主文 1 被告明治安田生命保険相互会社,同日本生命保険相互会社,同住友生命保険相互会社,同第百生命保険相互会社及び同株式会社東京三菱銀行は,原告に対し,各自,金2億4850万8041円及び内別紙遅延損害金起算日等の一覧表金額欄記載の金額に対する,同各遅延損害金起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告は,被告エイアイジー・スター生命に対し,金2億4850万8041円及び内別紙遅延損害金起算日等の一覧表金額欄記載の金額に対する,同各遅延損害金起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を内容とする更生債権を有することを確定する。 3 原告の被告ダイヤモンド信用保証株式会社を除く被告らに対するその余の請求及び同ダイヤモンド信用保証株式会社に対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告に生じた分及び被告ダイヤモンド信用保証株式会社を除く被告らに生じた分については,それぞれこれを12分し,その5を原告の,その余を被告ダイヤモンド信用保証株式会社を除く被告らの負担とし,被告ダイヤモンド信用保証株式会社に生じた分については,全部原告の負担とする。 5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告ダイヤモンド信用保証株式会社(以下「被告保証会社」という。)を除く被告ら(以下,特に断らない限り「被告ら」という場合は,被告保証会社を除くものとする。)に対する請求(1) 主位的請求ア被告明治安田生命保険相互会社,同日本生命保険相互会社,同住友生命保険相互会社,同第百生命保険相互会社(以下,それぞれ「被告明治安田生命」等のように略称する。)及び同株式会社東京三菱銀行(以下「被告銀行」という 命保険相互会社,同日本生命保険相互会社,同住友生命保険相互会社,同第百生命保険相互会社(以下,それぞれ「被告明治安田生命」等のように略称する。)及び同株式会社東京三菱銀行(以下「被告銀行」という。)は,原告に対し,各自,金3億5096万0027円及びこれに対する平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ原告は,被告エイアイジー・スター生命に対し,金3億5096万0027円及びこれに対する平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を内容とする更生債権を有することを確定する。 (2) 予備的請求ア原告に対し,被告明治安田生命は金7229万7787円及びこれに対する平成7年4月1日から,被告日本生命は金4313万4220円及びこれに対する平成6年8月4日から,被告住友生命は金5182万0497円及びこれに対する平成7年4月6日から,被告第百生命は金4511万1434円及びこれに対する平成7年4月1日から,被告銀行は金2億7878万5615円及びこれに対する平成8年7月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 イ原告は,被告エイアイジー・スター生命に対し,金4946万4158円及びこれに対する平成7年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を内容とする更生債権を有することを確定する。 2 被告保証会社に対する請求被告保証会社は,原告に対し,別紙物件目録記載1ないし8の各土地,同10ないし12及び15の各建物についてされた別紙登記目録記載1及び5の各登記,同物件目録記載9の土地についてされた同登記目録記載3及び5の各登記,同物件目録記載13の建物についてされた同登記目録記載2及び5の各登記,同物件目録記載14の建物についてされた同登記目録記載4及び 物件目録記載9の土地についてされた同登記目録記載3及び5の各登記,同物件目録記載13の建物についてされた同登記目録記載2及び5の各登記,同物件目録記載14の建物についてされた同登記目録記載4及び5の各登記の各抹消登記手続をせよ。 第2 事案の概要本件は,原告の養母であるBを相続したと主張する原告が,Bにおいて原告の妻でありBの養子でもある訴外Cを被保険者としていわゆる一時払の変額保険に加入するため,その保険料等について融資を受けた被告銀行(以下,この融資を「本件融資」という。),本件融資を受ける際これを保証した被告保証会社及び同変額保険の保険者であり生命保険会社であるその余の被告ら(ただし,当時の商号は,被告銀行は「株式会社三菱銀行」,被告明治安田生命は「明治生命保険相互会社」であった。なお,当初,千代田生命保険相互会社が被告とされたが,その後の組織変更等により,被告エイアイジー・スター生命がその地位を承継した(以下,両者を区別せず「被告エイアイジー・スター生命」という。)。また,被告銀行及び被告保証会社を除くその余の被告らを「被告生保各社」,被告明治安田生命を除く被告生保各社を「その余の被告生保各社」とそれぞれいい,上記のとおり被告生保各社にBが加入した変額保険を「本件各変額保険」という。)に対し,Bやその代理人である原告及びC(以下「原告ら」という。)は,本件各変額保険加入時に,被告銀行の担当者及び被告明治安田生命の担当者から,変額保険が相続税対策に有効であるとの説明を受けながら,変額保険の解約返戻金の額が一時払の保険料の額を下回る事態が生じる危険性等について十分な説明を受けず,また,その余の被告生保各社からは説明を全く受けなかったため,変額保険の解約返戻金が一時払保険料を下回るような事態等が生じる危険はなく,変額保険に加入 態が生じる危険性等について十分な説明を受けず,また,その余の被告生保各社からは説明を全く受けなかったため,変額保険の解約返戻金が一時払保険料を下回るような事態等が生じる危険はなく,変額保険に加入すれば確実に相続税対策になると信じて,被告銀行から金員を借り入れた上,これを一時払の保険料等の支払に充てて本件各変額保険に加入したものであって,被告らには,いずれも変額保険を勧誘するに当たってその説明義務を尽くさなかった違法があり,これは被告らが共同して行なったものであるところから,共同不法行為が成立するとともに,本件各変額保険契約及び本件融資契約についての債務不履行に当たり,また,本件融資契約及び本件各変額保険契約における要素の錯誤に当たるところ,これは,被告らの欺罔行為によるものであり詐欺に当たるから,本件融資契約及び本件各変額保険契約は無効か又は取り消されるべきものである上,本件各変額保険についてはその契約締結の際B及びCから提出された本件加入申込書の記載事項を被告生保各社において改ざんしており,本件各変額保険契約はもともと契約として不成立であるなどと主張して,被告らに対し,主位的にその共同不法行為等に基づく損害賠償として,3億5096万0027円及びその遅延損害金の各自支払(ただし,被告エイアイジー・スター生命に対してはその旨の更生債権の確定)を求め,予備的に,不法行為及び債務不履行に基づく損害賠償請求並びに錯誤無効,詐欺取消に基づく不当利得返還請求として,被告銀行に対して2億7878万5615円,被告明治安田生命に対して7229万7787円,被告日本生命に対して4313万4220円,被告住友生命に対して5182万0497円,被告エイアイジー・スター生命に対して4946万4158円,被告第百生命に対して4511万1434円及び各金員に ,被告日本生命に対して4313万4220円,被告住友生命に対して5182万0497円,被告エイアイジー・スター生命に対して4946万4158円,被告第百生命に対して4511万1434円及び各金員に対する遅延損害金の支払(ただし,被告エイアイジー・スター生命に対しては,その旨の更生債権の確定)を求めるとともに,被告保証会社に対し,上記一時払保険料等の融資やその利息の借入れに際し,その信用保証による求償債務の担保のため,B及び原告の所有不動産に設定された根抵当権設定登記及びその変更登記の各抹消登記手続を求める事案である。 1 争いのない事実等(末尾に証拠の記載のない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告等(ア) 原告は,○○大学経済学部を卒業後,信用金庫に就職し,その後,ゴルフ場に勤務するなどしたが,昭和33年10月1日,Cと婚姻し,両者の間には,2人の男子がいる。なお,Cは,○○県立○○高等学校を卒業後,○○交響楽団事務所に勤務(2年間)していた際,原告と婚姻したもので,他に就職をしたことはなく,婚姻後は,主婦業に専念していた。 原告とCは,昭和58年12月13日,Bと養子縁組をした。 Bには,先夫との間に実子であるDがいるが,Bは,昭和25年2月21日,Dとの間でも養子縁組をしたものの,原告及びCと養子縁組をして以降,原告及びCと同居し,平成8年4月7日,死亡した。 (イ) 原告は,昭和63年5月31日,くも膜下出血,脳動脈りゅうの治療のため入院し,同年7月6日,同月21日及び同年8月11日,それぞれ手術を受け,同年12月26日,退院した。 (ウ) 原告は,平成8年11月11日,Bの法定相続人であるC及びDとの間で,本件各変額保険に関するBの契約上の地位を一切承継する趣旨で,Bの被告銀行に対する債務を原告が承継 2月26日,退院した。 (ウ) 原告は,平成8年11月11日,Bの法定相続人であるC及びDとの間で,本件各変額保険に関するBの契約上の地位を一切承継する趣旨で,Bの被告銀行に対する債務を原告が承継する旨の遺産分割協議書を取り交わした(甲24,証人C,弁論の全趣旨)。 (エ) 原告とCの間には,2人の男子がいるが,平成2年当時,長男はアメリカに居住しており,二男の妻は,被告日本生命に勤務していた。 イ被告等(ア) 被告明治安田生命,被告日本生命,被告住友生命,被告エイアイジー・スター生命及び被告第百生命は,いずれも生命保険事業を業とする会社である。 Eは,平成2年当時,被告明治安田生命の関連会社であった株式会社明治生命保険代理社(以下「明治生命保険代理社」という。)に勤務し,変額保険の販売資格を有していた者であるが,株式会社日本エフピーコンサルティング(以下「エフピーコンサルティング」という。)の経営もしていたところ,エフピーコンサルティングは,平成2年当時,被告エイアイジー・スター生命の特別代理店であった。 Fは,平成2年当時,被告日本生命に勤務し,変額保険の販売資格を有していた者である。 (イ) 被告銀行は,金融業等を業とする株式会社であり,被告保証会社は,信用保証業務を営む株式会社である。 Gは,平成2年当時,被告銀行○○○支店取引先第1課長であった者である。 (2) 本件各変額保険契約ア Bは,次のとおり,各申込日に被告生保各社に対し,本件各変額保険契約の申込みをした(ただし,各一時払保険料の金額は,最終的にBが支払った金額であり,申込み時に申込書に記載された一時払保険料の金額はこれより少額の場合があった。)。 (ア) 被告明治安田生命保険契約申込日平成2年10月11日保険金額 3億円被保険者 C一時払 ,申込み時に申込書に記載された一時払保険料の金額はこれより少額の場合があった。)。 (ア) 被告明治安田生命保険契約申込日平成2年10月11日保険金額 3億円被保険者 C一時払保険料 1億1324万4000円(イ) 被告日本生命保険契約申込日平成2年10月19日保険金額 2億7900万円被保険者 C一時払保険料 1億0531万6920円(ウ) 被告住友生命保険契約申込日平成2年10月22日保険金額 3億円被保険者 C一時払保険料 1億1324万4000円(エ) 被告エイアイジー・スター生命保険契約申込日平成2年10月12日保険金額 3億円被保険者 C一時払保険料 1億1324万4000円(オ) 被告第百生命保険契約申込日平成2年10月ころ保険金額 1億4039万7000円被保険者 C一時払保険料 5300万円(カ) 被告第百生命保険契約申込日平成2年10月ころ保険金額 1億5894万円被保険者 C一時払保険料 6000万円一時払保険料合計5億5804万8920円イ Bは,平成2年11月22日,被告生保各社に対し,上記一時払保険料を支払い,本件各変額保険契約は同年12月1日付けで成立したこととされた。 (3) 融資契約ア Bは,平成2年11月16日,本件各変額保険の一時払保険料を調達するために,被告銀行から,利息年8.5パーセント(ただし,変動金利方式),返済日を元本につき平成22年11月6日,利息につき平成2年12月から平成22年11月まで毎月6日限り,借入金使途を保険料支払資金との約定により,6億円を借り入れた(以下「本件融資契約1」という。)。 イ Bは,同日,被告銀行との間で借入極度額6億円,利率 12月から平成22年11月まで毎月6日限り,借入金使途を保険料支払資金との約定により,6億円を借り入れた(以下「本件融資契約1」という。)。 イ Bは,同日,被告銀行との間で借入極度額6億円,利率年9.4パーセント,期間1年(自動更新),返済日毎月5日,返済方法元金据置の約定による当座貸越契約である「三菱マイカード<ビッグ>」契約を締結し,同契約に基づき,被告銀行から,別紙借入金目録2ないし12のとおり,平成3年4月8日から平成6年11月10日までの間に,合計1億5600万円を借り入れた(以下「本件融資契約2」という。本件融資契約1と本件融資契約2を併せて「本件融資契約」という。)。 (4) 連帯保証及び根抵当権の設定ア保証委託契約Bは,平成2年11月16日,被告保証会社との間で,本件融資契約1に基づく貸金債務につき,被告保証会社が6億円を限度として保証する旨の保証委託契約を締結した。 また,上記同日,Bは,被告保証会社との間で,本件融資契約2に基づく各貸金債務につき,被告保証会社がこれを保証する旨の保証委託契約を締結した(以下,上記の保証委託契約と併せて「本件保証委託契約」という。)。 なお,Bは,本件保証委託契約の締結に当たり,被告保証会社に対し,保証委託料等として1201万7418円を支払った。 イ連帯保証契約被告保証会社は,被告銀行との間において,本件保証委託契約に基づき,Bが被告銀行から前記各借入れをするに際し,それぞれ連帯して保証する旨の契約を締結した。 ウ根抵当権設定契約(ア) Bは,上記同日,被告保証会社との間で,別紙物件目録記載1,2の土地及び同15の建物(以下「本件不動産1」等のようにいう。)について,根抵当権設定契約を締結し,別紙登記目録1記載のとおり根抵当権設定登記手続をした(以下,これによってなされ 物件目録記載1,2の土地及び同15の建物(以下「本件不動産1」等のようにいう。)について,根抵当権設定契約を締結し,別紙登記目録1記載のとおり根抵当権設定登記手続をした(以下,これによってなされた根抵当権設定登記を「1の根抵当権登記」等のようにいう。)。 原告は,被告保証会社との間で,本件保証委託契約に基づくBの債務を担保するため,本件不動産3ないし14について根抵当権設定契約を締結し(以下,上記の根抵当権設定契約と併せて「本件根抵当権設定契約」という。),本件不動産3ないし8及び10ないし12につき1の根抵当権登記,本件不動産13につき2の根抵当権登記,本件不動産9につき3の根抵当権登記,本件不動産14につき4の根抵当権登記の各登記手続をした。 なお,Bは,上記各根抵当権設定登記の登記料として542万9910円を負担した。 (イ) 原告は,平成8年4月7日,本件不動産1,2及び15について,Bの相続を原因として所有権を取得した。 (ウ) 原告は,平成9年5月9日,同月2日になされたC及びDの債務引受を原因として,別紙登記目録5記載のとおり根抵当権変更登記手続をした。 (エ) 原告は,本件不動産1ないし3,5,6,8ないし15を所有し,本件不動産4,7についてH及びIとともに共有持分を有している。 (5) 本件各変額保険契約の解約Bは,次のとおり,本件各変額保険契約を解約し,被告生保各社から解約返戻金を受領した。 ア被告明治安田生命解約日平成7年3月28日解約返戻金 7216万6174円イ被告日本生命解約日平成6年8月4日解約返戻金 8560万5394円ウ被告住友生命解約日平成7年3月29日解約返戻金 9087万6541円エ被告エイアイジー・スター生命解約日平成7年3月30日解約返戻金 日解約返戻金 8560万5394円ウ被告住友生命解約日平成7年3月29日解約返戻金 9087万6541円エ被告エイアイジー・スター生命解約日平成7年3月30日解約返戻金 9291万9803円オ被告第百生命解約日平成7年3月28日解約返戻金 9658万5414円(6) 本件融資契約に基づく債務の返済B及び原告は,平成2年12月6日から同16年11月1日(口頭弁論終結日)に至るまで,被告銀行に対し,本件融資契約1の元本のうち2億円及び本件融資契約2の元本を返済するほか,別紙利息返済一覧表のとおり,本件融資契約1の利息を返済し,そのほかに本件融資契約2の利息として,平成3年11月7日に102万4231円,同4年7月7日に398万3483円,同5年12月9日に564万6174円,同6年6月7日に665万3217円の合計1730万7105円を,それぞれ支払った。 (7) 千代田生命保険相互会社の更生手続平成12年10月9日,被告エイアイジー・スター生命の前身である千代田生命保険相互会社について,会社更生手続開始の申立てがされ,同月13日,更生手続開始の決定がされ,平成13年3月31日,更生計画が認可され,同年4月17日付けで確定した(以下,この確定した更生計画を「本件更生計画」という。)。そして,本件更生計画に基づき,同月19日,被告エイアイジー・スター生命への商号及び組織の変更とその旨の登記がなされ,同月25日,更生手続の終結決定を得たが,本件更生計画によれば,一般更生債権については,全額について免除を受ける,ただし,更生会社の不法行為責任を原因とする確定一般更生債権については,その利息及び遅延損害金については全額免除を受けた上,確定一般更生債権元本額の50パーセントを更生計画認可決定日又は一般更 る,ただし,更生会社の不法行為責任を原因とする確定一般更生債権については,その利息及び遅延損害金については全額免除を受けた上,確定一般更生債権元本額の50パーセントを更生計画認可決定日又は一般更生債権確定日のいずれか遅い日から3か月以内に支払うこととされている。 2 当事者の主張(1) 契約に至る経緯及び勧誘・説明の態様(原告の主張)ア Gによる勧誘(ア) B及び原告は,従前より被告銀行と取引をしており,被告銀行から融資を受ける際に,B及び原告の資産の一覧表が添付された申告書を提出していた。そのため,被告銀行は,B及び原告の資産内容を把握していた。 Gは,平成元年ころ,原告宅を訪問し,原告及びCに対し,Bが死亡した際,相続税がかなりかかりそうなので計算をしてみましょうなどと言い,Bが死亡した際の相続税の計算をして原告及びCに示した。Cは,そのころより,相続税に対し不安を持つようになった。 (イ) Gは,平成2年夏の終わりころ,原告宅を訪問し,原告及びCに対し,Bの相続財産については相続税対策が是非必要である,これには変額保険という保険が大変良い,その資金は被告銀行が提供するので何の心配もなく,他に資金を用意する必要もないなどと述べた。 なお,Bは,当時85歳であり,相続税対策自体やそれにどのような対策が有効であるかどうかなどについて検討する意思も能力もなく,GやEとは一切面談しなかった。 また,原告は,以前からBの資産について,その管理やその運用を行い,GやEから変額保険加入の勧誘を受けた際にも,同席していたものの,くも膜下出血の後遺症で複雑なことを考えることができない状態であった。 