平成28(行ウ)96 裁決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年3月27日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文76,207 文字)

平成30年3月27日判決言渡平成28年(行ウ)第96号裁決取消請求事件(甲事件)平成28年(行ウ)第162号処分取消請求事件(乙事件) 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用(補助参加の費用及び補助参加の申出に対する異議の申立てによって生じた費用を含む。)は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 甲事件 文部科学大臣が,平成27年9月7日付けで原告らに対してした原告らの審査請求を棄却する旨の裁決を取り消す。 2 乙事件岐阜県知事が,平成27年2月13日付けでA寺に対してした規則変更認証処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,①岐阜県に主たる事務所を置く宗教法人であり,宗教法人であるB派を包括団体とするA寺が,宗教法人法(以下「法」ともいう。)27条に基づき,法5条所定の所轄庁である岐阜県知事に対し,宗教法人「A寺」規則(以下「A寺規則」という。)の変更(以下「本件規則変更」という。)について, 認証の申請(以下「本件認証申請」という。)をしたのに対し,岐阜県知事が,法28条1項に基づき,本件規則変更を認証する処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,自らはA寺の門徒であり,A寺の責任役員又は総代の地位にあると主張する原告らが,本件規則変更に関与した総代及び責任役員並びに本件認証申請をした代表役員の地位がいずれも無効である旨主張して,本件処 分の取消しを求めるとともに(乙事件),②原告らが,文部科学大臣に対し,本 件処分の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたのに対し,文部科学大臣が,本件審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を 原告らが,文部科学大臣に対し,本 件処分の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたのに対し,文部科学大臣が,本件審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をしたところ,原告らが,被告国に対し,本件裁決には裁決固有の瑕疵がある旨主張して,本件裁決の取消しを求める(甲事件)事案である。 2 関係法令等の定め 別紙2「関係法令等の定め」のとおり。その概要を以下に掲げる。 (1) 法(別紙2の第1参照)は,規則の変更の認証に関し,①宗教法人は,規則を変更しようとするときは,規則で定めるところによりその変更のための手続をし,その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならず(法26条1項),当該認証を受けようとするときは,認証申請書及びその変更しようとす る事項を示す書類2通に「規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類」(法27条1号)等を添えて,これを所轄庁に提出し,その認証を申請しなければならないこと(法27条),②所轄庁は,当該申請を受理した場合においては,当該申請に係る事案が,「その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること」(法28条1項1号)及び「そ の変更の手続が第26条の規定に従ってなされていること」(同項2号)の各要件を備えているかどうかを審査し,これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし,これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添附書類の記載によってはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証すること ができない旨の決定をしなければならないこと(法28条1項,14条1項)などを定めている。 (2 れらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証すること ができない旨の決定をしなければならないこと(法28条1項,14条1項)などを定めている。 (2) A寺規則(別紙2の第2参照)は,規則を変更しようとするときは,責任役員の定数の全員(3人,8条)及び総代(3人,16条)の同意を得て,B派の代表役員たる宗務総長(旧管長)の承認及び岐阜県知事の認証を受けなけれ ばならないと定めている(36条)。 また,B派規則(別紙2の第3参照)29条1項2号は,B派が包括する寺院が規則を変更するには,宗務総長の承認を受けなければならないと定めており,B派宗憲(別紙2の第4参照)を受けて定められたB派条例(別紙2の第5参照)26条は,寺院の規則の変更については,所轄庁にその認証申請をするに先立って,規則の定めるところにより,あらかじめ責任役員及び総代の 定数の全員の同意を得て,所定の申請書を宗務総長に提出してその承認を得なければならないと定めている。 3 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実。なお,便宜上,当事者間に争いのない事実についても,証拠番号を掲記することがある。) (1) 当事者等ア A寺は,昭和28年11月4日,法に従い設立された宗教法人であり,肩書住所地である岐阜県(住所省略)に主たる事務所を置き,B派を包括団体としており(丁32の1,2),B派の被包括宗教法人である。 イ A寺の設立時の住職及び代表役員は,P1(大正2年▲月▲日生,昭和 63年▲月▲日死亡)であった。その後,P1の長男であるP2(昭和13年▲月▲日生)が,昭和63年8月28 イ A寺の設立時の住職及び代表役員は,P1(大正2年▲月▲日生,昭和 63年▲月▲日死亡)であった。その後,P1の長男であるP2(昭和13年▲月▲日生)が,昭和63年8月28日,P1の後任の住職及び代表役員となった。 P2の妻であるP3と,両名の間の長男であるP4(昭和49年▲月▲日生)は,いずれも僧籍を有するところ(甲56,57の1,乙2の3の 15~17,丁47の2),P2は,平成24年3月14日,A寺の住職として,B派の管長(現宗務総長)に対し,P4を住職として任命するよう申請し(以下「本件住職任命申請」といい,申請に係る書面を「本件住職任命申請書」という。),これを受けて,宗務総長は,同年4月28日,P4を住職に任命した(以下「本件住職任命」という。)。P2は,同日,住 職を辞任した。(甲72,乙2の3の18~21,丁29,30) A寺は,P4が代表役員に就任した旨の登記を経た上,平成24年5月17日付けで,岐阜県知事に対し,法9条に基づき,P2が,同年4月28日,代表役員を辞任し,P4が,同日,代表役員に就任した旨の登記事項証明書を添えて,その旨の代表役員変更届(以下「本件役員変更届」という。)を提出した。(乙2の3の18,丙10) ウ原告らは,A寺の門徒であり,原告P5及び原告P6(以下「原告P5ら2名」という。)は,A寺の責任役員に,原告P7,原告P8及び原告P9(以下「原告P7ら3名」という。)は,A寺の「総代」にそれぞれ選定されたと称している。 なお,上記の「総代」の意味としては,A寺規則16条により3名選定 され,B派門徒条例8条によりB派の宗務総長(以下,単に「宗務総長」ともいう。)に届け出 たと称している。 なお,上記の「総代」の意味としては,A寺規則16条により3名選定 され,B派門徒条例8条によりB派の宗務総長(以下,単に「宗務総長」ともいう。)に届け出なければならないとされている総代(届出総代)として使われる場合と,A寺の門徒の中から各地区の代表として選定される総代(地区総代)として使われる場合とがあることから,以下,必要に応じ,どちらの意味で使われているのかを付記する。 エ宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事であるところ(法5条1項参照),A寺が設立された当時の所轄庁は,A寺の主たる事務所の所在地を管轄する岐阜県知事である。 (2) 責任役員についてのA寺規則の定めア県知事認証規則 A寺が昭和28年11月4日に宗教法人として設立された際,当時の所轄庁である岐阜県知事の認証を受けたA寺規則(以下「県知事認証規則」という。甲47の4,甲52の4)には,以下の定めがある。 「9条(責任役員の資格及び選定)1項代表役員以外の責任役員は,左に掲げる者とする。 1号この寺院に僧籍を有する者のうちから代表役員が総代の同意 を得て選定した者人2号総代が選定した者 2人2項 (省略)」イ本山承認規則B派は,A寺代理人のP10弁護士が平成26年9月17日付けでした 弁護士法23条の2第1項に基づく照会の申出について,東京弁護士会長に対し,A寺が宗教法人として設立された際に承認(B派条例26条は,規則の制定について 弁護士が平成26年9月17日付けでした 弁護士法23条の2第1項に基づく照会の申出について,東京弁護士会長に対し,A寺が宗教法人として設立された際に承認(B派条例26条は,規則の制定については,所轄庁にその認証申請をするに先立って宗務総長(旧管長)の承認を得なければならないと定めている。)したものとして保管するA寺規則(以下「本山承認規則」という。甲51の1,2,乙2の 3の26~35)9条1項の定めは,次のとおりである旨回答した。 「9条(責任役員の資格及び選定)1項代表役員以外の責任役員は,左に掲げる者とする。 1号この寺院に僧籍を有する者のうちから代表役員が総代の同意を得て選定した者 1人 2号総代が選定した者 1人」ウなお,以下では,県知事認証規則9条1項各号(上記ア)のように,1号を0人,2号を2人(合計2人)と定める規定を「2号2人の規定」といい,本山承認規則9条1項各号(上記イ)のように,1号を1人,2号を1人(合計2人)と定める規定を「1号2号各1人の規定」という。 (3) 本件認証申請ア P4は,平成26年11月20日,A寺の代表役員として,岐阜県知事に対し,法27条に基づき,A寺規則9条1項の変更の認証を申請(本件認証申請)したところ,本件認証申請に係る規則変更(本件規則変更)の内容は,次のとおりである。(甲75,丙1の1,2,丁16,17) (下線部分が変更に係る箇所である。) 変更後の規定(1号2号各1人の規定)変更前の規定(2号2人の規定)(責任役員の資格及び選定)9条代表役員以外の責任役員は, (下線部分が変更に係る箇所である。) 変更後の規定(1号2号各1人の規定)変更前の規定(2号2人の規定)(責任役員の資格及び選定)9条代表役員以外の責任役員は,左に掲げる者とする。 1号この寺院に僧籍を有する者のうちから代表役員が総代の同意を得て選定した者 1人2号総代が選定した者 1人(2項の記載省略)(責任役員の資格及び選定)9条代表役員以外の責任役員は,左に掲げる者とする。 1号この寺院に僧籍を有する者のうちから代表役員が総代の同意を得て選定した者人2号総代が選定した者 2人(2項の記載省略) イ岐阜県知事が受理した本件認証申請に係る認証申請書(法27条柱書き参照,以下「本件認証申請書」という。)には,代表役員としてP4が記名押印するとともに,以下の書類が添えられていた(甲75,丙1の2~7)。 (ア) 変更しようとする事項を示す書類(乙2の3の23,丙1の2,丁1 7)(イ) 規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類a 平成26年10月11日付け責任役員会議事録(乙2の3の22,丙1の3,丁18) b 平成26年10月11日付け責任役員であることの証明書(乙2の3の5,丙1の4,丁19)c 平成26年10月12日付け総代の同意書(P11,P12及びP13(以下「P11ら3名」という。)に係るもの)(乙2の3の24,丙1の5,丁20) d 平成26年10月11日付け総代であることの証明書(乙2の3の 6,丙1の 3(以下「P11ら3名」という。)に係るもの)(乙2の3の24,丙1の5,丁20) d 平成26年10月11日付け総代であることの証明書(乙2の3の 6,丙1の6,丁21)e 平成26年10月22日付け包括団体(B派)の承認書(乙2の3の25,丙1の7,丁22)(4) 本件認証申請についての審査の経過ア岐阜県知事は,平成26年12月5日,A寺に対し,本件規則変更に同 意した責任役員(P3及びP14)及び総代(P11ら3名)がA寺規則によって選定された者であることを証する資料の提出等を照会した(丙3)。 これを受けて,A寺は,同月22日,岐阜県知事に対し,次の書類を追加提出した(丙4の1~4)。 (ア) 平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(乙2の3の8, 丙4の4,丁28の2)(イ) 平成26年10月4日付け「責任役員・総代辞任届」(乙2の3の12,丙4の3,丁24)(ウ) 平成26年10月8日付け「責任役員・総代選定届」(乙2の3の14,丙4の2,丁26) イ岐阜県知事は,A寺から,P3がA寺規則によって選定された者であることを証する資料が提出されなかったため(上記ア),平成26年12月25日,A寺に対し,再度,P3に係る上記資料の提出等を照会した(丙5)。 これを受けて,A寺は,平成27年1月9日,岐阜県知事に対し,次の書類を追加提出した(丙6の1~3)。 (ア) 平成24年3月13日付けA寺責任役員会議事録(乙2の3の9,丙6の2)(イ) A寺規則の写し(丙6の3)ウ岐阜県知事は,平 。 (ア) 平成24年3月13日付けA寺責任役員会議事録(乙2の3の9,丙6の2)(イ) A寺規則の写し(丙6の3)ウ岐阜県知事は,平成27年1月23日,A寺に対し,上記イの回答では,P3が県知事認証規則であるA寺規則9条1項2号(2号2人の規定)に 基づき選定された者であることを確認できず,本件規則変更を認証できな いとして,法28条2項が準用する法14条2項に基づき,意見陳述の機会を付与する旨を通知した。(甲6,丙7)エ A寺は,平成27年2月6日,岐阜県知事に対し,意見陳述書とともに次の資料を追加提出した。(甲7,8,丙8の1~5)(ア) 平成24年3月14日付け「責任役員・総代選定届」(乙2の3の 10,丙8の3,丁28の4)(イ) 平成27年1月31日付け総代会議事録(乙2の3の11,丙8の4,丁23)平成27年1月31日開催の総代会において,P11ら3名が,①P3が,平成24年3月14日,責任役員に選定され,以後,責任役員と して事務の決定をしてきたことを追認し,②この追認の効力が認められない場合に備え,予備的に,P3をA寺規則9条1項2号に基づき責任役員に選定することを確認する旨の決議(以下「本件追認決議等」という。)を内容とし,P11ら3名の署名押印がある。 (ウ) 宗教法人の役員の選定手続に瑕疵があった場合に事後的に全員が追 認したことによって瑕疵が治癒されるとした下級審裁判例(丙8の5)(5) 本件処分岐阜県知事は,本件認証申請を受けて,平成27年2月13日,A寺の所轄庁(法5条)として,A寺に対し,法2 て瑕疵が治癒されるとした下級審裁判例(丙8の5)(5) 本件処分岐阜県知事は,本件認証申請を受けて,平成27年2月13日,A寺の所轄庁(法5条)として,A寺に対し,法28条1項に基づき本件規則変更を認証する処分(本件処分)をした。(甲76,丙9) (6) 本件裁決ア原告らは,平成27年5月15日,文部科学大臣に対し,本件処分の取消しを求める審査請求(本件審査請求)をした。A寺は,本件審査請求の手続に参加した。(甲1,77)イ文部科学大臣は,同年9月7日,原告らに対し,本件審査請求を棄却す る旨の裁決(本件裁決)をした。(甲1) (7) 本訴提起原告らは,平成28年3月2日,本件裁決の取消訴訟(甲事件)を提起し,同年4月20日,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)20条に基づく追加的併合として,本件処分の取消訴訟(乙事件)を提起した。 なお,被告県を補助するため乙事件に参加するとのA寺の申出に対し,原 告らは,異議を述べたが,当裁判所は,当該申出を相当と認め,上記参加を許可する。 4 争点(1) 原処分関係(乙事件・被告県関係)ア原告らに本件処分の取消しを求める原告適格があるか(争点1) イ本件処分の適法性(争点2)(ア) A寺は,規則で定めるところによりその変更のための手続をしたと認められるか否か(法26条1項,28条1項2号)。具体的には,①総代の同意を得る手続がされたと認められるか(すなわち,岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認め たことが適法か。争点2の1),②責任役員の同 体的には,①総代の同意を得る手続がされたと認められるか(すなわち,岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認め たことが適法か。争点2の1),②責任役員の同意を得る手続がされたと認められるか(すなわち,岐阜県知事において本件規則変更に同意したP14がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の2),また,岐阜県知事において本件規則変更に同意したP3がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の3)) (イ) 代表役員による申請手続がされたと認められるか(すなわち,岐阜県知事において本件認証申請をしたP4がA寺の代表役員であると認めたことが適法か。争点2の4)(ウ) 本件認証申請が申請権の濫用であるとして認証できない場合に当たるか(争点2の5)。 (エ) 本件処分の当時において岐阜県知事はA寺の所轄庁であったか(争 点2の6)。 (2) 裁決関係(甲事件・被告国関係)本件裁決に裁決固有の瑕疵(具体的には,①本件処分とは異なる理由に基づく判断をしたこと(瑕疵1),②A寺の提出した書面や証拠が原告らに開示されなかったこと(瑕疵2),③審尋を行わなかったこと(瑕疵3),④関連 訴訟の判決における事実誤認等を考慮しなかったこと(瑕疵4),⑤管轄違いがあること(瑕疵5))があるか(争点3)。 第3 争点についての当事者の主張 1 原告らに本件処分の取消しを求める原告適格があるか(争点1)(原告らの主張) (1) 原告らが門徒として原告適格を有すること門徒は,衆望のある門徒の中から総代(届出総代)を選定するとされているから(B派門徒条例6条 (原告らの主張) (1) 原告らが門徒として原告適格を有すること門徒は,衆望のある門徒の中から総代(届出総代)を選定するとされているから(B派門徒条例6条,A寺規則16条2項),総代(届出総代)の選定権者であり被選定権者でもある。また,総代(届出総代)は,代表役員以外の責任役員2名を選定することとされているから(2号2人の規定である県 知事認証規則9条1項2号),門徒は,総代(届出総代)を選定することを通じ責任役員の選定権者といえ,責任役員の被選定権者でもある。 以上によれば,A寺の門徒は,各門徒がA寺規則9条に基づく法律上の地位を有しているといえるから,本件規則変更(A寺規則9条1項を変更する内容)を認証する本件処分の取消しを求める法律上の利益を有する。 (2) 原告P7ら3名(原告P7,原告P8及び原告P9)が総代として原告適格を有することア原告P7ら3名が総代の地位にあることA寺において,総代は,各地区ごとに門徒から地区総代が8名前後選定された上で,地区総代からA寺規則上の総代(届出総代)が互選されてい る。総代会は,平成25年4月から5月にかけて(甲14,15)と平成 27年2月(甲20,21),原告P7ら3名を含む門徒を地区総代として選定し,地区総代は,平成25年5月と平成27年2月,原告P7ら3名を届出総代に選定し(甲16,22,23),総代の資格要件としては不要であるが(甲34),B派に対し原告P7ら3名を届出総代に選定したことを届け出ている(甲27の1~3)。 したがって,原告P7ら3名は,本件認証申請(平成26年11月13日付け)以降,A寺の総代(地区総代及び届出 3名を届出総代に選定したことを届け出ている(甲27の1~3)。 したがって,原告P7ら3名は,本件認証申請(平成26年11月13日付け)以降,A寺の総代(地区総代及び届出総代)の地位にある。 イ本件規則変更の手続に関与する利益について本件規則変更には,届出総代の同意が必要であるところ(A寺規則36条),本件規則変更の際に届出総代であった原告P7ら3名は,本件規則変 更に同意していないから,本件処分は違法無効であり,原告P7ら3名は,本件処分の取消しを求める法律上の利益を有する。 ウ本件規則変更の内容について原告P7ら3名は,平成27年2月24日,県知事認証規則9条1項2号(2号2人の規定)に基づき原告P5ら2名を責任役員に選定したとこ ろ(甲22,23の1),これに先立つ本件処分により2号2人の規定が1号2号各1人の規定に変更され,上記責任役員の地位が否定されるおそれがある。原告P7ら3名は,自らが選定した責任役員の地位が否定されないように本件処分の取消しを求める法律上の利益を有する。 (3) 原告P5ら2名(原告P5及び原告P6)が責任役員として原告適格を有 することア原告P5ら2名が責任役員の地位にあること原告P5ら2名は,平成25年5月4日,県知事認証規則9条1項2号(2号2人の規定)に基づき責任役員(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日)に選定され(甲16),本件処分後の平成27年2月 21日,県知事認証規則9条1項2号(2号2人の規定)に基づき責任役 員(任期は平成27年4月1日から)に選定された(甲23)。 イ本件規則変更 分後の平成27年2月 21日,県知事認証規則9条1項2号(2号2人の規定)に基づき責任役 員(任期は平成27年4月1日から)に選定された(甲23)。 イ本件規則変更の手続に関与する利益について本件規則変更には,責任役員の同意が必要であるところ(A寺規則36条),本件規則変更の際に責任役員の地位にあった原告P5ら2名は,本件規則変更に同意していないから,本件処分は違法無効であり,原告P5ら 2名は,本件処分の取消しを求める法律上の利益を有する。 