平成9(ワ)4032 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年6月20日 名古屋地方裁判所
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判決文本文52,461 文字)

主文 1原告の請求をいずれも棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求1原告と被告財団との間で,同被告が原告に対してした,①平成6年4月1日付け業務命令による専門調査担当としての就労義務,②平成11年4月1日付け業務命令による管理部業務課・社会教育普及担当としての就労義務がいずれも存在しないことを確認する。 2被告らは,原告に対し,連帯して,500万円,及び内金300万円に対する平成9年11月1日から,内金200万円に対する平成14年2月14日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,①後記1(3)(4)の各業務命令(以下,それぞれ「本件第一業務命令」,「本件第二業務命令」といい,一括して「本件各業務命令」という。)の無効を主張して,被告財団との間で本件各業務命令による就労義務の不存在確認を,②本件各業務命令及びその他の行為に基づく後記2(1)イの人格権,労働権侵害を主張して,被告らに不法行為による慰謝料の連帯支払を,それぞれ請求する事案である。 1争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実(1)当事者ア被告財団は,平成2年5月1日に設立された財団法人であり,名古屋港水族館(以下「本件水族館」という。)を運営している。 被告Aは,被告財団の専務理事で,本件水族館の館長である。 イ原告は,平成2年5月1日に被告財団に採用されて,本件水族館に勤務している者で,本件第一業務命令当時,飼育展示部飼育展示課主査として後記(2)アの同課1系の飼育展示を担当していた。 原告は,平成8年2月にB労働組合傘下の労働組合であるCに加入した(甲116,124)。 (2)本件水族館の体制等ア本件水族館は,平成4年10月に開館したが,管理部(総務課,業務課)と飼育展示部飼育展示課)があり,本 にB労働組合傘下の労働組合であるCに加入した(甲116,124)。 (2)本件水族館の体制等ア本件水族館は,平成4年10月に開館したが,管理部(総務課,業務課)と飼育展示部飼育展示課)があり,本件第一業務命令当時,飼育展示課には1ないし3系があって,1系が「日本の海」,「深海」等の,2系が「赤道の海」等の,3系が「南極の海」等の常設展示(以下本件水族館の展示や水槽名は鍵括弧書で示す。)を担当していた(乙2,13)。イ本件水族館の職員には,館長以下,順に,部長,次長,課長,副長,主査,主任,主事,師の9種類の職位が定められている(乙2)。 (3)本件第一業務命令(ただし,具体的な担当業務の内容に争いがある。)被告財団は,平成6年4月1日,原告を飼育展示部飼育展示課副長とし,専門調査担当を命ずる旨の業務命令をなし,原告は,伊勢・三河湾の動植物の調査(以下「本件専門調査」という。)及び特別展の担当となった(甲43)。 (4)本件第二業務命令(ただし,具体的な担当業務の内容に争いがある。)被告財団は,平成11年4月1日,原告を管理部業務課副長とし,社会教育普及(以「本件教育普及活動」という。)担当を命ずる旨の業務命令をなし,原告は,社会教育活動の企画,実施の担当となった(甲60,78)。 2争点本件の主な争点は,①権利濫用(後記(1)ア(ア)(イ))ないし不当労働行為(同ア(ウ))によ本件各業務命令の無効をいう原告主張の当否,②本件各業務命令及びその他の行為による不法行為の成否(同イ)である。 (1)原告の主張ア本件各業務命令の効力本件各業務命令は,以下のとおり,権利濫用であり(後記(ア)(イ)),不当労働行為であって(同(ウ)),無効であるから,原告には,これらに基づく就労義務がない。 (ア)本件第一業務命令について本件第一業務命令は, ,以下のとおり,権利濫用であり(後記(ア)(イ)),不当労働行為であって(同(ウ)),無効であるから,原告には,これらに基づく就労義務がない。 (ア)本件第一業務命令について本件第一業務命令は,以下のとおり,合理的理由もなく,原告から専門的な職務を含む広範仕事を奪取するほか(後記a),情報,資料から隔離し(同b),部下等から切り離し(同c),残業を奪取し(同d),責任体制から除外する(同e)などして差別を図るものであり,被告財団の権限を恣意的に濫用するものであって無効である。 a本件第一業務命令以前(以下後記eまでにおいて,単に「従前」という。),原告は,①飼育展示課1系の責任者として,「日本の海」,「深海」(本件水族館の開館前は「赤道の海」を含む。)の飼育展示に関する企画・管理や水族の入手を担当するほか,②水族の飼育全般にわたる予算の組立,物品の購入・管理,海水の入手,生物の運搬,飼育展示課職員全員の勤務表の管理,来館者への応対等多方面の業務を担当していたが,本件第一業務命令によって,原告の仕事内容は,極端に制限された。 原告は,従前から,1系の「日本の海」,「深海」の責任者として,伊勢湾,三河湾の水族の調査とその入手ルートの確立に努めていたのであって,本件専門調査は,上記業務のごく一部を取り上げただけの名目的業務にすぎず,本件第一業務命令は,原告の業務内容を厳しく限定するものである。また,同業務命令で指示された特別展は,従前事務職員が担当していたもので,専門性は不要であるし,原告には直属の部下も配属されず,予算規模も小さい上,特別展による冬場の集客という被告らの主張にも合理性がなく,原告の仕事を奪った事実を隠蔽するため付加されたものにすぎない。 本件第一業務命令による担当業務が閑職であることは,従前担当していた1系の予算が年間数 冬場の集客という被告らの主張にも合理性がなく,原告の仕事を奪った事実を隠蔽するため付加されたものにすぎない。 本件第一業務命令による担当業務が閑職であることは,従前担当していた1系の予算が年間数千万円の規模だったのに,同業務命令以後,数百万円程度になったことからも明らかである。 また,本件専門調査は,調査対象を水族館に展示するか否かにかかわらない一般的調査を意味するものと考えられるが,そのような調査は,サポート体制を持たない原告にとって実現不可能な業務であり,また,原告の申し出た底曳網漁船への乗船調査を被告Aが許可しなかったことなどからすれば,被告らの目的が徹底的に原告に仕事をさせないことにあるのは明らかであって,本件第一業務命令は,新たな業務命令としての実態を持たず,実質的に原告の仕事を奪い,見せしめにすることを目的とした違法,不当なものである。 そのほか,本件専門調査の内容は,本件水族館の現在の展示内容に沿ったものであるべきであ,また,調査担当者と展示担当者を一致させて,複数の職員に担当させるべきであって,原告だけに本件専門調査を命ずる必要性,合理性は全く存在しない。 b本件水族館には,研究団体や他の水族館等から水族館に関する多くの情報が送られてきており,従前これらの情報が,W協会などの技術研修会の案内文書のほか,水族の購入契約伺い文書等の館内文書を含む多数の文書として,原告にも回覧されていたが,本件第一業務命令以後,原告への回覧が停止された。これは,原告をないがしろにし,見せしめにするためのものである。 c従前,原告には最大で5名の部下がいたが,本件第一業務命令以後,1名の部下も配属され,他の職員から切り離される結果になった。 また,被告財団は,従前17名の飼育展示課職員がいた一つの部屋を,ボード板,本箱をついたて代わりにして区切 いたが,本件第一業務命令以後,1名の部下も配属され,他の職員から切り離される結果になった。 また,被告財団は,従前17名の飼育展示課職員がいた一つの部屋を,ボード板,本箱をついたて代わりにして区切り,原告の机のみを他の職員から遠く離れた部屋の一角に移動させた(その後,原告の抗議で,被告財団は,ボード板,本箱を撤去した。)。 d本件第一業務命令以後,被告財団は,原告の超過勤務や出張を極端に少なくして差別している。飼育展示課は業務が多忙なため,職員間の残業時間等のバランスを取るべきところ,同課のもう一人の副長であるDが膨大な超過勤務をしているにもかかわらず,原告は,本件第一業務命令によって仕事を奪われて,その結果,超過勤務等が極端に減少した。 e原告は,以下のとおり,本件第一業務命令以後,本件水族館の責任体制から除外されるなどたが,これは原告を名ばかりの副長とし,その職位をおとしめる措置である。 (a)本件水族館では,台風,高潮,地震,津波,火災,爆発等が生じた場合,非常配備が行われることになっているが,本件第一業務命令以後,原告は,非常配備の員数に入っているものの,責任体制からも連絡網からも外されてしまった(その後,原告とCの抗議で是正された。)。 (b)本件水族館では,夜間不慮の事故が発生した場合,就業時間外の復旧体制をとっており,従前,原告は,夜間緊急連絡体制の責任者の一人であったが,本件第一業務命令以後,連絡体制から外された。 (c)飼育展示課職員の勤務は,4週8休のローテーションが組まれており,従前,現場責任者である原告,D副長,E主査(当時-以下後記(ウ)まで同じ。)のいずれか一人が常勤し,同課の日常的な現場の責任を持つ体制になっていたが,本件第一業務命令以後,D副長,E主査の二人による責任体制がとられて,原告は,責任体制から外 時-以下後記(ウ)まで同じ。)のいずれか一人が常勤し,同課の日常的な現場の責任を持つ体制になっていたが,本件第一業務命令以後,D副長,E主査の二人による責任体制がとられて,原告は,責任体制から外され,課員名の記載欄にも名前が記入されなくなった。 (d)飼育展示課の予定表には,館長,副長,主査の確認押印(署名)欄があるが,副長の記入欄は一人分しかなく,D副長が押印する取扱いになっており,原告が押印を求められたことはない。 (e)従前,本件水族館では,原告と,被告A,D副長,E主査が参加して,ほぼ毎日,飼育部門の運営連絡会議が行われていたが,本件第一業務命令のころから,原告以外の上記3名だけで飼育部門等の運営・連絡事項などにつき適宜打合せをして,朝夕のミーティング等の会議の際,D副長,E主査から報告する体制になり,原告は,実質的に館内運営の体制から外された。 (f)本件第一業務命令後,本件第二業務命令までの間に原告が参加していた会議は,飼育展示課の朝夕の打合せ(朝はその日の班の責任者と主査以上),同課の全体ミーティング(月1回),本件水族館の主査以上が出席する定例会(月1回)のみであり,館長との連絡ミーティング(D副長やE主査が参加)や各班のミーティング(同人ら及び被告Aが参加)のほか,個別の水槽,施設の改良が必要な場合や,教育活動,機関紙発行及び調査等のために開催される会議からは排除された。 (g)平成7年ころから開催のボランティア研修懇談会・懇親会では,ボランティア活動担当の職員のほか,主査以上の総務,広報の事務関係者,主査以上の飼育展示課職員(施設担当の副長を除く。)に参加案内がなされたのに,原告には案内がなかった。 (h)平成8年度の特別展「魚のオスとメスの物語」で,被告Aは,D副長を来館者への対応者とし,また,平成9年度夏の夜間企画 施設担当の副長を除く。)に参加案内がなされたのに,原告には案内がなかった。 (h)平成8年度の特別展「魚のオスとメスの物語」で,被告Aは,D副長を来館者への対応者とし,また,平成9年度夏の夜間企画「夜の水族館」では,原告が同企画の責任者で,後記の日に出勤していたにもかかわらず,D副長と小串技師を,それぞれ平成9年8月5日と同月1日のマスコミ対応者に指名した。 (i)本件水族館の機関紙「さかなかな」の平成7年1月号と同年10月号に原告の文章が掲載された際,肩書を外して「飼育展示課F」とのみ記載された。これに対し,同紙の平成5年10月号と平成8年10月号にD副長の文章が掲載された際には,肩書を付けて「飼育展示課副長D」と記載されている。 (イ)本件第二業務命令について本件第二業務命令は,以下のとおり,その発令手続が適正を欠くだけでなく(後記a),合理的理由もなく,原告を閑職に追いやり,他の職員から隔離し,その専門性を否定するなど,原告を不当に差別するものであり(同b,d,e,f),また,従前の差別,隔離を続行し,拡大するものであって(同c,d),権利の濫用に当たり無効である。 a前記1(2)のとおり,本件水族館には,管理部と飼育展示部があり,管理部は,通常,一般事務部門の職員によって構成され,その大半がG管理組合からの派遣者であるのに対し,本件水族館の中心的業務を担当する飼育展示部は,専門職の職員で構成されているが,このような専門職たる飼育展示部の職員の管理部への異動は,過去被告財団になかった重大な配転であり,原告自身もこれまで就労したことがない未経験の業務への配転である。 また,専門職職員の場合,その業務を継続,累積することにより,更に専門性を高め,職責を十全に果たすことができるが,このような専門業務の継続は,職員にとっても水族館にとっ 未経験の業務への配転である。 また,専門職職員の場合,その業務を継続,累積することにより,更に専門性を高め,職責を十全に果たすことができるが,このような専門業務の継続は,職員にとっても水族館にとっても合理的な利益であって,法的にも保護されるべきものであり,現に原告自身や他の飼育展示課職員が専門的学術的な発見をしているし,また,このような研究調査活動の経験は,水族館の構成員に対する勧誘の根拠となっているから,上記のような配転命令の発令,内示前から本人の意向聴取,事前説明を行い,実質的に公平,公正な配転を行うべきである。 しかるに,実際には本件第二業務命令の手続は,内示から発令まで7日間しか置かず,原告の意向を聞かない,配転先が社会教育普及担当副長という新設部署なのに具体的な説明をせず,原告の抗議や是正申出にも答えないなど,公正,公平,適正であるべき配転手続を侵害するものであって,権利の濫用である。 b本件第二業務命令で指示された本件教育普及活動の業務の実態は,以下のとおり極めて限定された,専門性を否定するものであって,原告を差別,隔離するものである。 (a)本件教育普及活動は,社会教育活動と同義であり,他方,集客業務とは相対的独自性を有する業務と解すべきところ,本件水族館で,当初飼育展示課全体が担当していた社会教育活動の企画,運営等は,平成5年ころから同課の職員2名が特に担当するようになったが,依然飼育展示課に属しており,専門職で構成する独立の教育系の設置も構想されていた。一方,組織規程(乙2)上,社会教育活動の担当とされている業務課の行う講演会,特別展は,飼育展示課の協力なくしては実施困難であるなど,本件水族館における実際の社会教育活動は,飼育展示課の専門職職員と業務課の職員等との協同によって実施されていた。 しかるに,本件第二業務命令は 特別展は,飼育展示課の協力なくしては実施困難であるなど,本件水族館における実際の社会教育活動は,飼育展示課の専門職職員と業務課の職員等との協同によって実施されていた。 