そのため,実際に説明を聞いたのはCであったが,Cは,専業主婦であり,相続税対策,資産運用については素養がなかった。 イ Eによる勧誘(ア) その で複雑なことを考えることができない状態であった。 そのため,実際に説明を聞いたのはCであったが,Cは,専業主婦であり,相続税対策,資産運用については素養がなかった。 イ Eによる勧誘(ア) その後,Gは,Eと共に原告宅を訪問した。Eは,原告宅を4,5回訪問したが,常にGと一緒であった。 Eは,Cに対し,シミュレーションを示し,「今のままでは多額の相続税がかかる。しかし,変額保険は,相続税対策に極めて有効である,銀行から一括して金員を借り受け,支払利子も順次借り増すことにより債務を増やし,変額保険を運用することにより,相続税の節税対策になる。利回りについては,高利回りで銀行利息よりも高く回るので,いずれ解約してもかえって利益が出るので相続税対策として大変よい。」などと説明をした。この際,Eは,Cに対し,変額保険のパンフレットを交付したり,それに基づき,変額保険の仕組みやリスクについて説明したりはしていない。 (イ) Eは,2度目に原告宅を訪問した際,変額保険に加入した場合のシミュレーションを何通りか持参し,それに基づき,Cに変額保険の説明を行った。Eは,保険の中身についてはほとんど説明をせず,変額保険に加入した場合はこのように相続税が減るということを述べたのみで,変額保険のパンフレットも交付せず,変額保険に配当がない場合があるとか,変額保険が元本割れをする危険性がある商品であるなどという従前の保険と大きく異なる点については全く説明しなかった。また,Eは,当時,変額保険の運用自体がマイナスであることについても一切説明をしなかった。さらに,Eは,Cに対し,借金の返済方法について,Bが死亡した際に,原告が債務を相続し,原告が死亡した際にCが債務を相続し,Cが死亡した際に保険金が支払われるので,その際に返済すればよい旨説明した。 (ウ) Gは Cに対し,借金の返済方法について,Bが死亡した際に,原告が債務を相続し,原告が死亡した際にCが債務を相続し,Cが死亡した際に保険金が支払われるので,その際に返済すればよい旨説明した。 (ウ) Gは,EがCに説明する際,常に同席していたが,Eの説明に対して異論を唱えるようなことはなく,むしろ,Cから「本当によいものですか。」などと尋ねられた際,「本当によいものです,大丈夫です。」などと答えたりもした。 (エ) Eは,Cに対し,少しの金額では相続税対策にならないので,大きな金額に加入する必要があり,そのためには多くの保険会社の変額保険に加入しなければならないなどと申し向け,Gと相談した上,融資額,保険金額,保険会社などを決めた。 (オ) Cは,Eらの説明を受け,Bを保険契約者,Cを被保険者とする本件各変額保険契約を締結することを決めた。 ウ本件各変額保険契約への加入(ア) 平成2年10月12日,Cの健康診断のために保険会社の医師が原告宅を訪問し,Cを診察した。その際,原告宅を訪問したのは,医師1名とEの他2名だけであった。Cは,健康診断を受けた日には,Eと変額保険の話はせず,結局,その余の被告生保各社からは,変額保険に対する説明を一切受けなかった。 (イ) Cは,本件各変額保険契約の申込書の契約者欄にBの名を代筆し,同申込書の被保険者欄にCの名を記載し,それをEに交付し,平成2年11月22日,本件各変額保険契約の一時払保険料を支払い,同年12月1日付けで本件各変額保険契約が成立したこととされた。 (被告らの主張(以下,被告らの主張という場合には被告ら共通の主張を意味する。個別の主張がある場合にはその旨明示する。))原告の主張は争う。 ア Eによる勧誘(ア) Eは,平成2年9月ころ,Gより,変額保険加入の見込み客として,Bを紹介された 被告ら共通の主張を意味する。個別の主張がある場合にはその旨明示する。))原告の主張は争う。 ア Eによる勧誘(ア) Eは,平成2年9月ころ,Gより,変額保険加入の見込み客として,Bを紹介された。 Eは,同月ころ,Gに同行して,原告宅を訪問し,原告及びCに対し,変額保険のパンフレットを交付した。Eは,パンフレットの「変額保険とは」の箇所を読み上げながら,変額保険は従来の保険と違って,特別勘定を設けて主に株式,公社債等の有価証券に投資して運用し,運用は保険会社に一任されること,運用実績に応じて保険金及び解約返戻金が変動すること並びに運用実績が悪くても死亡時の基本保険金が保証されていることを説明した。Eは,さらに,具体的に,パンフレットに図示されている波図を示して,運用実績に応じて,保険金及び解約返戻金が変動すること並びに運用実績が悪くても死亡時の基本保険金が保証されていることを説明した。そして,運用実績例表を示して運用実績が9パーセントの場合は保険金は表のように増えていき,解約返戻金も増えていくこと,4.5パーセントの場合は保険金はほぼ同じ金額で解約返戻金は表のように増えていくこと,0パーセントの場合は,保険金は基本保険金のままで解約返戻金は減少していくことになることを説明した。 (イ) Eは,同月ないし同年10月ころ,原告宅を数回訪問し,原告及びCに対し,シミュレーションを交付した上,相続税法によると一時払保険契約の場合,払込済保険料が相続財産として評価されること,その一時払保険料を銀行からの借入金で賄うと相続時の相続財産の課税価格を算出する際銀行からの借入金が差し引かれるので相続税額が減少すること,変額保険の運用実績と借入金利の変動により資金収支は変動することを説明した。 なお,Eは,1人で原告宅に本件各変額保険契約の勧誘に行っ る際銀行からの借入金が差し引かれるので相続税額が減少すること,変額保険の運用実績と借入金利の変動により資金収支は変動することを説明した。 なお,Eは,1人で原告宅に本件各変額保険契約の勧誘に行ったこともあり,Gと常に一緒だったわけではない。また,Eは,Bには変額保険の説明を行っていないが,説明の場に同席していた原告に対しては本件各変額保険の説明を行った。原告は,順調に回復して元気な様子であり,Eによる変額保険契約や相続税対策及びスキームの説明の際,保険料の運用面や相続税の節税効果等についてよく質問をしていた。 また,Cは,現金,預金,貸家及び貸駐車場の資産管理並びにアパート建替え計画等に関与しており,素養がないわけではなかった。 原告は,説明を受けた後,Eに対し,当時,東芝に勤務し,アメリカに在住していた長男に相談してみる旨述べた。 (ウ) その後,Eは,原告又はCから加入の連絡を受けたので,同年10月11日,原告宅を訪問し,署名,捺印がなされた生命保険契約申込書を受領した。なお,Eは,その際又はそれ以前に,被告明治安田生命の「契約のしおり定款・約款」を原告らに交付した。 イ本件各変額保険契約の成立Cは,同月12日,健康診断を受診した。同年11月22日,Bより保険料全額の払込みがあり,平成2年12月1日付けで,本件各変額保険契約が成立した。 (被告日本生命の補足主張)ア被告日本生命は,平成2年10月上旬,Eから,変額保険加入の見込み客として,Bを紹介された。Fは,保険金を3億円とする設計書を作成し,Eに交付した。Fは,Eから,Bが被告明治安田生命等の他社の変額保険にも加入する話も進行しており,他社の診査日が同年10月12日となっているので,同日に被告日本生命も一緒に診査できないかと打診された。 イ Fは,それを受けて,同日,被 明治安田生命等の他社の変額保険にも加入する話も進行しており,他社の診査日が同年10月12日となっているので,同日に被告日本生命も一緒に診査できないかと打診された。 イ Fは,それを受けて,同日,被告明治安田生命の保険医と共に原告宅を訪問し,被告明治安田生命,被告エイアイジー・スター生命,被告日本生命の医師が分担して,Cを診断した。Fは,健康診断の後,Cに対し,保険金額を2億7900万円とする設計書及び「ご契約のしおり」を交付し,設計書を中心に変額保険は特別勘定により運用し,投資対象は株・有価証券等で,その運用結果により保険金額や解約返戻金が変動するが,保険金には最低保証があることなど,変額保険の仕組みを説明した。その際,Eは,Fの説明を遮ることはなかった。 ウ Fは,同月19日,原告宅を訪問し,設計書及び保険金を2億7900万円とする変額保険の申込書を交付した。そして,B及びCは,申込書の契約者欄,被保険者欄にそれぞれ署名した。 (被告住友生命の補足主張)被告住友生命は,平成2年10月ころ,Eから,変額保険の加入を考えている人がいるので設計書を作成して欲しい旨依頼された。 被告住友生命は,保険金額3億円の設計書を作成し,Eに交付した。変額保険の説明については既にEが行っており,契約者は理解しているという話であったため,その後は,Eが被告住友生命とBとの間の変額保険契約の成立まで担当した。 (被告エイアイジー・スター生命の補足主張)被告エイアイジー・スター生命東京中央支社虎ノ門営業所のJは,Eから,変額保険の加入見込み客がいるので設計書を作成してもらいたいと依頼された。 Jは,従前,生命保険業界内の集まりを通じてEと知り合い,本件以前にも,Eから数件の変額保険への加入希望者の紹介を受けており,その際も,本件と同様,変額保険契約に関する説 てもらいたいと依頼された。 Jは,従前,生命保険業界内の集まりを通じてEと知り合い,本件以前にも,Eから数件の変額保険への加入希望者の紹介を受けており,その際も,本件と同様,変額保険契約に関する説明はEによりなされていた。Jは,Eの依頼に応じ,保険金額を3億円とする設計書を作成して,Eに交付した。 Jは,平成2年10月12日,被告エイアイジー・スター生命の医師とともに,診査のため,原告宅を訪れた。Jは,本件各変額保険契約の申込書,「ご契約のしおり-定款・約款」を原告らに交付し,B及びCに署名,捺印してもらった。なお,被告エイアイジー・スター生命の医師は被告明治安田生命の医師と共にCの診査をした。 (被告第百生命の補足主張)被告第百生命は,平成2年10月ころ,E及びエフピーコンサルティングのKから,変額保険の加入見込み客がいるので設計書を作成して欲しいとの依頼を受け,E及びKから,Cの性別,生年月日等を聞いて,保険金3億円の変額保険の設計書を作成した。 被告第百生命の担当者は,平成2年10月ころ,エフピーコンサルティングの事務所を訪問し,E及びKに対し,変額保険のパンフレットと設計書を交付し,原告らに渡すよう依頼した。パンフレット及び設計書には,運用によって保険金や解約返戻金が変動すること,基本保険金は最低保証されること等,変額保険の仕組みの要点が図や一覧表を用いて説明されている。 変額保険の説明については,既にEが行っており,原告らはこれを理解した上で数社の変額保険に加入する予定であり,また,健康診断については,数社が重複して行っても無駄であるので,被告明治安田生命の審査結果を被保険者の承諾を得た上,被告第百生命でも使用することとなった。 同年11月6日,Cの診査の結果,変額保険の加入に問題がないとの結果が出たので,被告第百生命は,E及 ので,被告明治安田生命の審査結果を被保険者の承諾を得た上,被告第百生命でも使用することとなった。 同年11月6日,Cの診査の結果,変額保険の加入に問題がないとの結果が出たので,被告第百生命は,E及びKの事務所を訪れ,「ご契約のしおり-定款・約款」及び変額保険契約申込書を交付し,原告らに渡すよう依頼した。 その後,被告第百生命は,E及びKを通じて,署名,捺印された申込書を受領し,同年11月22日,本件各変額保険契約の一時払保険料1億1300万円が被告第百生命の口座に振り込まれ,同年12月1日付けで本件各変額保険契約が成立した。 (被告銀行及び被告保証会社の補足主張)Gは,Bが資産家であることは認識していたが,当時,詳細な資産の内容は把握しておらず,Cからの情報提供により認識するに至ったものである。 Gは,Bの死亡の場合相続税が大変になるという話から,変額保険を用いた相続税対策があることは話したが「相続税対策が是非必要である。」とか「変額保険が大変良い。」などとは言っていない。 GがEを原告宅に同行したことは認めるが,Eを同行したのは初回の1回のみである。 (2) 損害賠償請求ア虚偽の説明に基づく不法行為ないし債務不履行責任(原告の主張)(ア) 虚偽の説明に基づく勧誘の違法性融資一体型変額保険は,特別勘定の利回りが9パーセントを超える場合であっても相続税対策とならないものであり,仮に相続税対策になるとしても長期間にわたり9パーセントを超える運用を続けなければ相続税の減税効果を得ることはできず,特に被保険者が相続人であるタイプの変額保険の場合は,それが一層顕著であったにもかかわらず,E及びGは,Cに対して,本件各変額保険が相続税対策に有効であると説明して勧誘したものであり,このような勧誘は,不実のことを告げて勧誘したものであり違法であ ,それが一層顕著であったにもかかわらず,E及びGは,Cに対して,本件各変額保険が相続税対策に有効であると説明して勧誘したものであり,このような勧誘は,不実のことを告げて勧誘したものであり違法である。 すなわち,本件各変額保険契約に加入した当時,Bは85歳,被保険者であるCは55歳であったが,一般的な平均余命からすれば,Cは本件各変額保険契約後相当期間生存する可能性が高く,Bが死亡した際の相続税の支払資金として,保険金を充てることができないことから,本件各変額保険の解約返戻金をもって充てざるを得ないものであったところ,Bが死亡した時点において,本件各変額保険契約を解約した場合,どの程度の解約返戻金を得られるかどうかは未知数であり,解約返戻金が保険金よりも低額であることを考慮すると,運用利回りが相当高くなければ相続税対策にならなかったものといえる。そして,平成元年12月をピークとして日経平均株価は下落を続けており,Cが勧誘を受けた平成2年夏ころは,運用が9パーセントを超えるどころか,マイナスとなっていたのであるから,長期間にわたって9パーセントを超える運用を期待することはできなかったのであって,到底,相続税の節税効果は期待できず,本件各変額保険は,相続税対策商品としての適格性を欠くものであった。Eは,変額保険の勧誘資格を有する者であり,Gは銀行員であって,平成2年夏ころは変額保険の運用実績が悪化しており,高利回りが期待できず,相続税対策とならないものであることを知り又は知り得べきであった。それにもかかわらず,E及びGは,変額保険の有利性のみをCに強調して本件各変額保険への加入を勧誘したものであり,違法性を有することは明らかである。 (イ) 被告明治安田生命の不法行為ないし債務不履行責任旧保険募集の取締に関する法律(以下「旧募取法」と Cに強調して本件各変額保険への加入を勧誘したものであり,違法性を有することは明らかである。 (イ) 被告明治安田生命の不法行為ないし債務不履行責任旧保険募集の取締に関する法律(以下「旧募取法」という。)11条1項は,生命保険募集人が募集につき保険契約者に加えた損害を賠償する責めに任ずるとされており,被告明治安田生命は,Eの上記違法行為により,原告に対し,その損害賠償責任を負う。 また,Eの上記違法行為は,職務を行うについてなされたものであるから,被告明治安田生命は民法715条の不法行為責任(使用者責任)を負う。 さらに,被告明治安田生命は,保険契約上の付随義務に違反して,Bを勧誘したものであるから,債務不履行責任を負う。 (ウ) その余の被告生保各社の不法行為ないし債務不履行責任その余の被告生保各社は,直接,変額保険の相続税の節減効果の有利性を原告らに説明したわけではないが,その余の被告生保各社においても,当時,運用実績が低下しており,変額保険が相続税対策とならない欠陥商品であったことを認識できたのであるから,そのことを原告らに告知する義務があったにもかかわらず,これを怠った。 したがって,その余の被告生保各社は,その担当者の不作為による違法行為により,旧募取法11条1項ないし民法715条に基づき不法行為責任を負う。 また,その余の被告生保各社は,本件各変額保険契約締結に当たり,担当者に説明させることをしていないから,会社自体の不法行為でもあり,709条に基づき不法行為責任を負う。 さらに,その余の被告生保各社は,保険契約上の付随義務に違反して,Bを勧誘したものであるから,債務不履行責任を負う。 (エ) 被告銀行の不法行為ないし債務不履行責任被告銀行のGの勧誘は,上記のとおり,違法なものであり,また,Gは,貸付額が当初の予想よりもは て,Bを勧誘したものであるから,債務不履行責任を負う。 (エ) 被告銀行の不法行為ないし債務不履行責任被告銀行のGの勧誘は,上記のとおり,違法なものであり,また,Gは,貸付額が当初の予想よりもはるかに高額となり,返済が困難となることを知りながら,本件各変額保険の有利性を強調し,原告及びCを勧誘し,その結果,過剰に融資を実行したものであるから,その違法性は強い。そして,Gの違法行為は,職務を行うについてなされたものであるから,被告銀行は民法715条に基づき,不法行為責任を負う。 また,被告銀行は,消費貸借契約上の付随義務に違反して,Bを勧誘したものであるから,債務不履行責任を負う。 (オ) 共同不法行為被告生保各社は,前記のとおり,それぞれ不法行為責任を負うが,これらは,共同してなされたものであるので,共同不法行為責任を負う。 また,本件各変額保険契約は,相続税対策として締結されたものであり,被告銀行の融資があって初めて実現可能となるものであるから,本件各変額保険契約と本件融資契約は互いに密接な牽連関係を有しているところ,GとEは,互いに共謀して一緒に原告宅を訪れ,Cに対し,両契約をセットで行うことを勧誘した。その結果,Cは,本件各変額保険が安全でよい商品であると信じ,本件両契約を締結してしまったのである。さらに,被告銀行と被告生保各社との間には,被告銀行が被告生保各社から紹介料として多額の預金をしてもらっているという密接な関係があり,以上のことからすれば,被告銀行は,被告生保各社と共同不法行為責任を負う。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 (ア) 原告は,平成2年10月ころは株価が下落しており,かつ,契約者と被保険者とを異にする場合には相続税節減の効果がないのであり,それにもかかわらず,E及びGが,相続税対策になると説明し勧誘 う。 (ア) 原告は,平成2年10月ころは株価が下落しており,かつ,契約者と被保険者とを異にする場合には相続税節減の効果がないのであり,それにもかかわらず,E及びGが,相続税対策になると説明し勧誘したことが不法行為ないし債務不履行を構成すると主張する。 しかしながら,前記のとおり,Eは,パンフレットや設計書を示し,運用が9パーセントを下回り,4.5パーセント,0パーセントになる可能性があること等,変額保険のリスクについても十分に説明しており,確実に相続税対策になるとは説明していない。 (イ) また,本件各変額保険の勧誘は,平成2年10月ころであるところ,経済統計によるとバブル経済のピークは平成3年4月とされ,平成2年7月から12月ころは,株価の再反騰の期待も根強いものがあり,現に平成3年にはミニバブルと評せられたごとく,株価が上昇に転じた時期があったのであり,平成2年10月当時の株価の下落をもって相続税対策にならないとはいえない。変額保険にはその運用対象に上場株式が含まれているが,株式は,株価が下がったときに購入して,値上がりしたときに売却する方が投資行動として合理的であり,変額保険も,株価が下がったときに加入するのが高い運用益を期待できることからすれば,相続税対策にならないものとはいえない。 (ウ) さらに,契約者と被保険者が異なる場合であっても,借入金債務の控除による相続財産評価額の圧縮効果があること,契約者死亡による相続開始後に保険事故が発生すれば契約者と被保険者が同一の場合と同様にその保険金支払による資産増加効果が生まれるからそれなりの相続税対策の効果を期待することができることからすれば,本件各変額保険契約が相続税対策にならないものであるとはいえない。