- 1 -平成21年9月3日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成20年(ワ)第12516号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成21年6月11日判決大阪市(以下略)原告泉陽興業株式会社訴訟代理人弁護士山上和則杉本智則訴訟代理人弁理士西川惠清時岡恭平補佐人弁理士森厚夫水尻勝久竹尾由重坂口武大阪市(以下略)被告豊永産業株式会社訴訟代理人弁護士辻本希世士笠鳥智敬松田さとみ山崎浩田村晋志中村真二補佐人弁理士辻本一義窪田雅也神吉出上野康成- 2 -森田拓生主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,7000万円及びこれに対する平成20年10月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,発明の名称を「射撃遊戯装置」とする特許権を有する原告が,被告による別紙被告物件目録記載の物件(以下「被告物件」という)の製造販売。 が同特許権を侵害するとして,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金7000万円及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成20年10月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 争いのない事実( )当事者 ア原告は,各種遊園機械の設計,製作,施工,販売等を業とする株式会社である。 イ被告は,各種遊園地機械の企画,設計,製造販売等を業とする株式会社である。 ( )原告の特許権 ア原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,本件特許権に係る,特許を「本件特許」という。また,本 各種遊園地機械の企画,設計,製造販売等を業とする株式会社である。 ( )原告の特許権 ア原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,本件特許権に係る,特許を「本件特許」という。また,本件特許の請求項1の発明を「本件特許発明」といい,本件特許に係る明細書を「本件明細書」という)を有。 している。 - 3 -登録番号特許第3499858号発明の名称射撃遊戯装置出願日平成14年3月18日登録日平成15年12月5日特許請求の範囲【請求項1】情景が異なる複数のショーセットSを有し,各ショーセットSを通過するように空中軌道1を配設し,該空中軌道1に,走行する乗物2を吊持させ,空中にて走行する該乗物2から各ショーセットSの射撃対象物3に向かって射撃する射撃銃が該乗物2に設けられていることを特徴とする 射撃遊戯装置。 イ本件特許発明は,以下の構成要件に分説することができる。 A情景が異なる複数のショーセットSを有し,B各ショーセットSを通過するように空中軌道1を配設し,C該空中軌道1に,走行する乗物2を吊持させ,D空中にて走行する該乗物2から各ショーセットSの射撃対象物3に向かって射撃する射撃銃が該乗物2に設けられている Eことを特徴とする射撃遊戯装置。 ( )被告の行為等 被告は,本件特許権の設定登録日(平成15年12月5日)の後,業として被告物件を製造して株式会社メディアートに販売し,同社は近鉄レジャーサービス株式会社に被告物件を転売した。 被告物件には「空中サーカスアドベンチャー」なる名称が付され,近鉄レジャーサービス株式会社が運営する三重県志摩市(以下略)所在の志摩スペイン村の遊戯施設であるピエロ・ザ・サーカス内に設置され,平成20年3月1日から稼働している。 - 4 -( )被 れ,近鉄レジャーサービス株式会社が運営する三重県志摩市(以下略)所在の志摩スペイン村の遊戯施設であるピエロ・ザ・サーカス内に設置され,平成20年3月1日から稼働している。 - 4 -( )被告物件の構成 被告物件の構成は,別紙被告物件説明書のとおりであり,これを本件特許発明の構成要件に対応させて分説すると以下のとおりとなる(ただし,aについては後記のとおり争いがある。 。)a情景が異なる三つのシューティングエリアを有する。 b各シューティングエリアを通過するように,空中に浮かぶレールを配設する。 c該レールに,走行するゴンドラを吊持させる。 d空中にて走行する該ゴンドラから各シューティングエリアのターゲットに向かって射撃する赤外線銃が該ゴンドラに設けられている。 e以上の構成を有する懸垂式シューティングライド。 争点 ( )被告物件は本件特許発明の技術的範囲に属するか-構成要件Aを充足する か-(争点1)( )本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(争点2) ア進歩性の欠如1(争点2-1)本件特許発明は特公平7-100085号公報(乙3,以下「乙3公報」という)に記載された発明等に基づいて当業者が容易に発明するこ。 とができたものかイ進歩性の欠如2(争点2-2)本件特許発明は本件特許出願前に公然実施された発明(遊戯装置バトルビースト)等に基づいて当業者が容易に発明することができたものかウ進歩性の欠如3(争点2-3)本件特許発明は本件特許出願前に公然実施された発明(遊戯装置レインボーバンディット)等に基づいて当業者が容易に発明することができたものか- 5 -( )損害の額(争点3) 第3争点に関する当事者の主張 争点1(被告物件は本件特許発明の技術的範囲に属するか-構成 ット)等に基づいて当業者が容易に発明することができたものか- 5 -( )損害の額(争点3) 第3争点に関する当事者の主張 争点1(被告物件は本件特許発明の技術的範囲に属するか-構成要件Aを充足するか-)について【原告の主張】( )本件特許発明における「情景が異なる複数のショーセット」の意義 本件明細書の【特許請求の範囲】には「情景が異なる複数のショーセットSを有し,各ショーセットSを通過するように空中軌道1を配設し」と記,載され【発明の詳細な説明】の段落【0011】にも「本装置は,情景が,異なる複数のショーセットS…を有し,各ショーセットSを通過するように(環状の)空中軌道1を配設し」と記載されているが,これは空中軌道に,沿って情景,すなわち乗客の目に映じる物や情景が変化するようにショーセットを設置することを意味するものである。 したがって,本件特許発明にいう「背景が異なる複数のショーセット」とは「一定のテーマやコンセプトによって組織化され,統一感のある背景や,キャラクター,標的などによって構成される射撃地域」が複数設けられているものであり,端的にいえば,乗客が射撃をしながら情景の変化を感じ取れる演出がなされていれば十分なものである。 ( )被告物件のシューティングエリアの内容 ア別紙被告物件説明書図6のaからa(以下「シューティングエリアS’1」という)’。 シューティングエリアS1’の内容は以下のとおりである。 (ア)背景の色黄色・橙色が基調(昼間をイメージしている)(イ)主要な登場キャラクター男の子(ネズミのような動物)とピエロ- 6 -(ウ)他の登場キャラクター覆面をしたピエロ(エ)背景雲と洋風の城イ別紙被告物件説明書図6のa’からb(以下「シューティングエリアS ター男の子(ネズミのような動物)とピエロ- 6 -(ウ)他の登場キャラクター覆面をしたピエロ(エ)背景雲と洋風の城イ別紙被告物件説明書図6のa’からb(以下「シューティングエリアS2」という)’。 シューティングエリアS2’の内容は以下のとおりである。 (ア)背景の色紺色・紫色が基調(夕方をイメージしている)(イ)主たる登場キャラクターカウボーイ姿の男の子(犬のような動物)と不気味な顔をした巨大な暗雲(ウ)他の登場キャラクター「DANGER」と書かれた爆弾を抱えたコウモリ(エ)背景立ち上がる暗雲と不気味な城ウ別紙被告物件説明書図6のbからd(以下「シューティングエリアS3」という)’。 シューティングエリアS3’の内容は以下のとおりである。 (ア)背景の色紺一色(夜をイメージしている)。 (イ)主たる登場キャラクター女の子(ネズミのような動物)と象,カバ,ライオンなどの動物(ウ)背景星空( )被告物件が構成要件Aを充足すること - 7 -アシューティングエリアS1’とS2’の比較シューティングエリアS1’とS2’とでは,まず背景の色において,前者は親和性を有する暖色系であるのに対し,後者は威圧的な寒色系である。 