しかるに,本件第二業務命令は,両者の協同体制をとらず,独立の教育系という上記構想にも反して,原告を差別し,ただ一人事務部門に取り込み,飼育展示課の他の専門職職員から隔離して,交流の機会すら奪い去るものであって,被告財団の差別意思は,D副長やE主査に原告の約2倍から16倍の超過勤務をさせながら,原告にその一端も担わせないなどの不合理性からも明らかである。 (b)そして,本件第二業務命令以前(以下後記cまでにおいて,単に「従前」という。)に,業務課が担当していた社会教育活動に関する予算編成や対外的な広報宣伝,業者などとの窓口交渉その他の業務は,原告には一切命ぜられていない。 また,原告は,本件水族館開館前からのメンバーで,設立に深くかかわり,飼育展示課の専門職職員で,長年中間管理職を務めてきたにもかかわらず,従前から飼育展示課の職員が関与して行ってきた社会教育活動関係の業務のうち,ボランティア解説員の育成研修・磯の観察研修,タッチタンクやマイクロアクアリウムの解説指導,親子洋上セミナー,z町での子ガメ放流,ウミガメの保護繁殖活動の啓蒙解説,サマースクール・ウィンタースクールの開催,本件水族館の機関紙「さかなかな」の編集発行,内外での講演,名古屋港関連施設の観光宣伝紙「シーガル」への記事提供,特別展や企画展の計画・実施の協力,入館者の案内担当者「アクアフレンド」の指導・統括,ウミガメやペンギンに関する特別解説や講演,バックヤードツアーの企画・解説,観光展等の出展ブースでのQ&Aなどにも一切関与させられておらず,特に,組織表上,原告が現在在籍中の業務課に属することが明白な機関紙「 ンギンに関する特別解説や講演,バックヤードツアーの企画・解説,観光展等の出展ブースでのQ&Aなどにも一切関与させられておらず,特に,組織表上,原告が現在在籍中の業務課に属することが明白な機関紙「さかなかな」の発行や,原告の所掌事務(甲60)として従前記載され,あるいは現在明記されている本件水族館内外での講演や観光展等の出展ブースにおけるQ&Aからも排除されている。 (c)結局,従前,飼育展示課職員が関与していた社会教育活動関係の業務のうちで,本件第二業務命令以後,原告が関与しているのは,①本件水族館内外からの質問への対応のうち,同業務命令時に創設された「情報ルーム」におけるQ&Aの担当,②校外学習の一環である生徒の職場訪問(以下「学校からの水族館訪問」という。)に対する説明,③一般入館者に対する館内でのレクチャー,④館外でのレクチャー実施に関する調査だけにすぎず,それも,上記①以外の内外からの質問については,問い合わせ,求解説,情報提供への対応は,全部飼育展示課職員がしている。また,原告は,機関紙「さかなかな」の平成11年6月号に掲載された「水族館の生き物に関するQ&A」にも一切関与させられておらず,上記②の学校からの水族館訪問についても,その勧誘は行っていない。 (d)そして,原告の担当する上記(c)の業務も,同①の情報ルームでのQ&Aは,開催日が固定されておらず,本件水族館のホームページやリーフレットにも掲載されず,質問者のほとんどない日が大半を占めるなど,原告の経験と力量からすれば,役不足の状態にあり,また,これが被告財団の主張する入館者数の増加に結び付くものでないことも明らかであって,同業務は,原告を飼育展示課から放逐する方便として設置されたものである。 さらに,原告が担当している上記(c)②の学校からの水族館訪問や,同③の 館者数の増加に結び付くものでないことも明らかであって,同業務は,原告を飼育展示課から放逐する方便として設置されたものである。 さらに,原告が担当している上記(c)②の学校からの水族館訪問や,同③の入館者に対するレクチャーについては,原告に連絡もなく,他の職員が対応するという事態が発生しており,被告Aの容認の下で原告の担当業務が縮小,規制されていること,原告に対する差別が蔓延していることを物語っている。 (e)一方,本件第二業務命令後,原告が実際に担当している前記(c)の業務は,いずれも水族とその飼育・展示等に関する専門知識・経験を前提とするなど,その性質・内容が飼育展示課に本体を置くものであって,同課に所属して行うのが適切な業務であり,また,配置の継続性,安定性の点からしても,原告を,前記(a)第1段の教育,タッチタンク担当の職員2名が所属する飼育展示課へ配属する方が妥当であって,同課への配属が業務課への配属よりも合理性の高いことは明白である。 そして,原告が教育担当の上記職員らと同一の部署を構成すれば,前記(a)の独立の教育系の構想のほか,原告の職位が副長であること,経験・知識の多寡,年齢,従前の人事配置などからいって,原告がこれらの者の上司となる可能性が極めて高かったのであり,以上の措置をとらなかった本件第二業務命令は,原告の専門性を否定し,その隔離,解除を意図するものというべきである。 (f)以上のほか,原告には,本件第二業務命令のしばらく後になって,いわゆる教育委員会回りと旅行代理店回り(これに準じる会社,学校,組合等の各種企業,機関への訪問等を含む。以下同じ。)が指示されたが,①教育委員会回りは,単純な勧誘・集客業務であり,原告の所掌事項(甲60)である教育普及活動の一環としての学校,地域等での訪問に含まれず,本件第二業務命令か 訪問等を含む。以下同じ。)が指示されたが,①教育委員会回りは,単純な勧誘・集客業務であり,原告の所掌事項(甲60)である教育普及活動の一環としての学校,地域等での訪問に含まれず,本件第二業務命令から逸脱しているし,②旅行代理店回りは,同業務命令の発令時点にはなかったもので,いずれも本来原告に指示された本件教育普及活動ではなく,原告の専門職としてのプライドと経験を否定する業務であって,単なる集客業務を押し付けるものである。 また,原告の上記業務に対する上司らの監督指導も欠落しており,放置・無関心の状態にあるのであって,これは,上記業務が本件水族館にとってさしたる意味がなく,原告の専門性をないがしろにし,プライドを汚すために押し付けたもので,本件第二業務命令による差別を隠蔽しようとするものであることを物語っている。 c本件第二業務命令は,以下のとおり,原告を隔離し(後記(a)以下),専門性を劣化させる(同(g)以下)ことなどにより,本件第一業務命令等による従前からの差別を続行,拡大するものである。 (a)原告は,本件第二業務命令後も,依然として部下のいない一人職場に置かれているが,本件教育普及活動は,到底一人で実行できる業務ではなく,共同作業者も置かれていない。また,本件水族館で一人職場にいるのは原告のみであって,交替要員もおらず,この状態が本件第一業務命令から8年余りの長きにわたって継続しているが,これらは,原告を他の職員から隔離するためのものである。 (b)現在,原告は,本件水族館の主査以上で構成する会議(月1回)に出席しているが,業務課の社会教育活動全般を掌握させられていないため,同課全般の副長として出席しているものではなく,課長以上で構成するミニ定例会(週1回)や,常務,課長等が参加する企画会議,あるいは各課の課長,主査や飼育展示課の次 活動全般を掌握させられていないため,同課全般の副長として出席しているものではなく,課長以上で構成するミニ定例会(週1回)や,常務,課長等が参加する企画会議,あるいは各課の課長,主査や飼育展示課の次長,副長等が出席する毎朝のミーティングにも呼ばれたことがない。 また,原告は,業務課内で適宜開催されている会議には,平成13年2月までに3回呼ばれた以外,参加しておらず,原告が出席している同課の営業,広報の打合せでも,担当する本件教育普及活動関係のテーマが終了すると退席を求められている。 (c)原告は,本件第二業務命令以後も情報・資料から隔離されており,業務課全般に関する書類のほか,機関紙「さかなかな」など本件教育普及活動関係の資料も原告に回覧されていない。また,同課の他の課員の起案・作成した文書も,ほとんど原告に回覧されていない。 (d)原告は,組織規程(乙2)上,業務課副長として,「課の事務を分掌し,課長を補佐する」立場にあるにもかかわらず,その担当は,業務課の担当業務の一部である社会教育活動のごく一部にすぎず,同課の運営への関与も,資料・情報の提供や回覧も制限されており,組織規程で定められた立場から引き離されている。 (e)そのほか,業務課では,平成13年10月,業務課長でなく管理部長を原告の直属の上司とし,原告を相対的に業務課から外す内容の組織表が作成されて,深刻で陰湿な原告差別が横行している。 (f)原告は,本件第二業務命令から平成14年3月まで,約20名の職員のいる管理部事務室にいたが,飼育展示関係の職員は原告一人だけで,他はG管理組合関係の事務員であり,また,原告の机は,管理部長と業務課長に挟まれた監視状態で,村八分の体制にあった。平成14年4月以降は,本件水族館で原告だけが一人机のままで,副長たる原告の取扱の特別性が一層明らかに の事務員であり,また,原告の机は,管理部長と業務課長に挟まれた監視状態で,村八分の体制にあった。平成14年4月以降は,本件水族館で原告だけが一人机のままで,副長たる原告の取扱の特別性が一層明らかになっている。 (g)原告は,従前多数の調査研究を行い,専門書でも紹介されるなど,その専門性は,専門職としての評価,能力,実績にわたって高く,また,本件水族館の勤務に強い意欲を持っていたが,本件第二業務命令で専門外の職場に配転され,飼育展示の現場から遮断されて,情報の提供も受けられなくなっており,同業務命令は,原告の専門性を劣化,剥奪し,その将来性を破壊する重大な行為である。 (h) 本件第二業務命令は,飼育展示課外への異動で,原告がもはや専門職として仕事を続けられないと思わせる配置転換であり,差別的外形を拡大するものであって,被告財団に意見を持つ者に対するいじめが,更に見せしめとなっている。 (i)原告は,被告財団によって厳しい調査研究環境に置かれながら,研究発表や講演などの調査研究活動を行ってきたが,原告が雑誌サイアスの平成11年5月号において意見表明「「黒船の警告」に応えて幹部は無私に環境整備を」(乙30)を行ったのに対して,被告財団は注意をなし,また,原告が本件水族館での経験から「ペンギン水槽」のpH改善について発表(甲64)をしようとしたのを禁止したが,これらは不当で根拠がなく,原告の研究,発表の自由等を束縛するものである。 (j)Cなどが発行するニュース「名古屋港水族館で起きているおかしなこと」に対して,被告財団は,「著しく事実を歪曲し,偏見に満ちており,当局を誹謗中傷するもの」として,原告に注意を与えたが,これらは団交で取り上げられたことなどを記事にしたもので,事実の歪曲や誹謗中傷等はしておらず,その作成,配布を禁ずるのは憲法違反で 満ちており,当局を誹謗中傷するもの」として,原告に注意を与えたが,これらは団交で取り上げられたことなどを記事にしたもので,事実の歪曲や誹謗中傷等はしておらず,その作成,配布を禁ずるのは憲法違反である。 d被告財団の差別意思は,H総務課長が平成9年8月2日にした「館長は君を飼育展示として使う気がないから,君の残る道は相談役にでもなるか。」との発言や,原告が文書(甲119)を館外に持ち出した「就業規程違反」の件に対する事情聴取の際,I常務が平成12年5月9日にした「辞めてもらってもいい。」との発言,ないし上記の件に対する訓戒の脅し等から明らかであり,被告財団は,既に平成9年ころから本件第二業務命令を画策していたものである。 e現在,本件第二業務命令の理由の一つとされている無料入館者の増加対策という言い分は,①同業務命令の発令時点では告知されておらず,原告の所掌事項(甲60)に掲げられた内容と関係がないこと,②上記の根拠とされた愛知県の部監査は,実際には,無料入館者の増加対策というより,その原因の把握を求めているものにすぎず,同監査は,上記対策やそのための人員配置に関心がないのであって,被告財団は,監査結果をねじ曲げていること,③一般に大都市型水族館の入館者数は,開館時のラッシュ状況以後,次第に落ち着きながら一定の水準に推移するのが通常であって,特に問題とすべき現象ではないこと,④本件水族館にとって,より大きな問題は,入館者総数,特に有料入館者の減少とその対策にあるのは明白であり,また,それ自体は,本件教育普及活動プロパーの問題でないことなどに照らし,被告財団が本件第二業務命令の口実として後から捜し出してきたものであることが明らかであって,同業務命令には合理性がない。 fそのほか,本件第二業務命令では,原告に特命事項の処理を命ずるとされてい し,被告財団が本件第二業務命令の口実として後から捜し出してきたものであることが明らかであって,同業務命令には合理性がない。 fそのほか,本件第二業務命令では,原告に特命事項の処理を命ずるとされているが(甲60),一般にこのような特命事項の処理は,担当業務の性質や量から,あるいは時間的な要請があって他の業務から離脱させる必要がある場合には合理性があるが,同業務命令による業務はこれに当たらず,特命事項の処理という方式にも合理性がない。 (ウ)本件各業務命令の不当労働行為性について本件各業務命令は,以下のとおり,原告が本件水族館で働く職員を結集して労働組合を結成しようとしたことを嫌悪してなされたものであり,不当労働行為であって無効である。 a原告は,平成5年夏ころから,J愛知県本部と連絡を取りながら,職場の職員に労働組合結成を働きかけ,平成6年2月初めころまでには,飼育展示部の約4分の3を占める合計16名の職員から組合結成への賛同を得ることができた。そして,結成準備の最終段階で,y市立水族館で被告Aの部下であったE主査に労働組合加入の勧誘を行ったが,その直後から,それまで賛同を得ていた者らから,組合結成のやり方が民主的でないとか,組合結成を被告財団側に漏らしたのは原告であるなどの口実,あるいは根拠のない非難等に基づく攻撃が始まり,その結果,当初賛同していた職員らも離れてしまい,平成6年3月末には労働組合の話は立ち消えになって,結局,組合結成に至らなかった。 b本件第一業務命令は,被告財団が原告を他の職員から隔離することを図ったものであり,これは,被告財団が組合結成運動を嫌悪して,組合結成の中心人物であった原告が他の職員に近づかないよう差別し,見せしめ的な処遇を図った報復人事であり,不当労働行為である。 また,本件第二業務命令も,組合結成に対 告財団が組合結成運動を嫌悪して,組合結成の中心人物であった原告が他の職員に近づかないよう差別し,見せしめ的な処遇を図った報復人事であり,不当労働行為である。 また,本件第二業務命令も,組合結成に対する被告財団の継続的な嫌悪に基づく不当労働行為であって,無効である。 c本件各業務命令が,原告の組合結成に対する報復,見せしめを目的とした不当労働行為であることは,前記(ア)(イ)のとおり,これら業務命令が恣意的,不自然,不合理であり,併行して原告に対するいじめ・差別が行われるなど,原告を排除,孤立させるねらいであったと推認されることからも明らかである。 イ被告らの不法行為(ア)本件各業務命令及び前記ア掲記の被告財団の行為は,組合結成運動を嫌悪し,同運動の中心人物であった原告が他の職員に近づかないよう差別して,見せしめ的な処遇を図ったもので,原告の人格権,労働権を違法に侵害する不法行為(以下「本件不法行為」という。)であり,被告財団には,民法709条による損害賠償責任がある。 (イ)また,被告Aは,被告財団の専務理事として,職員の基本的な配置計画に関する事項などを専決事項とし,また,兼務する飼育展示部飼育展示課長として,所属職員の配置及び事務分担に関する事項,所属職員の超過勤務に関する事項などを専決事項としているが,本件不法行為は,被告Aの上記権限と指示の下に行われたものであって,同被告にも,民法709条による損害賠償責任がある。 (ウ)本件不法行為により,原告は,本件水族館での就労意欲やその専門性,将来性を否定され,また仕事らしい仕事がほとんどないため,精神的に針のむしろにさらされており,その圧迫により,不眠,就寝中のうわ言,精神的不安定,心電図異常などのストレス症状が出て,精神的に退職に追い込まれるような心境にあるが,かかる精神的苦痛に対す ,精神的に針のむしろにさらされており,その圧迫により,不眠,就寝中のうわ言,精神的不安定,心電図異常などのストレス症状が出て,精神的に退職に追い込まれるような心境にあるが,かかる精神的苦痛に対する慰謝料は,本件第一業務命令につき300万円,本件第二業務命令につき200万円を下らない。 ウよって,原告は,①被告財団との間で,本件各業務命令に基づく就労義務の不存在確認を,②被告らに対し,本件不法行為による損害賠償として,連帯して,前記イ(ウ)の慰謝料合計500万円,及びうち本件第一業務命令分の300万円に対する訴状送達日の翌日である平成9年11月1日から,うち本件第二業務命令分の200万円に対する請求拡張の書面の送達日の翌日である平成14年2月14日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ請求する。 エ後記(2)イの主張は,以下のとおり争う。 (ア)本件第一業務命令についてaDを殴ったのは,平成4年のことで,同人が原告の業務に割り込もうとしたのが原因であり,本件第一業務命令の根拠にはならない。 b実際には,本件専門調査が原告の差別のための閑職であったことは,後任のD副長の仕事ぶりや,同人が通常の飼育展示業務との併任であった事実からも明らかである。 (イ)本件第二業務命令についてa本件専門調査の中に,個々の生物の生活史の調査やモノグラフの作成が含まれていたこと,原告が本件専門調査を放棄したり,その事実を正当化したことはいずれも否認する。また,本件専門調査の作業やモノグラフの作成は,事実上進まなかったが,これは,前記ア(ア)a第4段のとおり,①被告Aの調査妨害や,②低学年の児童に高等数学の問題を解けと求めるように,量的,質的に到底原告一人ではできない業務を命じ,できないがゆえに閑職となる状態を押し付けたこと 記ア(ア)a第4段のとおり,①被告Aの調査妨害や,②低学年の児童に高等数学の問題を解けと求めるように,量的,質的に到底原告一人ではできない業務を命じ,できないがゆえに閑職となる状態を押し付けたことなど被告財団側に原因があるのであって,原告には責任がない。 b原告の自己過大評価やこれによる他の職員とのあつれきも否認する。原告は,各種論文発表や講演をし,本件水族館でも開館当時の諸準備,水族の入手,物品の購入等を含む広範な業務を行っており,過大評価はしていない。また,本件第一業務命令以後,原告と他の職員との間にあったのは,被告らによる差別であって,あつれきではない。 c①ニュース「名古屋水族館で起きているおかしなこと」は,CとK会の作成であって,原告は,同Cの決定に基づき,その一員として配布をしたにすぎない。②「黒潮大水槽」への潜水は,本来マグロ・カツオなど外洋性魚類を展示する同水槽に沿岸性のアジが交じっていたのを除去しようとしただけで,D副長の不許可は理由がない。③原告がメガネモチノウオの眼の異常を発見し,飼育展示課職員に伝えたが,死亡したことは,現在の同課の問題点を象徴するもので,正当かつ重大な批判であって,本件水族館側は,担当者が先に発見していたと口裏合わせをしている。④原告は,「ペンギン水槽」のpH低下防止に成功しており,被告らは,原告の調査・研究活動を違法に制限しているのであって,以上は,いずれも本件第二業務命令の理由にならない。 d社会教育活動に関して,展示生物の詳細な情報を求める意見が多く寄せられたことは否認する。仮に,そのような意見があったとしても,専門職職員である原告を配置する理由になるものではなく,広報・営業・集客の担当者が情報を提供した方が適切である。 e被告ら主張の新規入館やリピート入館の動機づけとは,結局,集客業務 があったとしても,専門職職員である原告を配置する理由になるものではなく,広報・営業・集客の担当者が情報を提供した方が適切である。 e被告ら主張の新規入館やリピート入館の動機づけとは,結局,集客業務にすぎず,本件第二業務命令で指示された本件教育普及活動本来の目的でも活動領域でもない。また,現在原告が担当している業務は,本件水族館が行っている社会教育活動のごくごく一部にすぎないのであって,原告に担当させたはずの同業務を切り縮める一方,単なる集客業務を押し付ける被告財団の行動は矛盾している。 (2)被告らの主張ア本件第一業務命令に関する確認請求の訴えの利益について本件第一業務命令は,①主査から副長への昇任と,②専門調査担当とするとの2個の法律行為が複合したもので,両者は相互に関連しており,不可分であるから,仮に上記②の部分が無効であるならば,これと密接に関連する上記①の部分も無効になるのでなければならない。 このような場合,請求の趣旨は,本件第一業務命令発令以前の飼育展示部飼育展示課主査であることの確認を求めるのが妥当であり,本来不可分な業務命令による就労義務の一部のみの不存在確認請求は不適法である。 イ本件各業務命令の効力について(ア)本件第一業務命令について前記(1)ア(ア)の主張は争う。従前,ラインの主査であった原告は,本件第一業務命令によりスタッフの副長となったものであり,原告が差別等と主張する内容は,以下のとおり両者の職務の差異に基づくものであって,差別等には当たらず,同業務命令も違法,無効ではない。 a本件水族館の入館者数については,開館当初のオープン人気が衰える開館3年目(平成6年)以降が問題であり,事前の調査でも,入館者の減少防止には,企画展示,イベント等の催しを工夫して,頻繁にマスコミに話題を提供できるような努力が必要で 館当初のオープン人気が衰える開館3年目(平成6年)以降が問題であり,事前の調査でも,入館者の減少防止には,企画展示,イベント等の催しを工夫して,頻繁にマスコミに話題を提供できるような努力が必要であると指摘されていた。そのため,被告財団においては,平成6年度以降の入館者の減少をくい止めるだけの事業の充実を図ること,及び冬場でも集客のできる企画の立案が緊急重要な課題であり,新たな集客策を講じることにしたが,その一つが特別展示体制の強化であった。 一方,開館当初は,未経験の業務への順応や技術の習熟,分担水槽の管理等の日常業務が最優先され,本件水族館の将来にわたる継続の必須条件である展示生物の確保については,未着手,未整理の部分が多く残されていた。すなわち,伊勢・三河湾海域の生物の生息状況を詳細に調査し,個々の生物の各成長段階を継続的に観察して,その中から新たな展示方法のヒントを見い出すとともに,展示生物を安価,安定的に確保し,供給経路を確立する必要性は,当初から理解されていたが,開館から1年半近くが経過して,管理,運営にも一定の安定が見られ,ようやく基礎的長期的な調査研究に取り組む余裕が生じてきたことから,平成6年度を迎えるに当たり,本件水族館では,個々の生物の生活史の調査や,これに基づくモノグラフの作成を含む本件専門調査に積極的に取り組むことにしたものである。 そして,本件専門調査の上記目的を達成するには,日常の飼育業務の片手間の取組では十分ではなく,一定以上の経験,知見を有する者が専従として当たらなければならないと判断された。 本件第一業務命令は,以上を背景としてなされたものである。 b本件第一業務命令による副長の職位は,課長補佐級であり,セクションにとらわれない,横断的かつ柔軟な業務執行を図ったものである。 また,当該職は,実務経験に裏 は,以上を背景としてなされたものである。 b本件第一業務命令による副長の職位は,課長補佐級であり,セクションにとらわれない,横断的かつ柔軟な業務執行を図ったものである。 また,当該職は,実務経験に裏打ちされた洞察力,企画力等が必要なことから,勤続期間,経験等を勘案し,人事考査面で若干の不安を残しつつも原告を任用したもので,対人関係面の意思疎通が不器用で,当時主査であったDを一方的に殴ったことがあるなど,同人に強烈な敵がい心を抱いているという原告の性格,適性も考慮している。 なお,本件専門調査への原告以外の職員の配置については,企画立案の段階では高度の洞察力,発想力等に負うところが大きく,実施段階になって初めて具体的事務作業が発生することから,必要に応じて,他の職員に当たらせることにしたものである。 c本件第一業務命令後,種々違法な行為がなされた旨の原告の主張は,以下のとおり,原告がスタッフ職の副長であるのを理解しないことに基づく誤解にすぎない。 (a)前記(1)ア(ア)aの主張について担当業務の変更で仕事内容が変わるのは当然であり,本件第一業務命令により仕事が極端に制限されたとの原告主張は誤りである。 本件専門調査は,水族館展示生物の収集,補給等に関する事実調査で,本件水族館の根幹と密接に関連する重要な業務である。また,特別展は,入館者が少なくなる冬場の時期の集客対策として実施するもので,その成果が本件水族館の収益に直結するものであり,専門性のほか,斬新な発想力,企画力を要求される業務である。 年間予算は,業務内容その他の要素によって異なるのは当然で,金額のみをもって業務の重要性を比較するのは妥当でなく,予算額が少ないから閑職であるということはできない。 (b)前記(1)ア(ア)bの主張について担当業務の変更で回覧資料に変化があるのは当然で ,金額のみをもって業務の重要性を比較するのは妥当でなく,予算額が少ないから閑職であるということはできない。 (b)前記(1)ア(ア)bの主張について担当業務の変更で回覧資料に変化があるのは当然で,送付資料は,飼育員室,図書室及び事務室に集められており,閲覧は自由である。 (c)前記(1)ア(ア)cの主張について専門調査担当として本件専門調査及び特別展を担当するのは原告1名で,部下は配置されていないが,適宜職員の協力,応援体制がとられており,他の業務に比べ重要性が劣ることはない。 原告の業務は,他の職員の業務とは異なり,かつ専門的なので,本来個室が望ましいが,余裕がないため,原告を大部屋に配置して,席の左隣りに保管庫とホワイトボードを置いただけであり,原告がこれを差別と主張したことから,保管庫等は移動させた。 (d)前記(1)ア(ア)dの主張について原告の超過勤務時間,出張回数は,平成4年度が超過勤務573時間,出張32回,平成5年度が同215時間と12回,平成6年度が同180時間と11回,平成7年度が同60時間と5回,平成8年度が同34時間と9回であるが,上司が原告の超過勤務,出張の申出を理由なく制限したことはないし,担当業務の変更で超過勤務等に変化が生ずるのは当然のことである。 (e)前記(1)ア(ア)eの主張について本件第一業務命令による専門調査担当の副長の職務は,定例的な日常業務から離れ,本件専門調査と特別展を行うことにより,上司と部下という縦の命令系統を持つ既存のライン型の組織では生み出し得ない成果をあげ,水族館機能を充実,強化することを期待して設けられたもので,ライン型組織の弱点を補完し,特定の専門的事項について助言,協力するというスタッフ的要素が強い職務であり,また,専門的な調査を行うことを職責としているため,日々飼育展 ことを期待して設けられたもので,ライン型組織の弱点を補完し,特定の専門的事項について助言,協力するというスタッフ的要素が強い職務であり,また,専門的な調査を行うことを職責としているため,日々飼育展示に携わる中で得られる情報に基づき行うことが要請されている業務が割り振られていないだけである。 なお,機関紙「さかなかな」における筆者の肩書は,特に編集方針がなく,適宜表示されていたようであるが,恣意的に原告の肩書を外したものではない。 (イ)本件第二業務命令について前記(1)ア(イ)の主張は争う。本件第二業務命令は,以下のとおり本件水族館の業務上の必要性に基づくものであって,権利の濫用に当たらない。 a原告は,本件第一業務命令で指示された個々の生物の生活史の調査やモノグラフの作成を含む本件専門調査の趣旨,内容及びその重要性を理解することができず,自己への過大な評価に比較して,担当業務を過小評価し,真剣に取り組まず,調査方法についての意見が被告Aに容れられなかったことなどをきっかけに,平成8年夏ころ以降,本件専門調査を放棄してしまった。 のみならず,原告は,独自の個人的見解により,自己の態度を正当化し,Cによるビラなどで,これを,事情を知らない被告財団の外部に対して公言したほか,①原告が担当者の制止に反して「黒潮大水槽」に潜水し,銛でアジを突こうとした問題や,②実際は,担当者の方が先に発見していたのに,自分がメガネモチノウオの眼の異常を発見したと主張して,他の飼育展示課職員らを批判した問題,③別の担当者がいるのに,自分だけで「ペンギン水槽」のpH管理に関する発表をしようとした問題などで,被告らや同僚など本件水族館側を一方的に批判・攻撃した。 原告の上記言動は,職場の人間関係を混乱させ,他の飼育展示課職員の離反を招いて,両者のあつれきは放置できないも る発表をしようとした問題などで,被告らや同僚など本件水族館側を一方的に批判・攻撃した。 原告の上記言動は,職場の人間関係を混乱させ,他の飼育展示課職員の離反を招いて,両者のあつれきは放置できないものとなった。また,本件専門調査の停滞も看過できなくなり,本件第一業務命令後5年が経過しても好転の見込がなかったため,原告を前記の担当から外し,D副長を後任に任命したものである。 b一方,被告財団では,組織規程上,業務課が社会教育活動等の企画,実施関係の事項を分掌しており,平成10年度には,入館者の増加を図るため,利用促進業務を行う要員を強化して一定の成果を収めたが,その過程で,本件水族館の展示生物などに関するより詳細な情報を求める声が多く寄せられ,水族に関し専門的な知識経験を有する者を配置する必要性が再認識された。 cそこで,副長職の7級7号給を支給している原告の専門知識を生かすことが可能な職として,本件教育普及活動担当を命じたものであるが,これは,本件水族館の利用促進活動の一環として,原告の技術的,専門的知識を活用して,広範な各層及び既入館者に対するきめ細かな情報提供を行うことにより,新規入館やリピート入館の動機づけを行うことを目的とするものであって,本件第二業務命令には,業務上の正当な必要性がある。 (ウ)不当労働行為の主張について前記(1)ア(ウ)の主張は争う。本件各業務命令は,原告の組合結成運動を嫌悪してなされたものではなく,不当労働行為に当たらない。 労働組合結成が不成功に終わったのは,結成の趣旨,目的が不明確であったことや,被告Aに対する原告の個人的対抗手段としての組合結成が疑問視されたこと,秘密厳守を主導していたはずの原告側のルートから情報が漏れるなど原告側の不手際が重なったことによるものであり,被告財団が働きかけをした事実は一切な の個人的対抗手段としての組合結成が疑問視されたこと,秘密厳守を主導していたはずの原告側のルートから情報が漏れるなど原告側の不手際が重なったことによるものであり,被告財団が働きかけをした事実は一切ない。 