昭和47(ワ)1166 日本鋼管鶴見造船所諭旨解雇

裁判年月日・裁判所
昭和52年6月14日 横浜地方裁判所
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判決文本文26,669 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。事実 第一当事者双方の求める裁判一原告「1原告は被告に対し、期間の定めのない労働契約上の地位に基づく権利を有することを確認する。2被告は原告に対し、金二万九六四八円および昭和四七年五月から一か月につき金五万四〇六〇円を毎月二二日限り支払え。」との判決及び第2項につき仮執行の宣言の申立。二被告主文と同旨の判決。第二当事者双方の主張一原告主張の請求原因 1 原告は、昭和四五年四月一三日、被告に期間の定めなく雇用され、以来、被告の鶴見造船所艤装工作部機装係に所属し、同係員として勤務してきた。2 被告は、昭和四七年四月一四日、原告に対し諭旨解雇に付する旨の意思表示をなし、それ以降原告をその従業員として取り扱わない。3 原告は、昭和四七年三月当時被告から一か月金五万四〇六〇円の賃金の支払を受けていたところ、被告は、同年四月分の賃金として金二万四四一二円しか支払わず、それ以降の賃金の支払もしないので、被告は原告に対し、同月分の残金二万九六四八円及び同年五月分以降の賃金を支払う義務がある。4 以上の理由により、原告は被告に対し、労働契約上の権利の確認を求め、賃金の支払を求めるものである。二請求原因に対する被告の認否 1 請求原因1、2の事実はいずれも認める。2 同3の事実のうち、昭和四七年三月当時の原告の一か月の賃金額が金五万四〇六〇円であつたこと、同年四月分については、原告に対し、金二万四四一二円しか支払つていないことは認めるが、その余の主張は争う。三被告の抗弁 1 (解雇の意思表示)被告の鶴見造船所就業規則(以下単に「就業規則」という。)第八六条及び被告と日本鋼管造船労働組合連合会間に締結された労働協約(以下単に「 その余の主張は争う。三被告の抗弁 1 (解雇の意思表示)被告の鶴見造船所就業規則(以下単に「就業規則」という。 であつたこと、同年四月分については、原告に対し、金二万四四一二円しか支払つていないことは認めるが、その余の主張は争う。三被告の抗弁 1 (解雇の意思表示)被告の鶴見造船所就業規則(以下単に「就業規則」という。)第八六条及び被告と日本鋼管造船労働組合連合会間に締結された労働協約(以下単に「 その余の主張は争う。三被告の抗弁 1 (解雇の意思表示)被告の鶴見造船所就業規則(以下単に「就業規則」という。)第八六条及び被告と日本鋼管造船労働組合連合会間に締結された労働協約(以下単に「労働協約」という。)第二八条には、いずれも「会社は、社員(組合員)がつぎの各号の一に該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、情状により減給または出勤停止あるいは諭旨解雇にとどめることがある。」旨並びに同条の各一二号には、「重要な経歴をいつわり、その他詐術を用いて雇入れられたとき。」と規定されているところ、原告には右に該当する行為があつたので、被告は前記昭和四七年四月一四日、原告に対し、右就業規則第八六条及び労働協約第二八条の各但書を適用したうえ、就業規則第八四条四号及び労働協約第二六条四号各所定の方式に従い、原告を諭旨解雇(以下「本件解雇」という。)に付する旨の意思表示をしたもので、同日をもつて原告との雇用契約関係は終了した。2(解雇理由………経歴詐称等)(1) 学歴原告が入社試験を受ける際に被告に提出した入社志願書によると、学歴としては単に「昭和三八年三月新宿区立四谷第二中学校卒業」と申告されているが、真実は同中学校卒業後、同年東京都立新宿高等学校入学、同四一年三月同高等学校卒業、同四二年四月東京大学文科三類入学、当時同大学文学部三年生として在籍休学中であつた。なお、右在籍休学中であるとの点について、原告は後記のとおり東京大学に休学届を出したことはなく、授業料も支払つていないので除籍になつているはずである旨主張しているが、事実は原告の母親が休学届を出して在籍中であつたのである。仮に、休学届が原告本人の意思によるものでないとしても、原告が同大学に入学し、三年生まで在籍したこと、すなわち中退に至るまでの事実が申告されていない。(2 が休学届を出して在籍中であつたのである。仮に、休学届が原告本人の意思によるものでないとしても、原告が同大学に入学し、三年生まで在籍したこと、すなわち中退に至るまでの事実が申告されていない。 、事実は原告の母親が休学届を出して在籍中であつたのである。仮に、休学届が原告本人の意思によるものでないとしても、原告が同大学に入学し、三年生まで在籍したこと、すなわち中退に至るまでの事実が申告されていない。(2 が休学届を出して在籍中であつたのである。仮に、休学届が原告本人の意思によるものでないとしても、原告が同大学に入学し、三年生まで在籍したこと、すなわち中退に至るまでの事実が申告されていない。(2) 職歴入社志願書によれば、原告の職歴として、昭和三八年四月から同四二年九月までは宮田燃料販売に、同年一〇月から同四四年四月までミツシヨン・コーラに、同年五月から同年一二月まで日本貨物急送株式会社に、同四五年一月から同年三月まで大里製作所に各勤務した旨申告されているが、原告は同三八年四月から同四四年一二月までの間は、新宿高校、東京大学に在学中であつて、この間についての申告は全く事実に反するものである。原告は後記のとおり、大里製作所以外の各会社には申告した全期間勤務したことはないが在学のかたわら休暇中に日雇で勤務した旨主張するけれども、しかし、たとえそうであつても、その申告した勤務期間の状況からこれが詐称に該当することは明らかである。(3) 家族状況入社志願書によれば、家族状況として、父Aと兄Bとはともに紀陽石油に、弟Cは村田製作所にそれぞれ勤務とあるが、真実は父Aは衆議院議員であり、兄Bは東急電鉄株式会杜に勤務し、また弟Cは神戸大学に在学中であつた。また父、兄の現住所は、それぞれ田辺市と申告されているが、真実は東京都中野区である。なお、原告の入社時に原告と被告が取り交わした労働契約書には連帯保証人として父早川Aの記名捺印があるが、これは原告の偽造によるものである。3(解雇に至るまでの経緯)右2のように、原告は、昭和四五年四月被告に入社するに際し、その学歴、職歴、家族状況のほぼ全般に亘って詐称していたが、被告はこのことを翌四六年一二月に至つてはじめて承知し、以来、原告に対し任意退職を勧告するとともに、原告の両親による要望を容れ するに際し、その学歴、職歴、家族状況のほぼ全般に亘って詐称していたが、被告はこのことを翌四六年一二月に至つてはじめて承知し、以来、原告に対し任意退職を勧告するとともに、原告の両親による要望を容れて同人らの説得による円満退職を期待していた。しかし、原告がこれに応じないので、被告はやむなく、前記のとおり昭和四七年四月一四日に原告を本件解雇に処するに至つたものである。 ともに、原告の両親による要望を容れ するに際し、その学歴、職歴、家族状況のほぼ全般に亘って詐称していたが、被告はこのことを翌四六年一二月に至つてはじめて承知し、以来、原告に対し任意退職を勧告するとともに、原告の両親による要望を容れて同人らの説得による円満退職を期待していた。しかし、原告がこれに応じないので、被告はやむなく、前記のとおり昭和四七年四月一四日に原告を本件解雇に処するに至つたものである。四抗弁事実に対する原告の認否 1 抗弁1の事実については、被告主張のとおりの就業規則、労働協約の規定が存し、それにより、本件解雇の意思表示がなされたことは認めるが、その効力は争う。