平成18(行ケ)10088 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年9月20日 知的財産高等裁判所 4部 判決 審決取消
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判決文本文8,757 文字)

- 1 -平成18年(行ケ)第10088号審決取消請求事件平成18年9月20日判決言渡,平成18年7月10日口頭弁論終結判決原告田中金属株式会社訴訟代理人弁理士新関和郎被告特許庁長官中嶋誠指定代理人岩井芳紀,藤正明,田中敬規主文特許庁が不服2004-23887号事件について平成18年1月4日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 本判決においては,審決や書証等を引用する場合に,公用文の表記法に従い,あるいは,本文中に指定した略称を用いた箇所がある。 第1原告の求めた裁判主文と同旨の判決。 第2事案の概要本件は,原告が,別紙1記載の意匠(以下「本願意匠」という)について,意。 匠に係る物品を「金属製ブラインドのルーバー」として意匠登録出願をして拒絶査定を受け,これを不服として審判請求をしたところ,創作の容易性(意匠法3条2項)を理由に,審判請求は成り立たないとの審決がされたため,同審決の取消しを求めた事案である。 - 2 - 特許庁における手続の経緯(1)本件出願(訴状添付の資料2)意匠に係る物品:金属製ブラインドのルーバー」「出願番号:意願2003-35193号出願日:平成15年11月26日(2)本件手続拒絶査定日:平成16年10月14日審判請求日:平成16年11月22日(不服2004-23887号)審決日:平成18年1月4日審決の結論:本件審判の請求は,成り立たない」「。 審決謄本送達日:平成18年1月25日 審決の理由の要点審決の理由は,以下のとおりであるが,要するに,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形,,状に基づいて容易に創作できたものと認められるので意匠法3条2項に該当す あるが,要するに,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形,,状に基づいて容易に創作できたものと認められるので意匠法3条2項に該当するというものである。 なお,審決においては,別紙2記載の意匠(意匠登録第901811号)が引用(,「」,(,されている以下同意匠を引用意匠といい同意匠に係る意匠公報甲10乙1)を「引用刊行物」という。 。)「1.本願意匠・・・本願意匠の形態は概ね次のとおりである。 (1)全体の基本構成一定の断面形状で長手方向に連続するルーバー材であって,背面側に嵌合部を設け,嵌合部- 3 -を除く外周壁を正面側に向かって断面視半円形に膨出させ,嵌合部については,開口端の上下両縁部に突き当て面を同一垂直面に揃えた一対のリップ状係止片を形成。 (2)内側の上下両隅にタッピングホールを形成。 (3)係止片の上下幅を全高の略1/3弱程度に設定」。 「4.当審の判断本願意匠について検討すると,前記1.(1)の全体の基本構成に示す形態については,本願意匠の支配的な基調を形成するものではあるが,その形態は引用刊行物にも記載されているように,本願意匠の出願前に公然知られたものであることは明らかである。 つぎに,1.(2)に示すタッピングホールについては,その形態が極めてありふれたものであり,配置についても部材の隅に配置した月並みなものであって,特筆すべき創意は認められない。 また,1.(3)に示す係止片の寸法比率については,実用的な効果についてはともかくとして,美感に訴求する視角効果に特筆すべきものはない。 したがって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状に基づいて容易に創作で かくとして,美感に訴求する視角効果に特筆すべきものはない。 したがって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状に基づいて容易に創作できたものと認められるので,意匠法3条2項の規定に該当し,意匠登録を受けることができない」。 