また,運用次第では,解約返戻金も増額し,相続税対策となる可能性も十分にあ りの相続税対策の効果を期待することができることからすれば,本件各変額保険契約が相続税対策にならないものであるとはいえない。また,運用次第では,解約返戻金も増額し,相続税対策となる可能性も十分にあり,相続税対策としての適格性を欠く欠陥商品とはいえない。 (エ) したがって,被告らは,不法行為責任ないし債務不履行責任を負わない。 (被告銀行の補足主張)被告銀行は,被告生保各社から,変額保険の加入者を紹介する代わりに,多額の預金をしてもらったりはしていない。また,GとEは,共謀などしておらず共同不法行為は成立しない。 イ説明義務違反に基づく不法行為ないし債務不履行責任(原告の主張)(ア) 被告明治安田生命の不法行為ないし債務不履行責任a 変額保険は,従来の生命保険と異なり,特別勘定によってそれを運用することにより,保険金及び解約返戻金が増減し,運用が悪いときは,払込保険料よりも解約返戻金が少なくなるいわゆる元本割れの危険があるものであるから,変額保険を勧誘する者は,変額保険の有するリスクについて契約者に説明する義務があり,これを怠った場合は,不法行為ないし債務不履行を構成する。 Eは,保険契約者であるBには面談もしておらず,また,原告及びCに対しても,変額保険が元本割れすることなどのリスクについての説明を何ら行わなかった。 b また,変額保険は,前記のとおり,その運用により,保険金及び解約返戻金が増減するのであるから,変額保険に加入しようとする者にとっては,その運用実績が加入するか否かの重要な判断資料となるものであり,変額保険への加入を勧誘する者は,当時の変額保険の運用実績について契約者に説明すべき義務があるというべきであり,これを怠った場合には,不法行為ないし債務不履行を構成する。 Eは,原告及びCに対して,変額保険の運用実績に 誘する者は,当時の変額保険の運用実績について契約者に説明すべき義務があるというべきであり,これを怠った場合には,不法行為ないし債務不履行を構成する。 Eは,原告及びCに対して,変額保険の運用実績について何ら告知せず,実際は9パーセントを大きく下回る状況にあり,マイナスも生じていたことを殊更に隠していたものであり,かかる説明義務に違反するというべきである。 c 本件各変額保険は,相続税対策目的の商品であるから,変額保険の勧誘を行う者は,相続税対策に用いた場合の構造及び利益得失について説明義務を負う。 本件において,Eは,9パーセントで運用した場合のシミュレーションを基に,Cに対し,相続税対策効果について説明をしたが,相続財産である不動産価格の計算方法,解約返戻金に税金が加算されることについては説明をせず,また,相続税対策に用いる場合,銀行からの借入れが巨額になるリスクなどについて説明をしなかった。 d 被告明治安田生命は,Eの上記違法行為により,旧募取法11条1項に基づき,原告に対し,その損害賠償責任を負うものというべきである。 また,被告明治安田生命は民法715条の不法行為責任(使用者責任)を負うものというべきである。 さらに,被告明治安田生命は,保険契約上の付随義務に違反して,Bを勧誘したものであるから,債務不履行責任を負う。 (イ) その余の被告生保各社の不法行為ないし債務不履行責任a その余の被告生保各社は,Cに対し,本件各変額保険の内容を説明しておらず,したがって,リスクの説明もしていない。前記のとおり,変額保険は,株で運用することにより,保険金及び解約返戻金が増減するのであり,そのリスクの説明が不可欠であり,各保険会社はその説明義務を負っていたにもかかわらずそれを怠ったのであるから,違法であることは明らかである。 b この点 り,保険金及び解約返戻金が増減するのであり,そのリスクの説明が不可欠であり,各保険会社はその説明義務を負っていたにもかかわらずそれを怠ったのであるから,違法であることは明らかである。 b この点,被告日本生命は,被告日本生命社員のFにより本件各変額保険の説明を行った旨主張するが,CはFには会ったことがなく,本件各変額保険の説明は一切受けていない。 c また,その余の被告生保各社は,Eによる説明をもって説明義務を尽くした旨主張するようであるが,他社の説明を流用することは旧募取法上も民法上も許されておらず,Eの説明をもって説明義務を尽くしたものとはいえない。さらに,前記のとおり,E自身も説明義務を果たしておらず,結局,その余の被告生保各社が説明義務を尽くしていないことは明らかである。 d したがって,その余の被告生保各社は,民法715条ないし旧募取法に基づき不法行為責任を負う。また,その余の被告生保各社は,保険契約上の付随義務に違反しており,債務不履行責任を負う。 (ウ) 被告銀行の不法行為ないし債務不履行責任被告銀行は,高度の信用性のあるべき金融機関であり,金融商品を顧客に紹介する際にはその内容を説明する民法上,条理上の説明義務がある。 それにもかかわらず,前記のとおり,Gは,原告らに対し,変額保険の仕組みやリスクについて一切説明せず,また,Eが変額保険のメリットのみを説明している際にも何ら異議を述べることはなかったのであるから,Gには説明義務違反があり,被告銀行は民法715条に基づく不法行為責任ないし債務不履行責任を負う。 (エ) 共同不法行為被告生保各社は,前記のとおり,それぞれ不法行為責任を負うが,これらは,共同してなされたものであるので,共同不法行為責任を負う。また,本件各変額保険契約は,相続税対策として締結されたもの 法行為被告生保各社は,前記のとおり,それぞれ不法行為責任を負うが,これらは,共同してなされたものであるので,共同不法行為責任を負う。また,本件各変額保険契約は,相続税対策として締結されたものであり,被告銀行の融資があって初めて実現可能となるものであるから,本件各変額保険契約と本件融資契約は互いに密接な牽連関係を有しているところ,GとEは,互いに共謀して一緒に原告宅を訪れ,Cに対し,両契約をセットで行うことを勧誘し,その結果密接な牽連関係を有する両契約が締結されたのであるから,被告銀行は,被告生保各社と共同不法行為責任を負う。 仮に,Gの行為が,単独では不法行為とならなくても,被告生保各社との関係では,不法行為の幇助に当たり,被告銀行は,被告生保各社と共同不法行為責任を負う。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 (ア) 説明義務a 変額保険を勧誘する者は,契約者に対し,信義則上,変額保険固有の仕組み,すなわち,保険料の大部分が特別勘定で株式等に運用され,運用の結果次第で保険金や解約返戻金が変動し,死亡保険金については最低額が保証されるが解約返戻金にはその保証がないことを説明する義務はあるものの,さらに,上記変額保険の仕組みの説明とは別に,過去の運用実績及びこれを相続税対策に用いた場合の構造及び利益得失についてまで説明義務を負うものではない。 b 運用実績についての説明義務について変額保険の勧誘を受ける者は,変額保険固有の仕組みについての説明を受ければ,一般勘定とは別に特別勘定を設けて投入された保険料を株式や公社債を中心に運用し,その運用実績によって保険金や解約返戻金が変動すること,すなわち,投資リスクを負うことを理解できるのであり,変額保険の契約者は,運用実績についての説明を受けなくても,上記投資リスクを負うことを前提に加 運用実績によって保険金や解約返戻金が変動すること,すなわち,投資リスクを負うことを理解できるのであり,変額保険の契約者は,運用実績についての説明を受けなくても,上記投資リスクを負うことを前提に加入の有無を適正に判断することが可能である。また,運用実績は,例えば1年前に変額保険に加入した者がどの程度利益若しくは損失を計上しているかについての数字であり,新たに保険に加入した契約者にとっては,直近1年間の運用実績が低下していたとしても,かかる運用実績の低下の不利益を被ることはなく,むしろ,株価が低いときに加入したほうが,その後株価が上昇した際,その収益が契約者に還元されるのであるから,加入の好機であるとも言い得るのである。したがって,過去の運用実績を説明する義務はない。 c 相続税対策としての説明義務について被相続人を保険契約者とし相続人を被保険者とするタイプの変額保険による相続税対策とは,手持ちの流動資産が少ない場合でも,多額の借入れを起こして保険料一時払の変額保険に加入することで,特別勘定の運用が有利に進んだ場合に,相続時において,遺産である保険契約上の権利が解約返戻金相当額ではなく一時払保険料の額で相続税法上評価されることや,相続人が保険契約者の地位を継承した後において被保険者が死亡した場合死亡保険金を納税資金に用いることができるといった経済的な効果が生じることに着目して変額保険に加入することである。 変額保険を相続税対策に用いることのリスクとは,上記から明らかなように,節税効果や納税資金の準備という経済的効果の発生が特別勘定の運用成績に左右されるということであり,これは,結局,変額保険固有のリスクと同様である。 そうすると,変額保険固有のリスクについての説明があれば,説明を受けた者は,変額保険が特別勘定の運用成績いかんによ 成績に左右されるということであり,これは,結局,変額保険固有のリスクと同様である。 そうすると,変額保険固有のリスクについての説明があれば,説明を受けた者は,変額保険が特別勘定の運用成績いかんによっては元本割れの可能性もあるというリスクのある商品であることを理解し,したがって,運用利回りいかんによっては,期待した相続税対策の効果が生じない場合があり得ることも通常は理解し得る。 一方で,相続税対策として用いる場合の構造等を説明するにはプライバシーに属する相続財産の情報を把握しなければならず,保険会社の担当者が正確にこれを把握することは一般的にはできない。 よって,具体的に相続税対策の経済効果を計算していかなる相続税対策を企画実行するかは,保険契約者の側で判断すべき事項であり,勧誘者の側で説明義務を負担すべき事項ではない。 (イ) 説明義務違反のないこと前記のとおり,変額保険の勧誘をする者に課される説明義務は,変額保険固有の仕組み,すなわち,保険料の大部分が特別勘定で株式等に運用され,運用の結果次第で保険金や解約返戻金が変動し,死亡保険金については最低額が保証されるが解約返戻金にはその保証がないことを説明する義務に限られるものであり,本件においては,前記のとおり,Eは,Cに対し,パンフレット等を示して,変額保険の仕組み及びリスク等について説明をしており,説明義務違反はない。 (その余の被告生保各社の補足主張)原告は,その余の被告生保各社は原告らに対して全く説明をしていないから,説明義務違反は明らかである旨主張する。 しかし,不法行為ないし債務不履行の要件である違法性の判断は,個別具体的に為されるべきであり,契約形態及び内容,これに伴う利・不利等についての契約者の既得の認識・知識の程度等をも勘案して判断されるものである。 本件において 不履行の要件である違法性の判断は,個別具体的に為されるべきであり,契約形態及び内容,これに伴う利・不利等についての契約者の既得の認識・知識の程度等をも勘案して判断されるものである。 本件においては,Eが変額保険の仕組み及びそのリスクについて説明をしており,原告らは,既に変額保険の仕組みやリスクについて理解した上で,自らの判断により本件各変額保険に加入しており,たとえ,被告その余の被告生保各社の有資格者による変額保険の仕組みやリスクに関する説明が独自になされていなくても,違法性はなく,不法行為ないし債務不履行は成立しない。 (被告日本生命の補足主張)原告は,その余の被告生保各社は原告らに対して全く説明をしていないから,説明義務違反は明らかである旨主張する。 しかし,前記のとおり,被告日本生命のFは,Cに対し,変額保険の仕組みやそのリスクを説明していたものであり,原告の主張には理由がない。 (被告銀行の補足主張)原告は,被告銀行は変額保険について民法上・条理上の説明義務があると主張するが,被告銀行には変額保険についての説明義務はなく,原告の主張には理由がない。 原告は,本件融資を受けない限り本件各変額保険契約を締結できなかったのであるから,被告銀行は変額保険の内容やリスクについて説明する義務を負うべきと主張するが,失当である。すなわち,銀行から融資を受けなければ購入できない商品は多数存在し,その場合にまで商品についての説明義務を負うとすると,例えば,住宅ローンや自動車ローンのような場合にまでそれらの商品の説明義務を負うことになるが,このような結論が取引社会の実態を無視した不当なものであることは明らかである。したがって,本件融資がない限り本件各変額保険契約を締結できないとしても,それをもって,被告銀行の説明義務の根拠とはならない。 また 論が取引社会の実態を無視した不当なものであることは明らかである。したがって,本件融資がない限り本件各変額保険契約を締結できないとしても,それをもって,被告銀行の説明義務の根拠とはならない。 また,仮に,本件融資の主たる返済原資として本件各変額保険の保険金若しくは解約返戻金が予定されており,そのことを被告銀行も了解していたとしても,何ら変額保険についての被告銀行の説明義務の根拠とはならない。返済原資として予定されている収入の内容を把握することは,融資判断上及び債権管理上,銀行として当然の責務であり,このことは返済原資たる収入の内容及びリスクについての銀行の説明義務を肯定する根拠とはならない。 ウ損害の有無及びその額(原告の主張)(ア) 主位的請求についてa 算定方法1(a) Bは,被告銀行から6億円を借り入れた上,被告生保各社に対する変額保険保険料として合計5億5804万8920円,保証料1201万7418円,登記料542万9910円,合計5億7549万6248円を支出した。 Bは,被告生保各社から本件各変額保険の解約返戻金として,合計4億3815万3326円の支払を受けた。 したがって,上記支出合計金額から支払を受けた合計金額を差し引いた1億3734万2922円が被告らの不法行為による損害となる。 (b) B及び原告は,被告銀行に対し,本件融資契約1の利息として,合計2億2286万3376円を,本件融資契約2の利息として1730万7105円をそれぞれ支払ったが,これは被告らの不法行為がなければ本来支払う必要のなかったものである。 したがって,かかる利息の支払も,被告らの不法行為に基づく損害である。 (c) 原告は,原告訴訟代理人に対し,本件訴訟の提起及びその追行を依頼したが,その弁護士費用は,上記(a),(b)の合計額の1割が がって,かかる利息の支払も,被告らの不法行為に基づく損害である。 (c) 原告は,原告訴訟代理人に対し,本件訴訟の提起及びその追行を依頼したが,その弁護士費用は,上記(a),(b)の合計額の1割が相当である。 (d) したがって,上記の合計が被告らの不法行為と相当因果関係を有する損害となる。 b 算定方法2(a) Bは,平成7年4月28日,本件各変額保険契約を解約し,解約返戻金をすべて本件融資契約に基づく債務の返済に充てたが,なお4億円の債務が残った。 したがって,原告が,被告らの不法行為により被った損害は4億円である。 (b) さらに,原告は,被告らに上記損害金の賠償の請求をするため,原告訴訟代理人に対し,本件訴訟の提起及びその追行を依頼したものであり弁護士費用4000万円が損害となる。 (c) したがって,上記の合計4億4000万円が被告らの不法行為と因果関係を有する損害となる。 c よって,いずれにしても,被告らの不法行為による原告の損害は3億5095万0427円(当初の主張金額)を下らない。 (イ) 予備的請求についてa 被告生保各社の不法行為ないし債務不履行に基づく損害(a) Bは,上記被告らの不法行為によって,平成2年11月22日,本件各変額保険の一時払保険料をそれぞれ被告生保各社に支払った。 かかる一時払保険料に,その支払日から解約日まで年5分の遅延損害金を加え,解約返戻金を差し引いたものが,被告らの不法行為に基づく損害となる(被告生保各社の差引損害額は以下のとおりとなる。)。 ① 被告明治安田生命 6572万7787円② 被告日本生命 3921万4220円③ 被告住友生命 4711万0497円④ 被告エイアイジー・スター生命 4497万4158円⑤ 被告第百生命 87円② 被告日本生命 3921万4220円③ 被告住友生命 4711万0497円④ 被告エイアイジー・スター生命 4497万4158円⑤ 被告第百生命 4101万1434円(b) 上記各金額にその1割に相当する弁護士費用を加えると,原告の損害は以下のとおりとなる。 ① 被告明治安田生命 7229万7787円② 被告日本生命 4313万4220円③ 被告住友生命 5182万0497円④ 被告エイアイジー・スター生命 4946万4158円⑤ 被告第百生命 4511万1434円b 被告銀行の不法行為ないし債務不履行に基づく損害B及び原告は,被告銀行の不法行為に基づき,少なくとも2億7878万5615円の損害を受けた。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 (被告銀行の補足主張)原告は,本件融資契約に基づき被告銀行に支払った利息も損害であると主張する。しかし,Bは本件融資契約に基づき,合計7億5600万円の金融の利益を得ているところ,利息はこれに対する正当な対価であり,本件融資契約により支払が定められているものであるから,有効な契約に基づき支払われた利息が損害と評価されることは不合理である。また,損害をそのように捉えると,その実質は,本件融資契約が無効であることを前提とする不当利得返還請求と異ならないことになり,不合理である。したがって,本件融資契約に基づき被告銀行に支払った利息は損害とはならない。 エ消滅時効(被告らの主張)原告の主張する被告らの不法行為の内容は,被告銀行及び被告生保各社の各担当者の説明義務違反により,Bが変額保険の内容及び性質を理解しなかったことから元本割れする可能性があるという変額保険のリスクを理解 の主張する被告らの不法行為の内容は,被告銀行及び被告生保各社の各担当者の説明義務違反により,Bが変額保険の内容及び性質を理解しなかったことから元本割れする可能性があるという変額保険のリスクを理解せず,また相続税対策となるという誤った説明を受けたため,本件各変額保険契約を締結した結果,損害を被ったというものであるところ,Bは,平成6年8月4日,被告日本生命との間の本件各変額保険契約を解約し,その際,一時払保険料よりも約1970万円も少ない8560万5394円しか解約返戻金を受領できなかったのであるから,この時点において解約返戻金が一時払保険料を下回ることもあり得るという変額保険の性質及びリスクを明確に認識し,本件各変額保険契約締結の際の被告銀行及び被告生保各社の説明が誤っていたこと,そもそも変額保険の性質及びリスクに関する説明がなかったことを認識するとともに,変額保険が相続税対策とならないことを認識していたはずである。そうすると,B及び原告は,遅くとも平成6年8月4日に損害及び加害者を知っていたことになる。そして,原告が本件訴訟を提起したのは,平成9年11月28日であるから,原告の不法行為に基づく損害賠償請求権は,時効により消滅している。 被告らは,原告の不法行為に基づく損害賠償請求権について消滅時効を援用する。 なお,原告は,消滅時効の起算点は,被害者において加害者の行為が違法であるという認識を持つに至った時点であると主張する。