2(1) 同2の(1)の事実については、入社志願書の記載及び原告の学歴が主張のとおりであることは、原告が当時「東京大学文学部三年生として在籍休学中であつた。」との部分を除いて、いずれも認める。原告は、東京大学に休学届を提出したことはなく、授業料も支払つていないので、同大学から除籍になつているはずである。(2) 同2の(2)の事実については、入社志願書の職歴の記載が主張のとおりであつたことは認めるが、その余は否認する。宮田焼料販売、ミツシヨン・コーラ、日本貨物急送には、入社志願書記載の全期間勤務したことはないが、在学のかたわら休暇中に日雇で勤務した。(3) 同2の(3)の事実は認める。3 同3の事実については、被告が昭和四六年一二月いわゆる経歴詐称を知つたこと及びそのころ原告に任意退職を勧告したことは認めるが、その余は否認する。五原告の解雇無効の主張 1 経歴詐称は懲戒事由たり得ない。本件解雇は、経歴詐称のみを理由とする懲戒処分としての諭旨解雇である。しかして、使用者の労働者に対する懲戒権は、経営という小社会の規範意識によつて支えられうる共同作業を円滑に遂行するため、必要不可欠な場合にの 経歴詐称のみを理由とする懲戒処分としての諭旨解雇である。しかして、使用者の労働者に対する懲戒権は、経営という小社会の規範意識によつて支えられうる共同作業を円滑に遂行するため、必要不可欠な場合にのみ許容されうるものであるところ、経歴詐称それ自体は労働契約の成立にかかわる事柄であつて、右契約成立の瑕疵として問題とはなりうるが、労働契約成立後の経営秩序の問題とはなりえず、したがつて、経歴詐称をもつて直ちに企業秩序を乱すものとして右秩序維持のための矯正手段である懲戒処分をもつて臨むことは許されない。 、経営という小社会の規範意識によつて支えられうる共同作業を円滑に遂行するため、必要不可欠な場合にのみ許容されうるものであるところ、経歴詐称それ自体は労働契約の成立にかかわる事柄であつて、右契約成立の瑕疵として問題とはなりうるが、労働契約成立後の経営秩序の問題とはなりえず、したがつて、経歴詐称をもつて直ちに企業秩序を乱すものとして右秩序維持のための矯正手段である懲戒処分をもつて臨むことは許されない。されば、就業規則等の経歴詐称を理由とする懲戒条項は法的に適用を許されないものというべきであるから、この点からして本件解雇は無効と解すべきである。2 労働協約、就業規則の懲戒条項に不該当(1) 仮に、経歴詐称を理由として懲戒処分をなしうるとしても、原告には被告主張の懲戒条項に該当する所為はない。被告は、原告の学歴詐称、職歴詐称が就業規則第八六条及び労働協約第二八条の各一二号にいう「重要な経歴をいつわり、その他詐術を用いて雇入れられたとき。」に該当すると主張している。しかし、経歴詐称を理由として懲戒処分をなしうるとしても、その根拠は詐称による企業秩序びん乱の具体的結集の発生以外になく、その場合に使用者に解雇が許されるのは、詐称による企業秩序びん乱の具体的結果が大きく、当該労働者を企業内にとどめおくことのできぬ客観的、合理的理由が存在することを必要とし、「重要な経歴をいつわり」とは、かかる場合をさすものといわなければならない。しかるに、本件における原告の経歴詐称は、いまだ右の程度の詐称ではないというべきである。すなわち、第一に、原告は学歴について、東京大学中退を中卒と詐称したものであるが、被告は、昭和四五年三月二一日毎日新聞夕刊に正社員募集広告を 歴詐称は、いまだ右の程度の詐称ではないというべきである。すなわち、第一に、原告は学歴について、東京大学中退を中卒と詐称したものであるが、被告は、昭和四五年三月二一日毎日新聞夕刊に正社員募集広告をした際、資格を「中卒又は高卒」として学歴不問とし、現実にも大学中退及び短大卒業者を現場労働者として雇い入れているのであるから、原告の学歴詐称が企業秩序びん乱の具体的結果をもたらしたことは何もない。原告の職歴は、被告入社直前に勤務していた大里製作所については全く詐称がなく、それ以前の職歴もアルバイトとして勤務していたものであり、また、被告自身、前述の募集広告において「各職種とも経験不問」とし、昭和四五年三月二四日川崎市内の山一証券ビルにおいて行なった入社試験では、原告に対しペーパーテスト、面接のいずれにおいても家族構成、過去の職歴など一言も問わず、専ら現場労働者としての適格の有無を判断するための試問を行なつたにすぎない。 務していた大里製作所については全く詐称がなく、それ以前の職歴もアルバイトとして勤務していたものであり、また、被告自身、前述の募集広告において「各職種とも経験不問」とし、昭和四五年三月二四日川崎市内の山一証券ビルにおいて行なった入社試験では、原告に対しペーパーテスト、面接のいずれにおいても家族構成、過去の職歴など一言も問わず、専ら現場労働者としての適格の有無を判断するための試問を行なつたにすぎない。そして、その二週間後に原告宅に採用通知が到達したが、この間、被告は原告の提出した入社志願書の記載事実について直前の職場である大里製作所に照会したほか何ら調書を行なわなかつたのであるから、この点についての詐称によつて被告が原告の労働者としての評価を誤り、企業秩序びん乱の具体的結果を発生せしめたということは全くない。したがつて、原告の詐称は原告を被告にとどめておくことができぬほど「重要な」詐称ではないから、右条項に該当しないものというべきである。(2) 仮に、原告の詐称が右条項に形式的に該当するとしても上記のような事実が認められる本件においては、原告を諭旨解雇に処するのは、酷に失し、その裁量権の行使を誤つた違法、不当なものというべきであり、いずれにしても解雇権を濫用したものとして、本件解雇は無効と解すべきである。3 労基法第三条違 ては、原告を諭旨解雇に処するのは、酷に失し、その裁量権の行使を誤つた違法、不当なものというべきであり、いずれにしても解雇権を濫用したものとして、本件解雇は無効と解すべきである。3 労基法第三条違反被告は、本件解雇の理由として経歴詐称のみを主張しているが、次に述べる(1)ないし(5)の諸事実に照らせば、それは単なる表面的な理由であつて、真の理由は原告の政治的信条を嫌悪したものであることが明らかであるから、労働基準法第三条に違反して無効である。(1) 原告は、昭和四六年九月二五、二六日の両日の造船労働組合定期大会に、同じ職場の代議員Dの代理として出席し、同大会において、「職場ではなぜストライキをやらないのか不満が高まっている。来春闘は一時金をストライキで闘う気はないのか。」と発言したところ、被告は原告の右発言や採決に対する態度等を問題とし、「社会党左派と共産党はだめだ。」と明言して、ストライキで貸上げを闘わなければならないという原告の政治的信条を嫌悪し、会社が許容する二八会会長に「教えてもらえ。 合定期大会に、同じ職場の代議員Dの代理として出席し、同大会において、「職場ではなぜストライキをやらないのか不満が高まっている。来春闘は一時金をストライキで闘う気はないのか。」と発言したところ、被告は原告の右発言や採決に対する態度等を問題とし、「社会党左派と共産党はだめだ。」と明言して、ストライキで貸上げを闘わなければならないという原告の政治的信条を嫌悪し、会社が許容する二八会会長に「教えてもらえ。」と転向を迫っていること。(2) 被告は、原告の政治的信条及びそのいわゆる経歴詐称を同年一二月一三日の段階で確定的に知つていたが、原告の家族の説得による転向を期待して直ちに解雇せず、現場労働者をやめ、復学あるいは事務系に転職することを勧めた。しかし、右一三日に、原告は、来社した母あるいは被告のE労務部長、F事務係長らの説得にもかかわらず、同人らの期待に反し、自らの政治的信条を堅持し、現場労働者として働き、かつ職場活動を継続したこと。