登場キャラクターは,前者は志摩スペイン村のキャラクターやピエロであり,志摩スペイン村の利用者の「お目当て」であるのに対し,後者は怖い雲やコウモリといった「敵」である。 キャラクターの様子については,前者は標的の雲も含めて楽しそうに遊んでおり,利用者の目にも楽しく映るが,後者は「DANGER(危険「爆弾」など,利用者に攻撃的であり,標的の雲も怖くて隠れてし)」まっている。 背景については,前者は童話によく現れる「洋風のお城で楽しく遊ぶ」という「メルヘン」をテー 者は「DANGER(危険「爆弾」など,利用者に攻撃的であり,標的の雲も怖くて隠れてし)」まっている。 背景については,前者は童話によく現れる「洋風のお城で楽しく遊ぶ」という「メルヘン」をテーマにしているが,後者は楽しさとは正反対の「恐怖」をテーマとした背景となっている。 以上のとおり,シューティングエリアS1’は利用者が「楽しそう」と感じる親和的なものであるのに対し,ショーセットS2’は利用者が「怖そう」と感じる敵対的なものであるから,両者は正反対の性質を有するものである。 イシューティングエリアS2’とS3’の比較シューティングエリアS2’とS3’とでは,まず,登場キャラクターが前者は主に怖い雲やコウモリといった「敵」であるのに対し,後者は主に愛嬌のある動物や志摩スペイン村のキャラクターといった利用者の「お目当て」である。 キャラクターの様子については,前者は「DANGER(危険「爆)」弾」など,利用者に攻撃的であり,標的の雲も怖くて隠れてしまっているのに対し,後者は魔法や楽器や銃で楽しく遊んでおり,標的の雲も一緒に- 8 -なって一輪車で遊んだり,ライオンの下でおどけたりしている。 背景については,前者は「恐怖」をテーマにしているのに対し,後者は星空で楽しく遊んでいる様子がテーマとなっている。 以上のとおり,シューティングエリアS2’は利用者が「怖そう」と感じる敵対的なものであるのに対し,シューティングエリアS3’は利用者が「楽しそう」と感じる甘美で親和的なものであるから,両者は正反対の性質を有するものである。 ウ小括以上のとおり,被告物件のシューティングエリアS1’とS2’との間,S2’とS3’との間にはそれぞれ目に映じたありさまに顕著な差異があり,乗客が射撃をしながら情景の変化を感じ取ることができるものである のとおり,被告物件のシューティングエリアS1’とS2’との間,S2’とS3’との間にはそれぞれ目に映じたありさまに顕著な差異があり,乗客が射撃をしながら情景の変化を感じ取ることができるものであるから,被告物件が本件特許発明にいう「情景が異なる複数のショーセット」を備えていることは明らかであり,構成要件Aを充足する。 ( )被告の主張に対する反論 被告は,本件明細書の実施例におけるショーセットSないしSを根拠 に,本件特許発明における「複数のショーセット」は「複数の閉塞された空間」を意味すると主張する。 しかし,本件明細書のショーセットSないしSは単に実施例にすぎず, 「複数のショーセット」を「複数の閉塞された空間」に限定する文言はどこにもない。 また,本件特許発明の解決課題は,ショーセット及び射撃対象物を立体的に表現してスリル感や面白みのある射撃遊戯装置を提供することにあり(本件明細書段落【0004,面白みを備えるためには「ショーセットの間】)で情景が異なるかどうか」が重要な意味を持つのであるから,複数のショーセットが存在することは構成要件Aの本質的部分ではない。 したがって,ショーセットの区分については情景が異なるか否かに注目す- 9 -べきであるから,被告の上記主張は失当である。 ( )まとめ 以上のとおり,被告物件は,構成要件Aを充足し,構成要件BないしEを充足することも明らかであるから,本件特許発明の技術的範囲に属する。 【被告の主張】( )本件特許発明における「情景が異なる複数のショーセット」の意義 本件明細書では「複数のショーセットS」に関して「複数のショーセ,,ットS…は,例えば,第1ショーセットS,第2ショーセットS,第3 ショーセットS,第4ショーセットS,第5 本件明細書では「複数のショーセットS」に関して「複数のショーセ,,ットS…は,例えば,第1ショーセットS,第2ショーセットS,第3 ショーセットS,第4ショーセットS,第5ショーセットSの夫々情 景が異なる5つのショーセットS…からなり(段落【0012「第1」】),ショーセットS・第3ショーセットS・第4ショーセットSは,建物 4の1階床面に配設され,第2ショーセットSは,建物4の2階床面に配 設され,第5ショーセットSは,1階床面と2階床面とに渡って配設され ている(段落【0013)と記載され,図1及び図2にはSないしS。」】 の5つの「単数のショーセット」がそれぞれ記載されている。 そして,本件明細書の図1及び図2によれば,ショーセットSないしS は,間仕切り壁や床によって遮られており,乗物2の乗客は進行している ショーセット以外のショーセットを視認することができないようになっている。 そうすると,1階建ての射撃遊戯装置においては,本件特許発明にいう「複数のショーセット」とは「間仕切り壁によって区分して複数の閉塞された空間(乗物2の出入口を除いて閉塞された空間)を構成したもの」を意味すると解するのが相当であり,各領域における形態の違いは問題とはならないというべきである。 この点,原告は,本件明細書のショーセットSないしSは実施例にす ぎないと主張するが,本件明細書は,一般的な説明をする部分は皆無であり,- 10 -実施形態の説明に終始しているのであって,実施形態の記載を考慮せずに用語の意義を解釈することは不可能であるから,本件においては実施形態の説明を積極的に参酌するほかない。 ( )被告物件が構成要件Aを充足しないこと 被告物件 であって,実施形態の記載を考慮せずに用語の意義を解釈することは不可能であるから,本件においては実施形態の説明を積極的に参酌するほかない。 ( )被告物件が構成要件Aを充足しないこと 被告物件のシューティングエリアは,複数のアトラクション(サーカス・ハウス,サーカス・ステージ,アニマル・ジャンピング,カーニバル・ハウス)が設置された建物の外壁の一部を構成するものであるが,当該壁部分は,平面視矩形状の建物外壁の内側面に沿うように一体的に立設された平面視略コ字状の壁部分であり,建物の内側方向ないしレール方向に全面的に開放されたものであるから,本件特許発明のように「間仕切り壁によって区分して複数の閉塞された空間(乗物の出入口を除いて閉塞された空間」を構成す)るものではなない。 したがって,被告物件には本件特許発明にいう「複数のショーセット」が存在しないので,構成要件Aを充足しない。 ( )原告の解釈を前提とした検討 原告は,本件特許発明にいう「背景の異なる複数のショーセット」について「一定のテーマやコンセプトによって組織化され,統一感のある背景や,キャラクター,標的などによって構成される射撃地域が複数設けられているもの」と主張する。 しかし,被告物件のシューティングエリアS1’ないしS3’に描かれているものは全て「空想の世界」であるから,原告の表現でいえばいずれも「メルヘン」ということになるし,それぞれのエリアに描かれているキャラクターからも特段異なる印象を受けるものではない。そして,シューティングエリアS1’ないしS3’の下側部分には始端から終端に至る全体にわたって連続して雲が描かれており,全体的な一体感を強く感じることができる,。 から「雲の上」ないし「空の上」というテーマで統一されているといえる- 11 -したがって 始端から終端に至る全体にわたって連続して雲が描かれており,全体的な一体感を強く感じることができる,。 から「雲の上」ないし「空の上」というテーマで統一されているといえる- 11 -したがって,原告の解釈を前提としても,被告物件には本件特許発明にいう「情景が異なる複数のショーセット」は存在しないから,構成要件Aを充足しない。 ( )まとめ 以上のとおり,被告物件は,構成要件Aを充足しないので,本件特許発明の技術的範囲に属さない。 