令和4年12月8日判決言渡令和2年(行ウ)第344号 LINEを用いたオンラインによる住民票の写し交付請求サービス適法確認請求事件 主文 1 本件訴えのうち、選択的請求1に係る部分を却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1(選択的請求1)総務省自治行政局住民制度課長が令和2年4月3日付けにて発出した別紙2「電子情報処理組織を使用して本人から住民票の写しの交付請求を受け付ける場合の取扱いに係る質疑応答について(通知)」(総行住第55号)は違法であることを確認する。 2(選択的請求2)被告との関係において、原告が、市町村(特別区を含む。) に対して別紙3「サービス目録」記載の住民票の写しの交付請求に係るサービスを適法に提供することができる地位にあることを確認する。 第2 事案の概要原告は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者(以下「住民」という。)が当該市町村の 長に対して行う住民票の写しの交付請求に係る手続につき、電子情報処理組織を使用する方法(以下この方法を「オンライン」という。原告の場合は、アプリケーションソフトウェアである「LINE」〔以下単に「LINE」という。〕を用いる。)によることができるサービス(以下「本件サービス」という。)の提供を開始した。しかしながら、①総務省自治行政局住民制度課長は、都道 府県等に対し、電子署名による本人確認を行うことなくオンラインで住民票の 写しの交付請求をすることは、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号。以下「住基法」という。)12条3項、総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の 認を行うことなくオンラインで住民票の 写しの交付請求をすることは、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号。以下「住基法」という。)12条3項、総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成15年総務省令第48号。以下「デジタル手続法総務省令」という。)4条2項等に違反する旨の通知(「電子情報処理組織を使用して本人から住民票の写しの交付請求を受け付ける場合 の取扱いに係る質疑応答について(通知)」。以下「本件通知」という。)を発出し、その後、②住民基本台帳の一部の写しの閲覧並びに住民票の写し等及び除票の写し等の交付に関する省令(昭和60年自治省令第28号。以下「本件省令」という。)が令和3年総務省令第96号により改正され(以下この改正を「本件省令改正」という。)、本件省令22条において、住民票の写しの 交付請求に当たっては、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書の適用がない旨が規定された(これにより、電子署名及び電子証明書の併用による本人確認以外の方法によりオンラインで住民票の写しの交付請求をすることは、本件省令22条に違反することとなった。)。 本件は、かかる事実関係の下において、原告が、①本件通知が違法であるこ との確認を求め(以下「本件通知違法確認請求」という。)、又は、②(本件通知及び)本件省令改正が違法であることを前提に、原告が(本件通知及び本件省令22条の存在にもかかわらず)本件サービスを適法に行い得る地位にあることの確認を求める(以下「本件地位確認請求」といい、本件通知違法確認請求と併せて「本件各確認請求」という。)事案である。 1 関係法令等の定め⑴ 本件に関係する法令等の定めは、別紙4-1ないし4-7に記載したとおりである。 ⑵ア情報通信技 認請求と併せて「本件各確認請求」という。)事案である。 1 関係法令等の定め⑴ 本件に関係する法令等の定めは、別紙4-1ないし4-7に記載したとおりである。 ⑵ア情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号。ただし、令和3年法律第35号による改正前のもの。以下「デ ジタル手続法」という。)の位置付け デジタル手続法は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)13条及び官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)7条に基づく法制上の措置として、国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術を活用した行政の推進 について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法による手続等を行うために必要となる事項を定めることなどにより、手続等に係る関係者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、もって国民生活の向上及 び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律である(1条)。 イデジタル手続法における申請手続に関する規律デジタル手続法は、6条1項において、「申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で 定めるところにより、主務省令で定める電子情報処理組織(括弧内省略)を使用する方法により行うことができる」との規定を置くところ、これは、申請等について定める各個別の根拠法令が存在することを前提とし 定めるところにより、主務省令で定める電子情報処理組織(括弧内省略)を使用する方法により行うことができる」との規定を置くところ、これは、申請等について定める各個別の根拠法令が存在することを前提とした上で、その申請手段に関する特則として、申請等を定める各個別の根拠法令上は書面等による方法しか規定されていない場合であっても、オンライン による申請を許容する規定である。 そして、前記主務省令の一つであるデジタル手続法総務省令4条は、「(デジタル手続法)第6条第1項の規定により電子情報処理組織を使用する方法により申請等を行う者は、行政機関等の定めるところにより、当該行政機関等の指定する電子計算機に備えられたファイルに記録すべき事項又 は当該申請等を書面等により行うときに記載すべきこととされている事 項を、申請等をする者の使用に係る電子計算機から入力して、申請等を行わなければならない。」(1項)、「前項の規定により申請等を行う者は、入力する事項についての情報に電子署名を行い、当該電子署名を行った者を確認するために必要な事頃を証する電子証明書と併せてこれを送信しなければならない。」(2項本文)と定め、原則として、オンラインによる申 請の際は電子署名と電子証明書を併せた方法による本人確認を行うべきこととしている(なお、同項ただし書は、「行政機関等の指定する方法により当該申請等を行った者を確認するための措置を講ずる場合は、この限りでない。」旨規定するところ、本件省令22条は、住基法に基づく住民票の写しの交付請求に係る手続には当該ただし書の規定がない旨定める ものである。)。 上記の「電子署名」については、電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。ただし、令和3年法律第36号による改正前のもの。以下 し書の規定がない旨定める ものである。)。 上記の「電子署名」については、電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。ただし、令和3年法律第36号による改正前のもの。以下「電子署名法」という。)が、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、「当該情報が当該措置を行った 者の作成に係るものであることを示すためのものであること」及び「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること」のいずれをも満たすもの(2条1項)と定義している。 ウ住基法等における住民票の写しの交付請求に関する規律 住基法は、住民票の写しの交付請求に係る手続として、現にその請求の 任に当たっている者において、市町村長に対し、「個人番号カード(括弧内省略)を提示する方法その他の総務省令で定める方法」により、当該請求の任に当たっている者が本人であることを明らかにしなければならない旨定める(12条3項)。当該規定は、個人情報保護に対する意識の高まりや、なりすまし等の不当な手段による住民票の写しの交付請求が行わ れている実態を踏まえ、平成19年法律第75号による住基法改正の際 に、住民票の写しの交付請求につき、請求主体を原則として本人等に限り、それに伴って請求の際における本人確認の手続を整備する趣旨で設けられたものである。 なお、本件省令上、「その他の総務省令で定める方法」として、個人番号カード(マイナンバーカードと同じ。)等であって現に請求の任に当たっ ている者が本人であることを確認するため市町村長が適当と認める書類を提示する方法(5条1号)に加え、当該書類をやむを得ない理由により提示することができない場合には、現に請求の任に当たっている者が本人 いる者が本人であることを確認するため市町村長が適当と認める書類を提示する方法(5条1号)に加え、当該書類をやむを得ない理由により提示することができない場合には、現に請求の任に当たっている者が本人であることを確認するため市町村長が適当と認める書類を提示し、若しくは提出する方法、又は現に請求の任に当たっている者が本人であることを 説明させる方法その他の市町村長が前号に準ずるものとして適当と認める方法(同条2号)が規定されている。 住民票の写しの交付請求に係る手続は、「郵便その他の総務省令で定める方法」により行うことも認められており(住基法12条7項)、その際の本人確認の方法として、本件省令上、個人番号カード等の写しを送付し、 現に請求の任に当たっている者の住所を送付すべき場所に指定する方法その他の方法が定められている(本件省令5条3号)。 住民基本台帳事務処理要領(自治振第150号自治省行政局長等通知。以下「本件要領」という。)は、住民票の写しを交付するに当たり、住基法12条3項にいう「現に請求の任に当たっている者」が請求者本人である ことを確認する方法について、「個人番号カード又は旅券、運転免許証その他官公署が発行した免許証、許可証若しくは資格証明書」を提示することを原則とし(同第2の4⑴①アA)、やむを得ない理由によりこれを提示することができない場合にのみ、Aに掲げる上記各書類が更新中に交付される仮証明書等や、住民名義の預金通帳等で代替することも考えられ るとしている(同B)。ただし、これらで代替する場合であっても、Aに 掲げる書類を提示する方法に準ずる方法と同水準の本人である旨の心証形成が必要なため、これらの代替書類を複数提示するよう求めるなど、補充的に確認のための行為を積み で代替する場合であっても、Aに 掲げる書類を提示する方法に準ずる方法と同水準の本人である旨の心証形成が必要なため、これらの代替書類を複数提示するよう求めるなど、補充的に確認のための行為を積み重ねることが適当であるとしている。 また、本件要領は、本人等の請求による住民票の写し等の交付であって、かつ、窓口における請求の場合、請求者の氏名については、請求の意思を 明らかにさせるため、自署又は押印を求めることが適当であるともしている(第2の4⑴①アA)。 さらに、本件要領は、住基法12条7項の規定に基づいて郵便等により住民票の写しの交付が求められた場合には、「現に請求の任に当たっている者」が請求者本人であることについて官公署が発行した免許証等その他 の上記各書類の写しを送付する方法等によって明らかにさせるほか、窓口における請求の場合と同水準の本人である旨の心証形成のため必要と判断されるときは、適宜、電話により現に請求の任に当たっている者を通話口に呼び出し、口頭で質問を行うなど、補充的に本人確認のための行為を積み重ねることが適当であるなどとされている(第2の4⑴②ア)。 2 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ ア原告は、インターネット等の通信ネットワーク及び電子技術を利用した各種情報提供サービス等を行うことを目的として、平成31年▲月▲日に設立された株式会社である(甲1)。 イ原告代表者は、平成29年から平成31年(令和元年)までの間、LINEを運営する訴外LINE株式会社に所属しており、その間に、「もし行政機関が制約なく最高のテクノロジーを使えたら」とのコンセプトを実現することを目指す「GovTechTF」を結成した(甲2)。 