平成31(ワ)5925 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年6月23日 東京地方裁判所
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判決文本文84,783 文字)

- 1 - 令和4年6月23日判決言渡し同日原本領収裁判所書記官平成31年(ワ)第5925号地位確認等請求事件口頭弁論終結の日令和4年3月10日判決 主文 1 被告は、原告に対し、次の金員を支払え。 ⑴ 150万円⑵ 平成31年3月から令和2年3月まで毎月22日限り50万円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6%の割合による金員 ⑶ 令和2年4月から令和3年7月まで毎月22日限り50万円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を 被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 原告が、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は、原告に対し、1607万6848円並びに平成31年3月から本判 決確定まで毎月22日限り182万5168円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告に対し、800万円及びこれに対する平成30年11月28日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要- 2 - 本件は、被告に雇用されて営業本部パーソナル・バンク長を務めていたが、平成30年4月1日付けで経営企画部詰審議役への異動を命じられ(以下「本件異動命令」という。)、これに伴い、給与が減額され、同年11月27日付けで懲戒解雇(以下「本件懲戒解雇」という。)された原告が、 成30年4月1日付けで経営企画部詰審議役への異動を命じられ(以下「本件異動命令」という。)、これに伴い、給与が減額され、同年11月27日付けで懲戒解雇(以下「本件懲戒解雇」という。)された原告が、被告に対し、本件異動命令及び本件懲戒解雇がいずれも無効であると主張して、①原告が労 働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、②本件異動命令以降本件懲戒解雇まで(平成30年4月分から同年11月分まで)の差額賃金及び本件懲戒解雇後の平成30年12月分から平成31年2月分までの賃金の合計として1607万6848円の支払、③同年3月から本判決確定まで毎月22日限り182万5168円及びこれらに対する各支払期日の翌日から 支払済みまで商事法定利率(平成29年法律第45号による改正前の商法514条所定の利率をいう。以下同じ。)年6%の割合による遅延損害金の支払を求め、④違法な懲戒解雇等を行った不法行為に基づき、慰謝料800万円及びこれに対する平成30年11月28日(本件懲戒解雇の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。)所定の年5%の 割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。 ⑴ 当事者 ア被告は、明治28年10月19日にCを中心として設立された地方銀行であり、静岡県、神奈川県の他、東京都などの首都圏を中心に、預金の預入れ、資金の貸付けなどを行っている。 (設立日につき甲5。その余は争いがない。)イ原告(昭和▲年▲月▲日生まれ)は、昭和59年4月に被告との間で期 間の定めのない労働契約(以下「本件労働契約」という。)を締結した者- 3 - で き甲5。その余は争いがない。)イ原告(昭和▲年▲月▲日生まれ)は、昭和59年4月に被告との間で期 間の定めのない労働契約(以下「本件労働契約」という。)を締結した者- 3 - である。 (生年月日につき乙110。その余は争いがない。)⑵ 就業規則の定め等ア被告の就業規則には、別紙記載3のとおりの定めがあった。 (甲22) イ本件労働契約において、給与の支払は、毎月末日締め、当月22日支払の約定であった。 (弁論の全趣旨)ウ被告は、平成26年8月25日、スルガ銀行職員組合との間で、60歳定年に関わる事項につき、協定(以下「本件協定」という。)を締結した。 その内容は、別紙記載4のとおりである。 (乙101の1、101の2)⑶ 被告の役員等ア被告の組織規程及び執行役員規程は、別紙記載1及び2のとおりである。 (乙13、14の1) イ被告の創業家の出身であるD(以下「D会長」という。)は、昭和60年5月から平成28年6月まで代表取締役社長を、同月から平成30年9月7日に辞任するまで代表取締役会長を、それぞれ務めた。 同じく創業家の出身であるE(以下「E副社長」という。)は、D会長の弟であり、昭和61年6月から代表取締役副社長を務めていたが、平成 28年7月13日に死亡した。 被告の代表取締役社長は、平成28年6月23日から平成30年9月7日まではF(以下「F社長」という。)が務め、同日から令和2年6月まではGが務め、同月以降はBが務めている。 なお、遅くとも平成25年6月には、D会長はCEO(最高経営責任者) を、E副社長はCOO(最高業務執行責任者)を兼ねるものとされていた。 - 4 - 被告の取締役会規程には、CEO、COOを各1 名選 平成25年6月には、D会長はCEO(最高経営責任者) を、E副社長はCOO(最高業務執行責任者)を兼ねるものとされていた。 - 4 - 被告の取締役会規程には、CEO、COOを各1 名選任できる旨が定められているが、「Co-COO」という職位に関して定めた規程は存在しない。 (甲5、甲38・5頁、乙34、35、証人H・28頁、弁論の全趣旨)⑷ 被告の営業部門 ア被告の営業店は、全て、営業本部(平成22年3月までは「営業本部」という名称であったが、同年4月に「カスタマーサポート本部」に名称が変更され、平成29年4月に再び「営業本部」に名称が変更された。以下、区別の必要がない限り、時期を問わずに「営業本部」という。)に属し、平成25年4月以降は、主たる営業エリアに応じ、大別して次のとおり区 分されていた。 パーソナル・バンク部門主たる営業エリアは、首都圏(渋谷支店、二子玉川支店などの神奈川県以外の首都圏下の店舗や、ドリームプラザ横浜などの神奈川県内の一部の店舗)及びその他の地域(札幌支店、仙台支店、名古屋支店、大阪 支店、京都支店、広島支店、福岡支店)である。 なお、ドリームプラザとは、支店の中の収益不動産を中心としたローンに特化した専門窓口であり、本来、支店の一部を構成するものであるが、後記神奈川コミュニティ・バンクに所属する横浜東口支店内に併設されていたドリームプラザ横浜は、パーソナル・バンク部門に所属する 店舗とされていた。その後、平成29年10月の組織改定により、ドリームプラザは各支店内に吸収された(以下、ドリームプラザ横浜と横浜東口支店を区別せずに横浜東口支店と呼ぶことがある。)。 パーソナル・バンク部門の融資内容は、収益性の高い金利4.5%程 リームプラザは各支店内に吸収された(以下、ドリームプラザ横浜と横浜東口支店を区別せずに横浜東口支店と呼ぶことがある。)。 パーソナル・バンク部門の融資内容は、収益性の高い金利4.5%程度の収益不動産ローン(不動産投資を行うためのローン商品をいう。以 下同じ。)がほとんどを占めており、被告における融資実行額がピーク- 5 - にあった平成28年度には、融資実行額総額4700億9500万円のうち、その83%以上に当たる3912億1900万円を同部門において実行するなど、同部門が被告の利益のほとんどを生み出していた。 コミュニティ・バンク部門主たる営業エリアは、静岡県内(静岡コミュニティ・バンク)及び神 奈川県内(神奈川コミュニティ・バンク)である。 コミュニティ・バンク部門の融資内容は、法人向けの低金利融資や住宅ローンが中心であった。 ANA支店平成16年に全日本空輸株式会社との提携により開設した支店であり、 パーソナル・バンク部門所属ではないものの、収益不動産ローンを取り扱っていた。 (争いがない。)イ被告には、営業部門を管掌する取締役が置かれている。 Iは、平成23年4月に執行役員専務兼Co-COO、営業本部長に 就任した後、平成27年6月25日に専務取締役に就任し(原告は、Iの後任として、同年4月、執行役員専務兼Co-COO、カスタマーサポート本部長に就任した。)、平成30年3月31日に辞任するまでの間、営業本部管掌専務取締役を務めるとともに、平成29年4月からは営業本部長も兼任していた。 平成30年4月から、Jが営業本部管掌常務取締役と営業本部長を兼任するようになったが、Jは、同年9月7日、取締役を辞任した。 (甲5、 成29年4月からは営業本部長も兼任していた。 平成30年4月から、Jが営業本部管掌常務取締役と営業本部長を兼任するようになったが、Jは、同年9月7日、取締役を辞任した。 (甲5、甲17・58~59頁、乙34、35)ウ Kは、平成25年4月から平成29年3月までドリームプラザ横浜のセンター長及び横浜東口支店の支店長を務め、同年4月から平成30年 2月まで営業本部副部長を務めていた。 - 6 - (乙34)⑸ 被告の審査部門ア被告の審査部門とそれらの担当案件は、次のとおりである。 審査第一部法人向け事業性融資 審査第二部(東京)個人向けローンのうち、パーソナル・バンク部門の店舗及び神奈川コミュニティ・バンクの店舗から申請される有担保ローン案件 審査第二部(静岡)個人向けローンのうち、静岡コミュニティ・バンクの店舗から申請さ れる有担保ローン案件 審査第三部個人向けローンのうち、無担保ローン案件(争いがない。)イ被告には、審査部門を管掌する取締役が置かれている。 Jは、平成25年4月から平成29年3月まで執行役員常務兼審査部長を務めた後、同年6月21日に常務取締役に就任し、平成30年3月まで審査部管掌常務取締役を務めた者である。Jは、上記⑷イのとおり、同年4月から同年9月7日に取締役を辞任するまでの間、営業本部管掌常務取締役兼営業本部長を務めた。 (甲5、乙34、35)ウ Lは、Jの後任として、平成29年4月に執行役員兼審査部長に就任した者である。 (乙34、35)エ Mは、平成22年10月から平成27年2月まで審査第二部(東京)及 び審査第 5)ウ Lは、Jの後任として、平成29年4月に執行役員兼審査部長に就任した者である。 (乙34、35)エ Mは、平成22年10月から平成27年2月まで審査第二部(東京)及 び審査第三部統括部長を、同月から平成29年3月まで審査部副部長を務- 7 - めた者である。Mが審査部副部長を務めていた際、Mの直接の上司はJであった。 (甲69、乙34)オ Nは、平成23年4月から平成26年4月まで審査第二部長(静岡)、同年5月から平成30年3月まで審査第二部長(東京)を務めた者である。 Nの直接の上司は、審査部副部長であった。 (甲69、乙34)⑹ 原告の被告における職歴原告の被告における主な職歴は、次のとおりである。 ア平成14年4月執行役員 イ平成16年4月執行役員常務、営業本部パーソナル・バンク本部長(平成22年4月営業本部はカスタマーサポート本部に名称変更)ウ平成27年4月執行役員専務兼Co-COO、カスタマーサポート本部長、カスタマーサポート本部パーソナル・バンク本部長、同首都圏営業部長 エ平成28年4月執行役員専務兼Co-COO、カスタマーサポート本部長、カスタマーサポート本部パーソナル・バンク本部長オ平成29年4月執行役員専務、営業本部パーソナル・バンク長(平成29年4月カスタマーサポート本部は営業本部に名称変更し、Iがカスタマーサポート本部長に就任) カ平成30年4月1日執行役員辞任キ平成30年4月1日経営企画部詰審議役(本件異動命令による。)ク平成30年10月1日経営管理本部詰審議役(乙100、110、弁論の全趣旨)⑺ 本件労働契約 執行役員辞任キ平成30年4月1日経営企画部詰審議役(本件異動命令による。)ク平成30年10月1日経営管理本部詰審議役(乙100、110、弁論の全趣旨)⑺ 本件労働契約に基づく原告の給与等 原告の平成30年3月分の給与は182万5168円であったが、原告の- 8 - 給与は、本件異動命令に伴い、同年4月1日付けで年俸600万円(月額50万円)とされ、以後、同年11月27日付けで本件懲戒解雇がされるまで、給与として月額50万円が支払われた。 (甲12、19)⑻ 被告におけるシェアハウスローン ア商品概要シェアハウスローンとは、資産を形成しようとする投資家が資産価値の高い土地を購入し、賃貸用建物であるシェアハウスを建築し、運用するための土地購入資金及び建物建築資金を銀行が融資する商品である。 (弁論の全趣旨) イ被告におけるシェアハウスローンの位置づけ被告は、個人市場に特化し、独自性のある商品・サービスを提供することによって地方銀行としての独自性を打ち出すビジネスモデルを採用して収益を伸ばしてきたことから、長年にわたり、個人向けの商品をいかに充実させるかが重要なテーマであった。そうした中で、他行との差別化を図 るため、住宅ローン商品の拡充に加えて、チャネル(投資家に対して勧誘を行い、原告に融資案件として紹介し、最終的に当該投資家との間で不動産の販売に関する契約を締結する不動産業者)を利用した収益不動産ローンの拡充に努めることとなった。個人向け収益不動産ローンは、被告の事業戦略の中で重要な位置を占めており、営業部門のうちパーソナル・バン クが担当していた。 被告の個人向け収益不動産ローンとしては、①アパー った。個人向け収益不動産ローンは、被告の事業戦略の中で重要な位置を占めており、営業部門のうちパーソナル・バン クが担当していた。 被告の個人向け収益不動産ローンとしては、①アパート、貸家、貸店舗の新築・増改築資金等を融資するアパートローンに加えて、②投資用の区分所有マンションの購入資金を融資するプレミアムアセットプラン1(略称PA1)、③別荘やセカンドハウスの購入資金を融資するドリームライ フアセットなどといった商品が販売されていたところ、平成26年頃から、- 9 - シェアハウスローンの取扱いが増加した。 従来のアパートローン(上記①)には、土地を保有している資産家などに対する融資商品と、新たに不動産を購入して資産の形成をしようとする者に対する融資商品が混在していたことから、被告においては、平成27年10月に両者を区別し、後者を「資産形成ローン」と呼ぶようになった。 シェアハウスローンは、資産形成ローンの一つとして位置づけられており、シェアハウスローンについて独自の事務取扱要領は存在せず、アパートローンや資産形成ローンの形をとって融資が行われていた。 被告のビジネスモデルにおいて、被告から融資を受けて不動産を購入する投資家を探してきてくれるチャネルは重要な存在であり、被告において は、「チャネルPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)」と呼ばれるデータベースを用いて、チャネルの信用情報を含む情報を一元的に管理していた。もともと営業推進のツールであった同データベースは、平成25年11月、融資先の信用調査だけでなく不動産関連業者の信用調査も審査部において行うこととされて以降、チャネルの信用情 報のツールとしても用いられるようになり、チャネルについて不芳情 は、平成25年11月、融資先の信用調査だけでなく不動産関連業者の信用調査も審査部において行うこととされて以降、チャネルの信用情 報のツールとしても用いられるようになり、チャネルについて不芳情報がもたらされた場合などには、審査部門において、チャネルPRM上で当該チャネルを取引停止とする旨を記載していた。 (甲6・11~12、75~79、125~126頁、乙116、弁論の全趣旨) ウシェアハウスローンの仕組みシェアハウスローンにおける典型的な関係者及びその役割は次のとおりである。 資産運用セミナーなどの開催を通じて潜在的顧客を多数保有している販売代理店から、資産運用を考えている顧客(投資家)の紹介を受けた管理 会社は、顧客に対し、どの土地にどのような建物を建築するか、間取りや- 10 - 家賃設定等をどのように設定するかといったプランを企画立案し、土地の売買を仲介する。顧客は、被告から土地購入代金及び建築請負代金等の融資を受け、購入した土地上の建物の建築を建築会社に委託する。被告は、当該土地建物に担保権を設定する。そして、顧客は、建物の建築後、入居者を募集し、稼働を開始するが、管理会社は、建物の管理運営に加え、顧 客の賃料収入に対する不安を払拭するため、顧客から物件を一括借上げして賃料収入を保証する、いわゆるサブリースによる家賃保証をも併せて行うことが多かった。顧客は、入居者から支払われる家賃又は管理会社からサブリース契約に基づき支払われる家賃を原資として、被告に対する返済を行うことになる。 (弁論の全趣旨)エ被告におけるシェアハウスローンの関係業者等株式会社スマートライフ株式会社スマートライフ(平成24年8月2日設立。設立時から ことになる。 (弁論の全趣旨)エ被告におけるシェアハウスローンの関係業者等株式会社スマートライフ株式会社スマートライフ(平成24年8月2日設立。設立時から平成25年9月4日までの商号は「株式会社東京シェアハウス」であったが、 同日、「株式会社スマートライフ」に商号を変更し、さらに平成29年10月1日、「株式会社スマートデイズ」に商号を変更した。以下、時期を問わず、「スマートライフ」という。)は、女性専用のシェアハウスである「かぼちゃの馬車」等のシェアハウスの運営を行っていたが、平成30年5月15日に破産手続開始決定を受けた。 被告においてスマートライフの物件を最初に取り扱ったのは、横浜東口支店(支店長はK)であった。被告が把握しているスマートライフの取扱件数(物件数)は981件であり、その内訳は、横浜東口支店が865件、渋谷支店が40件、二子玉川支店が32件、大宮支店が21件、たまプラーザ支店が18件であった。 スマートライフの関係者が設立した会社として、株式会社アマテラス- 11 - (平成27年2月9日設立。以下「アマテラス」という。)、株式会社イノベーターズ(同年10月9日設立。以下「イノベーターズ」という。)がある。 サクトインベストメントパートナーズ株式会社サクトインベストメントパートナーズ株式会社(以下「サクト」とい う。)は、平成22年6月25日に設立され、遅くとも平成26年頃からはシェアハウスの運営を行っていたが、平成29年2月に租税債務滞納による差押えを受けるなどして、シェアハウスの運営を行うことができなくなった。 被告においてサクトの物件を主に取り扱ったのは二子玉川支店であ を行っていたが、平成29年2月に租税債務滞納による差押えを受けるなどして、シェアハウスの運営を行うことができなくなった。 被告においてサクトの物件を主に取り扱ったのは二子玉川支店であっ た。被告が把握しているサクトの取扱件数(物件数)は116件であり、その内訳は、二子玉川支店が106件、渋谷支店が10件であった。 株式会社ガヤルド株式会社ガヤルド(以下「ガヤルド」という。)は、平成25年6月11日に設立され、コンパクトアパートの運営を行っていたが、平成2 9年7月12日、シェアハウスオーナーに対してサブリース契約の一方的破棄を通知した。 被告においてガヤルドの物件を主に取り扱ったのは川崎支店であった。 被告が把握しているガヤルドの取扱件数(物件数)は57件であり、そのうち45件は川崎支店が取り扱っていた。 (甲6・16~18頁、甲46・63頁、乙54の1、85、弁論の全趣旨)⑼ 簡素化通達被告のカスタマーサポート本部長(当時はI)は、審査部門の承認を得た上で、平成26年5月29日、全営業店に対し、「資産形成ローン審査申請 時送付書類の簡素化について」と題する通達(以下「本件簡素化通達」とい- 12 - う。)を発出した。 本件簡素化通達は、資産形成ローンの審査申請に伴い、審査第二部宛てに送付している稟議関係書類の簡素化を図り、審査申請に伴う事務負担軽減と審査業務のスピード化を図ることを目的とするものであり、それまで審査申請時に送付すべきものとされていた資料の一部(顧客の自己資産の確認資料 等)を所属長確認書類又は任意送付書類とする内容であった。 (乙6の1、6の2、34)⑽ スマートライフに関する不芳情報とE 付すべきものとされていた資料の一部(顧客の自己資産の確認資料 等)を所属長確認書類又は任意送付書類とする内容であった。 (乙6の1、6の2、34)⑽ スマートライフに関する不芳情報とE副社長の指示ア平成27年2月3日、被告のお客さま相談センターに、スマートライフに関する不芳情報(以下「本件不芳情報」という)を記載した告発文書が 届いた。 (乙8)イ上記アの報告を受けたE副社長は、当時審査部長であったJに対し、スマートライフが関与する融資案件の取扱いに関する指示(以下「本件指示」という。)をした(なお、本件指示の具体的内容や趣旨については、後記 のとおり、争いがある。)。 (弁論の全趣旨)⑾ 新運用基準被告のカスタマーサポート本部長であった原告は、平成27年10月22日、「個人ローンビジネス新運用基準」(以下「本件新運用基準」という。) を発出した。 本件新運用基準は、有担保ローンを対象として、顧客の自己資金の確認については、審査申請段階ではヒアリングで足りるものとし、融資実行前までに所属長の責任において厳格に確認することなどを内容とするものであった。 (乙7) ⑿ サクト及びガヤルドに関する問題の発生- 13 - アサクトに関する問題の発生サクトは、平成29年2月、租税債務滞納により差押えを受け、その後、シェアハウスオーナーに対する保証賃料の支払を停止した。 (甲6・22頁)イ信用リスク委員会 被告は、平成29年4月6日、信用リスク委員会を開き、サクト取扱案件の出口戦略について協議した。上記信用リスク委員会には、オブザーバーとして、F社長、専務取締役であるIのほか、執行役員常務であるJ、執行役員専務である原 6日、信用リスク委員会を開き、サクト取扱案件の出口戦略について協議した。上記信用リスク委員会には、オブザーバーとして、F社長、専務取締役であるIのほか、執行役員常務であるJ、執行役員専務である原告も出席していた。 (乙19の1、19の2、115) ウサクトに関する社内会議被告は、平成29年4月13日から同年7月5日にかけて、計4回にわたり、サクトに関する社内会議を開き(以下、同年4月13日開催のものを「第1回サクト会議」、同月19日開催のものを「第2回サクト会議」、同年5月31日開催のものを「第3回サクト会議」、同年7月5日開催の ものを「第4回サクト会議」という。)、サクトの問題点、リスク、対応策について協議した。 上記各会議には、F社長のほか、執行役員常務(同年6月からは審査部管掌常務取締役)であるJ、執行役員専務である原告も出席していた。 (甲25~28) エガヤルドに関する問題の発生ガヤルドは、平成29年7月12日、シェアハウスオーナーに対し、サブリース契約の一方的破棄を通知した。 (甲46・63頁、弁論の全趣旨)オ経営会議 被告は、平成29年10月19日、経営会議を開き、サクト・ガヤルド- 14 - 関連事案の債務者の状況について説明及び議論が行われた。 経営会議は、平成28年7月にE副社長が死亡した後は、F社長、取締役及び執行役員専務である原告によって構成されることとなり、常勤監査役がオブザーバーとして出席することになった。ただし、原告は、平成29年10月19日の経営会議には出席していなかった。 (甲30、乙33)カシェアハウス・簡易宿所の取扱いに関する社内会議被告は、平成29年10月 、原告は、平成29年10月19日の経営会議には出席していなかった。 (甲30、乙33)カシェアハウス・簡易宿所の取扱いに関する社内会議被告は、平成29年10月31日、シェアハウス・簡易宿所の取扱いに関する社内会議(以下「本件シェアハウス・簡易宿所会議」という。)を開いた。本件シェアハウス・簡易宿所会議には、F社長のほか、審査部管 掌常務取締役であるJ、執行役員専務である原告も出席していた。 (甲31)キ日本銀行の考査日本銀行は、平成29年11月27日、平成30年2月14日から同年3月2日までの間、被告の通常考査を行うことを決定した。 (甲1)⒀ 本件懲戒解雇に至る経緯アスマートライフの支払停止スマートライフは、平成30年1月、シェアハウスオーナーに対するサブリース契約に基づく賃料の支払を停止し、同年5月15日、破産手続開 始決定を受けた。 (争いがない。)