しかし,原告の主張のように違法であることの認識まで必要であると解すると加害者の行為が過失・責任能力・違法性その他のあらゆる点で法律上不法行為を成立させるものであるとの確信に達するまでは消滅時効は進行しないということになってしまい短期消滅時効について定めた724条の趣旨を没却することになる。したがって,本件の あらゆる点で法律上不法行為を成立させるものであるとの確信に達するまでは消滅時効は進行しないということになってしまい短期消滅時効について定めた724条の趣旨を没却することになる。したがって,本件のような私人間の取引行為に関連した事実行為について不法行為の成否が問題とされている場合には加害者の行為が不当な行為であること又は加害者の行為が違法と見られる可能性があることを認識したときと解するべきである。本件において,B及び原告に違法であることの認識がなかったとしても,前記のとおり,原告らが遅くとも,被告日本生命の変額保険を解約したときまでに変額保険の性質及びリスクについて認識し,加害者の行為が不当な行為であること又は加害者の行為が違法と見られる可能性があることを認識していたことは明らかであるから,原告の不法行為に基づく損害賠償請求権は時効により消滅している。 (原告の主張)被告らの主張は争う。 Bは,その死亡に至るまで被告らによる勧誘行為の違法性を認識しておらず,原告も,被告らによる勧誘行為の違法性を認識したのは平成9年であり,平成6年当時その認識はなかった。 民法724条にいう「被害者又ハ其法定代理人ガ損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」とは,被害者が損害の発生を現実に認識したときと解すべきであるところ,B又は原告が被告銀行の不法行為を知っていたとしたら,本件各変額保険契約を解約し,その解約返戻金を被告銀行に返済し,かつ,残債務について何らの異議を述べず更に返済を続けるということは考えられず,原告らが,平成6年当時,本件各変額保険契約及び本件融資契約に関する被告らの不法行為を知らなかったことは明らかである。 オ過失相殺(被告らの主張)仮に,被告らに不法行為又は債務不履行が成立するとしても原告側にも大きな過失があるので,相当の過失相殺がな する被告らの不法行為を知らなかったことは明らかである。 オ過失相殺(被告らの主張)仮に,被告らに不法行為又は債務不履行が成立するとしても原告側にも大きな過失があるので,相当の過失相殺がなされるべきである。 (原告の主張)主婦であるCや,脳疾病にり患している原告は,融資一体型変額保険という複雑な方式について理解できるものではなく,高齢で全く説明を受けていないBは,なおさら,過失相殺の余地はない。 (3) 不当利得返還請求権についてア契約不成立(原告の主張)(ア) 被告生保各社の保険申込書は,以下に述べるとおり,被告生保各社の担当者により,無権限で金額等が変更されている。このような無権限者により,契約の重要な要素である金額及び年齢等につき変更がなされているのであるから,本件各変額保険契約は,不成立である。 (イ)a 被告明治安田生命の保険申込書は,Cの保険年齢が誤って記載されており,金額,年齢,解約返戻金にそごが生じている。そして,その後,金額,年齢について修正がなされている。 b 被告住友生命の保険申込書は,年齢及び金額が修正され,訂正権限のない被告住友生命の担当者の訂正印が押印されている。 c 被告エイアイジー・スター生命の保険申込書は,訂正権限のない者によって年齢が訂正され,金額も書き換えられている。 d 被告日本生命の保険申込書は,金額及び年齢が訂正されており,しかも,訂正印が訂正する権限のない被告日本生命の担当者のものである。 e 被告第百生命の保険申込書は,保険金額が上書きされており,また,保険料についても金額の筆跡がBやCのものとは異なる。 (ウ) 以上のとおり,被告生保各社は,通常考えられないずさんな契約締結やその手続の処理をし,また,無権限で申込書に訂正を加えており,本件各変額保険契約は,いずれも不成立である Cのものとは異なる。 (ウ) 以上のとおり,被告生保各社は,通常考えられないずさんな契約締結やその手続の処理をし,また,無権限で申込書に訂正を加えており,本件各変額保険契約は,いずれも不成立であるというべきである。 (被告生保各社の主張)原告の主張は争う。 生命保険契約は付合契約であって,保険約款上,被保険者の契約年齢は契約日現在の満年で計算し,1年未満の端数については,6か月以下のものは切り捨て,6か月を超えるものは1年とする扱いである。 ところが,契約申込書には前後6か月の調整をせずに満年齢に基づく誤った保険料の記載がなされることが多く,生命保険会社では,契約者に保険料の数字を記入させず,生命保険会社において,被保険者の正確な年齢を記入するような取扱いもなされており,契約申込書に保険料や年齢を契約者等が自署するか否かは保険契約成立のための要素ではない。 本件各変額保険申込書は,被告生保各社とも被保険者Cの保険年齢が55歳であって,それを前提に保険料額も記載されていたものであるが,平成2年11月6日までに保険料が振り込まれなかったことから,Cの保険年齢が56歳となり,それに伴って保険料も増額されることになったのである。被告生保各社は,Cに対してその旨を通知したところ,平成2年11月22日,Bよりこの増額された保険料が振り込まれており,その同意の下に保険料が変更されたのである。 結局,Bと被告生保各社との間では,Cを56歳として割り出した保険料により有効に本件各変額保険契約が成立しているのであり,原告の主張には理由がない。 (被告日本生命の補足主張)被告日本生命は,平成2年12月3日,B及びCより,「ご契約内容変更了解書」に署名,捺印を得て保険契約申込書の保険料欄を訂正しており,原告の主張には理由がない。 イ本件各変額保険契 命の補足主張)被告日本生命は,平成2年12月3日,B及びCより,「ご契約内容変更了解書」に署名,捺印を得て保険契約申込書の保険料欄を訂正しており,原告の主張には理由がない。 イ本件各変額保険契約及び本件融資契約の錯誤(原告の主張)(ア) 変額保険のリスクについての誤信Cは,変額保険が元本割れ,すなわち,解約返戻金が払込保険料を下回ることがあるというリスクの大きい商品であるにもかかわらず,そのようなリスクはないものと誤信して本件各変額保険契約を締結したものであり,本件各変額保険契約は,錯誤により無効である。 (イ) 変額保険の相続税対策効果についての誤信また,Cは,変額保険が相続税対策にならない商品であったにもかかわらず,相続税対策になるものと誤信して本件各変額保険契約を締結したものであり,錯誤により無効である。 (ウ) そして,本件融資契約は,本件各変額保険契約の保険料支払のために締結されたものであるところ,前記のとおり,Cは,変額保険がリスクのないもので相続税対策になるものと誤信しており,本件融資契約の締結についてもその動機に錯誤がある。 Cは,Gに対して,かかる動機を表示していたのであるから,本件融資契約は錯誤により無効である。 また,本件保証委託契約及び本件根抵当権設定契約も,錯誤により無効である。 (被告ら(被告保証会社を含む)の主張)原告の主張は争う。 (ア) 前記のとおり,Eは,変額保険の基本的な仕組みについて,これを内容とするパンフレットを示すなどしながら,原告及びCに十分に説明したのであり,原告及びCは,変額保険のリスクについても理解した上,本件各変額保険契約を締結したものであって,Cに原告主張の誤信はない。 (イ) また,変額保険は,前記のとおり,運用次第で相続税対策になることもあるし,原告及びCは,変 のリスクについても理解した上,本件各変額保険契約を締結したものであって,Cに原告主張の誤信はない。 (イ) また,変額保険は,前記のとおり,運用次第で相続税対策になることもあるし,原告及びCは,変額保険のリスクについて理解している以上,相続税対策にならないこともあり得るということも理解していたはずであるから,原告及びCに錯誤はない。また,意思表示の錯誤とは,その本質上,意思表示の時点で存在していることを要するところ,借入金により変額保険に加入した場合に相続税対策効果が得られるか否かは,主に契約締結後の変額保険の運用利回りと借入金利との相関関係により決まるものであり,変額保険の運用利回りと借入金利のいずれもが変動する性質を有するものであって,それが将来どのように変動するかは,契約締結時点では確定していないのであるから,相続税対策として実効性があるか否かは,将来の見通しの問題に過ぎず,意思表示の錯誤とはなり得ないものである。 (ウ) したがって,原告の主張には理由がない。 (被告銀行及び被告保証会社の補足主張)原告は,被告生保各社との本件各変額保険契約のみならず,被告銀行との本件融資契約並びに被告保証会社との本件保証委託契約及び本件根抵当権設定契約の錯誤無効を主張するが,それらは,いずれも別個独立の契約であり,これらの契約の法的効力は各契約ごとに個別に無効原因の有無が判断されなければならない。 原告は変額保険のリスク及び相続税対策とならない商品であることについて誤信があると主張するが,この誤信はもっぱら本件各変額保険の内容又は性質に関する誤信であり本件融資契約に関する誤信ではなく,仮に原告の主張どおり誤信があったとしても,本件融資契約の錯誤とはいえない。 ウ本件各変額保険契約及び本件融資契約の詐欺(原告の主張)(ア) 前記のとおり あり本件融資契約に関する誤信ではなく,仮に原告の主張どおり誤信があったとしても,本件融資契約の錯誤とはいえない。 ウ本件各変額保険契約及び本件融資契約の詐欺(原告の主張)(ア) 前記のとおり,E及びGは,変額保険は株で運用することにより,保険金及び解約返戻金が増減するものであることを原告らに説明する義務があるにもかかわらず,その説明をせず,また,変額保険が高利回りで運用されない限り,相続税対策にならないものであるにもかかわらず,相続税対策になる旨説明し,Cにおいて,解約返戻金が一時払保険料を下回ることはなく,変額保険は相続税対策になると誤信させ,本件各変額保険契約及び本件融資契約を締結した。 (イ) かかるE及びGの行為は,詐欺に当たり,原告は,平成10年1月12日,本件各変額保険契約及び本件融資契約をそれぞれ取り消す旨の意思表示をした。 (被告ら(被告保証会社を含む)の主張)原告の主張は争う。 前記のとおり,Eは,変額保険の仕組み及びリスクについて原告及びCに説明している。また,確かに,平成2年10月当時は,株価が下落し,変額保険の運用実績が低下しているということはあったものの,一般的に株価の下落は一時的なものと考えられていたのであり,むしろ,株価が低下している時期だからこそ,その後の値上がり益が期待できるため,変額保険への加入の好機とも言い得るのであるから,E及びGが原告及びCを変額保険に加入するよう勧誘したからといって詐欺には当たらないことは明らかである。 エ利得(原告の主張)(ア) Bは,平成2年11月22日,本件各変額保険の一時払保険料をそれぞれ被告生保各社に支払った。被告生保各社は,解約返戻金を支払ったもののその差額は,被告生保各社の利得となる。 ① 被告明治安田生命 6572万7787円② 被告 険の一時払保険料をそれぞれ被告生保各社に支払った。被告生保各社は,解約返戻金を支払ったもののその差額は,被告生保各社の利得となる。 ① 被告明治安田生命 6572万7787円② 被告日本生命 3921万4220円③ 被告住友生命 4711万0497円④ 被告エイアイジー・スター生命 4497万4158円⑤ 被告第百生命 4101万1434円(イ) B及び原告は,被告銀行に対し利息として,2億4017万0481円を支払い,被告銀行は同額の利得を得ている。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 オ追認(被告ら(被告保証会社を含む)の主張)錯誤無効及び詐欺取消しの原因として原告が主張する原告及びCの誤信の内容は,変額保険なるものが通常の保険と異なり,元本割れするような危険な商品であるという認識を有していなかったこと及び相続税対策にならない商品であるという認識を有していなかったことであるところ,仮にそれが本件各変額保険契約及び本件融資契約の錯誤ないし詐欺に当たるとしても,Bは,平成6年8月4日に被告日本生命の本件各変額保険を,平成7年3月28日に被告明治安田生命及び被告第百生命の本件各変額保険を,同月29日に被告住友生命並びに同月30日に被告エイアイジー・スター生命の本件各変額保険をそれぞれ解約し,いずれについても,一時払保険料よりも少ない金額の解約返戻金しか受領できなかったのであり,B及び原告は,遅くともこの時点で,解約返戻金が一時払保険料を下回ることも有り得るという変額保険の性質及びリスクを明確に認識し,前記誤信に気が付いていたにもかかわらず,平成9年5月2日,原告は,本件融資契約に基づくBの債務を承認した上,他の相続人が承継した分の債務を単独で免責的に引き受けているの 及びリスクを明確に認識し,前記誤信に気が付いていたにもかかわらず,平成9年5月2日,原告は,本件融資契約に基づくBの債務を承認した上,他の相続人が承継した分の債務を単独で免責的に引き受けているのであるから,追認していることは明らかである。 (原告の主張)被告ら(被告保証会社を含む)の主張は争う。 追認といえるためには,無効であること,取り消し得べき行為であることを知った上でなされなければならないところ,原告は,平成9年5月2日の時点において,本件各変額保険契約及び本件融資契約が無効ないし取り消し得べき行為であることを知らなかったのであるから,被告ら(被告保証会社を含む)の主張には理由がない。 カ短期消滅時効(被告日本生命の主張)仮に,原告に錯誤があったとしても,本件各変額保険契約の無効による保険料の返還義務は,2年間の短期消滅時効(商法663条・683条)により消滅している。 したがって,本件各変額保険契約解約の日から2年間を経過した時点において消滅時効は完成しているものである。 (原告の主張)被告日本生命の主張は争う。 本件は,一括払の保険であり,通常の保険料とその性質が異なるものであり,本来の保険料の性質を有しておらず,商法663条・683条は適用されない。また,保険料の返還請求の理由は,錯誤による不当利得であるから,保険料の返還請求権とは性質が異なるものであるキ重過失(被告ら(被告保証会社を含む)の主張)仮に,原告が主張するように,変額保険のリスク及び相続税対策とならないことについて錯誤が認められるとしても,前記のとおり,Eは,パンフレットを用いて変額保険の仕組みについて説明しているから,原告らには,錯誤につき重過失が認められる。 (原告の主張)被告ら(被告保証会社を含む)の主張は争う。 変額保険は,特別勘定で ,Eは,パンフレットを用いて変額保険の仕組みについて説明しているから,原告らには,錯誤につき重過失が認められる。 (原告の主張)被告ら(被告保証会社を含む)の主張は争う。 変額保険は,特別勘定で運用することによって,保険金及び解約返戻金の額が変動するという点において,それまでの生命保険とは大きく異なるところ,パンフレットの交付も受けず,また,Eに説明を受けていなかった原告が,変額保険のリスクについて誤信したとしても,重過失はない。 また,変額保険による相続税対策のスキームは極めて複雑であり,原告がこれについて誤信していたとしても,重過失はない。 (4) 根抵当権設定契約の効力について(原告の主張)本件根抵当権設定契約は,錯誤によって無効であるから,被告保証会社は,登記保持権原を有しない。 (被告保証会社の主張)原告の主張は争う。 前記のとおり,本件根抵当権設定契約締結について,原告らに錯誤はなく,本件根抵当権設定契約は無効ではない。 3 争点(1)ア損害賠償請求との関係では,請求原因として,特にEが,Cに対し,違法な勧誘をして,本件各変額保険契約を締結させたか,すなわち,被告らが相続税対策に有効であるとして勧誘した変額保険がその適格性を欠くものであり勧誘が違法となるかどうか(争点1),特にEの勧誘が説明義務に違反し不法行為ないし債務不履行に当たるか(説明義務の範囲及び説明の内容,争点2),被告らの責任,特に共同不法行為の成否(争点3)及び損害の有無ないしその額(争点4)が争点となる。 イそして,上記損害賠償請求に対する抗弁として,過失相殺(争点5)及び消滅時効の成否(争点6)が争点となる。 (2)ア不当利得返還請求との関係では,請求原因として,本件各変額保険契約の成否(争点7),本件各変額保険契約ないし本件融資契約の締 ,過失相殺(争点5)及び消滅時効の成否(争点6)が争点となる。 (2)ア不当利得返還請求との関係では,請求原因として,本件各変額保険契約の成否(争点7),本件各変額保険契約ないし本件融資契約の締結に際し,要素の錯誤があったか否か(争点8),本件各変額保険契約ないし本件融資契約の締結が被告らの欺罔によるものであるか(争点9),並びにその各場合の被告らの利得の有無及び額(争点10)が争点となる。 イそして,上記不当利得返還請求に関する抗弁として,上記錯誤又は詐欺に当たる場合の追認の有無(争点11),錯誤につき重過失があったか否か(争点12)及び短期消滅時効の成否(争点13)が争点となる。 (3) 根抵当権設定登記抹消登記手続請求との関係では,根抵当権設定契約が錯誤によって無効か否かが争点となる(争点14)。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1,2,15,23,30,乙3,13ないし17,丙2ないし6,11,丁2,6ないし9,戊1,3,8,10,11,庚1,4,6,辛1,21,証人E,同G,同F,同C)及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (1) 変額保険の内容及び変額保険を用いた相続税対策について(この項の事実についてはいずれも当事者間に争いがない。)ア変額保険は,昭和61年7月,大蔵大臣(当時)により認可され,同年10月からその販売が開始された保険商品である。従来の定額保険が,安全性を重視し,保険料の運用利率が当初予定したものを下回る場合でも所定の保険金額・解約返戻金額を保証するなど,その運用のリスクを保険会社が負担することとされていたのに対し,変額保険は,保険契約者から払い込まれる保険料のうち将来の保険金の支払に必要とされる部分を定額保険に関する勘定(一般勘定)として運用する一方,その余の部分をこれとは別の特別勘定 されていたのに対し,変額保険は,保険契約者から払い込まれる保険料のうち将来の保険金の支払に必要とされる部分を定額保険に関する勘定(一般勘定)として運用する一方,その余の部分をこれとは別の特別勘定を設けて管理し,これを主に株式等の有価証券の取引等に投資し,その運用実績に応じて保険金(死亡保障については,最低保証が設けられている。)や解約返戻金が変動する仕組みの生命保険であり,経済情勢や運用いかんによっては高い収益が期待できる反面,株価や為替などの変動による損失を出すリスクを負い,しかも運用実績が直接保険金等に反映されるため,運用のリスク等が保険契約者に帰属する点に特徴がある。 イ変額保険が,従来の定額保険とは異なる特徴を有するものであることから,保険契約者に変額保険の仕組み及び特徴を理解させるべく,その募集及び販売に当たっては,次のような規制が設けられていた。 (ア) 募集に関しては,通常の保険と同様,募集者の資格を生命保険募集人として登録された者に限定する(旧募取法9条)とともに,募集に際してはこれらの生命保険募集人が使用する募集文書・図画に,所属保険会社の商号若しくは名称又は生命保険募集人の氏名を記載しなければならず(同法14条),保険会社の将来における利益の配当又は剰余金の分配についての予測に関する事項を記載してはならないとされ(同法15条2項),さらに保険契約者又は被保険者に対して,不実のことを告げ若しくは保険契約の契約条項の一部につき比較した事項を告げ又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為,保険契約者又は被保険者に対して特別の利益の提供を約する行為が禁止されていた(同法16条1項1号,4号)。 (イ) また,保険業界の自主規制として,社団法人生命保険協会(以下「生命保険協会」という。)において,変額保険販売資 して特別の利益の提供を約する行為が禁止されていた(同法16条1項1号,4号)。 (イ) また,保険業界の自主規制として,社団法人生命保険協会(以下「生命保険協会」という。)において,変額保険販売資格制度を設けて変額保険の販売資格を販売資格試験に合格した者に限定しているほか,「募集文書・図画作成基準」を設けて生命保険協会に登録されていない私製資料の使用が禁止されていた。 さらに,生命保険協会の作成にかかる販売資格者資格試験用変額保険テキストにおいて,変額保険の販売に際しては,保険金額の増減と基本保険金額,特別勘定の資産運用方針,特別勘定資産の評価,モデル(運用実績が0パーセント,4.5パーセント,9パーセント)に基づく試算例並びに解約返戻金及び満期保険金にはその額についての最低保証がないことについて顧客に確認すること,変額保険契約の申込みを受けるに当たっては,「ご契約のしおり-定款・約款」を事前に顧客に配布することが要求され,契約締結後においては,毎年契約応答日における特別勘定の運用実績に基づく解約返戻金,同日前1年間の死亡保険金の各金額の変動状況について通知し,事業年度末には年度末特別勘定資産の内訳,特別勘定の運用収支状況について通知することが要求されていた。 (ウ) そして大蔵省が各生命保険会社の代表者にあてた昭和61年7月1日付け蔵銀大1933号通達「変額保険募集上の留意事項について」は,変額保険の特殊性にかんがみ,契約者との無用のトラブルや募集秩序の混乱を防止し,変額保険の健全な普及・発展を期す観点から,将来の運用成績について保険募集人が恣意的に過去の特定期間を取り上げそれによって将来を予測する行為及び保険金額(死亡保険金の場合には最低保証を上回る金額)あるいは,解約返戻金額を保証する行為について,変額保険募集上の禁止行為と 人が恣意的に過去の特定期間を取り上げそれによって将来を予測する行為及び保険金額(死亡保険金の場合には最低保証を上回る金額)あるいは,解約返戻金額を保証する行為について,変額保険募集上の禁止行為とし,変額保険の販売資格のない保険募集人による募集行為を,変額保険契約者の利益を阻害し,健全な募集秩序を乱す行為としていずれも禁止することとした。 ウ昭和61年から平成元年ころにかけては日本経済が好景気の状況にあったため,東京証券市場における株価は,昭和62年10月20日に前日のニューヨーク株式市場の一時暴落を受けて暴落したものの,その翌日に回復して以降,上昇を続け,平成元年12月には史上最高値を記録したが,昭和61年10月から販売が開始された変額保険も利回りのよい投資商品として売上げを伸ばした。 また,変額保険は,銀行等からの借入金によって終身型変額保険の保険料を一時払することで「相続税対策」になるとして,生命保険会社や銀行が,地価高騰のあおりを受け相続税額が高額となる資産家を対象にその加入の勧誘をしたため,広く販売されることとなった。 エ変額保険を用いた相続税対策には大きく分けて2種類あるとされている。 (ア) その1つは,保険契約者,被保険者をいずれも被相続人,保険金受取人を相続人とした上,保険料を一時払とし,これを金融機関等から被相続人名義で一括して借り入れるというものである(以下「Aプラン」という。)。 このタイプでは,被相続人の死亡により死亡保険金が保険会社から相続人に支払われ,相続人は,この死亡保険金のうちから保険料支払のために融資を受けた借入金を返済し,その差額分を相続税対策の納付に充てることができるから,納税資金を準備することができ,また,前記借入金が相続債務として相続財産の資産価格から控除されるため,相続税の課税価格を引 けた借入金を返済し,その差額分を相続税対策の納付に充てることができるから,納税資金を準備することができ,また,前記借入金が相続債務として相続財産の資産価格から控除されるため,相続税の課税価格を引き下げることができる。 (イ) 他の1つは,保険契約者を被相続人,被保険者を相続人,変額保険の保険料を一時払とし,その保険料を金融機関から被相続人名義で一括して借り入れるというものである(以下「Bプラン」という。)。このプランでは,死亡保険金は,保険契約者である被相続人の死亡(1次相続)によっては,これを受け取ることはできず,これを受け取ることができるためには,被保険者である相続人の死亡(2次相続)を待たなければならないが,1次相続においても,相続税の課税価格の計算上,借入金が上記一括の借入金のほか,その利息の支払に充てるための借入金を含めたものが債務として相続財産の資産価格から控除されるのに対し,積極財産である資産に加えられる変額保険については,その運用の実績の良否にかかわらず一時払の保険料の金額をその価格として計上すれば足りることから借入金と一時払保険料の差額につき相続税額軽減効果があり,また,借入金の返済や納税資金についても被相続人が死亡した際,変額保険契約を解約することにより,解約返戻金を取得し,これに充てることができる。 (2) 本件各変額保険契約締結の経緯ア本件各変額保険契約締結に至るまでの事実関係(ア) Eは,昭和63年,ファイナンシャルプランニングを業とするエフピーコンサルティングを設立し,被告明治安田生命の代理店として営業を開始するとともに,被告明治安田生命の子会社である明治生命保険代理社に入社し,保険の勧誘を行っていたが,平成元年ころ,変額保険の勧誘資格を取得した。Eは,明治生命保険代理社の社内セミナーで変額保険を用 するとともに,被告明治安田生命の子会社である明治生命保険代理社に入社し,保険の勧誘を行っていたが,平成元年ころ,変額保険の勧誘資格を取得した。Eは,明治生命保険代理社の社内セミナーで変額保険を用いた相続税対策について知識を修得し,変額保険を用いた相続税対策は銀行からの融資と一体となって行われるため,自ら銀行等を訪問し,変額保険を用いた相続税対策の方法等について説明をして回った。Eは,そのような活動を通じて,被告銀行の担当者であるGと知り合い,また,被告銀行や他の金融機関から紹介を受けるようになり,本件を含め20件から30件程度自ら顧客に対し変額保険を勧誘し,これに加入させた(証人E,同G)。 ところで,変額保険は,その保険金の上限が保険会社1社につき3億円とされていたことから,相続財産が多額に上る場合には,複数の生命保険会社の変額保険に加入する必要があるため,生命保険会社の担当者相互間で,顧客を紹介し合うということが頻繁に行われており,Eも,被告明治安田生命以外の保険会社の変額保険の担当者と仕事を通じて知り合うようになった(証人E)。 (イ) Gは,昭和39年,被告銀行に入社し,平成元年から,被告銀行の元住吉支店の取引先第1課長として勤務していたが,上記のとおり,Eが,変額保険を用いた相続税対策のスキームについての説明をしに被告銀行を訪問するなどしていたことから,Eと知り合い,相続税対策として,銀行から借入れをして,変額保険に加入するという方法があるということについて知識を得た(辛33,証人G)。 (ウ) Bは,昭和53年9月25日,夫のLを相続し,本件不動産1,2及び15を所有し,また,貸アパート,貸駐車場を所有するなど不動産を中心に多額の資産を保有していた(甲1,2,15,23,証人C)。 上記各資産の管理等はBが80歳になる Lを相続し,本件不動産1,2及び15を所有し,また,貸アパート,貸駐車場を所有するなど不動産を中心に多額の資産を保有していた(甲1,2,15,23,証人C)。 上記各資産の管理等はBが80歳になる本件各変額保険契約締結の4,5年前ころまでは,Bが自ら,その後は原告がそれぞれこれに当たっていたが,原告が昭和63年5月31日にくも膜下出血及び脳動脈りゅうにり患したため,それ以降は,Cがこれに当たることになった。 Cは,前判示のとおり,昭和33年に原告と結婚した後は,専業主婦であり,証券取引等の経験はなく,不動産の管理等も,昭和63年に原告が脳疾病にり患するまではしていなかった(証人C,弁論の全趣旨)。 Bないし原告は,Bが死亡した場合の相続税対策を目的として,昭和62年10月26日ころ,被告銀行から金員を借り入れ,賃貸用の共同住宅を建築したが,被告保証会社は,同月26日,Bないしその代理人であった原告から,保証委託を受け,Bの被告銀行に対する債務を保証した上,本件不動産1に極度額を1億9800万円として根抵当権を設定した(甲1,証人C,弁論の全趣旨)。 なお,Bの平成元年度の年収は,4751万円程度,原告のそれは,3524万円程度であったが(辛1),B及び原告は,それらの税務申告を税理士に委託して行っていた(証人C)。 原告は,昭和63年,被告日本生命から,相続税対策のため変額保険の加入を勧誘されたが,これを断ったことがあった(証人C)。 イ本件各変額保険の勧誘と被告明治安田生命との契約締結(ア) Gは,平成元年ころ,地元の資産家であり,被告銀行○○○支店の大口の取引先であった原告宅を訪れ,原告及びCに対し,Bが死亡した際相続税がどの程度かかるかについて試算をする旨申し入れた。Gは,Cがそれに反対しなかったことから,Bの資産を基にBが死亡 ○○支店の大口の取引先であった原告宅を訪れ,原告及びCに対し,Bが死亡した際相続税がどの程度かかるかについて試算をする旨申し入れた。Gは,Cがそれに反対しなかったことから,Bの資産を基にBが死亡した際の相続税について試算した(証人C)。 Gは,平成2年9月ころ,原告及びCに対し,相続税対策の方法として,変額保険に加入する方法があるという話をし,被告明治安田生命の担当者を紹介する旨告げた(証人G,同C)。 Gは,その後,Eと共に原告宅を訪れ,原告及びCにEを紹介した(証人E,同G,同C)。 (イ) Eは,変額保険の説明のため,原告及びCに対し,被告明治安田生命の変額保険のパンフレット(以下「本件パンフレット」という。)を交付した(乙3,証人E)。 本件パンフレットは,A4版の見開きのもので,その中1枚目の裏側の左側に,「変額保険とは」,「変額保険にかかわる資産の管理・運用について」との各表題の下に,それぞれ「保険料は一定で,保険金額が特別勘定の資産の運用実績に基づいて増減する生命保険です。」,「特別勘定とは・・・変額保険にかかわる資産の管理・運用を行うもので,他の保険種類にかかわる資産とは区分し,独立して管理・運用を行います。」「運用対象」につき,「上場株式,公社債等の有価証券を主体とした運用を行うこととし,具体的投資対象は国内外の経済・金融情勢,株式・公社債市況の動向等を勘案して決定します。」「ご契約者は,経済情勢や運用如何により高い収益を期待できますが,一方で株価の低下や為替の変動による投資リスクを負うことになります。」との記載があり,また,その右側にこれらと並べて「生涯を通じての保障3000万円+変動保険金」の表題の下に「死亡・高度障害のときは,3000万円(基本保険金)+変動保険金をお支払いします。この保障は,一生涯継続しま た,その右側にこれらと並べて「生涯を通じての保障3000万円+変動保険金」の表題の下に「死亡・高度障害のときは,3000万円(基本保険金)+変動保険金をお支払いします。この保障は,一生涯継続します。なお,運用の如何にかかわらず,死亡・高度障害のときは,基本保険金3000万円は保証し,お支払いします。」などと記載されていた。また,本件パンフレットには,40歳の男性が基本保険金3000万円の変額保険(一時払保険料849万6000円)に加入した場合を例として,変動保険金が増加する場合とこれが減少する場合をそれぞれ図示するとともに,その上部に「変額保険のしくみ」の表題の下に,「この保険は運用実績に応じて保険金額が変動します。」と記載されていた。さらに,本件パンフレットには,特別勘定の資産の運用実績例表が掲載され,運用実績が9パーセント,4.5パーセント,0パーセントの各場合に分けて,3年後,5年後,10年後,20年後,30年後及び40年後の各時点における死亡・高度障害保険金及び解約返戻金の額がそれぞれ記載されていた。なお,同表の上部には「変額保険は保険金額・返戻金額が変動するしくみの保険ですが」「例表の数値は,例示の運用実績が保険期間中一定でそのまま推移したものと仮定して計算したものであり確定数値ではありません。実際のお受取額は,運用実績および配当実績により変動(増減)しますので,将来のお支払額をお約束するものではありません。」と記載されており,また,同表の下部には,「例示の運用実績(9%,4.5%,0%)は,特別勘定にかかわるものであり,保険料全体に対するものではありません。なお運用実績については,事業年度ごとにご契約者にお知らせします。」と記載されていた。 (ウ) また,Eは,原告及びCに対し,変額保険を利用した相続税対策の仕組みに 料全体に対するものではありません。なお運用実績については,事業年度ごとにご契約者にお知らせします。」と記載されていた。 (ウ) また,Eは,原告及びCに対し,変額保険を利用した相続税対策の仕組みについて説明するため「相続税対策のための不動産担保ローンと一時払終身保険のセットプラン」と題する書面(以下「本件セットプラン」という。 甲30の1。)を交付した。本件セットプランには,「ご提案の趣旨」との表題の下に,土地を多額に所有しているが金融資産が少ない者にとっては相続税納税資金対策として相続税発生時にまとまった現金が入手できる生命保険を利用することが有効であるが,高額の保険料を継続的に負担することは困難であること,税法改正により,土地に関する従来の相続税対策は効果が相当低下することになったこと,これらに対して変額保険は自己資金負担なしで相続税納税資金準備と相続税評価額引下げとが可能となる画期的プランであることが記載され,その下に「保険プラン」の内容として,納税資金準備プランとしてAプランが,評価額引下げプランとしてBプランがそれぞれ記載されていた。 そして,本件セットプランには,このプランのメリットとして,自己所有の土地を担保に提供して銀行借入れを行うだけで,自己資金の負担なしで相続税対策を実行することができること,プランの実施に当たって,親子間で不動産を売買したり負担付贈与したりする際に生じる課税(譲渡所得税)等の問題が全く生じないこと,被保険者を被相続人の配偶者にした場合は相続税評価額の引下げ効果とともに2次相続の際の納税資金準備としても有効であることが記載されていた(甲30の1)。 (エ) その際,Eは,原告及びCに対し,「銀行借入金利用一時払終身(変額)保険による相続税発生時の資金収支効果シミュレーション(Cプラン)」と題する書面 であることが記載されていた(甲30の1)。 (エ) その際,Eは,原告及びCに対し,「銀行借入金利用一時払終身(変額)保険による相続税発生時の資金収支効果シミュレーション(Cプラン)」と題する書面(以下「本件シミュレーション1」という。甲30の3)を交付した。 本件シミュレーション1は,後記の本件シミュレーション2と同様の体裁の書面であったが,実際のBの資産を基に作成されたものではなく,他人の資産状況を基に本件セットプランを補充するための参考として作成されたものにすぎなかった。そのため,Eは,本件シミュレーション1について特にこれに基づく説明は行わなかった(甲30の3,証人E)。 (オ) Eは,その後,GからBの資産,家族構成及び融資可能額等を聴取し,これに基づいて明治生命保険代理社が作成した変額保険に加入した場合の相続税節減効果の試算のためのソフトを用いて,Bに相続が生じた場合のシミュレーション(「銀行借入金利用一時払終身(変額)保険による相続税節税効果シミュレーション(Bプラン)」と題する書面。甲30の4,5。 以下「本件シミュレーション2」という。),「銀行借入金利用一時払終身(変額)保険による相続税納税資金繰りシミュレーション(A-1)」と題する書面。甲30の2。以下「本件シミュレーション3」という。))を作成した(証人E)。 (カ) そこで,Eは,同月ないし同年10月ころ,原告宅を訪問し,原告及びCに対し,本件シミュレーション2及び本件シミュレーション3を交付した。本件シミュレーション2は,変額保険に加入した場合とそうでない場合の相続税及び資金収支の比較を,具体的数値を記載し,表にしたものであった。 本件シミュレーション2は「相続税額の比較」の欄を「対策前」,「対策後」及び「節税効果」に分け,「対策前」欄には「現在の課税価格」,「 及び資金収支の比較を,具体的数値を記載し,表にしたものであった。 本件シミュレーション2は「相続税額の比較」の欄を「対策前」,「対策後」及び「節税効果」に分け,「対策前」欄には「現在の課税価格」,「基礎控除」,「課税遺産額」及び「相続税」の各項目を設け,「対策後」欄には「現在の課税価格」,「生命保険契約の権利」,「借入金」,「合計課税価格」,「基礎控除」,「課税遺産額」及び「相続税」の各欄を設け,対策前の相続税と対策後のそれとの差額を「節税効果」に記載し,そのそれぞれにつき相続発生時期が1年ないし20年の場合の数値が,契約締結から1年ないし10年後までの毎年の数値,15年後及び20年後の各数値が,試算され記載されていた。また,「資金収支の比較」については,「対策前」と「対策後」及び「プラス効果」とに分け,それぞれ「金融資産」,「相続税」及び「資金収支」の各欄を設け,その差額として「プラス効果」の欄を設け,それぞれ相続発生時期が1年ないし20年の場合の数値が試算されて記載されていた。 なお,本件シュミーション2は,相続人は法定相続人子供2人,遺産分割割合は法定相続分どおり,財産は土地10億0416万円,金融資産マイナス6000万円,生命保険はBプラン,すなわち,被保険者をC,契約者をB,保険金受取人を被相続人,保険金は14億円,保険料は5億2848万円,借入金は5億2848万円,金利は8.9パーセント,土地の価格は毎年7パーセント上昇するものとし,変額保険の特別勘定の運用利率を毎年9パーセントと想定し,計算したものであった。 Eは,本件シミュレーション2を原告及びCに示し,特に1次相続の発生が契約締結時から5年目に起きた場合にどのような効果が発生するかについて説明をした。本件シミュレーション2の相続開始時期が契約から5年目の「相続税の ーション2を原告及びCに示し,特に1次相続の発生が契約締結時から5年目に起きた場合にどのような効果が発生するかについて説明をした。本件シミュレーション2の相続開始時期が契約から5年目の「相続税の比較」の欄には以下の記載があった。 a 対策前(a) 現在の課税価格 13億4839万円(b) 基礎控除 5600万円(c) 課税遺産額 12億9239万円(d) 相続税 7億6428万円b 対策後(a) 現在の課税価格 13億4839万円(b) 生命保険契約の権利 5億2848万円(c) 借入金 8億0940万円(d) 合計課税価格 10億6747万円(e) 基礎控除 5600万円(f) 課税遺産額 10億1147万円(g) 相続税 5億6764万円c 節税効果 1億9664万円また,本件シミュレーション2の相続開始時期が契約時から5年目の「資金収支の比較」の欄には以下のとおりの記載があった。 d 対策前(a) 金融資産マイナス6000万円(b) 相続税マイナス7億6428万円(c) 資金収支マイナス8億2428万円e 対策後(a) 金融資産マイナス6000万円(b) 相続税マイナス5億6764万円(c) 資金収支マイナス6億2764万円f プラス効果 1億9664万円なお,本件シミュレーション2の作成に当たっては,被告銀行から金員を借り入れる際に要することが見込まれる抵当権設定費用,保証料等の諸費用及び解約返戻金に課せられる所得税や住民税は考慮されていなかった。