NEを運営する訴外LINE株式会社に所属しており、その間に、「もし行政機関が制約なく最高のテクノロジーを使えたら」とのコンセプトを実現することを目指す「GovTechTF」を結成した(甲2)。 ウ原告は、●というサービス(以下「本件基本サービス」という。)を複数 の地方公共団体に対して提供している(甲2)。本件基本サービスは、粗大 ごみ廃棄の申込み、水道栓の開閉栓、一時保育の予約等、行政の提供する多岐にわたる手続を、LINEを用いて行うことを可能とするものである(甲3)。 ⑵ 原告は、本件基本サービスの一環として、本件サービスを開発した。 ⑶ 令和元年6月21日、総務省自治行政局住民制度課(以下「住民制度課」 という。)は、原告代表者らから、LINEによる住民票の写しの交付請求の可否に関する相談を受けた。住民制度課は、当該手法につき、現行法の下においては本人確認の方法として疑義がある旨回答した。 ⑷ 住民制度課は、渋谷区が本件サービスに係る実証実験を実施する予定であることを報道等により確認し、令和2年2月5日、同区に対し、住基法31 条2項の規定に基づき、当該実証実験の内容、本人確認方法の妥当性等について疑義照会を行った。 同月17日、渋谷区は、住民制度課に対し、同区の実証実験の概要を説明するとともに、同実証実験におけるオンラインによる住民票の写しの交付請求の根拠法令はデジタル手続法総務省令4条2項ただし書であると考えてい ること等を回答した。これに対し、住民制度課は、オンラインによる本人確認の具体的な方法や改ざん防止の方法などについて更に確認を求め、渋谷区において同区職員を対象とした実証実験が開始された後も同区と断続的に協議を重ね、本件サービスにおいて法令で求められている電子署名を用いる方 な方法や改ざん防止の方法などについて更に確認を求め、渋谷区において同区職員を対象とした実証実験が開始された後も同区と断続的に協議を重ね、本件サービスにおいて法令で求められている電子署名を用いる方法と同等の本人確認ができることを証明できる実証実験の結果を示すよう依 頼するなどした。 ⑸ 同年4月1日、渋谷区は、本件サービスを開始し、同区ホームページ上でその旨を公開した(甲6)。なお、本件サービス開始に先立って前記⑷の住民制度課の依頼に係る実証実験の結果等の共有はされなかった。 ⑹ 同月3日、本件通知が発出された。 なお、本件通知の性質は、各大臣が、その担任する事務に関し、普通地方 公共団体に対し、その事務の運営その他の事項について適切と認めるものについて行う技術的な助言(地方自治法245条の4)である。 ⑺ 住民制度課は、本件通知の発出に伴い、渋谷区に対し、本件通知の趣旨を説明する旨連絡するなどし、さらに、同年7月17日に総務省自治行政局長が渋谷区長と面会するなどしたが、同区は本件サービスを継続した。 ⑻ 原告は、同年9月10日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 ⑼ 本件省令改正により、令和3年9月29日付けで本件省令22条が公布され、同日付けで施行された(乙6)。なお、本件省令改正に関する制定文は、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第6条第1項の規定に基づき、住民基本台帳の一部の写しの閲覧並 びに住民票の写し等及び除票の写し等の交付に関する省令の一部を改正する省令を次のように定める。」としている(乙6・4頁)から、本件省令改正に係る委任の授権規定はデジタル手続法6条1項であると解される。 3 争点(本案前の争点) 本件通知違法確認請求に係る確 を次のように定める。」としている(乙6・4頁)から、本件省令改正に係る委任の授権規定はデジタル手続法6条1項であると解される。 3 争点(本案前の争点) 本件通知違法確認請求に係る確認の利益の有無(争点⑴)本件地位確認請求に係る確認の利益の有無(争点⑵)(本案の争点)本件通知の違法性(争点⑶)(本件地位確認請求との関係で)本件省令改正の違法性(具体的には、本件省 令22条がデジタル手続法6条1項の委任の範囲を超えるものか)(争点⑷) 4 当事者の主張争点に関する当事者の主張の要旨は、別紙5記載のとおりである。なお、同別紙で定義した略語は本文でも用いる。 第3 当裁判所の判断 当裁判所は、①本件各確認請求のうち、本件通知違法確認請求は確認の利益 が認められず不適法な訴えであるが、本件地位確認請求は適法な訴えである、②本件省令22条は根拠法令の授権の範囲を超えるものとは認められないから、本件地位確認請求には理由がないものと判断した。以下、その理由について述べる。 1 認定事実 前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ 電子取引特有の問題と電子署名についてア電子取引においては、通常の取引と異なり、相手方と顔を合わせるなどしてその確認をすることができないため、以下のような特有の問題が生ず る。 なりすまし(データ上、作成名義者を表す記述があった場合でも、当該記述自体は誰でも作成できることから、それを実際に作成名義者本人が作成したか、第三者が作成名義者になりすまして作成したかを判別することが困難である。そのため、ハッカーによるなりすましの危険性が ある。) データの改ざん(イン 作成名義者本人が作成したか、第三者が作成名義者になりすまして作成したかを判別することが困難である。そのため、ハッカーによるなりすましの危険性が ある。) データの改ざん(インターネット上の通信は、改ざんの痕跡が残らないことから、その経路上、悪意あるハッカーに盗聴され、その内容を改ざんされる危険性がある。) 否認行為(コンピュータ上では同一内容のメッセージを誰もが作成可 能であることから、真に送信名義者とされている者がその内容を送信したとの事実を証明することが困難である。そのため、取引に関する情報を送信したか否かに争いが生じ、取引自体の存在が争われる危険性がある。)(乙12・6頁ないし10頁)イ電子署名及び電子認証技術は、アのようなセキュリティ上の問題を、 暗号技術を用いて解決することを目的としたものである。 暗号技術とは、一定の数学的プロセス(以下「アルゴリズム」という。)を用いて、誰にでも読める平文を暗号文に変換し(暗号化)、又は暗号文を平文に変換(復号化)する技術である。そして、アルゴリズムによる変換のための補助変数(パラメータ)は「鍵」と呼ばれる。 電子署名は、非対称鍵暗号方式(暗号化と復号化の際に、別の鍵を用 いる方式をいう。この場合、通信当事者は、秘密鍵と公開鍵という一対の鍵〔以下「鍵ペア」という。〕を作成するところ、この場合において、ある秘密鍵で暗号化したものは、それと鍵ペアを成す公開鍵でしか復号できないという関係にある。)を用いて、通信メッセージの現実の作成者と通信メッセージに表示された作成者が同一であり、かつ、事後のデ ータ改ざんがないことを確認し、事後的な否認行為を防ぐためのものである。 具体的には、a 発信者Aが、 ージの現実の作成者と通信メッセージに表示された作成者が同一であり、かつ、事後のデ ータ改ざんがないことを確認し、事後的な否認行為を防ぐためのものである。 具体的には、a 発信者Aが、平文の通信メッセージを圧縮したもの(以下「メッセージダイジェスト」という。)を作成し、自身の秘密鍵でメッセージ ダイジェストを暗号化する(以下、当該暗号化されたメッセージダイジェストに係る電子情報を「デジタル署名」という。)。 bAが、上記aの平文にそのデジタル署名を添付し、相手方Bに送付する。 cBは、デジタル署名をAの公開鍵で復号することにより得たメッセ ージダイジェストの内容が、平文と同じであることを確認する。 そして、Bは、メッセージダイジェストをAの公開鍵で復号できたとの事実によりAの通信メッセージをAが真に作成したものであることを、当該メッセージダイジェストが平文と同じであったとの事実によりその内容に改ざんがないことを、それぞれ確認できることになる。 他方、上記の確認が成り立つためには、Bが検証に用いる「Aの公 開鍵」が、真にAの秘密鍵に対応する(秘密鍵と鍵ペアを成す)ものであることが不可欠となる。したがって、電子署名のシステムにおいては、上記のような一連の流れに加えて、さらに、信頼できる第三者機関が、当該公開鍵が誰のものであるかを証明する仕組みが不可欠である。 そこで、現代社会においては、当該公開鍵を証明し得る「信頼できる 第三者機関」としての役割を果たす認証機関(電子署名法2条2項所定の認証業務を行う者をいう。)が、特定の公開鍵が(それと鍵ペアを成す秘密鍵で署名した)署名者のものであることを特定するため、電子証明書を発行するモデルが採用されている(乙12・18頁 法2条2項所定の認証業務を行う者をいう。)が、特定の公開鍵が(それと鍵ペアを成す秘密鍵で署名した)署名者のものであることを特定するため、電子証明書を発行するモデルが採用されている(乙12・18頁及び21頁)。 ウ前記第2の1⑵イのとおり、電子署名法上2条1項も、その対象となる 電子署名について「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの」(その措置をとった者自身がその電磁的な情報の作成者であることを示すためのもの。1号)及び「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるもの」(2号)と定め、これらの電子署名については、認証機関が認証を行うこととされてい る。 なお、電子署名法上、認証業務については原則として何人でも行うことができるが、うち特定認証業務(その方式に応じて本人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて行われる認証業務をいう。2条3項)についてのみは、一定の安全性を有する電 子署名についての認証業務として国(主務大臣)による認定制度が設けられており、これによってその認証業務への信頼性が担保されている(乙12・50ないし55頁)。 ここにいう電子署名に係る安全性の高さの一例として、公開鍵から秘密鍵を推測することが極めて困難であることが挙げられる(電子署名等に係 る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律施行規則〔平成 15年総務省令第120号。ただし、令和3年総務省令第84号による改正前のもの。〕2条)。すなわち、公開鍵暗号方式の場合、暗号技術のセキュリティを担保するためには、暗号化・復号化に係るアルゴリズムの解読が極めて困難でなければならないところ、上記規則上は、当該アルゴリズムにつき、RSA すなわち、公開鍵暗号方式の場合、暗号技術のセキュリティを担保するためには、暗号化・復号化に係るアルゴリズムの解読が極めて困難でなければならないところ、上記規則上は、当該アルゴリズムにつき、RSA方式(大きな整数の素因数分解の困難性を暗号化に利 用する方式)によることなどが求められている(乙12・14頁)。 ⑵ オンラインによる申請に係る公的個人認証サービス制度の概要ア前記第2の1⑵イのとおり、デジタル手続法総務省令4条等は、原則として、オンラインによる申請の際は電子署名と電子証明書を併せた方法による本人確認を行うべきことを求めている。 イここでいう「電子署名と電子証明書を併せた方法」とは、前記⑴イのとおりの電子認証制度を用いたものである。 すなわち、住民のうち希望する者は、地方公共団体の窓口において、電子署名に使用する鍵ペアを自ら作成する手段が提供され、このうち秘密鍵は、当該住民の持参したICカード(現在の法制度上、個人番号カードが 想定される。)の読み出し禁止領域に格納されることで、住民自らの手で厳格に保管されることとなる一方、公開鍵及び当該公開鍵が本人のものであることを都道府県知事が証明する電子証明書を、同じくICカード内に格納する形で提供を受ける。 そして、当該鍵ペアを作成する手段を提供するに当たっては、当該地方 公共団体の窓口において、当該住民の情報が住民基本台帳に存在するかを確認した上で、当該住民の本人確認が(運転免許証等の本人確認書類で)厳格に実施される。 その上で、当該住民がオンラインによる申請を行う際は、申請書の平文を作成したのち、ICカードをパソコンに接続されたカードリーダーにセ ットすると、当該ICカード内で、当該申請書にデジタル署名が付される。 当該住民がオンラインによる申請を行う際は、申請書の平文を作成したのち、ICカードをパソコンに接続されたカードリーダーにセ ットすると、当該ICカード内で、当該申請書にデジタル署名が付される。 同時に、同じくICカード内に格納されている当該住民の公開鍵及び公開鍵に係る電子証明書のデータを取り出し、それらを一式として申請先に送信する。 