平成18年(行ウ)第63号事業認可処分取消請求事件判決主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求処分行政庁が参加人に対し平成18年3月31日付けでした名古屋都市計画道路事業3・5・118号池内猪高線に係る事業計画の変更認可(変更後の事業計画は別紙事業目録記載3のとおり)を取り消す。 第2事案の概要(注)以下に摘示する都市計画法の各条項は,特に断りのない限り,それぞれ別表記載のものをいう。 本件は,参加人の施行する別紙事業目録記載の都市計画事業に係る事業地の周辺住民である原告らが,愛知県知事(処分行政庁)が平成18年3月31日付けで都市計画法63条1項に基づいて参加人に対してした同都市計画事業に係る事業計画の変更認可が違法であるとして,その取消しを求める事案である(上記都市計画事業は,後記のとおり,平成5年9月3日に都市計画事業の認可を受け,その後,平成12年3月24日,平成14年3月22日及び平成18年3月31日に事業計画の変更認可を受けたものである。以下,この都市計画事業を,事業計画の変更の前後を通じて「本件道路事業」という。)。 前提事実(当事者間に争いがないか,証拠上明らかである。)(1) 当事者等ア原告らはいずれも,本件道路事業の事業地の周辺に位置する肩書地に居住する者であり,その居住地の位置関係は,別紙図面①のとおりである。 イ愛知県知事は,参加人が施行する都市計画事業の認可及び事業計画の変更認可をする権限を有するものであり(都市計画法59条1項,63条1項),被告は,愛知県知事の所属する地方公共団体である。 (2) 都市計画決定に係る経緯ア参加人は,平成4年4月1日,名古屋市長において,都市計画法21条2項,17条1項に基づいて,3 ,63条1項),被告は,愛知県知事の所属する地方公共団体である。 (2) 都市計画決定に係る経緯ア参加人は,平成4年4月1日,名古屋市長において,都市計画法21条2項,17条1項に基づいて,3・5・118号池内猪高線(起点名古屋市千種区内山2丁目,終点名古屋市名東区平和が丘1丁目,主な経過地名古屋市千種区自由ヶ丘2丁目。延長約4580m,構造形式「地表式」,幅員15m。以下「池内猪高線」という。)に係る都市計画の変更案を,同日から同月15日まで一般の縦覧に供した上,同年6月18日,愛知県知事に対し,同法21条2項,19条1項に基づいて,上記都市計画の変更について承認を求め,同年7月23日,愛知県知事職務代理者愛知県副知事により同都市計画の変更の承認を受け,同月30日,同都市計画の変更を決定してこれを告示した(平成4年名古屋市告示第220号。以下,この都市計画の変更決定を「平成4年決定」という。なお,池内猪高線に係る都市計画は,昭和21年7月23日に決定されたもので《当初の名称は「2等大路第2類第11号線池内猪高線」》,平成4年決定に至るまで数度の都市計画の変更決定を経ている。)。 池内猪高線は,①名古屋市千種区内山2丁目~同区振甫町3丁目6番,②同所~同区田代町字姫ヶ池上2番1,③同所~同市名東区平和が丘1丁目の3区間に区間に分けられるが,平成4年決定は,②の区間の一部(約170mの区間)を高架・側道形式とし,同区間の幅員を15m~20.1mに拡幅するものである(以下,②の区間を「本件区間」といい,そのうち高架部分を「本件高架部」という。)。 イ本件区間周辺の用途地域等の指定状況は,次のとおりである(別紙図面②参照)。 (ア) 本件道路事業の事業地の両側境界から20mの範囲第2種住居地域(容積率200%,建ぺい率60%,市道田代 。 イ本件区間周辺の用途地域等の指定状況は,次のとおりである(別紙図面②参照)。 (ア) 本件道路事業の事業地の両側境界から20mの範囲第2種住居地域(容積率200%,建ぺい率60%,市道田代第257号線より東側は20m高度地区で同市道より西側は高度地区の指定なし)(イ) 上記(ア)の北側(東山配水場の周辺を除く。)第2種中高層住居専用地域(容積率200%,建ぺい率60%,20m高度地区)(ウ) 上記(ア)の北側の東山配水場の周辺第1種低層住居専用地域(容積率150%,建ぺい率50%,10m高度地区)(エ) 上記(ア)の南側(日泰寺の周辺を除く。)第1種中高層住居専用地域(容積率200%,建ぺい率60%,20m高度地区。ただし,一部15m高度地区)(オ) 上記(ア)の南側の日泰寺の周辺第1種低層住居専用地域(容積率150%,建ぺい率50%,10m高度地区)ウ参加人は,平成10年12月4日,池内猪高線について,千種台ふれあいタウン関連の一部幅員の変更等に係る都市計画の変更を決定し,これを告示した(平成10年名古屋市告示第409号)。 エ参加人は,平成12年11月28日,池内猪高線について,主な経過地を名古屋市千種区城山新町1丁目,延長を約4560mと変更し,車線の数を2と付記したこと等に伴う都市計画の変更を決定し,これを告示した(平成12年名古屋市告示第427号)。なお,車線数を2と付記したのは,平成10年政令第331号による都市計画法施行令の改正により,都市計画に車線の数を明記することが定められたことによるものである。 (3) 都市計画事業の認可及び工事の施行に係る経緯ア愛知県知事は,平成5年9月3日,参加人に対し,都市計画法59条1項に基づき,本件区間の一部高架式の道路の設置を内容とする次の都市計画事業(本件 3) 都市計画事業の認可及び工事の施行に係る経緯ア愛知県知事は,平成5年9月3日,参加人に対し,都市計画法59条1項に基づき,本件区間の一部高架式の道路の設置を内容とする次の都市計画事業(本件道路事業)を認可して(以下,これを「本件事業認可」という。),これを告示した(平成5年愛知県告示第885号)。 (ア) 施行者の名称名古屋市(イ) 都市計画事業の種類及び名称名古屋都市計画道路事業3・5・118号池内猪高線(ウ) 事業施行期間平成5年9月3日から平成12年3月31日まで(エ) 事業地a収用の部分名古屋市千種区振甫町3丁目及び4丁目,法王町1丁目並びに田代町字岩谷,字四観音道西,字四観音道東及び字姫ヶ池上地内b使用の部分なしイ愛知県知事は,平成12年3月24日,参加人に対し,本件道路事業の事業計画の変更(事業施行期間を平成5年9月3日から平成14年3月31日までとするもの。収用の部分及び使用の部分は変更なし。)を認可して(以下,これを「平成12年変更認可」という。),これを告示した(平成12年愛知県告示第278号)。 ウ愛知県知事は,平成14年3月22日,参加人に対し,本件道路事業の事業計画の変更(事業施行期間を平成5年9月3日から平成18年3月31日までとするもの。収用の部分及び使用の部分は変更なし。)を認可し(以下,これを「平成14年変更認可」という。),これを告示した(平成14年愛知県告示第235号)。 エ(ア) 参加人は,平成15年1月23日,本件区間周辺の地域住民約80名を交えて,本件道路事業に係る工事説明会を行い,地域住民から,地下式(トンネル)の道路に変更できないかとか,環境影響評価を実施しないのかなどの質問,意見が出され,参加人の担当者は,本件道路事業は環境影響評価の対象とはならないこと, 明会を行い,地域住民から,地下式(トンネル)の道路に変更できないかとか,環境影響評価を実施しないのかなどの質問,意見が出され,参加人の担当者は,本件道路事業は環境影響評価の対象とはならないこと,本件区間の道路工事を凍結することはできないことなどを説明した。 (イ) 原告らを含む本件区間周辺の地域住民は,同年2月ころ,「四観音道地区環境を守る会」(以下「守る会」という。)を結成し,同月28日,名古屋市長に対し,本件区間の道路の建設工事の反対及び建設中止を訴える要望書を提出した。 (ウ) 参加人は,同年3月6日,名古屋市議会議員2名,本件区間周辺の地域住民108名を交えて,本件道路事業に係る工事計画説明会を行ったところ,地域住民から,上記(ア)と同様に,地下式(トンネル)の道路への変更や環境影響評価の実施についての質問,意見が出され,参加人の担当者は,環境影響評価を実施する予定はないこと,従前どおり高架式で工事を行う予定であり,地域住民に対しては今後も理解を得られるように説明をしていきたいなどと述べた。 参加人は,地域住民らの意見を踏まえ,既に工事業者への発注が完了していたにもかかわらず,いったん着工を見合わせた。 (エ) 参加人は,同年6月8日,名古屋市議会議員6名,愛知県議会議員2名,守る会の会員19名を交えて,意見交換会を行い,参加人の担当者が,用意した資料に基づいて,高架式で建設する予定の本件道路事業について説明し,地下式案によると出入口部が掘割構造となるため新たな用地取得が必要となることなどを説明し,一方,守る会の会員が,用意した資料に基づいて,守る会による検討結果を説明し,双方から意見が出された。 (オ) 守る会は,中部大学工学部建築学科教授Aに依頼して,池内猪高線の「地下案の構想」(甲16)を作成した。同「地下案の構想」では,池内 て,守る会による検討結果を説明し,双方から意見が出された。 (オ) 守る会は,中部大学工学部建築学科教授Aに依頼して,池内猪高線の「地下案の構想」(甲16)を作成した。同「地下案の構想」では,池内猪高線が計画している幅員(15m)の範囲内で,車道部分を9m,側道・歩道部分を6mとする地下式の道路が提案されていた。 参加人は,同年8月31日,本件区間周辺の地域住民17名及びA教授を交えて,意見交換会を行い,A教授が,上記「地下案の構想」について説明し,これについて協議をした。 (カ) 参加人は,守る会から提案された「地下案の構想」について検討した結果,①この地下式案に従うと,車道部分9m,側道部分4m,歩道部分2mとなるが,構造物(擁壁)の厚さが考えられていないこと,②幅員4mの側道では,故障等で車が停車すると他の車が横を通り抜けることができないこと,③幅員2mの歩道では歩行者と併せた自転車の通行が困難であること,④本件区間の高見側では宅地の高さが南と北で大きく違うため,地下式の道路を造っても出入りできない箇所ができること,⑤現在の計画幅員では代替案の工事はできない上,工事中のマンションへの出入りが不自由となることなどの理由から,実現が困難であると判断し,守る会に対し,その回答をした。 (キ) 参加人は,同年10月中旬,本件区間周辺の地域住民に対し,本件高架部の道路工事に着手する旨通知した上で,同月29日,工事に着手した。この時点で,池内猪高線の本件区間以外の区間の工事は既に完了していた。 (ク) 守る会は,その後も,参加人に対し,抗議書,公開質問状等を提出し,参加人は,これに対し,数回にわたって説明会を実施した。 オ参加人は,平成16年2月,株式会社オリエンタルコンサルタンツに委託して,池内猪高線に係る都市計画道路整備効果調査を実施し, 状等を提出し,参加人は,これに対し,数回にわたって説明会を実施した。 オ参加人は,平成16年2月,株式会社オリエンタルコンサルタンツに委託して,池内猪高線に係る都市計画道路整備効果調査を実施し,池内猪高線の平成32年の交通量は1日当たり1万3500台となるとの交通量推計結果を得た(以下「平成16年交通量推計」という。)。 参加人は,平成16年7月から平成17年4月にかけて,平成16年交通量推計に基づく交通量(1日当たり1万3500台)を前提として本件区間の環境調査を実施し,その結果に基づいて将来自動車が走行した場合の環境予測を行った結果,二酸化窒素,浮遊粒子状物質,騒音についていずれも環境基準(環境基本法15条参照)を満たし,振動について要請限度(振動規制法16条1項参照)を満たしていることが判明したとして,その結果を「池内猪高線だよりvol.4(平成17年夏号)」に掲載した(以下,この環境予測を「本件環境予測」という。)。 カ(ア) 参加人は,平成18年3月6日,愛知県知事に対し,本件道路事業の事業計画を別紙事業目録記載3のとおりとする事業計画の変更(以下「本件事業計画変更」という。)の認可を申請した。 (イ) 本件事業計画変更の変更点の概要は,次のとおりである。 a事業施行期間について平成14年変更認可後の事業計画においては,事業施行期間が平成5年9月3日から平成18年3月31日までとされていたが,終期を4か年延伸し平成22年3月31日までとした。 b本件高架部について平成14年変更認可後の事業計画においては,本件高架部は車道のみで歩道がない構造となっており(高架橋の幅員は8.1m,橋脚は3本),本件区間を通行しようとする歩行者については,並行する側道(副道)を通行し,日泰寺のやや西方にある勾配部分を階段で登り降りする設計であ がない構造となっており(高架橋の幅員は8.1m,橋脚は3本),本件区間を通行しようとする歩行者については,並行する側道(副道)を通行し,日泰寺のやや西方にある勾配部分を階段で登り降りする設計であった(別紙図面③参照)。 本件事業計画変更においては,本件高架部の南側部分に幅2mの歩道を設置し(高架橋の幅員は9.9m,橋脚は6本),本件区間を通行しようとする歩行者については,北側に並行する側道(副道)を通行した場合は,日泰寺のやや西方にある勾配部分を階段で登り降りすることとなり,一方,本件高架部の南側の歩道を通行した場合は,階段を登り降りすることなく勾配部分を緩やかに登ることができる設計となった(別紙図面④,⑤参照)。本件高架部の高さ(地盤面から路面まで)は,最大で約7.7mである。 (ウ) 本件事業計画変更の理由は,次のとおりである。 「本路線は,名古屋市東部の都計小幡西山線から市内中心部の都計名古屋環状線までを東西に結ぶ補助幹線道路である。本事業箇所は池内猪高線の最後の未開通区間であり,本市において整備が進められている千種台団地と市内中心部の中間に位置している。 高低差が大きく,狭く行き止まりとなっている当該地区では,安全で円滑な交通を確保するための道路が必要であり,また,千種台団地の建て替えによるさらなる交通需要に対応するためにも,早急な整備を図る必要がある。 平成5年度に事業を着手し,これまで鋭意用地取得に努め,平成14年度より高架部の工事に着手し,現在下部工事を行っている。しかし,一部関係権利者との間で事業に対する理解が得られず,用地取得及び物件移転交渉が難航している状況である。 今後,引き続き用地交渉に努めるとともに,下部工に続く取付道工,側道工,上部工,街築舗装工,修景施設工と工事を進め,事業の完了を目指すため,事業期間を平成 び物件移転交渉が難航している状況である。 今後,引き続き用地交渉に努めるとともに,下部工に続く取付道工,側道工,上部工,街築舗装工,修景施設工と工事を進め,事業の完了を目指すため,事業期間を平成22年3月31日まで4ヵ年延伸するものである。 また,あわせて歩行者の通行機能を向上させるため,高架部に歩道を設置するなど,道路利用者の利便性の向上を図るため,設計の概要の一部を変更する。」キ愛知県知事は,平成18年3月31日,参加人に対し,本件事業計画変更を認可し(以下,これを「本件変更認可」という。),これを告示した(平成18年愛知県告示第295号)。 クなお,本件変更認可では,本件区間の道路の設計の一部が変更されたが,平成12年変更認可,平成14年変更認可及び本件変更認可を通じ,道路の延長,幅員,車線の数,構造形式等の基本的な設計の変更はされていない。 (4) 本件道路事業に係る仮処分事件,民事事件の経緯ア原告らを含む本件区間周辺の地域住民71名は,平成16年5月20日,名古屋地方裁判所に対し,参加人を債務者として,景観権侵害,日照権侵害,眺望の阻害・圧迫感,所有権等の財産権侵害,工事の危険性,公害(大気汚染)等を理由として,本件道路事業に係る工事の差止めを求める仮処分を申し立てたが,同裁判所は,同年10月18日,同申立てを却下した。 イ原告らを含む本件区間周辺の地域住民15名は,平成17年6月22日,名古屋地方裁判所に対し,参加人を被告として,景観権侵害,日照権侵害,眺望の阻害・圧迫感,所有権等の財産権侵害,大気汚染等の公害,住民が納得するプロセスの欠如,池内猪高線に係る都市計画決定の違法,本件事業認可,平成12年変更認可及び平成14年変更認可の違法等を理由として,本件道路事業に係る工事の差止めを求める民事訴訟を提起したが,同裁判 プロセスの欠如,池内猪高線に係る都市計画決定の違法,本件事業認可,平成12年変更認可及び平成14年変更認可の違法等を理由として,本件道路事業に係る工事の差止めを求める民事訴訟を提起したが,同裁判所は,平成18年10月13日,同訴えを民事訴訟として提起することは許されないとして却下した。 原告X1,同X2,同X3,同X4,同X5,同X6は,同月23日,上記判決を不服として,名古屋高等裁判所に対し控訴したところ,同裁判所は,平成19年6月15日,同判決を取り消し,事件を名古屋地方裁判所に差し戻した。 (5) 本件訴訟の提起原告らは,平成18年9月28日,本件訴えを提起した。 (6) 建築協定原告らを含む本件区間周辺の地域住民は,建築基準法70条,名古屋市建築協定条例(昭和52年名古屋市条例第59号)に基づき,別紙建築協定目録記載の建築協定書を作成して名古屋市長に提出し,平成19年2月27日,同市長から同法73条1項の認可を受けた(以下,同建築協定を「本件建築協定」という。)。 (7) 本件道路事業の進捗状況参加人は,平成19年2月8日時点で,少なくとも,本件高架部の6本の橋脚を完成させ,同年3月12日時点で,本件道路事業の事業地の買収を97%(1万0467㎡中1万0144㎡)まで実行し,平成20年10月17日時点で,本件高架部の半分程度を完成させた。 争点 (1) 原告適格の有無(2) 本件変更認可の前提となる平成4年決定の適法性ア本件変更認可の適法性と平成4年決定の適法性の関係イ実体的適法性ウ手続的適法性(3) 本件変更認可自体の適法性ア2車線で施行することが道路構造令(昭和45年政令第320号)に違反するか否かイ環境影響評価の要否ウ都市計画との適合性エ事業施行期間の適切性オ土地収用法20条の要件第3 適法性ア2車線で施行することが道路構造令(昭和45年政令第320号)に違反するか否かイ環境影響評価の要否ウ都市計画との適合性エ事業施行期間の適切性オ土地収用法20条の要件第3争点に関する当事者の主張 争点(1)について(原告らの主張)(1) 都市計画事業の事業計画の変更認可の取消訴訟における原告適格ア総論行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)。 イ当 性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)。 イ当該法令の趣旨及び目的都市計画事業は,その事業の内容が都市計画に適合することを認可の条件としているが,①都市計画の基本理念として,健康で文化的な都市生活の確保(都市計画法2条),②都市計画の基準に関して,当該都市について公害防止計画が定められているときは都市計画がこれに適合していなければならない(同法13条1項柱書),③都市施設は良好な都市環境を保持するように定める(同項5号),④公聴会の開催等(同法16条1項)が要求されている。 上記公害防止計画の根拠法は,従前公害対策基本法であったが,環境基本法の施行(平成5年11月19日)後は,同法が公害防止計画の根拠法とされ,環境影響の評価に関する法令として,環境影響評価法及び名古屋市環境影響評価条例(平成10年名古屋市条例第40号。以下「本件条例」という。)が存するから,これらは都市計画法の関係法令と認められる。また,事業計画の変更認可が道路工事に関するものである場合には,「交通の発達に寄与し,公共の福祉を増進する」ことを目的とする道路法や,「幹線道路の沿道の整備に関する法律」も,都市計画法の関係法令と認められる。 ウ都市計画法の目的ア,イで挙げた規定を考慮すると,都市計画事業の事業計画の変更認可に関する都市計画法の規定は,事業に伴う公害(大気汚染,騒音等)によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。また,上記の良好な生活環境を保全するという趣旨及 生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。また,上記の良好な生活環境を保全するという趣旨及び目的には,良好な景観を維持しこれを保護することや,日照被害や圧迫感を受けないという利益を保護するという趣旨及び目的が含まれていると考えるべきである。 