また,解約返戻金及び保険料については,いずれもその記載がなかった(甲30の4,5,証人E)。 れる抵当権設定費用,保証料等の諸費用及び解約返戻金に課せられる所得税や住民税は考慮されていなかった。また,解約返戻金及び保険料については,いずれもその記載がなかった(甲30の4,5,証人E)。 (キ) Eは,原告及びCに対し,本件シミュレーション2とほぼ同様の体裁の本件シミュレーション3を交付したが,これはCが死亡し,生命保険金を受け取ることを前提としたものであり,2次相続対策についての説明の趣旨で交付されたものであった(甲30の2,証人E)。 (ク) Eは,上記各書類を原告及びCに交付するとともに,変額保険について,その保険料はこれを株の投資などで運用するものであることから,株価が上がれば生命保険金及び解約返戻金の金額も上昇するが,株価が下がればそれらの金額が減少するものであると説明した(証人E,同C)。 (ケ) もっとも,Eは,原告及びCに対し,相続税の支払原資,変額保険の過去の運用実績がどのように推移しているか,解約返戻金に所得税が課されるかどうか,変額保険の特別勘定の運用利率が4.5パーセント,0パーセントの各場合のシミュレーションがどのようになるか等についての説明等はしなかった(証人E,同C)。 (コ) 原告及びCは,Bが死亡した場合の相続税の節税のために被告銀行から本件各変額保険の一時払保険料及びその利息の支払に充てるため金員を借り入れ,本件各変額保険に加入することを決意し,平成2年10月11日,被告明治安田生命に加入を申し込むこととし,被告明治安田生命の変額保険の申込書の契約者欄のBの名前を代筆し,被保険者欄に署名し,それぞれ押印した(乙1)。 (サ) Eは,このころ,原告及びCに対し,被告明治安田生命の「ご契約のしおり-定款・約款」を交付した(乙4,証人E)。なお,この「ご契約のしおり-定款・約款」には,変額保険は,そ 印した(乙1)。 (サ) Eは,このころ,原告及びCに対し,被告明治安田生命の「ご契約のしおり-定款・約款」を交付した(乙4,証人E)。なお,この「ご契約のしおり-定款・約款」には,変額保険は,その保険料の一部を,特別勘定を設定して株式,公社債等の有価証券に投資すること,運用利回りが良ければそれに伴い保険金・解約返戻金も増加するが,悪ければ基本保険金は保証されるものの,解約返戻金は減額される可能性があると記載されている。 (シ) Cは,同月12日,生命保険に加入するための診査を受けた(証人E,同C)。 (ス) Eは,変額保険は1社につき保険金額の上限が3億円であり,被告明治安田生命以外の保険会社の変額保険にも加入する必要があったことから,以前より仕事を通じて知り合いであった被告明治安田生命以外の保険会社の担当者に変額保険に加入する見込みがある客としてBを紹介した。 ウその余の被告生保各社の本件各変額保険への加入(ア) 被告日本生命の担当者であるFは,平成2年10月上旬ころ,Eから,電話でBを紹介された。Fは,Eから,Bの名前及び生年月日,保険金額,同月12日に生命保険に加入するための審査をすることを聞かされた。Fは,被告日本生命の保険医の都合を確認した上,同日,原告宅を訪れた(丙11,証人F)。 Fは,本件パンフレットとほぼ同様の体裁の変額保険契約の設計書を作成し,同日,Cにこれを交付した(丙1,証人F)。 Fは,同月19日,再び原告宅を訪問し,設計書,「ご契約のしおり-定款・約款」を交付した(丙5,11,証人F)。原告及びCは,同日,被告日本生命の変額保険の申込書の契約者欄のBの名前を代筆し,被保険者欄に署名し,それぞれ押印した(丙6,証人F)。 なお,被告日本生命は,Cの保険年齢が56歳になり保険料が変更になったことから,同年 日本生命の変額保険の申込書の契約者欄のBの名前を代筆し,被保険者欄に署名し,それぞれ押印した(丙6,証人F)。 なお,被告日本生命は,Cの保険年齢が56歳になり保険料が変更になったことから,同年12月3日,「ご契約内容変更了解書」をCに交付し,原告及びCはこれに署名した上,返送した(丙12)。 (イ) 被告住友生命の担当者は,平成2年10月ころ,Eから,変額保険の加入希望者がいるので設計書を作成してほしい旨依頼され,保険金額3億円とする設計書を作成し,Eに交付した。 原告及びCは,同月22日,被告住友生命の変額保険の申込書の契約者欄のBの名前を代筆し,被保険者欄に署名し,それぞれ押印した(丁2)。 (ウ) 被告エイアイジー・スター生命の担当者であるJは,Eから,変額保険の加入見込み客がいるので設計書を作成してもらいたいと依頼されたが,以前,Eから数件の変額保険への加入希望者の紹介を受けた際も,顧客に対する変額保険についての説明はEにより行われていたことから,今回もEの依頼に応じ,保険金額を3億円とする設計書を作成して,Eに交付した。 Jは,平成2年10月12日,被告エイアイジー・スター生命の保険医とともに,診査のため,原告宅を訪れた。Jは,変額保険の申込書,「ご契約のしおり-定款・約款」を原告及びCに交付した。原告及びCは,被告エイアイジー・スター生命の変額保険の申込書の契約者欄のBの名前を代筆し,被保険者欄に署名し,それぞれ押印した(戊1,3,弁論の全趣旨)。 (エ) 被告第百生命の担当者は,平成2年10月ころ,E及びエフピーコンサルティングの担当者であるKから,変額保険の加入見込み客がいるので設計書を作成してほしいとの依頼を受け,E及びKから,Cの性別,生年月日等を聞いて,保険金額を3億円とする設計書を作成した。 被告第百生命の担 グの担当者であるKから,変額保険の加入見込み客がいるので設計書を作成してほしいとの依頼を受け,E及びKから,Cの性別,生年月日等を聞いて,保険金額を3億円とする設計書を作成した。 被告第百生命の担当者は,平成2年10月ころ,エフピーコンサルティングの事務所を訪問し,E及びKに対し,変額保険のパンフレットと設計書を交付し,原告らに渡すよう依頼した。 被告第百生命は,原告らに対する変額保険についての説明を被告明治安田生命との関係で既にEが行っているため別途行わないことにし,また,健康診断についても,被告明治安田生命の診査結果を,被保険者の承諾を得た上,使用することとなった。 被告第百生命は,同年11月6日,Cの診査の結果,変額保険の加入に問題がないとの結果が出たので,エフピーコンサルティングの事務所を訪れ,E及びKに対し,「ご契約のしおり-定款・約款」及び変額保険の申込書を交付し,原告らに渡すよう依頼した。 原告及びCは,被告第百生命の変額保険の申込書の契約者欄のBの名前を代筆し,被保険者欄に署名し,それぞれ押印した(庚1,4)。 (オ) なお,被告生保各社の設計書は,本件パンフレットと同様,特別勘定の資産の運用実績例表が掲載され,その運用実績として9パーセント,4.5パーセント,0パーセントの各場合に分けて,それぞれ年齢別における死亡高度障害保険金及び解約返戻金の額が記載されていた。 また,被告生保各社の「ご契約のしおり-定款・約款」には,被告明治安田生命のそれと同様,変額保険は,その保険料の一部を,特別勘定を設定し,株式,公社債等の有価証券に投資すること,運用利回りが良ければそれに伴い保険金・解約返戻金も増加するが,悪ければ基本保険金は保証されるものの返戻金は減額される可能性がある旨記載されていた。 エ本件融資契約及び本件保証委託契約 すること,運用利回りが良ければそれに伴い保険金・解約返戻金も増加するが,悪ければ基本保険金は保証されるものの返戻金は減額される可能性がある旨記載されていた。 エ本件融資契約及び本件保証委託契約の成立Gは,同月中旬,原告宅を訪れ,原告及びCに対し,本件融資契約,本件保証委託契約及び根抵当権の設定についての説明を行った。なお,Cは,融資を受けた貸金を返済できないと根抵当権が実行されることが有り得ることを認識していた(証人G,同C)。 前記争いのない事実記載のとおり,Bは,同月16日,被告銀行との間で本件融資契約を締結し,また,同日,被告保証会社との間で,本件保証委託契約を締結した。 オ Bは,平成2年11月22日,被告生保各社に対し,本件各変額保険の一時払保険料をそれぞれ支払い,同年12月1日付けで被告生保各社との間で本件各変額保険契約が成立した。 (3) 本件各変額保険契約解約の経緯ア被告生保各社は,平成3年から毎年12月ころ,契約者であるBに対し,変額保険の特別勘定の資産の内訳及び特別勘定の運用収支状況について知らせるため,変額保険金及び解約返戻金の額が記載された通知を送付した。(乙13ないし17,丙2ないし4,丁6ないし9,戊8,庚6,弁論の全趣旨)。 イ本件各変額保険の特別勘定の運用実績は,いずれもマイナス運用であり,解約返戻金が減少し,一時払保険料を下回っていた。 ウ Cは,平成6年ころ,Gを引き継いだ被告銀行のMに対し,大分損が出ているが大丈夫かと尋ねた(証人C)。 エ原告及びCは,本件各変額保険の運用状況が悪化していることに不安を覚え,被告日本生命に勤務していた二男の嫁に変額保険の運用状況について,調査を依頼した。原告及びCは,上記調査の結果を踏まえ,平成6年ころ,長男に相談をしたところ,長男から,本件各変額 ことに不安を覚え,被告日本生命に勤務していた二男の嫁に変額保険の運用状況について,調査を依頼した。原告及びCは,上記調査の結果を踏まえ,平成6年ころ,長男に相談をしたところ,長男から,本件各変額保険契約の解約を勧められたため,本件各変額保険契約を解約することとし,前記争いのない事実記載のとおり,本件各変額保険契約を解約した(証人C)。 オ Bは,被告生保各社から,それぞれ,解約返戻金を受け取ったところ,いずれも一時払保険料を下回るものであった。Cは,株が下がったからそのような結果になったものであると認識した(証人C)。 カ原告は,平成9年5月2日,本件融資契約に基づくBの債務を承認した上,他の相続人が承継した分の債務を単独で免責的に引き受けた(辛21)。 (4) 本件各変額保険契約締結前後の経済動向ア前判示のとおり,日経平均株価は,昭和62年10月20日,ニューヨーク株式市場の暴落直後,一時下落したが,翌日には回復し,昭和63年12月には3万円台に乗せ,平成元年の年末には3万8915円87銭の史上最高値を記録するなど,株価がほぼ一貫して右肩上がりの上昇を続けていたが,この間,株価とともに大都市部の地価も急騰していた。 しかし,平成2年に入ると,2月から4月にかけて,株価は大幅に値を下げ(2月の最低値は3万3321円87銭,3月のそれは2万9843円34銭,4月のそれは2万8002円07銭),5月から7月にかけて,やや持ち直し3万円台に回復したものの,中東情勢の影響等もあり,同年8月以降10月にかけて,再び暴落した(10月の最低値2万0221円86銭)(公知の事実)。 イ変額保険は,前判示のとおり,特別勘定を設けて,有価証券に投資して運用するため,株価の動向にほぼ並行する形でその運用利率が変化した。すなわち,平成元年末にかけては,保 円86銭)(公知の事実)。 イ変額保険は,前判示のとおり,特別勘定を設けて,有価証券に投資して運用するため,株価の動向にほぼ並行する形でその運用利率が変化した。すなわち,平成元年末にかけては,保険会社各社とも軒並み高い利回りで運用していたが株価の下落に伴いその運用実績も低下し,同年10月ころには,株価が高い時期つまり平成元年に変額保険に加入した者は,その運用がマイナスになった(戊10,11)。 その後,平成3年ころに一時期株価を戻したものの,平成4年3月からは更に株価が大幅に値を下げ,それに伴い変額保険の運用も悪化した。 ウ経済企画庁は,「平成景気の山は平成3年4月」との公式見解を発表し,この結果,昭和61年11月から始まった平成景気は53か月で終わり,景気後退は平成3年5月から始まったこととなる。 もっとも,平成2年当時は,企業が大規模な設備投資等を行っており,景気が後退するという見方は一般的ではなく,むしろ,平成2年初頭からの株価下落は一時的なもので株価は持ち直すという見解が一般的であった。 2 争点1(融資一体型変額保険が欠陥商品かどうか)について原告は,融資一体型変額保険は相続税対策とならない欠陥商品であり,E及びGがそのような欠陥商品の売買を勧誘したことは違法である旨主張する。 ところで,Bプランによる変額保険に関しては,相続税の課税価格の計算上,相続により取得した財産(相続財産)と見なされる保険料については,その運用益のいかんにかかわらず,一時払保険料の額のみが課税価格として計上される一方で,相続財産から控除される被相続人の債務としては,金融機関から借り入れた,一時払保険料等(一時払保険料のほか,保証会社に支払うべき保証料及び抵当権設定登記手続費用を含む。)の支払に充てるための借入金のほか,その利息の支払に充てるための としては,金融機関から借り入れた,一時払保険料等(一時払保険料のほか,保証会社に支払うべき保証料及び抵当権設定登記手続費用を含む。)の支払に充てるための借入金のほか,その利息の支払に充てるための借入金を含めた金額が,これに計上されるところから,借入金の総額と一時払保険料の額の差額につき減税効果が得られることになる。 しかしながら,他方で,変額保険の加入により,新たに,上記借入金の返済や,後記のとおり,変額保険の運用益に対する所得税及び住民税納付を負担することになるところ,その支払原資としては,1次相続にあっては,変額保険を解約しその解約返戻金をもってこれに充て,2次相続にあっては,その相続時点まで変額保険契約や融資契約を継続し,その死亡保険金をもってこれに充てることになるが,解約返戻金の場合はもとより,死亡保険金においても,その一定額の保証はあるもののこれを超える金額については,特別勘定に組み入れられた保険料の運用実績いかんにかかわってくるところから,変額保険の加入により,全体として減税メリットを得ることができるかどうかは,借入金の利率と特別勘定に組み入れられた保険料の運用の利益率ないしその運用実績との相関関係いかんによることになる。そして,理論的には,保険料の運用利率が借入金の利率を凌駕する場合もあり得ることであり,そうなれば,運用益に対する課税の点を考慮しても,全体として相続税について減税メリットを得ることができるものといわざるを得ない。 そうしてみると,融資一体型変額保険がおよそ相続税対策にならない欠陥商品であることを理由に,E及びGの本件各変額保険の勧誘行為が違法であるとする原告の主張は失当であって,採用することができない。 3 争点2(説明義務違反)について(1) 変額保険の加入を勧誘する場合の説明義務についてア E及びGの本件各変額保険の勧誘行為が違法であるとする原告の主張は失当であって,採用することができない。 3 争点2(説明義務違反)について(1) 変額保険の加入を勧誘する場合の説明義務についてア原告は,生命保険会社の担当者が顧客に対し,変額保険の加入を勧誘するに当たっては,信義則上,変額保険の有するリスク,その運用実績及びいかなる場合にこれが相続税対策になるかについて説明をする義務があると主張する。 そこで,まず,変額保険を勧誘する者にこのような説明義務があるかどうかについて検討する。 イ本来,生命保険等の金融商品を購入する者は,これを勧誘する者が提供する情報等を参考にしながらも,自らの責任において,その商品の仕組みやリスクの有無及び程度について判断すべきものである。 しかしながら,変額保険は,従来の定額保険と異なり,特別勘定の運用実績が直接保険金額及び解約返戻金額に反映し,保険契約者において特別勘定の運用リスクを負うことになる性質を有するものであり,旧募取法による規制や通達による行政指導及び生命保険会社の自主規制による措置が講じられていることは上記のとおりである。特に,相続税対策を目的としたBプランによる融資一体型変額保険は,上記のとおり,特別勘定の運用利回りが良く,その運用実績が極めて良好であれば,全体としての相続税の減税効果を期待できるものではあるものの,逆に運用実績が上がらなければ,その減税効果を得ることはできず,むしろ損失を被ることになるハイリスクの商品であることに留意を要する。すなわち,Bプランによる融資一体型変額保険は,1次相続の際にこれを解約すると,相続人においては,これに加入していなかった場合に比べて,利息を含む借入金と支払保険料との差額に相当する金額に一定の税率を乗じて得られる金額につき相続税の支払を免 は,1次相続の際にこれを解約すると,相続人においては,これに加入していなかった場合に比べて,利息を含む借入金と支払保険料との差額に相当する金額に一定の税率を乗じて得られる金額につき相続税の支払を免れるという借入れによる減税メリットに加え,特別勘定に組み入れられた資産の運用を前提とする解約返戻金の支払を受けられるという利点がある一方で,その一部を特別勘定に組み入れた保険料額を含む金融機関からの借入金やその利息の支払に加え,特別勘定の運用益に対する所得税及び住民税の納付の負担という不利益を負うことになる。そして,上記解約返戻金は,基本保険金を前提として一時払保険料の払込後の経過年数に基づいて計算された金額と,払込保険料を原資に特別勘定で管理された特別勘定資産のうち当該保険契約にかかわる部分である積立金額から基本保険金を支払うために必要な金額等を控除した金額の合計額からなるが,このように,特別勘定として,株式や債券等の有価証券に投資してその運用を図るべき資産の原資となる払込保険料は,その全額ではなくその一部が特別勘定に組み入れられるにとどまり,また,このような資産が運用益を生み出すかどうかは,株価や為替等の変動いかんによることになるが,運用益を生み出すためには,株式や債券等の市況が継続的に好況を維持することを要するところ,このような運用益が得られるかどうかの危険は,保険加入者側のみが負担し,実際にその運用に当たる保険会社はこれを負担するものではない。 これに対し,保険加入者側が金融機関に対して返済すべき借入金(元本及び利息)は,その元本の額については市況に左右されず定額であって上記投資の対象となる保険料の額に比べて過大であり,また,その利息についても,その額を決定する利率は,市況等に応じて変動することはあっても,これがマイナスになること ては市況に左右されず定額であって上記投資の対象となる保険料の額に比べて過大であり,また,その利息についても,その額を決定する利率は,市況等に応じて変動することはあっても,これがマイナスになることはない(この点,上記特別勘定に組み入れられた資産の運用としての投資においては,株式等の売買により,その資産がマイナスになることがあることと著しい対照をなす。)ところから,保険加入者側は,借入元本額に加えて確実に累積していく利息の支払を避けることができない。 これらの点に加えて,保険加入者ないしその相続人は,上記特別勘定による運用益について所得税及び住民税をも負担しなければならないものであることをも考慮すると,Bプランによる融資一体型変額保険が全体として相続税対策として意味を持つのは,上記借入れによる減税メリットを考慮しても,契約締結後1次相続発生までの期間を通じ,変額保険の運用利率が保険料支払のための借入金の金利をはるかに凌駕するといった例外的な場合に限られるというべきである。そして,最終的に上記融資一体型変額保険が相続税対策として有効であるかどうかは,前記のとおり,これらの変額保険の運用利率や保険料支払のための借入金の金利に加え,相続財産の価格の増減,税制度の変遷及び相続開始時期等といった不確定要素に左右されるものであるところ,これらの要素を,変額保険の契約締結時に予測することは極めて困難といわなければならない。 