令和3(行コ)46 環境影響評価書確定通知取消等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年4月26日 大阪高等裁判所
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判決文本文53,898 文字)

主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決中、控訴人らの通知の取消請求に係る部分を取り消す。 2 経済産業大臣が平成30年5月22日付けで株式会社コベルコパワー神戸第二に対してした、下記の火力発電所に係る環境影響評価書を変更すべきことを命ずる旨の電気事業法46条の17第1項の規定による命令をする必要がないと認める旨の同条2項に基づく通知を取り消す。 記発電所名神戸製鉄所火力発電所(仮称)(計画中)燃料石炭発電規模 130万kW(65万kW×2)発電方式微粉炭火力・超々臨界圧発電供給開始時期 3号機(新設1号機):2021年度稼働予定4号機(新設2号機):2022年度稼働予定計画地神戸市灘区灘浜東町2番地 3 訴訟費用は、第1審(ただし、確認の訴えに係る部分を除く。)、第2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略称注記は原判決の例による。)本件(原審)は、石炭火力発電所の新設工事が計画されている場所の周辺地域に居住する控訴人ら及びほか1名が、①上記工事計画の事業者であるコベルコパワーが経済産業大臣に環境影響評価法21条2項の規定により作成した環境影響評価書を届け出たところ(電気事業法46条の16)、経済産業大臣は、同法46条の17第2項に基づき、上記届出に係る評価書は環境保全について 適正な配慮がされているとして、同条1項の変更命令をすべき必要がない旨コベルコパワーに確定通知(本件確定通知)をしたが、同確定通知は環境保全措置の不十分な発電所新設工事を許容するものであり、控訴人らほか1名の生命、健康、生活環境利益等を侵害 命令をすべき必要がない旨コベルコパワーに確定通知(本件確定通知)をしたが、同確定通知は環境保全措置の不十分な発電所新設工事を許容するものであり、控訴人らほか1名の生命、健康、生活環境利益等を侵害するものとして違法であると主張して、被控訴人に対し、その取消しを求め、また、②経済産業大臣が、電気事業法39条1項に基づく主務省令(火力発電所技術基準省令)において、火力発電所からのCO₂(二酸化炭素)の排出規制に関して、日本が批准したパリ協定に整合する規定を定めていないことが違法であるとして、行政事件訴訟法4条の当事者訴訟として、被控訴人との間で、上記省令の違法確認を求めた事案である。 原審が、控訴人ら及びほか1名の上記請求のうち、上記①に係る取消請求を棄却し、上記②に係る確認の訴えを却下したところ、控訴人らが上記①の棄却部分を不服として本件各控訴を提起した。原審原告であったX2は控訴せず、また、その余の原審原告であった控訴人らは上記②の却下部分については控訴していないため、当審の審理の対象は、控訴人らの上記①の本件確定通知の取消しを求める部分となる。 1 関係法令の定め関係法令の定めは、本判決別紙2「関係法令の補充」を追加するほか、原判決別紙2「関係法令の定め」に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決を次のとおり補正する。 ⑴ 原判決113頁22行目末尾に改行して、次のとおり加える。 「 なお、上記事業は、第一種事業及び第二種事業に区別される。火力発電所(地熱を利用するものを除く。以下「火力発電所」という。)における第一種事業の規模は15万kW以上であり、第二種事業の規模は11.25万kW以上15万kW未満である(環境影響評価法2条2項1号ホ、3項。同法施行令1条本文、6条、7条、別表第一の五ホ)。火力発電所に 種事業の規模は15万kW以上であり、第二種事業の規模は11.25万kW以上15万kW未満である(環境影響評価法2条2項1号ホ、3項。同法施行令1条本文、6条、7条、別表第一の五ホ)。火力発電所における第一種事業は、電気事業法46条の4にいう「特定対象事業」にも 該当する。」⑵ 原判決114頁8行目から12行目までを次のとおり改める。 「 火力発電所の設置の工事の事業(以下「火力発電所事業」という。)のうち、第一種事業(かつ電気事業法46条の4にいう特定対象事業)に関する環境影響評価その他の手続」原判決118頁2行目の「勘案しつつ」を「勘案しつつ、…特定対象事業特性及び特定対象地域特性に関する情報を踏まえ、当該選定を」と改める。 原判決122頁6行目末尾に改行して、次のとおり加える。 「 なお、上記の火力発電所技術基準省令4条には、公害防止の規定が設けられており、発電所等の電気工作物のばい煙量又はばい煙濃度(SOx、ばいじん、NOx等)、指定ばい煙の合計量(SOx、NOx)、ダイオキシン類の量等が、大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法等の規制措置法令に適合することが求められている。また、上記の電気設備技術基準省令19条にも、公害等の防止の規定が設けられており、発電所の電気工作物の排出水、特別地下浸透水、騒音、振動等が水質汚濁防止法、騒音規制法、振動規制法等の規制措置法令に適合することが求められている。 これらの技術基準については、事業者に適合性維持義務が課せられ(電気事業法39条1項)、適合していないと認められるときは、技術基準適合命令が発令されることになり(同法40条)、技術基準適合命令に違反した場合は、300万円以下の罰金に処せられることにもなっている(同法118条5号)。」 2 前提 認められるときは、技術基準適合命令が発令されることになり(同法40条)、技術基準適合命令に違反した場合は、300万円以下の罰金に処せられることにもなっている(同法118条5号)。」 2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張(当審における主張を含む。)は、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2から4まで(ただし、3⑵及び4⑷、⑸を除く。)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決を次のとおり補正する。 原判決2頁21行目及び22行目を次のとおり改める。 「ア控訴人らのうち、控訴人X12(以下「控訴人X12」という。)は大阪府吹田市内に、控訴人X11(以下「控訴人X11」という。)は大阪市大正区内にそれぞれ居住し、その余の控訴人らは、神戸市、芦屋市内に居住する者である。控訴人X12及び控訴人X11の居住地は、本件発電所の建設予定地から半径20kmを超えるが、概ね半径25km程度の距離の範囲内にあり、その余の控訴人らの居住地は半径20km以内にある(甲D26、27、弁論の全趣旨)。」⑵ 原判決2頁25行目末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「ウ神戸市は、我が国有数の大都市であり、本件発電所の建設予定地の近隣には、多数の住民が居住し、学校・病院など特に配慮が必要な施設が多数存在していた。兵庫県地域公害防止計画の対象地域であり、大気汚染防止法5条の2第1項の規定に基づく地域に指定されていたほか、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」の対策地域にも指定されていた(甲A34の4の5〔186 頁〕、甲A34の4の6〔208、210、232 頁〕)。」エ大気汚染防止法22条1項に基づき、各都道府県に、大気汚染状況を常時 法」の対策地域にも指定されていた(甲A34の4の5〔186 頁〕、甲A34の4の6〔208、210、232 頁〕)。」エ大気汚染防止法22条1項に基づき、各都道府県に、大気汚染状況を常時監視するための測定設備(大気汚染常時測定局)が設置されている。 大気汚染常時測定局には、一般環境大気測定局(以下「一般局」という。)と自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)がある。一般局は、一定地域における大気汚染状況の継続的把握、発生源からの排出による汚染への寄与及び高濃度地域の特定、汚染防止対策の効果の把握といった、常時監視の目的が効率的に達せられるよう配置されるものである。これに対し、自排局は、自動車排出ガスによる大気汚染の状況が効率的に監視できるよう、道路、交通量等の状況を勘案した配置地点の類型化を行い設置されるものである(乙35)。」 ⑶ 原判決3頁2行目の「2」を「2基」と、7行目の「150万kW」を「150万kWの電力卸供給先」と、9行目の「2」を「2基」と、11行目の「上記入札を落札して」を「上記入札に応募して、これを落札し」と、12行目の「電力受給契約」を「電力卸供給契約」と、13行目の「甲A4」を「甲A4、5」とそれぞれ改める。 ⑷ 原判決3頁14行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「 本件事業は、出力が15万kW以上の石炭火力発電所であり、環境影響評価法上の「第一種事業」に該当し、電気事業法46条の4にいう「特定対象事業」に該当する。したがって、原判決別紙2記載2以下の環境影響評価の手続規定が適用される。」原判決4頁4行目の末尾に改行の上、次のとおり加え、5行目の「」を「」と改める。 「経済産業大臣は、環境影響評価法3条の4第2項に基づき、本件配慮書について意見を求め、環 される。」原判決4頁4行目の末尾に改行の上、次のとおり加え、5行目の「」を「」と改める。 「経済産業大臣は、環境影響評価法3条の4第2項に基づき、本件配慮書について意見を求め、環境大臣は、平成27年2月20日、経済産業大臣に対し、a事業実施想定区域の周辺は、自動車NOx・PM法の対策地域に指定されている、また、大気汚染物質の環境基準を達成していない地域も存在する、大気汚染の改善が必要な地域であることから、大気汚染についても十分な配慮を行うこと、b東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の火力発電に関する関係局長級会議取りまとめ(平成25年4月25日経済産業省・環境省。以下「局長級会議取りまとめ」という。)を踏まえ、本件事業が国のCO₂排出削減の目標・計画との整合性が確保されたものと整理するために、枠組の構築に向けて、発電事業者として可能な限り取り組むとともに、その取組内容について準備書に記載することなどの一定の取組を講ずることなどを内容とする意見書を提出した(甲A31)。」原判決4頁7行目の「東京電力」から同頁9行目の「という。)」までを 「局長級会議取りまとめ」と改める。 原判決13頁10行目の「火力発電所事業」を「第一種事業の火力発電所事業」と改める。 ⑻ 原判決14頁8行目の「原告X11(以下「原告X11」という。)」を「控訴人X11」と、同行目から9行目にかけての「X12(以下「原告X12」という。)」を「控訴人X12」とそれぞれ改める。 ⑼ 原判決18頁20行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「 仮に、二次生成について、予測・調査手法が確立していなくとも、一次生成のみ、予測・調査をすることは可能である。」原判決19頁7行目から9行目末尾にかけての括弧及びその内を、1 り加える。 「 仮に、二次生成について、予測・調査手法が確立していなくとも、一次生成のみ、予測・調査をすることは可能である。」原判決19頁7行目から9行目末尾にかけての括弧及びその内を、10行目から13行目にかけての括弧及びその内をそれぞれ削除する。 原判決20頁5行目から9行目までを次のとおり改める。 「b 本件評価書においては、財団法人電力中央研究所(以下「電力中央研究所」という。)が開発した数値モデルにより、大気汚染物質の濃度の年平均値・日平均値の予測がされているが、その方法は、単純なパフモデルをもとに行われたものであり、本件発電所周辺地域の複雑な地形の形状の影響が反映されたものではない。本件発電所が設置される地域は、山と海に囲まれた複雑な地形であり、電力中央研究所が開発した数値モデルでは正確な予測評価ができるものではない。この点、CALPUFFモデルによれば、より正確な予測・評価が可能であり、こうした手法を選択すべきであった。 また、神戸製鋼には大気汚染物質を排出する既設設備があるが、これら既設設備からの排出と新設発電所による追加的な排出増加の影響を総合的に評価したものとなっておらず、大気汚染物質の影響を大幅に過小評価するものになっている。本件評価書における大気汚染物質の予測・評価は、新設発電所の影響に限定した予測である点で、合理性を欠いてい る。 以上のとおり、本件評価書における大気汚染物質の予測・評価は合理性を欠いており、こうした点を考慮せずに、本件確定通知を発出したことは裁量の逸脱又は濫用である。」原判決28頁24行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「ク本件確定通知の違法性の主張制限について原審は、控訴人らがしたCO₂排出に関する本件確定通知の 濫用である。」原判決28頁24行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「ク本件確定通知の違法性の主張制限について原審は、控訴人らがしたCO₂排出に関する本件確定通知の違法性の主張につき、行政事件訴訟法10条1項(主張制限)により、その主張は許されないとしたが、その判断は誤りである。行政訴訟には行政の違法是正機能も認められるのであるから、控訴人らに原告適格があると判断される以上は、主張し得る違法事由は、原告適格で認められた「法律上の利益」より広く捉えられてしかるべきである。平成16年の改正行政事件訴訟法は、原告適格を拡充するため、同法9条2項を追加したが、その趣旨に照らしても、同法10条1項の主張制限の範囲は縮小して解釈されなければならない。そして、原告適格を有する個人が、一見、個人の利益に直接関係しない公益に関する判断の違法事由を主張する場合であっても、その公益目的がその者の権利利益を保護する趣旨を含むものであれば、その者の利益を保護する重要な手段たる規定であり、その違反を主張できると解すべきである。 本件において、地球大気の保全という公益判断は、電気事業法及び環境影響評価法が保護している控訴人らの大気汚染物質からの生命・健康の保全という個別的利益と目的・手段の関係にあって強く関連している。 大気汚染物質から保護されるべき個人的法益に基づく原告適格を持つ控訴人らは、その法益と共通し、関連するCO₂の排出抑制を含む公益判断の誤りについて主張することができると解すべきである。 仮に、CO₂排出については原告適格が否定され、しかも、大気汚染物 質関連で原告適格が肯定された者についてもCO₂に関する主張を裁判所においてなし得ないとするならば、新型コロナウイルス禍を上回る人類最 排出については原告適格が否定され、しかも、大気汚染物 質関連で原告適格が肯定された者についてもCO₂に関する主張を裁判所においてなし得ないとするならば、新型コロナウイルス禍を上回る人類最大の危機とされる気候変動問題に世界各国が真摯に取り組む時代に、それに逆行する巨大なCO₂排出について、日本では訴訟を行うことすら一切できず、市民による政府と事業者に対する司法的コントロール手段を欠く「世界に対する『公害』の放置国家」とみなされてしまう。 かかる観点からも、仮に、法解釈上、あるいは司法政策上の判断によって原告適格を否定する場合でも、少なくとも、かかる第三者の生命・健康保護を目的とする公益違反の主張に関しては、行政事件訴訟法10条1項の主張制限によって斥けられることはないものと解するべきである。」