主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用(補助参加により生じた費用を含む。)は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 平成30年(行ウ)第182号事件(以下「先行事件」という。)被告が,次の(1)ないし(6)項記載の者に対し,それぞれ,同各項記載の金員及びこれに対する平成30年12月22日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 (1) 補助参加人オリックス 913万5000円 (2) 補助参加人太平ビル 958万6500円(3) 補助参加人コスモ 858万6000円(4) A 913万5000円(5) B 958万6500円及び858万6000円(6) C 913万5000円,958万6500円及び858万6000円 2 平成31年(行ウ)第35号(以下「後行事件」という。)被告が,D,E,A,B,株式会社アルト建築設計事務所,補助参加人オリックス,補助参加人太平ビル,補助参加人コスモ及びCに対し,それぞれ,1億0029万8614円及びこれに対する平成31年4月27日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求を怠ることが違法であることを確認す る。 第2 事案の概要 1 事案の要旨(1) 株式会社アルト建築設計事務所(以下「アルト社」という。)及び補助参加人らは,平成19年,平成22年,平成25年及び平成28年の各年度に, それぞれ,高槻市との業務委託契約に基づき,高槻市立の小中学校等の施設 の点検業務をし,業務委託料の支払を受けた。 平成30年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震(以下「本件地震」という。)により,高槻市立寿栄小学校(以下「本件小学校」という。)のブ の点検業務をし,業務委託料の支払を受けた。 平成30年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震(以下「本件地震」という。)により,高槻市立寿栄小学校(以下「本件小学校」という。)のブロック塀(以下「本件ブロック塀」という。)が倒壊し,道路上を歩行していた小学4年生の児童(以下「本件児童」という。)が下敷きと なって死亡する事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 高槻市は,本件事故に関して本件児童の遺族と和解契約を締結し,解決金1億0029万8614円(以下「本件解決金」という。)を支払った。 (2) 先行事件は,高槻市の住民である原告が,①点検業務を受託した補助参加人らについて,本件ブロック塀の点検を怠った債務不履行責任を負う,②高 槻市の職員であるA及びB(以下,併せて「本件各検査職員」という。)について,上記点検業務の完了検査(地方自治法234条の2第1項)をする際に,重大な過失により点検項目の漏れを確認しなかったという違法があり,平成29年法律第54号による改正前の地方自治法243条の2第1項(以下「改正前地方自治法243条の2第1項」という。)所定の損害賠償責任 を負う,③高槻市教育委員会教育長であったCについて,上記違法な検査を防止するための体制を構築する義務を怠った不法行為責任を負うと主張して,高槻市の執行機関である被告が,上記①ないし③の各責任を負う者に対し業務委託料相当額の損害賠償及びこれに対する先行事件の訴状送達の日の翌日である平成30年12月22日から支払済みまで平成29年法律第44号に よる改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求を怠ることが違法であることの確認を求める事案である。 後行事件は,高槻市の住民である原告が よる改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求を怠ることが違法であることの確認を求める事案である。 後行事件は,高槻市の住民である原告が,①点検業務を受託した補助参加人ら及びアルト社について,本件ブロック塀の点検を怠った債務不履行又は 不法行為責任を負う,②本件各検査職員について,上記点検業務の完了検査 をする際に,重大な過失により点検項目の漏れを確認しなかったという違法があり,改正前地方自治法243条の2第1項所定の損害賠償責任を負う,③Cについて,上記違法な検査を防止するための体制を構築する義務を怠った不法行為責任を負う,④高槻市教育委員会事務局教育管理部学務課(以下「学務課」という。)の職員であるD及びE(以下,併せて「本件職員ら」 という。)について,本件ブロック塀の点検をした際に注意義務を怠った不法行為責任があり,本件解決金相当額につき国家賠償法(以下「国賠法」という。)2条2項に基づき求償される責任を負うと主張して,高槻市の執行機関である被告が,上記①ないし④の各責任を負う者に対し本件解決金相当額の損害賠償及びこれに対する後行事件の訴状送達の日の翌日である平成3 1年4月27日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求を怠ることが違法であることの確認を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等 ア原告は,高槻市の住民である(争いのない事実)。 イ被告は,高槻市の執行機関である(顕著な事実)。 ウ Aは,平成22年度当時,Bは,平成25年度及び平成28年度当時,それぞれ学務課管理チームのチームリーダー の住民である(争いのない事実)。 イ被告は,高槻市の執行機関である(顕著な事実)。 ウ Aは,平成22年度当時,Bは,平成25年度及び平成28年度当時,それぞれ学務課管理チームのチームリーダーであり,高槻市教育委員会教育長から命じられて,高槻市の受ける給付の完了の確認をするために必要 な検査(地方自治法234条の2第1項)をする権限を有していた(弁論の全趣旨)。 エ Cは,平成18年6月15日から平成30年6月14日まで,高槻市教育委員会教育長の地位にあった(弁論の全趣旨)。 オ D及びE(本件職員ら)は,平成28年2月当時,学務課に所属する職 員であった(弁論の全趣旨)。 カアルト社及び補助参加人らは,いずれも建物の管理等を目的とする株式会社である(弁論の全趣旨)。 (2) 本件ブロック塀(甲14,乙18の4)ア本件ブロック塀は,昭和49年4月に開校した本件小学校(高槻市j 町k 丁目m 番n 号所在)において,遅くともプールが開設された同年7月ま でに,本件小学校の北側に位置するプールの外周北面に,プールの目隠し及び防音を目的として設置された。本件ブロック塀は,本件小学校敷地の北側境界部分でもあり,北側は道路に面しており,南側は,本件ブロック塀下端から南側にプールサイド床面が広がっている。 イ本件ブロック塀は,北側の道路面からの高さ約1.9mの擁壁(以下「本 件擁壁」という。)を基礎として,その上に,補強コンクリートブロック造(ブロック8段積み)で約1.6mの高さ(路面から本件ブロック塀の上端までは約3.5mの高さ)で設置された。 補強コンクリートブロック造とは,組積造のように単に石やブロックを積み上げたものではなく,ブロックを積む際に,内部に鉄筋を配置し,ブ ロックの の上端までは約3.5mの高さ)で設置された。 補強コンクリートブロック造とは,組積造のように単に石やブロックを積み上げたものではなく,ブロックを積む際に,内部に鉄筋を配置し,ブ ロックの空洞部には鉄筋と共にモルタルを詰め,鉄筋とブロックの定着(一体化)を図ることで強度を高めたものをいう。 本件擁壁と本件ブロック塀は,北側の道路面から垂直に立ち上がっており,本件擁壁と本件ブロック塀との境には段差がなく,本件擁壁と本件ブロック塀の北面は,一連の面を構成している。本件ブロック塀に控壁は設 置されていなかった。 本件ブロック塀及び本件擁壁の北面には,平成25年,本件小学校の創立40周年記念として,児童による描画が施された。 (3) 業務委託契約等ア建築基準法の定める点検等(甲14) (ア) 建築基準法の改正 平成16年法律第67号による建築基準法の改正により,国又は地方公共団体は,その学校等の建築物の敷地及び構造について,国土交通省令で定めるところにより,定期に,一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に,損傷,腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならないことが定められた(同法12条2項。以下,この条項に基づく 点検を「法定点検」という。)。 なお,民間の建築物に関しては,上記改正前から,建築物の敷地,構造及び建築設備について,国土交通省令に定めるところによる定期の調査・報告の定めがあった(同法12条1項。以下,この条項に基づく調査を「定期調査」という。)。 (イ) 建築基準法施行規則a 建築基準法施行規則5条の2第1項は,法定点検は,3年以内ごとに行うものと定めており,また,平成20年国土交通省令第13号による改正(平成20年4月1日施行)により,法定点検は,建築物 行規則a 建築基準法施行規則5条の2第1項は,法定点検は,3年以内ごとに行うものと定めており,また,平成20年国土交通省令第13号による改正(平成20年4月1日施行)により,法定点検は,建築物の敷地及び構造の状況について安全上支障がないことを確認するために 十分なものとして,当該点検の項目,方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとすることが定められた。 そして,建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目,方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件(平成20年国土交通省告示第282号。以下「本件告示」という。)は, 法定点検の調査項目は,損傷,腐食,その他の劣化状況に係るものに限るとした上で,塀についての調査項目,調査方法及び判定基準を,「組積造の塀又は補強コンクリートブロック造の塀等の劣化及び損傷の状況」,「目視,下げ振り等により確認する。」及び「著しいひび割れ,破損又は傾斜が生じていること。」と,それぞれ定めている。 b なお,民間の建築物に係る定期調査について,建築基準法施行規則 5条1項は,定期調査の項目,方法及び結果の判定基準は,国土交通大臣の定めるところによるものと定めており,本件告示では,塀についての調査項目,調査方法及び判定基準を,前記aに加えて,「組積造の塀又は補強コンクリートブロック造の塀等の耐震対策の状況」,「設計図書等により確認し又は鋼製巻尺等により測定する。」及び「(建 築基準法施行)令61条又は令62条の8の規定に適合しないこと」と,それぞれ定めている。 建築基準法施行令61条,62条の8その他本件に関連する建築基準法施行令の定めは,別紙2のとおりである。 (ウ) 高槻市の要綱等 a 高槻市は,前記( 」と,それぞれ定めている。 建築基準法施行令61条,62条の8その他本件に関連する建築基準法施行令の定めは,別紙2のとおりである。 (ウ) 高槻市の要綱等 a 高槻市は,前記(ア)の法改正を受けて,「高槻市公共建築物の定期点検の実施に関する要綱」(平成19年6月26日施行)を定め,点検事項を,原則として,建築物にあっては,敷地,地盤,外壁,屋上,屋根,建物内部,避難施設,非常用進入口,特殊な構造等及びその他安全に関する事項とし,「特殊建築物等定期点検業務基準(公共建築 物用)」(編集・発行財団法人日本建築防災協会)(以下「本件参考図書」という。)によるとしていた。 