【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が昭和五〇年三月一二日付でした原告の昭和四六年分所得税の更正及び過
○ 主文原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が昭和五〇年三月一二日付でした原告の昭和四六年分所得税の更正及び過少申告加算税賦課決定(ただし、審査裁決により一部取り消された後のもの。)のうち、所得金額二一四万一〇五四円を超える部分を取り消す。 2 被告が昭和五〇年八月二九日付でした原告の昭和四七年分、昭和四八年分所得税の各更正及び昭和五〇年一一月一二日付でした右各更正に係る過少申告加算税変更決定(ただし、いずれも異議決定により一部取り消された後のもの。)のうち、昭和四七年分については所得金額一六二万二〇九二円を超える部分を、昭和四八年分については所得金額三五六万八〇八八円を超える部分を、それぞれ取り消す。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一請求原因 1 原告は印刷業を営む者であるが、原告の昭和四六年分ないし昭和四八年分(以下「本件係争各年分」という。)所得税の各確定申告及び修正申告、これらに対し四谷税務署長がした各更正(以下「本件各更正」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定ないし変更決定(以下昭和四六年分更正に係る過少申告加算税賦課決定及び昭和四七年分、昭和四八年分各更正に係る過少申告加算税変更決定を「本件各決定」という。)、原告のした異議申立て及び審査請求並びにこれらに対する異議決定及び審査裁決の経緯は、別表一1ないし3記載のとおりである。 なお昭和五二年三月二五日、原告の納税地が異動し、被告が原告の所得税に関する四谷税務署長の権限を承継した。 2 しかしながら、本件各更正及びこれを前提とする本件各決定(ただし、昭和四六年分については審査裁決により、昭和四七年分、昭和四八年分については異議決定 得税に関する四谷税務署長の権限を承継した。 2 しかしながら、本件各更正及びこれを前提とする本件各決定(ただし、昭和四六年分については審査裁決により、昭和四七年分、昭和四八年分については異議決定により、いずれも一部取り消された後のもの。以下同じ。)は、以下に述べるとおり違法である。 (一) 本件各更正及び本件各決定は、違法な税務調査に基づいてされたものであるから違法である。 (1) 本件係争各年分の税務調査(以下「本件調査」という。)に際してされた質問検査権の行使は、税務調査の必要性がないのにされたものであるから、申告納税制度の趣旨を没却するもので違法である。 (2) 所得税法(以下「法」という。)二三四条は、税務調査の対象とされた納税者が質問検査に応じこれに協力するか否かをその自由な選択にゆだねる制度を採用し、質問検査権行使にあたり納税者が正しい選択をしうるに足るだけの理由を開示することを適法要件としていると解すべきであり、被調査者は調査理由の開示がない場合にはその調査を拒みうるところ、本件調査に際してされた質問検査権の行使は、原告に対する調査理由、必要性の具体的告知をせずにされたものであるから、違法である。 (3) 本件調査においては、原告の取引先に対し法二三四条一項三号のいわゆる反面調査を行つているが、反面調査により納税者は取引先の信用を損い営業に重大な支障が生じるおそれが十分にあるから、反面調査は同項一号の納税者に対する質問検査権行使等による調査だけでは課税標準、税額等の内容を捕捉できないことが明らかな場合に限り許されると解すべきである。本件では原告の調査の理由を開示するように、調査理由を明らかにすれば調査に応ずる旨の再三の申入れを全く無視して四谷税務署長所部職員(以下「所部職員」という。)は原告に対する調査を強行しようとし、 。本件では原告の調査の理由を開示するように、調査理由を明らかにすれば調査に応ずる旨の再三の申入れを全く無視して四谷税務署長所部職員(以下「所部職員」という。)は原告に対する調査を強行しようとし、原告がこれに応じないという理由から反面調査を行つたものであり、原告に対する調査の過程で税務職員として尽くすべき義務を尽くしていないのであるから反面調査の要件を欠く違法がある。 (二) 申告納税制度のもとでは更正処分にあたつて納税者に十分納得しうる理由を明らかにすべきであり、およそ更正通知書には青色申告の場合と白色申告の場合とを問わず更正理由を付記すべきであるにもかかわらず、本件各更正はその通知書に理由が付記されていないから違法である。 (三) 本件各更正は推計によりされているところ、次のとおり推計の必要性がないから本件各更正は違法である。 すなわち、推計課税は、納税者が税務調査に非協力である等の理由により実額計算によりえない場合に例外的に許されるものであるところ、本件においては前記のとおり原告の再三の申入れにもかかわらず調査の理由、必要性を告知することなく原告に対する調査を強行しようとした違法な質問検査権の行使があつたのであるから、原告の非協力を問題にする余地はなく、本件各更正に係る推計課税は必要性の要件を欠き違法である。 (四) 本件各更正には、原告の所得を過大に認定した違法がある。 3 よつて、本件各更正及び本件各決定はいずれも違法であるから、その各取消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2の事実について(一) (1)は争う。(2)のうち、調査理由を告知しなかつたことは否認し、その余は争う。(3)のうち、反面調査を行つたことは認めるが、その余は争う。 (二) のうち、原告に対する本件各更正に係る通知書に理 (1)は争う。(2)のうち、調査理由を告知しなかつたことは否認し、その余は争う。(3)のうち、反面調査を行つたことは認めるが、その余は争う。 (二) のうち、原告に対する本件各更正に係る通知書に理由が付記されていないことは認めるが、その余は争う。 (三) のうち、推計課税が実額計算によりえない場合に例外的に許されるものであることは認め、その余は争う。 (四) は争う。 三被告の主張 1 本件調査の適法性について(一) 調査の必要性について法二三四条一項所定の「調査について必要があるとき」とは、調査権限を有する税務職員において当該調査の目的、調査すべき事項等具体的事情にかんがみ客観的な必要性があると判断される場合をいうところ、確定申告後に行われる所得税に関する調査については、適正公平な課税目的実現という質問検査制度の目的からみて、確定申告に係る課税標準又は税額等が過少であるとの疑いが認められる場合だけでなく、広く右申告の適否すなわち真実性、正確性を調査するため必要がある場合も、右「調査について必要があるとき」に含まれると解される。 