昭和29(ネ)1540 建物収去土地明渡請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和31年8月4日 東京高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人の負担とする。          事    実  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し別紙第一目録記載 の土

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判決文本文5,804 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し別紙第一目録記載の土地をその地上に存する別紙第二目録記載の建物を収去して明け渡し、昭和二十六年十一月十六日より右土地明渡ずみまで一ケ月金三万八千四百三十四円八十銭の割合の金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において、『原判決事案摘示中控訴人(原告)の主張として、「被告は右土地上に別紙第二目録記載の建物を所有し、これを工場及び事務所として使用して来たが、」とあるのを、「被告(被控訴人)は、右土地上に別紙第二目録(本判決末尾添附の控訴審において訂正したもの)記載の建物を所有し、これを被告(被控訴人)会社の職員宿舎及び倉庫として使用して来たが、」と訂正する。地下七百十米の深さにまで掘さくし、数年に亘り四六時中休なく地下水を汲み上げる設備は、土地の原状に変更を生ずるものである。なお、本件建物の収去並びに土地の明渡により被控訴人の企業が破壊されるとか、経済上莫大な損害を生ずるとかいうことはない。』と述べ、被控訴代理人は、「本件係争建物は、倉庫、工場、社宅、健康診断室に使用しているもので、職員宿舎、倉庫としてのみ使用しているものではない。なお本件係争地内の空地は原材料(鉄材等)の置場に使用しているもので、被控訴人工場の運営に不可欠のものである。」と述べた外、原判決事実摘示(原判決添附目録をふくむが、内第二目録は本判決末尾添附のとおり訂正した)記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。 証拠として、控訴代理人は、甲第一号証、第二、第三 と述べた外、原判決事実摘示(原判決添附目録をふくむが、内第二目録は本判決末尾添附のとおり訂正した)記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。 証拠として、控訴代理人は、甲第一号証、第二、第三号証の各一、二、第四、第五号証、第六号証の一、二、第七号証の一、二、三、第八、第九号証の各一、二、第十ないし第十三号証、第十四、第十五号証の各一、二、第十六、第十七号証、第十八号証の一、二、第十八ないし第三十九号証を提出し、原審証人A、B、C、当審証人D、Eの各証言、原審並びに当審における検証の結果、原審における鑑定人Fの鑑定め結果、原審における原告(控訴人)本人尋問の結果を援用し、乙第二号証の一、二、第四号証の一、二の成立を認める、その余の乙各号征の成立は不知、乙第四号証の一、二を援用する。と述べ、被控訴代理人は、乙第一、第二号証の各一、二、第三号証、第四号証の一、二を提出し、原審証人G、H、I、当審証人Jの各証言、当審における検証の結果を援用し、甲第一号証、第二、第三号証の各一、二、第四、第五号証、第七号証の一、二、三、第八、第九号証の各一、二、第十ないし第十二号証、第二十一号証、第二十三ないし第三十七号証の成立を認める、その余の甲各号証の成立は不知と述べた。 理由 被控訴人か昭和十九年四月一日控訴人から別紙第一目録記載の土地を、工場用の堅固でない建物所有の目的で、期間二十年、賃料は一ケ月坪当り金三十銭(ただし昭和二十五年八月分から金五円五十銭に値上げされた)で賃借したこと、被控訴人が右土地の上に別紙第二目録記載の建物を所有し、右土地を占有していること、控訴人は昭和二十六年十一月十四日被控訴人に対し控訴人主張のように土地の原状を変更する行為をしたことを理由として、右賃貸借解除の意思表示をなし、右意思表示が被控訴 所有し、右土地を占有していること、控訴人は昭和二十六年十一月十四日被控訴人に対し控訴人主張のように土地の原状を変更する行為をしたことを理由として、右賃貸借解除の意思表示をなし、右意思表示が被控訴人に翌十五日到達したことは、当事者間に争のないところである。 