主文 被告天草市は,原告に対し,金65万4145円及びこれに対する平成18年1月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告と被告Aとの間の費用は原告の負担とし,原告と被告天草市との間の費用はこれを7分し,その1を被告天草市の,その余を原告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 原告(1)被告Aは,原告に対し,353万5559円及びこれに対する平成18年1月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)被告天草市は,原告に対し,353万5559円及びこれに対する平成18年1月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)訴訟費用は被告らの負担とする。 (4)仮執行宣言 被告ら(1)原告の請求をいずれも棄却する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 第2事案の概要本件は,当時本渡市立A小学校2学年に在籍していた原告が,当時同小学校の臨時職員として勤務をしていた被告Aから,威圧的な言動により体罰を受けたために,外傷後ストレス性障害(以下「PTSD」という)になったとし。 て,被告A及び国家賠償法1条に基づき被告天草市に対して,損害賠償の請求(附帯請求は,いずれも,訴状送達の日の翌日である平成18年1月14日か)。 ら支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金をした事案である 争いのない事実等(1)原告は,平成14年11月26日当時,本渡市立A小学校2年A組に通っていた小学生であった。被告Aは,当時,同小学校の臨時職員として勤務していた。 (2)本渡市は平成18年3月28日に他市町と合併し,天草市となった(裁。 6日当時,本渡市立A小学校2年A組に通っていた小学生であった。被告Aは,当時,同小学校の臨時職員として勤務していた。 (2)本渡市は平成18年3月28日に他市町と合併し,天草市となった(裁。 判所に顕著な事実)(3)原告は,平成15年2月27日から平成16年9月2日まで,A病院へ,,,,通院し治療を受け同病院発達小児科のB医師は平成15年2月27日PTSDとの診断書を発行した(甲10,甲28)。 主たる争点(1)被告Aの原告に対する行動の違法性。 (2)原告の損害の発生の有無と被告Aの行為との因果関係。 第3争点に対する当事者の主張 主たる争点(1)(-被告Aの原告に対する行動の違法性-)について(1)原告平成14年11月26日の1時間目の後の休み時間に,保健室前の廊下で本渡市立A小学校の当時3年生であったCがコンピューターをしたいと強く希望していたのを,担任のD教諭と被告Aが大声を出して注意をしていた。 これを見て,Cがきつく叱られているのをかわいそうだと思った原告は,Cを助けようとして,被告Aを落ち着かせようと考え,しゃがんでいた被告Aの肩を揉んだ。すると,被告Aは,原告に対し「こら,なんか」と叱,。 り,しゃがんだまま上半身をひねって原告をふりほどいたため,原告は廊下に倒れた。 原告は,この被告Aの行動に腹を立て,同人の大腿部を1度足で軽く蹴った。これに対し,被告Aは,急に原告の胸元を右手で掴み,保健室前廊下から階段の所まで一気につり上げて引きずり,原告を壁に押さえつけ,恐い表情をしながら,原告に対し「もう,すんなよ」と威圧的な怒声で凄んだ。 。 その後,被告Aは,原告を階段方向に強く押して手を離したので,それにより原告は階段の所に投げ飛ばされた格好になり倒れ込んだ。 上記被告Aの行為は, に対し「もう,すんなよ」と威圧的な怒声で凄んだ。 。 その後,被告Aは,原告を階段方向に強く押して手を離したので,それにより原告は階段の所に投げ飛ばされた格好になり倒れ込んだ。 上記被告Aの行為は,首を絞める等の生徒の身体に対する有形力の行使である上に,凄むという精神的な威圧を加えており,これは体罰と評価されるべきものであり,当時小学校2年生で8歳になったばかりの生徒に対する指導としては明らかに行き過ぎであり,被告Aの上記行為の違法性は明らかである。また,学校長もその不適切さは認めている。 (2)被告ら平成14年11月26日1時間目の休み時間に,保健室前の廊下で,当時3年児童のCがコンピューターをしたいとだだをこねたため担任のDが今,「」,。 ,はできない旨なだめ諭していたそこにたまたま通りかかった被告AはDに協力してCを諭すこととし,Cと視線を合わせるためしゃがんだ姿勢をとってなだめ,諭していた。 そのような状況において,原告が,被告Aの背後にやってきて肩をもむ仕草をした後に覆い被さり,いわゆる「おんぶ」の状態になった。被告Aは,原告に「止めて」と言って離れるように諭したが,覆い被さったまま離れな,。 いためしゃがんだまま振りほどこうとして上半身をひねって振りほどいた原告は振りほどかれて廊下に倒れたが,すぐに立ち上がった。被告AはそのままCを諭した。 その後,6年A組の女子が数人その場を通り過ぎようとしたところ,原告と同じクラスのEが,その女子らに近づき足を蹴り始めた。同女らが「この子達,いつも蹴ってくるんですよ」と言って助けを求めてきたので,被告。 