イ危機管理委員会の設置被告は、スマートライフのシェアハウスオーナーに対する賃料支払停止により、被告に対する返済が困難となる債務者が発生し、メディア上で 様々な情報が流れていることを受け、平成30年1月16日の経営会議に- 15 - おいて、外部の弁護士によって構成される危機管理委員会を設置し、事実関係の調査と原因究明を行うことを承認した。 なお、原告は、上記経営会議には出席していない。 (甲55)ウ原告の執行役員の辞任 平成30年2月27日に開かれた被告の取締役会において、同年4月1日付けで原告が執行役員を辞任することが承認され、同日、原告は執行役員を辞任した。 (乙99)エ本件異動命令 被告は、平成30年3月1 日、原告に対し、同年4月 て、同年4月1日付けで原告が執行役員を辞任することが承認され、同日、原告は執行役員を辞任した。 (乙99)エ本件異動命令 被告は、平成30年3月1 日、原告に対し、同年4月1日付けで、営業本部パーソナル・バンク長から経営企画部詰審議役への異動を命じた(本件異動命令)。 (乙100)オ危機管理委員会及び第三者委員会による調査報告等 金融庁は、平成30年4月、被告に対する検査を開始した。 危機管理委員会は、同月24日、被告に対して調査報告書を提出した。 被告は、同年5月15日、危機管理委員会の調査概要を公表するとともに、被告から完全に独立した中立・公正な専門家のみで構成される第三者委員会を設置して、事案の徹底調査と原因の究明を行うこととした。第三者委 員会は、シェアハウスローンに限定することなく、被告における収益不動産ローン全般に関し、事実関係等を調査・検証し、同年9月7日、被告に対し、調査報告書を提出した。同報告書において、シェアハウスローンその他の収益不動産ローンに関する不適切な取扱いが認定され、同日、D会長、F社長、Jを含む5名の役員(代表取締役3名、役付取締役2名)が 退職金を返上した上で引責辞任した。 - 16 - (甲5、6、乙25、113、114、弁論の全趣旨)カ金融庁による行政処分金融庁は、平成30年4月、被告に対する検査を開始し、同年10月5日、被告に対し、シェアハウスローン及びその他の収益不動産ローンに関してチャネルによる不正行為が確認されたこと等を理由として、6か月間 の業務の一部停止命令等の行政処分を行い、経営責任の明確化及び業務改善計画の提出等を求めた。 (処分の内容につき乙1、その余は争いがない。)キ 確認されたこと等を理由として、6か月間 の業務の一部停止命令等の行政処分を行い、経営責任の明確化及び業務改善計画の提出等を求めた。 (処分の内容につき乙1、その余は争いがない。)キ別訴提起被告は、平成30年11月12日付けで、静岡地方裁判所に対し、取締 役、元取締役及びE副社長の相続人ら合計10名並びに元執行役員である原告に対して損害賠償を請求する訴訟(以下「別訴」という。)を提起した。 (甲17、37の1)ク被告の貸倒引当金の計上等 被告は、平成30年3月期に587億円の貸倒引当金(シェアハウスローンに関して420億円、シェアハウスローン以外の収益不動産ローンに関して167億円)を計上し、平成31年3月期に貸倒引当金を大幅に積み増しし、貸倒引当金残高は1810億円(シェアハウスローンに関して1393億円、シェアハウスローン以外の収益不動産ローンに関して4 17億円)となり、最終赤字は971億円となった。 (弁論の全趣旨)ケ本件懲戒解雇被告は、平成30年11月27日、原告には別紙記載3の就業規則20条4号、6号、7号、10号、11号、12号に該当する以下の非違行為 があったとして、原告を同日付けで本件懲戒解雇を行った。 - 17 - 審査部門に強い圧力を加えて、融資審査を形骸化させたこと(非違行為1) E副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライフ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に推進・継続させたこと(非違行為2) 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠ったこと(非違行為3)(甲13、14)⒁ 被告社員に対する懲戒処分被告は、平成30年11月27日、原 進・継続させたこと(非違行為2) 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠ったこと(非違行為3)(甲13、14)⒁ 被告社員に対する懲戒処分被告は、平成30年11月27日、原告以外の社員合計117名(その多くは、営業本部に所属する社員であった。)に対し、懲戒処分を行ったが、 懲戒解雇された者はいなかった。 (乙12の1)⒂ 本件訴訟の提起原告は、平成31年3月8日、本件訴訟を提起した。 (当裁判所に顕著である。) ⒃ 被告による調査結果被告は、令和元年5月15日、第三者委員会による調査報告及び金融庁による行政処分を踏まえ、収益不動産ローンの全件について、①融資関係資料における改ざん・偽造その他の偽装等、融資に当たって行われた不正行為の有無、②それに対する被告社員の関与の有無の調査(以下「本件全件調査」 という。)を行った結果、次の事実が判明した旨の報告書を作成した。 ア調査対象となった収益不動産ローン全3万7907件(物件数)のうち7813件(20.6%)において、収益不動産ローンの一つであるシェアハウスローン全1647件(物件数)のうち886件(53.8%)において、融資関係資料の偽装・改ざん等の不正が存在した。 イヒアリング調査の対象となった被告社員332名のうち、自ら資料を作- 18 - 出若しくは改ざんし、又は改ざんを指示若しくは示唆した者が35人、受領した資料が改ざんされていることを認識しながら収益不動産ローンを実行し、又は実行しようとした者が40人存在した。 (乙5) 3 争点 ⑴ 本件異動命令は、懲戒処分に該当するか。(争点1)⑵ 本件異動命令が懲戒処分に当たるとした場合、本件懲戒解雇は、一事不再 ようとした者が40人存在した。 (乙5) 3 争点 ⑴ 本件異動命令は、懲戒処分に該当するか。(争点1)⑵ 本件異動命令が懲戒処分に当たるとした場合、本件懲戒解雇は、一事不再理の原則に反し、無効か。(争点2)⑶ 原告について就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在するか。(争点3) ア原告について、被告の主張する非違行為1~3の事実が認められるか。 審査部門に強い圧力を加えて、融資審査を形骸化させたこと(非違行為1) E副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライフ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に推進・継続さ せたこと(非違行為2) 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠ったこと(非違行為3)イ上記非違行為1~3が懲戒事由(就業規則20条4号、6号、7号、10号、11号、12号)に該当するか。 ⑷ 就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在するとして、本件異動命令 及び本件懲戒解雇は、権利の濫用に当たるか。(争点4)⑸ 不法行為の成否、原告の損害の有無及び額(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件異動命令は、懲戒処分に該当するか。)について【原告の主張】 ⑴ ある措置が人事権の行使として行われたのか、懲戒処分として行われたの- 19 - かは、使用者が人事権行使の一環として行ったか否かという主観的な基準によるのではなく、企業秩序違反行為に対する制裁罰という性格を有するものであるか否かを客観的に判断すべきである。 ⑵ 本件異動命令は、次のとおり、企業秩序違反行為に対する制裁罰という性格を有するものであるから、懲戒権の行使としての降格処分に該 罰という性格を有するものであるか否かを客観的に判断すべきである。 ⑵ 本件異動命令は、次のとおり、企業秩序違反行為に対する制裁罰という性格を有するものであるから、懲戒権の行使としての降格処分に該当する。 ア人事権行使の業務上の必要性がないこと原告は、本件異動命令以降、被告から一切の業務を与えられず、行ったことは、金融庁によるヒアリング4回、監査法人、第三者委員会及び責任調査委員会によるヒアリング各1回の計7回のヒアリングへの出席のみであり、それぞれ3時間程度にすぎなかった。これらのヒアリングに応じる ことは、経営企画部に所属する必要性を裏付けるものではなく、仮に業務に含まれるとしても、解雇までの約8か月間のたった21時間程度のために本件異動命令が必要であったとは到底考えられない。 イ制裁目的があること本件異動命令以降、原告に一切業務が与えられなかったことからすれば、 一般的な人事権の行使による異動等が予定している人材の交流や活用を目的とするものでないことは明らかである。D会長が、原告に対して本件異動命令を告げた際、「シェアハウスの一連の問題があったので降りてもらう。」と述べていること、人事部長が、金融庁によるヒアリングへの対応を理由に、原告に対して退職届の撤回を懇願したことも併せ考慮すれば、 本件異動命令は、原告に対して制裁罰としての降格処分をする趣旨であったと考えざるを得ない。 ウ人事権行使の結果として許容し得る程度を超える不利益を負わせるものであること本件異動命令により、原告の給与は月額182万5168円から月額5 0万円に引き下げられ、前年の報酬額に基づく税金が控除された結果、原- 20 - 告が不足分を支払わなければならない月すらあった。このよう 、原告の給与は月額182万5168円から月額5 0万円に引き下げられ、前年の報酬額に基づく税金が控除された結果、原- 20 - 告が不足分を支払わなければならない月すらあった。このような急激な給与の減額は、人事権の行使として通常甘受すべき程度を著しく超えている。 【被告の主張】被告においては、平成30年1月頃からシェアハウスローンに係る問題が顕在化し、危機管理委員会の設置を決定したが、被告の営業部門の要職を歴任し、 執行役員専務の地位にあった原告は、当該問題における重要人物であったため、危機管理委員会による調査が実施されるに当たり、執行役員のままにしておくわけにはいかなかった。そこで、同年2月に、D会長から原告に対してその旨を説明したところ、原告もこれに納得して、執行役員を自ら辞任した。 原告は、執行役員を辞任した時点で55歳を超えていたため、別紙記載4の 本件協定に従い、「先任社員」としての給与体系や職務区分が適用されることとなった。本件協定において、先任社員としての職務区分や職位、年俸については、被告において諸般の事情を勘案して裁量の範囲で決定することとされており、被告は、同規程に従い、諸般の事情を勘案して、原告をパーソナル・バンク長から経営企画部詰審議役に異動する旨の人事異動を行った。 このように、本件異動命令は、被告の人事権の裁量の範囲内で行われたものであって、懲戒処分として行われたものではないし、役職の変更にすぎず、降格処分でもない。 本件異動命令により、原告の給与は結果的に減額されることになったが、これは、年俸制を基本とする先任社員としての給与体系になったことによるもの である。 2 争点2(本件異動命令が懲戒処分に当たるとした場合、本件懲戒解雇は、一事不再理の原則に反し、 が、これは、年俸制を基本とする先任社員としての給与体系になったことによるもの である。 2 争点2(本件異動命令が懲戒処分に当たるとした場合、本件懲戒解雇は、一事不再理の原則に反し、無効か。)について【原告の主張】本件異動命令から本件懲戒解雇までは8か月もの期間があり、本件異動命 令の時点で解雇が予告されていなかったことからすれば、本件異動命令と本件- 21 - 懲戒解雇は二つの別個の懲戒処分である。原告は、本件異動命令以降、被告の業務を一切担っておらず、本件懲戒解雇までに新たに懲戒事由が生じたとは考えられないから、本件異動命令及び本件懲戒解雇は、いずれも同一の事由に基づく処分であると考えざるを得ない。 以上によれば、本件懲戒解雇は、同じ事由について繰り返し処分を行うこと を禁止する一事不再理の原則に反し、無効である。 【被告の主張】争点1について主張したとおり、本件異動命令は懲戒処分ではないから、一事不再理の原則とは関係がない。 3 争点3(原告について就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在する か。)について【被告の主張】原告は、平成16年4月から平成30年3月末までの長期間、被告の利益のほぼ全てを稼ぎ出していた部署であるパーソナル・バンク部門の長として、同部門を直接指揮監督する立場にあった。原告は、被告の創業家の一人であり被 告の業務執行全般における実質的な最高意思決定者であったE副社長(COO)の期待に応え、長年にわたり被告の右肩上がりの業績を達成し続けたことから、E副社長に重用され、平成27年4月には執行役員専務兼Co-COOという被告社内においてE副社長に次ぐ地位を与えられ、他の執行役員はもちろん、一部の取締役の報酬よりも高額な給 達成し続けたことから、E副社長に重用され、平成27年4月には執行役員専務兼Co-COOという被告社内においてE副社長に次ぐ地位を与えられ、他の執行役員はもちろん、一部の取締役の報酬よりも高額な給与が支払われるなど、待遇面でも破格の態 度を受けており、創業家の威光を背景に、被告において絶大な権力を有していた。また、平成28年7月にE副社長が死亡した後も、唯一の創業家出身者となったD会長が、それまでE副社長が務めていた執行会議の議長に原告を任命するなどして原告を重用する一方で、原告が唯一恐れる存在でありブレーキの役割を担っていたE副社長が死亡したことにより、原告はますます権限を強め ていった。 - 22 - こうして、原告は、平成27年4月から平成30年3月末までのおよそ3年間にわたり、執行役員専務兼Co-COOという絶大な権力を有する立場にあった。 このような絶大な権力を背景として、原告は、その業務執行の過程で、原告が率いる営業本部のパーソナル・バンク部門が右肩上がりの業績を達成し続け るため、また、原告自身の評価を維持するために、次の非違行為1~3を行った。 ⑴ 審査部門に強い圧力を加えて、融資審査を形骸化させたこと(非違行為1)ア個々の融資案件について自己の権勢をもって無理やり稟議を押し通す行為を日常的に行っていたこと 審査部幹部に対する恫喝原告は、遅くとも平成26年4月以降、個々の融資案件の審査において、決裁権限を持つ審査部幹部らを恫喝し、当該案件を無理に押し通していた。 例えば、Mは、原告よりも年次は上であったが、個別の稟議を否決又 は差戻しにすると、原告から呼び出され、「馬鹿野郎」と罵倒され、「10分で承認しろ」と承認を迫られた。 し通していた。 例えば、Mは、原告よりも年次は上であったが、個別の稟議を否決又 は差戻しにすると、原告から呼び出され、「馬鹿野郎」と罵倒され、「10分で承認しろ」と承認を迫られた。原告は、支店長や営業担当者から、審査部から差戻しを受けた案件や、差戻しや否決となる可能性の高い案件の相談を受けると、そのままMに転送した上で承認を求めたり、メール本文に「承認でお願いします。」と記載して転送したりして、こ れらの案件を承認させた。 また、Nが、個別の融資案件における稟議の問題点を原告の部下に指摘すると、その部下から報告を受けた原告は、Nに対し、「てめぇ、何を生意気なこと言っているんだ」、「じゃあどうやって数字を作るんだ」、「そうすると100億数字が落ちる。どう責任を取るんだ」など と恫喝し、当該稟議を通されてしまうことがあった。原告は、毎週水曜- 23 - 日の夕方から横浜東口支店で行われていた個別の融資案件の方向性を協議する会議において、原告の部下から個別の融資案件について審査部が否定的な意見を言っているなどと聞かされると、すぐにNを呼び出して執拗に叱責し、また、同会議の翌日の始業時間前である朝8時にNを自分の部屋に呼び出し、延々と怒鳴りながら叱責することが多かった。さ らに、Nが、原告に対し、家賃から算出される物件価格と評価会社の物件評価額が乖離する場合には融資を止めたい旨を話したところ、原告が理解を示したことから、Nが営業担当者に対し、原告の許可を得ていることを理由に何件か稟議を差し戻したところ、それを知った原告が、「俺がそんな許可をするはずがない。Nを呼べ。」と言って、平成28 年10月3日の各ハウジングローンセンターのセンター長が集まる営業部内の会議にNを呼び出し、他の出席者の それを知った原告が、「俺がそんな許可をするはずがない。Nを呼べ。」と言って、平成28 年10月3日の各ハウジングローンセンターのセンター長が集まる営業部内の会議にNを呼び出し、他の出席者の前で、「てめえふざけんじゃねぇ」、「俺がそんなこと言うか」、「お前のせいで100億円以上減らしたんだ」、「お前の暴走だ」などと怒鳴り続けたこともあった。 審査役に対する恫喝 原告は、同じく遅くとも平成26年4月以降、審査部の幹部だけでなく、審査役に対しても直接恫喝していた。 具体的には、融資案件の稟議に否定的なコメントを記載した審査役のOに対し、「お前のせいでこうなったんだ」、「この野郎、すぐにとばしてやるからな」などと1時間くらい怒鳴り続けたり、担保評価につい て消極的な意見を営業に伝えた審査役のPを呼び出し、「おかしくねえか?お前の発言は」、「審査の柔軟性がないから役に立たない」、「お前はマーケットのことを知らない。審査ばっかりやっているから型どおりの評価になる。営業にして徹底的に外回りをさせるぞ。」などと恫喝したりした。 また、審査部が実施した物件調査の結果に不満を抱き、平成29年6- 24 - 月29日、物件調査を担当した審査役のQを呼び出し、小一時間にわたって、「お前が191件も未入居とか言ってんのか。入ってんだよ。 ばーか。お前は給料いくらもらってるのか。」、「それが〇円もらっているやつの仕事か。お前の〇円の物件調査はそんな程度か。どういう仕事してんだ。ばーか。明日からお前は俺の前の席に座りに来い。俺が〇 円分の物件調査の仕事を教えてやる。」と大声で怒鳴り続けて恫喝した。 イ自己の権限を越えて審査部内の人事にまで介入し、審査部がパーソナル・バンク部門からの融資案件が 席に座りに来い。俺が〇 円分の物件調査の仕事を教えてやる。」と大声で怒鳴り続けて恫喝した。 イ自己の権限を越えて審査部内の人事にまで介入し、審査部がパーソナル・バンク部門からの融資案件が通りやすい人事配置になるようにしていたこと被告においては、一般社員の人事も、部長以上の役職者の人事も、各現 場の部署を所管する執行役員から人事部に対して人事案原案が提出され、人事部において、同人事案原案を参考にして所管執行役員と協議した上で人事案を作成し、人事部長がE副社長に対して人事案を提示し、E副社長の決裁を求めていた。なお、決裁権者は、一般社員についてはE副社長、役職者以上についてはD会長であり、後者は取締役会の決議事項でもあっ たが、役職者以上の人事についてE副社長が了解した人事案がD会長によって覆されることはなかったため、実質的には、いずれもE副社長に決裁を求める運用であった。 しかし、原告が特に力を入れていたパーソナル・バンク部門の案件の審査を行う審査第二部の人事については、原告が、パーソナル・バンク部門 の営業成績を上げるため、自ら人事案を起案し、直接E副社長に相談してその了解を得ており、人事部長は、E副社長の了解済みの人事案を原告から受け取り、これを決裁権者であるD会長に提出して決裁を得ており、原告が人事権を掌握していた。 例えば、原告は、平成26年4月28日、当時の人事部長に対し、「審 査部異動案」という題名のメールを送信しており、その添付ファイルには、- 25 - 審査第二部長の配置換えの人事案や、原告の直属の部下である営業本部パーソナル・バンク所属の従業員を審査部の所属に異動させる人事案などが記載されていた。このうち、審査第二部長の異動は、重要な審査部内の人事であるにも 置換えの人事案や、原告の直属の部下である営業本部パーソナル・バンク所属の従業員を審査部の所属に異動させる人事案などが記載されていた。このうち、審査第二部長の異動は、重要な審査部内の人事であるにもかかわらず、担当外である原告が、大規模な人事異動がされた4月1日の直後の5月1日付けの発令を、わずか2日前に指示してい る点で、異例ずくめの人事異動であった。 ウ本件簡素化通達及び本件新運用基準により、原本確認のプロセスを簡素化して審査によるチェック機能を弱めたこと本件簡素化通達により、資産形成ローンの一部について、通帳の写しや源泉徴収票の写しなどは営業店の所属長が確認するのみで足り、営業店か ら審査部に送付しなくてよいこととされた。それまでは、営業店の所属長が自己資金確認資料の原本確認を行うとともに、審査部が、営業店から自己資金確認資料の写しの送付を受けて、自己資金の形成過程等を確認して審査の判断に用いており、月に3、4回は偽造、改ざんの疑いを指摘していたが、本件簡素化通達により、自己資金確認資料等を確認する役割は、 営業店の所属長のみが負うことになった。営業店の所属長には、審査役のような与信判断のノウハウやスキルはなく、審査役が行っていたような多面的な検討をする者はいなくなった。 もっとも、上記の運用変更後も、審査担当者が稟議書類を確認し、不審に思った場合などには、営業店から自己資金確認資料の写しを取り寄せて 確認することが自発的に行われることもあった。しかし、このことを知った原告は、平成27年10月22日、自ら本件新運用基準を定め、有担保ローンの自己資金確認について、申請段階ではヒアリングで可とし、実行前までに厳格に所属長において確認するよう変更した。これにより、場合によっては融資実行当日に営業店 自ら本件新運用基準を定め、有担保ローンの自己資金確認について、申請段階ではヒアリングで可とし、実行前までに厳格に所属長において確認するよう変更した。これにより、場合によっては融資実行当日に営業店において慌ただしく原本確認が行われる ようになり、原本と写しとの同一性の確認や記載内容に関する不審な点等- 26 - を十分に吟味することができなくなった。また、その時点で審査手続はほとんど完了しており、顧客側も売買契約を締結済みであるなど、後戻りが極めて困難な状況になっていることが多い中、審査担当者が営業店から自己資金確認資料の写しを取り寄せてチェックすることや、たとえチェックすることができ不審な点が発見されたとしても融資の実行を止めることが 極めて困難となり、審査部によるチェック機能が弱体化させられた。 エ稟議書類に「パーソナル・バンク協議済み」と部下に記載させ、又は部下が記載することを黙認し、同記載のある融資案件が審査を通りやすい体制を自ら作出し、同体制を黙認したこと営業担当者は、平成26年4月頃以降、審査部に対し、稟議書類に 「パーソナル・バンク協議済み」との記載(以下「本件記載」という。)があることは、原告が確認済みであることを示していると主張するようになった。そして、審査部においては、本件記載のある案件は、承認しなければ審査部長が原告に呼び出されて怒鳴られるか、営業担当者から原告に相談済みであると押し戻されることになるから、何を言っても受け入れら れないとの諦めが蔓延するようになり、本件記載があるだけで審査を通すようになってしまった。 原告は、営業本部の部下が稟議書類に本件記載をしていたことを認識していたが、これを是正する措置を採らなかったばかりか、その状況を利用していた。 で審査を通すようになってしまった。 原告は、営業本部の部下が稟議書類に本件記載をしていたことを認識していたが、これを是正する措置を採らなかったばかりか、その状況を利用していた。 オ小括以上のような原告による審査部門への不当な圧力は、遅くとも平成26年4月には開始され、原告がCo-COOでなくなる平成30年3月末まで継続し、これにより、回収可能性に問題のある融資が次々と実行され、被告の融資審査は形骸化させられた。 このことは、承認すべきではないと考えたものの承認せざるを得なく- 27 - なった審査担当者の無念な思いが審査記録中に記録された事例が200件以上あることからも裏付けられる。 ⑵ E副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライフ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に推進・継続させたこと(非違行為2) ア本件指示の具体的内容平成27年2月3日、被告のお客様相談センターに本件不芳情報が寄せられた。