- 1 -主文 本件訴えのうち、別紙処分目録2記載の第2次決定の取消しを求める部分、同目録3記載の第3次決定の取消しを求める部分、及び同目録4記載の第4次決定の取消しを求める部分の訴えをいずれも却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 請求東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成14年10月9日付けで通(1)知した別紙処分目録1記載の第1次決定(甲2)を取り消す。 東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成16年3月31日付けで通(2)知した別紙処分目録2記載の第2次決定(甲5)を取り消す。 東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成16年11月15日付けで(3)通知した別紙処分目録3記載の第3次決定(甲10)を取り消す。 東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成17年11月4日付けで通(4)知した別紙処分目録4記載の第4次決定(甲15)を取り消す。 なお、原告の電波障害対策費の支払を求める請求については、本件と弁論が分離され、平成18年7月25日、原告が訴えを取り下げている。 被告の答弁本案前の答弁(1)本件訴えをいずれも却下する。 本案の答弁(2)原告の請求をいずれも棄却する。 第2事案の概要- 2 -、(「」。)本件は行政機関の保有する情報の公開に関する法律以下法という3条の規定に基づく文書の開示請求をした原告が、処分行政庁がした第1次決定ないし第4次決定について、その不開示部分の取消しを求めた事案である。なお、第1次決定ないし第4次決定において開示された文書の名称及び開示部分は、別紙「開示文書及び開示部分整理表(以下「整理表」といい、」同表記載の各文書をその記載番号に従い、文書1ないし文書15と なお、第1次決定ないし第4次決定において開示された文書の名称及び開示部分は、別紙「開示文書及び開示部分整理表(以下「整理表」といい、」同表記載の各文書をその記載番号に従い、文書1ないし文書15ということがある)記載のとおりである。 。 前提事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない)。 原告は、平成14年8月26日、社会保険庁長官に対し「α看護婦宿(1)、舎の北側土地購入の検討の有無」等、合計16項目に関する情報を含む文書の開示請求をした(以下「第1次開示請求」という。甲1、甲2。 )東京社会保険事務局長は、第1次開示請求のうち5項目に関する事案の(2)、、、「」移送を受け平成14年10月9日原告に対し整理表第1次決定欄記載のとおり、文書1ないし6を開示、部分開示又は不開示とする第1次決定(甲2)をした。 原告は、第1次決定を不服として、平成14年11月4日付けで社会保(3)、(「」。 )。 険庁長官に対し審査請求以下本件審査請求という甲4をした東京社会保険事務局長は、平成16年3月31日、原告に対し、整理表(4)「第2次決定欄」記載のとおり、第1次決定のうち、文書1ないし5に関する部分を維持するとともに、文書6の不開示部分を縮小して法人名及びその所在地を開示し、併せて新たに文書7ないし10を対象文書として特定し、これを開示又は部分開示する第2次決定(甲5)をした。 東京社会保険事務局長は、平成16年11月15日、原告に対し、整理(5)表「第3次決定欄」記載のとおり、第2次決定を維持する(ただし、開示部分の一部をカラーに差し替える)とともに、文書11につき、その存否を明らかにしないで開示請求を拒否する第3次決定(甲10)をした。 - 3 -原告による本件審査請求につき社会 持する(ただし、開示部分の一部をカラーに差し替える)とともに、文書11につき、その存否を明らかにしないで開示請求を拒否する第3次決定(甲10)をした。 - 3 -原告による本件審査請求につき社会保険庁長官から諮問を受けていた情(6)報公開・個人情報保護審査会は、平成17年5月26日、社会保険庁長官に対する答申を行い(甲12、社会保険庁長官は、これを受け、同年8)月12日、東京社会保険事務局長による原処分を変更し、開示又は部分開(「」。 、)示する文書を追加する旨の裁決以下本件裁決という甲13乙5をした。すなわち、整理表「本件裁決、第4次決定欄」記載のとおり、原処分のうち、文書1ないし10に関する部分を維持するとともに、新たに文書12ないし文書15を対象文書として特定し、これを開示又は部分開示し、文書11の存否応答拒否処分を取り消して、氏名及び住所等を除いた部分を開示する裁決をした。 