Aはこれに対処することとし,Eの肩を両手で押さえて「止めなさい」と制止し「こういうことをしてはいけない。今後はしないように」と注意を,。 した。 被告AがEに 助けを求めてきたので,被告。 Aはこれに対処することとし,Eの肩を両手で押さえて「止めなさい」と制止し「こういうことをしてはいけない。今後はしないように」と注意を,。 した。 被告AがEに対する注意を終えた時,Dは既にいなくなっていたので,被告Aも職員室に向かおうとしたところ,背後から,突然原告が被告Aの臀部,。 ,,,付近を足で2回蹴って逃げ出したそのため被告Aは原告を追いかけ階段付近で原告を捕まえ,原告の胸元を掴んだところ,壁に当たり,その場で「もう,すんなよ」と比較的大きな声で叱って手を離し,そのまま向き。 を変えて職員室に向かった。原告はその場にしゃがみ込み,階段に手をついた。 以上の被告Aの行為は,暴力を振るってきた児童に対する指導として相当性の範囲内のものである。 () 主たる争点(2)-原告の損害の発生の有無と被告Aの行為との因果関係-について(1)原告ア原告は,被告Aの本件加害行為により,ひどい恐怖心を植え付けられ,平成14年11月26日の夜から泣き叫ぶなどし,恐怖の表情が出現し,食欲低下,笑顔の消失,一点を見つめて考え込む,母親がいないと,不安で,1人で寝られなく,入浴できない等の症状が追加して出現した。その後,被告Aらとの接点があったり,被告Aらの声や足音がすると,恐怖が増大し,固まるなどの行動制限が見られ,男性恐怖症などの面が見られるに至った。また,円形脱毛症も出現した。そのほか,睡眠時に中途覚醒があり,悪夢を見るといった症状が見られ,いわゆるフラッシュバックと考えられる症状も見られた。そして,医師には,PTSDと診断された。 原告は,以上の症状のため,平成16年9月2日までA病院へ通院し,治療を受けた。 イ原告の治療費,通院交通費,母親の休業補償費は,後述①から③のと れた。そして,医師には,PTSDと診断された。 原告は,以上の症状のため,平成16年9月2日までA病院へ通院し,治療を受けた。 イ原告の治療費,通院交通費,母親の休業補償費は,後述①から③のとおり合計21万4145円となる。 ①治療費A病院発達小児科にて治療平成15年2月27日5805円同年3月13日2360円同年4月10日1580円同年5月20日1580円同年6月26日1550円同年8月5日200円同年9月11日1550円同年10月23日200円同年12月18日200円平成16年2月19日200円同年5月13日220円同年9月2日220円小計1万5665円②通院交通費(バス代)大人運賃4360円(往復分)×12回=5万2320円小人運賃2180円(往復分)×12回=2万6160円小計7万8480円③母親の休業補償費1日1万円×12日=12万円小計12万円ウ慰謝料原告の受けた精神的苦痛は上記アのとおり極めて悲惨なものであり,本件加害行為当時8歳という若年期に心の奥底に植え付けられた傷は半永久的に残る可能性が高く,その慰謝料額は300万円を下らない。 (2)被告ら ア本事案発生当時の原告の担任であったFによると,本事案発生当日,原告に特に代わった様子は見られず,その後の学校生活においても,原告に以前と代わった様子は特になかった。 また,平成14年12月9日午後2時ころ,被告AがF立会いのもと,原告に「恐がらせてごめんね」と謝罪をし,Fが「どうする。許して。 ,あげる」と問いかけたところ,原告は「うん」と返事をし,被告Aを。 。 特に恐がっている様子はなく,普通であった。 確かに,原告は被告Aに叱られて,幾分かの心の傷ないしストレスを感 る。許して。 ,あげる」と問いかけたところ,原告は「うん」と返事をし,被告Aを。 。 特に恐がっている様子はなく,普通であった。 確かに,原告は被告Aに叱られて,幾分かの心の傷ないしストレスを感じたであろうが,このような心の傷ないしストレスは,悪いことをして叱られた経験のある者であれば誰もが持つ程度のものである。然るに,本件では,子供を諭すべき立場にある母親が,逆に,一方的に学校に対する過度な攻撃的対応に終始し,子供に生じた小さな心の傷やストレスを繰り返し思い出させ,拡大させていたものと思われる。そして,PTSDの診断書が作成されたのが,本事案発生から約3か月を経過した平成15年2月27日であることを考え合わせると,その原因は被告Aの行為に起因するものではないし,PTSDという診断自体に疑問がある。 第4当裁判所の判断 証拠(主たる証拠を文章の末尾に記載,争いのない事実及び弁論の全趣旨)によれば,以下の事実が認められる。 (1)原告は,平成14年11月26日当時,本渡市立A小学校2年A組に通っていた小学生であり,当時の原告の担任教諭はFであった。原告の身長は当時,約130センチメートルであった。 被告Aは平成11年3月にA大学教育学部を卒業し,平成11年4月からA中学校に2年間,平成13年4月からB中学校で約7か月,理科の臨時講師として勤め,平成13年11月29日から本渡市立A小学校にて算数の臨時講師として勤務を始め,平成14年4月から1年間,同小学校3年A組の 担任であった。平成14年11月26日以前には,被告Aは,特に原告と接,,点がなく原告とは面識がなくてどのような性格の子供かを知らなかったし原告も被告Aの名前すら知らなかった被告Aの体格は中肉中背である甲。 。