主文 一第一審原告の控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。 1 第一審被告が、第一審原告に対し、平成八年一〇月二九日付け(滋出第九三〇号)でした公文書非公開決定のうち、滋賀県警察本部警務部総務課の平成七年度の旅費の支出に係る支出負担行為兼支出命令決議書に関する部分について、「執行機関」欄、「年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「相手方等」欄のうち「支出区分」、「支払内容」、「摘要」の各記録及び同課の平成七年度の懇談会費の支出に係る支出負担行為兼支出命令決議書に関する部分について、「起案」欄のうち「年月日」、「執行機関」欄、「年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「支出負担行為支出命令日」欄、「支出負担行為支出命令額」欄、「支払期日」等欄のうち「支払期日」、「残額目/事業」並びに「相手方等」欄のうち「支出区分」、「支払内容」及び「実施月日」の各記録を公開しないとした部分を取り消す。 2 第一審原告のその余の請求を棄却する。 二第一審被告の控訴を棄却する。 三訴訟費用は第一、二審を通じてこれを二分し、その一を第一審原告の、その余を第一審被告の負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一第一審原告の控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 第一審被告が、第一審原告に対して、平成八年一〇月二九日付け(滋出第九三〇号)でした「県警総務課の平成七年度の旅費・懇談会費の支出に関する一切の資料」の非公開決定処分を取り消す。 2 訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。 二第一審被告の控訴の趣旨 1 原判決中、第一審被告敗訴部分を取り消す。 2 第一審原告の請求を棄却する。 3 訴訟費用は第一、二審とも第一審原告 2 訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。 二第一審被告の控訴の趣旨 1 原判決中、第一審被告敗訴部分を取り消す。 2 第一審原告の請求を棄却する。 3 訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。 第二事案の概要本件事案の概要は、原判決一五頁八行目の「実施所属等」の前に「実施月日、」を加えるほか、原判決の「事実及び理由」の「第二争いのない事実等」及び「第三争点及びこれに関する当事者の主張」(原判決四頁一行目から二八頁八行目まで)のとおりであるから、これを引用する。 第三当裁判所の判断一当裁判所は、第一審原告の請求は、第一審被告に対し、平成八年一〇月二九日付け(滋出第九三〇号)でした公文書非公開決定のうち、滋賀県警察本部警務部総務課の平成七年度の旅費の支出に係る支出負担行為兼支出命令決議書に関する部分について、「執行機関」欄、「年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「相手方等」欄のうち「支出区分」、「支払内容」、「摘要」の各記録及び同課の平成七年度の懇談会費の支出に係る支出負担行為兼支出命令決議書に関する部分について、「起案」欄のうち「年月日」、「執行機関」欄、「年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「支出負担行為支出命令日」欄、「支出負担行為支出命令額」欄、「支払期日」等欄のうち「支払期日」、「残額目/事業」並びに「相手方等」欄のうち「支出区分」、「支払内容」及び「実施月日」の各記録を公開しないとした部分を取り消す限度で理由があるから、その限度でこれを認容すべきであるが、その余は理由がないからこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、以下のとおり改めるほか、原判決の「事実及び理由」の「第四当裁判所の判断」( 理由があるから、その限度でこれを認容すべきであるが、その余は理由がないからこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、以下のとおり改めるほか、原判決の「事実及び理由」の「第四当裁判所の判断」(原判決二八頁一〇行目から四〇頁七行目まで)のとおりであるから、これを引用する。 