令和6(わ)23 過失運転致死

裁判年月日・裁判所
令和6年5月29日 釧路地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-93173.txt

判決文本文1,347 文字)

主文 被告人を禁錮1年4月に処する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和5年10月18日午前11時10分頃、普通乗用自動車を運転し、釧路市ab 丁目c 番先道路をd方面からe 方面に向かい進行するに当たり、前方左右を注視し、進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、前方左右を注視せず、進路の安全を十分確認しないまま漫然時速約42キロメートルで進行した過失により、折から同道路上を右方から左方に向かい横断歩行してきたA(当時87歳)及びB(当時90歳)を前方約16.3メートルの地点に認め、急制動の措置を講じたが間に合わず、同人らに自車前部を衝突させて両名を路上に転倒させ、よって、同日午後0時26分頃、同市(住所省略)C病院において、前記Aを出血性ショックにより死亡させ、同日午後8時17分頃、同病院において、前記Bを外傷性くも膜下出血等により死亡させた。 (証拠の標目) 省略(法令の適用)罰条被害者ごとに自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文科刑上一罪の処理刑法54条1項前段、10条(各被害者に対する過失運転致死罪は、1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるが、被害者ごとに犯情が異ならないから、いずれの過失運転致死罪かを特定することなく、1罪として過失運転致死罪の刑で処断)刑種の選択禁錮刑を選択訴訟費用刑事訴訟法181条1項本文(負担) (量刑の理由)被告人は、前方左右を注視し、進路の安全を確認しながら自動車を運転するという自動車運転者としての基本的な注意義務に違反したものである。被害者らが片側1車線 (負担) (量刑の理由)被告人は、前方左右を注視し、進路の安全を確認しながら自動車を運転するという自動車運転者としての基本的な注意義務に違反したものである。被害者らが片側1車線の道路において横断歩道ではない場所を横断していたという事情はあるものの、本件現場道路の見通しは良好であり、被告人が被害者らの姿を認識する時間は十分にあったと認められ、被告人が気を緩めずに進路の安全を確認して運転していれば、本件事故は容易に回避することができたといえることを考慮すれば、被告人の過失の程度は小さいものではない。そして、本件事故により2名の尊い命が失われたのであって結果は極めて重大というほかない。突如として命を奪われた各被害者の苦痛や無念は察するに余りあり、愛する家族を失った各被害者遺族の悲しみも大きいと認められる。 以上によれば、被告人が無謀な運転に及んだものではなく、飲酒運転等の悪質な交通違反を伴うものではないことを勘案しても被告人の刑事責任は重いというべきである。そうすると、被告人が本件犯行を認めて反省の態度を示し、今後は自動車を運転しない旨述べていること、被告人が加入している保険により各被害者遺族に対して相応の金銭賠償がなされる見込みであること、前科がないことなどを考慮しても、本件で刑の執行を猶予するのは相当とは認め難く、被告人を主文の実刑に処するのはやむを得ないと判断した。 (求刑禁錮1年10月)令和6年5月29日釧路地方裁判所刑事部 裁判官井草健太

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る