ウ本件規則変更の内容について原告P5ら2名は,本件処分後の平成27年2月24日,県知事認証規則9条1項2号(2号2人の規定)に基づき責任役員(任期は平成27年4月1日から)に選定されたところ(甲23),本件処分により2号2人の 規定が1号2号各1人の規定に変更され,責任役員の地位が否定されるおそれがある。このため,原告P5ら2名は,自らの責任役員の地位が否定されないように本件処分の取消しを求める法律上の利益を有する。 (4) まとめよって,原告らには本件処分の取消しを求める原告適格がある。 (被告県の主張)原告らがA寺の門徒であることは認め,原告P7ら3名が総代であること及び原告P5ら2名が責任役員であることは否認する。原告らに本件処分の取消しを求める法律上の利益があることは争わない。 (A寺の主張) 原告らがA寺の門徒であること及び原告P7ら3名が地区総代であることは認め,原告P7ら3名が届出総代であること及び原告P5ら2名が責任役員であることは否認する。原告らが門徒であることを理由として本件処分の取消 の門徒であること及び原告P7ら3名が地区総代であることは認め,原告P7ら3名が届出総代であること及び原告P5ら2名が責任役員であることは否認する。原告らが門徒であることを理由として本件処分の取消しを求める原告適格があると判断されるのであれば特段これを争うものではないが,そうでなければ原告らの原告適格を争う。 2 本件処分の適法性(争点2) (原告らの主張)(1) 所轄庁の審査権限の範囲について(争点2の1~5に共通)ア宗教法人規則変更認証手続において,所轄庁及び審査庁は,その審査事項に疑義がある場合には,事実の調査を行うことができると解される(最高裁昭和41年3月31日第一小法廷判決・集民82号819頁(以下「昭 和41年最高裁判決」という。),東京地方裁判所平成6年10月31日判決・訟務月報42巻3号560頁各参照)。また,宗教法人が法25条4項に基づき所轄庁に提出する書類の写しから,上記の審査事項について合理的な疑義が生じる場合においても,所轄庁には審査義務が生じるというべきである。 イこの点,岐阜県知事は,原告ら代理人の遠藤直哉弁護士(以下「遠藤弁護士」という。)が平成24年5月30日付けでした弁護士法23条の2第1項に基づく照会の申出について,第二東京弁護士会長に対し回答したところ,上記申出に係る照会申出書には,A寺の門徒がA寺とは別に県知事認証規則に基づき責任役員を選定していることや,A寺において責任役員 や総代の地位が争われていることが記載され,判決書の一部抜粋等が添付されていた(甲47の1~5)。このため,岐阜県知事は,平成25年5月には,A寺が違法な1号2号各1人の規定に基づき責任役員を選定しており,A寺が選定した者以外に 記載され,判決書の一部抜粋等が添付されていた(甲47の1~5)。このため,岐阜県知事は,平成25年5月には,A寺が違法な1号2号各1人の規定に基づき責任役員を選定しており,A寺が選定した者以外に県知事認証規則(2号2人の規定)に基づき責任役員及び総代が選定されていることを知っていた。 したがって,岐阜県知事は,本件規則変更を認証するか否かを判断するに当たっては,A寺の責任役員の選定手続や解任手続の適法性,総代の選定手続の適法性についても調査確認すべきであった。 (2) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認めたことが適法か(争点2の1) 本件規則変更に総代(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31 日)として同意したP11ら3名は,その同意当時の総代でなかった。 ア P11ら3名は,A寺の主張によれば平成24年2月12日の門徒代表委員会(以下「平成24年2月役員会」という。)において総代に選定されたとされるが,その際の投票用紙等の客観証拠が提出されておらず,上記の選定は,P2が独断でP11ら3名の総代選定の外形を作出したものに すぎないから,その選定手続は存在しない。また,P11ら3名は,総代となるための要件である「衆望」(A寺規則16条2項)を欠いており,その選定は無効である。 イ総代の解任権者は,選任権者である門徒であるところ,P11ら3名は,仮に一旦は総代として選定されたものであるとしても,平成24年9月2 日の門徒総会において,総代を解任されているから(甲85の1~3),本件規則変更に同意した当時,総代ではなかった。 (3) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP14 4年9月2 日の門徒総会において,総代を解任されているから(甲85の1~3),本件規則変更に同意した当時,総代ではなかった。 (3) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP14がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の2)本件規則変更に責任役員(任期は平成26年10月5日から平成27年3 月31日)として同意したP14は,その同意当時の責任役員でなかった。 ア P14は,A寺の主張によれば平成26年10月4日の責任役員会(以下「平成26年10月役員会」という。)において責任役員に選定されたとされるが,P4が独断でP14の責任役員選定の外形を作出したものにすぎず,その選定手続は存在しない。また,P14の選定は,違法な1号2 号各1人の規定に基づいていることからも,無効である。 イ上記(2)のとおり総代でないP11ら3名が,総代として平成26年10月役員会においてP14を責任役員に選定したことは,無効である。 (4) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP3がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の3) 本件規則変更に責任役員(任期は平成24年4月28日から平成27年3 月31日)として同意したP3は,その同意当時の責任役員でなかった。 ア P3は,A寺の主張によれば平成24年3月12日の責任役員会(以下「平成24年3月役員会」という。)において責任役員に選定されたとされるが,P2が独断でP3の責任役員選定の外形を作出したものにすぎず,その選定手続は存在しない。 イ A寺の責任役員は,2号2人の規定に基づき選定されなければならないから(後記(5)ア(イ)b),P3が1号 任役員選定の外形を作出したものにすぎず,その選定手続は存在しない。 イ A寺の責任役員は,2号2人の規定に基づき選定されなければならないから(後記(5)ア(イ)b),P3が1号2号各1人の規定であるA寺規則9条1項1号に基づき責任役員に選定されたのは無効である。 ウ本件追認決議等(前提事実(4)エ(イ))によってP3が責任役員として本件規則変更に同意したことが有効になるものではないこと (ア) P11ら3名が総代として本件追認決議等をした当時,P11ら3名は総代でなかったから(上記(2)),本件追認決議等はそもそも無効である。 (イ) P3の責任役員の選定は,上記イのとおり無効であるところ,これは公序良俗に反するような公益的無効であって,追認により有効とする 余地はないから,本件追認決議等によってP3が責任役員として本件規則変更に同意したことが有効になるものではない。 (ウ) 仮にP3の責任役員選定が追認により有効とする余地があるとしても,民法119条は,「無効な行為は,追認によっても,その効力を生じない。ただし,当事者がその行為の無効であることを知って追認をした ときは,新たな行為をしたものとみなす。」と定めており,将来的にのみ有効となるから,本件追認決議等によって,P3の責任役員の地位が本件規則変更への同意の時点に遡って有効になるものではない。 (エ) 仮にP3の責任役員選定が追認により遡って有効となる余地があるとしても,第三者の法律関係を害さないことを要するところ,P3の責 任役員選定が遡って有効となると,原告らを含む門徒がこれまでに県知 事認証規則(2号2人の規定)に基づき選定してきた責任役 も,第三者の法律関係を害さないことを要するところ,P3の責 任役員選定が遡って有効となると,原告らを含む門徒がこれまでに県知 事認証規則(2号2人の規定)に基づき選定してきた責任役員の地位が否定されたり,A寺によるP15らに対する数々の不当訴訟が有効とされてP15や遠藤弁護士らの権利が害されたりして,第三者の法律関係が害されることが著しく,遡及効は認められない。 エ P11ら3名は総代でないから,P11ら3名が総代としてP3の責任 役員選定に同意したことは無効である。また,その同意は,P11ら3名が,その任期(平成24年4月1日から平成27年3月31日)前にしたものであることからも,無効である。 (5) 岐阜県知事において本件認証申請をしたP4がA寺の代表役員であると認めたことが適法か(争点2の4) ア住職任命申請には,①総代の同意及び総代全員の署名押印,②代表役員以外の責任役員の署名押印を要するところ(A寺規則6条,B派施行条規10条),P2が平成24年3月14日付けでしたP4に係る住職任命申請(本件住職任命申請)は,以下の理由により無効であるから,P4は住職の地位になく,したがって,住職をもって充てられる(A寺規則6条1項) 代表役員の地位にもないというべきである。 (ア) 本件住職任命申請に同意し,本件住職任命申請書に総代として署名押印したP11ら3名は,当時の総代でなかった。 a 上記(2)アのとおり,P11ら3名の総代選定手続は存在せず,また,P11ら3名は「衆望」(A寺規則16条2項)を欠いている。 bP11ら3名は総代でないから,P11ら3名が総代としてした本件住職任命申請への同意は は存在せず,また,P11ら3名は「衆望」(A寺規則16条2項)を欠いている。 bP11ら3名は総代でないから,P11ら3名が総代としてした本件住職任命申請への同意は無効である。また,その同意は,P11ら3名が,総代の任期(平成24年4月1日から平成27年3月31日)前にしたものであることからも,無効である。 (イ) 本件住職任命申請書に責任役員として署名押印したP4は,当時の 責任役員でなかった。 aP4は,A寺の主張によれば平成24年2月役員会において責任役員(任期は平成24年4月1日から住職に任命される同月28日まで)に選定されたとされるが,P2が独断でP4の責任役員選定の外形を作出したものにすぎず,その選定手続は存在しない。 bA寺の責任役員は,以下の理由により2号2人の規定に基づき選定 されなければならず,P4が1号2号各1人の規定であるA寺規則9条1項1号に基づき責任役員に選定されたのは無効である。 (a) 1号2号各1人の規定に基づく運用の事実がないことA寺においては,責任役員の選定方法を2号2人の規定に基づいて行っており,1号2号各1人の規定に基づく運用を行っていた事 実はない。このことは,P1が代表役員であった昭和28年から昭和62年までの間,昭和51年にP1の妻であるP16が僧籍を有する者として責任役員に選定された以外には,僧籍を有しない門徒2名が入れ替わりで責任役員に選定されてきたこと,昭和57年の責任役員の選定において,1号2号各1人の規定に基づけば,P2, P15,P3等の僧籍を有する者がおり,その者が責任役員に就任することが 入れ替わりで責任役員に選定されてきたこと,昭和57年の責任役員の選定において,1号2号各1人の規定に基づけば,P2, P15,P3等の僧籍を有する者がおり,その者が責任役員に就任することができたのに,僧籍を有しない門徒2名が責任役員が選定されていることからも明らかである。 ⒝ 1号2号各1人の規定は存在しないこと昭和34年11月5日付けA寺規則原本抄本(1号2号各1人の 規定)(甲37)は,P1が作成したとされるが,P1が昭和28年にA寺を設立した際,岐阜県知事から2号2人の規定を内容とする規則の認証を受けていたにもかかわらず,その6年後の昭和34年に,責任役員の選定方法を改めて1号2号各1人の規定である原本抄本を作成するとは考え難く,偽造されたものとしか考えられない。 また,同じく1号2号各1人の規定である本山承認規則(前提事実 (2)イ)も,偽造されたとしか考えられない。 ⒞ 2号2人の規定が1号2号各1人の規定に優先すること仮に,1号2号各1人の規定が偽造されたことが不明確であり,また,1号2号各1人の規定による運用が認められる余地があるとしても,慣習法は,強行法規に劣後する以上(法の適用に関する通 則法3条),慣習法にすぎない1号2号各1人の規定又は同規定に基づく運用は,設立時に強行法規である法14条によって認証されたA寺規則(2号2人の規定)に反し,無効である。 ⒟ 被告県は,A寺規則9条1項1号に基づく選定が,同項2号の条件を満たした選定であると実質的に評価できる旨主張するが,同項 1号は,総代の同意の下で代表役員が選定し,同項2号は,総代が選定するとされているから,代表 1項1号に基づく選定が,同項2号の条件を満たした選定であると実質的に評価できる旨主張するが,同項 1号は,総代の同意の下で代表役員が選定し,同項2号は,総代が選定するとされているから,代表役員の関与の有無及び選定権者が明確に異なっており,両者を同一に考えることはできない。 cP11ら3名は総代でないから,P11ら3名が総代としてP4の責任役員選定に同意したことは無効である。また,その同意は,P1 1ら3名が,総代の任期(平成24年4月1日から平成27年3月31日)前にしたものであることからも,無効である。 (ウ) 本件住職任命申請書に責任役員として署名押印したP17は,当時の責任役員でなかった。 aP17は,A寺の主張によれば平成24年2月役員会において責任 役員に選定されたとされるが,P2が独断でP17の責任役員選定の外形を作出したものにすぎず,その選定手続は存在しない。 bP11ら3名は総代でないから,P11ら3名が総代としてP17を責任役員に選定したことは無効である。また,その選定は,P11ら3名が,総代の任期(平成24年4月1日から平成27年3月31 日)前にしたものであることからも,無効である。 イ P4が住職を解任されたこと仮に本件住職任命が有効であったとしても,その後,P4は,平成24年9月の門徒総会並びに同月及び平成25年5月の責任役員会において,代表役員の職務執行停止が決議され(甲19,85の1~3),平成25年7月及び平成27年4月の総代会及び責任役員会において,代表役員を解 任された(甲86の1~5,甲30の1~4)。 (6) 本件認証申請が申請 議され(甲19,85の1~3),平成25年7月及び平成27年4月の総代会及び責任役員会において,代表役員を解 任された(甲86の1~5,甲30の1~4)。 (6) 本件認証申請が申請権の濫用であるとして認証できない場合に当たるか(争点2の5)ア A寺(P4)は,岐阜県知事の認証がなく,運用の事実もない1号2号各1人の規定によるA寺規則を偽造するなどして裁判所を欺罔し,多くの 判決や決定を騙取してきており,それにもかかわらず,本件追認決議等において,P11ら3名が総代として県知事認証規則(2号2人の規定)に基づく決議を行って本件規則変更の認証(本件処分)を騙取した。 イまた,A寺(P4)は,被告県が1号2号各1人の規定を否定していたにもかかわらず,これと異なる内容の被告県が1号2号各1人の規定を是 認した旨の報告書(甲58の1)を作成し,先行諸判決において証拠として提出した上,本件処分後の平成27年2月には,原告らを含む門徒との会合において,被告県が実際には1号2号各1人の規定を否定していることを隠蔽し,「1号2号各1人の規定が判決で認められており,既に結論は決まった。」などの言動を行うなどして門徒を欺罔した。 ウ以上によれば,P4がした本件認証申請は,仮にP4が代表役員の地位にあるとしても,申請権を濫用したものとして無効である。 (7) 本件処分の当時において岐阜県知事はA寺の所轄庁であったか(争点2の6)ア宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知 事であるが(法5条1項),「他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人」 (同条2項1号)にあっては,その所轄庁は文部科学大臣となる。 務所の所在地を管轄する都道府県知 事であるが(法5条1項),「他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人」 (同条2項1号)にあっては,その所轄庁は文部科学大臣となる。 イこの点,A寺は,平成11年2月頃,埼玉県α市(住所省略)ほか合計6筆の土地(以下「本件土地」という。)及び本件土地上の本堂・管理事務所として使用する一棟の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件土地建物」という。)を取得し,同年3月,埼玉県α保健所長から 墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づく墓地経営の許可を受け,その頃からヒルズαの名称で墓地(以下「本件墓地」という。)の経営を開始した。宗教法人の墓地経営については,全国的な運用として,墓地を実効的かつ永続的に管理するため,墓地を設置する行政区域に主たる事務所又は従たる事務所を設置することが義務付けられており,埼玉県α市におい ても,墓地経営許可基準として,原則としてα市内に従たる事務所を設置しなければならないとされていた(甲117の1)。岐阜県知事は,所轄庁として,上記の墓地経営許可の運用状況を知っており,また,A寺がα市内で本件墓地を経営している以上,原則として従たる事務所の設置が必要であるところ,本件墓地の経営に本件土地建物が供されており,これらが A寺の境内建物に当たることを知っていた。したがって,岐阜県知事は,A寺の所轄庁が文部科学大臣に移管されなければならないことを知っていたというべきである。 よって,岐阜県知事が所轄庁としてした本件処分は違法である。 (8) まとめ よって,本件処分は違法であり,取り消されるべきである。 (被告県の主張)(1) 所轄庁の審査権限の範囲 た本件処分は違法である。 (8) まとめ よって,本件処分は違法であり,取り消されるべきである。 (被告県の主張)(1) 所轄庁の審査権限の範囲について(争点2の1~5に共通)ア法28条1項は,宗教法人の規則の変更に関する認証に当たって審査すべき要件として,「その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規 定に適合していること。」(同項1号)及び「その変更の手続が第26条の 規定に従ってなされていること。」(同項2号)を掲げており,これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をしなければならないと定めており(法28条1項の準用する法14条1項),宗教法人の規則の変更に関する認証は,裁量行為でなく羈束行為である。 イ所轄庁は,認証審査において,申請者の記載事項に関し特段の疑義を持 つような状況にない以上,また,認証処分がその責任役員の就任,解任の効力を確定する行為でもない以上,例外的に,例えば,就任を予定されている責任役員が法22条の欠格事項に該当するとかの事前にして明白な形での事実提供がない限り,所轄庁がその認証審査において,責任役員の選任手続や解任手続の適法性までいちいち確認して認証しなければならない 義務を負うものではない(昭和53年9月14日文部大臣裁決,乙11)。 ウ宗教法人の規則変更認証における所轄庁の審査義務の範囲は,昭和41年最高裁判決が判示するとおりであり,下級審裁判例においても,「所轄庁は,受理した規則や同法27条に定める添付書類の記載によって,当該申請に係る事案が同法28条1項各号所定の要件を具備しているかどうかを 審査する権限及び義務を有するにとどまると解する 「所轄庁は,受理した規則や同法27条に定める添付書類の記載によって,当該申請に係る事案が同法28条1項各号所定の要件を具備しているかどうかを 審査する権限及び義務を有するにとどまると解するのが相当であり,上記添付書類が証する事実それ自体が真実でないことを合理的に疑うべき事情や上記添付書類の成立自体の真正を合理的に疑うべき事情等が認められない限り,所轄庁は,上記限度を超えた実質的審査を行うことはできず,また,その義務もないというべきである。」とするものなどがあり,この考え 方によるべきである。 エ合理的に疑うべき事情等の有無について(ア) 岐阜県知事は,遠藤弁護士が平成25年5月30日付けでした弁護士法23条の2第1項に基づく照会の申出に係る照会申出書(上記第3の2(原告らの主張)(1)イ)から,A寺の責任役員の選定について 訴訟上の争いが存在することは知り得たが,これらは責任役員又は総 代の地位の確認等が直接訴訟物とされたものではなく,「事前にして明白な形での事実提供」(上記イ)があったとは評価できないから,これらについて調査しなかったとしても岐阜県知事に審査義務違反はない。 (イ) もっとも,平成26年7月8日,A寺代表役員であるP4らが岐阜県庁を訪れ,「A寺規則の責任役員の資格及び選定に関し,包括団体の B派に保管されている書類(1号2号各1人の規定)と県に認証された規則(2号2人の規定)とが異なっており,実際の運用はB派に提出した内容で運用されてきた」旨発言していたことから,岐阜県知事は,本件認証申請の審査に際し,A寺の責任役員及び総代がA寺規則によって選定された者であることを慎重に確認するため,後述の調査 確認を行っており,岐阜県知 」旨発言していたことから,岐阜県知事は,本件認証申請の審査に際し,A寺の責任役員及び総代がA寺規則によって選定された者であることを慎重に確認するため,後述の調査 確認を行っており,岐阜県知事に審査義務違反はない。 (2) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認めたことが適法か(争点2の1)ア岐阜県知事は,本件規則変更にP11ら3名が総代として同意したことについては,本件認証申請書に添えられた平成26年10月12日付け総 代の同意書(前提事実(3)イ(イ)c)をもって確認した。 イ岐阜県知事は,P11ら3名の総代の資格については,本件認証申請書に添えられた平成26年10月11日付け総代であることの証明書(前提事実(3)イ(イ)d)に加え,A寺から追加提出された平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4)ア(ア))をもって確認した。 ウ原告らの主張について(ア) 地区総代として選定手続を経ていないとの主張についてA寺規則16条2項は,「総代は,この寺院の門徒で,衆望の帰するもののうちから選定する。」