第3原告の主張(審決取消事由)の要点審決は本願意匠の基本形態に関する判断を誤り取消事由1タッピングホー,(),ルに関する判断を誤り取消事由2係止片の寸法比率に関する判断を誤った取(),(消事由3)ものであるから,取り消されるべきである。 取消事由1(本願意匠の基本形態に関する判断の誤り)(1)審決は「本願意匠・・・の全体の基本構成に示す形態については・・・,,引用刊行物にも記載されているように,本願意匠の出願前に公然知られたものであ- 4 -る」とするが,同判断は誤りである。引用意匠の形状は,本件出願前から公然知られている形状であるが,本願意匠の基本形態(一定の断面形状で長手方向に連続するルーバー材であって,背面側に嵌合部を設け,嵌合部を除く外周壁を正面側に向かって断面視半円形に膨出させ,嵌合部については,開口端の上下両縁部に突き当て面を同一垂直面に揃えた一対のリップ状係止片を形成する)と,引用意匠の形。 状とは,一見して違いが識別される別異のものであるから,本願意匠の基本形態がその出願前に公然知られていたものとすることは,誤りである。 (2)審決は「本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識,を有する者が日本国内において公然知られた形状に基づいて容易に創作できたものと認められる」とするが,同判断は誤りである。 本願意匠は,意匠に係る物品を「金属製ブラインドのルーバー」とするものである。金属製ブラ が日本国内において公然知られた形状に基づいて容易に創作できたものと認められる」とするが,同判断は誤りである。 本願意匠は,意匠に係る物品を「金属製ブラインドのルーバー」とするものである。金属製ブラインドのルーバーは,建物の外壁面の窓外部に,上下に連続状態に並列させて取り付けることにより,遮光・遮熱・目隠しのために用いるものであるから,その形状も,このような機能を果たすものとして創作されなければならないが,以下のとおり,引用意匠等に示される「公然知られた形状」に基づいて,金属製ブラインドのルーバーに関する本願意匠を創作することは,容易ではない。 ア引用意匠は,建造物笠木の装飾用ホルダ材に関するものであり,単体として,横方向の一本の直線上に配置して用いられるものである。すなわち,引用意匠の形状は,衝立用笠木材として機能するように特有の形状をなしているものであって,ブラインドのルーバーの意匠分野における通常の知識を有する者にとっては,ブラインドのルーバーの意匠を構成するに当たり,衝立用笠木材に関する形状をどのように利用し得るのか,理解し読み取ることは容易ではない。 イ被告は,竹垣の一種である「御簾垣(乙8~10)の意匠を挙げて,本」,,,願意匠の創作の容易性を主張するがブラインドのルーバーと御簾垣の組子とは同種の物品とはいえない。 - 5 -すなわち,ブラインドは,本来は,日光や視線を遮蔽する目的で作られるものの総称であり,主に窓や出入口に取り付けられ,室内への直射日光の緩和や遮断効果。 ,,(),を目的として設けられる要するに日除けであり意匠分類表特許庁編では「C1寝具,床敷物,カーテン等」における「C1-54ベネチアンブラインドとして分類されている甲12これに対して御簾垣は垣根さくフェ」 日除けであり意匠分類表特許庁編では「C1寝具,床敷物,カーテン等」における「C1-54ベネチアンブラインドとして分類されている甲12これに対して御簾垣は垣根さくフェ」()。 ,,(,ンス)であり,前記意匠分類表では「L3組立て家屋,屋外装備品等」におけ,るL3-530さくL3-531ガーデンフェンスとして分類され甲「」,「」(13,ブラインドとは機能及び形態上の基本仕様が異なるものである。 )また,御簾垣の組子は,天然の竹を用いて施工することにより作られるものであるという点でも,金属材を成形加工して組み立てる金属製ブラインドのルーバーとは異なるものである。 しかも,御簾垣の組子の半割竹は,取付構造部である嵌合部を具備せず,半円形の形状があるだけのものであるから,金属製ブラインドのルーバーの意匠分野における当業者が,御簾垣の組子の半割竹の形状から,ブラインドのルーバーの外周壁の形状を断面視半円形とした上,さらに,半円形の開口端の上下両縁に,突当面を同一垂直面に備えた一対のリップ状係止片を形成して嵌合部を構成し,本願意匠の基本形態の創作に至ることは,容易ではない。 