平成11(あ)941 背任被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年3月18日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 平成11(う)291
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判決文本文961 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人野嶋真人の上告趣意のうち,第1の判例違反をいう点は,原判決は所論のような趣旨を判示したものとはいえないから,前提を欠き,第2の判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであるから,本件に適切でなく,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は刑法247条の解釈適用を争う単なる法令違反の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ,背任罪の成否について検討する。 原判決が是認する第1審判決の認定によれば,被告人は,A株式会社の代表取締役として,B相互会社から合計1億1800万円の融資を受け,その担保として同社のために株式を目的とする質権を設定し,同社に株券を交付していたところ,返済期を過ぎても融資金を返済せず,A株式会社の利益を図る目的で,質入れした上記株券を紛失したとの虚偽の理由により除権判決の申立てをし,同判決を得て上記株券を失効させ,質権者に財産上の損害を加えたというのである。株式を目的とする質権の設定者は,株券を質権者に交付した後であっても,融資金の返済があるまでは,当該株式の担保価値を保全すべき任務を負い,これには,除権判決を得て当該株券を失効させてはならないという不作為を内容とする任務も当然含まれる。そして,この担保価値保全の任務は,他人である質権者のために負うものと解される。 したがって,【要旨】質権設定者がその任務に背き,質入れした株券について虚偽の申立てにより除権判決を得て株券を失効させ,質権者に損害を加えた場合には,背任罪が成立するというべきであるから,これと同旨の見解の下に,被告人が刑法247条にいう「他人のためにその事務を処理する者」に当たるとして背任罪の成立を認めた原判決 質権者に損害を加えた場合には,背任罪が成立するというべきであるから,これと同旨の見解の下に,被告人が刑法247条にいう「他人のためにその事務を処理する者」に当たるとして背任罪の成立を認めた原判決の判断は,正当である。 - 1 -よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官上田豊三裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官藤田宙靖)- 2 -

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