原告は、平成17年11月4日、東京社会保険事務局長に対し、本件裁(7)(「」。 決により追加された行政文書の開示請求以下第2次開示請求という甲14)をした。 東京社会保険事務局長は、平成17年11月4日、原告に対し、整理表(8)「本件裁決、第4次決定」欄記載のとおり、本件裁決と同旨の第4次決定(甲15)をした。 なお、第4次決定には、この決定に不服がある場合には、行政不服審査法5条の規定により、決定の通知を受け取った日の翌日から起算して60日以内に社会保険庁長官に対し審査請求するか、決定の通知を受けた日の翌日から起算して6か月以内に国を被告として取消訴訟を提起できる旨の教示がされている。 原告は、第4次決定を不服として、平成17年12月20日、社会保険(9)庁長官に対し、審査請求(甲18、甲34)をした。 原告は か月以内に国を被告として取消訴訟を提起できる旨の教示がされている。 原告は、第4次決定を不服として、平成17年12月20日、社会保険(9)庁長官に対し、審査請求(甲18、甲34)をした。 原告は、平成18年4月10日、本訴を提起した。 (10)社会保険庁長官は、平成18年6月22日、前記の審査請求を棄却(11)(9)する旨の裁決(甲34)をした。 - 4 - 争点と争点に関する当事者の主張本件の争点は、①本件各訴えが出訴期間を徒過し、あるいは訴えの利益を欠く不適法な訴えであるかどうか、②文書6、8、11、15の不開示部分に法5条1号所定の不開示事由が存するかどうかである。 争点①(訴えの適法性)について(1)(被告の主張)ア出訴期間徒過原告は、第1次開示請求に対する第1次決定について本件審査請求を行い、これについて本件裁決が平成17年8月12日に行われたにもかかわらず、平成18年4月10日に至ってようやく本件訴訟を提起している。原告は、本件裁決が行われた日ころに本件裁決の謄本が原告に送付されたと推測されること、訴状において「2005年8月12日付けでの裁決(中略)が郵送されて来ましたが、次の手続案内が無いので、9月12日付けで催促する手紙を送りました」とされていることから。 すると、少なくとも、本件訴訟提起時においては、原告が本件裁決があったことを知った日から6か月を経過していたことは明らかである。 そして、第2次決定は、第1次決定を維持(文書1ないし5)又は一部取り消す(文書6ないし10)にすぎないものであるのに対し、第3次決定は、第2次決定を維持した(文書1ないし10)上で、新たに存否を明らかにしないで開示請求を拒否する処分(文書11)を追加したものであるが、これらは、いずれも、原告による第1次開示請求に対し 次決定は、第2次決定を維持した(文書1ないし10)上で、新たに存否を明らかにしないで開示請求を拒否する処分(文書11)を追加したものであるが、これらは、いずれも、原告による第1次開示請求に対して行われ、本件審査請求の内容に追加されて(甲10の不服申立告知部分のなお書き参照)本件裁決を経たものであるから、第1次決定についてはもちろん、第2次決定及び第3次決定の取消しを求める訴えについても、原告が本件裁決があったことを知った日から6か月を経過した場合には、提起することができないというべきである。 - 5 -また、第4次決定についても、本件審査請求に対する本件裁決を受けて行われたもの、つまり、第1次開示請求に対して行われたものであって、第3次決定のうち、文書1ないし10に関する部分を維持するとともに、既に本件裁決により取り消されていた同決定の一部(文書11ないし15)を重ねて取り消したものにすぎないのであるから、本件における法律関係に特段の影響を及ぼさないものであって、独立した取消対象とはなり得ず、出訴期間も先の第1次決定ないし第3次決定を基準として計算されるべきである。 したがって、本件において、原告は、本件裁決があったことを知った日から6か月以内に取消訴訟を提起する必要があるというべきであり、本件裁決は、平成17年8月12日に行われ、そのころ原告もこれを知ったと認められるにもかかわらず、出訴期間の6か月を経過した平成18年4月10日に至ってようやく本件訴訟を提起したものであるから、本件各訴えは、いずれも出訴期間(行政事件訴訟法14条3項)を徒過した不適法な訴えである。 イ正当な理由なお、原告が本件裁決があったことを知った日から6か月を経過した後に本件取消訴訟を提起したことにつき「正当な理由(行政事件訴訟」法14条3項ただし を徒過した不適法な訴えである。 イ正当な理由なお、原告が本件裁決があったことを知った日から6か月を経過した後に本件取消訴訟を提起したことにつき「正当な理由(行政事件訴訟」法14条3項ただし書き)も存しない。 原告は、第1次決定ないし第4次決定が一連の決定であること、本件審査請求に対する答申や本件裁決(乙5)に、不服申立手続の記載がないことをもって「正当な理由」に当たる旨主張する。 