主文 1(1) 被告が,別表1の番号1から22までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「代走関係請求額」欄記載の各金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 (2) 被告は,別表1の番号1から22までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「代走関係請求額」欄記載の各金員を支払うよう請求せよ。 2(1)ア被告が,別表1の番号1から12まで及び23から27までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係請求額」欄記載の各金員及びうち同表「有給職免関係不法行為認容額」欄記載の金員に対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 イ被告が,別表1の番号29,30,33及び34に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係不法行為認容額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 (2)ア被告は,別表1の番号1から12まで及び23から27までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係請求額」欄記載の各金員及びうち同表「有給職免関係不法行為認容額」欄記載の金員に対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 イ被告は,別表1の番号29,30,33及び34に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免 関係不法行為認容額」欄記載の各金員及び う請求せよ。 イ被告は,別表1の番号29,30,33及び34に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免 関係不法行為認容額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 3 原告のその余の請求(認容された主位的請求に対応する予備的請求を除く。)をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを3分し,その2を被告の負担とし,その余を原告の負担とし,被告補助参加人A28,同A31,同A32及び同A35の補助参加によって生じた費用は原告の負担とし,その余の被告補助参加人らの補助参加によって生じた費用は,これを3分し,その2を同被告補助参加人らの負担とし,その余を原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 代走関係について(1) 主位的請求ア被告が,別表1の番号1から22までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「代走関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 イ被告は,別表1の番号1から22までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「代走関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 予備的請求主文1項と同旨 2 有給職免関係について(1) 請求(番号1から12まで及び23から27までの相手方については主位的請求) ア被告が,別表1の番号1から12まで及び23から34までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記 (1) 請求(番号1から12まで及び23から27までの相手方については主位的請求) ア被告が,別表1の番号1から12まで及び23から34までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 イ被告は,別表1の番号1から12まで及び23から34までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 番号1から12まで及び23から27までの相手方についての予備的請求ア被告が,別表1の番号1から12まで及び23から27までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係請求額」欄記載の各金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 イ被告は,別表1の番号1から12まで及び23から27までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「有給職免関係請求額」欄記載の各金員を支払うよう請求せよ。 3 優遇ダイヤ関係について(1) 請求(番号1から4まで及び23の相手方については主位的請求)ア被告が,別表1の番号1から4まで,23,29,30及び35に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「優遇ダイヤ関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 人に対し,それぞれ対応する同表「優遇ダイヤ関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 イ被告は,別表1の番号1から4まで,23,29,30及び35に対応 する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「優遇ダイヤ関係請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成20年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 番号1から4まで及び23の相手方についての予備的請求ア被告が,別表1の番号1から4まで及び23に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「優遇ダイヤ関係請求額」欄記載の各金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 イ被告は,別表1の番号1から4まで及び23に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の各人に対し,それぞれ対応する同表「優遇ダイヤ関係請求額」欄記載の各金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,a市の住民である原告が,公営企業であるa市自動車運送事業において,a市営バス(以下単に「バス」という。)の運転業務に従事しており,かつ被告補助参加人であるa市交通労働組合(以下「補助参加人組合」という。)の組合員である職員らに対する給与,地域手当及び勤勉手当(以下「給与等」という。)の支払等を問題として,被告に対し,当該職員らに対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をしないことが違法であることの確認等を求めた住民訴訟である。 (1) 代走関係請求1は,原告が,平成14年度から平成19年度にかけて,a市自動車運送事業の職員でありかつ補助参加人組合の組合員 をしないことが違法であることの確認等を求めた住民訴訟である。 (1) 代走関係請求1は,原告が,平成14年度から平成19年度にかけて,a市自動車運送事業の職員でありかつ補助参加人組合の組合員である者が,勤務時間中に,労働組合のための活動(以下「組合活動」という。)を行うことを理由として,他の職員にバス乗務勤務を行わせ,代走が行われた勤務時間につい ても,組合活動を行っていた職員が勤務したこととして取り扱われ,当該職員に対し,代走が行われた勤務時間に対応する給与等が減額されることなく支給されたこと(以下,このような行為を「代走」という。)が違法であるとして(ただし,原告が問題とするのは,平成14年度及び平成15年度に行われた代走に限られる。),上記給与等の支払を受けた職員らに対し,主位的に,不法行為に基づき,上記給与等相当額(平成14年度及び平成15年度に行われた代走に対応する分。もっとも,平成16年度に支給された勤勉手当のうち,平成15年度分の代走に対応する給与等が反映された分も含まれる。)の損害賠償及び遅延損害金の請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)並びに上記の各請求をすること(4号請求)を求め,予備的に,不当利得に基づき上記給与等相当額の返還請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)及び上記請求をすること(4号請求)を求めた事案である。 (2) 有給職免関係請求2は,原告が,平成14年から平成19年にかけて,a市自動車運送事業の職員でありかつ補助参加人組合の組合員である者が,勤務時間中に組合活動を行うに当たり,職務に専念する義務の免除(以下「職務免除」という。)を受けた上,その免除を受けた期間に対応する給与等を減額することなく給与等の支給がされたこと(以下「有給職免」という。)が違法である 行うに当たり,職務に専念する義務の免除(以下「職務免除」という。)を受けた上,その免除を受けた期間に対応する給与等を減額することなく給与等の支給がされたこと(以下「有給職免」という。)が違法であるとして,上記給与等の支払を受けた職員ら,有給職免に関わった自動車運送事業の管理者(以下「管理者」という。)及びa市交通部の総務課長に対し,不法行為に基づき,上記給与等相当額の損害賠償及び遅延損害金の請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)並びに上記の各請求をすること(4号請求)を求めるとともに,上記給与等の支払を受けた職員らについては上記を主位的請求として,予備的に,不当利得に基づき上記給与等相当額の返還請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)及び上記請 求をすること(4号請求)を求めた事案である。 (3) 優遇ダイヤ関係請求3は,原告が,平成17年4月から平成19年9月にかけて,a市自動車運送事業の職員でありかつ補助参加人組合の幹部らに対し,特別のダイヤを割り当て,バスの乗務を伴わない空き時間を生じさせ,その時間に組合活動を行うことを容認し,その時間に対応する給与等を減額せずに支給したこと(以下「優遇ダイヤ」という。)が違法であるとして,上記労働組合の幹部であった職員ら,上記給与等の支払に関わった管理者及びa市交通部の企画室長に対し,不法行為に基づき,上記給与等相当額の損害賠償及び遅延損害金の請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)並びに上記の各請求をすること(4号請求)を求めるとともに,上記労働組合幹部の職員らについては上記を主位的請求として,予備的に,不当利得に基づき上記給与等相当額の返還請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)及び上記請求をすること(4号請求)を求めた事案である。 職員らについては上記を主位的請求として,予備的に,不当利得に基づき上記給与等相当額の返還請求をしないことが違法であることの確認(3号請求)及び上記請求をすること(4号請求)を求めた事案である。 なお,上記空き時間に対応する給与のうち,一部については既にa市に返還されているため,原告は,返還部分を除いた部分のみ請求するものである。 2 法令等の定め(1) 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)14条は,地方公営企業を経営する地方公共団体に,管理者の権限に属する事務を処理させるため,条例で必要な組織を設けることとされており,これを受けてa市自動車運送事業の設置等に関する条例(昭和41年a市条例第681号。乙3。)1条は,a市及びa市の周辺における交通機関を整備するため,自動車運送事業を設置すると規定している。また,同条例3条は,地方公営企業法14条の規定に基づき,管理者の権限に属する事務を処理させるため,a市交通部(以下「交通部」という。)を置くこととしており,地方公営企業法8条1項は,管理者は,地方公営企業の業務を執行し,当該業務の執 行に関し当該地方公共団体を代表すると規定している。 (2) a市自動車運送事業の職員で一般職の者に対する給与については,a市公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例(昭和41年a市条例第689号。以下「公営企業職員給与条例」という。乙8。)及びa市自動車運送事業職員給与支給規程(昭和33年a自管理規程第8号。以下「給与支給規程」という。乙10。)に規定されているほか,一般職の職員の給与に関する条例(昭和32年a市条例第357号。以下「給与条例」という。乙1。)によることとされている(給与支給規程12条)。 公営企業職員給与条例2条は,月例給与につき,正規の勤務時間による勤務に対す する条例(昭和32年a市条例第357号。以下「給与条例」という。乙1。)によることとされている(給与支給規程12条)。 公営企業職員給与条例2条は,月例給与につき,正規の勤務時間による勤務に対する報酬たる給料及び各種の手当(地域手当を含む。)で構成することを定め,給与条例10条は,給料の算定期間を月の1日から末日までとし,毎月1回その月の15日に,その月の月額の全額の給料を支給する旨定めている。 また,公営企業職員給与条例14条及び給与条例23条1項は,勤勉手当につき,毎年6月1日及び12月1日(基準日)にそれぞれ在職する職員に対し,基準日以前6か月以内の期間におけるその者の勤務成績に応じて,それぞれ基準日の属する月の市長が定める日に支給する旨定めている。勤勉手当の支給額は,給与条例23条2項の勤勉手当基礎額に,一般職の職員に支給する期末手当及び勤勉手当に関する規則(昭和60年a市規則第4号。以下「期末手当等規則」という。乙9。)11条の期間率と同規則14条の成績率を乗じて得た額とされている(給与条例23条2項,期末手当等規則10条)。 (3) 地方公務員法30条は,すべて職員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,かつ,職務の遂行に当たっては,全力を挙げてこれに専念しなければならないとして服務の根本基準につき定め,同法35条は,職員は,法律又は条例に特別の定めがある場合を除くほか,その勤務時間 及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い,当該地方公共団体がなすべき責めを有する職務にのみ従事しなければならないとして,職務専念義務について定めている。 そして,a市の職務に専念する義務の特例に関する条例(昭和26年a市条例第171号。以下「職務免除条例」という。乙7。)2条は,研修を受ける場合(1号),厚 て,職務専念義務について定めている。 そして,a市の職務に専念する義務の特例に関する条例(昭和26年a市条例第171号。以下「職務免除条例」という。乙7。)2条は,研修を受ける場合(1号),厚生に関する計画の実施に参加する場合(2号),又はこれらのほか任命権者が定める場合(3号)のいずれかに当たる場合は,職員は,あらかじめ任命権者又はその委任を受けたものの承認を得て,職務免除を受けることができる旨定めている。 なお,職務免除条例は,a市自動車運送事業の職員についても適用がある。 (4) 公営企業職員給与条例16条1項は,職員が正規の勤務日又は勤務時間中に勤務しないときは,その勤務しないことにつき管理者の承認があった場合を除くほか,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当たりの給与額をその者に支給すべき給与の額から減額する旨定めており,一般職の職員の給与に関する条例施行規則(乙2)25条は,上記規定による給与の減額は,当該減額すべき給与額を次の給与期間以降の給料及び地域手当から差し引く方法による旨定めている。また,勤勉手当についても,給与の額を減額された期間に応じて減額するものとされている(給与条例23条1項,2項,期末手当等規則10条,11条,12条2項4号)。 (5) 労働組合法7条3号は,労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し,又は交渉することを使用者が許すこと等を除き,使用者が労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることを禁止している。 (6) 本件通知について総務省自治行政局公務員部公務員課長及び総務省自治財政局公営企業課長が平成18年1月24日付けで各都道府県総務部長,各都道府県企業管理者, 各指定都市総務局長,各指定都市企業管理者及び各企業団企業長宛てに発した「労 公務員課長及び総務省自治財政局公営企業課長が平成18年1月24日付けで各都道府県総務部長,各都道府県企業管理者, 各指定都市総務局長,各指定都市企業管理者及び各企業団企業長宛てに発した「労働組合の活動に係る職務専念義務の免除等について」と題する通知(平成18年総行公第9号,総財公第8号,以下「本件通知」という。)においては,労働組合法7条3号ただし書に規定する協議又は交渉を除いた勤務時間中の組合活動については無給とすべきものであること,この点は昭和43年10月15日付けの通知(自治公一第35号行政局長通知)においても示されていること,ところが,今般実施した「労働組合に係る職務専念義務の免除等に関する調査結果」によると,一部の地方公共団体において,有給で職務専念義務を免除している事例が見受けられたが,このような団体にあっては速やかにその適正化を図られたいこと,そして,本件通知では,これを受けた市区町村担当課において,各市区町村,企業団及び一部事務組合等に対しても,通知の趣旨を周知させることを講じられたい旨記載されていた(甲2)。 3 前提となる事実(当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番号を含む。)(1) 当事者等ア原告は,a市の住民であり,a市の市議会議員である。 イ被告は,a市自動車運送事業の管理者であって,当該業務の執行に関してa市を代表する権限を有する執行機関である(地方公営企業法8条1項本文)。 交通部は,a市自動車運送事業の管理者の権限に属する事務を処理するために置かれた補助機関である(乙3)。交通部には,平成14年から平成19年当時,企画室,総務課及び運輸課が置かれており(乙5),また,交通部の所管に属する業務の一部を処理するため,b営業所 理するために置かれた補助機関である(乙3)。交通部には,平成14年から平成19年当時,企画室,総務課及び運輸課が置かれており(乙5),また,交通部の所管に属する業務の一部を処理するため,b営業所及びc営業所の二つの営業所が置かれていた(乙4)。 ウ補助参加人組合は,地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27 年法律第289号)5条に規定された労働組合であり,a市交通部において勤務する者及び組合において認めた者を構成員として組織されている(弁論の全趣旨)。 エ本件請求の相手方 別表1の番号1から22までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者(以下「本件代走関係職員」という。)及び同表の番号1から12まで及び23から27までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者(以下「本件有給職免関係職員」という。)は,いずれもa市自動車運送事業の職員であり,かつ,補助参加人組合の構成員である。 補助参加人組合には,執行委員長,副執行委員長,書記長及び書記次長の「4役」と呼ばれる最上部の幹部が置かれており,少なくとも平成12年8月から平成18年2月24日までの間,別表1の番号1から4まで及び23に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者のうち,A1は,補助参加人組合の執行委員長,A2は,補助参加人組合の執行委員長,A3は副委員長,A4は書記長,A23は書記次長の地位にそれぞれあった者である(以下,これらの者を併せて「本件組合4役」といい,本件代走関係職員,本件有給職免関係職員と併せて「本件各職員」という。)。 本件各職員は,いずれも交通部のb営業所及びc営業所において,バスの運転業務又は事務業務に従事していた。 別表1の番号28から30までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者( 。 本件各職員は,いずれも交通部のb営業所及びc営業所において,バスの運転業務又は事務業務に従事していた。 別表1の番号28から30までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者(以下「本件有給職免関係管理者」という。)及び同表の番号29及び30に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者(以下「本件優遇ダイヤ関係管理者」という。)のうち,A28は,平成14年4月から平成15年6月までの間,A29は,同年7月から平成1 9年6月までの間,A30は同年7月から同年10月までの間,管理者の地位にあった者である。 別表1の番号31から34までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者(以下「本件総務課長」という。)のうち,A31は平成14年4月から平成16年3月までの間,A32は同年4月から平成17年3月までの間,A33は同年4月から平成19年3月までの間,A34は同年4月から同年10月までの間,交通部の総務課長の地位にあった者である。 別表1の番号35に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載のA35(以下「本件企画室長」という。)は,平成16年4月から平成19年9月までの間,交通部の企画室長の地位にあった者である。 (2) 代走関係についてア平成14年及び平成15年当時の代走の取扱い平成14年及び平成15年当時,a市自動車運送事業においては,勤務予定の職員が,組合用務のため,予定どおり勤務ができないという場合に,補助参加人組合が,営業所長宛てに「代走願い」を提出し,許可が出れば,当該職員に代わり,補助参加人組合員である非番の職員が勤務するという取扱いがされていた。 この際,実際に勤務に従事した組合員は,当該勤務に対応する給与等の支払をa市より受けることはできないが,その代わりに,補助参加 補助参加人組合員である非番の職員が勤務するという取扱いがされていた。 この際,実際に勤務に従事した組合員は,当該勤務に対応する給与等の支払をa市より受けることはできないが,その代わりに,補助参加人組合から,1日当たり約1万円の乗務手当が支給されていた。 イ本件代走関係職員の行った代走と給与の支払本件代走関係職員は,平成14年から平成15年にかけて,上記アの手続に従い,代走の許可を受け,代走を行ったところ,本件代走関係職員に対しては,代走が行われた勤務時間に対応する給与が減額されることなく給与等の支給がされた。 本件代走関係職員が支払を受けた,代走が行われた勤務時間に対応する給与等の各合計は,別表1の「代走関係請求額」記載の金額となる。 (3) 有給職免関係についてア平成14年から平成19年当時のa市自動車運送事業における勤務時間中の組合活動の取扱い平成14年から平成19年当時,a市自動車運送事業においては,補助参加人組合の組合員である職員が,組合用務のために職場を離れる必要が生じた場合には,補助参加人組合が,事前に管理者宛てに当該用務の出席者氏名,日時,理由及び場所並びに当該出席者について当該日時についての職務免除の許可を求める旨が記載された「職務免除願」を提出することとされ,これに対して,専決権者である交通部総務課長による承認の決裁がされると,当該職務免除を受けた期間についても給与が支給されることを前提に,用務に従事することが認められるという運用がされていた。 イ本件有給職免関係職員の行った組合活動と給与等の支給本件有給職免関係各職員は,平成14年4月から平成19年8月にかけて,上記アの手続に従い,それぞれ組合活動に従事するため,職務免除の申請を行い,本件総務課長は,それぞれ総務課長の地位にあった 支給本件有給職免関係各職員は,平成14年4月から平成19年8月にかけて,上記アの手続に従い,それぞれ組合活動に従事するため,職務免除の申請を行い,本件総務課長は,それぞれ総務課長の地位にあった際,本件有給職免関係職員に対し,専決により職務免除を行った(以下「本件職務免除」という。)。 本件有給職免関係職員は,本件職務免除を受けた期間,a市自動車運送事業の職務に従事せず,申請したとおりの組合活動を行った。 