平成16(行コ)5 公金支出差止等請求控訴事件(原審:金沢地方裁判所平成15年(行ウ)第2号)

裁判年月日・裁判所
平成17年12月19日 名古屋高等裁判所 金沢支部 住民訴訟
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判決文本文13,661 文字)

主文 ,。 原判決を取り消し控訴人らの公金支出差止請求に係る訴えを却下する 控訴人らが当審で追加した株式会社五井建築設計研究所に対する損害賠償請求等義務付け請求に係る訴えをいずれも却下し,Aに対する損害賠償請求義務付け請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも,控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1当事者が求める裁判 控訴人ら(1) 控訴の趣旨ア原判決を取り消す。 イ被控訴人は,平成14年9月24日に締結したα生涯学習施設建設業務委託契約に基づき,津幡町の公金を支出してはならない。 ウ訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 (2) 当審での追加請求の趣旨ア被控訴人は,Aに対し,7770万円及びこれに対する平成15年1月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 イ被控訴人は,株式会社五井建築設計研究所に対し,7770万円及びこれに対する平成15年1月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 ウ訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 被控訴人(1) 控訴の趣旨に対する答弁ア本件控訴を棄却する。 イ控訴費用は控訴人らの負担とする。 (2) 当審での追加請求の趣旨に対する答弁 (訴えの変更が許されるとした場合の予備的な答弁)ア控訴人らの請求をいずれも棄却する。 イ控訴費用は控訴人らの負担とする。 第2事案の概要 訴訟の経過等(1) 本件は,石川県河北郡αの町民である控訴人らが,津幡町長が株式会社五井建築設計研究所(以下「五井建築」という)との間で随意契約の方法で。 α生涯学習施設建設実施設計業務委託契約(以下「本件実施設計委託契約」という)を締結したことに関して,同契約が地方自治法234条2項,同。 法施行令 「五井建築」という)との間で随意契約の方法で。 α生涯学習施設建設実施設計業務委託契約(以下「本件実施設計委託契約」という)を締結したことに関して,同契約が地方自治法234条2項,同。 法施行令167条の2第1項2号に該当しないため,その締結は競争入札によるべきであるのに,これを随意契約で締結した違法があり,同契約は無効であると主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,津幡町の執行機関である被控訴人に対し同契約に基づく公金支出の差止めを請求以,(下「本件差止請求」という)した住民訴訟の控訴審である。 。 ,,。 (2) 原審は控訴人らの請求を棄却したため控訴人らが本件控訴を提起した(3) 控訴人らは,当審において,被控訴人が既に五井建築に対して本件実施設計委託契約に基づく公金7770万円を支出したことが判明したとして,行政事件訴訟法19条2項により準用される民事訴訟法143条により,被控訴人に対し,A及び五井建築に対してそれぞれ上記支払金7770万円及びこれに対する平成15年1月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の損害賠償請求(五井建築には,選択的に,不当利得返還請求)をするように求める義務付け請求(前記第1の1(2)ア及びイの請求。以下「本件義務付け請求」という)に係る訴えを追加的に提起すると。 ともに,本件差止請求に係る訴えを取り下げることを内容とする訴えの交換的変更申立て(以下「本件交換的変更申立て」という)をした。これに対。 し,被控訴人は,本件交換的変更申立てに同意せず,その不許を求めた。 (4) 略語は,原判決に準ずるものとする。 前提事実以下のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決 (4) 略語は,原判決に準ずるものとする。 前提事実以下のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決2頁9行目の「9」の次に「,乙25」を,同10行目の「弁論の全趣旨」の次に「,証人B」を,それぞれ加える。 (2) 原判決3頁7行目の「あること」の次に「,基本設計を担当した業者に対し,それに引き続く実施設計も委託すること」を加える。 (3) 原判決4頁11行目と12行目の間に次のとおり加える。 「(4) 本件訴訟提起後の事情ア津幡町は,本件訴訟が原審に係属中の平成15年5月20日,五井建築に対し,本件実施設計委託契約に基づく報酬7770万円を全額支払った(以下「本件公金支出」という。 。)イ控訴人らは,平成16年12月6日の当審第2回口頭弁論期日において,同日付け準備書面(8)により,上記1(3)のとおりの本件交換的変更申立てをした。なお,本件交換的変更申立てに先立って,本件公金支出についての監査請求はされていない」。 争点及び当事者の主張以下のとおり原判決を補正し,当審における当事者の主張を加えるほかは,原判決の事実及び理由の第3の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決4頁21行目の「原告」を「控訴人ら」と改める。 (2) 原判決6頁23行目の「溝ずる」を「講ずる」と改める。 (3) 原判決7頁10行目の「原告」を「控訴人ら」と改める。 (4) 原判決10頁2行目と3行目の間に次のとおり加える。 「したがって,被控訴人による本件実施設計委託契約の締結は,違法な支出負担行為である」。 (5) 原判決11頁7行目,同13頁11行目及び14行目の各「原告」をいずれも「控訴人ら」と改める。 。 「したがって,被控訴人による本件実施設計委託契約の締結は,違法な支出負担行為である」。 (5) 原判決11頁7行目,同13頁11行目及び14行目の各「原告」をいずれも「控訴人ら」と改める。 (当審における当事者の主張)(1) 本件実施設計委託契約の違法事由についてア控訴人らの主張被控訴人による本件実施設計委託契約の締結は,次の理由によっても,違法であり,同契約は私法上無効である。 (ア) 本件施設建設のために作成されたプロポーザル方式による建築設計業務委託者選定要領10条によれば,プロポーザル審査委員会は,選定した者を津幡町工事請負業者選考委員会に推薦し,同選考委員会の審議を経て,被控訴人が決定するものとされている。ところが,本件基本設計,,,委託契約については同審査委員長は同選考委員会に対してではなく直接に被控訴人に対して選定者を推薦し,被控訴人は,同選考委員会の審議の手続を経ることなく,五井建築との間で本件基本設計委託契約を随意契約の方法で締結したものであるから,被控訴人による本件基本設計委託契約の締結には必要な手続が履践されていないという手続上の違法がある。したがって,本件基本設計委託契約を基として五井建築との間で締結された本件実施設計委託契約にも,同様の違法がある。 (イ) 本件基本設計委託契約及び本件実施設計委託契約の締結に先だって,契約報酬の予定価格が定められなかった違法がある。 すなわち,地方自治法234条3項は,競争入札において,契約の目的に応じて,予定価格の制限の範囲内で契約の相手方を決すべきものとしているが,随意契約の方法で契約を締結する場合にも,競争入札に準 じて,予定価格の設定が当然に要請され,津幡町財務規則137条も,予定価格の設定を要件としている。予定価格の設定は,随意契約の方法,, が,随意契約の方法で契約を締結する場合にも,競争入札に準 じて,予定価格の設定が当然に要請され,津幡町財務規則137条も,予定価格の設定を要件としている。予定価格の設定は,随意契約の方法,,で契約を締結する場合において契約の相手方の選定が一部の者に偏し津幡町にとって不利な価格で契約が締結されるおそれがないとはいえないから,相手方申出に係る価格と比較検討して,その適否を判断するために必要である。ところが,本件基本設計委託契約及び本件実施設計委託契約の締結に先だって予定価格が設定されていない(甲1,11に予定価格の記載がないことから明らかである)から,被控訴人は,上記。 適否判断のための比較検討を欠いたまま本件基本設計委託契約及び本件実施設計委託契約を締結したのであり,本件実施設計委託契約の締結には合理的な裁量を逸脱した違法があり(被控訴人は,本件実施設計委託契約について,価格の多寡で設計者を選定するのは不合理であるとの態度をとっているから,五井建築の言い値で同契約を締結せざるを得なかったことになる,同契約は無効である。 。)イ被控訴人の主張(ア) 控訴人らの主張(ア)につきプロポーザル審査委員会が平成14年3月5日に五井建築を推薦し(乙6,これを承けて津幡町工事請負業者選考委員会が審議し,同月)6日本件基本設計委託契約について承認し(乙22,同年9月2日本)件実施設計契約について承認した(乙23。 )(イ) 控訴人らの主張(イ)につき本件基本設計委託契約の予定価格は乙20のとおり設定され,本件実施設計委託契約の予定価格は乙21のとおり設定された。 (2) 本件交換的変更申立ての適否ア被控訴人の主張(ア) 本件義務付け請求については,監査請求が前置されていない。仮に本 件義務付け請求について改めて本件公金支出 乙21のとおり設定された。 (2) 本件交換的変更申立ての適否ア被控訴人の主張(ア) 本件義務付け請求については,監査請求が前置されていない。仮に本 件義務付け請求について改めて本件公金支出に対する監査請求を前置する必要がないとしても,本件交換的変更申立てによる本件義務付け請求は新たな訴えの提起であるから,その出訴期間は,本件公金支出がされたことを知り得た日から30日以内である。本件公金支出に係る支出命,,令日は平成15年4月25日であり支出日は同年5月20日であって控訴人らは,平成16年10月末日までにはこの事実を知っていたか,少なくとも知り得たから,本件交換的変更申立てによる本件義務付け請求は出訴期間徒過後のものである。したがって,このような不適法な訴えへの変更を内容とする本件交換的変更申立ては許されない。 ,,(イ) 控訴審における本件交換的変更申立ては本件義務付け請求について被控訴人に保障された審級の利益を奪うとともに,その相手方とされたA,五井建築の審級の利益も不当に奪う結果となるから,被控訴人及び相手方の同意がない限り,不適法というべきである。 イ控訴人らの主張(ア) 本件差止請求と本件義務付け請求は,争点が同一であり,両請求は密接不可分の関係にあり,本件公金支出後はこれに対する損害賠償義務付け請求が当然に予測され,かつ,当事者も同一であるから,本件差止請求に係る訴え提起時に本件義務付け請求に係る訴えが提起されたものとみなすことができる特段の事情があり,本件交換的変更申立てによる本件義務付け請求は出訴期間の制限に違反しない。 また,控訴人らが本件公金支出を知り得たのは平成16年11月14日であり,具体的な支出命令や支出行為日を調査するには限界があるところ,被控訴人は,本件差止請求に係る訴えが第1審に係属中 違反しない。 また,控訴人らが本件公金支出を知り得たのは平成16年11月14日であり,具体的な支出命令や支出行為日を調査するには限界があるところ,被控訴人は,本件差止請求に係る訴えが第1審に係属中に本件公金支出をしながら,これを控訴人らに開示することなく,隠し続けていたから,このような被控訴人が本件義務付け請求について出訴期間経過を理由として不適法な訴えであると主張し,本件交換的変更申立てが許 されないと主張することは信義則に反して許されない。 (イ) 五井建築は,第1審において陳述書を提出する等,本件訴訟に実質的に参加しており,審理の対象は,本件実施設計委託契約が随意契約の方法によって締結されたことの違法性の有無及びその効力といった点にあることは変わりがないから,本件交換的変更申立てにより,控訴審において本件義務付け請求について審理しても,五井建築の審級の利益を害するものではない。 (3) 本件義務付け請求に関する主張ア控訴人らの主張(ア) 本件実施設計委託契約の締結が違法な支出負担行為であり,同契約は私法上も無効であることは,既に主張したとおりである。 (イ) 被控訴人は,故意又は過失により,本件実施設計委託契約の締結とい,,う違法な支出負担行為をし同契約が無効なものであるにもかかわらず本件実施設計委託契約に基づく報酬支払のために違法に支出命令をし,五井建築に対して本件公金支出をさせ,津幡町に対し,本件公金支出額7770万円と同額の損害を与えた。 (ウ) 五井建築は,津幡町に違法・無効な本件実施設計委託契約に基づく報酬の支払をさせてこれを受領し,同町に対して本件公金支出相当額の損害を与えるとともに,同額の不当利得をした。 (エ) よって,控訴人らは,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,本件実施設 せてこれを受領し,同町に対して本件公金支出相当額の損害を与えるとともに,同額の不当利得をした。 (エ) よって,控訴人らは,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,本件実施設計委託契約を締結し,本件公金支出の支出命令をしたAに対する前記第1,1(2)アの損害賠償請求をすること,同条第1項後段に基づき,五井建築に対する前記第1,1(2)イの損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることを求める。 なお,本件義務付け請求が出訴期間を遵守した適法な訴えであることは,上記(2)イ(ア)のとおりである。 イ被控訴人の主張,,,(ア) 本件義務付け請求は上記(2)ア(ア)のとおり監査請求を経ておらずかつ,出訴期間経過後の訴えであり,不適法である。 (イ) 控訴人らの主張は,被控訴人の支出命令に基づき本件公金支出がされたことは認め,その余を争う。 第3当裁判所の判断 本件差止請求に係る訴えの適否について本件差止請求に係る訴えは,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,津幡町長である被控訴人に対し,本件実施設計委託契約に基づく報酬の支払のために公金支出の差止めを請求する住民訴訟であるところ,上記報酬は,前記前提事実のとおり,本件訴訟が原審に係属中の平成15年5月20日の本件公金支出により全額支払われて,支払済みとなったというのであるから,本件差止請求は,差止めの対象が消滅したことにより,訴えの利益が消滅したものというべきである。 なお,被控訴人は,控訴人らが当審でした本件交換的変更申立てに対し,異議を述べてその不許を求めているから,本件差止請求に係る訴えの取下げに同意しているものと認めることはできず,本件交換的変更申立ての適否にかかわらず,本件差止請求に係る訴えは依然として係属しているものである。 ,,,。 いるから,本件差止請求に係る訴えの取下げに同意しているものと認めることはできず,本件交換的変更申立ての適否にかかわらず,本件差止請求に係る訴えは依然として係属しているものである。 ,,,。 したがって本件差止請求は不適法であるからこれを却下すべきである 本件交換的変更申立ての適否について(1) 本件交換的変更申立ては,行政事件訴訟法19条2項により準用される民事訴訟法143条に基づく訴えの変更申立てであり,上記1のとおり被控訴人が本件差止請求の取下げに同意しないため,本件差止請求の訴えに本件義務付け請求の訴えを追加する申立て(訴えの追加的変更申立て)としての効,,果を有するものであるから本件義務付け請求の訴えの追加申立ての許否は民事訴訟法143条1項に従って判断されるべきものである。なお,被控訴 人は,本件義務付け請求が不適法な訴えであるから,不適法な訴えへの変更を内容とする本件交換的変更申立ては許されない旨主張するが,同条1項本文は,訴えの変更の要件として,請求の基礎が同一であることを求めるのみで,既に係属する訴えが適法なものであることも,変更申立てに係る訴えが適法な訴えであることも,その要件としていないから,被控訴人の上記主張は採用できない。 (2) 前記第2の1のとおり,本件差止請求は,控訴人らが,αの町民として,被控訴人が五井建築との間で随意契約の方法で本件実施設計委託契約を締結したことに関して,随意契約の方法で締結することができない場合であるのに随意契約の方法で締結した違法があり,同契約は無効であると主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,津幡町の執行機関である被控訴人に対し,同契約に基づく報酬支払のための公金支出の差止めを請求した住民訴訟であり,他方,本件義務付け請求は,被控訴人が既に五井建築に 治法242条の2第1項1号に基づき,津幡町の執行機関である被控訴人に対し,同契約に基づく報酬支払のための公金支出の差止めを請求した住民訴訟であり,他方,本件義務付け請求は,被控訴人が既に五井建築に対して本件実施設計委託契約に基づいて本件公金支出をしていたとの事実を承けて,違法・無効な本件実施設計委託契約に基づく報酬支払のための違法な本件公金支出により津幡町が本件公金支出額7770万円相当の損害を被り,五井建築が同額の不当利得をしたと主張して,津幡町の執行機関である被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき津幡町長として支出負担行為及び本件公金支出の支出命令をしたAに対する損害賠償請求をすることを求め,同第1項4号後段に基づき五井建築に対する損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることを求める住民訴訟であるから,本件差止請求と本件義務付け請求とは,訴訟の当事者を同一にする同一の訴訟手続による訴えであり,また,本件実施設計委託契約を随意契約の方法で締結したことが違法か否か,違法な場合には同契約は無効であるか否かを主要な争点とする点でも共通するため,両請求における主張立証は概ね共通することが認められるから,両請求はその請求の基礎を同一にするものと解するこ とができる。 (3) ところで,本件義務付け請求の追加が認められ,控訴人らの本件義務付け請求が認容された場合において,被控訴人が,これに従って賠償請求等を提起すべき相手は,Aと五井建築であるところ,地方自治法242条の2第7項によれば,被控訴人は,これらの者に対し,本件義務付け請求に係る訴え(同第1項4号の規定による訴訟)に関して,遅滞なく訴訟告知をしなければならないものとされている。