これを本件についてみるに、四谷税務署長は、原告が提出した本件係争各年分の確定申告書を検討したところ、(1)昭和四六年分の確定申告書には事業所得金額が記載されているだけで、その収入金額及び必要経費の金額が明示されていなかつたこと、(2)昭和四七年分と昭和四八年分の各申告所得金額を対比したところ、昭和四八年分の収入金額の増加の割合に比し同年分の所得金額の伸率が著しく低いと認められたこと、(3)同業者の所得率からみても、本件係争各年分の申告所得金額が過少と認められたこと及び(4)原告が昭和四五年に取得した東京都新宿区上落合の土地に係る購入資金の源泉が明らかでないこと等が判明し、これに基づいて原告を調査対象としたの 件係争各年分の申告所得金額が過少と認められたこと及び(4)原告が昭和四五年に取得した東京都新宿区上落合の土地に係る購入資金の源泉が明らかでないこと等が判明し、これに基づいて原告を調査対象としたのであるから、これらによれば右調査の必要性が存したことは明らかである。 (二) 調査理由の開示について法二三四条は質問検査権行使に際し調査の具体的理由、必要性の事前開示義務を定めておらず、他にこの義務を定めた実体法上の規定は存しないから、かかる義務があることを前提とした原告の主張は理由がない。 (三) 反面調査について(1) 法二三四条一項はその調査の順序、方法等について特に定めることなく単に一号と三号とを並列的に規定し、右調査の順序、方法等については収税官吏の裁量に委ねていると解すべきであるから、反面調査は納税者に対する調査により目的を達しえないことが明らかになつた場合に限り許されると解すべきではない。 (2) 本件調査の経緯に照らせば、所部職貝の本件調査は社会通念上相当な調査であり、適法な調査であることが明らかであるから、反面調査を行いうる客観的要件を欠いた違法はない。すなわち、所部職員Aは、昭和四九年七月一二日原告事業所へ最初の臨場をしたが、原告が不在であつたため、同月一六日原告に本件係争各年分の所得税の調査のため申告所得金額の計算の基礎となつた関係書類を確認したい旨電話連絡したところ、原告は後日都合のよい日を連絡する旨約束した。Aは、原告の指定した同月二六日原告事業所へ臨場し、原告が取り揃えておくことを約していた前記関係書類を提示するよう求めたが、原告はこれに応じないのみならず、右事業所に待機していた新宿民主商工会(以下「民商」という。)事務局員B及びC並びに同会員らに対するAの退去要請を無視する態度をとつたため、調査に入れなかつた。次 が、原告はこれに応じないのみならず、右事業所に待機していた新宿民主商工会(以下「民商」という。)事務局員B及びC並びに同会員らに対するAの退去要請を無視する態度をとつたため、調査に入れなかつた。次いでAは、同年八月一日原告事業所に臨場し、第三者の立会を排除して調査に応じ帳簿書類等を提示するよう求め、さらに同月一四日には原告に対し売上金額に比較して所得金額が少ない旨説明し調査に応ずるよう要請し、その後一〇月三〇日までの間七回にわたり原告に調査に協力するよう電話連絡したが、原告は、その都度調査の具体的理由の開示と民商事務局員及び同会員の調査立会を要求するだけで、Aの要請に応じなかつた。Aは、同月三〇日所部職員D調査官を同行のうえ、原告事業所へ臨場したところ、まもなく前記事務局員らが来場し調査に立会したが、Aらは、原告に対し事業の形態及び帳簿組織等につき質問し、原告から原告の事業は活版印刷であること、帳簿としては売掛帳を記帳していること、申告の基礎は領収書や請求書の控から計算したこと及び申告所得金額の計算中手形取引関係のものは決済日を収入日として売上計上していたのを計上し直し修正申告書を提出する予定であること等の回答を得るとともに、右修正申告書提出時まで調査を控えて欲しい旨の申し出を受けたので、これを了承した。原告が本件係争各年分の修正申告書を提出した後、Aらは、同年一一月一三及び同月二〇日原告事業所へ臨場し帳簿書類の提示と調査への協力を要請したが、原告は調査の具体的理由の開示あるいは民商事務局員らの立会を要求するだけで、Aらの要請を拒否した。 その後Aらは、原告から調査日時を同年一二月四日午前一〇時から同一二時まで指定する旨の連絡を受け右指定時刻ころ原告事業所へ臨場し、その際はじめて原告が提示した本件係争各年分の売掛帳及び売上に関する請求 の後Aらは、原告から調査日時を同年一二月四日午前一〇時から同一二時まで指定する旨の連絡を受け右指定時刻ころ原告事業所へ臨場し、その際はじめて原告が提示した本件係争各年分の売掛帳及び売上に関する請求書控を検討したが、調査時間が限定されていたため昭和四八年分の右書類だけしか検討できなかつた。そこで原告に対し後日検討未了の書類及び本件係争各年分の仕入・経費に関する帳簿書類等を提示するよう要請したところ、原告は売上に関する書類だけを見せ、後はその週のうちに連絡する旨申し立てた。なお、Bは、右調査の際立会し、Aらの退去要請を無視して終始調査に同席していた。 Aは、約束の週がすぎても原告から何の連絡もなかつたので同年一二月から翌五〇年一月末ころまでの約二か月間原告に数回電話照会したが、原告は忙しいと述べるだけで調査に応ずる気配を示さなかつたことから、本件調査に関し原告から協力を得ることはこれ以上無理であると判断し、やむを得ず反面調査に着手することとし、同年二月八日原告の取引先の一つである大東京信用組合本店を調査した。また、Aらは、同月一四日原告事業所へ臨場したところ、原告らから反面調査を行つたことにつき激しく抗議を受けた。その際原告の妻が昭和四六年分、昭和四七年分の売掛帳及び売上に関する請求書控の提示をしたので、右各年分の売上につき検討できたが、他方、本件係争各年分の仕入・経費に関する帳簿書類等の提出要請につき原告らがこれを拒否したため、右仕入・経費の検討はできなかつた。さらに、Aらは、その後原告が代理人に選任した税理士Eに対し再三にわたり電話連絡し調査の協力を求めたが、同人はこれに応じなかつた。また、所部職員F調査官は、原告の昭和四七年分及び昭和四八年分所得税の調査のため、昭和五〇年八月二一日原告事業所へ臨場し原告に右各年分の支払金額等に係る帳 の協力を求めたが、同人はこれに応じなかつた。また、所部職員F調査官は、原告の昭和四七年分及び昭和四八年分所得税の調査のため、昭和五〇年八月二一日原告事業所へ臨場し原告に右各年分の支払金額等に係る帳簿書類等の提示を求めたが、原告は従前同様これを拒否した。 