原判決39頁3行目の末尾に改行して、次のとおり加える。 「カ本件確定通知の違法性の主張制限について行政事件訴訟法10条1項にいう「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは、行政庁の処分に存する違法のうち、個人の権利利益を保護する趣旨で設けられたのではない法規に違背したのにすぎない違法をいうから、個人は、行政庁の処分に存する違法のうち、個人の権利利益を保護する趣旨で設けられた法規に違反した違法のみを主張することができる。 そうすると、処分の名宛人以外の第三者が提起する処分の取消訴訟においては、個人の権利利益を保護する趣旨を含むと解される当該処分の根拠法規の各規定こそが原告適格を基礎付け、かつ個人が主張し得る違法事由を定める規定と解されるから、個人は自らの原告適格を基礎付ける根拠規定に違反した違法のみを主張することができるにすぎない。したがって、本件確定通知の取消事由として、CO₂排出に関する主張はできない。」第3 解されるから、個人は自らの原告適格を基礎付ける根拠規定に違反した違法のみを主張することができるにすぎない。したがって、本件確定通知の取消事由として、CO₂排出に関する主張はできない。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も控訴人らの請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおりである(なお、地球温暖化については年号を西暦で記載することもある。)。 2 認定事実原判決41頁19行目から69頁21行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決を次のとおり補正する。 ⑴ 原判決41頁20行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加え、21行目の「⑴」を「⑷」と改める。 「⑴ 本件発電所建設の経緯神戸製鋼は、昭和34年以来、銑鋼一貫製鉄所として操業してきた。 ところで、平成7年に電気事業法が改正され、一般企業等が、入札制のもとで、電力卸供給事業に参入することができるようになったことから、平成14年、神戸製鋼内に140万kWの石炭火力発電所を建設し、関西電力向けに電力卸売事業を開始した。以来、10年以上の安定実績があった。そして、平成25年5月、神戸製鋼は、鋼材事業の構造改革(高炉を始めとする上工程設備の休止)を決定し、その高炉跡地の活用策として、発電所の増設による電力供給事業を検討していたところ、補正して引用した原判決前提事実(以下「前記前提事実」という。)のとおり、関西電力が、火力電源の入札募集を実施したことから、これに応募し、神戸製鋼と関西電力との間で電力卸供給契約が締結された。なお、入札募集要項では燃料種の指定はないが、「低廉で、確実性、安定性の高いプロジェクト」が求められていて、石炭は安定性や経済性においては優れた燃料であって、平成25年の東京電力の入札に際して た。なお、入札募集要項では燃料種の指定はないが、「低廉で、確実性、安定性の高いプロジェクト」が求められていて、石炭は安定性や経済性においては優れた燃料であって、平成25年の東京電力の入札に際しては、上限価格が石炭で算定されていたので、神戸製鋼は、競争力の観点から事実上、石炭火力が対象となると判断した。神戸製鋼は、製鉄所や発電所の石炭貯蔵や搬送設備等のインフラを保有しており、また、本件発電所の建設地も神戸市や阪神地域に隣接した立地であることから、送電設備も安価で相当のコスト削減が 可能であった。こうして、神戸製鋼の発電所新設計画は、安定的かつ安価な電力供給が可能となる強みがあり、本件電力事業が計画されることとなった。(甲A4、42〔25頁〕) 本件発電所における大気汚染に関する環境影響評価の調査、予測及び評価の概要環境影響評価法は、既に得られている科学的知見に基づき、事業者が環境影響評価を適切に行うために必要な項目の選定、また、調査、予測及び評価を合理的に行う手法を選定するための指針を、主務大臣が、環境大臣と協議し、主務省令で定めるものとしており(同法11条4項)、事業者は、この主務省令で定めるところにより、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定しなければならないものとしている(同条1項)。 そして、発電所の設置又は変更の工事の事業については、上記の主務省令として発電所アセス省令が定められている。発電所アセス省令は、火力発電所事業に係る環境影響評価の項目の選定は、火力発電所における一般的な事業の内容によって行われる火力発電所事業に伴う当該影響要因について、その影響を受けるおそれがあるとされる環境要素に係る項目(参考項目)を勘案しつつ行うものとし(同省令21条1項2 における一般的な事業の内容によって行われる火力発電所事業に伴う当該影響要因について、その影響を受けるおそれがあるとされる環境要素に係る項目(参考項目)を勘案しつつ行うものとし(同省令21条1項2号)、施設の稼働による排ガスという影響要因についての参考項目として、①環境の自然的構成要素の良好な状態の保持を旨として調査、予測及び評価されるべき環境要素のうち、大気質に関するものとして、SOx、NOx及び浮遊粒子状物質を、②環境への負荷の量の程度により予測及び評価されるべき環境要素のうち、温室効果ガス等に関するものとして、CO₂を定めている(同省令21条2項、3項、5条3項1号イ⑴、ハ、別表第二)。 神戸製鋼は、火力発電事業により排ガス(環境要因)が生じることか ら、まず、「発電所に係る環境影響評価の手引」(乙48)に基づき、環境に影響を及ぼすおそれのある地域として、大気質の調査の範囲(予測地域)を20㎞とし、その範囲で調査をすることとした(甲A34の11の2、乙31、32、48)。 そして、配慮書段階で、大気質に関する環境要素の項目として、発電所アセス省令の参考項目にのっとり、PM₂.₅は選定せず、SOx、NOx、浮遊粒子状物質を選定し、これらにつき、周辺地域の大気質の濃度(一般局32~33局のバックグラウンド濃度。なお、一般局のみを調査し、自排局を調査しなかったのは、住宅地等の一般的な生活環境にどのような影響が及ぼすかという点を重視し、自動車の交通量等により変動すると考えられる自排局を考慮するのは相当ではないと判断したことによる。)を調査し、電力中央研究所が開発した数値モデルを利用して、本件発電所から排出されるばい煙に含まれる汚染物質の最大着地濃度(汚染物質の濃度が地表面で最大となる地点の濃度 はないと判断したことによる。)を調査し、電力中央研究所が開発した数値モデルを利用して、本件発電所から排出されるばい煙に含まれる汚染物質の最大着地濃度(汚染物質の濃度が地表面で最大となる地点の濃度)の年平均値等の予測をした。その際、煙突の高さを変えて3案検討したが、その結果、煙突の高さが高いほどわずかに濃度は小さくなるが、いずれの案の予測結果も、最大着地濃度の年平均値はバックグラウンド濃度と比べて極めて小さく(せいぜい2%)、将来予測環境濃度は、環境基準の年平均相当値に適合し、大気質への影響は少ないものと評価した(甲A4、甲A34の5の4、甲A34の10、乙49)。 方法書段階では、施設の稼働時のみならず、工事や資材の搬出入等についても環境影響評価の対象が広げられ、排ガスについていえば、発電所アセス省令にはない重金属等の微量物質の項目が追加された(甲A5)。 準備書段階では、車両、建設機械からの排ガスの対策と予測評価を行い、また、発電所稼働による排ガスについては、排煙脱硫装置、排煙脱硝装置、集塵装置の設置による対策を講じることを計画し、複数の対象地点で、S O₂、NO₂、浮遊粒子状物質、重金属等の微量物質について調査を行い、年平均値及び日平均値が、環境基準や指針値を下回っていることを確認した(甲A6)。評価書段階も準備書の内容がほぼ踏襲されている(甲A7)。 本件配慮書及び本件準備書に対する環境大臣意見作成の経過(甲A14、40ないし49。枝番のあるものは枝番を含む。)ア環境省は、平成27年1月13日、事業者である神戸製鋼及び経済産業省に本件配慮書に対する意見書作成のための一次質問をしたが、そこには次のような趣旨のものが含まれていた。 ① 本件事業の検討に当たって、周辺環境及 3日、事業者である神戸製鋼及び経済産業省に本件配慮書に対する意見書作成のための一次質問をしたが、そこには次のような趣旨のものが含まれていた。 ① 本件事業の検討に当たって、周辺環境及び地球環境への負荷軽減の観点から、LNG等の燃料の複数案が考えられるが、最終的に石炭を選定した理由及びその検討状況について教示されたい(Q15)。 ② 温室効果ガスについて、計画段階配慮事項として選定すべきと考えるが、意見を伺いたい(Q21)。 ③ 本件事業と局長級会議取りまとめにおける国のCO₂排出削減の目標計画との整合性、特に、そこでいう枠組が存在しない現時点において、最新型のLNG火力を超過する分に相当するCO₂排出量の純増分の削減をどのように行い、その環境保全措置をどのように担保することとしているか説明されたい(Q62、63)。 ④ 事業実施想定区域の周辺について、PM₂.₅の環境基準を超過している地点が数多く存在しているところ、施設の稼働に関する環境影響の有無について検討を行うべきと考えるが、意見を伺いたい(Q31)。 イ経済産業省は、これらについて神戸製鋼に聴いた結果を回答し、その後、環境省から、関連する二次質問及び三次質問を受けたが、それらについて神戸製鋼から聴いた結果であるとしてした回答を総合する と、その骨子は次のようなものであった。 ① Q15に対し、本件事業の入札募集要項では燃料種の指定はなかったが、「低廉で、確定性、安定性の高いプロジェクト」が求められているところ、2013年度に実施された東京電力の入札において、上限価格の算定が燃料種を石炭として算定されており、この上限価格を満足して応札した案件は石炭火力のみであったから、本件事業においても れているところ、2013年度に実施された東京電力の入札において、上限価格の算定が燃料種を石炭として算定されており、この上限価格を満足して応札した案件は石炭火力のみであったから、本件事業においても、事実上石炭火力が対象となると考えられる。 ② Q21、62、63に対し、本件事業においてはLNG火力発電によるCO₂排出量を超過する部分の調整は関西電力が実施することとなっていて、枠組は構築されていないが、関西電力に確認することで、局長級会議取りまとめが指摘する環境保全措置を講じることが運転開始時までに満たされるよう可能な限り、必要な取組を行う。 ③ Q31に対し、石炭火力発電所によるPM₂.₅の発生機構は解明されておらず、その予測方法については確立されていない。予測方法が確立すれば、方法書以降に影響評価を記載する。なお、発電所から排出されるPM₂.₅の原因物質として考えられる一次生成粒子はばいじんであり、二次生成粒子はSOx、NOxであるが、前者の最大着地濃度、後者のうちSO₂、NO₂の最大着地濃度が、バックグラウンド濃度と比して小さいから、環境への影響は小さいと考えている。 ウ上記ア、イを経て、本件配慮書に対する環境省1次案においては、局長級会議取りまとめにおける事業者(入札を行う場合は入札実施者)が自主的取組として削減すべきCO₂排出量は石炭火力においてLNG火力発電を超過する分に相当する純増分の数値が380万t以上と明記されていたが、最終意見において数値は削除されていた。また、 環境省1次案においては上記削減措置についてどのように講じていくのか、事業者自身による取組や海外削減等の具体的な取組内容、その削減量及び今後の工程を準備書に記載することが明示されていたが、最終案においては、上記 おいては上記削減措置についてどのように講じていくのか、事業者自身による取組や海外削減等の具体的な取組内容、その削減量及び今後の工程を準備書に記載することが明示されていたが、最終案においては、上記削減措置を運転開始までに満たすとともに、具体化された内容があれば可能な範囲で準備書に記載することとされるなど内容が変更された。さらに、環境省1次案においては、神戸製鋼施設全体の大気汚染物質の年間排出量については、現況の排出量を上回らないことを求めていたものの、最終案では大気汚染物質についてSOx、NOx、ばいじんと特定した上、排出量の上限を神戸市と締結している環境保全協定の値とした。 エ本件準備書に対する環境大臣意見書作成の過程においても、環境省と経済産業省が事前にやり取りをした。その結果、環境省1次案においては、CO₂排出削減に関し、神戸製鋼が自主的枠組全体の目標達成に向けて具体的な方策や工程を明確化し取り組むことが必要であるとされたが、最終意見においては、自主的枠組参加事業者である関西電力に全量供給することが神戸製鋼に求められ、関西電力においてCO₂排出削減に取り組むことが求められたのみで、神戸製鋼の責任は抽象的にしか記載されなかった。さらに、環境省1次案では、本件事業について大気環境保全の観点から懸念が示されていることが記載され、本件事業において事後調査等により関西電力がCO₂排出量の増加分に見合う削減方策を確実に実施しているかを継続的に確認することを求めていたものの、それらは最終案には記載されなかった。」 原判決43頁5行目の「」の次に「PM₂.₅の健康への悪影響の認識が広がる中、」を加え、46頁11行目の「取りまとめたものである。」の次に改行して、次のとおり加える。 「 PM₂.₅に関する手法と課題にお 目の「」の次に「PM₂.₅の健康への悪影響の認識が広がる中、」を加え、46頁11行目の「取りまとめたものである。」の次に改行して、次のとおり加える。 「 PM₂.₅に関する手法と課題においては「PM₂.₅の一次生成粒子及び二次 生成粒子の前駆物質の排出を伴う事業を対象に、予測・評価の実施を検討する必要がある」(甲B14〔37頁〕)との指摘がされており、次のとおり、当時実施可能な環境評価手法が公表されていた。 すなわち、PM₂.₅の排出予測に関しては、①「事業特性や地域特性を踏まえつつ、排出量に基づいた評価あるいは濃度予測に基づいた評価のいずれかで評価を行う」(同〔39頁〕)、②排出量で予測する場合には、「事業からのPM₂.₅排出量を推計し、予測対象地域の全排出量に対する事業からの排出量の寄与割合を予測し評価する」(同〔40頁〕)、③濃度で予測する場合には、「排出量推計値を基に濃度予測を実施し、事業から排出されるPM₂.₅の環境影響の回避・低減策、周辺地域への寄与濃度を基本として評価を行うこととする」(同〔40頁〕)、この場合には、「これまでの環境影響評価で用いられている手法を踏襲し、プルーム式・パフ式などの大気拡散式に基づく理論計算を基本とする」(同〔54頁〕)、④予測の対象物質は、基本的には排出源からの直接排出粒子(同〔43頁〕)とする、⑤「排出量が周辺地域の状況と比較して相当大きい場合や広範囲に事業がまたがり、広域の汚染を引き起こす事業については、現時点でできる限り最新の知見によって二次生成粒子を含むPM₂.₅の予測を行うことが望ましい」(同〔43頁〕)とされていた。 その一方、」⑶ 原判決50頁23行目の「一般局」を「一般局19局」と改め、25行目の末尾の次に改行の上、次のとお .₅の予測を行うことが望ましい」(同〔43頁〕)とされていた。 その一方、」⑶ 原判決50頁23行目の「一般局」を「一般局19局」と改め、25行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「ク PM₂.₅の生成に関連し得るSOx等の排出について、平成26年度の兵庫県におけるSOx、NOx、ばいじんの各排出量は、順に、7988t/年、2万7120t/年、1756t/年であり、神戸市におけるばいじんの排出量は127t/年であった。