取消事由2(タッピングホールに関する判断の誤り)審決は,本願意匠における内側の上下両隅に形成されたタッピングホールについて「その形態が極めてありふれたものであり,配置についても部材の隅に配置し,た月並みなもの」であるとするが,同判断は誤りである。 タッピングホールは,中空のルーバー材のこぐちに,別に形成してある化粧蓋をビスにより取り付けるときのビスのねじ込み穴であるが通常は中空のルーバー,,,材の内側における先端側の位置と,基端に寄る側の上下の中間位置に配置されている(甲1~9)ものであり,本願意匠におけるタッピ り取り付けるときのビスのねじ込み穴であるが通常は中空のルーバー,,,材の内側における先端側の位置と,基端に寄る側の上下の中間位置に配置されている(甲1~9)ものであり,本願意匠におけるタッピングホールの位置は,従来に- 6 -は見られない特異な配置である。この配置を選択したことにより,係止片と外周壁とで形成されるコーナー部分の肉厚を増大させて強度を上げ,係止片を補強しながら,タッピングホールをほとんど目に付かない状態にして,半円形の外周壁と一対のリップ状係止片からなるシンプルな形態に見えるようにしているものである。 取消事由3(係止片の寸法比率に関する判断の誤り)審決は,本願意匠において係止片の上下幅を全高の略1/3弱程度に設定したことについて「実用的な効果についてはともかくとして,美感に訴求する視覚効果,に特筆すべきものはない」とするが,同判断は誤りである。 係止片の上下幅を全高の略1/3弱程度に設定したことは,上下の係止片により嵌合部の開放部を塞ぐ割合を全体の2/3とし,1/3だけがスリット状に開口する状態としたということであり,ルーバー部材の全体をすっきりとした半円筒形の形態とし,シンプルで優美な印象を与えるよう,美感を訴求しているものである。 第4被告の反論の要点 取消事由1(本願意匠の基本形態に関する判断の誤り)に対して(1)意匠法3条2項に規定する「公然知られた形状」は,意匠に係る物品と同種の物品の形状に限られるものではない。本願意匠の基本形態は,周知形状といえるほどにありふれたものであり(乙2~4,審決が引用刊行物を引用したのも,)そこに記載されている「建造物笠木の装飾用ホルダ材」の外周壁から嵌合部の開始位置に設けられた係止片に至る部分の形状,及び,使用状態を示す参考図に記載されているカバーの形状が, 物を引用したのも,)そこに記載されている「建造物笠木の装飾用ホルダ材」の外周壁から嵌合部の開始位置に設けられた係止片に至る部分の形状,及び,使用状態を示す参考図に記載されているカバーの形状が,本願意匠の基本形態と略一致し,それが本件出願前に公然知られたものであることを示すためである。 (2)また,公然知られた形状に基づく創作の容易性の点についても,審決の判断に誤りはない。 - 7 -,,,,すなわち本願意匠に係る物品であるブラインドのルーバーは目隠し日除けフェンス等と同種の物品であって,物品に求められる機能や形態上の基本仕様も,これらの物品と共通するものである。そこで,日本古来の目隠しである竹垣の一種である「御簾垣(乙8~10)の意匠を例に挙げると,その部材である組子に使」用される半割竹の基本形状は,まさに本願意匠の外周壁の形状そのものである。したがって,本願意匠を創作する際に,半割竹の基本形状を本願意匠の外周壁の形状,。 として採用することは日本古来より伝わる周知の形状を踏襲するものにすぎないまた,押出し成形等の製造技術を用いて長尺材を成形する場合には,当該物品に要求される形態的仕様に基づき,タッピングホールや係止片等の取付構造に関する部分の形状も一括して成形できるように全体の形状を設計するのが一般的である。 したがって,本願意匠を創作するに当たり,外周壁に断面視半円形の長尺材の形状(すなわち半割竹の基本形状)を採用すること,及び,外周壁と取付構造である係止片とを一括して成形することを前提にその形状を設計することは,当業者であれば容易になし得るものである。 