エ害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度都市計画法又はその関係法令に違反した違法な都市計画の決定又は変更を基礎として都市計画事業の事業計画の変更認可がされた場合に,そのような事業に起因する公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感,景観権(景観利益)の侵害等による被害を直接的に受けるのは,事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民に限られ,その被害の程度は,居住地が事業地に接近するにつれて増大するものと考えられる。また,このような事業に係る事業地の周辺地域に居住する住民が,当該地域に居住し続けることにより上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,これらの住民の健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねない。 オ 結論 以上を考慮すれば,都市計画法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感,景観権(景観利益)の侵害等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。 したがって,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感,景 しても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。 したがって,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感,景観権(景観利益)の侵害等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の事業計画の変更認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると考えるべきである。 (2) 原告らの原告適格景観権(景観利益)について見ると,四観音道地区全体が歴史的建造物の多い客観的価値を有する良好な景観を形成しており,原告らは,四観音道地区に居住し,この良好な景観の維持,発展に努力してきたものであるから,原告ら全員について,景観権(景観利益)が害されることを根拠として原告適格を認めるべきである。 また,他の公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感等の被害について見ると,これらが相互に関連し合って住民に対し精神的苦痛を与えること,その精神的苦痛に至る経過が複雑であること,将来受けることとなる被害を予測することは困難であることなどを考慮すると,厳密な判断基準を採用すべきではなく,四観音道地区に居住する住民であるか否かという形式的な基準で判断するのが相当であるというべきであるから,原告ら全員について,公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感等の被害を根拠として原告適格を認めるべきである。 (被告及び参加人の主張)原告らの主張は争う。 なお,原告らは,原告適格を基礎付ける法律上保護された利益に関して,日照被害,圧迫感,景観権(景観利益)の侵害等の各被害を主張するが,これらは環境基本法2条の公害の定義に含まれていないものであり,これらは都市計画法が保護しようとしている個人的法益に該当しないものと解さ 害,圧迫感,景観権(景観利益)の侵害等の各被害を主張するが,これらは環境基本法2条の公害の定義に含まれていないものであり,これらは都市計画法が保護しようとしている個人的法益に該当しないものと解される。 争点(2)について(被告及び参加人の主張)(1) 本件変更認可の適法性と平成4年決定の適法性の関係について本件変更認可が適法であるためには,その前提となる平成4年決定が適法であることが必要となること自体は争わない。 (2) 平成4年決定の実体的適法性についてア平成4年決定が都市計画法の基準に適合するものであること(ア) 平成4年決定に際し,適合しなければならない都市計画法13条1項柱書前段に規定される計画は,国土計画として,国土総合開発法(平成17年法律第89号による改正前のもの。現在の題名は「国土形成計画法」。以下同じ。)に基づく第4次全国総合開発計画(昭和62年6月30日閣議決定)等が,地方計画として,中部圏開発整備法に基づく中部圏基本開発整備計画(第3次)(昭和63年総理府告示第19号)等がある。 国土総合開発法は,「国土の自然的条件を考慮して,経済,社会,文化等に関する施策の総合的見地から国土を総合的に利用し,開発し,及び保全し,並びに産業立地の適正化を図り,あわせて社会福祉の向上に資することを目的」(1条)としており,全国総合開発計画とは,その目的のため,「国又は地方公共団体の施策の総合的且つ基本的な計画」(2条1項)である国土総合開発計画の一つとして作成される「国が全国の区域について作成する総合開発計画」(2条3項)である。 また,中部圏開発整備法は,「中部圏の開発及び整備に関する総合的な計画を策定し,その実施を推進することにより,東海地方,北陸地方等相互間の産業経済等の関係の緊密化を促進するとともに,首都圏と近畿圏 また,中部圏開発整備法は,「中部圏の開発及び整備に関する総合的な計画を策定し,その実施を推進することにより,東海地方,北陸地方等相互間の産業経済等の関係の緊密化を促進するとともに,首都圏と近畿圏の中間に位する地域としての機能を高め,わが国の産業経済等において重要な地位を占めるにふさわしい中部圏の建設とその均衡ある発展を図り,あわせて社会福祉の向上に寄与することを目的」(1条)としており,その目的のために作成される中部圏基本開発整備計画とは,「中部圏の建設とその均衡ある発展を図るため必要な中部圏の開発及び整備に関する計画」(2条2項)である中部圏開発整備計画の基本開発整備計画として,「中部圏における……都市の開発及び整備,交通体系の確立,……その他中部圏の開発及び整備に関する総合的かつ基本的な方針」(9条2項1号)等を定めるものである。 平成4年決定の目的及び内容は,上記の各計画の妨げになるものではなく,その目的に沿ったものであるから,平成4年決定は,各計画に適合するものである。 (イ) そして,都市計画法13条1項5号は,「都市施設は,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めること。」を掲げる。 名古屋市の都市計画道路網については,戦前である大正13年に都市計画決定を始め,着々と整備を進めてきたが,戦災復興計画の決定に当たり,いったん,戦前の都市計画決定を廃止し,新たに復興都市計画街路として,昭和21年に都市計画決定をした。その道路網は,中心部の商業地域にあっては500mの間隔で,周辺部,住居地域,及び工業地域にあっては1000m以下の間隔で幹線街路を配置し,幹線街路の間にそれぞれ補助幹線街路を1本ずつ配置することを標準とし 網は,中心部の商業地域にあっては500mの間隔で,周辺部,住居地域,及び工業地域にあっては1000m以下の間隔で幹線街路を配置し,幹線街路の間にそれぞれ補助幹線街路を1本ずつ配置することを標準としており,おおむね戦前の計画を踏襲するものであった。 戦前の計画と同様に,戦災復興計画においても,幹線街路を補完する補助幹線街路として,改めて計画決定がされた池内猪高線は,東西方向を結ぶ幹線街路である都市計画道路新出来町線と都市計画道路広小路線との間に位置し,名古屋市中心部の都市計画道路名古屋環状線を始点とし,名古屋市東部の都市計画道路小幡西山線を終点(現在)とする東西に延びる都市計画道路である。 本件区間は,池内猪高線の最後の未開通区間であり,建て替えが進められている千種台団地と市内中心部との中間に位置するため,更なる交通需要に対応するためには,早急な整備を図る必要がある。また,本件区間の周辺地域は,住宅が密集し,大型マンションが建設されるなどしている地域でありながら,道路の整備状況が甚だ劣悪な状態にあるため,道路が緊急時の避難路や救援路として正常に機能するようにという防災上の要請や,地域の交通を円滑に幹線道路に導くようにするために,早急な道路整備が必要な箇所となっている。 平成4年決定は,この課題に対応するため,本件道路事業の施行に先立ち,本件区間の一部について,安全で円滑な交通の流れを確保するため線形を変更するとともに,現状の地形が急な傾斜のため地形上の高低差に配慮して側道を設け,沿道宅地への交通の利便性を確保するため幅員を「15m」から「15~20.1m」に変更したものであり,都市計画法13条1項5号の趣旨に適合するものである。 (ウ) また,都市計画法13条1項柱書後段は,「当該都市について公害防止計画が定められているときは,都市計画は, .1m」に変更したものであり,都市計画法13条1項5号の趣旨に適合するものである。 (ウ) また,都市計画法13条1項柱書後段は,「当該都市について公害防止計画が定められているときは,都市計画は,当該公害防止計画に適合したものでなければならない。」とする。 名古屋市については,全域が平成4年3月策定の愛知地域公害防止計画(以下「平成4年公害防止計画」という。)の対象区域となっているものであるが,本件区間は主要幹線道路でもない片側1車線の道路であって,後記3の(被告及び参加人の主張)の(2)で述べるとおり,環境影響評価の対象にもならない事業であり,平成4年決定に公害防止計画への抵触が生ずるような余地は全くない。 実際,参加人は,地域住民の要望にこたえて,平成16年7月から平成17年4月にかけて,本件区間に係る大気,騒音及び振動の3項目について本件環境予測を行ったが,大気及び騒音については環境基準内であり,振動については要請限度内であった。 この結果を平成4年公害防止計画に当てはめてみても,いずれも基準値等の範囲内に収まっているものである(騒音については,環境基準が平成10年に変更されており,変更後の環境基準に基づき平成19年3月に策定された愛知地域公害防止計画(以下「平成19年公害防止計画」という。)の掲げる基準値の範囲内に収まっているから,当然平成4年当時の基準値の範囲内にも収まっているといえ,また,振動については,平成4年公害防止計画の掲げる目標は「大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度」というものであるが,上述のとおり振動の予測結果は要請限度を下回るものであるから,当然この目標の範囲内に収まっているといえる。)。 (エ) 以上のとおり,平成4年決定は,都市計画法の基準に適合しており,同法に規定される実体的要件を満たしている は要請限度を下回るものであるから,当然この目標の範囲内に収まっているといえる。)。 (エ) 以上のとおり,平成4年決定は,都市計画法の基準に適合しており,同法に規定される実体的要件を満たしている。 イ都市計画法が保護する法益について原告らは,景観権(景観利益)の侵害,公害(大気汚染,騒音等),日照被害,眺望の阻害・圧迫感等の被害を受けることを理由として,平成4年決定が違法である旨主張するが,少なくとも,景観権(景観利益)の侵害,日照被害,眺望の阻害・圧迫感等の被害は,環境基本法2条の公害の定義に含まれていないものであり,都市計画法が保護しようとしている個人的法益に該当しないものと解される。 したがって,これらの被害を根拠として平成4年決定が違法であるという原告らの主張は失当であるというべきであるが,以下,念のため,原告らの主張に対し反論する。 ウ景観権(景観利益)の侵害について(ア) 最高裁平成17年(受)第364号同18年3月30日第一小法廷判決・民集60巻3号948頁(以下「国立市最高裁判決」という。)は,国立市大学通りにおける14階建て,高さ43.65mのマンション建築に関し,「都市の景観は,良好な風景として,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成する場合には,客観的価値を有するものというべきである。」,「良好な景観の恵沢を享受する利益(以下『景観利益』という。)は,法律上保護に値するものと解するのが相当である。もっとも,この景観利益の内容は,景観の性質,態様等によって異なり得るものであるし,社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ,現時点においては,私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず,景観利益を超えて『景観権』という権利性を有するものを認めることはできない。 する可能性のあるものでもあるところ,現時点においては,私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず,景観利益を超えて『景観権』という権利性を有するものを認めることはできない。」と判示する。つまり,国立市最高裁判決は,限られた場合にあっては法律上保護に値する景観利益が存在することを認める一方で,景観権については法律上の権利として認められないとしているのである。 (イ) 本件区間の周辺地域の景観について,国立市最高裁判決が述べるような景観利益が存在するか検討する。 a国立市最高裁判決によれば,大学通りの周辺の景観が,良好な風景として,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成するものと認められたのは,「教育施設を中心とした閑静な住宅地を目指して地域の整備が行われたとの歴史的経緯があり,環境や景観の保護に対する当該地域住民の意識も高く,文教都市にふさわしく美しい都市景観を守り,育て,作ることを目的とする行政活動も行われてきたこと,現に大学通りに沿って一橋大学以南の距離約750mの範囲では,大学通りの南端に位置する本件建物を除き,街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し,調和がとれた景観を呈していることが認められる。」という事実関係を前提にしたものである。 b本件区間の周辺地域は,高度制限のない第2種住居地域又は20m高度制限の第2種中高層住居専用地域であり,本件高架部の高さ(地盤面から路面まで最大7.7m。建物でいえば2階建て程度)を大きく上回る規模の建築物を建築することが十分に可能な地域である。 現に,本件区間に隣接,近接した場所には,7階建てのマンション(陽宮殿)や10階建てのマンション(月宮殿。高さ約30m)など,本件高架部の何倍もの高さの建築物が点在している。 cまた,本件区間の周辺地域は 件区間に隣接,近接した場所には,7階建てのマンション(陽宮殿)や10階建てのマンション(月宮殿。高さ約30m)など,本件高架部の何倍もの高さの建築物が点在している。 cまた,本件区間の周辺地域は,名古屋市都市景観条例(昭和59年名古屋市条例17号)に定める都市景観整備地区(市長が,都市景観基本計画の定めるところにより,重点的にすぐれた都市景観を創造し,又は保全する必要があると認める地区として指定したもの。同条例12条)や,都市計画法に定める風致地区(都市計画上の地域地区の一つで,都市の風致を維持するため定める地区。同法8条1項7号,9条21項)及び特別用途地区(用途地域内の一定の地区について,その地区の特性にふさわしい土地利用の増進,環境の保護等の特別の目的の実現を図るため用途地域の指定を補完して定める地区。同法8条1項2号,9条13項)のほか,特に町並みを保存する地域(名古屋市町並み保存要綱)にも指定されていない。確かに,原告らを含む地域住民は,平成19年2月27日に名古屋市長の認可を受け,本件建築協定を締結しているが,それ以前に,建物の建築に係る自主規制を行ってきたような経緯も聞かれない。さらに,付言すると,原告和仁幹雄は10階建てのマンション(月宮殿)に居住している者である。 dしたがって,本件区間の周辺地域については,国立市最高裁判決が前提としたような事実関係に該当する状況は認められず,本件区間の周辺地域の景観について,法律上保護に値するような景観利益の存在を認めることはできない。 (ウ) 以上のとおり,本件区間の周辺地域において景観利益は存在しないというべきであるが,仮に景観利益が存在するとしても,次の理由から,本件区間の道路の建設は,景観利益に対する違法な侵害には当たらない。 すなわち,国立市最高裁判決は,理由中において, 利益は存在しないというべきであるが,仮に景観利益が存在するとしても,次の理由から,本件区間の道路の建設は,景観利益に対する違法な侵害には当たらない。 すなわち,国立市最高裁判決は,理由中において,「ある行為が景観利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,少なくとも,その侵害行為が刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められると解するのが相当である。」と判示している。 本件道路事業は,都市計画法及び道路法の手続を適法に経て,土地所有者その他の関係権利者に対して物件移転補償等を行いながら(現在未補償の権利者についても,今後,適正な補償を行う予定である。),進められているものであり,国立市最高裁判決の述べるような「刑罰法規や行政法規に違反するものであったり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど」の事実はない。 したがって,本件区間の道路の建設については,「行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠く」ものではなく,たとえ原告らの景観利益が認められると仮定したとしても,その景観利益を違法に侵害する行為には当たらないのである。 (エ) 以上のとおり,本件区間の周辺地域の景観については,そもそも法律上保護に値するような景観利益の存在自体を認めることができないものであり,また,仮にこのような景観利益が存在するとしても,本件区間の道路の建設は,社会的に容認された行為としての相当性を欠くものではなく,景観利益に対する違法な侵害には当たらないものである。 エ公害(大気汚染,騒音等)について本件条例2条2号は,環境影響評価の対象事業を「別表に掲げる事業の種類のいずれかに該 性を欠くものではなく,景観利益に対する違法な侵害には当たらないものである。 エ公害(大気汚染,騒音等)について本件条例2条2号は,環境影響評価の対象事業を「別表に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であって,環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして規則で定めるものをいう。ただし,環境影響評価法(中略)第2条第4項に規定する対象事業(中略)に該当するものを除く。」と規定し,本件条例施行細則(平成11年名古屋市規則第26号)2条は「条例第2条第2号の規則で定める事業は,別表第1の左欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の右欄に掲げる要件に該当する一の事業とする。」と規定し,別表第1は,道路交通法2条1項1号に規定する道路(高速自動車国道及び指定都市高速道路を除く。)の新設の事業については,「車線の数が4以上であり,かつ,長さが1キロメートル以上であるもの」と規定している(以下,この要件を「4車線1㎞要件」という。)。 参加人は,本件道路事業が4車線1㎞要件に該当しないため,環境影響評価を実施していない。この点は,後記3の(被告及び参加人の主張)の(2)で述べるとおりである。 しかしながら,参加人においては,地域住民の強い要望にこたえ,平成16年7月から平成17年4月にかけて四季を通じ,本件区間における環境調査を実施し,その結果を基にして将来自動車が走行した場合に,大気,騒音,振動にどの程度の影響が及ぶかについての本件環境予測を行った。本件環境予測は,もとより本件条例の手続に従ったものではないが,これら3項目の調査手法は,道路を建設しようとする場合における環境影響評価と同様の手法にのっとったものである。 この調査結果から判断すれば,将来予測交通量による二酸化窒素や浮遊粒子状物質については環境基準内であり,公害被害が発生することはない とする場合における環境影響評価と同様の手法にのっとったものである。 この調査結果から判断すれば,将来予測交通量による二酸化窒素や浮遊粒子状物質については環境基準内であり,公害被害が発生することはないものと認められる。 