当時審査部長であったJは、外部調査機関の信用情報等を確認し、告発内容に信ぴょう性があると判断して、E副社長に本件不芳情報を報告した。E副社長は、Jに対し、スマートライフが関与する融資を取扱禁止 とすること並びに営業部門及び審査部門への共有を口頭で指示した。これを受けたJは、審査部門の幹部であったM及びNに対し、上記指示を伝えた。Nは、当時スマートライフの関与する案件を多く扱っていた横浜東口支店の支店長であるKにも上記指示を伝え、Kは、上司である原告に報告した。 本件指示は、スマートライフが関与する案件の取扱いを全て禁止するという趣旨であり、原告は、このことを認識していた。 なお、本件指 Kは、上司である原告に報告した。 本件指示は、スマートライフが関与する案件の取扱いを全て禁止するという趣旨であり、原告は、このことを認識していた。 なお、本件指示は記録等に残されていないが、被告においては、E副社長が長年にわたり業務執行の全てを仕切っていたため、業務上の問題が起きると、各部署の責任者は、規程上の正規の情報伝達ルートではなくE副 社長に対して直接口頭で報告することが常態化しており、報告を受けたE副社長も、その事項について口頭で指示していた。本件指示も口頭でなされたため、指示を受けたJもMらに対して口頭で伝えたものである。 イ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続されていることを、原告が認識していたこと 本件指示後、スマートライフの関与する融資案件が取扱禁止となること- 28 - によって営業成績が落ち込むことを懸念した横浜東口支店の営業担当者とスマートライフとが意を通じ、平成27年2月9日、スマートライフの従業員の一人を代表者としてアマテラスを設立し、以後、スマートライフが関与する融資案件は、アマテラスが持ち込んだ融資案件として取引が継続された。もっとも、同年5月8日には、金融庁にアマテラスがスマートラ イフのダミー会社である旨の告発がなされ、審査部からその旨の報告を受けたE副社長は、同月13日、アマテラスが関与する融資も取扱いを禁止することとした。それにもかかわらず、横浜東口支店を中心とする営業部門の担当者たちは、様々な販売会社を表向きの持ち込み業者とすることで対応しようとし、最終的には、スマートライフと投資家との間に販売会社 を介在させ、スマートライフの名前を出さずに販売会社が投資家に対する勧誘を 様々な販売会社を表向きの持ち込み業者とすることで対応しようとし、最終的には、スマートライフと投資家との間に販売会社 を介在させ、スマートライフの名前を出さずに販売会社が投資家に対する勧誘を行い、投資家に対する売主に立つ形でスマートライフの関与する融資案件が継続され、チャネルの一つであるイノベーターズに対し、スマートライフの関与する融資案件を様々な販売会社に振り分ける総代理店のような立場を担わせ、これによってスマートライフの関与する融資案件の取 扱いはかえって増加した。そして、平成27年8月には、横浜東口支店の「有担保証貸ローン」のうち、実に約84%がスマートライフの関与する融資案件となった。 横浜東口支店の融資案件のかなりの部分をスマートライフの関与する融資案件が占めていたところ、本件指示によりスマートライフの関与する融 資案件を取り扱うことができなくなったのであるから、原告は、代替案件を模索するなど、同支店長のKと協議して今後の営業戦略を立てるはずであるところ、上記のように、横浜東口支店においてスマートライフの関与する融資案件が減少するどころか激増していることから、原告とKとの間で、スマートライフの関与する融資案件の取扱いを継続することについて 協議をしたと解するのが自然である。 - 29 - また、上記のとおり、平成27年8月には、横浜東口支店の融資案件のほとんどがスマートライフの関与する融資案件となったのであるから、業務執行における営業部門のトップであり、毎週横浜東口支店において行われていた会議に出席し、同支店において取り扱っていたほとんどの収益不動産ローンにつき相談に乗るなど営業の現場にも密に関わっていた原告が、 被告の主要店舗である横浜東口支店の融資実行額を支えているロー いた会議に出席し、同支店において取り扱っていたほとんどの収益不動産ローンにつき相談に乗るなど営業の現場にも密に関わっていた原告が、 被告の主要店舗である横浜東口支店の融資実行額を支えているローンにどの不動産業者が関与しているかを把握していなかったはずがない。 したがって、原告は、横浜東口支店がE副社長の取扱禁止指示に反してスマートライフの関与する融資案件の取扱いを継続していることを当然に認識し、黙認していた。 ウサクトの破綻の対応を協議する被告の社内会議において、E副社長の指示(本件指示)に反することを知りながら、そのことに触れずにスマートライフを擁護し、新たな管理会社として推薦し、決定させようとしたこと 信用リスク委員会原告は、平成29年4月6日に開催された信用リスク委員会において、 サクトが運営するシェアハウスにつき、管理会社をスマートライフに変更するという選択肢を提案した。 第1回サクト会議上記の提案は、本件指示に反するものであったことから、出席者から反対意見が相次ぎ、ペンディングとされたにもかかわらず、原告は、 第1回サクト会議においても、サクトが運営するシェアハウスにつき、管理会社をスマートライフに変更することを選択肢の一つとして顧客に提案するという案を示した。その上、管理会社をシェアハウスの業界で一番ノウハウを持っているスマートライフに変更することによって最もスムーズに移管することができ、顧客にとってもメリットとなると主張 し、スマートライフの不芳情報に信頼性が欠けるなどとする資料まで提- 30 - 出し、スマートライフをサクトの後任の管理会社に据えようと画策した。 第4回サクト会議 し、スマートライフの不芳情報に信頼性が欠けるなどとする資料まで提- 30 - 出し、スマートライフをサクトの後任の管理会社に据えようと画策した。 第4回サクト会議さらに、原告は、第4回サクト会議において、出席者からシェアハウスの実態がE副社長の指示により一切関わることが禁止されたスマートライフなのではないかと指摘されたにもかかわらず、Kが、「スマート ライフがNo.1である。入居率は73%である。」などとスマートライフを擁護する説明をすることを制止しなかった。逆に、Kが、アマテラスやイノベーターズ等の不動産業者もスマートライフの迂回会社である旨の発言をした際、慌ててこれを制止した。 物件調査の結果に対する圧力 第1回サクト会議での議論をきっかけとして審査部が行ったシェアハウスの全件調査の結果、全942件のうち、全室空室である物件が191件存在すること等が判明した。しかし、原告は、第4回サクト会議において、上記191件のうち、98件は入居済みであり、法人に一棟貸ししている物件が45件あり、簡易宿泊所や保育所への計画変更をして いる物件が16件あり、実際の空き物件は32件しかない旨の営業本部の調査結果を提出するなど、審査部が行った全件調査の結果は間違っている旨の態度に終始し、スマートライフが関与する融資案件の取扱いの継続を目論んだ。 エスマートライフの救済策を講じ、スマートライフとの取引継続を図った たこと平成29年10月19日の経営会議において、D会長の指示により、全収益物件につき、融資条件を、①管理会社の業歴5年以上、②建物完成時一括実行、③簡易宿所への融資上限は100億円とすることなどが決定された。スマートライフを含むシ 議において、D会長の指示により、全収益物件につき、融資条件を、①管理会社の業歴5年以上、②建物完成時一括実行、③簡易宿所への融資上限は100億円とすることなどが決定された。スマートライフを含むシェアハウスローン業者はいずれも業歴5年 未満であったことから、上記決定により、その取扱いが大幅に制限される- 31 - こととなった。 しかし、原告は、上記決定につき再協議を要請して非公式の社内会議を急遽開催させ、スマートライフの迂回会社であるイノベーターズが既に土地を取得している24件39億円について融資を実行するよう要求し、最終的に要求を実現させた。原告がこのような要求をしたのは、経営会議で の上記決定を受けて窮境に陥っているとしてスマートライフの代表取締役から救済を懇願されたためであった。 オ小括原告の上記イ~エの一連の行為により、スマートライフが関与する融資案件に集中した貸付残高が膨れ上がり、被告に極めて大きな信用リスクを 負わせ、ひいては多額の損害を被らせることにつながった。 ⑶ 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠ったこと(非違行為3)ア原告の率いるパーソナル・バンク部門の業績目標を達成するため、部下に対して厳しい業績目標を課して過度のプレッシャーを与えていたこと被告においては、毎期、経営陣が全体の営業目標を決定し、営業本部が 各営業店に営業目標を割り振っていたところ、被告の収益の柱である収益不動産ローンを中心的に取り扱うパーソナル・バンク部門に所属する営業店に課される営業目標は極めて高いものであった。さらに、パーソナル・バンク部門では、同営業目標を上回る「ストレッチ目標」と呼ばれる営業目標を自主的に設定し、実際の営業ノルマとして扱われていたが、それは 課される営業目標は極めて高いものであった。さらに、パーソナル・バンク部門では、同営業目標を上回る「ストレッチ目標」と呼ばれる営業目標を自主的に設定し、実際の営業ノルマとして扱われていたが、それは もはや現実的ではないような数字であり、達成は不可能であった。 それにもかかわらず、原告をはじめとする営業本部の幹部たちは、週1回、首都圏店舗の所属長が集まり営業成績を報告するセンター長会議において、業績目標を達成できない営業店の所属長等に対し、マネジメント能力や戦略を全て否定する発言を行い、「何やってんだ」、「馬鹿野郎」、 「小僧」、「お前の店舗の従業員は可哀そうだ」などと、長いときには3- 32 - 0分以上罵倒し続けるパワーハラスメント行為を行っていた。そして、そのようなパワーハラスメント行為を受けた各センター長らが、課せられたノルマを達成すべく、自らの所管する各営業店において、部下の営業社員に対し、パワーハラスメント行為を行うことが日常化していた。 原告は、営業本部長として営業の業務執行のトップの立場にありながら、 営業の現場において日常的にパワーハラスメント行為が繰り広げられる状態を放置したばかりか、むしろ自ら積極的にパワーハラスメント行為を行っていた。 イ融資関連書類等の偽造・改ざんが蔓延していることを認識し、又は認識し得たにもかかわらず、十分な対策を行わなかったこと 融資関係資料の偽造・改ざんが蔓延したこと及びその原因被告においては、本件全件調査の結果のとおり、融資関係資料における偽造・改ざん等の不正が認められたところ、偽造・改ざん等の不正が判明した融資関係資料は、自己資金関係資料(預金通帳等)、収入関係資料(源泉徴収票等)、売買契約関係資料(不動産売買契約書等)、レ る偽造・改ざん等の不正が認められたところ、偽造・改ざん等の不正が判明した融資関係資料は、自己資金関係資料(預金通帳等)、収入関係資料(源泉徴収票等)、売買契約関係資料(不動産売買契約書等)、レ ントロール、建築確認関係資料(建築確認証等)及び団体信用生命保険関係資料(診断書等)であった。このうち、少なくともレントロール以外の資料については、融資前の時点で原本確認を徹底しさえすれば容易に偽造・改ざんを見抜くことができたが、被告においては、次のような事情が重なった結果、原本確認部署である営業店において、原本確認を 行わないことが常態化し、融資関係資料の偽造・改ざんを認識しながら黙認等するまでの異常な事態に陥ったものと考えられる。 a 営業店に対する過大なノルマ、パワーハラスメント行為営業店には極めて高い営業目標が課され、常に多数の融資案件を抱えていたから、一人しかいない所属長が、それら全ての案件の原本確 認を行うことは物理的に不可能であった。 - 33 - また、営業担当者も、原告を含めた営業本部員や所属長から日常的にし烈なパワーハラスメント行為を受けており、各自が大量の案件を抱え、猛烈なスピードで処理し続けなければならない状況であったから、全ての案件の原本確認を徹底することは物理的に困難であった上、融資実行の障害となり得る原本確認を積極的、主体的に行おうと考え ることなど期待できなかった。 b チャネルに依存した営業体制被告は、収益不動産ローンについて、不動産業者と不動産投資セミナーを共催し、不動産業者の不動産投資セミナーに被告が融資者として引用されるなど、顧客の獲得をチャネルに依存していた。営業店従 業員は、営業成績を上げるため、チャネルと強固な関係性を築き セミナーを共催し、不動産業者の不動産投資セミナーに被告が融資者として引用されるなど、顧客の獲得をチャネルに依存していた。営業店従 業員は、営業成績を上げるため、チャネルと強固な関係性を築き、いかに多数の融資案件の紹介を受けるかに腐心しており、懇意のチャネルが取引停止となれば自らの営業成績が落ちるため、偽造・改ざんを疑って原本確認を行うことを控えるようになった。 加えて、金銭消費貸借契約締結に先立つ顧客との連絡はほぼ全て チャネルが窓口となり、融資関係資料もチャネル経由で受領していたため、チャネルによる資料の偽造・改ざんの機会が多くなった。 c 原本確認の簡素化等被告は、さらなる営業推進を図るべく、原告の提案に基づき、本件簡素化通達及び本件新運用基準による原本確認手続の簡素化を実施し た。その結果、審査担当者が融資審査の過程で不審に思ったとしても、営業店から自己資金確認資料の写しを取り寄せることができるのは融資実行時となり、その時点で融資の実行を止めることは心理的にも時間的にも極めて困難となってしまった。 d その他の被告特有の事情 パーソナル・バンク部門の従業員は、異業種出身の中途採用社員が- 34 - 多数を占めており、被告が銀行員としての研修も実施しないまま営業に専従させていたために、原本確認の徹底の重要性や偽造・改ざんリスクへの十分な認識を欠いたまま業務に従事していたことや、被告が他行では取扱いが困難な案件に対して柔軟に対応してきたために、チャネルが偽造・改ざんをしなければ審査が通りにくいような融資案 件を積極的に被告に持ち込むようになったことも、偽造・改ざんの要因となった。 原告が、融資関係書類の偽造・改ざんが蔓延していることを認識し、又は認 をしなければ審査が通りにくいような融資案 件を積極的に被告に持ち込むようになったことも、偽造・改ざんの要因となった。 原告が、融資関係書類の偽造・改ざんが蔓延していることを認識し、又は認識し得たにもかかわらず、十分な対策を行わなかったこと原告は、上記a~dの事情を認識していたから、少なくとも、営業 店において原本確認が徹底されていないことを把握していたことは明らかである。その上、被告には、平成25年以降、融資に関する書類が偽造・改ざん等されているとする外部からの通報が30件以上寄せられており、原告は、このうち少なくとも8件の外部通報について、実際に報告を受けていたのであるから、被告において融資関係資料の偽造・改ざ んが蔓延していることを認識し、又は少なくとも認識すべきであった。 それにもかかわらず、原告は、偽造・改ざんを防止するための方策を何ら講じず、管理監督者としての職責を全く果たさなかった。 ウ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していることを認識しながら、部下に対する注意・指導を何ら行わな かったこと原告は、上記⑵のとおり、営業の現場において、本件指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していたことを認識していたにもかかわらず、部下に対し、スマートライフの関与する融資案件の取扱いを禁止するよう注意、指導を行わなかった。 エシェアハウスローン特有のリスクを認識しながら、部下に対する指導や- 35 - 監督体制の整備を行っていないこと原告が平成28年5月27日に自ら主宰した会議の議事録によれば、原告は、シェアハウスローン特有のリスクとして、①アパートローンと異なり、建設・入居前に入居見込み家賃を基礎として評価 いないこと原告が平成28年5月27日に自ら主宰した会議の議事録によれば、原告は、シェアハウスローン特有のリスクとして、①アパートローンと異なり、建設・入居前に入居見込み家賃を基礎として評価計算することが許容されているため、業者が融資実行額を吊り上げる目的で見込み家賃を周辺 の同等物件と比較して高額に設定する場合があること、②人件費や材料費のほかに、上記のように入居見込み家賃を基礎として評価計算することが許容されているため、建築費への上乗せ幅が大きく、物件価格が同条件の他の物件と比べて高額となり、その分家賃も高額となるため空室リスクが高くなること、③新規参入のチャネルも多く、家賃保証に耐え得る財務体 質ではないチャネルが家賃保証をしている場合があり、チャネルが倒れた場合、銀行は、追い詰められた債務者から融資姿勢を非難されるおそれがあること、④物件価格を高く設定した分がチャネルの利益になるなどして、銀行の融資の一部が自転車操業的にチャネルの家賃保証の原資集めに使われていることが疑われ、そのようなチャネルの営業が行き詰まった場合、 銀行が巻き込まれるリスクがあることを認識していた。 原告は、部下に対し、シェアハウスローン特有のこのようなリスクを周知し、不適切な融資が実行されないよう指導監督するなど、必要な体制を構築すべきであった。特に、空室リスクやチャネルの財務体質の脆弱性に関するリスクなどは、債務者の支払能力に影響し、被告の損害に直結する 可能性のある極めて重大なリスクであるといえるから、安全性が確認されるまでの間、シェアハウスローンを取り扱わないよう指示するなどの措置を採るべきであった。しかし、原告は、取扱地域を定めるなどの限定的な対応をするだけで、リスク回避のために必要な措置を採らなかったばかり での間、シェアハウスローンを取り扱わないよう指示するなどの措置を採るべきであった。しかし、原告は、取扱地域を定めるなどの限定的な対応をするだけで、リスク回避のために必要な措置を採らなかったばかりか、営業の現場に過剰なノルマを課してプレッシャーを与え続けることに よってシェアハウスローンの取扱いを禁止できないような状態に追い込ん- 36 - だ。 ⑷ 懲戒事由該当性非違行為1は就業規則20条7号及び10号に、非違行為2は同条4号、6号及び10号に、非違行為3は同条10号及び11号に、それぞれ該当する。 【原告の主張】前提として、原告が被告社内で「絶大な権力」なるものを有する立場にあったとの被告の主張については、原告のどのような権限をもってそのように評価しているのかが不明である。 ⑴ 審査部門に強い圧力を加えて、融資審査を形骸化させたこと(非違行為1) についてア個々の融資案件について自己の権勢をもって無理やり稟議を押し通す行為を日常的に行っていたとの点について審査部門が融資申請の承認に難色を示した際は、営業部門として、審査部門がどのような点で承認が難しいという判断をしているのかを確認し、 その判断に疑問があれば尋ねることは不可欠である。原告も、このような観点から、具体的な案件について審査部門に対して問合せをしたことはあった。しかし、融資申請を承認するか否かの判断は、審査部門の強固な専権であり、原告にはこの判断に関与する権限は一切なかった。このように、原告は、営業を推進する立場の営業部門と、融資について慎重な判断 を求める審査部門との立場の違いを前提として、営業部門のトップとして審査部門とやりとりをしていたものであって、審査を通すよう強く要求したことなどない 立場の営業部門と、融資について慎重な判断 を求める審査部門との立場の違いを前提として、営業部門のトップとして審査部門とやりとりをしていたものであって、審査を通すよう強く要求したことなどない。 イ自己の権限を越えて審査部内の人事にまで介入し、審査部がパーソナル・バンク部門からの融資案件が通りやすい人事配置になるようにしてい たとの点について- 37 - 原告には、審査部門の人事権はなかった。原告は、審査部門の人事について意見を述べることはあったが、審査部門での決裁が停滞することが多々あったため、E副社長から、営業部門から見た審査部門の問題点について意見を求められた際に、パーソナル・バンク本部長としての意見を述べただけであり、正当な業務の範囲内である。パーソナル・バンク部門に 有担保ローンの取扱いが集中しており、審査部門には、パーソナル・バンク部門の業務に通じた人材が求められていたため、原告としては、こうした人材を推薦することによってむしろ審査部門の審査能力が強化されることを期待したものであり、融資審査の弱体化ないし形骸化を図ったものではない。審査第二部長の交代については、審査第二部(東京)の審査が 滞っている状況を問題視したE副社長から、人事異動によって解決する方策を問われ、原告は、当時審査第二部長(東京)であったRの地元が静岡であり、当時審査第二部長(静岡)であったNの地元が神奈川であったことから、両者を入れ替えることをあくまで一案として示したところ、結果としてE副社長がそれを採用したにすぎない。原告は、審査部長の人事の 決裁権限を有する役員会議に立ち会ったことすらない。 また、原告には、所属長の異動に関する決裁権限もなかった。E副社長に求められ、営業部門の所属長人事案を作成して提 は、審査部長の人事の 決裁権限を有する役員会議に立ち会ったことすらない。 また、原告には、所属長の異動に関する決裁権限もなかった。E副社長に求められ、営業部門の所属長人事案を作成して提出したことはあるが、そのまま決裁に回ることが予定されているような正式なものではなく、一提案にすぎなかった。E副社長は、原告を含めた複数名に人事に関する意 見を求めており、その上で自らの考えに沿った意見を採用していた。 ウ本件簡素化通達及び本件新運用基準により、原本確認のプロセスを簡素化して審査によるチェック機能を弱めたとの点について本件簡素化通達について本件簡素化通達以前から、審査部に対して自己資金確認資料の写しを 送付した結果として、審査部から顧客の自己資金に疑義が呈されること- 38 - はなかった。また、そもそも、審査部が自己資金確認資料の原本を確認することは当初から予定されていなかったのであるから、原本確認のプロセスに変更はない。本件簡素化通達によって審査部のチェック機能が弱まったとはいえない。 本件新運用基準について 本件新運用基準は、顧客が融資検討の初期段階で審査に必要な書類の全てを集めることが困難であることから、申請までに揃えることができた確認資料やヒアリング結果から審査が可能であれば申請し、間に合わなかった資料の原本確認は、顧客が来店する際に追完してもらい、融資契約の実行までに確認すれば足りるとしたものである。原本確認の時期 を変更したにすぎず、原本確認の主体も回数も変更を加えておらず、迅速性と厳格性の双方に配慮した適切な手順を選択したにすぎない。本件運用変更によっても審査によるチェック機能が弱められたとはいえない。 被告は、場合によっては融資実行当日に営業店に ておらず、迅速性と厳格性の双方に配慮した適切な手順を選択したにすぎない。本件運用変更によっても審査によるチェック機能が弱められたとはいえない。 被告は、場合によっては融資実行当日に営業店において慌ただしく原本確認が行われるようになり、原本と写しとの同一性の確認や記載内容 に関する不審な点等を十分に吟味することができなくなった旨を主張するが、営業店で行われていた原本と写しの同一性の確認の内容は、予め顧客又はチャネルから提供されていた写しと原本を照合させればよいだけのことであるから、それほど時間はかからない作業である。 また、被告は、本件新運用基準により、場合によっては融資実行当日 に原本確認が行われるようになり、その時点では顧客も売買契約を締結済みであることなどから後戻りが極めて困難となった旨を主張するが、顧客は、ローンを申し込む時点で既に不動産売買契約を締結しており、申込時と実行時でこの点に差異はない上、不動産売買契約には融資特約が設けられているのが通常であるから、融資が実行されなかったとして も直ちに顧客に不利益は及ばない。本件新運用基準の前後にかかわらず、- 39 - 審査担当者は自己資金に疑義があれば営業店に自己資金確認資料の取寄せを指示することはできたし、融資実行以前のいかなる段階であれ、不審な点を認めたのであれば融資の実行を停止するのが審査部の役割であり、後戻りが困難であるなどと主張するのは、審査部の職務怠慢である。 