b 高槻市は,本件告示が発出された後には,高槻市建築指導課長名で,公共施設等所管課長宛てに,法定点検を本件告示に基づいて行うこと,法定点検の外部委託の見積もりをする場合は,「建築基準法定期報告 調査・検査者必携 2008年度版」を参照することなどを通知する文書(平成20年10月17日高都建第242号)を発出した。 イ契約の締結(ア) 高槻市は,前記ア(ア)の法改正後の初めての法定点検として,平成19年度において,高槻市立小学校,中学校,幼稚園及び公民館を3群に分 け,アルト社を含む3者との間で,それぞれ,法定点検に係る業務委託 契約を締結したところ,本件小学校についてはアルト社との契約(以下「本件平成19年度契約」という。)に含まれていた。 (イ) 高槻市は,平成22年7月12日,補助参加人オリックスとの間で,本件小学校等の83施設について,業務委託料を913万5000円として,法定点検に係る業務委託契約(以下「本件平成22年度契約」と いう。)を締結した。 (ウ) 高槻市は,平成25年8月12日,補助参加人太 83施設について,業務委託料を913万5000円として,法定点検に係る業務委託契約(以下「本件平成22年度契約」と いう。)を締結した。 (ウ) 高槻市は,平成25年8月12日,補助参加人太平ビルとの間で,本件小学校等の83施設について,業務委託料を958万6500円として,法定点検に係る業務委託契約(以下「本件平成25年度契約」という。)を締結した。 (エ) 高槻市は,平成28年6月3日,補助参加人コスモとの間で,本件小学校等の82施設について,業務委託料を858万6000円として,法定点検に係る業務委託契約(以下「本件平成28年度契約」といい,本件平成22年度契約及び本件25年度契約と併せて「本件3契約」という。)を締結した。 (オ) 本件3契約に係る各業務委託契約書の第10条は,「委託料の支払」の条項として,受託者は,委託者がする業務完了の検査に合格したときは,委託者に対し業務委託料の支払請求をし,委託者は,適正な支払請求があったときは,その日から30日以内に業務委託料を支払わなければならない旨を定め,第11条は,「かし担保」の条項(以下「本件瑕 疵担保条項」という。)として,受託者は,「目的物の引渡しの日から1年間目的物のかしを補修し,又はそのかしによって生じた損害を賠償しなければならない」と定めている(乙3,4)。 ウ点検内容(ア) 本件平成19年度契約及び本件3契約では,本件ブロック塀も点検対 象に含まれていた。 (イ) 補助参加人ら及びアルト社は,受託業務の対象となる施設に存在する補強コンクリートブロック造の塀の点検業務について,少なくとも,劣化及び損傷の状況を,目視観察及びテストハンマーによる打診程度の方法によって調査し,著しいひび割れ,破損又は傾斜が生じてい に存在する補強コンクリートブロック造の塀の点検業務について,少なくとも,劣化及び損傷の状況を,目視観察及びテストハンマーによる打診程度の方法によって調査し,著しいひび割れ,破損又は傾斜が生じているか否かを点検(以下「劣化及び損傷状況の点検」という。)して,その結果を 報告する債務を負っていた(劣化及び損傷状況の点検を超えて耐震対策の状況の点検等をすべきであったか否かについては争いがある。)。 エ定期点検結果報告書(ア) 補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルは,本件小学校において受託業務である法定点検を実施する際に,本件ブロック塀を含む敷地 の境界部分に設置されていたブロック塀の点検をしておらず,各年度の定期点検結果報告書の本件小学校に係る調査結果表で,塀に関する項目である「組積造の塀又は補強コンクリートブロック造の塀等の劣化及び損傷の状況」の調査結果欄に,該当しない調査項目であることを示す「-」を記入して,これを高槻市教育委員会宛てにそれぞれ提出した(乙6の 2,7の2)。 なお,本件3契約に係る定期点検結果報告書の調査結果表には,点検の結果として判定基準に該当する場合は「要是正」欄に○印を記入し,該当しない場合は「指摘なし」欄に○印を記入することとされていた(乙6の2,7の2,8の2)。 (イ) 補助参加人コスモが高槻市教育委員会宛てに提出した本件28年度契約に係る定期点検結果報告書の本件ブロック塀に係る調査結果欄は,前記(ア)と同様に「-」と記入されていた(乙8の2)。 オ完了検査(ア) 本件3契約について,高槻市の受ける給付の完了の確認をするために 必要な検査(地方自治法234条の2第1項)をする権限を有する職員 は,高槻市教育委員会教育長から検査を命じられた学務 本件3契約について,高槻市の受ける給付の完了の確認をするために 必要な検査(地方自治法234条の2第1項)をする権限を有する職員 は,高槻市教育委員会教育長から検査を命じられた学務課管理チームのチームリーダーである職員であり,本件平成22年度契約についてはA,本件平成25年度契約及び本件平成28年度契約についてはBであった。 また,本件3契約に係る上記各検査当時,高槻市教育委員会教育長はCであった。 なお,地方自治法施行令167条の15第2項は,地方自治法234条の2第1項の規定による検査は,契約書,仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行わなければならない旨を定めている。 (イ) A及びB(本件各検査職員)は,各担当年度において,補助参加人らから提出された各定期点検結果報告書等に基づき,本件3契約の履行完 了を確認する検査をし,契約のとおりの業務が履行されたことを認める旨の各検査合格報告書をそれぞれ作成して,履行完了の確認をした(履行完了の確認日は,本件平成22年度契約につき平成23年3月31日,本件平成25年度契約につき平成26年3月3日,本件平成28年度契約につき平成29年2月15日。乙16の1ないし3)。 カ業務委託料の支払高槻市は,補助参加人らに対し,本件3契約に基づく業務委託料全額を,各年度の各完了検査後間もなく(本件平成22年度契約につき平成23年4月22日,本件平成25年度契約につき平成26年3月31日,本件平成28年度契約につき平成29年3月23日),それぞれ支払った。 (4) 学務課の職員(本件職員ら)による点検等ア本件小学校で平成27年度に開催されたPTA学習会において,「自分で命を守るためには」と題する講演が行われた。防災アドバイザーである講師は (4) 学務課の職員(本件職員ら)による点検等ア本件小学校で平成27年度に開催されたPTA学習会において,「自分で命を守るためには」と題する講演が行われた。防災アドバイザーである講師は,同年11月開催のPTA学習会当日,講演に先立ち,本件小学校の通学路等の見回りを実施し,また,講演後の同年12月7日,本件小学 校宛てに,「学校通学路の安全確保について。」・「危険個所の確認方法」 などの項目のある文書を電子メールに添付して送付した。同文書には,「狭い通学路が多い両側から建物の倒壊・ブロック塀の倒壊が心配されます。 35年前以上に建てられた建物やブロック塀は特に注意が必要である。」などの記載がある。(甲14,乙9,10)イ本件小学校の校長は,平成28年2月25日,学務課の職員であるD及 びE(本件職員ら)に対し,本件ブロック塀の点検を依頼し,異常なしとの報告を受けた(甲14)。 (5) 本件地震による本件事故の発生等ア本件事故の発生平成30年6月18日午前7時58分に発生した大阪府北部の地下を震 源とする本件地震(高槻市を含む5市区で最大震度6弱が観測された。)により,本件ブロック塀は,本件擁壁との接合部が折れて,壁体として一体性を保ったまま北側に倒れて道路に落下し,通行中の小学4年生の児童1名(本件児童)が死亡した(本件事故)。 イ事故調査委員会(甲14) (ア) 本件事故の検証を通じて今後の学校の安全管理対策について提言することを目的に平成30年7月12日に設置された高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会(以下「事故調査委員会」という。)は,同月30日付けで,被告から,①事故原因の検証,②学校の安全管理に係る再発防止策について諮問を受け,本件ブロック塀,法定点検,日常点 ロック塀地震事故調査委員会(以下「事故調査委員会」という。)は,同月30日付けで,被告から,①事故原因の検証,②学校の安全管理に係る再発防止策について諮問を受け,本件ブロック塀,法定点検,日常点検及 び関係者の認識等に関する検証を,法令等調査,過去の設計図書,写真,点検業務に関する契約関係書類・点検結果報告書等に基づく資料調査,本件ブロック塀及び内部鉄筋の目視・計測調査,関係者に対するヒアリング調査等の方法で実施し,同年10月,検証結果及び再発防止策の提言を記載した調査報告書を提出した。 (イ) 上記の調査報告書では,本件ブロック塀の倒壊の主原因は,本件ブロ ック塀の内部構造に不良箇所があったことによるブロック塀脚部の耐力不足が考えられると総括されており,具体的には,次のaないしdの内部構造の不良箇所が指摘されている。 a 本件ブロック塀と本件擁壁の接合部には,接合筋(直径13mmの異形鉄筋)が使用されているところ,接合筋とブロック壁体内の補強 筋とはブロック空洞部内で重ね継手としている(建築基準法施行令62条の6第2項に適合しない。)。 b 接合筋の本件擁壁への定着長さが80mmないし200mmと短く,鉄筋径(13mm)の40倍に達していない(建築基準法施行令62条の8第6号に適合しない。)。 c 観察できた接合筋のほとんどに台直し(ブロックの空洞部の位置に合わせて接合筋を曲げること)の跡が見られた。 d 接合筋には著しい腐食が見られ,D13の鉄筋径が5mm程度まで減厚したものが見られた。 ウ本件解決金 高槻市は,本件事故に関し,本件ブロック塀の設置又は管理に瑕疵(国賠法2条1項)があったと判断し,本件児童の遺族との間で,高槻市が本件児童の遺族に対して解決金1億0029万 ウ本件解決金 高槻市は,本件事故に関し,本件ブロック塀の設置又は管理に瑕疵(国賠法2条1項)があったと判断し,本件児童の遺族との間で,高槻市が本件児童の遺族に対して解決金1億0029万8614円(本件解決金)の支払義務を負う旨の和解契約を締結し,平成30年11月15日頃,本件解決金を支払った(甲25,26,28,29)。 (6) 本件訴訟に至る経緯ア先行事件に先立つ住民監査請求等(ア) 原告は,平成30年8月17日,高槻市監査委員に対し,①補助参加人らが本件3契約に基づいてすべき本件ブロック塀の点検自体をしなかった違法によって,高槻市に本件3契約に基づき支払った公金相当額の 損害が生じた,②担当職員が上記①の法定点検の手抜きを見逃したとい う違法によって,高槻市に上記①と同様の損害が生じた,③本件ブロック塀等は設置当初から建築基準法に反した違法建築物であり,建設した事業者,契約や設計・施工の管理・確認を行った担当職員,塀の管理を行ってきた歴代の担当職員,教育長,市長その他の責任によって,高槻市に本件ブロック塀等の建設工事費用だけでなく撤去や安全対策等の措 置,本件地震後の点検・調査等に要した費用相当額の損害が生じたなどと主張して,上記各関係者に対する不当利得返還請求又は損害賠償請求をするよう勧告することなどを求める住民監査請求をした(甲2)。 (イ) 高槻市監査委員は,上記監査請求に対し,平成30年10月12日付けで,原告の主張に理由がないなどとして,原告が求める措置の必要は 認められない旨判断し,同月20日,原告に対し,その旨を通知した(甲3)。 (ウ) 原告は,平成30年11月16日,先行事件に係る訴えを提起した(顕著な事実)。 イ後行事件に先立つ住民監査請求等 れない旨判断し,同月20日,原告に対し,その旨を通知した(甲3)。 (ウ) 原告は,平成30年11月16日,先行事件に係る訴えを提起した(顕著な事実)。 