- 1 -平成20年7月22日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成19年(ワ)第5305号保証金返還請求事件口頭弁論終結日平成20年5月27日判決原告有限会社メイクメリー訴訟代理人弁護士島武男畑良武佐野正幸堀井昌弘上田憲小池裕樹隈元暢昭村岡友一被告Y主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成18年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,被告との間で締結した業務代行契約の終了に基づき,被告に交付した保証金1000万円及びこれに対する弁済期の後の日である平成18年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 - 2 -これに対し,被告は,①主位的に,被告は原告に対し上記業務代行契約に基づき1000万円のイニシャルペイメント支払請求権を有するとして,同請求権を自働債権とする相殺の抗弁を主張し,②予備的に,原告は上記業務代行契約の締結に際して被告との間で締結した機密保持契約に違反したとして,債務不履行に基づく損害賠償請求権を自働債権とする相殺の抗弁を主張し,③さらに予備的に,原告は上記機密保持契約に基づき,被告から開示を受けた機密情報を記録した機密媒体を返還する義務を負うとして,同機密媒体返還債務と本訴請求債権との同時履行の抗弁を主張している。 前提事実(1)本件業務代行契約の締結原告は,平成16年5月25日,被告との間で「業務代行契約書」と題する,書面〔甲1(乙8も同じ。以下「本件業務代行契約書」という〕を交わし,被)。 告が有する工業所有 )本件業務代行契約の締結原告は,平成16年5月25日,被告との間で「業務代行契約書」と題する,書面〔甲1(乙8も同じ。以下「本件業務代行契約書」という〕を交わし,被)。 告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウの売買等の業務を原告が被告に代わって行い,これに対して被告が原告に報酬等を支払うことを内容とする契約(以下「本件業務代行契約」という)を締結した。 。 (2)保証金の約定原告と被告は,同日,①本件業務代行契約の締結と同時に原告は被告に保証金1000万円を預託すること,②保証金の返還期限は本件業務代行契約の終了後2年間が経過した後とすることを合意した。 (3)保証金の預託原告は,平成16年5月27日,上記合意に基づき,被告に保証金1000万円(以下「本件保証金」という)を預託した。 。 (4)本件業務代行契約の終了本件業務代行契約は平成16年7月30日に終了した。 (5)本件業務代行契約書の条項本件業務代行契約書には次の条項がある(抜粋。 )- 3 -ア第1条(目的)Y(以下甲という。判決注:以下「被告」と表記する)は有限会社メイク。 メリー(以下乙という。判決注:以下「原告」と表記する)に被告が有する。 工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウの売買等業務を原告が被告に代わって被告が特定した業務を原告が選択して原被告同意の上行い,その成果については被告は原告に別に定める別表1(判決注:本判決別紙記載)の金員を報酬として支払う。 イ第2条(ロイヤリティー)被告は原告が商談をまとめた顧客と取引契約が成立したその権利金・実施料・ロイヤリティー・イニシャルペイメントを受領したときは速やかに原告に開示し,別に定める別表2(判決注:本判決別紙記載)の金員をロイヤリティーとして支払う。 ウ第4条( 成立したその権利金・実施料・ロイヤリティー・イニシャルペイメントを受領したときは速やかに原告に開示し,別に定める別表2(判決注:本判決別紙記載)の金員をロイヤリティーとして支払う。 ウ第4条(保証金)原告は被告に対して保証金として金1000万円を本契約締結と同時に特記事項(5)の被告普通預金口座に振り込み預託する。 エ第5条(禁止事項)<イ>被告は原告以外には代行業務者の契約はしない。 オ特記事項(2)原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う。 カ特記事項(3)保証金には利息をつけない。保証金の残金1000万円を平成16年7月30日に支払う。 争点 (1)イニシャルペイメント支払請求権を自働債権とする相殺の抗弁の成否イニシャルペイメントの支払約束の有無(争点1)- 4 -(2)機密保持契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権を自働債権とする相殺の抗弁の成否ア原告は被告との間で機密保持契約を締結したか(争点2)イ原告において機密保持契約上の債務不履行があるか(争点3)ウ被告の損害額(争点4)(3)機密媒体返還債務との同時履行の抗弁の成否ア原告は被告との間で機密保持契約を締結したか(争点2)イ機密媒体返還債務は本訴請求債権と同時履行の関係にあるか(争点5)ウ原告は機密媒体を保有しているか(争点6)第3争点に関する当事者の主張 争点1(イニシャルペイメントの支払約束の有無)について【被告の主張】(1)本件業務代行契約書の特記事項(2)に記載されているとおり,原告は,被告に対し,イニシャルペイメント(以下「本件イニシャルペイメント」という)と。 して1000万円を平成16年7月30日限り支払う旨を約した。 (2)原告の主張に対する反論ア原告の り,原告は,被告に対し,イニシャルペイメント(以下「本件イニシャルペイメント」という)と。 して1000万円を平成16年7月30日限り支払う旨を約した。 (2)原告の主張に対する反論ア原告の主張(1)(イニシャルペイメントの性質)について(ア)原告は「イニシャルペイメントとは,被告から原告に対して支払われ,るロイヤリティーの掛け率を加算するために原告から被告に対して支払われる投資金にすぎない」旨主張するが,この原告の主張は,本件業務代行契約第2条のイニシャルペイメントに関する限りにおいてはそのとおりである。 しかし,被告が相殺の抗弁の自働債権として主張しているイニシャルペイメントは,2条のイニシャルペイメントではなく,特記事項(2)のイニシャルペイメントである。特記事項(2)のイニシャルペイメントは,本件業務代行契約第5条<イ>において被告が原告に対して与えた業務代行契約締結の独占権の対価として定められたものであり,権利金としての性質を有するもので- 5 -ある。 原告は「本件業務代行契約書添付の別表1・2から明らかなとおり,イ,ニシャルペイメントは必ずしも原告から被告に対し支払われる必要がないものである」旨主張するが,本件イニシャルペイメントの価額は,特記事項(2)に記載されているとおり1000万円という定額であって,別表1・2によって影響を受ける性質のものではない。 別表1・2において「イニシャルペイメント」として「0「200万,」,円「400万円「600万円「800万円「1000万円」の各欄」,」,」,」,が設けられているのは,次の理由による。すなわち,平成16年5月6日に,原告代表者は被告に対し,同月1日に確認した契約書案を一部変更して欲しいと申し出た。変更内容は,①仮契約とすること,②本契約 ,が設けられているのは,次の理由による。すなわち,平成16年5月6日に,原告代表者は被告に対し,同月1日に確認した契約書案を一部変更して欲しいと申し出た。変更内容は,①仮契約とすること,②本契約を同月30日に締結すること,③イニシャルペイメント1000万円を同日支払うこと,以上3点である。原告代表者は,②③の変更に伴い「仮契約のままでイニシ,ャルペイメント1000万円を被告に支払っていないから,被告が原告以外の者と契約をして先を越されると困るから,被告に第5条<イ>の独占権を守ってもらうため,少しずつ分割してでも早く支払いたい」旨述べた。そこで,原告と被告は,仮契約中の原告の営業活動により企業先と取引が成立した場合に原告が受け取る報酬の額を,その時点でイニシャルペイメントとして分割で支払われている金額を基準に計算すること,具体的には,5月30日に支払われるイニシャルペイメント1000万円の分割入金を内金として扱い,6分割のスライドした報酬率を採用し,別表1・2として作成することを合意し,被告が新しく別表を作成することにした。そして,同月12日に三洋電機応接室で乙4仮契約書に調印したが,これに添付すべき別表1・2の作成が時間的に間に合わず,その日は口頭で釈明したところ,同月14日に原告から乙5メールで別表1・2を添付するよう催促を受け,同月15日に調印した乙7仮契約書には別表1・2を添付した。また,同月25日に- 6 -調印した本件業務代行契約書にも同じ別表1・2を添付した。 原告は,仮にイニシャルペイメントの支払約束がなされていたとしても,同約束は,平成16年7月30日に原告・被告間でなされた同契約を終了する旨の合意により失効した旨主張するが,一旦発生した債権が,その発生原因である契約が終了したからといって当然に消滅するもので も,同約束は,平成16年7月30日に原告・被告間でなされた同契約を終了する旨の合意により失効した旨主張するが,一旦発生した債権が,その発生原因である契約が終了したからといって当然に消滅するものでないことは明らかである。 (イ)イニシャルペイメントの性質について,被告が原告に対し「被告から,原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率を加算するために原告から被告に対して契約時に支払われる投資金にすぎない」旨の説明をしたことは認める。