そして、申請先は、公開鍵に係る電子証明書及び公開鍵によりデジタル署名を復号できる事実により申請者が当該住民と同一であることを確認 し、その内容を照合することで内容の改ざんがないことを確認する(乙13)。 ⑶ 本件基本サービスの内容前記第2の2⑴イのとおり、本件基本サービスは、住民との間でLINE上でのやり取りを行うチャットボット(対話エンジン)、当該住民から得られ た情報や手続に係る内容等を保存するデータベース及び管理画面を提供することにより、行政の提供する手続につきLINEを用いて行うことを可能とする、地方公共団体専用のクラウドサービスである(甲20・2枚目、同24枚目)。 本件基本サービスには、公共施設の予約、粗大ごみの受付申込み等のほか に、証明書の請求、地方公共団体独自の給付金申請等につきLINEを用いて行うことができる「トークで申請」という機能が存在する(甲20・3枚目、同6枚目)。また、いかなる手続を「トークで申請」の対象とするかは、地方公共団体側が自由に決められる仕組みとなっている(地方公共団体は、申請で必要となる申請項目を、あらかじめ用意されている「質問コンポーネ ント」から選択する形で「質問」として追加していく。利用者が、LINE上のトーク画面(メッセージ画面)において「トークで申請」と入力すると、当該質問がトーク上に表示され、申請者がこれ ポーネ ント」から選択する形で「質問」として追加していく。利用者が、LINE上のトーク画面(メッセージ画面)において「トークで申請」と入力すると、当該質問がトーク上に表示され、申請者がこれに応答することで当該申請手続を完了することができる。)(甲20・8枚目ないし15枚目)。 本件基本サービスは、令和3年7月18日時点において、渋谷区を始めと した55の地方公共団体に導入されている(甲31・6頁、原告代表者4頁)。 ⑷ 本件サービスにおける本人確認の方法本件サービスは、オンライン上での本人確認手段として、「LINEeKYC」というサービス(以下「LINEeKYC」という。)を用いる(なお、eKYCとは、「electronicKnowYourCustomer」の略である(乙18・2頁)。)。これは、訴外LINE株式会社の AI(人工知能)技術である「CLOVAOCR(文字認識)」及び「CLOVAFace(顔認識)」を組み合わせたものであり、その流れは以下のとおりである(甲5、甲50、甲56の1ないし3、甲57、甲58、原告代表者6頁ないし13頁、20頁)。 ア申請者が、LINEにおいて開設された市町村のアカウントに入り、住 民票の写しの交付を申請する旨のボタンをクリックする。 イ申請の内容に沿った質問(「受取方法を選択してください。」「必要な住民票を選択してください。」「必要な記載事項を選択してください。」等)が現れ、申請者がそれぞれに対応した選択肢をタップする。 ウ 「必要な書類は以上でよろしいですか?」との質問に対し、「以上」と回 答すると、LINEeKYCによる本人確認手続が開始される。 「正面の顔写真を撮影して送信してください ウ 「必要な書類は以上でよろしいですか?」との質問に対し、「以上」と回 答すると、LINEeKYCによる本人確認手続が開始される。 「正面の顔写真を撮影して送信してください。」との指示が表示される。 これに従って、申請者は、自らのスマートフォンのカメラを起動させ、正面の顔写真を撮影する。 撮影された画像につき、AIが顔及び場所を複数個所認識することで、 その顔写真が1名分のものであるかどうか、また正面からのものかどうかを判定する。 ここで、AIが、1名の正面向きの顔写真であると判定しなければ、手続を進めることができない。 上下左右いずれかの向きの顔写真(指定される向きはランダムであ る。)を「撮影して送信してください。」との指示が表示される。これに 従って、申請者は、上記と同様、当該指示された方向を向いた顔写真を撮影する。 撮影された画像につき、AIが、指定どおりの向きのものであるか、また上記において撮影されたものと同一人物のものであるかを確認する。 ここで、AIが、指定どおりの向きのものでない、又は上記と同一人物のものでないと判定した場合には、手続を進めることができない。 「顔写真付きの本人確認書類を撮影して送信してください。」との指示が表示される。これに従って、申請者は、指定された本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート又は在留資格証明書のいず れか)の写真を撮影する。 撮影された画像につき、AIが、本人確認書類の写真と上記及びにおいて撮影された写真が同一人物であるかを判定する。 ここで、AIが、本人確認書類の写真と撮影された写真が同一人物のものでないと判定した場合、又は本人確認書類が が、本人確認書類の写真と上記及びにおいて撮影された写真が同一人物であるかを判定する。 ここで、AIが、本人確認書類の写真と撮影された写真が同一人物のものでないと判定した場合、又は本人確認書類が指定のものでないと判 定した場合は、本人確認としては未完了となるが、手続自体は進行する。 これは、同一人物であっても、本人確認書類における写真と現在の写真の画像における風貌が異なる可能性が相当程度考えられることによるものである。この場合には、市町村側の管理画面において「未完了」というマークが付くことにより、職員が目視でその同一性を確認すべきこと となる。 エその後、氏名、生年月日、住民票記載の住所等を入力するよう指示が現れ、これに従って必要事項を入力し、「申請」ボタンをタップした上で、決済を行う。 これにより、申請者側の手続は完了する。 オ市町村の職員は、管理画面において申請内容を確認する(本件確認書類 から抽出した情報と上記エの申請者情報が一致するかはAIが判定する。)。その際、上記ウのうちAIが本人確認書類の写真と撮影された写真が同一人物のものでないと判定した場合又は本人確認書類の写真が指定された種別ものでないと判定した場合は、「eKYC 顔認証結果」の表示の下側のチェックボックスにチェックが付かず、空欄となる。このよ うな申請はリストアップすることが可能となっており、職員が、申請者が送信した顔写真の画像と本人確認書類における顔写真の画像が一致するかどうかを目視で確認することとなる。 その結果、職員が、両画像が一致しない又は指定の本人確認書類の画像の添付がないなどと結論付けた場合、申請が取消しとなり、自動的に決済 した料金が返還される。 カ申請が取り消されることなく進行 、職員が、両画像が一致しない又は指定の本人確認書類の画像の添付がないなどと結論付けた場合、申請が取消しとなり、自動的に決済 した料金が返還される。 カ申請が取り消されることなく進行した場合、市町村は、住民基本台帳を確認し、該当する住民に係る住民票の写しを送付する。この場合の送付先の住所は、住民基本台帳に登録されている申請者の住所に限定される。上記エにおける申請者の住民票記載の住所を記載するようにとの指示に対 し、申請者が住民票記載の住所と異なる住所を記載したとしても同様である(ただし、実際に本件サービスによる住民票の写しの交付請求に係る手続を行っていた渋谷区の運用によれば、申請者の記載した住所が住民票記載の住所と異なっていた場合、申請を受け付けないか又は職員において状況を確認するといった対処がとられた。)。 ⑸ 本件サービスにおける本人確認の精度について前記⑷のとおり、LINEeKYCは、犯収法施行規則6条1項1号ホにおいて、非対面の本人確認の方式として認められる方式に適合するよう意識して開発されている(原告代表者12頁)。 他方、LINEeKYCの場合、本人確認書類自体が偽造に係るものか 否かの判別もAIの判断によるところ、単に本人確認書類を紙でコピーした ものを撮影するといった程度のものであればこれを偽造と判別できる可能性は高いが、免許証に他人の顔写真を精巧に貼り付けるなどして偽造された本人確認書類については、本人確認プロセスを通過する可能性もある(原告代表者14頁、19頁)。 ⑹ 本件サービスの導入状況について ア本件基本サービスを導入している地方公共団体のうち、本件省令改正前においても、本件サービスを導入しているのは渋谷区のみであっ 19頁)。 ⑹ 本件サービスの導入状況について ア本件基本サービスを導入している地方公共団体のうち、本件省令改正前においても、本件サービスを導入しているのは渋谷区のみであった。なお、原告からの問合せに対し、埼玉県和光市は、本件通知の存在を理由に、愛知県東郷町は、本件通知及び総務省から本件サービスが電子申請としての要件を具備しないと指摘されたこと等を理由に、本件サービスを導入して いない旨回答している(甲27、30)。 イ本件省令改正の施行日である令和3年9月29日、渋谷区は、「当面の間」、本件サービスを停止する旨発表した(甲37)。同区は、原告代表者に対し、本件省令改正がされた以上、行政として本件サービスを休止せざるを得ず、これが適法である旨確認され次第、本件サービスを再開する 旨連絡した(甲54)。 なお、渋谷区においては、令和4年1月11日より、個人番号カードと署名用電子証明書用暗証番号を用いる方法、すなわち電子署名及び電子証明書の併用による方法で、本件同様のLINEによる住民票の写しの交付請求サービスを提供しているところ、原告は、当該サービスに係るシステ ムの提供も行っている(甲54・3頁、甲55)。もっとも、同区は、本件省令22条の違法性が確認され次第、本件サービスについても再開する予定である(甲54・3頁)。 ⑺ 本件省令改正に関する意見公募手続において寄せられた意見について住民制度課は、本件省令改正に先立ち、令和3年8月23日、その案を公 示した上で、意見公募手続(行政手続法39条1項)を実施した(甲34)。 これに対しては、44件の意見が寄せられた(なお、うち1件は原告代表者、1件は原告訴訟代理人によるものである(甲54)。)。その中には、LINE 行政手続法39条1項)を実施した(甲34)。 これに対しては、44件の意見が寄せられた(なお、うち1件は原告代表者、1件は原告訴訟代理人によるものである(甲54)。)。その中には、LINEeKYCを活用する途を閉ざすことになりデジタル化を衰退させる、渋谷区を狙い撃ちにしているなどの理由により本件省令改正に反対する趣旨と読み取ることができるものが29件あったのに対し、LINEeKYC のセキュリティ上の問題点や本件サービスのリスク等を理由に本件省令改正に賛成する趣旨と読み取ることができるものが11件あった(その他、疑問や提案等、賛成・反対の趣旨を明確にした上での意見ではないと思われるものが4件あった。)。(甲36) 2 検討 ⑴ 本件各確認請求に係る確認の利益の有無(争点⑴及び⑵-本案前の争点)ア判断枠組み公法上の当事者訴訟としての確認の訴えも、民事訴訟としての確認訴訟と同様に、その適法性が認められるためには確認の利益があることが必要である。具体的には、現に原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不 安が存在し、これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが必要かつ適切な場合に、確認の利益が認められるものと解するべきである(最高裁昭和27年(オ)第683号同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁等参照)。 イ本件通知違法確認請求に係る確認の利益(争点⑴) 前記第2の2⑹のとおり、本件通知は、各大臣が、その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、その事務の運営その他の事項について適切と認めるものについて行う技術的な助言(地方自治法245条の4)に該当する。 そこで検討するに、地方自治法上、地方公共団体が技術的な助言に従わ なかったことを理由に その他の事項について適切と認めるものについて行う技術的な助言(地方自治法245条の4)に該当する。 そこで検討するに、地方自治法上、地方公共団体が技術的な助言に従わ なかったことを理由に不利益な取扱いをすることは禁止されており(24 7条3項)、実際にも、渋谷区は、本件通知の発出後も、本件省令改正に至るまでの間、本件サービス上における住民票の写しの交付請求を受け付けていたものと認められる。以上の事実関係の下においては、本件通知は、原告の、本件サービスを市町村に対し適法に提供することができるとの権利又は地位に対し、実質的な影響を及ぼすものとまではいえないというべ きであり、その帰結として本件通知の違法性を確認することが、本件における紛争の抜本的な解決につながるともいい難い。 