本件有給職免関係職員に対しては,本件職務免除を受けた期間につき,本件職務免除を受けた期間に対応する給与が減額されることなく給与等の支給がされた。 ウ本件有給職免関係職員が支払を受けた,本件職務免除を受けた期間に対応する給与等並びに本件有給職免関係管理者及び本件総務課長の各在職中 に支給した上記給与等は,別表2記載のとおりであり,その各人ごとの各合計額は,別表1の「有給職免関係請求額」欄記載の金額となる。 (4) 優遇ダイヤ関係についてア平成17年から平成19年当時,交通部においては,バスの運行ダイヤを,バスの運転業務に従事する職員1人の1日の運行表に引き直した,「仕業」と呼ばれるものが作成され,職員らは,これに従い,バスの運転業務に従事していた。 仕業には,b及びcの営業所ごとに,上番(早朝の始発から昼過ぎまで勤務するもの),中休(朝と夕方に勤務し,間に休みが入るもの),下番(正午ころから夜の最終便まで勤務するもの)があり,上記3種類のうちでも,一人一人の乗務開始時刻が,数分から数十分単位でずらして仕業が設定されていた。一日の勤務時間は仕業によって細かい違いはあるが,拘束時間7時間から最大9時間,実働約7時間20分となっている(正規職員の場合)。実働時間の中には,準備時間,仕業点検時間,給油時間,洗車時間 いた。一日の勤務時間は仕業によって細かい違いはあるが,拘束時間7時間から最大9時間,実働約7時間20分となっている(正規職員の場合)。実働時間の中には,準備時間,仕業点検時間,給油時間,洗車時間,整理時間等に加え,待機時間,回送時間も含まれていた。 バスの運転業務に従事する職員については,通常,上番,中休,下番がローテーションで割り当てられることになっていたが,本件組合4役の仕業は常に上番であり,実働時間の後半に1時間から2時間の待機時間が生じていた(以下「本件待機時間」という。)。 イ本件組合4役に対しては,本件待機時間に対応する給与等が支給されたところ,後記原告の行った監査請求を受けて行われた外部監査の結果,本件待機時間において,本件組合4役が,職場離脱(直ちに就労可能な場所から離れている状態)をした時間に対応する給与の支払は違法であり,本件組合4役について,当該給与相当額の不当利得が生じているとして,不当利得を返還する義務を負う旨の報告がされた(甲1)。これを受け,本件組合4役は,当該報告により指摘された職場離脱の時間に対応する給与 相当額を返還した。 上記返還された給与相当額を除く本件組合4役に対して支払われた本件待機時間に対応する給与等並びに本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長の各在職中に支給した上記給与等は,別表3記載のとおりであり,その各人ごとの各合計額は,別表1の「優遇ダイヤ関係請求額」欄記載の金額となる。 (5) 原告の監査請求に至る経緯原告は,平成19年10月4日,代走,有給職免及び優遇ダイヤに関してされた給与等の支払は違法であるから,監査請求時から10年前までにされた当該給与等の支払についての返還を求めるなど,必要な措置を講ずることを求めて地方自治法242条1項に基づき,住民監査請求をし てされた給与等の支払は違法であるから,監査請求時から10年前までにされた当該給与等の支払についての返還を求めるなど,必要な措置を講ずることを求めて地方自治法242条1項に基づき,住民監査請求をし,同日これが受理された。 a市監査委員はこれに応じて監査を行い,同年12月27日付け監査結果(以下「本件監査結果」という。)において,不当利得の返還請求を行うなど必要な措置を講ずるよう求める原告の請求は,個別外部監査人が算定した不当利得返還請求額の限度において理由があるから,被告は,当該金員返還のために必要な措置を講ずることが求められる,また,その他の請求については理由がないから,措置の必要性が認められないと判断したが,被告は既に,当該金員全額の返還請求を行っており,既に是正の措置がとられているため,原告の請求全てについて理由がなく,更なる措置の必要性は認めないとの監査結果を出し,同年12月27日付けで当該監査結果を通知した。 (以上につき甲1)(6) 本件訴訟の提起(顕著な事実)原告は,平成20年1月25日,本件訴訟を提起した。 (7) 訴訟告知及び時効の援用(顕著な事実)ア本件請求の相手方らのうち,別表1の番号1から27までに対応する同 表「請求を求める相手方」欄記載の者に対し,平成21年2月9日に訴訟告知がされた。 イ本件請求の相手方らのうち,別表1の番号28から35までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者に対し,平成21年3月19日に訴訟告知がされた。 ウ別表1の番号1から27までに対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者は,平成24年11月2日の本件口頭弁論期日において,a市に対し,本件において請求するよう求めている債権について,それぞれ消滅時効を援用するとの意思表示をした。 エ別表 求める相手方」欄記載の者は,平成24年11月2日の本件口頭弁論期日において,a市に対し,本件において請求するよう求めている債権について,それぞれ消滅時効を援用するとの意思表示をした。 エ別表1の番号28,29,31から33まで及び35に対応する同表「請求を求める相手方」欄記載の者は,平成24年11月26日の本件口頭弁論期日において,a市に対し,本件において請求するよう求めている債権について,それぞれ消滅時効を援用するとの意思表示をした。 第3 争点本件の争点は,以下のとおりである。 1 本案前の争点(1) 監査請求期間徒過の有無(2) 監査請求期間徒過の正当な理由 2 代走関係の争点(1) 代走に関する給与の支払の違法性(2) 本件代走関係職員の責任 3 有給職免関係の争点(1) 有給職免関係の給与支払の違法性(2) 本件有給職免関係職員の責任(3) 本件有給職免関係管理者及び本件総務課長の責任 4 優遇ダイヤ関係の争点 (1) 優遇ダイヤに関する給与支払の違法性(2) 本件組合4役の責任(3) 本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長の責任 5 消滅時効の成否第4 争点に関する当事者の主張 1 本案前の争点について(1) 監査請求期間の徒過の有無(被告及び被告補助参加人ら(以下「被告ら」という。)の主張)怠る事実を対象としてされた監査請求であっても,特定の財務会計行為が財務会計法規に違反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるからこそ発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実(いわゆる不真正怠る事実)を対象とするものである場合には,その財務会計行為のあった日又は終わった日を基準として地方自治法242条2項本文の期間制限を適用すべきである。 そうであるところ, る事実(いわゆる不真正怠る事実)を対象とするものである場合には,その財務会計行為のあった日又は終わった日を基準として地方自治法242条2項本文の期間制限を適用すべきである。 そうであるところ,本件において原告は,a市自動車運送事業の職員に対する代走,有給職免,優遇ダイヤに関連する給与等の支払が違法であるとして,被告が,当該職員やその他の交通部の職員,管理者に対する不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求を怠る事実を財務会計行為として主張しているが,当該財務会計行為は,いずれも上記職員に対する給与等の支払が,財務会計法規に違反する違法なものであるからこそ発生する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の行使を怠る事実であるから,不真正怠る事実として,給与等の支払がされた日を基準として監査請求をする必要があるというべきであり,本件において住民監査請求がされた平成19年10月4日の1年前である平成18年10月3日以前に支払われた給与に関する請求については,監査請求期間を徒過したものとして不適法となるというべきである。 (原告の主張)実体法上の請求権行使を怠る事実の対象としてされた住民監査請求において,監査委員が特定の財務会計行為の存否・内容等について検討しなければならないとしても,当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にない場合には,当該怠る事実はいわゆる真正怠る事実として,監査請求期間の制限に服さないというべきである。そうであるところ,本件で問題となっている代走,有給職免,優遇ダイヤに関する給与の支払については,当該行為が財務会計法規に違反するかを判断するまでもなく,客観的に違法な行為であることは明らかであるから,原告の請求における財務会計行為に係る怠る事実は,真正怠る事実 に関する給与の支払については,当該行為が財務会計法規に違反するかを判断するまでもなく,客観的に違法な行為であることは明らかであるから,原告の請求における財務会計行為に係る怠る事実は,真正怠る事実として,監査請求期間に服さないというべきである。 (2) 監査請求期間徒過の正当な理由(原告の主張)仮に本件訴訟の財務会計行為が不真正怠る事実であるとして地方自治法242条2項の監査請求期間に服するとしても,本件においては同条ただし書きにおける正当な理由が認められるから,本件訴えは適法であるというべきである。 すなわち,本件で問題としている代走,有給職免及び優遇ダイヤなどの問題は,いずれもa市交通部内部で行われていたものであり,当該行為が行われていることが一般市民に公表されたこともなかったため,内部の人間でない限り,そのような行為が行われていたことを知ることはできなかった。なお,原告は,平成19年4月の統一地方選挙でa市議会議員に初当選し,同年5月より議員としての活動を始めていたが,議員の立場においても,本件のように行政の一機関において内部的に行われている行為の存在を知ることは極めて困難であった。 そして,原告は,同年7月,d地方裁判所において,e市交通局における 違法職務免除による職員給与返還請求事件について,e市自動車運送事業管理者を敗訴とする判決がされたことを受け,労働組合と公共団体との癒着についての問題意識を高めるようになり,同年8月13日,a市に対して有給職免に関する情報公開請求を行い,同月27日及び31日,有給職免,代走,優遇ダイヤ等に関する情報の公開を受け,さらに,これに関連して,関係者から情報提供を受け,これらの情報をもとに,甲放送のテレビ番組「乙」の制作スタッフと協力して取材を行い,本件に関する理解を深 走,優遇ダイヤ等に関する情報の公開を受け,さらに,これに関連して,関係者から情報提供を受け,これらの情報をもとに,甲放送のテレビ番組「乙」の制作スタッフと協力して取材を行い,本件に関する理解を深めていった。そして,原告は,情報公開請求により文書の開示を受けた約1か月後に住民監査請求を行っているところ,本件に関する問題は,相当に複雑であり,その実態を理解することも容易ではなかったことからすれば,原告は,相当期間内に住民監査請求を行ったものということができる。 したがって,原告には監査請求期間を徒過したことにつき,正当な理由が認められるから,本件訴えは適法である。 (被告らの主張)原告は,平成19年8月頃テレビ番組の取材を通じて初めて当該事実を知ることが可能になったと主張するが,本件で問題とされている給与等の支払は,秘密裏にされたものではなく,代走については,乗務員勤務割出票及び点呼記録表に「代走」と明記され,代走が行われた後には自動車運転報告書兼乗務記録に本来乗務するべきであった者の氏名と代走者の氏名が記載されていたし,有給職免については「勤務免除願」が提出されていたところ,これらの文書は公務情報に該当するため,情報公開制度を利用しさえすれば,いつでも一般市民がこれらを閲覧し,かつ,その写しを入手することが可能であったのであるから,a市の住民が相当の注意力をもって調査すれば,代走及び有給職免の事実を容易に知ることができたことは明らかである。また,優遇ダイヤについても,企画室が作成した運行計画表に基づく組合役員の出退勤時刻及びその日に乗務した便は,乗務員勤務割出表及び点呼記録表に記 載されているのであるから,これらの文書によって,組合役員の待機時間数を割り出すことも容易であり,住民が相当の注意力をもって調査すれば,これ 務した便は,乗務員勤務割出表及び点呼記録表に記 載されているのであるから,これらの文書によって,組合役員の待機時間数を割り出すことも容易であり,住民が相当の注意力をもって調査すれば,これを容易に知ることができたということができる。 