イ後行事件に先立つ住民監査請求等 (ア) 原告は,平成30年12月7日,高槻市監査委員に対し,本件解決金を支払った高槻市の損害について,①本件ブロック塀は設置当初から建築基準法に反した違法建築物であり,施工業者や工事監理・検査を行った高槻市の職員には賠償責任がある,②本件ブロック塀の法定点検を違法に怠った補助参加人ら及びアルト社,法定点検に係る担当職員や日常 的に本件ブロック塀の管理を担当していた高槻市の職員並びに歴代の市長や教育長には賠償責任がある,③本件解決金の額が不当に高額であり,高槻市の担当職員やその監督者である市長又は教育長には,解決金として相当な額との差額について賠償責任がある,④本件ブロック塀の危険性や違法性を故意又は過失により放置した高槻市長には賠償責任がある などと主張して,上記関係者に対する損害賠償請求をするよう勧告する ことなどを求める住民監査請求をした(甲22)。 (イ) 高槻市監査委員は,平成31年2月1日付けで,上記監査請求に対し,原告の主張に理由がないとして,原告が求める措置の必要は認められない旨判断し,原告に対し,同月9日,その旨の通知をした(甲23)。 (ウ) 原告は,平成31年3月11日,後行事件に係る訴えを提起した(顕 著な事実)。 3 争点(1) 点検業務の受託者に対する損害賠償請求権の存否ア補助参加人らに対する債務不履行に基づく業務委託料相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(業務委託料相当 額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(先行事件) 参加人らに対する債務不履行に基づく業務委託料相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(業務委託料相当 額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(先行事件)イ補助参加人ら及びアルト社に対する債務不履行又は不法行為に基づく本件解決金相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(後行事件) (2) 本件各検査職員に対する改正前地方自治法243条の2第1項に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否(検査義務の内容・範囲,重過失の有無,義務違反と損害(業務委託料相当額・本件解決金相当額)との因果関係,消滅時効の成否)(3) 教育長に対する不法行為に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件 解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否(体制構築義務の内容・存否,義務違反と損害(業務委託料相当額・本件解決金相当額)との因果関係)(4) 本件職員らに対する国賠法2条2項に基づく求償請求権の存否(点検時の注意義務の内容・範囲,義務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係) (後行事件) 4 争点についての当事者の主張(1) 争点(1)(点検業務の受託者に対する損害賠償請求権の存否)についてア争点(1)ア(補助参加人らに対する債務不履行に基づく業務委託料相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(業務委託料相当額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(先行事件)) について(原告の主張)(ア) 本件3契約の債務の内容補助参加人らは,本件3契約において,劣化及び損傷状況の点検・報告の 額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(先行事件)) について(原告の主張)(ア) 本件3契約の債務の内容補助参加人らは,本件3契約において,劣化及び損傷状況の点検・報告の義務に加え,参考図書である「建築基準法定期報告調査・検査者必 携2008年度版」の記載に基づき,対象となる施設に存在する補強コンクリートブロック造の塀については,設計図書等により確認し(設計図書等がない場合は,所有者や管理者からのヒアリングや,簡易な探知機などによりできる限り鉄筋などの状況を把握する。)又は鋼製巻尺等により測定し,建築基準法施行令61条又は62条の8に適合している か否かを判断して,耐震対策の状況を点検(以下「耐震対策状況の点検」という。)し,その点検結果の報告をする義務を負っていた。 (イ) 債務不履行補助参加人らは,いずれも,本件ブロック塀について劣化及び損傷の状況の点検並びに耐震対策状況の点検をせず,劣化及び損傷状況の点検 ・報告の義務並びに耐震対策状況の点検・報告の義務の履行を怠った。 (ウ) 因果関係・損害の発生高槻市は,補助参加人らが,劣化及び損傷状況の点検・報告の義務や耐震対策状況の点検・報告の義務を怠っているときには,本件3契約に基づく業務委託料の支払義務がないにもかかわらず,これを支払わざる を得なくなったため,支払った業務委託料相当額の損害を被った。 (エ) 本件瑕疵担保条項点検業務については,目的物の完成が想定できず,目的物の引渡しを要件とする本件瑕疵担保条項は,何をもって目的物の引渡しがあったかを明確にしていないから,契約文言としては無意味であり,本件3契約に係る点検業務について適用はない。 (オ) したがって,高槻市は,補助参加人らに対 条項は,何をもって目的物の引渡しがあったかを明確にしていないから,契約文言としては無意味であり,本件3契約に係る点検業務について適用はない。 (オ) したがって,高槻市は,補助参加人らに対し,債務不履行に基づく損害賠償請求権として,それぞれに支払った業務委託料相当額及びこれらに対する債務不履行後の日である平成30年12月22日(先行事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有している。 そうであるにもかかわらず,高槻市の執行機関である被告が,上記支払請求権の行使を怠っていることは違法である。 (被告の主張)(ア) 債務の内容について否認する。 法定点検は,「損傷,腐食,その他の劣化状況に係るものに限る」とされ,ブロック塀については,「目視,下げ振り等により」,「著しいひび割れ,破損又は傾斜が生じている」かを確認するとされている(本件告示)から,耐震対策状況の点検は,法定点検の業務内容には含まれない。 したがって,補助参加人らは,本件3契約において,耐震対策状況の点検・報告をする義務を負わない。 (イ) 債務不履行について補助参加人コスモが本件ブロック塀の劣化及び損傷の状況の点検をしていなかったとの事実は,否認する。補助参加人らは,耐震対策状況の 点検・報告の義務を負わないから,同義務についての債務不履行はない。 (ウ) 因果関係・損害の発生について否認ないし争う。 業務委託に基づく受託業者の業務のうち,本件ブロック塀の劣化及び損傷の状況の点検に不履行があったとしても,本件3契約に基づく点検業務がいずれも実施されて点検結果報告書も提出されているから,高槻 市に業務委託料全額の支払義務がなくなるというこ ク塀の劣化及び損傷の状況の点検に不履行があったとしても,本件3契約に基づく点検業務がいずれも実施されて点検結果報告書も提出されているから,高槻 市に業務委託料全額の支払義務がなくなるということはなく,高槻市が支払った業務委託料全額が直ちに損害となるとの原告の主張には根拠がない。 仮に業務の一部に不履行があった場合,不履行部分に相当する業務委託料については支払の必要がないとの考え方を採用するとしても,原告 は,本件ブロック塀部分に対応する具体的な金額を特定して主張立証していない。 (補助参加人オリックスの主張)補助参加人オリックスは,83施設全ての点検を終えて,各施設に関する定期点検報告書を作成して高槻市教育委員会に対し提出し,本件平成2 2年度契約における受託業務を完了したから,仮に,本件小学校における点検漏れ,それも極めて多岐にわたる点検項目のうちのわずか1項目である本件ブロック塀について点検漏れがあったとしても,仕事の目的に瑕疵があるにすぎず,高槻市がその補正又は損害賠償を請求できるのは引渡し(遅くとも高槻市による本件平成22年度契約の履行確認日である平成2 3年3月31日)から1年間の瑕疵担保期間内(本件瑕疵担保条項又は改正前民法637条1項)に限られる。 したがって,本件ブロック塀の点検が未実施であることを理由として高槻市が補助参加人オリックスに対し支払った業務委託料に関して損害賠償請求権が成立していたとしても,上記期間の経過によって消滅している。 仮に上記期間の経過による消滅が認められないとしても,上記損害賠償請 求権は,それを行使できるとき(遅くとも上記平成23年3月31日)から5年の経過により時効消滅している(平成29年法律第45号による改正前の地方自治法236条1項 ても,上記損害賠償請 求権は,それを行使できるとき(遅くとも上記平成23年3月31日)から5年の経過により時効消滅している(平成29年法律第45号による改正前の地方自治法236条1項,同改正前の商法522条)。 (補助参加人太平ビルの主張)仮に補助参加人太平ビルが本件平成25年度契約に関して瑕疵担保責任 又は債務不履行責任を負うとしても,本件平成25年度契約に係る契約書の第11項又は平成29年法律第45号による改正前民法637条所定の1年の除斥期間の経過により,又は,平成29年法律第45号による改正前の地方自治法236条1項若しくは同改正前の商法522条所定の5年の消滅時効により,損害賠償債務は消滅している。 (補助参加人コスモの主張)補助参加人コスモは,本件平成28年度契約の履行として,本件ブロック塀につき,目視等によって塀の損傷,腐食その他の劣化状況を点検した。 前回の法定点検の際に補助参加人太平ビルが作成した定期点検結果報告書のデータを利用したために,本件ブロック塀に係る調査結果欄にあった 「-」との記入を「○」に書き換えることなくそのまま維持したという不備はあるが,その不備は,債務不履行ではなく,瑕疵担保責任が問題となるとしても,本件瑕疵担保条項により損害賠償債務は消滅している。また,上記の不備のみをもって高槻市に損害が発生するものではない。 イ争点(1)イ(補助参加人ら及びアルト社に対する債務不履行又は不法行為 に基づく本件解決金相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(後行事件))について(ア) 補助参加人らに対する請求権(原告の主張) a 債務不履行又は違法行為 務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(後行事件))について(ア) 補助参加人らに対する請求権(原告の主張) a 債務不履行又は違法行為 補助参加人らは,本件3契約において,対象となる施設に存在する補強コンクリートブロック造の塀につき,耐震対策状況の点検・報告の義務を負っていたほか,鋼製巻尺等により測定した結果,現行の建築基準法に適合しないことが一義的に明らかである場合は,高槻市に対して提出する調査結果表の「要是正」欄に「○」を付して指摘する 義務(以下「建築基準法不適合指摘義務」という。)を負っていたにもかかわらず,本件ブロック塀について,耐震対策状況の点検・報告を行わず,また,本件ブロック塀が点検当時の建築基準法に適合しないことが一義的に明らかであったにもかかわらず,高槻市に対し,本件ブロック塀について調査結果表の「要是正」欄に「○」を付して指 摘しなかった。 b 因果関係・損害の発生(a) 補助参加人らが,本件ブロック塀について調査結果表の要是正欄に「○」を付して指摘していれば,本件ブロック塀を管理していた学務課の職員は,本件ブロック塀が建築基準法に適合しない状況に あることを認識し,必要な改修を実施するか本件ブロック塀を撤去する,あるいは,本件ブロック塀の安全が確認できるまでは本件ブロック塀に近寄らせない等の措置を講ずることができた。 (b) 学務課の職員が前記(a)の改修又は撤去又は本件ブロック塀の安全が確認できるまでは本件ブロック塀に近寄らせない等の措置を実 施していれば,本件事故は発生せず,高槻市が本件解決金の支払をすることもなかった。 c よって,高槻市は,補助参加人らに対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請 らせない等の措置を実 施していれば,本件事故は発生せず,高槻市が本件解決金の支払をすることもなかった。 c よって,高槻市は,補助参加人らに対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求権として,本件解決金相当額1億0029万8614円及びこれに対する債務不履行又は不法行為後の日である平成 31年4月27日(後行事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みま で改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 そうであるにもかかわらず,高槻市の執行機関である被告が,上記請求権の行使を怠っていることは違法である。 (被告の主張) a 債務不履行又は違法行為について否認する。補助参加人らが,本件3契約において,耐震対策状況の点検・報告の義務を負わないことは前記ア(被告の主張)(ア)記載のとおりであり,また,補助参加人らが,法定点検に含まれない建築基準法不適合指摘義務を負うこともない。 本件ブロック塀が点検当時の建築基準法に適合しないことが一義的に明らかであったことは,否認する。 補助参加人らは,本件ブロック塀について,耐震対策状況の点検を行わず,高槻市に対し本件ブロック塀について調査結果表の「要是正」欄に「○」を付した指摘をしなかったが,耐震対策状況の点検・報告 の義務及び建築基準法不適合指摘義務のいずれの義務もなく,債務不履行又は不法行為とならない。 b 因果関係・損害の発生について否認ないし争う。法定点検の実施によっては,本件ブロック塀の倒壊原因となった内部構造の状況については判明し得なかった。また, 平成28年2月当時の国全体での学校施設についての耐震対策の取組み状況は,全国的にも,学校施設におけるブロック塀等の耐震対策に対する取組みが進められて 状況については判明し得なかった。また, 平成28年2月当時の国全体での学校施設についての耐震対策の取組み状況は,全国的にも,学校施設におけるブロック塀等の耐震対策に対する取組みが進められているとは言いがたい状況であったから,本件ブロック塀について調査結果表の要是正欄に「○」を付した指摘があれば直ちに本件事故が回避できたと言えるかは不明であり,原告主 張の因果の流れは,相当因果関係の範囲内とは言えない。 (補助参加人オリックスの主張)a 本件ブロック塀が倒壊した主原因は,本件ブロック塀の内部構造に関する問題であるところ,本件ブロック塀が法令に適合しない違法なものであったか否かは,内部構造の問題であり,当初の設計図書も残存しておらず,鋼製巻尺等による測定や外観目視によって判明するも のではないから,本件ブロック塀が現行の建築基準法に適合しないことは一義的に明らかではない。 b 仮に本件平成22年度契約において本件事故の要因となった不良個所を確認・指摘することが可能であり,そうする義務があったとすれば,そのことは,その後の本件平成25年度契約及び本件平成28年 度契約における法定点検についても同じであるから,本件平成22年度契約と本件事故との間には因果関係の中断があるというべきであり,因果関係はない。 c 仮に,本件平成22年度契約に関し,本件ブロック塀の点検が未実施(不履行)であったとしても,仕事の目的に瑕疵があるにすぎず, 前記ア(補助参加人オリックスの主張)記載のとおり,1年の瑕疵担保期間の経過又は5年の消滅時効期間の経過によって,債務不履行に基づく損害賠償請求権は消滅している。 (イ) アルト社に対する請求権(原告の主張) a 債務不履行又は違法行為アルト社は 間の経過又は5年の消滅時効期間の経過によって,債務不履行に基づく損害賠償請求権は消滅している。 (イ) アルト社に対する請求権(原告の主張) a 債務不履行又は違法行為アルト社は,本件平成19年度契約によって,本件参考図書の「A. 敷地・地盤関係」の「3.工作物等」の記載に基づき,対象施設に存在するブロック塀については,①耐震対策(控壁等)は適正に行われているか,②ひび割れ等の劣化・損傷はないかとの各項目について点 検を行う義務を負っていた。また,上記記載によれば,この際,ブロ ック塀の内部鉄筋の所在等は外観から確認できないが,建築基準法施行令62条の8に規定する高さや厚さなどについて計測点検する義務を負っていた。 すなわち,アルト社は,本件平成19年度契約によって,本件小学校に存在するブロック塀である本件ブロック塀の高さや厚さを計測す べき義務があったのに,これを怠り,また,高槻市に対し,控壁が存在しないことに言及して要是正と指摘する義務があったのに,これを怠った。 b 因果関係・損害の発生(a) アルト社が,本件ブロック塀の高さや厚さを計測し,控壁が存在 しないことに言及して要是正と指摘していれば,本件ブロック塀を管理していた学務課の職員は,本件ブロック塀に必要な改修を実施するか本件ブロック塀を撤去する,あるいは,ブロック塀の安全が確認できるまでは本件ブロック塀に近寄らせない等の措置を講ずることができた。 (b) 学務課の職員が前記(a)の改修又は撤去あるいは,安全な措置を講ずるまでは本件ブロック塀に近寄らせない等の措置を実施していれば,本件事故は発生せず,高槻市が本件解決金の支払をすることもなかった。 (c) よって,高槻市は,アルト社に対し,債務不履行又は不法行 ずるまでは本件ブロック塀に近寄らせない等の措置を実施していれば,本件事故は発生せず,高槻市が本件解決金の支払をすることもなかった。 (c) よって,高槻市は,アルト社に対し,債務不履行又は不法行為に 基づく損害賠償請求権として,本件解決金相当額1億0029万8614円及びこれに対する債務不履行又は不法行為後の日である平成31年4月27日(後行事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 そうであるにもかかわらず,高槻市の執行機関である被告が,前 記請求権の行使を怠っていることは違法である。 (被告の主張)a 債務不履行又は不法行為について否認する。本件平成19年度契約の契約書が残存しておらず,業務内容を特定できないが,平成19年当時から,法定点検の対象は,劣 化及び損傷に関する点検項目に限られていたと考えられるから,アルト社が高槻市に対し控壁が存在しないことに言及して要是正と指摘しなかったことは,債務不履行又は不法行為とはならない。 b 因果関係・損害の発生について否認ないし争う。その理由は,前記(ア)(被告の主張)bのとおり。 (2) 争点(2)(本件各検査職員に対する改正前地方自治法243条の2第1項に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否(検査義務の内容・範囲,重過失の有無,義務違反と損害(業務委託料相当額・本件解決金相当額)との因果関係,消滅時効の成否))について (原告の主張)ア法令の規定に反する検査(ア) 本件3契約においては,これにより点検することとなっている高槻市立小学校等の各施設に存在する法定点検の対象物を一覧できる書類(以下「点 (原告の主張)ア法令の規定に反する検査(ア) 本件3契約においては,これにより点検することとなっている高槻市立小学校等の各施設に存在する法定点検の対象物を一覧できる書類(以下「点検対象物一覧書類」という。)は,「その他の関係書類」(地方 自治法施行令167条の15第2項)に該当する。 (イ) 本件各検査職員は,本件3契約に基づき受ける給付の完了の確認をするため必要な検査として,点検対象物一覧書類と補助参加人らが提出した成果物とを対照し,補助参加人らの実施した点検項目に漏れがないかを確認する義務を負っていた(地方自治法施行令167条の15第2項)。 (ウ) 本件各検査職員は,本件3契約に基づき受ける給付の完了の確認をす るため必要な検査として,点検対象物一覧書類と成果物とを対照し,補助参加人らの実施した点検項目に漏れがないかを確認しなかった。 イ前記アについての重過失本件各検査職員が前記アの違法な検査を行ったのは,地方自治法施行令167条の15第2項の規定内容を認識していなかったという重過失に よる。 ウ因果関係・損害の発生(ア) 業務委託料の支払(先行事件)高槻市は,本件各検査職員が,前記ア(イ)の確認義務を果たしていれば,補助参加人らの債務不履行を認識することができ,本件3契約に基づく 業務委託料を支払うことはなかった。 (イ) 本件解決金の支払(後行事件)a 本件各検査職員が前記ア(イ)のとおり確認していれば,補助参加人らの実施した点検項目に漏れがあることを発見し,補助参加人らに前記(1)イ(ア)(原告の主張)aの義務を履行させ,その結果,本件ブロッ ク塀の状況を認識することができた。 b 本件ブロック塀の状況を認識していれば,本件ブロック塀を撤去す 補助参加人らに前記(1)イ(ア)(原告の主張)aの義務を履行させ,その結果,本件ブロッ ク塀の状況を認識することができた。 b 本件ブロック塀の状況を認識していれば,本件ブロック塀を撤去するか,本件ブロック塀が危険であることの注意喚起や,少なくとも安全性が確認されるまで本件ブロック塀に近寄ることができないようにする措置等の応急的な安全対策を講ずることができたものであり,そ うすれば,本件事故は発生せず,高槻市が本件解決金の支払をすることもなかったエしたがって,高槻市は,本件各検査職員に対し,改正前地方自治法243条の2第1項に基づく損害賠償請求権として,それぞれ,支払われた業務委託料相当額及びこれらに対する検査後の日である平成30年12月2 2日(先行事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定 の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有している。 また,高槻市は,本件各検査職員に対し,改正前地方自治法243条の2第1項に基づく損害賠償請求権として,それぞれ,支払われた本件解決金相当額1億0029万8614円及びこれに対する検査後の日である平成31年4月27日(後行事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みま で改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 そうであるにもかかわらず,高槻市の執行機関である被告が,上記各請求権の行使を怠っていることは違法である。 (被告の主張) ア法令の規定に反する検査について否認する。地方自治法施行令167条の15第2項の規定から,検査の方法として原告が主張する点検対象物一覧書類と成果品とを対照する必要があるとの解釈は導かれず,高槻市は,点検対象物一覧書類を作成していないため,本件各検査職員が検査の際 15第2項の規定から,検査の方法として原告が主張する点検対象物一覧書類と成果品とを対照する必要があるとの解釈は導かれず,高槻市は,点検対象物一覧書類を作成していないため,本件各検査職員が検査の際に点検対象物一覧書類と成果品とを 対照することは不可能である。 イ重過失について本件各検査職員に原告主張の義務はなく,仮に当該義務があったとしても,地方自治法施行令167条の15第2項の規定から直ちに当該義務があると理解できるものではないから,本件各検査職員が当該義務を認識せ ず,履行しなかったことに重過失はない。 