全社的な決定を経ていること 自己資金確認資料については、従前、営業店の所属長が通帳などの原本を確認し、写しを審査部に送付していた。しかし、審査件数が増加する月末にかけて、審査部の審査が滞留することが多くなり、融資の迅速性という被告の強みが毀損されるおそれが生じた の所属長が通帳などの原本を確認し、写しを審査部に送付していた。しかし、審査件数が増加する月末にかけて、審査部の審査が滞留することが多くなり、融資の迅速性という被告の強みが毀損されるおそれが生じた一方で、審査部から写しの確認の結果疑義が呈されることはなかったことから、一連の手続に おいて核心的に重要である所属長による原本確認を軸とした手続の円滑化が模索された。そこで、本件簡素化通達については、営業部門が、審査部の意見も取り入れて提案し、最終的に審査部も含めた被告社内の正式な意思決定を経て採用された。また、本件新運用基準については、原告が、審査部も参加する会議において提案してこれが採用され、関係各 部署の稟議にかけられた結果、最終的に、E副社長、審査部長らの決裁を含む被告内部の正式な承認手続を経て採用された。このような全社的な決定を、原告個人の非違行為として原告に帰責させるのは不当である。 事後審査が機能していなかったこと稟議書類を偽造・改ざんするチャネルは、一度不正な書類で融資が下 りると、以後同様の手口を用いることが懸念され、個々の融資案件の申請段階の審査で対応することは現実的ではなかったことから、被告においては、融資関連書類について申請段階と実行後の2段階の審査体制を構築しており、実行後のドキュメント検証の中で問題となる事例を発見した場合には、チャネルPRMに登録して当該チャネルの関与する融資 案件の取扱いを停止することが意図されていた。かかるドキュメント検- 40 - 証が正常に機能していれば、自己資金確認資料の改ざんの多くは防ぐことができたはずであり、その機能不全の結果を原告に帰責すべきではない。 エ稟議書類に「パーソナル・バンク協議済み」と部下に記載させ、又は部下が記 自己資金確認資料の改ざんの多くは防ぐことができたはずであり、その機能不全の結果を原告に帰責すべきではない。 エ稟議書類に「パーソナル・バンク協議済み」と部下に記載させ、又は部下が記載することを黙認し、同記載のある融資案件が審査を通りやすい体 制を自ら作出し、同体制を黙認したとの点について「パーソナル・バンク協議済み」との記載(本件記載)は、Kが、審査部から融資申請の根拠を尋ねられた際、横浜東口支店における会議で原告に報告していると述べたところ、審査部からそういうことであればその旨を記載するよう求められたことに応じて、Kが指示していたものである。 こうした対応は、同会議において詳細な個別案件の検討は行われず、一見明白に問題がある案件について指摘する程度であったことを踏まえれば、極めて不適当なものであり、原告は、そのような不適当な対応がされていた事実を認識していなかった。 また、営業店から審査部に提出される正式な稟議書類は、営業本部を経 由しないため、原告は、稟議書類に本件記載がされているか否かを確認することはできなかった。 オその他の被告の主張について被告は、原告が融資審査を形骸化させた結果として、申請された融資案件の99%が承認されていた旨を指摘する。しかし、これは、取扱いロー ンの95%は資産形成ローンであり、顧客の職業、年収、勤務年数などから高属性な顧客が多く、物件についても事前に調査できることから、営業部門において十分な事前調査を行い、申請以前から審査部と協議するなどして審査に耐えうる申請のみに絞った結果にすぎない。 また、被告が原告によって承認させられた問題のある融資案件と主張す る具体的な案件については、原 以前から審査部と協議するなどして審査に耐えうる申請のみに絞った結果にすぎない。 また、被告が原告によって承認させられた問題のある融資案件と主張す る具体的な案件については、原告は、いずれも、営業部門として十分な根- 41 - 拠を示し得るものである。 カ審査部の独立性むしろ、審査部は、原告のあずかり知らないところで自ら暴走し、不適切な融資申請を通し続けていた。 ⑵ E副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライ フ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に推進・継続させたこと(非違行為2)についてア本件指示の具体的内容について本件指示の存在及び内容を示す書面は何ら存在しない。被告においては、E副社長からの指示がたとえ口頭でなされたとしても、各担当者がその内 容を稟議書にするか、定められた事務手続に従って社内に共有する仕組みであったから、本件指示についてのみ、口頭でのやり取りにとどめたというのは不合理である。また、不芳情報がもたらされたスマートライフが関与する融資案件を全て取扱禁止にするのであれば、チャネルPRMへの登録が不可欠であるが、それがされていないことからしても、E副社長の何 らかの指示が一義的に明確な規範として共有され、その指示に反することが絶対的に禁止されていたとは到底考えられない。被告は、スマートライフはその時点でチャネルとして認識されておらず、システムに登録されていなかったから取引停止とすることができなかった旨を主張するが、不芳情報が入った時点で登録すればよかっただけのことである。 原告は、E副社長の指示を直接聞いておらず、Kから電話で、スマートライフについての投書があり取り急ぎ取扱いができないこ が、不芳情報が入った時点で登録すればよかっただけのことである。 原告は、E副社長の指示を直接聞いておらず、Kから電話で、スマートライフについての投書があり取り急ぎ取扱いができないこととなった旨を聞いたことから、Jに電話を掛けて確認したところ、チャネルとしての持込みは禁止との回答を得た。被告において、当時、スマートライフは案件持込み業者としてしか共有されていなかったため、当然の回答であった。 そのため、原告としては、E副社長の指示の内容は、チャネルとしてス- 42 - マートライフが関与する融資案件の取扱いはしない、すなわち、スマートライフが持ち込む融資案件は取り扱わないといった程度の認識であった。 したがって、E副社長の指示が存在したとしても、「チャネルとしては禁止であるが、単に物件の管理委託先として関与する等、実質的にみてもチャネルとして関与しているのと同視できる状態でなければ許容される」 との内容であったと考えられる。 被告は、本件指示が、要するに、スマートライフとは一切付き合うなという指示であった旨を主張するが、そのような指示でなかったことは、①被告が平成27年5月に金融庁宛てに作成した書面には、「スマートライフに関する案件の取扱いを停止しております。今後もモニタリングを継続 しつつ、融資希望者への対応については、個別案件毎に慎重に対応したいと考えております。」との記載があること、②E副社長からの指示を直接聞いた唯一の人物であるJが、信用リスク委員会において、本件指示に言及したにもかかわらず、スマートライフを管理会社とする選択肢は「ペンディング」とされたこと、③Jは、別訴において、第1回サクト会議の時 点で、「創業者の影響力がスマートライフの経営及び資本関係から排除された旨の 、スマートライフを管理会社とする選択肢は「ペンディング」とされたこと、③Jは、別訴において、第1回サクト会議の時 点で、「創業者の影響力がスマートライフの経営及び資本関係から排除された旨の説明がなされたことで、絶対的に同社を排除しなければならない理由は失われたものと認識していた」と主張しており、E副社長がスマートライフが関与する融資案件の取扱いを禁止した趣旨は、問題のある創業者の影響という属人的事情であったと考えられることから明らかである。 イ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続されていることを、原告が認識していたとの点について原告は、E副社長の指示が、上記アのとおりであると認識し、営業部門に対し、スマートライフの関与する新規の持込み案件は取り扱わないように指示した。 また、平成27年5月、スマートライフと同様に、アマテラスの不芳情- 43 - 報がもたらされて以降、新規取扱いチャネルについては全て審査部において信用調査を行い、スマートライフとの取引がないことを確認することとなったから、原告は、それ以降、審査部の調査を経ていない新規チャネルとの取引を禁止していた。 さらに、原告は、本件指示を認識して以降、審査部に対し、何度も、ス マートライフの関与している案件がないか確認しており、特に平成28年6月雑誌「FACTAオンライン」にスマートライフに関する記事が掲載された際には、営業企画部長、審査部副部長及び審査二部長に対してスマートライフとの取引がないか確認したが、取引はない旨の回答を得ている。 原告が参加していた横浜東口支店における会議では、会議冒頭の10分から15分ほどで各所属長から各案件につき数分程度の概要の報告を受けていただけ 確認したが、取引はない旨の回答を得ている。 原告が参加していた横浜東口支店における会議では、会議冒頭の10分から15分ほどで各所属長から各案件につき数分程度の概要の報告を受けていただけであり、どのような業者が間接的に関与しているかといったことまで報告されることはなかった。原告が、唯一、具体的な融資申請の内容を知り得た機会は、営業本部において行われていたSSP会議と呼ばれ る会議においてSSPシートと呼ばれる事案概要書を確認することだったが、平成27年2月以降、SSPシートにはスマートライフという社名は一度も出てきておらず、チャネルPRMにもスマートライフの登録はなかったから、原告においてスマートライフが関与する融資案件の取扱いが行われていることを認識することはできなかった。 結果として、スマートライフの関与する融資案件は取り扱われていたが、平成27年4月22日付けでKが原告に提出した資料では、スマートライフ関係の記載が修正液で白塗りされていることから、Kが原告に対して事実を糊塗していたものと考えられる。 ウサクトの破綻の対応を協議する被告の社内会議において、E副社長の指 示(本件指示)に反することを知りながら、そのことに触れずにスマート- 44 - ライフを擁護し、新たな管理会社として推薦し、決定させようとしたとの点について原告は、シェアハウスローンに関する業者の経営破綻が相次ぐ中で、被告及び債務者双方の利益のために、具体的な事態の収束方法の選択肢の一つとして、管理会社をスマートライフに変更するという選択肢を示したに すぎず、スマートライフを擁護する意図はなかった。すなわち、原告は、管理会社がサブリースによる家賃保証を行いながら入居者募集機能を有していない場合、入居者か フに変更するという選択肢を示したに すぎず、スマートライフを擁護する意図はなかった。すなわち、原告は、管理会社がサブリースによる家賃保証を行いながら入居者募集機能を有していない場合、入居者からの家賃収入の安定的な確保が見込めないため、よほどの財務体力を有していない限り、サブリースによる家賃保証の履行が極めて困難ないし不安定な状態になり、構造的に破綻してしまうという 認識を有していたが、サクトは、入居者募集機能を有していなかった。サクトは、平成29年3月、保証債務の履行が困難な状況に陥り、代表者自ら、自社の顧客110名のサブリースを引き受けてくれる企業を探していた。原告は、その対象企業として、アパマンHD、スマートライフが挙げられていると当時の二子玉川支店所属長から報告を受けており、また、サ クトの顧客の中には、別物件の管理をスマートライフに任せていた者もあり、顧客からの依頼もあった。そのような経緯で、原告は、シェアハウスの管理会社をサクトからスマートハウスに変更するという案を複数案のうちの一つとして提案したが、当時、シェアハウスローンを全く取り扱ったことのない会社に切り替えることには手数料やノウハウの点で問題もあっ たため、暫定的かつ緊急避難的な救済案として、一部機能に限って、入居者募集機能を有し相対的にましな事業構造にあったと当時考えられたスマートライフを利用するという案であり、苦肉の策であった。本件指示は、スマートライフの経営者の経歴が問題視されたことによるものであると理解していた原告としては、既に経営者が変更されている以上、顧客誘引能 力のある管理会社の一つとしてスマートライフを提案することは問題がな- 45 - いと認識していた。 被告は、原告が審査部によるシェアハウスの全件調査の れている以上、顧客誘引能 力のある管理会社の一つとしてスマートライフを提案することは問題がな- 45 - いと認識していた。 被告は、原告が審査部によるシェアハウスの全件調査の結果に対して圧力を加えたとも主張するが、営業部門としては、入居状況の判断においては法人の一括借りのケース等を考慮する必要があると常々指摘してきたにもかかわらず、審査部の調査方法が外観の確認等の全く実態を把握できな い手法に戻ってしまったため、調査方法を確認する目的で、Kに依頼して営業部門独自の調査をしたにすぎない。 エスマートライフの救済策を講じ、スマートライフとの取引継続を図ったとの点について原告は、平成29年10月19日開催の経営会議には出席していなかっ たところ、正式な決定に至ったものではない旨の説明を受けた。原告は、上記経営会議で議論された一律の基準による絞り込み策があまりに急激なものであり、被告の融資方針の転換に起因して、管理委託先に対して他行からの資金供給が停止される事態が生じ、結果として債務者の返済が滞ることになり、ひいては被告の利益を害することになるため、本件シェアハ ウス・簡易宿所会議において、より実効的な債務者救済案かつ被告の損害回避案として、当時申請中の案件について、個別に審査をし、通常の審査方法に加えて、審査結果を専務以上に回すことにより事案に即して個別具体的、実質的に判断することを提案した。 上記経営会議で議論された内容は、社内稟議を経て同年12月に正式に 決定され、平成30年1月4日から施行されることになったのであるから、平成29年10月19日に「決定」はされておらず、決定されていないものに「抵触」することは不可能である。 ⑶ 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠 月4日から施行されることになったのであるから、平成29年10月19日に「決定」はされておらず、決定されていないものに「抵触」することは不可能である。 ⑶ 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠ったこと(非違行為3)について ア原告の率いるパーソナル・バンク部門の業績目標を達成するため、部下- 46 - に対して厳しい業績目標を課して過度のプレッシャーを与えていたとの点について原告は、営業部門の責任者の立場にあったことから、各所属長等に対して、業務上正当かつ社会的に相当な範囲で指揮監督及び命令を行っていた。 各営業店の営業目標は、前年の実績を踏まえ、営業企画部において算出 した理論値に基づき設定されていた。また、パーソナル・バンク部門における120%のストレッチ目標は、四半期ごとに開催され、役員、執行役員、関係部長が出席するマスターシェルパという会議において議論され、被告が正式に定めたものであり、パーソナル・バンク部門や原告が勝手に課したものではないし、営業目標の達成度はあくまでも100%の目標値 との関係で評価され、ストレッチ目標の未達成に対するペナルティは存在しなかった。 パーソナル・バンク部門に属する営業店は、融資関係書類の説明に1件当たり2時間以上を要する有担保ローンの顧客が中心であり、対応できる顧客の数には限界があるから、それを前提として営業目標値が設定されて おり、原本確認の時間的余裕がなくなってしまうほどの目標値の設定は現実的に不可能であった。 イ融資関連書類等の偽造・改ざんが蔓延していることを認識し、又は認識し得たにもかかわらず、十分な対策を行わなかったとの点原告は、所属長らが原本確認を徹底していなかったことを認 イ融資関連書類等の偽造・改ざんが蔓延していることを認識し、又は認識し得たにもかかわらず、十分な対策を行わなかったとの点原告は、所属長らが原本確認を徹底していなかったことを認識していな かった。この点については、報告や相談がなかっただけでなく、原告は、当時横浜東口支店長であったKから、再三にわたって、自己資金については次席者とともに厳格に確認している旨の報告を受けるなど、積極的に隠蔽されていた。 原告が、融資関連書類等の偽造・改ざんが蔓延していることを認識して いたなどということもない。 - 47 - それでも、原告は、執行役員就任後の平成19年4月に「パーソナルバンクローンバイブル~2007年4月19日~*住宅ローン*PA1」を策定し、これに基づいて研修を行い、さらには社内イントラネットに掲載して啓蒙する等して、各種リスク対策の指導を徹底してきた。その後も、審査融資管理主催の「途上与信回収会議」などで自己資金に問題があった と指摘されるような事例があれば、営業部門の会議で報告し、問題意識の共有に努めてきた。さらに、平成29年には「資産形成ローン担当者向け手引き試作2」を作成し、サクト・ガヤルドの問題が発生した後、自己資金の確認ルール等の徹底について若手・中堅社員に複数回研修を行った。 このように原告は、シェアハウスローンに限らず、営業部門として自己資 金確認資料の原本確認を徹底させるという全社的に核心部分として共有されていた重要点については一貫して指示しており、可能な限りの偽造・改ざん防止策を講じてきた。 ウ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していることを認識しながら、部下に対する注意・指導を何ら行わな 能な限りの偽造・改ざん防止策を講じてきた。 ウ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していることを認識しながら、部下に対する注意・指導を何ら行わな かったとの点について上記⑵アのとおり、スマートライフが関与する融資案件の取扱禁止は被告社内での正式な決定事項にはなっておらず、認識共有が図られたこともない。また、原告は、口頭でE副社長の話を又聞きして以降、何度もスマートライフとの取引が行われていないかを各所に確認し、その都度取引 はない旨の回答を得ており、スマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していることを認識していなかった。 エシェアハウスローン特有のリスクを認識しながら、部下に対する指導や監督体制の整備を行っていないとの点について被告において、平成28年5月当時、取扱実績の乏しいシェアハウス ローンについて独自の評価基準を定めておらず、その危険性を具体的に認- 48 - 識している者はいなかった。そのような中、原告は、ワンルームアパート向けローンの経験から適切に問題点を指摘し、同月27日の会議の時点で執り得るリスク回避方法として、①経営基盤などが不透明な新規チャネルの取扱いを停止する、②既存チャネルについても財務体質などが脆弱なものは取扱いを一部停止するといった具体的な対策を採用した。全ての取扱 いを禁止しなかったのは、ワンルームマンションに対する融資に関連してチャネルによる顧客に対する不正な勧誘が問題となった際、被告がワンルームマンションに対する融資を急激に減らしたところ、業界全体として資金供給が滞った結果、顧客が短期間での管理会社の変更を余儀なくされ、健全な融資案件まで返済が困難となった経験から、シェアハウスロ ルームマンションに対する融資を急激に減らしたところ、業界全体として資金供給が滞った結果、顧客が短期間での管理会社の変更を余儀なくされ、健全な融資案件まで返済が困難となった経験から、シェアハウスローンに 関するサブリースの不履行のリスクが顕在化していない段階においては取扱いをなくすのではなく徐々に減少させるべきであると考えたためであり、現に、その後の取扱いは明らかに減少している。このように、原告は実行的な出口戦略を提示し、その後、確実に実行させている。 ⑷ 懲戒事由該当性 争う。 4 争点4(就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在するとして、本件異動命令及び本件懲戒解雇は、権利の濫用に当たるか。)について【原告の主張】仮に、就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在するとしても、本件異 動命令及び本件懲戒解雇は、次のとおり、社会通念上の相当性がなく、権利の濫用に当たるから、無効である。 ⑴ 処分の重さが不相当であること原告は、被告の営業部門の社員として、部下・営業店社員や審査部門に対して営業を推進する立場にある者として行動したにすぎず、何ら違法・不正 な行為はしていない。こうした原告の行為をもって企業秩序を現実に侵害し- 49 - 又はその具体的な危険性があるとは考えられず、本件懲戒解雇は処分の重さが相当とはいえない。 また、本件異動命令は、本件懲戒解雇に至るまで一切の業務を与えず、給与を従前の3分の1以下に減額させるものであり、原告が被った不利益は実質において解雇と変わりがない。 ⑵ 他の事例と比べて不平等であること被告は、シェアハウスローンを巡る一連の問題に関し、同時に多数の社員に対して懲戒処分を行ったが、 利益は実質において解雇と変わりがない。 ⑵ 他の事例と比べて不平等であること被告は、シェアハウスローンを巡る一連の問題に関し、同時に多数の社員に対して懲戒処分を行ったが、懲戒解雇という重い処分を受けたのは原告のみである。審査書類を偽造するなど、刑事処分相当の行為をした者もいたにもかかわらず、一切違法・不正な行為を行っていない原告が重い処分とされ ており、明らかに処分の均衡を欠く。 ⑶ 手続に重大な瑕疵があること本件懲戒解雇に当たり、原告が出頭を命じられていることを認識したのは、出頭を命じられた時刻のわずか数時間前であり、弁明のための準備をする余裕は全くなかった。被告が平成30年11月26日付け通知書で明示した事 由に関する論点は多岐にわたり、原告が口頭で反論するには相当な時間を要することは明白であったにもかかわらず、被告は、開始から1時間も経過しないうちに、一方的に予め決裁印の押された書面に基づいて処分を言い渡し、それ以上原告に一切の弁明をさせなかった。原告には不十分ながらも発言の機会は与えられたものの、その発言について全く考慮されることはなかった から、単に被告による処分を告知する機会にすぎず、弁明の機会として機能したものとは到底認められない。 【被告の主張】⑴ 非違行為1は、原告が、被告における自己の強大な権力により、審査部門の人事権まで握っている立場にあることを背景に、審査部門の人事を不当に 動かし、さらに日常的に個別の案件の審査にまで介入して、審査部門が難色- 50 - を示している案件も無理やり押し通すことにより、結果として、金融機関にとって極めて重要な融資審査が有効に働かない状況にまで陥らせた行為であり、極めて重大な非違行為である。 - 50 - を示している案件も無理やり押し通すことにより、結果として、金融機関にとって極めて重要な融資審査が有効に働かない状況にまで陥らせた行為であり、極めて重大な非違行為である。 非違行為2は、E副社長の指示に真っ向から反する重大な非違行為であり、その結果、被告の取り扱うシェアハウスローンがスマートライフの関与する 案件に集中し、被告は大きなリスクを負うことになった。 非違行為3の結果、原告の配下の営業部門において偽造・改ざん行為が蔓延するに至り、シェアハウスローンを含む収益不動産ローンに関する不適切融資に直接又は間接に関与したことを理由として、原告の元部下であった営業本部所属の従業員92名が懲戒処分に追い込まれたものであり、原告の責 任は極めて重い。 かかる原告の非違行為の結果、被告において、多数の不適切な融資が実行されることとなり、被告は、多額の損失・損害を被るとともに、金融庁より、業務の一部停止命令及び業務改善命令の行政処分を受けることとなり、信用が失墜した。 このように、非違行為1~3は、個々の行為自体が重大な非違行為であるばかりでなく、その行為から生じた結果も重大であるから、懲戒解雇が相当であることは明らかである。 ⑵ 原告は、手続に重大な瑕疵があると主張するが、原告は、収益不動産の不適切融資問題の調査のため、本件異動命令を受け、その後、危機管理委員会 等からヒアリングを受けるなどしており、何が問題となっているかを十分に認識していた。