平成13(ワ)279 葬儀費用等分担請求

裁判年月日・裁判所
平成14年7月26日 津地方裁判所
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判決文本文4,212 文字)

主文 1 被告A1,被告A2,被告A3は,原告に対し,それぞれ金18万8829円を支払え。 2 被告A4及び被告A5は,原告に対し,それぞれ金9万4414円を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告らの負担とする。 5 この判決は,1,2項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告A1,被告A2,被告A3は,原告に対しそれぞれ30万5156円を支払え。 2 被告A4及び被告A5は,原告に対しそれぞれ15万2578円を支払え。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 4 仮執行宣言第2 事案の概要等 1 本件は,Bの葬儀を行った原告がBの相続人である被告らに対し,Bの葬儀及び納骨の諸費用の支払を求めたという事案である。 2 前提となる事実(1)原告は,原告の母C及び母方の祖母Bを引き取り,同居してBの扶養介護に努めていたが,Bは,平成12年12月21日に死亡した(甲1,3の3,4,弁論の全趣旨)。 (2)原告は,Bの喪主となり,平成12年12月24日にD市E株式会社Fにおいて葬儀を行い,平成13年2月9日にG本山に納骨した(甲3の3,4,弁論の全趣旨)。 (3)Bの相続人は,被告A1(前夫Hとの間の長女),I(Jとの間の長女),C(Jとの間の2女),被告A2(Jとの間の長男Kの長男),被告A3(Jとの間の3女Lの長女)である(甲1,弁論の全趣旨)。 Iは平成13年10月23日に死亡したが,その相続人は,長女の被告A4及び養子の被告A5である(弁論の全趣旨)。 3 原告の主張(1)Bの葬儀及び納骨などの諸費用は,合計152万5782円を要し,原告がそれを支払った。 (2 ,その相続人は,長女の被告A4及び養子の被告A5である(弁論の全趣旨)。 3 原告の主張(1)Bの葬儀及び納骨などの諸費用は,合計152万5782円を要し,原告がそれを支払った。 (2)原告は被告らに葬儀の連絡をしたが,被告らは葬儀に参列せず,香典も支払っていない。 (3)葬儀及び納骨などの諸費用は,相続財産の負担となり,共同相続人がその相続分に応じて負担するものである。 原告がBの介護をし,被告らが葬儀の連絡を受けながら参列しなかったという事情からしても,条理,慣習上も,被告らがその相続分に応じて負担すべきである。 (4)原告がBの葬儀で受け取った香典の合計は,21万1000円で,法要代,戒名代,交通費等に費消され,葬儀費用をまかなうに足りなかった。 (5)よって,原告は被告A1,被告A2,被告A3に対しそれぞれ152万5782円の5分の1の相当額である30万5156円の,被告A4及び被告A5に対しそれぞれ152万5782円の10分の1の相当額である15万2578円の各支払を求める。 4 被告らの主張(1)葬儀及び納骨などの諸費用は,原告が任意に支払ったもので,被告らがその費用について分担する義務はない。 (2)そもそも,葬儀及び納骨などの諸費用は,喪主が一括して負担し,喪主の香典収入について喪主以外の相続人はその配分を要求しないことが慣習として成り立っている。喪主でない被告らが葬儀及び納骨などの諸費用を負担する義務はない。 (3)祭祀の承継は,長子単独継承であるのが慣習である。そして,葬儀は祭祀の一部であり,一般相続財産とは切り離して扱われる。葬儀費用に不足が生じても他の共同相続人に請求することはできず,香典が葬儀費用を上回った場合でも他の共同相続人はその分割を請求できない。 (4)原告 部であり,一般相続財産とは切り離して扱われる。葬儀費用に不足が生じても他の共同相続人に請求することはできず,香典が葬儀費用を上回った場合でも他の共同相続人はその分割を請求できない。 (4)原告は,祭祀承継者に無断で葬儀を行ったもので,葬儀を行う権利を有していない。また,原告は被告らにBの所在を明らかにせず,Bの死亡の事実についてもその葬儀終了後に知らせたもので,葬儀の連絡もしていない。したがって,原告の行った葬儀は,正当な葬儀ではなく,単なる催し物にすぎず,被告らがその費用を負担する義務はない。 (5)葬儀には,香典等の収入があるが,原告はこれにふれず,支出部分のみを一方的に分担を求めるもので,道義的にも,被告らが葬儀及び納骨などの諸費用を分担すべき義務はない。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲2,3の1ないし6,4ないし8)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1)原告は,平成12年12月21日にM病院に死亡届文書代として,3150円を支払った。 (2)原告は,平成12年12月24日に,Nに写真等の代金として9030円を支払った。 (3)原告は,平成12年12月24日に,株式会社Fに葬儀代として93万2962円を支払った。