また,被告財団は,平成6年3月当時,組合結成に対する原告の関与を知らなかった。 ウ本件不法行為に関する主張は争う。 第3 当裁判所の判断1本件第一業務命令に関する確認請求の訴えの利益(前記第2の2(2)アの主張について)この点について,被告財団は,本来不可分な本件第一業務命令による就労義務の一部のみの不存在確認請求は不適法であると主張する。しかし,法律行為の一部に関する確認請求も,紛争解決に有効適切と認められる限り,確認の利益が肯定され,不適法とはならないというべきである。そして,被告財団が本件第一業務命令の有効性を主張している本件では,原告が,当事者間に争いのない自己の副長たる地位についてまで,その不存在を内容とする確認請求の趣旨を定立する必要はないというべきであり,原告の掲げる請求の趣旨をもって紛争解決に有効適切なものということができ,その確認の利益を肯定することができる。 なお,被告財団は,上記確認請求の趣旨としては,飼育展示部飼育展示課主査であることの確認を求める内容とすべき旨を主張するが,主査であることの確認請求が,主査としての権利の確認をいう趣旨であれば,そのような就労請求権が当然に認められるものではなく,また,主査としての義務の確認を請求する訴えは,特段の事情がない限り不適法というべきであって,いずれにせよ,被告財団主張の上記請求の趣旨が,本件紛争解決のために有効適切な内容とは認められず,前記主張は採用できない。 そこで,次項以下で本件各業務命令の効力等について判断することとする。 2判断の前提となる事実まず,本件各業務 求の趣旨が,本件紛争解決のために有効適切な内容とは認められず,前記主張は採用できない。 そこで,次項以下で本件各業務命令の効力等について判断することとする。 2判断の前提となる事実まず,本件各業務命令の経過をみるに,①前記第2の1の各事実,②甲2,3,5,6,9,15ないし30,32ないし36,46ないし52,60,61,65,67,78,79,81,85ないし88,98,99,105,106,116ないし120,125ないし129,133,140,143ないし146,152,169,171,176の1ないし4,182の1・2,183の1・2,185,190,191の1ないし5,195,③乙1ないし3,6ないし8,10ないし24,27ないし29,31,32,34ないし38,40ないし52,④証人L・同E・同Mの各証言,被告A本人尋問の結果のほか,弁論の全趣旨,⑤甲63,64,66,70,乙30,39の1ないし5の各存在,⑥いずれも後記採用できない部分を除く甲38,40,53,74,75,124,130ないし132,135,163,原告本人尋問の結果によれば,以下の事実が認められる。 (1)被告財団は,本件水族館を主体にした名古屋港に関する観光事業等の振興,社会教育・文化事業の普及等を主たる目的として,平成2年5月1日に設立された財団法人で,本件水族館の受託管理及び水族等の収集・飼育・保管・展示のほか,観光宣伝・観光客の誘致等の振興事業の推進や,水族等の保護・保存に関する調査研究等を主な事業内容としている。 (2)当初,被告財団には,就業規則がなく,①寄附行為(乙1)に,「理事長は,法人を代表し,法人の業務を統轄する。」との規定(同14条2項)があり,②組織規程(乙2)で,館長,部長,次長,課長,副長,主査,主任,主事,技師の9種類の職 く,①寄附行為(乙1)に,「理事長は,法人を代表し,法人の業務を統轄する。」との規定(同14条2項)があり,②組織規程(乙2)で,館長,部長,次長,課長,副長,主査,主任,主事,技師の9種類の職位を定めていたが,③後記(5)の原告採用後の平成2年5月23日,就業規程(乙8。以下「本件就業規程」という。)が制定されて,事務の引継ぎに関し,要旨,「職員は,異動等を命ぜられたときは,その命ぜられた日から7日以内に後任者又は所属長の指名する職員にその事務を引き継がなければならない。」(同23条1項)との規定が設けられた。また,④本件第一業務命令後の平成6年5月31日,事務決裁規程(乙7)が設けられ,理事長の決裁事項として,「課長及び副長の任免及び休職並びに懲戒に関すること。」(同3条)が,専務理事の専決事項として,「職員の基本的な配置計画に関すること。」,「職員(部長並びに課長及び副長を除く。)の任免及び休職並びに懲戒に関すること。」(同4条別表)が,常務理事の専決事項として,「職員の配置計画に関すること。」(同上)が,管理部長の専決事項として,「職員の配置及び事務分担に関すること。」(同上)が定められた。さらに,⑤被告財団には,従業員は,60歳に達した後,最初の3月31日に退職する旨の定年退職制度の定めがある(本件就業規程10条1項4号)。 (3)本件水族館は,愛知県,名古屋市,G管理組合の資金拠出で被告財団の肩書地に設立された,水族の収集・飼育・展示,水族に関する調査研究等を主な事業内容とする水族館で,昭和61年に水族館基本設計調査検討委員会が設置されて設立準備が具体化し,平成4年10月29日に開館した。 被告Aは,昭和30年にN大学を卒業後,文部教官助手等を経て,昭和41年にy市立水族館館長に就任し,平成元年まで勤めたが,上記水族館基 設置されて設立準備が具体化し,平成4年10月29日に開館した。 被告Aは,昭和30年にN大学を卒業後,文部教官助手等を経て,昭和41年にy市立水族館館長に就任し,平成元年まで勤めたが,上記水族館基本設計調査検討委員会の委員を委嘱されて,本件水族館の設立に関与するようになり,平成2年5月1日,被告財団の設立時に常勤の専務理事に就任し,開館以降,正式に本件水族館の館長となった。 (4)原告(昭和20年6月12日生まれ)は,昭和47年にN大学を卒業後,富山県x市立O水族館に採用され,昭和54年に同市役所水産課に転属して,平成元年に退職した。この間,原告は,「ズワイガニとベニズワイガニの雑種2代目の不稔について」等の論文発表や,富山湾での発光ゴカイの観察報告をしたりしたが,一方,上記水族館や市役所在籍当時,上司などと不仲であり,後記(5)の際の被告Aとのやり取りの中で,その不満をこぼしたり(甲75の2頁,乙21),後記(30)のとおり,水族館の技術向上には取り組まなかったとの文章を発表したことがあった(乙30,第8回口頭弁論・原告本人調書48頁以下)。 (5)原告は,被告Aがy市立水族館在籍当時に,同被告と面識を持ったが,いわゆる浜回り(海岸,港など漁獲等の現場に行き水産物の調査収集をすること)を得意としていたことから,同被告の推薦で,平成元年9月,当時の名古屋港水族館設立準備会から本件水族館設立に向けた水族収集等の調査を委託され,さらに平成2年5月1日,被告財団の設立時にこれに採用された(当時44歳)。採用時,原告の職種や勤務場所等を限定する内容の交渉は行われず,その趣旨の契約書等も作成されなかった。 採用後,原告は,最も早期のメンバーとして本件水族館の開館準備に従事し,当初は,後に担当した後記(6)の飼育展示課1系の分だけでなく,本件水族館 渉は行われず,その趣旨の契約書等も作成されなかった。 採用後,原告は,最も早期のメンバーとして本件水族館の開館準備に従事し,当初は,後に担当した後記(6)の飼育展示課1系の分だけでなく,本件水族館で展示する水族全般の入手のため各地の漁協等に出掛け,海水の搬入や物品の購入,飼育展示課職員全体の勤務表作成等にも関与していた。 (6)しかし,被告財団設立の平成2年5月1日当時,専門職職員は5名だけで,うち水族館の経験者は原告のみという状態であった本件水族館の飼育展示課も,同年10月1日,y市立水族館で被告Aの部下であったEが,平成3年4月1日,同水族館の主任技師であったDが採用されるなどして,次第に人的体制が整い,同時期,課内に1ないし3系が設けられて,原告,D,Eがそれぞれその主査となり,部下3,4名ずつを管理するようになった(1系が「日本の海」,「深海」等の,2系が「赤道の海」,「ウミガメプール」等の,3系が「南極の海」,「ペンギン水槽」等の常設展示や水槽の担当となった。)。また,上記の主査らの中では,DやEが現役の水族館員であったのに対して,原告は,昭和54年にO水族館を離れて以来,長期間水族飼育の現場から遠ざかっていたという不利な点があった。 (7)その結果,上記(5)のとおり多くが原告の関与の下に行われていた本件水族館の開館準備も,徐々にD,Eやその部下が担う場面が増え,例えば,平成2年には原告と部下のPらが担当していた高知県上の加江などからのマグロ,カツオの入手は,被告Aの指示で,平成3年度途中からDの担当に変更されて,同人がPらと実施し,原告は受入れ側の担当に回った(甲128,乙45の9月2日欄・10月12日欄)。また,海水の搬入も,平成4年3月ころDの担当に変更され,以前原告が作成していた飼育展示課職員の勤務表も同人の担当と し,原告は受入れ側の担当に回った(甲128,乙45の9月2日欄・10月12日欄)。また,海水の搬入も,平成4年3月ころDの担当に変更され,以前原告が作成していた飼育展示課職員の勤務表も同人の担当となったが,もともとプライドが高く,縄張り意識や後記(24)(31)のような序列意識の強い原告は,これを被告Aが自分から仕事を取り上げて,後から来たDらに任そうとしているものと考えて不満を抱き(甲135の4頁),平成4年には,ライバル視していたDを一方的に殴打し,「殴らなければ分からない人間には,殴るんだ。」と罵倒するという事件を起こし,被告Aに叱責されたが,謝罪しようとしなかった。 また,原告は,前記1系でクラゲの展示を担当していたため,開館後間もなく,被告Aから,飼育経験のあるDに飼育技術を聞くよう指示されたが,Dへの敵がい心や後記(23)のような秘密主義などから,これに従わずに,クラゲ飼育で定評のあるQ水族館にこっそり飼育技術を聞きに行った上,「私がここに来たことは,AやDには黙っていてください。」と頼んだこともあった(原告も上記依頼の事実を認める。-甲75の10頁)。 (8)以上のような経過の中で,本件水族館は平成4年10月29日に開館したが,入館者数は,平成5年度に290万9099人(うち無料入館者68万4122人-一部割引者を含む。以下同じ)という高い成績をあげたものの,以後,平成6年度197万8150人(同52万7843人),平成7年度181万0553人(同49万8122人),平成8年度157万2066人(同43万8239人),平成9年度139万9267人(同41万9883人),平成10年度137万3108人(同43万5580人)と推移し,平成10年度の無料入館者が前年に比べ若干持ち直したほかは,漸減傾向をたどったが,このような結 139万9267人(同41万9883人),平成10年度137万3108人(同43万5580人)と推移し,平成10年度の無料入館者が前年に比べ若干持ち直したほかは,漸減傾向をたどったが,このような結果は開館前から予想されており,前記水族館基本設計調査検討委員会からも,特別な企画展示等の催しを工夫し,頻繁にマスコミに話題提供できる運営努力が必要であると提言されていた。 (9)一方,開館後の本件水族館には,管理部(総務課,業務課)と飼育展示部(飼育展示課)が置かれ(ただし,当初のみ別組織),管理部が,G管理組合からの出向者で占められていたのに対して,飼育展示部の職員は,ほとんどが技師などの飼育展示関係の専門職職員であった。 そして,飼育展示課には,前記(6)の常設展示を担当する1ないし3系と,電気・機械等の担当部署が置かれ,1ないし3系は,開館当初それぞれ原告,D,Eが主査として責任を持っていたが,開館後しばらくした平成5年4月1日には,Dが副長に昇格し,原告は,Eとともに,その部下という立場に回った(Dは,併せて2系の主査も兼務した。)。 (10)また,原告を含む飼育展示課の専門職職員は,前記の常設展示のため,水族の飼育や水槽の管理など日常的な業務を行うばかりでなく,随時個別的に,地元伊勢湾,三河湾等や他の国内外に赴き,水族の調査や採集などを行う,いわゆる専門調査を実施していた(他の水族館,例えば,y市立水族館や石川県のR水族館などでも同様の専門調査が行われている。)。 さらに,本件水族館では,常設展示のほか,開館を記念して,毎年10月下旬から翌年2月まで特別展と銘打った企画展示を開催するほか,不定期的に企画展示を行っており(以下一括して「特別展」という。),組織体制上,その企画等は業務課の,企画運営は飼育展示課の担当と定められていたが( 年2月まで特別展と銘打った企画展示を開催するほか,不定期的に企画展示を行っており(以下一括して「特別展」という。),組織体制上,その企画等は業務課の,企画運営は飼育展示課の担当と定められていたが(甲26),現実には,実質的な責任者が一定せず,開館1周年の特別展は業務課が,平成6年春の企画展示は飼育展示課のE主査(当時-以下後記(22)まで同じ。)が担当して実施していた。 そのほか,被告財団と本件水族館の事業内容の一つである社会教育活動は,開館当初,飼育展示課全体の担当とされていたが,平成5年ころから,学校からの水族館訪問等で利用される「タッチタンク」(磯辺の生物等を入館者が手で触れるよう工夫された水槽)担当の職員2名が,これも担当するようになり,サマースクール等の実施やボランティアの指導などを行っていた。 (11)他方,開館後,飼育展示課職員の間では,いわゆる36協定や労災補償の手続が未整備な点や,業務上の意思決定の遅さなどの館内体制に不満が出ていたが,前記管理部の職員が出身母体のG管理組合の労働組合に加入していたのに対し,飼育展示課職員は労働組合に加入していなかった。 このような中で,原告は,自ら飼育展示課職員による労働組合結成を企画し,計画を本件水族館側に秘匿したまま,J愛知県本部の助言を得て,種々運動し,その結果,主に若手の飼育展示課職員の間に組合結成に対する関心が盛り上がって,平成6年2月中旬ころには第1回目の集会が,同月21日には第2回目の集会が,館外で秘密裏に開かれるようになった。 (12)しかし,原告が加入を目指していたJは,上記のG管理組合の労働組合とは別系列であったため,組合経験者のSから,既存組織の傘下に入るのと違い,相当の事務の負担があるなどの指摘が出た。 さらに,上記2月21日の集会で,当時秘密にしていた組合結成 G管理組合の労働組合とは別系列であったため,組合経験者のSから,既存組織の傘下に入るのと違い,相当の事務の負担があるなどの指摘が出た。 さらに,上記2月21日の集会で,当時秘密にしていた組合結成の動きが被告財団に発覚していた事実が判明したことに関し,実際には,次のように,原告側から情報が漏れていたにもかかわらず,原告が,「組合結成の計画は,ここにいる人達たちしか知らないことだから,今後このようなことがないように。」と,あたかも組合結成に消極的なEやSらが情報漏洩の犯人であるかのような発言をしたことから,これに対し,事情を知るTが,原告の依頼したJの役員がG管理組合の関係者(Tの父親)に組合結成の動きを知らせた事実を明らかにしたため,情報の秘匿を主導していたはずの原告側の失態が明白になって,参加者の原告に対する信頼は雲散してしまい,結局,組合結成の構想は,そのころ立ち消えになった。 