争点2-1(進歩性の欠如1)について【被告の主張】( )乙3公報記載の発明 本件特許出願前に頒布された乙3公報(1欄2行目ないし2欄5行目,4欄17行目ないし19行目,9欄9行目ないし26行目,9欄31行目ないし38行目,11欄1行目ないし4行目)には「前のゾーンから次のゾー,ンの演出が見えないように独立した複数のゾーンは異なる趣向によって演出されており,各ゾーンを通過するように配設された移動経路上を走行する搬器に各ゾーンの標的に向かって射撃する射撃装置が設けられている射撃遊戯装置」が記載されている(以下,乙3公報に記載された上記発明を「乙3発明」という。 。)( )本件特許発明と乙3発明との一致点・相違点 ,,本件特許発明と乙3発明とは「情景が異なる複数のショーセットを有し各ショーセットを通過するように軌道を配設し,軌道を走行する乗物を配置して,軌道を走行する乗物から各ショーセットの射撃対象物に向かって射撃する射撃銃が乗物に設けられている射撃遊戯装置」の点において一致する。 他方,本件特許発明と乙3発明とでは,乗物が「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」か否かという点で相違する。 ( )周知技術 本件特許出願前に頒布された特開昭60-106303号公報(乙4,以- 本件特許発明と乙3発明とでは,乗物が「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」か否かという点で相違する。 ( )周知技術 本件特許出願前に頒布された特開昭60-106303号公報(乙4,以- 12 -下「乙4公報」という,特開2001-232055号公報(乙5,以。)下「乙5公報」という,特開2000-61148号公報(乙6,以下。)「乙6公報」という,株式会社鈴鹿サーキット作成のパンフレット「M。)OTOPIAGUIDESUZUKACIRCUIT(乙7,以下」「乙7パンフレット」という)及び株式会社サノヤス・ヒシノ明昌作成の。 パンフレット「MEISHOAMUSEMENTWORLD(乙8,」以下「乙8パンフレット」という)には「空中軌道に吊持されて空中を。 ,走行する乗物を有する乗物遊戯装置」が記載されている。 また,近畿日本ツーリスト株式会社発行の書籍「まるごと志摩スペイン村パルケエスパーニャ(乙9,以下「乙9書籍」という)及び株式会」。 社レオマ作成のレオマワールド(香川県所在)のパンフレット(乙1,以下「乙1パンフレット」という)には「ショーセットを通過する空中軌道に。 吊持されて空中を走行する乗物を有する乗物遊戯装置」が記載されている。 さらに,本件特許出願前,レオマワールドにおいて「情景が異なる複数,のショーセットを有し,各ショーセットを通過するように空中軌道を配設し,空中軌道に吊持されて空中を走行させる遊戯装置」であるレインボーバンディットが公然と実施されていた。 そうすると,遊戯装置に関する技術分野において「空中軌道に吊持され,て空中を走行する乗物」又は「ショーセットを通過する空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物を有する乗物遊戯装置」は,本件特許出願当時,周知であったといえ する技術分野において「空中軌道に吊持され,て空中を走行する乗物」又は「ショーセットを通過する空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物を有する乗物遊戯装置」は,本件特許出願当時,周知であったといえる(以下「本件周知技術」という。 。)( )動機付けの存在 ア技術分野の同一性乙3発明と本件周知技術とは,いずれも乗物遊戯装置に関する技術分野に属するものであるから,技術分野は同一であって密接な関連性を有する。 イ作用機能の共通- 13 -乙3発明と本件周知技術とは,いずれも「軌道に沿って走行する」又は「ショーセットを通過する軌道に沿って走行する」という作用機能において共通する。 ウ課題の共通乙3発明と本件周知技術の乗物は「乗客を乗せて移動させる」又は,「乗客を乗せてショーセット内を移動させる」という自明な課題において共通する。 また,遊戯装置における乗物の形態(外観やデザイン)や乗客の体感等の「リアリティを高める」という自明な課題に基づけば,乗物として戦車を採用する場合は地面に敷設したレール上を走行する戦車風の乗物を採用し,乗物として空中を飛行する気球,飛行船や戦闘機を採用する場合は空中に架設した軌道に吊持した気球風等の乗物を採用するのが道理である。 エ乙3公報における示唆乙3公報には「実施例においては,レール24上を走行する車両22を例にとり説明したが,本発明はこれに限らず,所定の移動経路に沿って移動する搬器であるならば,これ以外の搬器に対しても適用することができ,例えば,プレーゾーン内に設けられた道路を走行する車両や,プレーゾーン内に設置された水路内を走行する船などを搬器として,これら搬器から,プレーヤーが射撃をするように形成してもよい(15欄17行目ない。」し24行目)と記載されているから,適宜選択される乗 ーゾーン内に設置された水路内を走行する船などを搬器として,これら搬器から,プレーヤーが射撃をするように形成してもよい(15欄17行目ない。」し24行目)と記載されているから,適宜選択される乗物の形態に応じた移動経路(軌道)の変更容易性が示されており「空中軌道に吊持されて,空中を走行する乗物」を採用することが示唆されている。 オ小括以上のとおり,技術分野,作用機能,課題及び示唆のいずれの面から見ても,乙3発明に本件周知技術を適用する動機付けの存在を肯定することができ,これを阻害する事情も存在しない。 - 14 -( )設計的事項 乙5公報には「遊戯者が搭乗する搭乗部を備え,且つ該搭乗部が移動す,る乗物装置(請求項1)の実施例として,空中軌道を走行する懸垂型の乗」物が示される一方(図1,3,レール上を走行する乗物も示されている)(段落【0054,図14)のであるから「搭乗部が移動する」技術的】,思想ないし手段を具体化したものが「懸垂型の乗物」や「レール上を走行する乗物」であり,両者は置換可能な均等物といえる。 したがって,乙3発明の技術的思想を具体化する場合(乙3公報の具体例を他の具体例に置換する場合)に「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」を採用することは設計的事項にすぎず,このような具体化を阻害する事情も存在しない。 ( )まとめ 以上によれば,本件特許発明は,乙3発明及び本件周知技術から当業者が容易に想到することができたものといえ,その作用効果も予想されるところと比べて格段に異なるものではないから,進歩性は認められない。 したがって,本件特許は,特許法29条2項に違反してされたものであるから,特許無効審判において無効にされるべきものである。 【原告の主張】( )乙3発明に本件周知技術を適用する動 は認められない。 したがって,本件特許は,特許法29条2項に違反してされたものであるから,特許無効審判において無効にされるべきものである。 【原告の主張】( )乙3発明に本件周知技術を適用する動機付けがないこと ア技術分野について乗物遊戯装置とは,ジェットコースター,子供汽車,遊覧用のモノレールやゴンドラ,観覧車,メリーゴーランド,回転ブランコ,ダークライド,ゴーカートなどの仕様や構造が全く違う多種多様な遊戯装置を含む上位的な概念である。 したがって,乙3発明と本件周知技術とが乗物遊戯装置に属するからといって,技術分野が同一であるとして,これらの発明を結びつけるための- 15 -動機付けとすることはできない。 イ作用機能について被告は,乙3発明と本件周知技術とが「軌道に沿って走行する」又は「ショーセットを通過する軌道に沿って走行する」という作用機能において共通すると主張するが,このような作用機能はいわゆる軌道型の乗物遊戯装置が当然に有するものにすぎない。動機付けを検討するにあたっての作用機能の共通性は,その遊戯の特性と密接に関連する作用機能を十分に考慮した上で論じるべきである。 乙3発明は,単なる乗物遊戯装置ではなく,地上軌道を走る乗物に射撃装置を具備する射撃遊戯装置であるから,その特性上,乗物は,射撃銃で射撃対象物を射撃するという作用機能を不可分に有し,これにより,利用者は乗物に乗って移動しながら射撃対象物に向かって射撃をすることができるものである。