オ日照被害について(ア) 道路の建設などの公共事業における日陰により生ずる損害の補償については,「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」(昭和37年6月29日閣議了解)第3により行っているところ,同第3の規定では,「事業施行中又は事業施行後における日陰……により生ずる損害等については,この要綱においては損失補償として取り扱うべきでないものとされている。しかしながら,これらの損害等が社会生活上受忍すべき範囲をこえるものである場合には,別途,損害賠償の請求が認められることもあるので,これらの損害等の発生が確実に予見されるような場合には,あらかじめこれらについて賠償することは差し支えないものとする。」とされている。このような日陰により生ずる損害等に係る事前賠償は,「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について」(昭和51年2月23日建設省計用発第4号)に基づき行われるべきもので,第2種住居地域においては,冬至における日陰時間が2階(間口部が真南に面する居室)で5時間を超える場合に限り,行うことができるとされている。 (イ) 本件区間の道路においては,本件高架部付近の北側に位置するため,日影による影響が考えられる原告X7・同X5宅,同X8宅について,参加人が,本件区間の道路に起因する冬至における日影を生じる時間を調査したところ,5時間を超えることはなく,補償の対象とならないことが判明している。 (ウ) 原告らは,地上0mでの日陰の検討が必要である旨主張するが,建築基準法56条の2に照らし合わせ 生じる時間を調査したところ,5時間を超えることはなく,補償の対象とならないことが判明している。 (ウ) 原告らは,地上0mでの日陰の検討が必要である旨主張するが,建築基準法56条の2に照らし合わせたとしても,第2種住居地域においては,地上4mでの日影の検討が規定されているのであって,原告らの主張は法的な裏付けを欠くものである。 カ眺望の阻害・圧迫感について眺望権は,景観権と同様に,法律上の権利として認めることができないものである。建物所有・居住者の当該建物からの眺望上の利益は,個人が特定の建物を所有し,これに居住することによって得られる一つの生活利益ではあるが,建物の所有・占有者が建物自体について有する排他的,独占的な支配と同じ意味において支配,享受できる利益ではなく,たまたま特定の場所を所有・占有することから事実上享受し得る利益にすぎないものであり,周辺の客観的状況の変化によっておのずから変容,制約を受けざるを得ないものであって,一定時点において享受できていた眺望利益が当然に法的保護の対象となるものではなく,特定の場所がその場所からの眺望の点で格別の価値を持ち,当該場所からの眺望利益の享受が社会通念上客観的に独自の生活利益として承認されるべき重要性を有するものと認められる場合において法的保護の対象となるというべきである。 本件区間の周辺地域は,高度制限のない第2種住居地域又は20m高度制限の第2種中高層住居専用地域であり,建物の建築によって,ある程度眺望が妨げられることは当初から予定されていたものであるから,原告らの主張する眺望の利益は法的保護の対象になるものとは認められない。 (3) 平成4年決定の手続的適法性についてア平成4年決定に際し,適法な手続が採られたこと(ア) 参加人は,平成4年決定に際し,都市計画の種類,都市計画を 的保護の対象になるものとは認められない。 (3) 平成4年決定の手続的適法性についてア平成4年決定に際し,適法な手続が採られたこと(ア) 参加人は,平成4年決定に際し,都市計画の種類,都市計画を変更する土地の区域(名称,起点,終点及び主な経過地)及び都市計画の案の縦覧場所と共に,一般の縦覧に供する期間(平成4年4月1日から同月15日まで)並びに関係住民及び利害関係人は縦覧期間満了の日までに意見書を提出できる旨を公告した(平成4年名古屋市告示第103号)。 加えて,参加人発行の広報紙である「広報なごや」の平成4年4月号に,都市計画決定・変更案の縦覧として,内容,縦覧期間,縦覧場所,問い合わせ先及び意見書の提出について掲載することにより,更なる周知に努めた。 縦覧に供した都市計画の案については,平成3年7月17日及び同年12月18日に,住民に対し,事業計画説明会を開催することにより,住民の意見を聴取する機会を設けた。 (イ) 参加人は,平成4年決定に際して,同年6月18日,愛知県知事に対し,都市計画の変更の承認について申請を行い(3計街第39-5号の3,4計街第14号の5),愛知県都市計画地方審議会の審議を経た上,同月23日,愛知県知事職務代理者愛知県副知事から,承認を得た(4令都計第4-6号)。 なお,参加人においては,市長の附属機関として,名古屋市都市計画審議会を設置し,参加人が決定する都市計画等について諮問し,審議させていた。平成4年決定に際しても,同年6月10日,名古屋市都市計画審議会に対し,都市計画の変更について諮問を行い(3計街第39-5号の2,4計街第14号の4),同月18日,異議がない旨の答申を得ている(4計都審第2-4号)。 (ウ) 参加人は,平成4年7月30日,平成4年決定をし,これを告示している(平成4年名古屋市告示第 5号の2,4計街第14号の4),同月18日,異議がない旨の答申を得ている(4計都審第2-4号)。 (ウ) 参加人は,平成4年7月30日,平成4年決定をし,これを告示している(平成4年名古屋市告示第220号)。 そして,参加人は,同日,愛知県知事に対し,総括図等の写しの送付をした(4計街第14号の7)。なお,建設大臣に対する総括図等の写しの送付については,「当分の間各市町村において保管すること」との愛知県土木部長の通知(昭和47年7月17日付け47都計号外)を受けていたため,行っていない。 また,名古屋市長は,名古屋市計画局都市計画部街路計画課において,総括図等の写しの公衆の縦覧を行った。 (エ) 以上のとおり,平成4年決定は,都市計画法の規定に従った手続を行っており,同法に規定される手続的要件を満たしている。 イ住民への説明不足(早急な工事を行わない旨の合意)について(ア) 原告らは平成4年決定の手続的違法として,平成15年6月8日に,参加人との間で工事の強行着工をしないことが約束されたことなどを主張する。 しかし,このような約束は存在しないし,原告らの主張によっても,上記約束は,参加人との間の道路工事という事実行為をしないという債権的合意にすぎず,平成4年決定,本件事業認可及びその後の都市計画事業の変更認可の違法性を招来するものではなく,本件変更認可の違法性の審査とは関係のない事項であると解される。 (イ) なお,念のため,以下のとおり,原告らの主張に対して反論する。 a参加人は,平成15年1月23日,池内猪高線の工事計画説明会を行ったが,地域住民から本件区間の道路に関して多くの質問があったものの,「反対意見が多く」あったわけではない。また,「地権者のみを対象に説明会を開き,一般の地域住民をないがしろにしてきた」ということもない。 b参 民から本件区間の道路に関して多くの質問があったものの,「反対意見が多く」あったわけではない。また,「地権者のみを対象に説明会を開き,一般の地域住民をないがしろにしてきた」ということもない。 b参加人は,平成15年3月6日,池内猪高線の工事計画説明会を行い,本件区間について環境影響評価を行わないと説明し,地域住民から本件区間の道路に関して多くの質問があったものの,「反対意見が相次いだ」わけではない。参加人は,事業計画説明会等を繰り返し行いながら,本件区間の道路工事に着手しており,「工事の着工を一方的に通告した」ということもない。 c参加人の職員10名は,平成15年6月8日,原告ら近隣住民等に対し,現状計画等について説明をしたが,その際,工事の強行着工をしないことを約束した事実はない。 ウ代替案の検討不足参加人は,当初,本件道路事業の工事の着工を平成15年3月末と予定し,同年1月23日及び同年3月6日に着工に関する工事計画説明会を開催した。それまでも,事業計画説明会等で,道路の構造を地下式にできないかといった提案が地域住民から出されており,十分に可能性を検討した結果,実現が困難であると判断されたことから,参加人は,地域住民に対し,その旨説明してきた。しかし,守る会から,重ねて地下式の要望が出されたため,参加人は,既に工事業者への発注が完了していたにもかかわらず,やむを得ず,いったん着工を待ち,新たな説明資料を整えて,同年6月8日の意見交換会において地下式の実現が困難であることを説明した。 その際,守る会から検討するので時間がほしい旨の申出があり,更に着工を見合わせていたところ,同年8月末に至り,守る会から対案が出されてきたものの,それはおよそ現実味のある内容ではなかった。そのため,地表式(高架式を含む。)と地下式について検討した結果 り,更に着工を見合わせていたところ,同年8月末に至り,守る会から対案が出されてきたものの,それはおよそ現実味のある内容ではなかった。そのため,地表式(高架式を含む。)と地下式について検討した結果を「池内猪高線の工事着手について(お知らせ)」の「池内猪高線事業の経緯と概要」「4.今後の進め方」「4トンネルとすれば」にまとめ,地下式とする場合の問題点を挙げ,実現が困難であることを地域住民に説明した後,同年10月29日の着工に至ったのである。 なお,参加人は,本件区間の道路を地下式とする場合の問題点として,トンネルの西側となる地区は南北に大きな高低差がある地形であるため,道路への出入りが不自由となってしまうこと,トンネルの出入口部において新たな用地が必要になること,トンネル部において大規模な掘削工事が必要となるため,周辺の生活道路の通行止めの期間が長くなることなどを挙げた。 以上のとおり,参加人は,原告らからの度重なる地下式の提案について検討した結果,その実現が困難であると判断し,これを地域住民に繰り返し説明してきたものである。 (原告らの主張)(1) 本件変更認可の適法性と平成4年決定の適法性の関係についてア愛知県知事は平成5年9月3日に本件事業認可をし,その後,平成12年変更認可及び平成14年変更認可を経て,平成18年3月31日に本件変更認可をした。本件変更認可により事業施行期間は平成22年3月31日までとされた。 イ本件道路事業は都市計画事業として実施されるものであるが,都市計画事業は,市町村が,都道府県知事の認可を受けて施行する(都市計画法59条1項)と定められている。事業認可は「事業の内容が都市計画に適合し,かつ,事業施行期間が適切であること。」を要件とし(同法61条1号),事業認可に際しては事業施行期間が定められていること 画法59条1項)と定められている。事業認可は「事業の内容が都市計画に適合し,かつ,事業施行期間が適切であること。」を要件とし(同法61条1号),事業認可に際しては事業施行期間が定められていることが前提である。 本件では3度にわたって事業施行期間が変更され,その都度,同法63条1項に基づき事業計画の変更が認可された。事業計画の変更認可については,改めて「事業の内容が都市計画に適合し,かつ,事業施行期間が適切であること。」が審査されることとされている(同法63条2項,61条1号)。なお,同法63条1項ただし書は「設計の概要について国土交通省令で定める軽易な変更をしようとするときは,この限りでない。」として変更認可は不要であると規定しているが,これは「軽易な変更」の場合は事業としての同一性を失わないため改めて審査する必要がないという趣旨である。 ウこのように,①都市計画事業の認可が事業施行期間を前提としており,事業施行期間を超えた場合には認可の効力は及ばず,新たに認可を受けなければならないこと,②事業計画の変更認可については都市計画法61条の要件が改めて審査されること,③「軽易な変更」を除いて事業計画を変更する場合には改めて認可が必要であると定めていることからすれば,事業計画の変更認可は「変更」という言葉が使われているが,当初の都市計画事業の認可とは独立した新たな認可処分であると考えるべきである。 エしたがって,本件変更認可が適法といえるためには「事業施行期間が適切であること」のみが審理されるのではなく,本件道路事業全体が都市計画法61条その他の要件を具備しているかが改めて検討されなければならない。 (2) 平成4年決定の実体的適法性についてア景観権(景観利益)の侵害について(ア) 景観権とは,その生活空間の中で良好な景観利益を享受す の要件を具備しているかが改めて検討されなければならない。 (2) 平成4年決定の実体的適法性についてア景観権(景観利益)の侵害について(ア) 景観権とは,その生活空間の中で良好な景観利益を享受する権利である。 ここに「景観」とは,「人間が地表のあるまとまった地域をトータルにとらえた認識像」である。景観利益として認識される具体的利益としては,眺望的利益,日照,歴史的モニュメントとの精神的連続性,地域コミュニティーの統一性と連続性というものを含む。ここには,眺望的景観のほか,位置,地形,生態系,鳥の声や虫の音,水や風の流れ,歴史・文化・信仰・教育・レクリエーション等が構成要素として含まれる。景観利益はこれらのものの積み重ねによる人格的利益であり,景観とはこうした利益全体の統合的指標である。したがって,景観が破壊されるということは単に物の外観が侵害されたということではなく,こうした人々の人格的利益が侵害されたことを意味するのである。 また,建物の壁面位置や高さ,デザイン等に統一性を持たせることで,良い町並み景観が形成されるが,こうした地域は,良好な生活空間となり,土地利用としても良いものとなる。こうした町並み景観は,人格権的な性質と共に,財産権的な性質を持つのである。 (イ) 景観権は,上記のとおり人格権的な性質及び財産権的な性質を有し,いかなる侵害が違法性を有するかは,被害の内容及び程度,地域性,開発行為者の態度,法令違反の有無,被害回避可能性等,諸般の事情を総合考慮して判断すべきであるが,当該開発行為が地域の景観構造の重大な部分を侵害して当該景観の同一性を失わせるようなものである場合は,人格権,財産権の侵害行為となり,違法であるといわなければならない。また,景観利益は地域のコミュニティーにかかわる利益であるため,当該開発行為に対する情報 の同一性を失わせるようなものである場合は,人格権,財産権の侵害行為となり,違法であるといわなければならない。また,景観利益は地域のコミュニティーにかかわる利益であるため,当該開発行為に対する情報公開,意思決定過程への住民参加の有無なども併せて検討されるべきである。 (ウ) ところで,池内猪高線の本件区間は,地形・町並み構造・文化財を基準に,①覚王山日泰寺側の丘陵地域,②市道田代第257号線に沿った住居地ゾーン,③高見側の谷ゾーンの三つの区域に分類できるところ,原告らのほとんどは②及び③の地域に居住している。 そこで,②,③の区域に関連して本件道路事業による景観権(景観利益)の侵害の事実を明らかにする。 a市道田代第257号線に沿った住居地ゾーンについての景観権(景観利益)の侵害市道田代第257号線に沿った住居地ゾーンは日泰寺から鉈薬師,さらに,振甫町に抜ける道路を中心とした区域である。四観音道地区は古くから存在する低層住宅が続き,各家には大きな樹木が植えられており,鉈薬師にも大きな樹木が存在する。こうした樹木は,比較的狭い道路を覆い,緑豊かな町並みを形成している。日泰寺,鉈薬師等の文化財の存在は,この地域の歴史的,文化的性質を特徴付けている。市道田代第257号線の南方向は,表参道を通じて地下鉄東山線覚王山駅に通じ,人々の通学,通勤,買物などに利用されている。北方向は振甫プール,千種区の生涯学習センターに通じ,日常的に利用されている。 池内猪高線により表参道から市道田代第257号線に通じる連続線が分断され,原告らと日泰寺及び日泰寺参道との連続性が失われる。また,池内猪高線は,市道田代第257号線の途中,専修院から鉈薬師の間で,現在の市道田代第257号線より1mも高い地点で水平交差する。したがって,水平交差するためには,約12%の急な 性が失われる。また,池内猪高線は,市道田代第257号線の途中,専修院から鉈薬師の間で,現在の市道田代第257号線より1mも高い地点で水平交差する。したがって,水平交差するためには,約12%の急な勾配の盛土された不自然な道路が必要になり,裏参道としての,更には生活道路としての機能が果たせなくなる。近くには鉈薬師等の文化遺産があり,特に毎月21日の覚王山日泰寺の弘法縁日ともなれば,多くの年配の参拝者が鉈薬師に訪れるが,そのような住民の文化的活動も不可能となってしまう。このような本件道路事業は地域の景観構造の重大な部分を侵害して,当該景観の同一性を失わせる行為として違法である。 b高見側の谷ゾーンについての景観権(景観利益)の侵害高見側の谷ゾーンは,池内猪高線中,日泰寺高台から西に向かって延びた区域である。この区域の原告らの低層住宅地では,2階建ての戸建て住宅が中心であり,しかも,敷地規模もおおむね統一されていて,一戸建て住宅の敷地として平均的な大きさである。この区域も鉈薬師と接しており,鉈薬師に通じる通路は深い緑に覆われ美しい。この美しい景観が形成されたのも,人々が日常的に植木を大切にし,鉈薬師という文化財にふさわしい町並み形成に努力してきたからである。 しかるに,池内猪高線の本件高架部は,2個の橋台の間に6個の橋脚を有する構造になっているが,勾配6.2%,長さ159.3m(構造センター上),幅員9.9m(側道を含めると20.1m)であり,本件高架部は,従来の地面からの最大高さが約8.7mで,更にその上に防護壁及び防音壁が取り付けられることになる。 それはコンクリート壁となる巨大構築物が低層住宅地の目の前の中空にそびえ立つものである。本件高架部の道路は,巨大な灰色のコンクリート壁がそびえるがごとき形態と相まって,付近の景観とは著しく異なる 。 それはコンクリート壁となる巨大構築物が低層住宅地の目の前の中空にそびえ立つものである。本件高架部の道路は,巨大な灰色のコンクリート壁がそびえるがごとき形態と相まって,付近の景観とは著しく異なる。すなわち,それは灰色の直線的構造物として存在することにより,この地域の柔らかい起伏に富む緑多き自然景観とは全く相容れない。また,本件高架部の道路は,長年かけて原告らが培ってきた低層住宅の美しい町並み景観を切り裂くように存在し,低層住宅地が提供するゆとりのある落ち着いた空間とは全く相容れない存在である。このような本件道路事業は地域の景観構造の重大な部分を侵害して,当該景観の同一性を失わせる行為として違法である。 (エ) 景観保全に関する地域住民の努力参加人が昭和21年7月に池内猪高線に係る都市計画決定をしてから平成3年までの約45年間にわたって,本件道路事業に向けての具体的な動きは皆無であったが,その間においても,地域住民は,次のとおり,本件区間の周辺地域の景観保全への努力を途切れることなく行ってきた。 a昭和52年ころ,本件区間の周辺地域でワンルームマンション建設計画が起こった際,この地域の景観が害されるとして,原告X6が中心となって近隣の住民が反対運動を起こした。住民は住民集会を行い3か月ほど運動を続けた結果,オーナーと交渉し,結局ワンルームマンションの建設を中止に追い込んだ。 b昭和55年ころ,本件区間の周辺地域でマンション建設計画が起こった際,日照権が侵害されてしまうなどの理由で,原告X7,同X5,同X6を中心に住民らが反対運動を行い,その結果,日照を確保するためにマンションの屋根を切断させた。 c昭和60年ころ,近隣の岩谷地区でマンション建設計画が起こったが,日照,景観が害されるとして住民が反対運動を起こし,同マンションの建設を 結果,日照を確保するためにマンションの屋根を切断させた。 c昭和60年ころ,近隣の岩谷地区でマンション建設計画が起こったが,日照,景観が害されるとして住民が反対運動を起こし,同マンションの建設を中止に追い込んだ。 d原告らを含む地域住民は,本件建築協定を締結し,平成19年2月27日,名古屋市長から認可を受けた。 イ公害(大気汚染,騒音等)について池内猪高線について,参加人は,1日当たり1万3500台の車両が通行するとしている。しかも,日泰寺高台付近には信号があるため,赤信号の時には高見側の谷ゾーンは渋滞することになり,その場合には排気ガスの排出量は増え,かつ,高見側の谷筋に滞留することにもなる。 自動車の排気ガスについては,二酸化窒素や浮遊粒子状物質が呼吸器系の健康被害をもたらすことが指摘され,窒素化合物は光化学スモッグの原因となったり,花粉症との関連も指摘されている。 また,交通渋滞の発生によって,自動車の排気ガスが交差点付近に充満することになり,近隣住民の健康に極めて大きな影響が出ることが考えられる。 さらに,自動車の通行に伴う騒音による被害も十分考えられる。 本件では,原告ら近隣住民に公害被害の危険が予想されるところ,環境影響評価は実施されていない。 