(28,証人F,原告本人尋問,原告法定代理人 ,,点がなく原告とは面識がなくてどのような性格の子供かを知らなかったし原告も被告Aの名前すら知らなかった被告Aの体格は中肉中背である甲。 。(28,証人F,原告本人尋問,原告法定代理人尋問,被告A本人尋問)(2)平成14年11月26日の1時間目の後の休み時間に,本渡市立A小学校の校舎1階保健室前で,同小学校3年生のCがコンピューターをしたいと強く希望していたため,Cの担任のDがなだめていた。Cは発達障害に近い児童であり,対応が非常に難しい児童であったため,学年全体で話し合い,職員が協力して対応しようということになっていた。そこに被告Aが通りかかり,同人も同学年の担任であったため,Dと共にCをなだめ始めた。その時,被告Aは,Cの目線の高さに合わせて指導するために,しゃがんだ姿勢をとった。 原告は,2時間目の授業の内容を確かめるために保健室の隣にある職員室へ行く途中で,上記状況に居合わせ,被告AがCをいじめているのでCを助,,。 ,けようと考え被告Aを落ち着かせようと思い同人の肩を揉んだその際原告は被告Aに覆い被さるような形になった。被告AはCに対する指導の邪魔になるため,原告に離れるように言ったが,原告がなおも被告Aの肩を揉,,。 んでいたためしゃがんだまま上半身をひねり右手で原告をふりほどいたそのため,原告は,廊下に倒れた。 そこに,高学年音楽会の練習を終えて教室に向かっていた6年A組の女子が数人通りかかった。原告とEは,6年A組の女子らにじゃれつくように足で同人らを蹴り始めた。そこで,同女子らは,被告Aに対し「いつも,こ,の子達蹴ってくるんですよ」と言ったため,被告Aは,Eの肩を両手で押。 さえ,蹴る行為を制止し,主にEに対し,このようなことをしてはいけないと注意をした。 DはCをなだめ終わり,教室 いつも,こ,の子達蹴ってくるんですよ」と言ったため,被告Aは,Eの肩を両手で押。 さえ,蹴る行為を制止し,主にEに対し,このようなことをしてはいけないと注意をした。 DはCをなだめ終わり,教室に向かって階段を上って行ったので,被告A は職員室へ向かおうとしたところ,同人の後ろから,原告が,被告Aの臀部付近を2回蹴り,逃げようとした。この行為に立腹した被告Aは,原告を追いかけ,校舎1階の保健室の隣の体育教官室の隣にある階段の所で原告を捕まえ,階段を下りきったところにある消火栓の所で,原告の鎖骨付近の胸元の洋服を両手で掴んで壁に押し当て,原告がつま先立ちになる程度に上向きにつり上げ,大声で「もう,すんなよ」と怒った。そして,原告から手を放したところ,その反動で原告は階段の上に投げ出される形になり,原告は階段の2段目に手をついて転ぶ形になった(甲1から7,甲29,乙1から。 4,乙7,乙9,乙19,原告本人尋問,被告A本人尋問)この点につき,被告らは,被告Aは原告を上向きにつり上げていないと主張する。しかし,被告Aが原告のために特にしゃがむ等の配慮をした事実がうかがえないことからすると,原告と被告Aとの身長差からして,原告は上向きにつり上げられる形になったと認めるのが相当である。 (3)原告は,同日午後10時ころ,大声で泣き「眼鏡の先生から暴力をさ,れた」と原告の母親に訴えた(甲9)。 。 (4)平成14年11月26日午後11時ころ,Fの自宅に,原告の母親から架電があり,被告Aが原告へ振るった暴力のせいで,原告が夜泣き出し,胸が苦しくて眠れないでいる,被告AからFに暴力行為についての連絡はあったか,8歳の子供の胸ぐらを掴む根拠が知りたいとの問い合わせ及び原告に被告Aを近づけないようにして欲しいとの要求がなされた。Fは,原告の母 て眠れないでいる,被告AからFに暴力行為についての連絡はあったか,8歳の子供の胸ぐらを掴む根拠が知りたいとの問い合わせ及び原告に被告Aを近づけないようにして欲しいとの要求がなされた。Fは,原告の母親の抗議を聞いた後,被告Aから暴力行為についての連絡は受けていないこと,校長に連絡をすることを伝えるとともに,心のケアをしていくとの約束をした。その後,原告に対しても,電話で直接,元気に登校するようにと話したが,それに対する原告の受け答えは,原告が泣いていたため,Fにはは。(,,,,,っきりわからなかった甲4から6甲9乙1から3乙10乙19証人F) (5)同月27日午前8時ころ,Fは,校長に,原告の母親からの電話があった件を報告した。校長は,同日午前8時ころに,教頭Gと教務主任に対して事情を説明し,事実関係を確かめるようGに指示をした。Gが被告Aに確認をしたところ,同人は,原告の胸元を掴んだ指導を行ったことを認め,Gはその旨校長に伝えた。 同日午前9時ころ,校長は原告の母親の勤務先に電話をし,被告Aが原告の胸元を掴んで指導したことについてお詫びをするとともに,詳しい事情調査をすることを伝えたところ,原告の母親から同日12時ころ来校したいとの申入れがあり,校長はこれに了解した。 同日午前9時30分ころ,GはFに,本件に関係する2年生の調査をするように指示するとともに,6年生関係者及び職員の調査を始めた。 同日午後0時10分ころに原告の母親が来校し,校長とGが対応した。校長は原告の母親にお詫びをするとともに,原告の様子を聴取した。 原告の母親は,原告が胸元を掴まれたまま床にねじ伏せられたと言って抗議をした。また,原告の母親から,この件が解決するまで被告Aを原告に近づけないことと,原告宅への訪問は遠慮してもらいたい旨の要望 。 