平成13(行ウ)77 道路位置指定廃止等承認申請却下処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年7月12日 大阪地方裁判所 警察関係
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判決文本文12,302 文字)

主文 1 被告が,平成13年4月20日付都指第42号をもってなした,原告の道路位置指定の廃止及び私道廃止の承認申請を却下する処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,その一部が建築基準法(以下,単に「法」という。)42条1項5号に基づき位置指定道路に認定されている土地及びその余の残部が法42条2項に基づき私道認定されている数筆土地の所有者である原告が,法45条1項に定める権限を有する特定行政庁である被告寝屋川市長に対してなした道路位置指定の廃止及び私道認定廃止承認の申請につき,上記位置指定道路を前面道路として使用している者の承諾書が添付されていないことを理由としてこれを却下した被告の処分が違法であると主張して,その取り消しを求めた事案である。 1 法令の定め(1)建築基準法の定めア道路法第3章にいうところの「道路」とは,法42条1項各号の1に該当する幅員4メートル以上のものをいうところ,これには道路法による道路(同項1号)のほか,土地を建築物の敷地として利用するため,道路法,都市計画法,土地区画整理法,都市再開発法,新都市基盤整備法又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で,これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(法42条1項5号,以下「位置指定道路」という。)などが該当する。そして,法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が建ち並んでいる幅員4メートル未満の道で,特定行政庁の指定したものは,法第3章にいう道路とみなされる(法42条2項本文。以下,「2項道路」という。)。 位置指定道路及び2項道路は,法第3章における道路に該当する 幅員4メートル未満の道で,特定行政庁の指定したものは,法第3章にいう道路とみなされる(法42条2項本文。以下,「2項道路」という。)。 位置指定道路及び2項道路は,法第3章における道路に該当するが,道路法の適用を受けない私道に該当する。 イ私道の変更又は廃止の制限私道の変更又は廃止によって,その道路に接する敷地が法43条第1項の規定又は同条第2項の規定に基づく条例の規定に抵触することとなる場合においては,特定行政庁は,その私道の変更又は廃止を禁止し,又は制限をすることができる(法45条1項)。 そして,法43条1項は,建築物の敷地は,原則として道路に2メートル以上接しなければならないとし,又,同条2項は,地方公共団体は,特殊建築物,階数が3以上である建築物,政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては,同じ。)が1000平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によっては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができるとしている。 (2)寝屋川市建築基準法施行条例及び寝屋川市建築基準法施行細則の定めア寝屋川市建築基準法施行条例(以下「本件条例」という。)1条は,建築基準法の施行については,別に定めがある場合を除くほか,この条例を定めるところによると規定しており,同4条1項は,私道を変更し,又は廃止しようとする者は,市長の定めるところにより,申請書を提出して,市長の承認を受けなければならないと規定している。 イ寝屋川市建築基準法施行細則(以下「本 ており,同4条1項は,私道を変更し,又は廃止しようとする者は,市長の定めるところにより,申請書を提出して,市長の承認を受けなければならないと規定している。 イ寝屋川市建築基準法施行細則(以下「本件細則」という。)1条は,本件細則は,建築基準法施行令,建築基準法施行規則,大阪府建築基準法施行条例及び寝屋川市建築基準法施行条例に定めるもののほか,建築基準法の施行に関し必要な事項を定めるものとすると規定しており,法4条の2は,「条例第4条第1項に規定する私道の変更又は廃止の承認を受けようとする者は,様式第1号の3による申請書正本1通及び副本1通に,・・・必要な事項を記載した図書(当該道路を前面道路として利用している者の承諾書を含む。)を添えて,市長に提出しなければならない。」と規定している。 