また,監査請求書には要旨のみを記載するだけで足り,また,その内容についても監査を求める行為等に該当すべき事実を具体的に指摘しているものであれば足りるのであって,作成に格別の労力や日時を要するものではないことからすれば,当該事実を知ったときから1か月もあれば監査請求をすることが可能であると考えられるところ,原告は当該事実を知ったときから2か月も経過して初めて監査請求をしたというのであり,相当な期間内に監査請求を行ったとはいえない。したがって,原告が監査請求期間を徒過したことにつき,正当な理由があるとはいえない。 2 代走関係の争点(1) 代走に関する給与の支払の違法性(原告の主張)a市交通部においては,本件代走関係職員が,別の職員にバスを運転させて勤務させ,実際には勤務していないにもかかわらず,これを勤務したものとして,当該時間に対応する給与等を支払ってきた。 給与条例15条においては,職員が勤務をしないときは,勤務をしないことにつき任命権者による承認がある場合を除くほか,当該勤務をしない時間につき,給与額を減額して給与を支給することとされているところ,本件においては,任命権者による承認はされていないのであるから,本件代走関係職員が実際には勤務をしていないにもかかわらず,当該時間についても勤務したこととして,給与の支払を受けることは違法である。 なお,補助参加人組合は,代走行為は長年行われてきた労使慣行であり,違法ではないなどと主張するが,長年労使慣行として行われてきたからといって, したこととして,給与の支払を受けることは違法である。 なお,補助参加人組合は,代走行為は長年行われてきた労使慣行であり,違法ではないなどと主張するが,長年労使慣行として行われてきたからといって,その違法性が治癒するわけではないことは明らかである。 (被告らの主張)代走は,過去の労働者の権利を重視する時代背景のもと,組合役員等が組合活動のために,他の職員に勤務の交代を依頼し,自らは勤務を行わないこととするもので,労使慣行として相当以前から,全国的に行われていたものであって,a市交通部としては,この慣行を改めるため,職員団体及び補助参加人組合との間で交渉中であったのであるから,不適切なものであったとしても,違法ではない。 (2) 本件代走関係職員の責任(原告の主張)ア本件代走関係職員は,実際には勤務をしていないのであるから,給与を適法に受給することができないことを認識していたにもかかわらず,給与等を受給しており,その違法性についての認識又は認識可能性があったことは明らかである。したがって,本件代走関係職員については,故意又は過失による不法行為が成立する。 イまた,本件代走関係職員は,自ら勤務を行っていない以上,労働の対価としての給与等を受給することができないのであるから,当該職員らは法律上の原因なく給与等を利得し,その結果a市は給与相当額の損失を受けたといえる。したがって,本件代走関係職員は,a市に対して,代走分につき受給した給与相当額を不当利得として返還する債務を負うというべきである。 ウなお,被告らは,支払った給料等に対応する労働を別の職員より得ているのであるから,損害及び利得は生じていないと主張する。 しかしながら,実際に勤務していない職員が給与等の支払を受けることは,何らの根拠もなくa市に金銭を た給料等に対応する労働を別の職員より得ているのであるから,損害及び利得は生じていないと主張する。 しかしながら,実際に勤務していない職員が給与等の支払を受けることは,何らの根拠もなくa市に金銭を支出させたものであって,それ自体明らかにa市の損害である。また,本件代走関係職員に代わって実際に勤務をした職員が被告に給与の支払を求めてくれば,被告としてはこれに応じ ざるを得ないのであって,他の職員から労務の提供を受けたからといって損害の発生が否定されるものでないことは明らかである。 (被告らの主張)ア仮に給与の支払が違法であるとしても,上記のとおり,代走は,古くからの労使慣行により行われてきたものであり,本件代走関係職員は,勤務開始当初からこのような代走が認められることを当然の前提としてきたのである。したがって,本件代走関係職員は代走が違法であることの認識及び認識可能性がなかったといえるから,故意又は過失はない。 イまた,代走については,組合活動のために実際には勤務を行わない職員に代わり,他の職員が代わってバス乗務の勤務を行っていたのであり,a市としては,支払った給与に相当する対価である労働を得ていたものであるから,損害は発生しておらず,また,不当利得における損失も存在しない。原告は,実際に勤務した職員より被告に対して給与の支払が求められる可能性があるから損害及び損失があると主張するが,補助参加人組合と被告との間においては,代走により,勤務予定の補助参加人組合の組合員である職員に代わり,別の職員が勤務をした場合には,実際に勤務をした職員からは,a市に対して給与等の支払は求めないという合意が成立していたのであって,実際に勤務した職員からa市に対して給与の支払が求められる可能性はないから,原告の上記主張は失当である。 した職員からは,a市に対して給与等の支払は求めないという合意が成立していたのであって,実際に勤務した職員からa市に対して給与の支払が求められる可能性はないから,原告の上記主張は失当である。 3 有給職免関係の争点(1) 有給職免関係の給与支払の違法性(原告の主張)ア職務専念義務違反についてa市自動車運送事業は,地方公営企業法の適用を受けるところ,交通部の職員は,地方公務員法30条及び35条により,職務専念義務を負っており,a市においても,これを受けて職務免除条例が定められ,2 条各号の掲げる一定の事由のある場合に,あらかじめ任命権者又はその委任を受けた者の承認を得た場合に初めて,職務専念義務の免除が可能とされている。 そうであるところ,本件において,本件有給職免関係職員については,管理者から職務専念義務の免除の承認がされていることは認められるものの,職務免除条例2条の1号及び2号に該当する事情は存在しない。また,同条3号の「任命権者が定める場合」とは,任命権者が一定の規則を定め,それに基づいて承認行為が行われる場合が前提とされているところ,本件においてされた職務免除の内容につき,任命権者が職務専念義務を免除する場合として定めた規則は存在しないから,同号の場合にも該当しない。 したがって,本件でされた職務免除は,職務免除条例に定める場合に該当しないにもかかわらずされたものであって,違法である。 また,職務専念義務の免除の承認は,管理者が自由に認めることができるものではなく,その申請内容が職務専念義務の免除が許容される合理的なものである場合にのみ認められる。そうであるところ,組合活動を行うという職務専念義務の免除の申請の理由は,本来の勤務を中断してまで実施しなければならないものではなく,このような不必要な申 る合理的なものである場合にのみ認められる。そうであるところ,組合活動を行うという職務専念義務の免除の申請の理由は,本来の勤務を中断してまで実施しなければならないものではなく,このような不必要な申請についてされた承認は,それ自体違法であるといえる。 イ有給であることの違法性について実際には勤務をしていないにもかかわらず,給与の支払をすることは,ノーワークノーペイの原則に反するものであって違法であり,公営企業職員給与条例16条においても,職員が勤務しない時間については,管理者の承認があった場合を除き,所定の勤務時間当たりの給与額を減額して給与を支給しなければならないとされている。 そうであるところ,本件においては,本件有給職免関係職員が職務免除を受けた際に,当該職務免除がされた期間についても給与の支給を受ける ことについて,決裁文書等による明確な形での管理者の承認はされていないのであるから,明らかに違法である。 また,仮に何らかの形で管理者による承認がされていたとしても,当該管理者の承認は違法である。すなわち,公営企業職員給与条例16条は,管理者に全く自由な給与支給承認権限を与えるものではなく,職務専念義務の免除が,服務の基本基準を定める地方公務員法30条や職務専念義務を定める同法35条の趣旨,又は,給与の根本基準を定める同法24条1項の趣旨に反する場合には,当該承認は違法となるというべきである。 そうであるところ,地方公務員法55条の2第6項によれば,一般職員が勤務時間中に有給で職員団体に関する活動をすることができるのは,同法55条8項の定める適法な交渉であり,かつ条例により定められている場合に該当する場合に限られるところ,地方公務員法55条の2第6項の規定を受けて定められた職員団体のための職員の行為の制限の特例に 法55条8項の定める適法な交渉であり,かつ条例により定められている場合に該当する場合に限られるところ,地方公務員法55条の2第6項の規定を受けて定められた職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例(昭和41年a市条例第676号。以下「ながら条例」という。甲12。)2条は,同法55条8項の規定に基づき適法な交渉を行う場合(1号),条例の規定する休日及び代休日並びに年次有給休暇並びに休職の期間(2号)に限り,職員が給与を受けながら,職員団体のためその業務を行い,又は活動することができるものと定めている。地方公営企業の職員を一般職員と区別すべき理由はないこと,さらに,労働組合法7条3号は,労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し,又は交渉する場合を除き,使用者が労働組合に経理上の援助を与えることを使用者が行ってはならない不当労働行為として禁止していることからすれば,地方公営企業の職員が,勤務中に上記のような適法な交渉を行う場合以外に組合活動を行うことは許されないというべきであるから,そのような組合活動を行っていた勤務時間について給与の支給をすることは違法であるといえる。このことは,本件通知においても,政府から地方自治体 に対し,適法な交渉を行う場合以外に,給与等の支払を受けながら労働時間中に組合活動を行うことを禁止するよう指導を行っていることからも明らかである。 そして,本件においては,適法な交渉を行う場合ではないにもかかわらず,組合活動を行っていた勤務時間について,給与等を支給することについての承認がされているのであるから,明らかに違法である。 (被告らの主張)ア本件職務免除については,勤務しないこと及び勤務しない時間について給与を支給することについての管理者の承認に基づいてされているもの れているのであるから,明らかに違法である。 (被告らの主張)ア本件職務免除については,勤務しないこと及び勤務しない時間について給与を支給することについての管理者の承認に基づいてされているものであり,公営企業職員給与条例16条により,当該活動時間に対応する給与の支払が認められる場合に相当する。したがって,給与の支払は適法である。 イ原告は,a市において,一般職員が有給で職員団体に関する活動をし得るのは,地方公務員法55条8項の規定に基づき,適法な交渉を行う場合に限られ,これは地方公営企業の職員にも当てはまるから,本件職務免除の申請に係る活動がこの適法な交渉に当たらない以上,これに対して給与の支払をすることは違法であると主張する。 しかしながら,地方公営企業の職員と一般職員とでは,よってたつ法律も異なり,その取扱いについても全く異なっているのであり,地方公営企業は独立採算とされていること(地方公営企業法17条以下),地方公営企業の能率的,合理的な運営を確保するために,管理者の自主性を強化することが必要であるとして,日常の業務運営や職員の労働条件の決定等については,管理者に一般職と比べて広い裁量権が与えられているなど,個別の地方公営企業ごとの独自の運用,裁量が広く認められており,少なくとも労使関係については,民間企業の労使関係とほぼ同様の取扱いがされているのである。 このような地方公営企業の独自性に鑑みれば,仮にa市の一般職員について,有給で行うことができる職員団体に関する活動が,原告が主張するように限定されていたとしても,a市自動車運送事業の職員についてそのような限定を受けるとはいえないのであり,原告の主張は失当である。 ウまた,原告は,職務免除条例2条3号の「任命権者が定める場合」とは,任命権者が一定の規則 ,a市自動車運送事業の職員についてそのような限定を受けるとはいえないのであり,原告の主張は失当である。 ウまた,原告は,職務免除条例2条3号の「任命権者が定める場合」とは,任命権者が一定の規則を定めた上で,当該規則に基づいて職務に専念する義務を免除する場合であるところ,本件においてはそのような規則は存在しないから,本件においては職務専念義務の免除についての任命権者の承諾がなく,違法であるなどと主張する。 