(3)原告は、昭和四七年二月、被告が提案し、組合が承認する方向を打ち出した勤務制度の改悪に反対し、職場討議で無記名投票による採決をとることを要求し、その結果これを四八対三六で否決させたが、右活動の中心人物となって 和四七年二月、被告が提案し、組合が承認する方向を打ち出した勤務制度の改悪に反対し、職場討議で無記名投票による採決をとることを要求し、その結果これを四八対三六で否決させたが、右活動の中心人物となって、被告をして原告の政治的信条をますます嫌悪させるに至らしめた。このことは、原告の上司であるG作業長が、同年三月一四日、原告の年休のとり方についての言動を非難し、「何でも反対ばかりしやがつて。」と述べたことからも窺われること。(4) 原告は、同年四月四日、職場新聞「どたぐつ」を作成して職場に配付したが、同月一一日には、原告自らその第二号の門前配付活動を行なつた。また、原告の所属する艤装工作部のH機装係長は、同年三月二一日、原告ら係員に対し、「四月に班がえをする。地上艤装班と船内艇装班とに分ける。」旨申し向けたが、原告は同年四月一日のミーティングで右班がえに反対する旨を表明し、同月一三日からその反対署名運動に従事した。これらは、原告が転向せず、自らの政治的信条を堅持することを被告に印象づける結果となつたこと。(5) 被告は、原告の経歴詐称を確定的に知つた前記昭和四六年三月一三日以降、一度として右詐称を理由とする解雇の意向を原告に表明していなかつたにもかかわらず、翌四七年四月一四日になつて、経歴詐称のみを理由とする懲戒処分としての諭旨解雇を通告した。 に反対する旨を表明し、同月一三日からその反対署名運動に従事した。これらは、原告が転向せず、自らの政治的信条を堅持することを被告に印象づける結果となつたこと。(5) 被告は、原告の経歴詐称を確定的に知つた前記昭和四六年三月一三日以降、一度として右詐称を理由とする解雇の意向を原告に表明していなかつたにもかかわらず、翌四七年四月一四日になつて、経歴詐称のみを理由とする懲戒処分としての諭旨解雇を通告した。これは、上述の各事実を考慮したうえで、原告が自らの政治的信条を堅持して生涯を貫く人物と判断し、原告を企業外に排除するため、経歴詐称を口実にしたものと考えられること。4 不当労働行為3の各事実から明らかなように、被告は原告の政治的信条のみならず、同人の行つた組合活動(執行部批判の発言も職場活動もこれにあたる。)をも嫌悪して本件解雇を強行したものというべきであるから、労働組合法第七条所定の不当労働行為 うに、被告は原告の政治的信条のみならず、同人の行つた組合活動(執行部批判の発言も職場活動もこれにあたる。)をも嫌悪して本件解雇を強行したものというべきであるから、労働組合法第七条所定の不当労働行為に該当し、無効である。六解雇無効の主張に対する被告の反論 1 経歴詐称は懲戒に値する。そもそも、使用者が労働者を採用するに当たつて、入社志願書(履歴書)等を提出させ、その学歴、職歴、家族状況等を申告させるのは、労働者の労働能力、技術が使用者の求める一定水準に在るかどうかを判断するとともに、労働者の協調性、勤労意欲、性向等企業組織の構成員として相応しいか否かについて諸々の人格的判断を行ない、その結果、企業構成員間の均衡、調和をも考慮しながら企業組織への組入れの可否を決し、併せて、可とした場合における適正な労働条件、労務配置及び労務管理等の決定等を図るための資料を得るためのものであることは周知の事実である。したがつて、労働者が採用されるに当たつて虚偽の経歴等を申告することは、まず者の不信義性を示し、労使間にあつて何よりも重要な信頼関係を破壊するうえ、その時点で労働力の位置づけ、組織づけ、管理を誤らせる危険性をもたらし、さらには、採用後においても、労働者から改めてさきの申告が虚偽である旨の申し出がなければ、使用者は引き続き欺罔された状態のもとに労働力を位置づけ、組織づけ、管理することとなるから、現実にその位置づけ、組織づけ、管理は誤らざるをえないのである。 告することは、まず者の不信義性を示し、労使間にあつて何よりも重要な信頼関係を破壊するうえ、その時点で労働力の位置づけ、組織づけ、管理を誤らせる危険性をもたらし、さらには、採用後においても、労働者から改めてさきの申告が虚偽である旨の申し出がなければ、使用者は引き続き欺罔された状態のもとに労働力を位置づけ、組織づけ、管理することとなるから、現実にその位置づけ、組織づけ、管理は誤らざるをえないのである。また、ひとたびその欺罔が明らかになった暁には、その労働力の位置づけ、組織づけ、管理が一層困難となることは明らかである。すなわち、このような不信義な者に引き続き仕事を任せることは困難であるばかりでなく、同僚、上司にかかる不信義な者との協調を期待するごとは不可能であり、さらには、職場の配置換え ることは明らかである。すなわち、このような不信義な者に引き続き仕事を任せることは困難であるばかりでなく、同僚、上司にかかる不信義な者との協調を期待するごとは不可能であり、さらには、職場の配置換えをするについても受入側が難色を示すことは充分予測されるからである。また、引き続き労働契約関係を継続させるに及んでは、今後労働者が不正手段を用いて採用されるのを防ぐことも不可能となる。しからば、経歴詐称が単に労働契約成立時における契約の暇疵の問題であるばかりでなく、企業秩序の維持に重大な影響があることは明白であり、かかる経歴詐称を行なった労働者を、企業秩序違反に対する制裁としての懲戒処分の対象とし、企業外に排除することは許されるというべきである。そうであればこそ、被告のみならず多くの企業において、重要な経歴詐称を懲戒解雇ないしは諭旨解雇事由として掲げ、労働組合もその合理性を認識して労働協約等においてこれを認めているのである。これに対し、企業が経歴詐称を理由として、労働者を排除し得ないとすれば、企業は従業員の採用決定に際して、応募者に対し、労働行政が好ましくないとしている慎重な身元調査を行なわなければならなくなり、その結果、身元調査のため時間、労力、経費等各方面にわたって多大の犠牲を強いられることとなる。のみならず、かかる身元調査の実施は、従来の人事行政に根本的な変革を迫る要因となる。なんとなれば、企業は応募者の申告のすべてに対し、あらかじめ詐称を仮定した極めて慎重な手続きを準備しなければならず、かような疑惑、猜疑を前提とする人事方法の採用は、信頼関係を前提とする労働契約と相容れないものであり、それは採用決定時において既に従業員を心理的に抑圧し、この抑圧感によつて醸成される陰うつな空気は、従業員の人間としての大らかさや活性を毀損し、ひいては 行政に根本的な変革を迫る要因となる。なんとなれば、企業は応募者の申告のすべてに対し、あらかじめ詐称を仮定した極めて慎重な手続きを準備しなければならず、かような疑惑、猜疑を前提とする人事方法の採用は、信頼関係を前提とする労働契約と相容れないものであり、それは採用決定時において既に従業員を心理的に抑圧し、この抑圧感によつて醸成される陰うつな空気は、従業員の人間としての大らかさや活性を毀損し、ひいては 関係を前提とする労働契約と相容れないものであり、それは採用決定時において既に従業員を心理的に抑圧し、この抑圧感によつて醸成される陰うつな空気は、従業員の人間としての大らかさや活性を毀損し、ひいては従業員の勤労出意欲の低下や生産性の減退をもたらし、モラルの低下を招来することにもなるからである。さすれば、経歴詐称は労働契約時の問題にすぎず、就業規則の懲戒規程が適用されない旨の原告の主張は誤りである。2 本件経歴詐称は懲戒規程に該当する。(1) 原告の主張する「企業秩序びん乱の具体的結果」とは何を意味するか定かでないが、それが眼に見える実害(積極的損失)をさすとすれば、重要な経歴詐称による懲戒解雇はそれを要件とするものでないことは1で述べたところから明らかである。すなわち、懲戒解雇ないし諭旨解雇事由としての重要な経歴詐称とは、それが事前に発覚したとすれば使用者は労働契約を締結しなかつたか、少なくとも同一条件では契約を締結しなかつたであろうと認められるものであれば、それをもつて十分であると解すべきである。