以上の,相続税対策として融資一体型変額保険に加入する場合の利害得失,変額保険の構造ないし性質,とりわけ,その特別勘定に組み込まれた資産の運用の危険はその運用に当たる保険会社ではなく,保険加入者が負担すべきものであること,変額保険が相続税対策として最終的に有効なものとなるかどうかの予測は極めて困難であることに加え,これが有効とな 産の運用の危険はその運用に当たる保険会社ではなく,保険加入者が負担すべきものであること,変額保険が相続税対策として最終的に有効なものとなるかどうかの予測は極めて困難であることに加え,これが有効となる場合が極めて限られているリスクの高い金融商品であること及び前記旧募取法の各規定や生命保険協会の自主規制の趣旨等を考慮すると,このようなリスクの高い変額保険を売り出す保険会社ないしその担当者が,一般顧客に対し,変額保険の加入を勧誘するに当たっては,当該顧客が変額保険加入の可否について適切な判断ができるようにするため,抽象的一般的に変額保険の仕組みやその危険性等を説明するだけでは足りず,上記利害得失や変額保険の構造及び性質に加え,その解約返戻金等が株価や証券等の変動により左右されるものであり,相続税対策として効果があるのは典型的には上記のとおり限られた場合に限られるものであること及びそのゆえん等を具体的に説明すべき信義則上の義務があるというべきである。そして,上記担当者が,変額保険の加入の勧誘をするに当たり,漫然と変額保険の有利性のみを強調し,一般の顧客をして,変額保険の加入の可否に関する適切な判断ができないまま契約締結に至らしめた場合には,そのような勧誘行為は,違法であって,不法行為を構成するものというべきである。 ウなお,被告らは,変額保険契約と融資契約は法的には別個の契約であり,変額保険のリスクの他に,融資契約と組み合わせた場合の仕組み及びリスクについては説明義務を負わない旨主張する。 確かに,変額保険契約と融資契約は法的には別個の契約であるが,相続税対策としての融資一体型変額保険の構造や機能は上記のとおりであり,両者は,相続税の節減効果を享受するという目的・動機を一にして一体的に結合しており,経済的な機能の点で一体不可分のものであっ ,相続税対策としての融資一体型変額保険の構造や機能は上記のとおりであり,両者は,相続税の節減効果を享受するという目的・動機を一にして一体的に結合しており,経済的な機能の点で一体不可分のものであって,被告らの主張は採用することができない。 (2) Eの説明義務違反の有無についてア Eが原告及びCに対して本件各変額保険の加入を勧誘するに当たり,上記義務違反が認められるか否かについて検討する。 この点,Eは,原告及びCに対し,変額保険が,従来の定額保険と異なり,その保険料の一部を特別勘定に組み入れ,株式や公社債の証券取引等に投資してこれを運用するものであり,その運用利回りが下がれば,解約返戻金の額が保険料の額を下回ることがあり得ることについて,特別勘定の資産の運用実績を0パーセント,4.5パーセント,9パーセントとした場合における解約返戻金及び死亡保険金の額が経過年数に応じて変動する推移等が記載された本件パンフレットや「ご契約のしおり-定款・約款」を交付し,また,変額保険は,株式等の取引に投資して運用するものであり,株価が上がれば保険金や解約返戻金の額が増加するが,株価等が下がれば損をする場合もあり得る旨口頭で述べるなどして説明していること,さらに,Eが,変額保険を利用した相続税対策の仕組みについて説明するため,原告及びCに対し,変額保険の種類や変額保険が相続税納税資金の準備や相続税評価額の引下げに有効である旨が記載された本件セットプランを交付するとともに,実際のBの資産,家族構成及び融資可能額等に基づき,特別勘定の運用利率が9パーセントである場合のBプランによる融資一体型変額保険による相続税の節税効果等を試算した本件シミュレーション2等を作成して,原告及びCに交付したこと,他方,CもEのこれらの説明等を聞くなどして,変額保険の特 ある場合のBプランによる融資一体型変額保険による相続税の節税効果等を試算した本件シミュレーション2等を作成して,原告及びCに交付したこと,他方,CもEのこれらの説明等を聞くなどして,変額保険の特別勘定の運用利回りによっては損失を被る可能性もあり,相続税対策にならないことが有り得ることを認識し,理解したこと前判示のとおりである。したがって,原告及びCとしては,Bプランによる融資一体型変額保険の一般的な仕組みやこれが相続税対策の商品としてリスクを伴うものであることを抽象的には認識し,理解していたものと推認される。 イしかしながら,Eの原告及びCに対する変額保険についての説明は,上記のものにとどまるものであり,それ以上に,Eが,相続税の支払原資がどうなるか,変額保険の過去の運用実績(特に,Bが本件各変額保険に加入した当時,特別勘定の運用実績がマイナスの状態であったこと),将来これがどのように推移することが見込まれるか,特別勘定による運用益に対して所得税や住民税が課されるかどうかについて何ら言及しておらず,また,Bの資産等を基に変額保険に加入した場合とそうでない場合の節税効果等について,本件シミュレーション2として試算しているものの,これは,特別勘定の運用利率を9パーセント,借入金の金利を8.9パーセントとした場合のものであり,運用利率がそれ以下の場合については試算していないこと前判示のとおりである。 そして,また,本件シミュレーション2は,借入金全額が特別勘定に組み入れられて運用される場合を内容とするものであり,金融機関から借入れをするに当たり必要な保証料や抵当権設定登記のための費用,更には,通常は,払込保険料のうち一般勘定に組み入れられるため,特別勘定に組み入れられない金額についての説明がされていない上,相続税や借入金及びその利 たり必要な保証料や抵当権設定登記のための費用,更には,通常は,払込保険料のうち一般勘定に組み入れられるため,特別勘定に組み入れられない金額についての説明がされていない上,相続税や借入金及びその利息の支払原資いかんについて言及されていないことが認められる(甲30の4)。したがって,本件シミュレーション2は,これからは,変額保険への加入が,Bにとって,借入金及びその利息の支払をも含めた全体としての相続税対策になるものかどうかを判断することはできず,専ら,相続税それ自体の減税効果があることのみを強調するものとなっている。もっとも,上記のとおり,本件パンフレットには,特別勘定の資産の運用利率が9パーセントの場合にとどまらず,0パーセント,4.5パーセントの各場合における経過年数に応じた解約返戻金等の試算額が掲載されており,それぞれの場合によって,それぞれ同一の時点における解約返戻金の額が異なるとともに経過年数によって解約返戻金の額が増加し,また,減少していく状況が明らかに見て取れるものとなっているものの,これは,本件シミュレーション2とは異なり,Bの資産等を基にした試算ではない上,相続税対策を想定したものではなく,40歳の男性契約者が変額保険に加入した場合の運用実績に関するものであって,本件各変額保険の場合とは,その加入の目的はもとより,契約者等の年齢や,保険金額及び保険料の額等のその前提も異なっているのであって,Bが本件各変額保険に加入するかどうかを判断する資料としては不十分なものというべきである。 以上の点に加え,Eから原告及びCに対して交付された本件セットプランが,Bプランを含む融資一体型変額保険が自己資金を用意しなくとも銀行からの借入れのみで相続税の納付が可能となる相続税対策として画期的なものであることを強調する内容のものであ 付された本件セットプランが,Bプランを含む融資一体型変額保険が自己資金を用意しなくとも銀行からの借入れのみで相続税の納付が可能となる相続税対策として画期的なものであることを強調する内容のものであること,他方,前判示のとおり,Cは,原告が昭和63年に病で倒れて後は,Bや原告の財産を自ら管理しているとはいっても,高校を卒業後間もなくして家庭に入った専業主婦であって,不動産取引や金融取引に通じているわけではなく,また,当時85歳と高齢のBはもとより,昭和63年に病に倒れて以降その財産管理等をCに委ねてきていた原告においても,本件各変額保険契約締結時に,複雑な取引の仕組み等を良く理解できる状況にはなかったものであること及びGやEが変額保険の加入を勧誘するようになった後,Bの名義で本件各変額保険の申込書を作成提出するに至った経緯をも考慮すると,Eの原告及びCに対する融資一体型変額保険についての説明及びその際交付された資料によっては,原告及びCにおいて,融資一体型変額保険のおおよその仕組みや,これが,特別勘定の資産の運用率いかんでは,いわゆる元本割れが生じて保険加入者に損失が出ることがあるハイリスクの金融商品であって,全体として相続税対策にならない場合があることを漠然と理解し,認識し得たとしても(現に,この点を認識していたことは前判示のとおりであり,その意味で本件各変額保険契約等の締結につき,原告やCに要素の錯誤がなかったことは後記のとおりである。),これが具体的にどのような構造のものであり,いかなる要因が作用して,相続税の納付にとどまらず,借入金の返済を含めた全体としての相続税対策になるのかといった具体的な問題点や,とりわけ,上記のとおり,変額保険が相続税対策として機能するのは,むしろ,特別勘定の運用利率が借入金の金利をはるかに凌駕すると 返済を含めた全体としての相続税対策になるのかといった具体的な問題点や,とりわけ,上記のとおり,変額保険が相続税対策として機能するのは,むしろ,特別勘定の運用利率が借入金の金利をはるかに凌駕するといった,ごく限られた場合にとどまるという性質や,そのリスクの程度等についてまで,これを認識し,理解していたものとは認められない。 ウそうしてみると,Eは,本件各変額保険の加入を勧誘するに当たり,その有利性のみを強調し,また,原告及びCとしてもその加入の可否に関する適切な判断ができないままこれに応じたものというべきであり,Eの勧誘行為には,その説明義務を尽さない違法があるものというべきである。 4 争点3(被告らの責任)について(1) 被告明治安田生命の責任上記3(2)のとおり,Eの勧誘行為は違法なものというべきところ,Eは,被告明治安田生命の代理社に所属し,Bを同被告の変額保険に加入させるため同勧誘行為を行なったものであるから,被告明治安田生命は,民法715条の使用者として,また,生命保険の募集人等がその募集につき保険契約者に加えた損害についてはその所属する保険会社において賠償の責めに任ずる旨規定する旧募取法11条1項に基づき,上記Eの勧誘行為によって生じたBの損害について賠償の責めを負うものというべきである。 (2) その余の被告生保各社の責任アその余の被告生保各社は,その担当者が,本件各変額保険契約の締結に当たり,又はこれに先立ち,原告及びCに対し,変額保険の勧誘を行なっているわけではなく,また,したがって,本件各変額保険の内容やリスク等について何ら説明をしていないこと前判示のとおりである。 しかしながら,その余の被告生保各社がBとの間でそれぞれ本件各変額保険契約を締結するに至ったのは,Bが変額保険を利用した相続税対策を立てる ついて何ら説明をしていないこと前判示のとおりである。 しかしながら,その余の被告生保各社がBとの間でそれぞれ本件各変額保険契約を締結するに至ったのは,Bが変額保険を利用した相続税対策を立てるためには,約15億円の保険金の生命保険に加入することを要するところ,前記のとおり保険金の額に上限が設けられ,被告明治安田生命1社のみでは,これに対応することができないところから,Eにおいてその余の被告生保各社に対し,本件各変額保険契約の当事者として参加するよう働き掛けがあったためであり,また,当時,相続税対策の変額保険の加入に当たり,複数の生命保険会社が協力し合って,同時に複数の変額保険の保険者となることが頻繁に行なわれていたことも前判示のとおりである。したがって,その余の被告生保各社の担当者とも,Bが本件各変額保険に加入する目的や事情及びその経緯等についても良く認識し,これを前提に,Eの原告及びCに対する本件各変額保険の勧誘における説明の内容等も了解・容認した上で(仮に,その余の被告生保各社がこれを容認していないとすれば,変額保険の加入を勧誘する者として,変額保険の危険性等の状況等について自ら直接原告及びCに対して説明すべき義務を負うものというべきところ,これを行なっていないこと前判示のとおりである。),Bとの間で,本件各変額保険契約を締結したものと認められる。そうすると,本来,変額保険の勧誘に当たり前記説明義務を負うべき生命保険会社であるその余の被告生保各社の担当者において,Eの説明義務違反の違法状態を承継するか,又は自ら直接説明義務を尽さない違法があるものというべきである。 ところで,その余の被告生保各社は,Eが原告及びCに対して変額保険の仕組みやリスクについて説明を尽しているから,Eの勧誘行為及びこれを前提とするその余の被告生保 違法があるものというべきである。 ところで,その余の被告生保各社は,Eが原告及びCに対して変額保険の仕組みやリスクについて説明を尽しているから,Eの勧誘行為及びこれを前提とするその余の被告生保各社の本件各変額保険契約の締結等に違法はない旨主張するが,Eが本件各変額保険の加入を勧誘する際,原告及びCに対して説明義務を尽していないこと前判示のとおりであり,その余の被告生保各社のこの点の主張は理由がない。 イその余の被告生保各社の担当者の前記違法は,その余の被告生保各社の各業務執行の過程において行なわれたものであることが明らかであるから,その余の被告生保各社は民法715条1項に基づき,原告に対し,その損害賠償責任を負うものというべきである。 ウなお,被告日本生命は,その担当者であるFが,原告宅を訪れ,変額保険についての説明を行った旨主張し,証人Fの証言中にも,Fが原告宅を訪れ,原告及びCに対して設計書及び「ご契約のしおり-定款・約款」を交付し,申込書に原告及びCに署名,押印をしてもらった旨の部分がある。そして,Fの手帳(丙11)の平成2年10月12日の欄には原告宅の所在地が記載され,同月19日の欄には,「○○○」と原告宅に来訪したことを裏付ける記載があるところからすると,証人Fの上記証言部分は信用するに足り,これに反する証人Cの供述は採用することができない。しかしながら,Fが,Eから変額保険についての説明を受け,既にこれに加入する意思を表明している原告及びCに対し,改めてその説明をするというのは不自然であり,また,Fの証言にあいまいな点があることをも考慮すると,Fの上記証言部分をもって,Fが,原告及びCに,変額保険に関し,口頭でその説明を行ったものと認めることはできない。したがって,被告日本生命の上記主張を採用することはできない。 ることをも考慮すると,Fの上記証言部分をもって,Fが,原告及びCに,変額保険に関し,口頭でその説明を行ったものと認めることはできない。したがって,被告日本生命の上記主張を採用することはできない。 (3) 被告銀行の責任についてアいわゆる融資一体型変額保険における融資契約と変額保険契約の関係は,それぞれ前者が後者の手段,後者が前者の目的となるべきものではあるが,とりわけ,相続税対策を目的とする融資一体型変額保険においては,それにとどまらず,前記のとおり,利息を含む融資金額と一時払保険料の額との差額に減税効果を見いだすことを目的とするものである。したがって,融資契約の締結は,このような相続税対策のスキームの中に取り込まれ,それ自体自己目的化しており,その経済的な機能は,変額保険契約と一体不可分のものであって,融資をする側もこれに重大なかかわりを持っているというべきである。したがって,金融機関の担当者が,顧客に対し,顧客に融資する前提で,相続税対策として融資一体型変額保険を紹介し,また,その加入を勧誘するような場合には,生命保険会社の担当者と同様,顧客が融資一体型変額保険の仕組みやその危険性等について十分に理解することができるようにするため,その利害得失や変額保険の構造及び性質に加え,変額保険の解約返戻金等が株価や証券の価格の変動等により左右されるものであり,相続税対策として効果があるのはごく限られた場合にとどまるものであること及びそのゆえん等を具体的に自ら説明し,又は生命保険会社の担当者に説明させるべき義務があり,漫然と変額保険の有利性のみを強調する保険会社の担当者の説明を容認し,又はその説明するとおりに任せるなどして,一般の顧客において変額保険の加入の可否について適切な判断ができないまま契約締結に至らせた場合には,上記紹介や勧誘 を強調する保険会社の担当者の説明を容認し,又はその説明するとおりに任せるなどして,一般の顧客において変額保険の加入の可否について適切な判断ができないまま契約締結に至らせた場合には,上記紹介や勧誘は違法というべきである。 (イ) Gは,被告銀行○○○支店の大口の取引先であった原告宅の訪問を重ねるうち,原告一家の資産状況を把握するに至ったことから,その相続税を試算しその結果を原告及びCに告げた上,B死亡後の相続税対策に不安を抱く原告及びCに対し,相続税対策として融資一体型の変額保険があることを教示し,Eを紹介したものであること前判示のとおりであるから,Gとしては,原告及びCが融資一体型変額保険の仕組みやその危険性等について十分に理解ができるようにするため,その利害得失や変額保険の構造及び性質に加え,変額保険の解約金等が株価や証券の価格の変動等により左右されるものであり,相続税対策として効果があるのは典型的には限られた場合にとどまるものであること及びそのゆえん等を具体的に自ら説明し,又はEをして説明させるべき義務があったというべきである。 しかしながら,Gは,原告宅に同行したEが原告及びCに対して変額保険について説明する場に同席し,本件セットプランや本件シミュレーション2等を示しながら,変額保険の有利性を強調するEの説明を見聞していたにもかかわらず,自らは,変額保険の上記危険性やその構造,更には,変額保険が危険であることのゆえん等について全く説明等をせず,Eの説明するがままに任せたこと前判示のとおりであって,Gのこれら一連の行為は,上記説明義務ないし保険会社の担当者に説明させる義務に違反するものとして違法の評価を免れないものというべきである。 ウそして,Gの上記行為は,被告銀行の業務執行の過程においてなされたものであることが明らか 義務ないし保険会社の担当者に説明させる義務に違反するものとして違法の評価を免れないものというべきである。 ウそして,Gの上記行為は,被告銀行の業務執行の過程においてなされたものであることが明らかであって,被告銀行は,民法715条1項に基づき,Gの上記説明義務違反の行為によって生じる原告の損害について賠償の責めを負うものというべきである。 (4) 共同不法行為融資一体型変額保険である本件各変額保険契約及び本件融資契約は,原告の相続税対策のためのスキームを構成するものとして,締結されたものであって,本件各変額保険相互間はもとより,本件各変額保険と本件融資契約相互間においても関連し合うものであることは前判示のとおりである。すなわち,相続税額が高額となることが見込まれる資産家の場合,その相続税対策のためには,高額の変額保険に加入する必要があるところ,死亡保険金の額についてその上限が定められていることから,一社の変額保険に加入したのみでは,十分に減税効果を図ることができず,その目的を達するためには,複数の保険会社の変額保険に加入する必要があり,また,相続税対策のための融資一体型変額保険においては,銀行からこれに見合う融資を得て,借入金を増額させることが必要であり,その本質的内容をなしているものということができる。