そのような中で、被告は、原告に対し、平成30年11月26日付け通知書により弁明対象事項を詳細に示した上で弁明の機会を付与したところ、原告は、事前に用意したメモを見ながら、30分以上にわたって一方的に弁明をしたのであるから、手続に瑕疵はない 年11月26日付け通知書により弁明対象事項を詳細に示した上で弁明の機会を付与したところ、原告は、事前に用意したメモを見ながら、30分以上にわたって一方的に弁明をしたのであるから、手続に瑕疵はない。 5 争点5(不法行為の成否、原告の損害の有無及び額)について- 51 - 【原告の主張】被告は、本件異動命令及び本件懲戒解雇を行う理由がないことを認識しながら、不公正融資に関する自らの組織的責任を隠蔽するという不正な目的で、本件異動命令によって原告を営業部門から引き離し、約8か月間もの長期間にわたり一切の業務を与えないことによって精神的に弱らせた上で、様々な非違行 為があるなどと一方的な理由を押し付けて本件懲戒解雇をしたものであり、これにより原告は多大な精神的苦痛を被った。したがって、本件異動命令及び本件懲戒解雇は原告に対する不法行為を構成し、これにより原告が被った精神的損害は800万円を下らない。 【被告の主張】 事実は否認し、主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に加え、証拠(甲56、57、原告本人)及び後掲各証拠によれば、次の事実が認められる。 ⑴ 被告におけるシェアハウスローンの取扱いの開始及び増加ア平成23年12月、被告において最初のシェアハウスローンと認識している融資が大宮支店(当時、Kが所属長であった。)において実行され、平成25年4月、被告において最初のスマートライフ案件と認識しているシェアハウスローンが横浜東口支店(当時、Kが所属長であった。)にお いて実行され、平成26年4月、二子玉川支店における初めてのシェアハウスローンが実行された。 (争いがない。)イ平成26年頃から、被告におけるシェアハウスローンの取扱件 。)にお いて実行され、平成26年4月、二子玉川支店における初めてのシェアハウスローンが実行された。 (争いがない。)イ平成26年頃から、被告におけるシェアハウスローンの取扱件数が増加していった。 (前記前提事実⑻イ)- 52 - ⑵ 被告における融資審査のプロセス等ア SSP会議被告においては、毎週月曜日に、審査部から審査部長を含む数名と営業本部から営業部門を管掌する役員を含む数名が出席し、個別の融資案件の方向性を協議する会議(以下「SSP会議」という。)が行われており、 この会議では、各案件の概要と協議のポイントが記載された資料(以下「SSPシート」という。)が用いられていた。 なお、全ての融資案件がSSP会議に上程されていたわけではなかった。 (証人M・6頁、弁論の全趣旨)イ横浜会議 原告は、毎週水曜日に横浜東口支店に出向き、同支店長であるK、湘南ハウジングローンセンター長、湘南カスタマーセンター長らとの間で営業会議(以下「横浜会議」という。)を行っていた。 横浜会議において、Kが横浜東口支店の融資案件について原告に説明をする際にも、SSPシートの書式が用いられていた。 (甲23)ウ稟議手続被告における融資審査の稟議手続は、①営業店が、審査申請表兼稟議書を作成し、「補足説明」と題するシート、SSPシート及び物件資料等を添付して審査部に送付する、②審査部審査役及び審査第二部長又は審査部 副部長が審査を行い、適宜条件を付すなどして、営業店に対し、決裁指令書を送付するという手順とされていた。 この稟議手続において、営業本部ないし原告を経由することはない。 (証人N・20~27頁、乙90、弁論の全 行い、適宜条件を付すなどして、営業店に対し、決裁指令書を送付するという手順とされていた。 この稟議手続において、営業本部ないし原告を経由することはない。 (証人N・20~27頁、乙90、弁論の全趣旨)⑶ 原告による人事案の提出 原告は、平成26年4月28日、当時の人事部長に対し、件名を「審査部- 53 - 異動案」とし、本文に「5月1日で変更願います」と記載したメールを送信した。同メールには「2014年4月審査部異動案」と題するファイルが添付されており、当時審査第二部長(静岡)であったNと審査第二部長(東京)であったRとを交代させる案等が記載されていた。 同年5月1日、上記案のとおり、両名の異動が実施された。 (乙11の1、11の2、16の1、16の2)⑷ 本件簡素化通達ア被告の融資プロセスにおいて、顧客の自己資金の確認作業は、①顧客から融資の申込みを受ける際、営業担当者が、顧客から預金通帳等の自己資金確認資料や源泉徴収票等の収入確認資料の写し(2部)の提供を受け、 1部を営業店にて保管するほか、もう1部を審査部に送付する、②その後、融資契約を締結するためなどに営業店を訪れた顧客が、先に写しを提供した通帳や源泉徴収票等の資料の原本を持参する、③営業担当者は、顧客から預かった原本を所属長に渡し、所属長においても、先に預かっていた写しと原本を照合し、相違がないことが確認された場合、営業担当者から顧 客に原本を返却するという手順で行うこととされており、原本確認を実施する責任は営業店の所属長が負うものとされていた。 (証人M・16~18頁、弁論の全趣旨)イ営業本部(当時の営業本部長はI)は、平成26年5月23日付けで、資産形成ローンの審査申請時送付書類の 任は営業店の所属長が負うものとされていた。 (証人M・16~18頁、弁論の全趣旨)イ営業本部(当時の営業本部長はI)は、平成26年5月23日付けで、資産形成ローンの審査申請時送付書類の簡素化を求める申請をした。同申 請は、当時の審査第二部長、審査部長、審査部所管の執行役員を含む決裁ルートを経て承認され、同月29日、全営業店宛てに本件簡素化通達が発出され、周知された。 これにより、営業店から融資案件の審査申請時に審査部に送付することが必須とされる書類から自己資金確認資料が除外され、営業店所属長の判 断により、必要に応じて送付すれば良いこととされた。他方、審査部では、- 54 - 営業店に対し、個別の案件ごとに必要に応じて自己資金確認資料の送付を求めていた。 (乙6の1、6の2、証人N・46、47頁、証人M・18、38、39頁)⑸ 本件不芳情報とその後の対応等 ア平成27年2月3日、被告のお客さま相談センターにスマートライフに関する告発文書が届いた。そこには、①スマートライフの実質的経営者は、平成26年に傷害事件で起訴されたほか、詐欺罪で実刑判決を受けた前科があること、②スマートライフが行っている30年サブリース保証は、家賃相場価格の倍以上の設定で収益シュミレーションを行い、高額のシェア ハウスを販売しており、サブリース料の支払は現行家賃では賄うことができない状態であること、③スマートライフは、既に取引先業者に対する未払を多数発生させていることなどの不芳情報(本件不芳情報)が記載され、被告がスマートライフと取引をすることについてコンプライアンス上の問題があるのではないかと指摘するものであった。 本件不芳情報は審査部に共有され、当時審査部長であったJ 記載され、被告がスマートライフと取引をすることについてコンプライアンス上の問題があるのではないかと指摘するものであった。 本件不芳情報は審査部に共有され、当時審査部長であったJは、被告行内の調査チームに調査を依頼し、帝国データバンクに照会するなどして事実確認を行った結果、あながち間違いではないと判断し、平成27年2月10日頃、E副社長に報告した。 (乙8、弁論の全趣旨) イ上記報告を受けたE副社長は、Jに対し、スマートライフの関与する融資案件の取扱いを止める旨の指示(本件指示)をした。 当時審査部副部長であったMは、上司のJから上記の指示内容を聞き、当時審査第二部長(東京)であったNに対し、「スマートライフはやらないことになった」旨を伝えた。Nは、同内容を審査役に伝えるとともに、 当時横浜東口支店長であったKに伝えた。 - 55 - Kは、原告に対し、「スマートライフの取扱いはダメになった」旨を電話で伝えた。原告は、Jに電話をして確認した。 被告においては、当時、本件指示の内容を書面化したり、本件指示の内容をチャネルPRMに登録したりすることによって、本件指示の周知が図られることはなかった。 (前記前提事実⑽イ、乙27・9頁、証人M・10頁、証人N・14、15、38、39頁、原告本人・14、15頁、弁論の全趣旨)ウ平成27年2月期の横浜東口支店におけるスマートライフが関与する融資案件の取扱件数及び融資実行額は、新規取扱物件数が8件、新規融資実行額が11億8600万円程度であった。なお、当時、横浜東口支店にお いて、スマートライフが関与する融資案件のほとんどを扱っていた。 (乙53、弁論の全趣旨)エ本件指示が行われた頃 行額が11億8600万円程度であった。なお、当時、横浜東口支店にお いて、スマートライフが関与する融資案件のほとんどを扱っていた。 (乙53、弁論の全趣旨)エ本件指示が行われた頃以降、被告における稟議書類やSSPシートに、スマートライフの名前は記載されなくなった。 (弁論の全趣旨) オ平成27年2月9日、アマテラスが設立され、スマートライフの従業員が代表取締役に就任した。 その後、横浜東口支店では、管理会社やサブリース会社をアマテラスとして、スマートライフが実質的に関与する融資案件の取扱いを継続した。 (乙54の1、54の2、証人S・4頁) カ Kは、平成27年4月22日、原告に対し、スマートライフに関する記載を修正液で隠した資料を提出した。 (甲29、弁論の全趣旨)キ平成27年5月8日、金融庁に対し、スマートライフがアマテラスというダミー会社を設立し、同社を通じて取引を行っている旨の告発がなされ た。このことは、金融庁から被告のお客様相談センターに伝えられ、審査- 56 - 部にも共有された。 審査部は、同月13日、アマテラスを取扱中止処分とし、チャネルPRMにその旨登録した。 (甲6・28頁、弁論の全趣旨)ク被告は、平成27年5月11日、金融庁に対し、上記キの告発に関し、 「㈱スマートライフに関する情報提供について」と題する文書を提出した。 そこには、①アマテラスとの間に融資取引及び預金取引はなく、アマテラスが持ち込んだ融資案件に対する融資実績は11件であり、融資総額は12億3700万円であること、②本件不芳情報をはじめとするスマートライフに関する情報の提供者は、平成26年にスマートライフの乗っ取り を企て 資案件に対する融資実績は11件であり、融資総額は12億3700万円であること、②本件不芳情報をはじめとするスマートライフに関する情報の提供者は、平成26年にスマートライフの乗っ取り を企てて失敗し、同年11月1日付けで解任されたスマートライフの元取締役であること、③同人は、被告がスマートライフの建築物件に対して融資を行うことを快く思わず、被告に対し、複数回にわたって情報提供をしたものと推察されること、④スマートライフ及びアマテラスは、地方から上京する20代女性のためのシェアハウスの企画、建築、販売を行ってお り、両社のビジネスモデルは、住居の提供だけでなく、人材派遣会社と提携し、シェアハウス入居者に対して仕事の紹介や通信・携帯端末の取次ぎを行うなど、初めて上京する20代女性の生活を広くサポートする、これまでにない新しいビジネスモデルであるため、アマテラスが提供するシェアハウスのオーナーになりたいと考える投資家が増えており、経営は順調 に推移していると認識していること、⑤アマテラスは、スマートライフとは協力関係にあるものの資本関係はなく、スマートライフとは独立した会社であると認識していること、⑥アマテラスのビジネスモデルは今後大きく発展する可能性があり、被告から融資を受けてアマテラスからシェアハウスを購入した顧客から苦情は発生しておらず、また、被告において融資 実行後も入居状況を確認しているが、入居率が著しく低い物件や賃料の不- 57 - 払が発生している物件はないこと、⑦被告は、本件不芳情報を受けて、スマートライフが関与する融資案件の取扱いを停止しており、今後もモニタリングを継続しつつ、融資希望者への対応については、個別案件毎に慎重に対応したいと考えていることが記載されている。 (乙18) ライフが関与する融資案件の取扱いを停止しており、今後もモニタリングを継続しつつ、融資希望者への対応については、個別案件毎に慎重に対応したいと考えていることが記載されている。 (乙18) ケ平成27年9月期には、横浜東口支店におけるスマートライフが実質的に関与する融資案件の新規取扱物件数がピークに達した。 (乙53)コ平成27年10月9日、イノベーターズが設立され、スマートライフの従業員が代表取締役に就任した。 その後、イノベーターズは、スマートライフが関与する融資案件を様々な販売会社に振り分ける総代理店のような立場を担うようになった。 (乙85、証人S・5頁、弁論の全趣旨)サ平成28年3月頃、インターネット上の雑誌「FACTAオンライン」に「かぼちゃの馬車スマートライフの裏側」と題する記事が掲載された。 これを受けて、原告が、M及びNに対し、スマートライフとの取引があるか確認したところ、両名は、取引はない旨を回答した。 (甲6・22頁、弁論の全趣旨)シ横浜東口支店は、平成28年11月14日、チャネルであるイノベーターズからの融資案件持ち込みについて、管理会社としての許可を申請 し、審査第二部は、同月18日、これを承認した。 (甲63の1、63の2)ス横浜東口支店においてシェアハウスローンを担当していたSは、審査第二部の審査役からイノベーターズはスマートライフと関係があるのではないかと質問を受けた。Sは、イノベーターズがスマートライフの実質的な 関連会社であることを認識していたが、イノベーターズがスマートライフ- 58 - と関係があると答えれば取引ができなくなり、営業成績に支障が生じると考え、横浜東口支店長であるKにも相談の上、平成29年2月3 ことを認識していたが、イノベーターズがスマートライフ- 58 - と関係があると答えれば取引ができなくなり、営業成績に支障が生じると考え、横浜東口支店長であるKにも相談の上、平成29年2月3日、同審査役に対し、イノベーターズはスマートライフとは「資本関係等一切なく、関係はありません。」「東京都監督処分情報なし。今後も管理会社として支障なきものと思料致します。」と回答した。 (乙49、証人S・6頁)セ Nは、平成29年2月2日の時点で、帝国データバンクに照会した結果、「かぼちゃの馬車」ブランドのシェアハウスの管理は全てスマートライフが行っていることを確認していたが、横浜東口支店の営業担当者は、同年4月11日、Nに対し、指摘を受けた物件はイノベーターズのシェア ハウス物件であり、スマートライフの「かぼちゃの馬車」ではない旨を回答した。 (乙50、51)⑹ 本件新運用基準原告は、平成27年10月22日、カスタマーサポート本部長として、本 件新運用基準を制定した。 これにより、シェアハウスローンを含む有担保ローンの審査における自己資金の確認は、融資審査申請時にはヒアリングのみで足りるとされ、融資実行前までに、営業店所属長の責任において厳格に確認することとされた。 本件新運用基準の制定に当たっては、審査部の意見も聴取されたが、審査 部も、現場の所属長が融資実行前に確認することが条件であることを前提として了承した。 (乙7、証人M・39、40頁)⑺ 各種会議等における原告の言動等アシェアハウス会議(平成28年5月27日) 原告は、川崎支店からの物件所在地を大宮市とするシェアハウスローン- 59 - の申請について審査部から物件価格が高額に過ぎるとして否定的な意見 ェアハウス会議(平成28年5月27日) 原告は、川崎支店からの物件所在地を大宮市とするシェアハウスローン- 59 - の申請について審査部から物件価格が高額に過ぎるとして否定的な意見が示されたことを契機として、平成28年5月27日、当時シェアハウスローンを取り扱っていた営業店(横浜東口支店、渋谷支店、二子玉川支店)の所属長(Kを含む。)を集めて、シェアハウスローンの取扱いの方向性について協議する会議(以下「本件シェアハウス会議」という。)を開催 した。本件シェアハウス会議には、審査部からM及びNが出席した。 原告は、シェアハウスローン特有のリスクについて、①アパートローンと異なり、入居見込家賃に基づく評価計算が許されているため、業者が物件価格を釣り上げる目的で見込家賃を周辺の同等物件と比較して高額に設定するケースがあり、結果として物件価格が高額となり、その分家賃も高 額となって、空室リスクが高くなること、②チャネルから入居まで家賃保証をすると言われて購入を決意した債務者もいると思われるが、チャネルが家賃保証に耐え得る財務体質でない場合があり、チャネルに裏切られて債務を負って追い詰められた債務者から銀行が責任追及をされるおそれがあること、③内部留保の少ないチャネルが物件価格を高く設定した分の利 益で自転車操業をしている可能性があり、破綻するおそれがあることなどを説明し、シェアハウスの取扱いを絞るべきであるとの意見を述べた。 その結果、シェアハウスローンについて、①取扱地域を原則として東京22区(江戸川区以外)に限定する、②物件の評価方法を限定する(東京22区の物件であれば利回り評価を上限として採用し、それ以外の地域の 物件は積算評価を基準として実需に準じた取扱いをする。)、③過当競争によるチャネ 限定する、②物件の評価方法を限定する(東京22区の物件であれば利回り評価を上限として採用し、それ以外の地域の 物件は積算評価を基準として実需に準じた取扱いをする。)、③過当競争によるチャネルの質の悪化や債権保全上の問題発生を防ぐため、新規チャネルの案件は取り扱わないという新しいルールが設定され、その後、シェアハウスローンの新規取扱件数に減少が見られた。 (甲24、33、乙97の1・12~14頁) イ信用リスク委員会(平成29年4月6日)- 60 - 被告は、サクトに関する問題(前記前提事実⑿ア)の発生を受けて、平成29年4月6日、信用リスク委員会を開き、サクト取扱案件の出口戦略について協議した。 同委員会にF社長、I、Jらと共にオブザーバーとして出席した原告は、①サクトはシェアハウス事業の提案や仲介、管理業務を行っているが、同 事業の販売減少に伴う家賃保証原資の減少により、シェアハウスオーナーへの家賃保証の入金遅れが発生しており、シェアハウスオーナーである債務者(顧客)2名から被告宛てに支払猶予についての相談の手紙が来ていること(ただし、現時点では約定返済の延滞は発生していない。)、②今後同様のケースが15件程度発生することが想定されること、③サクトは 租税債務滞納により預金の差押えを受けたが、既に滞納分を納付して差押えは解除されたこと、④サクトのサブリース能力を検証する必要があると考えていることなどを説明した。その上で、原告は、債務者から相談があった場合に備えて、サクトが行き詰まる前に債務者が取り得る選択肢を事前に考えておきたいとして、債務者自身が物件の入居募集・管理・維持 などを実施するA案、管理会社に賃貸管理を委託するB案、シェアハウス運用業者をスマートライフに変更し、スマー り得る選択肢を事前に考えておきたいとして、債務者自身が物件の入居募集・管理・維持 などを実施するA案、管理会社に賃貸管理を委託するB案、シェアハウス運用業者をスマートライフに変更し、スマートライフの入居者募集ノウハウを活用して入居状況を改善し、家賃収入を確保するC案を提示して、会議出席者の意見を募った。なお、平成28年12月末時点において被告が融資を実行済みであったサクト案件は131件(物件数)であり、融資総 額は121億5700万円であった。 これに対し、Jは、「スマートライフ社については、2年前に一切関わるなと指示を受けており、同社の元代表…の同社への関与が株主等、表面上見られないとしても、これまでの疑念が完全に払拭されたわけではないので、C案については取り上げるべきではない。」と発言したが、会議の 結論としては、C案が直ちに排斥されることはなく、C案についてペン- 61 - ディングとすることになった。 (前記前提事実⑿ア及びイ、甲8、乙19の1、19の2、115)ウ第1回サクト会議(平成29年4月13日)平成29年4月13日に開かれた第1回サクト会議において、サクトの問題状況と対策を議論するに当たり、説明を求められた原告は、①シェア ハウスはマーケットニーズの高い形態であること、②サクトは、物件オーナーとの間でサブリース契約を締結して家賃保証を行っていたが、同社には入居者募集のノウハウがなかったこと、③サクトは、租税債務の滞納により差押えを受けたことから、資金繰りに窮し、サブリース契約に基づく家賃の支払が滞ったこと、④オーナーは、管理会社をサクトから別の会社 に変更することにより、シェアハウスの形態を継続できると考えられること、⑤オーナーが取り得る選択肢としては、 ス契約に基づく家賃の支払が滞ったこと、④オーナーは、管理会社をサクトから別の会社 に変更することにより、シェアハウスの形態を継続できると考えられること、⑤オーナーが取り得る選択肢としては、上記イのA~C案があることなどを説明した。その際、原告は、スマートライフに関し、平成27年に創業メンバーによる企業内紛争の結果放逐された幹部から本件不芳情報が提供されて以来、被告は、同社との関係を断絶し、同社の持ち込み案件の 取扱いを不可としたが、同年中に創業時の社長が退き、現在は問題のある創業者一家との資本関係は完全に分離されていること、好調な業績を背景に株式店頭公開を目指していることなどを記載した説明文書を配布した。 これに対し、当時代表取締役専務(コンプライアンス担当)であったT(以下「T専務」という。)からは、債務者の状況がそれぞれ違うと想定 されるため、相談があった場合に個別に対応する方向性でよいと考える旨の発言があり、F社長からは、各物件の現状調査をし、完成物件については入居状況を調査するよう指示があった。 (前記前提事実⑿ウ、甲5、9、甲17・59頁、甲25、乙20の1、20の2) エ第2回サクト会議(平成29年4月19日)- 62 - 平成29年4月19日に開かれた第2回サクト会議において、原告は、サクトは、サブリース契約を伴う管理業務から撤退する意向を有しており、アパマン社に対して、サクトが管理する全ての物件の入居の仲介を行ってもらえないか相談する一方で、スマートライフに対して、サブリース契約を一括で買わないかといった交渉も行っているようであり、いずれにして も、物件オーナーにとっては管理会社を変更する必要がある旨を説明した。 F社長からは、スマートライフにつ リース契約を一括で買わないかといった交渉も行っているようであり、いずれにして も、物件オーナーにとっては管理会社を変更する必要がある旨を説明した。 F社長からは、スマートライフについて、インターネット情報等の良くない記事もある一方、上記ウのとおり、株式上場を目指しているとの説明もあり、仮に上場することになれば、様々な良くない評判は排除されることとなるので、情報を収集して改めて報告してほしいとの発言があった。 (前記前提事実⑿ウ、甲26)オ第3回サクト会議(平成29年5月31日)平成29年5月31日に開かれた第3回サクト会議において、原告は、上記イのA~C案に加え、アパマンショップに管理を委託し、同社の全国ネットワークを活用して入居状況を改善し家賃収入を確保する案を追加し た資料を配布し、サクトと株式会社アパマンショップサブリースは、サクトの管理する物件のオーナーが株式会社アパマンショップサブリースとの間で賃貸管理委託契約等を締結するほか、一定の条件を満たした場合には、同社がサクトに対して紹介活動費を支払うことなどを内容とする契約を交わしたことなどを説明した。 (前記前提事実⑿ウ、甲10、27)カ第4回サクト会議 (平成29年7月5日)平成29年7月5日に開かれた第4回サクト会議の冒頭において、T専務は、サクト会議の趣旨について、営業部や審査部などの一部部署の責任を追及する会議ではなく、シェアハウスローンは経営判断で決定して推進 してきたものであることから、銀行全体での組織だった具体的な対応策を- 63 - 決定したい旨の発言があった。 審査部は、①現地訪問による目視調査の結果、シェアハウス全942物件(総融資残高約1086億円)のうち、外見上は全て空室と 織だった具体的な対応策を- 63 - 決定したい旨の発言があった。 