ウ因果関係・損害の発生について(ア) 業務委託料の支払(先行事件)について否認する。その理由は,前記(1)ア(被告の主張)(ウ)と同じ。 (イ) 本件解決金の支払について 否認する。本件各検査職員が点検項目に漏れがあることに気付いて補 助参加人らに点検させたとしても,補助参加人らは,ブロック塀の劣化及び損傷状況の点検・報告の義務を負うにとどまること,平成28年2月25日の本件職員らによる目視・打音確認によっても,本件ブロック塀が劣化及び損傷している状況はなかったこと,前記(1)イ(ア)(被告の主張)b記載の事情等によれば,本件事故が回避されたとはいえず,因 果関係はない。 エ消滅時効仮に,本件平成22年度契約及び本件平成25年度契約に関して本件各検査職員に対する業務委託料相当額の損害賠償請求権が発生していたとしても,消滅時効期間が経過している(平成29年法律第45号による改 正前の地方自治法236条1項,2項)。 (3) 争点(3)(教育長に対する不法行為に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否)(体制構築義務の 正前の地方自治法236条1項,2項)。 (3) 争点(3)(教育長に対する不法行為に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否)(体制構築義務の内容・存否,義務違反と損害(業務委託料相当額・本件解決金相当額)との因果関係)について (原告の主張)ア違法行為(ア) Cは,教育長として,本件各検査職員が,本件3契約の完了検査に当たり,補助参加人らの点検事項が漏れていることを発見することができる体制を構築する義務を負っていた。 (イ) しかし,学務課では,事務系職員が定期点検作業の業務受託会社からの成果物の提出の有無とその形式的要件に不備がないことを確認した後,技術系職員は同成果物の要是正事項のみを把握し,修繕作業等に取り掛かっていたため,業務委託契約に基づく給付の完了を確認するための監督・点検を行う体制が構築されていなかった。 Cは,業務委託契約に基づく給付の完了を確認するための監督・点検 を行う体制を構築し,点検事項が漏れていることを発見することができる体制を構築する義務があるにもかかわらず,その義務を怠った。 イ因果関係・損害の発生(ア) 業務委託料の支払(先行事件)Cが,前記ア(ア)の義務を果たしていれば,学務課において,補助参加 人らの債務不履行の事実を認識でき,業務委託料を支払うという損害が生じることはなかった。 (イ) 本件解決金の支払(後行事件)Cが,前記ア(ア)の義務を果たしていれば,本件各検査職員が前記(2)(原告の主張)ア(イ)の義務を履行することができ,補助参加人らの実施 した点検項目に漏れがあることを発見し,補助参加人らに前記(1)イ(ア)(原告の主張)aの義務を履行させ,その結果,本件ブロッ 告の主張)ア(イ)の義務を履行することができ,補助参加人らの実施 した点検項目に漏れがあることを発見し,補助参加人らに前記(1)イ(ア)(原告の主張)aの義務を履行させ,その結果,本件ブロック塀の状況を認識することができた。 本件ブロック塀の状況を認識していれば,本件ブロック塀を撤去するか,本件ブロック塀が危険であることの注意喚起や,少なくとも安全性 が確認されるまで本件ブロック塀に近寄ることができないようにする措置等の応急的な安全対策を講ずることができたものであり,そうすれば,本件事故は発生せず,高槻市が本件解決金を支払うこともなかった。 ウしたがって,高槻市は,Cに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,高槻市が補助参加人らに対し支払った各業務委託料相当額及びこれ らに対する不法行為後の日である平成30年12月22日(先行事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有している。 また,高槻市は,Cに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,本件解決金相当額1億0029万8614円及びこれに対する不法行為後 の日である平成31年4月27日(後行事件の訴状送達の日の翌日)から 支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 そうであるにもかかわらず,被告が,上記各請求権の行使を怠っていることは違法である。 (被告の主張) ア違法行為について否認する。原告が主張する義務内容は,抽象的であまりにも包括的であるし,Cがそのような義務を負う法的根拠も不明である。Cは,検査事務を,事務量の平準化にも配慮しつつ,それぞれの契約内容を熟知している所管課のチームリーダーに担当させるという的確な対応を 包括的であるし,Cがそのような義務を負う法的根拠も不明である。Cは,検査事務を,事務量の平準化にも配慮しつつ,それぞれの契約内容を熟知している所管課のチームリーダーに担当させるという的確な対応をしている。 イ因果関係・損害の発生について(ア) 業務委託料の支払(先行事件)について否認する。否認の理由は,前記(1)ア(被告の主張)(ウ)と同じ。 (イ) 本件解決金の支払(後行事件)について否認する。前記(2)(被告の主張)ウ(イ)のとおりであり,さらに,C は,検査事務を本件各検査職員に行わせており,直接関わっていないから,一層因果関係はない。 (4) 争点(4)(本件職員らに対する国賠法2条2項に基づく求償請求権の存否(点検時の注意義務の内容・範囲,義務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係)(後行事件))について (原告の主張)ア設置又は管理の瑕疵(ア) 建築基準法施行令違反の事実a 第62条の6第2項違反補強コンクリートブロック造の耐力壁,門又は塀の縦筋は,コンク リートブロックの空洞部内で継いではならないにもかかわらず,差し 筋が用いられ,空洞部内に重ね継手が有り,台直しもある。 b 第62条の8第1号違反高さは,2.2m以下とする必要があるにもかかわらず,本件ブロック塀は,擁壁高さは1.9m,ブロック塀高さが1.6mであった。 c 第62条の8第3号違反 壁頂及び基礎には横に,壁の端部及び隅角部には縦に,それぞれ径9mm以上の鉄筋を配置することが必要であるにもかかわらず,径8mmの丸鋼が配置されていた。 d 第62条の8第4号違反壁内には,径9mm以上の鉄筋を縦横に80cm以下の間隔で配置 する必要があるにもかかわらず,径8mmの であるにもかかわらず,径8mmの丸鋼が配置されていた。 d 第62条の8第4号違反壁内には,径9mm以上の鉄筋を縦横に80cm以下の間隔で配置 する必要があるにもかかわらず,径8mmの丸鋼が,縦横40cm間隔で配置されていた。 e 第62条の8第5号違反控壁が要求されているにもかかわらず,控壁が存在しなかった。 f 第62条の8第6号違反 鉄筋の末端は,かぎ状に折り曲げる必要があるにもかかわらず,かぎ状に折り曲げられていなかった。 (イ) 内部構造の腐食本件地震により破断したと推定される接合筋が著しく腐食していた。 (ウ) 外部の腐食・ひび割れ等 少なくとも平成28年2月の本件ブロック塀には多数のひび割れや外部の腐食が存在していた。 イ不法行為(ア) 注意義務を基礎付ける具体的事実a 昭和49年に設置された本件ブロック塀については,平成28年2 月時点において,その設置から耐久年数とされる約30年を大きく超 える期間が経過していた。 b 宮城県沖地震(昭和53年)において,ブロック塀の倒壊による死亡事故が注目され,建築基準法におけるブロック塀に係る規定が改正されたこと,その後も日本海中部地震(昭和58年),千葉県東方沖地震(昭和62年),阪神・淡路大震災(平成7年),福岡県西方沖 地震(平成17年)など多くの地震においてブロック塀の倒壊による死亡事故が発生したことから,地震の際には,ブロック塀の倒壊による死亡事故が発生する危険性があることが一般に周知されていた。 c 本件小学校の校長は,平成27年11月に,防災アドバイザーから一般的なブロック塀の危険性について指摘を受けた。そこで,同校長 は,本件ブロック塀が大規模地震の際に倒壊する危険がないかを確認す 本件小学校の校長は,平成27年11月に,防災アドバイザーから一般的なブロック塀の危険性について指摘を受けた。そこで,同校長 は,本件ブロック塀が大規模地震の際に倒壊する危険がないかを確認するため,平成28年2月25日に別件で本件小学校を訪問した本件職員らに対し,「プールのブロック塀が大丈夫か調べてほしい」と依頼した。 d 本件ブロック塀は,次のとおり,耐久性に問題のある外観であった。 (a) 擁壁高さ1.9m,ブロック壁体高さ1.6mである。 (b) 控壁がない。 (c) 高さを増すために新たに台をつぎ足している。 (d) 笠木が存在しない。 (e) ①プールサイド床上面は,大部分が擁壁天端より高く,雨水がブ ロック壁体と擁壁の接続目地部に供給されやすい形状をしている。 長さ40m弱のブロック壁体には伸縮目地が設けられておらず,ブロック壁体と基礎擁壁部分の温度差による応力によって目地が損傷し,雨水の浸入により鉄筋が腐食する可能性が高い造りである。 ②上記に加えて,本件ブロック塀がプール近くに設置されており, 雨水とプールの塩素が混ざることにより中の鉄筋が腐食しやすい構 造になっている。 (f) 本件小学校の北側に位置するプール外周北面が,コンクリートブロック積み部分である本件ブロック塀と基礎部分である本件擁壁とに分かれていることは一目瞭然であるから,本件ブロック塀と本件擁壁とを繋ぐ部分が適正に工事されているか,接合筋部分が適正に 工事されているかを確認する必要のある外観となっている。 (イ) 注意義務の内容前記(ア)の事情に照らし,本件職員らは,次のaないしcの義務を負っていた。 a ①設計図書等により確認し(設計図書等がない場合は,所有者や管 理者からのヒアリングや イ) 注意義務の内容前記(ア)の事情に照らし,本件職員らは,次のaないしcの義務を負っていた。 a ①設計図書等により確認し(設計図書等がない場合は,所有者や管 理者からのヒアリングや,簡易な探知機などでできる限り鉄筋などの状況を把握する。)又は鋼製巻尺等により測定し,建築基準法施行令61条又は62条の8に適合しているか否かを判断して,耐震対策の状況を点検する義務及び②目視,下げ振り等により著しい劣化及び損傷の状況を点検し,報告する義務 b 内部の構造を把握するために精密な検査を行う義務,及び材質の強度を測定するためにレントゲンを当てたり,厳密に傾きを測定したりするなどによって精密な検査を行う義務c 前記bの精密な検査の結果として安全性が把握できるまでは,本件ブロック塀の倒壊により危険性が及ぶ範囲について立ち入り禁止と するなどして,通行人が近寄らないような措置を講ずる義務(ウ) 義務の不履行本件職員らは,前記(イ)aないしcの義務を怠った。 なお,目視等により著しい劣化及び損傷の状況を点検する義務について,平成28年2月25日当時,本件ブロック塀には多数のひび割れや 外部の腐食が存在していたところ,本件職員らの点検については,報告 書が提出されておらず,どのように目視等をしたのかも不明であるから,目視等で点検したところ何ら問題がなかったとの被告の主張は虚偽である。 ウ因果関係・損害の発生前記(イ)aないしcの義務を履行していれば,本件ブロック塀の倒壊に より本件児童が死亡することはなく,高槻市が本件解決金を支払うこともなかった。 あるいは前記(イ)aの義務を履行していれば,チームリーダーが本件ブロック塀の状況を把握することができ,それによって前記(イ)b,cの行為 ることはなく,高槻市が本件解決金を支払うこともなかった。 