【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人岡本共次郎の上告趣意について。 原判決は、本件犯行当時の被告人の精神状態について、本件記録を調査し、被告 人の同
主文本件上告を棄却する。 理由弁護人岡本共次郎の上告趣意について。 原判決は、本件犯行当時の被告人の精神状態について、本件記録を調査し、被告人の同公判廷における供述を聴いてみるに、未だ、被告人が犯行当時、心神耗弱の状態に達していたものとは認め難い旨判示したのであつて、その判断は相当で、何ら、実験則に違反したものとは考えられない。論旨は、独自の見解に立つて、原審が、その自由裁量をもつて、適法にした右判断を攻撃するに過ぎないのであつて、その理由はない。 弁護人竹上半三郎の上告趣意第一点同第二点について。 本件において、被告人が火を放つた所論便所は、劇場建物の東側に接着するものであることは、原判決の確定するところであり、原判決の挙示する証拠、殊に強制処分における判事の検証調書の記載、同調書添付の図面によれば、右便所は右劇場に接着して建設ぜられ、右劇場の一部をなすものであることがわかる。しかして、被告人が本件犯行にあたり、右便所を焼燬する意思のあつたことは、原判決挙示の証拠上明瞭であるから、これにもとずいて、原判決が、被告人は本件劇場に放火しようと考えた旨判示したのは、相当である。また、右劇場には、人が寝泊りしていることを被告人が知つていたこと、及び、放火の結果、既に独立燃焼の程度に達する焼燬のあつたことも、右証拠に照してあきらかであるから、原判決が、被告人の右の所為に対して、刑法第一〇八条の既遂罪をもつて、問擬したのは正当であつて、この点を非難する論旨は理由がない。 また、右便所は劇場の一部であることは、前説明のとおりであるから原判決が、被告人が「紙屑入りの炭俵を同便所南側羽目板に立てかけて、」放火のしかけをし- 1 -たことを目して、「建物全部に燃え移るように仕做した」ものと説示したの ことは、前説明のとおりであるから原判決が、被告人が「紙屑入りの炭俵を同便所南側羽目板に立てかけて、」放火のしかけをし- 1 -たことを目して、「建物全部に燃え移るように仕做した」ものと説示したのは、これまた、相当であつて、所論のように、証拠によらずして、事実を認定したものということはできない。論旨はすべて理由がない。 よつて、刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。 右は全裁判官一致の意見である。 検察官岡本梅次郎関与昭和二四年二月二二日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 2 -
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