令和6(行ケ)10016 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年8月27日 知的財産高等裁判所 3部 判決 審決一部取消
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令和6年8月27日判決言渡令和6年(行ケ)第10016号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和6年6月20日判決 原告 Ⅹ 被告特許庁長官同指定代理人天野宏樹同植前充司 同加藤友也同秋田将行同真鍋伸行 主文 1 本件訴えのうち、特願2019-139228号の特許出願に係る特 許の特許査定又は設定登録の義務付けを求める部分及び審判手続において前置審査を行うことの義務付けを求める部分を却下する。 2 特許庁が再審2023-950004号事件について令和6年1月23日にした審決を取り消す。 3 訴訟費用は、これを3分し、その2を原告の負担とし、その余を被告 の負担とする。 事実 及び理由第1 請求の趣旨 1 特願2019-139228号「未乾燥のペースト製茶」は特許すべきものである。 2 主文第2項同旨 3 令和6年1月23日付け審決は、合議体の前置審査が行われておらず、前置審査をすべきである。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 原告は、令和元年6月24日、発明の名称を「未乾燥のペースト製茶」と する発明について、特許出願(特願2019-139228号。請求項の数は2。以下「本願」という。)をした。(甲4の1)⑵ 原告は、令和3年12月15日付けで拒絶理由を通知され、令和4年1月31日に意見書を提出したが、同年5月6日付けで拒絶査定を受けた。(甲4の3~5) 下「本願」という。)をした。(甲4の1)⑵ 原告は、令和3年12月15日付けで拒絶理由を通知され、令和4年1月31日に意見書を提出したが、同年5月6日付けで拒絶査定を受けた。(甲4の3~5) ⑶ 原告は、令和4年5月31日、拒絶査定不服審判を請求するとともに(不服2022-9649号)、明細書を補正する旨の手続補正書を特許庁に提出した。(甲4の6・7)⑷ 特許庁は、令和5年9月21日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「原審決」という。)をし、その謄本は、同年10月14日、原 告に送達された。(甲3、乙1)⑸ 原告は、令和5年11月9日、原審決に対して再審の請求(再審2023-950004号。以下「本件再審請求」という。)をした。(甲4の8)⑹ 特許庁は、令和6年1月23日、本件再審請求につき、「本件審判の請求を却下する。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年 2月9日、原告に送達された。(乙2)⑺ 原告は、令和6年2月21日、本件審決の取消し等を求めて、本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載本願の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(以下、本願の請求項1 及び2に記載された発明を併せて「本願各発明」という。)。(甲3、4の1) 【請求項1】未乾燥のペースト製茶【請求項2】未乾燥の冷凍製茶 3 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由の要旨は、本件再審請求がされた日において原審決は未だ確定していなかったから、本件再審請求は、確定審決に対してされたものではなく、特許法171条1項の規定に違反するものであって、その欠缺は補正することができないものであるから、同法174条2項が準用する同法135条の規定により却下す 求は、確定審決に対してされたものではなく、特許法171条1項の規定に違反するものであって、その欠缺は補正することができないものであるから、同法174条2項が準用する同法135条の規定により却下すべきものである、というものである。 第3 当事者の主張〔原告の主張〕 1 本件審決の取消事由(請求の趣旨第2項に関する主張)本件再審請求の時点では原審決は確定していなかったが、本件審決の時点では原審決が確定していたのであるから、本件審決においては、本件再審請求の 内容が認められるか否かの判断をすべきであったのであって、本件再審請求を却下した本件審決は違法であり、取り消されるべきである。 