一方、神戸製鋼の既設製鉄所及び既設発電所に係るSOx、NOx、ばいじんの各排出量(平成19年か ら平成28年まで)は、順に、426~517t/年、935~1334t/年、45~142t/年であった(甲A35〔32 頁〕)。 神戸製鋼は、本件発電所に係る上記各排出量(いずれも利用率を最大の80%と想定した場合)を、順に、289t/年、601t/年、80t/年と予想する一方、既設製鉄所の設備の一部休止により、既設製鉄所に係る上記各排出量が減少することから、既設製鉄所、既設発電所及び本件発電所を合わせた上記各排出量を、706t/年、1457t/年、199t/年と予想し、70%と想定したときについては、それぞれ、619t/年、1289t/年、175t/年と予想していた(甲A9、26、甲A34の12、甲A35、甲B9、10)。 ケそのほか、平成30年5月当時、PM₂.₅に関して得られていた主な科学的知見等は、以下のとおりである。 国際社会における取組世界保健機構(WHO)は、平成17年、PM₂.₅の健康への悪影響を指摘し、日平均値25μg/㎥、年平均値10μg/㎥のガイドライン(大気中濃度と室内濃度があるが、両方ともに適用される。 世界保健機構(WHO)は、平成17年、PM₂.₅の健康への悪影響を指摘し、日平均値25μg/㎥、年平均値10μg/㎥のガイドライン(大気中濃度と室内濃度があるが、両方ともに適用される。)を公表した。それ以来、国際社会の各国でPM₂.₅に関する各種研究がなされ、ガイドラインを検討する諸外国が増えてきた。米国は、平成18年、日平均値35μg/㎥、年平均値15μg/㎥のガイドラインを設定し、平成24年には年平均値を12μg/㎥に改定した。ドイツでは、平成20年に日平均値25μg/㎥が設定され、フランスでは、平成22年にWHOのガイドラインの活用を推奨すると発表された。 台湾は、平成24年、室内35μg/㎥のガイドラインを設定した。 (甲B15の1・2、甲B17~20の各1・2、甲B32) 米国等におけるPM₂.₅の環境影響評価への導入状況a 平成24年当時、米国では、PM₂.₅の直接排出粒子(一次生成粒 子及び煙道で生成した二次生成粒子)の予測・評価を行っており、固定発生源は、①PM₁₀代替評価(文献等データより相関係数を用いてPM₂.₅を算出するケースもある)、②AERMОD、CALPUFFなどのプルーム式を利用して環境影響評価が実施されていた(甲B14〔13頁等〕)。この手法を用いれば、少なくとも平成24年時点で、直接排出粒子に係るPM₂.₅の予測・評価を行うことは可能であった。その後、米国では、PM₂.₅は、石炭火力発電所の建設に際し、政府が承認した大気汚染物質の拡散モデルを使用することが必要とされ、PM₂.₅の排出による環境影響のモデリングについては、大気中での二次生成粒子の予測まで行わなければならなくなっている(甲B23の1・2)。 b 欧州連合においては、PM₂. 要とされ、PM₂.₅の排出による環境影響のモデリングについては、大気中での二次生成粒子の予測まで行わなければならなくなっている(甲B23の1・2)。 b 欧州連合においては、PM₂.₅の大気中の濃度が各国の領域及び人口集約地を通して、上限値を超えないよう確保しなければならないとしているが、令和元年当時、石炭火力発電所からのPM₂.₅の排出につき、統一的な規制は行っていない。二次生成粒子についても、これを考慮しなければならないという統一した要件を課しておらず、検討段階にある。代わりに、加盟国に排出に関する諸策を課している。英国では、PM₂.₅の大気濃度レベルによる予想される排出による大気質への影響の予想についてPM₂.₅の二次生成粒子を含めなければならないことを示している(甲B23の1・2〔10頁等〕)。 c エネルギーとクリーンエア研究センター(CREA。以下「CREA」という。)は、令和元年、ヘルシンキで設立された、大気汚染の傾向、原因、健康への影響及び解決策を明らかにしようとする独立研究機関である。CREAは、科学的なデータ、研究及び証拠を用いて、世界各国の政府、企業及びキャンペーン団体の取組をサポートしている。CREAは、アジア及びヨーロッパ諸国にスタッ フを配している。CREAは、控訴人ら関係者の依頼に基づき、令和2年、本件発電所の大気質及び毒性への影響を検討した。CREAは、その際、米国環境保護庁が推奨するモデルであるCALPUFF(Ver7、平成27年6月)を用い、SO₂、NO₂及びPM₁₀のほか、PM₂.₅の濃度を、既存の施設からの排出や地形を総合的に評価して、二次生成粒子も含めて算出しており、この手法によるPM₂.₅の予測が可能であることが実証されている。そして、このモデルに ₀のほか、PM₂.₅の濃度を、既存の施設からの排出や地形を総合的に評価して、二次生成粒子も含めて算出しており、この手法によるPM₂.₅の予測が可能であることが実証されている。そして、このモデルによると、SO₂、NO₂及びPM₁₀の地上濃度の年平均値(最大着地濃度)は本件評価書の3.0倍~9.5倍となり、地形影響を予測した最大着地濃度がその1.3倍~4.3倍となる(甲B23、24の各1・2)。 日本における地方自治体の状況地方自治体の中には、PM₂.₅に関する手法と課題の考えを取り入れ、環境影響評価マニュアルにPM₂.₅の予測・評価手法を記載するところが出てきている。 例えば、本件確定通知以前に公表された平成29年度宮城県環境影響評価マニュアル(火力発電所設置事業)追補版(甲B27)は、事業実施に伴うPM₂.₅の予測及び評価の流れを記載する。同マニュアルには、PM₂.₅の排出量の予測・評価は、「事業からのPM₂.₅排出量を推計し、予測対象地域の全排出量に対する事業からの排出量の寄与割合を予測し評価する」とし、排出量の推計方法、濃度予測の方法については、PM₂.₅に関する手法と課題を参考とする旨記載されている。 また、本件確定通知以前において、日本国内でも、発電事業において、PM₂.₅の環境影響評価を実施した事例が複数存在する。 例えば、平成27年7月、大月バイオマス発電事業の環境影響評価補正評価書では、PM₂.₅の環境影響評価が実施された。同評価書では、 発電所の稼働によるSPMの予測結果からPM₂.₅の年平均値を推計し、PM₂.₅の濃度で予測を実施している(甲B28)。事業者は、PM₂.₅の推計値と環境基準との整合性を点検し、評価を実施している。 発電所の稼働によるSPMの予測結果からPM₂.₅の年平均値を推計し、PM₂.₅の濃度で予測を実施している(甲B28)。事業者は、PM₂.₅の推計値と環境基準との整合性を点検し、評価を実施している。 平成30年2月の長野県の穂高広域施設組合新ごみ処理施設整備・運営事業に係る環境影響評価書においても、PM₂.₅の予測が実施されている。本事業は、老朽化した焼却施設の建替えの事案であったところ、既設の焼却施設が稼働している状況下において、付近のPM₂.₅濃度を測定している。その上で、測定したPM₂.₅濃度が環境基準を下回ることや微小粒子状物質の発生源別寄与割合から焼却施設による微小粒子状物質への影響は小さいと評価している(甲B29)。 ⑸ 地球温暖化対策についての世界の潮流ア地球の気温(世界平均気温)は、産業革命以降、長期的には、上昇傾向が顕著であり、1890年から2020年までに約1℃上昇した。その主な原因は、人間活動に伴って大気中の温室効果ガスが増加していることにより、地球全体が持つエネルギーが増加していることによる。これを地球温暖化という。人間活動により増加している温室効果ガスには、CO₂、CH₄、N₂Oなどがあるが、このうち、最も重要なものはCO₂である。(甲C2〔特に5頁〕、102〔特に2~4頁〕)近年、世界各地で、極端な高温、豪雨、ハリケーンの巨大化などの異常気象が頻発し、氷河の融解や海水温の上昇、森林火災、生態系への不可逆的変化も現れているが、それらは地球温暖化の影響によるところが多く、世界各地で気候災害が日常化し、人々の生命・健康、生活環境及び産業にも甚大な被害がもたらされている(甲C2、3、45~123、126~131、143~147、156〔枝番を含む〕)。 イ 、世界各地で気候災害が日常化し、人々の生命・健康、生活環境及び産業にも甚大な被害がもたらされている(甲C2、3、45~123、126~131、143~147、156〔枝番を含む〕)。 イこうした中、世界規模で気候変動対策をする必要性が認識され、1988年、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えるため、 その科学的知見の提供を目的として、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)のもとに気候変動に関する政府間パネル(IPCC。以下「IPCC」という。)が設立された。2019年現在で195の国と地域が参加している。IPCCは、数年に一度、報告書を作成し、最新の科学的知見を提供している。これまで第1次(1990年)から第6次(2021年)までの報告書が作成されている。(甲C1~3、143~147、156)また、1992年には、気候変動枠組条約の加盟国が地球温暖化を防止するための枠組を議論する国際会議(気候変動枠組条約締約国会議〔COP〕。以下「締約国会議」という。)の設置する気候変動に関する国際連合枠組条約が採択され、締約国会議が、1995年以降、年1回開催されている(甲C16)。1997年12月、京都で開催された第3回の締約国会議(COP3)では、地球温暖化による深刻な気候変動を回避するため、国際社会で初めて、締約国が具体的なCO₂削減目標を定め、各国政府がその達成のため努力をすることが約された京都議定書(2005年発効)が採択されたところ、我が国も締約国である(甲C17)。 さらに、2014年、IPCCは、第5次報告書において、①温暖化は疑う余地がなく、1950年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年にわたり前例のないものである、大気と海洋は温暖化し、雪 さらに、2014年、IPCCは、第5次報告書において、①温暖化は疑う余地がなく、1950年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年にわたり前例のないものである、大気と海洋は温暖化し、雪氷の量は減少し、海面水位は上昇している、②温室効果ガスの排出は増加しており、その排出量は史上最高となった、その結果、CO₂などの温室効果ガスの大気中濃度は、少なくとも過去80万年間で前例のない水準にまで増加した、これは、20世紀半ば以降の温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い、③1950年頃以降、多くの極端な気象及び気象現象の変化が観測されてきたが、その中には人為的影響と関連 付けられるものもあり、その中には極端な低温の減少、極端な高温の増加、極端に高い潮位の増加、及び多くの地域における降水現象の回数の増加がある、④21世紀終盤及びその後の世界平均の地表面の温暖化の大部分はCO₂の累積排出量によって決められる、⑤気候変動を抑制するにはCO₂排出量の抜本的かつ持続的な削減が必要であり、社会全体として適応することが可能なレベルとするには産業革命前に比べて気温上昇を2℃未満にすること、そのためにはCO₂を21世紀後半までにカーボンニュートラル(CO₂の排出量と吸収量が均衡の取れた状態)とすることを要することを前提に、現行ではそれは達成されていないとして、発電における脱炭素化など実現のための具体的な方策を指摘した。 こうした指摘を背景に、2015年12月、フランスのパリで開催された第21回の締約国会議(COP21)において、パリ協定が採択された。パリ協定は、世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも2℃高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも1.5℃高い水準までのものに制限するための れた。パリ協定は、世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも2℃高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも1.5℃高い水準までのものに制限するための努力を継続して行うこと等を目標とし(2条1項(a))、この目標を達成するため、今世紀後半にカーボンニュートラルを達成すること、そして、開発途上締約国の温室効果ガスの排出量がピークに達するまでには一層長い期間を要することを認識しつつ、世界全体の温室効果ガスの排出量をできる限り速やかにピークにすること及びその後は利用可能な最良の科学に基づいて迅速な削減に取り組むこと等を目的とした(4条1項)。そして、パリ協定の締約国には、上記目標を達成するため、自国が達成する意図を有する累次の国が決定する貢献(NationallyDeterminedContribution。以下「NDC」という。)を作成し、通報し、及び維持すること、当該国が決定するNDCの目的を達成するため、緩和に関する国内措置を遂行すること等が求められることとされた(4 条2項)。パリ協定は、2016年11月4日に発効し、我が国は、同月8日、パリ協定を批准した。(甲C3、18、弁論の全趣旨)各国政府は、パリ協定に基づき、それぞれ自国においてCO₂の削減目標を掲げているが、2017年、国連環境計画の総合レポートでは、現時点での各国が削減約束として掲げる目標を達成したとしても、2. 9℃~3.4℃の世界平均気温の上昇をもたらすもので、現時点での各国の削減約束とパリ協定とのギャップを埋めるためには、発電部門での脱炭素化が重要であって、石炭火力発電所の新規建設を回避し、既設の石炭火力発電所も段階的廃止することが重要であると指摘されている(弁論の全趣旨〔原審原告準備書面( ップを埋めるためには、発電部門での脱炭素化が重要であって、石炭火力発電所の新規建設を回避し、既設の石炭火力発電所も段階的廃止することが重要であると指摘されている(弁論の全趣旨〔原審原告準備書面(2)37頁、甲C19の証拠説明書〕)。 ウ司法の分野においては、2015年6月、オランダのハーグ地方裁判所において、オランダ政府に対して温室効果ガスの削減目標の引上げを命じる判決が下され、同判決は、2018年10月、ハーグ高等裁判所によって、2019年12月、オランダ最高裁判所によってそれぞれ支持され、確定した。また、アイルランド最高裁判所でも、2020年、地球温暖化に向けた政府の緩和計画が十分でないとして新たな計画の策定を命じる判決をし、さらに、ドイツ連邦憲法裁判所も、2021年3月、連邦議会に対し、CO₂の削減目標を強化するよう命じる判決をした。(甲C44、124、149の各1・2、甲C150)」 原判決50頁26行目の「⑵」を「」と改め、同行目の末尾の次に改行して、次のとおり加え、51頁1行目の「ア」を「イ」に改め、3行目の「東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が」を「前記の経緯で、東京電力が」と、54頁9行目から11行目までを「a 平成9年中期目標との関係」と、それぞれ改める。 「ア東北地方太平洋沖地震、福島第1原子力発電所事故頃までの経緯 我が国では、平成5年、環境基本法が制定されたが、同法は、地球温暖化を地球環境問題の一つとして位置づけた上(同法2条2項)、国際的協調による地球環境保全の積極的推進を基本理念の一つとし(同法5条)、国に対し、地球温暖化を含む環境保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を課している(同法6条)。 