以上のように原告はAらが調査の理由を告げたうえで調査に応ずるよう要請したにもかかわらず、これに応じなかつたため、Aらにおいて原告からその所得金額算定の資料を得ることが困難であると判断して反面調査を行つたものであり、本件調査は社会通念上相当な調査であつた。 2 更正通知書の理由付記について原告は、いわゆる白色申告者であるところ、白色申告について更正をする場合には、更正通知書に更正の理由を付記しなければならないとの法令の定めはないのであるから、更正通知書に理由の付記を要しない。 3 課税根拠について(一) 原告の本件係争各年分の事業所得の金額及びその算定根拠は、別表二1ないし3記載のとおりである。 (二) 原告の本件係争各年分の売上原価、人件費、外注費及び一般的な経費の合計額(以下「売上原価等」という。)は、推計の方法で算出したものであるが、右推計の必要性と合理性は次のとおりである。 (1) 推計の必要性四谷税務署長及び被告が本件各更正時及び本訴において原告の本件係争各年分の所得金額を推計の方法によつて算出したのは、前記のとおり、所部職員の原告に対する再三の調査協力及び諸帳簿の提出要請にもかかわらず、原告は所得金額の計算の基礎となつた収入金額に関する帳簿書類だけしか提示しない等終始調査に非協力であつたため、原告の所得金額を実額で算出することができなかつたためである。 原告は、本件調査に際し調査の理由、必要性を告知しなかつたため調査に協力しなかつたのであるから推計の必要性を欠く旨主張するが、 あつたため、原告の所得金額を実額で算出することができなかつたためである。 原告は、本件調査に際し調査の理由、必要性を告知しなかつたため調査に協力しなかつたのであるから推計の必要性を欠く旨主張するが、1(二)で述べたとおり、質問検査権の行使に際し調査の具体的理由、必要性を告知すべき義務はないのであるから、右告知がなかつたことをもつて調査に協力しなかつたことを是認しうるものではない。 (2) 推計の合理性推計の方法としては、同業者比率法を採用した。すなわち、推計の資料として抽出すべきものとした同業者は、原告の事業所が所在した四谷税務署管内並びにその近隣署の淀橋税務署、小石川税務署及び本郷税務署各管内の納税者のうち、原告と同種同規模の納税者として、次の要件をすべて充足する者全員である。 (1) 印刷業(活版印刷業であることが青色申告決算書又は所得調査実績等から明らかなものに限る。)を営む個人事業者で、本件係争各年分につき所得税の青色申告書を提出している者(2) 売上金額が次の要件をみたす者昭和四六年分については、売上金額一〇〇〇万円以上四一〇〇万円以下昭和四七年分については、同一一〇〇万円以上四七〇〇万円以下昭和四八年分については、同一六〇〇万円以上六五〇〇万円以下(3) 暦年事業を継続し、印刷機を所有し、かつ、材料仕入のある者で、外注費及び人件費(青色事業専従者給与を含む。)の両者又はそのいずれかの支払いがある者抽出した同業者の売上金額のうちに売上原価等の金額の占める割合(以下「必要経費率」という。)及びこの同業者の妻に対する青色専従者の給与額を別表三1ないし3のとおり算出し、原告の本件係争各年分の売上金額に右必要経費率の平均値を乗じたものから同業者の妻に対する青色専従者平均給与額を控除して別表四のとおり右売上原価等を算出したものであ を別表三1ないし3のとおり算出し、原告の本件係争各年分の売上金額に右必要経費率の平均値を乗じたものから同業者の妻に対する青色専従者平均給与額を控除して別表四のとおり右売上原価等を算出したものである。 なお、同業者の妻に対する青色専従者平均給与額を控除したのは、原告が青色申告者でないからである。 以上のとおり、原告の同業者として抽出された者は、業種、業態、事業規模及び立地条件において原告と類似していてしかも申告の正確性について裏付けを有する青色申告者であり、右同業者の必要経費率の平均値等には正確性と普遍性とが担保されているから、被告のした推計には合理性がある。 4 本件各更正及び本件各決定の適法性原告の本件係争各年分の事業所得金額は、前記のとおり昭和四六年分四四三万二四〇〇円、昭和四七年分四七二万七一一円及び昭和四八年分五六六万二三七〇円であつて、本件各更正は、いずれも右金額の範囲内であるから適法であり、これを前提としてされた本件各決定も適法である。 四被告の主張に対する認否 1 被告の主張1の事実について(一) のうち、原告を調査対象とした理由は不知、その余は争う。 (二) は争う。 (三) (1)は争う。(2)のうち、所部職貝の本件調査が社会通念上相当な調査であり、適法な調査であることは争い、本件調査の経緯中、Aが昭和四九年七月一二日原吉事業所へ最初の臨場をしたが原告が不在であつたため同月一六日電話連絡をし、これに対し原告は後日都合のよい日を連絡する旨約定したこと、所部職員らがその主張する日に原告事業所へ臨場したこと、その際、原告に対し民商事務局員ら第三者の立会を排除して帳簿書類等を提示するよう要請したこと、民商事務局員らが被告主張の日に調査に立会したこと、同職員らは民商事務局員らに退去要請をしたが、同事務局員らはこれを拒否したこと 務局員ら第三者の立会を排除して帳簿書類等を提示するよう要請したこと、民商事務局員らが被告主張の日に調査に立会したこと、同職員らは民商事務局員らに退去要請をしたが、同事務局員らはこれを拒否したこと、原告が調査の際、同職員らに対し調査の具体的理由の開示と民商事務局員らの調査立会を要求したこと、昭和四九年八月一四日から一〇月三〇日までの間にAから調査に応ずるよう電話で要請があつたが(ただし回数は否認する。)原告は被告主張のとおり要求して右要請に応じなかつたこと、原告は被告主張の日右職員らに対し原告の事業は活版印刷であること、帳簿としては売掛帳を記帳していること及び申告の基礎は領収書や請求書の控から検討したことの回答をしたこと、右職員らが昭和四九年一二月四日原告事業所へ臨場した際原告は、はじめて本件係争各年分の売掛帳及び売上に関する請求書控の提示をしたが、同職員らは調査時間が限定されていたので昭和四八年分の右書類しか検討できなかつたこと、そのため同職員らは原告に対し被告主張の帳簿書類等の提示を要請したので原告は被告主張のとおり回答したこと、同職員らが被告主張のとおり反面調査を行つたこと及び原告らがこれに対し抗議したこと、同職員らが、昭和五〇年二月一四日原告事業所に臨場した際、原告提出の帳簿、請求書控に基づいて原告の昭和四六年分及び昭和四七年分の売上について検討したこと、その際、同職員らの本件係争各年分の仕入・経費に関する帳簿書類の提出要請には応じなかつたこと、原告は税理士Eを代理人に選任したこと及び所部職員が昭和五〇年八月二一日原告に昭和四七年分及び昭和四八年分の支払金額等に係る帳簿書類等の提示を求めたところ原告は従前同様これを拒否したことは認めるが、その余は否認する。 