しかし、第1次開示請求に対する処分行政庁の処分に対する不服は、不利益処分を行った第1次決定及び第3次決定に対して行われるべきであり、原告は既に第1次決定及び第3次決定に対する本件裁決を経ているのであるから、出訴期間も本件裁決があったことを知ったときから起- 6 -算されるべきなのであって、第4次決定が第1次開示請求に対して行わ、「」。 れたものであることは原告の正当な理由を基礎づける関係にないまた、本件審査請求に対する答申及び本件裁決に不服申立手続の記載がない点についても、単に手続を教示する記載が存しなかったことをもって「正当な理由」があるとは認められない。第4次決定の通知(甲1、5)には、当該通知を受けた日の翌日から起算して6か月以内にその取消訴訟を提起し得る旨の記載があるが、第4次決定は独立した取消訴訟の対象とはなり得ないのであり、第4次決定が本件裁決と同内容のものであることは原告も容易に認識し得たこと、上記第4次決定の通知の記載をもって、その通知を受けた日の翌日から起算して6か月以内であれば取消訴訟を提起し得ると信頼したと認めるに足りる証拠はないことからすれば「正当な理由」を認める根拠とはならないというべきである。 、ウ訴えの利益等、、、なお第2次決定は第1次決定を維持又は一部取り消すものであり第3次決定は、第2 証拠はないことからすれば「正当な理由」を認める根拠とはならないというべきである。 、ウ訴えの利益等、、、なお第2次決定は第1次決定を維持又は一部取り消すものであり第3次決定は、第2次決定を維持した上で新たに存否応答拒否処分を追加するもの、本件裁決は、第3次決定を維持又は一部取り消すもの、更に第4次決定は、第3次決定を維持し又は重ねて取り消したものであるから、①第1次決定において開示された部分(文書1、3、4、6の各開示部分、②第1次決定のうち、第2次決定によって取り消されその)後も維持された部分(文書6ないし10の各開示部分、③第3次決定)のうち、本件裁決及び第4次決定により取り消された部分(文書11ないし15の各開示部分)については、その取消しを求める訴えの利益が。 、(、存しないというべきであるまた第2次決定及び第3次決定ただし文書11に関する部分を除く)は、第1次決定の一部を原告に有利に。 取り消した決定であるから訴えの利益がなく、第4次決定は、行政処分ではないので取消しの対象とはなり得ない。そのため、原告の本件訴え- 7 -のうち上記各部分については、この意味においても不適法である。 (原告の主張)被告の出訴期間徒過の主張については争う。仮に出訴期間を徒過しているとしても、処分行政庁は、第1次決定ないし第3次決定及び本件裁決において、原告に対し、不服申立手続を教示していないのであるから、原告「」。 には行政事件訴訟法14条3項ただし書きの正当な理由が認められる争点②(本案の主張)について(2)ア文書6及び8について(被告の主張)ア不開示部分の記載事項について()文書6及び8の不開示部分には、電波障害対策における個人の姓を冠した対象家屋名及びその住所が記載されている(甲 2)ア文書6及び8について(被告の主張)ア不開示部分の記載事項について()文書6及び8の不開示部分には、電波障害対策における個人の姓を冠した対象家屋名及びその住所が記載されている(甲6、甲8。 )イ法5条1号該当性について()これらは「個人に関する情報(中略)であって、当該情報に含ま、れる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(法5条1号本文)に該当することは明らかである。 」ウ原告主張については争う。 ()(原告の主張)ア電波障害対策の補償を受ける権利は財産であり、補償を受けるこ()とができるかどうかを判断するための情報は、法5条1号ロの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するところ、文書6および文書8の不開示部分の電波障害対策を受ける個人の住所部分は、原告が電波障害対策を受けることができるか判断する上で必要な情報であるから開示されるべきである。 イ被告の法5条1号該当性の主張については争う。 ()- 8 -イ文書11について(被告の主張)ア不開示部分の記載事項について()文書11の不開示部分には、①協定を締結した個人の住所、氏名及び印影のほか、②処分行政庁が日照を保証した対象者(4項、③排)水溝、テレビ用アンテナ・ケーブル配線及び柵の各設置位置(7項、8項及び10項)並びに④位置・構造図面及び日照形態・日照時間を明示した図面の一部(11項)がそれぞれ記載されている(甲16。 )このうち④については、文書11の第11項目において「甲は2、、3、5、6の項目については位置・構造図面、4の項目では日照形態・日照時間を明示した図面を協定書に添付する」と規定しており、。 