本件についてみるに、なるほど、被告が、原告主張の日、主張の新聞に載せた正社員募集広告において応募資格を「中卒又は高卒」、「各職種とも経験不問」としたこと、原告主張の日に、その主張の場所において行なわれた入社試験で、ペーパーテスト、面接のいすれにおいて原告の家族構成、過去の職歴などにつき質問をしなかつたこと、その約二週間後に原告宅に採用通知が到達したこと、そしてこの間、被告が原告の入社志願書の記載事実について、大里製作所に照会したほか調査を行なわなかつたこと、は認める。しかし、被告としては、現業員の採用について、作業の性質(肉体作業、汚染作業、狭隘作業、高所危険作業、単純作業)、他の現業員また管理者との権衡、これに伴なう同僚との意識の同 わなかつたこと、は認める。しかし、被告としては、現業員の採用について、作業の性質(肉体作業、汚染作業、狭隘作業、高所危険作業、単純作業)、他の現業員また管理者との権衡、これに伴なう同僚との意識の同調性、その他職場に対する定着性等、入事管理、労務管理の対策上から右のような資格を定めたものであるから、原告が応募に当たり、東京大学という一流大学に入学していたことを申告していれば、現業員として採用することなどありえなかつたのである。 かし、被告としては、現業員の採用について、作業の性質(肉体作業、汚染作業、狭隘作業、高所危険作業、単純作業)、他の現業員また管理者との権衡、これに伴なう同僚との意識の同調性、その他職場に対する定着性等、入事管理、労務管理の対策上から右のような資格を定めたものであるから、原告が応募に当たり、東京大学という一流大学に入学していたことを申告していれば、現業員として採用することなどありえなかつたのである。さらに、被告としては、原告の入社志願書にはその家族構成、職歴について詳細に記入がなされていたので、同書に虚偽の記載をする者がいるなどとは夢にも思わず、また、面接時の原告の態度に不審な点も窺われなかつたことから、人事担当官がこれらについて改めて詳しく質問したり、照会したりするまでもないと判断したのであつて、仮に、父親が国務大臣を経験した著名な衆議院議員であり、兄弟がホワイト・カラーとして一流企業に就職し、もしくは一流大学に在学していることなど、真実の学歴、家族状況等を申告していれば、かくの如く著しく信義に反し、その人格を信用しえない原告を採用することはあり得なかつたのである。因みに、本件にあらわれた事実関係によつても、原告の不信義性を示すものは多々あり、しかも、それらは高学歴の者にしか到底思い及ばない論理の展開を行ない、平然と偽をつき、詭弁を弄し、あるいは計算づくで、用意周到に逃げ道をあらかじめ設定するという狡猜さをあらわにしている。たとえば、原告は昭和四六年一一月二が日より同年一二月一一日まで欠勤を続け、この間、原告の所在が不明なことから、被告においてその入社志願書に記載してある本籍地に電話照会した結果、経歴詐称の事実が発覚したのであるが、原告は欠勤に先立つて同年一一月一二日ごろ、同月二〇、二一両日の連休を利 所在が不明なことから、被告においてその入社志願書に記載してある本籍地に電話照会した結果、経歴詐称の事実が発覚したのであるが、原告は欠勤に先立つて同年一一月一二日ごろ、同月二〇、二一両日の連休を利用して結婚のため休暇をとりたい旨上司に申し出、さらに、いかにも新婚旅行先からと見せかけた手紙を二度にわたつて上司あてに投函し、被告に在籍中はもちろん本件訴訟の場においても、右欠勤は結婚を理由とするものであるかのように主張し続けてきた。しかし、最後までこれを押し通すことができないとみたのか、本人尋問の段階に至り、初めてこれが同年一一月一九日の日比谷公園における松本楼放火事件のあつた集会に参加して逮捕、勾留されたことに因るものであることを明らかにした。 、いかにも新婚旅行先からと見せかけた手紙を二度にわたつて上司あてに投函し、被告に在籍中はもちろん本件訴訟の場においても、右欠勤は結婚を理由とするものであるかのように主張し続けてきた。しかし、最後までこれを押し通すことができないとみたのか、本人尋問の段階に至り、初めてこれが同年一一月一九日の日比谷公園における松本楼放火事件のあつた集会に参加して逮捕、勾留されたことに因るものであることを明らかにした。(2) 被告が現業員として大学中退者、短大卒業者を少数採用していることは認める。しかし、高学歴者は、現場管理職または同僚のほとんどすべてが高卒以下の学歴者で構成されているときには、とかくそれらの者との意識の同調性、協調性等に難があり、また、現業職としての肉体労働、汚染労働、単純労働に対する耐性を欠き勝ちで、十分な作業能率を期侍し得ない。そのため、ひいては業務の円滑な運営を阻害する恐れがあり、あるいは当初は現業員としての待遇を容認していても、次第にその待遇に不満を募らせやすいことなど、高学歴者について一般経験上明らかなところである。したがつて、その採用に当たつては、学業放棄の理由、家族状況、同僚上司と協調して現業職を積極的に続けうるかなどにつき詳細に調査確認を行なつて採否を決するのが通常であり現に、被告においてもこれらの点を十分確認した後、ごく例外的に高卒以上の学歴者を採用しているにすぎないのである。それゆえ、原告の如き高学歴、家族状況等の大半を詐称して、十分な調査を免れしむる行為を容認しうる余地が てもこれらの点を十分確認した後、ごく例外的に高卒以上の学歴者を採用しているにすぎないのである。それゆえ、原告の如き高学歴、家族状況等の大半を詐称して、十分な調査を免れしむる行為を容認しうる余地がないことはいうまでもなく、現業職の一部に高学歴者が存在するからといつて、それをもつて、学歴を詐称する行為が「重要な経歴をいつわつたとき」に該当しないとする原告の主張は理由がない。(3) 原告については、その上司(作業長は尋常小学校卒、工長は定時制高校卒)から「職務に対する積極性がない。」「勤怠不良」、「朝礼での態度が悪い。」「再三の注意にもかかわらず体操に参加しない。」などと報告をうけ、「他の者に対し示しがつかないからなんとか考慮してくれ。」と苦情が寄せられている。加えて、原告は昭和四六年四月には住所を変更し、また、同年一二月には結婚していると思われるが、いずれも所定の届出をせず、被告の企業秩序を乱すとともに、規律不遵守の態度に出て労務管理上にも支障をもたらしている。 性がない。」「勤怠不良」、「朝礼での態度が悪い。」「再三の注意にもかかわらず体操に参加しない。」などと報告をうけ、「他の者に対し示しがつかないからなんとか考慮してくれ。」と苦情が寄せられている。加えて、原告は昭和四六年四月には住所を変更し、また、同年一二月には結婚していると思われるが、いずれも所定の届出をせず、被告の企業秩序を乱すとともに、規律不遵守の態度に出て労務管理上にも支障をもたらしている。(4) 右(1)ないし(3)に鑑みれば、原告の経歴詐称行為は、就業規則第八六条及び労働協約第二八条の各一二号にいう「重要経歴をいつわり、その他詐術を用いて雇入れられたとき。」に該当することは明らかであり、かつ、諸般の事情を照らし原告を諭旨解雇に付したのは相当であつて、何ら解雇権を濫用したものということはできない。3 本件解雇は労基法第三条にも違反しないし、不当労働行為にも該当しない。(1) 被告が、昭和四六年一二月一三日の時点において原告の経歴詐称を確定的に知つていたこと、同日、原告の母親が来社して原告に会い、家に帰るよう勧め、また、そのころE労務部長及びF事務係長がそれぞれ原告に復学を勧めたこと、同四七年二月被告が勤務制度の改訂を提案したこと並びに同年三月二一日H機装係長が 母親が来社して原告に会い、家に帰るよう勧め、また、そのころE労務部長及びF事務係長がそれぞれ原告に復学を勧めたこと、同四七年二月被告が勤務制度の改訂を提案したこと並びに同年三月二一日H機装係長が原告主張のような発言をしたこと、は認める。