2 同2の事実のうち、原告が白色申告者であることは認め、その余は争う。 び昭和四八年分の支払金額等に係る帳簿書類等の提示を求めたところ原告は従前同様これを拒否したことは認めるが、その余は否認する。 2 同2の事実のうち、原告が白色申告者であることは認め、その余は争う。 3 同3の事実について(一) の別表二1ないし3のうち、各(1)及び(4)ないし(6)はいずれも認めるが、その余は否認する。 (二) (1)は争う。(2)のうち、別表三1ないし3は不知、その余は争う。 4 同4は争う。 五原告の反論 1 被告のした推計の合理性について(一) 推計課税は本来実額課税が原則であるのに対し、実額計算を可能にする資料が把握できない場合に例外的に行われるものであり、当該具体的事案に適用し所得金額を推計する方法として最適な方法によらねばならないのであるから、推計は実額計算の不可能な範囲でのみ行われるべきことは当然である。しかるに被告がした推計方法は、売上原価、外注費、人件費及び一般経費の各科目ごとに推計するのではなくこれらを一括推計したものであり、右推計方法は、国税不服審判所長が原告提出の証拠書類等に基づき実額で認定した本件係争各年分の売上原価(別表五1ないし3の各(2))を無視し、売上原価まで推計の対象としている点で恣意的な資料選択による推計であり推計方法自体合理性を欠く。 (二) 被告が抽出の基準とした原告の同業者は、青色申告決算書の「業種名」欄に「活版印刷業」と明記した者に限定されているから、真実は活版印刷業であるにもかかかわらず、右業種名欄に印刷業と記載されている者については同業者として抽出されていないこととなる(むしろ原告のように活版印刷もオフセツト印刷も行う印刷業者は単に「印刷業」と記載するのが通常である。)。従つて、被告が抽出基準を「活版印刷業」に限定したのは業種の同一性を欠くもので、この様な標本による推 原告のように活版印刷もオフセツト印刷も行う印刷業者は単に「印刷業」と記載するのが通常である。)。従つて、被告が抽出基準を「活版印刷業」に限定したのは業種の同一性を欠くもので、この様な標本による推計には合理性がない。 (三) 原告は、活版印刷を行うのに必要な備付設備が少なく、活版印刷のみでなくオフセツト印刷に係る印刷も受注し、また、いずれの受注についても顧客から直接注文を受け製品として納品する直請が大部分であることから仕入・外注費が多額に昇り、経費率が高いのに、被告の抽出した同業者については、保有機械の種類、台数、受注印刷物印刷方法、受注態様、外注依存等が明らかでなく、従つて、原告と同業者との業態の同一性が明らかでないから、この様な標本による推計には合理性がない。 (四) 被告の抽出した各同業者の売上原価等の必要経費率は別表三1ないし3記載のとおり右同業者間の較差が著しいから、かかる平均値を用いて原告の売上原価等を推計することには合理性がない。 2 原告の本件係争各年分の所得金額は次のとおりである。 すなわち、別表五1ないし3記載のとおり売上関係帳簿書類により実額を把握できる売上原価、特別経費に売上原価を除くその余の外注費、人件費及び一般経費につき被告が国税不服審判所長に主張したところの本件係争各年分に係る同業者の外注費及び人件費を一括した同業者率並びに一般経費の同業者率を原告の本件係争各年分の売上金額に乗じて右外注費及び人件費並びに一般経費を各々推計して算出すると(ただし昭和四六年分の人件費及び外注費の合計額の売上金額に占める同業者率は低きに失しありえない率が主張されているので昭和四七年分の同業者率を適用。)、その所得金額は、昭和四六年分二一四万一〇五四円、昭和四七年分一八万七〇五円、昭和四八年分八一万六二三二円となる。従つて、本件各更 しありえない率が主張されているので昭和四七年分の同業者率を適用。)、その所得金額は、昭和四六年分二一四万一〇五四円、昭和四七年分一八万七〇五円、昭和四八年分八一万六二三二円となる。従つて、本件各更正のうち右各所得金額と修正申告に係る各所得金額とのうち大なる方の額を超える部分は原告の所得を過大に認定した違法がある。 六原告の反論に対する認否 1 原告の反論1の事実について(一) は争う。原告提出の明細表は、原告の主張を記載したものにすぎず、その証拠価値は極めて低い。 (二) ないし(四)は争う。 2 同2の事実のうち、被告が国税不服審判所長に主張した本件係争各年分に係る同業者の外注費及び人件費を一括した同業者率並びに一般経費の同業者率の各数値、別表五1ないし3の各(1)、(6)のAは認めるが、同(6)のBは不知、その余は争う。 七被告の反論 1 (一)原告の反論1(一)に対し被告が、売上金額と相関関係にあると認められるすべての経費科目を売上原価等として一括推計したのは、原告の同業者がすべて各経費科目について統一的会計処理をしているとは認められないことから、各経費科目ごとに経費の額を推計しても異なつた性格の経費が混在し、右推計によつて得られた数値はかえつて実額から遊離する結果となるため、これを一括して売上原価等として推計したものである。従つて、かかる推計方法は合理性を有する。すなわち、一般に、事業を営む青色申告者が、納税申告に係る決算書を作成するに当たつての費用記載方については、税務署から交付された青色申告決算書の所定の様に従い、売上原価及びその他の経費について各科目ごとに、その費用の額を掲記することになつており、印刷業等の製造業を営む者の製造費用の記載方については、原則的には、右決算書所定の「製造原価の計算」欄により製造原価の計算を の他の経費について各科目ごとに、その費用の額を掲記することになつており、印刷業等の製造業を営む者の製造費用の記載方については、原則的には、右決算書所定の「製造原価の計算」欄により製造原価の計算を行つた上その額を損益計算書の「売上原価」欄に一括記載することとなつているところ、実際上は、製造原価の計算そのものを行わない者もいるし、これを行つている者でも、売上原価の計算方法及び決算書記載方について、個々の納税者の間に画一することがないというのが実情である。印刷業という業種内容からみた場合における売上原価を構成する材料費についても通常、「用紙」及び「印刷用インク」等の取得費を計上することとなるところ、右「印刷用インク」については、印刷工程において消耗すること等から、これを「売上原価」とはせずに経費科目の一つである「消耗品費」として当該所定の欄に記載する者もいるのである。