政府は る地球環境保全の積極的推進を基本理念の一つとし(同法5条)、国に対し、地球温暖化を含む環境保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を課している(同法6条)。 政府は、平成9年12月、前記の京都議定書に基づき、平成20年~平成24年のCO₂排出量を平成2年(1990年)度比マイナス6%に削減する目標(以下「平成9年中期目標」という。)を掲げたが(甲C27)、こうした目標を実現すべく、平成10年10月、環境基本法の要請する施策の一環として、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「温対法」という。)が制定された。温対法は、主に、国や地方自治体の地球温暖化対策に関する取組を定めたものである。同法は数次の改正を重ねており、平成17年の改正では、事業活動に伴い、相当程度の温室効果ガスの排出をする者(特定排出者)は、毎年度、事業者ごとに温室効果ガス算定排出量を所管大臣に報告しなければならないとされた(同法26条)。 また、平成14年、日本のエネルギー施策の基本法として、エネルギー政策基本法が定められたが、同法では、エネルギーの安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用という3つの柱が掲げられ(同法2条~4条)、国や地方公共団体、事業者、国民の役割の責務が規定され(同法5条~8条)、政府はエネルギー基本計画を定めなければならないものとされた(同法12条)。 電気事業分野においては、石炭火力発電のCO₂排出量は、LNG火力発電の約2倍であることから(甲C34)、地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化による低炭素化を促進する対策が取られている(甲C27)。 エネルギー政策、地球温暖化対策のこうした立法がされる中、我が国 可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化による低炭素化を促進する対策が取られている(甲C27)。 エネルギー政策、地球温暖化対策のこうした立法がされる中、我が国は、平成21年、2020年度の温室効果ガスの削減目標を1990年度比25%とする計画を国連気候変動枠組条約事務局に提出した(甲C27、弁論の全趣旨)。 こうした折、平成23年3月、東北地方太平洋沖地震、福島第1原子力発電所事故が発生し、原子力発電所の安全面への社会不安が起こり、その稼働が停止する中、電力がひっ迫する事態となった。そこで、経済産業省は、平成24年9月、「新しい火力電源入札の運用に係る指針」を定めたところ、そこでは、一般電気事業者が火力電源を自社で新増設・リプレースする場合は、原則として入札を実施することとされた。なお、火力電源入札では、石炭火力電源の落札の可能性があるところ、前記⑸イで記載したとおり、石炭火力電源はCO₂排出について大きな課題を有するものであるから、それまで掲げられていたCO₂の削減目標との関係が問題となる。また、それまで、原子力発電所からも電力を調達していた東京電力は、電力を他から調達する必要に迫られ、電力卸供給入札をすることになった。(甲C35〔特に2、21頁〕、甲C36)」 原判決55頁16行目を次のとおり改め、59頁9行目の「ウ」を「エ」と改め、60頁12行目から61頁12行目までを削除する。 「ウパリ協定への対応及び長期エネルギー需給見通し我が国は、平成27年12月に採択されたパリ協定に先立ち、同年7月17日、2030年度の温室効果ガスの削減目標を、2013年度比で26.0%減(2005年度比で25.4%減)とする「日本の約束草案」(乙44)を決定し、 2月に採択されたパリ協定に先立ち、同年7月17日、2030年度の温室効果ガスの削減目標を、2013年度比で26.0%減(2005年度比で25.4%減)とする「日本の約束草案」(乙44)を決定し、同日付けで国連機構変動枠組条約事務局に提出した。パリ協定は、平成28年11月4日に発効し、我が国は、同月8日、パリ協定を批准した。上記削減目標は、パリ協定上の我が国のNDCとさ れている。また、上記削減目標は、次に述べる長期エネルギー需給見通しに述べるそれと同じである。」原判決64頁15行目の「地球温暖化対策の推進に関する法律」を「温対法」と、16行目の「等」を「及び「パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針について(平成27年12月22日地球温暖化対策推進本部決定)」」とそれぞれ改め、同行目の「その内容は、」の次に、「温室効果ガスの中期削減目標を上記日本の約束草案のとおり、2013年度比で26.0%減とし、長期削減目標として2050年までに2013年度比で80%減を目指すとのもので、より具体的には、」を加える。 原判決66頁24行目末尾に「(平成30年3月発表分)」を加え、69頁21行目末尾の次に改行して、次のとおり加える。 「 全体として、現状では、2030年度の温室ガスの削減目標等の達成の見通しが立っていないことを指摘するものであった。 ケ電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価(平成31年3月発表分)環境省は、平成31年3月、平成30年度の上記クと同様の進捗状況の評価を発表したが、そこでも、状況は平成29年度と大きく変わらず、2030年度の削減目標等と整合する排出量を約5200万t程度超過してしまうというもので、現在の計画どおりに石炭火力発電所が建設される 価を発表したが、そこでも、状況は平成29年度と大きく変わらず、2030年度の削減目標等と整合する排出量を約5200万t程度超過してしまうというもので、現在の計画どおりに石炭火力発電所が建設されると、各設備の稼働率を相当程度低くしなければ、2030年度の温室効果ガス削減目標を達成できない可能性があるとの指摘があり、総括も、平成29年度で指摘されたとおり、電力業界の自主的取組及びベンチマーク指標の課題等多くの課題を指摘するものであって、全体として、現状は、2030年度の目標達成に至る具体的な道筋が示されていないことを指摘するものであった。(甲C35)」 3 争点1(本件確定通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか)について 原判決69頁23行目から71頁2行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決を次のとおり補正する。 ⑴ 原判決70頁13行目の「環境影響評価」から16行目の「とともに、」までを「環境影響評価に関する特例(第3章第2節第3款)を定めた際、環境への影響が大きい特定対象事業については、環境影響評価の手続の審査を上記の許認可等や届出の規制監督に係らしめ(環境影響評価法33、34条参照)、国が、事業者の作成した環境影響評価の最終の成果物である評価書に対して変更命令又は確定通知をするとともに、確定通知がされた場合は、その」と改める。 原判決70頁18行目から23行目までを次のとおり改め、24行目の「上記のように、」の次に「環境影響評価の点に関しては、」を加える。 「 そして、補正して引用した原判決別紙2関係法令の定めの3に係る確定通知後に定められた電気事業法上の手続によると、確定通知を受けた事業者は、工事の計画を主務大臣(経済産業大臣)に届出をし、届出が受理されてか 補正して引用した原判決別紙2関係法令の定めの3に係る確定通知後に定められた電気事業法上の手続によると、確定通知を受けた事業者は、工事の計画を主務大臣(経済産業大臣)に届出をし、届出が受理されてから30日以内という短期に工事を開始することができることになっており、その間の工事計画の審査も、環境影響評価の側面においては、それが評価書に従っているかどうかという簡素な審査をすることしか想定されておらず、しかも、主務大臣(経済産業大臣)が能動的に工事計画の変更・廃止命令を行わない限りは工事を開始できることとされており、こうした手続の構造に照らすと、確定通知を受けた後は、環境影響評価についてこれ以上の指摘がされる可能性は相当に低いものと解される。また、確定通知後に工事計画の変更・廃止がされた実例を認めるに足りる証拠もない。そうすると、確定通知を受けた段階において、その評価書の審査の適否を争うのに紛争の成熟性に欠けるところはない。」 4 争点2(本件取消しの訴えの原告適格)について⑴ 判断基準 原判決71頁4行目から24行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑵ 控訴人らは、本件発電所事業により排出される大量のCO₂により気候変動の進行を通じて生命等に被害を受けるおそれがあり、大気汚染(とりわけPM₂.₅)による生命・健康・生活環境に係る被害を受けるおそれがあるから、上記事業による環境影響を受ける住民として、本件確定通知の違法性を争う原告適格がある旨主張する。そこで、上記⑴の見地に立って、控訴人らが本件確定通知の取消しを求める原告適格があるかについて検討する。 ⑶ 排出される大量のCO₂により気候変動の進行を通じて生命等に被害を受けない利益(以下「CO₂排出に係る被害を受けない利益」という。) 定通知の取消しを求める原告適格があるかについて検討する。 ⑶ 排出される大量のCO₂により気候変動の進行を通じて生命等に被害を受けない利益(以下「CO₂排出に係る被害を受けない利益」という。)を理由とする原告適格についてア補正して引用した原判決認定事実(以下「前記認定事実」という。)⑸、⑹記載の事実、特に次のような事実からすると、もはや地球温暖化対策は国境を越えて人類の喫緊の課題であることは疑いない。すなわち、近年、地球温暖化の影響により、気候変動が起こり、世界各地で異常気象が頻発し、大規模自然災害が発生し、世界中の人々の生命、身体、健康等が危険にさらされている。こうした中、地球温暖化による深刻な気候変動の悪化を適応可能な範囲に止めるため、国際社会において、1997年12月、締約国各国の温室効果削減目標を定める京都議定書が初めて採択され、その後、IPCCの第5次報告書を受けて、2015年12月には21世紀後半にカーボンニュートラルを達成することを目標とするパリ協定が採択されて、国際社会で地球温暖化対策としてのCO₂削減の重要性・必要性が共有されている。そして、各国政府は、パリ協定に基づき、それぞれ自国においてCO₂の削減目標を掲げている。我が国もこれらの取組に参加し、国内で様々な立法等によって対応している。しかし、2017年、国連環境計画の総合レポートでは、現時点での各国が削減約束として掲げる 目標を達成したとしても、未だ不十分とされ、より強力な対策が必要である。そして、国際社会においては、司法においても、国の削減目標が違法であるとする例もあり、国際世論の高まりは日増しに大きくなっている。 イもっとも、既に述べたとおり、我が国において、取消訴訟の原告適格を肯定するためには、少なくとも個人の利益が侵 目標が違法であるとする例もあり、国際世論の高まりは日増しに大きくなっている。 イもっとも、既に述べたとおり、我が国において、取消訴訟の原告適格を肯定するためには、少なくとも個人の利益が侵害されるおそれがあることを要すると解されるところ、関連法令をみると、CO₂排出による地球温暖化を介して起こる自然災害により、個人の生命・身体に危険を及ぼすおそれを考慮して、これを避ける法的利益を個人に認めたものと一義的に解すべき規定は見当たらない。すなわち、まず、環境基本法は、「地球環境保全」と「公害」を分けて定義し、地球温暖化の問題は「地球環境保全」に位置付けており(同法2条2項)、「人の健康又は生活環境に被害が生じる」「公害」(同条3項)とは位置付けていない。次に、環境基本法、環境影響評価法、電気事業法の環境影響評価の規定、温対法、エネルギー対策基本法、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(高度化法)などの規定に、温暖化対策の政策分野の方向付け、ある程度具体化された温暖化対策の各種施策は存在するが、地球温暖化により影響を受ける個人に着目して、これら施策に関わることを保障する規定はなく、地球温暖化によって被害を受けない利益の具体的範囲や内容を実体法上明らかにする手がかりとなる規定もない。こうした点を総合すると、環境基本法、温対法その他関連法令は、文言解釈からすると、それぞれの個人がCO₂排出に係る被害を受けないことについては、地球温暖化に係る環境の保全に関する施策等を通じて、地球環境の保全を実現することを企図したものとされていて、個人の利益として一義的に保障しているものとは解し難い。 ウまた、実質的にみても、C 球温暖化に係る環境の保全に関する施策等を通じて、地球環境の保全を実現することを企図したものとされていて、個人の利益として一義的に保障しているものとは解し難い。 ウまた、実質的にみても、CO₂は、それ自体毒性を有する物質ではない。 控訴人らの主張も、CO₂排出が地球温暖化に影響を与え、これにより自然災害等が発生し、この自然災害を通じて、控訴人らの生命・身体に危険を及ぼすおそれがあると主張するもので、いわば間接的な被害のおそれを理由とするものであって、直接の利益侵害を主張するものではない。こうした間接的な被害を理由とする利益は、一般的に、保護範囲の外延があいまいになりがちであり、その内実も明確でない場合が多い。CO₂に関しても、地球温暖化による被害の発生というのは、地球全体のCO₂排出量が地球規模で増加することによるものであり、一事業者のCO₂排出量が寄与するのは、たとえそれが事業種別でみて排出規模が大きいものと想定される場合でも、地球規模で比較すれば、ほんのわずかと考えられ、間接的被害を受ける個人との因果関係は希薄である。また、国際社会において、地球全体の削減目標や各国のCO₂削減の目標が様々な形で設定されているが、それらが適切かどうか、適切であるとしても、科学的な観点のみならず、他の保護すべき利益との関係性という政策的な観点からも、その実現をどのように進めるべきかは一義的に定まるものではない。CO₂の排出事業がインフラに関わる事業の場合、各国の実情に応じたインフラ政策も勘案しなければならない。また、カーボンニュートラルの実現については、CO₂の排出量ばかりでなく、吸収量の施策にも関わるものであり、将来の技術発展、さらには、大規模災害等偶発的事象の発生により、削減目標も変わり得る。このような中、当該一事業者のCO 実現については、CO₂の排出量ばかりでなく、吸収量の施策にも関わるものであり、将来の技術発展、さらには、大規模災害等偶発的事象の発生により、削減目標も変わり得る。このような中、当該一事業者のCO₂排出量をどの程度とすれば、個人の利益侵害と考え得るのかも大きな課題である。このように様々な課題があるところ、これらの点は、現状、一義的に明らかであるとはいえず、国際的あるいは国内的にも、こうした点の議論が成熟しているとみることはできない。そうすると、上記各法規を合目的的に解釈しても、CO₂排出による被害を受けない利益を法的保護に値する個人の利益と解すべき社会基盤が確立しているとまではいい難い。 エ以上によれば、CO₂排出に係る被害を受けない利益が重要であって、それが人類にとって、喫緊の政策課題であることは論を待たないものの、我が国の現段階の社会情勢を踏まえると、一般的公益的利益として政策全体の中で追求されるべきものと解するほかなく、各人の個人的利益として保障されているとまでは解されない。したがって、この利益は、原告適格を基礎付けるには足りないといわざるを得ない。なお、この判断は、現時点の社会情勢を前提としたものであって、今後の内外の社会情勢の変化によって、CO₂排出に係る被害を受けない利益の内実が定まってゆき、個人的利益として承認される可能性を否定するものではない。 ⑷ 大気汚染(とりわけPM₂.