と規定しており,地区総代として選定手続を経ることは規定していない。また,法は,宗教法人の管理運営機関として 代表役員及び責任役員の制度を設けているが(18条),総代等その他の 機関については,規定を置いておらず,宗教法人の自主的な運営に委ねている。岐阜県知事は,A寺規則等に定めのないA寺内部の手続である地区総代の選定手続について関知する立場にないし,P11ら3名の総代の資格について岐阜県知事が行った上記イの調査以上に調査義務を生ぜしめるような,本件認証申請 規則等に定めのないA寺内部の手続である地区総代の選定手続について関知する立場にないし,P11ら3名の総代の資格について岐阜県知事が行った上記イの調査以上に調査義務を生ぜしめるような,本件認証申請に添付された資料が証する事実それ自体 が真実でないことを合理的に疑うべき事情等はなかった。 (イ) P11ら3名は「衆望」欠く上,解任されたとの主張についてこれらの事情が本件処分前に岐阜県知事に提供されたこともなく,本件認証申請の審査に当たり,これらの事情について岐阜県知事において疑いを生じるべき事実はなかったから,岐阜県知事が行った調査以上に 調査義務を生ぜしめるような,本件認証申請に添付された資料が証する事実それ自体が真実でないことを合理的に疑うべき事情等はなかった。 (3) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP14がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の2)ア岐阜県知事は,本件規則変更にP14が責任役員として同意したことに ついては,本件認証申請書に添えられた平成26年10月11日付け責任役員会議事録(前提事実(3)イ(イ)a)をもって確認した。 イ岐阜県知事は,P14の責任役員の資格については,本件認証申請書に添えられた平成26年10月11日付け責任役員であることの証明書(前提事実(3)イ(イ)b)に加え,A寺から追加提出された同月8日付け「責任 役員・総代選定届」(前提事実(4)ア(ウ))をもって確認した。 ウ原告らの主張について(ア) 適法な総代(P11ら3名)が責任役員P14を選定していないとの主張について上記(2)のとおりP11ら3名は適法な総代であ ウ原告らの主張について(ア) 適法な総代(P11ら3名)が責任役員P14を選定していないとの主張について上記(2)のとおりP11ら3名は適法な総代である。 (イ) 違法な1号2号各1人の規定に基づく選定であるとの主張について 責任役員P14が1号2号各1人の規定に基づき選定されたことは,その選定を無効とするまでの瑕疵には当たらない。 (4) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP3がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の3)ア岐阜県知事は,本件規則変更にP3が責任役員として同意したことにつ いては,本件認証申請書に添えられた平成26年10月11日付け責任役員会議事録(前提事実(3)イ(イ)a)をもって確認した。 イ岐阜県知事は,P3の責任役員の資格については,本件認証申請書に添えられた平成26年10月11日付け責任役員であることの証明書(前提事実(3)イ(イ)b)に加え,A寺から追加提出された平成24年3月13日 付けA寺責任役員会議事録(前提事実(4)イ(ア))を検討したが,P3が県知事認証規則9条1項2号に基づき選定されたことが確認できないとして,A寺に対し,意見陳述の機会を付与したところ,A寺から,同月14日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4)エ(ア)),平成27年1月31日付け総代会議事録(前提事実(4)エ(イ))等が追加提出され,岐阜県知事 は,これらをもってP3の責任役員の資格を確認した。 ウ上記の平成27年1月31日付け総代会議事録は,同日開催の総代会において,P11ら3名が,①P3が,平成24年3月14日,責任役員に選定 らをもってP3の責任役員の資格を確認した。 ウ上記の平成27年1月31日付け総代会議事録は,同日開催の総代会において,P11ら3名が,①P3が,平成24年3月14日,責任役員に選定され,以後,責任役員として事務の決定をしてきたことを追認し,②予備的に,P3をA寺規則9条1項2号に基づき責任役員に選定すること を確認する旨の決議(本件追認決議等)を内容とするものである。原告らは,本件追認決議等が無効である旨主張するが,以下のとおり,いずれも理由がないというべきである。 (ア) 公益的無効である場合,追認の余地はないとの主張について責任役員の資格及び選定に関し,A寺規則9条1項1号は,「この寺院 に僧籍を有する者のうちから代表役員が総代の同意を得て選定した者」, 同項2号は,「総代が選定した者」と規定し,いずれの条項によって責任役員を選定するにせよ,総代の同意が責任役員の選定の要件とされている。そして,1号と2号の要件を比較した場合,1号は,「僧籍を有する者」,「代表役員が選定した者」と2号に比して要件が加重されているとみることができる。よって,A寺において運用されていた1号に基づく 選定も,総代の同意を得た2号の要件を満たした選定であったと実質的には評価可能であるため,A寺が1号に基づきP3を責任役員に選定したことは,無効とするまでの瑕疵には当たらない。 すなわち,責任役員P3の選定につき総代の同意が存在する本件においては,2号に基づき選定すべきところ1号に基づき選定したという瑕 疵は,形式的で軽微な瑕疵にとどまるものであって,A寺が形式的な運用の誤りを正すため自ら追認の手続を行うことは可能である。 (イ) すべきところ1号に基づき選定したという瑕 疵は,形式的で軽微な瑕疵にとどまるものであって,A寺が形式的な運用の誤りを正すため自ら追認の手続を行うことは可能である。 (イ) 無効行為は将来的に追認し得るのみであり,例外的に遡及効を認めるためには第三者の法律関係を害さないことが必要との主張について本件追認決議等は本件処分の前にされているから,追認の遡及効を問 題とするまでもなく,本件処分の時点では本件規則変更に必要な責任役員P3の同意があったと認められることに変わりはない。追認の遡及効が問題となり得る場合でも,上記(ア)のとおり責任役員P3の選定に重大な瑕疵は存在しないから,追認に遡及効を認めて差し支えない。また,P3が本件規則変更に同意してから,本件処分が行われるまでに本件規 則変更の効力が発生しておらず(法30条),第三者の法律関係に何ら影響がないことからも,追認の遡及効を認めてよい。さらに,原告らが主張するような本件認証申請とは無関係の広範囲にわたる第三者への影響を考慮して追認決議の効力が判断されるべきではないし,少なくとも,岐阜県知事がそのような影響を考慮して本件追認決議等の実体的効力を 判断しなかったとしても,審査義務違反には当たらない。 エその余の原告らの主張について(ア) 総代として選任されていないP11ら3名が責任役員P3の選定に同意しているとの主張について上記(2)のとおりP11ら3名は適法な総代である。 (イ) 違法な1号2号各1人の規定に基づく選定であるとの主張について 上記ウ(ア)のとおり責任役員P3が1号2号各1人の規定に基づき選定さ 代である。 (イ) 違法な1号2号各1人の規定に基づく選定であるとの主張について 上記ウ(ア)のとおり責任役員P3が1号2号各1人の規定に基づき選定されたことは,その選定を無効とするまでの瑕疵には当たらない。 (5) 岐阜県知事において本件認証申請をしたP4がA寺の代表役員であると認めたことが適法か(争点2の4)ア岐阜県知事は,P4の代表役員の資格については,A寺が法9条に基づ き平成24年5月17日付けで岐阜県知事に登記事項証明書を添えて提出した本件役員変更届(前提事実(1)イ)をもって確認した。 なお,A寺規則6条は,「代表役員は,この寺院の住職の職にある者をもって充てる。」(1項),「住職は,宗憲により,C姓を名乗る男子たる教師について,B派の管長が任命する。」(2項)などと定めているところ,所 轄庁である岐阜県知事は,宗教上の地位とされる住職の任命手続については,調査確認をする立場にはないので,上記のとおり登記事項証明書が添えられた本件役員変更届をもって代表役員を確認した。 イ原告らの主張について(ア) 本件住職任命申請書には,総代P11ら3名,責任役員P4及び同 P17の同意を得て,住職P2がP4の住職任命申請をした旨の記載があり,原告らは,これらの同意は無効である旨主張するが,以下のとおり理由がない。 a 総代P11ら3名の同意についてP11ら3名は上記(2)のとおり適法な総代である。 b 責任役員P4及び同P17の同意について これらについて岐阜県知事が疑いを生じるべき 3名は上記(2)のとおり適法な総代である。 b 責任役員P4及び同P17の同意について これらについて岐阜県知事が疑いを生じるべき事情はなかった。 (イ) P4が解任されたとの主張についてこの事情が本件処分前に岐阜県知事に提供されたこともなく,本件認証申請の審査に当たり,この事情について岐阜県知事において疑いを生じるべき事情はなかったから,岐阜県知事が行った調査以上に調査義務 を生ぜしめるような,本件認証申請に添付された資料が証する事実それ自体が真実でないことを合理的に疑うべき事情等はなかった。 (6) 本件認証申請が申請権の濫用であるとして認証できない場合に当たるか(争点2の5)ア原告らにおいて本件認証申請が申請権の濫用に当たるとして主張する事 情が,本件処分前に岐阜県知事に提供されたこともなく,本件認証申請の審査に当たり,これらの事情について岐阜県知事において疑いを生じるべき事情はなかったから,岐阜県知事が行った調査以上に調査義務を生ぜしめるような,本件認証申請に添付された資料が証する事実それ自体が真実でないことを合理的に疑うべき事情等はなかった。 イ本件の証拠関係からすれば,A寺が本件認証申請を行った目的は,県知事認証規則のうち,責任役員の資格規定の内容が,A寺が実際に運用してきた内容と齟齬していたことから,県知事認証規則を実際の運用に合わせることが目的であったことがうかがわれるのであり,A寺が,これ以外の違法不当な目的を有していたことをうがわせる証拠はないから,本件認証 申請が申請権の濫用であると評価することは到底できない。 ウ岐阜県知事とし われるのであり,A寺が,これ以外の違法不当な目的を有していたことをうがわせる証拠はないから,本件認証 申請が申請権の濫用であると評価することは到底できない。 ウ岐阜県知事としては,本件認証申請に対しては,法が定める規則変更の認証要件を充足しているか否かを羈束行為として審査する立場にすぎず,多数の紛争が係属しているA寺の関係者間で,本件処分がどのような意味を持つのかは岐阜県知事の知るところではないが,少なくとも,本件認証 申請が権利の濫用であるとか不当であるとして同申請を拒否するという処 分が考えられないことは,論ずるまでもないところである。 (7) 本件処分の当時において岐阜県知事はA寺の所轄庁であったか(争点2の6)ア宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事である(法5条1項)が,他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人 にあっては,その所轄庁は,文部科学大臣となる(同条2項1号)。 そのため,通達により,都道府県知事を所轄庁とする宗教法人が,他の都道府県内に境内建物を備えた場合には,所轄庁である都道府県知事を経由して,文部科学大臣宛て届け出ることとされており,その後,文化庁において,当該届出の内容を確認した上,所轄庁の変更に関し,届出を受け た都道府県知事を経由して当該宗教法人に通知することとされている。 なお,所轄庁が変更となる日は,文化庁からその宗教法人に対し,所轄庁が変更になる旨の通知を行った日とされている(丙14)。 イ A寺(P2)は,平成22年6月18日付けで,岐阜県知事に対し,埼玉県内に境内建物(本件土地建物)を備えた旨の届出(以下「本件届出」 という。)を行った れている(丙14)。 イ A寺(P2)は,平成22年6月18日付けで,岐阜県知事に対し,埼玉県内に境内建物(本件土地建物)を備えた旨の届出(以下「本件届出」 という。)を行った(岐阜県知事は,本件届出により,平成11年にA寺に対し本件土地建物の所有権移転登記手続がされたことを知った。)。しかし,その後,現在まで,文化庁から岐阜県知事を経由してA寺に対し,所轄庁が文部科学大臣に変更になる旨の通知はされていない。したがって,A寺の所轄庁は岐阜県知事のままで変更されておらず,岐阜県知事がA寺の所 轄庁として本件処分をしたことに違法はない。 ウ岐阜県知事は,文化庁と相談の上,平成25年12月18日の段階で,平成22年6月にA寺がした本件届出については,関係の建物で訴訟が係属しており,法所定の境内建物とは認められないものであったため,訴訟終結後に改めて届出がされるのがよいとして,本件届出に基づく所轄庁変 更はできないとの判断がされ,岐阜県知事は,同月25日,A寺に対し, その旨を連絡したものであり,所轄庁変更ができないことは,その後,A寺が本件届出を取り下げたか否かによって左右されるものではない。 仮に,文化庁から所轄庁変更に関する通知がないのに,岐阜県知事の独自の判断で,本来の所轄庁は文部科学大臣であるとして,本件認証申請の審査を行わないとすれば,A寺の所轄庁の業務を行う行政庁が不在となる が,そのような取扱いは,法定受託事務であるところの法に基づく事務(地方自治法別表第1)の運用としておよそ考えられず,岐阜県知事がA寺の所轄庁としての事務を行わないという選択肢はなかった。 エ 「境内建物を備える」(法5条2項1号)とは,必ずしも境内建物の所有を意味 1)の運用としておよそ考えられず,岐阜県知事がA寺の所轄庁としての事務を行わないという選択肢はなかった。 エ 「境内建物を備える」(法5条2項1号)とは,必ずしも境内建物の所有を意味するものではなく,貸借契約に基づくものを含むが,一時的な使用 に係るものは除くものであり,また,境内建物は供用される状態にあることを必要とすると解される(丙18)。したがって,他者に占有されるなどして,その本来の目的に使用することができない場合には,「境内建物を備える」(法5条2項1号)とはいえないというべきである。 これを本件土地建物についてみると,本件建物等の占有等がまさに係争 の対象物となっており,本件建物の主要部分をP15に占有されていた事実がうかがわれ,少なくとも,A寺がその占有を回復するため,本件建物の明渡しを求めた裁判において,A寺を勝訴させた第1審判決を支持した東京高等裁判所(以下「東京高裁」という。)平成27年2月10日判決(以下「平成27年2月判決」という。甲9)が確定した後でなければ,A寺 の所轄庁を判断する上で基準となるA寺の境内建物に当たるとは認められないというべきである。本件処分当時,岐阜県知事は,平成27年2月判決の存在自体をそもそも知らなかったが,この点を措くとしても,本件処分時点で,同判決は未確定であったから,A寺の所轄庁が文部科学大臣に変更されたと認める余地はなかったものである。 (8) まとめ よって,本件処分は適法である。 (A寺の主張)(1) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認めたことが適法か(争点2の1)ア P11ら3名は,平成24年2月役員会に (A寺の主張)(1) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認めたことが適法か(争点2の1)ア P11ら3名は,平成24年2月役員会において総代(届出総代)に選 定されており,その後,総代(届出総代)を解任された事実もない。 イしたがって,P11ら3名は,総代として本件規則変更に同意した。 (2) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP14がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の2)ア P14は,平成26年10月4日に開催された平成26年10月役員会 において責任役員に選定された。 イしたがって,P14は,責任役員として本件規則変更に同意した。 (3) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP3がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の3)ア P2が平成24年4月28日に住職を退任し,P4が後任の住職に任命 申請されることから,P3は,同年3月12日に開催された平成24年3月役員会において,次期(同年4月1日以降の)総代であるP11ら3名の同意を得て,P4が住職に任命された後の後任の責任役員に選定されており,同年3月14日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4)エ(ア))記載のとおり,P3は,1号2号各1人の規定である本山承認規則9条1 項1号に基づき責任役員に選定され,総代であるP11ら3名がP3の責任役員選定に同意した。 イ本件追認決議等(前提事実(4)エ(イ))が有効であることについては,被告県の主張(上記第3の2(被告県の主張)(4)ウ)を援用する。 ウしたがって,P3は,責任役員として本件規則変更に同意し 決議等(前提事実(4)エ(イ))が有効であることについては,被告県の主張(上記第3の2(被告県の主張)(4)ウ)を援用する。 ウしたがって,P3は,責任役員として本件規則変更に同意した。 (4) 岐阜県知事において本件認証申請をしたP4がA寺の代表役員であると認 めたことが適法か(争点2の4)ア本件住職任命申請が有効であること(ア) 本件住職任命申請書に適法な総代の同意及び署名押印があること本件住職任命申請書において,適法な総代であるP11ら3名が本件住職任命申請に同意し,署名押印している。 a 平成24年3月14日付け本件住職任命申請は,総代の改選後(平成24年4月1日から)の同月28日にP2が住職を退任することを前提とするものであり,現にP4が住職に任命されたのも同日であるから,住職の任命時に総代の地位にある者による同意は,その同意を求めた規定(A寺規則6条等)の趣旨に沿うものである。 b 平成24年2月12日,P18(β,γ,δ地区代表),P19(ε地区代表),P20(ζ地区代表),P11及びP13(η地区代表),P12(θ,ι,κ地区代表),P2,P4,P17及びP3の10名が出席(λ地区代表のP21とμ地区代表のP22は欠席)して開催された平成24年2月役員会(なお,役員会の「役員」とは,代表役 員,責任役員,地区総代,寺世話を意味する。)において,P11ら3名が総代に,P17が責任役員にそれぞれ選定された。平成24年2月役員会の議事録には,P2及びP4のほか,P11,P12及びP13(P11ら3名),P17,P18が署名押印し,欠席したP22も追認して署名押印し 17が責任役員にそれぞれ選定された。平成24年2月役員会の議事録には,P2及びP4のほか,P11,P12及びP13(P11ら3名),P17,P18が署名押印し,欠席したP22も追認して署名押印している。 なお,平成23年のA寺の門徒戸数は合計93戸であり(丁91の1),その構成は,β地区5戸,μ地区12戸,ε地区5戸,ζ地区11戸,λ地区10戸,η地区17戸,ν地区7戸,ξ地区6戸,π地区10戸,κ地区4戸,δ地区3戸,γ地区,θ地区及びι地区が各1戸となっていたから,平成24年2月役員会に出席した地区総代(P 18,P19,P20,P11ら3名)と決議を追認した地区総代(P 22)は,合計60戸の門徒戸数を代表している。 c したがって,P4が住職に任命された当時の総代は,P11ら3名であるところ,本件住職任命申請書には,P11ら3名の同意及び署名押印がある。 (イ) 本件住職任命申請書に適法な責任役員の署名押印があること 本件住職任命申請書において,適法な責任役員であるP4及びP17が署名押印している。 aP17は,平成24年2月役員会において,責任役員に選定されており(上記(ア)b),同年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4)ア(ア))記載のとおり,P4は,1号2号各1人の規定であ る本山承認規則9条1項1号に基づき,P17は,同項2号に基づきそれぞれ責任役員に選定され,総代であるP11ら3名が同人らの責任役員選定に同意した。 b したがって,P4が住職に任命された当時の代表役員以外の責任役員は,P4及びP17の2名であるところ,本件住職任命申請 であるP11ら3名が同人らの責任役員選定に同意した。 b したがって,P4が住職に任命された当時の代表役員以外の責任役員は,P4及びP17の2名であるところ,本件住職任命申請書には, P4及びP17の署名押印がある。 (ウ) 原告らは,1号2号各1人の規定に基づく責任役員選定は,2号2人の規定である県知事認証規則に反しており,無効である旨主張する。 しかし,A寺においては,1号2号各1人の規定である本山承認規則により責任役員を選定するとの運用が行われていたものであり,少なく とも,総代が主体となって2名の責任役員を選定するとの方法が採られたことは1度もない。そして,責任役員の選定について,県知事認証規則9条1項(2号2人の規定)と本山承認規則9条1項(1号2号各1人の規定)との間に齟齬がある以上,A寺における現実の法規範である本山承認規則9条1項によることが違法であるとはいえない。 (エ) 以上によれば,本件住職任命申請は有効であるから,宗務総長がし たP4の住職任命(本件住職任命)は有効である。 イ P4は住職の任命後,住職を解任されていないこと原告らは,平成24年9月以降の総代会等における複数の解任決議によP4を住職から解任した旨主張する。しかし,A寺規則6条1項により,A寺の代表役員は住職を充てるところ,住職を解任できるのは,B派の宗 務総長であり(A寺規則40条,B派条例17条),A寺の総代及び責任役員は,住職任命申請書に署名押印するか否かの立場しかなく,住職の選任権及び解任権を有さないというべきであるから,原告らが主張するP4の解任はすべて無効である。 ウしたがって び責任役員は,住職任命申請書に署名押印するか否かの立場しかなく,住職の選任権及び解任権を有さないというべきであるから,原告らが主張するP4の解任はすべて無効である。 ウしたがって,P4は,責任役員として本件規則変更に同意し,代表役員 として本件認証申請をした。 (5) 本件認証申請が申請権の濫用であるとして認証できない場合に当たるか(争点2の5)ア A寺においては,1号2号各1人の規定である本山承認規則により責任役員を選定するとの運用が行われていたものであり,責任役員の選定につ いて,県知事認証規則9条1項(2号2人の規定)と本山承認規則9条1項(1号2号各1人の規定)との間に齟齬がある以上,A寺における現実の法規範である本山承認規則9条1項によることが違法であるとはいえない。したがって,A寺が1号2号各1人の規定によって判決等を騙取したとする原告らの主張は,理由がない。 イ A寺が本件認証申請を行った目的は,県知事認証規則のうち,責任役員の選定に関する規定が,A寺が実際に運用してきた本山承認規則と齟齬していたことから,県知事認証規則を本山承認規則に合わせるためであり,これ以外の目的を有するとする原告らの主張は理由がない。 (6) まとめ よって,本件処分は適法である。 3 本件裁決に裁決固有の瑕疵があるか(争点3)(原告らの主張)(1) 本件処分とは異なる理由に基づく判断をしたこと(瑕疵1)上記第3の2(原告らの主張)(1)アのとおり,宗教法人規則変更認証手続において,審査庁は,所轄庁と同様,その審査事項に疑義がある場合には, 事実の調査を行うことができると解される。 上記第3の2(原告らの主張)(1)アのとおり,宗教法人規則変更認証手続において,審査庁は,所轄庁と同様,その審査事項に疑義がある場合には, 事実の調査を行うことができると解される。 本件裁決においては,岐阜県知事が本件処分において考慮しなかったと考えられる平成27年2月判決を前提として,原処分である本件処分とは別個の理由に基づいて判断しているところ,そのような本件処分とは別個の理由に基づく判断の誤りは,本件裁決固有の瑕疵である。 (2) A寺の提出した書面や証拠が原告らに開示されなかったこと(瑕疵2)A寺は,本件審査請求の手続に第三者として参加し,文部科学大臣に対し,虚偽主張又は虚偽証拠若しくは偽造証拠を含む書面及び証拠を提出していたところ,これらの書面等は原告らに全く開示されず,文部科学大臣が,これらの書面等を前提として本件裁決を行ったことは明らかである。したがって, 本件裁決は,事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものであって,このことは,本件裁決固有の瑕疵である。 (3) 審尋を行わなかったこと(瑕疵3)原告らは,本件審査請求の手続において,文部科学大臣に対し,本件は,法律上及び事実上複雑な経過を辿ってきた事件であるから,審尋の必要性が あるとして,平成26年法律68号による全部改正前の行政不服審査法(以下「改正前行服法」という。)30条に基づき,複数回にわたる審尋の申立て(以下「本件審尋申立て」という。)を行ったが(甲79の1,2),文部科学大臣は,審尋の必要がないものと判断して,本件審尋申立てを却下した(甲80の1,2)。文部科学大臣は,本件審査請求の過程で,A寺が,本件処分 までに,岐阜県知事に対し,1号 1,2),文部科学大臣は,審尋の必要がないものと判断して,本件審尋申立てを却下した(甲80の1,2)。文部科学大臣は,本件審査請求の過程で,A寺が,本件処分 までに,岐阜県知事に対し,1号2号各1人の規定を有効とした多数の違法 な先行諸判決の存在を隠蔽していたことが明らかになっていたにもかかわらず,A寺の主張立証を漫然と採用した上,本件審尋申立てを却下したものであり,このことは,本件裁決固有の瑕疵である。 (4) 関連訴訟の判決(平成27年2月判決等)における事実誤認等を考慮しなかったこと(瑕疵4) A寺は,本件審査請求の過程で提出した意見書に,1号2号各1人の規定の認識を平成23年まで有していなかった旨記載しているが,平成27年2月判決に係る訴訟の審理においては,昭和34年当時から1号2号各1人の規定が運用されていた旨の主張立証をしているところ,文部科学大臣は,このような矛盾主張を追及し,A寺が騙取した平成27年2月判決を含む多数 の違法な先行諸判決を審査すべき義務があったにもかかわらず,その審査義務を尽くしていない。このことは,本件裁決固有の瑕疵である。 (5) 管轄違いがあること(瑕疵5)文部科学大臣は,本件審査請求の手続において,本件処分をしたのがA寺の所轄庁ではない岐阜県知事であるという違法については,何ら審理をして いないところ,このことは,本件裁決固有の瑕疵である。 (被告国の主張)(1) 本件処分とは異なる理由に基づく判断をしたこと(瑕疵1)についてア行訴法10条2項は,「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には, 裁決の取消し したこと(瑕疵1)についてア行訴法10条2項は,「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には, 裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定している。これは,原処分とこれに対する審査請求を棄却等した裁決がある場合には,法律に特別の定めがない限り,原処分と裁決のいずれに対しても取消訴訟を提起することが可能であるが,この場合には,原処分の違法事由(瑕疵)は,処分の取消しの訴えにおいて のみ主張することが許され,裁決の取消しの訴えにおいては,裁決固有の 瑕疵のみを主張することができるとする原処分主義を定めるものである。 この点,裁決固有の瑕疵とは,裁決における違法事由のうち原処分が適法であるとした実体的判断に関するものを除いたもの,具体的には,裁決の手続に関する瑕疵として,①裁決主体の瑕疵(合議体の裁決機関における欠格者の参加,適法な招集手続の欠如等),②審理手続の瑕疵(他の機関の 諮問・議決の欠如,審理方式の瑕疵等),③裁決形式の瑕疵(理由付記の不備等)等をいうと解される。 法は,原処分とこれに対する審査請求を棄却した裁決がある場合に,裁決の取消訴訟のみを認めるいわゆる裁決主義を採っておらず,原告らは,原処分及び裁決のいずれについても取消訴訟を提起することができるから, 行訴法10条2項により,本件裁決の取消訴訟(甲事件)においては,本件裁決固有の瑕疵の主張のみが許されることになる。 イ審査請求棄却の裁決の理由が原処分のそれと異なっているか,又は客観的に誤っているとしても,結局,原処分を正当として維持した点において異なるところがない以上,判断の抵触 ことになる。 イ審査請求棄却の裁決の理由が原処分のそれと異なっているか,又は客観的に誤っているとしても,結局,原処分を正当として維持した点において異なるところがない以上,判断の抵触を避けようとした行訴条10条2項 の趣旨に照らし,裁決の理由の誤り自体は裁決固有の瑕疵とはいえない。 (2) A寺の提出した書面や証拠が原告らに開示されなかったこと(瑕疵2)についてア原告らの上記主張は,結局のところ,本件裁決における個々の主張や評価の問題として,原処分を正当として維持した実体的判断を論難するもの にすぎず,裁決固有の瑕疵を主張するものではないから,失当である。 イこの点を措くとしても,文部科学大臣は,審査請求人である原告らから提出された審査請求書,岐阜県知事から提出された弁明書,参加人であるA寺から提出された意見書等の審査を行った結果,岐阜県知事が本件認証申請について,A寺から提出された認証申請書及び添附書類を審査し,証 明事実の存否に疑いを持った点(責任役員の資格及び選定方法に関し,A 寺が認証規則とは異なる運用をしているとの疑いがある点)については,その疑いを解明するため,A寺に対し,本件規則変更に同意した責任役員の就任時期や任期等について書面により照会し,疎明資料の提出を求めるなどの更なる審査を行い,規則変更に係る法の規定の要件を満たすものと認め,本件規則変更を認証したことが確認されたものである。その上で, 証明事実について疑うべき点が認められなかったことから,岐阜県知事の本件処分に違法・不当な点がないと判断したものである。 したがって,本件裁決の基礎とされた重要な事実に誤認があるとは認められず,事実に対する評価が明らかに合理性 から,岐阜県知事の本件処分に違法・不当な点がないと判断したものである。 したがって,本件裁決の基礎とされた重要な事実に誤認があるとは認められず,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないことにより,その内容が社会通念に照ら し,著しく妥当性を欠くとも認められず,原告らの主張は理由がない。 ウなお,本件審査請求に適用される改正前行服法には,審査庁が参加人から提出された書面を審査請求人に送付しなければならないことを規定する条文はないため,文部科学大臣が参加人であるA寺から提出された意見書及び証拠書類を原告らに送付しなかった点も,手続上何ら違法ではない。 (3) 審尋を行わなかったこと(瑕疵3)についてアそもそも,文部科学大臣において,A寺が故意に事実を隠蔽して本件処分を取得したことを明確に認識していたという事実はない。 イこの点を措くとしても,改正前行服法30条は,「審査庁は,審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で,審査請求人又は参加人を審尋 することができる。」(傍点引用者)と規定しており,同条は,審査請求人又は参加人が主張し,立証した事項について,更にその内容を明確なものとする必要がある場合に,審査庁が職権若しくは審査請求人等の申立てに基づいて,審査請求人又は参加人を審尋することができることを明文化したものである。同条に規定する審尋の申立てについては,審査庁がその内 容を審査して採用するかどうかを決定するものであり,この採否の判断は, 審査庁の裁量に委ねられていると解される。 この点,行政処分における裁量については,その基礎とされた重要な事実に誤認があ どうかを決定するものであり,この採否の判断は, 審査庁の裁量に委ねられていると解される。 この点,行政処分における裁量については,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著 しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となると解されている(最高裁平成18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁)。 ウそして,法28条1項は,所轄庁が規則変更の認証申請を受理した場合においては,①その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定 に適合していること(同項1号),②その変更の手続が法26の規定に従ってなされていること(同項2号)という要件を備えているかどうかを審査し,これらの要件を備えていると認めたときはその規則の変更を認証する旨の決定をしなければならない旨規定している。 この点,所轄庁としては,受理した規則及びその添附書類の記載によっ て,当該申請に係る事案が法28条1項各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査すれば足り,例えば,規則変更の動機,実質的目的や実体的係争事情の有無というような,法28条1項各号に掲げる要件以外の事項を審査する権限を有するものではなく,かえって,そうした審査をすることは許されないと解される。また,所轄庁及び審査庁において,添附書類 によって証明しようとする事実の存在を疑うに足る合理的な理由がある場合には,その疑いを解消するために当該事実の存否について審査することは妨げられないと解 ,所轄庁及び審査庁において,添附書類 によって証明しようとする事実の存在を疑うに足る合理的な理由がある場合には,その疑いを解消するために当該事実の存否について審査することは妨げられないと解されるが,この場合においても,宗教法人の自治は尊重しなければならず,所轄庁及び審査庁がこれを侵すことは許されない。 エ文部科学大臣は,上記イ及びウを踏まえて,上記(2)イのとおり審査を行 った結果,原告らが申し立てた審尋は不要であると判断し,採用しなかっ たものであり,そのことに手続上の違法は何ら認められず,裁量の逸脱濫用もないから,原告らの主張には理由はなく失当である。 (4) 関連訴訟の判決における事実誤認等を考慮しなかったこと(瑕疵4)について本件審査請求における審査の対象ないし権限は,あくまでも本件規則変更 を内容とする本件認証申請が,法28条1項各号に掲げる要件を満たすかどうかの点にある。そして,上記(3)ウのとおり,所轄庁としては,受理した規則及びその添附書類の記載によって,当該申請に係る事案が法28条1項各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査すれば足りることなどからすれば,文部科学大臣にA寺が騙取した多数の違法な先行諸判決を審査すべき義 務があるとする原告らの主張は,本件審査請求における審査の対象ないし権限を踏まえないものであって理由がなく失当である。 (5) 管轄違いがあること(瑕疵5)についてア宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事である(法5条1項)が,他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人 にあっては,その所轄庁は,文部科学大臣となる(同条2項1号)。 イ平成22年6月18日, 管轄する都道府県知事である(法5条1項)が,他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人 にあっては,その所轄庁は,文部科学大臣となる(同条2項1号)。 イ平成22年6月18日,被告県から文化庁に対し,A寺が埼玉県内に境内建物(本件土地建物)を備えた旨のA寺の所轄庁変更に係る届出(本件届出)が提出されたため,文化庁において,同日以後,本件届出の確認を行った結果,本件届出対象の埼玉県内の本件土地建物の所有権等をめぐっ て,A寺とDとの間で訴訟が係属中であり,本件土地建物の所有権等の権利関係が確定しておらず,仮にその当時においてA寺が本件土地建物を使用していたとしても,近い将来,権利者が変更される可能性があり,長期的に使用できるものとは認められなかった(その後,実際に本件土地建物の所有権はDに移転した。)ため,A寺の所轄庁変更の要件(上記ア)の具 備を確認することができなかった。 このため,文化庁は,被告県と協議の上,A寺に対し本件届出の取下げを提案し,もって所轄庁変更の要件を満たしていない本件届出を放置することなく,所轄庁変更が認められない旨の連絡を行った。しかるに,A寺から本件届出が取り下げられることはなく,また,新たな届出等もされないまま現在に至っている(今後,A寺から新たに所定の要件を具備した所 轄庁変更の届出がされた場合,改めて所轄庁変更に係る上記確認が行われ,要件の具備が認められれば,所轄庁が変更されることになる。)。 ウしたがって,本件処分までにA寺の所轄庁は変更されておらず,岐阜県知事がA寺の所轄庁として本件処分をしたことについて何らの違法が認められない以上,審査庁の審査義務の懈怠が問題となる余地はないから,こ の点に関する原告らの主張 轄庁は変更されておらず,岐阜県知事がA寺の所轄庁として本件処分をしたことについて何らの違法が認められない以上,審査庁の審査義務の懈怠が問題となる余地はないから,こ の点に関する原告らの主張に理由がないことは明らかである。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(原告らに本件処分の取消しを求める原告適格があるか)について被告県は,原告らに本件処分の取消しを求める法律上の利益があることを争っていないが,被告県補助参加人であるA寺はこれを争うので,検討する。 (1) 判断枠組み行訴法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取り消しを求めるに月「法律上の利益を有するもの」とは,当該り自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規 が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するも のというべきである。そして,処分の名宛人以外の者について上記の法律上 の利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び内容をも参酌し,当該利益の内容及び 慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び内容をも参酌し,当該利益の内容及び性質を 考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものと解される(同条2項)(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2) 検討ア法における規則認証制度の趣旨,目的等法は,宗教団体が,礼拝の施設その他の財産を所有し,これを維持運用し,その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため,宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とするものであり(1条 1項),その業務の管理に関しては,代表役員,責任役員等を置くべきことやその業務に関する規定を置いている(第3章)。 また,法は,宗教法人を設立しようとする者は,所定の事項を記載した規則を作成し,その規則について所轄庁の認証を受けなければならないものとし(12条1項),所轄庁は,規則の内容や設立の手続が法14条1項 の要件を備えているかどうか審査した上で,これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をしなければならないものとしているところ,規則には,代表役員,責任役員等の呼称,資格及び任免等に関する事項も記載すべきこととしている(12条1項)。さらに,法26条1項及び27条は,規則を変更する場合は,規則の定めるところにより その変更のための手続をし,所轄庁の認証を受けなければならないものと こととしている(12条1項)。さらに,法26条1項及び27条は,規則を変更する場合は,規則の定めるところにより その変更のための手続をし,所轄庁の認証を受けなければならないものと し,法28条1項及び14条1項は,所轄庁は,その認証の申請に係る事案が法28条1項の要件を備えているかどうかを審査した上で,これらの要件を備えていると認めたときはその規則の変更を認証する旨の決定をしなければならない旨規定している。 他方,法は,宗教法人の最終的な意思決定に信者の意見が反映されるよ う,一定の重要な行為につき,信者に対して公告をするものとしており(12条3項,23条,26条2項,34条1項,35条3項,44条2項),宗教法人の設立に当たっては,信者その他の利害関係人に対して,規則の案の要旨を示してその設立を公告しなければならず(12条3項),また,被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは,変更 の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない(26条2項)ことなどを定めている。 これらの規定によれば,法は,宗教法人の設立に当たり,その役員の任免等に関する事項を含めた規則を作成せしめ,所轄庁がその規則や手続を認証することでそれが法令に適合しているかどうかの合法性を認証するこ とによって公に確認し,また,規則の変更に当たっても,当該規則が定める手続を履践しているか否かを確認する権限を所轄庁に認め,もって適正な宗教法人の運営を確保しようとしているものと解されるところ,規則の変更に関する上記の規定の趣旨,目的は,基本的には,宗教法人の適切な業務等の運営に資するという公益の保護の点にあるというべきであるが, 一定の範囲で,信者その他の利害関係人の利益の保護 規則の変更に関する上記の規定の趣旨,目的は,基本的には,宗教法人の適切な業務等の運営に資するという公益の保護の点にあるというべきであるが, 一定の範囲で,信者その他の利害関係人の利益の保護にも配慮しているということができる。 イ A寺規則等の位置付けとその趣旨,目的等上記のとおり,法26条は,宗教法人の規則の変更について,規則の定めるところによりその変更のための手続をすべき旨を定めていることに照 らすと,規則の変更についての認証に関する法の趣旨及び目的を考慮する に当たっては,当該宗教法人の規則の趣旨及び内容と,当該規則と一体となって当該宗教法人を規律する包括団体の規則等をも参酌すべきであると解される。 そこで,A寺規則(別紙2の第2及び同第2の冒頭で掲げた証拠参照)についてみるに,同規則には,A寺の事務所には,門徒名簿を備えること (35条),A寺の経費は,門徒の寄附金その他普通財産たる収入をもって支弁すること(26条)が規定されており,宗教法人の事務所の所在地(2条),包括団体(3条),合併又は解散(37条)に関する規則を変更する場合には,門徒の3分の2の同意が必要であるとされている(36条)。また,門徒であることは,寺院に置かれる3人の総代となることの資格要件 とされ(16条),総代の地位にある者は,責任役員の選定(9条2号)を行うほか,責任役員に協力して寺院の興隆に努めなければならず,寺院の業務について,勧告及び助言をすることができるとされ(17条),寺院の一定の業務(借入等,主要建物の新築等,土地の著しい模様替,主要な境内建物及び境内地の用途の変更等)については,原則として総代の同意が 必要であることとされている(18条)。また, ),寺院の一定の業務(借入等,主要建物の新築等,土地の著しい模様替,主要な境内建物及び境内地の用途の変更等)については,原則として総代の同意が 必要であることとされている(18条)。また,A寺規則は,B派宗憲及びB派規則中この法人に関係がある事項に関する規定は,この法人についてもその効力を有する旨規定するところ(40条),B派宗憲84条の下で定められたB派門徒条例6条において,門徒は,その責務を完うし衆望の帰するものに就いて総代を選定しなければならないと定めている(丁15の 1,2)。 これらの規定によれば,A寺規則等は,A寺の門徒を,A寺の基本的な構成員であると位置付けているのみならず,規則のうち一定の重要事項を変更する場合にその同意を必要とすることとし,また,寺院の業務に関与する総代となるための資格要件とすることとして,宗教法人の組織的運営 にも一定の関わりのある者としても位置付けているということができるか ら,門徒の利益の保護をその趣旨,目的としていると解することができる。 