また、被告において原告の類似同業者の各人ごとに帳簿書類等を調査確認し、その売上原価、一般経費及び人件費等に係る各科目ごとの正確な数額を算定することは理論上可能としても、本訴提起当時既に本件係争各年から五年ないし七年を経過し、右帳簿書類の保存年限との関係から、右調査確認は事実上不可能であつた。 (二) 同1(二)に対し被告は、原告と同業種の「活版印刷業」を営んでいることが明らかな者に限定して抽出したのであるから、抽出された標本には原告の業種と異なる納税者は含まれていないので右抽出方法には合理性があり、また仮に、被告が抽出した同業者以外に、青色申告決算書の「業種名」欄に「印刷業」と記載している納税者の中に活版印刷業を営む者が存在するとしても、これを調査することは極めて困難であり、そのことだけを理由に被告がした推計方法が不合理であるとはいえない。 (三) 同1(三)に対し原告の指 ている納税者の中に活版印刷業を営む者が存在するとしても、これを調査することは極めて困難であり、そのことだけを理由に被告がした推計方法が不合理であるとはいえない。 (三) 同1(三)に対し原告の指摘する保有機械の種類・台数等のすべての点にわたり原告と類似性を有する同業者を求めることは極めて困難であり、また原告が活版印刷を行うのに必要な備付設備が少ないなど原告主張の事情は、それ自体同業者の必要経費率の平均値等を原告に適用することを不合理ならしめるほどの特殊事情とはいえないのみならず、被告が抽出の基準とした同業者は直請の場合、下請の場合よりも経費がかさむとする「材料仕入及び外注費等の支払いがあること」を条件として抽出されたものであるから、かかる同業者は、原告と同様「直請印刷」を行つている者であることが明確に推察されるのであつて、被告が抽出した同業者と原告との間において、業種・業態の類似性は十分に確保されている。 (四) 同1(四)に対し被告が抽出した同業者の必要経費率の平均値は、別表三1ないし3記載のとおり、昭和四六年分七六・八九%、昭和四七年分七八・九八%及び昭和四八年分八二・七四%であるところ、各同業者の必要経費率は、いずれの年分についても右平均値の上下一五%以内の範囲に収まつている(昭和四七年分及び昭和四八年分においては、右範囲内に収まらない同業者が各一名存在するが、その逸脱の程度は低い。)のであるから、右必要経費率の平均値は、所得推計の基礎とするに足る客観性、普遍性を有する。 2 同2に対し原告の所得金額の算出方法には合理性がない。すなわち、1(一)のとおり、原告を含む個人経営の小規模な活版印刷を業とする者の間では、各自の経費構成に相当の違いがあることは一般的であつて各経費科目について統一的会計処理がされでいないから、右科目の一 ち、1(一)のとおり、原告を含む個人経営の小規模な活版印刷を業とする者の間では、各自の経費構成に相当の違いがあることは一般的であつて各経費科目について統一的会計処理がされでいないから、右科目の一部につき実額を主張し他の科目を同業者率を用いて推計しても、その推計によつて得られた数値が当該科目に係る経費としての金額を正確に反映するとはいえない。 第三証拠(省略)○ 理由一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。 二本件調査の適法性について 1 原告は本件調査に際しされた質問検査権の行使は調査の必要性がないのにされた違法があると主張する。 法二三四条一項にいう「調査について必要があるとき」とは、調査権限を有する税務職員において、当該調査の目的、調査すべき事項、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、相手方の事業の形態等諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合をいい、過少申告の疑いが存在する場合のみならず、そのような疑いが当初から明らかでない場合でも、申告の真実性、正確性を確認する必要がある場合も含むと解するのが相当である。 そして成立に争いのない乙第六、第八、第九号証の各一、二及び証人Aの証言によれば、四谷税務署長は昭和四六年分の確定申告書には事業所得の所得金額が記載されているのみで、収入金額及び必要経費が明示されておらず、その計算根拠が明確でなかつたこと、昭和四七年分に比し昭和四八年分の収入金額が相当増加しているのに所得金額の伸び率が低いこと、印刷業を営む同業者に比し所得率が低いと認められたこと、昭和四五年に新宿区上落合に土地を取得しているが購入資金の源泉が明らかでないこと、という理由から所部職員に原告の調査を命じた事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。してみると、本件調査の必要のあつたことは明らかで 合に土地を取得しているが購入資金の源泉が明らかでないこと、という理由から所部職員に原告の調査を命じた事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。してみると、本件調査の必要のあつたことは明らかであるから原告の右主張は理由がない。 2 原告は、本件調査に際し調査理由、必要性の具体的告知がないから違法であると主張する。 しかし、法二三四条は質問検査権の行使に際し調査の具体的理由、必要性を事前に告知すべきことを要件とはしておらず、他にこの点を義務づける規定は存しないから、原告の右主張は理由がない。 3 原告は、反面調査は納税者に対する調査だけでは課税標準等を捕捉できないことが明らかな場合に限り許されるところ、本件では原告に対し尽くすべき調査義務を尽くしていないのであるから、原告に対する反面調査は右要件を欠く違法があると主張する。 (一) そこで、本件各更正に至る本件調査の経緯をみるに、所部職員Aらは昭和四九年七月一二日から昭和五〇年八月二一日までの間九回にわたり原告事業所に臨場し原告に本件係争各年分所得税確定申告の基礎となつた帳簿書類等の提示を求めたが、原告は、調査の具体的理由の開示と民商事務局員らの調査立会を要求し右提示要請に容易に応せず、結局本件係争各年分の売上に関する書類だけ同職員らに提示しこれを検討させたこと、民商事務局員Bらが、右職員らの退去要請を無視し右原告に対する臨場調査に立会したこと、右職員らは原告の取引先の反面調査を行い、原告らがこれに対し抗議したこと及び原告は税理士Eを代理人に選任したことは当事者間に争いがなく、右当事者間に争いがない事実と証人A、同F、同G及び同B(第一回)の各証言並びに原告本人尋問の結果(ただし、証人G、同B(第一回)の各証言及び原告本人尋問の結果のうち後記採用しない分を除く。)によれば、次の事実を認 ない事実と証人A、同F、同G及び同B(第一回)の各証言並びに原告本人尋問の結果(ただし、証人G、同B(第一回)の各証言及び原告本人尋問の結果のうち後記採用しない分を除く。)