2 前提事実(争いのない事実及び証拠から容易に認定できる事実)(1)道路位置指定大阪府知事は,昭和43年9月付建指第1260号をもって,寝屋川市α570番1及び13,574番4及び17の各土地のうち,別紙道路位置指定申請図記載の部分(以下「本件位置指定道路」という。)を法第42条1項5号道路(位置指定道路)として位置指定をした(甲1)。なお,寝屋川市長は,大阪府知事から,昭和46年1月,特定行政庁の地位を承継した。 (2)2項道路の指定寝屋川市長は,昭和49年4月1日付寝屋川市告示第56号により,568番1及び4,570番3ないし13,574番17の土地のうち別紙地籍図の斜線部分の土地(以下「本件2項道路」といい,本件位置指定道路及び本件2項道路とを併せて「本件各道路」という。)を建築基準法第42条2項の規定による道路(2項道路)に指定した(甲3)。 (3)本件各土地の所有関係等ア本件位置指定道路ないしは本件2項道路と接している土地の位置関係 せて「本件各道路」という。)を建築基準法第42条2項の規定による道路(2項道路)に指定した(甲3)。 (3)本件各土地の所有関係等ア本件位置指定道路ないしは本件2項道路と接している土地の位置関係は別紙地籍図記載のとおりである。上記土地のうち,568番1及び4,570番1,5,6,8ないし12はAが,570番3,4,7,13及び574番17は原告が,574番4はBがそれぞれ所有している。 イ Bが所有する574番4の土地は,北側で本件位置指定道路と接しており,西側で国道β線と接しており,本件位置指定道路を除いても,概ね12メートル以上,公道に接している。 (4)本件廃止申請原告は,被告に対し,本件位置指定道路の道路位置指定廃止及び本件2項道路の廃止の承認申請を行うに先立ち,道路位置指定廃止及び2項道路廃止のための事前協議を申し出たところ,被告から本件位置指定道路及び本件2項道路の廃止の申請については併願申請とするよう指導がなされた。 これを受けて原告は,被告に対し,平成13年3月23日,本件位置指定道路につき道路位置指定の廃止を,本件2項道路につき私道廃止の承認を行うよう併願申請した(甲2,以下「本件廃止申請」という。)。なお,原告は,被告に対し,本件位置指定道路を前面道路として使用している者のうち原告及びAの同意書及び印鑑登録証明書を提出したが,Bの同意書及び印鑑登録証明書は提出していない(甲4)。 (5)本件処分ア被告は,原告に対し,平成13年4月5日付都指第8号をもってBの同意書及び印鑑登録証明書を提出するよう補正を求め,これらの書面が平成13年4月27日までに提出されない場合には,審査を打ちきることとする旨を通知した(甲5)。 イ原告は,被告に対し,平成13年4月7日,「「都指第8号」文書にかかる補正について」と題す 書面が平成13年4月27日までに提出されない場合には,審査を打ちきることとする旨を通知した(甲5)。 イ原告は,被告に対し,平成13年4月7日,「「都指第8号」文書にかかる補正について」と題する文書を送付した。同書面には,原告が,Bに対し,本件位置指定道路の廃止に同意するよう申し入れたが,理由を述べることなく拒絶されたので,原告は,法45条1項及び43条1項,2項により,Bが,寝屋川市施行細則3条及び4条にいうところの所有者に該当しないと判断した旨の回答が記載されていた(甲6)。 ウ被告は,原告が補正に応じなかったことから,平成13年4月20日付都指第42号をもって本件廃止申請を却下し(甲7,以下「本件処分」という。),被告は,原告に対し,平成13年4月27日,本件処分を通知した。 (6)不服審査原告は,寝屋川市建築審査会に対し,平成13年5月15日,本件処分を不服として審査請求を行ったが,同審査会は,平成13年8月27日,原告の審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲9)。 3 争点(1)本件位置指定道路にかかる廃止申請却下処分の適法性(2)本件2項道路にかかる廃止申請却下処分の適法性 4 争点に対する当事者の主張(1)本件位置指定道路にかかる廃止申請却下処分の適法性(被告の主張)ア本件処分の理由本件条例4条1項は,私道を変更し,又は廃止しようとする者は,市長の定めるところにより,申請書を提出して,市長の承認を受けなければならないと定め,本件細則4条の2は,本件条例4条1項に規定する私道の変更又は廃止の承認を受けようとする者は当該道路を前面道路として使用している者の承諾書を添えて,市長に提出しなければならない旨定めている。被告は,原告が,本件位置指定道路を前面道路として使用しているBの承諾書を提出しなかったことから本件条 該道路を前面道路として使用している者の承諾書を添えて,市長に提出しなければならない旨定めている。被告は,原告が,本件位置指定道路を前面道路として使用しているBの承諾書を提出しなかったことから本件条例及び本件細則に基づき本件廃止申請を却下したものである。 