令和2(行コ)105 情報公開等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年7月16日 大阪高等裁判所 その他 大阪地方裁判所 平成29(行ウ)104
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判決文本文4,991 文字)

主 文1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由第1 控訴の趣旨1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人に対し,333万円及びこれに対する平成29年5月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(略称は,特記しない限り,原判決の例による。)1 控訴人は,情報公開法4条1項に基づき,平成29年3月2日付けで,近畿財務局長に対し,請求する行政文書の名称等を原判決別紙2記載のとおりとして行政文書開示請求(本件開示請求)をした。これに対し,近畿財務局長は,同年5月2日付けで一部開示決定(本件処分)をしたが,本件処分に基づいて控訴人に開示された文書には,原判決別紙3記載の217件の応接録(本件217件の文書)は含まれていなかった。 本件は,控訴人が,本件217件の文書は本件開示請求に係る行政文書のうち原判決別紙2記載⑹の「当該土地の賃貸,売払いに関する学校法人森友学園との面談・交渉記録」又は同⑺の「当該土地の賃貸,売払いに関する学校法人森友学園以外の者との面談・交渉記録」(本件面談・交渉記録)に該当するにもかかわらず,近畿財務局長は本件面談・交渉記録に係る部分を漫然と放置し,あるいは本件処分において本件217件の文書を違法に不開示にしたなどと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償として1100万円及びこれに対する本件処分の日である平成29年5月2日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原判決は,上記請求について,33万円及びこれに対する平成29年5月2日2 から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容 合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原判決は,上記請求について,33万円及びこれに対する平成29年5月2日2 から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容したところ,控訴人のみが,前記第1のとおり,その敗訴部分の一部を不服として本件控訴を提起した。 2 前提事実,争点及び当事者の主張は,次の3において当審における控訴人の補充主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」第2の2ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 ただし,原判決3頁23行目の「記載されていた。(甲1,20,乙1,2)」を「記載されていたが,本件面談・交渉記録に係る文書についての記載はなかった(甲1,20,乙1,2)。」に改める。 3 当審における控訴人の補充主張 行政機関の長が,開示請求に係る行政文書を不開示とする場合は,文書ごとに開示しない旨の決定をした上で,開示請求者にその旨を書面により通知しなければならないとされており,不開示の理由を明らかにしなければならない。 しかるに,本件処分においては,どの文書を不開示にしたのかが明らかにされておらず,控訴人が受領した本件処分に係る行政文書開示決定通知書(乙1・以下「本件処分通知書」という。)にも,本件217件の文書に関する記載は一切ない。 したがって,本件面談・交渉記録に係る文書につき,本件処分において「文書不存在」を理由に不開示処分がされたとはいえない。 ,本件開示請求に対し,本件面談・交渉記録に係る部分を漫然と放置し,あるいは故意に不開示処分を行ったことの違法性の程度を判断するには,本件処分時において本件開示請求の対象となる個々の文書が存在したのか,当初は存在したにもかかわらず本件処分時までに違法に廃棄されたのかを明らかにした上で,存在し たことの違法性の程度を判断するには,本件処分時において本件開示請求の対象となる個々の文書が存在したのか,当初は存在したにもかかわらず本件処分時までに違法に廃棄されたのかを明らかにした上で,存在した文書がなぜ開示されなかったのか,本件開示請求に係る文書は全て開示されたのか等が個々の文書ごとに判断されなければならない。 3 そして,平成29年2月22,23日には,森友学園案件の問題が国会審議で取り上げられ,応接録の存否について確認の要求等がされていたのであり,このような要求を受け,国会審議で取り上げられる蓋然性が明らかとなった以上,応接録については,保存期間が「1年未満保存(事案終了まで)」と定められていたとしても,その時点で廃棄の許されない公文書として取り扱われるべきであって,このような蓋然性を認識しながら廃棄を行うことは違法である。 本件においては,廃棄された文書の数,悪質な行為態様に照らし,原判決よりも高額の賠償が認められなければならない。 第3 当裁判所の判断1 当裁判所も,控訴人の請求は33万円及びこれに対する平成29年5月2日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるものと判断する。その理由は,次の2において原判決を補正し,3において当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」第3の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正⑴ 7頁23行目の「甲第26号証」から8頁1行目末尾までを「甲第26号証(本件調査報告書),同第28号証及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。」に改める。 ⑵ 8頁6行目及び9行目の「内閣総理大臣」をいずれも「当時の内閣総理大臣」に改め一般に,行政上 告書),同第28号証及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。」