,エリミネーター点検口が透明か不透明かの違いだけであるから,商品全体の形態において,被告商品2は原告商品2とほぼ同一である。 そのため,取引者又は需要者が,両表示の外観に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似なものと受け取るおそれがある。 したがって,被告商品2の形態は原告商品2の形態と類似する。 〔被告らの主張〕被告商品がアイボリー色の塩化ビニール製の筐体で,上部に空気吹出口,真ん中やや下部に空気吸込口がある点,空気吸込口上部にエリミネーター点検口,エリミネーター点検口の下部に点検口があり,それぞれ取っ手が付いている点は認める。ただし,エリミネーター点検口の下部にある点検口には,アルパッキンが充填されている。 また,空気吸込口下部に2箇所の点検口があり,取っ手が付いている点,被告商品の大きさが別紙1「被告商品目録」各商品の図面記載のサイズであることは認める。 その余は否認ないし争う。 4 争点(4)(混同のおそれの有無)について〔原告の主張〕(1) 前記3〔原告の主張〕(1)のとおり,被告らの販売する被告商 面記載のサイズであることは認める。 その余は否認ないし争う。 4 争点(4)(混同のおそれの有無)について〔原告の主張〕(1) 前記3〔原告の主張〕(1)のとおり,被告らの販売する被告商品1-1及び1-2は,原告の販売する原告商品1とほぼ同一形態である。そして,原告商品1の形態は,原告の商品を示すものとして周知である。さらに,原告商品1は,印刷工場向けの加湿機・空気清浄機であり,被告商品1-1及び1-2も原告と同じ印刷工場向けの加湿機・空気清浄機であり,取引者及び需要者が共通することからすれば,取引者及び需要者において,商品形態がほぼ同一形態で,原告商品と類似である被告商品とが,同一の商品である,あ るいは同一の出所を有するものと誤信するから,被告商品1-1及び1-2が,原告商品1と混同を生ずるおそれが大きい。 (2) 前記3〔原告の主張〕(2)のとおり,被告らの販売する被告商品2は,原告の販売する原告商品2とほぼ同一形態である。そして,原告商品2の形態は,原告の商品を示すものとして周知である。さらに,原告商品2は,印刷工場向けの加湿機・空気清浄機であり,被告商品2も原告と同じ印刷工場向けの加湿機・空気清浄機であり,取引者及び需要者が共通することからすれば,取引者及び需要者において,商品形態がほぼ同一形態で,原告商品と類似である被告商品とが,同一の商品である,あるいは同一の出所を有するものと誤信するから,被告商品2が,原告商品2と混同を生ずるおそれが大きい。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 5 争点(5)(被告商品1-1の販売の有無)について〔原告の主張〕被告会社は,試作品である被告商品1-1も商品として販売している。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 被告商品1-1は飽くまで試作品であ 品1-1の販売の有無)について〔原告の主張〕被告会社は,試作品である被告商品1-1も商品として販売している。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 被告商品1-1は飽くまで試作品である。被告会社は,展示していた試作品を1台限り販売しただけであり,現在は販売していない。 6 争点(6)(被告Yの責任)について〔原告の主張〕被告会社は,原告の従業員であった被告Yから原告商品の情報の提供受けるなどの協力を得て,被告商品を製造し,原告を退社した被告Yを雇用し,被告商品の営業を行わせて販売しているのであるから,被告らは共同して被告製品を製造販売しているものである。 よって,被告Yも被告会社と共同して不正競争を行った者として責任を負う。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 被告会社は,被告Yを雇用する以前より,被告商品を製造し,販売している。 また,被告商品の製造販売は被告会社が行っているものであり,被告Yは被告会社の販売担当者にすぎない。 7 争点(7)(故意又は過失の有無)について〔原告の主張〕被告会社は,以前から原告が原告商品を製造販売していることを知っていたし,原告の社員であった被告Yから原告商品の情報の提供を受けるなどの協力を得て,被告商品を開発,製造し,原告を退社した被告Yを雇用し,被告商品の営業を行わせて販売しているのであるから,被告商品を製造,譲渡,引渡しをして不正競争を行うにつき故意又は過失があるというべきである。 