平成26(ワ)1908 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年5月24日 京都地方裁判所 棄却
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判決文本文79,665 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 略語のうち人名及び学校名に関するものは,別紙人名・学校名略語一覧表のとおり である。 第1 請求 1 被告らは,原告A1に対し,各自1100万円及びこれに対する平成25年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告A2に対し,各自433万5250円及びこれに対する平成2 5年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告らは,原告A3に対し,各自110万円及びこれに対する平成25年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告A1,その両親である原告A2及び原告A3が,原告A1は被告 中学及び被告高校に在学中に被告生徒らからいじめを受け,被告中学及び被告高校を設置,運営する被告学校法人B1並びにその被用者である被告教諭らがいじめを調査する義務などを怠ったため,これが原因となってうつ病エピソードを発症したなどと主張して,被告らに対して,それぞれ,前記第1の額の損害賠償請求(ただし,原告A2が最終的に主張する損害総額は,429万1940円であ る。)をした事案である。 原告らが主張する損害賠償責任の根拠は,各原告とも,被告学校法人B1については民法709条及び民法719条,民法715条並びに民法415条(選択的併合),被告B2については民法715条,被告B7については民法709条及び民法719条並びに民法715条(選択的併合),被告B3,被告B4,被告 B5,被告B6,被告B8及び被告生徒らについては,いずれも民法709条 民法715条,被告B7については民法709条及び民法719条並びに民法715条(選択的併合),被告B3,被告B4,被告 B5,被告B6,被告B8及び被告生徒らについては,いずれも民法709条及 び民法719条である。原告らが主張する各被告の損害賠償債務は,いずれも不真正連帯債務である。 附帯請求は,いずれも,不法行為及び債務不履行の後の日である平成25年4月1日から支払済みまで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金である。 1 前提事実(争いがないか,証拠〔特記ない限り枝番を含む。以下同じ。〕及び弁 論の全趣旨等により認められる。)⑴ 原告らア原告A2と,原告A3とは,昭和60年4月1日,婚姻した。原告A2と原告A3は,平成8年2月8日,長女として原告A1をもうけた。 イ原告A1は,被告学校法人B1が設置,運営する被告中学に,平成20年 4月に入学し,平成23年3月に卒業した。また,原告A1は,被告学校法人B1が設置,運営する被告高校に,平成23年4月に入学し,平成25年3月31日まで在学していた。 (甲2,弁論の全趣旨)⑵ 被告学校法人B1関係 ア被告学校法人B1は,教育基本法及び学校教育法に従い,原告A1,被告B9,被告B10及び被告B11が在籍していた被告中学及び被告高校などを設置,運営する学校法人である。 イ被告B4は,平成20年4月から平成21年3月までの間,被告学校法人B1の職員(教諭)として,原告A1,被告B9及び被告B10が在籍して いた被告中学1年次のクラスの担任教諭であった。 ウ被告B5は,平成21年4月から平成22年3月までの間,被告学校法人B1の職員(教諭)として,原告A1及び被告B10が在籍していた被告中学2年次のクラスの担任教諭で クラスの担任教諭であった。 ウ被告B5は,平成21年4月から平成22年3月までの間,被告学校法人B1の職員(教諭)として,原告A1及び被告B10が在籍していた被告中学2年次のクラスの担任教諭であった。 エ被告B6は,平成22年4月から平成23年3月までの間,被告学校法人 B1の職員(教諭)として,原告A1が在籍していた被告中学3年次のクラ スの担任教諭であった。 オ C1教諭は,平成23年4月から平成25年3月までの間,被告学校法人B1の職員(教諭)として,原告A1及び被告B9が在籍していた被告高校1年次のクラス並びに原告A1及び被告B11が在籍していた被告高校2年次のクラスの各担任教諭であった。 カ被告B3は,平成20年度当時から,被告中学の教頭を務めていた。 キ被告B2は,平成20年度及び平成21年度,被告中学の校長を務めていた。 ク被告B8は,平成23年度当時から,被告高校の教頭を務めていた。 ケ被告B7は,平成22年4月から,被告中学及び被告高校の校長を務めて いた。 (争いのない事実,甲43,乙6~11,15,丙1,丁4,5,被告B9及び被告B11各本人尋問の結果,弁論の全趣旨)⑶ 被告生徒ら(被告B9,被告B10及び被告B11)ア被告B9 被告B9は,被告中学に,平成20年4月に入学し,平成23年3月に卒業し,被告高校に,同年4月に入学し,平成26年3月に卒業した。 被告B9は,被告中学1年次及び被告高校1年次当時,原告A1と同じクラスに在籍していた。 イ被告B10 被告B10は,被告中学に,平成20年4月に入学し,平成23年3月に卒業し,被告高校に,同年4月に入学し,平成26年3月に卒業した。 被告B10は,被告中学1年次及び同2 被告B10 被告B10は,被告中学に,平成20年4月に入学し,平成23年3月に卒業し,被告高校に,同年4月に入学し,平成26年3月に卒業した。 被告B10は,被告中学1年次及び同2年次当時,原告A1と同じクラスに在籍していた。 ウ被告B11 被告B11は,被告中学に,平成20年4月に入学し,平成23年3月 に卒業し,被告高校に,同年4月に入学し,平成26年3月に卒業した。 被告B11は,被告高校2年次当時,原告A1と同じクラスに在籍していた。 (丙1,丁4,5,被告B9,被告B10及び被告B11各本人尋問の結果,弁論の全趣旨) ⑷ 消滅時効の援用被告B9は,平成26年8月7日に行われた第1回口頭弁論期日において,被告B10及び被告B11は,平成27年9月15日に行われた第7回弁論準備手続期日において,それぞれ,原告らが主張する損害賠償請求権につき,消滅時効を援用した。 (記録上顕著) 2 争点⑴ 被告生徒らの原告A1に対する共同不法行為責任の有無(原告らの主張)ア被告生徒らは,原告A1に対し,単独又は数名で,平成20年4月頃から 平成24年12月までの間,別紙「不法行為一覧表」(添付省略)番号1ないし12,14,16,17,19,20,22,24,25,27ないし29,32,35,38,40ないし48記載の各行為を行った。 イ前記各行為は,少なくともその相当部分について被告B9の主導のもと,原告A1をいじめの標的にしてよいとする共通認識の中で行われた,継続し た一連のもので,少なくとも被告生徒らが原告A1に精神的苦痛を与えて人格権を侵害するなど,違法な権利侵害行為であるから,原告A1に対する共同不法行為を構成 する共通認識の中で行われた,継続し た一連のもので,少なくとも被告生徒らが原告A1に精神的苦痛を与えて人格権を侵害するなど,違法な権利侵害行為であるから,原告A1に対する共同不法行為を構成する。 (被告B9の主張)ア別紙「不法行為一覧表」番号1ないし3,5,6,8,9,11,12, 14,24,35及び46記載の被告B9の各行為については,同番号被告 B9の主張各記載の認否のとおりである。 被告B9がいじめを主導して他の生徒に行わせたことはない。 イ仮に,前記各行為の事実があったとしても,不法行為として違法な権利侵害行為と評価されるものではない。 (被告B10及び被告B11の主張) ア別紙「不法行為一覧表」番号4,7,10,16,17,19,20,22,25,27ないし29,32,38,40ないし48記載の被告B10又は被告B11の各行為については,同番号被告B10及び被告B11の主張各記載の認否のとおりである。 イ仮に,前記各行為の事実があったとしても,不法行為として違法な権利侵 害行為と評価されるものではない。また,被告B10及び被告B11は,それぞれ,他者の行為につき,共同不法行為責任を負わない。 (被告学校法人B1らの主張)ア別紙「不法行為一覧表」1ないし12,14,16,17,19,20,22,24,25,27ないし29,32,35,40ないし48記載の被 告生徒らの各行為については,同番号被告D大学及び教員らの主張各記載の認否のとおりである。 イ仮に,前記被告生徒らによる各行為の事実があったとしても,不法行為として違法な権利侵害行為と評価されるものではない。 ⑵ 被告B4の過失の有無 (原告らの主張)別紙「不法行為一 仮に,前記被告生徒らによる各行為の事実があったとしても,不法行為として違法な権利侵害行為と評価されるものではない。 ⑵ 被告B4の過失の有無 (原告らの主張)別紙「不法行為一覧表」番号3ないし11及び13について,被告B4は,担任として,原告A1に対しいじめを行った者の表情,周辺生徒の言動及び原告A1の反応等を注視すれば,原告A1に対するいじめを予見し得たということができたから,原告A1に対するいじめを発見し,適切な指導監督措置をと るべき義務があったにもかかわらず,これを怠った。また,別紙「不法行為一 覧表」番号15については,他の生徒からの原告A1がいじめの被害を受けている旨の申告があったから,上記いじめを行っている者だけでなく,他の生徒からの更なる情報収集及びクラスや学年全体に対するいじめについてのアンケート調査等を行う義務があったにもかかわらず,これを怠り,原告A1と2度面談したにとどまった。さらに,被告B4には,被告中学2年次の担任であ る被告B5等に対し,今後も原告A1に対するいじめが発生しないか注視するために,被告中学1年次の原告A1へのいじめの事実を報告して引き継ぐ義務があったにもかかわらず,これを怠り,申し送りをしなかった。 したがって,被告B4には,別紙「不法行為一覧表」番号3ないし11,13及び15につき,過失があったといえる。 (被告B4の主張)別紙「不法行為一覧表」番号3ないし11,13及び15記載の被告D大学及び教員らの各主張のとおり認否する。 別紙「不法行為一覧表」番号3ないし11及び13については,被告B4が不在の時間,場所で行われたものであるうえに,いじめの兆候を認識し得た事 情もみられない。また,被告B4は,毎日,担任を務めるクラスの 行為一覧表」番号3ないし11及び13については,被告B4が不在の時間,場所で行われたものであるうえに,いじめの兆候を認識し得た事 情もみられない。また,被告B4は,毎日,担任を務めるクラスの生徒に,「一言日記」(生徒が毎日その日あった出来事を用紙に記載して教諭に提出し,これに対し教諭がコメントを記載して生徒に返却するもの。)を書かせるなどして,生徒の日々の様子を把握するように努めていた。これらを踏まえると,被告B4が,原告A1のいじめを予見ないし認識し得たとはいえない。また,別 紙「不法行為一覧表」番号15については,被告B4は,原告A1及び原告A3との三者面談において事情聴取をしただけでなく,平成20年度の3学期には担任教諭と生徒との二者面談を行うなどして,原告A1及びその保護者だけでなく,他の生徒からの情報収集をも行っていたから,一般的な担任教諭として要求されるべき措置を講じたといえ,結果回避義務の違反があったとはいえ ない。さらに,被告B4は,被告中学1年次の担任教諭などで,原告A1のい じめ等を話してきたうえに,上記担任教諭の一部は原告A1の被告中学2年次の教諭として持ち上がっているから,次年度の担任教諭等への申し送りを怠ったとは評価できない。 したがって,被告B4には,別紙「不法行為一覧表」番号3ないし11,13及び15につき,過失がない。 ⑶ 被告B5の過失の有無(原告らの主張)別紙「不法行為一覧表」番号16ないし19,21,22及び25について,被告B5は,担任として,原告A1に対しいじめを行った者の表情,周辺生徒の言動及び原告A1の反応等を注視すれば,原告A1に対するいじめを予見し 得たといえ,原告A1に対するいじめを発見し,適切な指導監督措置をとるべき義務があっ しいじめを行った者の表情,周辺生徒の言動及び原告A1の反応等を注視すれば,原告A1に対するいじめを予見し 得たといえ,原告A1に対するいじめを発見し,適切な指導監督措置をとるべき義務があったにもかかわらず,これを怠った。また,別紙「不法行為一覧表」番号26につき,被告B5は,被告中学3年次の担任である被告B6等に対し,今後も原告A1に対するいじめが発生しないか注視するために,被告中学2年次までの原告A1へのいじめの事実を報告して引き継ぐ義務があったにもか かわらず,これを怠った。 したがって,被告B5には,別紙「不法行為一覧表」番号16ないし19,21,22,25及び26につき,過失があったといえる。 (被告B5の主張)別紙「不法行為一覧表」番号16ないし19,21,22,25及び26記 載の被告D大学及び教員らの各主張のとおり認否する。 別紙「不法行為一覧表」番号16ないし19,21及び22については,被告B5が不在の時間,場所で行われたものであるうえに,いじめの兆候を認識し得た事情もみられない。また,被告B5は,毎日,担任を務めるクラスの生徒に「一言日記」を書かせるなどして,生徒の日々の様子を把握するように努 めていたし,クラスの生徒にも原告A1の状況を確認するなどしていた。これ らを踏まえると,被告B5が,原告A1のいじめを予見ないし認識し得たとはいえない。また,被告B5は,被告中学3年次を担当する教諭に対し,原告A1に対するいじめの情報を報告して引き継いでいるから,義務違反行為があったとはいえない。 したがって,被告B5には,別紙「不法行為一覧表」番号16ないし19, 21,22,25及び26につき,過失がない。 ⑷ 被告B6の過失の有無(原告らの主張)別紙「不 いえない。 したがって,被告B5には,別紙「不法行為一覧表」番号16ないし19, 21,22,25及び26につき,過失がない。 ⑷ 被告B6の過失の有無(原告らの主張)別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32について,被告B6は,担任として,毎日のホームルームや授業前の休み時間などでクラス内 の状況を把握することが可能であり,原告A1に対しいじめを行った者の表情,周辺生徒の言動及び原告A1の反応等を注視すれば,原告A1に対するいじめを予見し得たといえ,原告A1に対するいじめを発見し,適切な指導監督措置をとるべき義務があったにもかかわらず,これを怠った。また,被告B6は,平成22年11月頃に,原告A1へのいじめの事実を認識したから,他の生徒 から情報収集及びクラスや学年全体に対するアンケート調査等を行うべき義務があったにもかかわらず,これを怠った。さらに,被告学校法人B1は中高一貫教育を実施し,原告A1が被告中学から被告高校に進学する予定であったから,被告B6は,被告高校の担当者に対し,遅くとも平成23年3月頃(原告A1の被告中学卒業時)までに,原告A1の被告中学に在籍していたときに 受けたいじめの内容,加害生徒及び高校進学後に原告A1へのいじめを防止するための留意点などを引き継ぐ義務を負っていたにもかかわらず,これを怠り,十分な引継ぎを行わなかった。 したがって,被告B6には,別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32につき,過失があったといえる。 (被告B6の主張) 別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32記載の被告D大学及び教員らの各主張のとおり認否する。 別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32については,被 張) 別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32記載の被告D大学及び教員らの各主張のとおり認否する。 別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32については,被告B6がいない場所,時間で行われたものであるうえに,いじめの兆候を認識し得た事情もみられない。また,被告B6は,原告A1の様子だけでなく,ク ラスの様子も注視していたうえに,生徒に「一言日記」を書かせて情報収集をしていたから,義務違反行為があったとはいえない。さらに,被告B6は,原告A1が被告高校に入学する前に,原告A1の状況を被告B3に報告し,被告学校法人B1において,被告中学の生徒部長であったC2を被告高校1年次の学年部長とし,平成23年4月初頭に,平成22年度の被告中学3年次の学年 団と平成23年度の被告高校1年次の学年団との連絡会議を行うなどした。 したがって,被告B6には,別紙「不法行為一覧表」番号27ないし29,31及び32につき,過失がない。 ⑸ 被告B3の過失の有無(原告らの主張) 別紙「不法行為一覧表」番号34,36,37及び39について,被告B3は,平成23年3月までには原告A1へのいじめの事実を認識していたから,原告A1へのいじめを解決するために,上記いじめの加害者及び被害者以外の生徒からの情報収集並びにクラスや学年全体に対するいじめについてのアンケート調査等を行うなど事実関係等を調査すべき義務を負っていたにもかか わらず,これを怠った。 したがって,被告B3には,別紙「不法行為一覧表」番号34,36,37及び39につき,過失があったといえる。 (被告B3の主張)別紙「不法行為一覧表」番号34,36,37及び39記載の被告D大学及 び教員らの各主張のとおり認否をする。 4,36,37及び39につき,過失があったといえる。 (被告B3の主張)別紙「不法行為一覧表」番号34,36,37及び39記載の被告D大学及 び教員らの各主張のとおり認否をする。 被告B3は,平成21年7月頃に起きた原告A1へのいじめは認識していたが,それ以降の原告A1へのいじめの報告は無かった。また,被告B3は,平成23年3月に,被告B9及びその母親と面談を行ったうえに,当時の被告中学3年次の生徒指導部長から情報収集をするなどしていたが,原告A1へのいじめの兆候を認識し得る事情はなかった。これらを踏まえると,被告B3が, 少なくとも平成21年7月以降に,原告A1へのいじめを予見ないし認識し得たとはいえない。加えて,被告B3は,前記⑷(被告B6の主張)のとおり,被告B6から原告A1に関する報告を受け,被告学校法人B1において,原告A1に適切に対応するために,平成23年度高校1年次の学年部長の人選をするなどした。被告B3は,平成23年春に,被告B9及びその母親との三者面 談を行って行動を見つめるように指導したうえに,平成23年4月1日以降,原告A1の被告高校1年次の担任であったC1教諭に対し,原告と被告B9との関係等を引き継いだだけでなく,いじめに関する研修会をも実施するなど,適切に調査や対策を行っていた。 したがって,被告B3には,別紙「不法行為一覧表」番号34,36,37 及び39について,過失がない。 ⑹ 被告B2の使用者責任の有無(原告らの主張)被告B2は,被告中学の校長であり,公務をつかさどり,所属職員を監督するところ,前記⑵ないし⑸の各(原告らの主張)のとおり,被告B4,被告B 5,被告B6及び被告B3には,平成20年4月から平成22年3月までの間に過 であり,公務をつかさどり,所属職員を監督するところ,前記⑵ないし⑸の各(原告らの主張)のとおり,被告B4,被告B 5,被告B6及び被告B3には,平成20年4月から平成22年3月までの間に過失があるから,代理監督者として損害賠償義務を負う。 (被告B2の主張)被告B4,被告B5,被告B6及び被告B3には平成20年4月から平成22年3月までの間に過失があったとはいえないから,被告B2が代理監督者と して損害賠償義務を負うことはない。 ⑺ 被告B8の過失の有無(原告らの主張)別紙「不法行為一覧表」番号40ないし48について,被告B8は,被告高校の教頭であり,原告A2及び原告A3から原告A1のいじめの申告を受け,原告A1に対するいじめが存在することを認識していたから,原告A1に対す るいじめを解決するために,原告A1及びいじめの加害者以外の生徒からの情報収集及びクラスや学年全体に対するいじめについてのアンケート調査等を行い,事実関係等を把握すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った。 したがって,被告B8には,別紙「不法行為一覧表」番号40ないし48につき,過失があったといえる。 (被告B8の主張)別紙「不法行為一覧表」番号40ないし48記載の被告D大学及び教員らの各主張のとおり認否をする。 上記各番号記載の行為は被告B8が不在の時間及び場所で行われていたものであるうえに,とりわけ原告A3は,上記各番号の時期に被告学校法人B1 の関係者に対し様々な要求をしているが,上記各番号などのいじめに関する指摘はなされていないなどの事情を踏まえると,被告B8は原告A1へのいじめを予見ないし認識し得なかったといえる。また,原告らが主張するアンケート調査を行うことが法的義務と 各番号などのいじめに関する指摘はなされていないなどの事情を踏まえると,被告B8は原告A1へのいじめを予見ないし認識し得なかったといえる。また,原告らが主張するアンケート調査を行うことが法的義務とまではいえない。さらに,被告B8は,被告B3その他の被告学校法人B1の教諭などから報告を受け,原告A2の要望に応じ て面談を重ね,原告A1が受診した医師にも面談するなどして,原告A1に適切に対応していた。 したがって,被告B8には,別紙「不法行為一覧表」番号40ないし48について,過失がない。 ⑻ 被告B7の使用者責任及び過失の有無 (原告らの主張) ア被告B7は,平成22年4月以降被告中学及び被告高校の校長であり,公務をつかさどり,所属職員を監督していたところ,前記のとおり被告B6,被告B3その他の被告学校法人B1の教諭の平成22年4月以降の不法行為責任につき,代理監督者として損害賠償義務を負う。 イ被告B7には,別紙「不法行為一覧表」番号33について,同別紙の原告 らの主張欄に記載したとおり,過失がある。 また,別紙「不法行為一覧表」番号39について,被告B7は,平成23年7月29日に行われた原告A2及び原告A3などとの面談で原告A1のいじめの申告を受け,原告A1へのいじめの事実を認識していたから,原告A1に対するいじめを解決するために,原告A1及びいじめの加害生徒以外 の生徒からの情報収集及びクラスや学年全体に対するアンケート調査等を行い,原告A1に対するいじめの事実関係等を調査する義務を負っていたにもかかわらず,これを怠った。加えて,被告B7は,被告中学及び被告高校の校長として,原告A1に対するいじめを防止する措置を講ずる義務を負っていたにもかかわらず,これを怠った。 負っていたにもかかわらず,これを怠った。加えて,被告B7は,被告中学及び被告高校の校長として,原告A1に対するいじめを防止する措置を講ずる義務を負っていたにもかかわらず,これを怠った。 したがって,被告B7には,別紙「不法行為一覧表」番号39について,過失がある。 (被告B7の主張)ア被告B6,被告B3その他の被告学校法人B1の教諭には,平成22年4月以降,過失があったとはいえないから,被告B7が代理監督者として損害 賠償義務を負うことはない。 イ別紙「不法行為一覧表」番号33については,同別紙の被告D大学及び教員らの主張のとおり認否する。 