これに対し,本件周知技術を裏付けるものとして原告が主張している各発明は,周囲の景色を眺めるだけの乗物遊戯装置やクレーンゲームなどであって,乗物は空中軌道に吊持されて移動する作用機能を有するものの,射撃に関する作用機能は何ら存在せず,そのような作用機能を有することも想定され 景色を眺めるだけの乗物遊戯装置やクレーンゲームなどであって,乗物は空中軌道に吊持されて移動する作用機能を有するものの,射撃に関する作用機能は何ら存在せず,そのような作用機能を有することも想定されていない。 さらに,本件特許発明は「空中で吊り下げられながら走行する乗物か,らの射撃対象物への射撃を可能とする」ことにより射撃に伴う従来にはないスリル感や面白みを感じることができる射撃遊戯装置であるが,乙3発明及び原告が本件周知技術を裏付けるものとして主張する各発明は,いずれもこのような作用機能を備えるものではない。 したがって,乙3発明と本件周知技術との間には,両者を結びつけて本件特許発明に想到するための動機付けとなりうるような共通の作用機能は存在しない。 ウ課題について- 16 -被告は,乙3発明と本件周知技術とが「乗客を乗せて移動させる」という自明な課題において共通する,遊戯装置における乗物の形態(外観やデザイン)や乗客の体感等の「リアリティを高める」という自明な課題も動機付けになると主張する。 しかし「乗客を乗せて移動させる」という課題は乗物遊戯装置を始め,一般に乗物が当然に有するものであるし,遊戯装置においていかなるリアリティを求めるのかについては,無限の方向性と可能性が存在するが,被告の主張はあまりにも漠然としたものであって,本件特許発明のように空中で吊り下げられながら走行する乗物からの射撃対象物への射撃を可能とすることにより空中で射撃を行うスリル感を得られることやショーセット及び射撃対象物を立体的に表現することに結びつくものではない。 したがって,被告が主張する上記課題も本件特許発明に想到するための動機付けになり得ないことは明らかである。 エ示唆について被告は,乙3公報に「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」を採 ない。 したがって,被告が主張する上記課題も本件特許発明に想到するための動機付けになり得ないことは明らかである。 エ示唆について被告は,乙3公報に「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」を採用することが示唆されていると主張するが,乙3公報には水上を走行する船の適用を示唆する記載はあるものの,空中軌道を走行する乗物の適用を示唆する記載は一切ない。 オ小括以上のとおり,被告は,乙3発明と本件周知技術との間で共通する技術分野として乗物遊戯装置という上位的な概念を主張するとともに,課題や作用機能について,多くの乗物遊戯装置が当然に有する共通点を主張しているにすぎない。 そして,乙3発明と被告が本件周知技術を裏付けるものとして主張している各発明とを比べても,技術的思想,課題,作用機能は異なるから,これらを組み合わせるという着想に至るのは困難である。 - 17 -したがって,乙3発明に本件周知技術を適用する動機付けとなるべき事情はない。 ( )設計的事項について 被告は,乙5公報に地面に敷設された軌道を走行する乗物等とともに空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物が併記されているから,これらは置換可能な均等物であると主張している。 しかし,乗物遊戯装置は多種多様の広範な遊戯装置を含み,その乗物遊戯装置が提供する遊戯の特性に応じて設計されるところ,地面に敷設された軌道を走行する乗物と空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物とは,移動範囲や移動方法などが異なり,本来はおよそ置換可能性を備えない全く異質なものである。 また,乙5公報記載の発明は,クレーンゲームに関する発明であり,射撃装置という概念が含まれておらず,単に乗物から被取得物品を拾うのに適した複数の種類の乗物が例示されているものであり,乗物の種類が変わろうとも,遊戯装置としては同質 ーンゲームに関する発明であり,射撃装置という概念が含まれておらず,単に乗物から被取得物品を拾うのに適した複数の種類の乗物が例示されているものであり,乗物の種類が変わろうとも,遊戯装置としては同質である。これに対し,本件特許発明は,空中で吊り下げられながら走行する乗物から射撃対象物への射撃を可能とするようにしたものであり,利用者が上下,左右にわたって広範囲に存在する射撃対象物を射撃することができ,射撃にともなうスリル感や面白みを感じることができるものであって,従来の射撃遊戯装置とは全く異質のものである。 したがって,本件特許発明は,従来技術からの単なる均等物による置換や具体的適用に伴う設計変更などではあり得ない。 ( )本件特許発明の効果について 従来の地上軌道を走る乗物に射撃装置を具備する遊戯装置ではショーセットや射撃対象物を乗物よりも上方のみの最大90°方向の空間にしか設置することができなかったが,本件特許発明では乗物に対して上下最大180°方向の空間を利用してショーセットや射撃対象物を設置して,ショーセット- 18 -及び射撃対象物を立体的に表現することができる。このため,利用者は空中に浮かびながら上下,左右にわたって広範囲に存在する射撃対象物を射撃することにより,乙3発明や本件周知技術に関する発明にはないスリル感や面白みを感じることを実現したのである。 このように,本件特許発明の効果は,従来技術に比べて異質かつ顕著なものである。 ( )まとめ したがって,本件特許発明は,乙3発明及び本件周知技術から当業者が容易に想到することができたものとはいえず,進歩性が認められる。 争点2-2(進歩性の欠如2)について【被告の主張】( )バトルビースト 本件特許出願前に公然と実施されていたバトルビーストは「情景が異な, ができたものとはいえず,進歩性が認められる。 争点2-2(進歩性の欠如2)について【被告の主張】( )バトルビースト 本件特許出願前に公然と実施されていたバトルビーストは「情景が異な,る複数のショーセットを有し,各ショーセットを通過するように軌道を配設し,軌道を走行する乗物を配置して,軌道を走行する乗物から各ショーセットの射撃対象物に向かって射撃する射撃銃が乗物に設けられている射撃遊戯装置」である。 ( )本件特許発明とバトルビーストとの一致点・相違点 本件特許発明とバトルビーストとは「情景が異なる複数のショーセット,を有し,各ショーセットを通過するように軌道を配設し,軌道を走行する乗物を配置して,軌道を走行する乗物から各ショーセットの射撃対象物に向かって射撃する射撃銃が乗物に設けられている射撃遊戯装置」の点において一致する。 他方,本件特許発明とバトルビーストとは,乗物が「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」か否かという点で相違する。 ( )容易想到性・進歩性の欠如 - 19 -本件特許発明とバトルビーストの相違点は,本件特許発明と乙3発明の相違点と同じである。 したがって,本件特許発明は,争点2-1に関して主張したところと同様,当業者がバトルビーストに本件周知技術を適用して容易に想到することができたものであるあら,進歩性は認められない。 【原告の主張】本件特許発明は,争点2-1に関して主張したところと同様,バトルビースト及び本件周知技術から当業者が容易に想到することはできないものであるから,進歩性が認められる。 争点2-3(進歩性の欠如3)について【被告の主張】( )レインボーバンディット 本件特許出願前に公然と実施されていたレインボーバンディットは「情,景が異なる複数のショーセットを有 。 争点2-3(進歩性の欠如3)について【被告の主張】( )レインボーバンディット 本件特許出願前に公然と実施されていたレインボーバンディットは「情,景が異なる複数のショーセットを有し,各ショーセットを通過するように空中軌道を配設し,空中軌道に乗物を吊持して空中を走行させる遊戯装置」である。 ( )本件特許発明とレインボーバンディットとの一致点・相違点 本件特許発明とレインボーバンディットとは「情景が異なる複数のショ,ーセットを有し,各ショーセットを通過するように空中軌道を配設し,空中軌道に乗物を吊持して空中を走行させる遊戯装置」である点で一致する。 