これに基づき、合計 いては、文書11の第11項目において「甲は2、、3、5、6の項目については位置・構造図面、4の項目では日照形態・日照時間を明示した図面を協定書に添付する」と規定しており、。 これに基づき、合計4枚の図面が添付されている(以下、添付されている順序に従い、それぞれ「本件図面1」ないし「本件図面4」という。本件図面1は、第2、第3項目の合意を受けて作成されたもの。)であり、全部不開示とされているところ、協定締結者の印影(割印)が存するほか、既存建物と新建築物の平面及び立面の輪郭を図示した上で、隣接地に対する地面の高さ、5階建て部分の1階建設範囲の公道地境、北側地境及び西側地境からの距離、並びに新建築物の高さがそれぞれ記載されている。本件図面2は、第4項目の合意を受けて作成されたものであり、全部不開示とされているところ、協定締結者の印影(割印)が存するほか、各日照保証対象者の家屋の形状を図示した上で、当該各家屋につき、2000年(平成12年)12月21日の午前8時、午前10時、午後0時、午後2時及び午後4時の各時点、。 、において新築建物の影となる部分を図示されている本件図面3は新建築建物(宿舎)の東西南北方向の各立面図であって、甲16添付図面の1枚目がこれに当たり、協定締結者の印影(割印)が不開示と- 9 -されている。本件図面4は、第5、第6項目の合意を受けて作成されたものであって、新建築物における「ゴミ置場「駐輪場」の各設置」、位置が記載されており、甲16添付の図面2枚目がこれに当たり、協定締結者の印影(割印)が不開示とされている。 イ法5条1号該当性について()前記①が「個人に関する情報(中略)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(法5条1 とされている。 イ法5条1号該当性について()前記①が「個人に関する情報(中略)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(法5条1号本文)に該当することは明らかである。 」前記②ないし③についても、これらは、氏名等を直接含むものではないものの、それぞれ他の記載と併せてみることにより、協定を締結した個々人の全部又は一部を特定・識別し得るものであり「他の情、報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるもの(法5条1号本文)に該当する。 」前記④のうち、本件図面1及び2については、いずれも、本件裁決及び第4次決定において全部不開示とされたものであるところ、本件図面1及び2の記載内容からすれば、協定締結者の印影以外の記載内容については、一見して協定対象者の家屋と新建築物(宿舎)との位置関係や、対象家屋自体の形、高さ等が明らかとなる性質のものであるから、協定対象の家屋、ひいては当該対象者個人を識別することが可能となる情報であるといえる。また、協定締結者の各印影についても、文書11の記載によれば「A病院看護婦宿舎」の近隣住民の印、影であることが当然に推測されるのであるから、協定締結者個人を識。 、別することが可能となる情報であることは明らかであるしたがって本件図面1及び2については、協定締結者の印影はもちろん、その記載全体が「その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することが- 10 -できることとなるものを含む(法5条1号本文)に該当する。 。)」前記④のうち、本件図面3及び4については、いずれも、本件裁決及び第4次決定において、協定締結者の印影(割印)が不開示とされているとこ ることとなるものを含む(法5条1号本文)に該当する。 。)」前記④のうち、本件図面3及び4については、いずれも、本件裁決及び第4次決定において、協定締結者の印影(割印)が不開示とされているところ、これが「その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む(法5条1号本文)に。)」当たることは明らかである。 ウ原告主張については争う()(原告の主張)ア電波障害対策の補償を受けることができるかどうかを判断するた()めの情報は、法5条1号ロの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するところ、文書11の不開示部分のうち、協定締結者の住所は、補償を受けるために必要な情報であるから開示されるべきである。 イ文書11のうち本件図面1及び本件図面2の内容は「近隣にお住()、まいの皆様へ」と題する書面(甲20、甲26)で公にされているのであるから、これらの図面の不開示部分については「法令の規定に、より又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報(法5条1号イ)に該当する。 