しかし,それは,2条のイニシャルペイメントについてであって,本件イニシャルペイメントについてではない。 原告は,原告は被告に対しイニシャルペイメントとして別途支払わない旨を申し渡したと主張するが,否認する。 (ウ)原告は,本件業務代行契約書の「契約締結後1か月後にイニシャルペイメントとして1000万円支払う」旨の記載を,保証金残金のことであると理解していたと主張するが,本件業務代行契約書の記載上,原告が被告に対し,①保証金2000万円のうち1000万円を本件業務代行契約締結時に支払うこと(第4条,②本件イニシャルペイメント1000万円を平成1)6年7月30日限り支払うこと(特記事項(2) ,③保証金残金1000万円)を平成16年7月30日限り支払うこと(特記事項(3))は,明白すぎるほど明白である。 なお,本件業務代行契約は,二度にわたる仮契約(乙4,7)を経て締結された。この変遷の核心は,開発費,イニシャルペイメント及び保証金の,文言及び文言に伴う法的性質の変更にあり,これらの変更は,主に原告主導の下でなされた(乙5,6。したがって,イニシャルペイメントの趣旨に)関して,原告が2条のイニシャルペイメントと本件イニシャルペイメントと- 7 -を混同していたとしても,それは専ら原告の不注意による なされた(乙5,6。したがって,イニシャルペイメントの趣旨に)関して,原告が2条のイニシャルペイメントと本件イニシャルペイメントと- 7 -を混同していたとしても,それは専ら原告の不注意によるものというべきである。 イ原告の主張(2)(他の会社との契約締結)について原告は,本件業務代行契約締結前に被告は既に多数の会社との間で本件業務代行契約と同様の契約を成立させていた旨主張するが,否認する。 被告も,被告が経営する株式会社ソルトレーク(以下「ソルトレーク社」という)も,現在に至るまで本件業務代行契約の趣旨を忠実に尊重し,他の誰。 とも本件業務代行契約と同様の契約は締結していない。原告が,上記主張の根拠として示している甲第4号証は,将来の構想として,しかも本件業務代行契約とは別個の事業に関して,被告が原告らに示した書類である(甲7の2。 )ウ原告の主張(3)(業務の特定と特許権等の開示)について原告は,原告代表者から被告に対し原告が代行する業務を特定し,かつ,その業務に関し被告が有する工業所有権等について開示するよう求めてきたが,被告はこれに応じようとしなかった旨主張するが,否認する。 被告は,原告が代行する業務を特定しており,原告代表者も,原告が代行すべき業務を十分認識していた。また,被告は,技術開発計画書を原告に提出するなどして,被告の有する技術に関するノウハウ等を開示している。 エ原告の主張(4)(別件訴訟での被告供述)について原告は,原告・被告間での別件訴訟(大阪地方裁判所平成16年(ワ)第13057号事件)における被告本人尋問において,被告は「本件業務代行契約に基づくイニシャルペイメント支払請求権は,本件業務代行契約を終了する旨の原告・被告間の合意により失効したこと」を認める供述をしている旨主張する。 しかし,同供述の において,被告は「本件業務代行契約に基づくイニシャルペイメント支払請求権は,本件業務代行契約を終了する旨の原告・被告間の合意により失効したこと」を認める供述をしている旨主張する。 しかし,同供述の趣旨は,原告が,本件業務代行契約締結に至るまで仮契約を含め再三理屈を付けて支払条件を変更した経緯があることや,原告が平成16年7月30日支払期限の本件イニシャルペイメント1000万円及び保証金残金1000万円の合計2000万円を支払わなかったことから,このような原- 8 -告からは,この2000万円はもらえない,との思いで「はい」と返事をしたものであり,本件業務代行契約による請求権を放棄したものではない。 【原告の主張】被告は,原告が本件業務代行契約において被告に対しイニシャルペイメントとして1000万円を平成16年7月30日限り支払う旨を約したと主張するが,否認する。また,仮にそのような約束をしていたとしても,原告は被告に対しその支払義務を負うものではない。その理由は次のとおりである。 (1)イニシャルペイメントの性質ア被告は「イニシャルペイメントとは,本件業務代行契約第5条<イ>にある,とおり被告が原告以外の者とは契約しないという独占権を原告に与える対価である」旨主張するが,仮に被告の主張するとおりだとすると,イニシャルペイメントは金額が確定し,かつ,必ず原告から被告に対して支払わなければならない性質のものということになる。 しかし,本件業務代行契約書添付の別表1・2から明らかなとおり,イニシャルペイメントは,必ずしも原告から被告に対し支払われる必要がないものであり,原告から被告に対し,契約時にイニシャルペイメントとして支払われた額(200万円~1000万円)に応じて原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立された場合に,被 われる必要がないものであり,原告から被告に対し,契約時にイニシャルペイメントとして支払われた額(200万円~1000万円)に応じて原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立された場合に,被告から原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率が加算されるもの,すなわち,イニシャルペイメントとは,被告から原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率を加算するために原告から被告に対して契約時に支払われる投資金にすぎないものである。 原告が被告に対してイニシャルペイメントを支払う旨約した事実はないが,仮にそのような約束をしていたとしても,イニシャルペイメントは,被告から原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率を加算するための投資金にすぎないから,それが支払われたとき初めて効力を持つものであり,支払われない場合は,被告から原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率が加算さ- 9 -れないという効果があるにすぎず,原告が被告に対して支払義務を負担するものではない。 なお,本件業務代行契約は,平成16年7月30日に原告・被告間で本件業務代行契約を終了させる旨の合意がなされているから,仮にイニシャルペイメントの支払約束がなされていたとしても,同約束は,上記合意により失効した。 イ原告は,契約時に被告からイニシャルペイメントについて上記のとおりの説明を受けたが,別途支払わなくても一定額の手数料は支払われるものであり,かつ,別途支払った場合の加算額もそれほど多くはなかったため,被告に対し,イニシャルペイメントとして別途支払わない旨を申し渡した。 ウ本件業務代行契約書には「契約締結後1か月後にイニシャルペイメントと,して1000万円支払う」旨の記載があるが,原告は,本件業務代行契約において,被告との間で,保証金については2000万円とし,契 本件業務代行契約書には「契約締結後1か月後にイニシャルペイメントと,して1000万円支払う」旨の記載があるが,原告は,本件業務代行契約において,被告との間で,保証金については2000万円とし,契約締結後1か月後に残金1000万円を支払う旨の合意をしていたため,上記「契約締結後1か月後にイニシャルペイメントとして1000万円支払う」旨の記載は保証金残金のことであると理解していたものである。 (2)他の会社との契約締結被告は,本件業務代行契約前に被告の経営する会社を通じて,あるいは被告自身が既に多数の会社との間で契約を成立させており(甲4,今更原告が営業す)る先は皆無に等しく,原告にとって,被告との間で本件業務代行契約を締結するメリットが全くないことが判明したため,原告は,本件業務代行契約締結後わずか1か月で合意解除するに至ったのである。 かかる事実だけからしても,本件業務代行契約上,被告は原告に対し何ら独占権を与えた事実はなく,そもそも本件業務代行契約上イニシャルペイメント等名目・名称の如何を問わず,原告が被告に対して支払うべき金員が全くないことが明白である。 (3)業務の特定と特許権等の開示- 10 -原告は,かねてから取引関係のあった株式会社トランス(以下「トランス社」。 ,という)のP1氏から,被告が非常に良い技術を開発しているので,共同して被告の技術を仲介するビジネスをしないかとの提案を受け,平成16年4月29日,P1と一緒に被告と面談した。その後,原告は被告との間で契約内容について協議を重ね,同年5月25日,本件業務代行契約を締結した。 ところで,本件業務代行契約では「被告が有する工業所有権及び特許を受け,る権利並びにノウハウの売買等の業務」に関し,被告が特定した業務に関してのみ,原告が業務代行をすることとされて 約を締結した。 ところで,本件業務代行契約では「被告が有する工業所有権及び特許を受け,る権利並びにノウハウの売買等の業務」に関し,被告が特定した業務に関してのみ,原告が業務代行をすることとされていたが,本件業務代行契約締結時には,その特定がなされておらず,本件業務代行契約締結後速やかに,被告において原告が代行する業務を特定し,その業務に関し,被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウについて原告に開示することとされていた。 