- 1 - 主文 本件控訴を棄却する。 理由 1 本件控訴の趣意は、弁護人作成の控訴趣意書記載のとおりである。 論旨は、法令適用の誤り及び量刑不当の各主張である。 2 法令適用の誤りの主張について論旨は、量刑の理由中で自首を認めながら、刑法42条を適用して自首減軽をしていない原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある、というのである。しかしながら、同条は任意的減軽の規定であって、法定刑の下限を下回る処断刑を導く場合に適用すれば足りるから、原判決が示した法令の適用に誤りはない。法令適用の誤りをいう論旨は理由がない。 3 量刑不当の主張について論旨は、要するに、被告人を懲役1年4月、4年間執行猶予に処した原判決の量刑は、情状事実の認定に誤認があり、また、共犯者との均衡を失し、重過ぎて不当である、というのである。そこで、記録を調査して検討する。 ⑴ 本件は、被告人が、A県知事の解職(いわゆるリコール)活動を行っていた共犯者らと共謀し、同解職請求に関し、ほしいままに、アルバイト作業員3名に同県知事の選挙権を有する合計71名の氏名を署名簿氏名欄に記載させて解職請求者の署名を偽造した事案である。 原判決は、本件は、本来存在しない民意を無断作出し、公選による地方公共団体の長の地位を失わせようとした、直接民主主義や地方自治の根本をないがしろにする悪質な犯罪である、被告人は、共犯者から誘われ、著名人との人脈を作り、今後のビジネス - 2 - チャンスにつなげることを期待して各犯行に加担し、利己的動機に酌むべき点がないことはもとより、具体的計画を立案し、自ら代表を務める会社の関連会社従業員に指示して偽造行為を行う遠方の会場やアルバイト作業員を手配しており、各犯行において不可 担し、利己的動機に酌むべき点がないことはもとより、具体的計画を立案し、自ら代表を務める会社の関連会社従業員に指示して偽造行為を行う遠方の会場やアルバイト作業員を手配しており、各犯行において不可欠かつ重要な役割を果たしているから、共犯者が本件を主導したことを踏まえても、前記諸事情を考慮すると罰金刑の選択は相当でなく、懲役刑を選択すべきである、その一方で被告人が自首して詳細に供述したことで事案の解明が進んだことを相当程度有利に考慮すべきであり、犯行への関与を後悔していること、犯罪歴がないこと、顧問税理士が出廷して更生への助力を約したこと、しょく罪寄附をしたことなどの事情を踏まえ、刑の執行を猶予すべきであるとして、被告人を懲役1年4月に処し、4年間刑の全部の執行を猶予した。 ⑵ 前記の原判決の量刑事情の認定及び評価に誤りはなく、その量刑判断は、刑種の選択及び執行猶予期間の点を含めて適切であって、重過ぎて不当であるとはいえない。 ⑶ 所論は、被告人が本件犯行に加担した動機について、著名人との人脈を作り、今後のビジネスチャンスにつなげることを期待して犯行に加担した旨の原判決の認定には誤認がある、と主張する。 しかしながら、自ら進んで関与を認める供述を続けていた被告人の捜査段階供述の信用性に特段の疑義はなく、被告人は、原審公判でも、著名人とのパイプができ、新たなビジネスチャンスを得たいとの考えがあった旨捜査段階と同旨の供述を維持している。 原判決に所論が指摘する量刑事情の誤認はなく、所論は採用できない。 所論は、原判決は、自首の事実を十分考慮しておらず、他の共 - 3 - 犯者の科刑等の状況と均衡を失する旨主張する。しかしながら、原判決が自首と捜査協力の事実を相当程度有利に考慮していることは判文上明らかである。また、所論が指摘 ておらず、他の共 - 3 - 犯者の科刑等の状況と均衡を失する旨主張する。しかしながら、原判決が自首と捜査協力の事実を相当程度有利に考慮していることは判文上明らかである。また、所論が指摘する共犯者の科刑等の状況を検討しても、被告人に対する原判決の量刑が重過ぎて不当であるとはいえない。所論は採用できない。 量刑不当をいう論旨は理由がない。 被告人が現在まで引き続きしょく罪寄附を続けており、更に別のしょく罪寄附を開始したとの所論が指摘する原判決後の情状事実を考慮しても、原判決の量刑はなお相当であり、これが重過ぎて不当であるとはいえない。 4 よって、刑事訴訟法396条により本件控訴を棄却することとして、主文のとおり判決する。 令和4年5月26日名古屋高等裁判所刑事第1部 裁判長裁判官 𠮷村典晃 裁判官田中聖浩 裁判官谷口吉伸
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