ウ日照被害について本件区間の周辺の土地は,第2種住居地域であるが,本件道路事業に係る道路を建設することにより,四観音道地区で生活する住民には看過し得ない重大な被害が発生するというべきである。 四観音道地区は,上記のとおり,地域内の住民や行政の努力等により,実際は低層の住宅地域として機能してきたものでり,そのために原告らは十分な日照を享受してきたことを考慮すると,四観音道地区が建築基準法上第2種住居地域であるからといって,杓子定規的に地上4mの高さの日照を検討するのは相当でない。 してきたものでり,そのために原告らは十分な日照を享受してきたことを考慮すると,四観音道地区が建築基準法上第2種住居地域であるからといって,杓子定規的に地上4mの高さの日照を検討するのは相当でない。これまで自助努力等により充分な日照を受けてきたことにも照らすと,地上0mを基準とした日照被害を算定・検討すべきであり,この基準によれば,原告らの日照被害は甚大である。 エ眺望の阻害・圧迫感について本件高架部が建設されると,特に高見側の谷ゾーンに住む原告らにとって,絶壁のように本件高架部が立ちふさがり,周辺住民に対して許容限界値を超える圧迫感を与えることになり,また,眺望も著しく阻害される。 (3) 平成4年決定の手続的適法性についてア住民への説明不足(早急な工事を行わない旨の合意)(ア) 平成15年1月23日,池内猪高線の工事説明会が開催され,参加人は,参加した地域住民らに対し,本件道路事業の建設計画・工事を説明したが,住民らには「50年前の都市計画に従って,いきなりされても唐突すぎる。」との反対意見が多く,行政側の論理で地権者のみを対象に説明会を開き,一般の地域住民をないがしろにしてきたこれまでの参加人の態度に非難が集まった。 (イ) 平成15年3月6日,池内猪高線の工事説明会が開催され,地域住民が工事の一時凍結を求めるなどの反対意見が相次いだが,参加人は,本件道路事業について環境影響評価を行わないことを明言するとともに,工事の着工を一方的に通告した。 (ウ) 平成15年3月24日,名古屋市議会議員6名を迎え,地元住民が60名ほど参加して集会が行われた。その中で,住民側は,「工事一時停止」「高架式道路の再検討」を陳情し,議員側も公職者会を結成して工事の一時凍結を訴えかけていくことが決められた。 (エ) 平成15年6月8日,原告ら近隣住民 行われた。その中で,住民側は,「工事一時停止」「高架式道路の再検討」を陳情し,議員側も公職者会を結成して工事の一時凍結を訴えかけていくことが決められた。 (エ) 平成15年6月8日,原告ら近隣住民は,名古屋市緑政土木局から現状計画等について説明を受けた。この時には緑政土木局職員5名,市議会議員6名,県議会議員2名,守る会代表者10名が参加した。それまで,原告らを始めとした住民らは参加人が強行着工しないよう繰り返し申入れを続けてきたが,この集会にて,工事の強行着工をしないことが参加者の間で約束された。 (オ) 参加人は,代替案など十分検討の余地があるにもかかわらず,強行着工したものであり,前記の約束に違反する。 イ代替案の検討不足代替案の検討に関し,代替処置が不可能でもないのに何ら検討することなく処分をした場合には,考慮すべき事項を考慮せず,また,考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠き,その結果,社会観念上著しく妥当性を欠く処分をしたものとして,裁量権の範囲を超える違法なものというべきである。そして,代替案が存する場合には,代替案から最適な案を選定して詳細な検討を行うべきであり,代替案の評価に当たっては,経済性,施行の難易度,関連事業との整合性,事業効果,環境への影響等について比較し,総合的に評価して順位を付けるべきである。 しかしながら,本件道路事業においては,そのような代替案,特に地下式案の比較検討がなされていない。 争点(3)について(被告及び参加人の主張)(1) 2車線で施行することが道路構造令に違反するか否かについてア原告らは,本件区間の計画交通量は1日当たり1万2000台を超えることが明らかであるところ,道路構造令によれば,計画交通量が1日当たり1万台を超える道路については,車線の数を4以上としなければならな 原告らは,本件区間の計画交通量は1日当たり1万2000台を超えることが明らかであるところ,道路構造令によれば,計画交通量が1日当たり1万台を超える道路については,車線の数を4以上としなければならないのであるから,車線の数を2とする本件道路事業は,道路構造令に違反する違法なものであると主張する。 イしかし,本件区間を含む池内猪高線は,昭和21年に都市計画決定がされた路線であり,広小路線及び新出来町線という幹線街路のほぼ中間に配置され,これらを補完する補助幹線街路と位置付けられたものであり,この都市計画決定により,本件区間の道路の幅員は15mと定められている。 その後,参加人は,本件区間の道路については,平成4年決定を行い,平成5年に本件事業認可を受けている。そして,この事業化を企図した際,本件区間の道路管理者である参加人は,平成15年政令第321号による改正前の道路構造令2条17号(現行の道路構造令では2条21号)において,計画交通量が「道路の設計の基礎とするために,当該道路の存する地域の発展の動向,将来の自動車交通の状況等を勘案して,国土交通省令で定めるところにより,当該道路の新設又は改築に関する計画を策定する者で国土交通省令で定めるものが定める自動車の日交通量をいう。」と定義されていること(以下,これを「本件計画交通量定義」という。)に基づいて,本件区間の道路の計画交通量を,道路の存する地域の発展の動向,将来の自動車交通の状況等を勘案して,1日当たりおおむね1万台と定めたものである。 ウそして,本件区間の計画交通量を,上記のように定めた理由は,以下のとおりである。 (ア) 本件計画交通量定義は,計画交通量について「道路の設計の基礎とするために,当該道路の存する地域の発展の動向,将来の自動車交通の状況等を勘案して,……当該道路の新 由は,以下のとおりである。 (ア) 本件計画交通量定義は,計画交通量について「道路の設計の基礎とするために,当該道路の存する地域の発展の動向,将来の自動車交通の状況等を勘案して,……当該道路の新設又は改築に関する計画を策定する者で国土交通省令で定めるものが定める自動車の日交通量をいう。」と定めている。これは,単にある1時点の交通量のみをもって,計画交通量とするものではなく,地域の発展の動向や将来の自動車交通の状況,整備すべき道路の性質(地域の生活道路か幹線道路であるか)等政策的な判断を伴う諸般の事情を総合的に考慮して,計画交通量を判断すべきであるとの規定である。 そして,参加人は,この規定に従い,以下に述べるような判断の下,本件区間の計画交通量をおおむね1万台と定め,2車線で整備することとした。 (イ) 道路構造令の適用に当たっては,道路幅員等の標準化を図るため,「道路の標準幅員に関する基準(案)について」と題する昭和50年7月1日建設省都市局都市計画課長・道路局企画課長通達(建設省都計発第40号・道企発第41号。 以下「標準幅員通達」という。)が定められている。標準幅員通達は,道路構造令3条に定める第3種,第4種の道路のうち,幹線的な市道を新設する場合などに適用されるものであり,標準幅員通達の基準が適用される道路は,主要幹線道路,幹線道路及び補助幹線道路に分類される。 本件区間の道路は,周辺の交通事情等から,「都市部にあっては近隣住区内の幹線となる道路」として補助幹線道路となると判断すべきであるところ,標準幅員通達によれば,補助幹線道路については,都市部にあってはその幅員は16mを標準とし,車線の数は2車線を原則として設定することになる。 また,本件区間の道路は,昭和21年の都市計画決定においても同様に補助幹線街路と位置付けられていたも は,都市部にあってはその幅員は16mを標準とし,車線の数は2車線を原則として設定することになる。 また,本件区間の道路は,昭和21年の都市計画決定においても同様に補助幹線街路と位置付けられていたものであって,幅員は15mと定められていた。幹線道路として4車線で整備するためには30m前後の幅員が必要であり,本件区間についてこのような位置付けをすることは妥当でなく,また非現実的でもある。さらに,池内猪高線については,平成4年当時,本件区間以外は,既に2車線で供用されていることから,仮に本件区間の道路を4車線で整備すると,かえって前後の区間とのバランスを欠くことになる。 (ウ) 以上のことから,参加人は,「道路の存する地域の発展の動向,将来の自動車交通の状況等を勘案して」,本件区間の計画交通量をおおむね1万台と定めたのである。 エしたがって,本件区間の道路は,道路構造令3条2項に基づき,第4種第2級の道路に区分され,その車線数については,同令5条2項により,2車線となったのであり,本件区間の道路が「道路構造令に違反する」ものであるとの原告らの主張は誤りである。 (2) 環境影響評価の要否についてア参加人は,本件道路事業が4車線1㎞要件に該当しないとして,本件条例の定める環境影響評価を実施しなかったものである。 4車線1㎞要件にいう「車線」とは,1縦列の自動車を安全かつ円滑に通行させるために設けられる帯状の車道の部分(副道を除く。)(道路構造令2条5号)であり,「車道」から除かれる「副道」とは,構造上の理由により車両の沿道への出入りが妨げられる区間がある場合に当該出入りを確保するため,当該区間に並行して設けられる帯状の車道の部分(同令2条11号)である。 本件区間の道路は,2車線の本件高架部と2車線の側道(副道)から成るから,本件道路事業に がある場合に当該出入りを確保するため,当該区間に並行して設けられる帯状の車道の部分(同令2条11号)である。 本件区間の道路は,2車線の本件高架部と2車線の側道(副道)から成るから,本件道路事業における本件条例施行細則2条,別表第1所定の「車線の数」は2車線である。 また,本件区間の道路を含む池内猪高線については,延長4560mのうち本件区間(752m)以外は既に供用されており環境影響評価の対象事業とならないから,本件道路事業における本件条例施行細則2条,別表第1所定の「長さ」は752mである。 したがって,本件道路事業は4車線1㎞要件を満たすものではないから,本件条例の定める環境影響評価の対象事業には当たらない。 イなお,原告らは,本件条例は,環境影響評価法のように第1種事業,第2種事業の区分を置いておらず,東京都環境影響評価条例のように,道路全体が与える環境への影響の実質的重大さに配慮した規定もないから,本件条例において,環境影響評価を実施すべき事業であるか否かを判断する際には実質的かつ個別的な事情も含めて検討しなければならない旨主張する。 環境影響評価法は,環境影響評価の対象事業について,「規模が大きく,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるもの(第1種事業)」と「第1種事業に準ずる規模を有するもののうち,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定を行う必要があるもの(第2種事業)」に分類しているが,いずれもその具体的な要件は,環境影響評価法施行令に委任している(同法2条2項,3項)。そして,第2種事業については,同施行令別表第1において,一般国道の新設の場合,車線の数が4以上で,かつ,長さが7.5㎞以上10㎞未満の道路の新設が第2種事業であると明確に規定されている。 すなわち,第2種事業の要件に該当する事業 施行令別表第1において,一般国道の新設の場合,車線の数が4以上で,かつ,長さが7.5㎞以上10㎞未満の道路の新設が第2種事業であると明確に規定されている。 すなわち,第2種事業の要件に該当する事業であるために,まず,同施行令の要件を満たさなければならず,その要件を満たしたもののうちから,同法4条の規定に基づき,環境影響評価を行う必要があるかどうかを実質的かつ個別的に検討することが求められるのであって,環境影響評価法においても,本件条例と同じく,車線の数や長さなどの形式的要件を満たして初めて,実質的に環境影響評価を行う必要があるかを検討することとされているものである。 また,東京都環境影響評価条例においても,同施行規則3条,別表第1に定められているとおり,その要件は,「4車線以上で,かつ,その区間の長さが1キロメートル未満であっても,その他の道路の対象事業の一部として実施するもの又は対象事業を延長して実施するものは,軽微なものを除き,この限りでない。」というものであり,客観的な規模の大きさの基準である「4車線以上」という要件に変わりはないのであり,同条例が実質面のみを考慮して環境影響評価を行うか否かを検討すべきものとしているわけではない。 (3) 都市計画との適合性についてア原告らは,公害防止計画の根拠規定として環境基本法17条を挙げるが,平成4年決定が行われた当時,環境基本法は制定されていないから,公害防止計画は公害対策基本法19条の規定に基づくものである。 原告らが愛知地域公害防止計画の記載として引用する部分は,平成19年公害防止計画ということであれば認めるが,平成4年決定当時の平成4年3月策定の平成4年公害防止計画には,「環境影響評価の適切な運用」についての定めがない。 イ本件道路事業においては,低騒音舗装を採用し,遮音壁を設置す ことであれば認めるが,平成4年決定当時の平成4年3月策定の平成4年公害防止計画には,「環境影響評価の適切な運用」についての定めがない。 イ本件道路事業においては,低騒音舗装を採用し,遮音壁を設置するなどして車の走行による騒音の低減に努めるほか,振動の発生原因となる路面の段差等に注意して施工するなど,十分な公害対策及び騒音対策を行っている。 また,本件道路事業において,環境影響評価を実施する必要がないことは前記(2)で述べたとおりである。 したがって,都市計画との適合性がないとの原告らの主張は理由がない。 (4) 事業施行期間の適切性についてア都市計画法61条1号が,事業施行期間の適切性を事業認可の要件とした趣旨は,専ら,不当に長い事業施行期間が定められると,事業地内の不動産の権利者に対して長期間にわたって権利制限が及ぶことになるため,そのような事態を避けるべく,合理的な期間に事業施行期間を限定しようとしたことにあるものと解されるところ,この期間を定めるにつき,事業施行期間内に当該事業が完了することの確実性を厳密に求めると,施行者や認可権者は,あらゆる不確定要素をも考慮しなければならなくなり,かえって,本来必要ではないかもしれない期間まで含めて,事業施行期間が設定され,それだけ長く事業地内の不動産について権利を有するものに対する権利制限が続くということにもなりかねない。同法63条は,同条規定の事業計画の変更手続に従うことにより,事業期間を延伸することを認めており,同法自身,事業施行期間について弾力的な扱いを容認している。 そして,同法61条1号は,事業施行期間に係る要件について,単に「適切」であることという抽象的な文言で規定しているにすぎないことを併せ考慮すると,同法は,同法61条1号の事業施行期間の適切性の判断について,認可権者たる都道 ,事業施行期間に係る要件について,単に「適切」であることという抽象的な文言で規定しているにすぎないことを併せ考慮すると,同法は,同法61条1号の事業施行期間の適切性の判断について,認可権者たる都道府県知事の広範な裁量にゆだねているものと解すべきである。 イ参加人は,本件道路事業について,よりよい道路計画となるよう地元住民の意見も踏まえて検討を重ね,その建設について地元住民の理解を得るよう努力してきたこと,原告らの一部を含む関係権利者との用地取得及び物件移転交渉が難航していることを理由として,必要に迫られやむを得ず事業施行期間の延伸を含む本件事業計画変更の認可を申請したものであり,原告らが主張するような「工事の見通しが極めてずさんであることにより,事業施行期間についての判断が不適切かつ無責任であったため」などということは決してない。 ウ原告らは,予算の使い方がずさんであると主張する。 しかし,守る会は,平成16年6月10日,本件道路事業に係る平成14年度予算の「事故繰越しの違法・不当性」について,地方自治法242条に基づく名古屋市職員措置要求を行ったが,監査委員は,「当該工事は避けがたい事故により遅れたものと認められ,本市の予算の事故繰越しは違法・不当であるとはいえない。」と判断した。 また,守る会は,平成16年1月23日,本件道路事業に係る平成14年度予算繰越し分の「支出の違法・不当性」について,地方自治法242条に基づく名古屋市職員措置要求を行ったが,監査委員は,「当該工事における迂回に伴う仮設道路の建設費用及び鋼矢板土留め工の費用の支出は,一部未買収地があるという現状を踏まえた上での支出と考えられる。」と判断した。 こうした名古屋市監査委員の判断に照らしても,予算の使い方がずさんであるとの原告らの主張は理由がないことが明らかである ,一部未買収地があるという現状を踏まえた上での支出と考えられる。」と判断した。 こうした名古屋市監査委員の判断に照らしても,予算の使い方がずさんであるとの原告らの主張は理由がないことが明らかである。 (5) 土地収用法20条の要件について原告らは,都市計画法上の事業計画の変更認可に当たっても,土地収用法20条の要件が別途求められると主張する。しかしながら,都市計画法70条1項には「都市計画事業については,土地収用法第20条の規定による事業の認定は行なわず,第59条の規定による認可又は承認をもってこれに代える」,同条2項には「事業計画を変更して新たに事業地に編入した土地については,前項中『第59条』とあるのは,『第63条第1項』と……する。」と規定されている。すなわち,都市計画法上の事業計画の認可及び変更認可にあっては,別途土地収用法20条の要件が審査されないことは明らかである。 実質的に考えても,原告らの主張する土地収用法20条3号,4号の要件については,本件訴訟において,都市計画の適法性が審査されることになり,都市計画は都市計画法に規定する都市計画基準に基づく必要があるのであるから,その法令適合性の中で審査されるものであるから,改めて土地収用法20条3号,4号の要件の審査は不要である。 (原告らの主張)(1) 2車線で施行することが道路構造令に違反するか否かについて本件環境予測は,本件区間の交通量が1日当たり1万3500台であることを前提に実施されているが,参加人が平成14年7月に株式会社オリエンタルコンサルタンツに委託して池内猪高線に係る都市計画道路整備効果調査を実施した際には,平成27年の交通量は1日当たり2万1921台とされており,また,平成17年度名古屋市一般交通量概況において,池内猪高線の開通済み区間の12時間の交通量は 都市計画道路整備効果調査を実施した際には,平成27年の交通量は1日当たり2万1921台とされており,また,平成17年度名古屋市一般交通量概況において,池内猪高線の開通済み区間の12時間の交通量は1万3842台とされている。 そうすると,本件区間の計画交通量は1日当たり1万2000台を超えることが明らかであるところ,道路構造令によれば,計画交通量が1日当たり1万台を超える道路については,車線の数を4以上としなければならないのであるから,車線の数を2とする本件道路事業は,道路構造令に違反する違法なものである。 (2) 環境影響評価の要否についてア参加人は,本件道路事業の実施に際し,「車線の数が4以上」という要件に当たらないとして,本件条例に基づく環境影響評価を実施していない。 イ本件条例施行細則2条,別表第1が4車線1㎞要件を定めていることが本件条例の委任を超えた違法なものであること本件条例においては,「環境影響評価事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む。)並びに工作物の新設及び増改築をいう。以下同じ。)の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には,これらの活動に伴って生ずる影響を含む。以下「環境影響」という。)について,あらかじめ,環境の構成要素に係る項目ごとに調査,予測及び評価を行うとともに,これらを行う過程において当該事業に係る環境の保全のための措置を検討し,この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。」(2条1項)とし,その対象事業として,「別表に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であって,環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして規則で定 おける環境影響を総合的に評価することをいう。」