また,別紙「不法行為一覧表」番号39については,同番号記載の被告学校法人B1及び教員らの主張のとおり認否する。被告B7は,原告A3及び 原告A2と面談した平成23年7月29日までに,原告A1に対する平成2 1年7月を除くいじめなどの報告を受けていないことなどから,原告A1に対するいじめの事実を予見ないし認識し得なかった。そのうえ,被告B7は,被告学校法人B1の教諭とともに,関係生徒への指導だけでなく,原告らとの面談を行うなど適切に情報収集を行っていたから,義務違反行為もない。 加えて,被告B7は原告らの要望等に適切に対応していたのであるから,原 告らが主張するいじめを防止すべき措置を怠ったとはいえない。 ⑼ 被告学校法人B1の債務不履行,使用者責任又は過失の有無(原告らの主張)被告学校法人B1は,原告A1との在学契約に基づき,原告A1に対し,施設等を提供し,所定の課程の教育を実施する義務を負うだけでなく,その付随 義務として,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の生命及び身体の安全を保護する義務 し,施設等を提供し,所定の課程の教育を実施する義務を負うだけでなく,その付随 義務として,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の生命及び身体の安全を保護する義務を負うにもかかわらず,これを怠った。 したがって,被告学校法人B1には,過失及び債務不履行があったといえる。 また,被告学校法人B1は,被告教諭らの不法行為責任について,使用者と して損害賠償責任を負う。 (被告学校法人B1の主張)前記被告教諭らの主張のとおり,被告学校法人B1の教諭らに過失があったとはいえないうえに,被告学校法人B1自体も,適切な対応を行った。 したがって,被告学校法人B1に義務違反及び過失があったとはいえず,使 用者責任も成立しない。 ⑽ うつ病エピソード等に関する因果関係の存否(原告らの主張)原告A1は,被告中学及び被告高校を通じて,被告生徒らからいじめられ,また被告教諭らを含む被告学校法人B1が何らの対策を講じなかった結果と して,多大な精神的苦痛を受け,うつ病エピソード又は適応障害(遷延性抑う つ反応)にり患した。 (被告B9の主張)争う。 (被告B10及び被告B11の主張)否認ないし争う。 原告らがいじめと主張する各不法行為は,別紙「不法行為一覧表」番号20記載の行為を除き,特段不愉快に感じるものとはいえないうえに,うつ病エピソード等の発症に至るまで,長期間を要している。また,原告A1は,自閉症スペクトラム障害を有しており,これと併せてうつ病等を発症するストレスが他にあったから,因果関係があるとはいえない。 (被告学校法人B1らの主張)原告A1は自閉症スペクトラムを有しているところ,人間関係で孤立する等して,自閉症 等を発症するストレスが他にあったから,因果関係があるとはいえない。 (被告学校法人B1らの主張)原告A1は自閉症スペクトラムを有しているところ,人間関係で孤立する等して,自閉症スペクトラム障害の二次障害としてうつ病等を合併しているとも考えられる。したがって,自閉症スペクトラム障害によって,うつ病エピソードや適応障害にり患した合理的な可能性があるため,因果関係がない。 ⑾ 原告A1の損害(原告A1の主張)原告A1は,被告中学1年次から被告高校2年次までの間,被告生徒らからのいじめにより,うつ病エピソード又は適応障害にり患した。原告A2及び原告A3の度重なる抗議があったにもかかわらず,被告学校法人B1及び被告教 諭らが適切な対応をとらなかったため,被告生徒らのいじめは続き,原告A1は,被告高校を退学せざるを得なくなった。これらの精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は,1000万円を下らない。 また,原告A1は,損害賠償請求権を実現するために,弁護士に依頼した(このことは,原告A2も原告A3も同じである。)。相当な弁護士費用は,100 万円を下回らない。 (被告B9の主張)否認ないし争う。 (被告B10及び被告B11の主張)否認ないし争う。 (被告学校法人B1及び被告教諭らの主張) 否認ないし争う。 ⑿ 原告A2の損害(原告A2の主張)原告A2は,被告生徒らのいじめ並びに被告学校法人B1及び被告教諭らの適切な対応がなかったことによって,下記アないしオの合計429万1940 円の損害を受けた。 ア治療関係費(9万1880円)原告A1は,上記各被告らの行為によって,うつ病エピソード又は適応障害にり患し,通院治療を余儀なくさ アないしオの合計429万1940 円の損害を受けた。 ア治療関係費(9万1880円)原告A1は,上記各被告らの行為によって,うつ病エピソード又は適応障害にり患し,通院治療を余儀なくされた。原告A2は,次のとおり,原告A1の治療費,薬代及び通院交通費を支出した。詳細は,別紙治療関係費のと おりである。 治療費(6万2480円)薬代(2万8740円)通院交通費(660円)イ予備校受講関係費用(116万8060円) 原告A1は,平成25年3月末日,前記各被告らの行為によって,被告高校を退学せざるを得なくなった。そのため,平成25年4月以降に受けるべきはずであった高校2年次以降のカリキュラムについて,予備校に通わざるを得なくなった。その結果,原告A2は,予備校の授業料88万8000円及び交通費28万0060円の損害を被った。 ウ被告高校の学費等(163万2000円) 前記各被告らの行為によって,原告A1は,被告高校において,安全で安心して勉学できる適正な環境を損ねた。原告A2は上記適正な環境を前提に学費を支出しているのであるから,被告高校の学費は,賠償の範囲に含まれる。 エ慰謝料(100万円) 原告A2は原告A3とともに,原告A1に対するいじめのため,原告A1へのサポート及び被告学校法人B1に対し適切な対応をとるように抗議し,心身とも多大な労力を費やし,多大な精神的苦痛を受けた。これらの精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は,100万円を下回らない。 オ弁護士費用(40万円) 相当な弁護士費用は,40万円を下回らない。 カ合計(429万1940円)(被告B9の主張)否認ないし争う。 (被告B10及び被告B11の主張) 万円) 相当な弁護士費用は,40万円を下回らない。 カ合計(429万1940円)(被告B9の主張)否認ないし争う。 (被告B10及び被告B11の主張) 否認ないし争う。 (被告学校法人B1及び被告教諭らの主張)否認ないし争う。 ⒀ 原告A3の損害(原告A3の主張) 原告A3は,原告A2とともに,原告A1に対するいじめのため,原告A1へのサポート及び被告学校法人B1に対し適切な対応をとるように抗議し,心身とも多大な労力を費やし,多大な精神的苦痛を受けた。これらの精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は,100万円を下回らない。 また,相当な弁護士費用は,10万円を下回らない。 (被告B9の主張) 否認ないし争う。 (被告B10及び被告B11の主張)否認ないし争う。 (被告学校法人B1及び被告教諭らの主張)否認ないし争う。 ⒁ 消滅時効の成否(被告B9の主張)仮に,不法行為による損害賠償請求権が成立するとしても,原告らが主張する各不法行為は,いずれも,一連一体の行為とは評価できず,損害が未確定ともいえないから,各行為の時から消滅時効が進行する。 原告らが主張する別紙「不法行為一覧表」記載の各不法行為のうち,本件訴え提起時(平成26年6月27日)までに3年以上経過している不法行為(別紙「不法行為一覧表」番号1ないし36記載の各不法行為)については,消滅時効を援用する。 (被告B10及び被告B11の主張) 被告B9の主張と同趣旨である。 (原告らの主張)別紙「不法行為一覧表」記載の各不法行為は,一連一体のものと評価すべきであるから,全体につき1個の損害賠償 及び被告B11の主張) 被告B9の主張と同趣旨である。 (原告らの主張)別紙「不法行為一覧表」記載の各不法行為は,一連一体のものと評価すべきであるから,全体につき1個の損害賠償請求権が発生する。 また,原告A1は,別紙「不法行為一覧表」記載の各不法行為を受けて損害 を被ったが,被告高校を中退した平成25年3月31日までは,損害が拡大していく過程であったため,賠償請求し得る程度に損害の全体を認識することができなかった。 そのため,別紙「不法行為一覧表」記載の各不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,すべて,最後の不法行為が行われた時期である平成2 5年3月31日以降であるから,3年の消滅時効期間は,本件訴え提起時には 経過していない。 第3 争点に対する判断 1 認定事実前記第2の1(前提事実)に加えて,証拠(甲1,2,4,5ないし14,16ないし33,38ないし43,乙1ないし3,6ないし18,丙1,丁1,4, 5,証人E1,同E2及び同C1教諭の各証言,原告A1,原告A2,原告A3,被告B9,被告B10,被告B11,被告B4,被告B5,被告B6,被告B8及び被告B7の各本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 ⑴ 原告A1の被告中学1年次(平成20年4月から平成21年3月まで)の状 況ア原告A1,被告B9,被告B10及び被告B11は,平成20年4月,被告中学に入学した。学年全体の生徒数は,70名程度であり,3クラスに分かれていた。各クラスの担任及び学年付の教諭であった被告B5が,合計4名の学年団として,部長となるC3(一つのクラス担任を兼務)を中心に, 学年全体の状況を把握する態勢であった。また,上記学年団の4名と 。各クラスの担任及び学年付の教諭であった被告B5が,合計4名の学年団として,部長となるC3(一つのクラス担任を兼務)を中心に, 学年全体の状況を把握する態勢であった。また,上記学年団の4名とは別に,C2が生徒指導部長を務め,これは,中学2年次及び3年次においても同じであった。 イ原告A1は,被告B9,被告B10,F1,F2,F3,F4,F5及びF6とともに,平成20年4月(被告中学1年次),被告B4が担任教諭を務 める1年2組のクラスに配属された。 ウ被告中学及び被告高校では,生徒が毎日その日あった出来事を用紙に記載して教諭に提出し,これに対し教諭がコメントを記載して生徒に返却するということが行われていた(一言日記)。 エ原告A1は,被告中学1年次の1学期及び2学期の途中まで,F2及びF 3とグループを組んでいた。また,被告B9は,F1,F4及びF6とグル ープを組んでいた。 オ被告B10は,被告中学1年次の2学期に,1週間に1度ほどの頻度で,原告A1をゴースト(幽霊)というあだ名で呼ぶなどして悪口を言った。また,被告B10を含む複数の生徒は,被告中学1年次のときに,原告A1のシャープペンを誰かの机の下に入れた。そのほか,被告B10は,平成21 年7月頃(被告中学2年次の1学期頃)までの間に,原告A1に消しゴムのかすを投げたり(当初は,数学の時間に他の生徒に言われて投げたが,中間テスト以降は,言われなくても投げた。),数学の時間に被告B11などと同様に,原告A1の顔を見て笑ったり,さらには,原告A1の机に触れただけでも「ばいきんがついた」などと言って騒いだりした。 カ被告B9及び被告B10を含む原告A1のクラスに在籍していた生徒は,被告中学1年次の2学期に,原告A1に対し,鬼ご 1の机に触れただけでも「ばいきんがついた」などと言って騒いだりした。 カ被告B9及び被告B10を含む原告A1のクラスに在籍していた生徒は,被告中学1年次の2学期に,原告A1に対し,鬼ごっこのように,特定の生徒に触り,その生徒からばい菌が移ったなどと騒いで,触った部分で他の生徒に触るような言動(以下「バイキンタッチ」という。)を複数回繰り返し行った。バイキンタッチは,原告A1だけでなく,F1に対しても行われてい た。 キ平成20年9月頃,原告A1のクラスでは合唱の練習を行うことがあった。 上記練習には,原告A1及び被告B9を含む生徒が参加した。 ク平成20年9月頃,原告A1と一緒に仲良くしていたクラスメイトのF3とF2が,F4,F6,F1及び被告B9のグループと一緒になるようにな った。 ケ被告中学の平成20年度において,原告A1のクラスでは,相合傘を書き合うのが流行したことがあった。 コ原告A1は,平成20年11月頃,被告B9又はF4から箸箱の蓋を取られ,それをF5の机の中に入れられた。F5は,上記蓋を発見すると,これ を教卓の上に置いた。その後,被告B4が教室に入って,教卓の上に上記蓋 が置いてあるのを発見した。被告B4は,生徒に対し,「これは誰のですか。」などと問いかけたが,誰も何も言わなかったため,「誰の物でもないのなら捨てますよ。」と言って,上記蓋をごみ箱の中に捨てた。 サ被告中学の教諭であったC4は,被告B4に,平成20年11月4日,原告A1が,昼食時に筆箱の中に他人の赤ペンが入っていたところ,そのペン を投げ付けた旨報告した。 シ被告B9は,被告中学1年次の2学期に,他の生徒とともに,万引きをした。また,被告B9は,同時期に,他の生徒とともに,F1に対し,F1 入っていたところ,そのペン を投げ付けた旨報告した。 シ被告B9は,被告中学1年次の2学期に,他の生徒とともに,万引きをした。また,被告B9は,同時期に,他の生徒とともに,F1に対し,F1の物を他の生徒の机の中に入れるなどして,いじめを行っていた。 ス被告B4は,平成20年12月19日,F1とF1の保護者との三者面談 を行った。被告B4は,F1の保護者から,上記面談において,原告A1が持ち物を男子生徒の机の中に入れられ,それを取ろうとすると,変態などと言われて,原告A1が困っているのではないかとの報告を受けた。また,被告B4は,同日,F1の保護者から,娘のいじめについて対処を願うという趣旨の手紙を受領した。上記手紙には,被告B9とそのクラスメイトのF4 の性格が記載されたあとに,F1が保護者に,誰かが原告A1の箸箱を被告B10の筆箱に入れた,その後,原告A1が箸箱を取り戻そうとしたら,横から変態,変態,男子のものをさわると大きな声で言われたことがあったことを話した,F1の保護者が「男子」とは誰かと尋ねるとF1が被告B10と回答した旨の記載があった。 セ被告B4は,平成20年12月22日,他の生徒から,「Gさんはいじめられているのではないか?英語の時間も一人。体育の時間は変なダンスをして,みんな笑っている。」旨の情報提供を受けた。被告B4は,当時の原告A1の英語の担当教諭であったM及び体育の担当教諭であったC4に確認したところ,「G個人というより全体的にペアワークがうまくいかないことがあっ た。」,「Gさんのダンスは一風変わっているが,本人も楽しそうにやってい たし,グループで採用された」旨の回答を得た。もっとも,原告A1は,平成20年頃,被告中学の女子生徒から,筆箱や弁当箱を机の中に さんのダンスは一風変わっているが,本人も楽しそうにやってい たし,グループで採用された」旨の回答を得た。もっとも,原告A1は,平成20年頃,被告中学の女子生徒から,筆箱や弁当箱を机の中に入れられることについて,大丈夫とメールで心配されることがあった(なお,被告学校法人B1の教職員は,平成21年7月頃まで,このことを知らなかった。)。 ソ被告B4は,平成20年12月25日,被告B10に対し,前記手紙に記 載された事実を確認した。被告B10は,黒板に原告A1との相合傘を書かれたことがあった,自分だけでなく他の男子生徒のときもあった,休み時間中に被告B10の机と原告A1の席をくっつけられていたことがあった及び原告A1の定規をかばんの中に入れられたことがあった旨を被告B4に話した。 タ被告B4は,同日,原告A1及び原告A3と三者面談を行った。被告B4は,上記面談の際,「学校で嫌な思いをしていないか」などの旨を原告A1に尋ねたが,「いや,べつに。」などと言うだけで原告A1が特に何も答えなかった。被告B4は,被告B10から聴取した前記ソの事情を挙げたが,原告A1は「ああ,あのことか」との返事しかしなかった。すると,原告A3が, 被告B4に,「一度,娘の携帯に大丈夫と気遣うメールがあった」旨を伝えた。そこで,被告B4及び原告A3が,原告A1に,「どうなの?」という旨で質問すると,原告A1が不機嫌なそぶりを見せ,「謝罪されたりするのは嫌。かっこ悪い。先生がその人たちに勝手にやるのはいいけど,私は関係ない!」などと言った。これに対し,被告B4は,原告A1に,何かあれば, いつでも言ってきてほしいなどの旨を伝えた。また,被告B4は,上記面談で,前記コで捨てた箸箱の蓋の所有者が原告A1であったことを知った。 チ れに対し,被告B4は,原告A1に,何かあれば, いつでも言ってきてほしいなどの旨を伝えた。また,被告B4は,上記面談で,前記コで捨てた箸箱の蓋の所有者が原告A1であったことを知った。 チ被告B9は,複数の生徒とともに万引きをしたり,F1に対していじめをしたことが被告中学に知られ,平成20年12月又は平成21年1月頃,クラスとは別室で指導を受けた。被告中学に万引きのことを知らせたのは,被 告B9の保護者である。その後,被告B9は,在籍するクラスに戻った。被 告B9が別室で指導を受けていた間,原告A1が被告B9から何らかの言動を受けたことはなかった。 ツ平成21年1月22日頃から,被告中学では,同校1年次全体で,担任と生徒との間の面談が行われた。上記面談では,被告B4に対し,机が動かされていたことがある,F1の筆箱が自分のところにあったことがある,被告 B9及びF4が鞄の中から何かを取り出しているのを見た,被告B9及びF4に来てと言われて,F1の鞄に携帯電話を戻す際に,カーテンを押さえたことがあった旨の申告があった。被告B4は,同月23日,原告A1と面談した。原告A1は,被告B4との面談で,学校生活や家庭生活などを聞かれたが,いずれも特に不安がない旨を答えるとともに,平成20年11月後半 から同年12月頃に,同じクラスの生徒であったF1をめぐって周辺がおかしい旨を答えた。 テ被告B4は,平成21年3月21日頃,担任を務めるクラスの学級懇談会を行った。上記学級懇談会において各家庭から一言話をしてもらった際,原告A3は,「家ではよくしゃべっている。それを学校で見せたらと思う…。毎 日学校での出来事について話す。楽しそう。家が夜型だったが,自分で寝る,起きるなど自立心が芽生え始めている。タレント 原告A3は,「家ではよくしゃべっている。それを学校で見せたらと思う…。毎 日学校での出来事について話す。楽しそう。家が夜型だったが,自分で寝る,起きるなど自立心が芽生え始めている。タレント,バラエティーに夢中になりつつある。」などの旨を話した。 ⑵ 原告A1の被告中学2年次(平成21年4月から平成22年3月まで)の状況 ア原告A1は,被告B10とともに,平成21年4月(被告中学2年次),被告B5が担任教諭を務める2年1組のクラスに配属された。なお,被告B11は,2年3組のクラスに配属された。平成20年度の中学1年次の学年団のうち,C3,被告B4及び被告B5は,引き続き中学2年次の学年団を構成した。被告B5は,被告中学1年次に,教科担当教諭としても,原告A1 と関係があった。 少なくとも被告中学2年次においては,英語と数学に関しては,成績を考慮し,あるクラスの生徒が別のクラスの生徒とともに授業を受けることがあった。 イ被告中学2年次においても,一言日記は行われていた。 ウ原告A1は,被告中学2年次のときに,男子生徒にからかわれることがあ った。 エ被告中学の生徒であったF7は,平成21年4月頃から,「Gのことをどう思う?気持悪い」旨を言った。 オ平成21年4月頃から,原告A1らのクラス内で,前記⑴カの「バイキンタッチ」が流行し,被告B10が原告A1にもしたことがあった。 カ被告B10は,平成21年4月から7月頃,原告A1に対し,消しゴムのカスを投げたことがあった。 キ原告A1は,被告中学2年次の1学期に,Lで行われた写生大会に参加した。原告A1は,上記写生大会では一人で行動していた。 ク原告A1は,後記ケに関与した男子生徒から,平成21年6月頃,「a1」 告A1は,被告中学2年次の1学期に,Lで行われた写生大会に参加した。原告A1は,上記写生大会では一人で行動していた。 ク原告A1は,後記ケに関与した男子生徒から,平成21年6月頃,「a1」 と呼ばれたり(他の生徒に「a1」と言ってみろということもあった。),「食事いかへん?」と言われたり,第三者が勝手に作った原告A1へのラブレターを渡されたりするなどのちょっかいを受けることが3,4回あった。 ケ平成21年7月7日(被告中学2年次の期末試験の初日)の朝礼の前に,男子生徒のF8ともう1名の男子生徒が教室内でペットボトルと木片(1辺 5センチメートル未満,厚さ1センチメートルほどのもの。)を用いて野球をしていたところ,上記木片が原告A1の頭部に当たった。すると,誰かが「あたった,あたった!」などと言った。その後,F8が原告A1の木片を取り,それを投げ始めたところ,木片が原告A1に当たらなかったのをみて,被告B11が「ノーコン」,「ノーコンばっかやん」,「もっと真ん中やろ」な どと言った。その際に,原告A1に当たらなかったときには舌打ちをするな どのことがあった。そして,投げた木片が原告A1に当たったこともあった。 一部の生徒が大きな木片を投げようとしたが,被告B11等がそれはやめておけと言って止めた。やがて,別の男子生徒が紙飛行機を作り,その男子生徒だけでなく被告B11も紙飛行機を原告A1に投げた(甲11)。また,原告A1は,紙くずをも投げられた。そして,男子生徒が,雑巾を「プレゼン ト」などと言って原告A1の頭に載せたこともあった。同日午前8時30分頃には,原告A1に物を投げることも収まった。なお,上記出来事には,他のクラスの生徒も加わっていた。 コ原告A1と同じクラスであった女子生徒2名(F1及び に載せたこともあった。同日午前8時30分頃には,原告A1に物を投げることも収まった。なお,上記出来事には,他のクラスの生徒も加わっていた。 コ原告A1と同じクラスであった女子生徒2名(F1及びF4)が,平成21年7月7日の授業後,被告中学の教諭に対し,原告A1がクラスの男子生 徒6名から木片等を投げ付けられ,頭に雑巾を載せられた旨を報告した。被告中学の教諭は,すぐに上記行為に加担した生徒を被告中学に呼び出し,事情聴取をした。なお,事件の詳細がわかるまでの間,原告A1の両親には連絡してはいけないとの指示があり,原告A3及び原告A2には,この時点では,連絡がされなかった。 サ原告A1は,平成21年7月8日の授業後,前記ケの出来事について事情聴取をされた。原告A1は,「なんで私が呼ばれるの?そっちで解決しておいて。大事になるから親には絶対に言わないで。面倒なことはイヤ。」と言っただけでなく,「今朝,3人の男の子が「ゴメン」と謝りに来た」旨を答えた。 これに対し,被告学校法人B1の教諭は,原告A1に,「こんな大変なことが 起こって,両親に何も言わないわけにはいかない」旨答えた。また,同日,被告学校法人B1の教諭は,前記コの女子生徒2名から,再度,事情聴取を行った。 シ被告学校法人B1の教諭は,平成21年7月9日,事件関係者(前記ケの際に,原告A1に木片等を投げた生徒及び一緒にいたが物を投げなかったと される合計8名〔そのなかには,F9,F10,F11,F12,被告B1 1,F13がいた。〕)全員を呼び出し,事情聴取をするとともに指導をした。 上記事情聴取の際には,「一昨日だけのことではなく,以前より,授業中に消しゴムのかすや紙くずを投げていた」,「1年時よりバイキン扱いをしていたこと,2年になっ し,事情聴取をするとともに指導をした。 