原告は,その後平成8年2月ころに,単身Cに加入したが,上記の経過や後記(21)以下のような他の職員とのトラブルもあって,後に続く者は出なかった。 一方,飼育展示課の職員らは,平成13年以降になって,一部G管理組合からの出向者とともに,独自にU労働組合を結成したが,被告財団から格別の圧力,介入はなかった。 (13)ところで,本件水族館では,従前から調査研究の充実を目指して,V基金(通称「ウミガメ基金」。平成5年当時の残額約8億円)を積み立てており,前記(10)第1段のような専門調査などに使用されていた(そのほか,施設の改修や2期工事などにも使用された。)。 一方,本件水族館は,東海地域に所在しているものの,開館後,日が浅く,また,地元の水族に精通している専門職職員も多くはなかったため,前記(10)第1段のような個別的な専門調査にもかかわらず,伊勢湾や三河湾の 件水族館は,東海地域に所在しているものの,開館後,日が浅く,また,地元の水族に精通している専門職職員も多くはなかったため,前記(10)第1段のような個別的な専門調査にもかかわらず,伊勢湾や三河湾の動植物に関する調査,研究や専門的知識の蓄積は,十分といえない状態であった。 そのため,本件水族館では,被告Aを中心に,日常の飼育展示業務から独立した専門調査専従の担当者を置く構想が出ていたが,平成5年12月以降これが具体化し(第11回口頭弁論・D証人調書11頁,77頁),特に,地元伊勢・三河湾の動植物相(ハウナ・フロラ)を詳細に調査して,個々の生物の生活史を解明し,発見された諸事実を水族館の展示内容に反映させるとともに,調査結果をモノグラフ(生物の生活史を記載した論文)にまとめるという本件専門調査の計画が立てられ,開館後1年半が経過して,本件水族館の運営も軌道に乗った平成6年4月以降,実行することになった。 また,前記(8)のとおり,従前から,漸減傾向の入館者数に対して特別展等による集客,広報の必要性が指摘されていたが,この時期に,特別展の運営体制を見直し,展示内容を理解している専門職職員を専従の担当者に当てて,主に企画立案等を行わせるという構想が出てきた。 (14)以上のような経過で,平成6年4月から飼育展示課に,本件専門調査及び特別展の企画実施を行う専従の担当者を置くことになったが,前記(4)(5)認定のとおり原告が浜回りを得意としており,論文発表等の経験があったこと,一方,前記(7)のように勤務上ないし他の職員との協調性上,問題があったことも考慮して,被告財団は,原告を飼育展示課1系から上記業務の担当に異動させることに決め,同月1日,原告を飼育展示部飼育展示課主査から同課副長に昇格させるとともに,本件専門調査及び特別展の担当を命ずる旨の本 て,被告財団は,原告を飼育展示課1系から上記業務の担当に異動させることに決め,同月1日,原告を飼育展示部飼育展示課主査から同課副長に昇格させるとともに,本件専門調査及び特別展の担当を命ずる旨の本件第一業務命令を行った。 そして,被告Aは,同業務命令前後のミーティング時などに,自ら原告に,動植物相の調査やモノグラフ作成の意義,あるいはこれを通じた新しい展示内容の発見の重要性を説明した(少なくとも平成6年3月と4月1日に被告Aから説明があった事実は,原告も認める。-甲75の4頁)。 また,原告は,本件第一業務命令で,5級16号から7級7号に昇給したが,当時,前記(2)④の事務決裁規程が制定されておらず,上記配置転換は,同①の寄附行為上の理事長の権限に基づいて実施された。 (15)こうして,原告は,前記(13)第3段の内容の本件専門調査の担当となったが,同調査は,対象とする生物の種類や範囲,あるいは実施期間に制限がなく,当該生物を本件水族館で展示するか否か,有用な水族であるか等に直接かかわらない広範な一般的調査であり,また,前記の生活史の調査やモノグラフの作成には,専門知識のある者でも長期間を要するのが通常のため(そのような理由で専従の担当者が置かれたものである。),本件水族館全体の責務として,必要なら複数の担当者が引き継ぎながら,何年間にもわたって実施するのが当然とされる性質の職務であった(動植物相の調査等につき,原告も上記同様の特色・性格を認める。-第5回口頭弁論・原告本人調書30頁以下,第8回口頭弁論・同本人調書33頁以下,79頁以下等)。 (16)そして,本件専門調査と特別展の専従となった原告は,前記1系から離れ,一人屋外で調査活動を行ったり,館内で単独で執務することになり,日常の飼育展示業務は行わず,部下も配属されなくなった。一方, 16)そして,本件専門調査と特別展の専従となった原告は,前記1系から離れ,一人屋外で調査活動を行ったり,館内で単独で執務することになり,日常の飼育展示業務は行わず,部下も配属されなくなった。一方,従前の1系の職員は,D副長の下に配属され,「黒潮大水槽」など1系の展示等も同人が担当することになり(ただし,平成8年度から,Dは副長のまま飼育展示課全体の担当となり,Eが直属の主査になった。),これに伴って,旧1,2系の職員は一つの部屋に入り,原告の机も同所に配席されたが,他の職員らの机とは別に配置され,これらとの間に本箱等が置かれた箇所もあった。しかし,その部屋の中で原告の机の場所に行くのに格別物理的な困難はなく,また,前記(10)の教育担当の職員2名の机も,原告と同じ側の壁際にあって,原告だけが他の職員から離れた場所に配置されたというものでもなかった。 (17)一方,従前1系で展示,使用していた水族,物品等の購入代金等の金額は年間数千万円だったのが,本件第一業務命令後は,例えば特別展の予算は過去数百万円程度にとどまっていたなど,原告の管理する予算は,従前に比較して少額になった。しかし,実際には,原告は,後記(19)以下のとおり本件専門調査を活発に行わず,特別展の予算を積極的に要求することもなかった。 また,このころから,従前原告に回覧されていた水族の購入契約伺い文書などの館内文書や資料,あるいはW協会の技術研修会の案内文書など外部機関からの文書の相当部分が原告に回覧されなくなったが,他方,従前からこれら文書,資料は,回覧後,飼育員室,図書室及び事務室に集められており,本件第一業務命令後も,同じく自由に閲覧することができた。 (18)さらに,原告は,①従前,D副長,E主査とともに,そのうちのだれか一人が常勤して飼育展示課の日常的な問題に対処す 室に集められており,本件第一業務命令後も,同じく自由に閲覧することができた。 (18)さらに,原告は,①従前,D副長,E主査とともに,そのうちのだれか一人が常勤して飼育展示課の日常的な問題に対処するという現場の事実上の責任者的な立場にあったが,本件第一業務命令以後,D副長,E主査の二人だけで現場の問題を処理するようになって,上記のような立場から外れ,②従前,被告A,D副長,E主査とともに随時行っていた飼育展示課等に関する打合せや,飼育展示課の各種打合せ等には参加を求められなくなったものの,③同課の朝夕の打合せや全体ミーティング,あるいは本件水族館全体の主査以上が出席の定例会には参加を続けていた。一方,④原告は,本件水族館の非常配備や就業時間外の復旧作業の際の緊急連絡網等から外された。 そのほか,本件第一業務命令によって,飼育展示課の副長は,Dと原告の二人になったが,管理職らに回覧される同課予定表の確認欄の副長の部分は,従前どおり一人分のままであり,D副長がこれに押印していた。 (19)しかるところ,原告は,前記(7)のような縄張り意識などから,以上掲記の本件第一業務命令の結果や館内における自分の取扱い,及び後記4(2)カの原告主張に係る問題は,いずれも被告らが自分をないがしろにするものととらえて不満を募らせ,本件専門調査を真剣に進めなくなったが,さらに,平成8年10月ころ,原告がZ漁協の底曳網漁船に乗船して同漁協関係の水域を調査しようとしたのに対し(甲3の7項(3),甲53の16頁),被告Aから,このような漁船の収穫物については,水産市場に出さず廃棄した分を含めて各地の水産試験場に一定分類したデータがあるはずだから,いきなり漁船に乗る前に,まず,そこで予備的な調査をしてからにしたらどうかと言われたことに反発して,以後,完全に本件専門調査 ず廃棄した分を含めて各地の水産試験場に一定分類したデータがあるはずだから,いきなり漁船に乗る前に,まず,そこで予備的な調査をしてからにしたらどうかと言われたことに反発して,以後,完全に本件専門調査を放棄してしまった(乙21(特に34頁),第9回口頭弁論・被告A本人調書76頁以下,79頁,第8回口頭弁論・原告本人調書45頁,第17回口頭弁論・同本人調書22頁など。また,実地調査の前に上記のような予備調査を行う場合のあることにつき,第11回口頭弁論・D証人調書48ないし51頁)。 そして,原告は,専ら自分の個人的成果のためだけに調査を行うようになり,例えば,前記(15)のとおりの一般的調査であるため,本件専門調査の対象にもなり得る「コメツキガニの儀式化した闘争行動」について,平成10年ころまで観察調査を行い,学会で発表したにもかかわらず(甲191の5),その内容を本件専門調査に反映させることもなかった(なお,原告は,本件第二業務命令後,後任のD副長から成果物等の引継ぎを督促された際にも,簡略な書面(甲126)を交付しただけで,適切な引継ぎをしなかった。-第11回口頭弁論・D証人調書83ないし87頁)。 (20)一方,本件第一業務命令で命ぜられた特別展については,企画担当の原告に対し,他の飼育展示課職員等によるサポート体制がとられていたが,前記のような原告の協調性の問題や後記(21)以下のトラブル等のため,原告についてくる職員が減ってしまい(甲38のNo4の4項,第17回口頭弁論・原告本人調書39頁),また,平成7年の開館3周年記念特別展で展示していた魚類を死なせたことなどもあって,原告は,専任の担当者であるにもかかわらず,次第に特別展への関与が少なくなっていった。 そして,以上のような不活発な仕事ぶりのため,原告の超過勤務や出張も減ってし いた魚類を死なせたことなどもあって,原告は,専任の担当者であるにもかかわらず,次第に特別展への関与が少なくなっていった。 そして,以上のような不活発な仕事ぶりのため,原告の超過勤務や出張も減ってしまい,D副長やE主査よりも大幅に少なくなっただけでなく,本件第一業務命令以前の原告自身の実績と比べても,相当下回る超過勤務や出張しか申請しなかったが,これを上司に拒絶されたことはない。 (21)さらに,原告は,同僚やその他の本件水族館職員との間で,以下(24)までのようなトラブルを起こし,後記(25)のとおり上記の者らを含めた本件水族館の能力,体制等を対内的,対外的に非難,宣伝したため,原告と職員ら,特に飼育展示課職員との間には,極めて厳しい対立やあつれきが生じた。 すなわち,例えば,従前原告の担当していた「黒潮大水槽」は,本来カツオ・マグロなど遠洋性の魚類を展示する水槽であったのに,当時から沿岸性のアジが混入して問題になっていたところ,原告は,前記(16)のとおり同水槽の担当を離れた後の平成9年11月4日,D副長ら担当者の制止に反して,突然理由も言わずに同水槽に潜水して銛でアジを突こうとし,さらに被告Aの事情聴取も無視したばかりでなく,実際には,銛で除去する方法はD副長らが開発していたのに,さもこのとき自分が思い付いたかのように主張した(担当当時,原告は,カスミ網で除去を試みて失敗しており,上記銛は,アジの除去用にDらが用意していたものであった。-第10回口頭弁論・被告A本人調書104頁,第11回口頭弁論・D証人調書66頁)。 (22)また,原告は,平成10年5月ころ,実際には,担当の獣医師らが発見していたにもかかわらず,自分が先にメガネモチノウオの眼病を指摘し,そのおかげで,同魚が死なずにすんだと言い張り,これを本件水族館の体制の問題点と主 平成10年5月ころ,実際には,担当の獣医師らが発見していたにもかかわらず,自分が先にメガネモチノウオの眼病を指摘し,そのおかげで,同魚が死なずにすんだと言い張り,これを本件水族館の体制の問題点と主張して,Cとともに,同年6月以降一連の団体交渉で取り上げ,さらに,この件でE主査や柿添獣医師らが口裏を合わせ嘘をついたと主張して,同人らを団交の場で糾弾した(この点に関する獣医師らの記録は,乙51に抜粋のとおりであるが,原告が,自分の指摘は同年5月13日であったと具体的に主張し始めたのは,同号証が本訴に提出された後の甲175以降のことであり,原告の上記主張は容易に信用できない。)。 (23)さらに,原告は,自分の担当でなかった「ペンギン水槽」について,担当者が失敗したpH管理に成功したと主張して,同水槽で得られたデータを使って,平成10年9月ころ自分だけで研究発表を行おうとし,被告財団から本件水族館のデータを使用した一方的な発表は問題であると注意されたことを非難した(なお,原告は,このような発表は当然であるとか,「そもそもある新しい事項を発表する以前に担当者に相談すると,その担当者が知らなかったことでも既に知っていたかのように言い,発表できなくさせられることもあるのです。」(甲168の5頁)などと陳述しているが,一般に,自然科学の実験研究の分野では,新しい発見や有用な着想だけでなく,その基礎となる研究データ自体に関する優先権も同等に尊重される慣例があるというべきであり(当裁判所に顕著な事実),これを無視する原告の上記言い分は,同人の秘密主義と独断的傾向を示すものにすぎず,容易に採用することができない。)。 (24)そのほか,原告は,もともと序列意識が強く,冷静な議論が苦手な性格であったが,本件第一業務命令以後この傾向がひどくなり,議論や会議 傾向を示すものにすぎず,容易に採用することができない。)。 (24)そのほか,原告は,もともと序列意識が強く,冷静な議論が苦手な性格であったが,本件第一業務命令以後この傾向がひどくなり,議論や会議の中で自分が不利になると「バカヤロウ。」等の暴言を吐いて退席したり,また,自分より職位・序列が低いとみなしている者に比べて,劣位に取り扱われることが我慢できず,暴言や抗議を繰り返したりした(平成11年3月3日のミーティングにおける原告の乙32中の発言や,原告供述(第12回口頭弁論・同本人調書17頁,20頁以下等)に係る出来事は,その一例と考えられるが,さらに本件第二業務命令後も同様の状況にあると認められる。)。 (25)そのうえ,原告は,以上のような出来事を宣伝して,自己に有利な状況を作り出そうと図り,Cらと共同して,平成10年9月5日以降,館内等で,「名古屋港水族館で起きているおかしなこと」と題した一連のビラを配布し,第1号(乙39の1)に,要旨,「本件水族館では,館長と個人取引をしている者と個人面談を行わないために何も知り得ない者とが生まれてきました。」,「権利に群がる輩が徘徊している組織といえます。」,「館長は新水族館の建設の秘密保持を理由に事務側を丸め込み,文書管理の独占の強化を図っています。」などと記載したため,被告財団から,事実の歪曲と偏見に満ちた中傷であるとして,平成10年9月11日付けの文書(甲65)で注意を受けたが,さらにビラ配布を続け,例えば,匿名の記載ではあるが,D副長について,身体障害者であるのに超過勤務が一番多いとして,「仕事そのものより,お金への執着が見え隠れする。