(2条1項)とし,その対象事業として,「別表に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であって,環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして規則で定めるものをいう。」(同条2項)としている。そして,同別表において真っ先に「道路の建設」が挙げられているのである。 そして,本件条例が単に「道路」としているにもかかわらず,本件条例施行細則2条,別表第1が4車線1㎞要件を定めていることは,本件条例の委任の範囲を超えた違法なものである。 ウ本件道路事業は,4車線1㎞要件を満たしていること(ア) 本件道路事業全体の長さは4560mであること本件道路事業は,池内猪高線の最後の未開通区間の事業であり,本件区間を含めた池内猪高線全体が一つの道路としてとらえられている。そうであれば,事業の単位としても,池内猪高線全体を一つの道路事業としてとらえなければならない。 そして,本件区間の道路の開通により,池内猪高線の全線が開通することになって,道路全体について交通量の飛躍的な増加が見込まれることからすれば,実質的に考えても,道路の新しく作られる部分だけに限定して評価の対象とするのは適切でなく,路線全体が環境に与える影響を評価する必要がある。なお,この点に関し,東京都環境影響評価条例は,道路全体を一つの事業として対象事業を判断している。 したがって,本件道路事業の事業単位は,池内猪高線全体を一つのものとしてとらえなければならない。そして,池内猪高線は全体で4560mであるから,環境影響評価の対象事業の要件である車線の長さ1㎞以上を満たす。 (イ) 本件道路は4車線であることa本件区間は,本件高架部2車線に加え,側道(副道)として地上部分2車線が存在するから,計4車線である。 実質的に考えても,本件区間の道路が建設され 上を満たす。 (イ) 本件道路は4車線であることa本件区間は,本件高架部2車線に加え,側道(副道)として地上部分2車線が存在するから,計4車線である。 実質的に考えても,本件区間の道路が建設されることによる交通量の激増の危険性が極めて高いこと,さらに,環境への影響の重大な事業について環境への事前の配慮を求めることが本件条例の趣旨であることからすれば,地上部分の側道(副道)についても,そこを通るであろう多数の車の環境に与える影響を十分考慮しなければならない。 したがって,4車線1㎞要件の4車線という車線数を数えるときに,側道(副道)も一つの車線として解釈すべきであるから,本件道路事業は,4車線の事業である。 b上記(1)で述べたとおり,道路構造令によれば本件区間の道路は本来4車線でなければならないのであるから,4車線1㎞要件においても4車線として判断すべきである。 エ仮に4車線1㎞要件を満たしていないとしても,本件道路事業を実質的かつ個別的な事情も含めて検討すれば,環境影響評価を実施すべき事業に当たること(ア) 本件道路事業は池内猪高線の最後の一部であること本件道路事業は,池内猪高線の最後の未開通区間であり,たとえ本件区間自体は短いようでも,一度開通すれば池内猪高線の全線がつながることによって格段と利便性が増大するから,周辺道路から多数の車が急激に押し寄せてくる可能性が非常に高い。このことは,池内猪高線の周辺道路である①名古屋長久手線と②田籾名古屋線の平成17年度の12時間当たりの交通量が,①は約3万台,②は約2万5000台であり,池内猪高線の当時の交通量である1万3842台をはるかに上回り,これら①②の路線から多数の車が流入する可能性が高いことからしてもいえる。そして,さらに,本件区間の道路が,住宅が密集してしかも今もなお建て替 高線の当時の交通量である1万3842台をはるかに上回り,これら①②の路線から多数の車が流入する可能性が高いことからしてもいえる。そして,さらに,本件区間の道路が,住宅が密集してしかも今もなお建て替えの進む千種台団地と名古屋市内中心部とを結ぶものであることをも併せて考えれば,本件区間の道路が完成することにより多数の車が流入するようになって池内猪高線の交通量が爆発的に増大する危険性が極めて大きい。 したがって,本件道路事業は,それ自体は一見規模が小さい事業に見えても,実際には大気汚染や騒音,振動の問題の発生等,環境に与える影響が極めて重大である。 なお,東京都環境影響評価条例が,他の道路事業と連結する道路の事業を環境影響評価の対象としていることからしても,他の道路と連結する道路事業が環境へ与える影響の重大さは明らかである。 (イ) 本件道路事業は四観音道地区の景観を著しく破壊すること本件区間は,名古屋市の中心部近くとしては極めて特異な美しい景観を有する場所である。本件道路事業は,高架線の建設によってそのような景観を著しく破壊する。そして,名古屋市環境影響評価技術指針(平成11年名古屋市告示第127号)第4の1(4)の(14)が,「景観」への影響を環境影響評価の項目としている趣旨からしても,被告は,高架線建設による当該景観への影響に対して十分な配慮を行う必要がある。 (ウ) 本件道路事業が近隣住民に多数の重大な影響を与えること本件道路事業は,近隣住民に対し,高架線建設によって,上記の景観破壊の悪影響を与えることに加え,日照権侵害,眺望の阻害・圧迫感による被害,大気汚染・騒音など公害による人格権侵害といった多数の重大な被害を与える可能性が極めて高い。 (エ) 本件環境予測の内容が不十分であること被告・参加人は,参加人が本件環境予測を行い,その よる被害,大気汚染・騒音など公害による人格権侵害といった多数の重大な被害を与える可能性が極めて高い。 (エ) 本件環境予測の内容が不十分であること被告・参加人は,参加人が本件環境予測を行い,その結果を「池内猪高線だよりvol.4(平成17年夏号)」で公表しており,それによって環境への影響に配慮していると主張している。 しかし,本件環境予測は,本来行うべき環境影響評価に代替するものとは到底いえず,参加人は改めて環境影響評価を行わなければならない。 なぜなら,まず,上記「池内猪高線だより」の2頁によると,本件環境予測は,本件道路事業によって1日に1万3500台の車が通るという予測を前提として,当該台数の車が通った場合の騒音,振動,大気汚染が周辺環境に与える影響の予測を行っているが,そもそもこの「1万3500台」という通行予測台数が適切なものでなければ,それに基づいて算定された環境への影響の予測は,何の意味も持たない。それにもかかわらず,参加人はこの数字がどのような根拠に基づき算定されたのかについて何ら説明していない。しかも,参加人が平成14年7月に実施した都市計画道路整備効果調査によれば,平成27年の交通量は1日当たり2万1921台とされ,平成17年度名古屋市一般交通量概況によれば,当時の池内猪高線の開通済み区間の12時間の交通量は1万3842台とされており,これらは本件環境予測が前提とする交通量を上回る数字である。このように,本件環境予測は,本件区間の開通によって道路交通量が激増する可能性があるにもかかわらず,むしろ現状よりも低い数字の交通量を前提として試算されていることから,そこで出された数字は全く根拠に乏しく,無意味なものである。 また,環境影響評価法及び本件条例は,かつて存在した閣議要綱に基づく環境アセスメントと異なり,住民の意見 前提として試算されていることから,そこで出された数字は全く根拠に乏しく,無意味なものである。 また,環境影響評価法及び本件条例は,かつて存在した閣議要綱に基づく環境アセスメントと異なり,住民の意見提出や説明会・公聴会の開催といった公衆の関与も含めた第三者の参画の下で,よりよい代替案や合理的な意思決定を検討する目的で行われるものである(本件条例12条,16条,17条,18条,21条等参照)。これに対し,本件環境予測は,環境影響評価法や本件条例による環境影響評価とは異なり,住民の意見提出や説明会・公聴会の開催といった手続がなく,環境への影響に対し適切な配慮が行われているかをチェックする体制が極めて不十分である。したがって,本件環境予測では,合理的な意思決定や,よりよい代替案の検討が行われたものとは到底いえず,環境影響評価に代わる内容とは全くいえない。 以上より,本件環境予測は,本件道路事業が環境に与える影響を適切に配慮したものではなく,環境影響評価に代替する内容ではない。 (オ) 千種台住宅事業と本件事業との一体性本件区間の東部にほぼ隣接する位置で,近年,本件道路事業のほか千種台地区住宅整備事業(以下「千種台事業」という)が行われているが,池内猪高線は,千種台事業の行われた地域の中心部を通る道路であり,千種台事業の一部として拡幅工事が行われているから,本件道路事業と千種台事業は客観的な一体性があり,そのことを被告も認識しており,また千種台事業の環境影響評価が行われた際はいまだ本件事業認可は行われていなかったものの,その時期は近接しており,しかも,本件道路事業が行われることを参加人は千種台事業の環境影響評価が行われた時点で認識していたことからすれば,本件道路事業と千種台事業とは関連性が極めて密接であり,二つの事業は事業として一体のものというべ 件道路事業が行われることを参加人は千種台事業の環境影響評価が行われた時点で認識していたことからすれば,本件道路事業と千種台事業とは関連性が極めて密接であり,二つの事業は事業として一体のものというべきである。 それにもかかわらず,千種台事業の環境影響評価は,池内猪高線全線開通による通行量の増加を前提として行われていない。そうすると,千種台事業の環境影響評価では,供用時の交通量の増加による地域住民の交通安全に及ぼす影響や,大気汚染,道路騒音に関する調査を行っているが,本件区間の道路建設後の交通量の激増の可能性という事情を考慮していないため,同環境影響評価には道路の環境に与える影響を評価する上で重大な見落としがあり,環境への配慮が極めて不十分である。 したがって,本件区間の道路建設後の交通状況を踏まえないで行われた千種台事業の環境影響評価は,本来環境影響評価によって評価すべき環境への影響が大きい事情をあえて評価していない点で,全く不十分かつ不合理なものであり,本件条例によって要求される内容の環境影響評価を行ったとは到底いえない。 (カ) まとめ以上より,本件道路事業については,交通量の急激な増大によって,本件区間の周辺環境に重大な影響が生ずるおそれが非常に高い。したがって,環境影響評価法及び本件条例の趣旨に照らして考えれば,参加人が本件事業について環境影響評価を行う必要性は,極めて高い。 そして,そうであれば,本件道路事業が4車線1㎞要件に該当するかの判断を限定的・形式的に行うのは本件条例の趣旨に反する解釈であり,環境影響評価の対象事業該当要件は,本件道路事業の具体的事情を踏まえて柔軟に判断しなければならず,本件道路事業は環境影響評価の対象事業に該当するというべきである。 (3) 都市計画との適合性についてア都市計画法13条1項柱書は「当該都 道路事業の具体的事情を踏まえて柔軟に判断しなければならず,本件道路事業は環境影響評価の対象事業に該当するというべきである。 (3) 都市計画との適合性についてア都市計画法13条1項柱書は「当該都市について公害防止計画が定められているときは,都市計画は,当該公害防止計画に適合したものでなければならない。」と定めている。公害防止計画に都市計画が反していれば当該都市計画は違法となろうし,公害防止計画に反した都市計画行政(事業認可)が行われれば,それは都市計画法に反する行政行為といわなければならない。 イ環境基本法17条によれば,環境大臣の指示により,既に公害が著しいか人口・産業の急速な集中などで公害が著しくなるおそれのある地域について,都道府県知事が環境基本計画を基本として公害防止計画を作成することとされている。 愛知県知事は,名古屋等地域において,昭和47~平成2年度の19年間,公害防止計画を策定し,平成3年度には地域を一本化して平成4年公害防止計画として策定し,引き続き,平成8~12年度,同13~17年度を計画期間とする計画を策定した。 愛知地域公害防止計画によれば,道路公害対策として大気汚染の防止,騒音対策を実施するものとされ,環境影響評価については「地域の環境に著しい影響を及ぼすおそれのある大規模な開発事業を行う場合には,事前に環境への影響を把握して,適切な環境保全対策を講ずることが重要である。このため,環境影響評価法,愛知県環境影響評価条例に基づく環境影響評価の適切な運用を図り,公害の防止,自然環境の保全及び温室効果ガス等の環境負荷の削減に努める。」とされている。 ウ以上のとおり,本件道路事業は,公害対策,騒音対策が不十分であり公害防止計画と整合しない上,前記(2)で述べたとおり,環境影響評価を実施すべきであるにもかかわらずこれ に努める。」とされている。 ウ以上のとおり,本件道路事業は,公害対策,騒音対策が不十分であり公害防止計画と整合しない上,前記(2)で述べたとおり,環境影響評価を実施すべきであるにもかかわらずこれを実施しておらず,公害防止計画と整合しない。 よって,本件事業認可は都市計画法13条に適合しない違法な事業認可である。 (4) 事業施行期間の適切性についてア事業施行期間の適切性を事業認可の要件とした趣旨都市計画法61条1号が,事業施行期間の適切性を事業認可の要件とした趣旨は,専ら,不当に長い事業施行期間が定められると,事業地内の不動産の権利者に対して長期間にわたって権利制限が及ぶことになるため,そのような事態を避けるべく,合理的な期間に事業施行期間を限定しようとしたものである。 これは,事業施行期間の適切性を要求した趣旨が行政の便宜のためではなく,正に原告らのような地域住民の利益を確保する趣旨である。 したがって,事業施行期間の適切性の要件を解釈する際には,行政の便宜を重視するのではなく,地域住民の利益確保という観点を重視すべきである。 イ事業施行期間の合算の必要性かかる趣旨から考えれば,事業施行期間が不当に長いかどうかは,個々の認可を分断して考えるべきではなく,すべての認可の期間を合算して考えるべきである。 なぜなら,認可が数度に分けてされようとも,結局,事業地内の不動産の権利者の権利制限は,継続的,連続的に続くからである。 本件においても,平成5年9月3日の本件事業認可の後に3度の事業計画の変更認可がされているが,本件区間の権利者の権利制限は1度も途切れることなく既に15年近く続いているのである。一体的に見れば,平成18年の本件変更認可の際には,実質的には,約17年もの事業施行期間を定めたものと見るべきであり,これは明らかに不当に長い事業施 切れることなく既に15年近く続いているのである。一体的に見れば,平成18年の本件変更認可の際には,実質的には,約17年もの事業施行期間を定めたものと見るべきであり,これは明らかに不当に長い事業施行期間である。 ウ行政の裁量について事業施行期間の適切性の判断の際に裁量が認められるとしても,事業施行期間の適切性が要件とされた趣旨は,行政の便宜のためではなく,地域住民の利益確保のためであるから,行政の便宜を重視して広範な裁量を認めることは妥当ではない。 あくまでも住民の利益を侵害しない限度での裁量を認めるだけであり,そういう意味で,裁量の幅は極めて狭いものと考えるべきである。 エ適切さの判断基準裁量の幅が狭いことを確認した上で,具体的に適切であるというためには,用地の取得や施設の整備等に要する期間を勘案し,本件道路事業と同規模の事業における事業施行期間に照らして均衡を失するものでなく,申請に係る期間が当該事業の完了を合理的に見込める期間であることが必要であると考える。 本件においては,地元住民の結束した反対運動の盛り上がりのために,用地の取得は進んでいない。また,いかなる事業と,どのような比較において本件道路事業の事業施行期間が平成22年3月31日までのわずか4年の期間で足りると判断したのか明らかではない。これでは,本件道路事業と同規模の事業における事業施行期間に照らして均衡を失するかどうかの判断さえできない。また,申請に係る期間が本件道路事業の完了を合理的に見込める期間であるかどうかも全く明らかではない。 したがって,本件変更認可に係る事業施行期間が不適切であるというより,適切かどうか全く分からないというのが本当のところである。このようないい加減な判断で,地域住民の利益確保が図れるわけがない。 したがって,本件変更認可は,事業施行期間の 期間が不適切であるというより,適切かどうか全く分からないというのが本当のところである。このようないい加減な判断で,地域住民の利益確保が図れるわけがない。 したがって,本件変更認可は,事業施行期間の適切性の要件を満たしていないことが明らかである。 オ過去における本件道路事業の工事予算の使い方のずさんさについて(ア) 事業施行期間設定のずさんさについては,本件道路事業の工事予算の使い方にも表れている。 すなわち,平成15年3月31日,B社と参加人との間で,本件道路事業に係る平成14年度予算の工事に関して,請負代金9660万円で請負契約が締結された。 当初の工期は,平成15年4月1日から同年9月30日までであった。 ところが,工期が平成15年4月1日から始まるにもかかわらず,参加人は,この工事について,平成14年度の予算にその費用を計上し,明許繰越しをせざるを得なかった。さらに,結局工事が平成16年の半ばまで終わらなかったために,平成16年度には再度の繰越しとして事故繰越しをせざるを得なくなったのである。 そして,この工事には,国庫から補助金が出ていたのであるが,東海財務局は,2度目の繰越しを認めなかったために,参加人は,平成16年4月以降施行する残工事を市単独事業として,参加人だけで予算を出さざるを得なかったのである。 事業施行期間のずさんな見通しのために,名古屋市の住民の血税が無駄に使われることになったのである。 (イ) さらに,同じような予算のずさんな使い方として,鋼矢板土留め工の施工の例がある。 本件道路事業に係る平成14年度予算繰越し分の工事において,橋台及び橋脚施工に必要な仮設道路の築造に当たり,P3橋脚付近の未買収地を避けて山側に大きく迂回させたために,鋼矢板土留め工の施工が必要になったのである。 これは不要不急な工事である。用地買収 いて,橋台及び橋脚施工に必要な仮設道路の築造に当たり,P3橋脚付近の未買収地を避けて山側に大きく迂回させたために,鋼矢板土留め工の施工が必要になったのである。 これは不要不急な工事である。用地買収を先行させれば仮設道路を迂回させる必要は全くない。住民との話合いを続ける必要があるにもかかわらず,それをせずに,事業施行期間が,不当に長くなっていることの反射として,ひたすら工事を強行しようとして,無駄な費用の支出を増やしているのである。 これらはすべて,事業施行期間の適切性という要件が満たされていないことの結果である。 (5) 土地収用法20条の要件について都市計画法70条は,事業認可をもって土地収用法20条の規定による事業の認定に代える旨を定めている。したがって,事業計画の変更認可にあっては,土地収用法20条の事業認定の要件が当然に認められるものと考えられる。 土地収用法20条は,「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。」(3号)及び「土地を収用し,又は使用する公益上の必要があるものであること。」(4号)を要件としている。したがって,都市計画法上の事業認可にあっても同一の要件が求められるのである。 ところが,高架式道路による本件道路事業は,①景観権(景観利益)の侵害,日照被害,眺望の阻害・圧迫感,公害(大気汚染,騒音等)による人格権侵害等,原告らを始めとした近隣住民の利益を侵害していること,②適正な手続が踏まれていないこと(適切な代替案が示されていないこと,住民との協議が不十分であること,環境影響評価が実施されていないこと等)から,土地利用の合理性も公益性も欠くものである。 第4当裁判所の判断 争点(1)について(1) 都市計画事業の事業計画の変更認可の取消訴訟における原告適格ア原告らは,本件区間の周辺地域に から,土地利用の合理性も公益性も欠くものである。 第4当裁判所の判断 争点(1)について(1) 都市計画事業の事業計画の変更認可の取消訴訟における原告適格ア原告らは,本件区間の周辺地域に居住し,景観権(景観利益)の侵害,公害(大気汚染,騒音等),日照被害,圧迫感等の被害を根拠として,本件変更認可の取消しを求める訴えにつき原告適格を有する旨主張する。 