他方,本件特許発明とレインボーバンディットとは,乗物に「各ショーセットの射撃対象物に向かって射撃する射撃銃」が設けられているか否かという点で相違する。 ( )乙3発明及びバトルビースト 乙3公報に記載された乙3発明及び本件特許出願前に公然と実施されていた発明であるバトルビーストは,上記のとおり,いずれも「情景が異なる複- 20 -数のショーセットを有し,各ショーセットを通過するように軌道を配設し,軌道を走行する乗物を配置して,軌道を走行する乗物から各ショーセットの射撃対象物に向かって射撃する射撃銃が乗物に設けられている射撃遊戯装置」である。 ( )動機付けの存在 ア技術分野の同一性レインボーバンディットと乙3発明及びバトルビーストは,いずれも乗物遊戯装置に関する技術分野に属するものであるから,技術分野は同一であって密接な関連性を有する。 イ作用機能の共通性レインボーバンディットと乙3発明及びバトルビーストは,いずれも複数のショーセットを通過する軌道に沿って走行するという根本的な作用機能において共通する。 ウ課題の共通性(ア)レインボーバンディッ インボーバンディットと乙3発明及びバトルビーストは,いずれも複数のショーセットを通過する軌道に沿って走行するという根本的な作用機能において共通する。 ウ課題の共通性(ア)レインボーバンディットと乙3発明及びバトルビーストは,いずれも「乗客を乗せて複数のショーセットを順次移動させる」という自明な課題において共通している。 (イ)本件特許出願前に頒布された特開平4-58980号公報(乙16,。 ,以下「乙16公報」という)には,当業者の認識及び解決手段として「従来のジェットコースタでは,搭乗者はスリリングな感覚を楽しむことができるが,それ以上の楽しみは得られなかった。遊園地に遊びに来ている人々の中には,前記スリリングな感覚だけでは満足できず,スリリングな感覚に加えて,さらに別の楽しみが得られることを望む人もいるはずである。また,ジェットコースターのスリリングな感覚は嫌いで,スリリングな感覚とは別の楽しみが得られることを望む人もいるはずである。本発明は,前述の事情に鑑み,移動中の乗物からターゲットを攻- 21 -撃する感覚(すなわち,新しい楽しみ)が得られる遊戯設備を提供する(2頁左上欄2行目ないし15行目)と記載され,その具体的手段」として「軌道に沿ってターゲットが配設され,…模擬兵器操作部材が操作された場合に前記ターゲットが破壊される状態を表示する(2頁右」上欄1行目ないし6行目)と記載されている。 また,本件特許出願前に頒布された特開2000-157749号公報(乙18,以下「乙18公報」という)には「従来より,遊園地。 ,等に設置されている所謂コーヒーカップなどの回転遊戯装置は,…ゲーム性を楽しむこともできない,という不具合を有していた。…この発明は,かかる現状に鑑み創案されたものであって,その目的とするところ 等に設置されている所謂コーヒーカップなどの回転遊戯装置は,…ゲーム性を楽しむこともできない,という不具合を有していた。…この発明は,かかる現状に鑑み創案されたものであって,その目的とするところは,…搭乗者自らの意志でバラエティに富む回転感覚を楽しむことができると共に,射的ゲームを同時に楽しむことができて遊戯性を著しく向」】,】,上させることができる(段落【0002【0003)と記載され具体的には「射的装置は,電波またはレーザー光や赤外線等の光線を,利用した発射装置と,この発射装置からの電波または光線を受ける標的と,から構成するのが望ましい(段落【0011「射的装置の標。」】),的は,前記大テーブルの外側の壁面にも配設するのが望ましい(段。」落【0013)と記載されている。 】以上の乙16公報及び乙18公報の記載内容に照らしても,当業者にとって「移動中の乗物からターゲットを攻撃する感覚が得られる遊戯,設備を提供する「射的ゲームを同時に楽しむことができて遊戯性を」,著しく向上させる」等の「課題」に基づいて,射撃機能なしの乗物遊戯装置に「射撃対象物に向かって射撃する射撃銃」を付加することは容易といえる。 エ小括以上のとおり,技術分野,作用機能及び課題のいずれの面から見ても,- 22 -レインボーバンディットに乙3発明及びバトルビーストを適用する動機付けの存在を肯定することができる。 ( )まとめ 以上によれば,本件特許発明は,レインボーバンディット等から当業者が容易に想到することができたものといえ,その作用効果も予想されるところと比べて格段に異なるものではないから,進歩性が認められない。 したがって,本件特許は,特許法29条2項に違反してされたものであるから,特許無効審判において無効にされるべき 作用効果も予想されるところと比べて格段に異なるものではないから,進歩性が認められない。 したがって,本件特許は,特許法29条2項に違反してされたものであるから,特許無効審判において無効にされるべきものである。 【原告の主張】( )レインボーバンディットに乙3発明及びバトルビーストを適用する動機付 けの不存在ア技術分野について被告は,レインボーバンディットと乙3発明及びバトルビーストがいずれも乗物遊戯装置に関する技術分野に属すると主張するが,争点2-1に関して主張したところと同様,ともに乗物遊戯装置という上位的な概念に含まれるだけでは本件特許発明に想到するための動機付けとはなり得ない。 イ作用機能について被告が主張する「複数のショーセットを通過する軌道に沿って走行する」という作用機能は,一般に軌道型の乗物遊戯装置が有するものにすぎず,乗物遊戯装置としての特性を考慮すれば,レインボーバンディットと乙3発明及びバトルビーストの間には,これらを結びつけて本件特許発明に想到するための動機付けとなり得るような共通の作用機能は存在しない。 ウ課題について(ア)被告は「レインボーバンディット」と乙3発明及び「バトルビー,スト」がいずれも「乗客を乗せて複数のショーセットを順次移動させる」という自明な課題において共通していると主張するが,争点2-1- 23 -に関して主張したところと同様,このような課題は本件特許発明に想到するための動機付けにはなり得ない。 (イ)また,被告は,乙16公報及び乙18公報の記載内容を指摘してレインボーバンディットに乙3発明又はバトルビーストを適用することが容易であると主張する。 しかし,乙16公報に記載の発明は,ジェットコースター等の乗物遊戯装置にタイミング押しゲームの要素を組み込んだものであり,本件特 トに乙3発明又はバトルビーストを適用することが容易であると主張する。 しかし,乙16公報に記載の発明は,ジェットコースター等の乗物遊戯装置にタイミング押しゲームの要素を組み込んだものであり,本件特許発明のように射撃対象物に向かって射撃する射撃銃を備えるものではないため「空中で吊り下げられながら走行する乗物からの射撃対象物,への射撃を可能とする」ことを示唆するものではない。 また,乙18公報に記載の発明も,地上で回転するテーブル上に設置された乗物に射撃銃を設けているにすぎず,本件特許発明のように「空中で吊り下げられながら走行する乗物からの射撃対象物への射撃を可能とする」ことにより,射撃にともなうスリル感や面白みを感じるようにすることを示唆するものではない。 ( )まとめ 以上のとおり,レインボーバンディットに乙3発明及びバトルビーストを適用する動機付けとなるべき事情はなく,しかも,争点2-1に関して主張したところと同様に本件特許発明の効果は従来技術に比べて異質かつ顕著なものであるから,本件特許発明には進歩性が認められる。 争点3(損害の額)について【原告の主張】被告は,被告物件を1台販売しているが,その販売価格は2億6000万円を下らず,利益額も7000万円を下らない。 したがって,原告は,特許法102条2項により,少なくとも7000万円の損害を受けたものと推定される。 - 24 -【被告の主張】争う。 第4当裁判所の判断 争点2-1(進歩性の欠如1)について本件においては,事案にかんがみ,争点2-1(進歩性の欠如1)から判断することとする。 ( )乙3公報に記載されている発明(乙3発明) ア乙3公報には以下の記載がある。 (ア)「特許請求の範囲【請求項1】異なる趣向によって演出された【】複数のゾーンを 断することとする。 ( )乙3公報に記載されている発明(乙3発明) ア乙3公報には以下の記載がある。 (ア)「特許請求の範囲【請求項1】異なる趣向によって演出された【】複数のゾーンを含むプレーフィールドと,前記各ゾーンに設けられ,そのゾーンを特徴づけるような標的を有する標的装置と,前記各ゾーンを通過するよう設定された移動経路と,射撃装置が設けられ,前記移動経路に沿って間隔をおいて次々と移動する複数の搬器と,を含み,前記移動経路に沿って移動する各搬器に乗ったプレーヤーが,異なる趣向によって演出された複数のゾーンを順次通過しながら,各ゾーンに設けられた標的を射撃装置を用いて射撃するように構成され,前記各標的装置は,標的に対する命中信号を搬器に向けワイヤレス送信するよう形成され,前記搬器は,命中信号を受信しプレーヤーに得点表示するよう形成され,前記搬器のプレーヤーは,前記複数のゾーンを順次通過するのに伴って変化していく自己の得点を確認しながら標的の射撃を行うことができることを特徴とする射的ゲーム装置(1欄1行目ないし2欄5行目)。」(イ)「産業上の利用分野]本発明は射的ゲーム装置,特にプレーゾー[ン内を移動する搬器に乗りながら各プレーヤーが射撃を楽しむことができる射的ゲーム装置に関する(4欄16行目ないし19行目)。」(ウ)「従来の技術]従来の射的ゲーム装置は,プレーヤーが銃を構え[てある定まった位置に立ち,スクリーン等に次々と表われる標的を射撃- 25 -し,得点を競い合うという形式のものが一般的であった[発明が解決。 しようとする問題点]しかし,前記装置は,単にスクリーン上に表われる標的が変化するだけであるので,ゲーム性に乏しく,しかもプレーヤーにとっては,実際に射撃をしているという実感に欠けるという 解決。 しようとする問題点]しかし,前記装置は,単にスクリーン上に表われる標的が変化するだけであるので,ゲーム性に乏しく,しかもプレーヤーにとっては,実際に射撃をしているという実感に欠けるという問題があるため,擬似体験型の射的ゲーム装置の検討が進められている」。 (4欄20行目ないし30行目)(エ)「検討中の射的ゲーム装置の一つとして,例えば所定のプレーゾーン内を約2分~3分程度で一周する銀河鉄道冒険列車と,線路の周囲に軍団や,巨大な宇宙生物等を標的として次々と表わす標的装置とUFOを有するものがある。このゲーム装置は,プレーヤーが乗った列車が動き出すと,まず第1の標的ゾーン内の軍団の間を通り抜ける。こUFOの軍団にはセンサが仕掛けられており,プレーヤーの持つ光線銃UFOから発射される光線が命中すると,音を立てて発光するように形成されている。さらに,このような軍団の間を通り過ぎると,次には第UFO2の標的ゾーン内で巨大な宇宙生物群に遭遇する。この生物達には光センサがついていて,光線が命中すると,動いたり,騒いだりするように形成されている。このようにして,プレーヤーは,列車に乗りながら軍団や宇宙生物を倒して,宇宙ステイションに帰還するとういうUFOストーリのゲームを楽しむ。この擬似体験型ゲーム装置は,プレーヤーが列車に乗りながら実際のゲーム空間内を移動し,ゲーム空間,すなわち異なる趣向により演出された複数の標的ゾーン内に次々と表われる標的を倒していくというそれまでには無かった射撃感覚を体験することができるよう工夫されており,ゲームとしての面白さが飛躍的に増大する。 しかし,列車に乗ったプレーヤーが標的を単に打ち倒すだけで,各プレーヤーが打ち倒した標的を得点として表示しなければ,各プレーヤーがその腕前を数値として おり,ゲームとしての面白さが飛躍的に増大する。 しかし,列車に乗ったプレーヤーが標的を単に打ち倒すだけで,各プレーヤーが打ち倒した標的を得点として表示しなければ,各プレーヤーがその腕前を数値として競い合うことができず,いま一つゲームとしての- 26 -面白みに欠けるという問題が生ずる。本発明の目的は,プレーヤーが列車等の搬器に乗りながら実際のゲーム空間内を移動し,ゲーム空間,すなわち異なる趣向により演出された複数の標的ゾーン内に次々と表われる標的を倒していくというそれまでには無かった射撃感覚を体験することができ,さらにプレーヤーが,自己の得点を確認しながら次々と表われる標的を射撃し,ゲームを楽しむことができる射的ゲーム装置を提供することにある(4欄31行目ないし5欄16行目)。」(オ)「実施例]次に本発明の好適な実施例を図面に基づき説明する。 [第2図(判決注:右下図)には,本発明に係る射的ゲーム装置の好適な実施例が示されており,実施例のゲーム装置は,プレーゾーンP内に,異なる趣向により演出された第1の標的ルーム-1,第2の標的ル ーム-2…第の標的ルーム-が設けられている。そして, ステイションを出発した車両がレール上を走行しながら,第 1の標的ルーム-1から第 の標的ルーム-まで 順次通過し,その後,ステイションへ戻ってくるように 形成されている(9欄6行。」目ないし16行目)(カ)「第3図(判決注:下図)に示すように,前記各標的ルーム--2…はそれ 1,10ぞれ独立して形成されてお 1,10 り,各標的ルーム--2…内にはそれぞれ独立した標的装置--2…-が設けられている。各標的装置 標的ルーム--2…はそれ 1,10ぞれ独立して形成されてお 1,10 り,各標的ルーム--2…内にはそれぞれ独立した標的装置--2…-が設けられている。各標的装置は,対応する1,30 標的ルーム内に敷設されたレールの周囲に設けられた複数の標的 - 27 -を有する。そして,車両に乗ったプレーヤーが衝撃装置を用いて 標的を射撃し,これが標的に命令すると,標的装置は,アン テナから車両に向けて命中信号をワイヤレスで送信する(9欄 。」17行目ないし26行目)(キ)「実施例の車両には,光線銃と,通信ユニット,アンテ ナおよび得点表示パネルが設けられている。そして,プレーヤー が赤外線ビームを発射する光線銃の引金を引くと,光線銃からは 弾丸として赤外線ビームが発射される。この赤外線ビームが標的に 命中すると,標的装置は,通信ユニット,アンテナを用いて 命中信号を無線で車両へ向け送信する。そして,車両は,この信 号をアンテナ,通信ユニットを用いて受信し,その得点を得点表 示パネル上に表示する(9欄31行目ないし41行目) 。」(ク)「図3に示すよう,各標的ルーム--…は空間的に独立 1,102,- 28 -に形成され,前の標的ルームから次の標的ルームの演出が見えないようになっている(11欄1行目ないし4行目)。」(ケ)「本実施例において,各標的ルーム--…はそれぞれ異 1,102,なった趣向で演出されており,例えば標的ルーム-1は標的が怪 獣の形で形成され いし4行目)。」(ケ)「本実施例において,各標的ルーム--…はそれぞれ異 1,102,なった趣向で演出されており,例えば標的ルーム-1は標的が怪 獣の形で形成されており,また標的ルーム-2では標的は戦車等 の形をしたものとして形成されている(11欄13行目ないし17。」行目)(コ)「前記実施例においては,レール上を走行する車両を例にと り説明したが,本発明はこれに限らず,所定の移動経路に沿って移動する搬器であるならば,これ以外の搬器に対しても適用することができ,例えば,プレーゾーン内に設けられた道路を走行する車両や,プレーゾーン内に設置された水路内を走行する船などを搬器として,これら搬器から,プレーヤーが射撃をするように形成してもよい(15欄17。」行目ないし24行目)(サ)「発明の効果]以上説明したように,本発明によれば,プレーヤ[ーが搬器に乗りながら実際のゲーム空間内を移動し,ゲーム空間,すなわち異なる趣向により演出された複数の標的ゾーン内に次々と表われる標的を倒していくというそれまでには無かった射撃感覚を体験することができ,しかもこのとき,各プレーヤーは自分の得点をリアルタイムで確認しながら射撃を行うことができるため,複数のプレーヤーが競い合う射撃ゲームとしての面白さをより一層高めることができるという効果がある(15欄43行目ないし16欄6行目)。」イ乙3発明上記アの各記載からすれば,乙3公報には「前のゾーンから次のゾーンの演出が見えないように独立した複数のゾーンは異なる趣向によって演出されており,各ゾーンを通過するように配設された移動経路上を走行する- 29 -搬器に各ゾーンの標的に向って射撃する射撃装置が設けられている射撃遊戯装置( した複数のゾーンは異なる趣向によって演出されており,各ゾーンを通過するように配設された移動経路上を走行する- 29 -搬器に各ゾーンの標的に向って射撃する射撃装置が設けられている射撃遊戯装置(乙3発明)が記載されているものと認められる。 