原告の母親は,原告が胸元を掴まれたまま床にねじ伏せられたと言って抗議をした。また,原告の母親から,この件が解決するまで被告Aを原告に近づけないことと,原告宅への訪問は遠慮してもらいたい旨の要望があった。 校長は要望について了解するとともに,このことについて調査を行い,状況の説明をするために話し合いの日時及び場所を決定し連絡する旨を伝えた。 同日午後1時10分ころ,校長は,Gと今後の対応と話し合いの期日設定を行い,次の話し合いの期日を平成14年12月3日午後7時30分から行,。(,うことを計画しGから原告の母親に電話で申入れをさせた甲4から6乙1から3)(6)平成14年12月3日午後7時30分ころから,本渡市立A小学校において,話し合いがもたれた。この話し合いには,原告の母親,その実兄,校長,G,F及び被告Aが出席した。 まず,Gが当時の状況を説明したところ,その状況説明の途中から,原告 の母親の抗議が始まった。原告の母親は「原告は成長過程の重要な時期に,あり,その過程でAに恐怖心を植え付けられ心に傷を負った。これが将来に影響すればどうするのか「講師Aの監督責任は管理者である。校長及び。」,Gの今後にも影響するかもしれない「伝統あるA小に講師Aのような先。」,生はいらない「学校側からの謝罪を文書で回答してもらいたい「事。」,。」,案発生から今日までの間に,なぜ原告に被告Aは謝らなかったのか「自。」,分が要求しているのは講師Aがいなくなることである「警察に突き出そ。」,うと思えばできる「教育委員会とか天草教育事務所,県教育委員会に言。」,うこともできる「弁護士に相談することもできる,被告Aは「3年A。」,。」組の児童の胸元を掴む行為をしている「女の子にはしていない,そうい。」, 天草教育事務所,県教育委員会に言。」,うこともできる「弁護士に相談することもできる,被告Aは「3年A。」,。」組の児童の胸元を掴む行為をしている「女の子にはしていない,そうい。」,うところには悪知恵が働いている「講師Aのような子供を育てた親の顔。」,が見てみたい「抗議してきたことを親に言っているのか」といった抗。」,。 議を一方的に続け,最後には原告の母親の実兄が原告の母親の帰宅を何度も促す状況が続き,午前0時ころ話し合いは終了した。 ちなみに,被告Aは,決まりを守らなかったり,約束を守らなかったりした児童に対し,胸元を掴んで指導をしたことはあるが,被告Aが担任を務める保護者の間では,被告Aが教師としての経験が短い分,子供達への声かけ等での配慮が足りないのではないかと思ったことはあるが,児童とのコミュニケーションは取れているようであるので,心配はしていない,被告Aの指導面における配慮には感謝しているという感想が述べられている(甲6か。 ら8,乙3,証人F,被告A本人尋問)(7)同日の話し合いの席で,原告の母親が,事案発生から今日までの間に,なぜ原告に被告Aは謝らなかったのかという抗議が学校側に対してあったため,また,原告の母親の抗議から原告が被告Aを恐がっているということを知ったため,被告Aは,G及びFと相談の上,同月9日午後2時ころ,F立会いのもと,原告に対し,恐い思いをさせてごめんねと謝り,Fが,許して あげると原告に聞いたところ,原告はうんと返事をした。しかし,原告の本心としては,同人の母親から,被告Aは,自分の担任のクラスでも原告に対して行ったような暴力と同じようなことをしていると聞いていたため,また暴力を振るわれるかもしれないと思い,被告Aに対し依然恐怖心を抱いており,許せない気持ちがあった( 自分の担任のクラスでも原告に対して行ったような暴力と同じようなことをしていると聞いていたため,また暴力を振るわれるかもしれないと思い,被告Aに対し依然恐怖心を抱いており,許せない気持ちがあった(甲6,甲30,乙3,乙9,乙19,証人。 F,原告本人尋問,原告法定代理人尋問,被告A本人尋問)(8)同日午後6時20分から午後7時35分まで,原告の母親から,Fに対し,電話で,なぜ被告Aを原告に会わせたのか,子供がはっきり理解していないのに,勝手に謝られてもそれは学校の身勝手だ等といった内容の抗議があった(乙19,証人F,原告法定代理人尋問)。 (9)同月10日午前8時ころ,原告の母親は原告を送って小学校に来たところ,校門であいさつ運動をしていたFに次の内容のメモを手渡した。 「文書で回答 明確かつ詳細,,。 僅か8才の子供A小学校の生徒に手をかけた暴力を振るった動機 誠意を示せ(甲6)。」(10)原告の母親からの要求などについてもう一度話し合いの場が必要と判断した校長は,同月11日午後3時ころから午後5時ころにかけて,Gから原告の母親に電話を入れさせた。その際,原告の母親は,以下のような内容のことを話した。 ①A講師は原告に蹴られても痛くもかゆくもなかったはずだ。 ②A講師はD教諭とできている。そして,2人は口裏を合わせている。D教諭は嘘をついている。 ③GはA講師とD教諭を内輪の人間としてかばっている。 ④校長のA講師にはこれからの将来があるからという発言に対しカ「。」「チッ」ときた。 ⑤保護者の許可を受けずにA講師が謝罪したということはどういうことだ。保護者への謝りも済んでいない。 ⑥原告はA講師に恐怖感を持っている。今朝おねしょしたのもA講師と接触した恐怖感からだ。 ⑦A講師は告 の許可を受けずにA講師が謝罪したということはどういうことだ。