【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人梶谷玄、同梶谷剛、同村上孝守、同岡崎洋、同大橋正春、同田邊雅延、 同
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人梶谷玄、同梶谷剛、同村上孝守、同岡崎洋、同大橋正春、同田邊雅延、 同稲瀬道和の上告理由第一について 原審が確定した事実関係によれば、(1)訴外D国際貿易株式会社(以下「D国際」 という。)は、上告人から本件豚肉の引渡を受けてこれを訴外E水産株式会社(以 下「E水産」という。)に寄託したが、これより先D国際は右豚肉を訴外有限会社 F商店(以下「F商店」という。)に売り渡し、F商店はこれを被上告人に転売し ていたので、D国際及びF商店は、いずれも売買の目的物である右豚肉を引き渡す 手段として、それぞれ受寄者であるE水産宛に右豚肉を買受人に引き渡すことを依 頼する旨を記載した荷渡指図書を発行し、その正本をE水産に、副本を各買受人に 交付し、右正本の交付を受けたE水産は、寄託者たる売主の意思を確認するなどし て、その寄託者台帳上の寄託者名義をD国際からF商店に、F商店から被上告人へ と変更した、(2) 昭和四八年当時京浜地区における冷凍食肉販売業者間、冷蔵倉 庫業者間において、冷蔵倉庫業者は、寄託者である売主が発行する正副二通の荷渡 指図書のうちの一通の呈示若しくは送付を受けると、寄託者の意思を確認する措置 を講じたうえ、寄託者台帳上の寄託者名義を右荷渡指図書記載の被指図人に変更す る手続をとり、売買当事者間においては、右名義変更によつて目的物の引渡が完了 したものとして処理することが広く行われていた、というのである。 そして、右事実関係のもとにおいて、被上告人が右寄託者台帳上の寄託者名義の 変更によりF商店から本件豚肉につき占有代理人をE水産とする指図による占有移 転を受けることによつて民法一九二条にいう占有を取得したものであるとした原審 - 1 、被上告人が右寄託者台帳上の寄託者名義の 変更によりF商店から本件豚肉につき占有代理人をE水産とする指図による占有移 転を受けることによつて民法一九二条にいう占有を取得したものであるとした原審 - 1 - の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、所論引 用の大審院判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、ひつきよう、独自 の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。 同第二ないし第四及び第六について 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審 の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ とができない。 同第五について E水産による売主の意思の確認という事実は、被上告人の本件豚肉の即時取得の 主張における主要事実ではないから、原審が、当事者の主張をまたずして右事実を 認定したとしても、なんら弁論主義に反するものではなく、また、原審が、荷渡指 図書について、いわゆる物権的効力を認めたものでないことは原判決の説示に照ら して明らかであるから、原判決に判例違反等所論の違法はない。論旨は、ひつきよ う、原判決を正解しないでその不当をいうものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 裁判官 横 井 大 三 裁判官 寺 田 治 郎 裁判官 木 戸 口 久 治 - 2 - 裁判官 横 井 大 三 裁判官 寺 田 治 郎 裁判官 木 戸 口 久 治 - 2 -
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