また,被告Yは,元原告の従業員であるから,被告商品を製造,譲渡,引渡しをして不正競争を行うにつき故意又は過失があるというべきである。 〔被告らの主張〕被告Yが被告会社の担当者として,被告商品の営業,販売をしている点は認め,その余は否認ないし争う。 8 争点(8) て不正競争を行うにつき故意又は過失があるというべきである。 〔被告らの主張〕被告Yが被告会社の担当者として,被告商品の営業,販売をしている点は認め,その余は否認ないし争う。 8 争点(8)(損害の有無及び額)について〔原告の主張〕(1) 損害の発生原告は,平成5年以降現在まで,原告商品を製造販売している。 (2) 損害額(不競法5条2項)被告会社は,平成23年1月1日から平成23年7月31日までの間に,被告商品を少なくとも合計11台販売しており(別紙5「被告商品販売台数」参照),その売上推定額は,以下のとおり1639万円である。 すなわち,被告商品1の代理店価格は1台当たり124万円,被告商品2 の代理店価格は1台当たり174万円である。また,販売機種不明(販売された機種は,被告商品1と被告商品2のうちのいずれかであるが,いずれであるかは不明であるもの)の分については,124万円と174万円の平均の149万円として算出した。また,被告商品1-1(試作品)の価格は,被告商品1-2と同額として算定した。 そこで,売上推定額を計算すると,次のとおり1639万円となる。 (計算式)124 万円×4 台+174 万円×4 台+149 万円×3 台=1639 万円そして,被告利益率は原告と同じ程度と推定されるので,原告の平成22年度決算の利益率46.37%を適用する。 そうすると,被告推定利益額は,次のとおり約760万円になる。 (計算式)1639 万円×46.37%=760 万0043 円このように,被告は,被告商品の販売により合計約760万円の利益を得たところ,被告がその販売により得た利益額約760万円は,不正競争防止法5条2項により原告の損害額と推定される。 よって,原告の損害額は700万 ,被告商品の販売により合計約760万円の利益を得たところ,被告がその販売により得た利益額約760万円は,不正競争防止法5条2項により原告の損害額と推定される。 よって,原告の損害額は700万円を下らない。 (3) したがって,被告らは,原告に対し,不法行為に基づき,連帯して700万円の損害賠償義務を負う。 〔被告らの主張〕争う。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実証拠(甲1,5~26,29,30,32,46)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 原告商品の種類原告は,商品名を「クリーンウェッター」とする業務用の空気清浄加湿機(無水滴式加湿装置)を,遅くとも平成5年頃から製造販売している。 「クリーンウェッター」には,AW-20,AW-30,AW-50,AW-70,AW-100,AW-150という全部で5種類の型式が存在する。それぞれの外観及び発売日は,別紙6のとおりである。 「クリーンウェッターα」は,メンテナンスの負担を軽減した改良型として平成16年11月頃から製造販売されているものであり,AW-51,AW-71(原告商品1),AW-101,AW-151(原告商品2),AW-201という全部で5種類の型式がある。それぞれの外観及び発売日は,別紙7のとおりである。 (2) 原告商品の形態ア 「クリーンウェッター」シリーズの形態(ア) アイボリー色の塩化ビニール製の直方体の筐体である(ただし,AW-20は,筐体前部の上部に設けられた空気吹出口が前部に突出している。)。 (イ) 筐体前部の最上部には空気吹出口が設けられ,空気吹出口には一つ又は二つの濃青色の格子状のアルミカバーが取り付けられており,カバーはほぼ筐体の全幅にわたっている。空気吹出口の左下には,商品名が青 イ) 筐体前部の最上部には空気吹出口が設けられ,空気吹出口には一つ又は二つの濃青色の格子状のアルミカバーが取り付けられており,カバーはほぼ筐体の全幅にわたっている。空気吹出口の左下には,商品名が青色で表示されている。 (ウ) 空気吹出口よりやや下方には,筐体正面の幅より狭く,上下に二つの長方形の点検口が設けられている。上方のエリミネーター点検口は筐体と同色であり,下方の水槽部点検口は透明色である。二つの点検口の左右には,それぞれアイボリー色で同一形状の取っ手が取り付けられている。 (エ) 筐体前面の最下部には空気吸込口が設けられ,空気吸込口には一つ又は二つの濃青色の水平筋状のアルミカバーが取り付けられており,カバーはほぼ筐体の全幅にわたっている。 (オ) 空気吸込口の直上には,点検口が設けられている。 (カ) 点検口の左右両側には,湿度制御器,操作スイッチ及び湿度センサーが取り付けられている。 イ 「クリーンウェッターα」シリーズの形態(ア) アイボリー色の塩化ビニール製の直方体の筐体である。 (イ) 筐体前部の最上部には空気吹出口が設けられ,空気吹出口には一つ又は二つの濃青色の格子状のアルミカバーが取り付けられており,カバーはほぼ筐体の全幅にわたっている。空気吹出口の右直下には湿度センサーが取り付けらており,空気吹出口の左下には,商品名が青色で表示されている。 なお,空気吹出口の内部には,シロッコファンという円筒形のファンが内蔵されている(甲1の裏面の原告商品のシステム図,甲2の1の裏面の運転動作図,乙7)。 (ウ) 空気吹出口よりやや下方には,筐体正面の幅より狭く,上下に二つの長方形の点検口が設けられている。上方のエリミネーター点検口は筐体と同色であり,下方の水槽部点検口は透明色である。二つの点検口の左 ) 空気吹出口よりやや下方には,筐体正面の幅より狭く,上下に二つの長方形の点検口が設けられている。上方のエリミネーター点検口は筐体と同色であり,下方の水槽部点検口は透明色である。二つの点検口の左右には,それぞれアイボリー色で同一形状の取っ手が取り付けられている。 (エ) 水槽部点検口の真下には空気吸込口が設けられ,空気吸込口には一つ又は二つの濃青色の水平筋状のアルミカバーが取り付けられており,カバーはほぼ筐体の全幅にわたっている。 (オ) 筐体全面の最下部には,電気制御盤ハッチと点検口がほぼ同じ大きさで筐体と同じ色で設けられている。 (カ) 電気制御盤ハッチの直上には湿度制御器及び操作スイッチが取り付けられている。 (3) 原告商品の宣伝広告及び販売状況ア原告商品の販売台数 「クリーンウェッターα」を含むシリーズ全体の販売台数(ただし,平成5年から平成23年まで)は,次のとおり合計2200台であり(甲32),平成16年以降の販売台数961台のうち323台が「クリーンウェッターα」の販売台数である。 平成5年14台平成6年39台平成7年43台平成8年92台平成9年127台平成10年134台平成11年156台平成12年166台平成13年154台平成14年130台平成15年204台平成16年175台平成17年150台平成18年159台平成19年151台平成20年136台平成21年69台平成22年67台平成23年54台合計2220台イ原告の売上高「クリーンウェッターα」を含むシリーズ全体の売上高(ただし,平成 13年から平成22年まで)は,平成20年まで 67台平成23年54台合計2220台イ原告の売上高「クリーンウェッターα」を含むシリーズ全体の売上高(ただし,平成 13年から平成22年まで)は,平成20年までは概ね2億3000万円から2億7000万円程度で推移したが,平成21年以降は1億1000万円程度にとどまっている。 ウ宣伝広告(ア) 原告は,平成4年頃から,ダイレクトメールのほかに,業界向け新聞や雑誌,インターネット上で「クリーンウェッター」の宣伝広告を掲載している。これらの宣伝広告は,商品の特徴として,①霧(水滴)や蒸気が出ない加湿機であること,②冷却機能があること,③空気清浄効果があること,④水道水を使用しても白粉が発生しないこと,⑤自動排水装置が付いていること,⑥低ランニングコストであること等をうたっているが,特に商品形態をピーアールしているものはない。 (イ) 原告は,遅くとも平成17年12月以降,自社製品のパンフレットに「クリーンウェッターα」シリーズを掲載するようになり,平成20年12月以降は,ダイレクトメール,自社ホームページ,ウェブサイト上の宣伝広告にも同シリーズを掲載するようになった。これらの宣伝広告は,商品の特徴として,①印刷工場内に浮遊している紙粉,パウダー等を循環水槽にダイレクトに回収し,②回収された不純物は自動給水・排水装置作動時,効率よく排出されるため,印刷工場などの塵,埃が多い環境での使用に適していること等をうたっているが,特に商品形態をピーアールしているものはない。 エ展示会への出展原告は,「クリーンウェッター」については平成3年頃から,「クリーンウェッターα」については平成17年11月頃から全国の印刷業界向けの展示会に出展して,これらの商品の宣伝広告活動を展開している。 主なものとし ーンウェッター」については平成3年頃から,「クリーンウェッターα」については平成17年11月頃から全国の印刷業界向けの展示会に出展して,これらの商品の宣伝広告活動を展開している。 