2 請求の趣旨第1項に関する主張⑴ 原審決は、特許法53条の解釈を誤り、原告による補正を違法に却下した。 これは、当事者に送達書も送付しない不適法なやり方で、同条の解釈の誤り を基に却下してきた、誤認による不法行為である。 ⑵ 原告は、純水の特性を生かした水に着目し、水に含まれた酸素及び炭酸ガスを除去し、カテキンの酸素結合を遮断し、ビタミンCの酸素結合を遮断し、お茶の旨み成分のテアニンを溶出させ、葉緑素の酸化を防止する等の発明を実施し、お茶を入れたときの褐色成分防止や、茶の香り成分を純水により溶 液化し、保存し、一年中楽しめる発明を成功させた。また、純水適用ととも に、優湯加工を勘案し、お茶の新芽1芯2葉を80ないし100度で殺菌及び酵素の失活を実施してその栄養と効能性を飛躍的に高めた。本願各発明は新分野の発明であり、革命発明である。 ⑶ 本願各発明は新分野発明であり、革命発明であるため、引用例は存在しない。しかし、本願各発明に関する拒絶理由通知には、全く別の分野の独立引 用発明が4例列挙され、容易発明であるとも である。 ⑶ 本願各発明は新分野発明であり、革命発明であるため、引用例は存在しない。しかし、本願各発明に関する拒絶理由通知には、全く別の分野の独立引 用発明が4例列挙され、容易発明であるとも記載されていた。原告は、意見書において説明し、手続補正書の提出によって全て解決したが、原審決も、本願各発明が新分野の発明であるにも関わらず、全く分野違いの独立発明4例を引用例として列挙して判断した。これらの引用例は公序良俗違反のものであって、不適法な判断である。 3 請求の趣旨第3項に関する主張特許庁審査官は、特願2019-139228号を盗み出し、単独で恣意的に拒絶理由通知書を原告に送った。 原告は、本願各発明の特性、発明の効果、法律違反の教示等を記載した意見書を提出したが、審査官はこれを無視し、令和4年5月6日付け拒絶査定を原 告に送付した。原告は同月31日付けで拒絶査定不服審判請求書及び手続補正書を特許庁に送付したが、その後30日以内の規定による前置審査は行われなかった。 〔被告の主張〕 1 本件審決の取消事由(請求の趣旨第2項に関する主張)に対し 原告が原審決の謄本の送達を受けた日は令和5年10月14日であるから(前記第2の1⑷)、原審決が確定する日は、30日の出訴期間が満了する日の翌日である同年11月14日である。 原告が本件再審請求をしたのは令和5年11月9日であり、同日の時点で原審決は確定していなかった。 そして、上記の各日付はその補正をすることができないものである。 したがって、本件再審請求は、特許法171条1項の規定に違反するものであり、かつ、その欠缺は補正をすることができないものであるから、同法174条2項が準用する同法135条の規定により却下すべきものと判断した本件審決 審請求は、特許法171条1項の規定に違反するものであり、かつ、その欠缺は補正をすることができないものであるから、同法174条2項が準用する同法135条の規定により却下すべきものと判断した本件審決に違法な点はない。 2 請求の趣旨第1項及び第3項に関する主張に対し 請求の趣旨第1項及び第3項記載の請求に係る訴えは、いずれも不適法であり、却下されるべきである。 第4 当裁判所の判断 1 本件審決の取消事由について(請求の趣旨第2項について)⑴ 確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる (特許法171条1項)が、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審は、その再審請求が不適法であって、その補正をすることができないものについては、審決をもってこれを却下することができる(特許法174条2項、135条)とされている。そこで、本件再審請求が、不適法であって、その補正をすることができないものであるか検討する。 ア原審決については、原告が原審決の取消しを求める訴えを提起することなく、原告に対する原審決の謄本の送達があった日(令和5年10月14日)から30日、すなわち同年11月13日が経過したので、同日の経過をもって原審決が確定したものと認められる。 原告が本件再審請求をしたのは令和5年11月9日であるから、その時 点では、原審決は確定していなかった。しかし、本件再審請求に対する判断として本件審決がされたのは令和6年1月23日であり(前記第2の1⑹)、同日の時点では原審決は確定していたものである。