主文 被告人両名をそれぞれ懲役2年に処する。 被告人両名に対し、この裁判が確定した日から5年間それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人両名は、共謀の上、令和5年5月頃から同年10月頃までの間に、別表記載(別表省略)のとおり、福岡県太宰府市a 番地b 所在のAほか21名共有の土地ほか15筆の土地一体において、同土地に生えていた樹木を伐採し、整地するなどして造成した上、トレーラー及びプレハブ小屋等を設置してキャンプ場を開設するなどし、もって他人の不動産を侵奪したものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)本件は、被告人両名が、共謀の上、山中の私有地を無断で造成し、キャンプ場を開設したという不動産侵奪の事案である。 被告人らが侵奪した不動産は2000㎡以上と広大で、期間も起訴されただけでも約半年に及んでいる。その態様も、樹木を伐採し、整地した上、小屋を建てるなど大きな改変を加えるものである。その上で、被告人らは、実際にキャンプ場を営業し、相応の利益も得ている。動機は、利欲的かつ自己中心的で酌むべき点はない。 しかも、被告人らは、令和5年1月頃以降、本件を把握した県や市の職員から、他人の土地を勝手に使ってはいけないなどと繰り返し指導を受けてきたにもかかわらず、虚偽の説明や口先だけの約束をしながら、キャンプ場の造成を続けた。令和5年10月にキャンプ場を開業した後も、被害者のうち1名から原状回復や返還を 求められても、境界が分からない、売買額が折り合わないなどと論難し、営業を続けた。結局、これら行政や被害者からの指摘ではなく、キャンプ場の違法性が明るみになり、予約サイトから契約を打ち切られたという理由から営業をあきらめるに至っている。 折り合わないなどと論難し、営業を続けた。結局、これら行政や被害者からの指摘ではなく、キャンプ場の違法性が明るみになり、予約サイトから契約を打ち切られたという理由から営業をあきらめるに至っている。本件犯行の犯意は強固で、被告人らは我が国の法令を遵守しようとする意識に欠けるというほかない。そればかりでなく、行政や被害者から繰り返し指摘を受けたにもかかわらず、言い逃れや自己正当化を続けて相手を疲弊させ、なし崩し的に犯行を強行した点も、強い非難に値する。 以上によれば、被告人らの刑事責任は到底軽視できない。 他方、本件不動産については、概ね原状回復がなされ、被害者のうち2名とは示談が成立し、被告人らを許す旨も述べている。被告人らは事実を認めて反省の言葉を述べている。各被告人の友人がそれぞれ今後の監督を誓っている。被告人らには前科がない。以上の被告人両名のために酌むべき事情も考慮し、被告人両名を主文の刑に処した上、今回に限り、それぞれその刑の執行を猶予することが相当であると判断した。 (求刑-被告人両名につき、いずれも懲役2年)令和7年6月5日福岡地方裁判所第4刑事部 裁判官田野井蔵人
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