原告は、本件通知の存在により、事実上、本件サービスを用いた住民票の写しの交付請求に係る手続を導入できなくなった市町村が存在することをもって、原告において、本件サービスの提供ができなくなった旨主張 するが、前記第2の2⑺のとおり、本件通知の発出後も、渋谷区においては本件サービスを何ら問題なく実施していたこと、本件省令改正によって本件サービスが本件省令22条に違反することとなり、同区が本件サービスの停止を発表したのも本件省令改正が施行された日であったことに照らせば、仮に原告主張のように本件通知が存在することによって本件サー ビスを行うことに躊躇を覚える市町村があったとしても、それ自体は原告の権利ないし法的地位に直ちに影響をもたらすものとはいい難い。 したがって、本件通知の違法性の確認の訴えについては、確認の利益が認められないから、不適法であり、却下を免れない。 ウ本件地位確認請求に係る確認の利益(争点⑵) 本件省令改 い。 したがって、本件通知の違法性の確認の訴えについては、確認の利益が認められないから、不適法であり、却下を免れない。 ウ本件地位確認請求に係る確認の利益(争点⑵) 本件省令改正により、本件サービスは明示的に法令違反となることになった。そして、実際にも、前記1⑹のとおり、原告提供に係る本件サービスを現に導入していた渋谷区は、本件省令改正の施行と同時に、これを停止せざるを得なくなった。そうすると、少なくとも同区との関係においては、原告において、本件サービスを適法に提供することができるとの具体 的な権利ないし地位を観念することができ、かつ、本件省令改正により、 その権利ないし地位には具体的かつ実質的に影響が生じているものというべきである。そして、住民票の写しの交付請求一般についてデジタル手続法総務省令4条2項ただし書の適用を排除することになる本件省令改正は、名宛人が限定されておらず、それ自体として法規の性質を有することから、抗告訴訟の対象となる「処分」、すなわち、公権力の主体たる国 又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものには該当しないものと解されることからすれば、原告において本件省令改正の違法性を争う手段として、本件地位確認請求は、本件省令改正による影響を除去するための抜本的な手段ということができる。したがって、本件地位 確認請求については、確認の利益が認められるものというべきである。 この点、被告は、実際に本件サービス上における住民票の写しの交付請求を受け付けるか否かを判断するのは市町村であるから、本件サービスの住民への提供に係る原告の期待は事実上のものにすぎず、本件地位確認請求は、具体的な権利又は法律関 ビス上における住民票の写しの交付請求を受け付けるか否かを判断するのは市町村であるから、本件サービスの住民への提供に係る原告の期待は事実上のものにすぎず、本件地位確認請求は、具体的な権利又は法律関係についての確認に当たるとはいえない旨 主張する。しかしながら、前記のような事実関係に照らせば、少なくとも渋谷区との関係では、原告が適法に同区において本件サービスを提供することができるという利益は、単なる事実上の期待にとどまらず、法律上保護されるべき権利ないし地位を構成しているものと解されるから、被告の上記主張は採用することができない。 したがって、本件地位確認請求は適法というべきである。 ⑵ 本件省令改正の違法性(争点⑷-本案の争点)ア判断枠組み本件省令改正の違法性の判断に当たっては、授権規定であるデジタル手続法6条1項の文言に加え、当該授権規定が下位法令たる本件省令に委任 した趣旨、当該授権規定の趣旨目的及び仕組みとの整合性、上記委任に基 づいて制定された本件省令22条によって制限される権利利益等に照らして、本件省令改正が授権の趣旨に反しないか否かを検討することになる(最高裁平成24年(行ヒ)第279号同25年1月11日第二小法廷判決・民集67巻1号1頁等参照)。 イ検討 デジタル手続法6条1項は、具体的な申請の仕組みのうち「当該申請等に関する他の法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されているもの」につき、「当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより」オンラインにより行うことができる旨定めることで、申請手続一般につきオンライン化の途を開く一方、個別具体的な 法令に係る申請等の手続をいかにしてオンライン化していくかの具体的な方法については オンラインにより行うことができる旨定めることで、申請手続一般につきオンライン化の途を開く一方、個別具体的な 法令に係る申請等の手続をいかにしてオンライン化していくかの具体的な方法については、当該申請に係る根拠手続の作用法を所管する主務大臣の定める主務省令に委ねている。その趣旨は、本件規定によりオンライン化されるべき申請等の根拠法令の趣旨や具体的な申請に係る手続が千差万別であることから、授権規定たるデジタル手続法6条1項においてはオ ンラインによる申請手続の実現という一般的な方向性を定めるにとどめ、その具体化の方法については、各申請の根拠法令を所管し、その内容を熟知する主務大臣の専門的・技術的な判断に委ねたものと解するのが相当である。そうすると、デジタル手続法6条1項は、主務省令を策定するに当たって主務大臣に専門技術的な観点からの裁量の余地を広く認めており、 当該主務省令が、主務大臣によって、その所管する法令との適合性を始めとした種々の考慮要素を合理的に勘案した上で制定されたものと認められる限り、同項の委任の範囲を超えたものではないと解するべきである。 以上を踏まえて、本件省令22条が、デジタル手続法及び住基法の規定との適合性の観点等から合理性があるかにつき検討する。 同条は、住基法12条3項に規定する住基法の写しの交付請求をオンラ インで行う際には、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書の適用がないこと、すなわち、およそ一般的に同項本文における厳格な本人確認(電子署名及び電子証明書の併用による方式)によるべきことを定めたものである。しかるところ、オンラインにおける手続には、対面における手続と異なり、常に、なりすましやデータの改ざん等の特有のリスクがある(前 記1⑴ア)。そして、同項本文に規定さ きことを定めたものである。しかるところ、オンラインにおける手続には、対面における手続と異なり、常に、なりすましやデータの改ざん等の特有のリスクがある(前 記1⑴ア)。そして、同項本文に規定される電子署名と電子証明書の併用による方法の場合、個人番号カードに電子証明書の情報を格納する手続が必要であり、その際、地方公共団体の職員が、窓口において、個人番号カードと身分証明書原本を照合することによる厳格な本人確認を必ず行うことになる(同⑵イ)のに対し、本件サービス上における住民票の写しの 交付請求の場合、AIによる判定及び職員の目視により申請者がスマートフォンで撮影した自らの顔写真の画像と顔写真付き身分証明書の画像を照合することが可能となる一方、当該身分証明書の画像と原本との同一性等の直接の確認はされず、また、偽造された本人確認書類であっても本人確認プロセスを通過する可能性がある(同⑷ないし⑸)というのである。 したがって、本件サービス上における住民票の写しの交付請求に係る手続は、電子署名と電子証明書の併用による同様の手続に比して、本人確認の強度においては劣っているものといわざるを得ない(原告もこの点については積極的に争っていない。)。 そして、前記第2の1⑵ウのとおり、住基法12条3項は、個人情報 保護に対する意識の高まりを背景に、なりすまし等の不当な手段による住民票の写しの交付請求が行われている実態を踏まえ、これを防止するために設けられたものであって、オンラインによる申請手続においてもその趣旨は同様に妥当するものと解される。そうである以上、同項において求められる厳格な本人確認手続と同程度のもののみをオンラインによる住民 票の写しの申請手続における具体的方法として許容し、それ以外の手段に よる申請手 れる。そうである以上、同項において求められる厳格な本人確認手続と同程度のもののみをオンラインによる住民 票の写しの申請手続における具体的方法として許容し、それ以外の手段に よる申請手続を排除する本件省令22条が、住基法の上記趣旨及びデジタル手続法の趣旨目的や仕組みと適合しないものとまでは認め難い。 これに対し、原告は、住基法12条7項は明示的に郵送による住民票の写しの請求を認めており、かつ、その際に同封すべき本人確認の書類は写しで足りるとしていることからすると、住基法が、対面又は郵送での住民 票の写しの交付請求に係る手続に際し、常に厳格な本人確認手続を行うよう求めているものとまでは解されず、本人確認書類として何を用いるかは市町村の長の判断に委ねているとの認識を前提に、本件省令改正は、オンラインによる住民票の写しの交付請求の場面においてのみ、当該市町村の長における裁量判断の余地を認めず、かつ、郵送による手続におけるより は本人確認の強度が高い本件サービスにおける本人確認の方法(LINEeKYC)を一切排斥するという点で、住基法との間に不整合がある旨主張する。 しかしながら、郵送による住民票の写しの交付請求に係る原告の主張のような手続は、郵送の場合にまで本人確認書類の原本の確認によるべきこ ととすれば、申請者は郵送時に身分証の原本を同封せざるを得なくなり、未着や紛失の危険性があるのみならず身分証明書の原本が長期間にわたり申請者の手元から離れること自体に多大な不便が生ずるなど現実的でないことから、飽くまでも郵送による手続の特性を踏まえてやむを得ず採用されたにすぎないものと解される。これは、住基法12条3項が、窓口 における住民票の写しの交付請求に係る手続の際には本人確認を行うこととし、かつ、その方 よる手続の特性を踏まえてやむを得ず採用されたにすぎないものと解される。これは、住基法12条3項が、窓口 における住民票の写しの交付請求に係る手続の際には本人確認を行うこととし、かつ、その方法の例示として個人番号カードの提示という厳格な本人確認方法を掲げていることや、本件要領が、官公署が発行した証明書によらない本人確認方法を飽くまでも補充的なものと位置付け、郵送による住民票の写しの交付請求の場合でも電話確認等を通じて個人番号カー ド等の提示による厳格な本人確認と同水準の本人である旨の心証形成を することが必要である旨明示していること(前記第2の1⑵ウ)などからも明らかである(この点、原告は、本件ガイドラインにおいては、本人確認に必要な保証レベルとして必ずしも電子証明書と電子署名の併用によるものまでは要求されていないなどとも主張するが、そもそも、本件ガイドラインは飽くまで必要な手法の例を挙げたものにすぎない上、住基法 及びその関係法令等自体も厳格な本人確認を求める旨解釈されるべきことは上記のとおりであるから、いずれにせよ、原告の上記主張には理由がない。)。さらに、オンラインによる申請においては、非対面、簡易、迅速というその特性上、不正行為を試みる際の心理的負担感は窓口における手続に比して低くなり、物理的な費用負担も郵送における手続に比して低 くなる(住民票の写しの発行事務に係る手数料以外に、郵送に必要な代金を支払う必要がなくなる)ものと考えられる。そして、LINEeKYCのシステムに一定の脆弱性が存在するのは前記1⑷及び⑸のとおりであるところ、その間隙をついて、電子署名と電子証明書の併用による以外のオンラインによる申請の方法(本件サービスを含む。)を用いた不正な 住民票取得の手法がひとたび確立さ 記1⑷及び⑸のとおりであるところ、その間隙をついて、電子署名と電子証明書の併用による以外のオンラインによる申請の方法(本件サービスを含む。)を用いた不正な 住民票取得の手法がひとたび確立されれば、短期間に、郵送の場合とは比較にならないほど大量の住民票の写しが不正に申請される可能性も高く、ひいては、住民基本台帳制度の根幹への信頼が揺らぐこととなりかねない(実際に、前記1⑺のとおり、本件省令改正に係る意見公募手続の際には、利便性を重視する観点等からこれに反対する意見の一方で、セキュリティ 上の危険性の観点からこれに賛成する意見も一定数存在していたことが認められる。)。そして、このような危険は、オンラインにおける住民票の写しの交付請求に係る手続につき電子署名及び電子証明書の併用以外の方法を認めた場合の大きなリスクとして現存するものというべきであるから、かかる事態を防ぐために、住民票の写しの交付請求に係る手続に おいては電子署名及び電子証明書の併用による方法以外の方法を排除し、 厳格な本人確認手続を貫徹すべき旨を定めることは、住基法及びデジタル手続法とも整合性を有するということができる。この点は、仮に本件省令改正が原告による本件サービスの開始を契機としたものであったとしても、そのことによって直ちに左右されるものではない。 