保護者への謝りも済んでいない。 ⑥原告はA講師に恐怖感を持っている。今朝おねしょしたのもA講師と接触した恐怖感からだ。 ⑦A講師は告訴すれば逮捕される。 ⑧昼休み時間くらいで話をつけられるわけではない。ちょっと話をして私を追い返そうとしているのだ。 そして,原告の母親は,文書での回答を要求し,話し合いはしたくないと述べた。しかし,学校側は,原告の母親に同月16日午後0時ころからの話し合いを申し入れた。 同日午後0時30分ころ,Gが来校を促す電話を原告の母親にかけたところ,原告の母親は再度,文書による回答と原告の心のケアをすることを要求し,裁判を起こすことを話した。そして,Gに対し,裁判に訴えたらどうするのかと話し,なぜ裁判を取り下げてくださいと言わないのかと詰問した。 Gは,それを強制的に止めることはできないのでと対応したところ,その電話に立腹した原告の母親が校長室を訪れた。校長は,PTA,保護者,地域との信頼関係を築きながら日々の教育活動を実施している,指導が適切でなかったところは謝るべきだし,至らなかったところも反省しながら協力関係を高めようとしている,その関係を築いていくべき間柄での文書のやりとりはそぐわないとの説明を行ったが,原告の母親は,文書での回答をあくまでも要求した。 原告の母親は,帰る際に,職員玄関で,再度,Gに対し,30分ほど抗議をしたその中には被告Aへの慰謝料の要求をほのめかす言動があった甲。 。(6,乙3,乙9)(11)同月17日午前10時40分ころから午前11時40分ころ,Gは次の話し合いの期日を決めるため原告の母親に電話をしたが,同人からは学校の 対応が変わらないならこれ以上話し合いをしても意味がないので話し合わないといった内容の返 から午前11時40分ころ,Gは次の話し合いの期日を決めるため原告の母親に電話をしたが,同人からは学校の 対応が変わらないならこれ以上話し合いをしても意味がないので話し合わないといった内容の返事がされた。その話の中で,なぜ暴力教師をそのまま放っておくのか,僅か8歳の子供に手を出すというのは犯罪である,後で告訴もできる,教育委員会にこのことを伝えれば,管理職に「おとがめ」があって当然のことだ,校長とGはこのことをうやむやにしようとしている,本渡市立A小学校の管理体制がなっていない,管理職としてA講師を教育委員会に突き出すべきである,PTA会長にこのことは言ってあるのか,といったことが原告の母親から述べられた。 同日午後0時ころ,校長に原告の母親から直接電話があり,同人は,このままだと決着が付かないのでこの事案を関係機関に連絡すると話した(甲。 6,乙3,乙9)(12)同月21日午後1時ころから午後4時ころ,原告の母親が被告A宅を訪れた。その時,被告Aが不在であったため,被告Aの母親が対応した(甲。 6,乙3,原告法定代理人尋問)(13)同月24日午前8時ころ,被告Aは,校長に,原告の母親が自宅を訪問してきたこと及び文書での回答を要求してきたことを報告した。校長は,被告Aに対し,学校の対応について確認(文書での回答はしないとの態度)。 するとともに,Gに対し,原告の母親へ学校の対応を再度申し入れるよう指示した(乙9)。 (14)同月25日午後7時30分ころから午後7時32分ころ,校長立会いの,,,もとGは原告宅へ学校の対応についての申入れのために電話を入れたが原告の母親は電話に出なかった(甲6,乙3)。 (15)その後も,原告の母親は,原告と被告Aとを会わせないように配慮し,原告が被告Aと会うであろう全校の集会など いての申入れのために電話を入れたが原告の母親は電話に出なかった(甲6,乙3)。 (15)その後も,原告の母親は,原告と被告Aとを会わせないように配慮し,原告が被告Aと会うであろう全校の集会などの際には欠席をさせていた。そのため,Fが,平成15年2月12日に被告Aを教室に入れて職員研修授業をした時には,原告の母親は,Fに対し,事前に連絡をして欲しかった,そ うしたら原告を欠席させたのに,といった抗議をした(乙19,証人F,。 被告A本人尋問),,「,(16)同月27日の低学年学習発表会につき原告が前日にFに対し先生明日休んだらどうなるの」と聞いてきた。原告は学習発表会に参加したいの,,,,だが原告の母親が行かせないと言っていると原告が述べたためFは夜原告の母親に電話をした。すると,原告の母親は,被告Aとの接触を避けるため,保護者の判断で欠席させますと言った(乙19,証人F)。 (17)同年3月の全校音楽集会も,原告の母親が,原告と被告Aとの接触を拒み,原告は3時間目から出席した(乙10,証人F)。 (18)同月9日の授業参観に,原告は欠席した。同月11日に原告と同人の母,,,親が登校してきた際にFがなぜ授業参観を欠席したのかと尋ねたところ原告の母親は,原告が授業参観には行きたくないと言ったので欠席させた,大勢の人が教室に来るのが恐いのでしょうねと述べた。しかし,Fが原告に直接聞くと,同人は「お母さんが授業参観に行かんでよか。貧血で体調が,悪いからつれていけないとも言った」と述べ,原告は,授業参観で司会も。 するので参加したかったと述べた(乙19,証人F)。 (19)原告の母親は,本渡市教育委員会に対しても来庁の上,一方的な抗議をした。また,天草教育事務所をも訪れ,同指導課長に対し,4時 司会も。 するので参加したかったと述べた(乙19,証人F)。 (19)原告の母親は,本渡市教育委員会に対しても来庁の上,一方的な抗議をした。また,天草教育事務所をも訪れ,同指導課長に対し,4時間に渡り抗議を続けた(甲8,乙5)。 (20)原告の母親は,学校は事実を隠蔽しようとしており,目撃者であるDを,,同席させないで話し合いを進めようとしている教育委員会にかけあっても校長や同僚を守ろうとし,学校と一緒に事実隠蔽を行おうとしていると感じており,その旨をA病院のB医師に述べている(甲28)。 (21)平成15年1月の冬休み明けに,原告の母親は,本渡市立A小学校で配「」「」,布しているこころのノートふれあいのページのおうちの人から欄に「平成14年11月26日,火曜日,休み時間3年A組担任臨時職員A先 生の原告に対して,胸ぐらを掴み,押し倒す暴力,状況,その後の対応は悪質,こころのノート(成長)裏切られました」と記載をした(甲26の2)。 (22)原告の母親は,平成18年8月ころ,天草の警察へ行き,現在,民事裁判中だが,刑事事件としても被告Aの原告に対する暴力行為を調べて欲しいと要望した。これを受けて,天草の刑事課捜査1係長から,A病院に電話があり,PTSDのことで最終受診日の様子について照会書を送付してよいかとの問い合わせがあった(甲28)。 (23)原告の母親は,平成18年に入ってから,被告Aを刑事告訴し,同人は本渡署で事情を聞かれた(被告A本人尋問)。 (24)原告は,平成14年11月26日に,被告Aから胸元を掴まれ,凄まれるという行為を受けてから,家の中で,夜中に泣き叫ぶ,恐怖の表情が現れる,食欲低下,笑顔の消失,母親がいないと不安,1人で寝られなかったり入浴できない,睡眠時の中途覚醒 告Aから胸元を掴まれ,凄まれるという行為を受けてから,家の中で,夜中に泣き叫ぶ,恐怖の表情が現れる,食欲低下,笑顔の消失,母親がいないと不安,1人で寝られなかったり入浴できない,睡眠時の中途覚醒,悪夢を見る,男性恐怖症といった症状が現れ,同日以前にこれらの症状が原告に現れたことは認められない。また,原告には,朝から体が動かないという症状が現れ,特に2年生の3学期になってからは遅刻の回数が非常に多くなった。 同日以前の原告の学校での様子は,非常に元気がよく,時には年相応のいたずらをする活発な児童であった。 同日の2時間目以降,Fには,原告にいつもと変わった様子があるとは見。(,,,,)受けられなかった甲9甲11乙19証人F原告法定代理人尋問(25)同年12月4日,原告は,B医院で診察を受け,医者に相談をしたが,専門的な治療は受けられなかった(甲9,原告法定代理人尋問)。 (26)平成15年2月24日,原告は,C病院を訪ねたが,専門医がいなかったため診察は受けなかった。そして,天草市には専門の病院がないと言われたため,原告の母親は専門医がいるところを探し,A病院にて診察を受けることとした(甲9,原告法定代理人尋問)。 (27)同月27日,原告と原告の母親はA病院を訪れた。その際原告を診察した医師はB医師であった。この日の,箱庭療法は,原告が不安そうに緊張したため,母子同室で実施された。箱庭には,所狭しと玩具が置かれ,玩具を置く手にはかなり力が入っており,原告は鬼気迫る様子であった。箱庭には「いろいろな街」という題名が付けられ,右下に赤い騎士を置き,それが原告であると言った。原告である赤い騎士は,被告Aを象徴する青い騎士と戦っている。その他の玩具も,だいたい2対になって戦っている。母を象徴する白雪姫のよ 題名が付けられ,右下に赤い騎士を置き,それが原告であると言った。原告である赤い騎士は,被告Aを象徴する青い騎士と戦っている。その他の玩具も,だいたい2対になって戦っている。母を象徴する白雪姫のような女性の人形や「楽しくなる木」という大木は安全な場所,に置かれている。 医師の感想としては,全体的にものすごいエネルギーで戦いという迫力ある大変な雰囲気だが,患者(原告)が逃げたり,ひきこもっていず,現実や内的な敵と戦おうとしているところは前向きで評価できると記載されている(甲28)。 また,同日行われた健康調査では,原告本人が,時々,気分が沈んで憂鬱である,些細なことで泣いたり泣きたくなる,夜よく眠れないといった申告をしている(甲28)。 B医師は,原告の症状をPTSDと診断し,心のケアを要する病状と認める旨の診断書を作成した(甲9,甲10,原告法定代理人尋問)。 (28)同年3月13日,原告はA病院にて2回目の診察を受けた。この時の担当医師はH医師であった。Hは,その後も継続して原告の診察を担当し,平,。(,)成17年9月26日に以下の内容の診断書を作成した甲11甲28①原告は,発達歴としては,特に発達障害などを思わせる症状はなく経過していた。 ②原告の症状は,一般的に言うPTSDと一致した。 ③「箱庭療法」と言われる心理面での深層心理を検出した。 箱庭療法での所見は,初診時(平成15年2月27日)には不安と緊張 を表し,母親の同席が必要であった。多数の玩具を所狭しと置き,安全な場所と戦いの場を作ることで心的な戦いを暗示していた。 2回目の平成15年4月10日の箱庭療法ではまだ不安があり,やっと母親なしで取り組めた。心的情況の現れとしては,人形は置かず,人への抵抗感の残存を感じさせた。戦闘機と旅客機を置き,ど 暗示していた。 2回目の平成15年4月10日の箱庭療法ではまだ不安があり,やっと母親なしで取り組めた。