1 旅費の支出に係る決議書の本件条例六条三号該当性について原判決三二頁一〇行目から三六頁一〇行目までを次のとおり改める。 「1 旅費は、公務のための旅行者に対して、旅行中の費用を償うことを目的として金銭給付される性格のものであるが、前記のとおり、平成七年度中の県警総務課の活動において捜査活動に密接に関係する部分があったことが肯認できることにかんがみると、そのような部分に関係する旅費は、捜査活動を支出面から表したものということができる(乙二一、弁論の全趣旨)。 2 そして、右決議書に記録されている情報のうち、警察組織における警察職員の特定に関するものや支払の相手方の特定に関するものは、それが公開されると、公にされていない警察職員の氏名や受取人たる警察職員の取引金融機関名、口座番号が明らかになるとともに、その担当事務が特定されることになり、これにより公にしていない県警察の職員配置状況の一端が把握され、ひいては当該職員やその家族までもが調査され、そのプライバシーが侵害されたり、工作・襲撃等の被害を受ける可能性が生じ、職員が不安感を覚えざるを得ない事態に至ったり、また、受取人の取引金融機関名や口座番号のみを公開した場合であっても、警察組織あるいは職員に対して反感等を有する者から、右情報を利用した嫌がらせを受けたりすることなどにより、平穏な市民生活や社会の風紀等に対する障害を除去する警察活動等が阻害され、または、これらが効率的に行われなくなるおそれが生じるというべきである( 右情報を利用した嫌がらせを受けたりすることなどにより、平穏な市民生活や社会の風紀等に対する障害を除去する警察活動等が阻害され、または、これらが効率的に行われなくなるおそれが生じるというべきである(第一審原告は、警察職員に関する情報については、新聞等でも公開されている点を指摘するが、新聞等には、警察組織の発表に基づき、右情報の一部について右のおそれがない限度で公開されているにすぎないことが窺われるから〔弁論の全趣旨〕、本件公文書における警察職員の特定に関する情報についての本件条例六条三号該当性に係る右判断を左右するものではない。)。 3 次に、右決議書に記録されている情報のうち、支払等の時期及び支出の金額に関するものは、これらが公開されると、報道等から得られる犯罪・捜査情報等と関連付けられることにより、当該時期における捜査活動に密接に関係する警察の活動量・活動頻度・活動区域の遠近などその動静を推測することができるほか、同様の情報収集を組織横断的に、かつ、反復・継続して積み重ねることにより、右動静の時期・規模に関する活動パターンや周期・傾向を分析することも可能となる。 そして、前記のとおり、旅費は、その性質上、捜査活動を支出面から表したものという側面を有するから、その支払等の時期や支出の金額に関する情報は、他の情報と関連付けて分析・総合されることにより、旅行日、旅行先、旅行の目的など捜査自体を遂行する上で秘匿されなければならない情報をも推測し得る可能性を内包する。その結果、支払等の時期や支出の金額に関する情報であっても、それが公開されると、これを契機として、捜査自体に関する様々な情報へのアクセスが可能となり、警察組織や職員に対し、攻撃・妨害・牽制・圧力が加えられ、あるいは、違法行為が中断・変更されることなどによって、犯罪を予防するための活 契機として、捜査自体に関する様々な情報へのアクセスが可能となり、警察組織や職員に対し、攻撃・妨害・牽制・圧力が加えられ、あるいは、違法行為が中断・変更されることなどによって、犯罪を予防するための活動や捜査自体の円滑な遂行が阻害されたり、これらが効率的に行われなくなるおそれが生じることも否定できないというべきである。 4 以上の観点からすると、警察組織における警察職員の特定や支払の相手方の特定に関する情報、すなわち、「命令機関」欄、「合議先」欄、「相手方」等欄のうち「相手方」、「支払方法」、「出納機関」欄及び支払等の時期や支出の金額に関する情報、すなわち、「起案」欄のうち「年月日」、「支出負担行為支出命令日」欄、「支出負担行為支出命令額」欄、「支払期日」等欄のうち「支払期日」、「残額目/事業」、「確認入力日」の各記録、執行機関により「実施月日」及び「実施所属等」が任意に記載されている場合は右の各記載、内訳書が添付されている場合は内訳書の全記録は、本件条例六条三号に該当する情報を含むものということができ、これらを公開しないという範囲で本件決定は適法というべきである。 