上記事情聴取の際には,「一昨日だけのことではなく,以前より,授業中に消しゴムのかすや紙くずを投げていた」,「1年時よりバイキン扱いをしていたこと,2年になって自分たちもその流れに乗った」旨の話があった。 ス原告A3は,平成21年7月10日の午前中,原告A1の携帯を黙って見 たところ「大丈夫?」とのメールがあったので,被告中学で何かあったのか心配になり,被告B5に電話をした。被告B5は,原告A3に対し,前記ケの出来事を話すとともに,これまでの事情聴取のなかに被告中学1年次のときに原告A1へのいじめがあった旨を聞いたので,そのことも話した。 セ被告B2,被告中学の副校長,被告B3,被告B5,学年部長C3及び生 徒指導部長C2は,前記F8について,進路変更を促すことにした。 ソ原告A1のクラスの生徒全員は,被告B5及び当時の学年部長であったC3から,平成21年7月13日頃,前記ケの事件について,男女別々に指導を受けた。 タ被告B11は,平成21年7月13日頃,他の生徒とともに,原告A1に 紙飛行機を投げたことなどを記載した謝罪文を作成した(なお,上記謝罪文には,前にもこのようなことを書いた旨記載されている。)。また,被告B11の母親は,上記謝罪文を読み,被告B11が再発しないように努める旨を誓約した。また,同日,前記ケに加担した男子生徒及びその保護者に対し,口頭厳重注意処分が言い渡された。 チ平成21年7月13日頃に,被告B10を含む中学1年次のときからいじめをしていたということで名前の挙がった生徒は,呼出しを受け,事情聴取をされた。また,その保護者に対しても,電話で報告がなされた。被告B10は,この頃,原告A1に対して行ったことを文書に書き,謝罪,反省をさせら いうことで名前の挙がった生徒は,呼出しを受け,事情聴取をされた。また,その保護者に対しても,電話で報告がなされた。被告B10は,この頃,原告A1に対して行ったことを文書に書き,謝罪,反省をさせられることがあった。 ツ被告中学の教諭は,平成21年7月14日,前記ケに関与していた男子生 徒のF8の保護者を被告中学に呼び出し,F8及びその保護者に対し,進路変更を促した。その後,F8は,退学した。 テ原告A2及び原告A3は,平成21年7月13日の週の終わり頃,被告中学を来校し,被告中学の教諭と面談し,その面談の際に,被告中学の教諭から前記ケの事件の説明と謝罪を受けた。 ト平成21年7月15日,原告A1に物を投げた生徒の保護者が被告中学に呼び出された。 ナ被告B2は,平成21年7 月頃,被告B7及び被告B3から,原告A1が生徒から木片を投げ付けられたなどの事件の報告を受けた。 ニ被告中学の教諭は,平成21年7月頃,被告中学2年次の生徒の保護者と の二者面談を行った。 ヌ被告中学の教諭は,平成21年度2学期頃,前記コの女子生徒2名及び男子生徒1名から,原告A1の学校生活の状況を数回確認したところ,「その後は何もない。大丈夫。」との回答を得た。なお,被告中学の教諭は,原告A1からは事情聴取をしなかった。 ネ原告A1は,平成22年1月ないし同年3月頃,在籍するクラスの教室内で嘔吐をした。 ⑶ 原告A1の被告中学3年次(平成22年4月から平成23年3月まで)の状況ア原告A1は,平成22年4月(被告中学3年次),被告B6が担任教諭を務 めるクラスに配属された。学年団における学年部長は,中学1年次以来,C3であった。 イ被告中学3年次のときも,一言日記が行われていた。 ウ被告 被告中学3年次),被告B6が担任教諭を務 めるクラスに配属された。学年団における学年部長は,中学1年次以来,C3であった。 イ被告中学3年次のときも,一言日記が行われていた。 ウ被告B11及び被告B10は,被告中学3年次のときに,原告A1を「a1」と呼んでいた。 エ原告A1は,平成22年11月頃,原告A3に対し,被告中学でいじめを 受けている旨を告白した。 オ原告A3は,平成22年11月15日,インターネットの掲示板に他人を誹謗中傷する旨の書き込みがあったことに対する全校集会指導があったことを聞き,原告A1に対する書き込みがあるかどうかを不安に思い,被告中学に来校し,被告B6と面談した。原告A3は,被告B6に,上記面談にお いて,原告A1から被告中学1年次の夏頃からの集団での「いじめ」があった旨を聞いた,被告中学2年次にも集団での「いじめ」があった旨も聞いた,原告A1がインターネット掲示板に自分を誹謗中傷する書き込みがあるのではないかという不安にかられている,原告A1が「集団に入れない。いじめられるだけなら生まれてこなければよかった。」と話している旨を話した。 これに対し,被告B6は,原告A3に,被告中学1年,2年次のいじめがトラウマとなり,学年集団に入れない現実については,スクールカウンセラーにも相談の上,対応していくとして,スクールカウンセラーとの面談を勧めた。 なお,原告A1に関して,インターネット掲示板に誹謗中傷の書き込みが 現にされたという申し出は,なかった。 カ原告A1がスクールカウンセラーと会いたがらなかったため,原告A3は,平成22年12月7日,同月14日,平成23年1月11日,同年2月1日,同月15日及び同年3月8日に,スクールカウンセラーと面談をした。 1がスクールカウンセラーと会いたがらなかったため,原告A3は,平成22年12月7日,同月14日,平成23年1月11日,同年2月1日,同月15日及び同年3月8日に,スクールカウンセラーと面談をした。 キ原告A1は,平成22年12月頃,クラスの生徒とともに,被告中学が実 施したニュージランド研修旅行に出かけた。この研修では,原告A1を含む生徒が飛行機に乗ることがあった。 ク原告A3は,平成23年2月16日,被告B6に対し,電話で,原告A1に対するいじめの問題を,カウンセラーとの話で終わらせるのかという趣旨のことを言い,不満を述べた。 ケ被告B4は,平成23年2月22日,被告学校法人B1に対し,原告A1 の被告中学1年次の出来事を報告する書面を作成し,これを報告した。被告B4は,被告学校法人B1から,平成22年11月頃に報告の指示を受けていた。 コ原告A2及び原告A3は,平成23年2月26日頃,被告B7と面会した。 被告B7は,上記面談において,過去のいじめの事実を謝罪するとともに, 当時の学年部長であったC3から原告A1に話を聞くようにすることを話した。 サ C3は,平成23年3月2日,原告A1から話を聞こうとしたが,原告A1から拒絶された。 シ原告A3は,平成23年3月8日,被告B3と,C3が原告A1から話を 聞くことを確認した。 ス C3は,平成23年3月9日,教室内で,原告A1と話し合う機会をもった。C3は,このとき,原告A1に対し,何でも聞くよなどと言った。これに対し,原告A1は,C3が真摯に話を聞くような態度ではないと考え,教室から出て行き,その機会が中止された。その際,原告A1は,平成23年 3月9日,文章にして話すことをC3と約束した。しかし,その後,原告A3から電 真摯に話を聞くような態度ではないと考え,教室から出て行き,その機会が中止された。その際,原告A1は,平成23年 3月9日,文章にして話すことをC3と約束した。しかし,その後,原告A3から電話があり,上記文章は書けないなどの旨の報告があった。 セ原告A3は,平成23年3月24日,被告学校法人B1を来訪し,被告B3に対し,被告高校進学時の学力別クラス編成をする際に,原告A1の人間関係を考慮することを求めた。 ソ被告B3及びC3は,被告B9及びその母親と,被告B9が被告高校に入学する前に,面談をし,「B9さんの言葉がトラウマになって友達を作ることができない子がいるので,仲良くしてあげて下さい。」,「高校になって同じクラスになった時は優しくしてあげて下さい。」という趣旨のことを言った。これに対し,被告B9が,原告A1のことかと聞くと,上記教諭らは, そうである旨回答するとともに,「このことはGさんには言わないでくださ い。」旨を言った。 タ原告A1及び被告生徒らは,平成23年3月,被告中学を卒業した。 ⑷ 原告A1の被告高校1年次(平成23年4月から平成24年3月まで)の状況ア原告A1及び被告生徒らは,平成23年4月,被告高校に入学した。原告 A1は,被告B9とともに,被告高校の教諭であったC1教諭が担任を務めるクラスに配属された。被告高校1年次では,被告中学から進学した生徒については,2クラスしかなかったが,学力別にクラスを編成しており,原告A1及び被告B9のクラスは,特進クラスという,成績がよいクラスで,生徒を難関の大学に合格させるよう,さまざまな企画があった。クラス編成時 には,原告A1も被告B9も,同じ程度の成績で,どちらかを特進クラスから外すことも検討されたが,原告A1を特進 ラスで,生徒を難関の大学に合格させるよう,さまざまな企画があった。クラス編成時 には,原告A1も被告B9も,同じ程度の成績で,どちらかを特進クラスから外すことも検討されたが,原告A1を特進クラスから外すことも,被告B9を特進クラスから外すことも,問題があると考えられ,結局実現しなかった。また,平成23年3月まで被告中学の生徒指導部長であったC2は,同年4月以後,当時の被告高校1年次の学年団において,学年部長を務めた。 これについては,学年部長の候補とされたC3が,同年3月,原告A1から事情を聴こうとしたところ,原告A1が話をしなかったこと,C2が,原告A1らの中学1年次から,生徒指導部長として,原告A1に関する問題及びそれ以外の生徒の問題行動に対応してきたことが,考慮された。 イ被告B5は,平成23年6月10日,原告A1の中学2年次の出来事に関 し,被告学校法人B1に報告した。 ウ被告B3は,平成23年7月1日,原告A2の勤務先に赴いて,原告A2と面談した。原告A2は,被告B3に対し,上記面談において,「いじめ」を起こさないための学校としての対応マニュアルを示すこと,原告A1が被告高校入学後に同じクラスの生徒H(被告B9)から聞こえるように,「誰がチ クッた。おかげで徳島から帰ってきた。」と言われた,被告中学在籍時から原 告A1に対するいじめやハラスメントが続いている,被告高校2年次には生徒H(被告B9)と同じクラスにしないように求めるなどの旨を話した。 エ原告A1は,平成23年7月8日午前11時から同日午前11時20分頃,C2と面談した。原告A1は,C2から,被告B9がチクッたと言ったことや被告B9と隣の席になったことについて質問され,被告B9からそういう ことを言われた,中学1年の ら同日午前11時20分頃,C2と面談した。原告A1は,C2から,被告B9がチクッたと言ったことや被告B9と隣の席になったことについて質問され,被告B9からそういう ことを言われた,中学1年のことはもう流したい,今は高校生になったので,自分としては何事も頑張ってトライしていきたい,被告B9が隣の席になったことについては別に何とも思わない,などと答えた。 オ被告B3は,平成23年7月9日,原告A2の勤務先に赴いて原告A2と面談した。被告B3は,上記面談において,被告B3個人が作成したいじめ への対応指針を提示するとともに,学校全体のものではない旨説明した。また,被告B3は,原告A2から,被告高校2年次のときのクラスを被告B9と同じクラスにしないよう念書を書かされそうになったが,念書を書かず,クラス分けの3つの案を提示,説明した。 カ原告A2は,平成23年7月15日の午前に,3度にわたって被告高校に 電話をかけた。原告A2は,上記電話で,2学期からクラスを分けてほしい,被告学校法人B1として原告A1の学校生活の安心,安全を保障するための具体策をお願いしたい旨伝えた。 キ原告A2は,平成23年7月20日午後2時30分から同日午後3時頃までの間,被告B3に電話をかけた。原告A2は,その際に,原告A1が被告 中学3年次に両親が学校長に被告B9とのクラスを分けてほしいなどのお願いをしたが,何故同じクラスにしたのか,被告B9から隔離できない場合に原告A1の安心,安全を確保するために被告学校法人B1は何をするのか,原告A1の被告中学1年次の被告B9を中心としたいじめを再度,徹底的に調査して,被告B9を指導して,いじめの再発がないよう徹底してほしい旨 を伝えた。 ク被告B3は,平成23年7月28日午 告中学1年次の被告B9を中心としたいじめを再度,徹底的に調査して,被告B9を指導して,いじめの再発がないよう徹底してほしい旨 を伝えた。 ク被告B3は,平成23年7月28日午前9時30分から同日午前10時20分頃,原告A2の勤務先に赴き,同人と面談した。原告A2は,上記面談において,被告B3に,原告A1がC2に言った言葉を表面的にとらないでほしい,中学1年次の担任(被告B4)を呼び出して注意,指導したのか,F1も被害者であり,原告A1とともに,被告B9から隔離してほしい,被 告中学3年次のときに被告B9から「あんたなんか,嫌い!」と言われたが,これは原告A1へのいじめではないのかという旨を伝えた。 ケ原告A2及び原告A3は,平成23年7月29日午後4時15分ころから同日午後6時45分ころまで,被告高校において,被告B7,被告B3及びC2と面談した。上記面談において,原告A2は,被告高校2年次には原告 A1と被告B9とを別のクラスにするよう,確約を取り,できれば念書も取りたい旨述べ,被告B7は,被告高校2年次のクラス分けで原告A1と被告B9のホームルームのクラスを別にするが,平成23年9月からのクラス替えは学校として無理であることなどを述べた。 コ被告B3は,平成23年8月3日午前9時頃から同日午後10時30分頃 までの間,原告A1の担任教諭であったC1教諭及びC2と面談した。上記面談では,原告A1へのいじめの経緯が説明されただけでなく,被告B7からの指示についての説明などがなされた。 サ原告A3は,平成23年8月19日頃,C1教諭に電話をして,原告A1は被告高校の講習が始まり,精神的に不安定で体調も非常に悪い,被告B9 と同じ空間にいるのが苦痛なのだと思われる,原告A1がC2から被 は,平成23年8月19日頃,C1教諭に電話をして,原告A1は被告高校の講習が始まり,精神的に不安定で体調も非常に悪い,被告B9 と同じ空間にいるのが苦痛なのだと思われる,原告A1がC2から被告B9と同じクラスになっていることについてどう思うかを尋ねられたが,原告A1が本心では快く思っていないし,被告学校法人B1の教諭を信用していないから,原告A1が大丈夫と言っていることを鵜呑みにしないでほしいなどの旨を伝えた。C1教諭は,同日午後4時10分頃,被告B3に上記電話の 内容を伝えた。 シ原告A1は,平成23年12月5日,生理不順を主訴として,I病院を受診した。原告A1は,同日,卵巣機能不全,卵巣腫瘍,月経不順などの疑いがあり,少なくとも平成24年7月23日まで通院した。 ス C1教諭は,平成24年1月26日頃,原告A1及び原告A3との面談を行った。C1教諭は,上記面談において,原告A3から,平成23年夏頃以 降から原告A1の生理不順が長期化し,通院や投薬をしている,医師からはストレスが原因であろうと言われた旨を話した。C1教諭は,平成24年1月27日,上記面談で話題となった事項を,被告高校の教職員に報告した。 セ原告A3は,平成24年2月14日午後12時25分頃から同日午後12時45分頃までの間,C1教諭に電話をし,原告A1が3学期に入り,心身 ともに不安定で悪化している,ここ2,3日「死」という言葉を何度も口にする,被告B9から表面的にはなにもないが,3学期に入り,非常にうるさい,クラス全体がうるさいが,特にB9の声は耳について,耐えられない,学校で友人を作るつもりはないなどの原告A1の状況を報告した。 ⑸ 原告A1の被告高校2年次(平成24年4月から平成25年3月まで)の状 況ア ,特にB9の声は耳について,耐えられない,学校で友人を作るつもりはないなどの原告A1の状況を報告した。 ⑸ 原告A1の被告高校2年次(平成24年4月から平成25年3月まで)の状 況ア原告A1は,平成24年4月(被告高校2年次),被告B11とともに,C1教諭が担任を務めるクラスに配属された。被告B9は,別のクラスに配属されたが,教科によっては,別のクラスの生徒と授業を受けることがあったため,原告A1も,被告B9とともに同じ授業を受けることがあり,原告A 1の精神的負担となった。また,原告A1と仲がよかった生徒3名も,すべて別のクラスに配属され,これも,原告A1にとって,精神的負担になった。 被告高校では,2年次には,被告中学から進学した生徒と他の中学校から進学した生徒を区別せず,最上位の生徒を1組,その次の生徒を2組としていたが,この方針に従うと,原告A1と被告B9は,同じクラスになる。原告 A1が高校2年次のときのみは,1組,2組とも,上位2クラス分の生徒を 適宜1組と2組に割り振ることとされた。 イ C1教諭は,平成24年4月27日,原告A1と面談し,志望大学,現在の授業の状況及び被告B11や被告B9との関係などを確認した。 ウ原告A3は,平成24年4月28日,C1教諭に電話をし,原告A1がクラスの男子生徒の言動を不愉快に思って落ち込んでいる,こそこそ話をした り,笑ったりしている,授業中もうるさい,面談で授業中の態度を注意された生徒から自分がチクったかのように陰で言われているなどの原告A1からの話を報告するとともに,被告B11に関しては被告中学のときにいじめられていた相手で,同じクラスになってとても心配である,今後,厳しい注意,指導を望んでいるなどのことを認識してほしい旨を伝えた。 を報告するとともに,被告B11に関しては被告中学のときにいじめられていた相手で,同じクラスになってとても心配である,今後,厳しい注意,指導を望んでいるなどのことを認識してほしい旨を伝えた。 エ原告A3は,平成24年5月25日午後1時30分頃から同日午後2時15分頃までの間,C1教諭に電話をし,原告A1が被告高校2年次になってから誰とも話ができずクラスで孤立している,同じクラスの被告B11の言動が本人もかなり苦痛に思っている,授業もほとんど被告B9と同じで,それも苦痛であるなどの旨を話した。 オ被告B9は,平成24年6月頃,授業中の態度が悪かったことを理由にC1教諭と面談をした。被告B9は,上記面談において,担任教諭であったF4教諭との面談の際に,「F14をいじめているだろう」,「中学のときにG,F14にしてきたことは聞いている」,「三カ年の生徒に『死ね』と言っただろう」,など,全て被告B9が張本人であるかのように決めつけて言われて, 非常に腹が立った旨述べた。 カ原告A3は,平成24年6月2日午後3時15分頃から同日午後3時45分頃までの間に,C1教諭に電話をして,被告高校2年3組のF14が被告B9にいじめられている,被告B9が担任のF4教諭から「F14をいじめているらしいな」などと注意をされた,被告B9が上記F14をからかうよ うなことを男子生徒(被告B11を含む)に言わせている旨を報告した。 キ原告A3は,平成24年6月21日,C1教諭に電話をし,原告A1が帰宅してから全く何も話さない,学校で何かあったのではないかなどと聞いても「別に」と答えて部屋に入って横になっている,昨日は「早く帰れた」と,とても上機嫌であった,被告中学のときから2年間ひどいいじめを受け,精神的に参って い,学校で何かあったのではないかなどと聞いても「別に」と答えて部屋に入って横になっている,昨日は「早く帰れた」と,とても上機嫌であった,被告中学のときから2年間ひどいいじめを受け,精神的に参っていると思う,原告A1が被告B11から一日中誰とも話してい ないことをからかわれ,原告A1が前記F14と話していると話が合うのかと言われたこともあったなどを伝えた。C1教諭は,同日,上記原告A3との電話を書面にまとめ,上記書面には,中学と高校で申し送りをしたが,その内容が不十分であったなら,お詫びするしかない,各学年の担任の先生から話を聞いていないのも事実であり,時間切れの状態でスタートしたことは 否めない,人間関係に関しては,おそらく本人(原告A1)が直接聞かれるのはいやがると思ったので,他の生徒(F15,F2)から様子を聞き,声をかけてくれるよう話もしている,何かあったら,教えてくれるようにも頼んでいる,教科担任の先生にも働き掛けているなどの記載をした。 ク C1教諭は,平成24年7月24日,原告A1及び原告A3との三者面談 を行った。 ケ原告A2は,平成24年8月14日付けで,被告学校法人B1理事長J,被告B7及び被告B3宛の手紙を作成して渡した。上記手紙には,原告A1が被告高校1年次で被告B9と同じクラスにされ,精神的な苦痛を受けたこと,原告A1への「いじめの実態調査」の報告を被告学校法人B1も行って 報告すべきこと,もし上記報告に関する書面を原告A2に見せない場合には公開請求をすることなどが記載されている。 コ被告B3は,平成24年8月28日,前記ケの原告A2の8月14日付けの手紙,原告A1の被告中学1年次から3年次までの報告書,平成23年7月から同年8月までの間の原告A2への対応,いじめ問題に関する児童 告B3は,平成24年8月28日,前記ケの原告A2の8月14日付けの手紙,原告A1の被告中学1年次から3年次までの報告書,平成23年7月から同年8月までの間の原告A2への対応,いじめ問題に関する児童生徒 の実態把握に関わる緊急調査及び今後の対応の提案をまとめたNY報告書 と題する書面を作成した。 サ原告A1は,平成24年8月17日,同月29日及び同月31日,被告高校の授業を欠席した。C1教諭は,同日,上記各日時に原告A3から電話で報告されたことを書面にまとめた。上記書面には,今までは,本人(原告A1)が「意地でも学校に行く」という姿勢を見せていたが,それも限界にき ているようです,無理に来させるわけにもいきません,このペースで欠席が重なると,授業にもついていけず,成績は確実に下降すると思いますなどと記載されている。 シ原告A1は,平成24年9月4日,同月11日,同月15日,同月26日,同年10月5日,被告高校の授業を欠席した。原告A3は,上記各日時にC 1教諭と電話をし,相当の時間をかけて,原告A1が原告A3に対して次のような話をしている旨を伝えた。 教室にいるのが息苦しくなる,明日は行かない,今朝もしんどい,行きたくない。 帰宅してからしんどい,吐き気がする。 今のクラスの人とは誰とも仲良くなれないし,話したくない,理系のクラスでF14と一緒になっても,話す気力もない。 ス原告A1は,平成24年9月頃,被告高校生徒部が実施したアンケートにおいて,男子生徒たちからからかわれたり,授業の邪魔をされたりする,学校では友達が出来ず,長年いじめにあっていたので人間関係不信になってい る,この学校は全く何もしてくれませんなどの旨を回答した。 セ被告B7は,平成24年9月6日頃,被告 をされたりする,学校では友達が出来ず,長年いじめにあっていたので人間関係不信になってい る,この学校は全く何もしてくれませんなどの旨を回答した。 セ被告B7は,平成24年9月6日頃,被告学校法人B1の教職員に対し,いじめに対する認識をさらに深めるために,K1大学のK2教授を招いて教職員のための研修会を実施することを案内し,同年10月24日に上記研修会を実施した。 ソ原告A1は,平成24年10月5日から同月9日までの間,被告高校を欠 席した。 タ原告A2及び原告A3は,被告B7及び被告B3とともに,平成24年10月9日午後2時から同日午後4時までの間,面談をした。上記面談では,原告A1が被告高校を同月5日から同月9日までの間欠席していることについて学校がどのように捉えているのか,被告中学から被告高校に原告A1 のいじめに関する引継ぎがなされたのか,選択授業の移動のときに,原告A1が座っていた机が油でべとべとになっていた,「誰が座っていたんや?」と原告A1を見て,クラスで大騒ぎになった,被告高校2年次の古典の授業でテキストを読む際に,原告A1の声が小さかったところ,被告B9から「声が小さい!」