ウ法令違反の処分がされた場合に害される利益の内容及び性質本件規則変更は,責任役員の資格及び選定方法を変更するものであり,具体的には,従前は,責任役員2名のうち2人とも,総代が選定する者とする旨の規定であったのを,うち1人はA寺に僧籍を有する者のうちから 代表役員が総代の同意を得て選定した者とするという内容である。 しかるに,責任役員は,宗教法人においてその事務を決定する(法18条4項)という職責を付された,組織上の重要な機関であり,その責任役員となることができる資格やそれを選定する者をどのように規律するかは宗教法人という組織における基本事項ということが 決定する(法18条4項)という職責を付された,組織上の重要な機関であり,その責任役員となることができる資格やそれを選定する者をどのように規律するかは宗教法人という組織における基本事項ということができるところ,本件規 則変更はこれを変更するものであること,また,本件規則変更の内容は,責任役員の選定に関する総代の地位を低下させ,その地位に影響を及ぼすものであり,ひいては,総代を選定する立場にある門徒の地位にも影響を及ぼし得るものであるということができることからすると,本件規則変更によって害され得る利益の内容及び性質は,門徒に対して即時的かつ直接 的な影響を及ぼすものとまではいえないものの,宗教法人としての基本的な組織規律を変更するという意味で重要な影響を及ぼすものであり,A寺の構成員たる門徒の地位ないし利益に影響を与え得るものであると解される。 エ小括 以上のような宗教法人における責任役員及び規則認証に関する法の規定やそれに基づいて定められたA寺規則等の規定の趣旨及び目的,これらの規定が当該宗教法人の組織や規則認証の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質,本件規則変更の内容等を考慮すれば,法は,これらの規定を通じて,公益的見地から規則の変更を規制するとともに,当該 宗教法人の構成員たる門徒に対して,本件規則変更が責任役員の選定方法 を変更することによって生じ得る門徒の組織上の地位の低下を受けないことを,その個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。(なお,本件は,特定の人物が宗教法人の代表役員の地位にあることの確認を求める訴えという紛争類型ではなく,責任役員一般につきその選定に係る規則変更の認証の当否が争われているという紛 のが相当である。(なお,本件は,特定の人物が宗教法人の代表役員の地位にあることの確認を求める訴えという紛争類型ではなく,責任役員一般につきその選定に係る規則変更の認証の当否が争われているという紛争類型 であることからすると,両者の訴訟において原告適格が認められる者の範囲が異なるとしても,不合理とはいえない。)原告らがA寺の門徒であることは争いがないから(前提事実(1)ウ),その余の点について判断するまでもなく,原告らは,本件規則変更を認証した本件処分の取消しを求める法律上の利益があると認められる。 2 争点2(本件処分の適法性)について(1) 所轄庁の審査義務の範囲についてア法は,信教の自由を尊重すべきであるとの見地から,法のいかなる規定も,個人,集団又は団体が,その保障された自由に基づいて,宗教団体が宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない旨定め(1 条2項),その自主的な活動を最大限保障することとしている。 また,法は,宗教団体は法により宗教法人となることができ(4条),宗教法人は,法令の規定に従い,規則で定める目的の範囲内において,権利を有し,義務を負う旨定め(10条),宗教法人を設立しようとする者は,規則について所轄庁の認証を受けなければならない旨定めている(12条 1項)。 そして,法14条1項は,所轄庁は,規則認証の申請を受理した場合,同項各号の要件(規則に関しては,同項2号の「当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。」という要件,設立の手続に関しては,同項3号の「12条の規定に従ってなされていること。」という要件)を備 えているかどうかを審査し,これらの要件を備えてい 他の法令の規定に適合していること。」という要件,設立の手続に関しては,同項3号の「12条の規定に従ってなされていること。」という要件)を備 えているかどうかを審査し,これらの要件を備えていると認めたときはそ の規則を認証する旨の決定をし,これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添付書類の記載によってはこれらの要件を備えているかどうか確認することはできないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない旨を定め,法13条は,申請に当たって提出すべき書類を具体的に列挙し,認証を受けようとする規 則のほか,添附書類として,信者その他の利害関係人に対し規則の案の要旨を示して公告したことを証する書類等を提出すべきこととしている。 上記の各規定の定めによれば,所轄庁による規則認証に関する審査は,宗教法人として法人格を認めるか否かという観点から,法その他の法令の規定に適合しているものであることを公に確認するという性格を有するも のであり,規則認証がされなければ当該規則が当該宗教団体において実体的な効力が生じないとされているわけではないと考えられる。 そして,以上のような法の解釈原則,規則認証の審査方法を定めた上記の規定の文言及び規則認証の性格に鑑みると,規則の認証の申請があった場合,所轄庁としては,受理した規則及びその添附書類の記載によって, 当該申請が法14条1項各号に掲げる要件を備えているかどうかの審査をすることが原則とされていると解するのが相当である。 しかしながら,その審査事項を証するために提出を要する添付書類は,証明事実の真実の存在を首肯させるに足りる適切な文書であることを必要とし,単に形式的に証明文言の のが相当である。 しかしながら,その審査事項を証するために提出を要する添付書類は,証明事実の真実の存在を首肯させるに足りる適切な文書であることを必要とし,単に形式的に証明文言の記載のある文書が整っているだけでは足り るものではなく,また,証明書類は存するにしても,証明事実が虚偽であることが所轄庁に知れているときはもちろん,所轄庁において証明事実の存否に理由ある疑いを持つ場合に,その疑いを解明するためにその事実の存否につき審査したからといって,これをその権限の逸脱とはし難く,その証明事実の存否を他の証拠によって認定することは妨げられない。他方 において,上記のような審査を経て,規則認証申請を許容すべきものとし た決定がされたとしても,証明文書等の不実の記載が判明するに至った場合(例えば,審査事項に関し添付書類の記載と異なる事実が存在することが関係当事者間において争いがないとか,添付書類の記載と異なる事実が存在することが公権的な作用によって認定されたなどの事情が生じた場合)は,当該決定を相当として支持することはできないと解される(昭和41 年最高裁判決)。 イ法28条1項は,規則変更の認証に関し,法14条1項の規定に準じて決定をしなければならない旨を規定する。 したがって,規則変更の認証に関する決定の場合も,上記アと同様に,所轄庁は,当該申請に係る事案が法28条1項各号に掲げる要件(規則に 関しては,同項1号の「その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。」という要件,変更の手続に関しては,同項2号の「26条の規定に従ってなされていること。」という要件)を備えているかどうかを,法27条の規定により提出すべきものとされる書面( 規定に適合していること。」という要件,変更の手続に関しては,同項2号の「26条の規定に従ってなされていること。」という要件)を備えているかどうかを,法27条の規定により提出すべきものとされる書面(変更しようとする事項を示す書類(規則)及び添附書類(規則の変更の決定 について認証規則で定める手続を経たことを証する書面等))の記載によって審査することが原則とされるが,例外として,証明事実が虚偽であることを所轄庁が知っていた場合や証明事実の存在に所轄庁が合理的な疑いを持つ場合は,所轄庁としては,添附書類の記載内容を超えて事案解明のための審査をすることができ,その結果,証明事実の存在が肯定されれば, 規則変更の認証の決定をすることは妨げられず,また他方において,以上のような審査を経て規則変更の認証決定がされたのであれば,後に証明文書等の不実の記載が判明するに至った場合(例えば,審査事項に関し添附書類の記載と異なる事実が存在することが関係当事者間において争いがないとか,添附書類の記載と異なる事実が存在することが公権的な作用によ って認定されたなどの事情が生じた場合)を除き,規則変更の認証の適否 に係る司法審査において,当該認証決定が違法とされるべきものではないと解することが相当である。 ウ以下では,本件認証申請に至る前に生じていた紛争等の概略について認定し(後記(2)),それを前提として,上記ア及びイの観点から争点2について検討する(後記(3)以下)。 (2) 認定事実(A寺関係者間の紛争と本件認証申請に至る経緯等)証拠(各項に掲記した証拠のほか,甲100,123,130,丁105,106)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア埼玉県におけ 件認証申請に至る経緯等)証拠(各項に掲記した証拠のほか,甲100,123,130,丁105,106)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア埼玉県における墓地経営とそれに関する紛争の発生(ア) A寺は,平成11年2月頃,埼玉県α市(住所省略)ほか合計6筆の 土地(本件土地)及び本件土地上の本堂・管理事務所として使用する一棟の建物(本件建物)を取得し,本件土地建物についていずれも売買を原因とする所有権移転登記を経由した。A寺は,同年3月4日,埼玉県α保健所長から墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づく墓地経営の許可を受け,その頃からヒルズαの名称で墓地(本件墓地) の経営を開始し,P1の六男でありA寺の副住職であったP15を,本件墓地の副管理責任者(管理責任者はA寺の住職であるP2)と定めた。(甲101,103,丙17の16~17の17,丁103,104)(イ) 平成11年4月頃から,墓地永代使用権の販売権をめぐって,P1 5と業者らとの間に紛争が生じるようになり,平成16年1月,A寺と業者らは,東京高裁において訴訟上の和解を成立させ,その後,P15は,本件墓地の経営から事実上排除された。(乙2の3の42)イ A寺の関係者間における本件建物をめぐる訴訟等(ア) P15は,平成16年頃,Dを名乗るなどして,独自に宗教活動を行 うようになり,平成19年7月頃,本件建物の鍵を取り替えるなどし て,P2らの本件建物への立入りを拒否した。 P15は,平成21年7月2日,包括団体を有しない単立の宗教法人としてD(埼玉県α市に主たる事務所を置く。)を成立させ,その代表役員を務め らの本件建物への立入りを拒否した。 P15は,平成21年7月2日,包括団体を有しない単立の宗教法人としてD(埼玉県α市に主たる事務所を置く。)を成立させ,その代表役員を務めている。 (イ) A寺は,平成20年1月,P15を相手方として,本件建物につき債 権者の使用を許す占有移転禁止の仮処分命令を申し立て(さいたま地方裁判所(以下「さいたま地裁」という。)平成20年(ヨ)第8号),同年6月4日,同申立てを認容する決定がされ,A寺は,同月13日,本件建物の占有を回復した。P15は,上記決定に対し保全異議を申し立て,上記決定を認可する決定に対し保全抗告を申し立てた。保全 抗告審は,平成21年5月19日の決定で,本件建物の一部(同決定に別紙として添附された図面の赤色斜線部分であり,管理事務所などがある。以下「本件建物赤部分」という。)についてはA寺に使用を許し,本件建物の別の一部(上記図面の青色斜線部分であり,宗教行事を行う本堂などがある。以下「本件建物青部分」という。)については P15に使用を許す旨,原々決定を変更した。A寺は,同月25日,本件建物青部分について,上記仮処分命令申立てを取り下げた。執行官は,本件建物青部分の執行官保管を解放したが,A寺は,そのまま本件建物全体の占有を続けた。 (ウ) A寺は,平成20年9月,P15がA寺所有の本件建物を占有し,A 寺の金員を横領した旨主張し,P15を被告として,本件建物の明渡し及び損害賠償を求める訴えを提起し(さいたま地裁平成20年(ワ)第2445号),一方,Dは,平成21年8月,A寺を被告として,Dが本件土地建物を所有する旨主張し,本件土地建物の明渡し及び所有権移転登記手続を求める訴えを提起した(さいたま地 地裁平成20年(ワ)第2445号),一方,Dは,平成21年8月,A寺を被告として,Dが本件土地建物を所有する旨主張し,本件土地建物の明渡し及び所有権移転登記手続を求める訴えを提起した(さいたま地裁平成21年 (ワ)第2436号)。両訴訟は,併合審理され(以下「別件第1訴訟」 という。),第1審は,平成23年1月,損害賠償請求の一部を除きA寺の請求を認容し(ただし,A寺が本件建物青部分に係る請求を取り下げたため,本件建物赤部分の明渡請求のみが認容された。),Dの請求を全部棄却した。(乙2の3の37)(エ) 上記判決に対し双方が控訴し,控訴審は,平成23年9月14日を 判決言渡期日と定めた。原告P7は,A寺の仮代表役員と称し,A寺の訴訟代理人であるP10弁護士を解任した旨の解任届を控訴審に提出し,別件第1訴訟のうちA寺の訴え部分を取り下げた上,同年9月6日の控訴審の和解期日に原告ら訴訟代理人である遠藤弁護士とともに出頭し,被告であるP15及びDとの間で,A寺がDに対し本件建 物及びその底地につき平成15年7月15日贈与を原因とする所有権移転登記手続をすることなどを内容とする訴訟上の和解(以下「平成23年和解」という。)を成立させた。(甲5,乙2の3の38,39)(オ) P2は,平成23年9月12日,控訴審に対し,平成23年和解の無効を主張し,期日指定を申し立てた。控訴審は,平成24年3月,平 成23年和解を無効と判断して,双方の控訴をいずれも棄却し,平成25年1月,上告棄却及び上告不受理の決定がされた。(甲42,乙24の3の40)(カ) Dは,平成23年11月28日,平成23年和解の和解調書を原因証書として,本件建物と本件土地の一部につき,平成1 及び上告不受理の決定がされた。(甲42,乙24の3の40)(カ) Dは,平成23年11月28日,平成23年和解の和解調書を原因証書として,本件建物と本件土地の一部につき,平成15年7月15 日贈与を原因とする所有権移転登記手続をした。A寺は,平成24年4月,Dを被告として,所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟(さいたま地裁平成24年(ワ)第955号。以下「別件第2訴訟」という。)を提起し,第1審は,平成25年5月,A寺の請求を認容する判決を言い渡し,Dがこれに控訴したが,控訴審は,同年11月,その控訴 を棄却し,同判決が確定したことにより,A寺は,平成26年1月7 日,上記の所有権移転登記の抹消登記手続を経由した。(甲125,乙2の3の1~3,丙17の16,17,丁95,99~104)(キ) A寺は,平成24年5月,D,P15ほか1名を被告として,所有権に基づき,本件建物青部分の建物明渡請求訴訟を提起し(さいたま地裁平成24年(ワ)第1193号。以下「別件第3訴訟」という。),第1 審は,平成26年3月26日,A寺の請求を全部認容する仮執行宣言付き判決を言い渡した。別件第3訴訟の被告らは,同判決に控訴し(東京高裁平成26年(ネ)第2523号),控訴審は,平成27年2月10日,同被告らの控訴を棄却する判決(平成27年2月判決)を言い渡し,その後,上告棄却及び上告不受理の決定がされた。この間,A寺 は,平成26年4月23日,上記仮執行宣言付き判決に基づく強制執行により,本件建物青部分の占有を回復していた。(甲9,49の1,2,乙2の3の4,丁106)ウ P4の代表役員任命申請手続及びその地位を巡る訴訟(ア) 代表役員の資格と任命に関し 物青部分の占有を回復していた。(甲9,49の1,2,乙2の3の4,丁106)ウ P4の代表役員任命申請手続及びその地位を巡る訴訟(ア) 代表役員の資格と任命に関し,A寺規則6条は,代表役員は,この寺 院の住職の職にある者をもって充てる(1項),住職は,B派宗憲により,C姓を名乗る男子たる教師について,B派の管長が任命する(2項),住職の任命の申請は,総代の同意を得て,住職又は住職代務者が行い,住職及び住職代務者がともにないときは,総代が合議して行う(3項)とそれぞれ定めていた(なお,同条は,平成24年7月17 日,B派の承認を得て,「C姓を名乗る男子たる教師」が「C姓を名乗る教師」に,「B派の管長」が,「B派の代表役員たる宗務総長」にそれぞれ変更され,同年8月3日,岐阜県知事から当該規則変更の認証を受けた。(甲47の2,3))。 (イ) 住職の資格と任命に関して,①B派宗憲75条4項は,住職は,教師 の中からこれを任命すると定めており,②B派条例10条1項は,住 職の任命は,当該寺院の申請により宗務総長がこれを行うと定めており,③B派施行条規10条は,住職の任命申請書には,代表役員以外の責任役員及び総代全員の署名押印を必要とすると定めており,④A寺規則6条は,住職は,宗憲によりB派の管長(宗務総長)が任命する(2項),住職の任命の申請は,総代の同意を得て住職が行う(3項) とそれぞれ定めている。 (ウ) P4をA寺の住職に任命する手続に関する書類として,以下のものが存在する。 a 平成24年3月14日付け本件住職任命申請書(乙2の3の18,甲72,丁29) 同書面には,住職である 書類として,以下のものが存在する。 a 平成24年3月14日付け本件住職任命申請書(乙2の3の18,甲72,丁29) 同書面には,住職であるP2が本件住職任命申請をする旨の記載及びP2の署名押印があるほか,P11ら3名が総代として本件住職任命申請に同意する旨の記載及びP11ら3名の署名押印,⑤P4及びP17が責任役員として本件住職任命申請に同意する旨の記載及びP4及びP17の署名押印がある。 b 平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4)ア(ア))同書面には,P4がA寺規則9条1項1号に基づく責任役員(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日)に選定され,P17が同項2号に基づく責任役員(任期は平成24年4月1日から平成 27年3月31日)に選定され,P11ら3名が総代に選定され(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日),P11ら3名が総代としてP4及びP17の責任役員の選定に同意した旨記載されている。 c 平成24年3月14日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4) エ(ア)) 同書面には,P3がA寺規則9条1項1号に基づき責任役員(任期は平成24年4月28日から平成27年3月31日)に選定され,P11ら3名がこれに同意した旨が記載されている。 (エ) A寺と門徒らとの間では,平成21年3月頃までは,責任役員の選定を巡る紛争はなかったところ(甲100),別件第2訴訟及び別件第 3訴訟において,D側は,P17やP3の責任役員への就任が無効であるなどと主張して,P4がA寺の代表役員である は,責任役員の選定を巡る紛争はなかったところ(甲100),別件第2訴訟及び別件第 3訴訟において,D側は,P17やP3の責任役員への就任が無効であるなどと主張して,P4がA寺の代表役員であることを争うようになったが,いずれの訴訟においても当該主張は容れられなかった(甲9,49の1,125,乙2の3の1~4,丁106)。 (オ) 本件訴訟の原告らを含む者は,平成25年,P4,A寺及びB派を被 告として,P4がA寺の代表役員の地位にないことの確認を求める訴えを提起した(京都地方裁判所平成25年(ワ)第3870号。以下「京都訴訟」という。)。第1審は,平成29年3月,訴えの一部を不適法であるとして却下し,その余については請求を棄却し(甲100),控訴審は,平成29年10月,控訴を棄却した(甲123)。 エ A寺関係者間の紛争に関連する岐阜県及び文化庁の対応等(ア) P2は,平成22年4月27日及び同月28日,被告県の担当者に対し,A寺が埼玉県内に境内建物を備える旨相談したところ,同担当者は,P2に対し,A寺についての所轄庁を文部科学大臣に変更するために必要となる所定の様式の文書等(他の都道府県に境内建物を備 えたとしてその旨の届出を文部科学省に回付することを求める旨の届出)を提出すべきことを伝えた。(丙17の2)(イ) P2は,平成22年6月18日付けで,岐阜県知事に対し,境内建物の概要,本件土地建物の登記簿謄本,A寺本堂見取図及び当該境内建物の使用状況を示す写真を添え,本件届出(上記(ア)の届出)をした。 (丙17の3,4) (ウ) 岐阜県知事は,平成22年6月30日,文部科学大臣に対し,本件届出及びこれに添え 示す写真を添え,本件届出(上記(ア)の届出)をした。 (丙17の3,4) (ウ) 岐阜県知事は,平成22年6月30日,文部科学大臣に対し,本件届出及びこれに添えられた関係書類を送付した。(丙17の4)(エ) 被告県の担当者は,文化庁や,埼玉県の担当者から,A寺とDとの間で土地所有及び霊園経営に関する紛争があり裁判となっているとの情報を得た。文化庁の担当者は,平成22年9月28日,被告県の担当 者に対し,本件届出について,境内建物に関する届出の対象である霊園の経営主体について民事裁判中である等の理由により,現状では受け付けることは困難である旨の連絡をした。(丙17の5,6,9)(オ) 原告ら代理人の遠藤弁護士は,平成24年5月30日付けで,弁護士法23条の2第1項に基づき,被告県を照会先とする照会の申し出 をしたところ(甲47の5),被告県は,平成25年6月14日付けの書面により回答を行い,被告県が昭和28年11月1日に認証したA寺規則の写しを提供した(甲47の1,2,4)。なお,上記照会申出書の「照会を求める事由」欄には,現代表役員の母が責任役員となっていることが規則に反する旨の指摘があり,資料として別件第2訴訟 の一審判決を一部抜粋したもの(責任役員の選任に関する部分)が添附されていた。