₅)による健康・生活環境に係る被害のおそれを理由とする原告適格についてア次いで、控訴人らは、大気汚染による健康・生活環境に係る被害のおそれを理由として、本件確定通知の違法性を争う原告適格があると主張するので、この点について検討する。 イ環境基本法は、環境の保全上の支障のうち、特に、事業活動その他の人 環境に係る被害のおそれを理由として、本件確定通知の違法性を争う原告適格があると主張するので、この点について検討する。 イ環境基本法は、環境の保全上の支障のうち、特に、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを「公害」と定義した上で(同法2条3項)、特定地域に関する公害防止の規定を設けている(同法第2章第4節)。同法17条は、現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域等について、都道府県知事は、政府が定める環境基本計画(同法15条1項)を基本に、公害の防止に関する施策に係る計画を作成することができると定めているが、こうした規定は、地域性が強い公害問題について、地域の実情を把握している都道府県知事に、相当範囲にわたる大気汚染、土壌汚染等により健康又は生活環境に係る著しい被害が発生するおそれ のある地域の施策の主体性を委ね、もって、当該地域の住民の健康又は生活環境の被害が発生することを防止することを企図した趣旨と解される。 ウそして翻って、火力発電所事業に係る環境影響評価その他の手続に関する電気事業法及び環境影響評価法の規定をみると、方法書の手続及び準備書の手続において、事業者は、火力発電所事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、方法書等や準備書等を送付しなければならず(同法6条、15条)、同地域内において、方法書や準備書の記載事項を周知させるための説明会を開催しなければならないものとしている(同法7条の2、17条)。また、方法書や準備書について なければならず(同法6条、15条)、同地域内において、方法書や準備書の記載事項を周知させるための説明会を開催しなければならないものとしている(同法7条の2、17条)。また、方法書や準備書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、事業者に対し、意見書の提出により、これを述べることができるほか(同法8条、18条)、上記の都道府県知事及び市町村長は、経済産業大臣に対し、方法書や準備書について環境保全の見地からの意見を書面により述べるものとし(同法10条、20条、電気事業法46条の7、46条の13)、経済産業大臣は、この意見を勘案するとともに、環境影響評価法8条及び18条所定の意見の概要並びにこれらについての事業者の見解に配意して、方法書や準備書を審査し、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、必要な勧告をすることができるものとしている(電気事業法46条の8第1項、46条の14第1項)。このような手続を経て環境影響評価がされ、評価書について確定通知がされた場合、主務大臣は、届出のあった火力発電所の設置の工事の計画が上記評価書に従っていないと認めるときは、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる旨規定している(同法48条4項、3項、47条3項3号)。 エこのように、環境影響評価法及び電気事業法は、火力発電所事業について、環境影響を受ける範囲であると認められる地域を管轄する都道府県知 事及び市町村長に環境の保全の見地から方法書や準備書について意見を述べる機会を与え、事業者に同地域内の住民に対する説明会を開催しなければならないものとし、地域を限定して地方自治体及び住民に環境影響評価の手続に参加の機会を与えているが、これら一連の規定の趣旨は、 述べる機会を与え、事業者に同地域内の住民に対する説明会を開催しなければならないものとし、地域を限定して地方自治体及び住民に環境影響評価の手続に参加の機会を与えているが、これら一連の規定の趣旨は、前記イの環境基本法における公害の規定をも斟酌して考えると、次のようなものと解される。すなわち、電気事業法の環境影響評価に関する特例や環境影響評価法及びその関連法令に違反した違法な事業計画が確定し、その事業が実施された場合は、火力発電所の稼働に伴う汚染物質の排出によって、事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民が直接的に被害を受けることとなり、その被害の程度は、居住地が、当該火力発電所事業が実施されるべき区域(以下「対象事業実施区域」という。)に接近するにつれて増大するものと考えられる。また、このような事業に係る対象事業実施区域の周辺地域に居住する住民が、当該地域に居住し続けることにより上記の被害を反復、継続して受けた場合、その被害は、これらの住民の健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねない。そこで、これら周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し、もって環境を保全し、健康で文化的な生活の確保に資することをその趣旨及び目的として、環境影響評価法及び電気事業法は、対象事業実施区域の周辺地域に居住する住民に手続参加の機会を与えたものと解される(甲A36もこれと同趣旨を指摘するものと解される。)。 オ以上のような環境影響評価法及び電気事業法の規定の趣旨及び目的並びにこの規定が確定通知の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば、同法は、これらの規定を通じて、環境の保全を図るという公益的見地から電気工作物の工事等を規制するとともに、違法な確定通知に係る評価書に関する火力発電所事業に起因 る利益の内容及び性質等を考慮すれば、同法は、これらの規定を通じて、環境の保全を図るという公益的見地から電気工作物の工事等を規制するとともに、違法な確定通知に係る評価書に関する火力発電所事業に起因する大気汚染によって健康又は生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれのある 個々の住民に対して、そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。そして、上記のような被害の内容、性質、程度等に照らせば、この具体的利益は、一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものというほかない。 したがって、火力発電所事業の対象事業実施区域の周辺地域に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより大気汚染による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、当該事業に関する評価書に係る確定通知の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 カ控訴人らの原告適格について本件発電所の周辺に居住する住民が、当該発電所から汚染物質が排出された場合にこれに起因する大気汚染等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるか否かは、当該住民の居住する地域が上記の著しい被害を直接的に受けるおそれのあるものと想定される地域であるか否かによって判断すべきものと解される。そして、当該住民の居住する地域がそのような地域であるか否かについては、発電所の種類や規模等の具体的な諸条件を考慮に入れた上で、当該住民の居住する地域と当該発電所の位置との距離関係を中心として、社会通念に照らし、合理的に判断すべきものである(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9 模等の具体的な諸条件を考慮に入れた上で、当該住民の居住する地域と当該発電所の位置との距離関係を中心として、社会通念に照らし、合理的に判断すべきものである(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照)。 これを本件についてみるに、前記認定事実⑵によれば、事業者である神戸製鋼ないしコベルコパワーは、大気質の調査の範囲(予測地域)を20㎞としていたことが認められるが、この調査範囲(予測地域)の設定は、事業者である神戸製鋼が、「発電所に係る環境影響評価の手引」(乙48) に基づき、環境に影響を及ぼすおそれのある地域として事業者が自ら定めたものと認められる。そして、一般に、事業者は、経済合理性の観点から、環境影響の調査範囲はできるだけ縮小したいと考えるであろうから、少なくとも神戸製鋼ないしコベルコパワーが定めた上記調査の範囲は被害を直接的に受けるおそれのある地域であると推認できる。 また、発電所アセス省令16条は、第二種事業に係る火力発電所の設置事業(環境影響評価法施行令別表第一の五ホの第三欄)につき、一定の条件のもとにおいて、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるか否かの判定について、地理的基準として周囲20㎞を採用している。すなわち、①学校教育法1条に規定する学校等が当該火力発電所を設置する場所の周囲20㎞の範囲内に存在する場合であって、当該発電所の発電設備から排出されるSOx、NOx又はばいじんの最大着地濃度の予測値に一定の値を加えた結果が環境基本法16条1項の規定による大気の汚染(SO₂、NO₂及び浮遊粒子状物質に関するものに限る。)に係る環境上の条件についての基準を超えるとき(9号)や、②当該火力発電所を設置する場所の周囲20㎞の範囲内にSO₂、 の規定による大気の汚染(SO₂、NO₂及び浮遊粒子状物質に関するものに限る。)に係る環境上の条件についての基準を超えるとき(9号)や、②当該火力発電所を設置する場所の周囲20㎞の範囲内にSO₂、NO₂又は浮遊粒子状物質の大気の汚染に係る上記基準が確保されていない大気の測定点が存在する場合であって、当該発電所の発電設備からばい煙が排出されることにより大気の汚染に係る上記基準が確保されていないSO₂、NO₂又は浮遊粒子状物質のいずれかの量が現状よりも増加するとき(23号)等には、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあると認めるものとする旨規定する。 このように、第二種事業に係る火力発電所につき、発電所アセス省令において、一定の条件のもとでの環境影響評価の地理的基準として周囲20㎞という具体的な数値が採用されているところ、本件発電所は、それより規模の大きい第一種事業(15kW以上)であり、そのなかでも130万kWという相当に大きな規模のものであることを考慮すると、本件発電所 の周辺に居住する住民が、当該発電所から汚染物質が排出された場合にこれに起因する大気汚染等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるか否かを判断する地理的基準としては周囲20㎞よりも相当程度広範な地域を想定するのが、社会通念上合理的といえる。 そして、前記前提事実⑴アによれば、控訴人らの住居は、本件発電所の建設予定地から概ね半径25㎞程度の距離の範囲内にあることが認められるところ、上記説示したところを考慮すれば、その程度の範囲に住居を有する控訴人らは全員、大気汚染等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たり、本件確定通知の取消しを求める原告適格を有するものと認める れば、その程度の範囲に住居を有する控訴人らは全員、大気汚染等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たり、本件確定通知の取消しを求める原告適格を有するものと認めるのが相当である。 キ被控訴人の主張について被控訴人は、①環境影響評価法は、事業者が環境影響の配慮の手続を履行することによって間接的に人の健康を保護しているにすぎない、②発電所アセス省令は、環境評価の項目選定のための環境要素として、個人的利益とは直接関連しない環境要素を多く掲げるなどしており、個別的利益の保護を予定するものではない、③環境影響評価法が地域住民に意見を述べる機会を与える旨の規定等を設けているのは、環境に関する情報収集のためにすぎない、④電気事業法39条1項の主務省令では個々人の個別的利益を保護するための技術基準が定められており、評価書への適合性は一般的公益としての環境保全の観点から求められるにすぎないとし、これらによれば、環境影響評価法及び電気事業法等の法令は、個々人の個別的利益を保護することを目的とするものではないなどと主張する。 しかしながら、上記①については、確かに、環境影響評価法は、事業者が行うべき種々の環境影響の配慮の手続を規定し、こうした手続を通じて個人の健康で文化的な生活を保護するとする面はあるが、こうした規定が あるからといって、これにより保護されるべき利益のすべてが間接的なものであり、手続の違法を争うことのできる原告適格を基礎付ける個々人の個別的利益を保護することを目的とするものではないという必然性はない。保護に値する個別的利益かどうかは、その事業により影響が予想される被害の性質、内容等を考慮して決すべきものである。 また、上記②については、電気事業法の下位規範である発電所アセス省 然性はない。保護に値する個別的利益かどうかは、その事業により影響が予想される被害の性質、内容等を考慮して決すべきものである。 また、上記②については、電気事業法の下位規範である発電所アセス省令の掲げる環境要素等の規定の仕方から、電気事業法や環境影響評価法の保護する利益を解釈するのは相当とはいえない上、仮に、この点をおくとしても、発電所アセス省令が調査、予測及び評価の環境要素として、個人的利益とは直接関連しない環境要素を多く掲げていたからといって、個々人の個人的利益を超えた環境要素も包含して考慮しているというにすぎず、電気事業法の確定通知等に関する規定が個々人の健康等の個別的利益を保護する趣旨を含むとする解釈と矛盾するものではなく、これが否定されるものではない。 さらに、上記③④についても、環境影響評価法の地域住民の意見聴取の規定が情報収集に資する側面があるとしても、また、電気事業法の技術基準が個々人の個別的利益の保護に資する側面があるとしても、これらが、電気事業法の確定通知等に関する規定が個々人の健康等の個別的利益を保護する趣旨を含むとする解釈と矛盾するものではなく、これが否定されるものではない。 したがって、一般論として、環境影響評価法及び電気事業法は個々人の利益を保障するものではないとする被控訴人の主張は採用できない。 ク以上によれば、控訴人らの原告適格は、大気汚染物質排出に係る被害のおそれを理由とする限りにおいて、これを肯定するのが相当である。 5 争点3(本件確定通知の違法性)について⑴ 判断枠組 原判決81頁18行目から83頁2行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決81頁18行目から82頁6行目までを次のとおり改め、82頁13行目末尾に「(最高裁 原判決81頁18行目から83頁2行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決81頁18行目から82頁6行目までを次のとおり改め、82頁13行目末尾に「(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)」を加える。 