これに対し、その余の部分、すなわち、「執行機関」欄、「年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「相手方等」欄のうち「支出区分」、「支払内容」、「摘要」の各記録は、これらを公開しない理由はないというべきである。 5 第一審被告は、本件公文書に記載された情報のうち、警察組織における警察職員の特定に関する部分、支払の相手方の特定に関する部分、支払等の時期に関する部分及び支出の金額に関する部分を除いた部分を公開することは、公開請求者の公開請求の趣旨を損ない、もはや意味のある公開ではないから、全面非公開とした本件決定は適法である旨主張す 支払等の時期に関する部分及び支出の金額に関する部分を除いた部分を公開することは、公開請求者の公開請求の趣旨を損ない、もはや意味のある公開ではないから、全面非公開とした本件決定は適法である旨主張する。 しかし、本件条例六条三号により公開をしないものとする部分とそれ以外の残りの部分とを合理的に分離することができる場合には、できる限り残りの部分を公開すべきであるところ(本件条例七条)、本件では、残りの部分が、本件条例の目的(本件条例一条)に照らして有意の情報ではないとはいえないし、かつ、第一審原告は、たとえ部分公開であってもこれを求めているのであるから、部分公開をするとしても、第一審原告の公開請求の趣旨を損なうことにはならないというべきである。第一審被告の主張は採用できない。」 2 懇談会費の支出に係る決議書の本件条例六条三号該当性について原判決三七頁一行目から四〇頁七行目までを次のとおり改める。 「1 懇談会費は、警察目的を達成するために、警察本部長等と県警の協力者との間の意見交換や情報収集等のための懇談に要した経費であるが、これは食糧費の一部として支出され、支出科目上は、需用費の節に含まれるものと解される(甲六、乙二一弁論の全趣旨)。 そして、右のとおりの懇談会の目的・性格に加え、第一審原告からなされた平成一〇年一〇月一四日付けの平成九年度及び平成一〇年度分直近の県警本部の需用費に係る支出負担行為兼支出負担命令決議書等の公開請求に対し、第一審被告は、平成一〇年一一月二〇日付けで、職員及び資金前渡吏員の職名・氏名・印影・口座番号、取引金融機関コード・金融機関名預金種目・口座番号及び口座名義、支払内容に関わる情報のうち犯罪捜査等に密接な関連を有する支払の相手方の情報(郵便番号、住所、債権者番号、氏名)、支払内容に関わる情報のうち犯罪捜 関コード・金融機関名預金種目・口座番号及び口座名義、支払内容に関わる情報のうち犯罪捜査等に密接な関連を有する支払の相手方の情報(郵便番号、住所、債権者番号、氏名)、支払内容に関わる情報のうち犯罪捜査等に密接な関連を有する支払内容、支払内容に関わる情報のうち犯罪捜査等に密接な関連を有する支払金額を非公開部分とする部分公開決定をしたこと(甲五)を考え併せれば、右懇談会が平成七年度中の県警総務課の活動において捜査活動に関係する部分があることを考慮に入れても、右懇談会費の支出と捜査活動との関連性は、旅費の場合に比べると低いものということができる。 2 そして、右決議書に記録されている情報のうち、警察組織における警察職員の特定に関するものについては、旅費の場合と同様のおそれがあるし、支払の相手方の特定に関するものについては、個々の懇談会費の受取人たる契約の相手方及び当該懇談会費に係る懇談会の開催場所が明らかになれば、関係者のプライバシーが侵害されたり、当該受取人ないし開催場所が警察に協力的であるとして、警察に敵対する者の標的となり、圧力や妨害、従業員らに対する工作がなされることが予想され、ひいては秘匿を前提として協力を得ていた警察情報提供者等の関係者に多大の不安感を生じさせ、将来にわたって協力が得られなくなることにより、円滑な警察活動の遂行が阻害され、または、これらが効率的に行われなくなるおそれが生じるというべきである。 3 他方、右決議書に記録された情報のうち、支払等の時期や支出の金額に関するものは、それが公開されるならば、当該時期における懇談会開催の規模・回数・頻度等を推測したり、懇談会の開催パターンやその周期・傾向を分析したりすることが可能となる。 しかし、懇談会の開催は、それ自体、必ずしも犯罪・捜査情報等と直接の関連性を有するものには 規模・回数・頻度等を推測したり、懇談会の開催パターンやその周期・傾向を分析したりすることが可能となる。 しかし、懇談会の開催は、それ自体、必ずしも犯罪・捜査情報等と直接の関連性を有するものには限られないし、その目的も、性質上、捜査の端緒やその準備的な段階における意見交換や情報収集活動の意味合いを有するに止まるものである。