と言われた,被告高校2年次になって,被告B11,被告B1 0及び被告高校の生徒であるF16が原告A1をからかっている,今になってもいじめはなくなっていないなどのことが話された。 チ被告B3は,平成24年10月20日,原告A2の勤務先に赴き,原告A2と面談した。被告B3は,上記面談において,前記タで話のあった出来事について,今後,このようなことが起こらないようにするために,事実関係 の調査,関わった生徒への指導,中学時からの関係教員との今日までの取り組みの再総括などを行う旨を話した。 ツ被告B 事について,今後,このようなことが起こらないようにするために,事実関係 の調査,関わった生徒への指導,中学時からの関係教員との今日までの取り組みの再総括などを行う旨を話した。 ツ被告B5は,平成24年10月22日の7校時,生徒に「Gさんは?」と尋ねると,「欠席」との男子生徒の声があった。その直後,男子生徒のF10が被告B10に「おまえがはらましたし,休んでいるんやろう」と言い,こ れに対し,被告B10は「違うわ」と言った。被告B5は,上記授業後,上記両名を呼び出し,F10の発言に対し「あの発言は何?どういうつもり?」と尋ねると,F10は「つい条件反射で言ってしまった。おちょくるかんじで言ってしまった。」と言った。被告B5が,普段から原告A1に対してそういう感じなのかと尋ねると,「本人の前では絶対に言ってない」と言ったが, 本人のいないところではそういったことがあるのかと尋ねると,すぐに返事 が返ってこず,あいまいな感じとなり,はっきり「ない」とは言われなかった。その後,被告B5が,F16を含む他の生徒たちもこんな感じなのかと尋ねると,被告B10がそんなことはないと言った。 テ原告A1は,平成24年11月10日,模擬試験を欠席し,平成25年1月から3月までの3学期には登校しなかった。原告A1は,高校2年次の2 学期には,いじめが一応なくなったが,加害者と一緒に勉強するのはつらく,学校が何もしてくれず,仲の良かった生徒3名と同じクラスにしてほしいと希望したものの,うち1人は成績の関係で無理であると言われ,被告高校に通いたくないと思った。 ト原告A1は,被告高校校長に対し,平成25年3月31日付けで被告高校 を退学する旨を届け出た。 2 別紙「不法行為一覧表」記載の行為の存否と不法行為該 被告高校に通いたくないと思った。 ト原告A1は,被告高校校長に対し,平成25年3月31日付けで被告高校 を退学する旨を届け出た。 2 別紙「不法行為一覧表」記載の行為の存否と不法行為該当性⑴ 別紙「不法行為一覧表」記載の各番号の事実の存否について(以下,個別に番号1などという。)ア番号1について 原告らは,被告B9から番号1の行為を受けた旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告らの陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 前記原告A1の供述内容についてみると,中学生における学校生活ではよく起こり得るものであるし,格別,信用性に疑義のある点も見受けられない。 また,前記認定事実⑴エによれば,被告B9が被告中学1年次のときにF4 とグループを組んでいたことが認められるところ,これを併せて踏まえると,被告B9が原告A1から聴取したことをF4などの他の生徒に伝え,F4が吹聴したとしても何ら不自然ではない。そうすると,前記原告A1の供述は信用することができるといえる。 したがって,上記各証拠により,番号1の事実が認められる。 イ番号2について 原告らは,被告B9から番号2の行為を受けた旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑴エ,カ,ク,コ及びセによれば,2学期には原告A1が仲の良かったF3及びF2とグループを組むことがなくなり,上記両名が被告B9とグループを組むようになったこと,被告B9がこの頃から原告A1に バイキンタッチをしたり,後記のとおり,原告A1の箸箱の蓋を取ったことに関与したこと及び他の生徒から原告A1が一人でいることを報告されることがあったことが認められる。また,本件全証拠によっても,原告A1がF3及 をしたり,後記のとおり,原告A1の箸箱の蓋を取ったことに関与したこと及び他の生徒から原告A1が一人でいることを報告されることがあったことが認められる。また,本件全証拠によっても,原告A1がF3及びF2と仲違いをしたなどの事情は,認められない。これらを踏まえると,被告B9が,原告A1のグループに対し,何らかの言動を起こして, 原告A1が孤立したとみるのが相当であるところ,前記原告A1の供述は,これに沿うものであるから信用できるといえる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号2の事実が認められる。 ウ番号3について 原告らは,被告B9から番号3の行為を受けた旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑴カ及びキによれば,平成20年9月頃に原告A1が在籍するクラスで合唱の練習が行われたこと及び原告A1のクラス内でバイキンタッチが行われていたことが認められる。これらの事実は,前記原告A1の 供述を裏付けるものであるといえる。 この点,被告B9は,原告らは,当初,他の女子生徒が原告A1に触って「汚い」などと言っていたのを被告B9が「バイキンタッチ」と言うなどして騒ぎ出したと主張していたが,その後,被告B9又は同人と示し合わせた女子生徒が原告A1に近付いて触り,「汚い」と叫ぶなどして,鬼ごっこのよ うに騒ぎ出したと主張し,そして原告A1の陳述書(甲43)及び同人の本 人尋問の結果では,F4が原告A1に触り,その手で被告B9を触ったところ,被告B9が「汚い!やめてや!」と叫び,近くにいた別の女子生徒に触って「汚いのが移った」と言いながらその生徒から離れた旨供述するなど,原告らの主張などが変遷しているうえに,原告A1がその変遷 ころ,被告B9が「汚い!やめてや!」と叫び,近くにいた別の女子生徒に触って「汚いのが移った」と言いながらその生徒から離れた旨供述するなど,原告らの主張などが変遷しているうえに,原告A1がその変遷の合理的な理由を説明できていないから,同人の供述は信用できない旨を主張する。 確かに,前記原告A1の供述は,被告B9の関与の仕方の点に,当初の主張や供述などと変遷している部分もあるうえに,原告A1本人尋問の結果をみても,記憶が曖昧と思われる点もあり,被告B9又は被告B9と示し合わせた女子生徒が原告A1に近づき触れたなどの詳細な態様に関しては,採用することができない。しかしながら,原告A1は,当初から一貫して,被告 B9が関与している旨主張ないし供述しているから,少なくとも,原告らの主張に沿う証拠(甲43,原告A1本人尋問の結果)中,上記合唱の練習において,原告A1が生徒からバイキンタッチを受けたところ,その際に,被告B9も何らかの形で関与したというところまでは,上記被告B9の主張を踏まえても,なお信用できるといえる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,番号3のうち,合唱の練習において,原告A1が生徒からバイキンタッチを受けたところ,その際に,被告B9も何らかの形で関与したという事実は認めることができる。 エ番号4について原告らは,番号4の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び 陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑴カによれば,被告B10を含む原告A1と同じクラスの生徒が,原告A1に対し,バイキンタッチを行っていたことが認められ,前記原告A1の供述には裏付けとなる事実があるといえるから,前記原告A1の供述は信用することができる。これに反する証拠は,採用できない。 原告A1に対し,バイキンタッチを行っていたことが認められ,前記原告A1の供述には裏付けとなる事実があるといえるから,前記原告A1の供述は信用することができる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号4の事実が認められる(もっとも,原 告A1とは別のクラスであった被告B11がこれに関与していたとまでは,認められない。)。 オ番号5について原告らは,番号5の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)には,これに沿う部分が認められる。 前記認定事実エないしカ,クないしサ並びにスないしソによれば,原告A1が,被告中学1年の2学期に,被告B9及び被告B10を含む男子生徒だけでなく女子生徒からもバイキンタッチなどでからかわれていたこと,同時期頃には,仲の良かったF3及びF2とグループを組まなくなり,上記両名が被告B9のグループと組むようになったこと及び被告B4が平成20 年12月22日に他の生徒から原告A1がいじめられているのではないかの旨を聞いたことが認められる。これらの事実に照らすと,原告A1が,同年9月頃に,からかわれるなどして孤立していたことがうかがわれるといえ,前記原告A1の供述には裏付けがあるといえる。また,証拠(被告B4本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば,少なくとも,週に1日は,自由食 の日として,教員が被告中学の生徒の昼食の場に同席しないときがあったことが認められるから,このようなことが起こり得る機会があったといえる。 したがって,証拠(甲43,原告A1本人尋問の結果)により,番号5の事実が認められる。これに反する証拠は,採用できない。 カ番号6について 原告らは,番号6の事実があった旨主張し,原告A1 たがって,証拠(甲43,原告A1本人尋問の結果)により,番号5の事実が認められる。これに反する証拠は,採用できない。 カ番号6について 原告らは,番号6の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)には,これに沿う部分がある。 前記ウないしオで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴エないしク,コ,サ並びにスないしソによれば,原告A1が2学期頃から,被告B9を含む複数の生徒からバイキンタッチを受けるなどしたこと,被告B9又は同人とグ ループを組んでいたF4から箸箱の蓋をF5の机の中に入れられることが あったこと及び被告B10が原告A1をゴーストと呼び,原告A1の物を男子生徒の机の中にいれるなどの行為をしていたことが認められる。これらの事実を踏まえると,2学期には被告B9及びそのグループを組んでいた者が原告A1をからかっていたといえ,他の生徒と同様に,被告B9を含むクラス内の女子生徒が原告A1に悪口を言ったとしても不自然ではないから,上 記原告A1の供述は,これらに沿うものであり,信用することができる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号6の事実が認められる。 キ番号7について原告らは,番号7の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び 原告A1の陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記エに加えて,前記認定事実1⑴オ及びカ,ス,⑵サによれば,原告A1は平成20年9月頃には被告B10を含む生徒から原告A1が供述するような言動を受けていたことが認められ,前記原告A1の供述には裏付けがあるといえる。これに反する証拠は,採用できない。もっとも,他のクラス の生徒らとともに行っていたことまで裏付ける証拠もないから,こ 動を受けていたことが認められ,前記原告A1の供述には裏付けがあるといえる。これに反する証拠は,採用できない。もっとも,他のクラス の生徒らとともに行っていたことまで裏付ける証拠もないから,この点の原告A1の供述は,採用できない。 したがって,番号7の事実は,上記証拠により,他のクラスの生徒らとともにという点を除いて,認められる。 ク番号8について 原告らは,番号8の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告A1の陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記ウないしカで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴エ,オ,ク,ケ及びセによれば,原告A1が2学期に被告B10からゴーストと呼ばれるなどの悪口を言われていたこと,被告B10を含む生徒からバイキンタッチを 受けていたこと及び原告A1が他の生徒から一人でいることを心配されて いたことが認められるところ,これらの事実は前記原告A1の供述に沿うものであるうえに,番号8の事実を認定するに足りるものといえる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号8の事実が認められる。 ケ番号9について 原告らは,番号9の事実があった旨主張し,原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 前記イ,ウ,オ,カ及びクで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴エ,カ,ク,コ,セ及びソをも踏まえると,原告A1が,2学期において,被告B9から加害を受けていたことが認められるうえに,前記原告A1の陳述書 に格別不自然な点もないから,信用できるといえる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号9の事実は認められる。 コ番号10について原告らは,番号10の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋 信用できるといえる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号9の事実は認められる。 コ番号10について原告らは,番号10の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及 び原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分(バイキンタッチを被告B4の前でもやられた旨の供述)がある。 確かに,前記ウ及びエに加えて,前記認定事実⑴カによれば,被告B9及び被告B10を含む生徒が2学期に,原告A1にバイキンタッチなどの言動を複数回繰り返し行っていたことが認められる。 しかしながら,原告の主張に沿う上記各証拠に反する証拠(乙7,被告B4本人尋問の結果)もある。そして,本件全証拠によっても,原告A1及び原告A3と被告B4とが平成20年12月25日に面談をした際,バイキンタッチなど原告A1を汚物扱いするような言動及びそれを被告B4が注意しなかったことが話題になったとは認められないし,被告B4以外の教諭が 上記のような言動を確認したとも認められない。そうすると,番号10の事 実に関する原告の主張に沿う証拠を採用することはできない。 したがって,番号10の事実は,認められない。 サ番号11について原告らは,番号11の事実があった旨主張し,原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 前記イ,ウ,オ,カ,ク及びケで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴ケ及びソによれば,被告B9が2学期に原告A1を単独又は数名でからかっていたことだけでなく,原告A1がこの当時,黒板に被告B10その他男子生徒との相合傘を書かれたことが認められる。これらの事実を踏まえると,被告B9が,他の生徒とともに,黒板に原告A1と男子生徒との相合傘を書 くだけでなく,何らかの原告A1の似顔絵を描くこ 男子生徒との相合傘を書かれたことが認められる。これらの事実を踏まえると,被告B9が,他の生徒とともに,黒板に原告A1と男子生徒との相合傘を書 くだけでなく,何らかの原告A1の似顔絵を描くことも十分にあり得ることであるといえる。そうすると,前記原告A1の陳述書は,これらの状況に沿うものであるから,信用することができるといえる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号11の事実が認められる。 シ番号12について原告らは,番号12の事実があった旨主張し,原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 前記イ,ウ,オ,カ,ク,ケ,サ及び後記セに加えて,前記認定事実⑴コ,ス及びツによれば,被告B9が,2学期に,単独又は数名でバイキンタッチ などの言動を行っていただけでなく,平成20年11月頃に被告B9又はF4から箸箱の蓋をF5の机の中に入れられたこと,F1の保護者が,平成20年12月19日,原告A1が持ち物を男子生徒の机の中に入れられ,それを取ろうとすると,変態などと言われて,原告A1が困っている旨を被告B4に報告したこと,被告B9及びF4がF1の鞄から何かを勝手に取り出し たことが認められる。これらの事実を踏まえると,前記原告らの各陳述書は, 信用することができる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記各証拠により,番号12の事実が認められる。 ス番号13について被告生徒らの誰がした行為かは特定されていないが,後記番号14の前提となるので,その限度で判断する。 前記シで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴コ,ス及びセ,証拠(甲4,43)によれば,平成20年11月頃,被告B4がクラスの生徒に対し,教卓の上に置かれた原告A1の箸箱 の限度で判断する。 前記シで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴コ,ス及びセ,証拠(甲4,43)によれば,平成20年11月頃,被告B4がクラスの生徒に対し,教卓の上に置かれた原告A1の箸箱の蓋の持ち主を尋ね,これに対し,誰も答えなかったため,被告B4が上記蓋をごみ箱の中に捨てたこと,特定はできないが,クラスメイトが忍び笑いをしていたことが認められる。 セ番号14について原告らは,番号14の事実があった旨主張し,原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 前記シ及びスで認定した事実を踏まえると,上記陳述書記載の言動を被告B9が行ったと考えるのが相当であるから,前記原告A1の陳述書は信用す ることができる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号14の事実が認められる。 ソ番号16について原告らは,番号16の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 前記エに加えて,前記認定事実⑴オ,カ,⑵ウないしカ,ク及びシによれば,被告B10を含む男子生徒が中学1年次のときから原告A1にバイキンタッチや悪口を言っていたこと,他の複数人の生徒が被告中学1年次の原告A1への上記言動などを受けて,原告A1に消しゴムのかすを投げるなどの言動に及んだことが認められる。これらの事実に加えて,平成21年4月頃 までの間に,被告B10が原告A1へのいじめについて被告学校法人B1の 教諭から注意等指導監督されたことがうかがわれないこと,前記認定事実⑵から原告A1への言動の加害性がエスカレートしていることをも併せて踏まえると,被告中学2年次のときには被告B10の原告A1への言動も次第に苛烈になっていったことがう かがわれないこと,前記認定事実⑵から原告A1への言動の加害性がエスカレートしていることをも併せて踏まえると,被告中学2年次のときには被告B10の原告A1への言動も次第に苛烈になっていったことがうかがわれるから,被告B10が,原告A1に対し,前記原告A1の陳述書記載の言動に出たとしても何ら不自然ではない から,前記原告A1の供述及びその陳述書は,信用することができる。これに反する証拠は,採用できない。 したがって,上記証拠により,番号16の事実が認められる。 タ番号17について原告らは,番号17の事実があった旨主張する。 前記認定事実⑵カ及びシによれば,被告B10を含む男子生徒が被告中学2年次の7月より前から,原告A1に消しゴムのかすを投げていたことが認められる。また,前記ソで認定した事実に加えて,前記認定事実⑴オをも併せて検討すると,被告B10及び被告B11が他の男子生徒ともに,消しゴムのかすを投げていたなどの言動に及んでいたことがうかがわれ,他の生徒 が上記言動を行った際に,笑ったり,はやし立てたりしたとしても,何ら不思議ではない。しかしながら,本件全証拠によっても,平成21年4月の時点において,原告A1が雑巾を投げ付けられたり,頭から被せられたりしたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,番号17の事実は,被告B11及び被告B10を含む男子生 徒が,平成21年4月頃,消しゴムのかすを投げ付け,また,他の生徒が上記行為などを行った際に,笑ったり,はやし立てたりしていたという限度で認められる。これに反する証拠は,採用できない。 チ番号19について原告らは,番号19の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及 び原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 する証拠は,採用できない。 チ番号19について原告らは,番号19の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及 び原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 前記タで認定した事実に加えて,前記認定事実⑵シ及びスによれば,原告A1が被告B10及び被告B11を含む男子生徒から,平成21年4月頃に,消しゴムのかすを投げ付けられたり,他の生徒から笑ったり,はやし立てられたりしていたこと,原告A1が平成21年7月9日以前から授業中に消しゴムや紙くずを投げ付けられていたこと及び被告中学の生徒から原告A1 が心配されていたことが認められるところ,これらの事実に照らせば,平成21年4月から同年7月までの間,原告A1が,被告B10及び被告B11を含む男子生徒から,ほぼ毎日,消しゴムのかすや紙くずなどを投げ付けられるなどの行為を受けていたとしても,格別不自然とはいえないから,原告A1の上記供述は信用できるといえる。また,被告B5が,本件当時,原告 A1が上記言動を受けていたことを認識していなかったことについては,被告学校法人B1及び被告教諭らも争わない。 したがって,上記証拠により,番号19の事実が認められる。これに反する証拠は,採用できない。 ツ番号20について 原告らは,番号20の事実があった旨主張する。 前記認定事実⑵ケ及びシによれば,被告B11を含む複数の生徒(多くて8名)が,前記認定事実⑵ケの行為を行ったことが認められる。もっとも,本件全証拠によっても,男子クラスメイトのほぼ全員及び被告B10も行ったという点はこれらを認めるに足りる証拠がないため,認定することができ ない。 