取消事由2(タッピングホールに関する判断の誤り)に対して一般に,タッピングホールを設ける場合には,施工時の構造力学を考慮して,負荷を分散させ,かつ,外観上目立 れば容易になし得るものである。 取消事由2(タッピングホールに関する判断の誤り)に対して一般に,タッピングホールを設ける場合には,施工時の構造力学を考慮して,負荷を分散させ,かつ,外観上目立たない部位に配置することが常識であって,技術的効果についてはともかく,美感に訴求する視覚効果に着目すれば,その配置態様が月並みなものであることは明らかである。 取消事由3(係止片の寸法比率に関する判断の誤り)に対して一般に,この種物品における係止片の寸法比率については,設計者は,美感を追求することよりも,まず固着手法ないし接続構造を考慮し,強度等の技術的仕様を満たすことを念頭に置いて寸法比率を設定するのが通常であり,その結果として,係止片の寸法比率には,従来から様々なものが存在している。観察者が係止片の寸- 8 -法比率から受ける美的印象は,月並みなものである。 第5当裁判所の判断 取消事由1(本願意匠の基本形態に関する判断の誤り)について(1)審決が「本願意匠・・・の全体の基本構成に示す形態については・・・引,,」用刊行物にも記載されているように本願意匠の出願前に公然知られたものであるとしている点について,検討する。 本願意匠の全体の基本構成に示す形態(本願意匠の基本形態)は,審決の認定するとおり「一定の断面形状で長手方向に連続するルーバー材であって,背面側に,嵌合部を設け,嵌合部を除く外周壁を正面側に向かって断面視半円形に膨出させ,嵌合部については,開口端の上下両縁部に突き当て面を同一垂直面に揃えた一対のリップ状係止片を形成する」というものである。 ところで,引用意匠の形状は,別紙2のとおりであって「一定の断面形状で長,手方向に連続する」点や「背面側に嵌合部を設け,嵌合部を除く外周壁を正面側,に向かって断面視半円形に 」というものである。 ところで,引用意匠の形状は,別紙2のとおりであって「一定の断面形状で長,手方向に連続する」点や「背面側に嵌合部を設け,嵌合部を除く外周壁を正面側,に向かって断面視半円形に膨出させ」ている点では,本願意匠の基本形態と共通するものの,嵌合部については,開口端の上縁側に,突き当て面を垂直面に揃えた係止片を,下縁側に,突き当て面を前記垂直面より正面側にずれ込ませた鉤状片を形成しているものであって,本願意匠の基本形態と異なるものであることは明らかである。 したがって,本願意匠の基本形態が,引用刊行物に記載されているように本件出願前に公然知られたものであるということはできないから,審決の上記判断は誤りである。 (2)被告は,審決が引用刊行物を引用した趣旨は,引用意匠の外周壁から嵌合部の開始位置に設けられた係止片に至る部分の形状(すなわち,一定の断面形状で長手方向に連続し,背面側に嵌合部を設け,嵌合部を除く外周壁を正面側に向かっ- 9 -て断面視半円形に膨出させている形状)が,本件出願前に公然知られたものであ。 ることを示すためである,と主張するので,仮に審決の判断がそのような趣旨であるとした場合に,本願意匠が上記「公然知られた形状」に基づいて容易に創作できたものといえるか否かについて,以下検討する。 ア意匠法3条2項は,物品の同一又は類似という制限をはずし,社会的に知られたモチーフを基準として,意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものであるが,これは,一般需要者の立場からみたものではなく,当業者の立場からみた創作の容易性を登録要件としたものであるから,創作の容易性の有無を判断するに当たっては,当該意匠の属する分野をふまえた上での検討がされなければならない。 本願意匠は,意匠に係る物品を「金属製ブラインドのルーバ 性を登録要件としたものであるから,創作の容易性の有無を判断するに当たっては,当該意匠の属する分野をふまえた上での検討がされなければならない。 本願意匠は,意匠に係る物品を「金属製ブラインドのルーバー」とするものであり,当業者が公然知られた形状に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたというためには,公然知られた形状を金属製ブラインドのルーバーに用いることが容易であるといえなければならない。 