傷害致死,窃盗,窃盗未遂,死体遺棄被告事件主 文被告人を懲役11年に処する。 未決勾留日数中240日をその刑に算入する。 理 由(犯罪事実)被告人は,第1 平成27年夏頃,一人暮らしのAと知り合い,同年9月頃から,Bと共に,愛知県新城市a字bc番地所在のA方に居候させてもらっていたところ,同年12月30日頃,Aのおむつの使用の仕方やBから被告人がおむつ交換をしない点について責められたことなどに腹を立て,前記A方において,A(当時71歳)に対し,その顔面を右手拳で複数回殴るなどの暴行を加え,よって,Aに重症頭部外傷等の傷害を負わせ,同月31日頃,同所又はその付近において,Aを前記重症頭部外傷の傷害により死亡させた。 第2 前記Bと共謀の上,平成27年12月31日頃,前記Aの死体を,愛知県新城市a字bd番e所在の廃屋にあるトイレ便槽内に運び入れ,その死体に木片等をかぶせて覆い隠し,もって死体を遺棄した。 第3 前記Bと共謀の上,別表記載のとおり(※別表省略),平成28年1月5日午後零時2分頃から同年3月8日午前10時31分頃までの間,合計9回にわたり,愛知県豊橋市f町字gh番地iC店ほか6か所において,各所に設置された現金自動預払機に,不正に入手したD信用金庫E支店発行のA名義のキャッシュカード1枚を挿入して同機を作動させ,株式会社F銀行Gほか5名管理の現金合計17万6000円を引き出して窃取した。 第4 前記Bと共謀の上, 1 平成27年6月21日頃,愛知県田原市j町kl番地H駐車場において,同 所に駐車中のI所有の普通乗用自動車1台(時価約2万円相当)を窃取した。 2 平成28年3月10日頃,愛知県豊川市m町no番地p株式会社J駐車場において,同 場において,同 所に駐車中のI所有の普通乗用自動車1台(時価約2万円相当)を窃取した。 2 平成28年3月10日頃,愛知県豊川市m町no番地p株式会社J駐車場において,同所に駐車中のK管理の普通貨物自動車1台(時価約60万円相当)を窃取した。 3 平成28年7月23日頃,愛知県田原市q町rs番地t株式会社Lのクラブハウス従業員通用口前付近において,同所に駐車中のM管理の普通貨物自動車1台(時価約20万円相当)を窃取した。 第5 前記Bと共謀の上, 1 平成28年7月20日午後5時38分頃,愛知県田原市u町vw番地Nにおいて,同所に設置されたさい銭箱からO会会長P管理の現金約200円を窃取した。 2 平成28年7月30日午後8時59分頃,前記1記載のNにおいて,同所に設置されたさい銭箱を手で持ち上げてひっくり返し,同さい銭箱内から前記1記載のP管理の現金を窃取しようとしたが,現金が入っていなかったため,その目的を遂げなかった。 (量刑の理由) 1 犯罪行為に関する事情について本件は,処断罪が,被告人が,単独で,同居していた知人の行動等に立腹して,傷害致死罪を1件犯した事案であるところ,前記の動機は,けんかや家族関係,男女関係といった類型化し得るものには包含できないというべきである。 そこで,本件では,処断罪が傷害致死罪で,単独犯であり,動機が類型化し得る以外のものか,背景がないあるいは不明な事案であって,被害者の立場が知人・友人・勤務先関係であり,他に同種の罪はなく,処断罪名と異なる主要な罪もない事案(同種事案)の中での位置付けを検討する。 第1の犯行(傷害致死)についてみると,犯行態様は,体格差のある高齢女 性に対し,一方的に,身体の重要な部分である頭部を,その頬骨が2か 事案)の中での位置付けを検討する。 第1の犯行(傷害致死)についてみると,犯行態様は,体格差のある高齢女 性に対し,一方的に,身体の重要な部分である頭部を,その頬骨が2か所にわたって折れるほどの力で拳で3回殴打するなど,危険性が相応に高い行為と評価できる。その結果,頭部に相当のダメージを与えて翌日死亡させたものであり,生じた結果は痛ましく,被害者の長男が,意見陳述で,悲痛な心情を吐露しているのは十分理解できる。また,犯行の際に,髪の毛を引っ張ったり,足首をつかんで逆さづりにするなどの暴行を加えていた点も見過ごせない。本件犯行は偶発性の高い事案とみることができるが,被害者に対したびたび暴力を振るう中で,身勝手な理由で犯行に及んでいるのであるから,強い非難に値する。 以上の事情からすると,第1の犯行それ自体は,同種の傷害致死の中では,比較的重い部類に属するといえる。 また,第2の犯行(死体遺棄)については,犯行の場所がトイレの便槽である上,発覚を免れるための細工をしており,社会的習俗としての宗教的感情を相当程度害するものであると評価できる。そして,第3から第5までの各犯行(窃盗,窃盗未遂)については,顕著な常習性が認められ,手口も様々であり,被害額も多額である。 このような傷害致死以外の点についても踏まえると,本件は同種事案の量刑傾向の中で,相当重い部類に属するといえる。 2 犯罪行為以外の事情について被告人は,前記累犯前科を含め窃盗の同種前科4犯を有するにもかかわらず,その最終刑の執行が終了した約2年後に窃盗(第4の1)に及び,その後も各犯行を重ねたものであり,法律を守る意識が乏しいと認められる。他方,窃盗の被害品のうち自動車3台が一応還付されていること,被告人において,捜査段階から一貫し 年後に窃盗(第4の1)に及び,その後も各犯行を重ねたものであり,法律を守る意識が乏しいと認められる。他方,窃盗の被害品のうち自動車3台が一応還付されていること,被告人において,捜査段階から一貫して全ての事実を認め,その供述が,本件傷害致死及び死体遺棄事件の解明に相当程度寄与したこと,公判廷で反省の言葉を述べていることは,被告人の ために一定程度酌むべき事情である。 3 結論以上によれば,被告人に対しては,主文の刑を科するのが相当であると判断した。 (求刑懲役15年,弁護人の科刑意見懲役9年)平成29年7月19日名古屋地方裁判所岡崎支部刑事部 裁判長裁判官野村充 裁判官池田幸子 裁判官中村陽菜
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