あるいは前記(イ)aの義務を履行していれば,チームリーダーが本件ブロック塀の状況を把握することができ,それによって前記(イ)b,cの行為を行うあるいは他の職員に行わせることができ,それによって本件ブロッ ク塀の倒壊により本件児童が死亡することはなく,高槻市が本件解決金を支払うこともなかった。 エよって,高槻市は,本件職員らに対し,それぞれ,国賠法2条2項の求償権として,本件解決金相当額1億0029万8614円及びこれに対する本件解決金の支払日の後である平成31年4月27日(後行事件の訴状 送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 そうであるにもかかわらず,被告が,前記請求権の行使を怠っていることは違法である。 (被告の主張) ア設置又は管理の瑕疵について(ア) 建築基準法施行令違反の事実についてa 第62条の6第2項違反について認める。 b 第62条の8第1号違反について 建築基準法施行令の規定,擁壁の高さ1.9m及び本件ブロック塀 の高さ1.6mについては認め,その余は争う。「高さは2.2m以下とすること」という建築基準法施行令の規定は,どの位置からの「高さ」をいうのかの定めはなく,その文言からは,ブロック塀自体の高さを指すとも理解されるものであり,直ちに法令違反と判断されるとはいえない。 c 第62条の8第3号違反について径8mmの丸鋼が配置されていたことは認め,その余は不知。本件擁壁内の配筋状況は不明である。 d 第62条の8第4号違反について径8mmの丸鋼が縦横40cm間隔で配置されていたことは認め, その余は争う。 e いたことは認め,その余は不知。本件擁壁内の配筋状況は不明である。 d 第62条の8第4号違反について径8mmの丸鋼が縦横40cm間隔で配置されていたことは認め, その余は争う。 e 第62条の8第5号違反について控壁が存在しなかったことは認め,その余は争う。 f 第62条の8第6号違反について認める。 g 上記bないしfの各規定について,建築基準法施行令62条の8ただし書で「国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては,この限りではない」とされているところ,本件ブロック塀について,当初の設計図書が残存しておらず確認できないため,建築基準法上の構造規定に適 合しないものであるかは直ちには判断できない。 (イ) 内部構造の腐食について認める。 (ウ) 外部の腐食・ひび割れ等について否認する。原告主張の甲37号証の写真(なお,甲37号証の1の写 真は,本件擁壁部分の写真であり,本件ブロック塀の写真ではない。) からは,本件ブロック塀のひび割れや外部の腐食が確認できるような事実はない。 イ不法行為について(ア) 注意義務を基礎付ける具体的事実についてa 原告の主張aについて 原告が主張する耐用年数は,法的根拠があるものではない。 b 原告の主張bについて過去の地震においてブロック塀の倒壊による死亡事故があったことは認め,その余は不知。 c 原告の主張cについて 認める。 d 原告の主張dについて(a),(b)の事実は認めるが,直ちに建築基準法施行令違反と判断されるとはいえない。 (c)は,「台」が何を指すか不明であり不知。 (d)につき,笠木が存在しないことは認めるが,笠木がブロ a),(b)の事実は認めるが,直ちに建築基準法施行令違反と判断されるとはいえない。 (c)は,「台」が何を指すか不明であり不知。 (d)につき,笠木が存在しないことは認めるが,笠木がブロック塀に必要である根拠は不明である。 (e)につき,①は認め,②は不知。授業等において本件ブロック塀周辺はあまり利用されておらず,授業時・清掃時ともに本件ブロック塀にプールの水がかかっていたという状況は確認されていない。 (f)は争う。ブロック塀は,基礎をコンクリートで造り,その上にブロックを積んでいくものであり,外観上ブロック塀の基礎部分とブロック塀部分が分かれて見えるのが通常であって,本件ブロック塀がそのような外観をしているからといって,当然に接合筋部分が適正に工事がされているか確認すべきであるとはいえない。また,同確認をす るためには,本件ブロック塀及び本件擁壁を破壊して検査する必要が あるが,そのような破壊検査が必要となるとの根拠が不明である。 (イ) 注意義務の内容についてa 原告の主張aについて①について,本件職員ら個人に,このような専門的な行為をする作為義務があったということはいえず,②については,本件職員らは, 本件小学校の校長から「プールのブロック塀が大丈夫か調べてほしい」と依頼され,劣化及び損傷により直ちに倒壊する危険があるかどうかという観点から,本件ブロック塀について目視や打音検査等をして,劣化及び損傷している状況がないことを確認した。 b 原告の主張bについて 本件職員ら個人に,このような専門的な行為をする作為義務があったということはない。 c 原告の主張cについて前提となる原告の主張bの義務がなく,また,当時の学校施設をめぐる全国的な取組みの状況からして,原告 に,このような専門的な行為をする作為義務があったということはない。 c 原告の主張cについて前提となる原告の主張bの義務がなく,また,当時の学校施設をめぐる全国的な取組みの状況からして,原告が主張するような措置を講 ずる情勢にはなかったことから,上記措置を講じなかったことにつき注意義務違反はない。 (ウ) 義務の不履行について争う。 ウ因果関係・損害の発生について 否認する。前記(1)イ(ア)(被告の主張)b及び前記イ(イ)c記載の事情によれば,仮に本件職員らが本件ブロック塀を点検していたとしても,本件事故が回避できたといえるかは不明であり,因果関係はない。 第3 当裁判所の判断 1 本件各訴えの適法性について (1) 先行事件 補助参加人らに対する債権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする部分に係る住民監査請求は,監査を遂げるために特定の財務会計上の行為の違法を判断しなければならない関係にはない。しかし,後記認定のとおり,当該債権のうち一部は,約定により除斥期間の経過をもって消滅したと解されるから,その限度では,その消滅をもって財産の管理を怠る事実が終わっ たこととなり,その日を基準として監査請求期間の制限に服することとなる。 その余の相手方に対する債権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする部分に係る住民監査請求は,監査を遂げるため,本件各検査職員等による検査など,特定の財務会計上の行為の違法を判断しなければならない関係にある部分を含み,少なくともその部分は,当該財務会計上の行為のあった日 を基準として監査請求期間の制限に服することとなる。 しかし,住民監査請求は,その基準日から1年という監査請求期間を経過した後であっても,正当な理由があれば適法にすることが の行為のあった日 を基準として監査請求期間の制限に服することとなる。 しかし,住民監査請求は,その基準日から1年という監査請求期間を経過した後であっても,正当な理由があれば適法にすることができる(地方自治法242条2項ただし書)。 前記前提事実のとおり,本件事故は,平成30年6月18日に発生したと ころ,本件事故が発生する前に,本件ブロック塀に係る上記財務会計上の行為の存在及び内容を,その違法性を基礎づける事実とともに知ることは,相当の注意力を有する住民が調査を尽くしても困難であったと推認される。 したがって,本件事故から約2か月後である同年8月17日にした先行事件の住民監査請求は,監査請求期間が経過していたとしても,そのことにつ いて正当な理由があったというべきである。 先行事件に係る訴えは,監査請求期間を遵守した住民監査請求を前置した適法なものである。 (2) 後行事件後行事件のうち,アルト社に対する債権の不行使をもって怠る事実とする 部分及び本件職員らに対する債権の不行使をもって怠る事実とする部分に係 る各住民監査請求は,監査を遂げるために特定の財務会計上の行為の違法を判断しなければならない関係にはない。 したがって,当該住民監査請求は監査請求期間制限に服しないから(仮にその点を措くとしても,甲14及び弁論の全趣旨によれば,アルト社が平成19年度の法定点検を受託していたこと(甲14・22頁)及び本件職員ら が平成28年2月25日に本件ブロック塀を点検したこと(甲14・31頁)は,事故調査委員会が平成30年10月に調査報告書を公表して初めて高槻市の住民に明らかになったことが認められる。),後行事件のうち上記部分に係る訴えは適法な住民監査請求を前置したものである。 後行事件のうち 査委員会が平成30年10月に調査報告書を公表して初めて高槻市の住民に明らかになったことが認められる。),後行事件のうち上記部分に係る訴えは適法な住民監査請求を前置したものである。 後行事件のうち,その余の部分は,いずれも先行事件と同一の発生原因(債 務不履行ないし違法性)による債権の行使を怠る事実を対象とするものであり,ただ本件解決金の支払により損害額を拡張したものであるにすぎない。 後行事件の住民監査請求は,本件解決金が支払われた平成30年11月15日頃の約3週間後の同年12月7日にされているものの,当該部分については再度の住民監査請求として適法性に疑義が生ずる余地がある。 しかし,そうであったとしても,当該部分に係る訴えは単なる請求の拡張にすぎず,先行事件に係る訴え提起の時点で提起されたものとして出訴期間の遵守に欠けるところはないと解すべき特段の事情があるといえるから,これを適法なものということができる。 2 争点(1)(点検業務の受託者に対する損害賠償請求権の存否)について (1) 争点(1)ア(補助参加人らの債務不履行に基づく業務委託料相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(業務委託料相当額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(先行事件))についてア本件3契約における債務の内容について (ア) 証拠(乙3,4)及び弁論の全趣旨によれば,本件3契約においては, その業務内容は,本件小学校を含む高槻市内の市立学校等の施設の敷地及び構造については,建築基準法12条2項に基づく点検,すなわち損傷,腐食その他の劣化の状況の点検を目的とする法定点検の実施及びその結果の報告であり,具体的な点検方法は,目視観察及びテストハンマーによる打診程度とすることが合 法12条2項に基づく点検,すなわち損傷,腐食その他の劣化の状況の点検を目的とする法定点検の実施及びその結果の報告であり,具体的な点検方法は,目視観察及びテストハンマーによる打診程度とすることが合意されていたものと認められる。他方, 本件全証拠によっても,本件3契約における市立学校等の施設の敷地及び構造に係る点検業務の内容として,上記で認定した内容のほかに,民間の建築物に係る定期調査で求められているような耐震対策状況の点検・報告をすることが含まれているものと認めるに足りない。 (イ) したがって,耐震対策状況の点検・報告が本件3契約における補助参 加人らの債務の内容となっていることを前提にしてその不履行をいう原告の主張は,その前提において理由がない。 イ劣化及び損傷状況の点検・報告の不履行の有無と損害賠償責任について(ア) 本件平成22年度契約(補助参加人オリックス)及び本件25年度契約(補助参加人太平ビル)について a 本件平成22年度契約及び本件25年度契約について,前提事実(3)ウ,エ(ア)及び弁論の全趣旨によれば,補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルは,受託業務の対象となる施設(本件小学校はこれに該当する。)に存在する補強コンクリートブロック造の塀(本件ブロック塀はこれに該当する。)を点検すべき義務を負っていたから,本 件ブロック塀も点検しなければならなかったのに,その点検をしなかったことが認められる。