「ア電気事業法は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的としている(同法1条)。電気は、国民生活及び国民経済上不可欠のエネルギーであり、これを低廉な価格で豊富に、かつ、安定して供給することが国家的要請であるが、一方、電力事業は安全性・環境への影響が懸念されることから、各種規制を加えて、もって、電気の利用者を保護し、電気事業の健全な発達を図りつつ、公共の安全及び環境の保全を図ることを企図したものと解される。 こうした電気事業法の目的に照らすと、国の行う電気事業の規制も、電気の利用者の利益保護、電気事業の健全な発達、公共の安全及び環境の保全を総合的に考慮することが企図されているものと解される。 イところで、環境の保全に関しては、平成9年の環境影響評価法の制定に伴い、電気事業法上、環境影響評価に関する特例の規定が設けられたが、その中で、主務大臣である経済産業大臣には、事業者の行う環境影響評価の手続の各段階(方法書、準備書)において、その内容を審査し、必要があれば勧告をする権限が付与されている(同法46条の8、14)。 その審査は、関係地域の住民、自治体の長の意見を勘案しつつ、事業者の見解にも配意して、環境の保全についての適正 その内容を審査し、必要があれば勧告をする権限が付与されている(同法46条の8、14)。 その審査は、関係地域の住民、自治体の長の意見を勘案しつつ、事業者の見解にも配意して、環境の保全についての適正な配慮がなされるかどうかを内容とするものであり、その確保のために必要があるときは勧告を することができる旨が規定されている。その上で、電気事業法46条の17は、最終段階である評価書について、事業者が届け出た評価書に係る火力発電所事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するため特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは、変更命令をすることができ(1項)、変更命令をする必要がないと認めたときは、確定通知をする(2項)という権限を、経済産業大臣に付与する規定を置いている。 ウこうした規定に鑑みると、経済産業大臣は、環境評価の一連の手続における各段階において、事業者が、法で定められた関係地域の住民の意見、関係自治体の長の意見を勘案しつつ、事業者の意見にも配意し、環境保全に対する適正な配慮がされているかどうかを審査し、必要があれば勧告し、最終的に、こうした一連の手続を経て作成された評価書が、環境保全に対する適正な配慮がされたものとなっているかどうかを審査し、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するため特に必要があり、かつ、前記アで指摘した他の利益も総合的に考慮して適切であると認めるときに、変更命令をすると判断し、その余の場合には確定通知をすることが想定されているものと考えられる。 エそして、上記の電気事業法46条の17の趣旨に加え、環境影響評価の一連の手続を経た最終段階の評価書に対して変更命令をすべきかどうか、するとしてどのような内容の変更命令を行うかという判断については、事 して、上記の電気事業法46条の17の趣旨に加え、環境影響評価の一連の手続を経た最終段階の評価書に対して変更命令をすべきかどうか、するとしてどのような内容の変更命令を行うかという判断については、事業者の行う事業の内容、有用性、公共性及びその影響を受けるおそれのある周辺住民の健康や環境利益が、それぞれ事業ごとに異なり、各段階において寄せられる周辺住民や自治体の長の意見も多様であることも併せ考慮すると、その判断は、政策的知見、科学的・専門的技術知見に基づく総合判断が必要とされるものと解される。 オこのようにみてくると、最終段階の評価書の審査段階において、当該 事業につき環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するため特に必要があり、かつ、適切であると認められるか否かについての判断は、経済産業大臣の広範な裁量に委ねられるものと解するのが相当である。」⑵ 本件確定通知の違法性の主張制限についてア行政事件訴訟法10条1項によれば、取消訴訟においては自己の法律上の利益に関係のない違法を理由としては処分の取消しを求めることができないものと規定している。 上記規定の趣旨は、取消訴訟が違法な処分の是正を直接の目的とする客観訴訟ではなく、違法な処分によって侵害された個人の権利・利益を救済するための主観訴訟であるから、原告適格が認められる者であっても、取消訴訟において具体的に主張し得る処分の違法事由は、自己の法律上の利益に関係のあるものに限られるとする点にあると解される。 そうすると、同法10条1項の「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは、他人の利益や一般的公益のみを保護することを目的とするような、個々人の個別的利益の保護と関係しない法規の違背をいうものと解するのが相当である。 条1項の「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは、他人の利益や一般的公益のみを保護することを目的とするような、個々人の個別的利益の保護と関係しない法規の違背をいうものと解するのが相当である。 イこれを本件についてみるに、CO₂排出に関する主張については、原告適格の項で詳論したように、控訴人らの個人的利益と関連するものではないから、その主張は制限されるものと解される。 この点、控訴人らは、地球大気の保全という公益判断は、控訴人らの大気汚染物質からの生命・健康の保全という個人的利益と強く関連しているから、CO₂排出に関する違法の主張は行政事件訴訟法10条で制限されない旨主張する。しかし、控訴人らの主張するCO₂による健康被害は、前述(本判決第3の4)のとおり、地球温暖化とこれによる災害を通じての間接的なものであり、大気汚染物質による直接の健康被害のおそれとは質 的に異なるものであり、また、関連するといっても、いわゆる有毒な大気汚染物質と同時に排出されるということが主なもので、この点をもって控訴人らの個人的利益と関連すると認めることはできない。したがって、控訴人らの主張は採用できない。 また、控訴人らは、CO₂排出について主張制限されれば、人類最大の危機とされる気候変動問題に世界各国が取り組む時代に、それに逆行する巨大なCO₂排出について、市民による政府と事業者に対する司法的コントロ―ル手段を欠く「世界に対する『公害の放置国家』」とみなされる旨主張する。確かに、我が国の地球温暖化対策等についてみれば(前記認定事実⑹)、当裁判所が、本件の審理を踏まえ、想定し得る限りであっても、様々な、大きな、重要な課題がある。まず、環境省も指摘したように、現状では、我が国の地球温暖化対策等とされている電力業界の自主的 事実⑹)、当裁判所が、本件の審理を踏まえ、想定し得る限りであっても、様々な、大きな、重要な課題がある。まず、環境省も指摘したように、現状では、我が国の地球温暖化対策等とされている電力業界の自主的枠組も、ベンチマーク指標も課題が多く、パリ条約上の我が国のNDCである2030年の温室効果ガスの削減目標(前記認定事実⑹ウ)実現の具体的な道筋は示されているとはうかがえない(前記認定事実⑹ク、ケ参照)。次に、上記削減目標に合致すると整理されている前記認定事実⑹記載の対策等は、その内容や現実の成果に鑑みると、上記削減に対し、どの程度実効性があるかについても課題があるといわざるを得ない。そして、現に各対策等が、策定された当時の見通しどおり徹底されているのかも判然とせず、例えば、本件事業についてみても、局長級会議取りまとめで事業者に要求されているLNG火力発電を超過する部分のCO₂排出量の調整については、関西電力が実施すべきこととされているが(前記認定事実⑶、⑹イないしケ〔特にイⅡa②〕)、関西電力がその実施を具体的にどのように行っているのか、経済産業省において具体的にどのように確認をしているのか、そもそもその点を具体的に確認する制度が我が国において実効性のある形で構築されているのか等が本件全証拠によっても判然とせず(前記 認定事実⑹ク、ケ参照)、本件事業においてさえ、前記認定事実⑹イないしキ記載の対応やその実施の有無の確認さえも具体的にどの程度実現されているのかが判然としない。また、翻って考えるに、何よりも、前提として、上記削減目標と電力の安定供給などの電気利用者の利益や電気事業の健全な発達も含めた他に考慮すべき各種の利益との整合性をどのように図るべきかが、我が国における最も重大な課題としてあると考えられる。 しかし、これら の安定供給などの電気利用者の利益や電気事業の健全な発達も含めた他に考慮すべき各種の利益との整合性をどのように図るべきかが、我が国における最も重大な課題としてあると考えられる。 しかし、これらの課題はまさに政策的なものであって、CO₂排出に係る被害を受けない利益が、具体的な内実をもって、内容的に特定した形で、個人的利益として一義的に確立するに至っていない現時点において、上記の政策判断について、司法の場において、CO₂排出に係る被害を受けない利益の侵害の有無を理由に、本件確定通知をした経済産業大臣の判断が違法であるとも、逆に、適法であるとも判断すべきものとは解し難い。 大気汚染に係る検討の欠落等について①-PM₂.₅についてア控訴人らは、PM₂.₅は人体に悪影響のある大気汚染物質であることなどから、経済産業大臣がこれを検討せず、本件確定通知をしたことは違法であって、取消事由となると主張する。 イそこで検討するに、前記認定事実⑷アのとおり、PM₂.₅は粒径が2.5μm以下の微小粒子状物質であり、呼吸器に沈着し、肺障害を発現させるほか、血液成分に影響し、心臓への負荷を高める可能性があるなどの指摘がされており、健康への影響が懸念される物質である。WHOは、PM₂.₅の健康への悪影響に着目し、平成17年、これを指摘するとともに、ガイドラインを設定するなどし(前記認定事実⑷ケ)、こうした動きを背景にして、国際社会ではPM₂.₅の研究が進み、また、環境基準への導入が検討されるに至った(前同)。我が国でも、平成21年、環境基本法16条1項の環境基準として、PM₂.₅に関する環境基準が定められ(前記認定事実⑷イ)、全国の一般局及び自排局での測定・監視が行われるようにな った(前記認定事実⑷キ)。 本法16条1項の環境基準として、PM₂.₅に関する環境基準が定められ(前記認定事実⑷イ)、全国の一般局及び自排局での測定・監視が行われるようにな った(前記認定事実⑷キ)。 ウそして、特定事業の環境影響評価についても、PM₂.₅の調査、予測及び評価を対象とする事例は増加しつつある。我が国は、技術検討委員会やPM₂.₅に関する手法と課題で指摘されているように(前記認定事実⑷ウ、エ)、二次生成粒子の発生・大気中での挙動を予測することが困難であり、手法が確立していないとして、PM₂.₅を環境影響評価の対象項目に追加していないものと解されるが、米国では、平成24年頃既にPM₂.₅を環境影響評価に取り入れており、二次生成粒子の予測もしなければならないとされている。また、英国でも二次生成粒子を考慮して評価することとされている(前記認定事実⑷ケ)。さらに、我が国においても、地方自治体の中には、平成29年の時点において、環境影響評価マニュアルにPM₂.₅の予測・評価手法を取り入れたり、平成27年7月と平成30年2月の時点で、PM₂.₅を取り入れた環境影響評価が実施された例もある。加えて、PM₂.₅に関する手法と課題でも、前記のとおり、二次生成粒子の予測が困難としながらも、一定の評価方法があることを示唆しており(前記認定事実⑷エ)、また、大気汚染の国際研究機関であるCREAも、一定の手法を用いて二次生成粒子を含め、PM₂.₅を予測することは可能としており(前記認定事実⑷ケc)、PM₂.₅の予測・評価は、二次生成粒子を含め、本件確定通知がされた平成30年5月当時、一定の精度をもって行うことは可能であったと解される。 エまた、本件において、事業特性及び地域特性をみると、まず、本件発電所の出力は2基合計130万kWとい 知がされた平成30年5月当時、一定の精度をもって行うことは可能であったと解される。 エまた、本件において、事業特性及び地域特性をみると、まず、本件発電所の出力は2基合計130万kWという規模の大きいものであり、既設の石炭火力発電所(70万kW×2基)も隣接して存在する(前記前提事実⑵)。 次に、本件発電所の建設予定地が位置する神戸市は、我が国有数の大都市であり、本件発電所の建設予定地の近隣には、多数の住民が居住し、学 校・病院など特に配慮が必要な施設が多数存在していた。同市は、兵庫県地域公害防止計画の対象地域であり、大気汚染防止法5条の2第1項の規定に基づく地域に指定されていたほか、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」の対策地域にも指定されていた(前記前提事実⑴ウ)。本件発電所の20km圏内における平成27年度のPM₂.₅の測定結果によれば、一般局では19局中17局において環境基準の長期基準に適合していたが、自排局では15局中6局において同基準を満たしておらず、短期基準については、一般局は19局中13局が同基準を満たしていたが、自排局では15局中10局が同基準に適合していなかった(前記認定事実⑷キ)。 また、前記認定事実⑷クから明らかなとおり、神戸製鋼は、従前、神戸市内におけるばいじん排出の多くを占め、本件発電所の稼働により相当量のSOx、NOx及びばいじんが排出されていた。 そして、前記認定事実⑷ケcのとおり、CREAによる、米国環境保護庁が推奨するCALPUFFモデルによる算出によると、本件評価書に対し、SO₂、NO₂及びPM₁₀の最大着地濃度が数倍となる。 オ以上のとおり、PM₂.₅に対する国際的・社会 、米国環境保護庁が推奨するCALPUFFモデルによる算出によると、本件評価書に対し、SO₂、NO₂及びPM₁₀の最大着地濃度が数倍となる。 オ以上のとおり、PM₂.₅に対する国際的・社会的な情勢、PM₂.₅に対する予測・評価の知見、これに加えて、本件発電所の事業特性及び地域特性を踏まえれば、発電所アセス省令あるいは審査指針の対象項目の内容にかかわらず、平成30年当時において、本件発電所の具体的事業の環境影響評価に当たって、PM₂.₅の予測・評価をするという選択肢は十分あったと考えられる。 カしかしながら、まず、PM₂.₅の予測・評価が一定の精度をもって可能ではあったとしても、大気中で化学反応を起こして生じる二次生成粒子の発生・大気中での挙動の予測・評価の精度のレベルの確認や、いくつか研究されている大気モデルの中で、我が国の国土や気象条件等に照らし、どれ が我が国にとって適切かは高度に専門的・技術的な事柄である(前記認定 事実 イ③、ウ、エ、オ、カ参照)。次に、その成果を踏まえたとき、各施設の排出量について、どのように一般的基準を確立していくかという点は、電気の利用者の保護及び電気事業の健全な発達をも考慮して決定すべき政策的な事柄でもある。国際的な規制の実情をみても、米国や英国は先にみたとおりであるが、そのほかの国々で、各施設においてPM₂.₅の規制・評価が取り入れられているか、それがどのような形が一般的であるかについて認めるに足りる証拠はない。かえって欧州連合などは統一的な規制は行っておらず、そのコンセンサスを得るには困難を伴っているものと推認される(前記認定事実⑷ケb)。そして、我が国においても、本件事業計画の前に、マニュアルに取り入れた自治体が1例、事業評価の実例が2例あったのを除いて、PM₂. 得るには困難を伴っているものと推認される(前記認定事実⑷ケb)。そして、我が国においても、本件事業計画の前に、マニュアルに取り入れた自治体が1例、事業評価の実例が2例あったのを除いて、PM₂.