都市計画事業の事業計画の変更認可については,都市計画事業の認可に関する規定である都市計画法60条,61条及び62条が準用されているから(同法63条2項),同変更認可の取消しを求める訴えにつき原告適格を有する者の範囲は,都市計画事業の認可の取消しを求める訴えにつき原告適格を有する者の範囲と一致するものと解される。 イ「法律上の利益を有する者」の範囲について処分の取消しを求める訴えを提起できるのは,当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に限られるが(行政事件訴訟法9条1項),ここに「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨 を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度も勘案すべきものである(同条2項参照)。 したがって,都市計画事業の認可の根拠法令である都市計画法及びその関連法令が,原告らの主張する景観権(景観利益)や,公害(大気汚染,騒音等),日照妨害,圧迫感等の被害を受けない利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むか否かが問題となる。 ウ都市計画法及びその関連法令の趣旨,目的等(ア) 都市計画法は,同法の定めるところにより同法59条の規定による認可等を受けて行われる都市計画施設の整備に関する事業等を都市計画事業と規定し(4条15項),その事業の内容が都市計画に適合することを認可の基準の一つとしている(61条1号)。 都市計画に関する都市計画法の規定を見ると,同法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(1条),都市計画の基本理念の一つとして,健康で文化的な都市生活を確保すべきことを定めており(2条),都市計画の基準に関して,当該都市について公害防止計画が定められているときは都市計画がこれに適合したものでなければならないとし(13条1項柱書),都市施設は良好な 確保すべきことを定めており(2条),都市計画の基準に関して,当該都市について公害防止計画が定められているときは都市計画がこれに適合したものでなければならないとし(13条1項柱書),都市施設は良好な都市環境を保持するように定めることとしている(同項5号)。また,同法は,都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認められるときは,公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとし(16条1項),都市計画を決定しようとする旨の公告があったときは,関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧に供された都市計画の案について意見書を提出することができるものとしている(17条1項,2項)。 (イ) また,上記の公害防止計画の根拠となる法令である公害対策基本法は,国民の健康を保護するとともに,生活環境を保全することを目的とし(1条),事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下及び悪臭によって人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを公害と定義した上で(2条),国及び地方公共団体が公害の防止に関する施策を策定し,これを実施する責務を有するとし(4条,5条),内閣総理大臣が,①現に公害が著しく,かつ,公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域,又は②人口及び産業の急速な集中等により公害が著しくなるおそれがあり,かつ,公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域について,公害防止計画の基本方針を示して関係都道府県知事にその策定を指示し,これを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成して内閣総理大臣の承認を受けるものとしている(19条)(なお,同法は,環 について,公害防止計画の基本方針を示して関係都道府県知事にその策定を指示し,これを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成して内閣総理大臣の承認を受けるものとしている(19条)(なお,同法は,環境基本法の施行に伴い,平成5年11月19日に廃止されたが,新たに制定された環境基本法は,内閣総理大臣が上記①②の地域について関係都道府県知事に公害防止計画の策定を指示し,これを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成して内閣総理大臣の承認を受けなければならないとしている(17条)。さらに,同条の規定は,平成11年法律第87号及び第160号により改正され,現在は,環境大臣が同様の指示を行い,これを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成し,環境大臣に協議し,その同意を得なければならないとしている。)。 公害防止計画に関するこれらの規定は,相当範囲にわたる大気汚染,騒音,振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害が発生するおそれのある地域について,その発生を防止するために総合的な施策を講ずることを趣旨及び目的とするものと解される。そして,都市計画法13条1項柱書が,都市計画は公害防止計画に適合したものでなければならない旨を規定していることからすれば,都市計画の決定又は変更に当たっては,上記のような公害防止計画に関する公害対策基本法の規定の趣旨及び目的を踏まえて行われることが求められるものというべきである。 (ウ) そして,都市計画事業の認可は,事業の内容が都市計画に適合することを基準としてされるものであるところ,前記(ア)のような都市計画に関する都市計画法の規定に加えて,前記(イ)の公害対策基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併せて,都市計画法66条が,都市計画事業の認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその附近 画法の規定に加えて,前記(イ)の公害対策基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併せて,都市計画法66条が,都市計画事業の認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその附近地の住民に説明し,意見を聴取する等の措置を講ずることにより,事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならないと規定していることも考慮すれば,都市計画事業の認可に関する同法の規定は,事業に伴う大気汚染,騒音,振動等によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。 (エ) 都市計画法又はその関係法令に違反した違法な都市計画の決定又は変更を基礎として都市計画事業の認可がされた場合に,そのような事業に起因する大気汚染,騒音,振動等による被害を直接的に受けるのは,事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民に限られ,その被害の程度は,居住地が事業地に接近するにつれて増大するものと考えられる。また,このような事業に係る事業地の周辺地域に居住する住民が,当該地域に居住し続けることにより上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,これらの住民の健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねないものである。そして,都市計画事業の認可に関する同法の規定は,その趣旨及び目的にかんがみれば,事業地の周辺地域に居住する住民に対し,違法な事業に起因する大気汚染,騒音,振動等によってこのような健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるところ,前記のような被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわ 著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるところ,前記のような被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわざるを得ない。 (オ) 以上のような都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定の趣旨及び目的,これらの規定が都市計画事業の認可の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,同法は,これらの規定を通じて,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,大気汚染,騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。したがって,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより大気汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するものといわなければならない(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2) 原告らの原告適格の有無本件道路事業は,前記前提事実記載のとおり,名古屋市千種区振甫町3丁目及び4丁目,同区法王町1丁目,同区田代町字岩谷,同町字四観音道西,同町字四観音道東,同町字姫ヶ池上地内を事業地(収用対象地)とする事業であるところ,原告らは,同事業地が属する町又は字の区域(名古屋市千種区振甫町4丁目,同区田代町字岩谷,同町字四観音道西,同町字四観音道東)に居住するものであるから,原 事業地(収用対象地)とする事業であるところ,原告らは,同事業地が属する町又は字の区域(名古屋市千種区振甫町4丁目,同区田代町字岩谷,同町字四観音道西,同町字四観音道東)に居住するものであるから,原告らは,本件変更認可による本件道路事業によって,大気汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に該当するというべきである。 したがって,原告らは,すべて本件変更認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものとして,本件取消訴訟における原告適格を有するものと認められる。 争点(2)について(1) 事業計画の変更認可の適法性の判断の在り方についてア都市計画法は,都市計画事業に係る事業計画の変更認可の基準の一つとして,事業の内容が都市計画に適合することを掲げているから(63条2項,61条1号),事業計画の変更認可が適法であるためには,その前提となる都市計画が適法であることが必要である。そして,本件変更認可は,本件区間の一部を高架・側道形式とし幅員を15~20.1mに拡幅した平成4年決定を前提とするものであるから(その後の平成10年12月4日及び平成12年11月28日にされた都市計画の変更決定は本件道路事業には直接影響しないものと認められる。),本件変更認可が適法であるためには,平成4年決定が適法であることが必要となる。 イ都市計画法は,都市計画について,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条),都市施設の整備に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなければならず,当該都市について公害防止計画が定められているときは当該公害防止計画に適合したものでなければならないとし(13条1項柱書),都市施設について るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなければならず,当該都市について公害防止計画が定められているときは当該公害防止計画に適合したものでなければならないとし(13条1項柱書),都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとしているところ(同項5号),このような基準に従って都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるに当たっては,当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきであって,裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)。 ウところで,本件においては,平成5年に本件事業認可がされ,その後,平成12年変更認可,平成14年変更認可がされたが,これらの処分について,原告らは取消訴訟を提起しておらず,現時点においては不可争力が生じており,何人もこれらの処分が違法であることを主張してその取消しを訴 2年変更認可,平成14年変更認可がされたが,これらの処分について,原告らは取消訴訟を提起しておらず,現時点においては不可争力が生じており,何人もこれらの処分が違法であることを主張してその取消しを訴求することはできない。 しかしながら,都市計画法上,事業計画の変更認可の場合においても,設計の概要について省令で定める軽易な変更をしようとする場合を除き,事業の内容が都市計画に適合すること(61条1号)という要件を満たすことが求められており,ここにいう「事業の内容」とは,変更部分のみの事業を指すのではなく,変更後の事業計画全体を指すものと解されるから,認可を行う行政庁は,当初の認可の段階にとどまらず,変更認可の段階においても,既に当初の認可があることを踏まえつつ,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り(同法1条),健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保する(同法2条)などの見地から,変更後の事業計画全体が都市計画に適合するか否かの判断をすることが求められているものと解される。 もっとも,事業計画の変更認可の適法性が問題となる場合において,従前の都市計画事業の認可又は従前の事業計画の変更認可について出訴期間を経過し,現時点においては不可争力が生じており,何人もこれらの処分が違法であることを主張してその取消しを訴求することができない以上,当該事業計画の変更が,施行場所の一部分又は事業施行期間の延伸等にとどまり,従前の事業計画全体に影響を及ぼすような内容を含むものでない場合においては,処分行政庁としては,前回の認可処分後において当該都市計画事業の全体を見直さなければならないような客観的な事情の変更が生じたような場合を除き,既に不可争力が生じている認可処分のうち,当該事業計画の変更によって変更されない部分が適法であることを前提として,事業計画全 見直さなければならないような客観的な事情の変更が生じたような場合を除き,既に不可争力が生じている認可処分のうち,当該事業計画の変更によって変更されない部分が適法であることを前提として,事業計画全体の適合性を審査することなく,当該事業計画の変更における変更部分のみについて都市計画との適合性を審査したとしても,それをもって,裁量権の逸脱又は濫用があったということはできないと解される。 (2) これを本件について見るに,平成18年にされた本件変更認可においては,事業施行期間を延伸するほか,橋脚の本数を6本に変更し,本件高架部の南側部分に歩道を併設するという変更がされたものの,その余の基本的な設計,構造は全く変更されていないから,本件変更認可が平成14年変更認可時点における事業計画全体に影響を及ぼすような内容を含むものとは認められない。また,平成14年変更認可以降においては,前記前提事実記載のとおり,工事着工に先立って平成15年1月ころから住民に対する説明会が開催され,守る会から地下式の要望が出されたなどの事情が認められるものの,これをもって池内猪高線の都市計画事業全体を見直さなければならないような客観的な事情の変更が生じたものとは認められないから,仮に平成4年決定自体に違法事由があったとしてもこれをもって直ちに本件変更認可の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったものということはできないというべきである(なお,原告らは,平成4年決定に重大かつ明白な瑕疵があることを主張するものではない。)。 以下,念のため,原告らが平成4年決定が違法であると主張する点について,実体的適法性,手続的適法性の順に検討を加えることとする。 (3) 実体的適法性について原告らは,本件区間の道路が建設されることにより被る景観権(景観利益)の侵害,公害(大気汚染,騒音等),日 て,実体的適法性,手続的適法性の順に検討を加えることとする。 (3) 実体的適法性について原告らは,本件区間の道路が建設されることにより被る景観権(景観利益)の侵害,公害(大気汚染,騒音等),日照被害,眺望の阻害・圧迫感を理由に,平成4年決定が違法である旨主張する。 ア日照被害について(ア) 道路の建設などの公共事業に起因する日陰により生ずる損害の補償については,「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」(昭和37年6月29日閣議了解)第3により行っているところ,同第3の規定では,「事業施行中又は事業施行後における日陰,臭気,騒音,水質の汚濁等により生ずる損害等については,この要綱においては損失補償として取り扱うべきでないものとされている。しかしながら,これらの損害等が社会生活上受忍すべき範囲をこえるものである場合には,別途,損害賠償の請求が認められることもあるので,これらの損害等の発生が確実に予見されるような場合には,あらかじめこれらについて賠償することは差し支えないものとする。」とされている(丙18)。 また,上記「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」第3に定める日陰により生ずる損害等に係る事前賠償について定めた「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について」(昭和51年2月23日建設省計用発第4号)は,北海道以外の区域の第2種住居地域においては,当該公共施設の設置後の2階(開口部が真南に面する居室)の日陰時間(冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間において,居室の開口部の中央が日陰となる時間をいう。)が5時間(2階以外の階に係る日陰時間は,5時間を基準とし,公共施設の高さ,公共施設と住宅等との位置関係等の状況を勘案して定める。)を超える場合に限り,当該公共施設の 中央が日陰となる時間をいう。)が5時間(2階以外の階に係る日陰時間は,5時間を基準とし,公共施設の高さ,公共施設と住宅等との位置関係等の状況を勘案して定める。)を超える場合に限り,当該公共施設の設置に起因する日陰による損害等をてん補するために必要な費用負担をすることができるとされている(丙19)。 (イ) 本件道路事業で日陰による影響が考えられるのは,本件高架部の北側に位置する原告X7・同X5宅(別紙図面①の⑧),同X8宅(同⑩)であるところ,これらの居宅の2階(開口部が真南に面する居室)において,本件高架部の設置に起因して生ずる冬至日における日陰時間が5時間を超えることはないことが認められる(丙17)。 原告らは,地上0mでの日陰の検討が必要である旨主張し,原告X7・同X5宅と同X8宅の日影図(甲66の1,2)を提出する。そして,同日影図によれば,原告X7・同X5宅の南面の地上0mにおける本件道路に起因する日陰時間は,冬至日が8時間,立春が3時間24分,2月20日が2時間19分であるとされ,原告X8宅の南面の地上0mにおける同日陰時間は,冬至日が8時間,立春が3時間14分,2月20日が2時間13分であるとされている。 