昭和60(オ)1427 損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成4年4月28日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和57(ネ)611
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人秋本英男、同山田伸男、同庭山正一郎、同錦織淳、同羽柴駿、同鈴木 五

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主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人秋本英男、同山田伸男、同庭山正一郎、同錦織淳、同羽柴駿、同鈴木 五十三、同岩倉哲二、同柳川昭二の上告理由第一点について  原審の適法に確定した事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は、 正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解 に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。  同第二点について  上告人らが主張するような戦争犠牲ないし戦争損害は、国の存亡に係わる非常事 態の下では、国民の等しく受忍しなければならなかったところであって、これに対 する補償は憲法の全く予想しないところというべきであり、右のような戦争犠牲な いし戦争損害に対しては単に政策的見地からの配慮が考えられるにすぎないものと 解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨に徴し明らかである(昭和四〇年(オ)第 四一七号同四三年一一月二七日大法廷判決・民集二二巻一二号二八〇八頁参照)。 したがって、憲法二九条三項等の規定を適用してその補償を求める上告人らの主張 は、右規定の意義・性質等について判断するまでもなく、その前提を欠くに帰する というべきであって、所論の点に関する原審の判断は、結論において是認すること ができる。論旨は、採用することができない。  同第三点について  論旨は、昭和二七年四月三〇日に施行された戦傷病者戦没者遺族等援護法(同年 法律第一二七号。以下「援護法」という。)により、軍人軍属等であった者又はこ れらの者の遺族に対しては障害年金・遺族年金等が支給され、また、昭和二八年八 - 1 - 月一日施行の恩給法の一部を改正する法律(同年法律第一五五号。以下「恩給法改 正法」という。)により、旧軍人等又はこれらの の遺族に対しては障害年金・遺族年金等が支給され、また、昭和二八年八 - 1 - 月一日施行の恩給法の一部を改正する法律(同年法律第一五五号。以下「恩給法改 正法」という。)により、旧軍人等又はこれらの者の遺族に対する恩給の支給が復 活したところ、援護法附則二項は、戸籍法の適用を受けない者については、当分の 間、この法律を適用しない旨を定め、また、恩給法九条一項三号は、日本国籍を失 ったときは年金たる恩給を受ける権利は消滅するものと定めており(以下、これら を「本件国籍条項」という。)、台湾住民である軍人軍属に対して本件国籍条項の 適用を除外していないことから、台湾住民である上告人らは援護法又は恩給法によ る給付を受けることができないこととされているが、これはもと日本国籍を有して いた台湾住民である軍人軍属を不当に差別するもので憲法一四条に違反する、とい うのである。  そこで検討するのに、憲法一四条一項は法の下の平等を定めているが、右規定は 合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって、各人に存する経済的、社会 的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けること は、その区別が合理性を有する限り、何ら右規定に違反するものでないことは、当 裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和三七年(あ)第九二七号同三九年一 一月一八日大法廷判決・刑集一八巻九号五七九頁、同昭和三七年(オ)第一四七二 号同三九年五月二七日大法廷判決・民集一八巻四号六七六頁等参照)。ところで、 我が国は、昭和二七年四月二八日に発効した日本国との平和条約により、台湾及び 澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄し(二条)、この地域に関 し、日本国及びその国民に対する右地域の施政を行っている当局及び住民の請求権 の処理は、日本国と右当局との間の特別取極の主題とするものとされ るすべての権利、権原及び請求権を放棄し(二条)、この地域に関 し、日本国及びその国民に対する右地域の施政を行っている当局及び住民の請求権 の処理は、日本国と右当局との間の特別取極の主題とするものとされ(四条)、ま た、我が国は、右条約の署名国でない国と、右条約に定めるところと同一の又は実 質的に同一の条件で二国間の平和条約を締結することが予定された(二六条)。そ して、我が国は、中華民国との間で日本国と中華民国との間の平和条約(以下「日 - 2 - 華平和条約」という。)