₅を環境影響評価に取り入れていた例を認めるに足りる証拠はない。そうすると、今後、PM₂.₅に関する研究の急速な発展によって、PM₂.₅を環境影響評価に取り込む国々や事例は増加していくものとうかがえるところ、そのような段階に至ったときは別論であるものの、本件確定通知がされた平成30年5月時点において、PM₂.₅を環境影響評価に導入すべきであるということが、国際的・社会的に一般的であって、求められていたとまで認めることはできない。こうしてみると、事業特性や地域特性を考慮に入れたとしても、本件発電所の環境影響評価において、PM₂.₅の影響を検討せずに経済産業大臣が本件確定通知をした判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くものとはいえず、その裁量を逸脱又は濫用したものと認めることはできない。 キなお、控訴人らは、発電所アセス省令や経済産業大臣による方法書、準備書及び評価書の審査基準である「環境影響評価方法書、環境影響評価準備書及び環境影響評価書の審査指針」において、PM₂.₅を予測及び評価の 対象項目とすべきであり、これがされていないこと自体が違法であるとも主張するが、前記カで判断したところによると、発電所アセス省令は控訴人らが指摘する理由で違法とはいえない。なお、そもそも、発電所アセス省令21条1項本文が規定しているように、環境影響評価の項目の選定は、参考項目を勘案しつつ、特定対象事業特性及び特定対象地域特性に関する情報を踏まえ、当該選定を行うというものであり、参考項目はあくまで参考となる項 文が規定しているように、環境影響評価の項目の選定は、参考項目を勘案しつつ、特定対象事業特性及び特定対象地域特性に関する情報を踏まえ、当該選定を行うというものであり、参考項目はあくまで参考となる項目を列挙したにすぎず、そのとおりに行うことが義務付けられ、あるいはそれを行えば足りるというものではない。本件確定通知の取消訴訟に当たっては、上記検討したように、本件事業計画の環境影響評価において、PM₂.₅を検討しなかったことが違法となり得るかを判断すれば足り、発電所アセス省令自体の適法・違法を判断する必要もない。したがって、いずれの意味においても、控訴人らの上記主張は理由がない。 ⑷ 大気汚染に係る検討の欠落等について②-調査地点の選定の誤り控訴人らは、大気汚染に関するバックグラウンド濃度の調査地点としては、一般局のみならず自排局も加えなければならないのに、その調査地点は全て一般局であったから、本件評価書は、大気汚染物質による環境影響の評価の前提となる手法に誤りがある旨主張する。 なるほど、大気汚染を調査する趣旨は、新たな汚染源となる石炭火力発電所の影響が、周辺大気の汚染状況にどの程度の上乗せがされるのかを検討するものであるから、環境影響評価に際しての大気質の調査に当たっては、自動車走行による排出物質に起因する大気汚染の考えられる交差点・道路付近の大気を常時監視する自排局も調査対象に加えて、予測・評価をするのがよりよい方法であるという考え方もあり得、また、その方法を採用した方が環境の保全にはより資するところではある。 しかしながら、本件確定通知がされた平成30年5月当時、大気汚染のバックグラウンド濃度の調査に当たって、必ず自排局も調査対象としなければ ならないとする法文上の規定はなく、環境影響評価 しかしながら、本件確定通知がされた平成30年5月当時、大気汚染のバックグラウンド濃度の調査に当たって、必ず自排局も調査対象としなければ ならないとする法文上の規定はなく、環境影響評価の実務において、そのようなコンセンサスが一般的に形成され、求められていたと認めるに足りる証拠もない。実質的に考えても、排出源である火力発電所からの排出物質の周辺大気への影響を調査するに当たって、どのような調査地点を選択して行うのが、環境の保全のみならず電気使用者の利益や電気事業の健全な発達を考慮した上で、適切かつ効果的かは、具体的状況も踏まえ、さまざま選択肢があり得るところと考えられる。そして、発電所アセス省令23条1項2号、別表第八も、参考手法として、SOx、NOx及び浮遊粒子状物質の各物質の拡散の特性を踏まえ、調査地域における当該物質に係る環境影響を予測し、及び評価するために適切かつ効果的な地点を調査地点とすることとされているにとどまる。 そして、神戸製鋼が本件発電所の環境影響評価における大気汚染の調査に際し、一般局のみを調査し、自排局を調査しなかったのは、住宅地等の一般的な生活環境にどのような影響が及ぼすかという点を重視し、自動車の交通量等により変動すると考えられる自排局を考慮するのは相当ではないと判断したことによるものであって(前記認定事実⑵)、その判断は不合理であるとまではいえず、その判断を前提として、経済産業大臣が本件確定通知をした判断も、重要な事実の基礎を欠くか、又は、社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くものとまではいえず、その裁量を逸脱又は濫用したものと認めることはできない。 ⑸ 大気汚染に係る検討の欠落等について③-濃度の計測方法の不当性次のとおり補正するほか、原判決89頁6行目から23行目までの その裁量を逸脱又は濫用したものと認めることはできない。 ⑸ 大気汚染に係る検討の欠落等について③-濃度の計測方法の不当性次のとおり補正するほか、原判決89頁6行目から23行目までのとおりであるから、これを引用する。 ア原判決89頁6行目の「エ」を削除し、15行目の「このような」から16行目の「いえない」までを「この予測の手法が不合理であると認めるに足る証拠はない。」と改める。 イ原判決89頁22行目末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「 CREAが採用するCALPUFFモデル(前記認定事実⑷ケc)は、国際的に評価されているとうかがわれるが、その方法を採用すべきことが、本件確定通知がされた平成30年5月時点で、国際的・社会的に一般的であって、求められていたと認めるに足りる証拠はない。 そうすると、本件評価書が採用した大気汚染の濃度の計測方法を前提として本件確定通知をした経済産業大臣の判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は、社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くものとまではいえず、その裁量を逸脱又は濫用したものと認めることはできない。」⑹ 大気汚染に影響する燃料種の複数案の検討の欠如についてア控訴人らは、本件事業の環境影響評価の過程において、大気汚染に影響する燃料種の複数案が検討されておらず、本件評価書にその記載はなく、そのため、経済産業大臣の本件評価書の審査に際し、考慮すべき事実が適切に示されなかった、したがって、本件確定通知をした経済産業大臣の判断は違法である旨主張する。 イなるほど、環境影響評価法3条の2第1項は、第一種事業(本件事業はこれに当たる。)を実施しようとする者は、当該事業に係る計画の立案の段階において、…主務省令で定めると である旨主張する。 イなるほど、環境影響評価法3条の2第1項は、第一種事業(本件事業はこれに当たる。)を実施しようとする者は、当該事業に係る計画の立案の段階において、…主務省令で定めるところにより、1又は2以上の事業実施想定区域における当該事業に係る環境の保全のために配慮すべき事項(計画段階配慮事項)についての検討を行わなければならない旨を定めており、当該主務省令である発電所アセス省令3条は、①計画段階配慮事項についての検討に当たっては、構造等に関する複数案を適切に示すものとする旨、及び②構造等に関する複数案の設定に当たっては、事業を実施しない案を含めた検討が現実的であると認められる場合には、当該案を含めるよう努めるものとする旨を定める。 こうした規定は、事業の計画段階において、事業者に複数案を念頭にお いて環境配慮を検討することを要請し、とりわけ、発電所の事業においては、構造等の点で、複数案を考え、環境保全のために配慮すべき事項の検討を促したものと解される。そのように考えると、事業の計画段階において、環境への配慮を第一に考えるときは、燃料種を含め、できるだけオプションを用意することが理想であり、事業者に検討の努力を求めることは有用であって、発電所計画において、その趣旨を徹底して、環境影響への配慮から燃料種の検討が不可欠であるとするA教授の意見(甲A37)は十分傾聴に値する。 しかしながら、「構造等に関する複数案」といっても、その内容は抽象的であり、事業内容その他諸条件によって変わるものであり、その内実は明瞭ではない。また、環境影響評価法、電気事業法、発電所アセス省令等関連法令のその他の規定をみても、火力発電所事業について燃料種に関する複数の案を設定する義務が事業者にあると明示した規定はな 内実は明瞭ではない。また、環境影響評価法、電気事業法、発電所アセス省令等関連法令のその他の規定をみても、火力発電所事業について燃料種に関する複数の案を設定する義務が事業者にあると明示した規定はない。発電所アセス省令3条も、そのただし書において「構造等に関する複数案の設定が現実的でないと認められることその他の理由により構造等に関する複数案を設定しない場合は、その理由を明らかにした上で、単一案を設定するものとする。」と定め、例外を認めている。 また、本件確定通知の効力を判断するに際しては、電気の利用者を保護し、電気事業の健全な発達を図ることも必要であるから、現実性を勘案する必要が高く、実際、事業計画は、エネルギーセキュリティの観点や事業者の経営戦略、立地条件等から燃料種について一意的に決定されてしまうこともあり(甲A2〔9頁〕参照)、常に燃料種について複数案の検討を義務付けることは現実的とはいえない。こうした事情を考慮すると、こうした環境影響評価法や発電所アセス省令等の関連法令が、事業者に燃料種について複数案を必ず検討すべきであるという法的義務を課したものとまで認めることはできない。 そして、本件事業においては、神戸製鋼は、高炉廃止に伴い、石炭貯蔵や搬送設備等のインフラを保有しているなどの利点を生かし、安定的かつ安価な電力供給を実現し、その跡地を活用するため発電所事業の実施を検討したものであり(前記認定事実⑴)、その前提となる関西電力が実施した入札も石炭火力発電を念頭においていて、経済産業省もこれを容認していたと推認される(前記認定事実⑶ア、イ)。これらの事実からすると、本件事業計画においては、他の燃料種を複数案として選択することは現実的ではなかったものである(付言するに、このように考えると、そもそ いたと推認される(前記認定事実⑶ア、イ)。これらの事実からすると、本件事業計画においては、他の燃料種を複数案として選択することは現実的ではなかったものである(付言するに、このように考えると、そもそも関西電力が実施した入札やそれを容認していた経済産業省の判断自体と上記の環境影響評価法3条の2第1項や発電所アセス省令3条の趣旨や理想との整合性が問われるべきものではある。しかし、これもまた経済産業省における電気の利用者を保護し、電気事業の健全な発達を図ることも加味してされるべき政策判断に基づくものといえ、当不当の問題や適不適の問題と解される。)。 したがって、本件評価書に燃料種に係る複数案の検討結果が記載されていないことから、本件確定通知をした経済産業大臣の判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は、社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くものとまではいえず、その裁量を逸脱又は濫用したものと認めることはできない。 ⑺ 環境保全措置の履行可能性の検討の欠落について原判決99頁25行目から100頁15行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑻ 環境影響評価その他の手続の瑕疵等について次のとおり補正するほか、原判決100頁17行目から108頁26行目のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決100頁17行目の前に次を加える。 「 手続の瑕疵であっても、それがある程度重要なもので、当該行政処分 の正当性に影響を与える場合、又は、当該強制処分において保護されるべき個人の利益等を害するおそれを生じさせる場合など一定のものについては、その処分を取り消すべき事由となり得ると解される。これを本件についてみるに、控訴人らが主張する点のうちCO₂の排出に関わるものについては、前記⑵記載のとお を生じさせる場合など一定のものについては、その処分を取り消すべき事由となり得ると解される。これを本件についてみるに、控訴人らが主張する点のうちCO₂の排出に関わるものについては、前記⑵記載のとおり主張制限の対象となるから取り消すべき事由とはならない。また、その点をおくとしても、そもそも、控訴人らが主張する点は、下記ア以下に記載するとおり、手続の瑕疵とまでは認められない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、これらの控訴人らの主張は理由がない。」イ原判決100頁20行目「前記⑷」を「前記⑹」と改める。 ウ原判決101頁22行目「低減します。」」の次に「(甲A26〔2頁の中ほど〕)」を加え、102頁2行目の「ものと解される。」から6行目末尾までを「ところ、この記載と前記認定事実⑷ク記載の本件発電所稼働前後のSOx、NOx及びばいじんの排出量の推移との整合性は判然とせず、少なくとも上記記載が不正確で、かつ、誤解を生むものであった可能性は十分ある。そして、そうであれば、神戸製鋼が市民に対し、上記記載のある資料を配布したり、上記記載に類する説明をしたりしながら、市民に対し、その記載が不正確であったことなどについて、補足説明をせず、誤解をそのままとしたのであれば、それは適当とはいえない。もっとも、甲A26は、パンフレットであって、その記載は抽象的なものであること及び上記認定の本件発電所稼働前後のSOx、NOx及びばいじんの排出量の差の程度を総合すると、神戸製鋼の上記説明や説明の懈怠は適当でないとしても、必ずしも本件事業に係る環境影響評価その他の手続を法的瑕疵があるとし得るほどのものとまではいえない。」と改める。 エ原判決105頁18行目の「低減する旨を具体的な数値を踏まえて」を「低減するとの考えを」と改め に係る環境影響評価その他の手続を法的瑕疵があるとし得るほどのものとまではいえない。」と改める。 エ原判決105頁18行目の「低減する旨を具体的な数値を踏まえて」を「低減するとの考えを」と改める。 オ原判決108頁4行目「そして、」から9行目末尾までを、「前記認定 事実 記載のとおり、環境大臣が本件配慮書や本件準備書に対する意見を述べるのに先立ち、環境省が経済産業省に意見書の案を送付するなどし、その内容について上記両省の担当者の間で意見交換がされたこと、及び、その結果、本件配慮書や本件準備書に対する環境大臣の最終的な意見は、1次案と比して、CO₂排出削減やPM₂.₅対策について神戸製鋼等に求める内容が抽象化するなど、一部異なる内容となったことが認められる。」と改め、12行目冒頭に「主務官庁である」を加え、12行目から15行目にかけての「当該事業そのものの趣旨及び内容を正確に理解した上で適切な意見を述べることに資する面があるものであって、上記各法が環境大臣の意見について規定する趣旨に反するものとは必ずしもいえない。」を「当該事業そのものの趣旨及び内容を正確に理解した上で意見を述べることに資する面があり、その面においては、上記各法が環境大臣の意見について規定する趣旨にかなうものである。