しかし,公共施設による日照被害について地上0mでの日陰の検討が必要であるという原告らの主張を裏付ける法的根拠はなく,建築基準法56条の2,名古屋市中高層建築物日影規制条例(昭和52年名古屋市条例第58号)によれば,第2種住居地域においては,高さが10mを超える建築物について地上4mの高さでの日影時間を基にした規制がされているのであって,建築物に関する日影規制に照らしても,原告らの主張は理由がない。 そして,原告らが原告X7・同X5宅と同X8宅に関して提出する日影図は,2階(開口部が真南に面する居室)における日陰の状況を示 あって,建築物に関する日影規制に照らしても,原告らの主張は理由がない。 そして,原告らが原告X7・同X5宅と同X8宅に関して提出する日影図は,2階(開口部が真南に面する居室)における日陰の状況を示すものではなく,原告X7・同X5宅,同X8宅が本件高架部の設置に起因する日陰による被害が上記(ア)の損失補償の対象となる程度に達していることを示すものではない。 (ウ) したがって,本件区間の道路建設によって生ずる日照被害が関係法令上損失補償の対象となる程度に達するものとは認められないから,日照被害を理由として平成4年決定が違法であるとの原告らの主張は理由がない(また,上記日照被害を理由として本件変更認可自体が違法であるとも認められない。)。 イ公害(大気汚染,騒音等)について(ア) 本件区間の道路施行について,関連法令等に照らし環境影響評価を実施することが義務付けられているとは認められないことは後記のとおりであるが,以下,本件区間の公害(大気汚染,騒音等)の程度が環境基準等に適合するか否かを検討することする。 (イ) 公害(大気汚染,騒音等)に係る環境基準は以下のとおりである。 a大気汚染について「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53年環境庁告示第38号)は,二酸化窒素に係る環境基準につき,1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であることと規定している。 また,「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第25号)は,浮遊粒子状物質に係る環境基準につき,1時間値の1日平均値が0.10mg/m以下であり,かつ,1時間値が0.20mg/m以下であることと規定している。 なお,上記環境基準が定める1時間値の1日平均値は,二酸化窒素については,日平均値の年間98%値(年間の1日平 g/m以下であり,かつ,1時間値が0.20mg/m以下であることと規定している。 なお,上記環境基準が定める1時間値の1日平均値は,二酸化窒素については,日平均値の年間98%値(年間の1日平均値のうち,低い方から数えて98%目に当たる値)を,浮遊粒子状物質については,日平均値の年間2%除外値(年間の1日平均値のうち,高い方から数えて2%の範囲にある値を除外した後の最高値)を用いることとされている(丙12,48)。 平成4年公害防止計画及び平成19年公害防止計画において,大気汚染については,上記各告示が定めた環境基準をもって同計画の目標とすることとされた(丙42,43)。 b騒音「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号)は,専ら住居の用に供される地域を「A地域」,主として住居の用に供される地域を「B地域」とし,A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域における騒音の基準値を,昼間は60dB以下,夜間は55dB以下と,B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域における同基準値を,昼間は65dB以下,夜間は60dB以下と規定している(騒音の評価手法は,等価騒音レベルによるものとし,時間の区分ごとの全時間を通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とする。)。 平成19年公害防止計画において,騒音については,上記告示が定めた環境基準をもって同計画の目標とすることとされた(丙43)。なお,平成4年公害防止計画においては,「騒音に係る環境基準について」(昭和46年5月25日閣議決定)に基づいて騒音の基準値を定めていたが(丙42),当時の騒音の評価手法(騒音レベルの中央値によることを原則とするもの)は,その後の騒音影響に関する研究の進展,騒音測定技術の向上等によって,等価騒音レベルによることが相当 値を定めていたが(丙42),当時の騒音の評価手法(騒音レベルの中央値によることを原則とするもの)は,その後の騒音影響に関する研究の進展,騒音測定技術の向上等によって,等価騒音レベルによることが相当であると判断され,平成10年環境庁告示第64号により改正された(「騒音に係る環境基準の改正について」《平成10年9月30日環境庁大気保全局長通知》)。 本件区間の事業地の両側境界から20mの範囲は,第2種住居地域に指定されており,上記B地域に該当する。その北側は第2種中高層住居専用地域(ただし,東山配水場の周辺は第1種低層住居専用地域)に,その南側は第1種中高層住居専用地域(ただし,日泰寺の周辺は第1種低層住居専用地域)にそれぞれ指定されており,上記A地域に該当する。 c振動振動規制法16条1項は,市町村長が,指定地域内における道路交通振動が環境省令で定める限度を超えていることにより道路の周辺の生活環境が著しく損なわれていると認めるときは,道路管理者に対し当該道路の部分につき道路交通振動の防止のための舗装,維持又は修繕の措置を執るべきことを要請し,又は都道府県公安委員会に対し道路交通法の規定による措置を執るべきことを要請するものとすると規定し,同法施行規則12条,別表第2は,上記環境省令で定める限度につき,第1種区域(良好な住居の環境を保全するため,特に静穏の保持を必要とする区域及び住居の用に供されているため,静穏の保持を必要とする区域)において,昼間は65dB,夜間は60dBと規定している(平成4年当時の同法施行規則《平成5年総理府令第47号による改正前のもの》12条,別表第2においても,振動の測定等の定めが異なるものの,要請限度の値の定めは同一である。)。 平成4年公害防止計画において,振動については,「大部分の地域住民が日常生活におい る改正前のもの》12条,別表第2においても,振動の測定等の定めが異なるものの,要請限度の値の定めは同一である。)。 平成4年公害防止計画において,振動については,「大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度」を目標とすることとされ(丙42),平成19年公害防止計画においては,振動に関する目標は記載されていない(丙43)。 (ウ) 参加人は,平成16年2月,株式会社オリエンタルコンサルタンツに委託して,池内猪高線に係る平成16年交通量推計を実施したが,その方法は,対象となる道路ネットワーク上の交通需要,すなわち対象となる道路ネットワークの属するゾーン内外のOD交通量(origin-destination交通量)を,ネットワークシミュレーション法(道路ネットワークをノードとリンクの形でデータ化し,ゾーン間の最短経路《時間,距離》をシミュレーションによって検索して,その経路上のリンクに各OD交通量を配分する手法)により交通量を推計するというものであり,この推計手法により,池内猪高線の平成32年の交通量は1日当たり1万3500台となるとの結果を得た(丙47)。 参加人は,平成16年7月から平成17年4月にかけて,平成16年交通量推計の交通量(1日当たり1万3500台)を基に本件区間の環境調査を実施し,その結果に基づいて,将来本件区間を自動車が走行することにより,大気,騒音,振動にどの程度の影響が及ぶかについての本件環境予測を行ったところ,次のとおりの予測結果が得られ,いずれも上記環境基準及び要請限度を満たしていることが確認された(丙12。なお,測定位置《平面部○,高架部○,平面部○》につき,別紙ABC図面①参照)。 a二酸化窒素(ppm)年平均値日平均値の現況濃度道路寄与濃度合計年間98%値平面部○0.0200.00 位置《平面部○,高架部○,平面部○》につき,別紙ABC図面①参照)。 a二酸化窒素(ppm)年平均値日平均値の現況濃度道路寄与濃度合計年間98%値平面部○0.0200.00180.02180.043A高架部○0.0200.00200.02200.043B平面部○0.0210.00570.02670.049C※日平均値の年間98%値の環境基準は0.04~0.06ppmb浮遊粒子状物質(mg/m) 年平均値日平均値の現況濃度道路寄与濃度合計年間2%除外値平面部○0.0230.00050.02350.055A高架部○0.0230.00050.02350.055B平面部○0.0250.00160.02660.063C※日平均値の年間2%除外値の環境基準は0.10mg/m以下 c騒音(dB)予測値昼間夜間平面部○道路境界B地域 A道路境界から20m地点A地域 高架部○道路境界B地域 B道路境界から20m地点A地域 平面部○道路境界B地域 C道路境界から20m地点A地域 ※環境基準は,B地域の昼間が65dB以下・夜間が60dB以下,A地域の昼間が60dB以下・夜間が55dB以下d振動予測(dB)予測値昼間夜間平面部○ A高架部○ B平面部○ C※第1種区域の要請限度は,昼間が65dB,夜間が60dB※振動の予測値は道路境界の地表の値(エ) 原告らは,平成16年交通量推計による交通量(1日当たり1万3500台)について,①参加人が平成14年7月に株式会社オリエンタルコンサルタンツに委託して池内猪高線に係 値は道路境界の地表の値(エ) 原告らは,平成16年交通量推計による交通量(1日当たり1万3500台)について,①参加人が平成14年7月に株式会社オリエンタルコンサルタンツに委託して池内猪高線に係る都市計画道路整備効果調査を実施した際には,平成27年の交通量は1日当たり2万1921台とされており(甲97),また,②平成17年度名古屋市一般交通量概況において池内猪高線の開通済み区間の12時間の交通量は1万3842台とされている(甲84の1・2)旨指摘する。 ①の点については,参加人は,平成16年6月30日に開催された平成16年度第1回名古屋市公共事業評価監視委員会において,平成14年7月の調査結果による交通量(1日当たり2万1900台)は,中途半端なネットワークを前提としていた上,交通量の上限値が設定されていなかったため,池内猪高線に過度な交通量が集中した結果得られた値であり,平成16年2月の調査結果においては,ネットワークを修正し,バランス良く交通量配分を実施した結果,交通量は1日当たり1万3500台との結果を得た旨の報告をしたことが認められるから(丙55),平成16年交通量推計による交通量(1日当たり1万3500台)は,平成14年7月の調査結果の不備を修正して得られたものと認められる。 ②の点については,平成17年度名古屋市一般交通量概況に記載されている12時間の交通量(1万3842台)は,本件区間から東へ約2㎞程度の地点(千種区富士見台5丁目)で調査した結果の値であり,同調査区間の東西には,志段味田代町線(谷口,姫ヶ池通り1丁目,末盛通り2丁目等を経由する道路)のほか,茶屋ヶ坂牛巻線(茶屋が坂,自由ヶ丘3丁目,猫洞通り2丁目等を経由する道路),平和公園線(平和公園北,猫洞通り1丁目,平和公園口等を経由する道路)等が交差し,本件区間と 目等を経由する道路)のほか,茶屋ヶ坂牛巻線(茶屋が坂,自由ヶ丘3丁目,猫洞通り2丁目等を経由する道路),平和公園線(平和公園北,猫洞通り1丁目,平和公園口等を経由する道路)等が交差し,本件区間とは道路の利用状況等が異なるものとうかがわれるから,上記12時間の交通量(1万3842台)をもって,平成16年交通量推計の交通量(1日当たり1万3500台)が直ちに不合理であるということはできない。 (オ) なお,仮に本件区間における交通量が1日当たり1万3500台を一定程度超えることになったとしても,名古屋市環境局が,平成18年度に実施した大気汚染の常時監視の結果によれば,池内猪高線の南側に位置する広小路線の千種区役所付近(交通量1日当たり約5万台,道路勾配約3.4%)において,二酸化窒素の日平均値の年間98%値は0.044ppm,浮遊粒子状物質の日平均の2%除外値は0.069mg/mであり,いずれも環境基準を達成していたことが認められる (丙48,弁論の全趣旨)から,本件区間における二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の測定値は,1日当たり約5万台が通行する広小路線の千種区役所付近における上記測定値よりも下回るものと考えられる。 (カ) したがって,本件区間の道路建設によって生ずる公害(大気汚染,騒音等)が環境規準及び要請限度を上回る程度に達するものとは認められないから,公害(大気汚染,騒音等)を理由として平成4年決定が違法であるとの原告らの主張は理由がない(また,上記公害(大気汚染,騒音等)を理由として本件変更認可自体が違法であるとも認められない。)。 ウ原告らは,景観権(景観利益)の侵害,眺望の阻害・圧迫感の被害を理由に平成4年決定が違法であると主張するが,景観権(景観利益)の侵害,眺望の阻害・圧迫感の被害は,環境基本法2条の公害の定義に含まれ 原告らは,景観権(景観利益)の侵害,眺望の阻害・圧迫感の被害を理由に平成4年決定が違法であると主張するが,景観権(景観利益)の侵害,眺望の阻害・圧迫感の被害は,環境基本法2条の公害の定義に含まれておらず,平成4年決定の根拠法令である都市計画法及びその関連法令が,これらの被害を受けない利益について,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むものと解することはできないから,原告らの景観権(景観利益)の侵害,眺望の阻害・圧迫感の被害に係る主張は,平成4年決定の違法性に結びつくものとはいえない(また,景観権(景観利益)の侵害,眺望の阻害・圧迫感の被害に係る主張は,本件変更認可自体の違法に結びつくものともいえない。)。 なお,都市の景観についての景観利益が法律上保護に値するものとされるのは,その景観が良好な風景として人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成していることが必要であるところ(国立市最高裁判決),本件区間の周辺地域は,①名古屋市都市景観条例に定める都市景観整備地区(市長が,都市景観基本計画の定めるところにより,重点的にすぐれた都市景観を創造し,又は保全する必要があると認める地区として指定したもの)にも,都市計画法に定める風致地区(都市計画上の地域地区の一つで,都市の風致を維持するため定める地区)や特別用途地区(用途地域内の一定の地区について,その地区の特性にふさわしい土地利用の増進,環境の保護等の特別の目的の実現を図るため用途地域の指定を補完して定める地区)にも,また,特に町並みを保存する地域(名古屋市町並み保存要綱)にも指定されていないこと,②原告らを含む地域住民が本件建築協定を締結したのは本件変更認可の後の平 用途地域の指定を補完して定める地区)にも,また,特に町並みを保存する地域(名古屋市町並み保存要綱)にも指定されていないこと,②原告らを含む地域住民が本件建築協定を締結したのは本件変更認可の後の平成19年2月27日であること,③本件高架部の周辺(本件区間のうち市道田代第257号線より西側)は,高度地区の指定のない第2種住居地域(高度地区の指定なし)又は第1種・第2種中高層住居専用地域(20m高度地区)に指定されており,本件高架部(最大高さ約7.7m)より高い建物を建築することが可能な地域であることなどからすれば,原告らの主張をしんしゃくしたとしても,本件区間の周辺地域の景観について,法律上保護に値する景観利益の存在を認めることはできない。 また,原告らの主張する眺望の阻害・圧迫感についても,上記の事情に照らせば,本件高架部の周辺は,建物の建築によってある程度眺望が阻害されることが予定されていた地域であるというべきであるから,原告らの主張する眺望の阻害・圧迫感を受けない利益は法的保護の対象になるものとは認められない。 (4) 手続的適法性についてア平成4年決定は,前記前提事実(2)のとおり,適法な手続によって決定されたものと認められる。 イ原告らは,参加人は,住民らとの間に早急な工事を行わない旨の合意があったにもかかわらず,十分な説明をすることなく着工し,また,本件区間について地下式の道路にするという代替案を十分に検討していないから,手続的違法がある旨主張するが,原告らの主張に係る上記事実関係は,いずれも,平成4年決定がされた後の事情であって,これらの事実は平成4年決定の手続的違法に結びつくものとは認められない。 ウまた,前記前提事実(3)のとおり,参加人は,平成14年変更認可を受けた後,数回にわたって本件区間周辺の地域住民に対し工 ,これらの事実は平成4年決定の手続的違法に結びつくものとは認められない。 ウまた,前記前提事実(3)のとおり,参加人は,平成14年変更認可を受けた後,数回にわたって本件区間周辺の地域住民に対し工事説明会を行い,既に工事業者への発注が完了していたにもかかわらず,地域住民に対する説明を尽くすために着工をいったん見合わせた上,守る会の提示した地下式案について検討した結果地下式案の実現が困難であると判断し,周辺住民に対し着工する旨をあらかじめ通知した上で,平成15年10月29日に着工したものであり,この時点で,池内猪高線の本件区間以外の区間は既に工事が完了していたものである。 参加人は,平成16年7月から平成17年4月にかけて本件環境予測を行って,二酸化窒素,浮遊粒子状物質,騒音,振動についていずれも環境基準又は要請限度を満たしていることを確認し,これらを「池内猪高線だよりvol.4(平成17年夏号)」により周辺住民に通知している。 しかも,原告らが本件訴訟で取消しを求める本件変更認可がされた平成18年3月31日時点で,本件区間の工事も一定程度進んでおり,また,本件道路事業の事業地の買収(用地補償)は約95%まで終了していた(丙4)。 したがって,これらの経緯に照らせば,参加人の周辺住民に対する説明の程度や地下式の道路にするという代替案の検討が不十分であって手続的に違法であるということはできないから,原告らのこれらの主張が,本件変更認可自体の違法に結びつくものともいえない。 争点(3)について(1) 2車線で施行することが道路構造令に違反するか否かについてア道路構造令は,高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路で都市部に存するものを第4種の道路と定め(3条1項),第4種の市町村道については,計画交通量が1日につき1万台以上のものを第1 についてア道路構造令は,高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路で都市部に存するものを第4種の道路と定め(3条1項),第4種の市町村道については,計画交通量が1日につき1万台以上のものを第1級,4000台以上1万台未満のものを第2級,500台以上4000台未満のものを第3級,500台未満のものを第4級と定めている(同条2項4号)。そして,第4種第1級及び第2級の道路については,第1級で計画交通量が1日につき1万2000台以下のもの,第2級で計画交通量が1日につき1万台以下のものは,車線の数を2と定め(5条2項),それ以外のものは,車線の数を4以上と定めるものとされている(同条3項)。ここにいう「計画交通量」とは,本件計画交通量定義のとおり「道路の設計の基礎とするために,当該道路の存する地域の発展の動向,将来の自動車交通の状況等を勘案して,国土交通省令で定めるところにより,当該道路の新設又は改築に関する計画を策定する者で国土交通省令で定めるものが定める自動車の日交通量」とされている。 イ原告らは,本件区間の計画交通量は1日当たり1万2000台を超えることが明らかであるところ,道路構造令によれば,計画交通量が1日当たり1万台を超える道路については,車線の数を4以上としなければならないのであるから,車線の数を2とする本件道路事業は,道路構造令に違反する違法なものであると主張する。 ウ本件道路事業に係る計画交通量の設定について,次の事実が認められる。 池内猪高線は,戦災復興計画において定めた復興都市計画街路(幹線街路42路線及び補助幹線街路53路線)によって構成される道路網のうちの一つであり,幹線街路を補完する補助幹線街路として,昭和21年7月23日に幅員15mで都市計画決定がされた(丙5,弁論の全趣旨)。