イ本件条例及び本件細則が建築基準法と矛盾抵触しないこと(ア)条例・規則は法令に反しない限り制定できるところ,法と本件条例及び本件細則とでは,規制の対象が私道の廃止等の制限という点において同一であるから,昭和50年9月10日最高裁判決(刑集29巻8号489頁)の示した基準によれば,本件条例及び本件細則が法と異なる目的で私道の廃止等を制限しているのであれば,本件条例及び本件細則による私道廃止等の制限は法令に抵触しないことになる。 私道の内,法第3章における道路として扱われる位置指定道路や2項道路については,建築物の存在,すなわち,住民の日常生活や営業活動に伴う当該道路の利用が必然的に付随しており,更には,住民の日常生活や営業活動を行うために必須の水道管,ガス管,公共下水道管等のライフラインが埋設されることも一般的である。また,当該私道が単一人により所有されているとは限らず,共同所有や地役権等が設定されている場合も考えられる。このような状況にある私道が廃止等されれば,事実上,当該私道を利用している者や法律上の権原を有する者に多大な影響を及ぼすことは必至である。この意味において,私道,特に位置指定道路やいわゆる2項道路には,公共的性格があり,廃止等に当たって利害関係人との調整を行う必要があるのである。そこで,本件条例及び本件細則は,かかる観点から個々の敷地に関する接道の数には関係なく,利害関係人の承諾書の徴取を求めているのである。 したがって,本件条例及び本件細則による私道の廃止等の制限 る。そこで,本件条例及び本件細則は,かかる観点から個々の敷地に関する接道の数には関係なく,利害関係人の承諾書の徴取を求めているのである。 したがって,本件条例及び本件細則による私道の廃止等の制限は,特定行政庁が有する私道の指定処分の撤回権限に基づく,私道が持つ公共的性格を重視し,私道敷地所有者等の利害関係調整を目的とするものであって,接道要件を欠くこととなる事態を回避するという目的の下に私道の廃止等の制限を行う法45条1項とはその目的を異にするものである。 そして,本件条例及び本件細則による規制は,基本的に従前の私道を存続させる方向に働く効果を有しており,接道要件を欠くこととなる事態を回避するという法45条1項の目的や効果を,本件条例及び本件細則が阻害するとは到底考えられない。 (イ)仮に本件条例及び本件細則の目的とするところが法と同じであるとしても,平成12年4月1日施行のいわゆる地方分権一括法により従来機関委任事務であった法上の事務のうち私道の廃止等に係る事務は,地方公共団体の自治事務とされた(地方自治法2条2項3号,法97条の5)。このように,私道の廃止等に係る事務が,地域における事務であるとされた以上,地域事情によって法令と異なる規制を許容することが法の趣旨であると解するのが自然であり,まして,自治事務については,特段の事情がない限り,横出し規制(法令で定める規制基準・規制対象以外のものを規制すべく条例で定めるもの)や上乗せ規制(法令で定める規制基準・規制対象以上に厳しいものを規制すべく条例で定めるもの)を許容するのが立法者の意思であると考えられる。 したがって,本件条例及び本件細則による手続の上乗せ規制は,従前の機関委任事務の執行の場面とは異なり,自治事務の執行の範疇であって,なんら違法性は存在しない。 (ウ)以上によ であると考えられる。 したがって,本件条例及び本件細則による手続の上乗せ規制は,従前の機関委任事務の執行の場面とは異なり,自治事務の執行の範疇であって,なんら違法性は存在しない。 (ウ)以上により,本件条例及び本件細則が,私道の廃止等に係る利害関係人の承諾書等を添付することを要件としていることは,法45条1項と矛盾抵触するものではなく,何ら違法ではない。 ウ本件条例及び本件細則が憲法29条に反しないこと昭和62年4月22日最高裁大法廷判決・民集41巻3号408頁は,「当該立法の規制目的が公共の福祉に合致するものであっても,規制手段が規制目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかであること」を財産権規制立法の合憲性判断基準としているところ,本件条例及び本件細則は,ライフラインが埋設され,付近住民の日常生活上の生活道路である私道が有する公共的性格を重視して私道敷地所有者間での私道廃止等における利害関係調整を目的として定められたものであり,本件条例及び本件細則の規制目的が公共の福祉に合致し,かつ,本件条例による規制手段が本件規制目的を達成するための手段として必要性・合理性があることは明らかというべきである。 また,本件条例及び本件細則は,いわゆる財産権に対する積極目的規制(社会国家的見地から経済の調和のとれた発展を確保し,社会経済政策の一環として採られる規制)である。