心的情況の現れとしては,人形は置かず,人への抵抗感の残存を感じさせた。戦闘機と旅客機を置き,どこか遠くに行きたい気持ちを表現しているようであった。 同年5月20日には,玩具の数が前回と比較すると減少し,ライオンと虎を睨み合わせたりしたが,全体的には落ち着きを取り戻している。このころはまだ中途覚醒(夜中の目覚め)が残っていた。 同年6月26日の箱庭療法では,まだ母子分離に不安があり,箱庭作成に抵抗があった。虎を前回と同様に置くが,虎を自分の感情として抑制しようとしているところが見られた。 同年9月11日の箱庭療法では,ガソリンスタンドを置き,心のエネルギーが回復しつつあることを示唆していた。この頃より睡眠も良好になりつつあり,円形脱毛症も消失した。しかし,子供達の集会では気持ちがまだ悪くなっていた。 ④同日以降も周囲からのストレスは断続的にあったが,何とか通学は行えていた。次第にストレスに対する耐性は獲得しているが,過大なストレスは避けなければならない。 (29)原告がA病院に通院を始めて間もなく,原告の頭部に大小様々な大きさの円形脱毛症が見つかった。これらの円形脱毛症は平成15年9月11日の診察の際にはなくなっていた(甲11,甲24の2,甲28,原告法定代。 理人尋問),,。 (30)原告はA病院にて箱庭療法等の治療を行い徐々に回復をしていった現在では,体育祭のときに応援団長を務める等,元気に学校生活を送っており,家庭での生活も問題なく過ごしているが,原告訴訟代理人と尋問の打合 せをした際や,原告本人尋問の際には涙を流す様子が見られる(原告法定。 代理人尋問) 争点(1)(-被告Aの原告に対する行動の違法性-)につい なく過ごしているが,原告訴訟代理人と尋問の打合 せをした際や,原告本人尋問の際には涙を流す様子が見られる(原告法定。 代理人尋問) 争点(1)(-被告Aの原告に対する行動の違法性-)について上記事実認定によれば,被告Aは,逃げる原告を捕まえ,階段を下りきったところにある消火栓の所で,原告の鎖骨付近の胸元の洋服を両手で掴んで壁に押し当て,原告がつま先立ちになる程度に上向きにつり上げ,大声で「もう,すんなよ」と怒るとの行動に及んでおり,これは学校教育法11条ただし書。 により全面的に禁止されている教員の生徒に対する「体罰」に該当する行為であると認められる。 この点につき,被告らは,被告Aの行為は,暴力をふるってきた生徒に対する教育的指導の範囲内のものである旨主張する。しかし,被告Aは6年生の女子に対する原告とEの行動に対して注意をする際には,Eの肩を両手で押さえて蹴る行為を制止して口頭で注意したのに止まっているが,原告が被告Aの臀部付近を蹴った行為に対しては,上記注意行為とは明らかに程度が異なる,首に近い胸元を掴み,壁に押さえつけながら,原告がつま先立ちになる程度に上向きにつり上げ,大声で「もう,すんなよ」と怒るとの行為に出ていること。 や,被告Aが原告と面識がなく,原告がどのような性格で,どのような教育的配慮を要する児童かも知らなかったことなどからすると,被告Aは,自己の臀部付近を蹴ってきた原告に対して,教育的配慮を超えて,上記認定事実のとおり,腹立たしさも加わって原告に対して上記行為に及んだと認められ,被告Aの行為は教育的指導としての注意のみから出たものとはいえず,個人的な腹立たしい感情を原告にぶつけたものと認められる。そして,被告Aの上記行為が行われた当時,原告はまだ小学校2年生であり,身長が130センチメートル程度であ の注意のみから出たものとはいえず,個人的な腹立たしい感情を原告にぶつけたものと認められる。そして,被告Aの上記行為が行われた当時,原告はまだ小学校2年生であり,身長が130センチメートル程度であったのに対し,被告Aは成人男子の平均的な身長であり,身長差からしても,両者の力の強さの差からしても,また,被告Aが原告の胸元を両手で掴んでやや上向きにつり上げ,壁に押しつけるという行為態様からしても,被 告Aの上記行為は教育的指導の範囲から逸脱しており,体罰といわざるを得ない。 争点(2)(-原告の損害の発生の有無と被告Aの行為との因果関係-)について(1)1の認定事実によれば,原告は,平成14年11月26日に被告Aによる行為を受けるまでは,家の中で,夜中に泣き叫ぶ,恐怖の表情が現れる,食欲低下,笑顔の消失,母親がいないと不安,1人で寝られなかったり入浴できない,睡眠時の中途覚醒,悪夢を見る,男性恐怖症,朝体が動かない,円形脱毛症といった症状が見られなかったのであるから,これらの症状は,被告Aの行為によって生じたものと認められる。 確かに,証人Fは,同日1時間目以降,すなわち,被告Aから上記行為を受けた後にも,原告は変わった様子はなく,普段と変わらないように過ごしていたこと,被告Aが原告に謝った時にも,Fはずっと隣にいたが,原告は特に怯えているという様子はなかったこと,その後も授業中においてもいつもと変わらないように積極的に発言をしていたし,休み時間も友達とよく遊んでいたといったこと,被告Aが教室内にいた平成15年2月12日の道徳の職員研修授業においても原告は自ら手を挙げて発言していたこと,被告Aから上記行為を受けた後である2年生の2学期,3学期の成績が特に下がるなどの事実はなかったことなどを述べる(甲25の4ないし6,証人F。し 修授業においても原告は自ら手を挙げて発言していたこと,被告Aから上記行為を受けた後である2年生の2学期,3学期の成績が特に下がるなどの事実はなかったことなどを述べる(甲25の4ないし6,証人F。