そして,標準幅員通達によれば 3路線)によって構成される道路網のうちの一つであり,幹線街路を補完する補助幹線街路として,昭和21年7月23日に幅員15mで都市計画決定がされた(丙5,弁論の全趣旨)。そして,標準幅員通達によれば,都市部にあっては「近隣住区内の幹線となる道路」を補助幹線道路とし,補助幹線道路については,都市部にあってはその幅員は16mを標準とし,車線の数は2車線を原則とするものと定められている(丙53)。 参加人は,平成2年10月,本件区間の道路の整備計画を検討するに当たり,その基礎となる設計を行い,設計条件として,道路の区分を4種2級とし,標準幅員構成として,車道(3.0×2=6.0m),停車帯(1.5×2=3.0m),植樹帯(1.0×2=2.0m),歩道(2.0×2=4.0m)と定めた(丙54)。 エそうすると,本件区間の道路は,①昭和21年の池内猪高線の都市計画を決定した時点において幅員が15mと定められ,2車線を予定していたものと推認できること,②その後昭和50年に発せられた標準幅員通達によれば,本件区間の道路は補助幹線道路に該当し,都市部にあっては幅員の標準が16mで2車線を原則とする旨が定められたこと,③参加人は平成2年10月に道路の区分を4種2級とし,幅員15mの2車線道路として設計してたことなどの事実関係からすれば,本件道路事業は,2車線を前提として都市計画,事業計画が進められてきたものと認められ,計画交通量も2車線に対応する1日当たり1万台未満と定められて(道路構造令3条2項4号参照),計画が立案されていたものと認められる。 そして,本件計画交通量定義によれば,計画交通量は,地域の発展の動向や将来の自動車交通の状況等の政策的な判断を伴う諸般の事情を総合的に考慮して判断されるものであり,ある1時点の交通量の実測値をもって定めるものではな 交通量定義によれば,計画交通量は,地域の発展の動向や将来の自動車交通の状況等の政策的な判断を伴う諸般の事情を総合的に考慮して判断されるものであり,ある1時点の交通量の実測値をもって定めるものではないものと認められるから,当初,計画交通量を1万台未満と定めて道路事業を進めて,その後に実施された平成16年交通量推計によって平成32年の交通量が1万3500台であるとの調査結果が得られたとしても,そのことから,本件道路事業を4車線に変更しなければならなくなるとは解されないし,また,2車線のままで施行する本件道路事業が道路構造令に違反するものということもできない。 (2) 環境影響評価の要否についてア原告らは,本件道路事業は環境影響評価を実施すべきであると主張し,その根拠として,①本件条例施行細則2条,別表第1が4車線1㎞要件を定めていることが本件条例の委任の範囲を超えた違法なものであること,②本件道路事業は,側道(副道)を含めて4車線の道路を対象とし,池内猪高線の全長は4560mであるから,4車線1㎞要件を満たしていること,③仮に4車線1㎞要件を満たしていないとしても,本件道路事業を実質的かつ個別的な事情も含めて検討すれば,環境影響評価を実施すべき事業に当たることなどを主張する。 イ上記①の原告らの主張について本件条例2条2号は,環境影響評価の対象事業を「別表に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であって,環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして規則で定めるものをいう。ただし,環境影響評価法(中略)第2条第4項に規定する対象事業(中略)に該当するものを除く。」と規定し(別表において「道路の建設」を掲げている。),本件条例施行細則2条は「条例第2条第2号の規則で定める事業は,別表第1の左欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の右欄に 該当するものを除く。」と規定し(別表において「道路の建設」を掲げている。),本件条例施行細則2条は「条例第2条第2号の規則で定める事業は,別表第1の左欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の右欄に掲げる要件に該当する一の事業とする。」と規定し,別表第1は,道路交通法2条1項1号に規定する道路(高速自動車国道及び指定都市高速道路を除く。)の新設の事業については,「車線の数が4以上であり,かつ,長さが1キロメートル以上であるもの」(4車線1㎞要件)と規定している。 本件条例2条2号が,環境影響評価の対象事業の範囲の定めを本件条例施行細則に委任するに当たって何らの限定を付しているものではないし,また,本件条例のその他の規定を見ても,4車線1㎞要件が本件条例の委任の範囲を超えたものであるとは認められない。 ウ上記②の原告らの主張について本件条例施行細則2条,別表第1は,4車線1㎞要件(「車線の数が4以上であり,かつ,長さが1キロメートル以上であるもの」)を規定するところ,道路構造令は,「車線」とは,「一縦列の自動車を安全かつ円滑に通行させるために設けられる帯状の車道の部分(副道を除く。)をいう。」(2条5号)と規定し,「副道」とは,「盛土,切土等の構造上の理由により車両の沿道への出入りが妨げられる区間がある場合に当該出入りを確保するため,当該区間に並行して設けられる帯状の車道の部分をいう。」(2条11号)と規定しており,4車線1㎞要件の「車線の数」についても,道路構造令の規定する「車線」の定義に従って解釈するのが相当である。副道を通行する自動車が周辺環境に与える影響は車道(副道を除く。)を通行する自動車による影響と比較して極めて軽微であると推認できるから,4車線1㎞要件の「車線の数」を上記のように解することは実質的に見ても合理的であるとい 辺環境に与える影響は車道(副道を除く。)を通行する自動車による影響と比較して極めて軽微であると推認できるから,4車線1㎞要件の「車線の数」を上記のように解することは実質的に見ても合理的であるというべきである。 本件区間の道路は,2車線の本件高架部と2車線の側道(副道)から成り,「車線の数」は2車線であると認められるから,「道路の長さが1㎞以上」という要件について検討するまでもなく,本件道路事業は,4車線1㎞要件に該当せず,本件条例の規定する環境影響評価の対象事業には当たらないものというべきである。 エ上記③の原告らの主張について原告らは,本件道路事業を実質的かつ個別的な事情も含めて検討すれば,環境影響評価を実施すべき事業に当たる旨主張するところ,上記のとおり,本件条例及び同施行細則2条,別表第1は,道路交通法2条1項1号に規定する道路(高速自動車国道及び指定都市高速道路を除く。)の新設について4車線1㎞要件を定めており,これに該当しないものについて,環境影響評価を義務付ける旨の規定は見当たらないから,原告らの主張は法的根拠を欠くものである。 なお,環境影響評価法は,環境影響評価の対象事業について,「規模が大きく,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるもの(第1種事業)」と「第1種事業に準ずる規模を有するもののうち,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定を行う必要があるもの(第2種事業)」に分類しているが,その具体的な要件を環境影響評価法施行令に委任し(同法2条2項,3項),同施行令別表第1において,一般国道の新設の場合,車線の数が4以上で,かつ,長さが7.5㎞以上10㎞未満の道路の新設が第2種事業であると規定している。また,東京都環境影響評価条例,同施行規則も,環境影響評価の対象事業の要件について,「道路交 合,車線の数が4以上で,かつ,長さが7.5㎞以上10㎞未満の道路の新設が第2種事業であると規定している。また,東京都環境影響評価条例,同施行規則も,環境影響評価の対象事業の要件について,「道路交通法2条1項1号の道路(高速自動車国道等を除く。)の新設」において「4車線以上で,かつ,その区間の長さが1キロメートル未満であっても,その他の道路の対象事業の一部として実施するもの又は対象事業を延長して実施するものは,軽微なものを除き,この限りでない。」と規定しており(同施行規則3条,別表1),環境影響評価の対象となる道路事業の要件として,少なくとも車線の数については「4車線以上」であることが求められているのであり,実質面のみを考慮して環境影響評価を行うか否かが検討されるわけではない。 また,千種台事業は,一団地の住宅施設の新設の事業であり,住宅戸数が1000戸以上であるため,本件条例2条2号,同施行細則2条,別表第1により,環境影響評価の対象となったものであることが認められ(甲87~89,弁論の全趣旨),千種台事業と本件道路事業がほぼ隣接し,池内猪高線が千種台事業の行われた地域の中心部を通る道路であり,千種台事業の一部として拡幅工事が行われているとしても,そのことから,直ちに本件道路事業に際して本件区間の環境影響評価を実施しなければならないものとは認められない。 さらに,前記(1)のとおり,計画交通量を1日当たり1万台未満と定めて池内猪高線を2車線道路として立案し,その後,平成16年交通量推計によって平成32年の交通量が1日当たり1万3500台との結果が得られたとしても,4車線1㎞要件は,環境影響評価を行うか否かを車線の数を基準として定めているのであるから,2車線の道路事業として適法な本件道路事業が環境影響評価を行わなければならない事業に当た が得られたとしても,4車線1㎞要件は,環境影響評価を行うか否かを車線の数を基準として定めているのであるから,2車線の道路事業として適法な本件道路事業が環境影響評価を行わなければならない事業に当たるものとは認められない。 (3) 都市計画との適合性について原告らは,本件道路事業が公害対策,騒音対策が不十分であり公害防止計画と整合しない上,環境影響評価を実施すべきであるにもかかわらずこれを実施していないから,公害防止計画と整合しない旨主張する。 しかし,既に述べたとおり,本件道路事業は,大気汚染,騒音の環境基準及び振動の要請限度を満たしており,平成4年公害防止計画及び平成19年公害防止計画にも適合している上,本件道路事業においては,路面には通常の舗装より隙間が多く空気が逃げられるような構造になっている「低騒音舗装」を採用し,本件高架部にはコンクリート製の壁高欄の上に太陽光を遮らない材質の「透光性遮音壁」を設置し,また,振動について,振動の発生原因となる路面の段差や平坦性に注意して施工するとされている(丙12)。 また,本件道路事業は,環境影響評価の実施が義務付けられる事業に当たらないことは既に述べたとおりである。 したがって,本件道路事業が,都市計画との適合性がない旨の原告らの主張は理由がない。 (4) 事業施行期間の適切性についてア都市計画法61条1号が,事業施行期間の適切性を事業認可の要件とした趣旨は,専ら,不当に長い事業施行期間が定められると,事業地内の不動産の権利者に対して長期間にわたって権利制限が及ぶことになるため,そのような事態を避けるべく,合理的な期間に事業施行期間を限定しようとしたことにあるものと解される。また,事業施行期間の適切性は,当該事業の規模,事業地の面積,設計の概要,事業地の取得又は利用の難易等の様々な事項を考 けるべく,合理的な期間に事業施行期間を限定しようとしたことにあるものと解される。また,事業施行期間の適切性は,当該事業の規模,事業地の面積,設計の概要,事業地の取得又は利用の難易等の様々な事項を考慮し,これらを総合して事業の完了見込みという将来予測をするものであり,専門技術的判断が要求される。 したがって,都市計画法は,同法61条1号の事業施行期間の適切性の判断について,認可権者の広範な裁量にゆだねているものと解すべきであり,認可権者のした事業施行期間の適切性の判断が違法となるのは,認可申請に係る事業施行期間が特段の合理的理由もなく,不当に長期にわたるにもかかわらず,それを看過して認可するなど,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認められるような場合に限られるものと解するのが相当である。 イこれを本件について見ると,前記前提事実(3)ウ,エのとおり,参加人は,平成14年変更認可により事業施行期間が平成5年9月3日から平成18年3月31日までと決定された後,本件高架部の工事に先立って,住民らとの間で,何度も説明会,意見交換会を実施した上で,平成15年10月29日に本件高架部の工事に着手したものの,一部関係権利者との間で事業に対する理解が得られず,用地取得及び物件移転交渉が難航するなどし,平成18年3月31日までに工事を完了することが困難な状況となり,本件道路事業の事業施行期間の終期を4年間延伸して平成22年3月31日までとするなどの変更が必要となり,本件事業計画変更を申請するに至ったものである。 こうした事実経過に照らすと,愛知県知事のした本件変更認可は,認可申請に係る事業施行期間が特段の合理的理由もなく,不当に長期にわたるにもかかわらず,それを看過して認可するなど,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められない。こ た本件変更認可は,認可申請に係る事業施行期間が特段の合理的理由もなく,不当に長期にわたるにもかかわらず,それを看過して認可するなど,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められない。このことは,本件変更認可の後,参加人は,平成19年2月8日時点で,少なくとも,本件高架部の6本の橋脚を完成させ,平成20年10月17日時点で,本件高架部の約半分程度を完成させているという工事経過に照らしても明らかである。 ウ原告らは,本件事業認可における事業施行期間が適切でないことの理由として,①平成5年9月3日にされた本件事業認可の後に3度の事業計画の変更認可がされており,本件区間の権利者の権利制限が15年近く続いていること,②本件道路事業の事業施行期間の終期を平成22年3月31日までと判断した理由が明らかではないこと,③本件道路事業に係る平成14年度の工事予算について,工事の発注が遅れたために2度にわたり国庫補助金の繰越しが必要となったが,東海財務局は2度目の繰越しを認めなかったこと,④本件道路事業に係る平成14年度予算繰越し分の工事において,一部用地が未買収であったため,仮設道路を迂回させ,そのために鋼矢板土留め工の施工が必要となったことなどを主張する。 しかし,①の点については,本件道路事業が当初の事業施行期間から大幅に延びたのは,一部関係権利者との間で用地取得及び物件移転交渉が難航したことが主たる原因であるところ,こうした用地取得に要する期間を確実に予測することは極めて困難であり,しかも,事業施行期間内に当該事業が完了することの確実性を厳密に求めることは,かえって,本来必要ではないかもしれない期間まで含めて,事業施行期間が設定されることにもなりかねない。 ②の点については,参加人が本件事業計画変更を申請した際の申請書(乙1)によれば, 求めることは,かえって,本来必要ではないかもしれない期間まで含めて,事業施行期間が設定されることにもなりかねない。 ②の点については,参加人が本件事業計画変更を申請した際の申請書(乙1)によれば,参加人として平成22年3月31日までに本件道路事業を完成させるスケジュールを立てた上で事業施行期間の終期を平成22年3月31日までとする旨の判断をしていることが認められ,用地取得時期の不確定さは残るものの,当該事業施行期間の終期の設定が直ちに不合理であるとは認められない。 ③の点については,2度にわたり国庫補助金の繰越しが必要となったのは,高架式道路についての地元住民への説明等に時間を要し工事着手が遅れたこと,着手後にも施工日時についての制約(土曜日の作業をやめ,作業の開示時刻を午前8時から午前9時に変更したこと)が加わり工期が延びたことによるものであることが認められ(丙20),合理的理由もなく工事が遅延したものとは認められない。 ④の点については,本件道路事業に係る平成14年度予算繰越し分の工事において,一部用地が未買収であったため,仮設道路を迂回させ,そのために鋼矢板土留め工の施工が必要となったとしても,一部用地が未買収であるという現状を踏まえて可能な箇所から着工したものと考えられるから,合理的理由もなく不必要な工事をしたものとは認められない。 (5) 土地収用法20条の要件について原告らは,都市計画法70条1項を根拠に,都市計画上の事業認可に当たっても,土地収用法20条の要件が別途求められると主張する。 しかしながら,都市計画法70条1項は「都市計画事業については,土地収用法第20条(中略)の規定による事業の認定は行なわず,第59条の規定による認可又は承認をもってこれに代えるものとし,第62条第1項による告示をもって同法第26条第1項(中略 事業については,土地収用法第20条(中略)の規定による事業の認定は行なわず,第59条の規定による認可又は承認をもってこれに代えるものとし,第62条第1項による告示をもって同法第26条第1項(中略)の規定による事業の認定の告示とみなす。」と規定し,同条2項には「事業計画を変更して新たに事業地に編入した土地については,前項中『第59条』とあるのは『第63条第1項』と(中略)する。」と規定しているから,これらの規定によれば,都市計画法上の事業計画の認可及び変更認可にあっては,別途土地収用法20条の規定による要件が審査されないことは明らかである。 以上によれば,原告らが本件変更認可が違法であるとして主張する①本件変更認可の前提となる平成4年決定の違法性及び②本件変更認可自体の違法性について検討しても,本件変更認可は,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとは認められず,愛知県知事が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるものということはできない。 第5 結論 よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官松並重雄裁判官前田郁勝裁判官廣達人瀨(別紙)事業目録 施行者の名称名古屋市 都市計画事業の種類及び名称名古屋都市計画道路事業3・5・118号池内猪高線 事業計画(1) 事業地ア収用の部分名古屋市千種区振甫町3丁目及び4丁目,法王町1丁目並びに田代町字岩谷,字四観音道西,字四観音 及び名称名古屋都市計画道路事業3・5・118号池内猪高線 事業計画(1) 事業地ア収用の部分名古屋市千種区振甫町3丁目及び4丁目,法王町1丁目並びに田代町字岩谷,字四観音道西,字四観音道東及び字姫ヶ池上地内イ使用の部分なし(2) 設計の概要起点名古屋市千種区振甫町3丁目6番終点名古屋市千種区田代町字姫ヶ池上2番1延長752m幅員15~20.1m車線の数2車線(3) 事業施行期間自平成5年9月3日至平成22年3月31日(別表) 平成4年4月1日の都市計画決定,平成5年9月3日の都市計画事業の認可関係13条1項5号,21条2項平成4年法律第82号による改正前のもの16条1項,17条1項,2項,59平成11年法律第87号による改条1項,19条1項正前のもの59条2項,61条,66条平成11年法律第160号による改正前のもの13条1項柱書平成12年法律第73号による改正前のもの1条,2条,4条15項現行の規定 平成12年3月24日,平成14年3月22日,平成18年3月31日の事業計画の変更認可関係61条,62条,63条1項,2項,現行の規定70条1項(別紙)建築協定目録 区域の所在地千種区若水三丁目,振甫町3丁目・4丁目,田代町蝮ヶ池上・四観音道西・岩谷 用途地域第1種中高層住居専用地域,第2種中高層住居専用地域,第2種住居地域,近隣商業地域 制限の概要(1) 次の用途の建築物の建築及び用途変更を禁止するア風俗営業及び関連営業施設イ遊戯・娯楽施設(委員会が認定するもの)ウ深夜に主として酒類を提供する営業施設(2) 階数は3階建て以下とする(3) 意匠(建築物の形態・色彩,看板等)は健全で周辺地域の環境と調和するものにする 最初の (委員会が認定するもの)ウ深夜に主として酒類を提供する営業施設(2) 階数は3階建て以下とする(3) 意匠(建築物の形態・色彩,看板等)は健全で周辺地域の環境と調和するものにする 最初の認可年月日平成19年2月27日 最近の認可年月日平成19年2月27日 有効期限平成24年2月26日〔別紙図面①から④の添付省略〕
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