そうすると、本件再審請求については、請求の時点では原審決が確定していなかったという瑕疵があったが、本件審決がされた時点では原審決が確定していたから、 上記瑕疵は治癒されたというべきであり、上記 すると、本件再審請求については、請求の時点では原審決が確定していなかったという瑕疵があったが、本件審決がされた時点では原審決が確定していたから、 上記瑕疵は治癒されたというべきであり、上記瑕疵を理由として本件再審 請求を却下することはできないと解するのが相当である。 イそして、本件再審請求の再審請求書(甲4の8)によれば、原告は、同請求書において、特許法171条2項が準用する民事訴訟法338条1項の再審事由を主張していたと認められる。これらの再審事由が認められるか否かは別として、本件再審請求について、再審事由の主張がないという 違法性はない。 その他、本件再審請求について、補正をすることができない違法な点があるとは認められない。 ウ以上によれば、本件再審請求は、不適法であって、その補正をすることができないものには当たらないというべきである。 ⑵ そうすると、本件再審請求が、不適法であって、その補正をすることができないものであるとした本件審決の判断は誤りであり、原告主張の取消事由は理由がある。 2 請求の趣旨第1項及び第3項に係る訴えについて⑴ 請求の趣旨第1項は前記第1の1のとおりであり、本願に係る特許の特許 査定又は設定登録の義務付けを求める訴えであると解される。 しかし、裁判所は、審決に対する訴えの提起があった場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決を取り消すべきものとされており(特許法181条1項)、審決の取消しの判決が確定したときは、審判官が更に審理を行い、審決をしなければならないのであって(同条2項)、裁判所 が、審決に対する訴えについて、当該審決において取り扱われている特許の特許査定又は設定登録の義務付けを命ずる判決をすることはできない。したがって、請 ばならないのであって(同条2項)、裁判所 が、審決に対する訴えについて、当該審決において取り扱われている特許の特許査定又は設定登録の義務付けを命ずる判決をすることはできない。したがって、請求の趣旨第1項に係る訴えは不適法であるから、これを却下すべきである。 ⑵ 請求の趣旨第3項は前記第1の3のとおりであり、本件審決の取消しの判 決が確定した後の審判手続において、前置審査を行うことの義務付けを求め る訴えであると解される。 しかし、裁判所が、審決に対する訴えの請求を理由があると認めるときは、当該審決を取り消すべきものとされている(特許法181条1項)のは、前述のとおりであり、特許法上、裁判所が、審決に対する訴えについて、当該審決の取消しの判決が確定した後の審判手続における具体的な審理の方式に 関する義務付けを命ずる判決をする根拠となる規定は存在しない。 また、行政訴訟一般についても、義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされない場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう(行政事件訴訟法3条6項)ところ、審判手続において前置審査を行うことが上記「処 分又は裁決」に当たらないことは明らかである。 したがって、請求の趣旨第3項に係る訴えは不適法であるから、これを却下すべきである。 なお、仮に、請求の趣旨第1項が、義務付けを求める形をとるものの、その趣旨が、本願に係る特許が特許査定又は設定登録されるべきものであるこ との確認を求める訴えであり、請求の趣旨第3項が、義務付けを求める形をとるものの、その趣旨が、前置審査がされるべきことの確認を求める訴えであるとしても、特許法の規定に照らし、裁判所がこのような確認を内容とする判決をするこ り、請求の趣旨第3項が、義務付けを求める形をとるものの、その趣旨が、前置審査がされるべきことの確認を求める訴えであるとしても、特許法の規定に照らし、裁判所がこのような確認を内容とする判決をすることもできないから、請求の趣旨第1項及び第3項に係る訴えが不適法であるとの結論は変わらない。 3 結論以上によれば、原告主張の取消事由は理由があり、本件審決は取り消されるべきであって、請求の趣旨第2項に係る請求は理由がある。 他方、請求の趣旨第1項及び第3項に係る訴えは不適法であるから、これを却下すべきである。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則

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