そのためにあらゆる手段を選ばないとしたら,都合のよい仕事や情報を事前に独占するとしたら,恐ろしい話である。」(乙39の4)などと,一方的な個人攻撃を行 事そのものより,お金への執着が見え隠れする。そのためにあらゆる手段を選ばないとしたら,都合のよい仕事や情報を事前に独占するとしたら,恐ろしい話である。」(乙39の4)などと,一方的な個人攻撃を行ったり,自分がいじめを受けたとして,「上司はいつも周りを,自分の意見に付和雷同する人たちで固めていました。事務所の外で,そういう人達を招待したり,プレゼントをあげたりと,いろいろ親切にしてやっていたようです。(立場や職務権限での運用も考えられます。公金を運用した場合はお金の出費もありません)」(乙39の5)などと,裏付けもない記載を羅列した。 (26)以上のような経過で,本件専門調査は,完全に停滞してしまった上,特別展に専従の担当者を置いたねらいもほとんど実現しなかった。さらに,原告と本件水族館の職員,特に飼育展示課職員らとの対立は深刻なものとなり,原告をそのまま飼育展示課に置いておくのは,同課にとって問題というべき状態になってしまった。 一方,平成10年11月には愛知県の監査があり,入場者数減少の問題が指摘され,その中で無料入館者の減少の問題も取り上げられたため,改めて教育委員会や代理店などを通じた集客,宣伝の重要性が見直されたが,被告財団では,上記のとおり飼育展示課に在籍させておけなくなった原告の能力を少しでも活用するため,展示物に関する知識を生かして,入館者からの質問に応答させたり,教育委員会回りや代理店回りの際に必要な説明をさせることにし,平成11年4月1日,原告を本件専門調査等の担当から更迭して管理部業務課副長とし,社会教育普及担当を命ずる本件第二業務命令を行い,原告は,このとき特命事項とされた社会教育活動の企画及び実施担当となったが,部下は特に配属されなかった。 (27)その後,原告は,本件第二業務命令と同時に新設された「情報ルーム」 件第二業務命令を行い,原告は,このとき特命事項とされた社会教育活動の企画及び実施担当となったが,部下は特に配属されなかった。 (27)その後,原告は,本件第二業務命令と同時に新設された「情報ルーム」で入館者の質問に答える,いわゆるQ&A担当を命じられて,これに不定期的に従事し,また学校からの水族館訪問や一般入館者に対し説明やレクチャーを行うほか,館外に出て,いわゆる教育委員会回りや代理店回りをし,本件水族館への入館者を募るとともに,相手方からの質問に答えるなどの業務に従事していたが,当初,教育委員会回りや代理店回りは所掌事項(甲60)に含まれていないと主張して行おうとせず,その後もこれら集客活動のスケジュールを提出しないなど消極的な態度に終始している(原告は,甲153,157等を提出して,多数の教育委員会回りをした旨を主張するが,原告本人の供述(第17回口頭弁論・同本人調書13頁以下)によれば,自ら報告書を書いたのは3件であると,報告書数に関するM証言の内容を認める一方で,その他は同行の業務課職員が報告書を出さなかったなどと責任転嫁を図っているが,反対趣旨のM証言に照らし,直ちに採用できない。)。 (28)一方,本件水族館では,従前から他の部署が相当量の社会教育活動関係の業務を受け持っており,例えば,①飼育展示課は,前記(10)第3段のサマースクールやボランティアの指導等だけでなく,親子洋上セミナー,ウミガメの保護繁殖活動の啓蒙解説,本件水族館内外での講演,内外からの質問に対する応答などの業務を,②業務課は,対外的な広報宣伝活動などを行っており,また,③飼育展示課と業務課とが共同して,特別展や企画展の計画・実施,機関紙「さかなかな」の発行などを行っていたが,これらは,本件第二業務命令後も,従前と同一の担当者が実施しており,原告は関与し ,また,③飼育展示課と業務課とが共同して,特別展や企画展の計画・実施,機関紙「さかなかな」の発行などを行っていたが,これらは,本件第二業務命令後も,従前と同一の担当者が実施しており,原告は関与していない。 (29)本件第二業務命令以後の原告の机は,平成14年3月までは管理部の全職員が入っている部屋の中に配席されており,副長として,管理職の机の並びの中の,管理部長と業務課長の席の中間に置かれていたが,同年4月以降は,飼育展示部と管理部が同一の部屋に入ったため,同所に移り,部屋の中央付近に一人机が与えられている。 また,前記(27)(28)のような勤務状況のため,本件第二業務命令以後の原告の超過勤務や出張は,やはり従前と大差ない程度の量であったが,同じく上司から超過勤務等の申請を拒否されたことはなかった。 そのほか,本件第二業務命令以後,通常の業務中に,原告が回覧物に関する不満を述べた形跡はない。 (30)一方,原告は,本件第二業務命令後,ますます本件水族館や一般の水族館の体制に対する反感を強めていき,館外では,一般向けの科学雑誌サイアス平成11年5月号に,「名古屋港水族館職員」の肩書を使って,「「黒船の警告」に応えて幹部は無私に環境整備を」と題する寄稿(乙30)を行い,その中で,①X水族館のY館長の実名を挙げて,要旨,「日本の水族館は数が多い割には研究発表が少ない。しかし,現在のこのような状態をつくってきたのは,Y氏ら,今の水族館を指揮している人たちである。彼らの多くは幾つかの共通点を持っている。水族館などの急速な建設期に遭遇し,若くしてトップにたった人が多く,お互いに決して仲が良くなく,競争のない派閥を作っている。」などと批判し,また,②文中では,過去前記(4)のO水族館に勤務していたことに直接触れぬまま,自分自身の水族館における経験 たった人が多く,お互いに決して仲が良くなく,競争のない派閥を作っている。」などと批判し,また,②文中では,過去前記(4)のO水族館に勤務していたことに直接触れぬまま,自分自身の水族館における経験として,要旨,「私が最初に経験したのは,上司のあらぬ方向からの妨害であった。」,「ドイツから送られた海藻を使う試みが成功しなかった際に,伊勢湾や三河湾で大人の顔の2倍くらいに成長するアナアオサを使ってはどうかと提案した。すると,「君はどうして人がやらないことを考えるのか,人がやらないにはやらない理由があるのだ。君の頭はおかしいのではないか」と暴言を吐かれた。」,「「新しいことはやらせない」「私より勉強してはいけない」「君は私よりものを知ってはいけない」というのが本音であろう。」,「職場内のそのような状況に晒されて「水族館の技術の向上の勉強なんかするものか」と思い,実際ほとんど取り組まなかった。自分のしたい研究の取り組みはすべて自宅で行った。」などと,事情を知らない一般人が読めば,本件水族館内の実話とも受け取れる記載をしたほか,水族館のボスに相談するのは危険な話で,権威付けの材料に利用されかねないなどと書き連ねたため,被告財団から,平成11年4月16日付けの管理部長名の文書(甲67)で厳重注意を受けたが,反省しなかった(なお,原告は,上記②はO水族館の出来事と弁明しているが(第8回口頭弁論・原告本人調書48頁以下),予備知識のない読者が同記載を直ちにそのように理解できるものではない。)。 (31)また,原告は,本件第二業務命令後も,館内で前記(24)と同様の態度をとっていたが,そのほか,平成8年度特別展の実績報告のため,平成9年2月28日付けで同名の文書(甲119)を起案したものの,報告結果のまとめ方や経過の記載が要領を得ず,自分より職位の低 同様の態度をとっていたが,そのほか,平成8年度特別展の実績報告のため,平成9年2月28日付けで同名の文書(甲119)を起案したものの,報告結果のまとめ方や経過の記載が要領を得ず,自分より職位の低いT技師など関係者から指摘されたため,ないがしろにされていると感じ(甲124の8頁),これを根に持ち,上記(30)冒頭掲記と同様の動機から,本件第二業務命令後に,上司の承認なく上記文書と指摘のメモ(甲120)を館外に持ち出し,平成12年4月28日の本件第10回口頭弁論期日に,自分へのいじめ等の証拠として提出した。 そのため,原告は,被告財団から事情聴取を受け,本件就業規程13条2項違反を理由として,同年5月10日付けの文書(乙35)で訓戒された。 (32)本件第二業務命令で原告が本件専門調査担当から更迭された後任にはD副長が就任し,前記(13)第3段の調査方針に沿って,イカナゴの生活史の専門調査(水産試験場等での予備調査を含む。)を行うほか,中部国際空港建設に伴って,同建設工事が伊勢湾の生物に与える影響等を調査している(第9回口頭弁論・被告A本人調書95頁,第11回口頭弁論・D証人調書48ないし51頁,58頁以下)。 一方,本件専門調査によるD副長の負担を軽減するため,被告財団は,同人の担当業務を,前記(16)の飼育展示課全体から,旧2系の更に一部である「ウミガメプール」だけへと減縮し,代わりにEを副長に昇格させて,飼育展示課の残りの業務を担当させ,不足を補わせた。 3被告財団の人事権等(1)次に,後記4以下の判断の前提となる被告財団の人事権についてみるに,本件就業規程中に直接これを定めた規定は見い出せないが,前記2(2)③のとおり,同23条1項には,職員が異動等を命ぜられたときは,一定期間内に事務の引継ぎ等を行うべき旨の定めがあり,本件就業規程 ,本件就業規程中に直接これを定めた規定は見い出せないが,前記2(2)③のとおり,同23条1項には,職員が異動等を命ぜられたときは,一定期間内に事務の引継ぎ等を行うべき旨の定めがあり,本件就業規程は,職員の配置転換の実施を含む被告財団の人事権を前提としていると解することができる。 そして,期限の定めのない長期雇用を前提とする場合,このような使用者の人事権の定めは,企業組織の柔軟性,発展性を確保するための方策として合理性,必要性があり,また,一般的にみられる社会的にも相当な規定であるところ,前記2(2)⑤の定年退職制度の内容のほか,同(1)(3)(5)認定の被告財団及び本件水族館の目的,事業内容や,採用時の原告の年齢(44歳)を考慮すれば,被告財団が特に短期の期限を定めて原告ら専門職職員を雇用したとは認められず,むしろ,長期間にわたる雇用を予定していたというべきであるから,本件就業規程の上記人事権の定めには,法的規範性を肯定するに足りる合理性が認められるというのが相当である。 一方,前記2(5)第1段認定の事実によれば,原告の採用前後に,当事者間に,その職種や勤務場所等を限定する特段の合意があったとは認められないから(原告から,その旨の主張もない。),原告と被告財団の労働関係には本件就業規程による前記人事権の規律が及び,結局,被告財団には,原告に対し配置転換等を行う人事権があるというのが相当であり,本件各業務命令は,上記人事権に基づいて実施されたと認めることができる。 なお,前記2(2)④のとおり,本件第一業務命令後に事務決裁規程で副長の任免を含む職員の配置計画及び事務分担に関する管理職の決裁権限が定められた経緯が認められるが,同規程は確認的な規定と解するのが相当であって,これから,上記認定の同業務命令に関する部分が左右されるものではない。 職員の配置計画及び事務分担に関する管理職の決裁権限が定められた経緯が認められるが,同規程は確認的な規定と解するのが相当であって,これから,上記認定の同業務命令に関する部分が左右されるものではない。 (2)そこで,使用者の人事権の限界につき,検討する。 上記のように,使用者の人事権に基づいて実施された配置転換の場合,これが無効となるのは,人事権の行使が権利濫用に該当する場合あるいは不当労働行為に該当する場合(ただし,本件各業務命令に関する不当労働行為の成否は,後記6で検討する。)などの無効事由が存在する場合に限られる。 そして,上記権利濫用の成否は,当該配置転換に関する業務上の必要性,合理性(以下一括して「必要性等」という。)と,これによって労働者の被る不利益とを相関的に比較衡量して決すべきものと解するのが相当であり,労働者は,当該配置転換によって自己が後記の不利益を被り,かつ,当該不利益の内容,程度を勘案すると,同配置転換には,その受忍を相当とするだけの業務上の必要性等が欠如していることを主張立証して,その効力を争うことができると解すべきである。 ところで,個々の労働者は様々な社会生活を営んでいるのであって,配置転換によって生ずるあらゆる社会生活上の変化がすべて労働者の被る不利益として法的保護の対象となり,当然に上記衡量の対象となるということはできない。そして,ある社会生活上の事象の変化が労働者の不利益として評価できるか否かは,第1次的には当該事象が客観的に有する社会的意義により決せられるものというべきところ,使用者と労働者の法律関係は,労働契約によって規律されるのであって,他の事項は直接の関連性を有しないから,この点を考慮すれば,労働者が被る不利益として上記衡量の対象となるのは,①賃金の減少や労働時間の延長,勤務場所の変更など労働条件そ よって規律されるのであって,他の事項は直接の関連性を有しないから,この点を考慮すれば,労働者が被る不利益として上記衡量の対象となるのは,①賃金の減少や労働時間の延長,勤務場所の変更など労働条件それ自体の不利益と,②通勤時間の増加や,配転後の職場で従前未習熟の業務分野への適応を要求されることなど労働条件に密接に関連する事項についての不利益が基本となり,そのほかには,③労働者自身や同居の家族の健康の保持,又は未成熟の子弟等の養育など,労働者が労働の提供をする上でこれに影響を与える社会生活上の不利益等の一定の社会的意義を有するものに限られるというべきである(以下,上記①ないし③に係る事項を一括して「労働条件等」という。)。 (3)また,使用者が,複数の労働者を雇用して異なる職位に就け,あるいは別個の業務に従事させている場合に,配置転換の都度,個々の労働者に従前と全く同一の労働条件等を付与することは困難であり,複数の労働者の労働条件等を相互に同等に保つことも事実上不可能である。 したがって,(a)配置転換後の労働条件等が,前記(2)①ないし③の点を考慮しても当該労働者に格別の不利益を与えるものではなく,配置転換前の労働条件等と同等の範疇に属すると認められる場合や,(b)配置転換が昇格昇給に伴うものであり,その前後で前記(2)①ないし③の労働条件等について多少の変動があったとしても,当該配置転換に伴う通常の職務内容等の変更にすぎず,当該昇格昇給の内容を考慮すれば,実質的に同等の範疇に属すると認められる場合には,(ア)当該配置転換は,全体として,労働者に格別の不利益を与えるものではないから,不当労働行為に当たるなど他の無効事由によってこれが無効になることがあるのはともかく,権利濫用に該当するか否かという点では,適法な人事権の行使であって,特段の事 格別の不利益を与えるものではないから,不当労働行為に当たるなど他の無効事由によってこれが無効になることがあるのはともかく,権利濫用に該当するか否かという点では,適法な人事権の行使であって,特段の事情のない限り,権利濫用に該当するものではないと解すべきであり,また,(イ)これに対し,労働者が,当該配置転換の必要性等の欠如を主張して,その権利濫用を根拠づけることはできず,使用者も,その必要性等を主張立証するなどの責任を負うものではないと解するのが相当である(このような,労働者に実質的な不利益を与えない配置転換についてまで,使用者に,その必要性等を立証する責任があり,又は労働者からなされる必要性等の欠如の主張に対し,反証の負担を負うとすれば,使用者に人事権が存在することの意義が容易に没却されてしまうことは明らかである。)