したがって,番号20の事実は,上記の限度で認められる。 テ番号22について原告らは,番号22 10も行ったという点はこれらを認めるに足りる証拠がないため,認定することができ ない。 したがって,番号20の事実は,上記の限度で認められる。 テ番号22について原告らは,番号22の事実があった旨主張し,原告A1の本人尋問の結果及び原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,これに反する証拠(被告B10及び被告B11各本人尋問 の結果・あまりかかわらないでおこうと思ったという趣旨の供述)もある。 前記認定事実⑵コ,シ,ス,タ,チ及びヌ並びに証拠(甲10,11,19)によれば,被告B11が平成21年7月7日に番号20の事実についての事情聴取を受け,同日以降,保護者も含めて被告中学の教諭から指導を受けたこと,被告B10は番号20の事実に関与していなかったが,同月13日頃 に原告A1へのこれまでの言動を事情聴取され,反省文(甲10)を書かせるなど被告中学の教諭から指導を受けたこと及び平成21年度2学期以降,被告中学の教諭が生徒に原告A1の状況を確認した際に,特に問題があった旨が報告されていないことが認められる。これらの事実を踏まえると,いじめと称されるような言動が教諭などの目の届かないところで密かに行われ るという特徴を勘案しても,被告中学の教諭による指導の影響があった可能性も相当あり,被告B11及び被告B10が,前記原告A1が供述する言動を行ったといえるには,なお疑義が残るといえる。そうすると,前記原告らの主張に沿う証拠は,採用することができない。 したがって,番号22の事実は,認められない。 ト番号24について原告らは,番号24の事実があった旨主張し,原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,これに反する証拠(丙1,被告B9本人 認められない。 ト番号24について原告らは,番号24の事実があった旨主張し,原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,これに反する証拠(丙1,被告B9本人尋問の結果)もある。そして,前記認定事実ヌによれば,平成21年9月以降,同年7月7 日の原告A1への出来事を被告中学の教諭に伝えた,当時の被告中学2年次の女子生徒2名が,原告A1の状況を大丈夫と確認していることが認められる。この事実に照らせば,いじめなどと称される言動が教諭などの目の届かないところで密かに行われるという特徴を踏まえても,原告A1の被告中学2年次の2,3学期にいじめがあったとは考え難く,なお前記原告らの主張 に沿う証拠の信用性には,疑義が残るといわざるを得ない。 したがって,番号24の事実は,認められない。 ナ番号25について原告らは,番号25の事実があった旨主張し,原告A1の本人尋問の結果及び陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 前記認定事実⑵ネによれば,原告A1が平成22年1月から同年3月頃ま での間に,在籍するクラスの教室内で嘔吐したことが認められる。しかしながら,前記認定事実⑵シ,ソ,タ,チ及びヌによれば,被告B11及び被告B10が平成21年7月頃にこれまでの原告A1に対する言動について被告中学の教諭から指導説諭されたこと及び被告中学の教諭が,平成21年2学期頃に被告中学の生徒から原告A1の状況を数回確認した際に特に問題 がないとの回答を得たことが認められることを踏まえると,上記被告両名に対する指導の効果が継続していた可能性が否定できず,前記原告A1の陳述書のうち,被告B11,被告B10及び他の男子生徒1名が,原告A1に,笑いながら大声で「わ~,汚な」などの旨をはやし立 被告両名に対する指導の効果が継続していた可能性が否定できず,前記原告A1の陳述書のうち,被告B11,被告B10及び他の男子生徒1名が,原告A1に,笑いながら大声で「わ~,汚な」などの旨をはやし立てたという部分については,その信用性に疑義があるといえる。 したがって,番号25の事実のうち,被告B10及び被告B11の言動の部分については,認定することができない。 ニ番号27について原告らは,番号27の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告A1の陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 これに対し,上記証拠に反する証拠(乙9,被告B6本人尋問の結果)もある。 この点につき,確かに,前記認定事実⑶エによれば,原告A1が平成22年11月頃に原告A3にいじめを受けている旨告白した事実が認められ,前記認定事実⑴及び⑵により認定できるこれまでの経過をも踏まえると,原告 A1が被告中学3年次においてもいじめを受けていたことを推認させると いえる。 しかしながら,証拠(甲15,乙8,9,丁1の1,証人E1の証言,被告B5,被告B6及び被告B9各本人尋問の結果)によれば,被告中学1年次以来,原告A1の担任教諭らは,原告A1が他の生徒とコミュニケーションをとったり人間関係を築くのが不得意であると感じていたこと,平成24 年11月以後に原告A1を診察したE1も,原告A1から,被告中学3年次にはいじめはおさまったが周囲とは孤立していると聞き,診察を進め,コミュニケーションには問題があると判断していること,平成23年3月当時,被告B9にとって,原告A1が友達のいない生徒という印象であったことが認められる。 これらの事実によれば,原告A1が,平成22年度の学校生活において,一人で学校生活 ,平成23年3月当時,被告B9にとって,原告A1が友達のいない生徒という印象であったことが認められる。 これらの事実によれば,原告A1が,平成22年度の学校生活において,一人で学校生活を送ることが多かったことは認められるが,それは,原告A1が他者とコミュニケーションをとるのが苦手であったなどの特性による部分もあると考えられ,原告らの主張に反する上記証拠の信用性も,あながち否定はできない。原告らの主張に沿う証拠を採用することはできず,原告 A1が男子生徒から日常的に無視されていたなどとは認定できない。 したがって,番号27の事実は認められない。 ヌ番号28について原告らは,番号28の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑵ク,シ,ソないしチ,⑶ウ,争いのない事実,証拠(甲10)及び弁論の全趣旨によれば,原告A1が平成21年6月頃から被告中学の生徒から「a1」と呼ばれてちょっかいを出されていたこと,被告B11及び被告B10が同時期に原告A1をa1と呼ぶことがあったこと,平成21年7月頃に被告B11及び被告B10が原告A1に対する言動で被告B 5を含む被告中学の教諭から指導されたこと,及び被告中学の平成22年度 に被告B11及び被告B10が原告A1をa1と呼ぶことがあったことが認められる。これらの事実に照らすと,被告B10及び被告B11の主張を踏まえても,原告A1をa1と呼ぶことはからかいの類の言動であったといえるから,少なくとも被告B11及び被告B10が原告A1を嘲るような調子で「a1」と呼んだとの事実があったと認定できる。もっとも,本件全証 拠を検討しても,当時の担任教諭であった被告B6が上記事実を認識していたとま 告B11及び被告B10が原告A1を嘲るような調子で「a1」と呼んだとの事実があったと認定できる。もっとも,本件全証 拠を検討しても,当時の担任教諭であった被告B6が上記事実を認識していたとまでは認められない。 したがって,番号28の事実については,被告B11及び被告B10が,原告A1を嘲るような調子で「a1」と呼んだとの限度で,その事実を認めることができる。 ネ番号29について原告らは,番号29の事実があった旨主張し,原告A1の陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 しかしながら,これに反する趣旨の証拠(被告B10本人尋問の結果・平成21年7月以後に原告A1に対する言動には気を付けていたという趣旨) もある。前記ニのとおり,平成24年11月以後に原告A1を診察したE1が,原告A1から,被告中学3年次にはいじめはおさまったと聞いたことも認められる。これらの証拠によれば,前記原告A1の陳述書は信用するのに疑義が残るといわざるを得ない。 したがって,番号29の事実は,認められない。 ノ番号32について原告らは,番号32の事実があった旨主張し,原告A1の陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 しかしながら,前記ニに加えて,証拠(甲15)によれば,原告A1がE1に対し,被告中学3年次のときにはいじめがおさまったが,友達がおらず お弁当を一人で食べている旨供述した事実が認められ,この事実に照らすと, 前記原告A1の陳述書を採用することができない。 したがって,番号32の事実は,認められない。 ハ番号35について原告らは,番号35の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告A1本人の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。被告B9は, これを否認し,被 られない。 ハ番号35について原告らは,番号35の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告A1本人の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。被告B9は, これを否認し,被告B9の主張に沿う証拠(丙1,被告B9本人尋問の結果)もある。 前記認定事実⑶ソ,同⑷ウ及びエによれば,被告B9が平成23年3月頃(被告高校入学前)にC2などから,被告B9の言葉がトラウマになって友達を作ることができない子がいるので,仲良くしてあげて下さい,高校にな って同じクラスになったときは優しくしてあげて下さい,このことは原告A1には言わないで下さいなどと言われたこと,被告B3が同年7月1日に原告A2から,原告A1が被告高校入学後に被告B9から聞こえるように「誰がチクった。おかげで徳島から帰って来た。」旨言われたことを報告されたこと及び原告A1が同月8日にC2に対し被告B9が原告A1にチクった と言ったことがあったと言ったことが認められる。これらの事実を総合すれば,被告B9が他の生徒に対し,「誰がチクった。」などと言ったことを推認することができる。そして,この事実に照らすと,前記原告A1の供述は,その限度で信用することができるといえる。しかし,被告B9が,故意に原告A1に聞こえるように言ったのか,また,それ以上に,原告A1に対する いやがらせをしたのかについては,的確な証拠がない。 したがって,証拠(甲43,原告A1本人尋問の結果)により,上記の限度で,番号35の事実が認められる。 ヒ番号38について原告らは,番号38の事実があったと主張し,原告A1の陳述書(甲43) には,これに沿う部分が認められる。 しかしながら,被告B11本人尋問の結果には,被告B11が原告A1に対して積極的に何かし 8の事実があったと主張し,原告A1の陳述書(甲43) には,これに沿う部分が認められる。 しかしながら,被告B11本人尋問の結果には,被告B11が原告A1に対して積極的に何かしたことで覚えていることはないという趣旨の部分がある。そして,前記ハに加えて前記認定事実⑶エ及び同⑷ウ及びエによれば,原告A1が平成22年11月頃,原告A3に被告中学でいじめを受けていることを告白したこと,原告A1が平成23年4月頃に被告B9から「誰がチ クった」等の旨を言われたこと及び原告A1が平成23年7月1日までの間に,原告A2に上記被告B9から言われたことを報告したことが認められる。 これらの事実に照らすと,少なくとも,原告A1が平成23年7月頃には原告A3及び原告A2に対し学校で被告B9から受けたことなどを報告していたことが認められ,平成23年7月から被告高校を退学した平成25年3 月31日までの間に,原告A1が原告A3及び原告A2に,前記番号38記載の事情を報告した形跡がうかがわれないことを踏まえると,前記原告A1の陳述書を採用することはできない。 したがって,番号38の事実は,認められない。 フ番号40について 原告らは,番号40の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告A1の陳述書(甲43)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,番号40の事実自体が抽象的なものであることを措くとしても,前記ヒと同様の理由により,前記原告A1の陳述書を採用することはできない。 したがって,番号40の事実は認められない。 ヘ番号41について番号41の事実が不法行為といえるかどうかを措くとしても,前記ヒと同様の理由により,前記原告A1の陳述書を採用することはできない。 したがって,番号41の事実は られない。 ヘ番号41について番号41の事実が不法行為といえるかどうかを措くとしても,前記ヒと同様の理由により,前記原告A1の陳述書を採用することはできない。 したがって,番号41の事実は認められない。 ホ番号42について 原告らは,番号42の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑸ウ,エ,カ,タ及びスによれば,原告A3が平成24年4月28日及び同年5月25日に,C1教諭に対し,原告A1が同じクラスの男子生徒からこそこそ話されたり,笑われたりするなどの言動を不愉快に思 って落ち込んでいる,被告B11の言動をかなり苦痛に思っているなどと話している旨を伝えたこと,原告A2及び原告A3が,被告B7及び被告B3に対し,平成24年10月9日に,被告高校2年次になって被告B10,被告B11及びF16から原告A1がからかわれている旨を伝えたこと並びに原告A1が平成24年9月に被告高校生徒部が実施したアンケートに,男 子生徒たちからからかわれたり,授業の邪魔をされたりするなどと記載したことが認められる。しかしながら,本件全証拠によっても,平成24年4月から同年5月までの間に,原告A1,原告A3及び原告A2から,被告B10及び被告B11の具体的な言動について言及された形跡は何らうかがわれない。そうすると,前記原告A1の供述などを採用することができないと いえ,番号42の事実があったとまでは認定できない。 したがって,番号42の事実は,認められない。 マ番号43について原告らは,番号43の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑸ は,認められない。 マ番号43について原告らは,番号43の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑸イないしエ,カ及びタによれば,C1教諭が,平成24年4月27日,原告A1と面談し,被告B11との関係を聴取したこと,C1教諭が,同月28日,同年5月25日及び同月2日に,原告A3と電話で,原告A1がクラスの男子生徒からこそこそ話されたり,笑ったりなどの言動で不愉快に思って落ち込んでいる,被告B11の言動をかなり苦痛に思って いるなどと話した旨を伝えられる一方,被告B11及び被告B10から受け た具体的な言動について,特に話されていないこと,原告A2及び原告A3が,被告B7及び被告B3に対し,平成24年10月9日に,被告高校2年次になって被告B10,被告B11及びF16から原告A1がからかわれている旨を伝えたこと並びに原告A1が平成24年9月に被告高校生徒部が実施したアンケートに,男子生徒たちからからかわれたり,授業の邪魔をさ れたりするなどと記載したことが認められる。これらの事実に照らすと,男子生徒から何らかのからかいを受けていた可能性があるとはいえるが,被告B10及び被告B11が加担していたかには疑義があるうえに,原告A1が過剰にからかわれていると勘違いした可能性も排除できないといえるから,前記原告A1の供述などを採用することができない。 したがって,番号43の事実は,認められない。 ミ番号44について原告らは,番号44の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 前記ホ及びマで検討したとおり,平成24年5月頃に原告A1が男子生徒 から 番号44の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 前記ホ及びマで検討したとおり,平成24年5月頃に原告A1が男子生徒 からからかわれていた可能性は十分にあるものの,キによれば,原告A3は同年5月から6月にかけてC1教諭に複数回電話して原告A1から聞き取った内容を伝えて相談しているが,番号44の事実を具体的にうかがわせるような内容はなかったことからすれば,前記原告A1の供述などを採用することができない。 したがって,番号44の事実は認められない。 ム番号45について原告らは,番号45の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,前記ホ,マ及びミで検討したことを踏まえると,原告A1 が平成24年度1学期又は同年度2学期に,男子生徒からからかわれるなど の行為を受けていた可能性があるとはいえるが,本件全証拠によっても,上記の時点において,被告B10が,番号45の事実を行ったとまではいえない。 したがって,番号45の事実は認められない。 メ番号46について 原告らは,番号46の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 また,前記認定事実⑸タ及びス並びに争いのない事実によれば,原告A2及び原告A3が,被告B7及び被告B3に対し,平成24年10月9日に,原告A1が被告高校2年の古典の授業でテキストを読む際に,原告A1の声 が小さかったから,被告B9から「声が小さい!」と言われたこと,被告高校2年次になって被告B10,被告B11及びF16から原告A1がからかわれている旨を伝えたこと,被告 む際に,原告A1の声 が小さかったから,被告B9から「声が小さい!」と言われたこと,被告高校2年次になって被告B10,被告B11及びF16から原告A1がからかわれている旨を伝えたこと,被告B10及び被告B11が授業中に原告A1の音読の声が小さく,聴き取りにくい傾向があったため,授業で指摘したことがあったこと並びに原告A1が平成24年9月に被告高校生徒部が実施 したアンケートに,男子生徒たちからからかわれたり,授業の邪魔をされたりするなどと記載したことが認められる。これらの事実は,前記原告A1が供述する事実を一定程度推認するものといえる。 しかしながら,同時に,原告A1は,原告A2及び原告A3に対し,被告B9から声が小さい旨指摘されたことを話したにもかかわらず,被告B10 及び被告B11から上記の言動があった旨を指摘していないともいえ,前記原告らが主張するような大声ではやし立てたような事象があったのか疑義が残る。また,前記認定事実⑸で認められる被告高校2年次のときの原告A1の精神状況に照らせば,原告A1が被告B9らの言動に過剰に反応している可能性も排除し切れないといえる。 これらによれば,原告A1が,被告B9,被告B10及び被告B11から, 古典の授業中に声が小さいと指摘されたことがあったとしても,それが大声で野次を飛ばすようなものであったとまではいえないから,前記原告A1の供述を採用することはできない。 したがって,番号46の事実のうち,原告A1が被告B9,被告B10及び被告B11から授業中に声が小さいと指摘された事実は認められるが,そ の余の事実は認められないといえる。 モ番号47について原告らは,番号47の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告らの各陳述書(甲4, いと指摘された事実は認められるが,そ の余の事実は認められないといえる。 モ番号47について原告らは,番号47の事実があった旨主張し,原告A1本人の尋問結果及び原告らの各陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,原告A3のC1教諭に対する電話での相談に番号47を具 体的にうかがわせるような内容がなかったことは前記ミと同様であり,さらに前記ホないしメの認定説示にも鑑みれば,本件全証拠を検討しても,番号47の事実があったと認めるに足りない。 したがって,番号47の事実は,認められない。 ヤ番号48について 原告らは,番号48の事実があった旨主張し,原告A1本人尋問の結果及び陳述書(甲43)には,これに沿う部分がある。 前記認定事実⑸タ及びツに加えて,証拠(被告B11本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば,被告B3が,C1教諭から,原告A1が被告高校2年次のときの選択授業の移動の際,座っていた机がべとべとだったことを 確認したこと,これに対して被告B11が,机がべたべただと指摘したこと,被告B11が,上記机が原告A1の席だと分かった後,原告A1に何も言わなかったこと,原告A2及び原告A3が平成24年10月9日に被告B7及び被告B3に対し,選択授業の移動のときに,原告A1が座っていた机が油でべとべとになっていた,被告高校の生徒が「誰が座っていたんや?」と原 告A1の方を見て,クラスで大騒ぎになった,また被告B11,被告B10 及びF16が原告A1をからかっていることを伝えたこと及び被告B5が平成24年10月22日に被告B10及び男子生徒のF10に,原告A1がいないところで,おちょくる感じのことを言うことがあるのかと尋ねたところ,上記両名があいまいな感じであったことが と及び被告B5が平成24年10月22日に被告B10及び男子生徒のF10に,原告A1がいないところで,おちょくる感じのことを言うことがあるのかと尋ねたところ,上記両名があいまいな感じであったことが認められる。これらの事実に照らすと,被告B10が関与したとはいい難い。また,これらの事実に照ら すと,被告B11が番号48のとおりはやし立てた可能性は相当程度認められるが,原告A1の机であったことを認識してべとべとだと指摘したかについては,なお疑義が残るほか,はやし立てたとまではいえない。前記原告A1の供述等は,少なくとも被告B11が原告A1の机をべとべとだと指摘した限度でしか採用できないといえる。 したがって,番号48の事実は,認められない。 ⑵ 加害行為の違法性ア本件では,被告生徒らによって行われた被告中学及び被告高校における生徒間の「いじめ」の有無及びそれらが不法行為として損害賠償請求権を発生させるか否かが問題となっているところ,被告生徒らの特定の行為が,原告 A1にとって不快なものであったことが認められるとしても,そのことから直ちに,不法行為として損害賠償責任を生じさせるということはできない。 なぜなら,中学校及び高等学校は,人格的に未熟な生徒が,他の生徒との集団生活を通じてその人格を形成する側面を有する場でもあるところ,特定の生徒の行為によって不愉快な経験をしたとしても,それはまずもって学校, 教師,生徒及び父母等関係者の間で,適正な解決が図られることが期待されるうえに,集団生活において不愉快な思いをしたことを全て違法とすることは,学校,教師及び生徒の学校生活における統制をいたずらに強化し,生徒の自由で健全な発育をかえって阻害する結果を招来しかねないからである。 