積極目的規制については高度の政治的判断が多く,情報収集能力及び政治的判断に優れる行政の意思を尊重する方が,国民に福祉に役立つものであることから,その合憲性の判断は,当該規制が著しく不合理なものであることが明白な場合に限られるべきである(昭和47年11月22日最高裁大法廷判決・刑集26巻9号586頁)。 したがって,本件条例による手続規制が の合憲性の判断は,当該規制が著しく不合理なものであることが明白な場合に限られるべきである(昭和47年11月22日最高裁大法廷判決・刑集26巻9号586頁)。 したがって,本件条例による手続規制が合憲・適法であることは明らかである。 エ過度に広範な規制ではないこと私道の廃止は,当該私道に所有権等の権利を有する者に少なからざる影響を与えるものであり,これらの者の同意を求める必要性がある。したがって,隣接者等の利害関係人の同意のない限り,一律に道路位置指定廃止・私道廃止を許さない本件条例及び本件細則が,過度に広範な規制であるとはいえない。 オ利害関係の調整等が完了しているとの原告の主張についてBは,本件私道の一部である574番4の土地の所有者であり,本件私道に埋設された水道管及び公共下水道管の利用者でもある。また,本件私道は,574番4の土地にとって,法43条1項に規定する接道となっている。したがって,Bは,本件私道の廃止に当たっては利害関係を有する者であることは明らかであり,本件廃止申請につき,Bの承諾書が添付されていないということは,利害関係の調整が未完了であることを明確に示すものである。 カ結論以上のとおり,位置指定道路についての本件却下処分は適法である。 (原告の主張)ア建築基準法と異なる目的により私道の廃止を制限することはできないこと本件条例1条は,「建築基準法の施行については,別に定めがある場合を除くほか,この条例の定めるところによる」と定めており,また,本件条例の名称が「寝屋川市建築基準法施行条例」であることからも明らかなとおり,本件条例及び本件細則は建築基準法を施行するための条例であるのであり,本件条例及び本件細則において,法45条1項以外の目的で,私道の廃止等を制限することができるとの被告の解釈は,およそ かなとおり,本件条例及び本件細則は建築基準法を施行するための条例であるのであり,本件条例及び本件細則において,法45条1項以外の目的で,私道の廃止等を制限することができるとの被告の解釈は,およそこれを容れる余地はない。 したがって,本件条例及び本件細則に基づいて定めることができるのは,法45条1項に定める私道の変更又は廃止に関わる手続だけであるから,法45条1項以外の目的で,私道の廃止を制限することはできない。 そして,574番4の土地は,前記前提事実のとおり,本件位置指定の廃止を求める道路を除いても,概ね12メートル以上公道に接しており,本件道路位置指定の廃止を承認したとしても,547番4と道路との関係において,何ら法43条の規定に抵触することとならないのであるから,574番4の土地の所有者であるBの同意書及び印鑑登録証明書がないことを理由に本件廃止申請を却下した本件処分は,法45条に違反し,違法である。 イ本件条例及び本件細則が建築基準法と矛盾すること上記のとおり,本件条例及び本件細則は,法と同一の目的で制定されたものであるところ,本件条例及び本件細則によって接道要件を満たす場合にも私道の廃止を制限できるとすれば法の目的と効果を阻害するものであるから(最高裁昭和50年9月10日大法廷判決・刑集29巻8号489頁),本件条例及び本件細則は法と矛盾抵触し違法である。 ウ本件条例及び本件細則が憲法29条に反すること仮に,本件条例及び本件細則が,法45条1項が定める目的とは異なる目的のために私道の変更又は廃止についての制限を定めた規定であるとしても,条例により住民の財産権を制約するには,公共の福祉を保持する上で社会生活上やむをえないものである場合に限られるというべきである(最高裁昭和38年6月26日判決・民集41巻3号408頁 あるとしても,条例により住民の財産権を制約するには,公共の福祉を保持する上で社会生活上やむをえないものである場合に限られるというべきである(最高裁昭和38年6月26日判決・民集41巻3号408頁参照)。 被告が主張する「私道の公共的性格の重視や私道敷地所有者などの利害調整」という目的は,公共の福祉を保持する上で社会生活上やむをえないものということはいえず,また財産権を有する者が当然受忍しなければならない責務ではないから,かかる目的のために,財産権を制限することは許されず,本件条例及び本件細則は憲法29条に反し,違憲である。 エ過度に広範な規制であること仮に,本件条例及び本件細則において私道の公共的性格を重視して私道敷地所有者等の利害関係調整を目的とする私道廃止の制限を設けることが許されるとしても,利害関係人の承諾書等の添付がない場合と「私道の公共的性格や私道敷地所有者等の利害関係」につき調整ができない場合とは同一ではないから,利害関係人の承諾書等の添付がない限りは私道廃止を認めないとする規制は,その目的に照らして合理的な規制であるとは考えられず過度に広範な規制であり,不合理な規制であるというべきである。 