」( )本件特許発明と乙3発明との対比 ア一致点乙3発明の「前のゾーンから次のゾーンの演出が見えないように独立し「異なる趣向によって演出されて」いる「複数のゾーン」は本件特許」発明の「情景が異なる複数のショーセットS」に相当する。 また,乙3発明の「搬器「標的「射撃装置」は,その機能・用途」,」,に照らして,本件特許発明の「乗物2「射撃対象物3「射撃銃」」,」, にそれぞれ相当することが明らかである。 そして,乙3発明の「移動経路」と本件特許発明の「空中軌道1」は,複数のショーセット(ゾーン)を通過するものであり,乗物2(搬器)の走行軌道である点で共通する。 そうすると,本件特許発明と乙3発明とは「情景が異なる複数のショーセットを有し,各ショーセットを通過するように軌道を配設し,軌道を走行する乗物を配設して,軌道を走行する乗物から各ショーセットの射撃対象物に向かって射撃する射撃銃が乗物に設けられている射撃遊戯装置」である点で一致するということができる。 イ相違点他方,本件特許発明と乙3発明とは,本件特許発明の乗物が「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」であるのに対し,乙3発明の搬器(乗物)は「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」ではない点で相違する。 ( )相違点に関する周知技術 ア乙4公報(ア)乙4公報には「本件発明は,遊園地等に設置される遊戯機の中で軌- 30 -道上を走行させて遊覧及び輸送を行うための軌道式観覧搬送装置に関するものである 点に関する周知技術 ア乙4公報(ア)乙4公報には「本件発明は,遊園地等に設置される遊戯機の中で軌- 30 -道上を走行させて遊覧及び輸送を行うための軌道式観覧搬送装置に関するものである(1頁右下欄2行目ないし4行目「軌道式観覧搬送装」),置は,遊園地内の空間を利用して入園者の輸送や遊覧するための装置である(1頁右下欄5行目ないし6行目第1図(判決注:下記第1」),「図,第2図(判決注:下記第2図)において,遊園施設内に立設され)た支柱7上端に梁6を斜め両上方に突設し,梁6上部にレール5を架設する。レール5に走行台車3を載置し,アーム2を介して入園者を乗せるゴンドラ1を吊設する。走行台車3は,第3図(判決注:下記第3図,第4図(判決注:下記第4図)に示すようにレール5に付設され)た供給電線27より電気を供給され,モーター8を駆動し,チェーン等を介して車輪を駆動し走行するものである。送電盤までの送電線は第3図に示すようにレールの内側に制御線と送電線が平行して配線され ている。そして,走行台車3を覆い包む如くマスコット4を載置し,走行台車3のカバーとなり,この装置のシンボルともなるようにしているのである。この構成において,数台のゴンドラ1が第5図(判決注下記第5図)に示す無端軌道上を走行するのである(2頁右上欄1行目。」ないし16行目)と記載されている。 - 31 -(イ)上記(ア)によれば,乙4公報には「梁6上部に架設されたレール5に吊設されて空中を走行するゴンドラ1を有する乗物遊戯装置」が記載されているものと認められる。 イ乙5公報(ア)乙5公報には「図1(判決注:下記図1)及び図2(判決注:下記図2)に示すように,本例の遊戯装置1は,取得遊戯領域3を区画,形成する仕切体2と,前記取得遊 るものと認められる。 イ乙5公報(ア)乙5公報には「図1(判決注:下記図1)及び図2(判決注:下記図2)に示すように,本例の遊戯装置1は,取得遊戯領域3を区画,形成する仕切体2と,前記取得遊戯領域3内に配設され,複数の被取得物品7を収容,保持する保持部6と,一方側が前記取得遊戯領域3内に位置するように配設された走行レール4と,この走行レール4の両端部をそれぞれ支持するポスト5,5と,前記走行レール4に懸垂され,その長手方向に沿って移動可能となった乗物装置10と,この乗物装置10に付設される取得装置25などを備えてなる(段落【0017)と。」】記載されている。 図1図2(イ)上記(ア)によれば,乙5公報には「走行レール4の両端部をそれぞれポスト5,5で支持して走行レール4を配設し,走行レール4に懸垂- 32 -された状態で長手方向に沿って空中を移動する乗物装置10を有する乗物遊戯装置」が記載されているものと認められる。 ウ乙6公報(ア)乙6公報には「特許請求の範囲【請求項1】地上から所定距離【】の高さを維持して設けられたレールと,前記レールに配された,前記レールに沿って移動可能な移動装置と,前記移動装置の下部に設けられた昇降装置と,前記昇降装置によって上下動可能に吊り下げられたライドと,前記ライド内に設けられた,前記昇降装置を制御して前記ライドを上下動させるための昇降操作装置とからなり,前記ライドが前記移動装置によって空中を移動しながら上下動可能であることを特徴とする遊戯用スカイアップダウンライド装置(1欄1行目ないし11行目)と。」記載されている。 (イ)上記(ア)によれば,乙6公報には「地上から所定距離の高さを維持して設けられたレールと,前記レールに吊り下げられて空中を移動するライドを有する乗物 ないし11行目)と。」記載されている。 (イ)上記(ア)によれば,乙6公報には「地上から所定距離の高さを維持して設けられたレールと,前記レールに吊り下げられて空中を移動するライドを有する乗物遊戯装置」が記載されているものと認められる。 エ乙1パンフレット,乙7パンフレット,乙8パンフレット,乙9書籍乙1パンフレットには「空中レールに宙吊りにされた状態で,城風の建物群の造形物で構成された空間を走行する気球を模した乗物遊戯装置」である「レインボーバンディット」が記載されている。 乙7パンフレットには「支柱の上端付近に支持されたレールと,レールの下側に吊り下げられて空中を走行する帆船の先端部分を模した乗物を有する乗物遊戯装置」である「フライングシップ」が記載されている。 乙8パンフレットには「支柱の上端付近に支持されたレールと,レールの下側に吊り下げられて空中を走行する船を模した乗物を有する乗物遊戯装置」である「スカイシップ」が記載されている。 乙9書籍には「空中レールに宙吊りにされた状態で,様々な造形物で構- 33 -成された空間を走行する帆船を模した乗物遊戯装置」である「ドンキホーテ冒険の旅」が記載されている。 オレインボーバンディットの公然実施証拠(乙1,10ないし12)によれば,本件特許出願前,香川県所在のレオマワールドにおいて「ライドが空中レールに沿って移動する空間,を,間仕切り壁によって区分して複数の閉塞された空間を形成し,各空間の造形物により構成される各情景は異なるものであり,各空間を順次通過するように空中レールを配設し,空中レールに吊持された状態で走行する気球型のライドを有する乗物遊戯装置」である「レインボーバンディット」が稼働していたことが認められる。 カ上記アないしオのとおり「空中軌道に吊持されて空中を走行す 中レールに吊持された状態で走行する気球型のライドを有する乗物遊戯装置」である「レインボーバンディット」が稼働していたことが認められる。 カ上記アないしオのとおり「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗,物」は,本件特許出願前の時点で,多数の文献に記載されていた上,公然と実施されていたものであるから,遊戯装置の技術分野において周知であったものと認められる。 ( )相違点に関する判断 ア上記のとおり,乙3公報には「前記実施例においては,レール上を 走行する車両を例にとり説明したが,本発明はこれに限らず,所定の 移動経路に沿って移動する搬器であるならば,これ以外の搬器に対しても適用することができ,例えば,プレーゾーン内に設けられた道路を走行する車両や,プレーゾーン内に設置された水路内を走行する船などを搬器として,これら搬器から,プレーヤーが射撃をするように形成してもよい(上記( )ア(コ))と記載されており,乙3発明の搬器としては,レ。」 ール上を走行する車両に限らず,所定の移動経路に沿って移動する搬器一般を採用し得ることが明示的に教示されている。 そして,当業者が上記教示に基づいて乙3発明の搬器の構成を具体化するにあたっては「プレーヤーが列車等の搬器に乗りながら実際のゲーム,- 34 -空間内を移動し,ゲーム空間,すなわち異なる趣向により演出された複数の標的ゾーン内に次々と表われる標的を倒していくというそれまでには無かった射撃感覚を体験する(上記( )ア(エ),(サ)参照)という乙3発」 明の目的・効果を考慮し,プレーゾーンの演出内容に適した搬器及びその移動経路の具体的態様を適宜選択するものと考えられる。 