しかしながら,本件においては任命権者である管理者からの職務専念義務の免除の承諾がされていることは上記のとおりであり,また,同号の「任命権者が定める場合」とは,必ずしも規則を定めることを前提としているものではなく,原告の主張には理由がない。 (2) 本件有給職免関係職員の責任(原告の主張)本件有給職免関係職員は,本来受給することのできない給与を受け取っており,当然これが違法であることを認識していたというべきであるから,不法行為に基づく損害賠償責任を負い,また少なくとも,当該支給を受けた給与につき,不当利得返還責任を負うというべきである。 (被告らの主張)前記(1)のとおり,本件有給職免関係職員に対する給与の支払は何ら違法ではないから,本件有給職免関係職員は不法行為に基づく損害賠償責任及び不当利得を返還する責任を負うものではない。 (3) 本件有給職免関係管理者及び本件総務課長の責任(原告の主張)ア本件有給職免関係管理者について 本件有給職免関係管理者は,地方公営企業の業務を執行することとされており,違法な有給職免が行われているのであれば,これを止め,組合活動を行っていた時間に対する給与の支給が行われないようにするべき義務を有していた。 そして,有給職免を受ける際には,まず労働組合の執行委員長から, 給職免が行われているのであれば,これを止め,組合活動を行っていた時間に対する給与の支給が行われないようにするべき義務を有していた。 そして,有給職免を受ける際には,まず労働組合の執行委員長から,用務の出席者氏名,日時,理由,場所を明らかにした「勤務免除願」が,本件有給職免関係管理者に提出されることとされていたため,本件有給職免関係管理者としては,本件有給職免関係職員が職務時間に組合活動を行うことを認識していたにもかかわらず,職務専念義務の免除を許可し,給与の支給についても認めてきたのであって,故意又は過失による不法行為責任を負う。 なお,被告らは,本件有給職免関係管理者が,違法な労使慣行の是正に努めていたことをもって,本件有給職免関係管理者に過失はないと主張するが,本件のような違法な有給職免が行われた平成14年から平成19年までの間,労使慣行は全く是正されていないのであり,このような長期間,労使慣行が是正されていないこと自体が問題であるから,労使慣行の是正に時間がかかっているということを理由として本件有給職免関係管理者の責任を不問にすることは,不合理な労使慣行の是正に時間を要することの犠牲を住民に負わせることになり,妥当ではない。 また,被告らは,本件について監査委員からの指摘がなかったことをもって,義務違反がないなどと主張するが,監査委員からの指摘がないからといって,本件有給職免関係管理者について指揮監督上の義務違反が成立しないなどということはないし,また,a市においては,平成14年から平成19年までの間,常勤職員であった者が監査委員に選任されているなど,監査の独立性の確保に重大な支障が生じていたのであり,本件の相手方である本件有給職免関係管理者自身が監査委員となっていた時期もあっ たのであって,監査委員に十分な独 員に選任されているなど,監査の独立性の確保に重大な支障が生じていたのであり,本件の相手方である本件有給職免関係管理者自身が監査委員となっていた時期もあっ たのであって,監査委員に十分な独立性が保たれていたとはいえず,監査制度が有効に機能していなかったことが認められる。a市の監査体制がこのような状態であった以上,そのような監査体制を信頼した本件有給職免関係管理者に過失がないとはいえない。 イ本件総務課長についてa市交通部の総務課は,人事,給与及び職員の勤務条件に関する事項を分掌しており(甲3の2),職務免除願は本件総務課長が決裁を行っている。そして,本件通知等があったことなどの事情を踏まえれば,本件総務課長は,有給職免が違法であることを認識しつつ,これを許可してきたものであって,不法行為責任を負うことは明らかである。 (被告らの主張)ア組合活動に関する職務専念義務の取扱いについては,a市においては,長年の労使慣行により,適法な交渉以外の場面においても有給職免が認められていたが,近年,このような慣行の見直しが進められ,市長部局が主導して,市全庁的に職員団体及び労働組合との交渉が進められてきた。そして,その結果,平成19年12月1日から,この慣行が改められることになった。このように,有給職免については,交通部のみの問題ではなく,a市全体の問題として,市長部局が交渉に当たっていたのであるから,本件有給職免関係管理者が本件総務課長を指揮して,独自にこの労使慣行を覆したり変更したりすることはできない状況にあった。 このような有給職免についての労働組合との交渉の経緯,他部局との均衡の必要性等の諸般の事情を考慮すれば,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長に有給職免を承認したことにつき責任を問うことは相当ではない。 イ 職免についての労働組合との交渉の経緯,他部局との均衡の必要性等の諸般の事情を考慮すれば,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長に有給職免を承認したことにつき責任を問うことは相当ではない。 イまた,普通地方公共団体の行財政運営は,多数の補助職員を含む組織として行われるものであり,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長は, 多種大量の事務を補助職員に分掌させ,これら補助職員を指揮監督して事務の効率的,円滑な処理を図ることが許容されている。したがって,決裁を行う場合においても,明白な瑕疵がない限り補助職員を信頼して決裁を行うことが許容され,このような場合には,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長の過失が否定されるべきである。また,地方自治法においては,普通地方公共団体内部において,監査委員が監査を行う仕組みを設けており,財務会計職員に違法な行為があった場合には,監査委員がこれを本件有給職免関係管理者に報告することが予定されているのであって,本件有給職免関係管理者としてはこのような仕組みを信頼することは当然のことであるところ,本件においては,監査委員から本件の問題について何らの指摘もされたことがなかったことに鑑みれば,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長に過失があったとするのは失当である。 4 優遇ダイヤ関係について(1) 優遇ダイヤに関する給与支払の違法性(原告の主張)ア交通部においては,少なくとも平成19年9月20日までの間,本件組合4役に対し,早朝からの勤務を固定的に割り当て,午後の時間を待機時間に充てられるようにする優遇ダイヤを割り当て,本件待機時間において組合活動を行うことを許容してきた。なお,組合4役以外の職員については,運行ルートが日替わりで,時間も固定されていないローテーション勤務となっており にする優遇ダイヤを割り当て,本件待機時間において組合活動を行うことを許容してきた。なお,組合4役以外の職員については,運行ルートが日替わりで,時間も固定されていないローテーション勤務となっており,土日や祝日の勤務もある。 そして,そのようにして割り当てられた本件待機時間において,本件組合4役は勤務をすることなく,組合事務所において組合活動を行っていた(又は職場を離脱して職務外のことを行っていた)のであり,それにもかかわらず,当該時間についても勤務したものとして,給与等が支払われていた。これは,実質的には有給で組合休暇を認めるに等しいものであり, 前記のとおり,職務時間中に有給で行うことができる組合活動が,適法な交渉のみであることからすれば,違法である。 イ被告らは,本件待機時間は,不測の事態に備えて設けられたものであり,組合活動を行うことを許容するものではないと主張するが,そうであれば,午後の待機職員を労働組合の幹部に限る必要性はない。また,土日にはこのような長時間の待機時間を含むダイヤは存在しないが,待機時間の必要性は平日と土日で変わるものではなく,極めて不自然である。土日に長時間の待機時間を含むダイヤが存在しないのは,本件組合4役が平日に勤務が固定されており,土日に出勤することがほとんどなかったためであって,これは,本件待機時間が,本件組合4役が組合活動をするために設けられたものであることを推認させる。さらに,待機時間を与えられる者は,営業所ごとに人数が大幅に異なるなど,アンバランスな配置がされているが,不測の事態に備えて設けられた待機要員であるとすれば,このような営業所間の配置人数の差が生じるのは不自然である。 また,本件組合4役以外の待機者の配置状況は,本件組合4役が待機する日であるかどうかに関わらず一定とさ 設けられた待機要員であるとすれば,このような営業所間の配置人数の差が生じるのは不自然である。 また,本件組合4役以外の待機者の配置状況は,本件組合4役が待機する日であるかどうかに関わらず一定とされていることからすれば,本件組合4役による待機の必要性については疑問があるし,実際上,本件組合4役が待機時間中に出動要請を受けて出動したという事実がないことからしても,被告らの上記主張は認められない。 さらに,本件待機時間において,本件組合4役は,たびたび被告に無断で職場離脱をしていることが認められ,さらに,勤務時間中に職場離脱を開始した後,正規退勤時間を過ぎても職場に戻ってこなかったのであり,それにもかかわらず職務専念義務違反に基づく懲戒処分はされていないというのである(甲1の資料2)。ここからも,本件組合4役が,本件待機時間に組合活動を行うことが容認されていたことを推認することができる。 (被告らの主張) ア本件待機時間は,公共交通機関としての使命から,職員が勤務に就けない不測の事態が発生した場合に対応するため,予備勤務者を,職員が手薄になる昼間の時間帯に,待機時間として割り振っているものにすぎず,本件組合4役が組合活動を行うことを前提として,これらの者を優遇するために行っていたものではない。 実際,本件組合4役には,臨時便の運行やダイヤが大幅に乱れた場合に運行する中入れ便の運行などに従事してもらった例もあるのであって,勤務をしていない者に対して給与等の支払をしているわけではない。 原告は,本件組合4役が,本件待機時間に組合活動を行っていたと主張するが,本件組合4役が待機時間に組合事務所にいたことがあるのは事実ではあるものの,そこで組合活動を行っていたという事実はない。原告は待機時間に組合事務所に待機していることのみで を行っていたと主張するが,本件組合4役が待機時間に組合事務所にいたことがあるのは事実ではあるものの,そこで組合活動を行っていたという事実はない。原告は待機時間に組合事務所に待機していることのみで職場離脱に当たると主張するが,組合事務所はa市交通部の営業所の施設内にあり,呼出の音声が聞こえるため,運行管理者の指示があればただちに乗務可能な状況にあるのであるから,少なくとも営業所の施設外に出たとか,組合の仕事を行っていたなどの事情がない限り職場離脱には当たらず,当該時間については勤務をしていたと評価でき,これについて給与の支払をすることは何ら違法となるものではない。なお,待機時間中に職場離脱をしていた時間に対応する給与については,既に返還済みである。 イ確かに,原告が主張するように,本件組合4役の仕業は常に上番に固定され,待機時間が実働時間の後半に固められていたが,これは,上番の固定予備は13時30分まで,下番の固定予備が15時20分からであるため,その間の2時間は待機者が手薄になることから,あえて本件組合4役の待機時間を当該時間に充てたのである。なお,土日にこのような待機時間が設けられていないのは,土日はバス利用者の関係から平日に比べて便数が少なく,緊急時の待機の必要がないからであるし,その他バスの運転 手についての勤務の割り振りは,営業所長,本件優遇ダイヤ関係管理者が諸般の事情を考慮して決めているのであって,何ら不合理なことではない。 ウ以上からすれば,本件組合4役に対し,本件待機時間に対応する給与の支払をしたことは何ら違法ではない。 (2) 本件組合4役の責任(原告の主張)上記(1)のとおり,本件組合4役に対して,本件待機時間に対応する給与を支払うことは違法であるところ,本件組合4役は当該違法性を十分に認識 ではない。 (2) 本件組合4役の責任(原告の主張)上記(1)のとおり,本件組合4役に対して,本件待機時間に対応する給与を支払うことは違法であるところ,本件組合4役は当該違法性を十分に認識しつつ,給与の受給をしてきたものであるから,不法行為責任を負うことは免れず,また,少なくとも当該給与相当額については,不当利得が成立し,返還義務を負うというべきである。 (被告らの主張)前記のとおり,本件待機時間に対応する給与の支払を受けることは何ら違法ではないから,本件組合4役には何ら責任は生じない。 (3) 本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長の責任(原告の主張)ア本件優遇ダイヤ関係管理者について本件優遇ダイヤ関係管理者は,地方公営企業の業務を執行すべき立場にあり,職員の給与等に関する事務等を担当するものとされ,給与等の支払について監督する立場にあったのであるから,上記のように,本件組合4役に対して優遇ダイヤに基づく違法な給与の不正支給がされていることを容易に知ることができ,これを防止する義務があった。それにもかかわらず本件優遇ダイヤ関係管理者はこれを怠ったのであるから,故意又は過失による共同不法行為責任を負うべきといえる。 イ本件企画室長について交通部においては,バス運行ダイヤについては,企画室が事務を掌握し ており,本件企画室長は,上記違法な優遇ダイヤを決裁し,組合幹部らが実際には就労していないにもかかわらず,給与の支払を受けることを可能にしたのであり,本件企画室長としては,当然このような行為が違法であることを認識していた又は認識することが可能であったのであるから,本件企画室長についても,故意又は過失による共同不法行為責任を負うというべきである。 (被告らの主張)仮に,本件待機時間に対応する ことを認識していた又は認識することが可能であったのであるから,本件企画室長についても,故意又は過失による共同不法行為責任を負うというべきである。 (被告らの主張)仮に,本件待機時間に対応する給与の支払が違法であったとしても,企画室長及び本件優遇ダイヤ関係管理者には以下のとおり責任はない。 アまず,企画室長は,仕業票の作成について専決の権限を有しているが,仕業票は職員に対して勤務時間中に乗務するべき「便」を具体的に示す運行計画書にすぎず,職員の具体的な割り当ては,営業所長の権限である(a市交通部営業所規程5条6号,乙4)。したがって,企画室長は,決裁した仕業票を誰に割り当てるかということを決定することはできないのであるから,企画室長が組合役員に組合活動を行わせることを意図して仕業票を作成したわけではないことは明らかであって,企画室長が待機時間に組合活動を行うことを容認していたということはできないし,職員には職務専念義務が課せられていることから組合活動が行われることについての予見可能性もない。 イそして,自動車運送事業にとっては,輸送需要に応じ臨時的な増発便を運行する場合に備え予備要員を確保しておくことが重要であることは上記のとおりであり,本件待機時間を生み出すことになった仕業の作成は,正に当該要請に応えるために行われたものであること,そして,上記のとおり,本件組合4役がどの仕業を割り当てられるかは本件優遇ダイヤ関係管理者にはわからないことからすれば,本件優遇ダイヤ関係管理者において,本件待機時間に対応する給与を本件組合4役に支払うことの違法性を認識 することは不可能であるから,本件優遇ダイヤ関係管理者は何ら責任を負うものではない。 5 消滅時効の成否(被告らの主張)ア不当利得返還請求権の消滅時効について ことの違法性を認識 することは不可能であるから,本件優遇ダイヤ関係管理者は何ら責任を負うものではない。 5 消滅時効の成否(被告らの主張)ア不当利得返還請求権の消滅時効について仮に原告が主張するように,本件各職員に対し,不当利得返還請求権が発生しているとしても,当該請求権は,支出の時から2年間の不行使によって時効消滅している。 すなわち,違法に支出された給与等の不当利得返還請求権は,職員の賃金請求権と表裏をなすものであるから,労働基準法115条が適用され,2年間の不行使によって時効消滅しているというべきである。 また,仮に労働基準法が適用されないとしても,地方自治法236条1項の適用により,5年間の不行使によって時効消滅しているというべきである。原告は,本件給与の返還請求は,公法上の金銭債権ではないと主張するが,本件においては条例に基づいた給与の支払という,正に公法上の金銭債権が問題となっているのであるし,また,違法な公金支出に関する住民監査請求が,行政上の法律関係の早期安定の必要性から,原則として支出日から1年を経過したときはできないこととされていることに鑑みれば,これは,地方自治法236条が法律関係の早期安定の必要性から短期の消滅時効を定めている趣旨にも合致し,同条の適用を認めるのが合理的だといえる。 イ損害賠償請求権の消滅時効について原告が本件において主張する不法行為に基づく損害賠償請求権が仮に発生していたとしても,原告の主張を前提とすれば,給与等の支払がされた時に,その違法を認識できたことになるから,給与等の支出の時から3年間の不行使により,当該債権は時効消滅していることになる。 (原告の主張)ア不当利得返還請求権の消滅時効について 被告らは,本件各職員に対する不当利得返 給与等の支出の時から3年間の不行使により,当該債権は時効消滅していることになる。 (原告の主張)ア不当利得返還請求権の消滅時効について 被告らは,本件各職員に対する不当利得返還請求権は,労働基準法115条により2年の消滅時効にかかると主張する。 しかしながら,同条は,労働者の使用者に対する賃料,災害補償その他の支払の請求権を対象として,短期消滅時効の対象とするものであって,労働関係から生じたおよそ全ての権利につき,同条の適用があるわけではない。そして,不当に受領した賃金の返還請求権につき同条の適用がないことは明らかである。 また,被告らは,本件各職員に対する不当利得返還請求権につき,地方自治法236条により5年の消滅時効が適用される旨主張するが,同条は,私法上の法律関係と目的・性質を異にするものではない法律関係から生じた債権には適用されないものであり,a市自動車運送事業と本件各職員との関係は,本質的に私企業たるバス会社と職員らとの関係と同様であって,私法上の法律関係と性質を異にするものではないから,同条は適用されないというべきである。 イ損害賠償請求権についての消滅時効について原告は,管理者については,過失による不法行為に基づく損害賠償請求権も成立すると主張しているため,その場合には,消滅時効の起算点は給与等の支出の時点ではあり得ない。 また,管理者に対する故意の不法行為に基づく損害賠償請求権については,管理者が自ら関与した不法行為について,関係者に損害賠償請求を行うことは期待できないことからすれば,少なくとも本件で不法行為を行った者が管理者の地位に就いている間は,損害賠償請求権の消滅時効は進行しないというべきである。 さらに,代々の管理者が,本件の不法行為について悪意であったとすれ くとも本件で不法行為を行った者が管理者の地位に就いている間は,損害賠償請求権の消滅時効は進行しないというべきである。 さらに,代々の管理者が,本件の不法行為について悪意であったとすれ ば,それは交通部全体が組織的に不法行為を認め,これを隠匿してきたものに他ならないから,このような状態においては,原告が本件に関する情報の公開を求め,これが現実に公開されるまでの間は,権利行使を求め得る状況になかったのであるから,原告が本件に関する情報の公開を受けた日まで,本件の相手方らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は進行しないというべきである。 第5 争点に対する判断 1 本案前の争点について(1) 監査請求期間徒過の有無についてア普通地方公共団体において違法に財産の管理を怠る事実があるとして住民監査請求があった場合に,当該監査請求が,当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の特定の財務会計上の行為を違法であるとし,当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としているものであるときは,当該監査請求については,当該怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあった日又は終わった日を基準として地方自治法242条2項の規定を適用すべきものと解するのが相当である(最判昭和62年2月20日・民集41巻1号122頁参照)。 イ本件において,原告は,代走,有給職免及び優遇ダイヤに基づく給与等の支払が違法であることに基づいて発生する不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権の管理を怠る事実としているから,監査請求の期間は,当該行為のあった日を基準とすべきである。 そうすると,監査請求のあった平成19年10月4日の1年以上前に給与等の支払行為が行われた部 害賠償請求権の管理を怠る事実としているから,監査請求の期間は,当該行為のあった日を基準とすべきである。 そうすると,監査請求のあった平成19年10月4日の1年以上前に給与等の支払行為が行われた部分については,監査請求期間を徒過したものというべきである。 ウこれに対し,原告は,本件で問題となっている代走,有給職免及び優遇 ダイヤに関する給与等の支払については,当該行為が財務会計法規に違反するかを判断するまでもなく,客観的に違法な行為であることは明らかであるから,原告の請求における財務会計行為に係る怠る事実は,真正怠る事実であると主張するけれども,原告の主張を前提としても,当該行為が違法であるか否かの判断をしなければならない関係にあることに変わりはないから,原告の主張は,採用することができない。 (2) 監査請求期間徒過の正当な理由についてア原告は,平成19年8月13日,a市に対し,有給職免に関する情報公開請求を行い,同月27日及び31日に有給職免のほか,代走及び優遇ダイヤに関する文書の開示を受けた(弁論の全趣旨)。 イ前提となる事実記載の代走,有給職免及び優遇ダイヤの内容からすると,このような行為が行われていることについて,違法ないし不当を主張できる程度に内容を知るためには,情報公開請求等によって資料を入手することが不可欠であると認められる。そして,原告がa市議会議員であることを考慮しても,平成19年8月13日に情報公開請求をする前の時点で,代走,有給職免及び優遇ダイヤについて,これらの具体的な内容を知る契機があったことはうかがわれない。 そして,情報公開請求によって資料の開示を受けた後も,その資料を分析して違法行為の内容を知るためには一定の時間を要すると認められることからすると,監査請求をしたのが資料の開示を はうかがわれない。 そして,情報公開請求によって資料の開示を受けた後も,その資料を分析して違法行為の内容を知るためには一定の時間を要すると認められることからすると,監査請求をしたのが資料の開示を受けた34日後となったことは,やむを得ないといえ,正当な理由があるというべきである。 ウこれに対し,被告らは,情報公開制度を利用すれば,代走,有給職免及び優遇ダイヤの存在並びにこれらの内容を知ることができたから,正当な理由がないと主張する。 しかし,正当な理由の有無は,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内 容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最判平成14年9月12日・民集56巻7号1481頁参照)ところ,住民が相当な注意力を持ってする調査の内容として,特段の事情もないのに情報公開請求をしなければならないと解するのは相当ではないから,情報公開請求をすれば知り得る情報を前提に,当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時点を判断すべきではない。そして,a市の住民において,情報公開請求をする契機があったことについて,特段の事情があったことをうかがわせる証拠はない。 したがって,この点に関する被告らの主張は,採用することができない。 2 代走関係の争点(1) 代走に関する給与の支払の違法性前提となる事実記載のとおり,本件代走関係職員は,平成14年から平成15年にかけて代走を行ったところ,代走が行われた勤務時間に対応して減額されることなく,給与等の支払を受けたというのである。 給与は,労働が行われたことに対する対価として支払うべきものであって,労務の提供を受けていないのであれば,これに対応する給与 時間に対応して減額されることなく,給与等の支払を受けたというのである。 給与は,労働が行われたことに対する対価として支払うべきものであって,労務の提供を受けていないのであれば,これに対応する給与を支払う義務がないことは明らかである。そうであるにもかかわらず,代走部分について減額をすることなく給与等を支払うことは,a市に対する関係で違法であるというべきである。 被告らは,長年の労使慣行として行われていたものであり,是正のために補助参加人組合と交渉中であったことから違法ではないと主張するけれども,代走が労使の慣行として行われていたものであったとしても,慣行が違法性を阻却する事由となるとは解されないから,被告らの主張は失当である。 (2) 本件代走関係職員の責任ア上記のとおり,本件代走関係職員は,自ら勤務していないにもかかわらず,代走に対応する給与等を受領していたものであるところ,代わりに勤 務した組合員の代走手当は組合が負担していたものであり,当該代走関係職員は個別の負担をしていなかったこと(前提となる事実,証人A2)からすると,少なくとも,本来給与の支給を受けることができないものであることを知らなかったことに過失があることは明らかである。 イこれに対し,被告らは,本件代走関係職員は,勤務開始当初から代走が認められることを当然の前提としてきたと主張するけれども,有給休暇でもないのに,勤務することなくして給与の支給を受けることが適法であると認識した合理的な根拠について何ら主張立証しないから,被告らの主張は,代走に対応する給与等の受領について少なくとも過失があったとの判断を左右するものではない。 ウまた,被告らは,代わりに出勤した組合員によって労務の提供がされており,当該組合員に対しては代走手当のみが支払われ,その者 の受領について少なくとも過失があったとの判断を左右するものではない。 ウまた,被告らは,代わりに出勤した組合員によって労務の提供がされており,当該組合員に対しては代走手当のみが支払われ,その者に対するa市からの給与支払の必要はないことから,代走を全体としてみれば,a市に損害が発生していないと主張する。しかし,代走を行った者に対する給与等の支払自体が違法なのであるから,対応する支払額自体が損害として発生しているというべきである。 実際に勤務した職員からa市に対して給与等の請求はしないとの合意があったとの点については,仮にかかる合意があったとしても,支払うべき賃金を事前に放棄させるものであって無効というほかなく,出勤した者に対する給与の支払義務が発生しているというべきである。このことは,a市が,f労働基準監督署から是正勧告を受けて,代走によって実際に勤務した職員に対し,平成17年以降の給与を支払ったこと(甲8)からも明らかである。結局,被告がその支払を免れている部分があるのは,事後になって消滅時効が成立したためにすぎないのであるから,本件代走関係職員に対する給与等の支払をもって損害が発生したとの事実を左右するものではない。 エしたがって,代走が行われた時間に対応する給与等を受領することは,不法行為を構成し,また,受領した金額について不当利得が成立するものというべきである。 (3) まとめ以上によれば,本件代走関係職員が別表1「代走関係請求額」記載の金額の金額を受領したことについて,不法行為及び不当利得が成立すると認められる。 3 有給職免関係の争点(1) 有給職免関係の給与支払の違法性ア本件有給職免関係職員が本件職務免除中に行った組合活動が労働組合法7条3号ただし書に定める協議又は交渉に当たらないこと れる。 3 有給職免関係の争点(1) 有給職免関係の給与支払の違法性ア本件有給職免関係職員が本件職務免除中に行った組合活動が労働組合法7条3号ただし書に定める協議又は交渉に当たらないことについては,当事者間に争いがない。勤務時間中に組合活動が行われた場合に,同号ただし書に定める場合に当たらないにもかかわらず,その時間に対応する給与を支払うことは,不当労働行為として禁止される経理上の援助に当たると解されることから,勤務時間中の組合活動に対して給与を支払うことは,原則として許されないものと解すべきである。 イ本件通知においても,労働組合法7条3号ただし書に規定する協議又は交渉を除いた勤務時間中の組合活動については無給とすべきものであり,この点は昭和43年10月15日付けの通知(自治公一第35号行政局長通知)においても示されていると記載されていることから,本件有給職免関係職員,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長も支給が許されないものであることを認識し得たものと認められる。 ウそうすると,組合活動が労働者の権利という側面を有し,これについて一定の限度で職務免除が許容され得るとしても,組合活動自体は,職務との関連性を有せず,行政目的の達成という公益上の必要性も認め難いことからすれば,職員が勤務時間中に職務を離れて行う組合活動(労 働組合法7条3号ただし書の適法な協議又は交渉を除く。)について,公営企業職員給与条例16条1項に規定する勤務しないことの承認をすることができるものとすることは,給与の根本基準である「企業職員の給与は,その職務に必要とされる技能,職務遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるものでなければならない」旨を定めた地方公営企業法38条2項の趣旨に反し,管理者に与えられた裁量権の範囲を超え,これを濫 与は,その職務に必要とされる技能,職務遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるものでなければならない」旨を定めた地方公営企業法38条2項の趣旨に反し,管理者に与えられた裁量権の範囲を超え,これを濫用したものとして違法になるといわざるを得ない。 エこれに対し,被告らは,地方公営企業とその職員との労使関係は,民間企業の労使関係とほぼ同様の取扱いがされていることを根拠に,本件職務免除が適法であると主張するけれども,上記のとおり,地方公営企業の職員は職務専念義務を負うのであり,地方公営企業の職員の場合に勤務しないことの承認を緩やかに行うことができると解すべき根拠はない上,そもそも勤務時間中の組合活動について給与を支給することは原則として労働組合法7条3号に反することなどからすると,被告らの主張は,上記の判断を左右するものではないというべきである。 オしたがって,本件職務免除は,違法である。 (2) 本件有給職免関係職員の責任本件有給職免関係職員は,給与の根本原則に反して本来受給することのできない給与を受領していたのであり,本件通知の存在からしても,そのことについて,少なくとも過失はあることは明らかである。 よって,本件有給職免関係職員は,別表1の「有給職免関係請求額」欄記載の金額を受領したことにつき,不法行為及び不当利得が成立するものと認められる。 (3) 本件有給職免関係管理者及び本件総務課長の責任ア前記のとおり,平成18年に本件通知がされているところ,本件通知によれば,昭和43年の時点で,組合活動に関する休暇については無給とす べき旨が示されていた。 そして,前提となる事実記載のとおり,本件職務免除においては,管理者に宛てて,職免の申請の際に用務を記載した文書を提出していたのであるから,本件有給職免関係管理者は べき旨が示されていた。 そして,前提となる事実記載のとおり,本件職務免除においては,管理者に宛てて,職免の申請の際に用務を記載した文書を提出していたのであるから,本件有給職免関係管理者は,違法な職務免除がされていることを認識し得たものと認められる。本件総務課長は,職務免除に関する専決権者であり,同様に職務免除が違法であることを認識し得たものと認められる。 イこれに対し,被告らは,a市全体の問題として有給職免に関する慣行の見直しを行っていたものであり,市全体で職員団体等との交渉を進めていたものであるから,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長が独自に慣行を改めることはできない状況であったと主張する。 しかし,前記のとおり,本件通知によれば,昭和43年の時点で組合休暇は無給とすべきことが示されていることからすると,本件で問題となっている平成14年度から平成19年度までの時点においては,有給職免について是正のために要する期間を優に経過しているものと評価すべきであって,是正のために努力していたとしても,そのことをもって免責することはできないものといわざるを得ない。 また,被告らは,監査委員からの指摘がなかったことや,補助職員を信頼して決裁を行うことが許容されることをもって,過失が否定されるべきであるとも主張する。しかし,財務会計行為を行う職員としては,監査委員からの指摘を待つまでもなく,その職務の適法性について注意を払うことは当然であるから,監査委員からの指摘がなかったから過失がないとの主張は失当といわざるを得ない。また,補助職員を信頼したとする点についても,本件職務免除が,給与の根本基準を定めた地方公営企業法38条2項の趣旨に反するものである以上,信頼して決裁を行う前提を欠いているといわざるを得ず,被告らの主張は採用でき 信頼したとする点についても,本件職務免除が,給与の根本基準を定めた地方公営企業法38条2項の趣旨に反するものである以上,信頼して決裁を行う前提を欠いているといわざるを得ず,被告らの主張は採用できない。 なお,被告らは,組合活動に伴う出張には有給職免を認める旨の労働協約及び覚書を取り交わしていたことも,無過失の根拠として主張するけれども,上記の検討によれば,労働組合法7条3号ただし書に当たらない組合活動に対して給与を支払う旨の合意を取り交わすことが違法であることは十分認識可能であるというべきであるから,過失を認めることの妨げとはならないものというべきである。 ウしたがって,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長が,本件職務免除を行い,別表1の「有給職免関係請求額」欄記載の金額を支出したことについて,不法行為が成立する。 4 優遇ダイヤ関係の争点(1) 優遇ダイヤに関する給与支払の違法性ア原告は,本件組合4役が本件待機時間に勤務せずに組合活動を行っており,本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長がこれを容認して仕業を割り当てていたものであり,違法であると主張する。 イまず,優遇ダイヤに係る仕業票には,本件待機時間について「待機」と明示した記載はないものの,本件待機時間に待機することを前提とした退勤時間が記載されており,退勤時間までは勤務時間に含まれていると認められる(甲16,乙22,23)。そうすると,本件優遇ダイヤ関係管理者及び各営業所長は,本件組合4役に対し,本件待機時間を含む仕業を割り当て,本件待機時間に各営業所内に待機しているよう命じていると考えるのが自然である。 これに加え,回数が少ないことがうかがわれるとはいえ,本件待機時間中にバスに乗務したこともあったこと(乙16から21まで)などからすると 所内に待機しているよう命じていると考えるのが自然である。 これに加え,回数が少ないことがうかがわれるとはいえ,本件待機時間中にバスに乗務したこともあったこと(乙16から21まで)などからすると,本件組合4役は,本件待機時間に待機を命ぜられていたと認めるのが相当である。 ウこれに対し,原告は,本件組合4役に対しては,待機をさせる必要性自 体がなく,待機を命じていたのではなく,組合活動を許容する趣旨で乗務しない時間を設けていたのであると主張するけれども,これを認めるに足りる証拠はない。 また,原告は,本件組合4役についてのみ,長時間の待機時間がある仕業が固定的に割り当てられていた点も問題とするが,その理由は,本件組合4役の勤務終了時刻を午後2時台(甲16,乙22,23)と揃えることで,勤務時間終了後に市当局との交渉を持ちやすくするためであったと認められる(丙12,証人A2,証人A4,証人B)のであり,勤務時間中の組合活動を許容する趣旨であるとは認められない。なお,被告は,あくまでも不測の事態に対応するために予備勤務者を割り振っているものにすぎないと主張するが,そうであれば,当該仕業を割り当てる者を本件組合4役のみとしなければならない理由はないのであり,本件組合4役のみを割り振っていた理由は,上記の点にあるものと推認される。 エ以上によれば,本件組合4役は,本件待機時間中も拘束されて職務専念義務を負うこととなるのであるから,これに対応する給与の支払を受けることができるものというべきであって,本件待機時間に対応する給与等を支払うことは,原則として適法というべきである。 もっとも,本件組合4役は,本件待機時間中も職務専念義務を負うから,これに違反して組合活動を行ってはならないのであり,職場離脱等の職務専念義務違反があった ことは,原則として適法というべきである。 もっとも,本件組合4役は,本件待機時間中も職務専念義務を負うから,これに違反して組合活動を行ってはならないのであり,職場離脱等の職務専念義務違反があった場合,その時間に対応する給与等を受け取ることは許されず,違法となるものと解するのが相当である。 オよって,本件待機時間に対応する給与等の支払は,本件待機時間に職務専念義務違反があった場合に限り,これに対応する給与等の支払が違法となるものというべきである。 (2) 本件組合4役の責任アそこで,本件組合4役に,本件待機時間中に職務専念義務違反があった か否かについて検討する。 