また、原告は、住民票の写しの交付請求に係る手続は、転出入の手続と 異なり住民基本台帳の記載事項自体に変更を加えるものではないため、その手続において考慮すべきリスクも転出入の手続に比して低いことを理由に、住民票の写しの交付請求の場面においては厳格な本人確認手続を必要とするものではないとの前提に立った上で、本件サービスは犯収法施行規則に掲げる非対面の本人確認の方式に合致しているところ、被告は、か に、住民票の写しの交付請求の場面においては厳格な本人確認手続を必要とするものではないとの前提に立った上で、本件サービスは犯収法施行規則に掲げる非対面の本人確認の方式に合致しているところ、被告は、か かる手法をとってもなお防止できないような具体的なリスクの主張は行っていないから、本件省令22条は授権規定による委任の範囲を超えるものである旨主張する。 しかしながら、現代社会において、住民票の写しは、住民の住所を証明する公的書類としての重要な意味を有しており、銀行口座の開設等の社会 的に重要な手続の中にも、本人確認の一環として住民票の写しを求めるものが多くあることは公知の事実である。そして、かかる住民票の写しの意義に照らせば、これを悪用するために、第三者が不正に住民票の写しの交付請求をするという事態は十分考えられるところである(むしろ、住民票の写しの交付請求における方が、原告が主張するような転出入の手続にお けるのと比較して、不正行為への動機付けが強いとすらいい得る。)。 以上に加え、本件省令改正は、原告を始めとする事業者が(本件サービス又はこれと同様のサービスにより)適法に営業を行う自由を制約する効果を有するものではあるが、他方で、LINEeKYCを用いない方法において、原告らが類似のサービス提供を行うことは何ら妨げられていな いこと(実際にも、前記1⑹のとおり、原告は、渋谷区に対し、電子署名 及び電子証明書を用いた形でのサービスの提供をも行っていること)も考慮すると、本件省令22条が、その授権規定であるデジタル手続法6条1項の委任の範囲を超えるものとは認められない。 第4 結論以上によれば、本件訴えのうち選択的請求1に係る部分は不適法であるから これを却下し、原告の請求のうちそ るデジタル手続法6条1項の委任の範囲を超えるものとは認められない。 第4 結論以上によれば、本件訴えのうち選択的請求1に係る部分は不適法であるから これを却下し、原告の請求のうちその余の部分については理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 裁判官横地大輔 裁判官中村陽菜 (別紙1省略) (別紙4-1)○情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)(令和3年法律第35号による改正前のもの)(目的)第一条この法律は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律 第百四十四号)第十三条及び官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第七条の規定に基づく法制上の措置として、国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術を活用した行政の推進について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会に おける格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定めるとともに、民間手続における情報通信技術の活用の促進に関する施策について定めることにより、手続等に係る関係者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 ( より、手続等に係る関係者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (基本原則)第二条情報通信技術を活用した行政の推進は、事務又は業務の遂行に用いる情報を書面等から官民データ(官民データ活用推進基本法第二条第一項に規定する官民データをいう。以下この条において同じ。)へと転換することにより、公共分野 における情報通信技術の活用を図るとともに、情報通信技術を活用した社会生活の利便性の向上及び事業活動の効率化を促進することが、急速な少子高齢化の進展への対応その他の我が国が直面する課題の解決にとって重要であることに鑑み、情報通信技術の利用のための能力又は知識経験が十分でない者に対する適正な配慮がされることを確保しつつ、高度情報通信ネットワーク社会(高度情報通信ネ ットワーク社会形成基本法第二条に規定する高度情報通信ネットワーク社会をい う。)の形成に関する施策及び官民データの適正かつ効果的な活用の推進に関する施策の一環として、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。 一手続等並びにこれに関連する行政機関等の事務及び民間事業者の業務の処理に係る一連の行程が情報通信技術を利用して行われるようにすることにより、手続等に係る時間、場所その他の制約を除去するとともに、当該事務及び業務 の自動化及び共通化を図り、もって手続等が利用しやすい方法により迅速かつ的確に行われるようにすること。 二・三 (省略) (電子情報処理組織による申請等) 第六条申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されているものについては、当該法令 (省略) (電子情報処理組織による申請等) 第六条申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、主務省令で定める電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)とその手続等の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理 組織をいう。次章を除き、以下同じ。)を使用する方法により行うことができる。 2~6 (省略) (別紙4-2)○総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(デジタル手続法総務省令)(趣旨)第一条総務省関係法令に規定する手続等を、情報通信技術を活用した行政の推進 等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。以下「情報通信技術活用法」という。)第六条から第九条までの規定に基づき、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行う場合については、他の法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に特段の定めのある場合を除くほか、この省令の定めるところによる。 2 総務省関係法令に規定する手続等(情報通信技術活用法第六条から第九条までの規定を受けるものを除く。)を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行う場合については、他の法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に特段の定めのある場合を除くほか、情報通信技術活用法及びこの省令の規定の例による。 (定義)第二条この省令において使用する用語は、特段の定めがある場合を除くほか、情報通信技術活用法において使用する用語の例による。 2 この 用法及びこの省令の規定の例による。 (定義)第二条この省令において使用する用語は、特段の定めがある場合を除くほか、情報通信技術活用法において使用する用語の例による。 2 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところ による。 一電子署名電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二条第一項又は電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。 二電子証明書次に掲げるもの(行政機関等が情報通信技術活用法第六条第一 項に規定する行政機関等の使用に係る電子計算機から認証できるものに限る。)をいう。 イ電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律第三条第一項に規定する署名用電子証明書ロ電子署名及び認証業務に関する法律第八条に規定する認定認証事業者が作 成した電子証明書(電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第四条第一号に規定する電子証明書をいう。)ハ商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十二条の二第一項及び第三項の規定に基づき登記官が作成した電子証明書 (申請等に係る電子情報処理組織)第三条情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、行政機関等の使用に係る電子計算機と、申請等をする者の使用に係る電子計算機であって当該行政機関等の使用に係る電子計算機と電気通信回線を通 じて通信できる機能を備えたものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織とする。 (電子情報処理組織による申請等)第四条情報通信技術活 等の使用に係る電子計算機と電気通信回線を通 じて通信できる機能を備えたものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織とする。 (電子情報処理組織による申請等)第四条情報通信技術活用法第六条第一項の規定により電子情報処理組織を使用す る方法により申請等を行う者は、行政機関等の定めるところにより、当該行政機関等の指定する電子計算機に備えられたファイルに記録すべき事項又は当該申請等を書面等により行うときに記載すべきこととされている事項を、申請等をする者の使用に係る電子計算機から入力して、申請等を行わなければならない。 2 前項の規定により申請等を行う者は、入力する事項についての情報に電子署名 を行い、当該電子署名を行った者を確認するために必要な事項を証する電子証明 書と併せてこれを送信しなければならない。ただし、行政機関等の指定する方法により当該申請等を行った者を確認するための措置を講ずる場合は、この限りでない。 (別紙4-3)○住民基本台帳法(本人等の請求による住民票の写し等の交付)第十二条市町村が備える住民基本台帳に記録されている者(中略)は、当該市町村の市町村長に対し、自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し (中略)又は住民票に記載をした事項に関する証明書(以下「住民票記載事項証明書」という。)の交付を請求することができる。 2 前項の規定による請求は、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一当該請求をする者の氏名及び住所 二現に請求の任に当たつている者が、請求をする者の代理人であるときその他請求をする者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たつている者の氏名及び住所三当該請求の 者の氏名及び住所 二現に請求の任に当たつている者が、請求をする者の代理人であるときその他請求をする者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たつている者の氏名及び住所三当該請求の対象とする者の氏名四前三号に掲げるもののほか、総務省令で定める事項 3 第一項の規定による請求をする場合において、現に請求の任に当たつている者は、市町村長に対し、個人番号カード(番号利用法第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。以下同じ。)を提示する方法その他の総務省令で定める方法により、当該請求の任に当たつている者が本人であることを明らかにしなければならない。 4 前項の場合において、現に請求の任に当たつている者が、請求をする者の代理人であるときその他請求をする者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たつている者は、市町村長に対し、総務省令で定める方法により、請求をする者の依頼により又は法令の規定により当該請求の任に当たるものであることを明らかにする書類を提示し、又は提出しなければならない。 