」ウ被告の法5条1号該当性の主張については争う。 ()ウ文書15について(被告の主張)ア不開示部分の記載事項について()文書15の不開示部分には、ケーブルテレビ配線経路の一部が記載されている(甲17)イ法5条1号該当性について()- 11 -、当該不開示部分のみでは個人を直接識別することはできないものの他の記載と併せみることによりケーブルテレビ配線が設置された各建物を特定し、ひいては特定の個人を識別することができることとなるのであるから、法5条1号本文に該当する 直接識別することはできないものの他の記載と併せみることによりケーブルテレビ配線が設置された各建物を特定し、ひいては特定の個人を識別することができることとなるのであるから、法5条1号本文に該当する。 ウ原告主張については争う()(原告の主張)ア電波障害対策の補償を受けることができるかどうかを判断するた()めの情報は、法5条1号ロの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するところ、文書15の不開示部分は、電波障害対策補償を請求する上で必要な情報であるから開示されるべきである。 イ被告の法5条1号該当性の主張については争う。 ()第3当裁判所の判断 本案前の主張についての判断取消しの訴えの対象となる処分(1)本件においては、原告の開示請求に対し、第1次ないし第4次という4つの決定がされているので、これらのうち取消しの対象となり得るのはどれであるのかをまず検討しておく。 、、、まず第1次決定は原告の開示請求に対する応答そのものであるから取消しの対象となることは明らかである(その後、第2次決定や本件裁決によって、その一部が取り消されているが、原告は、一部取消後もなお不開示部分が存することを不服として、その取消しを求めているものと解される。 。)次に第2次決定は、文書1ないし5に関する部分については、第1次決定を維持し、文書6に関する部分は、法人名及びその所在地を不開示とした第1次決定を一部取り消したもの(利益処分)であり、文書7ないし1- 12 -0に関する処分も、これらを対象文書として特定せず黙示的に不開示としていた第1次決定を一部取り消したもの(利益処分)であるから、結局、第1次決定において不開示とされていた部分の一部を開示することとした 関する処分も、これらを対象文書として特定せず黙示的に不開示としていた第1次決定を一部取り消したもの(利益処分)であるから、結局、第1次決定において不開示とされていた部分の一部を開示することとしたもので、原告にとってみれば利益処分ということになるから、その取消しを求める利益はないといわざるを得ない(なお、処分の取消しによって、開示決定が取り消され、不開示決定が復活することになり、原告にとってかえって不利益となる。 。)第3次決定は、それまでの処分のうち、文書9の開示部分をカラーに差し替えるとともに、第1次決定(第2次決定により変更された後のもの)には含まれていなかった文書11について不開示決定をしたものである。 このうち、カラーへの差し替え部分は、文書の開示方法を変更したものにすぎず、開示の可否の判断という決定の本質的部分を変更したものではないから(第2次決定と第3次決定とで、開示の対象となった文書名その他について異なった記載は何らされていない、第3次決定の本質は、文書。)11を不開示としたことであるが、これは、第1次決定(第2次決定によ)(、り変更された後のものにおいては対象文書として特定せずしたがってまた、当該文書の存否を明らかにすることなく)黙示的に不開示としていたところを、対象文書として特定した上で、その不開示理由(存否応答拒否)を明示したものであり、第1次決定(第2次決定により変更された後のもの)の内容を明らかにしたものにすぎず、その実質的な内容には変更がないものであるから、原告にとって新たな不利益処分であるということはできない(この点、第3次決定のうち文書11に関する部分は新たな処分の追加であるとする被告の主張は採用することができない。したがっ。)て、原告には、第3次決定の取消しを求める利益はないとい とはできない(この点、第3次決定のうち文書11に関する部分は新たな処分の追加であるとする被告の主張は採用することができない。したがっ。)て、原告には、第3次決定の取消しを求める利益はないといわざるを得ない。 第4次決定は、原告の当初の開示請求に対する応答として、本件裁決後- 13 -に、本件裁決と全く同一内容の決定をしたものである。