イ 本件組合4役は,a市交通部事務処理調査委員会(以下「調査委員会」という。)の調査において,本件待機時間中に職務免除を受けることなしに職場離脱したことを認め,その回数として,平成18年度が合計11回,平成19年度が合計14回であった旨申告した(甲1,5)。 調査委員会は,平成17年度以前については,組合の活動日誌や有給休暇の取得状況,代走日や職務専念義務の免除日等を照合し確認を行ったが,職場離脱の時間まで特定するには至らないと結論づけた(甲5)。 本件において監査を行った個別外部監査人は,補助参加人組合が作成した支出命令書兼領収書を閲覧し,本件組合4役による組合活動が行われていながら,代走,有給職免及び有給休暇のいずれにも該当しない日が散見されたとしつつ,これが就業時間外に行われたのか職場離脱があったのかを客観的に検証する手段がなく,上記の本件組合4役による自己申告以外の職場離脱時間を認定することはできないものと判断した(甲1)。 ウ これに対し,原告は,補助参加人組合の平成17年度及び18年度の支出命令書兼領収書(丙5から8まで)を根 役による自己申告以外の職場離脱時間を認定することはできないものと判断した(甲1)。 ウ これに対し,原告は,補助参加人組合の平成17年度及び18年度の支出命令書兼領収書(丙5から8まで)を根拠に,本件組合4役が,本件待機時間中に職場外での組合活動を多数行っていたと主張する。 しかし,上記支出命令書兼領収書には,活動時刻を特定し得る記載がなく,活動の名称や行われた場所の記載からして本件待機時間に外出することが不可避であると考えられる組合活動を除き,記載された組合活動が本件待機時間中に行われたものであることが認められるものではない。 他方,被告らは,原告の指摘する組合活動については,代走や有給職免によって参加したもののほか,勤務時間終了後に参加したものや,有給休暇を取得して参加したものもあったと主張し,補助参加人組合の会 議報告書(丙9から11まで)を提出している。これらの会議報告書は,原告の指摘する組合活動のうち3分の1程度のものではあるが,記載された活動内容はおおむね勤務時間終了後の活動であると認められ,また,有給休暇を取得して勤務時間内に活動したものがあることが認められる。 そうすると,本件組合4役が平成18年度から突如として職場離脱をするようになったとは考え難く,平成17年度以前も職場離脱があったのではないかとの疑いは残るものの,具体的に職場離脱の事実を認める証拠はないから,原告の指摘する活動が,本件待機時間を利用しており,かつ,そのうち有給休暇を取得していなかったものと認めることはできず,他に職場離脱の事実を認めるに足りる証拠はない。 エまた,原告は,本件組合4役が,本件待機時間を利用して,組合事務所内において組合活動を行っていたと主張する。 この点,証人A4は,待機時間中はほとんど組合事務所にお 認めるに足りる証拠はない。 エまた,原告は,本件組合4役が,本件待機時間を利用して,組合事務所内において組合活動を行っていたと主張する。 この点,証人A4は,待機時間中はほとんど組合事務所におり,組合の事務員と組合の事務について話をするほか,電話応対等をすることもあったなどと供述する。 しかし,かかる活動が恒常的に行われていたと認めるに足りる証拠はなく,どの程度行われていたのかは不明である上,本件待機時間における業務の内容が待機であり,組合事務所にいても呼出し等の放送に対応して就労することは可能であること(甲1,証人A2,証人A4)も考慮すると,証人A4の供述する活動が職務専念義務に違反する態様であったとは認められず,他に職務専念義務に違反する活動があったことを認めるに足りる証拠はない。 オ以上によれば,本件組合4役は,職場離脱した旨申告した部分を除き,職務専念義務違反があったとは認められない。 そして,前提となる事実記載のとおり,本件組合4役は,職場離脱した旨自己申告した部分に対応する給与等を返還しているから,それ以上に責 任を負うものとは認められない。 (3) 本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長の責任ア上記のとおり,本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長は,退勤時間後に補助参加人組合との労使交渉の場を持ちやすくするために,優遇ダイヤを設定していたものと認められる。 イそして,上記の優遇ダイヤの設定理由自体には一応の合理性が認められること,本件待機時間につき待機を命じ,本件組合4役に対して職務専念義務を課していると認められることからすると,優遇ダイヤを設定したことが当然に違法であるということはできず,本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長において,本件組合4役が待機時間中に職場離脱することを 課していると認められることからすると,優遇ダイヤを設定したことが当然に違法であるということはできず,本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長において,本件組合4役が待機時間中に職場離脱することを容認するか,又は容易に認識し得たにもかかわらずあえてそのような仕業を設定したという場合に限り,優遇ダイヤの設定が違法となるものと解するのが相当である。 ウ上記のとおり,本件組合四役は,本件待機時間中に職場離脱をしたことはあるものの,その回数等からは,恒常的に職場離脱をしていたとはいえないことからすると,本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長について,本件組合4役が待機時間中に職場離脱することを容易に認識し得たとは認められない。 エよって,本件優遇ダイヤ関係管理者及び本件企画室長は,優遇ダイヤの設定について,責任を負わないものというべきである。 5 まとめ以上の検討によれば,本件各職員に対しては,代走関係及び有給職免関係につき,いずれも請求額どおりの不法行為及び不当利得が成立することとなり,また,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長に対しては,いずれも請求額どおりの不法行為が成立することとなる。 6 消滅時効の成否 (1) 不法行為に基づく損害賠償債務の消滅時効についてア不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,被害者が損害及び加害者を知った時である(民法724条)。 イ本件においては,a市が債権者であり,損害賠償請求権を行使するのは代表者であるa市自動車運送事業管理者であるところ,当該管理者は,各支出の当時から代走及び有給職免に関する事情を知っていたものと推認するのが相当である。 もっとも,本件有給職免関係管理者に対する請求については,債権発生時において,当該管理者自身が債権者の代表者であり,か 時から代走及び有給職免に関する事情を知っていたものと推認するのが相当である。 もっとも,本件有給職免関係管理者に対する請求については,債権発生時において,当該管理者自身が債権者の代表者であり,かつ債務者であったこととなる。そうであれば,自分自身に請求することは利益相反行為にあたり,権利を行使することができるとはいえないから,債務者が債権者の代表者であった間は時効期間が進行せず,代表者が交代した時点から進行するものと解するのが相当である。 よって,本件有給職免関係管理者に対する請求については,代表者が交代した時から時効期間が進行し,その余の不法行為に基づく請求については,給与等の支出時から時効期間が進行するものと解する。 ウこれに対し,原告は,被告が加害者でもある以上,他の者に対する請求も期待できないと主張するけれども,代表者自身が債務者である場合とは異なり,請求自体は可能である以上,時効期間は進行するものと解するのが相当である。 エ以上を前提に検討すると,前提となる事実記載のとおり,各相手方への訴訟告知がされたのは,本件各職員が平成21年2月9日,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長が同年3月19日であるから,本件各職員については平成18年2月9日,被告補助参加人A29を除く本件有給職免関係管理者及び本件総務課長については同年3月19日よりも前に支払がされた分については,消滅時効が完成していることとなる。補助参加人 A29を相手方とする請求については,同人が平成19年6月まで管理者を務めていた(前提となる事実)から,消滅時効が完成していないこととなる。 オ消滅時効の起算日については,被告らにおいて,年度ごとの給与等の支給額を主張するのみであり,平成17年度分についてその末日である平成18年3月31日より前に 時効が完成していないこととなる。 オ消滅時効の起算日については,被告らにおいて,年度ごとの給与等の支給額を主張するのみであり,平成17年度分についてその末日である平成18年3月31日より前に支給された事実の主張立証はないことから,平成16年度以前に支払われた部分については,時効の完成を認めることができるが,平成17年度分については,時効の完成を認めることはできない。 カそうすると,本件請求の相手方に請求すべき不法行為に基づく損害賠償請求権は,別表1の「有給職免関係不法行為認容額」欄記載のとおりであり,その請求を怠ることは違法である。 なお,本件有給職免関係職員の各債務は,それぞれが有給職免を行った年度毎に,対応する本件有給職免関係管理者及び本件総務課長の各債務とそれぞれ不真正連帯の関係に立つものと解され,その対応関係は,別表2記載のとおりである。 (2) 不当利得返還債務の消滅時効についてア被告らは,不当利得返還請求権については労働基準法115条が適用され,時効期間は2年であると主張し,仮にそうでないとしても,地方自治法236条1項が適用され,時効期間は5年であると主張する。 イこの点,本件において被告が請求すべき不当利得返還請求権は,本来支払うべきでないのに支払われた給与等の返還請求権であるところ,労働基準法115条が短期の消滅時効期間を定めた趣旨は,使用者の事務処理上の負担等に配慮する一方,民法174条1号の時効期間と比較して労働者を保護すべき要請との調和を図る点にあると解されるところ,そのような趣旨は,労働者の使用者に対する不当利得返還債務には妥当 しないものというべきである。 よって,上記不当利得返還請求権に労働基準法115条は適用されないと解するのが相当である。 ウ地方自治法236条1項は 者に対する不当利得返還債務には妥当 しないものというべきである。 よって,上記不当利得返還請求権に労働基準法115条は適用されないと解するのが相当である。 ウ地方自治法236条1項は,行政上の便宜を考慮する必要がある金銭債権であって他に時効期間につき特別の規定のないものについて適用されるものと解すべきである(最判平成17年11月21日・民集59巻9号2611頁,最判昭和50年2月25日・民集29巻2号143頁参照)ところ,本件では特にそのような事情もなく,私企業における払い過ぎた給与等の返還請求権と性質は同じであるというべきである。 よって,上記不当利得返還請求権について地方自治法236条1項は適用されず,民法の規定が適用されると解するのが相当である。 エしたがって,上記不当利得返還請求権については,民法167条1項が適用され,その時効期間は10年であるから,不当利得返還請求権についての消滅時効に関する被告らの主張は,採用できない。 第6 結論以上によれば,有給職免関係の主位的請求のうち,本件有給職免関係職員,本件有給職免関係管理者及び本件総務課長に対する平成17年度以降に支払われた給与等に対応する部分並びに被告補助参加人A29に対する平成15年度から平成16年度までに支払った給与等に対応する部分については理由があるからこれらを認容し,代走関係の主位的請求の全部,有給職免関係のその余の主位的請求及び優遇ダイヤ関係の主位的請求全部は理由がないからこれらを棄却し,代走関係の予備的請求の全部及び有給職免関係の予備的請求のうち,本件有給職免関係職員に対する平成14年度から平成16年度までに支払われた給与等に対応する部分は理由があるからこれらを認容し,優遇ダイヤ関係の予備的請求は全部理由がないからこれらを棄却することとし 本件有給職免関係職員に対する平成14年度から平成16年度までに支払われた給与等に対応する部分は理由があるからこれらを認容し,優遇ダイヤ関係の予備的請求は全部理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官 野内謙志 裁判官栢分宏和
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