(2) 原告の経歴詐称の重大性は、その組合活動あるい政治的信条の如何によつて左右されるものでは決してない。このことは、被告が昭和四一年一一月一五日、真実は東京理科大学中退である最終学歴を高校卒と詐称して入社した者を諭旨解雇に処し、その詐称の程度が本件に比してはるかに軽いものについてさえ厳しく対処していることからも、また、原告は本件解雇後に労働協約第八章に基づき苦情申立てを行なつたが、会社代表、組合代表からなる中央苦情処理委員会において、組合側委員全員が「組合活働の弾圧は見あたらず」、「本件諭旨解雇処分は妥当である」と認めていることからも明らかといえよう。ところで、原告が自らの組合活動もしく思想信条の具体的現われとして挙げるものは、昭和四六年九月の組合定期大会における発言、翌四七年二月の勤務制度に対する反対行動、同年四月のビラ配付などであるが、しかし、被告は、前述したように原告の経歴詐称が判明した後である昭和四六年一二月一四日に、既に鶴見造船所長、同副所長、労務部長の間で、原告が円満退職しない場合には経歴詐称を理由に解雇するとの方針を決定し、同月二五日には来社した原告の両親にこの旨を表明しているのであるから、少なくともそれ以降に原告が行なつたとして挙げる組合活動が解雇の理由となる余地はない。 する反対行動、同年四月のビラ配付などであるが、しかし、被告は、前述したように原告の経歴詐称が判明した後である昭和四六年一二月一四日に、既に鶴見造船所長、同副所長、労務部長の間で、原告が円満退職しない場合には経歴詐称を理由に解雇するとの方針を決定し、同月二五日には来社した原告の両親にこの旨を表明しているのであるから、少なくともそれ以降に原告が行なつたとして挙げる組合活動が解雇の理由となる余地はない。ただ、問題となり得るのは昭和四六年九月の組合定期大会の状況のみであるが、しかし、原告の解雇決定に関与した上記労務部長でさえ、原告の氏名を承知したのは同年一二月八日においてであつたのであるから、右定期大会における 得るのは昭和四六年九月の組合定期大会の状況のみであるが、しかし、原告の解雇決定に関与した上記労務部長でさえ、原告の氏名を承知したのは同年一二月八日においてであつたのであるから、右定期大会における原告の発言等を端緒あるいは理由として本件解雇に及んだことなどありえようはずがない。第三証拠関係(省略) 理由 一雇用契約の成立と本件解雇の意思表示原告が昭和四五年四月一三日被告に期間の定めなく雇用され、以来、被告の鶴見造船所艤工作部機装係において勤務してきたこと、同造船所の就業規則第八六条及び労働協約第二八条には、抗弁1に主張のとおりの各規定が存すること、そして、被告が原告に対し、昭和四七年四月一四日、原告に懲戒解雇事由たる右就業規則第八六条及び労働協約第二八条の各一二号にいう「重要な経歴をいつわり、その他詐術を用いて雇入れられたとき。」に該当する行為があつたとして、右各条但書の「ただし、情状により減給または出勤停止あるいは諭旨解雇にとどめることがある。」旨の規定を適用したうえ、就業規則第八四条四号及び労働協約第二六条四号各所定の方式に従い、諭旨解雇する旨の意思表示をなしたとは、いずれも当事者間に争いがない。二被告が挙示する経歴詐称等の有無について 1 (学歴の点)原告が採用試験を受ける際、被告に提出した入社志願書の学歴欄には「昭和三八年三月新宿区立四谷第二中学校卒業とのみ記載されていること、しかし真実は、原告は同中学校を卒業後、東京都立新宿高校に入学して昭和四一年三月同高校を卒業し、同四二年四月東京大学文科三類に入学していることは、いずれも当事者間に争いがない。なお、原告において、原告はその後東京大学を除籍になつているはずと主張するが、証人E、同Fの各証言及び原告本人尋問の結果を併せると、原告は昭和四四年 学歴欄には「昭和三八年三月新宿区立四谷第二中学校卒業とのみ記載されていること、しかし真実は、原告は同中学校を卒業後、東京都立新宿高校に入学して昭和四一年三月同高校を卒業し、同四二年四月東京大学文科三類に入学していることは、いずれも当事者間に争いがない。なお、原告において、原告はその後東京大学を除籍になつているはずと主張するが、証人E、同Fの各証言及び原告本人尋問の結果を併せると、原告は昭和四四年 していることは、いずれも当事者間に争いがない。なお、原告において、原告はその後東京大学を除籍になつているはずと主張するが、証人E、同Fの各証言及び原告本人尋問の結果を併せると、原告は昭和四四年一二月ごろから学校を放棄し、東京大学には通学していない状態が続いていたが、正式に中退届を提出したわけではなく、原告の母親において独自に休学届を提出していたため、被告の採用試験の当時、形式的には原告はいまだ同大学の学生たる地位にあつたことが認められる。2 (職歴の点)入社志願書の職歴欄には、原告が昭和三八年四月から同四二年九月までは宮田燃料販売に、同年一〇月から同四四年四月までミツシヨン・コーラに、同年五月から同年一二月まで日本貨物急送株式会社に、同四五年一月から同年三月まで大里製作所に、それぞれ勤務した旨記載されていることは、当事者間に争いがない。ところで、被告は、大里製作所以外の三社に原告は勤務したことがなく、この点の記載は詐称に該当すると主張する。しかして、原告は、その本人尋問において、右三社については社員として勤務したことはないが、いずれも東京大学通学中に一時期アルバイトとして稼働していた旨供述しているが、前掲証人Eの証言に成立に争いのない乙第三号証を併せると、昭和四六年一二月ごろ被告において調査した結果によれば、川崎市所在の日本貨物急送株式会社からは、原告が一時期同社にアルバイトで働いていたことはあるがその詳細は分明でない旨の報告を受けたこと、しかし、他の二社については、入社志願書においてその所在地とされている立川市及び品川区<以下略>付近のいずれにも、これに該当する会社を発見することができなかつたこと、が認められる。右によれば、宮田燃料販売、ミツシヨン・コーラについては、当時における、これら会社の存否も疑問であるうえ、仮 >付近のいずれにも、これに該当する会社を発見することができなかつたこと、が認められる。 でない旨の報告を受けたこと、しかし、他の二社については、入社志願書においてその所在地とされている立川市及び品川区<以下略>付近のいずれにも、これに該当する会社を発見することができなかつたこと、が認められる。右によれば、宮田燃料販売、ミツシヨン・コーラについては、当時における、これら会社の存否も疑問であるうえ、仮 >付近のいずれにも、これに該当する会社を発見することができなかつたこと、が認められる。右によれば、宮田燃料販売、ミツシヨン・コーラについては、当時における、これら会社の存否も疑問であるうえ、仮に、これら二社が存在し、原告が大学に通学するかたわら右二社にアルバイトで働いたことがあつたとしても、入社志願書の記載は、時期の点で大巾に事実と異なり、しかも、通常の従業員の如く継続的に勤務していたものではないのであるから、その旨の申告もまた事実に反しているといわざるをえない。日本貨物急送株式会社についてもその期間等については上記二社と同断の関係にある、ということができる。3 (家族状況の点)入社志願書の家族状況欄には、父早川A、兄早川Bはともに紀陽石油に、弟早川Cは村田製作所にそれぞれ勤務している旨記載されているが、当時父Aは自由民主党所属の衆議院議員であり、兄Bは東急電鉄株式会社に勤務し、また弟Cは神戸大学に在学中であつたこと及び父兄の現住所としてそれぞれ田辺市と記載されているが、真実は東京都中野区であつたことは、いずれも当事者間に争いがない。