中学校及び高等学校における生徒間の行 とを全て違法とすることは,学校,教師及び生徒の学校生活における統制をいたずらに強化し,生徒の自由で健全な発育をかえって阻害する結果を招来しかねないからである。 中学校及び高等学校における生徒間の行為については,特定の生徒に不愉快 な思いを惹起させた行為の具体的な性質,それがされた前後の具体的な状況 などを総合的に勘案したうえで,例えば,多数の生徒により,長期にわたって執拗に繰り返され,被害生徒の心身に耐え難い精神的苦痛を与え,被害生徒の人格的利益を侵害したと評価される行為など,社会通念上是認される限度を超えるものについては,不法行為として違法といえ,損害賠償請求権が生じるといえる。以下,個別に検討する。 イ番号1の行為については,本件全証拠によっても,これが契機となってその後の被告生徒らの原告A1に対する行為が行われたとまでは認定できないうえに,原告A1が上記行為を不快に感じたとしても,原告A1の人格的利益を侵害したといえるほどの耐え難い精神的苦痛を与えたとまでは認められない。したがって,上記行為が不法行為として違法であるとはいえない。 ウしかしながら,番号2ないし9,11,12及び14のとおり,原告A1は,被告中学1年次の2学期には,被告B9及び被告B10を含む多数の生徒から,バイキンタッチを含む悪口やからかいを受けるようになっただけでなく,とりわけ被告B9からは「あんたら,男子たちに,女子の中で一番暗い3人やと言われているで」と笑いながら言われたり,F4とともに箸箱を 取られたりして,当初仲の良かったF3及びF2のグループから離れるようになった。 これらの被告B9及び被告B10の行為のうち,原告A1の箸箱を勝手に取って男子生徒の机の中に入れる行為は,原告A1の学校生活を正常に受けること ったF3及びF2のグループから離れるようになった。 これらの被告B9及び被告B10の行為のうち,原告A1の箸箱を勝手に取って男子生徒の机の中に入れる行為は,原告A1の学校生活を正常に受けることを積極的に妨害するものであるし,また,バイキンタッチや悪口など についても,被告B9及び被告B10を始めとする男女を問わず複数の生徒から複数回にわたって行われたもので,原告A1だけでなかったにせよ,少数かつ特定の生徒に向けられたもので,原告A1をからかう対象であるとの印象を周囲の生徒に強く印象付けたといえ,さらに被告B9の原告A1に対する言動により,F3及びF2から原告A1が敬遠されるようになったとい える。 このような,番号2ないし9,11,12及び14の行為の時期,内容及び前記認定事実⑵シに照らすと,被害者である原告A1からみれば,これらの行為全体が原告A1の人格の尊厳を傷つける行為と捉え得る,違法なものといえる。 エまた,前記認定事実⑴及び⑵で認定した事実に加えて,番号16,17, 19,20(ただし,番号17,20については前記認定の限度に限る。以下,同じ。)によれば,被告B10などが被告中学1年次のときに原告A1に対してバイキンタッチや悪口などを行っていたことが影響して,引き続き,被告中学2年次でも原告A1に対する同種の言動が行われ,また,証拠(甲18)によれば,被告学校法人B1の教諭のメモに,エスカレートしている 旨記載されていること及び原告A1が被告中学1年次及び被告中学2年次のときに他の生徒から心配されることが複数回あったこと,そして,原告A1と違うクラスの生徒であった被告B11を含む複数の男子生徒が原告A1に木片等を投げ付けたことが認められ,これらをも併せると,原告A1へのいじめが被 心配されることが複数回あったこと,そして,原告A1と違うクラスの生徒であった被告B11を含む複数の男子生徒が原告A1に木片等を投げ付けたことが認められ,これらをも併せると,原告A1へのいじめが被告中学1年次2学期及び被告中学2年次1学期に継続して行 われ,その態様が他のクラスの生徒をも巻き込む苛烈なものになっていたといえる。 そして,番号16,17,19及び20の被告B11及び被告B10の行為のうち,原告A1に対し木片を投げ付ける行為は有形力の行使を伴って原告A1の身体を害するものといえるし,原告A1に対し複数の生徒で複数回 にわたり消しゴムのかすを投げ付けたり,一度であっても雑巾を頭に載せたりする行為は,学校生活の中心である授業を正常に受けるのを妨害するだけでなく,原告A1の人格を極めて深く傷つけるものであったといえる。 このような,行為の時期,態様等を総合的に評価すれば,番号16,17,19及び20の各行為は,前記番号2ないし9,11,12及び14の各行 為に引き続き,これと一体となって,原告A1に耐え難い精神的苦痛を与え たといえるから,違法であるといえる。 オ番号28の被告B10及び被告B11の行為については,本件全証拠によっても,それがその時期において反復継続したものとまでは認められない。 そして,その内容からみて,不法行為になるほどの行為とまではいえないから,違法性までは認められない。 番号35の被告B9の行為については,原告A1が被告B9からいじめを受けた経緯を踏まえると,原告A1に相当の精神的苦痛を与える行為であったともいえる。しかし,本件全証拠によっても,番号35のような行為がその時期反復されたとまでは認められない。そして,証拠(原告A1[本人調書13頁],被告B9[本人 当の精神的苦痛を与える行為であったともいえる。しかし,本件全証拠によっても,番号35のような行為がその時期反復されたとまでは認められない。そして,証拠(原告A1[本人調書13頁],被告B9[本人調書16頁])及び弁論の全趣旨によれば,原告A1 が被告B9を避ける一方,被告B9も原告A1のことを避け,ほとんどしゃべりかけずに過ごしたと認められるほか,被告高校において,被告B9が,原告A1に対する直接の加害者であると主張されるのは,番号35の行為の他には,番号46の行為のみである。番号46の行為に関しては,被告B9が,大声で野次をとばすような言い方をしたとまでは認められない。このよ うな状況からすると,被告高校1年次及び2年次の段階では,被告B9が原告A1に対して直接目立った行動をとることは少なかったと認めるのが相当であり,被告中学における経緯を考慮しても,番号35の行為を不法行為としての違法行為というのは,相当でない。 番号46については,原告らの主張のうち,被告生徒らから授業中に声が 小さいと指摘された事実は認められるが,それ以上の事実は認められない。 上記認定事実の範囲では,これをとらえて不法行為としての違法ということはできない。 カ以上の検討によれば,番号2ないし9,11,12,14,16,17,19及び20に関して認定された被告生徒らの各行為は,不法行為として違 法であるといえる。 ⑶ 共同不法行為責任ア 「共同の不法行為」(民法719条1項前段)が成立するためには,不法行為者間に意思の共通(共謀)又は「共同の認識」を要せず,各不法行為者が客観的にみて一体ないし不可分の損害を被害者に与えるという関係(客観的共同関連性)にあれば足りると解される。そして,各不法行為者の行為と損 共通(共謀)又は「共同の認識」を要せず,各不法行為者が客観的にみて一体ないし不可分の損害を被害者に与えるという関係(客観的共同関連性)にあれば足りると解される。そして,各不法行為者の行為と損 害との因果関係については,各不法行為者の行為が損害発生の一因となっていることで足りるというべきである。 イ被告B9に関し,原告らは,被告B9が主導して,被告B9及び他の生徒による継続的ないじめが行われたという趣旨の主張をする。また,証拠(丙1,被告B9本人尋問の結果)によれば,被告B9が中学1年次において万 引き及びF1へのいじめを理由に指導を受けた際,学年部長であったC3のメモに,被告B9がボスである旨記載されていたことが認められる。これに反し,上記証拠には,被告B9がボス的な存在であることやいじめを主導したことを否定する部分もある。 確かに,中学1年次においては,被告B9による違法行為が多く,被告B 9と仲の良い生徒も含めて原告A1を排除したこともあった(番号5の事実)から,被告B9が,中学1年次において,女子生徒の一部に対して影響力を有したとまでは認められる。 しかしながら,被告B9が,それ以上に,同学年の女子生徒多数や男子生徒の行為に影響力を及ぼしたとまで認め得る的確な証拠はない。万引きに関 するC3のメモに,被告B9がボスである旨記載されていたとしても,それが,どのような情報に基づき記載されたものかは,本件全証拠によっても明らかではないから,この記載が原告の主張を裏付けるとはいえない。また,中学2年次以後においては,被告生徒らの不法行為として主張される行為の多くが,被告B10及び被告B11を含む男子生徒によるものである。した がって,被告B9の主導性に関する原告の主張をすべて採用することは,で おいては,被告生徒らの不法行為として主張される行為の多くが,被告B10及び被告B11を含む男子生徒によるものである。した がって,被告B9の主導性に関する原告の主張をすべて採用することは,で きないといえる。 ただし,上記のような被告B9の行為の内容からみて,中学1年次における被告B9の行為が,原告A1をいじめてよいという認識の形成に大きく寄与し,そのような認識が中学2年次にも引き継がれたと推認できる。そうであれば,中学2年次1学期までの男子生徒における行為も,被告B9の行為 と関連共同性を有し,被告B9の行為は,原告A1が受けた精神的損害の全体に関連すると認めるのが相当である。 ウ被告B10及び被告B11については,不法行為として違法といえる前記番号2ないし9,11,12,14,16,17,19,20の行為のうち,被告B10は番号4,7,16,17及び19,被告B11は番号17,1 9及び20の,各行為を行った。 被告B10及び被告B11が行動を共にした,番号17及び19の行為については,その内容からみて,両名が互いに意思を通じて行ったことが推認できる。 番号17及び19以外の,上記違法といえる行為について,本件全証拠に よっても,被告B10及び被告B11が,互いに意思を通じていたとは認められない。また,本件全証拠によっても,被告B10及び被告B11が,上記違法とされる行為につき,被告B9と意思を通じて行ったとは認められない。 しかし,上記違法といえる行為は,被告中学1年次の2学期及び被告中学 2年次1学期に継続して行われ,被告中学2年次における被告生徒らの行為などが,一部,被告中学1年次における加害者によるものであるうえに,被告中学1年次からは,その態様が徐々にエスカレート 学 2年次1学期に継続して行われ,被告中学2年次における被告生徒らの行為などが,一部,被告中学1年次における加害者によるものであるうえに,被告中学1年次からは,その態様が徐々にエスカレートし,番号20の事実に至ったといえる。このような事実関係からは,違法性が認められる各行為は,被告生徒らを含む一定数の生徒の間で,原告A1を軽んじてよいという認識 が共有される中で行われ,原告A1に精神的苦痛を与えたのであり,個々の 行為について被告生徒らの間に共謀があったとは証拠上認められないが,被告B10及び被告B11との関係でも,関連共同する一連一体のものとして,被告B9も含めた共同不法行為を構成するというべきである。 なお,被告B10及び被告B11は,原告らが,第7回口頭弁論期日において,番号4,10,19及び27につき,被告B11,被告B10又は両 名によってなされたとして主張して,従前の主張を変更したところ,上記主張は時機に後れた攻撃防御方法の提出であるから,却下されるべきであると主張する。しかしながら,上記主張の変更によって,被告B10及び被告B11が共同不法行為責任を負うという結論が変わるということはなく,訴訟の進行が遅滞した事情はないから,被告B10及び被告B11の主張は,採 用できない。 3 被告学校法人B1及び被告学校法人B1の教職員の責任について⑴ 被告B4の過失の有無についてア番号3の事実について原告らは,要するに,番号3の事実があったところ,教師として通常必要 とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号3の事実に関するいじめを予見ないし認識し得た旨主張する。 前記2⑴ウによれば,合唱の練習において,原告A1が生徒からバイキンタッチを受けたところ,その際に,被告B っていれば,原告A1に対する番号3の事実に関するいじめを予見ないし認識し得た旨主張する。 前記2⑴ウによれば,合唱の練習において,原告A1が生徒からバイキンタッチを受けたところ,その際に,被告B9も何らかの形で関与したことが認められる。しかしながら,上記合唱のバイキンタッチの際に,被告B4が 在室し,現認していたかについては原告A1の供述によっても明らかでないうえに,本件全証拠を検討しても,被告B4が上記行為を認識していたことを認めるに足りる証拠はない。また,仮に被告B4が現認していたことがあったとしても,その回数が1度なのか否かも明らかではないし,原告らの主張を踏まえても,上記の類のからかいを中学生が行うこともさほど不思議で はないうえに,偶発的なものと捉えても不自然とまではいえない。これらを 踏まえると,被告B4が,番号3の事実に関するいじめを予見し得たとまではいえない。 したがって,原告らの,番号3の事実に関する被告B4の過失の主張は採用することができない。 イ番号4の事実について 原告らは,要するに,番号4の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号4の事実に関するいじめを予見ないし認識し得た旨主張する。 しかしながら,本件全証拠によっても,被告B4が番号4の事実を現認していたとは認定できない。また,被告B4が番号4の行為を現認していたこ とがあった旨の原告らの主張を踏まえても,その回数も不明であることなどから,被告B4が偶発的な中学生同士のからかい合いと捉えたとしても,不自然ではない。そうすると,被告B4は,番号4の事実に関するいじめについて,予見し得なかったといえる。 したがって,原告らの,番号4の事実に関する被告B4の過失の主張は採 い合いと捉えたとしても,不自然ではない。そうすると,被告B4は,番号4の事実に関するいじめについて,予見し得なかったといえる。 したがって,原告らの,番号4の事実に関する被告B4の過失の主張は採 用することができない。 ウ番号5の事実について原告らは,要するに,番号5の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号5の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 前記2⑴オで認定した事実によれば,番号5の事実が認められる。しかしながら,本件全証拠によっても,番号5の事実の当時,被告B4がその場に居合わせたことを認める足りる証拠はない。そうすると,被告B4は,番号5の事実に関するいじめについて,予見し得たとまではいえない。 したがって,原告らの,番号5の事実に関する被告B4の過失の主張は採 用できない。 エ番号6ないし9の事実について原告らは,要するに,番号6ないし9の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号6の事実に関するいじめを認識し得た旨主張する。 しかしながら,本件全証拠を検討しても,被告B4が番号6ないし9の事 実を予見,認識し得たことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの,番号6ないし9の事実に関する被告B4の過失の主張は採用することができない。 オ番号10の事実について原告らは,要するに,番号10の事実があったところ,教師として通常必 要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号10の事実に関するいじめを認識し得た旨主張する。 しかしながら,前記2⑴コのとおり,番号10の事実は,そもそも認定できない。 したがって,原告らの,番号10の事実に関する被告B A1に対する番号10の事実に関するいじめを認識し得た旨主張する。 しかしながら,前記2⑴コのとおり,番号10の事実は,そもそも認定できない。 したがって,原告らの,番号10の事実に関する被告B4の過失の主張は, 採用することができない。 カ番号11について原告らは,要するに,番号11の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号11の事実に関するいじめを認識し得た旨主張する。 しかしながら,本件全証拠を検討しても,被告B4が番号11の事実を予見,認識し得たことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの,番号11の事実に関する被告B4の過失の主張は採用することができない。 キ番号13の事実について 原告らは,要するに,番号13の事実があったところ,教師として通常必 要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号13の事実に関するいじめを認識し得た旨主張する。 前記2⑴シ及びスで認定した事実によれば,被告B4は平成20年11月頃,教卓の上に置かれた原告A1の箸箱の蓋を発見し,生徒に持ち主を尋ねたが,誰も答えなかったため,これをごみ箱に捨てたことが認められる。し かしながら,被告B4も主張するとおり,学校生活においては,いじめでなくても生徒のものと思われる所有者不明の遺失物が発見されることはさほど不自然ではないから,遺失物が教卓上に発見されたことをもって,いじめの兆候をうかがわせるとはいえない。また,本件全証拠によっても,その他不審な状況があったとは認定できない。そうすると,被告B4が番号13の 事実に関するいじめを予見し得たとまではいえない。 したがって,原告らの,番号13の事実に関する被告B4の過失の主張は採用することが あったとは認定できない。そうすると,被告B4が番号13の 事実に関するいじめを予見し得たとまではいえない。 したがって,原告らの,番号13の事実に関する被告B4の過失の主張は採用することができない。 ク番号15について原告らは,要するに,被告B4は,平成20年12月頃には原告A1への いじめの事実を認識していたうえに,いじめの被害者がいじめを告白することが困難であることを当然に理解すべきであるから,上記の時点において,いじめの当事者はもとより,いじめの当事者以外の生徒から更なる情報収集をするなどして,原告A1のいじめを調査等する義務を負っていたにもかかわらずこれを怠った,また被告B4は,被告中学2年次の担任の被告B5等 の教諭に対し,原告A1の被告中学1年次のときの出来事の引継ぎをすべき義務があったにもかかわらず,これを怠ったから,被告B4には過失があると主張する。 前記認定事実⑴スないしタによれば,被告B4が平成20年12月19日のF1及びその保護者との三者面談において,原告A1が持ち物を男子生徒 の机の中に入れられ,それを取ろうとすると変態等と言われる旨の報告を受 けたこと,平成20年12月22日,他の生徒から原告A1がいじめられているのではないかとの旨の申告を受けたこと,その後,上記生徒の話を受けて,担当教諭に話を聞くと特に原告A1へのいじめに関する話がなかったこと,平成20年12月25日,被告B10との面談において,原告A1が被告B10を含む男子生徒との相合傘を書かれたことや原告A1の席と被告 B10の机をくっつけられていたことがあったこと,原告A1の定規が被告B10の鞄の中に入れられていたことの報告を受けたこと,同日行われた原告A1及び原告A3との三者面談において,平成20年 告 B10の机をくっつけられていたことがあったこと,原告A1の定規が被告B10の鞄の中に入れられていたことの報告を受けたこと,同日行われた原告A1及び原告A3との三者面談において,平成20年11月頃に教卓の上に置かれ,所有者が出てこなかったために捨てた箸箱の蓋の持ち主が原告A1であったことを認識したことが認められる。これらの事実に照らせば,被 告B4は少なくとも平成20年12月25日の時点で,原告A1が生徒から持ち物を他の生徒の鞄の中に入れられたり,原告A1の席を男子生徒の机と勝手にくっつけられたりするなど,学校生活に支障の生じる嫌がらせを受けていたことを認識し得たから,適切な対策を講じない限り,今後も他の生徒による原告A1への同様の行為が発生するおそれがあることを容易に予見 できたといえる。 そして,原告らは,番号15の事実があった旨主張し,原告A1及び原告A3の各本人尋問の結果並びに原告らの陳述書(甲4,43)にはこれに沿う部分があるところ,前記の認定説示に照らせば,これらは信用できるから,番号15の事実は認められ,この点からも,被告B4は,前記おそれがある ことを容易に予見できたといえる。 しかしながら,前記認定事実⑴タによれば,被告B4が,原告A1及び原告A3との三者面談において,被告B10から聴取した事項を尋ねたが,原告A1が「いや,べつに。」,「謝罪されたりするのは嫌。かっこ悪い。先生たちがその人たちに勝手にやるのはいいけど,私は関係ない!」などと言った ことが認められる。上記の時点で被告B4が認識し得た原告A1が受けてい た言動の態様がさほど加害性の強いものでなく,学校生活においてよく起こり得るようなものであったことをも踏まえると,ただちに被告B4が他の生徒から情報収集,クラ 識し得た原告A1が受けてい た言動の態様がさほど加害性の強いものでなく,学校生活においてよく起こり得るようなものであったことをも踏まえると,ただちに被告B4が他の生徒から情報収集,クラスや学年全体に対するアンケート等を行うべきであったとまではいえない。加えて,前記認定事実⑴ウ及びツによれば,被告B4が毎日生徒に一言日記を行わせていたこと及び平成21年1月22日に担 任を務めるクラスの生徒との二者面談を行ったことが認められるところ,これらの事実を踏まえると,被告B4が生徒から原告A1のことをも含むクラスの状況に関する情報収集をしていたといえ,結果回避行為を行っていたと評価できる。 引継ぎに関しては,確かに,証拠(被告B4及び被告B5各本人尋問の結 果)によれば,被告B4は,被告B5への引継ぎのための書面を作成しなかったと認められる。しかしながら,前記認定事実⑴ア及び⑵アのとおり,中学1年次の学年団4名のうち,被告B4,被告B5及びC3は,引き続き中学2年次の学年団を構成し,また,平成20年終わりから平成21年3月にかけて,被告B9らの万引きやF1へのいじめ等を背景として,面談やピア サポートの取り組みもされた。このような状況からすると,引継ぎに関する書面まではないとしても,被告B4の陳述書(乙7)に記載されたとおり,2年次への引継ぎについては,随時学年団等で話をしてきたと認めるのが相当である。以上の事実,証拠(乙8,被告B5本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば,被告B4と被告B5との間では,原告A1に関する状況も, コミュニケーションをとることが苦手な生徒であるから気をつけてみる必要があるということを含め,被告B4が認識し得た範囲で,引き継がれていたと認められる。 したがって,原告らの,番号1 も, コミュニケーションをとることが苦手な生徒であるから気をつけてみる必要があるということを含め,被告B4が認識し得た範囲で,引き継がれていたと認められる。 したがって,原告らの,番号15の事実に関する被告B4の過失の主張は,採用することができない。 