によれば、次の事実を認めることができる。すなわち、所部職員Aは、前認定のとおり原告に対し税務調査の必要が認められたため昭和四九年七月一二日原告事業所へ最初の臨場をしたが原告は不在であつた(右臨場、不在の事実は当事者間に争いがない。)。その後同月二六日原告事業所へ臨場したところ、右事業所には原告から依頼を受けた民商事務局員Bら三名が待機し、調査に立会しようとした。Aは原告に右事務局員らの退去要請をしたが、原告はこれを無視し、また、申告所得金額の計算の基礎となつた関係書類の提示要請にも応じなかつたので実質調査に入れなかつた。Aは、同年八月一日再び原告事業所へ臨場し、原告に前記調査理由のうち土地の購入資金の点を除くその余を告げて第三者の立会を排除して調査に応じ帳簿書類等を提示するよう求めたが、原告は、具体的調査理由の開示を要求するだけで、右要請には応じなかつた。その後Aは、同月一四日から同年一〇月二一日までの間数回にわたり原告に電話連絡し、調査の協力方を要請したが、原告は具体的調査理由の開示と民商事務局員らの調査立会を要求するなどして右要請を拒否した。Aは、さらに同年一〇月三〇日原告事業所へ臨場し原告から原告の事業は活版印刷業であること、売掛帳を記載していること(右回答の事実は当事者間に争いがない。)、修正申告書を提出する予定であること等の回答を得るとともに、原告の要請により修正申告書提出時まで調査を控えることを了承した。Aらは、原告の本件係争各年分の修正申告を経た後同年一一月一三日及び同月二〇日原告事業所へ臨場し原告に帳簿書類の提示要請をしたが、原告は県体的調査 理由 正申告書提出時まで調査を控えることを了承した。Aらは、原告の本件係争各年分の修正申告を経た後同年一一月一三日及び同月二〇日原告事業所へ臨場し原告に帳簿書類の提示要請をしたが、原告は県体的調査理由の開示又は民商事務局員らの調査立会を要求するだけで、Aらの要請を拒否した。その後原告は、同年一二月四日本件係争各年分の売掛帳及び売上に関する請求書控を提示したが、その余の仕入・経費に関する帳簿については、再三の電話照会にもかかわらず、原告は忙しいとか立会を認めてくれ、あるいは調査を受けることは納得できないなどと述べて調査に応ずる気配を見せなかつた。そこでAは本件調査に関し原告からこれ以上の協力を得ることは困難と判断し、昭和五〇年一月二八日から原告の取引先金融機関の反面調査を開始した。さらに、Aらは、その後原告代理人に選任された税理士Eに対しても再三にわたり調査に協力するよう電話連絡したが、同人は忙しいとの理由でこれに応じなかつた。また、所部職員F調査官は、原告の昭和四七年分及び昭和四八年分所得税の調査のため昭和五〇年八月二一日原告事業所へ臨場し、原告に右各年分の支払金額等に係る帳簿書類等の提示を求めたが、原告は従前同様右要請を拒否した。そこで、四谷税務署長は、本件調査によつて知り得た事実に基づいて本件各更正をした。 以上の各事実が認められ、右認定に反する甲第一号証の一の記載の一部、証人G、同B(第一回)の各証言及び原告本人尋問の結果の一部は前掲証拠に照らし採用し難く、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 (二) ところで、法二三四条一項三号は反面調査について規定するが、その調査の順序、方法について特に規定するところはなく、税務署長の裁量に委ねられていると解するのが相当である。従つて、原告主張のように納税者に対する調査により目的を達すること 査について規定するが、その調査の順序、方法について特に規定するところはなく、税務署長の裁量に委ねられていると解するのが相当である。従つて、原告主張のように納税者に対する調査により目的を達することができない場合に限り補充的にのみ反面調査が許されると解すべき根拠はない。 のみならず、前認定のとおり原告は所部職員の再三にわたる要請にもかかわらず、具体的調査理由の開示と民商会員の立会という独自の見解に基づき帳簿書類のうち仕入・経費に関する書類の提示を拒んでいたのであるから、所部職員が原告からその所得金額を算定するための資料を得ることが困難であり、反面調査によりその資料を収集せざるをえないと判断したことは相当であつて、その調査の方法に非難すべきいわれはない。原告の右主張も理由がない。 三更正通知書の理由付記について原告は、本件各更正にかかる通知書に理由が付記されていないから違法である旨主張する。 しかしながら、原告がいわゆる白色申告者であることは当事者間に争いがないところ、白色申告者に対し更正する場合、その更正通知書に理由を付記すべきことは法律上要求されていないから、原告の右主張は理由がない。 四本件課税根拠について 1 原告は、本件各更正は推計の必要性を欠く違法がある旨主張する。 しかしながら、前記認定のとおり所部職員の原告に対する再三の調査協力及び諸帳簿の提出要請に対し原告は本件係争各年分の売上に関する帳簿書類だけしか提示しない等本件調査に対し非協力的な態度をとつたことに照らすと、四谷税務署長において原告の本件係争各年分の所得金額を実額により算出することは不可能であつたというべきであるから、推計によつて所得金額を算出し本件各更正をしたことに違法はない。 これに対し原告は、四谷税務署長が本件税務調査の際具体的調査理由及び必要性を告知しなかつ ることは不可能であつたというべきであるから、推計によつて所得金額を算出し本件各更正をしたことに違法はない。 これに対し原告は、四谷税務署長が本件税務調査の際具体的調査理由及び必要性を告知しなかつたため調査に協力しなかつたのであるから原告の本件係争各年分の所得を推計する必要性を欠く旨主張する。 しかしながら、右主張が理由のないことは既に説示のとおりであるから、原告の右主張は採用できない。 2 原告の本件係争各年分の売上金額、支払利息・割引料、支払家賃及び権利金等償却額(別表二1ないし3の各(1)及び(4)ないし(6))は当事者間に争いがないから、以下本件係争各年分のその余の経費及び本件係争各年分の算出所得金額につき検討する。 (一) 本訴において被告は、原告の本件係争各年分の売上原価、人件費、外注費及び一般的経費の合計額を一括して「売上原価等」とし、これに同業者比率を用いて推計する方法を主張する。 これに対し原告は、右推計方法は国税不服審判所長が証拠書類に基づき実額で認定した本件係争各年分の売上原価(別表五1ないし3の各(2))まで推計の対象としている点で恣意的な資料選択に基づく推計で推計方法自体合理性を欠くと主張する。 