これは,これらの者が同訴えの帰趨に強い利害関係を有する者であるため,これらの者に対 け請求に係る訴え(同第1項4号の規定による訴訟)に関して,遅滞なく訴訟告知をしなければならないものとされている。これは,これらの者が同訴えの帰趨に強い利害関係を有する者であるため,これらの者に対して訴訟告知をすることで,これらの者にその訴訟手続に関与する機会を与えるとともに,本件義務付け請求が認容された場合に被控訴人がこれに従ってこれらの者に対して提起する上記損害賠償請求等の訴訟において,本件義務付け請求についての判決の効力(民事訴訟法53条による同法46条所定の効力)をこれらの者にも及ぼすことにより,本件義務付け請求に対する判決の判断と上記損害賠償請求等に対する判決の判断との矛盾をできる限り回避する趣旨に出たものであるから,被控訴人には,本件義務付け請求に係る訴えについて,第1審においてAと五井建築に対して訴訟告知をし,上記判決の効力を享受する法的利益。 ,,があるというべきであるそして本件義務付け請求に係る訴えについては地方自治法242条の2第11項により行政事件訴訟法43条が適用され,行政訴訟手続によって審理されるべきものであることも考慮すると,被控訴人の有する上記法的利益を内容とする審級の利益に配慮する必要があるから,このような配慮を必要としない特段の事情のない限り,控訴審において本件義務付け請求を追加するには被控訴人の同意を要するものというべきである(最高裁平成5年7月20日第三小法廷判決・民集47巻7号4627頁参照。 )これを本件についてみるに,本件義務付け請求のうちAに対する損害賠償請求義務付け請求に関しては,同人が,津幡町の執行機関である町長として ではあるが,上記損害賠償請求義務付け請求と請求の基礎を同一にする本件差止請求に係る訴えについて,1審被告及び被控訴人として第1審からその審理に関与してきた ,津幡町の執行機関である町長として ではあるが,上記損害賠償請求義務付け請求と請求の基礎を同一にする本件差止請求に係る訴えについて,1審被告及び被控訴人として第1審からその審理に関与してきたものである上,上記損害賠償請求義務付け請求は,控訴人らが本件差止請求で差止めを求めていた公金支出が,同請求に係る訴訟の係属中に被控訴人の支出命令により,支出されたことにより派生した訴えであることも考慮すると,上記特段の事情があるものというべきである。しかし,本件義務付け請求のうち五井建築に対する損害賠償請求等義務付け請求に関しては,上記特段の事情があることを認めることはできない(なお,五井建築代表者作成の陳述書が,原審において,被控訴人から乙17として提,。)。 出されているがそのことで上記特段の事情があるということはできないそして,被控訴人は,本件交換的変更申立てに異議を述べ,その不許を求めているから,控訴人らが本件義務付け請求を追加することに同意しているものと認められない。なお,控訴人らが指摘する事情があったとしても,被控訴人が本件交換的変更申立てに異議を述べ,その不許を求めることが信義則に反して許されないとはいえない。 (4) したがって,本件交換的変更申立てによるAに対する損害賠償請求義務付け請求の追加申立ては,適法としてこれを許可することとする。他方,本件交換的変更申立てによる五井建築に対する損害賠償請求等義務付け請求の追加申立ては,不適法であるから,これを不許可とし,同請求に係る訴えを管轄地方裁判所に移送すべきであるが,控訴人らは,本件交換的変更申立てによる訴えの追加申立てが不適法とされても,追加申立てに係る訴えを専ら本件訴訟での他の請求と併合審判を受けることを目的としてされたものであるとして,上記移送を求めない旨陳述している 交換的変更申立てによる訴えの追加申立てが不適法とされても,追加申立てに係る訴えを専ら本件訴訟での他の請求と併合審判を受けることを目的としてされたものであるとして,上記移送を求めない旨陳述している(当審第5回口頭弁論調書)から,五井建築に対する損害賠償請求等義務付け請求に係る訴えは不適法として,これを却下することとする。 Aに対する損害賠償請求義務付け請求(以下「新請求」という)について。 (1) 新請求の適否ア監査請求経由の要否前記前提事実のとおり,控訴人らは,本件実施設計委託契約を随意契約,,で締結することが違法であるとして監査請求をしこれが却下されたため被控訴人に対し,本件実施設計委託契約の締結が違法な支出負担行為であり,同契約が無効なものであるとして,これに基づく報酬を公金で支出することの差止めを求める本件差止請求を内容とする本件訴訟を提起したものであるところ,新請求は,上記報酬が本件公金支出により支払われたことを承けて,被控訴人に対し,本件実施設計委託契約締結という違法な支出負担行為とこれから派生した支出命令の違法を理由としてAに対する損害賠償請求をすることを請求する訴えであるから,上記監査請求の対象とした違法な財務会計上の行為と,控訴人らが新請求において違法であると主張する財務会計上の行為の主要部分は同一である。