。 そして,上記(a)(b)のように,配置転換後の労働条件等が全体として従前と実質的に同等の範疇にある場合には,当該配置転換によって,従前の個々の労働条件等との間に事実上何らかの格差を生じたり,他の労働者の労働条件等との間に個別的な差異が存する結果になったとしても,それだけでは直ちに労働契約上,考慮すべき不利益や差別があるとはいえないのであり,客観的な不利益や差別の結果が否定される以上,使用者の差別的意図等の不当な意思(不当労働行為意思については,不当労働行為の成否を検討する中で別途判断される。)の存在も否定されるのが通常である。したがって,配置転換後の労働条件等が全体として従前と実質的に同等の範疇にある場合には,労働者が,単に当該配置転換が使用者の差別意思等の不当な意思に基づくと主張するだけでは,前記特段の事情の主張には足りないというべきである。 (4)また,労働者には,当然に就労請求権が認められるものではないから,配置転 配置転換が使用者の差別意思等の不当な意思に基づくと主張するだけでは,前記特段の事情の主張には足りないというべきである。 (4)また,労働者には,当然に就労請求権が認められるものではないから,配置転換の結果,当該労働者の担当業務の範囲,内容が減縮されたり,権限が制限されたりしても,これら就労請求権に係る事情については,これが直ちに前記(2)①ないし③の労働条件等に係る不利益として利益衡量の対象になると解することはできず,上記事情から当該配置転換が権利濫用となることが当然に基礎づけられるものではないというべきである。 同様に,当該職位又は職務において掌握する部下の有無や人数,管轄する予算額,あるいは企業内外の各種会議・行事等への出席,さらには文書等の回覧や各種の連絡体制への参加など企業内外の情報や資料に対するアクセス等についても,労働者には,原則として,配置転換以前と同等の取扱いを要求する法的権利は認められないから,配置転換に伴ってこれら事項に生じた変更は,これが直ちに前記(2)①ないし③の労働条件等に係る不利益として利益衡量の対象になると解することはできず,かかる変更から当該配置転換が権利濫用となることが当然に基礎づけられるものではないというべきである。 そのほか,配置転換の結果,労働者が,自己の担当業務に対し有している主観的なプライドや愛着が損なわれたとしても,同様に前記(2)の利益衡量上,労働条件等に関して労働者の被る不利益に当たるとは認められない。 (5)さらに,使用者には,その自由な判断に基づき経営方針を立てて企業運営を行う経営権が認められるから,労働者の配置転換に関し,これと併せて,又はそれ以前に使用者が一定の経営上の決定を行い,これが当該配置転換の原因ないし縁由となっている場合においても,当該経営方針の適否等は,配置転換の効力 れるから,労働者の配置転換に関し,これと併せて,又はそれ以前に使用者が一定の経営上の決定を行い,これが当該配置転換の原因ないし縁由となっている場合においても,当該経営方針の適否等は,配置転換の効力とは飽くまで別個の問題にすぎないと解するのが相当である。 したがって,問題の経営方針が,その性質上,当然に当該労働者の契約上の地位に影響を及ぼす場合(例えば特定の営業所の廃止)や,それ自体違法であるなど特段の事情がある場合を除き,労働者は,当該経営方針の当否や必要性等の有無をもって,配置転換の権利濫用を基礎づける事情とすることができず,ただ当該経営方針の対象となる人員の選定の不当性など,その自己への適用場面に関してのみ,前記(2)掲記の業務上の必要性等の欠如などを主張できるにすぎないというのが相当である。 (6)そのほか,配置転換から相当期間の経過後など,これと異なる時期に行われた使用者の行為や労働者に対する取扱いなどは,それだけでは,直ちに当該配置転換と関連のある事情と認めることができない。 したがって,上記のような行為等は,配置転換当時から,これと一体として予定されていたなど特段の事情がない限り,その効力に影響を与える事情とはいえず,例えば,後刻なされたこれら行為等のために,さかのぼって当該配置転換の効力が否定されることはないと解するのが相当である。 4本件第一業務命令に関する権利濫用の成否(前記第2の2(1)ア(ア)の主張について)(1)以上に基づいて,本件第一業務命令の効力について検討するに,この点につき,原告は,前記第2の2(1)ア(ア)のとおり,同業務命令が自己に不利益な内容であって,合理的理由がなく,また,原告に対する差別意思など不当な目的に出たものであって権利濫用である旨を主張している。 しかしながら,①本件第一業務命令で原告に おり,同業務命令が自己に不利益な内容であって,合理的理由がなく,また,原告に対する差別意思など不当な目的に出たものであって権利濫用である旨を主張している。 しかしながら,①本件第一業務命令で原告に命じられた本件専門調査は,モノグラフの作成など一部高度に専門的な内容を含む点を別にすれば,前記2(5)(10)(13)認定のとおり,従前から随時飼育展示課で行っていた専門調査に類似する内容で,むしろこれを発展させた調査というべきであり,また,原告自身も,浜回りを得意とし,本件水族館の設立準備段階から各地の漁協等に出掛けており,論文発表の経歴等もあったというのであるから,同専門調査は,その内容,性質において,原告を含む飼育展示課の業務と隔絶するものではないというのが相当であり,原告が未経験の業務分野への習熟を強いられるなどの事情も認められない。次に,②本件第一業務命令に係る特別展も,前記2(10)のとおり,従前から飼育展示課において担当していた業務であって,組織体制上も,同課に企画運営の責任があったのであるから,飼育展示課の通常の業務中に含まれる内容,性質の業務ということができ,同課1系の主査である原告の担当業務に十分含まれていたというのが相当である。また,③本件専門調査と特別展の企画運営の勤務場所は,伊勢・三河湾の現地等か,本件水族館の館内であって,両者を併せて考えると,本件第一業務命令以後,従前より館外での活動の割合が多くなることはともかく,原告の勤務場所は,同業務命令の前後で特段の変更がされたものということはできないし,通勤時間等にも格別の不利益は認められない。さらに,④本件第一業務命令の結果,原告の職位が,飼育展示課主査から同課副長へと昇格し,給与も,5級16号から7級7号に昇給したことは前記2(14)認定のとおりである。 したがって は認められない。さらに,④本件第一業務命令の結果,原告の職位が,飼育展示課主査から同課副長へと昇格し,給与も,5級16号から7級7号に昇給したことは前記2(14)認定のとおりである。 したがって,以上によれば,本件第一業務命令は,原告の前記3(2)①ないし③の労働条件等につき,従前と大きく異なる不利益を与えるものではなく,上記昇格昇給も考慮すれば,原告の同業務命令後の労働条件等は,前記3(3)(b)に説示したように,全体として,従前の労働条件等と実質的に同等の範疇に属すると認めるのが相当であるから,他に前記3(3)の特段の事情の認められない本件においては,直ちにこれが被告財団の権利の濫用になるものではないというべきである。なお,原告が,被告財団に差別意思など不当な目的がある旨を主張するだけでは,上記特段の事情を基礎づけることができないことも前記3(3)で説示したとおりである。 (2)そして,この点に関する原告の主張は,これを個別に検討しても,以下のとおり,いずれも採用することができない。 アすなわち,まず,原告は,前記第2の2(1)ア(ア)aにおいて,従前,本件水族館の水族の飼育全般にかかわる広範な業務を担当していたが,本件第一業務命令によって閑職に追いやられ,差別されている旨を主張しており,甲45,53,74,75,135,163と,原告本人の供述中には,①本件水族館の設立準備などは,ほとんど自分と部下が実施しており,自分は,飼育展示課全体の水族の入手や,海水・器具の購入等の広範な業務を担当していた,②Dらは,これに途中から割り込んできたものであり,例えば,前記2(7)のマグロ・カツオの入手業務は,平成5年4月になってDの担当に変更されたにすぎないのに,同人は,それ以前の平成3年夏か秋ころから,自分の業務に割り込みを図っていた,③前記 であり,例えば,前記2(7)のマグロ・カツオの入手業務は,平成5年4月になってDの担当に変更されたにすぎないのに,同人は,それ以前の平成3年夏か秋ころから,自分の業務に割り込みを図っていた,③前記2(7)のDに対する殴打も,同人のマグロ等に関する割り込みが原因である,④前記2(7)のクラゲの飼育展示は,実際はDの担当であり,Q水族館にクラゲの飼育技術を聞きに行ったのは,被告Aの指示を無視した結果ではなく,自分の勤務態度に問題はない,⑤被告Aは,平成8年10月ころ,自分の申し出た底曳網漁船への乗船調査を拒絶しており,実際には,自分に本件専門調査を行わせるつもりがなかったなどの部分がある。 また,原告は,前記第2の2(1)エ(イ)a②のとおり,本件専門調査は,量的,質的に到底一人ではできない業務であり,それゆえに閑職に当たるなどとも主張している。 イしかしながら,そもそも原告に就労請求権がなく,本件第一業務命令によって原告の担当業務の範囲,内容が減縮されたり,権限が制限されたりしても,そのこと自体が当然に同業務命令に関する権利濫用の成否に影響を与える事情となるものでないことは,前記3(4)に判示したところから明らかであって,原告の上記主張は直ちに採用することができない。 ウのみならず,当初,原告が本件水族館の設立準備活動の大半に関与していたが(当時現場には原告しか水族館経験者がいなかったのであるから,これはむしろ当然の状況というべきである。),飼育展示課の体制が充実するにつれ,D,Eやその部下らの担当業務が増加していった経過は,前記2(5)ないし(7)のとおりであって,例えば,Dが平成3年度途中から正規の命令を受けて前記ア②のマグロ・カツオの入手や海水の搬入の業務に従事していたことは,前記2(7)掲記の証拠や,復命書(乙37,38),旅行 7)のとおりであって,例えば,Dが平成3年度途中から正規の命令を受けて前記ア②のマグロ・カツオの入手や海水の搬入の業務に従事していたことは,前記2(7)掲記の証拠や,復命書(乙37,38),旅行命令簿(乙42,43)の記載により十分裏付けられる事実であり,前記ア①②の内容は直ちに採用できず,かえって,甲130ないし132の記載からは,平成4年以降,原告の方が,Dの担当になったマグロ・カツオの入手業務に介入しようと腐心していた形跡がうかがえる。 また,マグロ入手業務等に対するDの割り込みをいう原告の弁解の上記のような信用性の乏しさを考慮すれば,これを理由とする前記2(7)の殴打事件の実情が前記ア③のようなものだったとは容易に認められないし,前記2(7)のとおり,Q水族館の関係者に,わざわざ自分がクラゲの飼育技術を聞いた事実を秘匿するよう依頼した経過に照らせば,前記ア④の言い分も直ちに採用できない。 結局,本件第一業務命令当時の原告の担当業務は,その主張に係るほど広範重要なものであったとは容易に認められず,前記2(6)(7)(9)認定のとおり,飼育展示課の旧1系の飼育展示と水槽の管理及びこれに付帯する専門調査その他の業務に限られていたというのが相当であり,また,原告の勤務態度や他の職員との協調性には,種々問題が存していたと認められる。 エそして,このような本件第一業務命令前の原告の担当業務と比較すると,前記2(1)(3)(8)(13)(15)に認定のとおり,①本件専門調査が広範な一般的調査であって,複数の担当者が引き継いで行う本件水族館全体の責務ともいうべき性格を有していることや,②これら水族の一般的調査が被告財団や本件水族館の事業内容となっていること,③本件水族館における従前の伊勢・三河湾の動植物の調査,研究等が必ずしも十分な状態ではな もいうべき性格を有していることや,②これら水族の一般的調査が被告財団や本件水族館の事業内容となっていること,③本件水族館における従前の伊勢・三河湾の動植物の調査,研究等が必ずしも十分な状態ではなかったこと,④従前から,本件水族館に対して,特別展などの企画展示の充実が提言されており,実際に入館者数も漸減傾向であったことなどの事実からすれば,(a)本件専門調査や特別展の企画運営など本件第一業務命令で原告に指示された業務内容が直ちに閑職であるとは認められないし,(b)本件専門調査が,従前から飼育展示課のしていた展示用水族の入手ルートの確保という一般的業務の一部にとどまり,原告の担当業務を制限したものにすぎないとか,逆に,(c)質的,量的に原告一人では遂行不能な業務であるなどといえないことは当然である。 また,(d)上記ウ認定のとおり従前から勤務態度等に問題のあった原告が,本件第一業務命令以後も,同様の状況から,本件専門調査を誠実に行わず,特別展への関与も不活発であり,予算要求にも積極的でなかったことは,前記2(17)(19)(20)認定のとおりであって,これらの業務が適正に遂行されなかったことをもって,逆に,各業務が重要ではなかったとか,実際には被告らには原告に本件専門調査を行わせる意思がなかったなどといえないことも明らかである。 オ上記認定に対し,原告は,前記第2の2(1)エ(ア)bのとおり,本件専門調査の後任者であD副長の仕事ぶりなどから,本件専門調査が閑職なのは明らかであると主張するが,D副長が実際にイカナゴの生活史その他の専門調査を実施していること,同人の負担軽減のために被告財団が担当職務を軽減し,代わりにEを副長に昇格させて,その業務を補完させたことは,前記2(32)認定のとおりであって,上記主張は容易に採用できない。 また,原告 ること,同人の負担軽減のために被告財団が担当職務を軽減し,代わりにEを副長に昇格させて,その業務を補完させたことは,前記2(32)認定のとおりであって,上記主張は容易に採用できない。 また,原告は,前記ア⑤のとおり底曳網漁船への乗船調査の申出に対する被告Aの対応を問題にしているが,その実情は,前記2(19)認定のようなものであって,同被告は,いきなり乗船調査に着手する前に予備調査をすべき旨を示唆等したにすぎず,これをもって,本件専門調査をさせなかったなどと評価できるものではない。 また,このとき問題になっていたのは,Z漁協関係の水域の調査のみであって(漁協の漁船が,同漁協に漁業権のある水域か,いわゆる自由水面でしか操業できないのは当然のことである。),被告Aの上記対応が直ちに伊勢・三河湾全体にわたる本件専門調査を中断する正当な理由になるものでもない。 さらに,原告は,前記第2の2(1)ア(ア)a第5段のとおり,本件専門調査について,調査担当者と展示担当者との一致,複数の担当者の選任など,調査体制自体の当否に踏み込んでその合理性を非難しているが,本件専門調査の実施体制は,被告財団がその経営権に基づき選択,決定すべき事項であって,本件第一業務命令の必要性等とは切り離して考えられるべき問題であることは,前記3(5)に判示のとおりである。 