主なものとしては,印刷機材団体協議会主催の国際グラフィックアーツ総合機材展「IGAS’95」(平成7年9月14日~同月18日・甲2 1の1),同「IGAS’97」(平成9年10月6日~同月10日・甲21の2),同「IGAS’99」(平成11年9月20日~24日・甲21の3),同「IGAS’2011」(平成23年9月16日~21日・甲21の4,甲30の5),PRIMEDEX協議会主催の「PRIMEDEXTOKYO 2008」(平成20年9月18日~20日・甲22),「JP’97印刷総合機材展」(甲23の1),「JP2011情報・印刷産業展」(甲23の2),「2006実装プロセステクノロジー展」(甲24,甲30の2),「2006九州印刷機材展」(甲30の1),「インターネプコンジャパン」(甲30の3),「N-EXPO/KANSAI’09」(甲30の4)等があり,これらの展示会では,商品の特徴として,①水が出ないこと(霧が見えないこと)や,②湿度を一定に保ち静電気によるトラブルを解消すること,③集塵機能に優れており,空気清浄効果もあること等がうたわれていたが,特に商品形態をピーアールした形跡はない。 オ雑誌,新聞等への掲載「クリーンウェッター」は,平成4年12月頃に印刷業界向け月刊誌「印刷界」で取り上げられた(甲7の1。ただし,そこに掲載されているAW-100は,空気吹出口が前方にやや突出し,しかも3方向を向いている形態のものであって,原告商品とは形態が大きく異なる商品である。)ほか,平成8ないし10年頃には日本印刷新聞(甲7の6)に,平 AW-100は,空気吹出口が前方にやや突出し,しかも3方向を向いている形態のものであって,原告商品とは形態が大きく異なる商品である。)ほか,平成8ないし10年頃には日本印刷新聞(甲7の6)に,平成12年10月24日付けで印刷業界向け新聞印刷タイムズ(甲7の3)に取り上げられ,「クリーンウェッターα」は,平成23年10月25日付けで印刷業界向け新聞プリテックステージニュース(甲7の4)に取り上げられた。 これらの記事においては,商品の特徴として,①水滴(霧)や蒸気が出ないこと,②低ランニングコストであること,③白粉が発生しないこと, ④自動排水装置を備えていること,⑤冷却効果のある加湿機であること,⑥空気清浄効果があること等が紹介されているが,特に商品形態に特徴があるとして取り上げている記事はない。 (4) 他社製品原告商品と競合する無水滴式加湿装置としては,東邦精機の「あじさい」(型式THR-20C,THR-30S,THR-30F,THR-60F,THR-80Fの5機種。以下「あじさい」という。甲5,32)と,富田技研の「テス・スクラバー加湿装置」(型式TES-TWT10,TES-TWT20,TES-TWT30,TES-TWT40,TES-TWT50,TES-TWT60の6機種。以下「テス・スクラバー」という。甲6,32)が存在する。 ア 「あじさい」の形態(ア) 白色又は黄土色の略直方体の筐体であって,筐体正面の最上部付近が前方に突出している(ただし,THR-20Cを除く。同機種は筐体正面の最上部付近が突出しておらず,直方体の筐体である。)。 (イ) 筐体前面上部(突出部)には,空気吹出口が設けられ,空気吹出口には一つ又は二つの黒色の格子状のカバーが取り付けられている。 (ウ) 空気吹出口の下方には, おらず,直方体の筐体である。)。 (イ) 筐体前面上部(突出部)には,空気吹出口が設けられ,空気吹出口には一つ又は二つの黒色の格子状のカバーが取り付けられている。 (ウ) 空気吹出口の下方には,筐体正面の全幅にわたって,上下に二つの長方形の点検口が設けられている。上方のエリミネーター点検口と下方の点検口とはその大きさがほぼ同一であり,エリミネーター点検口は筐体と同色,下方の点検口は透明色である。二つの点検口の左右には,それぞれ同一形状の取っ手が取り付けられている。 (エ) 点検口の下には,空気吸込口が開口している。 (オ) 筐体前面の下部には,電気制御盤と点検口が設けられ,電気制御盤には湿度制御器及び操作スイッチが設けられている。 イ 「テス・スクラバー」の形態 (ア) クリーム色の筐体であって,筐体全体の上方3分の2あるいは4分の1に位置する筐体上部においてはその背面がセットバック状に傾斜している(ただし,TES-TWT10を除く。同機種は筐体上部の背面が傾斜しておらず,直方体の筐体である。)。 (イ) 筐体前面の最上部には,上記筐体上部の8割程度の幅で空気吹出口が設けられ,空気吹出口には銀色の水平筋状のカバーが取り付けられている(ただし,TES-TWT10を除く。同機種は空気吹出口が筐体前面ではなく上部に設けられている。)。 (ウ) 空気吹出口の下方には,筐体正面に白色のビス留めのパネルが取り付けられている(ただし,TES-TWT10を除く。)