三原告が被告に採用されるまでの経過前掲乙第三号証、連帯保証人早川A作成名義部分が原告の偽造にかかり、かつ、その余の部分の成立につき争いのない乙第四号証、前掲証人E、同Fの各証言並びに原告本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められ、これに反する証拠はない。1 (原告の経歴)原告は、上述のとおり衆議院議員早川Aの次男であるが、高校生ごろから父とは人生観、社会観を異にするようになり、東京大学に入学してからは川崎セツルメント運動に参加し、やがて右活動に従事するうち、自民党代議士の息子という身分や東京大学の学生という地位を捨て去つて一人の現場労働者として生き抜きたいと考えるようになり、昭和四 してからは川崎セツルメント運動に参加し、やがて右活動に従事するうち、自民党代議士の息子という身分や東京大学の学生という地位を捨て去つて一人の現場労働者として生き抜きたいと考えるようになり、昭和四四年暮ごろから家族との連絡を断つて川崎市内に居住し、大学にも通学しなくなつた。 自民党代議士の息子という身分や東京大学の学生という地位を捨て去つて一人の現場労働者として生き抜きたいと考えるようになり、昭和四 してからは川崎セツルメント運動に参加し、やがて右活動に従事するうち、自民党代議士の息子という身分や東京大学の学生という地位を捨て去つて一人の現場労働者として生き抜きたいと考えるようになり、昭和四四年暮ごろから家族との連絡を断つて川崎市内に居住し、大学にも通学しなくなつた。そして翌四五年一月から、原告は、自活のため東京都大田区所在の前記大里製作所に工員として稼働するようになつたが、同製作所は従業員数名の小企業で、雇主との関係も良くなかつたことなどから嫌気がし、同年三月中旬ごろ退職した。2 (原告が被告の採用試験を受けた契機)原告は、大里製作所を退職してから次の就職先を捜していたところ、昭和四五年三月二一日、毎日新聞夕刊に載つた被告の正社員募集の広告を見て、これに応募することとした。右広告によれば、応募資格は「中卒又は高卒」、「各職歴とも経験不問」とされていた(右の日の毎日新聞夕刊に、上記のような広告が載つたことは当事者間に争いがない。) 3 (採用試験について)昭和四五年三月二四日、川崎市内の山一証券ビルにおいて被告の入社試験が行なわれた(この点は当事者間に争いがない。)。原告は、その際、被告所定の入社志願書を交付され、それに学歴、職歴、家族状況等を記入し、末尾の「上記の通り相違ありません。本書に虚偽の記載あるときは解雇又は採用を取消されても異議ありません。」との文言下に署名押印をして提出した。しかし、右入社試験において、原告はぺーパーテスト、面接のいずれにおいて家族構成、過去の職歴などについて質問されず、また、被告も入社志願書の記載事実に関しては、前記大里製作所に照会しただけでその余の調査を行なわなかつた(以上は当事間に争いがない。)。右試験結果により、原告の採用を可とする評定がなされ、これに基づき同年三月三一日、被告にお 事実 に関しては、前記大里製作所に照会しただけでその余の調査を行なわなかつた(以上は当事間に争いがない。)。右試験結果により、原告の採用を可とする評定がなされ、これに基づき同年三月三一日、被告において原告を採用することが内部的に決定され、入社試験から約二週間後に、原告宅に採用通知が到達した(右のころ原告宅に採用通知が届いたことは当事者間に争いがない。 がなされ、これに基づき同年三月三一日、被告にお 事実 に関しては、前記大里製作所に照会しただけでその余の調査を行なわなかつた(以上は当事間に争いがない。)。右試験結果により、原告の採用を可とする評定がなされ、これに基づき同年三月三一日、被告において原告を採用することが内部的に決定され、入社試験から約二週間後に、原告宅に採用通知が到達した(右のころ原告宅に採用通知が届いたことは当事者間に争いがない。)。かくして、原、被告間には同年四月一三日付の労働契約書(乙第四号証)が取り交されたが、その際、原告は右契約書の連帯保証人欄に勝手に父早川Aの記名をし、有合わせ印を押捺した(労働契約書の連帯保証人早川A作成名義部分が原告の偽造にかかることは当事者間に争いがない。)。四原告の経歴詐称等発覚の契機と本件解雇に至るまでの経緯前掲乙第三号証、いずれも成立に争いのない甲第一二号証、乙第六、第九号証、いずれも原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第八号証の四、第一〇号証、証人I及び前掲証人E、同Fの各証言、原告本人尋問の結果並びに被告の手裡にある乙第一一、第一二号証の存在を総合すると、次の事実が認められ、これを左右し得る証拠はない。1 (原告の経歴詐称等発覚の契機)原告は、昭和四六年一一月一九日、日比谷公園で開かれた沖縄返還協定批准反対の集会に参加した際、逮捕、勾留され、その結果、同年一二月一一日まで被告を長期欠勤した。ところで、原告はこれに先だち、同年一一月中旬ごろ上司の鶴見造船所艤装工作部のJ工長に結婚のため同月二〇日ごろから休暇をとりたい旨申し出ており、また、同じく上司である同工作部のG作業長宛には、右欠勤中である同月二四日ごろKと名乗る女性から、原告の妻か和歌山で交通事故に遭つた旨の電話連絡があつたほか、原告名義を用いた、同月二八日付京都発信の書簡(乙第一一号証) 同工作部のG作業長宛には、右欠勤中である同月二四日ごろKと名乗る女性から、原告の妻か和歌山で交通事故に遭つた旨の電話連絡があつたほか、原告名義を用いた、同月二八日付京都発信の書簡(乙第一一号証)で二週間の結婚休暇及び同年一二月三月付熱海発信の書簡(乙第一二号証)で妻の発病による休暇延長願がそれぞれ送付された。一方、鶴見造船所艤装工作部のF事務係長は、同年一一月二七日ごろ原告の状況を尋ねるべく入社志願書記載の現住所鶴見区<以下略>K方に電話をしたが、既に原告は同年春に他に転出している旨の返答を受け、さらに、G作業長から上述の電話や書簡の件を教えられて、原告の身辺に不安と不審を抱くようになり、同年一二月七日同じく志願書記載の本籍地和歌山県田辺市<以下略>に電話で問い合わせたところ、応対に出た者から、原告は東京に居住し、東京大学の学生であること及びその父Aは衆議院議員であることを知らされた。 社志願書記載の現住所鶴見区<以下略>K方に電話をしたが、既に原告は同年春に他に転出している旨の返答を受け、さらに、G作業長から上述の電話や書簡の件を教えられて、原告の身辺に不安と不審を抱くようになり、同年一二月七日同じく志願書記載の本籍地和歌山県田辺市<以下略>に電話で問い合わせたところ、応対に出た者から、原告は東京に居住し、東京大学の学生であること及びその父Aは衆議院議員であることを知らされた。驚いたF事務係長は、直ちに早川A方に電話したところが、原告の母親から、原告は東京大学に在籍しているが二年ほど前から行方不明になつている旨知らされた。そして翌一二月八日来社した右母親の説明により、被告は初めて原告の入社志願書における学歴、職歴、家族状況等の記載は事実に反するものが多く、また、労働契約書の連帯保証人早川A作成名義部分が前記のとおり偽造にかかることを認識した。かくて、被告は同年一二月一三日の時点において、原告の経歴詐称を確定的に承知するに至つた(この点は当時者間に争いがない。)。2 (本件解雇に至るまでの経過)原告の母親は昭和四六年一二月一三日被告に来社して原告に会い、家に帰るように勧めた(このことは当事者間に争いがない。)右母親は、原告については、東京大学に休学届が提出してあり、是非復学させたいので協力してほしい旨被告にも要請した 日被告に来社して原告に会い、家に帰るように勧めた(このことは当事者間に争いがない。)右母親は、原告については、東京大学に休学届が提出してあり、是非復学させたいので協力してほしい旨被告にも要請したので、同日及び翌一四日に鶴見造船所のE労務部長とF事務係長とが原告に復学するよう説得したが(一三日に、同人らが原告に復学を勧めたことも当事者間に争いがない。)