し)かし,原告に,上記症状が現れたことは上述の認定のとおりであり,原告の年齢からしても,動機からしても,原告が詐病を演じる必要性も可能性もなく,また,上記症状の態様からしても,演技でできるような態様の症状ではない。そして,PTSDの症状が主に家の中で夜に現れていることからすると,原告は,家に帰り,気が許せる場所になるとPTSDの症状が発現すると認められ,学校で活発な言動が見られるからといって,原告のPTSDの症状が疑われるわけではないし,被告Aの上記行為との間の因果関係が否定 されるものでもない。 被告らは,本件では,子供を諭すべき立場にある母親が,逆に,一方的に学校に対する過度な攻撃的対応に終始し,子供に生じた小さな心の傷やストレスを繰り返し思い出させ,拡大させていたものと思われると主張する。確かに,原告の母親は,上記1で認定したとおり,多岐多数回にわたる抗議を学校側に繰り返し行い,被告Aを刑事告訴する等,その態度には頑なな面が見られる。また,訴状記載の被告Aの原告に対する行為が,原告本人尋問の結果と異なり,保健室前から階段のところまで一気につり上げて引きずるといった過大な表現になっていることも,原告の母親の訴えによるものであるとうかがわれる。しかし,このような原告の母親の言動が原告の心の傷を拡大させたと認めるに足る証拠はない。また,被告らは,PTSDとの診断書が作成されたのが,本事案発生から約3か月を経過した後であることを考え合わせると,その原因は被告Aの行為に起因するものではないし,PTSDという診断自体に疑問があると述べるが, ,PTSDとの診断書が作成されたのが,本事案発生から約3か月を経過した後であることを考え合わせると,その原因は被告Aの行為に起因するものではないし,PTSDという診断自体に疑問があると述べるが,上記認定のとおり,原告が,家の中で,夜中に泣き叫ぶ,恐怖の表情が現れる,食欲低下,笑顔の消失,母親,,,がいないと不安1人で寝られなかったり入浴できない睡眠時の中途覚醒悪夢を見る,男性恐怖症,朝体が動かない,円形脱毛症といった症状を現すようになったことが認められ,これらはPTSDの症状と合致するし,これらの症状を原告が現すようになったのが,被告Aから上記行為を受けた後,特に上記行為を受けた日の夜10時に泣き叫ぶ症状が現れたことを考えると,被告Aの行為に起因して原告がPTSDとなったと認められ,これを覆すに足る証拠はない。 (2)そこで,原告の被った精神的損害について判断するに,被告Aの原告に対する行為の態様,程度,当該行為が行われた際の原告の年齢,ことに当該行為によって生じた原告のPTSDの症状の内容と程度,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告Aの原告に対する加害行為によって原告の 被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は50万円をもって相当とする。 (3)さらに,治療費,通院費,原告の母親の休業補償費について検討する。 ア治療費A病院発達小児科にて治療平成15年2月27日5805円同年3月13日2360円同年4月10日1580円同年5月20日1580円同年6月26日1550円同年8月5日200円同年9月11日1550円同年10月23日200円同年12月18日200円平成16年2月19日200円同年5月13日220円同年9月2日220円合計1万5665円以上 同年9月11日1550円同年10月23日200円同年12月18日200円平成16年2月19日200円同年5月13日220円同年9月2日220円合計1万5665円以上の事実は甲12から甲23によって認められる。 イ通院交通費(バス代)については,前記の通院に母親も付き添っていたことが認められるから,原告主張の7万8480円を損害として認める。 (原告法定代理人尋問,弁論の全趣旨)ウ母親の休業補償費については,母親が休業した場合に生じる損害額についての具体的な証拠がなく,これを認めるに足りない。 (4)弁護士費用弁論の全趣旨によれば,原告は,本件訴えを提起するために原告訴訟代理人に委任することを余儀なくされたと認められ,被告Aの行為と相当因果関係に立つ弁護士費用としては,本件事案の内容や認容金額に照らし,これを 6万円と認めるのが相当である。 ところで,原告は,原告の損害につき,被告A及び被告天草市双方に請求をするものであるが,国又は公共団体の公務員がその職務を行うについて,故意又は過失によって,違法に他人に損害を加えた場合には,国又は公共団体が被害者に対して損害賠償の責任を負い,当該公務員個人は直接被害者に対して損害賠償責任を負うものではない。したがって,原告の被告Aに対する損害賠償請求は理由がない。 結論 以上のことから,原告の請求は一部理由があるから認容することとし,その余について棄却することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 熊本地方裁判所民事第2部亀川清長裁判長裁判官内山真理子裁判官中島真希子裁判官 所民事第2部亀川清長裁判長裁判官内山真理子裁判官中島真希子裁判官
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