一般に「ブラインド」とは「窓の日覆い」や「日除け用のよろい戸」を指す,,,,「」,「」,用語でありルーバーとは羽板を並べて開口部に設けた一種のよろい戸で「羽板の向きを調節して雨や日光を遮る」ものを指す用語であるとされている(広辞苑第五版。このように,ブラインドのルーバーは,日光や雨を遮ることを目的)とするものであり,また,その構造は,羽板を並べて開口部に設け,羽板の向きを調節することによって日光や雨を遮るものであるから,ブラインドのルーバーを物品とする意匠が創作されるに当たっては,上記のような機能・構造が当然に考慮され,これによる一定の制約の下に創作されるものである。 イ以上を前提として,本願意匠の創作の容易性につき検討する。 (ア)審決の認定する「公然知られた形状」は,引用意匠の中に示されたものであるので,まず,引用意匠に接した当業者にとって,本願意匠を創作することが容易であるか否かについて検討する。 - 10 -引用意匠は,意匠に係る物品を「建造物笠木の装飾用ホルダ材」とするものであり,その説明として「本物品を所定の寸法に切断後,予め建物天部に取着されて,いる笠木体の屋外側に,当該物品を係着し,これに装飾笠木を係着する」と記載。 され,その使用状態を示す参考図(別紙2参照)に,物品が笠木体に係着されている様子 に切断後,予め建物天部に取着されて,いる笠木体の屋外側に,当該物品を係着し,これに装飾笠木を係着する」と記載。 され,その使用状態を示す参考図(別紙2参照)に,物品が笠木体に係着されている様子が図示されている(乙1。 )このように,引用意匠に係る物品は,笠木体に装飾笠木を取り付けるためのホルダ材として用いられるものであって,本願意匠に係る「金属製ブラインドのルーバー」とは,その機能・構造において全く異なるものである。したがって,引用意匠に接した当業者が,上記「公然知られた形状」を採用して本願意匠を創作することは,容易であるとはいえない。 (イ)次に,被告は,御簾垣の組子における半割竹の形状に照らせば,当業者が上記「公然知られた形状」を採用して本願意匠を創作することは容易である,と主張する。 ,,「」,「」しかし御簾垣は竹垣の一種であり垣とは屋敷や庭園などの外側の囲いを意味するものである(広辞苑第五版。これをブラインドと比べると,目隠しと)しての機能を有する点では共通する面はあるものの,ブラインドが,羽板の向きを調節することによって日光や雨を遮るという基本的な機能・構造を有しているのに対して,御簾垣は,このような機能・構造を有しているものではない。また,御簾垣の組子が半円形状をなしているのは,竹という自然物の場合,これを割って用いることから生じる自然な結果であるが,金属製ブラインドのルーバーを作成する場合には,竹の場合と同様の発想を採用して半円形状とする理由はない。 したがって,御簾垣の組子における半割竹の形状を「金属製ブラインドのルーバー」に採用することは,当業者にとって容易であるとはいえないから,被告の前記主張は,採用することができない。 ウ以上によれば「金属製ブラインドのルーバー」の意匠分野における当業, ラインドのルーバー」に採用することは,当業者にとって容易であるとはいえないから,被告の前記主張は,採用することができない。 ウ以上によれば「金属製ブラインドのルーバー」の意匠分野における当業,者が,上記「公然知られた形状」を採用して本願意匠を創作することが容易である- 11 -ということはできないから,本願意匠の創作の容易性を肯定して意匠法3条2項に当たるとした審決の判断は,誤りである。 結論 以上のとおり,原告主張の審決取消事由1は理由があるので,その余の取消事由について判断するまでもなく,審決は,取消しを免れない。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官塚原朋一裁判官石原直樹裁判官清水知恵子は,差し支えにより,署名押印することができない。 裁判長裁判官塚原朋一

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