そこで、まず、原告の主張する本件係争各年分の売上原価を実額で把握できるかどうかにつき検討するに、原告主張の昭和四六年分の売上原価については、その提出する仕入掛(現金)表(写)(甲第二七号)は成立の立証がないのみならず、原始記録との対応関係も不明であつて採用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。しかし、成立に争いのない甲第一八号証、証人B(第二回)の証言によつて真正に成立したものと認められる甲第一五号証、第一六号証及び同証言並びに原告本人尋問の結果によれば、原告は、本件審査請求の際昭和四七年分及び昭和四八年分の売上 八号証、証人B(第二回)の証言によつて真正に成立したものと認められる甲第一五号証、第一六号証及び同証言並びに原告本人尋問の結果によれば、原告は、本件審査請求の際昭和四七年分及び昭和四八年分の売上原価の実額立証のため国税不服審判所長に対し右各年分の得意先別・月別仕入先明細表(甲第一五及び第一六号証はその控)、請求書及び領収書並びに預金関係の証拠書類を提出し、これらに基づき同所長は本件審査裁決において別表五2及び3の各(2)記載額を原告の昭和四七年分及び昭和四八年分の売上原価の実額と認定した事実が認められる。 被告は、前掲甲第一五及び第一六号証は原告の主張事実を記載したものにすぎず証拠価値が低い旨主張するが、前認定のとおり国税不服審判所長が原始記録と対照しているのであるから、本訴に原始記録の提出がないからといつて、特段の事由のない限りこれを排斥することは困難である。従つて、右認定事実によれば、別表五2及び3の各(2)記載のとおり原告の昭和四七年分売上原価の実額は七八五万七五〇九円、同四八年分の実額は一〇一八万五七二三円であると認められる。 ところで、成立に争いのない乙第五号証、証人H、同I、同Jの各証言及び弁論の全趣旨を合わせると、事業を営む青色申告者は、その申告に際し売上原価及びその他の経費の額を各科目ごとに掲記した所定の青色申告決算書を提出するのであるが、製造業を営む青色申告者の右売上原価の記載方は、原則として所定の「製造原価の計算」欄に原材料費、労務費及び外注工賃、水道光熱費、減価償却費等のその他の製造経費の合計額(これを「製造原価」という。)を算出し右製造原価と期首期末の商品たな卸高を記載する方法によるが、必ずしも比準同業者が統一的に「製造原価の計算」をしているとは限らないこと、右決算書中一般経費科目にも水道光熱費、減価償却費等が )を算出し右製造原価と期首期末の商品たな卸高を記載する方法によるが、必ずしも比準同業者が統一的に「製造原価の計算」をしているとは限らないこと、右決算書中一般経費科目にも水道光熱費、減価償却費等があり、外注費についても一般経費欄に記載される場合もあることが認められ、また、証人Gの証言によれば、原告においては紙代、インク代の仕入の外に製版代等の外注費を含めて売上原価としている事実が認められ、小規模な活版印刷業者においては各自の経費構成に相当の違いがあり、売上原価の計算方法及び決算書の記載方につき必ずしも統一的な処理がされているとはいえないことはみやすいところである。そうだとすれば、原告の昭和四七年分、昭和四八年分の売上原価が実額で認められるとしても、他の経費科目については結局推計計算によらざるをえないから、原告の同業者がすべての経費科目について統一的な会計処理をしていることが認められない以上、必要経費のうち売上金額と相関関係にあるすべての必要経費を一括して推計する方法には合理性があり、原告主張の推計方法がより実額に近似するとはいえない。従つて、被告の推計の方法に原告主張の違法はない。 (二) 次に被告のした推計の内容の合理性につき検討する。 前掲乙第五号証、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第一ないし第四号証の各一、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一〇号証の一ないし四、証人Hの証言により真正に成立したものと認められる乙第一号証の二ないし四、同Iの証言により真正に成立したものと認められる乙第二号証の二ないし四、同Jの証言により真正に成立したものと認められる乙第三号証の二ないし四及び同Kの証言により真正に成立したものと認められる乙第四号証の二ないし四並びに右各証人の証 のと認められる乙第二号証の二ないし四、同Jの証言により真正に成立したものと認められる乙第三号証の二ないし四及び同Kの証言により真正に成立したものと認められる乙第四号証の二ないし四並びに右各証人の証言によれば、次の事実が認められる。すなわち、東京国税局長は、昭和五三年九月二六日付で原告の事業所が本件係争各年分当時その管轄区域内に所在した四谷税務署長、及びこれに隣接する淀橋税務署長、被告及び本郷税務署長に対し、それぞれの税務署管内で印刷業(活版印刷業であることが青色申告決算書又は所得調査実績等から明らかなものに限る。)を営む個人の青色申告書提出者で、本件係争各年分につき、(1)年間を通じて事業を継続している者、(2)印刷機を所有し、かつ、材料仕入(青色申告決算書に売上原価の記載のあるものに限る。)のある者で、外注費及び人件費(青色事業専従者の給与を含む。)の両者又はそのいずれかの支払いがある者、(3)売上金額が、昭和四六年分は一〇〇〇万円以上四一〇〇万円以下、昭和四七年分は一一〇〇万円以上四七〇〇万円以下、昭和四八年分は一六〇〇万円以上六五〇〇万円以下である者、以上の各要件をすべて充足する者全員(ただし、更正又は決定処分したもので、国税通則法又は行政事件訴訟法の規定による不服申立期間又は出訴期間の経過していないもの及び当該処分に対し不服申立てがされ又は訴えが提起されて現在審理中のものを除く。)を調査対象として抽出し、売上金額、売上原価等(ただし、青色申告決算書の「売上原価」、「経費」及び「専従者給与」欄の合計額をいう。)及び妻の青色事業専従者給与の額等を調査のうえ、これらを個人事業経営者の課税事績報告書に記入し、報告するよう通達した。これを受けて前記各税務署の担当職員は、前記要件を充足する印刷業者全員を抽出した(業種については右決算書の 与の額等を調査のうえ、これらを個人事業経営者の課税事績報告書に記入し、報告するよう通達した。これを受けて前記各税務署の担当職員は、前記要件を充足する印刷業者全員を抽出した(業種については右決算書の「業種名」欄に「活版印刷業」と記載しているものを抽出した。)ところ、その調査結果は、別表三1ないし3記載のとおりであつた。 