5 市町村長は、特別の請求がない限り、第一項に規定する住民票の写しの交付の 請求があつたときは、第七条第四号、第五号及び第八号の二から第十四号までに掲げる事項の全部又は一部の記載を省略した同項に規定する住民票の写しを交付することができる。 6 市町村長は、第一項の規定による請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。 7 第一項の規定による請求をしようとする者は、郵便その他の総務省令で定める方法により、同項に規定する住民票の写し又は住民票記載事項証明書の送付を求めることができる。 (国又は都道府県の指導等) 第三十一条国は都道府県及び市町村に対し、都道府 省令で定める方法により、同項に規定する住民票の写し又は住民票記載事項証明書の送付を求めることができる。 (国又は都道府県の指導等) 第三十一条国は都道府県及び市町村に対し、都道府県は市町村に対し、この法律の目的を達成するため、この法律の規定により都道府県又は市町村が処理する事務について、必要な指導を行うものとする。 2 主務大臣は都道府県知事又は市町村長に対し、都道府県知事は市町村長に対し、前項の事務に関し必要があると認めるときは、報告を求め、又は助言若しくは勧 告をすることができる。 3・4 (省略) (別紙4-4)○住民基本台帳の一部の写しの閲覧並びに住民票の写し等及び除票の写し等の交付に関する省令(本件省令)(本人等の住民票の写し等の交付の請求につき請求の任に当たつている者が本人であることを明らかにする方法) 第五条法第十二条第三項に規定する総務省令で定める方法は、次のいずれかの方法とする。 一個人番号カード等であつて現に請求の任に当たつている者が本人であることを確認するため市町村長が適当と認める書類を提示する方法二前号の書類をやむを得ない理由により提示することができない場合にあつて は、現に請求の任に当たつている者が本人であることを確認するため市町村長が適当と認める書類を提示し、若しくは提出する方法又は現に請求の任に当たつている者が本人であることを説明させる方法その他の市町村長が前号に準ずるものとして適当と認める方法三法第十二条第七項の規定に基づき住民票の写し等の送付を求める場合にあつ ては、第一号又は前号の書類の写しを送付し、現に請求の任に当たつている者の住所を送付すべき場所に指定する方法その他の市町村長が前二号に準ずるものとして適当と認める 等の送付を求める場合にあつ ては、第一号又は前号の書類の写しを送付し、現に請求の任に当たつている者の住所を送付すべき場所に指定する方法その他の市町村長が前二号に準ずるものとして適当と認める方法 (住民票の写し等の送付を求める場合の方法) 第七条法第十二条第七項、第十二条の二第五項及び第十二条の三第九項に規定する総務省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。 一郵便二民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者又は同条第九項に規定する特定信書便 事業者による同条第二項に規定する信書便 (電子情報処理組織による請求等に係る適用除外)第二十二条総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成十五年総務省令第四十八号。以下この条において「総務省情報通信技術活用省令」という。)第四条第一項の規定により、法第十一条第一項、 第十一条の二第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十二条の三第一項及び第二項、第十二条の四第一項並びに第十五条の四第一項から第四項までの規定による請求又は申出を行う場合においては、総務省情報通信技術活用省令第四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 以上 (別紙4-5)○電子署名及び認証業務に関する法律(令和3年法律第36号による改正前のもの)(定義)第二条この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であっ て、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる 的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であっ て、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。 一当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。 二当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。 2 この法律において「認証業務」とは、自らが行う電子署名についてその業務を利用する者(以下「利用者」という。)その他の者の求めに応じ、当該利用者が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利 用者に係るものであることを証明する業務をいう。 3 この法律において「特定認証業務」とは、電子署名のうち、その方式に応じて本人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて行われる認証業務をいう。 (別紙4-6)○電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律施行規則(令和3年総務省令第84号による改正前のもの) (電子署名の基準) 第二条法第二条第一項に規定する総務省令で定める基準は、電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)の安全性がほぼ同じ大きさの二つの素数の積である二千四十八ビット以上の整数の素因数分解の有する困難性に基づくものであることとする。 (別紙5)当事者の主張の要旨 (原告の主張の要旨) 1 争点⑴(本件通知違法確認請求の適法性につい 困難性に基づくものであることとする。 (別紙5)当事者の主張の要旨 (原告の主張の要旨) 1 争点⑴(本件通知違法確認請求の適法性について―選択的請求1に係る本案前 の争点)⑴ 原告の主張の要旨原告には、本件通知により、市町村に対して本件サービスを提供することに重大な支障が生じている。すなわち、本件通知は、地方自治法245条の2にいう技術的助言に位置付けられるところ、これは建前上、国と地方公共団体と いう対等な立場を前提としているものの、その内実は、国が地方公共団体に配分する地方交付税交付金を差配できる立場にある(すなわち、国が、地方公共団体に対し、財政的に大きな影響を与えることができる)ことを背景に、事実上、地方公共団体をして、当該技術的助言に従わざるを得ない状況を作出している。 そして、本件通知が、渋谷区に対して原告が本件サービスの提供を開始し、同区がその住民に対し本件サービス上における住民票の写しの交付請求の受付を始めた令和2年4月1日の翌々日である同月3日付けで、かつ、同区に対して「改善を求める」とまで言及していることに照らせば、本件通知は実質上、本件サービスを提供する原告を狙い撃ちしているものといえる。そして、上記 のような技術的助言の影響力により、渋谷区以外の市町村は、本件通知の存在を理由に本件サービスの導入を見送らざるを得なくなっていることからすれば、本件通知により、原告による本件サービスの提供に、実質的には重大な支障が生じているといえる(被告は、技術的助言は地方公共団体にそれに応ずるべき法的な義務を課するわけではないことを理由に、原告の有する権利又は法 律的地位に危険又は不安が存在するとはいえないなどと主張するが るといえる(被告は、技術的助言は地方公共団体にそれに応ずるべき法的な義務を課するわけではないことを理由に、原告の有する権利又は法 律的地位に危険又は不安が存在するとはいえないなどと主張するが、原告のい う不利益とはそもそも法的なものではなく上記のような本件通知の事実上の影響力によるものであるから、被告のかかる主張は当を得ないものというよりほかない。)。そうすると、本件通知違法確認請求には、即時確定の利益が認められるというべきである。 そして、原告は、本件訴えにおいて求める本件通知の違法性の確認以外には、 当該支障を除去する手段をおよそ持ち得ないのであるから、本件訴えは、当該支障を除去するために最も適切な手段であるといえ、対象及び方法選択の適切性は、いずれも認められる。 ⑵ 被告の主張の要旨確認の訴えは、給付の訴えと異なり、いかなる事項を、いかなる者との関係 で、いかなる具体的状況で請求の内容として確認の対象とするかという点に、その訴えの性質上当然内在する制約がないことから、訴えの利益が認められるかについて、個別に判断する必要がある。 そして、訴えの利益は、①当該訴えの対象の適否(確認の対象)、②権利又は法律関係の存否につき即時に判決で確定されることの現実的な利益又は必 要性(狭義の確認の利益ないし即時確定の利益)の2つの観点から検討されることとなり、このうち②については、現に原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し、これを除去するために確認判決を得ることが必要かつ適切な場合である必要がある。 これを踏まえてみると、①に関して、本件通知を踏まえて住民票の写しの交 付請求に係るシステムの採否を決定するのは市町村である以上、本件通知の違法確認をしても、原告の権利ないし法律上の地 る。 これを踏まえてみると、①に関して、本件通知を踏まえて住民票の写しの交 付請求に係るシステムの採否を決定するのは市町村である以上、本件通知の違法確認をしても、原告の権利ないし法律上の地位に係る具体的な救済に結び付かない。さらに、②に関していえば、本件通知は、飽くまで、市町村に向けてオンラインにより本人から住民票の写し等の交付を受け付ける場合の取扱いに係る質疑応答を示す技術的な助言(すなわち、各大臣が、普通地方公共団体 に対し、その事務の運営について客観的に妥当性のある行為又は措置を実施す るために必要な事項を示したもの)にすぎず、市町村に対し、当該技術的な助言に従って事務を処理する義務を負わせしめたり、また、これに従わなかった場合に不利益な取扱いが課されたりするものでは何らないから、市町村との関係ですら何らの法的義務をもたらすものではなく、まして、原告に対して法的義務又は法的拘束力を有するものではない。 したがって、本件通知の存在によっても、原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在するとはいえないから、本件通知違法確認請求は、即時確定の利益を欠く。 さらに、その後事後的に本件省令改正がされたことをも踏まえてみれば、なおさら、本件通知の違法性を確認すべき利益は認められないというべきであ る。 2 争点⑵(本件地位確認請求の適法性について―選択的請求2に係る本案前の争点)⑴ 原告の主張の要旨少なくとも、本件省令改正がされた後においては、原告が前記1⑴において 「事実上の」支障であるとしていた、地方公共団体において本件サービスの導入を見送らざるを得なくなり、翻っては原告においても本件サービスを提供できなくなるという不利益は、原告の権利又は法律上の地位への影響、換 の」支障であるとしていた、地方公共団体において本件サービスの導入を見送らざるを得なくなり、翻っては原告においても本件サービスを提供できなくなるという不利益は、原告の権利又は法律上の地位への影響、換言すれば法律上の支障へと昇華したといえるから、本件地位確認請求については確認の利益が認められるべきである。 けだし、本件省令改正を受け、従前(本件通知の段階)は本件サービス上における住民票の写しの交付請求の受付を継続していた唯一の地方公共団体である渋谷区においても、本件サービスを「当面の間休止」せざるを得なくなったところ、この点で、本件省令改正は、(既に原告提供に係る本件サービスを導入している同区との間でも)これを実施することができなくなったとの効果 を生じさせるものであり、かかる事実関係の下では、原告主張に係る「(適法 に本件サービスを提供することのできる)地位」が法令上の制約を受けているといえ、かつ、この「地位」の適法性が被告との関係において確認されれば、同区においても、現在休止している本件サービス上における住民票の写しの交付請求の受付を再開することができるからである。 加えて、原告は、渋谷区以外の市町村にも本件基本サービスを提供している ところ、本件基本サービスの提供を受けている市町村においては、これを用いた本件サービスについては、当該市町村が実施の意向を示しさえすれば、直ちにその開始をすることができる状態にある。