(甲47の5)(カ) 被告県の担当者は,平成25年6月19日,来庁したP4らから,A寺における責任役員の選定の運用が県知事認証規則と異なっていることにつき,昨年の担当者は,本山が承認していれば問題ないと言われ たがそのとおりで良いかとの質問を受け,それに対しては,県知事認証規則に反する慣習が優先されるということはなく,早急に改めるべき につき,昨年の担当者は,本山が承認していれば問題ないと言われ たがそのとおりで良いかとの質問を受け,それに対しては,県知事認証規則に反する慣習が優先されるということはなく,早急に改めるべきである旨回答し,規則変更の認証申請を示唆した。(丙17の13)(キ) 文化庁の担当者は,平成25年12月18日,被告県の担当者に対し,本件届出に関し,係争中という事情もあり,所轄庁変更について 判断できる状況ではないので,所轄庁である被告県から,A寺に対し, 本件届出を取り下げた上で,訴訟終結後に改めて届出を提出するように話してもらえないかと依頼した。(丙17の14)(ク) 被告県の担当者は,平成25年12月25日,A寺に対し,上記(エ)及び(キ)の文化庁の意向を伝えるとともに,本件届出の取下げを打診し,取下書の様式を送付したが,A寺は,本件届出を取り下げなかっ た。(丙17の14,18,弁論の全趣旨)(ケ) P4らは,平成26年7月8日,岐阜県庁に来庁し,担当者に対し,A寺の責任役員の資格,選任方法が裁判で争いになっていることを告げ,B派で保管されている本山承認規則と県知事認証規則とで規定が異なっていて前者で運用していることの当否について尋ねたところ, 被告県の担当者は,認証された規則が有効であるとの見解を述べた。 (丙17の22)(コ) 原告ら代理人の遠藤弁護士らは,平成26年11月18日,被告県の担当者と面会し,県知事認証規則と本山承認規則との違いが生じていることについて見解を問うなどした。(丙17の23) (サ) 文化庁は,本件届出については,A寺が取り下げないことから,届出がされていないものとして取り扱い,A寺 が生じていることについて見解を問うなどした。(丙17の23) (サ) 文化庁は,本件届出については,A寺が取り下げないことから,届出がされていないものとして取り扱い,A寺に対し,所轄庁の変更に関する通知をしていない。(弁論の全趣旨)オ本件認証申請の内容岐阜県知事が受理した本件認証申請に係る認証申請書(本件認証申請書) には,代表役員としてP4が記名押印するとともに,以下の書類が添えられていた。(甲75,丙1の1~7)(ア) 変更しようとする事項を示す書類(乙2の3の23,丙1の2,丁17)(前提事実(3)イ(ア))本件規則変更の内容が記載されたもの。 (イ) 規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書 類a 平成26年10月11日付け責任役員会議事録(乙2の3の22,丙1の3,丁18)(前提事実(3)イ(イ)a)本件規則変更を行う旨を可決し,代表役員としてP4が,責任役員としてP3及びP14がそれぞれ署名押印したもの。 b 平成26年10月11日付け責任役員であることの証明書(乙2の3の5,丙1の4,丁19)(前提事実(3)イ(イ)b)P4が,平成26年10月11日現在,P14及びP3がA寺の責任役員であることを証明したもの。 c 平成26年10月12日付け総代の同意書(乙2の3の24,丙1 の5,丁20)(前提事実(3)イ(イ)c)P11,P12及びP13(P11ら3名)が,総代として,本件規則変更に同意 2日付け総代の同意書(乙2の3の24,丙1 の5,丁20)(前提事実(3)イ(イ)c)P11,P12及びP13(P11ら3名)が,総代として,本件規則変更に同意し,それぞれ署名押印したもの。 d 平成26年10月11日付け総代であることの証明書(乙2の3の6,丙1の6,丁21)(前提事実(3)イ(イ)d) P4が,平成26年10月11日現在,P11ら3名がA寺の総代であることを証明したもの。 e 平成26年10月22日付け包括団体の承認書(乙2の3の25,丙1の7,丁22)(前提事実(3)イ(イ)e)B派が,本件規則変更を承認するもの。 カ本件認証申請についての審査の経過(ア) 岐阜県知事は,平成26年12月5日,A寺に対し,本件規則変更に同意した責任役員(P3及びP14)及び総代(P11ら3名)がA寺規則によって選定された者であることを証する資料の提出等を照会した(丙3)。これを受けて,A寺は,同月22日,岐阜県知事に対し, 次の書類を追加提出した(丙4の1~4)。 a 平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(乙2の3の8,丙4の4,丁28の2)(前提事実(4)ア(ア))P2が,宗務総長に対し,P4がA寺規則9条1項1号に基づく責任役員(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日),P17が同項2号に基づく責任役員(任期は平成24年4月1日から平成 27年3月31日)にそれぞれ選定され,P11ら3名が総代に選定され(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日), ,P17が同項2号に基づく責任役員(任期は平成24年4月1日から平成 27年3月31日)にそれぞれ選定され,P11ら3名が総代に選定され(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日),P11ら3名が総代としてP4及びP17の責任役員の選定に同意したことを届け出る内容であり,P2,P4,P17及びP11ら3名の署名押印がある。 b 平成26年10月4日付け「責任役員・総代辞任届」(乙2の3の12,丙4の3,丁24)(前提事実(4)ア(イ))P4が,宗務総長に対し,P17が平成26年10月4日付けで責任役員を辞任したことを届け出る内容であり,P4及びP17の署名押印がある。 c 平成26年10月8日付け「責任役員・総代選定届」(乙2の3の14,丙4の2,丁26)(前提事実(4)ア(ウ))P4が,宗務総長に対し,P14がA寺規則9条1項2号に基づく責任役員(任期は平成26年10月5日(P17が責任役員を辞任した日の翌日)から平成27年3月31日)に選定され,P11ら3名 がこれに同意したことを届け出る内容であり,P4,P14及びP11ら3名の署名押印がある。 (イ) 岐阜県知事は,A寺から,P3がA寺規則によって選定された者であることを証する資料が提出されなかったため(上記(ア)),平成26年12月25日,A寺に対し,再度,P3に係る上記資料の提出等を 照会した(丙5)。これを受けて,A寺は,平成27年1月9日,岐阜 県知事に対し,次の書類を追加提出した(丙6の1~3)。 a 平成24年3月13日付けA寺責任役員会議事録(乙2の3の9,丙6の2)(前 は,平成27年1月9日,岐阜 県知事に対し,次の書類を追加提出した(丙6の1~3)。 a 平成24年3月13日付けA寺責任役員会議事録(乙2の3の9,丙6の2)(前提事実(4)イ(ア))P4がP2に代わり住職になった時に,A寺規則9条1項1号(1号2号各1人の規定)により,僧籍を有するP3を新たに責任役員と して選定する内容であり,代表役員としてP2が,責任役員としてP4及びP17がそれぞれ記名押印し,P11ら3名が総代としてこれに同意してそれぞれ記名押印したもの。 bA寺規則の写し(丙6の3)(前提事実(4)イ(イ))B派に保管されているA寺規則を送付してもらったものの写しのう ち,9条(1号2号各1人の規定)等を抜粋したもの。 (ウ) 岐阜県知事は,平成27年1月23日,A寺に対し,上記(イ)の回答では,P3が県知事認証規則であるA寺規則9条1項2号(2号2人の規定)に基づき選定された者であることを確認できず,本件規則変更を認証できないとして,法28条2項が準用する法14条2項に基 づき,意見陳述の機会を付与する旨を通知した。(甲6,丙7)(エ) A寺は,平成27年2月6日,岐阜県知事に対し,意見陳述書とともに次の資料を追加提出した。(甲7,8,丙8の1~5)a 平成24年3月14日付け「責任役員・総代選定届」(乙2の3の10,丙8の3,丁28の4)(前提事実(4)エ(ア)) P2が,宗務総長に対し,P3がA寺規則9条1項1号に基づき責任役員(任期は平成24年4月28日から平成27年3月31日)に選定され,P11 事実(4)エ(ア)) P2が,宗務総長に対し,P3がA寺規則9条1項1号に基づき責任役員(任期は平成24年4月28日から平成27年3月31日)に選定され,P11ら3名がこれに同意したことを届け出る内容であり,P2,P3及びP11ら3名の署名押印がある。 b 平成27年1月31日付け総代会議事録(乙2の3の11,丙8の 4,丁23)(前提事実(4)エ(イ)) 平成27年1月31日開催の総代会において,P11ら3名が,①P3が,平成24年3月14日,責任役員に選定され,以後,責任役員として事務の決定をしてきたことを追認し,②この追認の効力が認められない場合に備え,予備的に,P3をA寺規則9条1項2号に基づき責任役員に選定することを確認する旨の決議(本件追認決議等) を内容とし,P11ら3名の署名押印がある。 c 宗教法人の役員の選定手続に瑕疵があった場合に事後的に全員が追認したことによって瑕疵が治癒されるとした下級審裁判例(丙8の5)(前提事実(4)エ(ウ))(オ) 岐阜県知事は,上記の資料の追加提出を受けた後,平成27年2月 13日,本件処分を行った。(前提事実(5))(3) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP11ら3名がA寺の総代であると認めたことが適法か(争点2の1)ア認定事実オ及びカによれば,岐阜県知事は,本件認証申請書に添えられた①平成26年10月12日付け総代の同意書(認定事実オ(イ)c)及び ②同月11日付け総代であることの証明書(同d)に加え,本件認証申請後に追加提出された③平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(認定事実 付け総代の同意書(認定事実オ(イ)c)及び ②同月11日付け総代であることの証明書(同d)に加え,本件認証申請後に追加提出された③平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(認定事実カ(ア)a)をもって,本件規則変更にP11ら3名が総代として同意したことを確認したことが認められる。 このうち,上記③の「責任役員・総代選定届」には,P11ら3名が 総代(任期は平成24年4月1日から平成27年3月31日)に選定され,P2が,宗務総長に対し,P11ら3名を総代として届け出た旨記載されており,その内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらない。 また,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,岐阜県知事が,上記の各 書面を総合して,総代の同意を得る手続がされたと認めたことに違法はな いというべきである。 イこれに対し,原告らは,①P11ら3名は,地区総代として選定手続を経ていないばかりか,届出総代に選定されたとされる平成24年2月役員会では選定手続が行われていないし,仮に総代に選定されたとしても,P11ら3名は「衆望」(A寺規則16条)を欠くから,その選定は無効であ る,②総代の解任権者は,門徒であるところ,P11ら3名は,仮に一旦は総代として選定されたものであるとしても,平成24年9月2日の門徒総会において,総代を解任されているから(甲85の1~3,丁97),本件規則変更に同意した当時,総代ではなかった旨主張する。 この点,A寺規則16条2項は,「総代は,この寺院の門徒で,衆望の帰 するもののうちから選定する。」と定めており,B派門徒条例6条は,「門徒は,その責務を完うし衆望 する。 この点,A寺規則16条2項は,「総代は,この寺院の門徒で,衆望の帰 するもののうちから選定する。」と定めており,B派門徒条例6条は,「門徒は,その責務を完うし衆望の帰するものに就いて総代を選定しなければならない。」と定めているところ,これ以上に,総代の具体的な選定手続を明示的に定めていない。また,その選定手続に関する慣行は,時期によっても変遷し,①昭和63年頃から平成21年頃までは,自発的に総代に就 任しようとする者がいなかったことから,代表役員が一定の地区に分布する門徒らの中から個別に依頼して地区総代を選定し,その中から届出総代3名を選定しており,それらの選定手続において,互選により届出総代が選定されたことはなかったこと,②平成21年頃からは,従来総代を選出していなかった地区からも総代を選定すること,地区総代の選定を各地区 の門徒らに任せることとなったが,届出総代については,代表役員が関与する役員会で選定されていたことがうかがわれる(甲100・27頁,47頁)。そして,法,A寺規則及びB派の規則等には,一旦は総代(届出総代)に選定され,住職が宗務総長に対しその就任の届出(B派門徒条例8条)をした総代(届出総代)について,その者を解任する場合に関する規 定が見当たらない。 しかるに,上記(1)で判示したとおり,所轄庁による規則認証に関する審査は,それが法その他の法令に適合しているものであることを公に確認することに留まり,所轄庁の審査義務の範囲は,宗教法人が,規則で定めるところにより規則の変更に必要な手続をしたかどうかを,これを証する書類によって審査することを原則とするものであるところ,以上で判示した ところによれば,A寺において総代が正当な手続に 則で定めるところにより規則の変更に必要な手続をしたかどうかを,これを証する書類によって審査することを原則とするものであるところ,以上で判示した ところによれば,A寺において総代が正当な手続により選定され又は解任されたかどうかは,規則に照らしても判断することができない事柄に属するものであるといわざるを得ないから,岐阜県知事の審査義務の範囲内にあるものとはいえない。岐阜県知事において,住職であるP4が,宗務総長に対し,B派門徒条例8条(「住職又は教会主管者は,総代の就任,退任 及び死亡を遅滞なく教務所長を経て宗務総長に届け出なければならない。」)に基づき,総代(届出総代)であるP11ら3名の就任の届出をしていると認めることができるのであれば,A寺及びB派の規則等に定められていないA寺内部における選定方法や任免の実体的正当性についてまで審査すべき義務はないと解される。 したがって,上記の原告らの主張は,その内容の当否に立ち入るまでもなく,採用することができない。 (4) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP14がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の2)ア認定事実オ及びカによれば,岐阜県知事は,本件認証申請書に添えられ た①平成26年10月11日付け責任役員会議事録(認定事実オ(イ)a)及び②同日付け責任役員であることの証明書(同b)に加え,本件認証申請後に追加提出された③平成26年10月8日付け「責任役員・総代選定届」(認定事実カ(ア)c)をもって,本件規則変更にP14が責任役員として同意したことを確認したことが認められる。 このうち,上記③の「責任役員・総代選定届」には,P14が,総代 であるP11ら3名によ 則変更にP14が責任役員として同意したことを確認したことが認められる。 このうち,上記③の「責任役員・総代選定届」には,P14が,総代 であるP11ら3名によって,本山承認規則9条1項2号に基づく責任役員(任期は平成26年10月5日から平成27年3月31日)に選定され,P4が,宗務総長に対し,P14を上記の責任役員として届け出た旨記載されており,その内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらない。また,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れ ていたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,岐阜県知事が,上記の各書面を総合して,責任役員であるP14の同意を得る手続がされたと認めたことに違法はないというべきである。 イこれに対し,原告らは,①P14が責任役員に選定されたとされる平成26年10月役員会では選定手続が行われていない,②P14の選定は, 違法な1号2号各1人の規定に基づくもので無効である,③総代ではないP11ら3名が選定したから無効である旨主張する。 しかるに,上記(1)で判示したとおり,所轄庁の審査義務の範囲は,宗教法人が,規則で定めるところにより規則の変更のための手続をしたかどうかを,これを証する書類によって審査することを原則とするものであると ころ,県知事認証規則9条1項2号は,代表役員以外の責任役員について「総代が選定した者」と定めているにとどまり,これ以上に,総代による責任役員の具体的な選定手続を明示的に定めていない。そして,その具体的な選定手続は慣行に委ねられており,昭和63年頃から平成21年頃までは,自発的に責任役員に就任する者がいなかったことから,代表役員が, 地区総代・届出総代の同意を得て, い。そして,その具体的な選定手続は慣行に委ねられており,昭和63年頃から平成21年頃までは,自発的に責任役員に就任する者がいなかったことから,代表役員が, 地区総代・届出総代の同意を得て,責任役員を選定していたことがうかがわれる(甲100・28頁)。そうすると,A寺において責任役員が正当な手続に従って選定されたかどうかという点は,規則に照らして判断することができない事柄に属するものであるから,岐阜県知事の審査義務の範囲内にあるものとはいえない。 さらに,岐阜県知事においてP11ら3名が総代に選定されたと認めた ことに違法がないことは,上記(3)で判示したとおりである。 よって,上記の原告らの主張は,その内容の当否に立ち入るまでもなく,採用することができない。 (5) 岐阜県知事において本件規則変更に同意したP3がA寺の責任役員であると認めたことが適法か(争点2の3) ア認定事実エ,オ及びカによれば,岐阜県知事は,本件認証申請に先立ち,A寺関係者からの照会や訪問を受け,それらの機会を通じて,A寺の責任役員の選任方法が裁判で争いとなっており,A寺では,県知事認証規則とは異なり,規則9条1項1号に基づいて責任役員1人を選定する運用をしているとの情報(以下「事前情報」という。)を得ていたところ,本件認証 申請書に添えられた①平成26年10月11日付け責任役員会議事録(認定事実オ(イ)a)及び②同日付け責任役員であることの証明書(同b)に加え,③本件認証申請後に追加提出された平成24年3月13日付けA寺責任役員会議事録(認定事実カ(イ)a)によっては,P3が県知事認証規則9条1項2号に基づき選定されたことが確認できないとして,一旦は本件規 申請後に追加提出された平成24年3月13日付けA寺責任役員会議事録(認定事実カ(イ)a)によっては,P3が県知事認証規則9条1項2号に基づき選定されたことが確認できないとして,一旦は本件規 則変更を認証しないとの方針を固め,A寺に対し,意見陳述の機会を付与したところ,さらに,④同月14日付け「責任役員・総代選定届」(認定事実カ(エ)a)が追加提出されるとともに,⑤平成27年1月31日付け総代会議事録(同b)が追加提出されたことにより,上記⑤の書面をもって,本件規則変更にP3が責任役員として同意したことを確認したことが 認められる。 このうち,上記③と④の書面は,P3が規則9条1項1号に基づいて責任役員に選定された旨が記載されたものであるから,事前情報に加えてこれらの書面に接した岐阜県知事が,要証事実につき理由のある疑いを持ち,その疑いを解明するためさらに調査することは,正当な審査権限の行使で あるということができる。そして,その後提出された上記⑤の平成27年 1月31日付け総代会議事録は,同日開催の総代会において,「P11ら3名は平成24年3月14日にP3が責任役員となることに同意して本山への届出書面に署名押印しており,責任役員の就任にP11ら3名の意思が反映されているものと理解してきたが,念のため,同日,P3が責任役員として選定され,以後責任役員として事務の決定をしてきたことを追認し, また,この追認の効力が認められない場合に備え,予備的に,A寺規則9条1項2号に基づきP3を責任役員に選定する」旨の内容であり,P11ら3名の署名押印があるものであるところ,この文書のうち,P11ら3名がA寺規則9条1項2号に基づきP3を責任役員に選定するとの部分については,その内容に理由ある疑い 定する」旨の内容であり,P11ら3名の署名押印があるものであるところ,この文書のうち,P11ら3名がA寺規則9条1項2号に基づきP3を責任役員に選定するとの部分については,その内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらず, これにより,県知事認証規則9条1項2号に従った選定の存在を確認することができるものといえる。したがって,岐阜県知事が,上記の各書面を総合して,本件認証申請に関し,責任役員であるP3の同意を得る手続がされたと認めたことに違法はないというべきである。 イこれに対し,原告らは,①P3が責任役員に選定されたとされる平成2 4年3月役員会では選定手続が行われていない,②P11ら3名は総代ではないから,本件追認決議等は無効である,③平成24年3月にされたとされる規則9条1項1号に基づくP3の責任役員選定は,公益的無効であり,本件追認決議等により有効とする余地はない,④本件追認決議等は遡及効を有するものではなく,P3の責任役員の地位が本件規則変更への同 意の時点に遡って有効となることはない旨主張する。 しかるに,原告らの上記①及び②の主張が上記アの判断を左右するものではないことは,それぞれ,上記(3)イ及び(4)イで判示したところと同様である。 また,本件追認決議等は,予備的に,平成27年1月31日に県知事認 証規則9条1項2号に基づきP3を責任役員に選定する旨の内容を含むも のであるところ,この予備的な選定行為は,それがなされた経緯に照らすと,本件認証申請に係る規則変更に関する同意をすべき責任役員を選定するという趣旨で行われたといえるから,この予備的な選定行為により,本件認証申請が県知事認証規則が定める手続を経たことが証されることにな ,本件認証申請に係る規則変更に関する同意をすべき責任役員を選定するという趣旨で行われたといえるから,この予備的な選定行為により,本件認証申請が県知事認証規則が定める手続を経たことが証されることになると岐阜県知事が認定することは妨げられず,その選定行為につき,遡及 的な効力の問題を生じることはない。