そして,原告代表者は被告に対し,本件業務代行契約締結以降,再三にわたり,原告が代行する業務を特定し,かつ,その業務に関し,被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウについて開示するよう求めてきたが,被告はこれに応じようとしなかった。 (4)別件訴訟での被告供述別件訴訟における被告本人尋問において,被告は「本件では,平成16年7,月30日,原告・被告間で本件業務代行契約を終了する旨の合意がなされているから,被告の原告に対する本件業務代行契約に基づくイニシャルペイメントの支払請求権は上記合意により失効するに至ったこと」を認める陳述をしている(甲7の2,35頁10~14行目。 ) 争点2(原告は被告との間で機密保持契約を締結したか)について【被告の主張】(1)原告は,平成16年5月1日,被告との間において「機密保持契約書」と題,する書面(乙3。以下「本件機密保持契約書」という)を交わし,機密保持契。 約(以下「本件機密保持契約」という)を締結した〔なお,本件機密保持契約。 - 11 -書には,契約当事者として「株式会社ソルトレーク」と表示されているが,同社(以下「ソルトレーク社」という)は被告が経営する会社であり「株式会社ソ。 ,ルトレーク」の表示は被告個人を指しており,この 書には,契約当事者として「株式会社ソルトレーク」と表示されているが,同社(以下「ソルトレーク社」という)は被告が経営する会社であり「株式会社ソ。 ,ルトレーク」の表示は被告個人を指しており,このことは原告も従前から認めている(甲5の4・5・7。 )〕(2)原告の主張に対する反論ア原告は,別件訴訟において,本件機密保持契約の締結を認めていた。 すなわち,原告は,別件訴訟の平成17年3月3日付け原告準備書面(甲5の5)の1頁において「機密保持契約もさせている」と主張し,原告・被告,間において本件機密保持契約を締結したことを自認していた。 また,原告は,上記準備書面の5頁において,平成16年5月1日に原告・被告間で本件機密保持契約を締結したとの被告の主張に対し「概ね認める。 ,但し,その概略の説明は大まかなもので資料もなかった。しかし,事の性質上,機密保持は当然なので機密保持契約書を結んだ。後で気づいたのだけれど,契約の当事者が被告でなく,訴外㈱ソルトレークになっていた」と認否・主張。 しており,本件機密保持契約の締結自体については争っていなかった。 イ原告は,乙第3号証は三洋電機本社に赴いた際に被告が三洋電機との間で機密保持契約を締結したいので,予め原告にも調印して欲しいとの要請がありこれに応じたものである旨主張するが,乙第3号証は,平成16年5月12日の三洋電機での会談とは全く無関係な書類である。 すなわち,原告は,別件訴訟の上記原告準備書面(甲5の5)の6頁において,平成16年5月12日の三洋電機における会談の場での出来事として,「被告は仮契約書と言うが,原告は機密保持契約書とばかり思っていたのである。…被告は原告に対し,仮契約書(乙4号証)を示して『これでよろしいでしょうか』と言われて,事が違うのでびっくりしたが,…」と主 被告は仮契約書と言うが,原告は機密保持契約書とばかり思っていたのである。…被告は原告に対し,仮契約書(乙4号証)を示して『これでよろしいでしょうか』と言われて,事が違うのでびっくりしたが,…」と主張しており,原告自身,三洋電機本社でやりとりされた書面の表題は「仮契約書」であっ,て「機密保持契約書」でないと主張していた。 ,- 12 -また,別件訴訟の甲第40号証「陳述書」の2頁(3)によると,①原告代表者は,被告が当日持参した書類が「仮契約書」であり,原告代表者が捺印したのが「機密保持契約書」ではなく「仮契約書」であったことを認識していた,こと,②原告代表者は,機密保持契約の当事者は原告と被告であると認識していたことが窺え,少なくとも,被告が三洋電機との間で機密保持契約を締結したいと望んでいたとの原告代表者の認識は,上記陳述書には示されていない。 原告代表者の同様の認識は,別件訴訟の原告本人調書(甲7の1・2~3頁)にも示されている。 また,乙第3号証の日付は「2004年5月1日」となっているが,原告,は,別件訴訟でも本訴でも,この点については問題としていない。 ウ原告は,乙第5号証を「原告宛のメール文書」であると主張するが,同号証のメールは,原告代表者から被告に宛てたものである。したがって,乙第5号証に現れているのは,当時の原告代表者の認識であって,被告の認識ではない。 被告の認識は,乙第5号証に対する返信として原告代表者宛に送信した乙第6号証のメールにこそ現れている。 被告は,乙第6号証のメールにおいて,乙第3号証の機密保持契約書のことには全く触れていない。これは,乙第5号証と乙第6号証の往復メールの主題が,乙第4号証の仮契約書の内容とその成否についてであったからである。乙第5号証のメール(送信日時:平成16年5月14日)に とには全く触れていない。これは,乙第5号証と乙第6号証の往復メールの主題が,乙第4号証の仮契約書の内容とその成否についてであったからである。乙第5号証のメール(送信日時:平成16年5月14日)には,原告代表者からの「機密保持契約書にメイクメリーの捺印を…」という指摘があるが,乙第3号証の機密保持契約は平成16年5月1日に締結されており,同月12日に捺印したのが乙第4号証の仮契約書であったため,乙第3号証の機密保持契約書に関する上記指摘は被告の関心を引かず,被告の記憶に残らなかった。むしろ,被告は,乙第4号証の仮契約書の記述に誤りがあったことで頭が一杯であった。 【原告の主張】(1)原告は被告との間で乙第3号証記載の機密保持契約を締結した事実はなく,- 13 -また,同号証は原告・被告間の機密保持契約書ではない。 すなわち,乙第3号証は,被告が原告の紹介で三洋電機に赴いた際,被告が三洋電機との間で機密保持契約を締結したいので,予め原告にも調印して欲しいとの要請があり,これに応じたものである。被告は,三洋電機に対し,契約書(乙3)に調印するよう要請したが拒否され,同社との間で機密保持契約を締結するには至らなかった。 (2)被告は「乙第3号証は,平成16年5月12日の三洋電機での会談とは全く,無関係の書類である」旨主張するが,事実に反する。 このことは,被告が「平成16年5月12日の三洋電機での会談の際に,同,社応接室で機密保持契約書(乙3)に捺印したこと」を認めていること(乙5)からも明らかである。 なお,乙第5号証は,同日,原告が被告に対し乙第3号証に調印することを承諾したところ,被告が原告に無断で仮契約書(乙4)にも調印したため,後日このことを知った原告が被告に抗議したところ,被告が非を認めて謝罪した原告宛のメールである。 対し乙第3号証に調印することを承諾したところ,被告が原告に無断で仮契約書(乙4)にも調印したため,後日このことを知った原告が被告に抗議したところ,被告が非を認めて謝罪した原告宛のメールである。 争点3(原告において機密保持契約上の債務不履行があるか)について【被告の主張】(1)本件機密保持契約の定め本件機密保持契約書には次の条項がある(抜粋。 )ア第4条(開示,漏洩等及び目的外使用の禁止)受領者は,開示者から受領した機密情報及び本案件の実施を厳に機密として保持し,開示者が別途書面によって同意しない限り,第三者に開示,漏洩等せず,また本案件以外には使用しない。 イ第7条(遵守事項)第2項受領者は,本検討のために必要不可欠な場合を除き,機密事項を複製,複写等してはならない。又複製,複写等を行う場合は,事前に開示者の文書による- 14 -同意を得なければならない。 ウ第10条(返却)受領者は機密情報の全て(複製,複写品等を含む)を,本案件が終了して開示者が返却を求めたとき,又は本契約が終了したときに開示者に返却し,もしくは開示者の指示に従って破棄するものとし,破棄した場合には,破棄した旨を証する書面を直ちに開示者に交付するものとする。 (2)原告の債務不履行原告の次の行為は,本件機密保持契約上の債務不履行に当たる。 ア本件技術開発計画書の無断複写(ア)被告は,平成16年6月5,6日に行われたネスキャップ社との技術説明会に際し,技術開発計画書(乙10はその写し。以下「本件技術開発計画書」という)を3部(原告用,ネスキャップ社用,アビリット社用)作成。 した上,同月5日,原告代表者に対し,本件技術開発計画書3部を交付し,ネスキャップ社及びアビリット社の2社に限定してこれを交付する許可を与えた。 (イ)しかるに,原告 用,アビリット社用)作成。 した上,同月5日,原告代表者に対し,本件技術開発計画書3部を交付し,ネスキャップ社及びアビリット社の2社に限定してこれを交付する許可を与えた。 (イ)しかるに,原告代表者は,被告に無断で,本件技術開発計画書を複写し,その写し(乙10)を株式会社365倶楽部代表取締役のP2氏に交付した。 (ウ)原告代表者の上記(イ)の行為は,本件機密保持契約第7条第2項に違反するものである。 イ乙25データの無断開示(ア)被告は,平成16年6月5,6日に行われたネスキャップ社との技術説明会において,原告代表者を含む関係者に対し,乙第25号証の2頁目及び3頁目に記載されているデータ(以下「乙25データ」という)が機密情。 報であることを明示した上で,これを開示した。 (イ)しかるに,原告代表者は,被告に無断で,乙25データを三洋電機に開示した。 - 15 -(ウ)原告代表者の上記(イ)の行為は,本件機密保持契約第4条に違反するものである。 ウ機密媒体返却債務の履行不能(ア)原告は,本件機密保持契約書第10条の定める機密情報について,少なくとも以下の媒体(以下「本件機密媒体」という)を所持している。 。 a被告は,平成16年5月23日,アビリット社において,原告代表者同席の下,アビリット社の社長,副社長及び技術部長に対し,工業所有権に関する申請書を開示して技術説明をしたが,その際,①原告代表者が撮影した特許申請書記載の技術内容の撮影記録,②原告代表者がボイスレコーダーに収録した記録。 b被告が平成16年6月5日に原告代表者に交付した本件技術開発計画書3部(原告用,ネスキャップ社用,アビリット社用)c被告は,平成16年6月5,6日に行われたネスキャップ社との技術説明会において,原告代表者及びネスキャップ社の 代表者に交付した本件技術開発計画書3部(原告用,ネスキャップ社用,アビリット社用)c被告は,平成16年6月5,6日に行われたネスキャップ社との技術説明会において,原告代表者及びネスキャップ社のP3氏同席の下,被告の有する工業所有権に関するノウハウを開示し,ホワイトボードを用いて技術説明をしたが,その際,①被告が原告代表者に交付した技術データ(乙25データ,②原告代表者が撮影したホワイトボード(被告による説明)板書)の撮影記録,③原告代表者がボイスレコーダーに収録した記録。 d被告は,平成16年6月18日,朝日電器本社において,原告代表者同席の下,朝日電器の社長及び技術部長に対し,工業所有権に関する申請書を開示して技術説明をしたが,その際,原告代表者が録音したボイスレコーダーの記録。 (イ)本件機密保持契約は,本件業務代行契約と一体をなすものであり,平成16年7月30日,本件業務代行契約とともに終了した。 仮にそうでないとしても,本件機密保持契約は,平成19年5月4日,有効期間満了により終了した(第9条1項本文。 )- 16 -したがって,原告は,本件機密保持契約第10条により,被告に対し,本件機密媒体を返却し,もしくは被告の指示に従って破棄し,破棄した場合には,破棄した旨を証する書面を直ちに被告に交付する義務を負う。 (ウ)原告は,上記のとおり本件機密媒体を被告に返却すべき債務を負っているが,同債務は,同媒体に記録されている情報の機密が実際に保持されていてこそ意味があるものであるから,機密情報の一部でも第三者に漏示されれば,同債務は履行不能となり,損害賠償債務に転化するものというべきである。 しかるところ,上記ア及びイのとおり,原告代表者は,本件業務代行契約に関する機密情報の少なくとも一部を第三者に開示した。 よって,上記 は履行不能となり,損害賠償債務に転化するものというべきである。 しかるところ,上記ア及びイのとおり,原告代表者は,本件業務代行契約に関する機密情報の少なくとも一部を第三者に開示した。 よって,上記返却債務は履行不能により損害賠償債務に転化した。 【原告の主張】(1)被告の主張(1)(本件機密保持契約の定め)は不知。 (2)被告の主張(2)(原告の債務不履行)についてア同ア(本件技術開発計画書の無断複写)については,(ア)(被告から原告代表者への本件技術開発計画書の交付)のうち,原告代表者が本件技術開発計画書の交付を受けたことは認め,その余は否認ないし不知。 イ同イ(乙25データの無断開示)のうち,(ア)(被告から原告代表者等への乙25データの開示)は不知,(イ)(原告代表者による乙25データの漏示)は否認する。 ウ同ウ(機密媒体返却債務の履行不能)は否認ないし争う。 争点4(被告の損害額)について【被告の主張】原告代表者が三洋電機に開示した乙25データは,電気二重層コンデンサに関するデータであるところ,電気二重層コンデンサとは,携帯電話用補助バッテリに必要不可欠な部品である。被告が経営するソルトレーク社は,この携帯電話用補助バ- 17 -ッテリを製造販売しており,その売上げは今期約12億円を見込んでいる。 被告の有する技術は,この電気二重層コンデンサに,被告らが発明した4.5ナノカーボンと12ミクロンフィルムの技術を応用的に利用することによって,携帯電話用補助バッテリの充電時間を10秒程度にまで短縮し,かつ,繰り返し充電による半永久的(理論的には100年以上)な再利用を可能にするという画期的な技術である。現在,携帯電話利用者は,国内だけで7000万人いると言われているから,このような補助バッテリが実用化され,販売されるよう 久的(理論的には100年以上)な再利用を可能にするという画期的な技術である。現在,携帯電話利用者は,国内だけで7000万人いると言われているから,このような補助バッテリが実用化され,販売されるようになれば,その市場は兆単位にまで膨れあがることが予想される。 しかるところ,三洋電機のような大手の電機メーカーがこのような補助バッテリを被告と無関係に実用化することになれば,ソルトレーク社のような中小企業にはとても太刀打ちできるものではなく,その逸失利益は莫大なものとなる。被告は,原告の無責任な行為によって,被告の知的所有権を無力化され,失意のどん底に落とされた。 上記の逸失利益及び被告の精神的損害を金銭に見積もれば,1000万円を下らない。 よって,被告は原告に対し,原告の上記債務不履行により被告が被った損害につき,1000万円を超える損害賠償請求権を有する。 【原告の主張】否認ないし争う。 争点5(機密媒体返還債務は本訴請求債権と同時履行の関係にあるか)について【被告の主張】本件機密保持契約は,本件業務代行契約と一体をなすものであり,本件業務代行契約第10条の定める守秘義務の一内容を定めるものである。 本件保証金は,本件業務代行契約第10条の定める守秘義務の履行を確保するためのものである(甲2。 )したがって,本件機密保持契約に基づく前記機密媒体返却債務は,本件業務代行- 18 -契約第10条の定める守秘義務の一内容をなすものであるから,原告の本件機密媒体返却債務は,被告の本件保証金返還債務と同時履行の関係に立つものである。 よって,仮に,被告の前記各相殺の抗弁の全部又は一部が認められず,原告の本訴請求債権が残存したとしても,被告は,原告が本件機密媒体を返還するまで,その支払を拒絶する。 【原告の主張】争う。 第4争点に対する判断 告の前記各相殺の抗弁の全部又は一部が認められず,原告の本訴請求債権が残存したとしても,被告は,原告が本件機密媒体を返還するまで,その支払を拒絶する。 【原告の主張】争う。 第4争点に対する判断 争点1(イニシャルペイメントの支払約束の有無)について(1)はじめに本件業務代行契約書(甲1,乙8)には「原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う(特記事項。」(2))との記載があるところ,同契約書の成立に争いはなく,ここに示された意思表示の効力にも基本的に争いがない(原告は,同契約について錯誤無効等を主張していない)ことから,原告と被告との間で,上記記載のとおりの契約が成。 立しているものと認められる。 上記記載の内容について,被告は,特記事項(2)のイニシャルペイメントは本件業務代行契約書第5条<イ>において被告が原告に与えた業務代行契約締結の独占権の対価として定められたものであり,かかる対価として,原告が被告に対し1000万円を平成16年7月30日限り支払うという内容であると主張する。 これに対し,原告は,要旨次のとおり主張して上記イニシャルペイメントの支払義務を否認し,原告代表者の供述〔同人作成の陳述書(甲8)中の陳述記載を含む。以下同じ〕はこれに沿う。すなわち「イニシャルペイメントとは,本件。 ,業務代行契約書添付の別表1・2から明らかなとおり原告から被告に対して契約時にイニシャルペイメントとして支払われた額(200万円~1000万円)に応じて原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立させた場合に,被告- 19 -から原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率を加算するための投資金にすぎない。原告が被告に対してイニシャルペイメントを支払う旨約した事実はないが,仮 契約を成立させた場合に,被告- 19 -から原告に対して支払われるロイヤリティーの掛け率を加算するための投資金にすぎない。原告が被告に対してイニシャルペイメントを支払う旨約した事実はないが,仮にそのような約束をしていたとしても,上記のようなイニシャルペイメントの性質に照らせば,イニシャルペイメントは原告が被告に対して支払義務を負担するようなものではない。原告代表者は,イニシャルペイメントの性質について被告から上記のとおりの説明を受けたが,イニシャルペイメントを別途支払わなくても一定額の手数料は支払われるし,別途支払っても加算額はそれほど多くはなかったため,被告に対し,イニシャルペイメントとして別途支払わない旨を申し渡した。本件業務代行契約書の特記事項(2)には「原告は被告に対してイ,ニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う」。 との記載があるが,原告代表者は,これを支払期限が同じ日である保証金残金1000万円のことと理解していた」と。 。 しかし,後記(2)で認定する本件業務代行契約の締結に至る経緯は被告の上記主張に沿うものであって,原告代表者の上記供述は,同認定事実に照らして信用できない。以下,詳述する。 (2)本件業務代行契約締結に至る経緯以下の事実は,当事者間に争いがない。 ア乙2契約書案被告は,平成15年12月3日,トランス社から依頼を受け,同社の取引先であるネスキャップ社に,電気二重層コンデンサについての技術打合せに赴いた際,トランス社の同行者であるP1と面識を得,後にP1から原告を紹介された。 平成16年4月29日,被告は,ファミリーレストランでP1から原告代表者を紹介された。原告代表者は被告に対し,特許の仲介ビジネスをしたい旨を述べ「特許使用権仲介契約書」と題する書面(乙2。以下「乙 平成16年4月29日,被告は,ファミリーレストランでP1から原告代表者を紹介された。原告代表者は被告に対し,特許の仲介ビジネスをしたい旨を述べ「特許使用権仲介契約書」と題する書面(乙2。以下「乙2契約書案」,という)を示した。同書面では,契約当事者は被告と原告及びP1とされて。 - 20 -おり,既に原告代表者とP1の署名がなされていた。被告が原告代表者らに対し,乙2契約書案の内容があまりにも粗雑であり後日問題が生ずる恐れがある旨述べたところ,原告代表者らは,被告において契約書案を作り,それを基にして後日協議をした上で調印をすることを提案し,被告はこれを受け入れた。 平成16年4月30日,被告が契約書案を作成して原告に送付したところ,原告代表者は,社内で検討してから連絡する旨回答した。 イ5月1日の打合せ平成16年5月1日,原告代表者と被告は,ファミリーレストランで契約内容について打合せをした。 ウ5月6日の仮契約の提案平成16年5月6日,原告代表者は被告に電話をかけ,同月1日に打合せをした契約書の内容について一部文言を修正した上で契約を締結したい旨述べた。 被告は,これを承諾し,原告代表者から契約書の変更内容を書面化してファックス送信してもらい,原告代表者の要望どおりの契約書案を作成した上,原告代表者と喫茶店で会った。 席上,原告代表者は,本契約ではなく仮契約に変更したい旨述べた。被告はこれを承諾し,改めて仮契約書を作成することとした。 エ乙4仮契約書(ア)平成16年5月12日,原被告間で,三洋電機本社において,乙第4号証の「業務代行仮契約書(以下「乙4仮契約書」という)が調印された」。 (なお,原告は,同仮契約書における原告の記名捺印は原告代表者の意思に基づかないものである旨主張している。 。)(イ)乙4仮契約 務代行仮契約書(以下「乙4仮契約書」という)が調印された」。 (なお,原告は,同仮契約書における原告の記名捺印は原告代表者の意思に基づかないものである旨主張している。 。)(イ)乙4仮契約書には,次の条項がある。 a第1条(目的)Y(以下甲という。判決注:以下「被告」と表記する)は有限会社メ。 イクメリー(以下乙という。判決注:以下「原告」と表記する)に被告。 - 21 -が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウの売買業務を原告が被告に代わって一定範囲内で行いその成果について被告は原告に別に定める別表1の金員を報酬として支払う。 b第4条(保証金)原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を当月30日の本契約締結と同時に支払う。 c特記事項(2)本契約の締結を本月30日調印する。 d特記事項(3)開発費として金1800万円を本年8月30日に支払う。 e特記事項(4)保証金2000万円を本年10月30日に差入れ預託する。 オ乙5メール原告代表者は,平成16年5月14日,被告に対し,次の内容のメール(乙5。以下「乙5メール」という)を送信した。 。 「…先日5月12日,委託業務として三洋電機本社に同行の際に三洋電機本社・応接室にて機密保持契約書にメイクメリーの捺印をして頂きましたが,同時に業務代行仮契約書にご捺印頂いたことをその時点では認識しておらず,後に確認させて頂きましたが,何点か不明瞭な点がございました。その為,下記の件,再協議致したく思います。 第2条における「別表2」は添付されておりませんでしたので,御添付頂いた上で協議させて頂きたく思います。 第4条にて保証金について記載されておりますが,特記事項個所にも保証金2000万円と記載されております。この特記事項に記載されてお ませんでしたので,御添付頂いた上で協議させて頂きたく思います。 第4条にて保証金について記載されておりますが,特記事項個所にも保証金2000万円と記載されております。この特記事項に記載されております2000万円につきましては,こちらでは認識しておりませんので承諾致しかねます。 - 22 - 特記事項に記載されております,開発費1800万円につきましては,メイクメリーが業務代行としてご提案させて頂く企業からの提供となりますので,メイクメリーとの契約ではないと認識しております。 以上の点を再協議し,出来るだけ早急にこの契約と事業について遂行致したく思っておりますので,ご回答を頂きたく思います。…」カ乙6メール被告は,平成16年5月14日,原告代表者に対し,次の内容のメール(乙6。以下「乙6メール」という)を送信した。 。 「…御指摘の第4条(保証金)の見出しは私の記載ミスでした。申し訳ございませんでした。 調印についても社長が契約調印手続き中に社長の携帯電話に他から電話が入り,何かメモを探す必要があったので社長は鞄よりスタンプ台・ゴム印・社印を取り出し,私に契約書に捺印するようにおっしゃったので私は社長の面前で確認の上捺印することにしました。 その作業を社長は電話をかけながら見ておられ,又捺印後私はこれでよろしいでしょうかと言い再度確認していただいたものと考えておりました。 この所作はおそらく社長のテープレコーダに録音されていると思います。 しかし,いずれにしても私の失態は免れません。 本契約の貴社の申し出について承知致しましたので本契約は解除し,新たに契約を締結したいと思いますので今までの例に従い私の方で契約書案を作成し再度協議の上契約締結に至ることを希望致します。…」キ乙4仮契約書の変更申し出,乙7仮契約書の調印(ア)平成 除し,新たに契約を締結したいと思いますので今までの例に従い私の方で契約書案を作成し再度協議の上契約締結に至ることを希望致します。…」キ乙4仮契約書の変更申し出,乙7仮契約書の調印(ア)平成16年5月15日,原告代表者は被告に対し,乙4仮契約書のうち,次の各条項について「変更後」の下に記載した内容のとおり変更してほ,()しい旨申し出た(変更箇所はゴシック体で表記する。 。)a第1条- 23 -(変更前)被告は原告に被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウの売買業務を原告が被告に代わって行いその成果につい一定範囲内でて被告は原告に別に定める別表1の金員を報酬として支払う。 (変更後)被告は原告に被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウの売買業務を原告が被告に代わって行いその被告の指示により原告が成果について被告は原告に別に定める別表1の金員を報酬として支払う。 b第4条(変更前)当月原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円をの本契約締結と同時に支払う。 30日(変更後)当月原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円をの本契約締結と同時に支払う。 25日c特記事項(2)(変更前)本契約の締結を調印する。 本月30日(変更後)本契約の締結を調印する。 本月25日d特記事項(3)(変更前)開発費として金1800万円を本年8月30日に支払う。 (変更後)保証金2000万円を本年7月30日に差入れ預託する。 e特記事項(4)- 24 -(変更前)保証金2000万円を本年10月30日に差入れ預託する。 (変更後)削除(イ)被告は,乙4仮契約書の変更についての原告代表者の申し出をすべて受。 ,け入れ,改めて仮契約書( 4 -(変更前)保証金2000万円を本年10月30日に差入れ預託する。 (変更後)削除(イ)被告は,乙4仮契約書の変更についての原告代表者の申し出をすべて受。 ,け入れ,改めて仮契約書(乙7。以下「乙7仮契約書」という)を作成し原被告はこれに調印した。 (ウ)乙7仮契約書には,本件業務代行契約添付の別表と同じ別表が添付されていた。 ク乙7仮契約書の変更申し出(ア)平成16年5月20日,原告代表者は被告に対し,乙7仮契約書のうち,次の各条項について「変更後」の下に記載した内容のとおり変更してほ,()しい旨申し出た(変更箇所はゴシック体で表記する。 。)a第1条(変更前)被告は原告に被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウのを原告が被告に代わって行いその売買業務被告の指示により原告が成果について被告は原告に別に定める別表1の金員を報酬として支払う。 (変更後)被告は原告に被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウ売買等業務被告が特定した業務を原告が選ハウのを原告が被告に代わって行い,その成果については被告は原告に別に定める択して原被告同意の上別表1の金員を報酬として支払う。 b第4条(変更前)イニシャルペイメント当月原告は被告に対してとして金1000万円を- 25 -25日の本契約締結と同時に支払う。 (変更後)保証金本契約締結と同時に原告は被告に対してとして金1000万円を特記事項(5)の被告普通預金口座に振り込み預託する。 