したがって,新請求に係る訴えについては,上記監査請求により,既に地方自治法242条の2第1項が定める監査請求を経由しているものであり,監査請求前置の要件に欠けるところはない(最高裁平成10年7月3日第二小法廷判決・裁判集民事189号1頁参照。 )イ出訴期間の遵守の有無上記2のとおり,新請求は,本件交換的変更申立てにより,当審で追加された訴えであるから,その出訴期間の遵守の有無は,特段の事情 小法廷判決・裁判集民事189号1頁参照。 )イ出訴期間の遵守の有無上記2のとおり,新請求は,本件交換的変更申立てにより,当審で追加された訴えであるから,その出訴期間の遵守の有無は,特段の事情のない限りは,新請求が追加された時を基準として決するべきものではあるが,新請求と従前から係属していた本件差止請求とは,その訴訟物が異なるものの,当事者を同一にする上,上記アのとおり,違法な財務会計上の行為の主要部分を共通にし,また,新請求は,本件差止請求に係る訴えが係属中にそこで差止めの対象とされた公金が支出されたことから派生した訴えであるから,新請求に係る訴えについては,本件差止請求に係る訴えが提 起された時にその提起がされたものと同視すべき特段の事情があるものというべきである(最高裁昭和61年2月24日第二小法廷・民集40巻1号69頁参照。これに反する被控訴人の主張は採用できない。 )そして,本件差止請求に係る訴えが出訴期間内に提起されたものであることは,前記前提事実から明らかである。 したがって,新請求に係る訴えについて,その出訴期間の遵守に欠けるところはないというべきである。 (2) 新請求の当否ア本件実施設計委託契約を随意契約により締結したことが違法か否か当裁判所も,被控訴人が本件実施設計委託契約を随意契約により締結したことについて違法がないと判断するが,そのように判断した理由は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の事実及び理由の第4の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(ア) 原判決16頁7行目の「19」の次に「27ないし29」を加え,,,同8行目の「乙14ないし18」を「乙14ないし19,24,25,証人B」と改める。 (イ) 原判決19頁21行目の「なお」から23行目の「ためであ の「19」の次に「27ないし29」を加え,,,同8行目の「乙14ないし18」を「乙14ないし19,24,25,証人B」と改める。 (イ) 原判決19頁21行目の「なお」から23行目の「ためであって」までを「そして」と改める。 (ウ) 原判決20頁4行目の「勧められるように」を「進められるように」と改める。 (エ) 原判決20頁14行目と15行目の間に次のとおり加える。 「(ウ) そして,社団法人公共建築協会が平成6年11月に発行した『公共建築におけるプロポーザル方式に基づく設計者選定方式に関する資料乙』(24)には,設計者の創造性,技術力,経験等が発揮されるのは基本設計段階において顕著であり,実施設計はそれを施工者に伝達するための設計 図書作成の段階ということができること,したがって,実施設計を委託しようとする場合は,相応の技術力等を判断し得るものであれば,必ずしもプロポーザル方式によらなくともよい場合もあると考えられること,しかし,基本設計及び実施設計は,特段の理由がある場合を除き,設計行為の一貫性の確保,著作権の保護等の観点から,同一の設計者が一貫して担当するのが望ましいことが述べられている」。 (オ) 原判決21頁9行目の「発注者」を「発注者及び基本設計者」と,同11,12行目の「安価に委託できるはずである」を「実施設計の委託が。 安価となることが期待できる」と,それぞれ改める。 。 (カ) 原判決21頁13行目の「基本設計の設計思想」を「基本設計をする過程において発注者との協議を踏まえて形成され,基本設計図等に具体化された設計思想」と改め,同15行目末尾に次のとおり加える。 「社団法人公共建築協会発行の『公共建築におけるプロポーザル方式に基づく設計者選定方式に関する資料(乙24)が,基本設計及び実施設計』は,特 た設計思想」と改め,同15行目末尾に次のとおり加える。 