そうすると,本件平成22年度契約及び本件平成25年度契約に係る受託業務のうち本件ブロック塀の劣化及び損傷状況の点検・報告については,未履行の状態にあるといわなければならない。本件全証拠をもってしても,これが違法ではないことを基 礎づける事情は見当たらない。その未履行部分については,債 及び損傷状況の点検・報告については,未履行の状態にあるといわなければならない。本件全証拠をもってしても,これが違法ではないことを基 礎づける事情は見当たらない。その未履行部分については,債務不履 行と評価せざるを得ない。 しかしながら,業務委託契約書の第10条(前提事実(3)イ(オ))は,業務委託料の支払請求権の発生時を完了検査の合格時と定めていると解されること,上記各年度の各受託業務については,全ての施設についての点検業務が実施された後に定期点検結果報告書等が提出されて 完了検査が終了して合格の判断がされていること(前提事実(3)オ),上記未履行は施設のうちの塀に関するものであり,多数の点検事項のうちのごく一部にとどまることによれば,全ての施設における点検の実施と完了検査の合格によって補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルの業務は一応完了したものとみることができる。したがって, 高槻市は,完了検査の終了により,約定に基づき業務委託料の支払義務を負い,その履行を免れることはできなかったというべきである。 そうすると,上記未履行があるにしても,補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルが受領した業務委託料の全額が直ちに法律上の原因を欠く不当利得ということはできず,また,業務委託料を支払っ たことが上記未履行と因果関係のある高槻市の損害ということもできない。そうすると,支払った業務委託料相当額を債務不履行による損害とする原告の主張を採用することはできない。 b また,仮に上記未履行に係る部分については,別途,高槻市が債務不履行による損害賠償請求権を有するに至ったとしても,その帰趨は, 本件平成22年度契約及び本件25年度契約中の受託者の損害賠償義務に関する特約である本件瑕疵担保条項(前 ,別途,高槻市が債務不履行による損害賠償請求権を有するに至ったとしても,その帰趨は, 本件平成22年度契約及び本件25年度契約中の受託者の損害賠償義務に関する特約である本件瑕疵担保条項(前提事実(3)イ(オ))によって決せられるべきである。そして,本件瑕疵担保条項によれば,受託者の瑕疵担保責任による損害賠償債務については,目的物の引渡しの日から1年の除斥期間にかかるところ,前記aのとおり,業務委託料 の支払請求権の発生時が完了検査の合格時であると解されること,上 記未履行のように多数の委託事務のうちのごく一部に未履行はあるが完了検査で合格とされたとの状態は,請負契約において仕事が完了して引渡しがあった場合で目的物に瑕疵があったときと同様の状態といえることによれば,本件瑕疵担保条項で「目的物の引渡し」とあるのは,「完了検査の合格」をいうものと解される。 そうすると,上記未履行による補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルの損害賠償債務があるとしても,本件瑕疵担保条項の適用があると解されるから,上記除斥期間にかかり,目的物の引渡し,すなわち完了検査の合格(本件平成22年度契約につき平成23年3月31日,本件平成25年度契約につき平成26年3月3日。前提事実 (3)オ(イ))から1年の経過により消滅したと認められる。 c したがって,高槻市が,補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルに対し,業務委託料相当額の損害賠償請求権を有する旨の原告の主張は,採用することができない。 (イ) 本件平成28年度契約(補助参加人コスモ)について a 補助参加人コスモが高槻市教育委員会宛てに提出した本件平成28年度契約に係る定期点検結果報告書の本件ブロック塀についての調査結果欄には,該当しない調査項目 (補助参加人コスモ)について a 補助参加人コスモが高槻市教育委員会宛てに提出した本件平成28年度契約に係る定期点検結果報告書の本件ブロック塀についての調査結果欄には,該当しない調査項目であることを示す「-」が記入されており,これは,点検対象外との誤解により本件ブロック塀の点検業務が未履行となっていた本件平成22年度契約及び平成25年度契約 に係る定期点検結果報告書の記入状況と同じである(前提事実(3)エ)。 b 他方で,補助参加人コスモは,本件ブロック塀の点検業務を履行したと主張し,上記「-」との記入は,前回(本件平成25年度契約)の受託業者であった補助参加人太平ビルから定期点検結果報告書のデータの交付を受け,新たに不具合が発見された箇所について「-」と 記入された欄の書き換えをする方法で本件平成28年度契約に係る定 期点検結果報告書を作成したため,不具合がなかった本件ブロック塀に係る調査結果欄は,前年の「-」の記入がそのまま残ってしまったものである旨を,事故調査委員会によるヒアリングがされた当時から一貫して説明している(甲14)。 そして,証拠(甲14,乙8の1)によれば,補助参加人コスモは, 本件平成28年度契約に係る点検業務を実施するに際し,資料として前回(本件平成25年度契約)の点検結果を含む「点検・検査記録簿関連(CD-R)等」の貸与を受けたこと,本件平成22年度契約及び平成25年度契約に係る各定期点検結果報告書では,全ての学校施設について,塀に関する調査結果欄が「-」となっていたのに対し, 本件平成28年度契約に係る定期点検結果報告書では,15校について塀に関する調査結果欄が「要是正」・「○」と記入され,「プール塀―CB積クラック」,「CB積み塀―笠木割れ」等の具体的な指 , 本件平成28年度契約に係る定期点検結果報告書では,15校について塀に関する調査結果欄が「要是正」・「○」と記入され,「プール塀―CB積クラック」,「CB積み塀―笠木割れ」等の具体的な指摘もされていることが認められる。このような本件平成28年度契約に係る定期点検結果報告書の記入状況は,補助参加人コスモが,本件平 成28年度契約に係る点検業務を実施するに際し,補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルとは異なり,学校施設のうちの塀が点検対象外であるとの誤解なく,塀についても点検業務を実施し,不具合がある場合には,その旨を定期点検報告書に記入していたことを示すものといえる。 そうすると,本件ブロック塀についても点検業務を実施し,不具合がなかったために前回の「-」の記入がそのまま書き換えられることなく残った旨の補助参加人コスモの上記主張は,一応合理的な裏付けがあるものということができ,他方でこれを弾劾する証拠は見当たらない。したがって,補助参加人コスモの上記主張は採用することがで きるから,本件ブロック塀に係る調査結果欄に「-」が記入されてい ることにかかわらず,本件平成28年度契約では,本件ブロック塀の劣化及び損傷状況に関する点検業務は実施されており,その際,定期点検結果報告書の要是正欄に「○」を付すべき著しいひび割れ,破損又は傾斜は生じていなかったと推認することができる。 なお,点検業務を実施したにもかかわらず調査結果欄が「-」とな っていることは,報告業務の一部不備ではあるが,多数の施設及び点検項目がある中でのごく一部の誤記といい得るものであり,上記不備により業務委託料相当額に関して高槻市に具体的な損害が発生したと認めることはできない。 c したがって,本件平成28年度契約につい 点検項目がある中でのごく一部の誤記といい得るものであり,上記不備により業務委託料相当額に関して高槻市に具体的な損害が発生したと認めることはできない。 c したがって,本件平成28年度契約について,補助参加人コスモの 瑕疵担保(債務不履行)による損害賠償責任を認めることはできない。 ウ以上の次第であるから,補助参加人らに対する債務不履行に基づく業務委託料相当額の損害賠償請求権は,いずれも存在すると認めることができないから,その行使を怠る事実の確認を求める原告の請求は,いずれも理由がない。 (2) 争点(1)イ(補助参加人ら及びアルト社に対する債務不履行又は不法行為に基づく本件解決金相当額の損害賠償請求権の存否(点検義務の内容・範囲,義務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係,除斥期間又は消滅時効の成否)(後行事件))についてア補助参加人らに対する請求権について (ア) 耐震対策状況の点検・報告の義務について前記(1)アのとおり,耐震対策状況の点検・報告は,本件3契約における補助参加人らの債務の内容となっていないから,耐震対策状況の点検・報告が本件3契約における補助参加人らの債務の内容となっていることを前提にその債務不履行をいう原告の主張は,その前提において理由 がない。 また,補助参加人らが,受託業務として負担しない耐震対策状況の点検・報告をすべき義務を,不法行為法上の注意義務として負う根拠はないから,同義務があることを前提に補助参加人らの不法行為をいう原告の主張は,その前提において理由がない。 (イ) 建築基準法不適合指摘義務について a 前提事実(2)イ及び証拠(甲14)によれば,本件ブロック塀は,外観上,高さ(建築基準法施行令62条の8所定の高さは,地盤から いて理由がない。 (イ) 建築基準法不適合指摘義務について a 前提事実(2)イ及び証拠(甲14)によれば,本件ブロック塀は,外観上,高さ(建築基準法施行令62条の8所定の高さは,地盤からの高さを指すと解される。)や控壁の設置がないという点において,建築基準法施行令62条の8第1号及び第5号所定の構造規定に適合しないとの状況にあったことが認められる。 b しかしながら,法定点検の業務受託者である補助参加人らが劣化及び損傷状況の点検・報告をするにつき,対象の寸法や形状といった外観を認識するにしても,受託業務の内容が法定点検としての劣化及び損傷状況の点検・報告である限りは,その内容に,対象の構造が外観上建築基準法令に適合しているか否かの点検・報告が含まれていると いうことはできない。 また,本件ブロック塀について,前記aのとおり,建築基準法施行令の構造規定に外観上適合しないとの状況があったとはいえ,「国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては,この限りでない」との同施行 令62条の8ただし書の適用がある場合は,本件ブロック塀の高さや控壁の設置がないことが同施行令に適合しないことにはならず,上記ただし書の適用の有無は,外観上判断できるものではない。そうすると,本件ブロック塀の劣化及び損傷状況の点検・報告という受託業務を実施する際に,補助参加人らが,目視や打診等の過程で本件ブロッ ク塀の高さや控壁の設置がないことを認識したとしても,同施行令に 適合するか否かを判断できるものではなく,このことを踏まえると,補助参加人らにおいて本件ブロック塀が外観上建築基準法令に適合しているか否かの点検・報告をすることが,劣化及び損傷状況の点検・報告 適合するか否かを判断できるものではなく,このことを踏まえると,補助参加人らにおいて本件ブロック塀が外観上建築基準法令に適合しているか否かの点検・報告をすることが,劣化及び損傷状況の点検・報告に付随する債務であったということもできない。そして,補助参加人らが,受託業務に係る債務となっていない本件ブロック塀が外観 上建築基準法令に適合しているか否かの点検・報告をすべき義務を不法行為法上の注意義務として負う根拠はない。 c 原告は,本件ブロック塀が建築基準法令に適合しないことが一義的に明らかであったことを前提に,補助参加人らが建築基準法不適合指摘義務を負う旨主張するが,前記bの検討を踏まえると,本件ブロッ ク塀が建築基準法令に適合しないことが一義的に明らかであったといえるものではなく,法定点検の業務受託者である補助参加人らが建築基準法不適合指摘義務を負う根拠を見出すことはできない。 