原告は現場労働者として働き続けたいと述べてこの説得に応じなかった。そこで同月一四日ごろ、同造船所L所長、M副所長及びE労務部長らの間で原告の処置について協議検討がなされ、その結果、原告の経歴詐称は重大であり、最終的には解雇処分にせざるをえないとされたが、しかし、現段階で原告が解雇されるとその所在が再び不明となつて復学の機会も失われる恐れがあり、家族においてさらに説得するので、しばらく猶予してほしいとの原告の両親の懇請を容れ、かつは、その父親の社会的地位等をも慮り、なお事態の推移を見守ることにした。 、M副所長及びE労務部長らの間で原告の処置について協議検討がなされ、その結果、原告の経歴詐称は重大であり、最終的には解雇処分にせざるをえないとされたが、しかし、現段階で原告が解雇されるとその所在が再び不明となつて復学の機会も失われる恐れがあり、家族においてさらに説得するので、しばらく猶予してほしいとの原告の両親の懇請を容れ、かつは、その父親の社会的地位等をも慮り、なお事態の推移を見守ることにした。けれども、翌四七年二月下旬、前記所長、副所長及び労務部長は、再び来社した原告の母親に会つて、原告の意思が固く説得不可能な状況にある旨、さらには母親が望みをかけていた東京大学文学部N教授の説得も実現の見通しが立たない有様である旨の報告を受けたので、会社の秩序維持の観点からこれ以上原告の処理を放置できないとして、同年四月六日、来社した母親にE労務部長が右意向を伝えたところ、同月一〇日、原告の両親からやむを得ないとの返答がなされた。そこで、被告は原告は原告の境遇及び将来を慮つて懲戒解雇によらず論旨解雇にすることとし、前述のとおり、同月一四日原告に対し本件解雇の意思表示をした。五解雇の効力について上記一ないし四の事実に基づき、本件解雇の効力の有無について判断する。1 まず、就業規則第八六条及び こととし、前述のとおり、同月一四日原告に対し本件解雇の意思表示をした。五解雇の効力について上記一ないし四の事実に基づき、本件解雇の効力の有無について判断する。1 まず、就業規則第八六条及び労働協約第二八条の各一二号にいう「重要な経歴をいつわり、その他詐術を用いて雇入れられたとき。」たる条項の趣旨について考察する。(1) そもそも、使用者が労働者を雇用する際に、学歴、職歴等その経歴を申告させるのは、これら労働者の過去の行跡をもつて従業員としての適格性の有無を判断し、かつは、採用後の賃金、職種等の労働条件につき、これを正当に評価決定するための資料を得ることにあるから、これに、所謂終身雇用制が一般化して、雇用契約関係は労使双方の相互信頼を基調とする継続的な人間関係にまで及んでいる現状を合わせ考えると、労働者は、雇用されるに際し、その経歴等の申告を求められたときには、使用者に叙上の諸点についての認識を誤らせないよう真実のそれを申告ないし回答すべき信義則上の義務があるものというべきである。したがって、労働者が経歴等を詐称して雇用された場合には、右信義則上の義務に違背しているのみならず、使用者の欺岡された容態のもとにおいて、本来従業員たりえないのに従業員たる地位を取得し、さらには、あるべきものと異なる職種賃金を得て企業内の適正な労務配置、賃金体系等を乱していることになるから、就業規則あるいは労働協約においてかような経歴詐称を懲戒解雇事由として規定することには、それなりの合理的な理由と必要性があるとうべきである。 詐称して雇用された場合には、右信義則上の義務に違背しているのみならず、使用者の欺岡された容態のもとにおいて、本来従業員たりえないのに従業員たる地位を取得し、さらには、あるべきものと異なる職種賃金を得て企業内の適正な労務配置、賃金体系等を乱していることになるから、就業規則あるいは労働協約においてかような経歴詐称を懲戒解雇事由として規定することには、それなりの合理的な理由と必要性があるとうべきである。原告は、経歴詐称は、労働契約成立過程における問題にすぎず、経営秩序を侵害するものではないので、懲戒事由たり得ないと主張するが、上来の説示から明らかなように、右主張は、採ることができない。(2) 次に、前記条項にいう「重要な経歴 過程における問題にすぎず、経営秩序を侵害するものではないので、懲戒事由たり得ないと主張するが、上来の説示から明らかなように、右主張は、採ることができない。(2) 次に、前記条項にいう「重要な経歴をいつわり」とは如何たる場合をいうかを考えるに、それは、経歴のうち、使用者の認識の有無が当該労働者の採否に関して決定的な影響を与えるものについての秘匿又は詐称、換言すれば、労働者が真実の経歴を申告ないし回答したならば、社会通念上、使用者において雇用契約を締結しなかつたであろうという因果関係の存在が認められる場合をいうものと解するのが相当である。原告は、重要な経歴詐称とは、単に詐称したのみでは足りず、経営秩序びん乱の「具体的結果の発生」が要件とされるべきである旨主張する。しかし、経歴を詐称して雇用された場合には、既にその時点において経営秩序を侵害しているものとみられることは上述のとおりであり、加えて、詐称の内容が重要であれば、それは労働者の不信義性格の極めて大きな徴憑というべく、懲戒解雇事由としての客観的合理性は優に具備されていると解されるから、原告の右主張もまた採るをえないものというほかはない。2 進んで、原告の経歴等詐称行為が前記条項に該当するか否かについて検討する。前掲証人E及び同Fの各証言に徴すれば、被告における現場作業員の募集は、職種及び同僚、上司との協調、和合などを配慮して、その学歴を前記のとおり「中卒又は高卒」に限定したものであり、したがつて、原告についてもその申告のとおり中学卒と信じたからこそ採用したものであり、もし真実の学歴を知らされ、東京大学にまで入学している者であることを知つていたならば、上記観点から原告を採用しなかつたであろうことが認めらる。 掲証人E及び同Fの各証言に徴すれば、被告における現場作業員の募集は、職種及び同僚、上司との協調、和合などを配慮して、その学歴を前記のとおり「中卒又は高卒」に限定したものであり、したがつて、原告についてもその申告のとおり中学卒と信じたからこそ採用したものであり、もし真実の学歴を知らされ、東京大学にまで入学している者であることを知つていたならば、上記観点から原告を採用しなかつたであろうことが認めらる。この点に関する原告本人の供述は右認定を動かすに足りないし、その他これを 知らされ、東京大学にまで入学している者であることを知つていたならば、上記観点から原告を採用しなかつたであろうことが認めらる。この点に関する原告本人の供述は右認定を動かすに足りないし、その他これを左右するに足る証拠はない。しかして、かような被告の採用方針は、その職種の内容や職場における同僚、上司との人間関係に重点を置いて定立されたもので、それなりの理由と必要性があるものと解されるから、その帰結としての叙上のような因果関係は、社会通念に照らして首肯することができる、といわねばなない。してみれば、右学歴秘匿のほかに職歴、家族状況の不実記載等その内容、態様のすべてを考え合わせると、原告の入社志願書の虚偽記載は前記条項にいう「重要ないつわり」に該当するものというべきである。3 原告は、被告が、懲戒処分のうち論旨解雇を選択したことは裁量権の行使を誤つたもので、解雇権の濫用にあたると主張する。しかして、原告本人尋問の結果によれば、原告は、被告に入社志願書を提出に当つて、一人の現場労働者として生き抜きたいとの既述のような信条を貫くとともに、真実の学歴、家族関係を記載すればおそらく採用されないであろうとの危惧のもとに、本件虚偽の申告をするに至つたことが窺われ、したがつて、右申告の動機については、原告の置かれた状況下においては、それなりに諒解し得るものがあるといえるし、また、前認定の事実に照らし、被告の行なつた原告に関する前歴等の調査、確認には、いささか粗雑な点のあつたことも否み難いところといえる。