。 (エ) 筐体正面の中心付近には,筐体正面の8割程度の幅で空気吸込口が設けられており,同空気吸込口には取外し式のフィルターが取り付けられている。 (オ) 空気吸込口の下方には,筐体正面に白色のビス留めのパネルが取り付けられている。 (カ) (オ)のパネルの下方には, られており,同空気吸込口には取外し式のフィルターが取り付けられている。 (オ) 空気吸込口の下方には,筐体正面に白色のビス留めのパネルが取り付けられている。 (カ) (オ)のパネルの下方には,コントロールパネルが設けられ,湿度制御器及び操作スイッチが設けられている。 (5) 被告商品被告商品の形態は,それぞれ,別紙1「被告商品目録」【被告商品1-1】【被告商品1-2】【被告商品2】に記載のとおりである。 2 争点(1)(原告商品の形態の商品等表示性)について(1) 商品の形態と商品等表示性不競法2条1項1号にいう「商品等表示」とは,人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいい,商品の形態は,商品等と異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないから,商品の形態自体が不競法2条1項1号 に「商品等表示」に該当するためには,①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要するものと解するのが相当である。 (2) 原告商品の形態の特別顕著性ア原告の主位的主張について(ア) 特徴①につき原告は,ネジやビスを目立たないようにするためにほとんど使用しておらず,ほとんど凹凸がない塩化ビニール製の直方体の筐体である点に,原告商品の特徴があると主張する(特徴①)。 しかし,「ネジやビスをほとんど使用していない」との点については,原告自身,加湿機としての特性上,水槽部などの水回り部分は水 の直方体の筐体である点に,原告商品の特徴があると主張する(特徴①)。 しかし,「ネジやビスをほとんど使用していない」との点については,原告自身,加湿機としての特性上,水槽部などの水回り部分は水漏れを防止するために塩ビ板の接合部をネジやビスによって接合するのではなく溶接により接合することは当たり前であると認めているように(原告第7準備書面第5の1〔2頁〕参照),水回り部分にネジやビスを使用しないのは,意匠上の理由というよりも,主に機能上の理由によるものであって,原告商品独自の特徴であるとはいえない。また,その他の部分についても,ネジやビスをほとんど使用していないということが,他の同種商品と比べて特徴的であるとか,商品の形態に大きな差異をもたらしていると認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,「ネジやビスをほとんど使用していない」という点をもって,原告商品の形態が客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 また,「ほとんど凹凸がない」「塩化ビニール製」という点について も,それが他の同種商品と比べて特徴的であるとか,商品の形態に大きな差異をもたらしていると認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,これらの点をもって,原告商品の形態が客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 さらに,「直方体の筐体」であるとの点についても同様である。すなわち,証拠(甲5,6,40~43,47)及び弁論の全趣旨によれば,原告が主張するとおり,原告の商品を含む従来型の商品は,吹出口の部分が前方に突出しているものが多数を占めていたが,これは主に内蔵する送風機の大きさ,形状に由来する機能上のものであって,意匠上の理由によるものではなかったと認められる。また,原告が一連の商 出口の部分が前方に突出しているものが多数を占めていたが,これは主に内蔵する送風機の大きさ,形状に由来する機能上のものであって,意匠上の理由によるものではなかったと認められる。また,原告が一連の商品であると主張する「クリーンウェッター」及び「クリーンウェッターα」シリーズの中にも,筐体前部の上部に設けられた空気吹出口が前部に突出している機種(AW-20)が存在していること,他方で,他社製品である富田技研の「テス・スクラバー」には,筐体上部の背面が傾斜していない機種(TES-TWT10)があり,東邦精機の「あじさい」にも,筐体正面の最上部付近が突出していない機種(THR-20C)があることは,いずれも前記認定のとおりであって,このように,原告の商品自体が必ずしも直方体の筐体で統一されているわけではなく,他社製品の中にも似たような筐体を持つものが存在することからすれば,直方体の筐体であることが必ずしも原告商品独自の形態であるということはできない。