その明細は,会葬礼状2500円,お供養2万2050円,通夜供養1万3200円,当日返し5250円,祭壇用盛物5000円(追加分),ドライアイス7000円(追加分),電装提灯1000円(追加分),盛籠2万円,仏着3万円,受付セット5000円,コンパニオン2万円,会館使用料3万円,初7日1式3万円,はがき2000円,放鳥(鳩を放す)1万円,供生花1式3万円,貸し布団1万2000円,朝食4000円,昼食4万円,当日料理1式6万5000円,通夜料理1式5万円,飲み物1式7850円,サービス料 ,はがき2000円,放鳥(鳩を放す)1万円,供生花1式3万円,貸し布団1万2000円,朝食4000円,昼食4万円,当日料理1式6万5000円,通夜料理1式5万円,飲み物1式7850円,サービス料(10%)1万6685円,早期利用費3万円,会員費43万円,消費税4万4427円である。 (4)原告は,平成12年12月24日に,Oに籠盛として2万1000円を支払った。 (5)原告は,平成12年12月24日に,PのQに奉仕料として5万9000円を支払った。その明細は,火葬料金3万2000円,マイクロバス3000円,コンパニオン9000円,納棺,飾り,出棺1万5000円である。 (6)原告は,平成12年12月24日に,D市に,葬祭用具使用料として1万0640円を支払った。 (7)原告は,平成12年12月24日に,R寺の坊主に,法事代,戒名代等として32万円を,車代として3万円を支払った。 (8)原告は,平成12年12月24日に,R寺のお供えに1万円,墓地への参列者のコーヒー代として1万円を支払った。 (9)原告は,平成12年2月9日にG本山S寺T台に納骨冥加金として2万円を支払った。 (10)原告は,平成13年2月9日にR寺の坊主に法事代として10万円を支払った。 (11)原告は,葬儀の会葬者24名から,合計21万1000円の香典を受け取った。 2 ところで,葬儀は何人がしなければならないとの定めはないから自ずから慣習条理に従うほかないが,原告がBの相続人ではないがBの介護をしていたためにBの葬儀を行うことになったことや,被告A1,被告A2,被告A3,IがBの相続人であるがBの介護を行っていなかったこと等の事情を勘案すれば,被告A1,被告A2,被告A3及びIは,条理上,Bの葬儀費用等を分担すべき義務があるというべきである。 ,被告A2,被告A3,IがBの相続人であるがBの介護を行っていなかったこと等の事情を勘案すれば,被告A1,被告A2,被告A3及びIは,条理上,Bの葬儀費用等を分担すべき義務があるというべきである。しかし,被告ら及びIが原告に対し,Bの葬儀及び納骨などの諸費用を分担する旨約したことはなく,葬儀にも出席していないこと(弁論の全趣旨)からして,原告が支払った葬儀及び納骨などの諸費用のうち,Bを弔うのに直接必要な儀式費用のみを被告らが相続分に応じて分担すべきものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,①死亡届文書代3150円,②株式会社Fに葬儀代として支払った93万2962円のうちの57万1357円(会葬礼状2500円,ドライアイス7000円(追加分),受付セット5000円,コンパニオン2万円,会館使用料3万円,貸し布団1万2000円,サービス料(10%)7650円,早期利用費3万円,会員費43万円,消費税2万7207円),③PのQに奉仕料として支払った5万9000円,④D市に葬祭用具使用料として支払った1万0640円,⑤R寺の坊主に法事代,戒名代,車代等として支払った35万円のうち読経,車代に相当する費用30万円の合計94万4147円は,Bを弔うのに直接必要な儀式費用であって,被告らが相続分に応じて負担すべきものであるが,その余の通夜,告別式等の会葬者等の飲食代金や返礼の費用,籠盛,生花,放鳥,戒名代,法要代,G本山S寺T台への納骨冥骨金等はこれには含まれず,被告らが負担すべきものではない。 また,原告は,本件葬儀に際し,21万1000円の香典を受け取っているが,通夜,告別式等の会葬者等の飲食代金や返礼の費用,籠盛,生花,戒名代等の費用に満たないものであるから,この香典分は被告らが負担すべき葬儀費用から控除されるべきも 1000円の香典を受け取っているが,通夜,告別式等の会葬者等の飲食代金や返礼の費用,籠盛,生花,戒名代等の費用に満たないものであるから,この香典分は被告らが負担すべき葬儀費用から控除されるべきものではない。 そして,前記前提事実からすれば,被告A1,被告A2,被告A3の各相続分は5分の1で,被告A4及び被告A5の各相続分は10分の1であると認められるから,被告A1,被告A2,被告A3の分担すべき葬儀費用は,18万8829円,被告A4及び被告A5が分担すべき葬儀費用は,9万4414円となる。 3 以上によれば,原告の請求は,被告A1,被告A2,被告A3に対しそれぞれ18万8829円,被告A4及び被告A5に対しそれぞれ9万4414円の支払を求める限度で理由があるから,これを認容し,その余は棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 津地方裁判所民事部裁判官内田計一

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