しかしながら、かような事情を勘案しても、原告の虚偽申告の内容、程度、それに経歴詐称が発覚するまでの経緯、さらには、前掲甲第八号証四、成立に争いのない乙第一〇号証、原告本人の供述により真正に成立したと認められる甲第八号証の三、四及び証人E、同Fの各証言 あるといえるし、また、前認定の事実に照らし、被告の行なつた原告に関する前歴等の調査、確認には、いささか粗雑な点のあつたことも否み難いところといえる。しかしながら、かような事情を勘案しても、原告の虚偽申告の内容、程度、それに経歴詐称が発覚するまでの経緯、さらには、前掲甲第八号証四、成立に争いのない乙第一〇号証、原告本人の供述により真正に成立したと認められる甲第八号証の三、四及び証人E、同Fの各証言 内容、程度、それに経歴詐称が発覚するまでの経緯、さらには、前掲甲第八号証四、成立に争いのない乙第一〇号証、原告本人の供述により真正に成立したと認められる甲第八号証の三、四及び証人E、同Fの各証言によつて、原告は、日本綱管造船労働組合連合会との協定に基づきその職場で実施されている始業時間前の準備体操に参加しないなど上司、同僚との協調性、連帯性に欠けるところが看取されるこことなど諸般の状況を総合して判断すれば、被告において懲戒解雇を原則としている経歴詐称につき、いわば減刑処分にあたる論旨解雇を選択したことには合理的な理由があり、これをもつて裁量権の行使を誤つたものとは到底評価し難い。もつとも、被告が現場作業員として大学中退者及び短大卒業者を少数採用していることは、当事者間に争いはない。けれども、前掲証人Eの証言によれば、被告は、現場作業員の採用試験に際して、大学中退者等が自ら学歴を告知して入社を求めてきときは、その中退等の理由に合理性が認められ、誠実に働く意欲も窺えるなど特に見るべき点があれば、場合により大学中退者等を採用しているのであり、これは特殊、例外的なものであることが認められるのであつて、この認定を妨げるに足る資料はない。そうとすれば、右争いのない事実も未だ前記の判断を左右し得る事由とは解し難い。そして、他に被告において解雇権を乱用したと窮うに足る事情も見あたらないから、この点に関する原告の主張は理由がなく、採用できない。4 原告は、本件解雇の真の理由は、被告が原告の政治的信条もしくはその組合活動を嫌悪したことによるものであるから、労働基準法第三条に違反するかもしくは労働組合法第七条一項にいう不当労働行為に該当する旨主張する。前掲甲第八号証の四、いずれも成立に争いのない甲第三号証の三、第四号証、いずれも原告本人の供述に 、労働基準法第三条に違反するかもしくは労働組合法第七条一項にいう不当労働行為に該当する旨主張する。  原告は、本件解雇の真の理由は、被告が原告の政治的信条もしくはその組合活動を嫌悪したことによるものであるから、労働基準法第三条に違反するかもしくは労働組合法第七条一項にいう不当労働行為に該当する旨主張する。前掲甲第八号証の四、いずれも成立に争いのない甲第三号証の三、第四号証、いずれも原告本人の供述に 、労働基準法第三条に違反するかもしくは労働組合法第七条一項にいう不当労働行為に該当する旨主張する。前掲甲第八号証の四、いずれも成立に争いのない甲第三号証の三、第四号証、いずれも原告本人の供述により真正に成立したと認められる甲第五号証の一ないし八、第六号証の一、二、第八号証の五、七、第九号証の一ないし八及び前掲証人E、同Fの各証言並びに原告本人の供述を併せると、原告はかねてより所謂労使協調路線をとる被告に労働組合の姿勢に不満を抱いていたが、昭和四六年九月二五、二六日の両日開催された鶴見造船労働組合の定期大会に職場代議員代理として出席した際、執行部提案の運動方針案に賛成せず、来春闘にはスト権の確立をも求めるが如き発言をしたところ、翌二七日にはF事務係長、G作業長に呼び出されて、右のような言動の真意を問いただされたうえ、右労働組合の執行部が中枢を占めている団体である「二八会」に入会するよう勧告されたりしたこと、また、昭和四七年二月被告から勤務制度の改訂案が提示されたところ(この事実は当事者間に争いがない。)、原告はこれに反対して同月二〇日ごろ同志約一〇名とともに「鶴造闘う労働者連絡会」を結成し、同年三月中旬の職場集会において、組合執行部が同月上旬に支持する方針を示した修正案に反対して無記名投票による採決を主張し、その結果、原告の所属する職場において右の投票制が採用されて修正案が否決されるに至つたこと、同月二一日H機装係長が原告ら係員に対し、「四月に班がえをする。地上艤装班と船内艤装班に分ける。」と申し述べたところ(この事実は当事者間に争いがない。)、原告は同年四月一日のミーテイングで右班がえに反対したこと、さらに、同月上旬からは「どたぐつ」という「鶴見闘う労働者連絡会」の機関紙を作成配布し、かつその活動に積極的に従事してきたこと、以上の 。)、原告は同年四月一日のミーテイングで右班がえに反対したこと、さらに、同月上旬からは「どたぐつ」という「鶴見闘う労働者連絡会」の機関紙を作成配布し、かつその活動に積極的に従事してきたこと、以上の事実が認められる。 同年四月一日のミーテイングで右班がえに反対したこと、さらに、同月上旬からは「どたぐつ」という「鶴見闘う労働者連絡会」の機関紙を作成配布し、かつその活動に積極的に従事してきたこと、以上の 。)、原告は同年四月一日のミーテイングで右班がえに反対したこと、さらに、同月上旬からは「どたぐつ」という「鶴見闘う労働者連絡会」の機関紙を作成配布し、かつその活動に積極的に従事してきたこと、以上の事実が認められる。証人Fの証言中右認定に低触する部分は前掲各証拠に照らし採用し難く、他にこれを覆すに足る証拠はない。右の事実によれば、たしかに原告はその主張のような活動をしていたことが認められ、そして、原告の上司であるG作業長、F事務係長らが原告のかような言動を好ましく思つていなかつたであろうことは推認するに難くないから、かかる事情が被告をして原告の両親の要請でもある原告の円満退職への途を早期に断念せしめるひとつの契機となつていたのではないかとも推察される。しかし、本件解雇については、前認定のとおり、既に経歴詐称が判明した直後の昭和四六年一二月一四日ごろ、鶴見造船所々長、同副所長、同労務部長三者の協議において原告が円満退職に応じない場合はこれを断行する旨内部的に決定されていたものであるから、原告の上記のよう活動は何ら本件解雇の主たる理由になつていたとは認め難く、たかだか本件解雇断行の時期決定の一縁由にすぎなかつたものと見るのが相当である。さすれば、上記のような活動を目して原告の主張を裏付ける有力な証左とはにわかに断定し難く、他にも本件解雇が原告の政治的信条や組合活動を決定的要因としてなされたものとみるべき事情は見あたらないから、この点についての原告の主張もまた失当というほかはない。5 以上の次第であるから、本件解雇はその効力を有し、したがつて、これにより原、被告間の雇用契約関係は昭和四七年四月一四日をもつて終了するに至つたものというべきである。六よつて、本件解雇の無効を前提とする原告の本件各請求はいずれも理由がなく失当であるので、こ れにより原、被告間の雇用契約関係は昭和四七年四月一四日をもつて終了するに至つたものというべきである。六よつて、本件解雇の無効を前提とする原告の本件各請求はいずれも理由がなく失当であるので、これを棄却することとし、訴訟費用の負担については民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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