【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人古荘義信の上告理由について。 所論は、原審において上告人が、滞納処
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人古荘義信の上告理由について。 所論は、原審において上告人が、滞納処分としてなされる随意契約においては買 受人の代金納付までは滞納税金は消滅せず、従つて右代金納付前に滞納者が滞納税 金を完納した場合はこれにより滞納税金が消滅して滞納処分は取り消されなければ ならないと主張したのに対して、被上告人は、随意契約においては売却決定によつ て滞納税金が消滅するのであるからその後になされた滞納税金の弁済提供は不適法 であると主張しているのであり、原審としては、先ず滞納税金の消滅時期について 判断することを要するのにも拘らず、これをなさず、却つて上告人から滞納税金の 弁済提供を受けた訴外Dに滞納税金受領の権限がなかつたから右弁済提供は不適法 である旨を判断したのみで上告人の本訴請求を棄却したのは、先決的争点に対する 判断を遺脱した違法があるという。 よつて案ずるに、被上告人(当時a町)が昭和二八年九月一八日上告人に対して その所有の本件家屋を町税滞納処分として差押えた上、昭和三〇年一二月五日これ を公売に付したが、見積価格に達しなかつたので、随意契約により同年同月八日代 金一五万円代金納付期限を同年同月二〇日と定めて訴外Eに売却したことおよび上 告人が右代金納付前である同年同月一五日代理人古荘義信を通じて被上告人の徴税 吏員である訴外Dに対し滞納税金の概算額金一万五〇〇〇円を持参してこれを支払 うべき旨申入れてその受領を催告したが、訴外Dはすでに売却決定のなされた後で あることを理由としてその受領を拒絶したことは、原審の確定するところであり、 また、原審が、訴外Dが一般の税務職員として行う賦課のための調査、滞納処分の - 1 - 執行ならびに徴税吏員とし された後で あることを理由としてその受領を拒絶したことは、原審の確定するところであり、 また、原審が、訴外Dが一般の税務職員として行う賦課のための調査、滞納処分の - 1 - 執行ならびに徴税吏員として行う納期限変更告知書および督促状の発付等の権限を 有していたことは認められるとしても、同訴外人が金銭出納に関する権限ひいては 滞納税金を受領すべき権限を有していたことを認めるに足る証拠はないとし、従つ て同訴外人に対する滞納税金の弁済提供は適法ではないからこれが適法になされた ことを前提とする本訴請求は理由がないとしてこれを排斥していることは論旨のと おりである。 しかしながら、本件随意契約による売却決定は、昭和三四年四月二〇日法律一四 七号による改正前の国税徴収法施行当時になされたものであり、同法に基づく国税 滞納処分において随意契約による売却決定がなされたときは、目的物の所有権移転 の時期について特に定めのないかぎり、買受人はその後買受代金納付期日までに代 金を納付しないことを解除条件として目的物の所有権を取得するものであつて、売 却決定後右代金納付前に滞納者が滞納税金を完納すると否とは買受人の右所有権取 得になんら影響するものではなく、滞納税金完納の事実があつたからといつてこれ を以て右売却決定取消の理由とはなし得ないものと解すべきであり、しかして、当 時施行の地方税法に基づく地方税滞納処分についても、同法が国税徴収法の規定に よる滞納処分の例によつてこれを処分すべき旨定めている趣旨に照らして、同様に 解するのを相当とする。 そして、前記原審確定事実によれば、上告人が滞納税金を提供した当時すでに本 件家屋については地方税滞納処分による随意契約がなされ訴外Eを買受人として売 却決定がなされていたというのであるから、上告人側において前記解除条件の成就 すなわち買受代金が 納税金を提供した当時すでに本 件家屋については地方税滞納処分による随意契約がなされ訴外Eを買受人として売 却決定がなされていたというのであるから、上告人側において前記解除条件の成就 すなわち買受代金が納付期日までに納付されなかつたことの主張立証をしない以上、 訴外Eにおいて本件家屋の所有権を取得したものといわざるを得ない(のみならず、 訴外Eが買受代金納付期日前である昭和三〇年一二月一六日被上告人に対して買受 代金を納付したことは、上告人が自らこれを主張し、被上告人もまたこれを争わな - 2 - いところである。)。然りとすれば、右売却決定後に上告人のなした滞納税金の弁 済提供がなされたとしても、本件売却決定を取り消すべき理由は存しないものとい うべきである。従つて、随意契約による売却決定後買受代金納付前に滞納税金が消 滅したときは右売却決定が取り消されるべきものであることを前提とする上告人の 本訴請求を理由なしとして棄却した原判決は、正当である。 それ故、論旨は採用できない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと おり判決する。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 奥 野 健 一 裁判官 山 田 作 之 助 裁判官 草 鹿 浅 之 介 裁判官 城 戸 芳 彦 裁判官 石 田 和 外 - 3 -
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