を締結し、同条約は昭和二七年八月五日に効力を生じたと ころ、同条約三条は、日本国及びその国民に対する中華民国の当局及び台湾住民の 請求権の処理は、日本国政府と中華民国政府との間の特別取極の主題とする旨を定 めている。また、台湾住民は、同条約により、日本の国籍を喪失したものと解され る(最高裁昭和三三年(あ)第二一〇九号同三七年一二月五日大法廷判決・刑集一 六巻一二号一六六一頁参照)。その間、昭和二七年四月三〇日に援護法が制定され、 その附則二項は、戸籍法の適用を受けない者については、当分の間、援護法を適用 しない旨を規定したが、その趣旨は、同法上、援護対象者は日本国籍を有する者に 限定され、日本国籍の喪失をもって権利消滅事由と定められているところ、同法制 定当時、台湾住民等の国籍の帰属が分明でなかったことから、これらの人々に同法 の適用がないことを明らかにすることにあったものと解される。その後、昭和二八 年八月一日施行の恩給法改正法により、旧軍人等及びこれらの者の遺族に対する恩 給の支給が復活したが、その時点においては、台湾住民は日本の国籍を喪失してい たから、恩給法九条一項三号の規定の趣旨に照らし、恩給の受給資格を有しないこ ととなったものである。以上の経緯に照らせば、台湾住民である軍人軍属が援護法 及び おいては、台湾住民は日本の国籍を喪失してい たから、恩給法九条一項三号の規定の趣旨に照らし、恩給の受給資格を有しないこ ととなったものである。以上の経緯に照らせば、台湾住民である軍人軍属が援護法 及び恩給法の適用から除外されたのは、台湾住民の請求権の処理は日本国との平和 条約及び日華平和条約により日本国政府と中華民国政府との特別取極の主題とされ たことから、台湾住民である軍人軍属に対する補償問題もまた両国政府の外交交渉 によって解決されることが予定されたことに基づくものと解されるのであり、その ことには十分な合理的根拠があるものというべきである。したがって、本件国籍条 項により、日本の国籍を有する軍人軍属と台湾住民である軍人軍属との間に差別が 生じているとしても、それは右のような根拠に基づくものである以上、本件国籍条 項は、憲法一四条に関する前記大法廷判例の趣旨に徴して同条に違反するものとは いえない。ところで、日華平和条約に基づく特別取極については、その成立をみる - 3 - ことなく右条約締結後二〇年近くを推移するうち、昭和四七年九月二九日、日本国 政府と中華人民共和国政府の共同声明が発せられ、日本国政府は中華人民共和国政 府が中国の唯一の合法政府であることを承認した結果、右特別取極についての協議 が行われることは事実上不可能な状態にある。しかしながら、そのことのゆえに本 件国籍条項が違憲となるべき理由はなく、右のような現実を考慮して、我が国が台 湾住民である軍人軍属に対していかなる措置を講ずべきかは、立法政策に属する問 題というべきである。ちなみに、現時点までに成立した台湾住民である戦没者の遺 族等に対する弔慰金等に関する法律(昭和六二年法律第一〇五号)及び特定弔慰金 等の支給の実施に関する法律(昭和六三年法律第三一号)によれば、我が国は、人 道的精神に基づき、台湾住 湾住民である戦没者の遺 族等に対する弔慰金等に関する法律(昭和六二年法律第一〇五号)及び特定弔慰金 等の支給の実施に関する法律(昭和六三年法律第三一号)によれば、我が国は、人 道的精神に基づき、台湾住民である戦没者の遺族等に対し、戦没者等又は戦傷病者 一人につき二〇〇万円の弔慰金又は見舞金を支給するものとされているところであ る。  所論の点に関する原審の判断は、以上の趣旨をいうものとして是認することがで きる。原判決に所論憲法一四条の解釈適用の誤りはなく、論旨は採用することがで きない。  同第四点について  論旨は、原判決の結論に影響のない説示部分を論難するものにすぎず、採用する ことができない。  同第五点について  前記説示のとおり、本件国籍条項を違憲ということはできないから、その違憲で あることを前提として、違憲状態を解消すべき立法の不作為の違憲確認を求める上 告人らの予備的請求に係る訴えは、その適否いかんにかかわらず、理由のないこと が明らかである。そして、仮に原判決中右訴えを不適法として却下した部分が違法 であるとしても、右却下部分を取り消して右請求を棄却することは不利益変更禁止 - 4 - の原則に触れるから、右却下部分についての上告はこれを棄却するほかない。した がって、論旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない部分の違法をいうに帰し、採用 することができない。  よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、 上告理由第二点及び第三点並びに第五点についての裁判官園部逸夫の意見があるほ か、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。  裁判官園部逸夫の意見は、次のとおりである。  上告理由第二点及び第三点について  一般に、戦没又は戦傷病に関する補償、救済を自国の国民に対してのみ行うとい う立法は、同時に他の立法又は条約をもって  裁判官園部逸夫の意見は、次のとおりである。  