審査部は、①現地訪問による目視調査の結果、シェアハウス全942物件(総融資残高約1086億円)のうち、外見上は全て空室と思われる物件が191件あり、外見上は全て空室と思われる物件について取扱店からは入居率70~80%程度と報告されている例もあること、②稟議上の管 理会社又はサブリース会社がスマートライフ又はスマートライフと実質的に同一と指摘のあるアマテラスとなっている物件数は187物件であるのに対し、建物にスマートライフ社のブランドである「かぼちゃの馬車」等が表示されている物件数が535件あり、ポストに「管理会社スマートライフ」と表示されている物件が325件あり、大幅に乖離していること、 ③稟議申請時の管理会社がイノベーターズとなっている案件のほとんどは、スマートライフが管理していること、④稟議申請時又は入居状況報告における賃料額とネットでの募集賃料額が乖離していること、⑤シェアハウスローンの融資残高は平成29年3月末時点で1086億円であり、そのうちスマートライフのブランド名が表示されている物件は618億円であり、 スマートライフへの依存度が非常に高くなっており、被告の貸金ポートフォリオは個人に分散していることが強みであるが、一部集中していると見ることもできること、⑥サブリース契約の有無にかかわらず、管理会社の信用状況に変化が生じた場合は多額の信用リスクが顕在化する可能性があることから、被告のポートフォリオ構成や与信集中リスクを再検討する 必要があることなどを記載した、「シェアハウスの疑問点について」と題する資料を提出した。 一方、営業本部は、審査部が目視調査の結果空室であるとした191件のうち、その大部分は入居済みであるか、未入 必要があることなどを記載した、「シェアハウスの疑問点について」と題する資料を提出した。 一方、営業本部は、審査部が目視調査の結果空室であるとした191件のうち、その大部分は入居済みであるか、未入居でも問題がない物件である旨の調査結果を提出した。原告は、建物の建築が予定より遅れている物 件もあり、建物の完成時期を明確にして入居状況を確認する必要があると- 64 - の見解を示した。 また、第4回サクト会議にはK(当時は営業本部副部長)も出席していたところ、Kは、スマートライフに関し、「シェアハウスの運用に関して、スマートライフがナンバーワンである。お客さまが一番力のあるスマートライフに運用を任せることは否定できない。」、「お客様が入居者の募集 をスマートライフに依頼して、物件に同社のブランドである『かぼちゃの馬車』の看板を付けることもある。」などと説明した。 F社長は、シェアハウスローンの取扱いについては、状況を見ながら、徐々にフェードアウトしていく方向性とすべきであると発言した。 会議のまとめとして、①現状を正確に把握するため、既に融資を実行し たシェアハウスの入居状況を再調査し、物件評価を確定させること、②スマートライフへの対応を明確にすること、③有担保ローンのスピード感を減速させるわけにはいかないこと、④本件については軟着陸を図り、早急に次のビジネス展開を考えていくことが確認された。 (前記前提事実⑿ウ、甲28、乙21、22、30の2、30の3、84) キ経営会議(平成29年10月19日)平成29年10月19日に開かれた経営会議において、Jは、①サクト関連案件は、当初125物件(融資残高126億円)存在したが、他行肩代わり等により、同年9月末時点で117物件(融資残高120億円)と 成29年10月19日に開かれた経営会議において、Jは、①サクト関連案件は、当初125物件(融資残高126億円)存在したが、他行肩代わり等により、同年9月末時点で117物件(融資残高120億円)となっていること、②サクトが物件を管理できなくなったため、他の管理会 社に変更しているが、管理会社を変えても入居率が上がっていないのが現状であること、③狭小アパート融資のガヤルド事案は、同年9月末時点で58物件(融資残高約53億円)となっているが、融資後、建物建築の目途が立たなくなってしまった事案であり、実質的に夜逃げの状態であること等を説明した。業歴が5年もない業者が管理する物件に対する融資残高 が500億円を超えていること等について議論された結果、今後の簡易宿- 65 - 所(シェアハウスを含むと解される。)向け融資の対応について、D会長から、「資金繰りを調査したうえで、業歴5年以上、建物完成時一括実行、取扱額の上限を100億円とする」との指示がされ、T専務の「今回の議論内容を文書にして再度各部で検証してもらうこととし、加除等を含め最終案を作成し稟議する方向ではどうか」との提案に出席者全員が了承した。 また、資産形成ローンのリスクについて議論された際、D会長は、「これまでは、スピード審査、スピード処理、スピード回答としてスピードを重視してきたが、これからはじっくり時間をかけて審査を行っていく」、「今後は多少時間がかかっても原点に立ち返ってしっかりした審査を行っていく」などと発言した。 原告は、この経営会議に出席していなかったが、後日、T専務から会議の内容を聞いた。 (甲30、原告本人・57~58頁)クスマートライフからの救済要請上記キの経営会議において示された収益不動産に対する融資 いなかったが、後日、T専務から会議の内容を聞いた。 (甲30、原告本人・57~58頁)クスマートライフからの救済要請上記キの経営会議において示された収益不動産に対する融資の縮小方針 がスマートライフの取引銀行の知るところとなり、スマートライフは、同行から口座凍結等の措置を受け、シェアハウスオーナーに対するサブリース契約に基づく家賃の支払に窮する事態となった。そこで、スマートライフの社長は、平成29年10月31日午前2時48分、Kに対し、取引銀行による口座凍結を解除するため、同日に行われる被告の取締役会で融資 案件の承認や金利引下げの容認等を決議し、その旨を原告から直接取引銀行に対して連絡してほしいと懇願する内容のメールを送信した。同メールには、「命綱となるお願いになります。」、「サブリースの支払いも一切できず、大事件になります。」、「なんとか、なんとか当社と従業員を救ってください。」、「何でもやらせて頂きますので、なんとかお願い致 します。」などと記載されていた。 - 66 - (乙23、弁論の全趣旨)ケ本件シェアハウス・簡易宿所会議(平成29年10月31日)原告は、平成29年10月31日に開かれた本件シェアハウス・簡易宿所会議において、同月19日の経営会議で議論され、決定された融資方針について、再協議をお願いしたいとして、①管理会社について、業歴5年 未満でも取り扱いたい、②建物建築資金については2回分割(上棟時5分の2、引渡し時5分の3)とさせてほしいなどと申し出た。また、上記融資方針をイノベーターズに説明したところ、同社が取引銀行に報告し、取引銀行がイノベーターズの業績に疑念を抱いて預金の一部を拘束したため、イノベーターズはシェアハウスオーナーに対 し出た。また、上記融資方針をイノベーターズに説明したところ、同社が取引銀行に報告し、取引銀行がイノベーターズの業績に疑念を抱いて預金の一部を拘束したため、イノベーターズはシェアハウスオーナーに対する家賃の支払に窮している などと説明し、イノベーターズが土地を先行取得している24物件(融資総額約39億円)についてはローン申込みを取り扱いたい、先方は上記24物件の取扱いについて同日中に回答が欲しいと言っており、被告が対応しない場合には家賃支払の不履行により訴訟問題になる可能性も否定できないなどと説明した。 原告は、T専務からの指示により、上記24物件の稟議書類を持参し、各出席者は個々の稟議の内容に目を通したが、その場で融資の可否を判断することはできなかった。T専務は、当該稟議の審査については、通常の審査方法に加え、審査結果を同会議に出席している専務以上に回すよう指示し、その上で融資の可否を判断する方針を示した。 (甲31)⑻ 本件異動命令等アスマートライフは、平成30年1月、シェアハウスオーナーに対するサブリース契約に基づく家賃の支払を停止し、同年5月15日、破産手続開始決定を受けた。 なお、イノベーターズも、平成31年2月12日、破産手続開始決定を- 67 - 受けた。 (前記前提事実⒀ア、乙85)イ被告は、平成30年1月16日の経営会議において、外部の弁護士によって構成される危機管理委員会を設置し、事実関係の調査と原因究明を行うことを承認した。 (前記前提事実⒀イ)ウ平成30年2月27日に開かれた被告の取締役会は、原告が同年4月1日付けで執行役員を辞任することを承認、可決した。 また、被告は、上記アによりシェアハウスローンが回収困難となるおそれ ⒀イ)ウ平成30年2月27日に開かれた被告の取締役会は、原告が同年4月1日付けで執行役員を辞任することを承認、可決した。 また、被告は、上記アによりシェアハウスローンが回収困難となるおそれが顕在化し、危機管理委員会による事実関係の調査が開始される中、 シェアハウスローンに関与してきた営業部門のトップの地位にあった原告をそのままその地位に置いておくことはできないと判断し、同年3月1日、原告に対し、同年4月1日付けでの営業本部パーソナル・バンク長から経営企画部詰審議役への異動を命じ(本件異動命令)、同年3月1日、被告社内の人事異動掲示板に原告の同年4月1日付けでの執行役員の辞任及び 上記異動を掲載した。 本件異動命令に当たっては、本件懲戒解雇時と異なり、原告に対する弁明の機会の付与及び懲戒処分通知書の交付は行われていない。 (乙98~100、証人H・8頁、弁論の全趣旨)エ Kは、何ら懲戒処分を受けることなく、平成30年3月末をもって、被 告を退職した。 (乙98、証人H・16~18頁)オ原告は、平成30年4月11日頃、被告に対し、一身上の都合により同年5月31日をもって退職する旨の退職届を提出した。しかし、当時被告の人事部長であったH(以下「H人事部長」という。)は、D会長及びT 専務の指示に基づき、同月9日頃、原告に対し、同年4月から始まった金- 68 - 融庁による調査が終わるまでは退職しないでほしい旨を告げ、同退職届を返却した。その後、原告から再び退職届が提出されることはなかった。 (甲11、74の1、74の2、乙98、証人H・10~12頁)カ原告は、平成30年4月1日に経営企画部詰審議役に異動してから本件懲戒解雇までの間、危機管理委員会等から合計7回、1回3時間程度のヒ (甲11、74の1、74の2、乙98、証人H・10~12頁)カ原告は、平成30年4月1日に経営企画部詰審議役に異動してから本件懲戒解雇までの間、危機管理委員会等から合計7回、1回3時間程度のヒ アリングを受けたが、それ以外には何らの業務も与えられなかった。 (乙97の1、97の2、弁論の全趣旨)キ金融庁は、平成30年10月5日、被告に対し、6か月間の業務の一部停止命令等の行政処分を行った。 (前記前提事実⒀カ) ⑼ 本件懲戒解雇ア被告は、原告に対し、平成30年11月26日付け通知書により、原告には被告の規程に違反する行為があったものとして懲戒処分を課すことを審査しているため口頭での弁明の機会を付与するとして、同月27日午後4時15分に出頭するよう指示した。上記通知書には、原告に嫌疑がかけ られている内容として、非違行為1~3が記載されていた。 (甲13)イ被告は、平成30年11月27日、原告に対して30分から1時間程度弁明の機会を与えた上で、その場で原告に対して解職処分通知書を交付し、別紙記載3の就業規則20条4号、6号、7号、10号、11号及び12 号に該当するとして、同21条6号に基づき、原告を同日付けで懲戒解雇した(本件懲戒解雇)。 (甲14)ウ被告は、平成30年11月27日、収益不動産に係る不適切融資に直接又は間接に関与したことを理由として、原告以外の従業員117名に対 し、懲戒処分を行ったが、懲戒解雇された者はいなかった。 - 69 - (乙12の1)⑽ 定年退職原告は、令和▲年▲月▲日に60歳に達しており、本件懲戒解雇がされていなければ、本件労働契約は、別紙記載3の就業規則16条1項、別紙記載4の本件協定12条により、同月31日 ⑽ 定年退職原告は、令和▲年▲月▲日に60歳に達しており、本件懲戒解雇がされていなければ、本件労働契約は、別紙記載3の就業規則16条1項、別紙記載4の本件協定12条により、同月31日をもって定年退職により終了してい た。 (乙110) 2 争点1(本件異動命令は、懲戒処分に該当するか。)について⑴ 人事権の行使としての異動命令と、企業秩序の違反に対する懲戒権の行使である懲戒処分とは、本質的に異なるものであるところ、前記認定事実⑻ウ のとおり、被告は、本件異動命令をした際には、これを人事異動として社内掲示板に掲載し、本件懲戒解雇時と異なり、原告に対する弁明の機会の付与や懲戒処分通知書の交付といった手続を行っていないこと、「経営企画部詰審議役」への異動は、別紙記載1の組織規程25条、別紙記載4の本件協定5条に基づき、被告が人事権の行使として決定し得る範囲のものであること を考慮すると、本件異動命令は人事権の行使として行われたものと認めるのが相当である。 ⑵ これに対し、原告は、ある措置の性質が人事権の行使と懲戒処分のいずれであるかは、使用者の主観的な意図にかかわらず、企業秩序違反行為に対する制裁罰という性格を有するものであるか否かを客観的に判断すべきである とし、本件異動命令は、人事権行使の業務上の必要性がないこと、原告に対する制裁目的があること、人事権行使の結果として許容し得る程度を著しく超える不利益を負わせるものであることから、懲戒権の行使としての降格処分に該当する旨を主張する。 しかしながら、人事権の行使と懲戒処分とは、その根拠も有効要件も異な るものであり、使用者はその相違を踏まえた上で人事権の行使又は懲戒処分- 70 - として当該措置を執っていることを考慮すると がら、人事権の行使と懲戒処分とは、その根拠も有効要件も異な るものであり、使用者はその相違を踏まえた上で人事権の行使又は懲戒処分- 70 - として当該措置を執っていることを考慮すると、当該措置が人事権の行使と懲戒処分のいずれであるかを使用者の主観的意図と無関係に判断することが相当とはいえない。 そして、本件異動命令が行われた当時は、スマートライフの支払停止が発生し、スマートライフ(又はその関連会社であるイノベーターズ)から家賃 の支払を受けられない債務者(顧客)が被告に対する返済に窮し、シェアハウスローンが回収困難となるおそれが顕在化したことから、危機管理委員会による事実関係の調査が開始され、いずれ金融庁の検査が行われることも予想される事態となっていたことを考慮すると、被告が、上記調査や検査に適切に対応するために、シェアハウスローンに関与してきた営業部門のトップ の地位にあった原告をそのままその地位に置いておくことはできないと判断したことが合理性を欠くとはいえず、本件異動命令について業務上の必要性がないとはいえない。 仮に、被告が本件異動命令を行うに当たり、原告に対する制裁目的があったとすれば、被告が懲戒処分を意図したことを基礎づける事情にはなり得る。 しかし、原告が、D会長から「シェアハウスの一連の問題があったので降りてもらう。」と告げられたとする点は、原告本人の陳述書(甲56・2頁)によっても、執行役員の辞任についての発言である上、前記認定事実⑻によれば、被告においては、この頃、危機管理委員会を設置して事実関係の調査を開始したばかりであったのであるから、原告に「一連の問題」の責任を取 らせるには時期尚早であるともいえ、D会長の上記発言をもって本件異動命令に制裁目的があったと認めるこ 置して事実関係の調査を開始したばかりであったのであるから、原告に「一連の問題」の責任を取 らせるには時期尚早であるともいえ、D会長の上記発言をもって本件異動命令に制裁目的があったと認めることはできない。また、H人事部長が金融庁からのヒアリングへの対応のため原告に対して退職願の撤回を求めた事実(前記認定事実⑻オ)は、本件異動命令の制裁目的を推認させるものではない。 確かに、本件異動命令に伴い、原告の給与は大幅に減額されているが、こ- 71 - れは、執行役員を辞任した原告が、その時点で55歳を超えていたことから、先任社員となり(別紙記載4の本件協定3条)、先任社員の職務区分及び職位に応じた給与額が決定されたこと(別紙記載4の本件協定6条)によるものであることが認められ(乙98、証人H・8~10頁)、懲戒処分によるものではない。 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。 3 争点2(本件異動命令が懲戒処分に当たるとした場合、本件懲戒解雇は、一事不再理の原則に反し、無効か。)について原告は、本件異動命令が懲戒処分に当たることを前提として、本件懲戒解雇が一事不再理の原則に反し、無効であると主張する。しかしながら、上記2の とおり、本件異動命令は懲戒処分に当たるとはいえないから、原告の主張は、前提を欠き、採用することができない。 なお、原告は、平成29年8月15日付けで懲戒処分(譴責)を受けた事実が認められる(乙110)。しかしながら、証拠(乙117)によれば、上記譴責処分の対象となった事由は、本件懲戒解雇の対象とされた非違行為1~3 とは別個の事実であることが認められるから、上記譴責処分との関係でも、本件懲戒解雇が一事不再理の原則に反すると解する余地はない。 4 争点 事由は、本件懲戒解雇の対象とされた非違行為1~3 とは別個の事実であることが認められるから、上記譴責処分との関係でも、本件懲戒解雇が一事不再理の原則に反すると解する余地はない。 4 争点3(原告について就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在するか。)について⑴ 審査部門に強い圧力を加えて審査機能を形骸化させたこと(非違行為1) について被告は、原告が、平成16年4月から平成30年3月末までの長期間にわたり、被告の利益のほぼ全てを稼ぎ出していた部署であるパーソナル・バンク部門の長を務め、E副社長及びD会長から重用されていたことから、被告社内で絶大な権力を有しており、これを背景として、①個々の融資案件につ いて自己の権勢をもって無理やり稟議を押し通す行為を日常的に行い、②自- 72 - 己の権限を越えて審査部内の人事にまで介入し、審査部がパーソナル・バンク部門からの融資案件が通りやすい人事配置になるようにし、③本件簡素化通達及び本件新運用基準により、原本確認のプロセスを簡素化して審査によるチェック機能を弱め、④稟議書類に「パーソナル・バンク協議済み」との記載(本件記載)を部下に記載させ、又は部下が記載することを黙認し、本 件記載のある融資案件が審査を通りやすくする体制を自ら作出し、同体制を黙認するなどして、被告の審査部門に強い圧力を加えて審査機能を形骸化させた旨を主張するので、以下検討する。 ア原告は、平成14年4月に執行役員となり、平成16年4月から営業本部パーソナル・バンク本部長となり、平成27年4月から平成29年3月 までの間は執行役員専務兼Co-COO、営業本部長(カスタマー本部長)の地位にあったこと(前記前提事実⑹)や高額の給与を支給されていたこと(前記前提 となり、平成27年4月から平成29年3月 までの間は執行役員専務兼Co-COO、営業本部長(カスタマー本部長)の地位にあったこと(前記前提事実⑹)や高額の給与を支給されていたこと(前記前提事実⑺、乙31)を考慮すると、原告が被告においてその営業手腕を高く評価された幹部社員であったことまでは認められる。しかしながら、被告においては、営業本部管掌取締役が別におり(前記前提事実 ⑷イ)、原告は、取締役に就任したことは一度もなく、執行役員であったとはいえ、あくまでも従業員であり、取締役会が決定する基本方針に従って業務執行を行う立場にあったのであって(別紙記載1の組織規程22条、23条)、そのような原告がE副社長に次ぐ地位にあったとは、容易に考え難いところ、これを認めるに足りる客観的な証拠は提出されていない。 被告は、原告が被告社内で「絶大な権力」を有していたと主張するが、「絶大な権力」の具体的内容を何ら明らかにしておらず、被告の主張を採用することはできない。 イ被告は、上記①について、原告が、遅くとも平成26年4月以降、個々の融資案件の審査において、決裁権限を有する審査部幹部ら及び審査役を 恫喝し、当該案件を無理に押し通していたと主張し、M、N及びOの証言- 73 - には、これに沿う部分がある(証人M・5頁、証人N・4~6頁、証人O・3~5頁)。 しかしながら、これらの証言は、日時や対象となった案件の具体的内容、審査部と原告との意見の具体的な対立点等が特定されているものは極めて限られており、その余については各証言を裏付ける客観証拠もなく、また、 審査部に所属し、シェアハウスローンを巡る一連の問題に係る責任の所在に強い利害関係を有しており、原告に不利な証言をする動機を有する者らによるものであることを 言を裏付ける客観証拠もなく、また、 審査部に所属し、シェアハウスローンを巡る一連の問題に係る責任の所在に強い利害関係を有しており、原告に不利な証言をする動機を有する者らによるものであることを考慮すると、原告の上記主張を裏付けるに足りるものとはいえない。 そもそも、原告が、審査部幹部及び審査役に対し、審査を承認するよう 強く求めることがあったとしても、原告は、平成16年4月以降は営業本部パーソナル・バンク本部長として、平成27年4月から平成29年3月までは営業本部長(カスタマーサポート本部長)として、同年4月からは営業本部パーソナル・バンク長として、営業を推進する立場にあったのであるから、この点において、審査部とは本来的に対立関係にあったといえ、 個別の融資案件についても、原告と審査部との意見が対立することは当然に想定されるところである。審査担当者には、適正に融資審査をすべき職責があるのであるから、原告の要求について業務として正当化される程度を超える問題があると考えるのであれば、審査部長又は審査部管掌取締役に対して対応を求めたり、信用リスク委員会や経営会議、取締役会等で問 題にしたりすることによって是正を図るべきなのであって、そのような措置も取らないまま、原告からの要望であることを弁解として稟議書等に記録するのみで、不適切と考える融資の審査を承認していたとすれば、当該審査担当者は職責を放棄していたといわざるを得ない。そのような審査担当者の不適切な対応の結果、原告が承認を求めた融資案件の審査が承認さ れたからといって、原告が「無理に押し通した」と評価することはできな- 74 - いというべきである。 ウ被告は、原告が、自己の権限を越えて審査部内の人事まで介入し、審査部が営業本部パーソナル・ って、原告が「無理に押し通した」と評価することはできな- 74 - いというべきである。 ウ被告は、原告が、自己の権限を越えて審査部内の人事まで介入し、審査部が営業本部パーソナル・バンク部門から融資案件が通りやすい人事配置になるようにしていたと主張する(上記②)。 前記認定事実⑶のとおり、原告は、平成26年4月28日、当時の人事 部長に対し、当時審査第二部長(静岡)であったNと審査第二部長(東京)であったRとを交代させる人事案を提案し、その後、上記人事案のとおり、両名の異動が実施されたことが認められる。そして、Mは、この点について、上記人事異動の発令前に、原告から、「Rは審査が遅く、Nは審査の意見を営業に通しすぎてしまい営業がやりにくいと言われているから二人 を交代させ、Nを原告のもとにおいて指導したい。」旨を聞いたことから、当該人事は原告が決めたと認識した旨証言する(証人M・1~3頁)。 もっとも、被告の主張によっても、原告の上記人事案の提案はE副社長の了解を得たものであるというのであり、E副社長から意見を求められて一案として示したところ、結果としてE副社長がこれを採用したにすぎな い旨の原告の主張を排斥するに足りる証拠はない。 また、H人事部長は、平成29年頃、原告から、当時の審査第二部長について、精神疾患を患っているから異動させてあげてほしいという電話があったが、審査部内の他の部長に尋ねても精神疾患を患っている事実が確認できなかったことから、同人を異動させずに静観していたところ、当時 審査部長であったJから同旨の要望を受けたため、最終的には業務部への異動が実施されたことがあり、原告の力が働いたものと感じている旨証言する(証人H・3~4、14、27~28頁)。 ころ、当時 審査部長であったJから同旨の要望を受けたため、最終的には業務部への異動が実施されたことがあり、原告の力が働いたものと感じている旨証言する(証人H・3~4、14、27~28頁)。しかしながら、H人事部長は、Jが上記要望を出すについて原告の関与があったかどうかについては何ら述べておらず、原告の力が働いたというのも推測にすぎず、H人事 部長の上記証言だけでは、原告が審査部内の人事に介入した事実まで認定- 75 - することはできない。 被告は、原告が審査部内の人事に介入したとする事例について、以上の2件以外には、何ら具体的な主張立証をしていない。