そして、実際にも、本件サービス上における住民票の交付請求の適法性が確認されさえすれば、その受付を実施する(又は実施する方向で検討している)旨検討する市町村が複数存在するの である。 被告は、住民票の写しの交付請求に係るシステムの採否を決定するのが市町村であること、原告にお 付を実施する(又は実施する方向で検討している)旨検討する市町村が複数存在するの である。 被告は、住民票の写しの交付請求に係るシステムの採否を決定するのが市町村であること、原告において本件サービスを適法に提供できる地位なるものは、当該市町村との契約を経なければ発生しないものであることなどを主張するが、これらはいずれも、既に原告との間で本件サービスの提供に係る契約を 締結している渋谷区及び上記のとおり原告が本件基本サービスを提供している市町村との関係では該当しないから、被告の主張は当を得ない。 ⑵ 被告の主張の要旨前記1⑵のとおり、確認の利益が認められるのは、現に原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し、これを除去するために確認判決を得る ことが必要かつ適切な場合に限られるところ、原告の主張するような「本件サービスを適法に提供できる地位」は、飽くまで事実上の期待にすぎず、何らかの権利ないし法的地位を構成するものではない。したがって、その地位を確認することは、具体的な権利又は法律関係についての確認に当たるとはいえず、原被告間で具体的な権利又は法律関係の存否の判断をすることが有効・適切な 場合とはいえないから、確認の対象として不適切である。 原告は、本件省令改正により、現に原告提供に係る本件サービスを実施していた渋谷区においてこれを実施することができなくなったという事実経緯を踏まえれば、本件省令改正をした被告との関係で原告主張に係る地位を確認することが本件紛争の実態に即するなどと主張するが、原告主張に係る地位が、何らかの権利ないし法的地位を構成するものでないことは明らかである。すな わち、本件サービスを住民に現に提供するのは、原告ではなく市町村であって、原告は、飽くま 張するが、原告主張に係る地位が、何らかの権利ないし法的地位を構成するものでないことは明らかである。すな わち、本件サービスを住民に現に提供するのは、原告ではなく市町村であって、原告は、飽くまで一私企業として市町村の契約の締結プロセスを経た後に市町村に対して本件サービスに係るシステムを提供することができる場合があるというにとどまるのであるから、仮に、原告が本件サービスを住民に提供し得るとの期待を有するとしても、それは事実上のものにすぎないというべきであ る。したがって、このような事実上の地位を確認するにすぎない本件地位確認請求は、確認の訴えの適格を欠くもので、不適切である。また、住民票の写しの交付請求に係るシステムの採否を決定するのは市町村である以上、国との関係で原告の主張に係る地位の有無を確認したところで、原告の具体的な救済に結び付くとはいえず、この点からも本件で原告が確認を求める「地位」は確認 の訴えの対象として不適切である。 3 争点⑶(本件通知の違法性)⑴ 原告の主張の要旨本件通知は、本件サービスにつき、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書が適用される範囲内のものであるにもかかわらずその解釈を誤ってこれが 適用されない旨をいうものであって、法令の解釈を誤った違法なものである。 すなわち、住民票の写しの交付請求において、いかなる書類を本人確認書類とするかについては、市町村の長に委ねられているのであるから、これをオンラインで行う場合、正にデジタル手続法総務省令4条2項ただし書が適用されるべきこととなる。これを排除して、オンラインによる住民票の写しの交付請求 において、常に電子署名と電子証明書の併用の方法によるべき合理性も必要性 もない。まして、本件サービスは、犯罪による収益 。これを排除して、オンラインによる住民票の写しの交付請求 において、常に電子署名と電子証明書の併用の方法によるべき合理性も必要性 もない。まして、本件サービスは、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省令第1号。以下「犯収法施行規則」という。)6条1項1号ホに規定する非対面における本人確認の方式に適合しているのであって、この点においても、行政機関等が本件サービスを利用することを排斥 する正当性は全くない。 なお、仮にデジタル手続法総務省令4条ただし書が住民票の写しの交付請求の場面において一切適用される余地がないとすれば、当該規定自体が住基法又はデジタル手続法の委任の範囲を超えて無効であるから、結局、原告は、本件通知にかかわらず、適法に本件サービスを提供することのできる立場にあると いうべきである。 ⑵ 被告の主張の要旨デジタル手続法及び住基法等の趣旨等を踏まえれば、住民票の写しの交付請求をオンラインで行う場合、デジタル手続法総務省令4条2項本文所定の申請方法以外の方法を採ることは想定されていない。本件通知は、当該趣旨を明確 にしたものにすぎず、何らデジタル手続法6条1項の解釈を誤った違法なものではない。 4 争点⑷(本件省令改正の違法性―選択的請求2に係る本案の争点)⑴ 原告の主張の要旨本件省令22条は、委任の範囲を超えるか否かの解釈に不可欠となる、当該 申請の手続自体を定める個別の根拠法令(本件では、住基法12条2項)との解釈適合性を欠くため、結局のところ、委任の授権規定たるデジタル手続法6条1項の委任の範囲を超えるものであり、違法である。 すなわち、住基 める個別の根拠法令(本件では、住基法12条2項)との解釈適合性を欠くため、結局のところ、委任の授権規定たるデジタル手続法6条1項の委任の範囲を超えるものであり、違法である。 すなわち、住基法12条は、住民票の写しの交付請求の場面において本人確認書類を行うための書類につき特段限定を設けておらず、かつ、いずれをもっ て本人確認書類とするかについては「市町村長が適当と認める書類」と定める のみで、その判断を市町村長の判断に委ねている。また、住基法上は、住民票の写しの交付請求に際して自署又は押印を必要とする旨の規定はなく、本件要領上も、請求者の氏名等については「自署又は押印を求めることが望ましい」とはされているものの、それらが必須の要件となっているわけではない。 さらに、(オンラインによらない)住民票の写しの交付請求の場面において は、対面のみならず郵送の手段によることが住基法上明示的に認められている(12条7項)。この局面において、本人確認のための書類は写しの送付で足り、かつ、この場合においても、いかなる本人確認書類をもって本人確認に足りるとするかは市町村長の判断に委ねられているのである。 以上に加え、住民基本台帳に係る事務は、伝統的な自治事務の一つであり、 その責任帰属主体は市町村の長であることも踏まえると、オンラインでの住民票の写しの交付請求の場面のみにおいて、その本人確認に係る権限主体たる市町村の長の自律的な判断の余地を一切与えず、電子署名と電子証明書の併用以外の方法による本人確認の余地を奪う本件省令改正は、住基法との解釈適合性を欠くものといわざるを得ない(換言すれば、本件サービスによる本人確認方 法は、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書に基づいて市町村長が「指定」できるものに該当する は、住基法との解釈適合性を欠くものといわざるを得ない(換言すれば、本件サービスによる本人確認方 法は、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書に基づいて市町村長が「指定」できるものに該当するのである。)。 また、本件省令改正は、デジタル手続法自体の想定するところとも整合しない。すなわち、デジタル手続法は、「民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術(括弧内省略)の便益を享受できる社会が実現され る」ことを目的としており(1条)、デジタル手続を活用した行政の推進に際し、手続等が「情報通信技術を利用して行われるようにすることにより、手続等に係る時間、場所その他の制約を除去するとともに、当該事務及び業務の自動化及び共通化を図り、もって手続等が利用しやすい方法により迅速かつ的確に行われるようにすること」を旨としていること(2条)からすれば、オンラ インによる申請が、各個別の根拠法令が定める申請等の手続よりも煩さないし 不便なものとされることは本来的には想定されていないのである。 また、政府は、行政の在り方自体をデジタル化することを旨としてデジタル・ガバメント実行計画を策定しているところ、同計画には、「電子的な本人確認の手段についても…マイナンバーカード等を用いた電子署名に加え、情報システムの取り扱う情報や行政サービスの性質等を勘案し、電子署名以外の電 子認証等の適切な技術選択を行うことが重要である。」との記載もみられるところである。そして、かかる政府の方針を裏付けるものとして、行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン(甲46。以下「本件ガイドライン」という。)があり、オンラインによる本人確認の手法を決定するため、オンライン手続に関わる脅威と脅威から生ずるリ けるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン(甲46。以下「本件ガイドライン」という。)があり、オンラインによる本人確認の手法を決定するため、オンライン手続に関わる脅威と脅威から生ずるリスクの影響度を判 定した上で、対象となるオンライン手続の認証強度として求められるレベル(保証レベル。なお、これは、身元確認保証レベルと、当人認証保証レベルに分かれる。)をいずれもレベル1ないし3の間で判定し、これに応じて当該オンライン手続における本人確認の手法をレベルAないしCの間で決定する(レベルAが最も高リスクであり、電子署名と電子証明書の併用によるような高い 精度の本人確認を求められる類型である。)ものとしている。これを本件に当てはめると、住民票の写しの交付請求に係る手続において求められる身元確認保証レベル及び当人認証保証レベルはいずれも「レベル2」に該当し、その結果、オンラインによる手法例としては「レベルB」に該当するため、必ずしも電子署名と電子保証書を併用する方法によらなければならないとはいえない。 また、本件ガイドラインを補完するものとして内閣官房IT総合戦略室等が発出した事務連絡である「行政手続のオンライン化に当たっての本人確認の考え方」においては、オンラインによる本人確認の在り方に関し、「対象となる行政手続に関するリスクの影響度等が高位であったとしても、…情報システム外の仕組みで本人確認の補完等が行われれば、必ずしもオンラインによる本人確 認の保証レベルを厳格なものとする必要がない場合もあると考えられる。」な どとしており、多様な仕組みによる本人確認の補完を想定し、これを認めている。かかる状況下において、住民票の写しの交付請求に係る手続についてのみ、電子署名と電子証明書の併用による方法以 どとしており、多様な仕組みによる本人確認の補完を想定し、これを認めている。かかる状況下において、住民票の写しの交付請求に係る手続についてのみ、電子署名と電子証明書の併用による方法以外の本人確認を認めない根拠には乏しいものというべきである。 また、現実的にも、住民票の写しの交付請求に係る手続は、住基法に定める 転入届や転出届の提出手続と異なり、住民基本台帳の記載・記録内容自体を変更するものではない。転入・転出の届出に当たっては、上記のような効果に照らし、「デジタル時代における住民基本台帳制度のあり方に関する検討会」においても厳格な本人確認手続を常に求める方向で議論が展開されており、それは首肯し得るものであるが、かかる議論の内容は、既に住民基本台帳に記載・ 記録された内容を証明するというのみの効果しか持たない住民票の写しの交付請求に係る手続には妥当しないものというべきである。 これに対し、被告は、オンラインにおける住民票の写しの交付請求に係る手続においてはなりすまし等による特有のリスクがある旨主張するが、上記のとおり、住民票の写しの交付請求は、既に存在する住民基本台帳のデータ自体を 書き換えるものでは何らないのであって、被告がいうところの「リスク」なるものは全く本件に即したものではない。更に付言すると、本件サービスは、犯収法施行規則6条1項1号ホに規定する顧客等の本人確認の方式として認められる方式に適合したものであるから、その意味でも、被告主張に係るリスクを伴うような脆弱な手段ではない。 