オ利害調整等はすでになされていること仮に,本件条例及び本件細則が,私道の公共的性格の重視や私道敷地所有者等の利害関係調整を目的とした規定であるとしても,協議経過書などをみれば明らかなとおり,原告はすでに本件位置指定廃止について,公共的性格や利害関係の調整について完了しているのであり,何ら公共的性格や利害関係のないBの承諾書がないからといって,本件処分の理由とはなりえない。 (2)本件2項道路にかかる廃止申請却下処分の違法性(原告の主張)本件位置指定道路につき道路位置指定の廃止を求める申請を却下する処分が上記のとおり違法 らといって,本件処分の理由とはなりえない。 (2)本件2項道路にかかる廃止申請却下処分の違法性(原告の主張)本件位置指定道路につき道路位置指定の廃止を求める申請を却下する処分が上記のとおり違法である以上,これに合わせて併願した,本件2項道路廃止の承認の申請を却下した処分についてはいっそう理由がない。 (被告の主張)本件位置指定道路の廃止及び2項道路の廃止承認申請は,一括申請されているところ,本件位置指定道路につき申請書に添付が必要な利害関係人の同意書が添付されておらず,かつ,原告が補正に応じなかったことから,本件2項道路についての判断をする以前の段階で,当該一括申請につき,被告は,本件却下処分を行ったものであり,したがって,被告は,本件2項道路については,何らその判断をしていない。 第3 当裁判所の判断 1 本件位置指定道路にかかる廃止申請却下処分の適法性前記第2,1(1)記載のとおり,本件条例の名称は「寝屋川市建築基準法施行条例」であるところ,本件条例1条は,本件条例の趣旨として,建築基準法の施行については,別に定めがある場合を除くほか,この条例の定めるところによると定めていること,本件細則の名称は「寝屋川市建築基準法施行細則」であるところ,本件細則1条は本件細則の趣旨として,この規則は,建築基準法施行令,建築基準法施行規則,大阪府建築基準法施行条例及び寝屋川市建築基準法施行条例に定めるもののほか,建築基準法の施行に関し必要な事項を定めるものとすると定めていること,本件条例及び本件細則が,建築基準法の施行に必要な事項について定めた条例及び細則であることは明らかである。 そして,位置指定道路及び2項道路は,私人が自己の所有する土地又は借地等を提供して築造する道路でその管理も私人が行うものであるから,本来私道の変更又は廃止は, 例及び細則であることは明らかである。 そして,位置指定道路及び2項道路は,私人が自己の所有する土地又は借地等を提供して築造する道路でその管理も私人が行うものであるから,本来私道の変更又は廃止は,原則として自由なはずであるところ,当該私道によって法43条の接道義務を満たしていた第三者の建築物の敷地がある場合には,当該私道が変更又は廃止されることによって違法な状態が生じうることとなるところから,法45条1項は,私道の変更又は廃止によって道路に接する敷地が法43条の接道義務に抵触することとなる場合に,特定行政庁は私道の変更又は廃止を禁止し,または制限することができるものとしているのである。 以上に照らすと,本件細則4条の2が,市長に対して私道の変更又は廃止の申請書を提出する場合に「当該道路を前面道路として利用している者の承諾書」を提出することを求めているのは,当該私道が変更又は廃止されることにより当該私道を前面道路として利用している者が所有あるいは占有する建築物の敷地が接道要件をみたさなくなり,事後的に違法状態に陥るおそれがあることから,かかる不合理な結果が生じないようにするため,私道の変更又は廃止の申請書を提出するにあたり,上記「利用している者」の承諾書を提出することを定めたものと解される。しかして,本件細則4条の2は,私道の変更又は廃止により接道義務に抵触することになるかどうかを区別することなく,当該道路を前面道路として利用している者の承諾書を要求しているところ,上述の法45条1項の趣旨及び本件条例及び本件細則の趣旨に照らすと,特定行政庁がかかる承諾書が提出されていないことを理由に手続要件を欠くとして申請を却下することができるのは,当該道路につき私道認定が変更又は廃止されることにより当該道路を前面道路として利用している者の所有あるい かる承諾書が提出されていないことを理由に手続要件を欠くとして申請を却下することができるのは,当該道路につき私道認定が変更又は廃止されることにより当該道路を前面道路として利用している者の所有あるいは占有する建築物の敷地が法43条の接道義務に抵触する場合に限られるものと解するのが相当である。 