昭和51(オ)348 損害賠償

裁判年月日・裁判所
昭和53年3月23日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所 昭和49(ネ)996
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人吉原稔、同岡豪敏、同高見澤昭治の上告理由第一点について  記録によれ

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判決文本文2,760 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人吉原稔、同岡豪敏、同高見澤昭治の上告理由第一点について  記録によれば、本件訴訟の内容及び経過は次のとおりである。  (一) 本件訴訟は、亡Dの運転する貨物自動車と訴外E運輸有限会社(以下「E 運輸」という。)が運行の用に供し、訴外Fが運転する貨物自動車との国道上での 衝突によりDが死亡した事故につき、同人の妻又は子である上告人らが被上告人の 道路管理の瑕疵が事故の原因であるとして被上告人に対し損害賠償を請求したもの である。(二) 第一審においては、E運輸も被上告人とともに被告とされたところ、 同会社は、同一事故により生じた同会社の上告人らに対する損害賠償請求権を自働 債権とする相殺の抗弁を提出し、第一審はその一部を容れて、上告人らの取得した 損害賠償請求権の額から支払のあつた自動車損害賠償保険金額及び相殺の認められ た金額を控除した残額について上告人らの同会社に対する請求を認容する判決をし、 右判決は控訴がなく確定した。(三) ところが、第一審において、上告人らと被上 告人との間では右相殺の主張がなされなかつたため、上告人らの被上告人に対する 請求の認容額は、その総額においてE運輸に対する請求の認容額よりも前記相殺額 だけ高額となつた。(四) 被上告人は、右第一審判決に対して控訴したうえ原審に おいて、上告人らとE運輸との間においては前記のような内容の第一審判決が確定 したが、被上告人とE運輸とは上告人らに対して不真正連帯債務を負う関係にある から、被上告人の上告人らに対する賠償義務も前記相殺額の限度で消滅したとの主 張をしたところ、原審はこれを容れて第一審判決を変更し、結局被上告人に対して もE運輸と同額の損害賠償を命じた。(五) 原審は から、被上告人の上告人らに対する賠償義務も前記相殺額の限度で消滅したとの主 張をしたところ、原審はこれを容れて第一審判決を変更し、結局被上告人に対して もE運輸と同額の損害賠償を命じた。(五) 原審は、右判決をなすにあたつて、本 - 1 - 件事故につき被上告人と共に不真正連帯債務を負担するE運輸と上告人らとの間で 前記のような内容の第一審判決が確定したことを認定したのみで、相殺の自働債権 とされたE運輸の損害賠償請求権の存在を認定することなく、右確定判決の存在か ら直ちに被上告人の損害賠償義務が同判決で認められた相殺額の限度で消滅したも のと判断した。  しかしながら、不真正連帯債務者中の一人と債権者との間の確定判決は、他の債 務者にその効力を及ぼすものではなく、このことは、民訴法一九九条二項により確 定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否について生ずる場合にお いても同様であると解すべきである。もとより、不真正連帯債務者の一人と債権者 との間で実体法上有効な相殺がなされれば、これによつて債権の消滅した限度で他 の債務者の債務も消滅するが、他の債務者と債権者との間の訴訟においてこの債務 消滅を認めて判決の基礎とするためには、右相殺が実体法上有効であることを認定 判断することを要し、相殺の当事者たる債務者と債権者との間にその相殺の効力を 肯定した確定判決が存在する場合であつても、この判決の効力は他の債務者と債権 者との間の訴訟に及ぶものではないと解すべきであるから、右認定判断はこれを省 略することはできない。したがつて、上告人らとE運輸の間に前記のような内容の 確定判決が存在することから、直ちに被上告人の債務が右判決によつて認められた 相殺の金額の限度で消滅したものとした原判決は、判決の効力に関する法の解釈を 誤つたか、理由不備の違法を犯したものであり、右法解 定判決が存在することから、直ちに被上告人の債務が右判決によつて認められた 相殺の金額の限度で消滅したものとした原判決は、判決の効力に関する法の解釈を 誤つたか、理由不備の違法を犯したものであり、右法解釈の誤りが判決に影響を及 ぼすことは明らかであるから、原判決は破棄を免れない。  そしてE運輸が相殺に供した上告人らに対する反対債権が実体法上有効に存在す るものであるならば、右反対債権を以てする相殺が民法五〇九条により許されない ものであるにせよ(最高裁昭和三〇年(オ)第一九九号同三二年四月三〇日第三小 法廷判決・民集一一巻四号六四六頁、最高裁昭和四七年(オ)第三六号同四九年六 - 2 - 月二八日第三小法廷判決・民集二八巻五号六六六頁参照)、民訴法一九九条二項に よる確定判決の既判力の効果として、E運輸は右反対債権を行使することができな くなり、その反面として上告人らはそれだけの利益を受けたことになるのであつて、 右事実はE運輸が弁済等その出捐により上告人らの債権を満足させて消滅せしめた 場合と同視することができるから、被上告人の上告人らに対する損害賠償債務もそ の限度で消滅したことになるものと解すべきである。上告人らと被上告人との間に おいては未だ訴訟上右反対債権の存在は確定されていないのであるから、この点に ついて審理を尽くさせるため本件を原審に差し戻すのを相当とする。(なお、原審 認定の事実関係に照らし本件事故はD、F双方の過失と被上告人の道路管理の瑕疵 との競合により発生したものとされることが予想されるが、その場合、上告人らと 被上告人とは右事故によるE運輸の損害賠償請求につき不真正連帯債務者たる立場 に立つものであるから、もしE運輸の右反対債権が存在し、その内容が前記確定判 決が認定しているようなものであるとすれば、前記のとおり上告人らとE運輸との 間で右反対債権 求につき不真正連帯債務者たる立場 に立つものであるから、もしE運輸の右反対債権が存在し、その内容が前記確定判 決が認定しているようなものであるとすれば、前記のとおり上告人らとE運輸との 間で右反対債権を自働債権とする相殺を肯定する判決が確定した以上、上告人らは 国に対してこれに基づく求償権を取得するものと解される。)  よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す る。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    本   山       亨             裁判官    岸   上   康   夫             裁判官    団   藤   重   光             裁判官    藤   崎   萬   里 - 3 -

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