上告理由第二点及び第三点について  一般に、戦没又は戦傷病に関する補償、救済を自国の国民に対してのみ行うとい う立法は、同時に他の立法又は条約をもって、同様の境遇にある外国人に同種の補 償、救済を付与するのであれば、不平等な差別とはいえないこと、そして、日本国 としては、当時の中華民国政府の意向を尊重して台湾住民に対する処遇を定めるの が順当であるということから、台湾住民関係については別途処理する道を残して、 当面日本国籍を有する者のみを対象とする旨のいわゆる国籍条項を戦傷病者戦没者 遺族等援護法に組み入れたものと見られること(同法附則二項)、そして、ほぼ同 じころ日本国と中華民国との間の平和条約(日華平和条約)三条において、上告人 らを含む台湾住民の日本国に対する請求権の処理を、「日本国政府と中華民国政府 との間の特別取極の主題とする。」と定めたのであるから、この時期において国籍 条項が、理由のない不平等をもたらす規定であったとはいいがたいこと、さらに、 恩給法についても、右援護法と同趣旨の国籍条項が規定されているが(恩給法九条 一項三号)、右条項についても、同様であることは、原判決の説示するとおりであ る。ところが、日本国と中華人民共和国との間の国交正常化に伴い、日華平和条約 がその意義を失ったとされた結果、前記取極についての協議がもはや行われること がなくなり、日本国政府と中華人民共和国政府との間でも、この問題を協議する機 - 5 - 会が作られていることが全く伝えられていないことも、原判決の説示するとおりで ある。  このように、前記の特別取極が締結できないこととなったのは、国際的な諸事情 によるものでやむを得ないことであるとはいえ、右の取極の締結を前提として前記 国籍条項が設けられたこともまた否定することのできない のように、前記の特別取極が締結できないこととなったのは、国際的な諸事情 によるものでやむを得ないことであるとはいえ、右の取極の締結を前提として前記 国籍条項が設けられたこともまた否定することのできない事実である以上、右取極 についての協議ができないこととなった時点から、右国籍条項適用の結果生じてい る状態が法の下の平等の原則に反する差別となっていることは、率直に認めなけれ ばならない。しかしながら、今日、日本国は、中華人民共和国と正式の外交関係を 保持しており、戦争賠償にかかわる事項は、国政の基本に触れる問題である(日本 国政府と中華人民共和国政府の共同声明五項参照)。したがって、私は、台湾住民 である日本の旧軍人又は旧軍属であった者に係る援護又は恩給給付に関する上告人 らの請求権の性質及び内容並びに右請求権の具体的な根拠となるべき立法の必要性 及び上告人らを含む台湾住民の戦争被害の救済手段等について、具体的な法的判断 を示すことはできないと考える。  右の見地から、私は、上告人らの憲法二九条三項、一三条に基づく請求及び一四 条に基づく請求に関する原審の判断を、その結論において是認することができると 解するのである。  なお、原判決は、現実には、上告人らがほぼ同様の境遇にある日本人と比較して 著しい不利益を受けていることは明らかであり、しかも戦没戦傷の日から既に四〇 年以上の歳月が経過しているのであるから、予測される外交上、財政上、法技術上 の困難を超克して、早急にこの不利益を払拭し、国際信用を高めるよう尽力するこ とが、国政関与者に対する期待であることを付言している。原判決言渡し後、関係 者の努力により、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律( 昭和六二年法律第一〇五号)及び特定弔慰金等の支給の実施に関する法律(昭和六 - 6 - 三年法律第三一号)が、 渡し後、関係 者の努力により、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律( 昭和六二年法律第一〇五号)及び特定弔慰金等の支給の実施に関する法律(昭和六 - 6 - 三年法律第三一号)が、人道上の精神に基づき、制定されている。右二法により実 施された支給によっても、上告人らの請求を満足させるものでないとする心情は、 十分理解できるところであるが、右に述べた理由により、この種の問題の根本的な 解決については、国政関与者の一層の努力に待つほかないことをこの機会にあらた めて付言して置きたい。  同第五点について  私は本件国籍条項適用の結果生じている状態が法の下の平等の原則に反する差別 となっていることを認める者であるが、そのような差別を解消すべき立法の必要性 について、何らかの具体的な法的判断を示すことはできないと考える。その理由は、 上告理由第二点及び第三点についての私の意見において述べたとおりであって、右 の見地から、私は、上告人らの予備的請求に係る訴えは、その適否いかんにかかわ らず、理由がないと解するのである。なお、原判決中右訴えを不適法として却下し た部分及び論旨についての私の判断は、上告理由第五点についての法廷意見と同意 見である。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    佐   藤   庄 市 郎             裁判官    坂   上   壽   夫             裁判官    園   部   逸   夫             裁判官    可   部   恒   雄 - 7 -

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