したがって,原告らの上記③は,平成24年3月の選定を問題としている点で,その前提を欠くものであり,また,原告らの上記④の主張は,予備的な選定行為の上記のような趣旨を正解しないものであり,いずれも採用することができない。 なお,原告らは,P11ら3名がその任期(平成24年4月1日から) よりも前の時点においてしたP3の責任役員選定への同意は無効である旨主張するが,この主張も,上記③の主張と同様,その前提を欠くというべきである。 (6) 岐阜県知事において本件認証申請をしたP4がA寺の代表役員であると認めたことが適法か(争点2の4) ア規則の変更の認証の申請(法27条)は,宗教法人を代表する権限を有する者が行うべきものであり,また,当該申請の前提として,宗教法人の内部において,規則で定めるところによりその変更のための手続をすることが必要であるところ(法26条1項),A寺規則7条は,代表役員が法人を代表し,その事務を総理する旨を定める。 上記(1)で判示したとおり,規則変更申請に対する所轄庁の審査義務の範囲は,宗教法人が,規則で定めるところにより規則の変更のための手続をしたかどうかを,これを証する書類によって審査することを原則とするものである。しかるに,宗教法人において代表権を有する者の氏名,住所及び資格は,登記事項であり(法52条2項6号),当該事項について変更 たかどうかを,これを証する書類によって審査することを原則とするものである。しかるに,宗教法人において代表権を有する者の氏名,住所及び資格は,登記事項であり(法52条2項6号),当該事項について変更が 生じた場合には変更登記をしなければならないとされ(法53条),これら の登記がされたときは,遅滞なく登記事項証明書を添えてその旨を所轄庁に届け出なければならないとされていること(法9条)に照らせば,所轄庁が,規則変更申請が正当に選出された代表役員により行われたものかどうかを審査するに当たっては,まず,上記の登記に関する届出に係る書面によりこれを確認すべきものと解される。このことは,規則の変更の認証 申請に当たっては,設立時の規則の認証の申請の場合(法13条4号)と異なり,申請人が宗教法人を代表する権限を有することを証する書面を提出することが明示的に義務付けられていないこととも整合するものといえる。 もっとも,上記の届出に係る書面の内容に理由ある疑いがあるか,又は その記載に係る事実が虚偽であることが知れている場合,規則に定められている代表役員や責任役員の資格,任免に関する事項(法12条1項5号)に基づいて,代表役員等が正当に選任されているか否かを審査する必要が生じることになる。この場合,認定事実ウ(ア)のとおり,A寺規則6条(平成24年8月3日の一部改正前のもの)には,代表役員の資格と任命に関 し,代表役員は,この寺院の住職の職にある者をもって充てる旨(1項),B派宗憲により,C姓を名乗る男子たる教師について,B派の管長が任命する旨(2項)の定めがあり,また,住職の任命を申請する手続に関する定め(3項)があるから,岐阜県知事は,B派管長によって任命された住職が誰であるかという事実に 子たる教師について,B派の管長が任命する旨(2項)の定めがあり,また,住職の任命を申請する手続に関する定め(3項)があるから,岐阜県知事は,B派管長によって任命された住職が誰であるかという事実につき,それを証するものとして提出された書 面があれば,その内容に基づいて,本件認証申請が正当な代表役員により行われたかどうかを審査することになる。 イこれを本件についてみると,前提事実(1)イ及び認定事実ウ(ウ)によれば,A寺は,岐阜県知事に対し,法9条に基づき,P4が平成24年4月28日に代表役員に就任した旨の登記事項証明書を添えて,同年5月17日付 けで,本件役員変更届を提出し,岐阜県知事は,本件認証申請に当たり, これをもって本件認証申請をしたP4がA寺の代表役員の地位にあることを確認したことが認められる。そして,上記の本件役員変更届の内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらず,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,岐阜県知事が,上記の書面により,本件認証申請を行 う代表役員がP4であると認めたことに違法はないというべきである。 ウなお,本件認証申請後に追加提出された平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」(前提事実(4)ア(ア))には,P4(A寺に僧籍を有する。)はA寺規則9条1項1号に基づき責任役員に選定された旨の記載があるところ,P4が代表役員以外の責任役員として選定されたことは,その 後にP4が住職に任命され代表役員の地位にあることの基礎になっているという関係にある。 そして,岐阜県知事は,本件認証申請に先立ち,A寺では県知事認証規則とは異なりA寺規則9条1項1号に基 が住職に任命され代表役員の地位にあることの基礎になっているという関係にある。 そして,岐阜県知事は,本件認証申請に先立ち,A寺では県知事認証規則とは異なりA寺規則9条1項1号に基づき責任役員1人を選定する運用をしているとの情報や,P4の代表権が訴訟で問題とされているとの情報 を得ていたこと(認定事実エ(ケ))からすると,岐阜県知事において,これらの情報を総合すれば,P4が責任役員として選定されたことには県知事認証規則との関係においては瑕疵がある可能性を想起することができ,そのことが,ひいては後にP4について行われた住職の任命申請手続(認定事実ウ(イ)③及び同(ウ)a)の当否や本件役員変更届(前提事実(1)イ)の内 容に疑いを生じさせ得るものであることは否定できない。 しかしながら,他方で,代表役員の地位の前提となる住職の地位を任命する権限を有する立場にあるB派が本件規則変更を承認する旨の承認書(B派規則29条1項2号)が提出されており(認定事実オ(イ)e),また,B派で保管されているという1号2号各1人の規定である本山承認規則の 写しが追加提出されている(同カ(イ)b)ところ,これらの書類からする と,B派においては,P4がA寺の住職の地位にあることを肯定する立場にあることがみてとれるから,岐阜県知事において,上記の瑕疵(責任役員の選定に関する瑕疵)は上記の本件役員変更届の内容に理由ある疑いを生じさせるものとまではいえないと判断したとしても,必ずしも不合理ではないということができる。したがって,上記の瑕疵は,上記イの判断を 左右するものとまではいえない。 なお,原告らは,本山承認規則は,B派によって偽造されたものである旨主張するが,本山承認規 できる。したがって,上記の瑕疵は,上記イの判断を 左右するものとまではいえない。 なお,原告らは,本山承認規則は,B派によって偽造されたものである旨主張するが,本山承認規則は,B派が,弁護士照会に対し,A寺が宗教法人として設立された際に承認したものとして保管するA寺規則(甲51の1)であるとして回答したものであるところ(前提事実(2)イ),B派が本 山承認規則を偽造し,又は弁護士照会に対し虚偽の回答をする必要性や動機があるとは認められず,他にB派が本山承認規則を偽造したと認めるに足りる的確な証拠はない。 エ原告らは,本件住職任命申請は無効であると主張し,その理由として,①総代として署名したP11ら3名は当時総代ではなかったこと,②責任 役員として署名押印したP4やP17は当時責任役員ではなかったこと,③P4は代表役員を解任されていることなどを指摘する。 しかしながら,本件役員変更届の内容には理由ある疑いを生じさせるような事情があるとはいえないことは上記イ及びウで判示したとおりであり,また,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていた ことを認めるに足りる証拠はない。 よって,上記の原告らの主張は,その内容の当否に立ち入るまでもなく,採用することができない。 (7) 本件認証申請が申請権の濫用として認証できない場合に当たるか(争点2の5)について 原告らは,A寺が1号2号各1人の規定である本山承認規則による運用が されてきたとの主張に関連する訴訟追行や対外的行為について,裁判所を欺罔する判決等の騙取である,被告県を欺罔するものである,A寺の門徒を欺罔するものである旨主張し,そのよう による運用が されてきたとの主張に関連する訴訟追行や対外的行為について,裁判所を欺罔する判決等の騙取である,被告県を欺罔するものである,A寺の門徒を欺罔するものである旨主張し,そのような言動を行ってきたP4において本件認証申請をすることは申請権の濫用に当たる旨主張する。 しかしながら,A寺が本件認証申請に当たり提出した書面等により,岐阜 県知事が錯誤に陥ったことを認めるに足りる的確な証拠はないから,本件認証申請が直ちに申請権の濫用に当たるということもできない。 よって,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 (8) 本件処分当時,岐阜県知事がA寺の所轄庁であったといえるか(争点2の6) ア法5条1項は,「宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。」と定めており,同条2項柱書きは,「次に掲げる宗教法人にあっては,その所轄庁は,前項の規定にかかわらず,文部科学大臣とする。」と定め,「他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人」(1号)等を掲げている。ここで「境内建物」とは,法3条1号に掲げる ような宗教法人の法2条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいうところ(法3条柱書き),法3条1号は,「本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)」と定めており, ここで法2条に規定する目的とは,「宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成すること」をいう。そして,「境内建物を備える」(法5条2項1号)とは,必ずしも境内建物の所有 り, ここで法2条に規定する目的とは,「宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成すること」をいう。そして,「境内建物を備える」(法5条2項1号)とは,必ずしも境内建物の所有を意味するものではなく,貸借契約に基づくものを含むが,一時的な使用に係るものは除くものであり,また,境内建物は供用される状態にあることを必要とし,これに該当 するかどうかはその実態によると解するのが相当であり,当該境内建物の 全部又は一部が他者に占有されるなどして,その本来の目的に使用されていないような場合には,「境内建物を備える」(法5条2項1号)とはいえないというべきである。 なお,上記の各規定の内容に照らすと,所轄庁が都道府県知事から文部科学大臣に変更されるか否かは,規則変更申請に係る所轄庁の審査義務の 範囲にかかわらず,客観的に判断されるべきものと解される。 イ都道府県知事を所轄庁とする宗教法人が,他の都道府県内に境内建物を備えた場合,通達により,実務上執ることとされている事務処理手続は,次のとおりであると認められる。(乙6,丙18,弁論の全趣旨)(ア) 当該宗教法人(所轄庁変更を届け出る法人)は,他の都道府県内に境 内建物を備えることとなった後,速やかに,当該境内建物に関する登記簿の謄本又は賃貸借等の契約書類の写し及び当該施設の使用状況を示す写真等の資料を添附して,所定の様式により,その旨を所轄庁である都道府県知事を経由して文部科学大臣あて届け出る。 (イ) 上記(ア)の届出を受けた都道府県知事においては,所轄の宗教法人か らの届出であることを確認し,記載漏れ等のないよう調整の上,文化庁文化部宗務課あて送付する。 (イ) 上記(ア)の届出を受けた都道府県知事においては,所轄の宗教法人か らの届出であることを確認し,記載漏れ等のないよう調整の上,文化庁文化部宗務課あて送付する。 (ウ) 文化庁においては,当該届出の内容を確認した上,所轄庁の変更に関し,届出を受けた都道府県知事を経由して当該宗教法人に通知する。 なお,文化庁は,複数の都道府県内に境内建物を備えているかどうか については,提出された書類,不動産登記簿のほか,現地調査等により,届出に係る宗教法人に届出対象の境内建物の所有権等があり,長期的に使用できる状況にあるかどうかを確認しており,また,当該境内建物が供用されているかどうかについては,届出対象の境内建物において,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成しているといった宗 教活動を1年程度実際に行っており,それを行うために必要な建物であ るかどうかを提出された書類や現地調査等により確認している。 (エ) 所轄庁が文部科学大臣に変更になった宗教法人については,従前の所轄庁である都道府県知事は,当該宗教法人に係る認証,届出等一切の書類及び宗教法人台帳等を文化庁文化部宗務課あて送付する。 ウ上記アの観点を踏まえて検討する。 A寺は,平成11年2月頃,本件土地建物の所有権を取得してその旨の所有権移転登記手続を経由し,本件墓地の経営を開始したところ,その後,A寺の住職であるP2と副住職であるP15とが対立し,P15が本件建物へのP2らの立入りを拒否する事態に至った(認定事実ア,イ(ア))。その後,A寺が占有移転禁止の仮処分命令を申し立てた結果,本件建物は, 管理事務所部分(本件建物赤部分)をA寺が占有し 件建物へのP2らの立入りを拒否する事態に至った(認定事実ア,イ(ア))。その後,A寺が占有移転禁止の仮処分命令を申し立てた結果,本件建物は, 管理事務所部分(本件建物赤部分)をA寺が占有し,宗教行為を行う本堂部分(本件建物青部分)をP15ないしDらが占有することとなり,これらの占有関係について,別件第1訴訟及び別件第3訴訟において争われたほか,本件建物及び本件土地の一部についてDに対する所有権移転登記手続が経由されるなどし,本件土地建物の所有・登記関係についても,別件 第1訴訟,別件第2訴訟及び別件第3訴訟において争われた(認定事実イ(イ)~(キ))。そして,本件認証申請の当時(平成26年11月20日),A寺は,別件第3訴訟の第1審の仮執行宣言付きの請求認容判決に基づき,同年4月に本件建物の上記本堂部分の占有を回復し,本件処分がされた平成27年2月13日までに,別件第3訴訟の控訴棄却判決を得た(認定事 実イ(キ))。これらの本件土地建物の占有関係及び所有関係をめぐる争いは,別件第1訴訟,別件第2訴訟及び別件第3訴訟を通じ,A寺(P2)の勝訴で収束しつつはあったが(認定事実イ(ウ),(オ),(カ),(キ)),他方において,A寺による本件建物の本堂部分(宗教活動に供される部分)の占有回復は,仮執行宣言付き判決(別件第3訴訟)に基づくものであって,本 案判決を変更する判決の言渡し等により効力を失い得るものであったので あり(民訴法260条参照),同判決に対する控訴を棄却した控訴審判決も,本件処分の時点では確定しておらず,上告審に移審した(認定事実イ(キ))。 以上に鑑みれば,本件認証申請及び本件処分の当時,本件土地建物をめぐる上記の争いは,A寺が本件土地建物を所有し占有する方向で固まり ておらず,上告審に移審した(認定事実イ(キ))。 以上に鑑みれば,本件認証申請及び本件処分の当時,本件土地建物をめぐる上記の争いは,A寺が本件土地建物を所有し占有する方向で固まりつつあったが,最終的な決着までには至っておらず,A寺がその後も継続し て本件土地建物を安定的に宗教活動に供することが確実であったとまでは認め難い。そうすると,A寺は,本件認証申請及び本件処分の当時,埼玉県内の本件土地建物の関係で,「他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人」(法5条2項1号)であったとはいえないというべきである。 したがって,岐阜県知事が,本件処分を行うに当たり自らをA寺の所轄 庁(法5条1項)と認めたことは,正当である。 よって,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 (9) 争点2のまとめ以上によれば,本件処分は,原告らの主張する違法事由があるとはいえず,適法なものというべきである。 3 争点3(本件裁決に裁決固有の瑕疵があるか)について(1) 行訴法10条2項は,「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定しているところ,法は,これと異なるいわゆる裁決主義の定 めを置いていないのであって,原告らは,原処分である本件処分の取消しの訴え(乙事件)を提起することができる以上,本件裁決の取消しの訴え(甲事件)においては,裁決手続の瑕疵など本件裁決に固有の瑕疵のみを違法事由として主張することができ,本件処分の実体的な違法事由を本件裁決の違法事由として主張するこ きる以上,本件裁決の取消しの訴え(甲事件)においては,裁決手続の瑕疵など本件裁決に固有の瑕疵のみを違法事由として主張することができ,本件処分の実体的な違法事由を本件裁決の違法事由として主張することはできないというべきである。 (2) 本件処分とは異なる理由に基づく判断をしたこと(瑕疵1)について ア本件処分は,平成27年2月13日付けでされたものであり,認証書に理由は付されていないが(丙9),被告県は,本件処分を行うに際し平成27年2月判決の内容に基づいて判断したことはないことがうかがわれる(甲12,弁論の全趣旨(被告県準備書面(1)2頁))。 他方,本件裁決は,P3の責任役員の地位について,要旨,平成27年 2月判決の判断(少なくとも昭和34年以降,A寺においては,A寺規則9条1項1号に基づき,代表役員が責任役員1名を選定する運用が行われてきたものと認められ,本件承認規則と県知事認証規則との間に齟齬が存在する同判決の事案においては,前者の内容に従って,責任役員の選定の適法性を判断するのが相当であるとの判断)を指摘し,①平成27年2月 判決の考え方に立つと,本件追認決議等を待つまでもなく,P3の責任役員の選定は有効と解され,本件追認決議等は確認的な意味しか持たないことになり,②仮に県知事認証規則の内容に従って責任役員選定の適法性を判断するのが相当との考え方に立つとしても,本件追認決議等により,P3が責任役員として選定されたことが認められる旨の判断を示している (甲1)。 イ審査請求を棄却する裁決の理由が,原処分の理由と異なっているとしても,その裁決の理由は,審査庁において原処分を適法と判断した理由であるから,裁決における当該判断の違法を主張す )。 イ審査請求を棄却する裁決の理由が,原処分の理由と異なっているとしても,その裁決の理由は,審査庁において原処分を適法と判断した理由であるから,裁決における当該判断の違法を主張することは,結局のところ,本件処分の実体的な違法事由を主張するものにほかならないのであって, 裁決固有の瑕疵には当たらない。そうすると,上記アのとおり,本件裁決において,文部科学大臣が本件処分とは異なる理由で判断をした部分があるとしても,それは裁決固有の瑕疵に当たらない。 よって,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 (3) A寺の提出した書面や証拠が原告らに開示されなかったこと(瑕疵2)及 び審尋を行わなかったこと(瑕疵3)について ア改正前行服法には,審査庁が参加人から提出された書面を審査請求人に送付しなければならないことを定める規定はなく,文部科学大臣が参加人であるA寺から提出された書面等を原告らに送付しなかったとしても,そのことが,一般的に,直ちに手続上の違法をもたらすことになるとはいえない。 また,改正前行服法30条は,「審査庁は,審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で,審査請求人又は参加人を審尋することができる。」と規定しているところ,審査請求人又は参加人を審尋するかどうかの判断は,審査庁の合理的な裁量に委ねられていると解される。 イ本件裁決は,裁決の理由において,「規則認証のためにする所轄庁の審査 については,認証申請書の添付書類の記載によって申請に係る事案が法28条1項各号に掲げる要件を満たしているか否かを審査することを原則としつつ,法27条に基づき提出された書類についてその証明すべき事実の ついては,認証申請書の添付書類の記載によって申請に係る事案が法28条1項各号に掲げる要件を満たしているか否かを審査することを原則としつつ,法27条に基づき提出された書類についてその証明すべき事実の存否に合理的な疑いがあるときは,その疑いを解明するための調査を行うことができる」との判断枠組みを示し,これに基づいて,審査請求人であ る原告らの主張を検討したものであるところ(甲1),この見解は,所轄庁の審査義務の範囲について上記2(1)で判示したところと概ね同一であり,正当なものということができる。 そして,上記の判断枠組みの下では,要証事実の主張立証は上記のとおりに定まる審査の範囲に限定されることになるところ,文部科学大臣は, この判断枠組みに従って,審査請求人である原告らから提出された審査請求書,岐阜県知事から提出された弁明書(甲12)並びに参加人であるA寺から提出された意見書及び証拠(乙2(枝番を含む。))を資料として審査を行い,所轄庁による本件処分の段階においても要証事実の存否に疑いがあるとされていた点(P3の責任役員の地位)については,さらに平成 27年2月判決の内容を参照した検討をも加えた上で,その疑いは解明さ れたとして,本件裁決に及んだものであり(甲1,弁論の全趣旨),このような審査過程及び判断に不合理な点があるとはいえない。 そうすると,本件裁決の実際の審理過程からみても,上記の各資料による審査に加えて,参加人から提出された意見書及び証拠を審査請求人に交付してさらに反論を求めるなどの手続をしなかったことや,審査請求人が 求めた審尋を実施しなかったことが,文部科学大臣の裁量を逸脱濫用するものであるとはいえず,本件裁決において手続上の違法があるということは 反論を求めるなどの手続をしなかったことや,審査請求人が 求めた審尋を実施しなかったことが,文部科学大臣の裁量を逸脱濫用するものであるとはいえず,本件裁決において手続上の違法があるということはできない。 