そのほか,原告は,本件専門調査は実施中の常設展示の内容に沿ったものであるべきだとも主張しているが,同調査の内容が,そのように制限されるとすれば,これから,本件水族館にとって何らかの新しい展示内容が提示されることはあり得ず,伊勢・三河湾の水族に関する生物学的発見も全く期待することができないのであって,上記主張は到底採用に値しない。 以上によれば,原告に有利な前記ア掲記の各証拠は,全体としても容易に採用できず,前 ず,伊勢・三河湾の水族に関する生物学的発見も全く期待することができないのであって,上記主張は到底採用に値しない。 以上によれば,原告に有利な前記ア掲記の各証拠は,全体としても容易に採用できず,前記第2の2(1)ア(ア)aの主張には理由がない。 カ次に,原告は,前記第2の2(1)ア(ア)bないしdにおいて,情報等からの隔離,部下等からの切離し,残業の奪取などによる差別を主張し,甲38,40,53,75,108,171,原告本人の供述中には,これに沿う部分があるが,これらの事項についても,原告に従前と同一の取扱いを要求できる法的権利がなく,上記に関する取扱いの変更等が,本件第一業務命令に関する権利濫用の成否に影響するものでないことは,前記3(4)に判示したとおりである。 のみならず,①本件第一業務命令後に回覧が中止された各種文書類も,閲覧は自由であり,原告がこれら情報に接することは可能であったこと,②同業務命令後の執務室内では,原告の机だけが他の職員らの机と離れた位置にあるわけではなく,また同所への交通に格別の問題がなかったこと,③同業務命令以後の原告の超過勤務や出張の減少が,その不活発な仕事ぶりに起因するものであることは,前記2(16)(17)(20)に認定のとおりであって,原告主張の前提事実を,直ちにそのまま認めることもできない。 キさらに,原告は,前記第2の2(1)ア(ア)eのとおり,本件第一業務命令後,被告らによって原告の職位をおとしめるための各種の措置がとられた旨を主張し,甲53,75,124,原告本人の供述中にはこれに沿う部分があるが,①そのうち同(a)ないし(f)の主張に係る事項について,原告に従前と同一の取扱いを求める権利がないことは,前記3(4)判示のとおりであり,これら事項に関する取扱いの変更が,直ちに不適法視されるもの そのうち同(a)ないし(f)の主張に係る事項について,原告に従前と同一の取扱いを求める権利がないことは,前記3(4)判示のとおりであり,これら事項に関する取扱いの変更が,直ちに不適法視されるものではない。 また,②同(g)(h)の主張に係る事実については,本件第一業務命令から相当期間が経過後のことであって,前記3(6)のとおりこれとの関連性が認められないから,直ちに権利濫用の成否に影響するものではないというのが相当である。 5本件第二業務命令に関する権利濫用の成否(前記第2の2(1)ア(イ)の主張について)(1)この点について,原告は,前記第2の2(1)ア(イ)のとおり,本件第二業務命令が,適正な発令手続を欠く旨を主張するとともに,本件第一業務命令と同様に,自己に不利益な内容であって,合理的理由がなく,また,従前と同じく差別意思など被告財団の不当な意思,目的に基づくものであって権利濫用である旨を主張している。 しかしながら,まず本件第二業務命令の発令手続をみるに,本件就業規定等を検討しても,配置転換の発令手続について相当の期間を置き,あるいは当該職員の意向聴取等をなすべき旨を定めた格別の規定は見出せないから,後記のとおり,同業務命令による配置転換が原告に一定の不利益な結果をもたらす点を考慮しても,本件の場合のように発令の7日前に内示する以上に,特別な発令手続を要するとは解せられず,本件第二業務命令の発令手続に格別の違法があるとは認められない(なお,原告は,専門職の継続性自体が,発令手続上保護されるべき法的利益である旨も主張しているが,前記3(1)第1段判示のとおり,本件で職種限定の合意等は認められず,この主張も直ちに採用できない。)。 次に,本件第二業務命令に関する権利濫用の成否をみるに,同業務命令は,前記2(27)認定のとおり,①そ 1)第1段判示のとおり,本件で職種限定の合意等は認められず,この主張も直ちに採用できない。)。 次に,本件第二業務命令に関する権利濫用の成否をみるに,同業務命令は,前記2(27)認定のとおり,①それまで飼育展示担当であった原告を,一般入館者に対するQ&Aやレクチャー,学校からの水族館訪問に対する説明,あるいは館外での教育委員会回りや代理店回りといった未習熟の業務分野に従事させるものであり,また,②後者の業務のために,館外でも,教育委員会や代理店,企業など従前とは異なる勤務場所で就労させるものであって,これらの点において,前記3(2)①②の労働条件等に関し原告に不利益を課すものということができるが,他方,本件第一業務命令後の勤務状況は,前記2(19)(20)認定のとおり全く不適切なものであって,本件専門調査を放棄し,特別展の企画運営も活発に行わないなどの状態であり,また,前記2(21)ないし(25)のような問題行動も起こして,職員ら,特に飼育展示課職員との間に深刻な対立を生じさせていたのであるから,前記2(26)のとおり,このような業務停滞を清算し,上記の対立を解消するために,被告財団が原告を本件専門調査及び特別展の担当から更迭したこと,及び飼育展示課から他課に配属替えしたことについて,必要性がなかったなどとは到底いえないのであって,これが権利濫用に該当するとは認められない。 (2)以上の認定に対し,原告は,前記第2の2(1)エ(イ)のとおり,本件専門調査中に,生物の生活史の調査やモノグラフの作成が含まれていたことを否認し,また,自己の勤務態度上の問題点を争うなどしている。 しかしながら,他方で原告は,前記第2の2(1)エ(イ)a②のとおり,実質的に,本件専門調査中にモノグラフの作成等が含まれるのを前提とする主張をし,また,前記2(15 上の問題点を争うなどしている。 しかしながら,他方で原告は,前記第2の2(1)エ(イ)a②のとおり,実質的に,本件専門調査中にモノグラフの作成等が含まれるのを前提とする主張をし,また,前記2(15)末尾に摘示のとおり,動植物相の調査の意義等につき,被告らの主張に合致する供述もしているのであって,被告Aの本人尋問の結果などに照らし,前記認定に反する原告本人の供述や上記原告主張は直ちに採用することができない。 そして,「黒潮大水槽」への潜水や,メガネモチノウオの眼病発見の経過,「ペンギン水槽」のpH改善問題に関するデータの取扱い,「名古屋港水族館で起きているおかしなこと」のビラの記載と配布等の経過などは,いずれも前記2(21)ないし(25)に認定したとおりであって,原告の行動には,他の職員の担当業務への不当な侵犯,事実に基づかない他の職員への非難・糾弾,データ優先権に関する科学界の慣例の無視,事実に基づかない個人攻撃や非難中傷,さらには,これらの点に関する被告財団の注意等に対して無反省な態度をとるなどの重大な問題があったといわねばならず,これらの点に関する甲74,91,168,175,原告本人の供述などの証拠のうち,原告に有利な部分は容易に採用することができない。 (3)なお,そのほか,原告は,前記第2の2(1)ア(イ)b以下のとおり,個別の論点についても主張しているので,以下検討するに,これらの主張も容易に採用することができない。 アすなわち,まず,原告は,同b(a)(e)のとおり,本件教育普及活動の体制について被告財団の採用した方針そのものを種々論難しているが,このような経営方針の選択自体は,被告財団の経営権に任されるべき事柄であり,本件第二業務命令の効力と別問題というべきことは,前記3(5)に判示したとおりである。 イ次に,原告は,同b( 難しているが,このような経営方針の選択自体は,被告財団の経営権に任されるべき事柄であり,本件第二業務命令の効力と別問題というべきことは,前記3(5)に判示したとおりである。 イ次に,原告は,同b(b)ないし(e),同c(a)ないし(d)のとおり,本件第二業務命令により本件水族館の業務から不当に排除され,部下等を与えられず,会議等への出席を制限され,情報等からも隔離された旨を主張しており,甲53,74,168,原告本人の供述等には,これに沿う部分があるが,原告が,当然に飼育展示課の業務への就労ないし同課に所属しての就労,あるいは前記2(28)掲記の他部署担当の社会教育活動関係の業務への就労を内容とする就労請求権を有するものではなく,これを認めるに足りる証拠はない。また,部下の付与や会議出席,情報等への接近など上記各事項に関して,従前なされていたのと同様の取扱いを要求できる法的権利が原告にあるものでもないから,これらに関する取扱いの変更が,権利濫用の判断上,利益衡量の対象となる労働条件等の不利益に該当するものでないことは,前記3(4)に判示のとおりである。 ウまた,原告は,同b(f),同c(g)(h)のとおり,本件第二業務命令が原告の専門性を劣化させ,単なる集客業務を押し付けるものであるとか,原告のプライドを否定するものであるなどと主張しているが,①本件第一業務命令後,原告が飼育展示課の職務を誠実に遂行せず,また,同課の職員などとの間に深刻な対立を引き起こしたことは,前記(1)第3段認定のとおりであって,その内容,結果に照らしてみれば,原告が相対的に専門性の薄い現在の担当職務に更迭されても,やむを得ないというのが相当であるし,②労働者のプライドの棄損それ自体が,利益衡量の対象となる労働条件等に関する不利益に当たらないことは,前記3(4)に 的に専門性の薄い現在の担当職務に更迭されても,やむを得ないというのが相当であるし,②労働者のプライドの棄損それ自体が,利益衡量の対象となる労働条件等に関する不利益に当たらないことは,前記3(4)に判示のとおりであって,原告の上記主張も容易に採用することができない。 エさらに,原告は,本件第二業務命令以後の執務状況が,同c(f)のように監視状態ないし村八分の体制にあったと主張しているが,当時の配席等の実情は,前記2(29)認定のとおりであって,中間管理職の副長である原告の机が管理職の机の並びの中にあるのは不自然なことではないし,平成14年4月以降の配席にも格別の問題は認められない。 オそのほか,原告は,同c(e)(i)(j)の事情から本件第二業務命令の権利濫用を主張しているが,同業務命令から相当期間経過後に生じたこれら事態が,当然に同業務命令の効力を左右するものでないことは,前記3(6)判示のとおりであって,そこに掲記した特段の事情を認めるに足りる証拠もない。 カ以上のほかに,原告は,同dないしfの事情を主張して,本件第二業務命令を非難しているが,①現在,同dの主張の根拠の一つとされる甲123のノート中の「館長は君を飼育で使う気がないから,君の残る道は相談役にでもなる気はないか」等の記載は,当該発言があったという平成9年8月2日に記入されたものではなく,後日に加筆されたものと認められるし(その点は,8月2日の日常勤務の記載から上記鍵括弧内の記載までの中間に,同月3日と同月4日の日常勤務等の記載が介在している事実から明らかである。),また,②同eの主張に関し,愛知県の監査において,有料入館者の減少ばかりでなく,前記2(26)のとおり無料入館者の減少も取り上げられたことは,乙49によって裏付けられる客観的な事実であることや,③同fの主張にも 張に関し,愛知県の監査において,有料入館者の減少ばかりでなく,前記2(26)のとおり無料入館者の減少も取り上げられたことは,乙49によって裏付けられる客観的な事実であることや,③同fの主張にも格別の理由があるとは認められないなどの点を考慮すれば,上記の主張も容易に採用できず,他に本件第二業務命令が権利濫用に該当すると認めるに足りる証拠はない。 6本件各業務命令に関する不当労働行為の成否(前記第2の2(1)ア(ウ)の主張について)(1)この点について,原告は,前記第2の2(1)ア(ウ)aないしcのとおり主張し,甲53,54,139,原告本人の供述の中には,①EやS,Tらが被告らの意向を受けて,組合つぶしを行っていたかのような趣旨の部分や,②原告から情報が漏れた形にするため,J愛知県本部の役員らが謀って,原告にTの父親を説得する話を持ちかけたとか,わざと被告Aとの会見をセットしようとしたなどの趣旨の部分があるが,上記①の裏付けとなる客観的証拠はないし,同②は全く荒唐無稽な話であって容易に採用することができない。 結局,原告の労働組合結成運動が,平成6年2月下旬ころに壊滅してしまった経過は,前記2(11)(12)認定のとおりであって,J愛知県本部の関係者からの情報漏洩や,同月21日の集会における原告自身の不用意な発言など,専ら原告側の不手際に起因するものであり,これに対して,被告らから格別の圧力が加わった形跡は認められない。 (2)したがって,そのほか,(a)前記2(12)第4段認定のとおり,本件水族館には,現実に同様の別組合が結成されているが,これに被告財団からの介入等はなかったこと,(b)前記2(13)第3段認定のとおり,組合結成運動が顕在化する以前の平成5年12月ころから本件専門調査の構想が具体化してきたことも併せ考慮すれば,本件 これに被告財団からの介入等はなかったこと,(b)前記2(13)第3段認定のとおり,組合結成運動が顕在化する以前の平成5年12月ころから本件専門調査の構想が具体化してきたことも併せ考慮すれば,本件各業務命令が,原告の組合結成活動等を敵視してなされたとは容易に認められず,他に不当労働行為の成立を認めるに足りる証拠はない。 7本件不法行為の成否(前記第2の2(1)イの主張について)(1)この点につき,原告は,権利濫用に関する前記第2の2(1)アの主張を引用して,本件不法行為の成立を主張しているが,上記のうち,同(ア)e(g)(h)と,同(イ)c(e)(i)(j)を除く,それ以外の各主張事実に基づいては,直ちに不法行為の成立が認められないことは,これら主張につき判断した前記4ないし6の各判示から明らかである。 (2)そして,残った同(ア)e(g)(h)と同(イ)c(e)(i)(j)の各主張について検討するに,このうち同(ア)e(g)(h),同(イ)c(e)については,主張事実自体が直ちに重要な内容とはいえず,また,甲69によれば,機関紙「さかなかな」の平成11年6月号でDの原稿が副長の肩書を付さずに掲載された例も認められる。 次に,同(イ)c(i)(j)の主張に関しては,原告の主張と矛盾するというべき前記2(23)(25)(30)の各事実を認めることができるから,以上の点を考慮すれば,同(ア)e(g)(h)と同(イ)c(e)(i)(j)の各主張に基づき,不法行為の成立を認めることも困難というべきであって,他に本件不法行為の成立を認めるに足りる証拠はない。 8結論以上の次第で,原告の請求は,すべて理由がない。 名古屋地方裁判所民事第1部裁判長裁判官橋本昌純裁判官夏目明徳裁判官大橋弘治 8結論以上の次第で,原告の請求は,すべて理由がない。 名古屋地方裁判所民事第1部裁判長裁判官橋本昌純裁判官夏目明徳裁判官大橋弘治

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