かえって,業務用の空調設備機器全般についてみれば,床置き型の空調設備機器において四角い筐体に内部機器を収めることは,通常よく見られる形態の一つであると認められる(乙10,11)。 ほかに,直方体の筐体であることが,他の同種商品と比べて特徴的であるとか,商品の形態に大きな差異をもたらしていると認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,「直方体の筐体」である点をもって,原告商品の形態が客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 以上によれば,特徴①に関する原告の主張は採用できない。 (イ) 特徴②につき原告は,正面上部に本体の幅一杯の長方形の濃い青色の格子状のアルミカバーが付いた1個又は2個の空気吹出口,中央部やや下部には同じ大きさの長方形 原告の主張は採用できない。 (イ) 特徴②につき原告は,正面上部に本体の幅一杯の長方形の濃い青色の格子状のアルミカバーが付いた1個又は2個の空気吹出口,中央部やや下部には同じ大きさの長方形の同じ色のアルミカバーが付いた1個又は2個の空気吸込口があり,空気吹出口と空気吸込口に挟まれる位置に,横幅が空気吹出口や空気吸込口とほぼ同じ長さ(原告商品1にあっては3分の2程度の長さ),同じ高さ(大きさ)の長方形の点検口が上下に並んでおり,本体ほぼ中央に位置する下方の水槽部点検口は透明な塩化ビニール製の取っ手の付いた蓋が嵌められている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,空気清浄加湿機という商品の性質上,本体の正面に空気吹出口と空気吸込口を設けることは,機能上ないし技術上通常の設計思想であって,当然あり得る選択肢の一つというべきであるし,他社製品や他の床置き型の空調設備機器でもごく普通に採用されている形態の一つであると認められる(甲5,6,42,乙10,11)。また,空気吸出口及び空気吸込口の位置,形状,大きさは,機能上,自ずと一定の制約を受けるものであって,他社製品と比べても原告商品のそれが特に顕著な特徴を有するものとは認められない。空気吸出口及び空気吸込口に濃い青色の格子状のアルミカバーが設けられている点についても,カバーを設けること自体は他社製品にも見られることであって,何ら特徴ある形態であるということはできないし,カバーが格子状であることや濃い青色であることも通常あり得る形態というべきである(配色については, これを顕著な特徴とみることができないことは,後記(オ)のとおりである。)。 また,点検口の位置,形状,大きさや,下方の水槽部点検口に透明な塩化ビニール製の取っ手の付いた蓋が嵌められている点について を顕著な特徴とみることができないことは,後記(オ)のとおりである。)。 また,点検口の位置,形状,大きさや,下方の水槽部点検口に透明な塩化ビニール製の取っ手の付いた蓋が嵌められている点についても,同様であり,他社製品と比べても特に顕著な特徴があるとは認められない。 ほかに原告が主張する上記の点が,他の同種商品と比べて特徴的であるとか,商品の形態に大きな差異をもたらしていると認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,上記の点をもって,原告商品の形態が客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 以上によれば,特徴②に関する原告の主張は採用できない。 (ウ) 特徴③につき原告は,空気吹出口や空気吸込口(原告商品2にあっては,横に2個並べられている。)よりも挟まれた位置にあるエリミネーター点検口と水槽部点検口の横幅を短くし,縦に並んだ四つ(4種類)の口のうち中ほどの二つの点検口が他の所に比べて細くなるようにデザインされている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,点検口の方が空気吹出口や空気吸込口よりも横幅が短く設計されているといっても程度問題であって,原告の「クリーンウェッター」でも,例えば,AW-20という型では,他の商品よりは点検口の横幅が広く設計されており(甲46),外観的には,空気吹出口や空気吸込口の横幅とそれほど変わらない印象を受けるものと認められる。 