控訴人は、右賃貸借契約にあたつて「賃借人たる被控訴人は賃貸人える控訴人の書面による承諾がなければ、土地の掘さく、土砂の搬出、地形地質の変更等いやしくも右土地の原状に変更を生ずべき行為をすることができないこと、もし被控訴人が右約定に違反したときは、控訴人は催告を要しないで賃貸借契約を解除することができること」の約定があつたのに、被控訴人は、昭和二十六年十月十六日以来控訴人の承諾なくして右土地内に訴外江東天然瓦斯工業株式会社(以下訴外会社と呼ぶ)に対し天然瓦斯採取用のさく井工事を許容し、これが工事完成に因つて本件土地の原状に変更を加え、右契約条項に違背した、と主張するので、まずこの点から検討する。控訴人と被控訴人との本件賃貸借契約書に、「被控訴人は賃貸人たる控訴人の書面による承諾がなければ、土地の掘さく、土砂の搬出、地形地質の変更等いやしくも右土地の原状に変更を生ずべき行為をすることができず、もし被控訴人がこの約定に違背したときは控訴人は催告を要せずしてこの契約を解除し得る」旨の条項が記載されていることは、当事者間に争ないところであるから、右条項がいわゆる例文であつて当事者がこれに拘束される意思を有しないと認められるような特段の事由のない限り、控訴人と被控訴人との間に右契約書に記載せられているとおりの約定がなされたものと認めるのが相当であつて、本件においては右特段の事由の存在を認めるに足る証拠は存在しない。しかして被控訴人が昭和二十六年十月十六日以降右土地内において訴外会社に対し天然瓦 おりの約定がなされたものと認めるのが相当であつて、本件においては右特段の事由の存在を認めるに足る証拠は存在しない。しかして被控訴人が昭和二十六年十月十六日以降右土地内において訴外会社に対し天然瓦斯採取用のさく井工事を許容したことは、当事者間に争がなく、原審並びに当審における検証の結果、成立に争のない甲第八、第九号証の各一、二、原審証人G、Hの各証言を綜合すれば、訴外会社は、本件係争地に口径六吋、深さ七百十米の坑弁を作り、これに引抜鋼管を挿入し、直径二・五米、高さ十三米の鉄製分離器一基、木造トタン茸平家一棟建坪三坪の空気圧縮機室、巾二尺長さ八間の排水溝などを設置し、かつ右設備附近は地盛してその周辺よりも約二尺高くし、右坑弁よりは地下水が不断に湧出するようにしたことを認めることができるので、被控訴人は一応右坑井の開設により本件土地の原状に変更を生ずべき行為をなしたものとなすのが相当である。 被控訴人は、右坑井の開設については、控訴人代理人A弁護士の承諾を得ている、と主張しているけれども、原審証人Aの証言によれば、A弁護士がそのような承諾を与えたことのなかつた事実を認めることができるのみならず、右につを控訴人の書面による承諾を得たことは被控訴人の毫も主張立証しないところであり、その他いかなる形式においても被控訴人が本件土地の掘さくにつき控訴人ないしはその代理人の承諾を受けたものと認めるに足る証拠はない。しかしながら、(一)原審誠人I、当審証人Jの各証言を綜合すれば、天然瓦斯井は挿入した鉄管の腐蝕と共に地下水及び瓦斯の湧出が止まるものであつて、その湧出期間は長くとも五、六年であり、湧出が止まつた場合には孔口にセメント等を注入することによつてさく井前の原状に回復することが可能であると認められ、(二)当審証人D、原審証人B、Cの各証言によれば 湧出期間は長くとも五、六年であり、湧出が止まつた場合には孔口にセメント等を注入することによつてさく井前の原状に回復することが可能であると認められ、(二)当審証人D、原審証人B、Cの各証言によれば、地下七百米の深部より地下水を湧出せしめることにより理論上は地表上坑井より七百米の距内にある地盤に影響を及ぼすことが考えられるけれども、これに因る地盤の沈下の程度は未だこれを認識することができないことが認められるので、本件においても本件天然瓦斯井の設置に因り本件土地の地盤の沈下を来すことは、理論上とともかく実際上はほとんどないものとなすを相当とすべく、(三)前記証人H、Gの証言、同証言によつて真正に成立したと認める乙第一号証の一、二及び当審における検証の結果を綜合すれば、訴外会社は、本件天然瓦斯井より採取した天然瓦斯はすべて被控訴人に売り渡すという契約で、約八百万円の費用を投じて本件天然瓦斯井を掘さくし、現に一日約千立方米の天然瓦斯を採取し、これを隣接地にある被控訴人工場に供給しているのであつて、本件坑井その他の採取設備はいわば被控訴人の工場設備の一部であるということができることが認められ、(四)鉱業法第百四条第百六条によれば、訴外会社は、本件坑井の開設につき本件土地の使用を必要とするときは、成規の手続を経て土地所有者たる控訴人の意思にかかわらず本件土地を使用することができたのであつて、前記(三)挙示の証拠並びに成立に争ない甲第二、第三号証の各一、二、第十号証によれば、訴外会社は被控訴人を通じて容易に控訴人の承諾が得られるものと考え、被控訴人においても、その責任において控訴人の承諾を得ることを約諾し、その手続に及んだので、同法条所定の許可申請手続をなさずして本件坑井を開設したところ、予期に反して控訴人の承諾を得ることができなかつたのであつて、 