これに対し,被告は,本件条例及び本件細則は,位置指定道路及び2項道路の廃止等にあたり接道義務以外のライフラインの利用等について利害関係人との間の利益調整をすることを目的とする規定であると主張する。 しかしながら,前述のとおり本件条例及び本件細則が建築基準法の施行のための規定であることが明記されていること,本来所有者等は,私道の変更又は廃止を自由に行えるはずであるにもかかわらず,他の者の同意がなければ一切廃止できないというのは不合理であること,本件条例及び本件細則には,利害関係人が私道の廃止等について同意しない場合に,ライフラインの利用等についてどのような調整を行うかについて規定が何ら定められていないし,その他接道要件を満たすかどうかということ以外の点について利害関係人との利益調整を図るための規定であることをうかがわせる規定もないことに徴すると,本件条例及び本件細則が,建築基準法とは別個に接道要件以外の利害関係について調整することを目的として定められた規定であると解することは困難である。 そして,Bの所有する574番4の土地は,本件位置指定道路が廃止されたとしても概ね12メートル以上公道に接しており接道要件を満たしていることは前記前提事実記載のとおりであるから,単に本件細則4条の2に規定するBの承諾書が添付されていないことを理由に本件位置指定道路の廃止申請を却下した本件処分は違法であるというべきである。 2 本件2項道路にかかる却下処分の適法性 から,単に本件細則4条の2に規定するBの承諾書が添付されていないことを理由に本件位置指定道路の廃止申請を却下した本件処分は違法であるというべきである。 2 本件2項道路にかかる却下処分の適法性被告は,本件位置指定道路にかかる廃止申請にBの承諾書が添付されていなかったことから同申請は不適法な申請として却下されるべきところ,本件2項道路にかかる私道廃止承認申請は本件位置指定道路にかかる廃止申請と併願申請していることから,廃止の要件を具備しているかどうかを検討することなく一括して却下したと主張する。 しかしながら,本件位置指定道路にかかる廃止申請にBの承諾書が添付されていないことを理由に上記申請を却下することが不適法であることは前述のとおりであるから,上記被告の主張は前提を欠くというべきである。加えて,本件条例及び本件細則において位置指定道路及び2項道路については一括して申請しなければならないことを定めた規定はなく,便宜上一括して申請させたものにすぎないのであるから,一括して申請が行われた場合であっても観念的には位置指定道路についての申請と2項道路についての申請が同時に行われたにすぎないのであり,位置指定道路について手続要件が欠けていることが,とりもなおさず2項道路についての廃止承認申請を却下する理由とはなり得ないことは明らかである。 以上により,本件位置指定道路の廃止申請につきBの承諾書が添付されていなかったこと,本件2項道路の廃止承認申請が本件位置指定道路の廃止申請と一括申請されていることを理由に本件2項道路についての廃止申請を却下した本件処分は理由がないことが明らかであり,他に本件2項道路について申請を却下すべき事情はうかがわれないから,結局,本件処分は違法であるというべきである。 なお,審査庁である寝屋川市建築審査会は,本件2 処分は理由がないことが明らかであり,他に本件2項道路について申請を却下すべき事情はうかがわれないから,結局,本件処分は違法であるというべきである。 なお,審査庁である寝屋川市建築審査会は,本件2項道路の廃止については判断しておらず,このため本件2項道路に係る処分はなかったものであり,審査請求人の申し立てが処分の取消しを求めるものであることから,本件2項道路については審査対象を欠くものといわざるを得ないと判断しているが,本件処分の通知書には「当職としては補正通知のとおり申請書の審査を打ち切り申立書を却下します。」と記載されており,本件位置指定道路及び本件2項道路に係る申請が一括申請され同一の申請書でなされていることからすると,いずれの申請についても同時に却下したものと解することができること,被告が本件訴訟において「本件2項道路の廃止申請は・・・手続上,一括して却下処分としたものである。」と述べていることからすると,本件2項道路の廃止申請についてはかかる申請が法律上要求されている要件を具備しているかどうかについては判断していないものの,本件2項道路の廃止申請を却下するという処分を行ったことは明らかであり,本件訴訟においても審理の対象となる処分が存在することは明らかである。 3 結論以上の次第で,その余の点につき判断するまでもなく,本件処分はいずれも違法であって原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第二民事部裁判長裁判官三浦潤裁判官黒田豊裁判官中島崇

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