したがって,原告が主張する上記の点は,他社製品と比べても,それほど特徴的であるとは認められず,ほかにそのように認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,特徴③に関する原告の主張は採用できない。 (エ) 特徴④につき原告は,透明な水槽部点検口から,本体内の水シャワーが大量の水を噴出している様子が見える 確な証拠はない。 よって,特徴③に関する原告の主張は採用できない。 (エ) 特徴④につき原告は,透明な水槽部点検口から,本体内の水シャワーが大量の水を噴出している様子が見えるようになっている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,筐体前部に設けられた点検口を透明なものとすることは,機能上当然あり得る設計であって,実際に他社製品にも見られる設計である(東邦精機の「あじさい」の空気吹出口の下に設けられた上下2段の点検口のうち下段の点検口が透明であることは,前記認定のとおりである。)から,原告が主張する上記の点は,他社製品と比べても,それほど特徴的であるとは認められず,ほかにそのように認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,特徴④に関する原告の主張は採用できない。 (オ) 特徴⑤につき原告は,色については,白っぽいアイボリー色の本体に,濃い青色の空気吹出口と空気吸込口が上下に並び,それらに挟まれる本体ほぼ中央に透明な水槽部点検口があり,さらに上部の空気吹出口の左下には青色の文字で商品名と型式番号が記載されている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,業務用の空調設備機器(空気清浄機,加湿機を含む)において,本体の色を白色系にすることや,空気吹出口,空気吸込口の色を濃い色にすることは,ごく普通にみられる配色であって(乙11),原告商品の競合品である東邦精機の「あじさい」,富田技研の「テス・スクラバー」においても,多かれ少なかれそのような配色を採用しているものと認められることは,前記認定のとおりである。 また,点検口を透明なものとすることが機能上当然あり得る設計であることは前記のとおりであるし,商品名と型式番号を青色で表示するこ とが,独特の配色であるとも認められない。 りである。 また,点検口を透明なものとすることが機能上当然あり得る設計であることは前記のとおりであるし,商品名と型式番号を青色で表示するこ とが,独特の配色であるとも認められない。 したがって,原告が主張する上記の配色が,他の同種商品と比べて特徴的であるとか,商品の形態に大きな差異をもたらしていると認めることはできず,ほかにそのように認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,この点をもって,原告商品の形態が客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 以上によれば,特徴⑤に関する原告の主張は採用できない。 イ予備的主張について(ア) 特徴①’につき原告は,筐体正面の上部に空気吹出口が設けられ,空気吹出口には筐体正面のほぼ全幅にわたり1個又は2個の濃青色の格子状のアルミカバーが設置されている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,原告商品における空気吹出口の位置,形状,大きさ,同空気吹出口に設けられたアルミカバーの形態,配色が,何ら特徴ある形態と認められないことは,前記ア(イ)のとおりである。 よって,特徴①’に関する原告の主張は採用できない。 (イ) 特徴②’につき原告は,筐体正面の中心付近からやや上方にかけて,筐体と同色のエリミネーター点検口と透明色の水槽部点検口が垂直方向に,筐体正面の幅の5ないし6割程度の幅で設置されている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,この点は主位的主張の特徴③と実質的に同じ主張であると解されるところ,かかる主張が採用できないことは,前記ア(ウ)のとおりである。 また,原告は,空気吹出口及びそのカバー,二つの点検口,空気吸込口及びそのカバーの配置バランスから,需要者としては,筐体全体が直 方体であ できないことは,前記ア(ウ)のとおりである。 また,原告は,空気吹出口及びそのカバー,二つの点検口,空気吸込口及びそのカバーの配置バランスから,需要者としては,筐体全体が直 方体であるにもかかわらず,曲線的なイメージをも観念することが可能となる,とも主張する。 