したがって、第4次決定に何らかの法的意味があるとすれば、それは、原告の当初の開示請求に対する応答であるところの第1次決定を修正するというところにあるはずであるが、第4次決定前に行われた本件裁決により、第4次決定と全く同様の修正が行われてしまっているから、第4次決定は、本件裁決による修正を確認したものにすぎず、独自の法的効果を持つものではないといわざるを得ない(原処分庁が、裁決庁の決定を取り消したり、変更したりすることはできないから、第4次決定を、本件裁決を取り消し、改めて同様の修正をしたものと理解することはできない。そうすると、第4次決。)、。 定は取消訴訟の対象となる行政処分には当たらないものというほかない以上の次第で、本件において、取消訴訟の対象となり得るのは、第1次決定(ただし、第2次決定及び本件裁決による変更後のもの。以下同じ)。 であるということになる。 出訴期間徒過の主張について(2)本件においては、第1次決定の取消訴訟の出訴期間は、本件裁決があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条3項本文)ということになるのが原則である。 ところが、本件裁決が平成17年8月12日に行われ、そのころ、これが原告に通知されたと推認できるにもかかわらず、平成18年4月10日に本訴が提起されたものであるから、この点のみをとらえれば、行政事件訴訟法14条3項本文の出訴期間を徒過してい われ、そのころ、これが原告に通知されたと推認できるにもかかわらず、平成18年4月10日に本訴が提起されたものであるから、この点のみをとらえれば、行政事件訴訟法14条3項本文の出訴期間を徒過しているといわざるを得ない。 しかし、本件裁決には、行政事件訴訟法46条により取消訴訟等の提起に関する事項の教示が必要であるにも関わらず教示がなされていないことに加え、第4次決定において、これが本来取消訴訟の対象とならず、本件裁決から6か月以内に第1次決定の取消訴訟を提起しなければならないところを、第4次決定に不服がある場合には第4次決定の通知を受けた日か- 14 -ら60日以内に審査請求するか、あるいは6か月以内に取消訴訟を提起できる旨の誤った教示がなされ、これを受けて、原告が第4次決定の通知を受けた日から60日以内である平成17年12月20日に審査請求をした(甲18、甲34)上で、本訴を提起している(なお上記審査請求は本訴提起後の平成18年6月22日付けで棄却されている。甲34)ことに照らすと、原告は、その教示にしたがって第4次決定の審査請求をすることにより、不開示処分の取消しを求めることができるものと誤解したことがうかがわれ、そのように誤解したことはやむを得ないというべきであり、原告には行政事件訴訟法14条3項ただし書きの「正当な理由」があるというべきである。 小括(3)以上によれば、本件訴えのうち、第2次決定の取消しを求める部分、第3次決定の取消しを求める部分、及び第4次決定の取消しを求める部分の訴えはいずれも不適法であるといわざるを得ない。そして、第1次決定において不開示とされた部分(文書1、2、5、6、8、9、10、11、15の各不開示部分)が本案の判断の対象となる。 なお、被告は、第1次決定のうち、①最初に開示された部分(文書1 そして、第1次決定において不開示とされた部分(文書1、2、5、6、8、9、10、11、15の各不開示部分)が本案の判断の対象となる。 なお、被告は、第1次決定のうち、①最初に開示された部分(文書1、3、4、6の各開示部分、②第2次決定によって取り消された部分(文)書6ないし10の各開示部分、③本件裁決により取り消された部分(文)書11ないし15の各開示部分)については、その取消しを求める訴えの利益が存しない旨主張するが、前示のとおり、原告の本件取消請求は、一連の決定によってもなお不開示とされた部分の取消しを求める趣旨であると解することができるから、被告主張の上記①ないし③の部分はそもそも取消請求の対象外というべきであり、この点に関する被告の主張は採用することはできない。 本案の判断- 15 -原告は、文書6、8、11、15の各不開示部分以外の点(以下「本件争点以外の不開示部分」という)については争っていないし、本件争点以外。 の不開示部分については、取消しの対象となるような違法性は認められないから、以下、文書6、8、11、15の各不開示部分の適法性について検討を加える。 文書6(甲8)及び文書8(甲6)について(1)ア被告は、文書6及び文書8の不開示部分には、電波障害対策における個人の姓を冠した対象家屋名及びその住所が記載されている旨主張しているところ、この事実はそのとおり認めることができる(この点は、原告も明らかに争っていないし、甲6、甲8の体裁や開示された記述との対比によっても認めることができるところである。 。)イ法5条1号該当性について文書6および8の不開示部分は、それ自体として個人を識別することができる情報であり、法5条1号本文に該当することは明らかである。 