ケ小括 以上より,被告B4には前記いずれの時点においても過失があったとはいえないから,被告B4の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 ⑵ 被告B5の過失の有無についてア番号16について 原告らは,要するに,番号16の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号16の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,本件全証拠を検討しても,被告B5が番号16の事実を予見し得たことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの,番号16の事実に関する被告B5の過失の主張は採用することができない。 イ番号17について原告らは,要するに,番号17の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号17の事実に関する いじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,前記2⑴タで認定した事実によれば,被告B10などが原告A1に対し,平成21年4月頃に消しゴムのかすを投げた事実は認められるが,この頃に原告A1が雑巾を投げられたり,頭にかぶせられたりした事実は認められない。加えて,本件全証拠を検討しても,被告B5が上記事実 を予見し得たことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの,番号17の事実に関する被告B5の過失の主張は,採用することができない。 ウ番号18について原告らは,要するに,番号 を予見し得たことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの,番号17の事実に関する被告B5の過失の主張は,採用することができない。 ウ番号18について原告らは,要するに,番号18の事実があったところ,教師として通常必 要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号18の事実に関する いじめを予見し得た旨主張する。 前記認定事実⑵キ及び証拠(乙8,被告B5本人の尋問結果)によれば,被告中学平成21年度の1学期にLで写生会が行われ,原告A1も参加していたこと及び上記写生会では友達と一緒にならずに一人で絵を描く生徒がいたことが認められる。しかしながら,上記のような写生会で友達と離れて 絵を描くことに集中する生徒がいることが,不自然であるとまではいえないから,原告A1が友達と離れて一人で絵を描いていたとしても,ただちに,当日集団に入ることを許されなかったという形であれ,それ以前のものであれ,いじめの兆候をうかがわせる態度であったなどとは認定できない。加えて,本件全証拠によっても,上記写生会の当時,被告B5が原告A1へのい じめを予見し得たことをうかがわせる事情は認められない。なお,原告A3は,本人尋問において,上記写生会において原告A1が走って逃げたような様子だったので,そのことを被告B5に告げた旨供述するが,同時に,その後,原告A3が原告A1になぜ走って逃げたのかを確認したところ,原告A1は単に場所を探していただけだと言っていたとも供述しているから,これ をもって被告B5が上記いじめを予見し得たとはいえない。そうすると,証拠(甲21,乙8,原告A3及び被告B5の各本人尋問の結果)によれば,番号18の事実自体は認められるが,それだけでは,被告B5が,上記写生会の際に,原告A1へのい し得たとはいえない。そうすると,証拠(甲21,乙8,原告A3及び被告B5の各本人尋問の結果)によれば,番号18の事実自体は認められるが,それだけでは,被告B5が,上記写生会の際に,原告A1へのいじめを予見し得たとはいえない。 したがって,原告らの,番号18の事実に関する被告B5の過失の主張は, 採用することができない。 エ番号19について原告らは,要するに,番号19の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号19の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,本件全証拠によっても,被告B5が前記事実に関するいじ めの兆候を予見し得たことを認めるに足りない。 したがって,原告らの,番号19の事実に関する被告B5の過失の主張は採用することができない。 オ番号21について原告らは,要するに,番号20の事実があった上,男子クラスメイトらは 「中学一年から原告A1をいじめていた」と言ったのであり,被告B5は上記事実を認識したのであるから,他の生徒からの情報収集や,クラスや学年全体に対するアンケート調査等の事情聴取を行うべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 前記2⑴ツで認定した事実に加えて,前記認定事実⑵コないしス,タ及び チ並びに証拠(甲21,乙8)によれば,被告B5は,少なくとも平成21年7月7日の授業後には,生徒からの申告によって,原告A1が被告B11を含む男子生徒から木片等を投げられ,また頭に雑巾を載せられるなどされたことを認識し,また,中学一年次から原告A1がいじめられていたようであることを認識したことが認められる。上記事実を踏まえると,被告B5は, 上記被告B11を含む男子生徒の行為は原告A1の身体の ことを認識し,また,中学一年次から原告A1がいじめられていたようであることを認識したことが認められる。上記事実を踏まえると,被告B5は, 上記被告B11を含む男子生徒の行為は原告A1の身体の安全を侵害する違法なものであり,適切な対策を講じない限り,今後とも同様のいじめが発生するおそれがあることを予見し得たといえる。 そして,上記各行為の態様や関与した生徒が複数名いることを併せると,被告B5は,他の教諭とともに,上記各行為に加担した生徒への指導だけで なく,原告A1に対するいじめの実態を把握するために,加害生徒への事情聴取などの情報収集を行うべきであるといえる。しかし,同時に,前記認定事実⑵サないしチによれば,被告B5を含む被告中学の教諭が上記原告A1への行為を申告した生徒や被告B11を含む原告A1への加害に加担した生徒への事情聴取をしただけでなく,原告A1にいじめをしていたと思われ る生徒にも事情聴取をするなどして,原告A1へのいじめの実態把握のため に必要な情報収集を果たしていた。以上によれば,被告B5が義務を怠ったとまではいえない。 したがって,原告らの,番号21の事実に関する被告B5の過失の主張は採用することができない。 カ番号22について 原告らは,要するに,番号22の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号22の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,前記2⑴テのとおり,番号22の事実は,そもそも認定できない。 したがって,原告らの,番号22の事実に関する被告B5の過失の主張は採用することができない。 キ番号25について原告らは,要するに,番号25の事実があったところ,教師として通常必 したがって,原告らの,番号22の事実に関する被告B5の過失の主張は採用することができない。 キ番号25について原告らは,要するに,番号25の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号25の事実に関する いじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,前記2⑴ナで検討したとおり,番号25については,平成22年1月から同年3月頃に,原告A1が教室内で嘔吐をしたとの限度でその事実が認められるにとどまり,原告A1の人格的利益の侵害という結果発生があったとはいえないから,被告B5には過失があったとはいえない。 したがって,原告らの,番号25の事実に関する被告B5の過失の主張は採用することができない。 ク番号26について原告らは,要するに,被告B5は,被告中学3年次の担任の被告B6等の教諭に対し,原告A1の被告中学2年次のときの出来事の引継ぎをすべき義 務があったにもかかわらず,これを怠ったから,被告B5には過失があると 主張する。 証拠(被告B5及び被告B6各本人尋問の結果)によれば,被告B5が被告B6への引継ぎの際に書面等を作成していないことが認められるほか,被告B6は,本人尋問において,被告B5からどのような引継ぎを受けたかについては,細かいことまでは覚えていないと答えており,引継ぎがされたの かどうか,疑う余地があるようにもみえる。 しかしながら,被告B5が被告B6に対して引継ぎをしたという証拠(乙8,被告B5及び被告B6の各本人尋問の結果)もある。原告A1については,平成21年7月に,複数の生徒から,雑巾を頭に載せられるなどの強度のいじめを受けていたから,学年団の中でも,相当に注意して対応せざるを 得ない状況があったと認めら もある。原告A1については,平成21年7月に,複数の生徒から,雑巾を頭に載せられるなどの強度のいじめを受けていたから,学年団の中でも,相当に注意して対応せざるを 得ない状況があったと認められる。また,書面等を作成していないことをもって,引継ぎがなかったとはいえない。上記引継ぎを行ったとされるのが平成22年3月頃であるが,本件訴え提起までの間でも4年が経過しているから,被告B5及び被告B6の引継ぎに関する記憶が曖昧になっていたとしても何ら不自然ではない。このようにみてくると,証拠(乙8,被告B5及び 被告B6の各本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨により,被告B5は,被告B6に対し,その認識した範囲において,相当の引継ぎをしたと認めるのが相当である。 したがって,原告らの,番号26の事実に関する被告B5の過失の主張は,採用することができない。 ケ小括以上より,被告B5には前記いずれの時点においても過失があったとはいえないから,被告B5の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 ⑶ 被告B6の過失の有無について ア番号27について 原告らは,要するに,被告B6は,原告A1の被告中学3年次のときの担任で,また被告B5から被告中学2年次のときに起きた原告A1への事件の引継ぎを受け,原告A1に対する同様のいじめが継続するおそれがあることを予見し得たから,被告中学の生徒への事実調査及び加害生徒への指導等適切な措置をとるべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 しかしながら,前記2⑴ニで検討したとおり,原告A1が平成22年度において男子生徒から日常的に無視されていたとまでは認定することができないから,被告B6が原告A1に対するいじめが継続していること しかしながら,前記2⑴ニで検討したとおり,原告A1が平成22年度において男子生徒から日常的に無視されていたとまでは認定することができないから,被告B6が原告A1に対するいじめが継続していることを予見し得たとはいえない。 したがって,原告らの,番号27の事実に関する被告B6の過失の主張は 採用することができない。 イ番号28について原告らは,要するに,被告B11及び被告B10その他の男子生徒が原告A1を「a1」と呼び,差別的に取り扱っていたところ,担任教諭であった被告B6もこのことを認識していた旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,不法行為として違法とまでいえる行為があったとは認められない。また,本件全証拠によっても,被告B6が,当時,男子生徒が原告A1を「a1」と呼んでいたことを認識していた事実を認められないから,被告B6が番号28の事実に関するいじめを予見し得たとはいえない。 したがって,原告らの,番号28の事実に関する被告B6の過失の主張は採用することができない。 ウ番号29について原告らは,要するに,被告B10が,平成22年9月又は同年10月頃に,クラスの生徒全員で被告中学のグラウンド脇の通路を移動していた原告A 1に,「早く行け!」と言いながら,その背後から同人の臀部を蹴り付けたと ころ,被告B6が教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号29の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,前記2⑴ネで検討したとおり,番号29の事実は認められないから,被告B6が前記事実を予見し得たとはいえない。 したがって,原告らの,番号29の事実に関する被告B6の過失の主張は 採用することができない。 エ番号30について原告らは められないから,被告B6が前記事実を予見し得たとはいえない。 したがって,原告らの,番号29の事実に関する被告B6の過失の主張は 採用することができない。 エ番号30について原告らは,要するに,被告B6は,平成22年9月又は同月10月頃,原告A3から原告A1のいじめについて相談を受けたから,被告B6には他の生徒からの情報収集及びクラスや学年全体に対するアンケート調査等を行 うべき義務があったにもかかわらず,これを怠ったというものである。 前記認定事実⑶エ及びオによれば,原告A3が平成22年11月15日,インターネットの掲示板に原告A1を誹謗中傷する旨の書き込みがあるのではないかと不安に思って被告B6に相談したこと,原告A3が原告A1から中学1年次及び同2年次のときにいじめを受けた,集団に入れないなどの 旨の申告を受けたことを伝えたことが認められる。上記原告A3からの申告の内容に照らせば,上記の時点において,被告B6が原告A1への過去のいじめの事実を認識したといえる。しかしながら,本件全証拠を検討しても,上記の時点までに,被告B6が原告A1へのいじめが再発ないし継続していることを予見ないし認識し得たとは認定できないうえに,ただちに原告らが 主張するような情報収集をすべき必要性があったとはいえない。そうすると,原告らの主張する事実をもって,被告B6がアンケート調査等をすべき義務が発生するとはいえない。 したがって,原告らの,番号30の事実に関する被告B6の過失の主張は採用することができない。 オ番号31について 原告らは,要するに,番号31の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号31の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 し 1について 原告らは,要するに,番号31の事実があったところ,教師として通常必要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号31の事実に関するいじめを予見し得た旨主張する。 しかしながら,番号31の事実があったかどうか,あったとして誰がどのようにしたのかを認めるに足りる的確な証拠が見当たらないうえに,被告B 6が上記事実を予見し得たことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの,番号31の事実に関する被告B6の過失の主張は採用することができない。 カ番号32の事実について原告らは,要するに,番号32の事実があったところ,教師として通常必 要とされる注意を払っていれば,原告A1に対する番号32の事実に関するいじめを予見し得たから,事実関係の調査や加害生徒への指導などの適切な対処を取るべきであったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 しかしながら,前記2⑴ノで検討したとおり,番号32の事実は認められないから,被告B6が前記事実を予見し得たとはいえない。 したがって,原告らの,番号32の事実に関する被告B6の過失の主張は採用することができない。 また,原告らは,要するに,被告学校法人B1は中高一貫教育を掲げる学校であるから,原告A1の被告中学3年次の担任教諭であった被告B6には,遅くとも平成23年3月頃までには,原告A1が中学校在籍時に受けたいじ めの内容,加害生徒及び被告高校進学後に原告A1へのいじめを防止するための留意点を,被告高校の担当者に引き継ぐ義務があったにもかかわらず,これを怠ったとも主張する。 前記認定事実⑶オによれば,被告B6が,原告A3から原告A1が被告中学1年及び2年次のときにいじめられていたことを聞いたことが認められ るから,今後とも同様のいじめ れを怠ったとも主張する。 前記認定事実⑶オによれば,被告B6が,原告A3から原告A1が被告中学1年及び2年次のときにいじめられていたことを聞いたことが認められ るから,今後とも同様のいじめが発生するおそれがあることを予見し得たと もいえる。また,証拠(証人C1教諭)及び弁論の全趣旨によれば,C1教諭は,被告B3から被告中学の引継ぎを受けたが,被告B6から個別に引継ぎを受けていないことが認められる。 しかしながら,前記2で判断したとおり,中学3年次以後においては,原告A1の認識は別としても,不法行為として違法とされる行為までは発生し ていない。また,前記認定事実⑶オ,ケ及び後記⑷アのとおり,被告B6は,平成22年11月15日に原告A3からいじめの話を聞いた後,教頭である被告B3に報告し,以降,学年部長であったC3による事情聴取の試み,被告高校1年次のクラス編成の検討及び学年部長の人選(被告中学の原告A1らに関する生徒指導部長であったC2を,持ち上がりで高校1年次の学年部 長とした。),被告B9への指導などが行われた。このような状況からすれば,被告B6を含めた被告中学の教員が,C1教諭を含めた被告高校1年次の学年団に対して引継ぎをしたものというべきであるから,被告B6に引継ぎの義務違反があるとは評価できない。 したがって,被告B6に結果回避義務違反があったとはいえないから,引 継ぎに関する過失についても認めることができない。 キ小括以上より,被告B6には前記いずれの時点においても過失があったとはいえないから,被告B6の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 ⑷ 被告B3の過失の有無についてア番号34について原告らは,要するに,被告B3は,平成23年3月 から,被告B6の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 ⑷ 被告B3の過失の有無についてア番号34について原告らは,要するに,被告B3は,平成23年3月頃には,原告A1へのいじめの事実を認識していたのであるから,原告A1に対するいじめ問題を解決するために,当事者以外の生徒からの情報収集及びクラスや学年全体の 生徒に対するいじめについてのアンケート調査等の事実関係の調査を行う 義務があったにもかかわらず,これを怠ったと主張する。 教師は,いじめが発生したことを知った場合には,安全保持義務として,いじめが繰り返され,悪質,重大ないじめに発展することがないように適切な指導監督措置をとるべき義務を負う。ただし,いじめの態様は多種多様であるから,これに対する指導監督の方法もいじめの態様や加害者,被害者の 個性によっても異なり,結果回避義務の内容も一律なものではない。結果回避義務違反の内容は,上記の事情に加えて,予見され得る損害の内容などをも考慮して,行為者の立場に置かれた一般人(一般的な教師)に遵守が要求される行動基準を想定し,それにかなった態度をとるべき義務が何かという観点から確定されなければならない。 前記認定事実⑶オ,カ,ケないしセに加えて,証拠(甲32の5,原告A2,原告A3,被告B4,被告B6及び被告B3の各本人尋問の結果)によれば,少なくとも,平成23年3月の時点では,被告B3は,被告B6からの報告などを受けて,被告B6が平成22年11月15日に原告A3から報告を受けた被告中学1年次及び被告中学2年次の頃の出来事を認識してい たといえる。したがって,被告B3は,原告A1に対し,今後,いじめが繰り返され,悪質,重大ないじめに発展することがないように指導監 けた被告中学1年次及び被告中学2年次の頃の出来事を認識してい たといえる。したがって,被告B3は,原告A1に対し,今後,いじめが繰り返され,悪質,重大ないじめに発展することがないように指導監督措置を講じる義務を負う。しかしながら,前記2でも検討したとおり,原告A1が被告中学3年次において被告生徒らを含む生徒から不法行為として違法といえるまでのいじめを受けていたとまでは認められないうえに,前記認定事 実⑴ウ,セないしタ,ツ,テ,同⑵コないしヌ,⑶イによれば,被告中学1年次及び被告中学2年次の時期については,被告B4及び被告B5などの各教諭が,原告A1から事情を聴取し,番号20の事実に関してはいじめを行った生徒を退学させたこと,被告中学1年次から被告中学3年次の間も一言日記が行われ,被告中学3年次の時点では原告A1へのいじめの兆候がうか がわれるような格別の報告が見受けられないことを踏まえると,教頭として 平成23年3月の時点で原告A1へのいじめについて注意して観察するべきであったとしても,これ以上に原告A1へのいじめの事実を調査等すべき義務があったとまではいえない。 したがって,原告らの,番号34の事実に関する被告B3の過失の主張は採用することができない。 イ番号36について原告らは,要するに,被告B3は,平成23年4月頃には,原告A3からの報告等により,被告B9による原告A1への嫌がらせの事実を認識していたのであるから,被告中学の教頭であり被告高校の原告らに対する対応を担当する者として,自ら又は担任をして被告B9を注意するべき義務があった にもかかわらず,これを怠った旨主張する。 前記認定事実⑶ソ,⑷ウ及びエによれば,被告B3が,C3とともに,同年3月頃に,被告B9及びその保護者と面 をして被告B9を注意するべき義務があった にもかかわらず,これを怠った旨主張する。 前記認定事実⑶ソ,⑷ウ及びエによれば,被告B3が,C3とともに,同年3月頃に,被告B9及びその保護者と面談し,被告B9に対し,被告B9の言葉がトラウマになって友達を作ることができない子がいるので仲良くしてあげてください,原告A1にこのことは言わないでくださいなどの旨を 伝えたこと,同年7月1日に,原告A2との面談において,原告A1が高校入学後に被告B9から誰がチクったと言われたことなどを聞いたこと,同月8日,C2が原告A1と面談し,上記チクったと言われたことなどの事実を確認したところ,原告A1が被告B9からそういうことを言われたが,特に何とも思わない,被告B9と隣の席になっていることも大丈夫などと答えて いる旨伝えたことが認められる。これらの事実に照らすと,被告B3が平成23年7月には,原告A1が被告B9から被告高校入学後(平成23年4月から同年7月頃までの間)に,チクったと言われたことなどの事実を認識していたといえる。しかしながら,C2との面談においても,原告A1が被告B9からチクったと言われたことを特に問題視している形跡がうかがわれ ないだけでなく,被告B9からいじめと称されるような行為を受けていたな ど平成23年7月頃の時点において被告B9との関係性に問題があったとうかがわれるような兆候が見受けられないことを踏まえると,被告B3に被告B9を注意すべき義務があったとまではいえない。 したがって,原告らの,番号36の事実に関する被告B3の過失の主張は,採用することができない。 ウ番号37について原告らは,要するに,被告B3が,平成23年7月9日,原告A2に対し,原告A1へのいじめに対する対応を要求さ に関する被告B3の過失の主張は,採用することができない。 