しかし,空気吹出口及びそのカバー,二つの点検口,空気吸込口及びそのカバーは,いずれも四角形の形状をしており,ほかに看者の注目を集めるような曲線が筐体正面に描かれたり彫られたりしているわけではない以上,その配置上のバランスだけで,直ちに原告が主張するような曲線的なイメージを観念することは困難というほかない。 よって,特徴②’に関する原告の主張は採用できない。 (ウ) 特徴③’につき原告は,筐体正面の中心付近よりも下方に空気吸込口が設けられ,空気吸込口には筐体正面のほぼ全幅にわたり1個又は2個の濃青色の水平上のアルミカバーが設置されている点に,原告商品の特徴があると主張する。 しかし,原告商品における空気吸込口の位置,形状,大きさ,同空気吸込口に設けられたアルミカバーの形態,配色が,何ら特徴ある形態と認められないことは,前記ア(イ)のとおりである。 また,筐体正面の中心付近よりも下方に空気吸込口が設けられている点についても,空気吹出口と空気吸込口を上下2段に配置し,その間に点検口を設けるとすれば,下段に配置される吹出口又は吸込口は自ずと筐体正面の中心付近になるというべきであって,それが中心付近よりもやや下方になるか上方になるかは設計上の相違にすぎず,この点をもって原告商品の特徴とみることはできないというべきである。 よって,特徴③’に関する原告の主張は採用できない。 ウ以上のとおり,原告商品における空気吹出口,空気吸込口,エリミネーター点検 をもって原告商品の特徴とみることはできないというべきである。 よって,特徴③’に関する原告の主張は採用できない。 ウ以上のとおり,原告商品における空気吹出口,空気吸込口,エリミネーター点検口及び水槽部点検口等の位置関係,配置,構造は,業務用の空気清浄加湿機という商品の機能上ないし技術上の制約からくる不可欠の形態 ないしは通常選択されるべき形態であって,業務用の空気清浄加湿機の形態として通常ありふれた形態というべきであり,また,原告が主張するその他の原告商品の形態の特徴に関しても,主位的主張及び予備的主張のいずれについても採用することができないから,原告商品の形態に特別顕著性を認めることはできないというべきである。 (3) 原告商品の形態の周知性原告商品の宣伝広告及び販売状況は前記1(3)に認定のとおりであるが,前記1(2)ア及びイのとおり,原告商品には「クリーンウェッター」シリーズと「クリーンウェッターα」シリーズとがあり,両者は,空気吹出口,空気吸込口,エリミネーター点検口,水槽部点検口等の位置関係,配置,構造が異なっていることから,形態が異なる商品といわざるを得ないところ,原告が原告商品の形態であると主張するのは「クリーンウェッターα」シリーズの形態であるから,上記原告商品の宣伝広告及び販売状況のうち,「クリーンウェッター」シリーズに関するものは,原告商品の形態の周知性を基礎付ける事実と認めることはできない。そうすると,「クリーンウェッターα」シリーズの宣伝広告は平成17年11月以降であって,その質及び量とも僅かであること,「クリーンウェッター」及び「クリーンウェッターα」シリーズの全体を通じた販売台数約2200台のうち「クリーンウェッターα」シリーズの販売台数は僅か323台にすぎないという「クリーンウェッタ ること,「クリーンウェッター」及び「クリーンウェッターα」シリーズの全体を通じた販売台数約2200台のうち「クリーンウェッターα」シリーズの販売台数は僅か323台にすぎないという「クリーンウェッターα」シリーズの販売状況からすれば,原告商品の形態が原告によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていると認めることも困難というべきである。 (4) 小括以上のとおり,原告商品の形態は,客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているということはできず,かつ,その形態が原告によって長 期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっているということもできないから,不競法2条1項1号所定の商品等表示に該当すると認めることはできない。 3 争点(6)(被告Yの責任)について前記2のとおり,被告会社につき不正競争が成立しない以上,これを前提とする被告Yの共同不法行為責任も認められないというべきである。 4 結論以上の次第であるから,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林 保 裁判官 田中孝一 裁判官 寺田利彦 田中孝一 裁判官 寺田利彦

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