ウ原告主張についての検討原告は、電波障 法5条1号該当性について文書6および8の不開示部分は、それ自体として個人を識別することができる情報であり、法5条1号本文に該当することは明らかである。 ウ原告主張についての検討原告は、電波障害対策の補償を受けることができるかどうかを判断するための情報は、法5条1号ロの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当する旨主張する。しかし、法5条1号ロは、不開示とすることにより保護される利益と開示することにより保護される利益とを比較衡量し、後者が優先する情報をいうものと解されるところ、電波障害対策工事が施工された家屋が存在することや、その対象地域に関する情報(これらは開示された情報である)に加えて、工事がされた家屋に居住する個人名や。 具体的な住所が明らかにされなければ原告が補償を受けられるかどうかの判断ができないのかどうかは疑問であり、本件において原告の主張する利益が、個人識別情報を不開示とすることにより保護される利益に優- 16 -越するような利益であると認めるのは困難である。したがって、原告の主張は採用することができない。 文書11(甲16)について(2)ア被告は、文書11の不開示部分には、①協定を締結した個人の住所、氏名及び印影のほか、②処分行政庁が日照を保証した対象者(4項、)、(、③排水溝テレビ用アンテナ・ケーブル配線及び柵の各設置位置7項8項及び10項)が記載されていること、また、④位置・構造図面及び日照形態・日照時間を明示した図面(11項、本件図面1ないし4)の一部が不開示となっているが、全部不開示となった本件図面1には、協定締結者の印影(割印)のほか、既存建物と新建築物の平面及び立面の輪郭を図示した上で、隣接地に対する地面の高さ、5階建て部分の1 )の一部が不開示となっているが、全部不開示となった本件図面1には、協定締結者の印影(割印)のほか、既存建物と新建築物の平面及び立面の輪郭を図示した上で、隣接地に対する地面の高さ、5階建て部分の1階建設範囲の公道地境、北側地境及び西側地境からの距離、並びに新建築物の高さがそれぞれ記載され、全部不開示となった本件図面2には、協定締結者の印影(割印)のほか、各日照保証対象者の家屋の形状を図示した上で、当該各家屋につき、2000年(平成12年)12月21日の午前8時、午前10時、午後0時、午後2時及び午後4時の各時点において、新築建物の影となる部分が図示され、本件図面3および4については、協定締結者の印影(割印)が不開示となっている旨主張しているところ、この事実はそのとおり認めることができる(この点は、原告も明らかに争っていないし、甲16の体裁等からも推認することができるところである。 。)イ法5条1号該当性についてア文書11の不開示部分である前記①は、それ自体として個人を識()別することができる情報であり、法5条1号本文に該当することは明らかである。 イ前記②ないし③については、それ自体として個人を識別すること()- 17 -、、ができる情報ではないがそれぞれ他の記載と併せてみることにより、協定を締結した個々人の全部又は一部を特定・識別し得るものであり「その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む(法5条1号本文)に該当する。 。)」ウ前記④のうち、本件図面1及び2については、いずれも、本件裁()決及び第4次決定において全部不開示とされたものであるところ、本件図面1及び2の記載内容からすれば、協定締結者の する。 。)」ウ前記④のうち、本件図面1及び2については、いずれも、本件裁()決及び第4次決定において全部不開示とされたものであるところ、本件図面1及び2の記載内容からすれば、協定締結者の印影以外の記載内容については、協定対象者の家屋と新建築物(宿舎)との位置関係、、、や対象家屋自体の形高さ等が明らかとなる性質のものであるから協定対象の家屋、ひいては当該対象者個人を識別することが可能となる情報であるといえる。また、協定締結者の各印影についても、文書11の記載によれば「A病院看護婦宿舎」の近隣住民の印影である、ことが当然に推測されるのであるから、協定締結者個人を識別することが可能となる情報であることは明らかである。したがって、本件図面1及び2については、協定締結者の印影はもちろん、その記載全体がその他の記述等により特定の個人を識別することができるもの他「(の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む(法5条1号本文)に該当する。 。)」前記④のうち、本件図面3及び4については、いずれも、本件裁決及び第4次決定において、協定締結者の印影(割印)が不開示とされているところ、これが「その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む(法5条1号本文)に。)」