ウ番号37について原告らは,要するに,被告B3が,平成23年7月9日,原告A2に対し,原告A1へのいじめに対する対応を要求された際,学校としての対策を行う旨を明言したから,原告A1へのいじめ問題を解決するために,当事者以外の生徒から事情調査等を行って,原告A1へのいじめの事実を把握すべき義 務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 しかしながら,前記ア及びイでの検討に加えて,前記認定事実⑷オを踏まえると,被告B3が,上記の時点において,事情聴取などを行うべき義務があったとはいえないうえに,被告B3がいじめへの対応指針を提示するなど,原告A1へのいじめの再発を防止しようと努めたことに照らすと,原告A1 へのいじめの再発防止等に向けて適切に職務執行していたといえる。 したがって,原告らの,番号37の事実に関する被告B3の過失の主張は,採用することができない。 エ番号39について原告らは,要するに,被告B3が,他の教諭などとともに,平成23年7 月29日,原告A2及び原告A3と面談した際に,原告A1と被告B9とのクラス分けを拒否したうえに,特に具体的ないじめの報告をしなかったところ,原告A1が被告高校入学後もいじめが継続していたのであるから,原告A1に対するいじめ問題の解決のために,生徒からの情報収集等を行い,原告A1に対するいじめの情報を収集すべき義務があったにもかかわらず,こ れを怠った旨主張する。 しかしながら,前記2のとおり,原告らが主張するいじめのうち,被告高校におけるものの多数は,そのような事実が証拠上認められないか,一部認められる部分があるとしても,それが不法行為として違法とまでは認められない。被告 2のとおり,原告らが主張するいじめのうち,被告高校におけるものの多数は,そのような事実が証拠上認められないか,一部認められる部分があるとしても,それが不法行為として違法とまでは認められない。被告B9に関しては,前記のとおり,原告A1との接触が多かったとはいえない。証拠(原告A1本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば, 原告A1が,被告中学以来受けたいじめにより深く傷つき,被告高校においても,被告B9と同じ場所にいること自体が苦痛という状況が続き,また,他の生徒と良好な関係が築けない状況であったことは認められるが,前記認定事実⑷アのとおり,被告高校のクラス編成に関する原則上,原告A1と被告B9とが成績上位者として特進クラスに入らざるを得ないということも 事実である。被告B9が,被告高校において,原告A1に対していじめを継続しているとまでいえない状況下では,クラス編成に関して原告らの意向に沿わなかったとしても,それをもって被告B3の過失ということはできない。 被告B3が,上記の時点で,原告A1へのいじめ継続の事実を予見,認識し得た事情が認められないうえに,生徒からの情報収集を行うべき義務があっ たとまではいえない。 したがって,原告らの,番号39の事実に関する被告B3の過失の主張は,採用することができない。 オ小括以上より,被告B3には前記いずれの時点においても過失があったとはい えないから,被告B3の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 ⑸ 被告B2の使用者責任の有無について原告らは,要するに,被告B2は平成20年度及び平成21年度の被告中学の校長であったところ,被告中学の所属職員を監督する義務を負い,使用者で ある被告学校法人B1に代わって事業を監督する者といえるから ,要するに,被告B2は平成20年度及び平成21年度の被告中学の校長であったところ,被告中学の所属職員を監督する義務を負い,使用者で ある被告学校法人B1に代わって事業を監督する者といえるから,被用者であ る被告B4,被告B5,被告B6及び被告B3の平成20年度及び平成21年度の学校生活において原告らに加えた損害を使用者責任に基づき賠償すべき義務を負う旨主張する。 しかしながら,前記⑴ないし⑷のとおり,平成20年度及び平成21年度につき,被告B4,被告B5,被告B6及び被告B3の原告らに対する不法行為 に基づく損害賠償責任は,認められない。 したがって,被告B2の原告らに対する使用者責任に基づく損害賠償責任は,認められない。なお,本件全証拠によっても,平成20年度及び平成21年度の間に被告B2の過失があったことをうかがわせる格別の事情は認められないから,不法行為に基づく損害賠償責任が認められる余地もない。 ⑹ 被告B8の過失の有無について原告らは,要するに,番号40ないし48(被告高校2年次)につき,被告B8が,被告高校の教頭として原告A1が安全で安心して勉学できる環境を整えるべき地位にあり,原告A1へのいじめを認識していたから,被告高校の担任であったC1教諭に対し,原告A1に対するいじめの調査及び対策の一環と して,原告A1に対するいじめ問題を解決するために,生徒へのアンケート等の情報収集をするように指示すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 しかしながら,被告B8は,平成23年度以後,被告高校の教頭であったが,前記のとおり,被告生徒らの行為のうち不法行為として違法とまでいえるもの はない。本件全証拠によっても,平成23年度以降に,被告B8が,原告A1へのいじめ 年度以後,被告高校の教頭であったが,前記のとおり,被告生徒らの行為のうち不法行為として違法とまでいえるもの はない。本件全証拠によっても,平成23年度以降に,被告B8が,原告A1へのいじめの問題を調査すべき義務があったことを基礎付ける事情が認められないから,被告B8には,過失があったとはいえない。 したがって,原告らの被告B8に対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 ⑺ 被告B7の使用者責任及び過失の有無について ア被告B7の使用者責任原告らは,要するに,被告B7は平成22年度以降の被告中学及び被告高校の校長として,所属職員を監督する義務を負い,使用者である被告学校法人B1に代わって事業を監督する者といえるから,被用者である被告B3及び被告B8が平成23年度以降の学校生活において原告らに加えた損害を 使用者責任に基づき賠償すべき義務を負う旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,平成23年度以降につき,被告B3及び被告B8の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は,認められない。 したがって,被告B7の原告らに対する使用者責任に基づく損害賠償責任は,認められない。 イ被告B7独自の過失の有無について 番号33について原告らの主張は,被告B7が原告A2及び原告A3と平成23年3月に面談した際に,原告A1がいじめを受け,今後も受け続ける可能性が十分あるのに,被告B7が,当初いじめの事実を認めず,今後もいじめは発生 しないであろうという誤った見通しのもと,被告高校において原告A1と被告B9とを別のクラスにしてほしいという懇願にも取り合わず,そのため被告高校における被害を防げなかった,という趣旨に解される。 しかしながら,これまで認めた事実 ,被告高校において原告A1と被告B9とを別のクラスにしてほしいという懇願にも取り合わず,そのため被告高校における被害を防げなかった,という趣旨に解される。 しかしながら,これまで認めた事実によれば,被告中学3年次においては,不法行為として違法とされるまでの行為は,行われず,被告B3にお いて,平成23年3月,被告B9に対し,言動に注意するよう注意し,被告高校において,不法行為として違法とされるまでの行為は,行われなかった。また,クラス編成については,前記認定事実⑷アのとおり,原告A1と被告B9が同程度の成績で,双方を特進クラスに所属させざるを得ない状況であった。 このような事実からすれば,被告B7の行為が,いじめの防止という見 地から,全く不十分であったとまではいえないから,過失があったとまではいえない。 番号39について原告らは,要するに,被告B7が,他の教諭などとともに,平成23年7月29日,原告A2及び原告A3と面談した際に,原告A1と被告B9 とのクラス分けを拒否したうえに,特に具体的ないじめの報告をしなかったところ,原告A1が被告高校入学後もいじめが継続していたのであるから,原告A1に対するいじめ問題の解決のために,生徒からの情報収集等を行い,原告A1に対するいじめの情報を収集すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 しかしながら,前記も検討したとおりの事情から,生徒からの情報収集を行うべき義務があったとまではいえない。 したがって,原告らの,番号39の事実に関する被告B7の過失の主張は採用することができない。 いじめ防止措置に関する過失 原告らは,要するに,被告B7が,被告学校法人B1の校長として「公務をつかさどり,所属職員を監 の事実に関する被告B7の過失の主張は採用することができない。 いじめ防止措置に関する過失 原告らは,要するに,被告B7が,被告学校法人B1の校長として「公務をつかさどり,所属職員を監督する」者であったから,原告A1に対するいじめを防止する措置をとるべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張する。 しかしながら,原告らの上記義務に関する種々の主張を考慮した上で本 件全証拠を検討しても,被告B7に上記義務違反があったとはいえない。 したがって,被告B7には,いじめ防止に関する過失があるとはいえない。 ウ小括したがって,被告B7の原告らに対する不法行為に基づく損害賠償責任は, 認められない。 ⑻ 被告学校法人B1の債務不履行,使用者責任又は過失の有無について原告らは,要するに,被告学校法人B1は,在学契約に基づき,生徒に対し,施設,設備を提供し,所定の課程の教育を実施する義務を負うのみならず,その付随義務として,学校における教育活動並びにこれに密接に関連する生活関係における生徒の生命及び身体の安全などを保護する安全配慮義務を負うと ころ,これを怠り,債務不履行及び過失があり,また,被告学校法人B1の教諭は,原告らに対し,不法行為又は使用者責任に基づく損害賠償責任を負うから,その使用者である被告学校法人B1も,使用者責任に基づく損害賠償責任を負う旨主張する。 しかしながら,前記⑴ないし⑺での検討に加えて,本件に顕れた事情を考慮 しても,被告学校法人B1の職員が,原告A1に対し,不法行為などに基づく損害賠償責任を負う行為をしたとは認められないし,本件全証拠を検討しても,上記義務に違反したとはいえない。 したがって,被告学校法人B1は,原告らに対し,在学契約から導かれる安全 行為などに基づく損害賠償責任を負う行為をしたとは認められないし,本件全証拠を検討しても,上記義務に違反したとはいえない。 したがって,被告学校法人B1は,原告らに対し,在学契約から導かれる安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任,不法行為責任及び使用者責任に基づく 損害賠償責任を負わない。 4 うつ病エピソード等に関する因果関係の存否について⑴ 事実的因果関係の存否についてア原告らは,被告らの行為とうつ病エピソード又は適応障害との間には事実的因果関係がある旨主張する。被告らは,要するに,原告A1が自閉症スペ クトラムにり患していたこと,自閉症スペクトラムの特性としてうつ病を合併する可能性が高いこと及び原告A1が大学受験や家族関係等の悩みを抱えていたことなどの事情を踏まえると,原告らが主張する被告生徒らの行為がなかったとしても,原告A1がうつ病エピソードにり患した合理的な疑いがあるから,上記被告生徒らの行為がなければ原告A1がうつ病エピソード にり患しなかったとはいえず,因果関係が認められない旨主張する。 イ確かに,証拠(丁3の3・4)中には,被告らの上記主張に沿う部分がある。 ウしかしながら,原告らの主張に沿う証拠(証人E1,同E2の各証言,原告A1本人尋問の結果)があるほか,前記不法行為として違法な行為は,被告中学1年次2学期及び被告中学2年次1学期に集中し,原告A1が女子生 徒の間で孤立させられたり(番号5など),クラスの男子生徒ほぼ全員が原告A1に対して物を投げる(番号20)など,原告A1に強い精神的圧迫を加えるものであったといえる。原告A1を診察した複数の医師の証言にもかかわらず,上記不法行為がうつ病エピソードに関して無関係であったと考えるのは,不合理というほかない。 A1に強い精神的圧迫を加えるものであったといえる。原告A1を診察した複数の医師の証言にもかかわらず,上記不法行為がうつ病エピソードに関して無関係であったと考えるのは,不合理というほかない。 エしたがって,原告A1のうつ病エピソード又は適応障害は,被告生徒らのいじめがなければ発生しなかったと認めるのが相当であるから,被告生徒らのいじめと原告A1のうつ病エピソード又は適応障害のり患との間には,事実的因果関係があるといえる。 ⑵ 相当因果関係の存否について ア前記2⑶でも検討したとおり,被告生徒らの各行為は,民法719条1項前段所定の共同不法行為に該当する。共同不法行為と損害との間の因果関係の存否については,民法416条の規定が類推適用される。 そこで,原告A1のうつ病エピソード又は適応障害による損害が,同条1項の通常生ずべき損害と同条2項の特別の事情によって生じた損害のいず れに該当するものといえるかが問題となる。 イ前記2⑴ないし⑶で検討したとおり,被告生徒らの原告A1に対する各行為は,被告中学1年次2学期及び被告中学2年次1学期に行われたもので,原告A1の人格を継続的に深く傷付け,一部の行為は原告A1の身体を侵害するおそれの高いものであった。ただし,本件全証拠によっても,上記各行 為を受けた時点には原告A1がうつ病エピソード又は適応障害にり患して いたとは認められない。また,E1は,原告A1が自閉症スペクトラム障害にり患し,他の人よりも自閉症スペクトラム障害を有する者の一般的な特徴として,記憶力のよさやこだわりの強さから,被害体験の記憶が長く続き,苦痛をひきずってしまう傾向があり,原告A1にもこの傾向があると証言する。このような証拠を併せて踏まえると,本件事案においては,違法とさ ,記憶力のよさやこだわりの強さから,被害体験の記憶が長く続き,苦痛をひきずってしまう傾向があり,原告A1にもこの傾向があると証言する。このような証拠を併せて踏まえると,本件事案においては,違法とされ るいじめが被告中学2年次1学期までであるとしても,その後,被告生徒らと同じ授業を受けるなどのことが続く中で,原告A1の自閉症スペクトラム障害の影響もあって,原告A1が苦痛を感じ続け,うつ病エピソードにり患したともいえる。上記被告生徒らの行為から一般にうつ病エピソード又は適応障害が生じるであろうとまでは必ずしもいい難いから,原告らが主張する うつ病エピソードによる損害が,上記被告生徒らの行為から通常生ずべき損害とまではいえない。 以上によれば,原告A1のうつ病エピソード又は適応障害により生じた損害については,民法416条2項の特別の事情によって生じた損害であると認めるのが相当である。 ウ被告生徒らにおいて,原告A1のうつ病エピソード又は適応障害のり患を予見し,又は認識することができたかについては,本件全証拠によっても,被告生徒らが各行為の時点でみても,平成22年7月7日までの時点でみても,上記原告A1のうつ病エピソード又は適応障害にり患することを具体的に予見し得たとは認められない。 エ以上によれば,被告生徒らが,原告A1のうつ病エピソード又は適応障害のり患という特別の事情を予見し,又は予見することができたとはいえないから,前記被告生徒らの行為と原告A1のうつ病エピソード又は適応障害のり患による損害との間には相当因果関係があるとはいえない。 5 損害について ⑴ 原告A1の損害について ア慰謝料原告A1は,被告中学1年次の2学期及び被告中学2年次の1学期,同級生であった被告 因果関係があるとはいえない。 5 損害について ⑴ 原告A1の損害について ア慰謝料原告A1は,被告中学1年次の2学期及び被告中学2年次の1学期,同級生であった被告B9,被告B10及び被告B11から,単独又は数名で,前記2⑴で認定した不法行為に該当する各行為を受けた。原告A1が,これを誰にも打ち明けることができずに,ひたすら耐えたことによる,肉体的,精 神的苦痛は,看過できないものであるといえる。 原告A1が被った上記苦痛のほかに,本件に顕れた諸事情を考慮すると,原告A1の上記苦痛を慰謝するためには,80万円をもって相当とするというべきである。 イ弁護士費用 原告A1が原告A1訴訟代理人らに対し本件訴訟の提起及び追行を委任したことは,当裁判所に顕著である。そして,本件事案の内容等を勘案すれば,被告生徒らの各行為と因果関係がある弁護士費用は,8万円が相当である。 ⑵ 原告A2の損害について ア治療費前記4で検討したとおり,被告生徒らの各行為と原告A1がうつ病エピソード又は適応障害にり患したことによる損害との相当因果関係は,認められない。したがって,原告A1のうつ病エピソード又は適応障害の治療費は,賠償すべき損害とは認められない。また,原告A1が生理不順となったこと についても,前記4での検討を踏まえると,原告A1が平成23年12月頃に生理不順となったことによる治療費は,被告生徒らの行為から通常生ずべき損害とはいえないうえに,本件全証拠によっても,被告生徒らが,原告A1が平成23年12月頃に生理不順となることを予見し得たとはいえない。 これらによれば,原告A2が,原告A1のために支出した治療費は,被告 生徒らの行為と相当因果関係がある損害とまでは認められな が平成23年12月頃に生理不順となることを予見し得たとはいえない。 これらによれば,原告A2が,原告A1のために支出した治療費は,被告 生徒らの行為と相当因果関係がある損害とまでは認められない。 イ予備校受講関係費用前記2⑴で認定した被告生徒らの不法行為に該当する各行為の内容及び時期を考慮すれば,原告A1が,上記各行為から2年以上を経て被告高校を退学して予備校受講関係費用が生じたことは,特別の事情により生じた損害というべきである。その特別の事情として,原告A1がうつ病エピソード又 は適応障害になったことについては,前記のとおり,予見可能性が認められない。それ以外の事情が,仮にあったとしても,不法行為に該当する各行為の内容及び時期からみて,退学にまで至ると予見することは困難であるというべきである。被告生徒らの行為と原告A1の予備校受講関係費用との間に,相当因果関係があるとはいえない。 したがって,上記費用は,賠償すべき損害として認められない。 ウ被告高校の学費等前記3のとおり,被告教諭ら及び被告学校法人B1の損害賠償債務は成立しないから,被告学校法人B1が授業料を取得するのは,契約に基づく,根拠があることであり,それが不法行為,債務不履行や原告A2の損害になる とはいえない。 したがって,上記費用は,損害として認められない。 エ慰謝料前記2で認定した被告生徒らの不法行為に該当する各行為の態様などを踏まえると,原告A2が,原告A1の生命が害された場合に比肩するか又 はその場合に比して著しく劣らない程度の精神上の苦痛を受けたということはできず,自己の権利として,固有の慰謝料請求権を取得したということはできないから,原告A2の慰謝料の主張は,採用できない(最高裁判所第一小法 して著しく劣らない程度の精神上の苦痛を受けたということはできず,自己の権利として,固有の慰謝料請求権を取得したということはできないから,原告A2の慰謝料の主張は,採用できない(最高裁判所第一小法廷昭和43年9月19日判決・民集22巻9号1923頁参照)。 オ弁護士費用 前記アないしエによれば,弁護士費用も損害として認められない。 ⑶ 原告A3の損害についてア慰謝料前記認定説示に照らせば,原告A3も,原告A2同様,原告A1の生命が害された場合に比肩するか又はその場合に比して著しく劣らない程度の精神上の苦痛を受けたということはできず,自己の権利として,固有の慰謝料 請求権を取得したということはできないから,原告A3の慰謝料の主張は,採用できない(最高裁判所第一小法廷昭和43年9月19日判決・民集22巻9号1923頁参照)。 イ弁護士費用前記アによれば,弁護士費用も損害として認められない。 ⑷ 小括以上によれば,被告生徒らは,原告A1に対し,共同不法行為に基づく損害賠償として,連帯して88万円の限度で損害賠償義務を負い,原告A2及び原告A3の被告生徒らに対する請求は,いずれも賠償義務がある損害がないから認められないといえる。 6 消滅時効について前記2,4及び5で検討したとおり,本件では,被告生徒らの不法行為に該当する行為は,遅くとも平成21年7月7日までには終了している。 不法行為による損害賠償の請求権は,被害者が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する(民法724条前段)。被害者が 損害及び加害者を知ったときとは,不法行為による損害賠償の請求が事実上可能な程度に,加害者及び損害を知った時からと解される。 前記認定事実⑴及 によって消滅する(民法724条前段)。被害者が 損害及び加害者を知ったときとは,不法行為による損害賠償の請求が事実上可能な程度に,加害者及び損害を知った時からと解される。 前記認定事実⑴及び⑵に加えて,前記2⑴に照らすと,原告A1は,少なくとも,平成21年7月7日までに,被告生徒らの各行為の加害者及び損害を認識していたといえるし,また前記認定事実⑶エ,オ及びコによれば,その法定代理人 親権者であった原告A2及び原告A3は,遅くとも平成23年2月26日には, 原告A1の被告生徒らからのいじめを認識したといえる。そうすると,原告A1の,被告生徒らに対する,不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効については,遅くとも平成23年2月26日が起算点となるから,本件訴え提起時である平成26年6月27日より前の同年2月26日が経過した時点で,上記請求権は時効により消滅したといえる。 7 まとめ以上のとおり,被告学校法人B1及び被告教諭らの原告らに対する損害賠償責任は,いずれも,前提となる過失及び債務不履行が認められないから成立せず(前記3),被告生徒らの原告A1に対する損害賠償責任は,連帯して88万円の限度で成立する(前記2,5⑴)けれども時効により消滅し(前記6),被告生徒ら の原告A2及び原告A3に対する損害賠償責任は,いずれも,賠償義務がある損害がないから成立しない(前記5⑵及び⑶)。 第4 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官久留島 群 一 裁判官鳥飼晃嗣 裁判官秦 卓義 部 裁判長裁判官久留島 群 一 裁判官鳥飼晃嗣 裁判官秦卓義 人名・学校名略語一覧表(別紙) 略語元の名称等 原告A1(省略) 原告A2(省略) 原告A3(省略) 被告学校法人B1(省略) 被告B2(省略) 被告B3(省略) 被告B4(省略) 被告B5(省略) 被告B6(省略) 被告B7(省略) 被告B8(省略) 被告教諭ら被告B2,被告B3,被告B4,被告B5,被告B6,被告B7及び被告B8 被告B9(省略) 被告B10(省略) 被告B11(省略) 被告生徒ら被告B9,被告B10及び被告B11 被告中学D大学附属中学校 被告高校D大学附属高等学校 C3(省略) C1(省略) C2(省略) F1(省略) F2(省略) F3(省略) F4(省略) F5(省略) F6(省略) F14(省略) F16(省略) E1(省略) E2(省略) (以上)

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