したがって、懇談会費の支払等の時期や支出の金額に関する情報が公開され、その傾向が分析されたからといって、直ちに、具体的な犯罪の予防または捜査に支障を生ずるおそれがあることにはならないというべきである。また、懇談会の目的は多岐に渡り、関係する出席者も広範囲に及ぶほか、犯罪や捜査の状況とは異なり、懇談会について報道等から得られる情報も多くはないことが予想される。したがって、たとえ、懇談会の開催パターンやその周期・傾向が分析されたとしても、そのことから、直ちに、犯罪・捜査情報等に関わる情報提供者等関係者の協力を取り付ける上で秘匿されなければならない情報が的確に推測されるおそれがあるとまではいえないというべきである。 これによれば、懇談会費の支払等の時期や、支出の金額を公開したからといって、このことから、懇談会の出席者や関係施設に対し、攻撃・妨害・牽制・圧力が加えられたり、秘匿を前提として協力を得ていた警察情報提供者等の関係者に多大の不安感を生じさせ、ひいては、将来にわたって協力を得られなくなることにより、犯罪の予防や捜査に係る警察活動等が阻害されたり、または、これらが効率的に行われなくなるおそれが生じるとまではいえないというべきである。 第一審被告は、金額情報が公開された場合、懇談会に出席した協力者において、自己の出席した懇親会における支出金額の特定や他の懇談会における支出金額との比較ができることとなり、協力者の中に きである。 第一審被告は、金額情報が公開された場合、懇談会に出席した協力者において、自己の出席した懇親会における支出金額の特定や他の懇談会における支出金額との比較ができることとなり、協力者の中には他者と自己との扱いについて不満や不快の念を抱く者が出ることが予想されるが、そのような事態は、協力者との信頼関係、友好関係を損ない、懇談会という本質的な趣旨をも損なうおそれがあると主張する。 しかし、協力者間相互の支出金額の多寡に関わる不平・不満は、本来、懇談会を主催する警察組織においてその調整を図るべき問題であって、本件条例六条三号該当性についての前記の判断を左右するものではない。第一審被告の主張は失当である(懇談会費が、飲み喰いに関わる費用であることにかんがみれば、性質上、これをできる限り公開し、その透明性を高めることこそが、県民の警察への信頼を深め、本件条例の目的である「県民の県政への参加を一層促進し、より身近で開かれた県政の進展に寄与すること」〔一条〕にも資することになるというべきである。)。 4 以上の観点からすると、警察組織における警察職員の特定や支払の相手方の特定に関する情報、すなわち、「命令機関」欄、「相手方」等欄のうち「相手方」、「支払方法」、「出納機関」欄及び執行機関により「実施所属」が任意に記載されている場合にはその記録は、本件条例六条三号に該当する情報を含むものということができ、これらを公開しないという範囲で本件決定は適法というべきである。 しかしながら、その余の部分、すなわち、「起案」欄のうち「年月日」、「執行機関」欄、「年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「支出負担行為支出命令日」欄、「支出負担行為支出命令額」欄、「支払期日」等欄のうち「支払期日」、「残額目/事 年度予算種別」欄、「決議番号略科目等」欄、「会計」欄、「款項目節細節」欄、「支出負担行為支出命令日」欄、「支出負担行為支出命令額」欄、「支払期日」等欄のうち「支払期日」、「残額目/事業」、「相手方等」欄のうち「支出区分」、「支払内容」、執行機関により「実施月日」が任意に記載されている場合にはその記録は、これらを公開しない理由はないというべきである。」二結論以上によれば、第一審原告の請求は、主文一1に掲記の限度で理由があるから、その限度でこれを認容すべきであるが、その余は理由がないからこれを棄却すべきである。よって、原判決中、右と異なる部分は相当でないから、第一審原告の控訴に基づき原判決を右のとおり変更し、第一審被告の控訴は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行訴法七条、民訴法六七条二項、六一条、六四条を適用して、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第九民事部裁判長裁判官鎌田義勝裁判官松田亨裁判官島田清次郎は転補につき署名押印できない。 裁判長裁判官鎌田義勝
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