当たることは既に説示したとおりである。 ウ原告主張についての検討- 18 -原告は、文書11のうち本件図面1および本件図面2の内容は「近、隣にお住まいの皆様へ」と題する書面(甲20、甲26)で公にされているのであるから、これらの図面の不開示部分については「法令の規、定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定され 近、隣にお住まいの皆様へ」と題する書面(甲20、甲26)で公にされているのであるから、これらの図面の不開示部分については「法令の規、定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報(法5条1号イ)に該当する旨主張する。しかし、法5条1号イ」にいう「公にされている情報」とは、現在何人も知りうる状態におかれている情報をいうところ「近隣にお住まいの皆様へ」と題する書面の、内容は、当該書面を配布された限られた対象者しか知り得ない情報であり、いまだ何人も知り得る状態におかれていると評価することはできないし、また、これが法令又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報に当たるとする根拠もないといわざるを得ない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 なお、原告の主張のうち法5条1号ロ該当性の主張については採用できないことは既に説示したとおりである。 文書15(甲17)について(3)ア被告は、文書15の不開示部分には、ケーブルテレビ配線経路の一部が記載されている旨主張しているところ、この事実はそのとおり認めることができる(この点は、原告も明らかに争っていないし、甲17の体裁等からも推認することができるところである。 。)イ法5条1号該当性について文書15の不開示部分は、それ自体として個人を識別することができる情報に当たらないものの、他の記載と併せみることによりケーブルテレビ配線が設置された各建物を特定し、ひいては特定の個人を識別することができることとなるのであるから「その他の記述等により特定の、個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む(法5条1。)」- 19 -号本文)に該当する。 ウ原告主張 り特定の、個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む(法5条1。)」- 19 -号本文)に該当する。 ウ原告主張についての検討原告の法5条1号ロ該当性についての主張は採用できないことは既に説示したとおりである。 したがって、文書6、8、11、15の各不開示部分については、いず(4)れも法5条1号の個人識別情報に該当し、原告の主張する同号ただし書きの例外的開示事由の該当性を認めることはできないから、これを非開示とした第1次決定は適法であると認められる。 第4 結論 以上によれば、本件訴えのうち、第2次決定の取消しを求める部分、第3次決定の取消しを求める部分、及び第4次決定の取消しを求める部分の訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、原告のその余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部鶴岡稔彦裁判長裁判官古田孝夫裁判官- 20 -潮海二郎裁判官- 21 -(別紙)処分目録 第1次決定東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成14年10月9日付けで通知した行政文書開示決定(14東社局会第1400号) 第2次決定東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成16年3月31日付けで通知した行政文書開示決定(16東社局会第514号) 第3次決定東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成16年11月15日付けで通知した行政文書開示決定(16東社局会第1777号) 第4次決定東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成17年11月4日付けで通知した行政文書開示決定(17東社局会第1725号) 付けで通知した行政文書開示決定(16東社局会第1777号) 第4次決定東京社会保険事務局長が、原告に対し、平成17年11月4日付けで通知した行政文書開示決定(17東社局会第1725号)
▼ クリックして全文を表示