イところで,乙3公報にはプレーゾーンの演出内容に関して「検討中の射的ゲーム装置の一つとして,例え ,プレーゾーンの演出内容に適した搬器及びその移動経路の具体的態様を適宜選択するものと考えられる。 イところで,乙3公報にはプレーゾーンの演出内容に関して「検討中の射的ゲーム装置の一つとして,例えば所定のプレーゾーン内を約2分~3分程度で一周する銀河鉄道冒険列車と,線路の周囲に軍団や,巨大なUFO宇宙生物等を標的として次々と表わす標的装置とを有するものがある」。 (上記( )ア(エ))と記載されており,プレーゾーンを宇宙空間として演 出することが例示されているところ,当業者が,乙3公報の上記教示に基づき,搬器を具体化するにあたっては,上記の「銀河鉄道冒険列車」に限らず,宇宙空間という演出内容に適した乗物としてスペースシャトルなどの宇宙船を思い浮かべ,その採用を検討することは十分にあり得ることである。 したがって,乙3公報の上記記載は,乙3発明の「搬器」を宇宙空間を移動するスペースシャトルなどの宇宙船に具体化することを示唆しているものというべきであり,このような構成を採用することの動機付けとなり得るものと解される。 そして,乙3公報には「プレーゾーン内に設けられた道路を走行する,車両や,プレーゾーン内に設置された水路内を走行する船などを搬器と」する構成が明示されており,地上に敷設したレール上を走行する搬器以外の構成を採用することが示唆されているから,乙3公報に接した当業者は,搬器として宇宙船を採用する場合に,宇宙空間を浮遊しながら移動するという実際の移動方法に近い感覚を利用者に体験させようと考え,上記周知技術を考慮して「空中軌道に吊持されて走行する乗物」として構成するこ- 35 -とは通常着想することができる範囲内のものであり,乙3発明の目的効果にも沿うものであって,乙3公報中にこれを阻害する記載や示唆もない。 ウ以上に検 されて走行する乗物」として構成するこ- 35 -とは通常着想することができる範囲内のものであり,乙3発明の目的効果にも沿うものであって,乙3公報中にこれを阻害する記載や示唆もない。 ウ以上に検討したところからすれば,当業者が,乙3発明を具体化するにあたって,プレーゾーンの演出内容に適した搬器として「空中軌道に吊持されて走行する乗物」を選択することは,技術の具体的適用に伴って適宜容易になし得る程度の設計的事項であるといえ,しかも,このような構成を採用したことにより,予想外の格別顕著な作用効果を奏するものでもない。 したがって,本件特許発明と乙3発明との相違点は,当業者であれば,乙3発明に上記周知技術を適用することにより,容易に想到することができたというべきである。 ( )原告の主張について これに対し,原告は,①乙3公報には水上を走行する船の適用を示唆する記載はあるものの,空中軌道を走行する乗物の適用を示唆する記載は一切存在しない,②乗物遊戯装置は多種多様の広範な遊戯装置を含み,その乗物遊戯装置が提供する遊戯の特性に応じて設計されるところ,地面に敷設された軌道を走行する乗物と空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物とは,移動範囲や移動方法などが異なり,本来はおよそ置換可能性を備えない全く異質なものである,③乙3発明と上記周知技術を裏付ける上記( )アないしオの 各発明とを比べても,技術的思想,課題,作用機能は異なるから,これらを組み合わせるという着想に至るのは困難である,④本件特許発明は,利用者が空中に浮かびながら上下,左右にわたって広範囲に存在する射撃対象物を射撃することにより,乙3発明や上記周知技術を裏付ける発明にはないスリル感や面白みを感じることを実現したものであり,その効果は従来技術に比べて異質かつ顕著なものであると 広範囲に存在する射撃対象物を射撃することにより,乙3発明や上記周知技術を裏付ける発明にはないスリル感や面白みを感じることを実現したものであり,その効果は従来技術に比べて異質かつ顕著なものであると主張する。 ①の点については,確かに,乙3公報には空中軌道を走行する乗物の適用- 36 -を明示的に教示する記載は存在しないが,宇宙空間を走行する「銀河鉄道冒険鉄道」が明示されており,しかも,レール上を走行する車両のみならず,他の移動経路を走行する搬器を採用することが記載されており,所定の移動経路に沿って移動する搬器一般を採用し得ることが示唆されている上,上記のとおり,乙3発明を具体化するにあたり,プレーゾーンの演出内容に適した搬器として周知技術を考慮して「空中軌道に吊持されて走行する乗物」を採用することは当業者が適宜容易になし得る程度の設計的事項といえるのであるから,乙3公報に空中軌道を走行する乗物を適用することが明示的に教示されていないからといって,本件特許発明の容易想到性を否定することはできない。 ②の点については,地面に敷設された軌道を走行する乗物と空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物とは設計方法や利用者の体感等が異なるが,上記のとおり,プレーゾーンの演出内容に適した搬器の選択という観点からすれば,地面に敷設された軌道を走行する乗物と空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物はいずれも当業者が適宜選択する乗物ということができるから,両者が置換可能性を備えないということはできない。 ③の点については,本件においては,乙3発明と上記( )アないしオの各 発明との個別の組合せを論じているものではなく,乙3公報の教示等に基づいて当業者が乙3発明の搬器を具体化するにあたり,遊戯装置の技術分野において周知技術と認められる「空中軌道に吊持されて空 の各 発明との個別の組合せを論じているものではなく,乙3公報の教示等に基づいて当業者が乙3発明の搬器を具体化するにあたり,遊戯装置の技術分野において周知技術と認められる「空中軌道に吊持されて空中を走行する乗物」を採用することが適宜容易になし得る程度の設計的事項であると判断したものであるから,乙3発明と上記( )アないしオの各発明とを個別に見た場合 に技術的思想,課題,作用機能の点で共通しないからといって,本件特許発明の容易想到性を否定することはできない。 ④の点については,原告が主張する本件特許発明のスリル感や面白みという作用効果は,乙3発明の搬器を周知技術である「空中軌道に吊持されて空- 37 -中を走行する乗物」として構成した場合に通常予測される範囲内のものであり,その構成から予測できないような格別顕著な作用効果を奏するものとは到底認められない。 したがって,原告の上記主張はいずれも採用できない。 まとめ以上のとおり,本件特許発明は,乙3発明と周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許は,特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり,同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものである。 したがって,原告は,同法104条の3第1項により,本件特許権に基づく権利行使をすることができないから,被告物件が本件特許発明の技術的範囲に属するか否かにかかわらず,被告は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負わない。 第5結語以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部裁判長裁判官田中俊次裁判官北岡裕章- 38 -裁判官山下隼 なく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部裁判長裁判官田中俊次裁判官北岡裕章- 38 -裁判官山下隼人- 39 -別紙被告物件目録被告の製造販売にかかる懸垂式シューティングライド「空中サーカスアドベンチャー」
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