c特記事項(2)(変更前)本契約の締結を本月25日調印する。 (変更後)原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う。 d特記事項(3)(変更前)保証金2000万円を本年7 本契約の締結を本月25日調印する。 (変更後)原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う。 d特記事項(3)(変更前)保証金2000万円を本年7月30日に差入れ預託する。 (変更後)保証金には利息をつけない。保証金の残金金1000万円を平成16年7月30日に支払う。 (イ)被告は,乙7仮契約書の変更についての原告代表者の申し出をすべて受け入れ,改めて契約書(乙8)を作成することとし,原告代表者との間で,同契約を平成16年5月25日に締結することを合意した。 ケ本件業務代行契約の締結平成16年5月25日,被告が原告代表者に対し,上記ク(イ)の合意を受けて作成した契約書(乙8)を示したところ,同日が保証金1000万円の支払期限であったにもかかわらず,原告代表者は被告に対し「資金繰りが狂った,ため月末までにできるだけ早く振り込むから了解して欲しい」旨を申し出た。 被告はこの申し出を受け入れ,同日,原告との間で本件業務代行契約を締結した。 - 26 -(3)原告の主張(1)(イニシャルペイメントの性質)についてア原告は,イニシャルペイメントは原告が被告に対して支払義務を負担するようなものではない旨主張する。 しかし,本件業務代行契約締結に至る過程で原告代表者がとった行動は,イニシャルペイメントが支払義務のないものと認識している者の行動とは矛盾している(後記イ。また,原告がその主張の根拠とする本件業務代行契約書添)付の別表1及び2も,本件業務代行契約締結に至る経緯に照らし,原告主張の趣旨のものと解することはできない(後記ウ。かえって,本件業務代行契約)書の約定からすれば,イニシャルペイメントは,被告が主張するように権利金としての性質を有するものであると認められる(後記エ。 )以 ものと解することはできない(後記ウ。かえって,本件業務代行契約)書の約定からすれば,イニシャルペイメントは,被告が主張するように権利金としての性質を有するものであると認められる(後記エ。 )以下詳述する。 イ原告代表者の行動について(ア)乙7仮契約書への変更について原告は,平成16年5月12日に三洋電機本社において調印された乙4仮契約書における原告の記名捺印は原告代表者の意思に基づかないものである旨主張し,証拠(乙5,原告代表者)はこれに沿う。すなわち,原告代表者が同月14日被告に対して送信した乙5メールには「…5月12日,…三洋電機本社…応接室にて機密保持契約書にメイクメリーの捺印をして頂きましたが,同時に業務代行仮契約書にご捺印頂いたことをその時点では認識しておらず,…」との記載があり,原告代表者は被告に対し,同日三洋電機本社において原告代表者が被告に捺印をしてもらったのは本件機密保持契約書(乙3)であって,乙4仮契約書ではない旨の認識を示した上で,仮契約書について再度協議をしたい旨の意向を伝えている。 しかし,乙4仮契約書の原告記名捺印部分が原告の意思に基づくものであるか否かはともかく,原告代表者は,少なくとも乙4仮契約書の内容を認識した上で再度協議することを申し出たのであり,その結果,被告は原告代表- 27 -者が申し出た変更内容をそのまま受け入れて乙7仮契約書を作成し,原被告がこれに調印したものであるから,結局のところ,乙7仮契約書は原告代表者の意思に基づくものであることが明らかである。 しかして,乙7仮契約書では,①イニシャルペイメントについては,第4条において「イニシャルペイメントとして金1000万円を当月25日の,本契約締結と同時に支払う」とされ,②保証金については,特記事項(3)に。 おいて「保証金20 シャルペイメントについては,第4条において「イニシャルペイメントとして金1000万円を当月25日の,本契約締結と同時に支払う」とされ,②保証金については,特記事項(3)に。 おいて「保証金2000万円を本年7月30日に差入れ預託する」とされ,。 ているとおり,この時点で既にイニシャルペイメントの支払約束が明記されている。しかも,その支払時期は契約締結と同時とされており,この点は,イニシャルペイメントが権利金としての性質を有するとの被告の主張に沿うものといえる。 また,原告代表者は,本件業務代行契約書の特記事項(2)の記載(原告は「被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う)について,これを支払期限が同じ日である保証金残金1。」000万円のことと理解していた」旨供述するが,乙7仮契約書においては,上記のとおり,イニシャルペイメントと保証金とは,別個の条項として規定されている(しかもイニシャルペイメントは本体の条項である第4条に規定されているのに対し,保証金は特記事項に規定されている)上,イニシャ。 ルペイメントと保証金の支払期限も別個の日とされていたのであるから,原告代表者の上記供述は不自然であり,直ちに信用することはできない。 (イ)乙7仮契約書の変更について原告代表者は,乙7仮契約書に調印した後,被告に対し更に契約内容の変更を申し出,その結果,被告は原告代表者が申し出た変更内容をそのまま受け入れて契約書案を作成し,原被告はこれに調印した(本件業務代行契約書。 )そして,①イニシャルペイメントについては,乙7仮契約書では「イニ,- 28 -シャルペイメントとして金1000万円を当月25日(平成16年5月25日)の本契約締結と同時に支払う(第4条)とされていたのが,本件業務 メントについては,乙7仮契約書では「イニ,- 28 -シャルペイメントとして金1000万円を当月25日(平成16年5月25日)の本契約締結と同時に支払う(第4条)とされていたのが,本件業務。」代行契約書では「原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金10,00万円を平成16年7月30日に支払う(特記事項(2))と変更され,。」②保証金については,乙7仮契約書では「保証金2000万円を本年7月,30日に差入れ預託する(特記事項(3))とされていたのが,本件業務代。」行契約書では,総額は2000万円のままで2回の分割払いとし,まず「保証金として金1000万円を本契約締結と同時に…預託する(第4条)と。」され「保証金の残金金1000万円を平成16年7月30日に支払う」,。 (特記事項(3))とされているが,この時点でもなお,イニシャルペイメントの支払約束が明記されている。 もっとも,イニシャルペイメントの支払時期は契約締結時から2か月後に繰り下げられているが,イニシャルペイメントであると保証金であるとを問わず「原告が被告に対して支払う金員」という観点から上記変更前後の各,条項を見てみると,各支払時期及び同時期における支払金額については,乙7仮契約書でも本件業務代行契約書でも,契約締結時に1000万円を支払い,平成16年7月30日に2000万円を支払うこととされていて,両者の間に違いはない(乙7仮契約書では,契約締結時にイニシャルペイメントとして1000万円を支払い,平成16年7月30日に保証金2000万円を支払うこととされており,本件業務代行契約書では,契約締結時に保証金2000万円のうち1000万円を支払い,平成16年7月30日にイニシャルペイメントとして1000万円及び保証金の残金1000万円の合計2 ととされており,本件業務代行契約書では,契約締結時に保証金2000万円のうち1000万円を支払い,平成16年7月30日にイニシャルペイメントとして1000万円及び保証金の残金1000万円の合計2000万円を支払うこととされている。 。)しかして,イニシャルペイメントを支払義務のないものと認識していれば,各支払時期における支払金額に変更がないのにもかかわらず,敢えて上記のような変更要求,すなわち,一方でイニシャルペイメントの支払時期を遅ら- 29 -せ,他方で保証金の一部の支払時期を繰り上げるような変更を求める行動をとることについては,これを合理的に説明することはできない。上記のような変更要求は,イニシャルペイメントを支払義務のあるものであり,かつ,保証金と異なり契約終了後に返還されないものと認識していて初めて合理的に説明することができるというべきである。 また,原告代表者は,本件業務代行契約書の特記事項(2)の記載(原告は「被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う)について,これを支払期限が同じ日である保証金残金1。」000万円のことと理解していた」旨供述するが,同供述が直ちに信用できないことは前記のとおりである。また,上記のような変更要求,すなわち,一方でイニシャルペイメントの支払時期を遅らせ,他方で保証金の一部の支払時期を繰り上げるような変更を敢えて求めていた原告代表者の行動に照らせば,原告代表者は,上記のイニシャルペイメントと保証金を明確に区別して,上記のような変更要求をしていたことが明らかであり,これを混同していたとする原告代表者の上記供述は,この点からしても信用できない。 ウ別表1及び2について(ア)原告の主張原告は,イニシャルペイメントとは,原告が被告に対してイニ が明らかであり,これを混同していたとする原告代表者の上記供述は,この点からしても信用できない。 