証拠(乙10)によれば、パーソナル・バンクが取り扱う収益不動産ローンの審査を主に担当する審査第二部(東京)の社員の多くはパーソナル・バンクに所属した経 験を有する者であったことは認められるが、これだけでは、原告が、自己の権限を越えて、審査部内の人事権を掌握していたことを認定することはできず、他に被告の上記主張を認めるに足りる的確な証拠はない。 エ被告は、原告が、本件簡素化通達及び新運用基準により原本確認のプロセスを簡素化して、審査によるチェック機能を弱めたと主張する(上記 ③)。 前記認定事実⑷、⑹のとおり、本件簡素化通達により、営業店から融資審査申請時に送付された自己資金確認資料の写しに基づく審査部によるダブルチェックが原則として省略され、審査部は疑問に思った場合に同資料の写しを営業店から取り寄せて確認するのみとなり、さらに、本件新運用 基準により、営業店による自己資金確認資料の確認(原本確認及び写しの取得)時期が融資審査申請時ではなく融資実行前までとされ、審査部が自己資金確認資料の写しを取り寄せようとした時点で営業 運用 基準により、営業店による自己資金確認資料の確認(原本確認及び写しの取得)時期が融資審査申請時ではなく融資実行前までとされ、審査部が自己資金確認資料の写しを取り寄せようとした時点で営業店も写しを所持しておらず、審査部による確認に支障が生じ得る状況となったことが認められる。このような意味において、本件簡素化通達及び新運用基準により、 顧客の自己資金の確認に対する審査部の関与の程度は相対的に弱まっていったといえる。 しかしながら、前記認定事実⑷アのとおり、被告において、顧客の自己資金確認資料の原本の確認は、従前から営業店の所属長の責任とされていたところ、所属長による確認をどこまで信用し、あるいは信用せず、また、 審査の迅速性と正確性とのバランスの観点から審査部における確認をどの- 76 - 程度行うこととするかは、被告における政策判断の問題である。前記認定事実⑷イ、⑹のとおり、本件簡素化通達及び新運用基準による運用変更は、審査部の意見聴取及び承認も経て行われたものであり、審査部も含めた被告の方針として決定されたものである。平成29年10月19日開催の経営会議において、D会長が「これまでは、スピード審査、スピード処理、 スピード回答としてスピードを重視してきたが、これからはじっくり時間をかけて審査を行っていく」、「今後は多少時間がかかっても原点に立ち返ってしっかりした審査を行っていく」などと発言していること(前記認定事実⑺キ)は、顧客の自己資金確認資料の原本確認のプロセスを簡素化して、審査の正確性よりも審査の迅速化を優先したことが被告の方針で あったことを示しているといえる。 そして、①そもそも本件簡素化通達を発出したのは、当時、カスタマーサポート本部長であったIであること( も審査の迅速化を優先したことが被告の方針で あったことを示しているといえる。 そして、①そもそも本件簡素化通達を発出したのは、当時、カスタマーサポート本部長であったIであること(前記認定事実⑷イ)、②原告が、本件簡素化通達及び新運用基準による運用変更によって、自己資金確認を怠ることを企図したと認めるに足りる証拠はないこと、③審査部には、融 資実行前のいかなる時点であっても、融資申請に不審な点があれば、融資実行を止める権限と責任があるというべきであるから、本件新運用基準により自己資金の確認が融資実行当日になる場合があったことは、審査部が融資申請に不審な点を認めつつ融資の実行を止めなかったことの弁解として採用することはできないことも併せ考慮すると、上記運用変更及びこれ による弊害の発生を原告に帰責することはできず、「原告が上記運用変更によって審査によるチェック機能を弱めた」と認定することはできない。 オ被告は、原告が、部下に稟議書類に本件記載をさせ、又は部下が稟議書類に本件記載をすることを黙認し、本件記載のある融資案件は審査を通りやすい体制を自ら作出し又は黙認したと主張する(上記④)。 証拠(乙17、41、90~93、95、96、証人U・12、24、- 77 - 40頁、証人S・9~10、23~24頁、証人V・4~5、8~9、11~12頁)によれば、被告の営業店においては、審査部からの要請により、稟議申請の際、事前に原告と協議済みの案件については、稟議書類の一部である「補足説明」シートやSSPシートに本件記載をする運用が広く行われていたことが認められる。 しかし、本件記載の審査への影響については、O、N及びLが、当該記載がある案件については疑問があっても承認 トやSSPシートに本件記載をする運用が広く行われていたことが認められる。 しかし、本件記載の審査への影響については、O、N及びLが、当該記載がある案件については疑問があっても承認することにしていた旨を証言する(証人O・5~6頁、証人N・11頁、証人L・17、28、29頁)一方で、Mは、パーソナル・バンクにおいて検討済みであることに敬意は払いつつ、通常どおり審査をし、審査役にもそのように指導をしていた旨 を証言する(証人M・28~30、36~38頁)など、捉え方は様々であり、本件記載があることによって審査が通りやすくなる体制となっていたとまで認めることはできない。 そうすると、原告が本件記載のある融資案件は審査が通りやすくなる体制を作出し又は黙認したとは認められない。 なお、Mは、原告に対して直接本件記載を指し示して稟議の内容の疑問点を指摘したことがあるから、原告は本件記載がされている融資申請書類があることを認識していた旨を供述する(証人M・6、7頁)が、本件記載自体は、協議をした事実が記されているにすぎない上、上記のとおり、本件記載の審査への影響の有無及び程度は客観的にも判然としないのであ るから、原告が本件記載を目にしたことがある事実をもって、原告が本件記載をすると審査が通りやすくなると認識していたとまで認めることはできない。他に原告が本件記載をすると審査が通りやすくなると認識したと認めるに足りる証拠はないから、原告が、そのように認識した上で黙認したとも認めることはできない。 カ被告は、原告の不当な圧力により、回収可能性に問題のある融資が次々- 78 - と実行され、被告の融資審査が形骸化させられたことは、承認すべきではないと考えたものの承認せざる カ被告は、原告の不当な圧力により、回収可能性に問題のある融資が次々- 78 - と実行され、被告の融資審査が形骸化させられたことは、承認すべきではないと考えたものの承認せざるを得なくなった審査担当者の無念な思いが審査記録中に記録された事例が200件以上あることから裏付けられるとも主張し、資料(乙15の1、15の2)を提出する。 しかし、上記資料の記載内容からは、具体的にどのような融資案件が対 象になっているのか(例えば、どのような点で回収可能性に問題がある案件であったのか、実際に融資を受けた顧客に債務不履行が発生した案件なのかどうか)、原告からどのような圧力を受けたのかも判然としないものであって、上記資料の記載をもって、原告の不当な圧力によって審査が歪められ、回収可能性に問題のある融資が次々に実行されたことを認定する ことは困難である。審査部には、融資実行に否定的な意見を有する場合には、審査を通さない権限と責任があるのであって、原告から不当な圧力を受けていると認識した場合には、審査部長又は審査部管掌取締役に対して対応を求めたり、信用リスク委員会や経営会議、取締役会等で問題にしたりすることによって是正を図るべきなのであって、それをせずに、審査部 限りでの記録を残しただけでは、審査部としての責任を果たしたことにはならないというべきである。 キ以上によれば、原告が、審査部門に対して強い圧力を加えたことにより、回収可能性に問題のある融資を次々と実行され、融資審査が形骸化させられたとは認めるに足りず、非違行為1に関する被告の主張は採用すること ができない。 ⑵ E副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライフ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に 足りず、非違行為1に関する被告の主張は採用すること ができない。 ⑵ E副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライフ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に推進・継続させたこと(非違行為2)についてア本件指示の内容について ①平成27年2月3日に被告にもたらされた本件不芳情報は、スマート- 79 - ライフの実質的経営者の前科等を指摘した上で、被告がスマートライフと取引することのコンプライアンス上の問題を指摘するものであったこと(前記認定事実⑸ア)、②本件指示がされた平成27年2月3日頃以降、被告の融資案件に関する稟議書類にはスマートライフの名前が記載されなくなったこと(前記認定事実⑸エ)、③スマートライフの関係者が設立し た別会社を管理会社やサブリース会社として、スマートライフが実質的に関与する融資案件の取扱いが継続されたこと(前記認定事実⑸オ、コ)、④平成29年4月6日に開催された信用リスク委員会において、E副社長から直接本件指示を受けた唯一の人物であるJが、「スマートライフ社については、2年前に一切関わるなと指示を受け」た旨の発言をしているこ と(前記認定事実⑺イ)を総合考慮すると、E副社長は、審査部門を担当する執行役員であるJに対し、スマートライフが関与する融資案件の取扱いを一切禁止する旨の指示をしたものと認めるのが相当である。 この点について、原告は、本件指示は、スマートライフがチャネルとして関与している融資案件の取扱いは禁止であるが、スマートライフが単に 物件の管理委託先として関与する等、実質的にみてスマートライフがチャネルとして関与しているのと同視できる状態でなければ、取り扱うことが許容されるとの内容であったと考えら スマートライフが単に 物件の管理委託先として関与する等、実質的にみてスマートライフがチャネルとして関与しているのと同視できる状態でなければ、取り扱うことが許容されるとの内容であったと考えられると主張する。しかしながら、本件指示の発端となった上記①の事実に照らし、スマートライフがチャネルとして関与しているのか、それ以外の立場で関与しているのかを区別する 合理的理由がなく、また、平成27年2月当時、被告においてスマートライフがチャネルとしてしか認知されていなかったことを窺わせる証拠もないことを考慮すると、原告の上記主張は採用することができない。 もっとも、被告における「お客さまの声業務手続」によれば、お客さま相談センターから不芳情報が寄せられた旨の報告を受けた審査部等の担当 部署は、当該情報の分析・検証と対応策を検討し、お客様相談センターに- 80 - 報告することになっており、仮に担当部署が単独では解決できない事案であると判断した場合には、委員会に上程し、組織的な問題解決を図るとともに、毎月経営会議に報告することになっていたところ(甲49)、本件不芳情報については、このような手続はとられていないのみならず、E副社長が本件指示をした当時、被告において、本件指示の内容について書面 化したり、チャネルPRMに登録するなどして周知を図ることは行われていない(前記認定事実⑸イ)。仮に、E副社長が本件指示を徹底しようと考えたのであれば、当時、審査部門を担当する執行役員であったJに対して本件指示を伝えるだけでなく、営業部門を担当する執行役員であった原告に対しても直接、本件指示を伝えてしかるべきであるところ、E副社長 は、これをしておらず、E副社長から本件指示を受けたJも、自分の方から原告に対して本件指 業部門を担当する執行役員であった原告に対しても直接、本件指示を伝えてしかるべきであるところ、E副社長 は、これをしておらず、E副社長から本件指示を受けたJも、自分の方から原告に対して本件指示を伝えようとしておらず、Kから本件指示を伝え聞いた原告からの問い合わせに応じただけである(前記認定事実⑸イ)。 また、上記信用リスク委員会において、原告がサクト案件についてシェアハウス運用業者をスマートライフに変更する旨のC案を提案した際のJの 発言は、「同社の元代表…の関与が…表面上見られないとしても、これまでの疑念が完全に払拭されたわけではないので、C案については取り上げるべきではない」というものであって、あくまでも上記①の事実を重視するものであり、会議の結論としても、C案は直ちに却下されることなく「ペンディング」とされている(前記認定事実⑺イ)。さらに、Jの後任 として平成29年4月1付けで執行役員兼審査部長に就任したLは、本件指示について引継ぎは受けておらず、上記信用リスク委員会におけるJの発言を聞くまで、本件指示の存在を知らなかったというのであり(証人L・2、22、23、28頁)、審査部内においても必ずしも本件指示の周知が図られていなかったものと認められる。以上を総合考慮すると、E 副社長の真意、すなわち、E副社長が本件指示をどの程度、また、いつま- 81 - で徹底させる意図を有していたかは不明であるといわざるを得ず、スマートライフの関与する融資案件の取扱いを、同社の経営陣に関する状況の変化如何にかかわらず、平成27年2月以後一切禁止する趣旨であったとまで認めることはできない。 イ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが 継続されていることを、原告が認識していたとの点 27年2月以後一切禁止する趣旨であったとまで認めることはできない。 イ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが 継続されていることを、原告が認識していたとの点について被告は、本件指示により、横浜東口支店の融資案件のかなりの比重を占めるスマートライフが関与する融資案件を取り扱うことができなくなったのであるから、原告は、これに代わる融資案件を模索するなど、Kと協議して今後の営業戦略を立てるはずであるところ、本件指示後、横浜東口支 店においてスマートライフが実質的に関与する融資案件はかえって激増しているから、原告とKとの間で、スマートライフが関与する融資案件の取扱いを継続することについて協議をしたと解するのが自然である旨を主張し、平成26年2月から平成29年3月まで二子玉川支店の支店長を務めていたU及び横浜東口支店でシェアハウスローンを担当していたSは、上 記主張に沿う証言をする(証人U・10、11頁、証人S・6~7、16~17、22頁)。 しかしながら、そもそも、被告の上記主張は、推測を述べるものであるところ、U及びSも同様に推測を述べるにすぎず、上記推測を裏付ける的確な証拠は何ら提出されていない。本件指示があった平成27年2月時点 での横浜東口支店におけるスマートライフの関与する融資案件の取扱件数及び融資実行額は、新規取扱物件数が8件、新規融資実行額が11億8600万円程度であって(前記認定事実⑸ウ)、この時点での被告全体におけるスマートライフの関与する融資案件の取扱件数及び融資実行額は、被告の経営上インパクトを与えるほどには至っていなかったと考えられるこ とからすれば、被告の上記主張は、前提を欠いており、採用することがで- 82 - きない 取扱件数及び融資実行額は、被告の経営上インパクトを与えるほどには至っていなかったと考えられるこ とからすれば、被告の上記主張は、前提を欠いており、採用することがで- 82 - きない。 また、被告は、平成27年8月には、横浜東口支店の「有担保証貸ローン」のうち、実に約84%がスマートライフの関与する案件となったから、業務執行における営業部門のトップであり、毎週横浜会議に出席し、同支店において取り扱っていたほとんどの収益不動産ローンにつき相談に乗る など営業の現場にも密に関わっていた原告が、被告の主要店舗である横浜東口支店の融資実行額を支えているローンにどの不動産業者が関与しているかを把握していないはずがない旨を主張する。 しかしながら、被告の上記主張も推測を述べるものである。被告の主張の根拠となる横浜東口支店のローン取扱件数等に関する資料(乙53)に は、「有担保証貸ローン」と「シェアハウスローン」及び「スマートライフ案件」の契約件数及び融資実行金額の集計の仕方が異なるため、「有担保証貸ローン」の融資実行額に対するシェアハウスローンの融資実行額の割合等の算出はできない旨の注意書きがあるから、同資料によって、横浜東口支店の融資実行額に占めるスマートライフの関与する融資案件の割合 等を算出することはできず、同割合等を原告が把握していたことを認めるに足りる証拠はない。また、横浜東口支店の営業担当者は、本件指示以降、SSPシートや稟議書類にスマートライフの名前を出さずに(前記認定事実⑸エ)、スマートライフの関係者が設立した別会社を管理会社又はサブリース会社として用いるなどしていた(前記認定事実⑸オ、コ)ところ、 原告が具体的な案件について相談を受けていたとされる横浜会議において、稟 トライフの関係者が設立した別会社を管理会社又はサブリース会社として用いるなどしていた(前記認定事実⑸オ、コ)ところ、 原告が具体的な案件について相談を受けていたとされる横浜会議において、稟議書類には名前が出てこないスマートライフの実質的関与を原告に対して明示的に説明していたことを示す証拠はなく、かえって、Kが原告に提出した資料において、スマートライフに関する記載が修正液で隠されていたこと(前記認定事実⑸カ)からすれば、スマートライフが実質的に関与 している融資案件の取扱いを継続していることが原告に秘匿されていた可- 83 - 能性も否定することができない。 被告は、第4回サクト会議においてKがイノベーターズについてスマートライフのダミー会社であることを意味する「迂回です。」との発言をした際、原告が慌てて制止しようとしたとも主張し、Lの証言にはこれに沿う部分があるが(証人L・9、10頁)、同会議の議事録にはそのような やりとりの記録はなく、上記証言だけでは、被告の主張する事実を認定することはできない。 その他、本件全証拠によっても、原告が、E副社長の指示に反することを知りながら、スマートライフが実質的に関与する融資案件の取扱いが継続されていることを認識していたとは認めるに足りない。 ウサクトの破綻の対応を協議する被告の社内会議において、E副社長の指示(本件指示)に反することを知りながら、そのことに触れずにスマートライフを擁護し、新たな管理会社として推薦し、決定させようとしたとの点について被告は、原告が、第1回及び第4回サクト会議において、E副社長の本 件指示に反することを知りながら、サクトが運営するシェアハウスにつき管理会社をスマートライフに変更しようと ついて被告は、原告が、第1回及び第4回サクト会議において、E副社長の本 件指示に反することを知りながら、サクトが運営するシェアハウスにつき管理会社をスマートライフに変更しようと画策した旨を主張する。 しかしながら、上記アのとおり、E副社長の真意は明らかではなく、E副社長が、スマートライフが関与する融資案件の取扱いを、同社の経営陣に係る状況の変化如何にかかわらず、平成27年2月以後一切禁止とした とまで認めることはできない。したがって、原告が、サクトが租税債務の滞納により差押えを受けた後、サクトが関与した融資案件の債務者の取り得る選択肢を議論するに当たり、複数の選択肢の一つとして、管理会社をサクトから入居者募集ノウハウのあるスマートライフに変更するとの提案を、スマートライフの経営者が本件不芳情報時から変更となっている旨の 説明とともに行うことは、直ちに本件指示に反するとはいえない。 - 84 - また、被告は、原告が、審査部によるシェアハウスの目視調査の結果が間違っている旨の態度に終始し、スマートライフが関与する融資案件の継続を目論んだとも主張する。前記認定事実⑺カのとおり、原告が、第4回サクト会議において、審査部による目視調査の結果について疑問を呈したことは認められるが、それが根拠を欠くものであると認めるに足りる証拠 はなく、そのため会議のまとめとしてもシェアハウスの入居状況を再調査することとされているのであって、かかる言動をもって、「スマートライフが関与する融資案件の継続を目論んだ」と評価することはできない。 エスマートライフの救済策を講じ、スマートライフとの取引継続を図ったとの点について 被告は、原告が、平成29年10月19日に開かれた経営会議におけ 価することはできない。 エスマートライフの救済策を講じ、スマートライフとの取引継続を図ったとの点について 被告は、原告が、平成29年10月19日に開かれた経営会議における決定事項を、スマートライフからの救済要請を受けて一部覆した旨を主張する。 しかしながら、E副社長において、スマートライフが関与する融資案件の取扱いを、同社の経営陣に係る状況の変化如何にかかわらず、平成27 年2月以降一切禁止としたとまでは認められないことは上記アのとおりであるところ、原告が再協議を求めた時点では、E副社長が本件指示をしてから約2年8か月が経過している。仮に、原告が、Kを介したスマートライフからの救済要請(前記認定事実⑺ク)を受けて、上記決定事項につき再協議を申し入れたものであるとしても、スマートライフからの救済要請 の内容は、被告からの融資が実行されなければサブリース契約に基づく家賃の支払が一切できず大事件になるというものであり(前記認定事実⑺ク)、上記経営会議の決定事項において考慮されていない事情であったことから、被告としても改めて対応を協議する必要性がなかったとはいえないのであって、原告が上記経営会議の決定事項について再協議を求めたこ とには、合理性を肯定することができる。 - 85 - また、経営会議における決定事項を覆す判断は、F社長や審査部管掌常務取締役であるJも出席した本件シェアハウス・簡易宿所会議における協議の結果を踏まえて、融資に係る稟議書が、通常の審査方法の実施に加えて、審査結果を同会議に出席している専務以上に回付された結果、行われたのであって(前記前提事実⑿カ、前記認定事実⑺ケ)、原告が経営会議 における決定事項を覆したというわけではない。 オ て、審査結果を同会議に出席している専務以上に回付された結果、行われたのであって(前記前提事実⑿カ、前記認定事実⑺ケ)、原告が経営会議 における決定事項を覆したというわけではない。 オ小括以上によれば、原告がE副社長によるスマートライフ案件の取扱禁止指示に反し、スマートライフ案件の取扱いを継続し、不適切融資を自ら積極的に推進・継続させたとは認めるに足りず、非違行為2に関する被告の主 張は採用することができない。 ⑶ 部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠ったこと(非違行為3)についてア原告の率いる営業本部の業績目標を達成するために、部下に厳しい業績目標を課して過度のプレッシャーを与えていたとの点について 被告は、原告が、パーソナル・バンク部門の業績目標を達成するため、週1回、首都圏店舗の所属長が営業成績を報告するセンター長会議において、営業目標を達成できない支店の所属長らに対し、「馬鹿野郎」、「小僧」、「お前の店舗の従業員は可哀そうだ」などと、長時間罵倒し続けるパワーハラスメント行為を行い、それを受けた所属長らが、その部下らに 対してパワーハラスメント行為を行うことが日常化していたのに、これを放置した旨を主張し、U及びVは、これに沿う証言をする(証人U・4~7頁、証人V・2~3頁)。 しかし、これらの証言は、原告に対して不利な証言をする動機を有する者による、日時や具体的な営業目標やその達成度等も特定されていない出 来事に関するものであって、それを裏付ける客観的証拠も提出されていな- 86 - いから、容易に採用することができない。原告は、パーソナル・バンク部門の責任者であったことから、同部門に所属する営業店に対して営業目標の達成を厳し ける客観的証拠も提出されていな- 86 - いから、容易に採用することができない。原告は、パーソナル・バンク部門の責任者であったことから、同部門に所属する営業店に対して営業目標の達成を厳しく求めたり、営業成績の芳しくない営業店の所属長を厳しく叱責したりすることがあったことは推認されるものの、本件全証拠によっても、原告が業務上の指導の程度・範囲を超えた違法なパワーハラスメン ト行為を行った事実を認めるに足りる証拠はない。 また、被告は、原告が担当する営業店の所属長らがその部下らに対して行っていたというパワーハラスメント行為について、どの営業店の所属長が、いつ、誰に対して、どのようなパラーハラスメント行為を行っていたかについて、具体的な主張立証はしていない。 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。 