以上の各事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 そして、被告は、前記調査結果に基づき本件係争各年分の必要経費率の平均値及び同業者の妻に対する青色専従者平均給与額を求め、原告の本件係争各年分の売上金額に右必要経費率の各平均値を乗じたものから右各平均給与額を控除し、別表四のとおり原告の本件係争各年分の売上原価等を算出した(なお、右のうち同業者の妻に対する青色専従者平均給与額を控除したのは、原告が青色申告者でないことによる。)。 ところで、原告本人尋問の結果によると、原告は主として活版印刷を行う印刷業者で(原告が印刷業者であることは当事者間に争いがない。 )本件係争各年分当時活版印刷機二台及び「テキン」と称する印刷機械一台を所有していたことが認められ、他にこれを覆すに足りる証拠はないから、前記認定事実と対比すれば、前記各税務署管内で抽出された同業者は、原告と同様印刷機を所有し活版印刷業を暦年通じて営む個人事業者であり、かつ、原告の売上金額の概ね二分の一から二倍までの範囲内にある者であるから、業種、業態、事業場所、収入金額の点において原告と類似する同業者というべきであり、しかも、抽出された同業者はいずれも帳簿書類の完備している青色申告者で、その申告は各税務署長によつて是認されているものであることに照らすと、資料の正確性も担保されているというべきである。そして、前記認定のとおり被告は前記各要件を充足する者全員を機械 いる青色申告者で、その申告は各税務署長によつて是認されているものであることに照らすと、資料の正確性も担保されているというべきである。そして、前記認定のとおり被告は前記各要件を充足する者全員を機械的に抽出しているから、抽出過程に恣意が介在するおそれもなく、さらに比率同業者の数(昭和四六年分一〇名、昭和四七年分一二名、昭和四八年分六名)も一応資料の客観性を与えるに足りるものであるから、抽出同業者の必要経費率の平均値は個々の業者の個別的具体的事情を捨象した客観性と普遍性を有するものといえる。 これに対し原告は、被告は青色申告決算書の「業種名」欄に「活版印刷業」と記載した業者のみを抽出しているが、これでは真実は活版印刷業であるにもかかわらず右決算書の「業種名」欄に「印刷業」と記載されている者が抽出されないから右のような抽出は不正確で合理性を欠く旨主張する。 しかしながら、被告のした抽出方法によると活版印刷業者と異なる業種は含まれていないのであるし、また仮に前記決算書の「業種名」欄に「印刷業」と記載している者の中に活版印刷業者が存在するとしても、かかる者を抽出しないからといつて前記基準によつて抽出された同業者と原告との間の業種の類似性は阻害されるものでないから、原告の右主張は採用できない。 また原告は、活版印刷に必要な備付設備が少なく、活版印刷のみならずオフセツト印刷に係る印刷も受注し、いずれの受注についても顧客から直接注文を受け製品として納品する直請が大部分であつて仕入・外注費が多額に昇り経費率が高いという事情があるが、被告の抽出基準では保有機械の種類・台数等が不明で原告と抽出同業者との業態の類似性が明らかでないから、この推計は合理性を欠く旨主張する。 しかしながら、前記のとおり比率同業者は「材料仕入及び外注費等の支払いがあること」を条件として ・台数等が不明で原告と抽出同業者との業態の類似性が明らかでないから、この推計は合理性を欠く旨主張する。 しかしながら、前記のとおり比率同業者は「材料仕入及び外注費等の支払いがあること」を条件として抽出されており、比率同業者に原告と同様直請印刷を行つている者が含まれていることは明らかであるから、業態の類似性は配慮されているというべきである。また、原告の主張する保有機械の種類、台数、受注印刷物印刷方法、受注態様、外注依存率等のすべてにわたり原告と類似性を有する同業者を求めることは困難であつて、求めえてもごく限られた数となり、これを基礎とする推計はかえつて普遍性を欠くこととなることはみやすい道理である。 次に原告は、被告の抽出した各同業者の売上原価等の必要経費率につき右同業者間の較差が著しいから、かかる平均値を用いて原告の売上原価等を推計することには合理性がない旨主張する。 しかしながら、比率同業者の必要経費率及びその平均値は別表三1ないし3記載のとおり昭和四六年分が七六・八九%、昭和四七年分が七八・九八%、昭和四八年分が八二・七四%であり、各同業者の必要経費率は、いずれの年分についても右平均値の上下ほぼ一八%以内の範囲に収まつており、かかる程度の偏差は右平均値の中に包摂されるものと解されるから、原告の右主張は採用できない。 (三) (1)原告は、別表五1ないし3記載のとおり売上原価を除く外注費、人件費の合計額及び一般経費をそれぞれ推計し原告の本件係争各年分の所得金額を主張する。 しかしながら、右主張が採用しえないことは先に説示したとおりである。のみならず、原告主張の昭和四七年分及び昭和四八年分の各所得金額(別表五2及び3の各(7))と右各年分の修正申告にかかる各所得金額(別表一2及び3の各符号2)とを対比すると前者は後者に比しいずれも著しく低 ず、原告主張の昭和四七年分及び昭和四八年分の各所得金額(別表五2及び3の各(7))と右各年分の修正申告にかかる各所得金額(別表一2及び3の各符号2)とを対比すると前者は後者に比しいずれも著しく低く、しかも、前掲甲第一八号証、証人Gの証言及び原告本人尋問の結果により認めうる原告は本件審査請求時前記修正申告にかかる各所得金額を所得実額として主張していた経過に照らしても、原告主張にかかる各所得金額は実態にそわないものというべきであり、実額に近似したものであるとはとうていいいえない。よつて、原告の右主張は採用できない。 (2) 原告は、本件係争各年分の特別経費として別表五1ないし3の各(6)B記載のとおり駐車料を支出したと主張する。 しかしながら、仮に原告主張のとおり本件係争各年分において各一二万円の駐車料の支払が認められ、これを経費として控除しうるとしても、本件係争各年分の所得金額は以上述べたところにより昭和四六年分四三一万二四〇〇円、同四七年分四六〇万〇七一一円、同四八年分五五四万二三七〇円となりいずれも本件各更正の所得金額を上廻るから、右主張はその余の点についで判断するまでもなく理由がない。 そうすると、本件各更正はいずれも所得金額の範囲内でされたものであるから、所得を過大に認定した違法はないというべきであり、本件各更正を前提としてされた本件各決定にも何ら原告主張の違法はない。 四以上の次第であるから、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官時岡泰満田明彦大鷹一郎)別表一 (省略) る。 (裁判官時岡泰満) 田明彦 大鷹一郎 別表一 (省略)
▼ クリックして全文を表示