もっとも、環境省と経済産業省のやり取りの具体的内容、環境省の1次案と最終的な環境大臣の意見の違いの内容及び本件環境大臣意見の内容と経済産業大臣がした本件勧告が同旨であること(前記認定事実⑶ウ、エ)からすると、環境省と経済産業省間の上記やり取りは、環境大臣が、主務官庁である経済産業省の政策的意図を理解した上で、それを意識した意見を述べることを促す機能を有していたとうかがえる。そして、その面においては、環境大臣が、環境の保全の観点から、主 、環境大臣が、主務官庁である経済産業省の政策的意図を理解した上で、それを意識した意見を述べることを促す機能を有していたとうかがえる。そして、その面においては、環境大臣が、環境の保全の観点から、主務官庁である経済産業省の長である経済産業大臣から独立して意見を形成する前に、環境省と経済産業省間でやり取りをするという上記運用は、上記各法が規定する趣旨に沿うものかについて、疑義がある。もっとも、それは当不当、適不適の問題であって、」と、18行目「述べるものである。」を「述べるべきものであることを左右するものではない。」と、21行目から26行目を「したがって、上記のとおり環境大臣 が本件配慮書や本件準備書に対する最終的な意見について、経済産業省とのやり取りを経て、1次案と一部異なるものとした事実は、当不当、適不適の問題は残るとしても、本件事業に係る環境影響評価その他の手続を法的瑕疵がある違法なものとするものとはいえない。」とそれぞれ改める。 ⑼ まとめ原判決109頁2行目から5行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 6 結論以上によれば、控訴人らの本件確定通知の取消しを求める請求は理由がなく、これらを棄却した原判決は相当であって、本件各控訴はいずれも理由がない。 よって、本件各控訴をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第4民事部裁判長裁判官水野有子裁判官大西忠重裁判官遠藤俊郎 (別紙2)環境法令の補充 1 環境基本法(平成5年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、環境の保全について、 裁判官遠藤俊郎 (別紙2)環境法令の補充 1 環境基本法(平成5年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。 ⑵ 定義(2条)1項この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。 2項この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。 3項この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。 ⑶ 環境の恵沢の享受と継承等(3条)環境の保全は、環境 のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。 ⑶ 環境の恵沢の享受と継承等(3条)環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。 ⑷ 環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等(4条)環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。 ⑸ 国際的協調による地球環境保全の積極的推進(5条)地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない。 ⑹ 国の責務(6条 の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない。 ⑹ 国の責務(6条)国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 ⑺ 事業者の責務(8条)1項事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。 4項前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。 ⑻ 環境基本計画(15条1項)政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。 ⑼ 環境基準(16条1項)政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。 公害防止計画の作成(17条)都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。 1項現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施 環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。 1項現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域2項人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域 2 大気汚染防止法(昭和43年制定) ⑴ 目的(1条)この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。 ⑵ 総量規制基準(5条の2第1項)都道府県知事は、工場又は事業場が集合している地域で、第三条第一項若しくは第三項又は第四条第一項の排出基準のみによっては環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準(次条第一項第三号において「大気環境基準」という。)の確保が困難であると認められる地域として、いおう酸化物その他の政令で定めるばい煙(以下「指定ばい煙」という。)ごとに政令で定める地域( いての基準(次条第一項第三号において「大気環境基準」という。)の確保が困難であると認められる地域として、いおう酸化物その他の政令で定めるばい煙(以下「指定ばい煙」という。)ごとに政令で定める地域(以下「指定地域」という。)にあっては、当該指定地域において当該指定ばい煙を排出する工場又は事業場で環境省令で定める基準に従い都道府県知事が定める規模以上のもの(以下「特定工場等」という。)において発生する当該指定ばい煙について、指定ばい煙総量削減計画を作成し、これに基づき、環境省令で定めるところにより、総量規制基準を定めなければならない。 ⑶ 常時監視(22条1項)都道府県知事は、環境省令で定めるところにより、大気の汚染…の状況を常時監視しなければならない。 ⑷ 目次第一章総則(第一条・第二条) 第二章ばい煙の排出の規制等(第三条―第十七条の二)第二章の二揮発性有機化合物の排出の規制等(第十七条の三―第十七条の十五)第二章の三粉じんに関する規制(第十八条―第十八条の二十五)第二章の四水銀等の排出の規制等(第十八条の二十六―第十八条の四十)第二章の五有害大気汚染物質対策の推進(第十八条の四十一―第十八条の四十五)第三章自動車排出ガスに係る許容限度等(第十九条―第二十一条の二)第四章大気の汚染の状況の監視等(第二十二条―第二十四条)第四章の二損害賠償(第二十五条―第二十五条の六)第五章雑則(第二十六条―第三十二条)第六章罰則(第三十三条―第三十七条) 3 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)(平成10年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすもの 第六章罰則(第三十三条―第三十七条) 3 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)(平成10年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、全ての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であることに鑑み、地球温暖化対策に関し、地球温暖化対策計画を策定するとともに、社会経済活動その他の活動による温室効果ガスの排出の抑制等を促進するための措置を講ずること等により、地球温暖化対策の推進を図り、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。 ⑵ 温室効果ガス算定排出量の報告(26条)事業活動(国又は地方公共団体の事務及び事業を含む。以下この条において同じ。)に伴い相当程度多い温室効果ガスの排出をする者として政令で定める もの(以下「特定排出者」という。)は、毎年度、主務省令で定めるところにより、主務省令で定める期間に排出した温室効果ガス算定排出量に関し、主務省令で定める事項(当該特定排出者が政令で定める規模以上の事業所を設置している場合にあっては、当該事項及び当該規模以上の事業所ごとに主務省令で定める期間に排出した温室効果ガス算定排出量に関し、主務省令で定める事項)を当該特定排出者に係る事業を所管する大臣(以下「事業所管大臣」という。)に報告しなければならない。 ⑶ 目次第一章総則(第一条―第七条)第二章地球温暖化対策計画(第八条・第九条)第三章地球温暖化対策推進本部(第十条―第十八条)第四章 ればならない。 ⑶ 目次第一章総則(第一条―第七条)第二章地球温暖化対策計画(第八条・第九条)第三章地球温暖化対策推進本部(第十条―第十八条)第四章温室効果ガスの排出の抑制等のための施策(第十九条―第四十一条)第五章森林等による吸収作用の保全等(第四十二条)第六章割当量口座簿等(第四十三条―第五十七条)第七章雑則(第五十八条―第六十五条)第八章罰則(第六十六条―第六十八条) 4 エネルギー政策基本法(平成14年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、エネルギーが国民生活の安定向上並びに国民経済の維持及び発展に欠くことのできないものであるとともに、その利用が地域及び地球の環境に大きな影響を及ぼすことにかんがみ、エネルギーの需給に関する施策に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、エネルギーの需給に関する施策の基本となる事項を定めることにより、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進し、もって地域及び地球の環境の保全に寄与するとともに我が国及び世界の経済社会の持続的な発展に貢献することを目的とする。 ⑵ 目次2条(安定供給の確保)3条(環境への適合)4条(市場原理の活用)5条(国の責務)6条(地方公共団体の責務)7条(事業者の責務)8条(国民の努力)9条(相互協力)10条(法制上の措置等)11条(国会に対する報告)12条(エネルギー基本計画)13条(国際協力の推進)14条(エネルギーに関する知識の普及等) 5 エネルギーの使用の合理化等に関する法律( 11条(国会に対する報告)12条(エネルギー基本計画)13条(国際協力の推進)14条(エネルギーに関する知識の普及等) 5 エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)(昭和54年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置、電気の需要の平準化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 目次第一章総則(第一条・第二条)第二章基本方針等(第三条・第四条)第三章工場等に係る措置等(第五条―第五十一条) 第四章輸送に係る措置(第五十二条―第七十一条)第五章建築物に係る措置(第七十二条―第七十六条)第六章機械器具等に係る措置第七十七条―第八十一条の五)第七章電気事業者に係る措置(第八十一条の六・第八十一条の七)第八章雑則(第八十二条―第九十二条)第九章罰則(第九十三条―第九十九条) 6 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(高度化法)(平成21年制定)⑴ 目的(1条)この法律は、エネルギー供給事業者によって供給されるエネルギーの供給源の相当部分を化石燃料が占めており、かつ、エネルギー供給事業に係る環境への負荷を低減することが重要となっている状況にかんがみ、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー 源の相当部分を化石燃料が占めており、かつ、エネルギー供給事業に係る環境への負荷を低減することが重要となっている状況にかんがみ、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用を促進するために必要な措置を講ずることにより、エネルギー供給事業の持続的かつ健全な発展を通じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 目次第一章総則(第一条・第二条)第二章基本方針等(第三条・第四条)第三章特定エネルギー供給事業者に係る措置(第五条―第八条)第四章特定燃料製品供給事業者に係る措置(第九条―第十二条)第五章雑則(第十三条―第十八条)第六章罰則(第十九条―第二十一条) 7 発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並びに当該計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価の手法に関する指針、環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選 定するための指針並びに環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令(発電所アセス省令)(平成10年制定)第二種事業の判定の基準(16条)…第二種事業が次に掲げる要件のいずれかに該当するときは、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあると認めるものとする。 9号学校等が火力発電所(地熱を利用するものを除く。)を設置する場所の周囲二十キロメートルの範囲内に存在する場合であって、当該発電所の発電設備から排出される硫黄酸化物、窒素酸化物又はばいじんの最大着地濃度の予測値に、学校等の直近において国又は地方公共団体の測定している大気の測定点(以下「大気の測定点」という。)にお 当該発電所の発電設備から排出される硫黄酸化物、窒素酸化物又はばいじんの最大着地濃度の予測値に、学校等の直近において国又は地方公共団体の測定している大気の測定点(以下「大気の測定点」という。)における二酸化硫黄の測定結果の日平均値の二パーセント除外値、二酸化窒素の測定結果の日平均値の年間九十八パーセント値又は浮遊粒子状物質の測定結果の日平均値の二パーセント除外値を加えた結果が環境基本法第十六条第一項の規定による大気の汚染(二酸化硫黄、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に関するものに限る。)に係る環境上の条件についての基準(以下「大気の汚染に係る環境基準」という。)を超えること。 23号火力発電所(地熱を利用するものを除く。)を設置する場所の周囲二十キロメートルの範囲内に二酸化硫黄、二酸化窒素又は浮遊粒子状物質の大気の汚染に係る環境基準が確保されていない大気の測定点が存在する場合であって、当該発電所の発電設備からばい煙が排出されることにより大気の汚染に係る環境基準が確保されていない二酸化硫黄、二酸化窒素又は浮遊粒子状物質のいずれかの量が現状よりも増加すること。

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