ウ別表1及び2について(ア)原告の主張原告は,イニシャルペイメントとは,原告が被告に対してイニシャルペイメントとして支払った額に応じて,原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立させた場合に,被告が原告に対して支払うべき「報酬」又は「ロイヤリティー」の額を加算するための投資金としての性質を有するものであって,原告にその支払義務はなく,このことは,本件業務代行契約書添付の別表1及び2から明らかである旨主張する。 なるほど,前提事実(5)のとおり,別表1は,本件業務代行契約書第1条に基づいて被告が原告に対して支払う「報酬」の算定方法を定めたものであり,別表2は,同第2条に基づいて被告が原告に対して支払う「ロイヤリ- 30 -ティー」の算定方法を定めたものであるところ,いずれの別表にも「イニ,シャルペイメント」として「0「200万円「400万円「600,」,」,」,万円「800万円「1000万円」の各欄が設けられており,この金額」,」,が多いほど,被告が上記各条項に基づいて原告に対して支払う金員の額が多くなるものとして定められていることが認められる。 このような別表1及び2の記載からすると,原告が被告に対して支払うイニシャルペイメントの額は,ゼロ円でもよく,また,200万円から1000万円までの間の任意の上記金額で足りるもののように解されなくもない。 そうだとすると,原告が主張するように,イニシャルペイメントとは,原告が被告に対してイニシャルペイメントとして支払った額に応じて,原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立させた場合に,被告が原告に対して支払うべき「報酬」又は「ロイヤリティー」の額を加算するた が被告に対してイニシャルペイメントとして支払った額に応じて,原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立させた場合に,被告が原告に対して支払うべき「報酬」又は「ロイヤリティー」の額を加算するための投資金としての性質を有するものであって,原告にその支払義務はないものとも解し得ることになる。 (イ)被告の主張この点に関する被告の主張は,要旨次のとおりである。 すなわち,特記事項(2)のイニシャルペイメントは,本件業務代行契約書第5条<イ>において被告が原告に対して与えた業務代行契約締結の独占権の対価として定められたものであり,権利金としての性質を有するものであって,1000万円という定額である。別表に『イニシャルペイメント』として『0『200万円『400万円『600万円『800万円『1』,』,』,』,』,000万円』の各欄が設けられているのは次の理由による。すなわち,本件業務代行契約の締結に向けて原被告間で話合いをしていた平成16年5月6日に,原告代表者から,それまでに一応の合意をしていた契約内容について,①合意内容は本契約ではなく仮契約とすること,②本契約は同月30日に締結すること,③イニシャルペイメントは同日支払うこと,以上3点について- 31 -申入れを受け,その際,原告代表者が『仮契約のままで被告にイニシャルペイメントを支払っていないから,被告が原告以外の他の者と契約を締結して先を越されると困るから,被告に独占権を守ってもらうため,イニシャルペイメントを分割してでも少しずつ早く支払いたい』旨述べた。そこで,原告代表者と被告は,仮契約中の原告の営業活動により企業先との間で取引が成立し企業先から「受取権利金(別表1)や「実施料(別表2)が支払われ」」た場合に原告が受け取る「報酬(第1条)や「ロイヤリテ 代表者と被告は,仮契約中の原告の営業活動により企業先との間で取引が成立し企業先から「受取権利金(別表1)や「実施料(別表2)が支払われ」」た場合に原告が受け取る「報酬(第1条)や「ロイヤリティー(第2条)」」の金額を,その時点までに原告が分割で支払ったイニシャルペイメントの額を基準として計算することを合意した。別表1及び2はかかる合意に基づいて作成したものである」と。 。 (ウ)原被告の主張の検討被告の上記主張は,平成16年5月1日の打合せ,同月6日の仮契約の提,案等,前記(2)認定の経緯に符合するものであり,また,仮契約とした以上原告は本件業務代行契約書第5条<イ>と同様の独占権を確保し得ないから,原告代表者がイニシャルペイメントを分割してでも少しずつ早く支払うことにより上記独占権を確保したいとの意向を示すことについても十分理解し得るのであり,経済的に合理性があるものといえ,被告の上記主張は首肯するに足りるものである。そして,原告は,被告の上記主張に対しては,単に否認するだけで,その理由について何ら具体的な反論をしない。このような原告の対応に弁論の全趣旨を併せ考慮すれば,別表1及び2は,被告が主張するように,本件業務委託契約の本契約締結までの仮契約中に原告が業務代行を行い,その結果取引が成立した場合に企業先から「受取権利金(別表」1)や「実施料(別表2)が支払われた場合に原告が受け取る「報酬(第」」1条)や「ロイヤリティー(第2条)の金額を,その時点までに原告が分」割で支払ったイニシャルペイメントの額を基準として計算するために作成されたものにすぎず,本件業務委託契約におけるイニシャルペイメントとして- 32 -は1000万円の定額とする旨の合意があったものと認めるのが相当である。 したがって,イニシャルペイ するために作成されたものにすぎず,本件業務委託契約におけるイニシャルペイメントとして- 32 -は1000万円の定額とする旨の合意があったものと認めるのが相当である。 したがって,イニシャルペイメントが,原告が被告に対してイニシャルペイメントとして支払った額に応じて,原告が商談をまとめた顧客との間で被告が契約を成立させた場合に,被告が原告に対して支払うべき「報酬」又は「ロイヤリティー」の額を加算するための投資金としての性質を有するものであって,原告にその支払義務はないとの原告の主張は,採用できない。 エイニシャルペイメントの性質についてかえって,特記事項(2)のイニシャルペイメントは,本件業務代行契約書第5条<イ>において被告が原告に対して与えた業務代行契約締結の独占権の対価として定められたものであり,権利金としての性質を有するものであると認められる。その理由は次のとおりである。 すなわち,本件業務代行契約書第5条<イ>には「被告は原告以外には代行業務者の契約はしない」と定められているところ,同第1条所定の本件業務代。 行契約の目的に照らすと,同第5条<イ>の規定は,被告が原告との間で本件業務代行契約を締結することにより,その「有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウ」という経済的価値のある財産について,これを売買等する業務の代行を行う権利を原告に独占させる趣旨の規定であると認められる。 そうすると,原告に対して上記のような独占権を与える者としては,原告以外の第三者との間でも本件業務代行契約と同様の業務代行契約を締結することにより得ることのできるビジネスチャンスとそこから得られるであろう利益に相当する対価を要求するのは,合理的な対応といえる。他方,上記のような独占権を得る者としては,第三者との競争もなく代行業務を独占的に行 得ることのできるビジネスチャンスとそこから得られるであろう利益に相当する対価を要求するのは,合理的な対応といえる。他方,上記のような独占権を得る者としては,第三者との競争もなく代行業務を独占的に行うことにより報酬等を独占できるのであるから,その対価を支払うことについて,客観的には十分な合理性があるものということができる。したがって,原告と被告が上記のような趣旨で,被告において返還義務を負担しない一定の金員の支払を原告の契約上の義務とすることを合意することは,原被告双方にとって経済- 33 -的合理性のある行動であるということができる。そして,後記のとおり,原告は,本件業務委託契約が締結された平成16年5月25日から同契約を終了させる旨の合意がされた同年7月30日までの間,上記代行業務の独占権を確保していて,かかる独占権確保による利益を享受し,又は少なくとも享受し得たものというべきである。したがって,本件業務委託契約が平成16年7月30日をもって終了したからといって,これによりイニシャルペイメントの支払義務が消滅したということもできない。 オ小括以上によれば,イニシャルペイメントが支払義務のないものであるとの原告の主張は採用できず,また,本件業務代行契約締結に至るまでの上記認定の原告代表者の行動,本件業務代行契約書第5条<イ>の規定に照らし,原告代表者が契約時に被告に対しイニシャルペイメントを別途支払わない旨申し渡したとの原告代表者の供述も信用することはできず,他に同事実を認めるに足りる証拠はない(仮に原告代表者がそのような申し出をしていたとしても,被告がそのような申し出を承諾したことを認め得る証拠も全くない。 。)(4)原告の主張(2)(他の会社との契約締結)についてア原告は,本件業務代行契約締結前に被告は既に多数の会社 たとしても,被告がそのような申し出を承諾したことを認め得る証拠も全くない。 。)(4)原告の主張(2)(他の会社との契約締結)についてア原告は,本件業務代行契約締結前に被告は既に多数の会社との間で本件業務代行契約と同様の契約を成立させていたとして,本件業務代行契約上被告は原告に対し何ら独占権を与えた事実はない旨主張し,甲第4号証を提出する。 