そして,本件各変額保険契約の締結も,相続税が高額に上ることが見込まれるBの死亡による相続税対策のため,Eの呼び掛けにより,被告生保各社の担当者がこれに応じたものであり,本件融資契約の締結も,これを前提に被告銀行とBとの間で締結されたものであって,いずれも,EないしGの違法な勧誘行為ないし紹介行為に基づくものである。 したがって,上記違法行為は,被告生保各社及び被告銀行の共同不法行為を構成するものというべく,被告生保各社及び被告銀行は って,いずれも,EないしGの違法な勧誘行為ないし紹介行為に基づくものである。 したがって,上記違法行為は,被告生保各社及び被告銀行の共同不法行為を構成するものというべく,被告生保各社及び被告銀行は,上記違法によって生じた原告の損害につき,共同して賠償の責めを負うべきものである。 5 争点4(損害及び損害額)について(1) Bは,被告銀行から6億円を借り入れ,被告生保各社に対し,本件各変額保険の一時払保険料として5億5804万8920円を支払った。その後,Bは,被告生保各社から,本件各変額保険の解約返戻金として4億3815万3326円の支払を受けた。したがって,Bは,その差額1億1989万5594円につき損害を被った。 また,Bは,保証委託料等として1201万7418円,登記料542万9910円を支出した。 上記差額及び支出合計1億3734万2922円は,被告らが説明義務を尽くさなかったことにより生じたものであるから被告らの不法行為と因果関係のある損害というべきである。 (2) B及び原告は,被告銀行に対し,本件融資契約1に基づく6億円の借入債務から発生する利息として別紙利息返済一覧表記載のとおり合計2億2286万3376円を支払った。 また,Bは,本件融資契約1の利息支払のために被告銀行から別紙借入金目録2ないし12記載のとおり,合計1億5600万を借り入れ(本件融資契約2),被告銀行に対し,その利息として合計1730万7105円を支払った。 以上の支払利息合計2億4017万0481円は,被告生保各社及び被告銀行が前記説明義務を尽くさなかった不法行為により生じたものであり,これと相当因果関係にある損害というべきである。 なお,被告銀行は,Bないし原告が支払った利息について,Bが本件融資契約により金融の利益を得ており, 尽くさなかった不法行為により生じたものであり,これと相当因果関係にある損害というべきである。 なお,被告銀行は,Bないし原告が支払った利息について,Bが本件融資契約により金融の利益を得ており,利息はその正当な対価であるから,利息の支払をもって,Bないし原告の損害と考えるのは相当でない旨主張する。しかしながら,Bないし原告が被告銀行から融資を受けた借入金は,変額保険料,保証委託料及び登記費用並びに本件融資契約に基づく利息等,Bの相続税対策に必要な費用を支出するためのものであり,Bにおいては,被告らの不法行為がなければ借入れをすることもなかったのであるから,Bないし原告において金融の利益を得たものとはいえず,この点の被告銀行の主張は失当である。 (3) そうすると,(1)と(2)の合計3億7751万3403円は被告生保各社及び被告銀行の共同不法行為に基づく原告の損害となる。 (4) 弁護士費用原告は,被告生保各社及び被告銀行に対する上記不法行為に基づく損害賠償請求をするため,原告代理人に本件訴訟の提起及びその追行を依頼したものであることが認められる(記録上明らかである。)が,本件訴訟の難易,請求額及び認容額(後記過失相殺後のもの)並びに本件訴訟提起に至る経緯等諸般の事情をかれこれ勘案すると,原告の弁護士費用は,2200万円をもって相当と認める。 (5) 原告は,損害賠償請求につき遅延損害金の支払を求めているが,その起算日を,一律平成7年4月28日としている。しかしながら,上記損害のうち平成7年4月28日までに発生したもの(一時払保険料と解約返戻金の差額及び保証委託料等合計1億3734万2922円,同日までに支払った6億円の利息1億6002万1746円並びに同利息支払のための借入金の利息1730万7105円以上合計3億1467万17 返戻金の差額及び保証委託料等合計1億3734万2922円,同日までに支払った6億円の利息1億6002万1746円並びに同利息支払のための借入金の利息1730万7105円以上合計3億1467万1773円)についてはこれが認められるものの,その後に支払われる利息については,その時点で損害として発生するものであるから,その遅延損害金もその時点から発生するものとして各利息の支払日からそれぞれ起算するのが相当であり,原告の請求もその限度で理由があるにとどまる。 なお,上記弁護士費用については,原告が本件訴訟を提起した平成9年11月28日をもってその損害が発生したものとして同日をもってその遅延損害金の起算日とすることとする。 6 争点5(過失相殺)について本件各変額保険契約及び本件融資契約の締結に基づく上記Bの損害の発生は,当時の保険料の運用状況から見て,変額保険がいわゆる元本割れの危険性の高いものであったにもかかわらず,Eによる融資一体型変額保険の説明がその有利性を強調した内容のものであったことに起因するものであったことは否定し難いが,他方で,B及び原告は,その所有不動産に抵当権を設定して,被告銀行から一度に6億円もの多額の融資を受けたものであり,少なくともCにおいては,Eから変額保険加入についての勧誘を受けた際,変額保険に関する資料の提供を受け,また,口頭によっても変額保険についての説明を受けるとともに,変額保険が,保険料を株式や証券等の取引に投資して運用するものであり,景気の変動等によりいわゆる元本割れのおそれのあるリスクの高い生命保険であること自体についてはこれを認識していたこと前判示のとおりであり,原告及びCにおいては,本件各変額保険契約及び本件融資契約を締結するに当たっては,これらの資料等を参照し,場合によっては税理士等 険であること自体についてはこれを認識していたこと前判示のとおりであり,原告及びCにおいては,本件各変額保険契約及び本件融資契約を締結するに当たっては,これらの資料等を参照し,場合によっては税理士等の専門家に相談するなどして良く検討熟慮して適切な判断をすべきであり,必ずしもそれが不可能ではなかったということができるのであって,変額保険の有利性を強調するEの説明をそのまま受け入れ,本件各変額保険契約や本件融資契約の締結に応じた原告及びCにおいても,過失があったものといわざるを得ない。 そして,上記の事情や本件各変額保険契約及び本件融資契約の締結に至る経緯等をも総合すると,B及び原告の被った損害の4割を減額するのが相当である。 7 争点6(消滅時効の成否)について(1) 被告らは,原告らは,平成6年8月4日に被告日本生命との間の本件各変額保険を解約した際,不法行為による損害及び加害者を知ったものであって,本件訴訟提起時の平成9年11月28日には,民法724条の消滅時効が完成している旨主張する。 (2) しかしながら,上記規定にいう「被害者ガ‥‥損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」に当たるということができるためには,単に損害の発生や加害行為の行為者が誰であるかを知るにとどまらず,このような損害の発生をもたらした加害行為が違法な行為であることをも併せて知ることを要するものというべきである。この点,加害行為であるEの違法行為は,Eが相続税対策として融資一体型変額保険の加入に原告らを勧誘した際,その基本的仕組みやそのリスクを正確かつ具体的に説明する義務を怠った点にあり,したがって,原告らがこのような義務違反を認識することをも要するというべきところ,原告及びCは,平成6年8月4日,被告日本生命との間の本件各変額保険を解約した際,被告日本生命からその解 た点にあり,したがって,原告らがこのような義務違反を認識することをも要するというべきところ,原告及びCは,平成6年8月4日,被告日本生命との間の本件各変額保険を解約した際,被告日本生命からその解約返戻金として,一時払保険金の額(1億0531万6920円)を下回る8560万5394円のみの支払を受けたことが判明していることから,その時点で,加害者及び損害の発生それ自体についてはこれを知ったものということができる。 しかるところ,原告及びCは,もともと,変額保険の解約返戻金の額等が特別勘定に組み込まれた保険料の運用によって決まるものであり,したがって,変額保険が,従来の定額保険に比べて顧客にとってリスクを伴う金融商品であることについてはこれを理解・認識していたものの,それ以上にその変額保険の仕組みやその構造,更には,これが相続税対策として有効であるのは,1次相続発生までの期間を通じ,変額保険の運用率が借入金の金利をはるかに凌駕するといった例外的な場合に限られるといったことについてはこれを認識しておらず,この点についてのEの説明の不十分さにこそ,その勧誘行為の違法性の本質があること前判示のとおりであるところ,原告又はCにおいて,前記解約時においても,これらの変額保険の構造等を認識したか,したがって,Eの勧誘行為における説明義務違反の点を認識したといえるか,疑問の残るところであり,これを認めるに足りる証拠もない。 (3) よって,消滅時効の完成をいう被告らの主張には理由がない。 8 争点7(本件各変額保険契約の成否)について原告は,被告生保各社の保険申込書は,被告生保各社の担当者により無権限で保険年齢,保険料などが変更されており,本件各変額保険契約は不成立である旨主張する。 この点,確かに,Bが被告各生保に提出した保険申込書の 保各社の保険申込書は,被告生保各社の担当者により無権限で保険年齢,保険料などが変更されており,本件各変額保険契約は不成立である旨主張する。 この点,確かに,Bが被告各生保に提出した保険申込書の中には,保険年齢及び保険料の記載が被告生保各社の担当者により変更されているものがあることが認められる。 しかしながら,これは,前判示のとおり,変額保険の保険料の額等が,被保険者の年齢等により自動的に決まるものであるところ,被保険者であるCの保険年齢が被告生保各社の変額保険申込書を記入した段階ではいずれも55歳であったものの,その後,Bから保険料の支払がされないため契約成立に至らないまま,平成2年11月6日をもってCの保険年齢が1歳加わり保険料の額も変更されるべきこととなったことから,これに一致させるため,なされた変更であることが認められる。そして,被告生保各社は,Cに対し,保険年齢が変更になり,それに伴い保険料が増額されることになったことを伝えた後,Bから,平成2年11月22日付けで,変更された保険料全額の振り込みを受けていることが認められるのであって,Bと被告生保各社との間に年齢や保険料をめぐる意思の不一致はなく,前記変更は,本件各保険契約の成立を左右するものではない。よって,原告の主張は理由がない。 9 争点8(本件各変額保険及び本件融資契約等の錯誤無効)について(1) 原告は,本件各変額保険契約は,Cが変額保険が元本割れすなわち解約返戻金の額が払込保険料の額を下回ることがあるというリスクの大きい商品であるにもかかわらず,そのようなリスクはないものと誤信して締結したものであり,錯誤により無効である旨主張する。 しかしながら,前判示のとおり,Eは,原告及びCに対し,変額保険のパンフレット及び「ご契約のしおり-定款・約款」を交付するな いものと誤信して締結したものであり,錯誤により無効である旨主張する。 しかしながら,前判示のとおり,Eは,原告及びCに対し,変額保険のパンフレット及び「ご契約のしおり-定款・約款」を交付するなどし,変額保険が従来の定額保険と異なり,その保険料の一部を特別勘定に組み入れ,株式や公社債等の有価証券に投資して運用すること,運用利回りが下がれば,解約返戻金が保険料を下回ることがあり得ること等について説明しており,他方で,Cにおいても,前判示のとおり,変額保険の特別勘定の運用利回りによっては損失を被る可能性もあり,相続税対策にならない場合も有り得ることについてEの説明を理解し,これを認識した上で本件各変額保険契約を締結しているものと認められるのであるから,変額保険が元本割れすなわち解約返戻金が払込保険料を下回ることがあるというリスクの大きい商品であるにもかかわらず,そのようなリスクはないものと誤信していたとは認められない。 なお,原告は,Cは,変額保険が相続税対策にならない商品であったにもかかわらず,相続税対策になるものと誤信して,本件各変額保険契約を締結したものであり,錯誤により無効である旨主張するが,前判示のとおり,運用利回りによっては,変額保険に加入することにより相続税の減税効果を受けることができるのであるから,そもそも相続税対策にならないものであったとは認められず,この点の原告の主張も採用することができない。 (2) 原告は,また,本件融資契約についても,これは,本件各変額保険の保険料支払のために締結されたものであり,そのことは,CもGから説明を受けており,本件融資契約締結の前提となっていたものであるところ,前記のとおり,Cが,変額保険がリスクのないもので相続税対策になるものと誤信して本件各変額保険契約を締結し,これが錯誤により無効 明を受けており,本件融資契約締結の前提となっていたものであるところ,前記のとおり,Cが,変額保険がリスクのないもので相続税対策になるものと誤信して本件各変額保険契約を締結し,これが錯誤により無効である以上,本件融資契約も錯誤により無効であり,また,そうである以上,本件融資契約による借入金債務の保証のために締結された本件保証委託契約及び本件根抵当権設定契約も無効である旨主張する。 しかしながら,前判示のとおり,原告及びCは,変額保険のリスクについて認識しており,また,相続税対策にならないものとは認められないことも前判示のとおりであって,この点の原告の主張も採用できない。 したがって,原告の被告ら(被告保証会社を含む)に対する錯誤無効の主張はいずれも採用することができない。 争点9(本件各変額保険及び本件融資契約等の詐欺取消し)について原告は,本件各変額保険契約及び本件融資契約は,E及びGにおいて,変額保険が株取引に投資して運用することにより,保険金及び解約返戻金につき増減があるものであることを原告及びCに対して説明する義務があるのに説明をせず,また,変額保険が高利回りで運用されない限り,相続税対策にならないものであるのに,これが相続税対策になる旨説明し,Cにおいて,解約返戻金が一時払保険料を下回ることはなく,変額保険は相続税対策になると誤信して締結したものであるから,被告らの欺罔行為によるものとして取り消されるべきものである旨主張する。 しかしながら,Eが,変額保険の特質やそのリスクについて,本件パンフレットを用いるなどして原告及びCに説明し,Cにおいてもその旨理解して本件各保険契約の締結及び本件融資契約の締結に応じたこと前判示のとおりである。したがって,本件融資契約及び本件各変額保険契約の締結において,E及びGに詐欺が びCに説明し,Cにおいてもその旨理解して本件各保険契約の締結及び本件融資契約の締結に応じたこと前判示のとおりである。したがって,本件融資契約及び本件各変額保険契約の締結において,E及びGに詐欺があったとする原告の主張は採用することができない。 11 したがって,その余の争点(争点10ないし14)について判断するまでもなく原告の被告らに対するその余の請求(不当利得返還請求)及び被告保証会社に対する請求は理由がない。 12 以上の次第で,原告の被告らに対する請求は,被告ら各自に対し,不法行為に基づく損害賠償として,損害金2億4916万4041円及びうち別紙遅延損害金起算日等の一覧表の金額欄記載の金額に対する各遅延損害金起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(ただし,被告エイアイジー・スター生命に対しては,その旨の更生債権の確定を求める)限度で理由があり,その余の請求は理由がなく,被告保証会社に対する請求はすべて理由がない。 第4 結論よって,原告の被告明治安田生命,被告日本生命,被告住友生命,被告第百生命及び被告銀行に対する請求は,同被告ら各自に対し,2億4850万8041円及び内別紙遅延損害金起算日等の一覧表金額欄記載の金額に対する各遅延損害金起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を,被告エイアイジー・スター生命に対する請求は,同額の更生債権を有することの確定をそれぞれ求める限度で理由があるから,それぞれの限度で認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却し,原告の被告保証会社に対する請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,民事訴訟法65条,64条,61条,仮執行の宣言について同法259条の各規定をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判 る請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,民事訴訟法65条,64条,61条,仮執行の宣言について同法259条の各規定をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第17部裁判官長谷川秀治裁判長裁判官西謙二は転補につき,裁判官細矢郁は転任につき署名押印することができない。 裁判官長谷川秀治(別紙目録は全て省略)登記目録 1 根抵当権設定登記横浜地方法務局川崎支局平成2年11月19日受付第40842号原因平成2年11月16日設定極度額金13億2000万円債権の範囲保証委託取引,金銭消費貸借取引債務者 B根抵当権者被告ダイヤモンド信用保証株式会社共同担保目録そ第6780号 2 根抵当権設定登記横浜地方法務局川崎支局平成4年4月16日受付第11530号原因平成4年4月16日設定極度額金13億2000万円債権の範囲保証委託取引,金銭消費貸借取引債務者 B根抵当権者被告ダイヤモンド信用保証株式会社共同担保目録そ第6780号 3 根抵当権設定登記横浜地方法務局川崎支局平成4年6月12日受付第17509号原因平成4年6月12日設定極度額金13億2000万円債権の範囲保証委託取引,金銭消費貸借取引債務者 B根抵当権者被告ダイヤモンド信用保証株式会社共同担保目録そ第6780号 4 根抵当権設定登記横浜地方法務局川崎支局平成6年5月11日受付第15828号原因平成6年5月11日設定極度額金13億2000万円債権の範囲保証委託取引,金銭消費貸借取引債務者 B根抵当権者被告ダイヤモンド信用保証株式会社共同担保目録そ第6780号 5 根抵当権変更登記横浜地方法務局川 額金13億2000万円債権の範囲保証委託取引,金銭消費貸借取引債務者B根抵当権者被告ダイヤモンド信用保証株式会社共同担保目録そ第6780号 5 根抵当権変更登記横浜地方法務局川崎支局平成9年5月9日受付第16921号原因平成9年5月2日,C,Dの債務引受債務者原告以上借入金目録 1 借入日平成2年11月16日借入金額6億円 2 借入日平成3年4月8日借入金額1200万円 3 借入日平成3年8月15日借入金額1200万円 4 借入日平成3年11月7日借入金額1200万円 5 借入日平成4年2月6日借入金額1500万円 6 借入日平成4年6月9日借入金額1500万円 7 借入日平成4年10月7日借入金額1500万円 8 借入日平成5年2月9日借入金額1500万円 9 借入日平成5年7月7日借入金額1500万円借入日平成5年12月9日借入金額1500万円 11 借入日平成6年6月7日借入金額1500万円 12 借入日平成6年11月10日借入金額1500万円以上
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