平成18(く)60

裁判年月日・裁判所
平成18年2月24日 東京高等裁判所 棄却
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判決文本文2,657 文字)

18く60東京高裁平成18・2・24316条の15第1項1号,5号ロ,6号棄却 主文 本件即時抗告を棄却する。 理由 本件即時抗告の趣意は,弁護人I及び同J共同作成名義の即時抗告申立書記載のとおりであるから,これを引用する。 論旨は,要するに,原裁判所がした証拠開示に関する裁定決定中「検察官に対し,本件申立てにかかる各証拠のうち,原決定書別紙記載のNo.1の証拠について,A,B,C及びDにかかる各不採用通知書を開示し,その余の部分について弁護人に閲覧する機会を与えることを命ずる。」との部分及び「本件申立てにかかる各証拠のうち,原決定書別紙記載のNo.27,28,38の各証拠について,開示命令の請求をいずれも棄却する。」との部分は,いずれもその開示の許否等に関する判断を誤るとともに訴訟手続規定にも違反しているのであって,申立人に対しては両部分を取り消した上,改めて「検察官に対し,本件申立てにかかる各証拠のうち,別紙記載No.1,27,28,38の各証拠の全部について弁護人に閲覧及び謄写する機会を与える方法による開示を命ずる。」との裁判を求めるというのである。 そこで,関係記録を調査して検討することとする。 本件に関係する公訴事実の要旨は,新潟県内にある高等学校(校長G)に進路指導等支援アドバイザーとして勤務していた被告人が,平成16年8月26日ころから平成17年2月下旬ころまでの間,上記4名を含む同校の生徒10名の就職について,就職希望先の企業から採用を断られるなどしていずれも採用の内定決定通知等ないのに,これがあるように装い,同校進路指導主事E,各生徒及びその各担任教師に対し,その都度各生徒の就職が内定した旨嘘を言い,Eらをしてその旨誤信させ,各生徒に対する就職指導等の業務の実施をうち切らせ,偽計を用いて同校の業務を 同校進路指導主事E,各生徒及びその各担任教師に対し,その都度各生徒の就職が内定した旨嘘を言い,Eらをしてその旨誤信させ,各生徒に対する就職指導等の業務の実施をうち切らせ,偽計を用いて同校の業務を妨害し,その際,行使の目的をもってほしいままに,うち1名の生徒について就職希望先の企業から被告人あてに送付されてきた不採用通知書の印刷された文字を切り抜くなどして,同企業名義の採用通知書を偽造し,これを同生徒及びEらに呈示して行使したというものである。 そして,1原決定書別紙記載No.1の証拠は「生徒の採用通知書及び不採用通知書が綴じてあるファイル(新潟地方検察庁平成17年領第793号符第82号)」であって上記4名の生徒にかかる不採用通知書と上記10名以外の生徒についての採用通知書及び不採用通知書が綴じてあるファイルであり,弁護人はこれを検察官請求証拠のうちEの供述調書(甲4ないし6)の証明力を判断するための証拠物であって刑訴法316条の15第1項1号の類型に該当するとしてその開示を求めている。また,2原決定書別紙記載No.27及びNo.28の各証拠は「Gの作成にかかるすべての告訴状,被害届ないし被害申告書等並びにそれらの添付書類」及び「G以外の者(同人の代理人を含む)の作成にかかるすべての告訴状ないし被害申告書並びにその添付書類」であり,弁護人は前者を検察官請求証拠のうちG作成の平成17年9月8日付け告訴状(甲1)及び同人の供述調書(甲2)の証明力を判断するための供述録取書等であって同条項5号ロの類型に,後者をGの上記証明力を判断するために同供述調書等により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするものであって同条項6号の類型にそれぞれ該当するとしてその開示を求めている。3原決定書別紙記載No.38の証拠は「H以外の者が同人の供述内 より直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするものであって同条項6号の類型にそれぞれ該当するとしてその開示を求めている。3原決定書別紙記載No.38の証拠は「H以外の者が同人の供述内容を記録したすべての捜査報告書その他の供述書」であり,弁護人はこれを検察官請求証拠のうち就職希望先企業の担当者であるHの供述調書(甲99)の証明力を判断するために同供述調書により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするものであって同条項6号の類型に該当するとしてその開示を求めている。 まず1についてみると,これまでの公判前整理手続において検察官及び弁護人から提出された各証明予定事実を検討すると,証拠開示の対象となっている業務妨害の主たる争点は被告人がE,各生徒及びその各担任教師に対して各生徒の就職が内定した旨嘘を言ったか否かであり,各生徒が就職希望先の企業から採用を断られたこと自体は争点ではない。 もとより,妨害したとされる業務も起訴状記載の公訴事実及び検察官作成の証明予定事実に徴して各生徒に対する学校の就職指導をうち切らせないことによる引き続く就職指導であるから,そもそも他の生徒に対する状況如何の解明の必要性は乏しいと考えられる。そうすると,上記10名以外の生徒に関する所論の証拠の開示の必要性の程度はきわめて低いのであって,いわんや謄写までの必要性はなく,これを認めなかった原決定は正当である。 次いで2についてみると,所論は関係者の供述の証明力に関係するとして被害届等の開示を求めているが本件における上記争点との関係においてみた場合発覚の端緒に過ぎない点に着目した証拠調べの必要性は乏しいといわなければならない。この点において所論2の開示を求める主張は失当というべきである。結論において同旨の原決定は正当である。 なお,3就職希望先企業の関係 ぎない点に着目した証拠調べの必要性は乏しいといわなければならない。この点において所論2の開示を求める主張は失当というべきである。結論において同旨の原決定は正当である。 なお,3就職希望先企業の関係者の供述内容を記録する書面についても上記指摘の争点とはなっていない点を問題とするものと窺われるのであって,開示の必要性は乏しくこれを認めなかった原決定は結論において正当である。 以上によれば,原決定には所論のいう判断の誤りや訴訟手続の違反は認められず,論旨は理由がない。 よって,刑訴法426条1項後段により本件即時抗告を棄却することとし,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・河辺義正,裁判官・小川正明,裁判官・片山隆夫)

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