「社団法人公共建築協会発行の『公共建築におけるプロポーザル方式に基づく設計者選定方式に関する資料(乙24)が,基本設計及び実施設計』は,特段の理由がある場合を除き,設計行為の一貫性の確保,著作権の保護等の観点から,同一の設計者が一貫して担当するのが望ましい旨述べているのも,概ね上記と同趣旨であると解される」。 (キ) 原判決21頁17行目の「競争原理」を「価格の多寡を重要な目安とする競争原理」と改める。 (ク) 原判決21頁23行目の「のではないか」を削除する。 (ケ) 原判決21頁24行目の「原告は」から同22頁2行目末尾までを次のとおり改める。 「控訴人らは,基本設計と実施設計を異なる業者が受託した2事例(甲14,16)を指摘し,また,指名型プロポーザル方式で基本設計業者を選定するとした上で,基本設計業者に選定されたことで必ずしも実施設計を委託することを約束するものでないことを明記した実施要領(甲27,) 公募型プロポーザル方式で実施設計業者を選定するとする実施要領(甲28)の存在を指摘し,これらの事例から基本設計業者と実施設計業者が同一人でなくとも不都合,不合理はない旨主張するが,これらの事例を検討しても,社団法人公共建築協会発行の『公共建築におけるプロポーザル方式に基づく設計者選定方式に関する資料(乙24)において述べられて』いること(設計者の創造性,技術力,経験等が発揮されるのは基本設計段階において顕著であり,実施設計はそれを施工者に伝達するための設計図書作成の段階ということができ,基本設計及び実施設計は,特段の理由がある場合を除き,設計行為の一貫性の確保,著作権の保護等の観点から,同一の設計者が一貫して担当するのが望ましい旨の記述)の趣旨の範囲を出るものと いうことができ,基本設計及び実施設計は,特段の理由がある場合を除き,設計行為の一貫性の確保,著作権の保護等の観点から,同一の設計者が一貫して担当するのが望ましい旨の記述)の趣旨の範囲を出るものとは解されないのであり,結局において,控訴人らの指摘する事例によっては,基本設計をした業者に実施設計を委託することが合理的でないことは何ら証明されない」。 (コ) 原判決22頁10行目の「原告」を「控訴人ら」と改める。 (サ) 原判決23頁14行目末尾に次のとおり加える。 「このことは,指名する複数の者から優れた設計者に設計を委ねるべく,設計候補者を選定する方法として,指名型プロポーザル方式を採用する宮城県の事例等(甲27,乙19,プロポーザル方式が採用されている事)例が少なくないことからも明らかである」。 (シ) 原判決24頁7行目と8行目の間に次のとおり加える。 「ウ予定価格の定めについて控訴人らは,本件基本設計委託契約及び本件実施設計委託契約に先立って,契約代金の予定価格が定められなかった違法があると主張する。しかし,証拠(乙8の1,乙9,20ないし23)によれば,本件基本設計委託契約については,その締結に先立って,予定価格として1850万円(消費税別)が決定され,本件実施設計委託契約につ いては,その締結に先立って,予定価格として7850万円(消費税別)が決定され,実際に約定された契約報酬額はいずれもその範囲内であったことが認められるから,控訴人らの上記主張は採用できない」。 (ス) 原判決24頁8行目冒頭の「ウ」を「エ」と,同行目の「原告がるる主張する事情を考慮しても」を「控訴人らが縷々主張する事情を考慮しても(なお,本件基本設計委託契約の締結に関しては,プロポーザル審査委員会が平成14年3月5日に五井建築を推薦し(乙6, 「原告がるる主張する事情を考慮しても」を「控訴人らが縷々主張する事情を考慮しても(なお,本件基本設計委託契約の締結に関しては,プロポーザル審査委員会が平成14年3月5日に五井建築を推薦し(乙6,これを承けて津幡)町工事請負業者選考委員会が審議し,同月6日に承認したこと(乙22)が認められる」と,それぞれ改める。 。)イそうすると,被控訴人が,本件実施設計委託契約を随意契約の方法で締結したことに違法があるということはできないのであり,したがって,本件実施委託契約に基づく報酬を支払うための支出命令をしたことに違法があるということもできない。 ウしたがって,控訴人らの新請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないから,これを棄却すべきである。 結論 以上によれば,原判決を取り消し,控訴人らの本件差止請求に係る訴えを却下し,また,控訴人らが当審で追加した五井建築を相手方とする損害賠償請求等義務付け請求に係る訴えをいずれも却下し,Aに対する損害賠償請求義務付け請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官長門栄吉 裁判官渡邉和義裁判官中山大行

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