に改める。 ⑵ 8頁6行目及び9行目の「内閣総理大臣」をいずれも「当時の内閣総理大臣」に改め一般に,行政上の記録として作成された応接録については,財務省行政文書管理規則(甲10)に従い,当該応接録を管理する部署の文書管理者の判断で廃棄等の措置を行うこととされており,近畿財務局においては,各課室の長が文書管理者として指名されていた。そして,」を加える。 ⑶ 9頁21行目の「受け止め,」の次に「同日以降の近接した日時に,」を加える。 4 ⑷ 10頁21行目の「上記答弁をした後,」の次に「平成29年2月24日以降の近接した日時に,」を加える。 ⑸ 11頁21行目冒頭から22行目末尾までを削除する。 ⑹ 12頁9行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「 なお,財務省が本件217件の文書を公表した平成30年5月23日までの間に,森友学園案件に関する応接録を対象とした開示請求は,財務省(財務大臣)に対するものが14件,近畿財務局(近畿財務局長)に対するものが39件あった。そして,前者のうち9件,後者のうち37件については,開示対象文書に該当する応接録が作成されていたにもかかわらず,同日までの過程で文書不存在として不開示等決定がされていた。」 12頁12行目から13行目にかけての「その都度,『文書不存在』を理由に不開示決定がされていたというのであり,」を「開示対象文書に該当する応接録が作成されていたにもかかわらず,文書不存在として不開示等決定がされており,」に改め,15行目の「特定され」を「特定されながら」に改める。 13頁14行目の「その都度,」を削除する。 14頁18行目末尾に改行の上次のとおり加える。 開示等決定がされており,」に改め,15行目の「特定され」を「特定されながら」に改める。 13頁14行目の「その都度,」を削除する。 14頁18行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「 さらに,本件217件の文書のうち,本件処分により違法に不開示とされた文書の数等は,違法性の程度にも影響するところ,裁判所の釈明権の行使に対し,被控訴人が回答したところによれば,近畿財務局において,森友学園案件に関する応接録を保管していた職員の数,応接録の廃棄が伝達された日,平成29年2月24日時点における応接録の廃棄状況,文書管理を徹底すべきとの趣旨が伝達された日は,現時点においてはいずれも不明であるというのであり,その文書管理の実情は,極めて杜撰であるというほかはない。」3 当審における控訴人の補充主張に対する判断⑴ 補正の上で引用した原判決のとおり(原判決「事実及び理由」の第3の1⑵),本件開示請求のうち本件面談・交渉記録に係る部分に対しては,本件処分にお5 いて文書不存在を理由に不開示とされたものとみるのが自然かつ合理的である。 控訴人は,本件処分通知書の記載等から,本件処分において不開示処分がされたとはいえない旨主張するが,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することもできるから(情報公開法8条参照),これを本件開示請求に適用することの当否は別として,控訴人指摘の点から,本件処分において不開示処分がされていないとはいえない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 控訴人は,違法性の程度を判断するには,本件処分時において本件開示請求の対象となる個々の文書が存在したのか,存在した文書がなぜ開示されなかったのか等が個々の文書ごとに判断されなければ ない。 ⑵ 控訴人は,違法性の程度を判断するには,本件処分時において本件開示請求の対象となる個々の文書が存在したのか,存在した文書がなぜ開示されなかったのか等が個々の文書ごとに判断されなければならないなどとし,本件においては,廃棄された文書の数,悪質な行為態様に照らし,原判決よりも高額の賠償が認められるべきである旨主張する。 補正の上で引用した原判決のとおり,森友学園案件に関する応接録の少なくとも一部は,近畿財務局においては,管財部長の判断・指示により廃棄されたものであるところ,裁判所の釈明権の行使に対し,被控訴人が回答したところによれば,近畿財務局において,森友学園案件に関する応接録を保管していた職員の数,応接録の廃棄が伝達された日,平成29年2月24日時点における応接録の廃棄状況,文書管理を徹底すべきとの趣旨が伝達された日は,現時点においてはいずれも不明であるというのであり,その文書管理の実情は,極めて杜撰であるというほかはない。そして,このような杜撰な文書管理の結果,本件処分により違法に不開示とされた文書の数等が明らかにされないこととなっており,この点は,違法性の程度に影響するものとして,控訴人の慰謝料額を算定する際の一事情となるというべきである。 しかし,他方で,控訴人の請求は,本件217件の文書のうち近畿財務局が行政文書として保有していたものについて適時に適切かつ適式な開示決定を6 受けるという人格的利益を侵害されたことを理由とするものであるところ,上記行政文書を含む本件217件の文書は,遅ればせながらも本件再処分時に開示されていること,開示請求権は,情報公開法に基づき公益的見地から付与されているものであること,国家賠償の諸機能のうち,制裁機能や違法行為抑止機能は,判決理由中で違法行為の内容や違法性の程度 時に開示されていること,開示請求権は,情報公開法に基づき公益的見地から付与されているものであること,国家賠償の諸機能のうち,制裁機能や違法行為抑止機能は,判決理由中で違法行為の内容や違法性の程度に関する判断が示されることにより果たされる面もあることを考慮すると,補正の上で引用した原判決挙示に係る事情のほか,前記事情を斟酌しても,原判決が認定した控訴人の損害額が少額に過ぎるとはいえない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 第4 結論以上の次第で,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第3民事部 裁判長裁判官 石 原 稚 也 裁判官 大 場 めぐみ 裁判官 7 野 上 あ や

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