イ融資関係書類等の改ざんが蔓延していることを認識し、又は認識し得たにもかかわらず十分な対策を行わなかったとの点について 被告は、被告において融資関係書類等の偽造・改ざんが蔓延した原因について、①営業店に対し、過大なノルマを達成させるためのパワーハ ラスメント行為が行われていたこと、②被告がチャネルに依存した営業体制であったこと、③被告において原本確認の手続が簡素化されていったこと等を挙げ、原告はこれらの事情を認識していたから、営業店において原本確認が徹底されていなかったことを把握していたと主張する。 この点に関し、Uは、高い営業目標達成のために多くの案件を抱えて おり、支店長が全件の原本確認を行うことは物理的に不可能であり、二子玉川支店長であった当時、実際には原本確認を必ずしも行っていなかった旨証言する(証人U・8、30~31、34~35、3 えて おり、支店長が全件の原本確認を行うことは物理的に不可能であり、二子玉川支店長であった当時、実際には原本確認を必ずしも行っていなかった旨証言する(証人U・8、30~31、34~35、37~39頁)。また、平成26年4月から横浜東口支店に勤務し、平成27年半ば頃から同支店において主に収益不動産ローンを取り扱っていたSは、 原本確認をした結果、自己資金の不足等が判明すれば、当該案件の融資- 87 - を実行できなくなり、営業目標を達成することができなくなるため、平成26年4月以降、所属長であるKもS自身も原本確認を行っていなかった旨証言する(証人S・12、13、18、25~26、29頁)。 さらに、平成23年4月から当時のカスタマーサポート本部都心特別推進チームに勤務し、収益不動産ローンを取り扱っていたVは、原本確認 をした結果、自己資金の不足等が判明すれば、当該案件の融資を実行できなくなり、ひいては、懇意にしているチャネルから案件の紹介を受けることができなくなって営業として生きていくことができなくなるため、原本確認を徹底できていなかった(明らかに偽造、改ざんがあると分かっていたが、原本確認をしなかったこともある。)旨を証言する(証 人V・3、4、12~13頁)。これらに加え、本件全件調査の結果を踏まえれば、被告の営業部門においては、上記3名と同様の理由によって原本確認を徹底していなかった社員が相当多数存在したことが推認される。 もっとも、銀行の融資において、融資を受ける顧客の返済能力すなわ ち自己資金の確認が重要であることは明らかであって、本件簡素化通達及び本件新運用基準においても、営業店所属長の責任で「厳格に」自己資金確認資料の原本を確認するとされているところである。営業目標の ち自己資金の確認が重要であることは明らかであって、本件簡素化通達及び本件新運用基準においても、営業店所属長の責任で「厳格に」自己資金確認資料の原本を確認するとされているところである。営業目標の達成が原本確認を徹底しないことを許容する理由になるとは常識的には考えられず、原告が原本確認よりも営業成績の達成を優先するよう迫っ たなどと述べる者もいない。融資を受けた顧客が返済に窮する事態になれば、損害を被るのは被告である。各営業店の担当者の業務を管理監督するのは、まずは各営業店の所属長であって、各営業店からの融資案件の稟議申請は、原告を経由せずに行われること(前記認定事実⑵ウ)も併せ考慮すると、原告が、営業店において担当者の上記のような心理的 な理由から原本確認が徹底されていなかったことを認識していた又は認- 88 - 識し得たにもかかわらず、放置していたとは認めるに足りる立証はないというほかない。 被告は、原告が営業店において自己資金確認資料の原本確認が徹底されていなかったことを把握した上で、平成25年以降、融資関係書類が偽造・改ざん等されているとの外部通報を少なくとも8件は認識してい たから、融資関係書類等の改ざんの蔓延を認識し又は認識し得たと主張する。しかし、原告が、営業店において原本確認が徹底されていなかったことを認識していた又は認識し得たにもかかわらず放置していたと認めるに足りる立証がないことは上記のとおりである。原告が、数年間に8件の外部通報を認識していたからといって、それだけで直ちに融資関 係書類の偽造・改ざんが蔓延していると認識していたということはできない。 したがって、被告の上記の主張は採用することができない。 ウ E副社長の指示に反してスマートライフが関 係書類の偽造・改ざんが蔓延していると認識していたということはできない。 したがって、被告の上記の主張は採用することができない。 ウ E副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続されていることを認識しながら、部下に対する注意・指導を何ら行わ なかったとの点について被告は、原告がE副社長の指示に反してスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していたことを認識しながら、部下に対する注意指導を何ら行わなかったと主張するが、原告が本件指示後もスマートライフが関与する融資案件の取扱いが継続していることを認識していたと認めるに 足りる証拠がないことは、上記⑵イのとおりである。 エシェアハウスローン特有のリスクを認識しながら、部下に対する指導や監督体制の整備を行っていないとの点について前記認定事実⑺アのとおり、原告は、平成28年5月27日、当時シェアハウスローンを取り扱っていた店舗の所属長及び審査部部長らを集めて 本件シェアハウス会議を開催し、シェアハウスローン特有のリスクを説明- 89 - した上で、シェアハウスローンの取扱いを絞るべきであるとの意見を述べた。その結果、取扱い地域や評価方法を限定し、新規チャネルは取り扱わないこととされた。 被告は、空室リスクやチャネルの財務体質の脆弱性に関するリスクなどは重大なリスクであるから、安全性が確認されるまでの間、シェアハウス ローンを取り扱わないよう指示するなどの措置を採るべきであったと主張する。しかし、その約1年後の第4回サクト会議において、T専務が、シェアハウスローンは被告の経営判断で推進してきた事案であると発言していること(前記認定事実⑺カ)に照らすと、個人市場に特化し、 主張する。しかし、その約1年後の第4回サクト会議において、T専務が、シェアハウスローンは被告の経営判断で推進してきた事案であると発言していること(前記認定事実⑺カ)に照らすと、個人市場に特化し、個人向けの商品をいかに充実させるかが重要なテーマであった被告は、個人向け 収益不動産ローンの一種であるシェアハウスローンについて積極的に取り扱うべき商品であるとの経営判断をしていたことが認められる。そうすると、取締役会で選任され、取締役会が決定する基本方針に従って業務執行を行うことを職責とする執行役員(別紙記載1の組織規程22条、別紙記載2の執行役員規程2条2項)である原告が、サクトに対する差押えと いった出来事によりシェハウスローンのリスクが現実化する以前の本件シェアハウス会議の時点で、部下や営業店社員に対し、シェアハウスローンを取り扱わないよう指示する義務を負っていたとは容易に認められない。 被告は、営業本部の部下に対し、上記のリスクを周知し、不適切な融資が実行されないよう指導監督するなど、必要な体制を構築すべきであった とも主張するが、被告は、原告が具体的にどのような指導監督を行い、どのような体制を構築すべきであったのかを具体的に主張しておらず、失当であるというほかない。 オ小括以上によれば、原告が部下・営業店社員に対する管理監督義務を怠った と認めることはできず、非違行為3に関する被告の主張も、採用すること- 90 - ができない。 5 争点4(就業規則所定の懲戒事由に該当する事実が存在するとして、本件異動命令及び本件懲戒解雇は、権利の濫用に当たるか。)について⑴ 本件懲戒解雇上記4のとおり、被告が就業規則所定の懲戒事由に該当する事実として主 張す 当する事実が存在するとして、本件異動命令及び本件懲戒解雇は、権利の濫用に当たるか。)について⑴ 本件懲戒解雇上記4のとおり、被告が就業規則所定の懲戒事由に該当する事実として主 張する原告の非違行為1~3は、いずれも認定するに足りる証拠がない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利の濫用に当たり、無効である。 そうすると、本件労働契約は、本件懲戒解雇後も存続していたことになる が、前記認定事実⑽のとおり、原告は、令和▲年▲月▲日に定年に達しており、本件労働契約は、同月31日をもって終了したことが認められる。したがって、原告の地位確認請求は理由がない。 ⑵ 本件異動命令原告は、本件異動命令が懲戒処分であることを前提として、権利の濫用に 当たり、無効である旨を主張するが、本件異動命令が懲戒処分に該当しないことは上記2のとおりであるから、原告の主張は、前提を欠き、採用することができない。 (なお、原告は、本件異動命令が人事権の行使であることを前提とする無効原因は主張していない。) 6 争点5(不法行為の成否、原告の損害の有無及び額)について原告は、被告が、理由がないことを認識しながら、不公正融資に関する自らの組織的責任を隠蔽するという不正な目的で本件異動命令及び本件懲戒解雇を行ったのであるから、本件異動命令及び本件懲戒解雇は原告に対する不法行為を構成するとして、800万円の慰謝料の支払を請求する。 しかしながら、以上で説示したとおり、本件異動命令は、懲戒処分ではなく、- 91 - 人事権の行使として行われたものであり、これを無効とする主張立証はないか の支払を請求する。 しかしながら、以上で説示したとおり、本件異動命令は、懲戒処分ではなく、- 91 - 人事権の行使として行われたものであり、これを無効とする主張立証はないから、本件異動命令が不法行為を構成する余地はないというべきである。また、本件全証拠によっても、被告が、本件懲戒解雇を行う理由がないことを認識しながら、不公正融資に関する自らの組織的責任を隠蔽するという不正な目的で本件懲戒解雇を行ったと認めるに足りる証拠はない。 また、原告において、本件懲戒解雇と相当因果関係のある損害が、本件懲戒解雇から定年退職時までの未払賃金の金額を超えて発生したと認めるに足りる証拠もない。 したがって、原告の慰謝料請求には理由がない。 第5 結論 よって、原告の請求は、①本件懲戒解雇後の平成30年12月分から平成31年2月分までの月額50万円の給与合計150万円、②同年3月から本件懲戒解雇がされていなければ定年退職となるはずであった令和3年7月まで、毎月22日限り50万円及びこれらに対する平成31年3月から令和2年3月までは各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延 損害金、同年4月から令和3年7月までは各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文、61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部 裁判官水橋巖 - 92 - 裁判長裁判官三木素子は転補につき、裁判官崎川静香は退官 東京地方裁判所民事第36部 裁判官水橋巖 裁判長裁判官三木素子は転補につき、裁判官崎川静香は退官につき、署名押印することができない。 裁判官水橋巖 別紙被告における各種規程の概要 1 組織規程(乙14の1)(目的) 第1条この規程は、当社の経営組織に関する基本事項を定め、職務、権限および責任を明確にし、執行業務の組織的かつ効率的な運用により、当社の経営目標を達成することを目的とする。 (定義)第3条この規程における用語の定義は、次のとおりとする。 ⑴ 職位とは、職制上の地位をいう。 ⑵ 職務とは、各職位に定められた所管業務の範囲をいう。 ⑶ 権限とは、各職位に課せられた職務を遂行するうえに必要な権利をいう。 ⑷ 責任とは、権限を遂行する義務ならびに権限の行使または不行使の結果に対する責務をいう。 (取締役会) 第11条⑴ 当社の業務執行の基本方針を決定する機関として取締役会を置く。 ⑵ 取締役会の運営は、別に定める「取締役会規程」のとおりとする。 (経営会議) 第12条⑴ 当社の基本方針ならびに重要な業務執行に関する事項を審議し決裁するために経営会議を置く。 ⑵ 経営会議の運営は、別に定める「経営会議規程」のとおりとする。 (各種委員会) 第12条の3⑴ (略)⑵ 経営会議の下に次の委員会を置く。 1)~2)(略)3) の運営は、別に定める「経営会議規程」のとおりとする。 (各種委員会) 第12条の3⑴ (略)⑵ 経営会議の下に次の委員会を置く。 1)~2)(略)3)信用リスク委員会 4)~6)(略)⑶ (略)⑷ 各委員会の運営は、別に定める各種の「委員会規程」のとおりとする。 (取締役) 第13条取締役の職務は、「定款」ならびに「取締役会規程」の定めるところによる。 第14条会長または社長は、取締役会の決議に基づき、その職務の一部を他の取締 役に委嘱または担当させることができる。 第15条役付取締役は上位者を補佐し、取締役会の決議に基づき業務を執行し、上位者いずれにも支障あるときは、その職務を代行する。 第16条 会長または社長は、役付取締役に支障あるときは、他の取締役にその職務- 95 - 代行を命ずることができる。 (代行決裁の順位)第18条会長以下常勤取締役の代行決裁順位は、次のとおり定める。 (執行役員)第22条⑴ 執行役員は取締役会で選任され、取締役会が決定する基本方針に従い、 業務執行を行なう。 ⑵ 執行役員の選任、退任・退職、服務、給与、退職金に関する基本的事項は別に定める「執行役員規程」のとおりとする。 (従業員) 第23条当社の従業員は、社員、準社員、再雇用社員、アソシエイトスタッフ、嘱託、臨時雇用者および時間制臨時従業員とし、次のとおり区分する。 ⑴ 社員は、執行役員、理事、幹部社員、 23条当社の従業員は、社員、準社員、再雇用社員、アソシエイトスタッフ、嘱託、臨時雇用者および時間制臨時従業員とし、次のとおり区分する。 ⑴ 社員は、執行役員、理事、幹部社員、チャレンジ職、パーソナル職に区分する。 ⑵ 満年齢55歳以上60歳未満までの社員を先任社員とし、ライン職とス区分代行決裁者会長社長または副社長社長会長または副社長副社長会長、社長または専務取締役専務取締役社長または副社長常務取締役副社長または専務取締役- 96 - タッフ職に区分する。 ⑶及び⑷ (略) (執行役員)第24条の3 原則として所属長経験を有し、業務に精通し、人格・識見ともに優れ、実行力に富み、理事以上の資格者を執行役員とすることができる。 (職位)第25条 社員の職位は次のとおりとする。 ⑴ 総合職社員の職位は次のとおりとする。 (本部)本部長・バンク長・部長・ブロック長・副部長・秘書役・審査役・推進役・検査役・審議役・チーフマネージャー・マネージャー・アシス タントマネージャー・スタッフただし、パーソナル職はチーフマネージャー・マネージャー・アシスタントマネージャー・スタッフとする。 (営業店)本店長・支店長・営業第一部長・営業第二部長・ハウジングローンセ ンター長・カスタマーセンター長・副支店長・営業グループ長・業務グループ長・審議役・出張所長・チーフマネージャー・マネージャー、アシスタントマネージャー・スタッフただし、パーソナル職はチーフマネージャー・マネージャー・アシスタントマネージャー・スタッフとする。 プ長・審議役・出張所長・チーフマネージャー・マネージャー、アシスタントマネージャー・スタッフただし、パーソナル職はチーフマネージャー・マネージャー・アシスタントマネージャー・スタッフとする。 (開設準備室)- 97 - (略)⑵ 先任社員の職位は次のとおりとする。 (ライン職)第1号の社員の職位を準用する。 (スタッフ職) 主任業務役・業務役・副業務役・業務役補・事務役・事務役補 (営業体制等)第29条⑴ コミュニティ・バンク長ならびにパーソナル・バンク長を定める。 ⑵ バンク、ブロック店および営業店、出張所、HLC、DP、CCは附表2「営業店組織一覧」のとおりとする。 ⑶ バンク長は、各ブロック全体の営業推進ならびに業務運営を行ない、その責に任ずる。 ⑷ ブロック長は、管轄する各営業店等の営業推進ならびに業務運営を行な い、その責に任ずる。 第30条本部所属長の職務は次のとおりとする。 ⑴ 部下を指揮統括し、次の職務につき実行ならびに管理・監督責任を負う。 ⑵ 経営計画の企画立案に参画し、業容拡大の組織体制を構築する。 ⑶ 経営方針を具体化し、所轄部店への伝達と目標達成への指揮監督を行なう。 ⑷ 情報の収集管理を統括し、経営方針への反映をはかる。 ⑸ 収益管理、リスク管理を統括し、目標達成の指揮監督を行なう。 ⑹ 人材の育成を指揮し、人的資源の効率的活用をはかる。 ⑺ 部店間の方針を相互に徹底し、組織の効率的運営と活性化をはかる。 - 98 - ⑻ 役員ならびに執行役員を補佐し、円滑な業務遂行をはかり担当業務に全 効率的活用をはかる。 ⑺ 部店間の方針を相互に徹底し、組織の効率的運営と活性化をはかる。 - 98 - ⑻ 役員ならびに執行役員を補佐し、円滑な業務遂行をはかり担当業務に全責任を負う。 2 執行役員規程(乙13)(目的) 第1条⑴ この規程は、執行役員の選任、業務執行、退任・退職、服務、給与、退職金に関する基本事項を定めるものである。 ⑵ この規程に定めのない事項については、取締役会の決定に従うものとする。 ⑶ 執行役員はこの規程を遵守し、当社の発展のため迅速な業務執行を行なうものとする。 (執行役員)第2条 ⑴ この規程で執行役員とは、取締役会で選任された役員をいう。 ⑵ 執行役員は、取締役会が決定する基本方針に従い、業務執行を行なう責任者とする。 (選任) 第3条⑴ 執行役員の選任は、CEO、COOの推薦を受け取締役会の決議により選任する。 ⑵ 執行役員は業務に精通し、人格・識見ともに優れ、実行力に富みその職責を全うする者とする。 - 99 - (任期)第4条執行役員の任期は、就任後1年内の決算期に関する定時株主総会後の取締役会終結の時までとする。ただし、取締役会で特別に定めたときはこれに従うものとする。 (上席執行役員)第5条執行役員は取締役会の決議により、執行役員副社長、執行役員専務、執行役員上席常務または執行役員常務に任命されることがある。 (業務執行の委任)第6条⑴ 取締役会は、選任した執行役員に対して組織規程に定めるところにより、当社の業務の執行を委任する。 ⑵ 取締役会は、何時でも前 (業務執行の委任) 第6条 ⑴ 取締役会は、選任した執行役員に対して組織規程に定めるところにより、当社の業務の執行を委任する。 ⑵ 取締役会は、何時でも前項の執行役員の執行業務の担当・内容その他について変更することができる。 ⑶ 代表取締役は、執行役員の職務の執行を統括し、指揮監督する。 (執行役員の執行業務) 第7条 執行役員は、次の点に留意して所管業務の執行に当らなければならない。 ⑴ 取締役会で決定した当社の方針ならびに代表取締役の指示に基づき、担当業務を責任を持って誠実に執行に当ること。 ⑵ 組織規程に定める職責を十分に自覚し、責任を持って忠実に執行に当ること。 ⑶ 自己の担当業務はもとより、全社的な立場に立って執行に当り、当社の実績向上、株主利益の確保、社会的責任を持って執行に当ること。 (退任・退職) 第8条 執行役員が次の各号の一つに該当する場合は退任または退職とし、執行役員としての身分を失う。 ⑴ 任期満了 ⑵ 辞任 ⑶ 死亡 ⑷ 解任 ⑸ 資格喪失 ⑹ 定年に達したとき (総則) 第1条 従業員の就業に関しては法令に定められたるものの他この規則ならびに別に定める服務規程の定めるところによる。 第2条 この規則にいう従業員とは役員を除く業務に従事する社員をいい、執行役員、理事、幹部社員、チャレンジ職、パーソナル職に区分する。ただし、準社員、再雇用社員、嘱託、臨時雇用者、パートタイマー等は含まない。 (退職・解雇ならびに休職) 第13条 チャレンジ職、パーソナル職に区分する。 ただし、準社員、再雇用社員、嘱託、臨時雇用者、パートタイマー等は含まない。 (退職・解雇ならびに休職)- 101 - 第13条⑴ 次の各号の1に該当するときは退職とする。 1)本人が退職を希望したとき2)1週間以上継続して無断欠勤したとき⑵ 従業員は退職しようとするときは、退職願を提出し、その許可あるまで は従前の業務を継続しなければならない。ただし、退職願提出後30日経過後はこの限りでない。 第14条⑴ 従業員は次の各号の1に該当するときは、30日以前に予告するか、または30日分の平均賃金を支給した上、解職する ただし、第20条に定める懲戒による解職をするときは、この限りでない。 ⑵及び⑶ (略)第15条従業員は次の各号の1に該当するときは、前条の規程に拘らず解職する。 ⑴ 天災、事変、その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能になったとき⑵ 懲戒による解職のとき⑶ 休職満期のとき第16条 ⑴ 定年退職は満60才とする。ただし、勤務優秀なる者については延長することがある。 ⑵及び⑶ (略) (表彰ならびに制裁) 第20条- 102 - 次の各号の1に該当する者は懲戒処分を受ける。 ⑴~⑶ (略)⑷ 法令、社内規程およびその他規程に反したとき⑸ (略)⑹ 上司の指示または命に従わざるとき ⑺ 素行不良または不当な行為により秩序を乱し、銀行の信用を失墜ないし毀損させたとき(ビジネスガイドラインに規定したセクシャルハラス 略)⑹ 上司の指示または命に従わざるとき ⑺ 素行不良または不当な行為により秩序を乱し、銀行の信用を失墜ないし毀損させたとき(ビジネスガイドラインに規定したセクシャルハラスメント行為、パワーハラスメント行為、妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントも含む)⑻、⑼ (略) ⑽ 故意または重大な過失により銀行に損害を蒙らしたとき⑾ 管理監督を怠りたるため、部下より懲戒処分者を出したとき⑿ その他前各号に準ずる行為があったとき第21条懲戒は次のとおり行なう。 ただし、その二つ以上をあわせて行なうときがある。 ⑴ 譴責(将来を戒める)⑵ 減給(1回の額が平均賃金の1日分の半額とし、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内とする)⑶ 昇給停止(次期の昇給・昇号を停止する) ⑷ 停職(期間を3ヶ月以内としその間賃金を支給しない)⑸ 降等(役職またはグレードを原則として1階級下げる)⑹ 解職(即時職を解く)第22条反則が軽微であるか、特に情状酌量の余地があるか、改悛の情が明らかに 認められるときは、懲戒を免じ訓戒に止めることができる。 - 103 - 4 本件協定(乙101の1、101の2)第1条本制度は、高齢者の雇用促進および安定を図る社会的要請に応えると同時に55歳以降従業員の安定した雇用維持と生活安定を図り、さらなる能力開発活用を指向し、組織の活性化を図り、ひいては銀行の発展に寄与すること を目的とする。 第2条本制度にかかる社員の呼称は、先任社員または先任準社員(以下、先任社員という)とし、就業規則その他諸規定に基づき、公平な扱いを行うものとする。 第 を目的とする。 第2条本制度にかかる社員の呼称は、先任社員または先任準社員(以下、先任社員という)とし、就業規則その他諸規定に基づき、公平な扱いを行うものとする。 第3条先任社員となる者の起算日は、55歳に達令月の翌月1日とする。 第4条先任社員の扱いは、現行の新人事制度とは別の人事体系とし、専任的職務を行うライン職、補助的業務を行うスタッフ職、および特定作業ならびに作 業的補助を行う先任準社員に区分し、給与は別表の賞与を含む年俸制とする職務給制度を原則とし、定時昇給、ベースアップは行わない。 第5条先任社員の職務区分および職位は、54歳時点の役職とそれまでの職歴、保有能力、本人の希望を勘案し、銀行が決定する。 第6条先任社員の給与(年俸)の決定は、先任社員となった時点において、前年度の人事考課、業績考課を勘案し決定する。ただし、毎年の給与(年俸)は、4月1日に前項同じ方法で決定する。 第12条 先任社員の定年退職日は、60歳達令月の末日とする。 - 104 - 第4条記載の別表(先任社員給与体系表)の抜粋(単位:万円)ライン職職位基本年俸月額職務給部店長900~63020~12副部長・副支店長営業・業務グループ長グループ長670~53015~8推進役・審査役検査役・審議役600~50010~7チーフマネージャー530~4608~5 以上

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