以上のとおり、住民票の写しの交付請求をオンラインで行うに当たり、(対面及び郵送という現在住基法上認められている手続に当たっては、市町村長の自律的な裁量が認められているにもかかわらず、これを排除 以上のとおり、住民票の写しの交付請求をオンラインで行うに当たり、(対面及び郵送という現在住基法上認められている手続に当たっては、市町村長の自律的な裁量が認められているにもかかわらず、これを排除してまで)常に一律に電子署名と電子証明書を併用する形での厳格な本人確認手続によらねばならない根拠には乏しいというべきである。 なお、本件では、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書が、電子署名及 び電子証明書の併用という厳格な本人確認以外の方法を利用する余地を設けているにもかかわらず、本件省令改正においてこれを排除したものであり、原告又は原告のサービス提供先である渋谷区をいわば狙い撃ちにした形で作為的に本件省令改正が行われていることに格別留意する必要もある。 ⑵ 被告の主張の要旨 デジタル手続法6条1項は、申請等のうち個別の作用法において書面等の申請が定められている場合にも、電子情報処理組織を使用して行う途を肯定する一般規定を置きつつ、申請等の手続をオンラインで行う場合の具体的方法については、飽くまでも、各個別の作用法を所管する主務大臣が定める主務省令に委ねている。これは、申請等を定める各個別の作用法ごとに、書面等による申 請等を求める法令の趣旨や当該申請等の業務の実情も千差万別であり、その申請等の手続の具体化に当たっては考慮されるべき事項が異なり得ることを踏まえ、授権規定であるデジタル手続法の中では、電子情報処理組織を使用して行う途を肯定する一般規定を定めるにとどめ、個々の申請等の手続をオンラインで行う場合に係る具体的な方法については、当該申請の根拠法令を所管する 主務大臣の専門的・技術的判断に委ねる必要性が高いものとして、その具体的手続方法を策定する権限を、当該法令を所管し、これに精通す 場合に係る具体的な方法については、当該申請の根拠法令を所管する 主務大臣の専門的・技術的判断に委ねる必要性が高いものとして、その具体的手続方法を策定する権限を、当該法令を所管し、これに精通する主務大臣に付与し、当該主務大臣が定める主務省令の定めによらしめるものとしたのである。そうである以上、デジタル手続法6条1項の委任を受けた主務省令は、それが当該申請等に係る各個別の根拠法令を所管する主務大臣において、当該所 管法令との解釈適合性を始めとした種々の考慮要素を合理的に勘案した上で、その申請等に係る具体的方法を合目的的に策定され、それが主務大臣において当該主務省令の制定権限に係る裁量権行使を逸脱したものといえる場合でない限り、同項の委任の範囲を超えるものではないというべきである。 これを踏まえてみるに、本件において問題となるのは、オンラインによる住 民票の写しの交付請求に係る手続においてはデジタル手続法総務省令4条2 項ただし書が適用されない旨定める本件省令22条が、授権規定たるデジタル手続法6条1項による委任の範囲を超えるものか否かであるが、以下述べるとおりのオンラインに係る申請手続特有のリスクの存在に加え、住基法において当該リスクを減ずるよう厳格な本人確認を求めていることに照らせば、本件省令22条は、デジタル手続法6条1項の授権の範囲を超えるものでないのみな らず、申請の根拠規定たる住基法との適合性を失するものでもない。 そもそも、オンラインによる申請等の手続に際しては、常にオンライン特有の問題(なりすまし、データ改ざん、否認行為)のリスクがあるところ、デジタル手続法総務省令4条2項本文がオンラインによる申請の方法について電子署名及び電子証明書の併用を求めることとしているのは、申請等の手続に りすまし、データ改ざん、否認行為)のリスクがあるところ、デジタル手続法総務省令4条2項本文がオンラインによる申請の方法について電子署名及び電子証明書の併用を求めることとしているのは、申請等の手続にお いては通常は本人確認の要請が高いため、なりすましや改ざんのおそれが十分低く、本人確認の確実性が極めて高く、なおかつ、安全性が確保された方法によるのが相当とされているためである。他方、厳格な本人確認を求めなくても足りるという例外的な申請等がおよそ存在しないというわけではないところ、かかる例外的な申請について、デジタル手続法総務省令4条2項本文所定の厳 格な本人確認方法とは異なる他の本人確認方法を許容し得る途を肯定したのが、デジタル手続法総務省令4条2項ただし書という関係になる。したがって、飽くまで申請手段についての特則にすぎないデジタル手続法総務省令4条2項ただし書を適用することによって、書面等による申請等を定める各個別の根拠法令の趣旨(実態)が損なわれる、又はその他の諸法令との整合性が保てない ような場合には、同ただし書は適用されないことになる。 そして、本件では、住基法の趣旨に照らしても、住民票の写しの交付請求に係る手続が、デジタル手続法総務省令4条2項本文の厳格な本人確認以外の方法を許容するものとは解されない。すなわち、住基法は、目的に「住民に関する記録の適正な管理」を掲げ(1条)、市町村長においてもこれが適正に行わ れるように必要な措置を講ずるよう求める(3条1項)ところ、当該文言が、 国民のプライバシー保護に対する関心の高まりを受けて昭和60年法律第76号による住基法改正の際に加えられたものであることからすれば、当該「住民に関する記録の適正な管理」とは、住民記録の正確性等の維持にとどま ライバシー保護に対する関心の高まりを受けて昭和60年法律第76号による住基法改正の際に加えられたものであることからすれば、当該「住民に関する記録の適正な管理」とは、住民記録の正確性等の維持にとどまらず、住民票の写し等の交付に係る合理的な制限を求める趣旨をも含むと解するべきである。 さらに、住民票の写しの交付請求については、従前は何人でもこれを行うことができたところ、上記のとおり個人情報保護に対する意識が高まっていることや、なりすまし等の不当な手段による住民票の写しの交付請求が行われている申請実態を踏まえ、平成19年法律第75号による住基法改正の際に、住民票の写しの交付請求につき、請求主体を原則として本人等とし、かつ、請求の 際には本人確認の手続を整備することとされたとの経緯がある。そして、これを踏まえた住基法12条3項が、「個人番号カード(括弧内省略)を提示する方法その他の総務省令で定める方法により、当該請求の任に当たつている者が本人であることを明らかにしなければならない。」と定めて厳格な本人確認を求めていること、これを受けた本件要領上も本人確認の方法が詳細に定められ ていることも踏まえれば、現行の住基法は、個人情報保護への配慮等の観点から、住民票の写しの交付請求の局面において厳格な本人確認手続を行うことを予定しており、かつ、それは請求の方法が窓口におけるものか郵送におけるものかで差異を生ずるものではないというべきである。 このような住民票情報の取得について厳格な本人確認を要求する住基法の 趣旨や住基法12条3項の規定を踏まえれば、かかる申請が、なりすましやデータの改ざん等のおそれが類型的に高いとされるオンラインによって行われる場面においては、デジタル手続法総務省令が原則とする、電子署名と電子証明書の併用 規定を踏まえれば、かかる申請が、なりすましやデータの改ざん等のおそれが類型的に高いとされるオンラインによって行われる場面においては、デジタル手続法総務省令が原則とする、電子署名と電子証明書の併用による方法によらしめるのが、住基法の規定やその趣旨から導かれる素直な解釈というべきであり、かつ、デジタル手続法総務省令4条2項本文 に匹敵するほどの本人確認手法が確立されていない現状においては、住基法 は、同項本文による本人確認手続以外の手続を想定していないものというべきである。 取り分け、インターネットやそれを前提としたアプリケーション等の最新の情報通信技術が用いられることとなるオンラインによる住民票の写しの交付請求制度は、高い利便性を有する反面、個人情報保護の観点を始めとした様々 なリスクが内在しており、生じ得るリスクの具体的な態様やその対処方法等については未知の部分も少なくない。住民基本台帳に記録された情報の個人情報としての重要性に加え、オンラインによる申請がその簡便性から多数の者に利用される可能性があることを背景に、それがひとたび悪用されて情報が漏えいした場合に想定される被害規模の大きさや、情報という性質に基づく漏えい後 の被害回復の困難性、また、現状において、オンラインによる申請の安全性等につき未だ確立した知見がないことを踏まえれば、住基法は住民票の写しの交付請求をオンラインによる申請で行う場合の具体的手法としてデジタル手続法総務省令4条2項本文による本人確認手続以外の手続を許容していないと解することは、デジタル手続法6条1項の委任の範囲内である。 この点、原告は、デジタル手続法は、オンラインによる申請につき各個別法が定める手続よりも煩さないし不便なものとすることを想定していないことを前提に タル手続法6条1項の委任の範囲内である。 この点、原告は、デジタル手続法は、オンラインによる申請につき各個別法が定める手続よりも煩さないし不便なものとすることを想定していないことを前提に、住基法上、郵送による住民票の写しの交付請求が認められ、かつ、この場合には本人確認書類の写しの送付で足り、いかなる本人確認書類をもって本人確認に足りるとするかも市町村長の判断に委ねられている(すなわち、 顔写真入りの本人確認書類や個人番号カードに限定されない)点を根拠として、住基法は住民票の写しの交付請求に当たり厳格な本人手続を要求するものではなく、住民基本台帳の情報に何らの変更を及ぼす効果がないことからも厳格な本人手続は不要である、また、本件サービスは犯収法施行規則上の本人確認手段としても認められている方法に適合している以上、少なくとも郵送によ る住民票の写しの交付請求よりは高い安全性が認められることが明らかであ るなどと主張する。 しかしながら、郵送での請求の際に上記のような措置が認められているのは、写真付き身分証明書を所持していない者にも郵送による住民票の写しの交付請求の途を開くべきであるとの行政上の配慮によるものであり、かつ、写真付き身分証明書以外の身分証により本人確認を行う場合は複数の書類の提示 を求めたり、本件要領上も必要と判断されるときに電話等により本人確認をすることを予定したりしているなど、郵送の場合であっても、取り得る厳格な本人確認を貫徹しようとしていることは窓口における場合と何ら変わらないのであるから、住基法自体が住民票の写しの交付請求において厳格な本人確認を要求していないとする原告の理解は明らかに失当である。そして、切手や封筒 の用意等、手続に係る金銭的ないし時間的なコストのかかる郵 ら、住基法自体が住民票の写しの交付請求において厳格な本人確認を要求していないとする原告の理解は明らかに失当である。そして、切手や封筒 の用意等、手続に係る金銭的ないし時間的なコストのかかる郵送による住民票の写しの交付請求の局面に対し、そのようなコストがかからず、容易に大量の申請を行うことが可能なオンラインによる請求の局面においては、ひとたびなりすましの技術が確立すれば、大量の住民票を容易に不正取得することが可能となり、ひいては住民基本台帳制度に対する国民の信頼を根底から揺るがす事 態となりかねないのであるから、オンラインによる請求の局面において厳格な本人確認方法のみを採用するとしても、何らデジタル手続法の委任の範囲を超えるものではない。むしろ、デジタル手続法6条1項による主務省令の策定に当たって住民票に記載されている事項に係る情報の適切な管理への信頼を確保することは、看過できない考慮事項となっているとすらいえる。 さらに、本件サービスにおける本件確認の手法(LINEeKYC)については、ディープフェイク(AIを用いて偽動画を作るスキル)の技術を用いれば顔認証を突破できる可能性がある、市町村側に照合させるべき情報の原本がない状態では認証方法自体に問題があるなど、安全性に問題がある旨の指摘もされているところであるから、未だ安全性が確立していない現状においてな お、あえてこれを承認しなければならない理由はない。原告は、本件サービス の上記手法が犯収法施行規則において認められた方式に適合していることを強調するが、犯収法施行規則は飽くまで私人間の取引における本人確認義務に係るものであり、本件で問題となる住民票の写しの取得とは規律すべき局面も当事者も全く異なるものであるから、原告の主張は理由がない。 るが、犯収法施行規則は飽くまで私人間の取引における本人確認義務に係るものであり、本件で問題となる住民票の写しの取得とは規律すべき局面も当事者も全く異なるものであるから、原告の主張は理由がない。 以上
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