も、その責任において控訴人の承諾を得ることを約諾し、その手続に及んだので、同法条所定の許可申請手続をなさずして本件坑井を開設したところ、予期に反して控訴人の承諾を得ることができなかつたのであつて、当初から控訴人の意向を無視してなしたものでないことが認められ、他面本件土地は工場敷地として賃貸せられたものであつて、被控訴人が右地上に種々の工場設備を施設することは控訴人においても当然予期したところであると認めるを相当とすべく、しかるときは、訴外会社、ひいて被控訴人が控訴人の承諾を得るにさきだち本件坑井を掘さくしたことは、本件坑井が被控訴人の工場設備の一部と同視される限り、あるいは軽忽のそしりはまぬかれぬとしても、これをもつて信義に反した工場敷地の使用方法であるということができぬであろう。(五)その他控訴人が本件坑井の掘さくによりいちじるしい損害を被ることは、控訴人の提出援用にかかるすベての証拠によるもこれを認めることができない。 <要旨第一>以上(一)ないし(五)の事実を綜合すれば、本件坑井の開設は、土地の原状に変更を生ずべき行為というべきも、</要旨第一>未だ本件賃貸借の条項にいわゆる解除原因となすに足る「土地の原状に変更を生ずべき行為」にあたらないものというべく、これを捕えて「約定の違背」となし、「約定の違背に因る解除権」を行使することは少くとも信義に従つた解除権の行使であるということができず、控訴人はこれを行使することができないものとなすベきである。従つて、前段認定の控訴人の解除の意思表示に因つては、本件賃貸借解除の効力なきものというべきである。 次に、無断転貸を理由とする控訴人の主張について判断する。 控訴人は、被控訴人が控訴人から賃借した本件土地中三十二坪を控訴人の承諾なく無断で訴外会社をして使用させ、天然瓦斯井の掘さくをなさ ある。 次に、無断転貸を理由とする控訴人の主張について判断する。 控訴人は、被控訴人が控訴人から賃借した本件土地中三十二坪を控訴人の承諾なく無断で訴外会社をして使用させ、天然瓦斯井の掘さくをなさしめたことを理由として、本訴において賃貸借契約解除の意思表示をすると主張しており、被控訴人が本件土地中の若干を控訴人の承諾を得ないで訴外会社に使用させ、訴外会社は、これに天然瓦斯井を掘さくし、採取設備を所有して現に右部分を占有使用していることは、前段認定の事実により明らかなところであつて、その間の関係は転貸と認めるのが相当である。しかしながら、賃貸人の承諾なく賃借人が第三者をして賃借物の使用又は収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六百十二条第二項により契約を解除するとはできないものである(最高裁判所昭和二五年(オ)第一四〇号同二八年九月二五日第二小法廷判決及び同<要旨第二>昭和二八年(オ)第一一四六号同三〇年九月二二日第一小法廷判決参照)。しかして本件の場合、前段認定の(一)</要旨第二>ないし(五)の事実、ことに(三)の本件天然瓦斯採取設備が被控訴人の工場設備と同一視される事実、(四)の被控訴人が当初から控訴人の意向を無視して本件坑井の使用を許したものでない事実及び当審における検証の結果によつて認められるところの、被控訴人の全工場敷地は約八千五百坪であつて、その内二千坪は本件土地であり、しかも本件転貸部分は控訴人の主張によるもわずか三十二坪であつて、残余部分には数多の家屋が存し、被控訴人はこれを工場、倉庫、医務室、社宅等に使用している事実、並びに本件二千坪を除く六千五百坪の土地上には一面に工場建物等が建てられていて、本件土地上の建物を移築すべき空地とて 数多の家屋が存し、被控訴人はこれを工場、倉庫、医務室、社宅等に使用している事実、並びに本件二千坪を除く六千五百坪の土地上には一面に工場建物等が建てられていて、本件土地上の建物を移築すべき空地とて存しない事実は、これを綜合して前記特段の事情にあたるものとなすを相当とすべく、控訴人は、民法第六百十二条第二項による解除権を行使し得ないか、少くともこれを行使することは権利の乱用となるものというべきである。 よつて控訴人の解除権の行使により本件賃貸借が終了したことを原因とする控訴人の本訴請求はその余の争点につき判断するまでもなく失当として棄却すべきものである。従つて原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十五条を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判長判事大江保直判事内海十楼判事猪俣幸一)

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