ウよって,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 (4) 平成27年2月判決等の事実誤認等を考慮しなかったこと(瑕疵4)につ いて原告らは,A寺が本件審査請求の過程で提出した意見書には平成27年2月判決に係る訴訟(別件第3訴訟)の審理における主張立証と矛盾する主張があることや,1号2号各1人の規定の有効性を認めている平成27年2月判決は岐阜県や審査請求人である原告らの立場とは異なるものであることを 指摘して,裁決庁である文部科学大臣は,平成27年2月判決等の当否について審査した上,それを前提とした判断を行うことについて合理的な理由を付することが必要であるが,本件裁決にはそのような審査や理由付けを欠いている旨主張する。 しかし,本件裁決は,上記(2)アのとおり,平成27年2月判決が判示する ように1号2号各1人の規定の運用が有効であったとしても,また,そうではなく県知事認証規則に従うべきであったとしても,いずれにせよP3が責任役員として選定されたと認めることが適法である旨の判断をしたものであって,専ら平成27年2月判決の内容を前提とする判断をしたものではない。 したがって,原告らの上記主張は前提において失当であり,これを採用する ことはできない。 (5) 管轄違いについて(瑕疵5)について上記2(8)のとおり,本件処分当時のA寺の所轄庁は,岐阜県知事であり,文部科学大臣には変更されていないことが認められ (5) 管轄違いについて(瑕疵5)について上記2(8)のとおり,本件処分当時のA寺の所轄庁は,岐阜県知事であり,文部科学大臣には変更されていないことが認められるから,このことを前提として判断した本件裁決に,裁決固有の瑕疵があるとはいえない。 よって,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 (6) 争点3のまとめ以上によれば,本件裁決に裁決固有の瑕疵があるとは認められないから,争点3に関する原告らの主張は採用することができない。 4 結論よって,原告らの請求は,いずれも理由がないから棄却することとし,訴訟 費用の負担につき行訴法7条,民訴法61条,65条1項本文及び66条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官工藤哲郎 裁判官細井直彰(別紙1省略) 別紙2 関係法令等の定め 第1 法(宗教法人法) 第2 A寺規則(宗教法人「A寺」規則)第3 宗教法人「B派」規則(以下「B派規則」という。)第4 B派宗憲第5 B派の寺院教会条例(以下「B派条例」という。)第6 B派の寺院教会条例施行条規(以下「B派施行条規」という。) 第7 B派の門徒条例(以下「B派門徒条例」という。) 以下,本別紙においては,証拠の引用及び引用者注を〔〕内に記載する。 第1 教会条例施行条規(以下「B派施行条規」という。) 第7 B派の門徒条例(以下「B派門徒条例」という。) 以下,本別紙においては,証拠の引用及び引用者注を〔〕内に記載する。 第1 法(宗教法人法) 2条(宗教団体の定義)この法律において「宗教団体」とは,宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。〔以下略〕3条(境内建物及び境内地の定義) この法律において「境内建物」とは,第1号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい,「境内地」とは,第2号から第7号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。 1号本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏, 教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のため に供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)4条(法人格)1項宗教団体は,この法律により,法人となることができる。 2項この法律において「宗教法人」とは,この法律により法人となった宗教団体をいう。 5条(所轄庁)1項宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。 2項次に掲げる宗教法人にあっては,その所轄庁は,前項の規定にかかわらず,文部科学大臣とする。 1号他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人7条(宗教法人の住所)宗教法人の住所は,その主たる事務所 の規定にかかわらず,文部科学大臣とする。 1号他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人7条(宗教法人の住所)宗教法人の住所は,その主たる事務所の所在地にあるものとする。 9条(登記に関する届出)宗教法人は,第7章の規定による登記(所轄庁の嘱託によってする登記を 除く。)をしたときは,遅滞なく,登記事項証明書を添えて,その旨を所轄庁に届け出なければならない。 12条(設立の手続)1項宗教法人を設立しようとする者は,左に掲げる事項を記載した規則を作成し,その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。 1号目的2号名称3号事務所の所在地4号設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には,その名称及び宗教法人非宗教法人の別 5号代表役員,責任役員,代務者,仮代表役員及び仮責任役員の呼称, 資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限,責任役員についてはその員数,任期及び職務権限,〔以下略〕9号規則の変更に関する事項13条(規則の認証の申請)前条第1項の規定による認証を受けようとする者は,認証申請書及び規則 2通に左に掲げる書類を添えて,これを所轄庁に提出し,その認証を申請しなければならない。 1号当該団体が宗教団体であることを証する書類3号認証の申請人が当該団体を代表する権限を有することを証する書類4号代表役員及び定数の過半数に当る責任役員に就任を予定されている 者の受諾書 る書類3号認証の申請人が当該団体を代表する権限を有することを証する書類4号代表役員及び定数の過半数に当る責任役員に就任を予定されている 者の受諾書14条(規則の認証)1項所轄庁は,前条の規定による認証の申請を受理した場合においては,その受理の日を附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後,当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し,これらの要件を備えている と認めたときはその規則を認証する旨の決定をし,これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添附書類の記載によってはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない。 1号当該団体が宗教団体であること。 2号当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。 3号当該設立の手続が第12条の規定に従ってなされていること。 2項所轄庁は,前項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは,あらかじめ当該申請者に対し,相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて意見を述べる機会を与えなければならない。 18条(代表役員及び責任役員) 1項宗教法人には,3人以上の責任役員を置き,そのうち1人を代表役員とする。 2項代表役員は,規則に別段の定がなければ,責任役員の互選によって定める。 3項代表役員は,宗教法人を代表し,その事務を総理する。 4項責任役員は,規則で定めるところにより,宗教法人の事務を決 がなければ,責任役員の互選によって定める。 3項代表役員は,宗教法人を代表し,その事務を総理する。 4項責任役員は,規則で定めるところにより,宗教法人の事務を決定する。 22条(役員の欠格)次の各号のいずれかに該当する者は,代表役員,責任役員,代務者,仮代表役員又は仮責任役員となることができない。 1号未成年者 2号成年被後見人又は被保佐人3号禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者25条(財産目録等の作成,備付け,閲覧及び提出)2項宗教法人の事務所には,常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければ ならない。 1号規則及び認証書2号役員名簿3号財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表 4号境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類5号責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿4項宗教法人は,毎会計年度終了後4月以内に,第2項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第2号から第4号まで及び第6号に掲げる書類の 写しを所轄庁に提出しなければならない。 26条(規則の変更の手続)1項宗教法人は,規則を変更しようとするときは,規則で定めるところによりその変更のための手続をし,その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。〔以下略〕27条(規則の変更の認証の申請) 宗教法人は,前条 則で定めるところによりその変更のための手続をし,その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。〔以下略〕27条(規則の変更の認証の申請) 宗教法人は,前条第1項の規定による認証を受けようとするときは,認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類2通に左に掲げる書類を添えて,これを所轄庁に提出し,その認証を申請しなければならない。 1号規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類28条(規則の変更の認証) 1項所轄庁は,前条の規定による認証の申請を受理した場合においては,その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後,当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し,第14条第1項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。 1号その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合 していること。 2号その変更の手続が第26条の規定に従ってなされていること。 30条(規則の変更の時期)宗教法人の規則の変更は,当該規則の変更に関する認証書の交付に因ってその効力を生ずる。 52条(設立の登記)1項宗教法人の設立の登記は,規則の認証書の交付を受けた日から2週間以内に,主たる事務所の所在地においてしなければならない。 2項設立の登記においては,次に掲げる事項を登記しなければならない。 1号目的(〔括弧内略〕) 2号名称 3号事務所の所在場所6号代表権を有する者の氏名,住所及び い。 1号目的(〔括弧内略〕) 2号名称 3号事務所の所在場所6号代表権を有する者の氏名,住所及び資格53条(変更の登記)宗教法人において前条第2項各号に掲げる事項に変更が生じたときは,2週間以内に,その主たる事務所の所在地において,変更の登記をしなければならな い。 62条(管轄登記所及び登記簿)1項宗教法人の登記に関する事務は,その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が管轄登記所としてつかさどる。 2項各登記所に宗教法人登記簿を備える。 63条(登記の申請)1項設立の登記は,宗教法人を代表すべき者の申請によってする。 2項設立の登記の申請書には,所轄庁の証明がある認証を受けた規則の謄本及び宗教法人を代表すべき者の資格を証する書類を添附しなければならない。 80条の2(審査請求の手続における諮問等)1項第14条第1項,第28条第1項,第39条第1項若しくは第46条第1項の規定による認証に関する決定,第79条第1項の規定による事業の停止の命令又は前条第1項の規定による認証の取消しについての審査請求に対する裁決は,当該審査請求を却下する場合を除き,あらかじめ宗教法人審議会に諮問した後にし なければならない。 87条(審査請求と訴訟との関係)第80条の2第1項に規定する処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ,提起することができない。 第2 A寺規則〔甲33,37,甲38の3,甲4 第80条の2第1項に規定する処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ,提起することができない。 第2 A寺規則〔甲33,37,甲38の3,甲42の添附資料1,甲46の3, 甲47の4,甲51の1,甲52の4,甲53の2,甲62の1,丁12の3,丁27〕3条(包括団体)この法人の包括団体は,宗教法人「B派」とする。 6条(代表役員の資格)〔ただし,平成24年8月3日の一部改正前のもの。甲 47の2ないし4〕1項代表役員は,この寺院の住職の職にある者をもって充てる。 2項住職は,宗憲〔4条は,B派宗憲を「宗憲」というと定義している。〕により,C姓を名乗る男子たる教師について,B派の管長が任命する。 3項住職の任命の申請は,総代の同意を得て,住職又は住職代務者が行い, 住職及び住職代務者がともにないときは,総代が合議して行う。 7条(代表役員の職務権限)代表役員は,この法人を代表し,その事務を総理する。 8条(責任役員の員数)この法人には,3人の責任役員を置く。 9条(責任役員の資格及び選定)〔1項が次のいずれであるかについて争いがある。〕│1項代表役員以外の責任役員 │1項代表役員以外の責任役員 ││は,左に掲げる者とする。 │は,左に掲げる者とする。 ││1号この寺院に僧籍を有する者│1号この寺院に僧籍を有する者│ │のうちから代表役員が総代の │のうちから代表役員が総代の │ する。 ││1号この寺院に僧籍を有する者│1号この寺院に僧籍を有する者│ │のうちから代表役員が総代の │のうちから代表役員が総代の ││同意を得て選定した者 1人 │同意を得て選定した者人 ││2号総代が選定した者 1人 │2号総代が選定した者 2人 │└───────────────┴────────────────┘2項前項第1号の規定によって責任役員を選定する場合において,この寺 院に僧籍を有する者がないとき,又はその僧籍を有する者のうちから選定すること ができないときは,代表役員は,総代の同意を得て,他の者のうちからこれを選定することができる。 10条(責任役員の任期)1項代表役員以外の責任役員の任期は,3年とする。但し,再任を妨げない。 2項補欠責任役員の任期は,前任者の残任期間とする。 3項後任責任役員は,現任者の任期終了1月前までに選定しなければならない。 16条(員数,資格,選定及び任期)1項この寺院には,3人の総代を置く。 2項総代は,この寺院の門徒で,衆望の帰するもののうちから選定する。 3項第10条の規定は,総代に準用する。 17条(職務権限)1項総代は,責任役員に協力して,この寺院の興隆に努めなければならない。 2項総代は,この寺院の業務について,勧告及び助言をすることができる。 36条(規則の変更の手続)この規則を変更しようとするときは,責任役員の定数の全員及び総代の同意を 2項総代は,この寺院の業務について,勧告及び助言をすることができる。 36条(規則の変更の手続)この規則を変更しようとするときは,責任役員の定数の全員及び総代の同意を得て,宗務総長(旧管長)の承認及び岐阜県知事の認証を受けなければならない。第2条,第3条又は第37条の規定の変更については,更に門徒の3分の2以 上の同意を得るものとする。 40条(宗憲及びB派規則の効力)宗憲及びB派規則中この法人に関係がある事項に関する規定は,この法人についても,その効力を有する。 第3 B派規則〔甲39,42の添附資料2,丁14〕 29条(承認を要する事項)1項この法人が包括する寺院又は教会が次の各号に掲げる行為をしようとするときは,この法人の代表役員たる宗務総長の承認を受けなければならない。 1号宗教法人となること。 2号規則を変更すること。 38条(代表役員)普通寺院(以下本節において「寺院」という。)又は教会の代表役員は,宗憲に定めるところにより,当該寺院の住職又は教会の教会主管者の職にある者をもってこれに充てる。 39条(責任役員) 1項寺院又は教会の代表役員以外の責任役員は,次の各号に掲げる者とする。 1号当該寺院又は教会に僧籍を有する者の中からその代表役員が総代の同意を得て選定した者2号総代が選定した者 2項前項第1号の規定によって責任役員を選定する場合において,当該寺院又は教会に僧籍を有する者がないとき,又はその僧籍を有する者の中から選定することができないときは,代表役員は,総代の 2項前項第1号の規定によって責任役員を選定する場合において,当該寺院又は教会に僧籍を有する者がないとき,又はその僧籍を有する者の中から選定することができないときは,代表役員は,総代の同意を得て,他の者を選定することができる。 3項代表役員以外の責任役員の任期は,3年とする。ただし,補欠の責任 役員の任期は,前任者の残任期間とする。 4項後任の責任役員は,現任者の任期終了1月前までに選定しなければならない。 44条(総代の員数及び任期)1項寺院又は教会には,3人以上の総代を置かなければならない。 2項第39条第3項及び同第4項の規定は,総代にこれを準用する。 45条(総代の職務権限)寺院又は教会の総代は,責任役員に協力して,当該寺院又は教会の興隆に努めなければならない。 46条(総代の同意)1項第29条に規定する宗務総長の承認を要する事項その他重要な事項に ついては,当該寺院又は教会の総代の同意を得なければならない。 2項総代は,当該寺院又は教会の業務について,勧告及び助言をすることができる。 第4 B派宗憲〔丁15の1〕 5条(最高規範)1項この宗憲は,本派〔1条は,B派を「本派」というと定義している。〕の最高規範であって,この規定に反する規則,条例,達令及び宗務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない。 72条(寺院の種別) 寺院を分けて,別院及び普通寺院とする。 75条(普通寺院の住職及び教会主管者)1項普通寺院に住職,教会に教会主管者それぞれ1人を置く。 種別) 寺院を分けて,別院及び普通寺院とする。 75条(普通寺院の住職及び教会主管者)1項普通寺院に住職,教会に教会主管者それぞれ1人を置く。 2項住職又は教会主管者は,普通寺院又は教会を主管し,宗教法人たる普通寺院又は教会の代表役員となる。 4項住職,教会主管者及びこれらの代務者は,教師の中からこれを任命する。 76条(住職及び教会主管者の任務)住職及び教会主管者は,門徒の教化と僧侶及び寺族の指導に当り,寺院及び教会の興隆発展に努めなければならない。 77条(寺院及び教会に関する条例) 寺院及び教会並びに住職,教会主管者及びこれらの代務者に関する事項は, 条例でこれを定める。 82条(門徒の任務)1項教法を聞信して真宗本廟に帰敬し,寺院又は教会に所属する者を本派の門徒という。 83条(総代の任務) 1項門徒であって,衆望ある者の中から総代を定める。 84条(門徒及び総代に関する条例)門徒及び総代に関する事項は,条例でこれを定める。 第5 B派条例〔甲42の添附資料3,丁15の2〕 1条(趣旨)この条例は,普通寺院(以下「寺院」という。)及び教会について定める。 10条(任命・住職修習)1項住職又は教会主管者の任命は,当該寺院又は教会の申請により,宗務総長がこれを行う。 17条(差免等)1項宗務総長は,住職,教会主管者又はその代務者をはなはだしく不適任と認めるときは,その変更を命じ,又は差免し,新たに任命することができる。 2項前項の処分を受け 等)1項宗務総長は,住職,教会主管者又はその代務者をはなはだしく不適任と認めるときは,その変更を命じ,又は差免し,新たに任命することができる。 2項前項の処分を受けた者で異議のある者は,審問院に異議の申立をすることができる。ただし,処分を受けた日から一カ月を経過したときは,この限りで ない。 26条(宗務総長の承認)寺院又は法人である教会(以下「法人教会」という。)の設立,移転,合併及び解散並びに当該寺院又は法人教会の規則(以下「規則」という。)の制定及び変更については,所轄庁にその認証申請をするに先立って,規則の定めるところによ り,あらかじめ責任役員及び総代の定数の全員の同意を得て,法令の定める書類に 本章の当該各条に定める書類を添付した申請書を宗務総長に提出して,その承認を得なければならない。〔以下略〕 第6 B派施行条規〔甲42の添附資料4,甲73,丁15の3〕1条(趣旨) この達令は,寺院教会条例(〔中略〕)の施行に必要な事項について定める。 8条(責任役員・総代)1項寺院は,住職以外の責任役員及びその代務者並びに総代を選定したときは,速やかに届け出なければならない。 2項寺院は,代表役員以外の責任役員及び総代が欠けたときは,速やかに 補欠者を選定し,欠けたことを証する書類を添えて届け出なければならない。 8条の21項代表役員以外の責任役員は,当然総代全員の同意により選定されたものでなければならない。 10条(責任役員・総代の同意) 住職又は代務者の任命申請書には,代表役員以外の責任役員及び総代全員の署名押印を必要とする。 意により選定されたものでなければならない。 10条(責任役員・総代の同意) 住職又は代務者の任命申請書には,代表役員以外の責任役員及び総代全員の署名押印を必要とする。〔以下略〕 第7 B派門徒条例〔甲83,丁15の4〕1条(定義) 本派に帰依し,寺院又は教会に所属して教法を聞信する者であって,門徒名簿に登載された者を本派の門徒という。 6条(総代の選定)門徒は,その責務を完うし衆望の帰するものに就いて総代を選定しなければならない。 7条(総代の任期) 総代の任期は,3年とする。ただし,再任を妨げない。 8条(総代届)住職又は教会主管者は,総代の就任,退任及び死亡を遅滞なく教務所長を経て宗務総長に届け出なければならない。 以上

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