イしかし,証拠(被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,甲第4号証は,本件業務代行契約とは別個の事業に関して被告が原告らに示した書類であることが認められ,他に,本件業務代行契約締結前に被告が多数の会社との間で本件業務代行契約と同様の契約を成立させていたことを認めるに足りる証拠はないから,原告の主張(2)は採用できない。 (5)原告の主張(3)(業務の特定と特許権等の開示)についてア原告は,本件業務代行契約上,被告が特定した業務に関してのみ原告が業務- 34 -代行をすることとされていたが,本件業務代行契約締結時にはその特定がなされておらず,本件業務代行契約締結後速やかに被告において原告が代行する業務を特定し,その業務に関し,被告が有する工業所有権及び特許を受ける権利並びにノウハウを開示することとされており,その旨原告は被告に再三求めていたが被告はこれに応じようとしなかった旨主張する。 原告の上記主張は,被告が業務の特定をしていない以上,そもそも被告は原告に対し何ら独占権を与えていないとの趣旨と解される。 イ証拠(甲7の1・2,乙4,10,21,22,34,35,43,原告代表者,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)原告代表者は,平成16年5月12日,被告との間で本件業務代行契約の仮契約(乙4)を三洋電機本社において締結するについて,同社顧問のP4氏を被告に 論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)原告代表者は,平成16年5月12日,被告との間で本件業務代行契約の仮契約(乙4)を三洋電機本社において締結するについて,同社顧問のP4氏を被告に紹介した。その際,原告代表者は,P4に対し「被告は電気,二重層コンデンサー使用のマルチバッテリとそれを10秒程度で急速充電する技術の特許を持っている。その業務の代行を原告がすることになったので,被告とともに挨拶に来た。被告のマルチバッテリのノウハウやパテントを三洋電機さんの方で採用を考えてもらえないか」と依頼した(甲7の1・1。 9頁5行目,24頁18行目。P4は「三洋電機は乾電池の製造がメイン),であり,それに代わる物は今考えていないが,三洋電機の取引先で心当たり。 ,があるから紹介してあげる」と述べた。被告は,同年6月1日,P4から電気二重層キャパに興味がある朝日電器を紹介する旨のメール(乙34)を受け,同月18日,P4及び原告とともに朝日電器を訪問した(乙35,甲7の1・18頁13行目。 )(イ)朝日電器,アビリット及び細川電気はいずれも電気機器の製造販売を業とする企業であり,また,ラハイナ及び日立モバイルは携帯電話機の取扱店であるところ,原告代表者は,これらの企業に対して被告の保有する技術に関して本件業務代行契約の趣旨に沿った営業活動を行った。 - 35 -(ウ)被告は,平成16年6月5日付け技術開発計画書(乙10)3部を原告代表者に提出し(甲7の1・34頁11行目,これに記載されている内容)のうち,開発計画書,開発の概要,研究開発の内容及び規模等特定したノウハウを開示した。 (エ)被告は,平成16年6月5,6日に大阪ヒルトンホテルにおいて行われたネスキャップ社との技術説明会で,携帯電子機器用急速充電器の特許公開さ 究開発の内容及び規模等特定したノウハウを開示した。 (エ)被告は,平成16年6月5,6日に大阪ヒルトンホテルにおいて行われたネスキャップ社との技術説明会で,携帯電子機器用急速充電器の特許公開されたものや,申請中の特許請求範囲等の書類を開示し,また,試作器で実験をするなどした。その際,原告代表者はその状況を写真撮影し,ボイスレコーダーで収録した(乙21,22。 )(オ)原告代表者は,別件訴訟の尋問において,本件業務代行契約の目的である代行業務が,マルチバッテリ・急速充電器であることを原告と被告が合意していた事実(甲7の2・24頁11行目)を争わなかった。また,原告代表者は,本件業務代行契約の目的物の範囲や特定について理解している旨供述していた(甲7の1・33頁10行目。 )ウ上記認定事実によれば,原告代表者は,本件業務代行契約において原告が代行すべき業務が,電気二重層コンデンサーとその急速充電等に関するものであることを,少なくとも営業活動を行う上で支障がない程度には認識していたものと認められる。 また,そもそも,原告代表者は,上記認定のとおり,本件業務代行契約の趣旨に沿って営業活動を行っており,本件業務代行契約を終了する旨原被告が合意した平成16年7月30日の当日も,営業活動を行っていたことは当事者間に争いがない。そして,この間,被告が原告以外の第三者との間で本件業務代行契約と同様の契約を締結した事実が認められないことは前記のとおりであるから,原告としてはこの間,本件業務代行契約書第5条<イ>の独占権を確保していたものということができる。 エよって,原告の主張(3)も理由がない。 - 36 -(6)原告の主張(4)(別件訴訟での被告供述)についてア原告は,原告・被告間での別件訴訟(大阪地方裁判所平成16年(ワ)第13 る。 エよって,原告の主張(3)も理由がない。 - 36 -(6)原告の主張(4)(別件訴訟での被告供述)についてア原告は,原告・被告間での別件訴訟(大阪地方裁判所平成16年(ワ)第13057号事件)における被告本人尋問において,被告は「本件業務代行契約に基づくイニシャルペイメント支払請求権は,本件業務代行契約を終了する旨の原告・被告間の合意により失効したこと」を認める供述をしている旨主張する。 この点について被告は,原告が,本件業務代行契約締結に至るまで仮契約を含め前記のとおり再三契約内容,特にイニシャルペイメント及び保証金の支払条件を変更した経緯があることや,原告が平成16年7月30日支払期限の本件イニシャルペイメント1000万円及び保証金残金1000万円の合計2000万円を支払わなかったことなどから,このような原告からはこの2000万円はもらえないとの思いで「はい」と返事をしたものであり,本件業務代行契約による請求権を放棄したものではない旨主張する。 イそこで,被告の上記供述の趣旨について見ると,証拠(甲7の2)及び弁論の全趣旨によれば,上記供述は,本件業務代行契約を終了した際の状況について,被告が「契約は解除する」旨発言したのに対し,原告代表者が「それは仕方がない」旨述べたとの被告の回答の後,原告訴訟代理人の「あなたのほうは,じゃ,契約をもうなしにすると,こういうことなの」との質問に対し,被告。 が「そうです」と答え,これに対して原告訴訟代理人が「そうすると,あな。 たはイニシャルペイメントももちろんもらうことはなくなっちゃうわけやね。 契約はなしになるんだから」と促したのに対して被告が「はい」と答えたこ。 。 とを指していることが認められる。 上記のような質問と回答の流れからすると,被告の上記供述のみから直ちに,被告が けやね。 契約はなしになるんだから」と促したのに対して被告が「はい」と答えたこ。 。 とを指していることが認められる。 上記のような質問と回答の流れからすると,被告の上記供述のみから直ちに,被告が,本件業務代行契約の終了によりイニシャルペイメント支払請求権が失効することを認めたものと認定することはできない。 かえって,被告の上記供述は,被告が主張するように,本件業務代行契約終了までの原告代表者の言動に照らして,本件業務代行契約が終了してしまえば,- 37 -もはや原告からイニシャルペイメントの支払を受けることはできなくなるであろうとの推測を述べたにすぎないものであることが推認できる。 (7)争点1(イニシャルペイメントの支払約束の有無)に対する判断のまとめ以上によれば,本件業務代行契約書における「原告は被告に対してイニシャルペイメントとして金1000万円を平成16年7月30日に支払う」との記載。 の内容については,被告が主張するとおり,原告が被告に対し,イニシャルペイメントとして1000万円を平成16年7月30日に支払う,すなわち支払義務を負うとの内容と解するのが相当であり,同記載に係る原被告の意思表示の効力を妨げるべき事情も見当たらないから,原告と被告は,原告が被告に対し,上記イニシャルペイメントとして1000万円を平成16年7月30日限り支払う旨の合意をしたものである。したがって,被告は,原告に対し,上記1000万円のイニシャルペイメントの支払請求権を有する。 相殺の抗弁の成否被告が原告に対し,遅くとも平成19年11月26日の本件第5回弁論準備手続期日において,1000万円のイニシャルペイメント支払請求権(弁済期:平成16年7月30日)を自働債権として原告の被告に対する本訴請求債権(弁済期:平成18年7月30日)とその対当額 回弁論準備手続期日において,1000万円のイニシャルペイメント支払請求権(弁済期:平成16年7月30日)を自働債権として原告の被告に対する本訴請求債権(弁済期:平成18年7月30日)とその対当額において相殺する旨の意思表示をしたことは,当裁判所に顕著である。 そうすると,原告の被告に対する本訴請求債権は,遅延損害金を含め上記相殺によりすべて消滅したことが明らかである。 結論 以上によれば,原告の本訴請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部- 38 -裁判長裁判官田中俊次裁判官西理香裁判官北岡裕章
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