d したがって,補助参加人らが建築基準法不適合指摘義務を負うことを前提に債務不履行又は不法行為をいう原告の主張は,その前提にお いて理由がない。 イアルト社に対する請求権について(ア) 前記(1)アのとおり,耐震対策状況の点検・報告は,本件3契約における補助参加人らの債務の内容となっていないところ,このことは,本件3契約と同様に法定点検を委託業務とする本件平成19年度契約(前提 事実(3)イ(ア))についても同様であると推認される。 (イ) この点について,本件平成19年度契約当時,「高槻市公共建築物の定期点検の実施に関する要綱」では,法定点検の点検事項は原則として本件参考図書によるとされ(前提事実(3)ア(ウ)a),本件参考図書が示す定期点検票の標準様式では,「敷地・地盤関係」の「工作物等」にお ける点検項目として は,法定点検の点検事項は原則として本件参考図書によるとされ(前提事実(3)ア(ウ)a),本件参考図書が示す定期点検票の標準様式では,「敷地・地盤関係」の「工作物等」にお ける点検項目として,「劣化・損傷項目」である「ひび割れ等の劣化・ 損傷はないか」と共に,「劣化・損傷項目以外の安全に関する項目」である「耐震対策(控え壁等)は適正に行われているか」が示されており,また,点検のチェックポイントの中で,ブロック塀の内部鉄筋の所在等は「外観から確認できないが,建築基準法施行令第62条の8に規定する高さや厚さなどについて計測点検する」と示されている(甲14)。 しかしながら,他方で,本件参考図書では,定期点検の方針として「竣工後に増改築,用途変更や模様替え及び工作物等の増設等がなかった場合には,設計・施工は適正になされたものとみなす」との考え方が示されており,また,本件参考図書の冒頭「はじめに」の項では,「従来からの民間用の業務基準を基本として,公共建築物用の『特殊建築物等定 期点検業務基準』を編集いたしました」,「定期点検票には,(建築基準)法第12条2項で義務付けられた劣化損傷に関する点検項目に加え,劣化・損傷に関する点検項目以外の安全に関する項目も取り入れています」,「既存不適格事項等建築物の安全性についても必要に応じて自主的に点検する際の参考にしていただくためです」との言及がある(甲1 4)。 そうすると,本件参考図書が示す定期点検票の標準様式には,法定点検で要求される劣化損傷に関する点検項目以外の項目が予め参考のために含まれているというのであるから,法定点検の受託業務の履行に際して上記標準様式が利用されているとしても,そのことから直ちに受託業 務の範囲に劣化損傷に関する点検項目以外の 目が予め参考のために含まれているというのであるから,法定点検の受託業務の履行に際して上記標準様式が利用されているとしても,そのことから直ちに受託業 務の範囲に劣化損傷に関する点検項目以外の参考としての項目が含まれているということはできない。本件平成19年度契約に係る業務委託契約書は残存していないが,法定点検の委託を目的とする契約であることによれば,アルト社が受託業務の履行に際して上記標準様式を利用しているとしても,上記標準様式のうち法定点検で要求される劣化損傷に関 する点検項目が受託業務の範囲となっていたと推認されるものであって, 本件19年度契約において特にそれ以外の項目,すなわち,「耐震対策(控え壁等)は適正に行われているか」,「建築基準法施行令第62条の8に規定する高さや厚さなどについて計測点検する」といった参考としての項目が受託業務の範囲となっていたと認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件ブロック塀の高さや厚さを計測し,また,控壁が存 在しないことに言及することが本件平成19年度契約におけるアルト社の債務の内容となっていることを前提に,その債務不履行をいう原告の主張は,その前提において理由がない。 (ウ) また,アルト社が,受託業務として負担しない本件ブロック塀の高さや厚さを計測し,また,控壁が存在しないことに言及すべき義務を,不 法行為法上の注意義務として負う根拠はないから,同義務があることを前提にアルト社の不法行為をいう原告の主張は,その前提において理由がない。 ウ以上の次第であるから,補助参加人ら及びアルト社に対する債務不履行又は不法行為に基づく本件解決金相当額の損害賠償請求権は,いずれも存 在すると認めることができないから,その行使を怠る事実の確認を求める原告の から,補助参加人ら及びアルト社に対する債務不履行又は不法行為に基づく本件解決金相当額の損害賠償請求権は,いずれも存 在すると認めることができないから,その行使を怠る事実の確認を求める原告の請求は,いずれも理由がない。 3 争点(2)(本件各検査職員に対する改正前地方自治法243条の2第1項に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否(検査義務の内容・範囲,重過失の有無,義務違反と損害 (業務委託料相当額・本件解決金相当額)との因果関係,消滅時効の成否))について(1) 先行事件(業務委託料相当額)についてア本件3契約において補助参加人らが高槻市教育委員会宛てに提出した各年度の定期点検結果報告書では,本件ブロック塀が点検対象に含まれてい たにもかかわらず,本件小学校に係る調査結果表のうち塀に関する項目で ある「組積造の塀又は補強コンクリートブロック造の塀等の劣化及び損傷の状況」の調査結果欄に,該当しない調査項目であることを示す「-」が記入されていたところ,本件各検査職員は,本件3契約の各完了検査において,上記「-」の記入がそのままの状態で,契約のとおりの業務が履行されたことを認める旨の各検査合格報告書を作成している(前提事実(3)ウ ないしオ)。 イしかしながら,本件平成22年度契約及び本件平成25年度契約について,補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルが本件ブロック塀の点検を実施していないことを原因として高槻市に業務委託料相当額に関して損害が生じており,仮にその損害が,本件各検査職員が地方自治法234 条の2第1項の規定に違反してした各完了検査によって高槻市に与えた損害であるといえるとしても,本件各検査職員が負担する改正前地方自治 じており,仮にその損害が,本件各検査職員が地方自治法234 条の2第1項の規定に違反してした各完了検査によって高槻市に与えた損害であるといえるとしても,本件各検査職員が負担する改正前地方自治法243条の2第1項所定の損害賠償責任は,公法上の特別責任であるから,平成29年法律第45号による改正前の地方自治法236条1項所定の5年の消滅時効の規定の適用を受けるものである。 そうすると,本件各検査職員が本件平成22年度契約及び本件平成25年度契約に係る各業務委託料相当額に関して高槻市に対し改正前地方自治法243条の2第1項所定の損害賠償債務を負担することがあったとしても,上記各年度の各業務委託料の支払(前提事実(3)カ。本件平成22年契約につき平成23年4月22日,本件平成25年契約につき平成26 年3月31日。)から既に5年が経過していることから(本件は地方自治法242条の2第1項3号に基づく訴えであるため,同項4号に基づく訴えであれば必要とされた訴訟告知(同条7項)はされておらず(その効果は同条8項及び9項参照),そのほか,消滅時効の中断ないし更新に係る事由は主張も立証もない。),上記損害賠償債務は,時効により消滅して いる。 ウまた,本件平成28年度契約については,前記2(1)イ(イ)bのとおり,補助参加人コスモに契約上の点検義務の未履行はなく,また,調査結果表の本件ブロック塀に係る欄に「-」の記入が残っていたとの不備はあるにしても,その不備により業務委託金相当額に関し高槻市に損害が生じたと認めることはできないから,同年度の検査の権限を有する職員であるBに よる完了検査によって業務委託金相当額に関し高槻市に損害が生じたということはできない。 エしたがって,本件各検査職員に対する改 ることはできないから,同年度の検査の権限を有する職員であるBに よる完了検査によって業務委託金相当額に関し高槻市に損害が生じたということはできない。 エしたがって,本件各検査職員に対する改正前地方自治法243条の2第1項に基づく業務委託料相当額の損害賠償請求権は,いずれも存在すると認めることができないから,その行使を怠る事実の確認を求める原告の請 求は,いずれも理由がない。 (2) 後行事件(本件解決金相当額)についてア前提事実(3)エ(ア)のとおり,本件平成22年度契約及び本件平成25年度契約について,補助参加人オリックス及び補助参加人太平ビルは,点検対象である本件ブロック塀の点検をしていない。また,前記2(1)イ(イ)b のとおり,本件平成28年度契約について,補助参加人コスモが提出した定期点検結果報告書には一部不備がある。 イしかしながら,前記2(1)イ(イ)bのとおり,本件平成28年度契約において補助参加人コスモが本件ブロック塀につき劣化及び損傷状況の点検を実施した際,本件ブロック塀には,定期点検結果報告書の要是正欄に「○」 を付すべき著しいひび割れ,破損又は傾斜は生じていなかったと認められ,また,本件平成28年度契約の以前に本件ブロック塀について補修等がされたとの記録もないこと(甲14)によれば,本件ブロック塀に著しいひび割れ,破損又は傾斜が生じていなかったことは,平成22年度契約及び平成25年度契約の当時においても同様であったと推認される。 また,前提事実(5)イ(イ)及び証拠(甲14)によれば,本件地震により 本件ブロック塀が倒壊した主原因は,前提事実(5)イ(イ)aないしcのとおりの接合筋に係る設計又は施工上の瑕疵や同dのとおりの接合筋の腐食といった内部構造の不 によれば,本件地震により 本件ブロック塀が倒壊した主原因は,前提事実(5)イ(イ)aないしcのとおりの接合筋に係る設計又は施工上の瑕疵や同dのとおりの接合筋の腐食といった内部構造の不良箇所に起因する本件ブロック塀の脚部の耐力不足にあり,これらの不良箇所は,目視等による劣化・損傷状況の点検・報告によっては確認することができないものであったと認められる。 そして,本件3契約において,耐震対策状況の点検・報告や建築基準法不適合指摘義務が業務の内容となっていないことは,前記2(1)ア(ア)及び同(2)アのとおりである。 ウそうすると,本件3契約について本件各検査員がする完了検査において,前記アのとおりの本件ブロック塀の点検の未実施及び定期点検結果報告書 の記載の一部不備が発見されてその補正がされたとしても,劣化及び損傷状況に要是正事項があることや,前記イのとおりの本件ブロック塀の内部構造の不良箇所の確認又は耐震対策状況の点検・報告がされることはなく,本件ブロック塀の倒壊の主原因の除去には至らなかったということができるから,本件各検査員による完了検査と本件事故の発生及び本件解決金の 支払との間には,因果関係を認めることができない。 エしたがって,本件各検査職員による完了検査と本件解決金の支払との間には,因果関係を認めることができず,本件各検査職員に対する改正前地方自治法243条の2第1項に基づく本件解決金相当額の損害賠償請求権は,いずれも存在すると認めることができないから,その行使を怠る事実 の確認を求める原告の請求は,いずれも理由がない。 4 争点(3)(教育長に対する不法行為に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否(体制構築義務の内容・存否,義 原告の請求は,いずれも理由がない。 4 争点(3)(教育長に対する不法行為に基づく業務委託料相当額(先行事件)及び本件解決金相当額(後行事件)の損害賠償請求権の存否(体制構築義務の内容・存否,義務違反と損害(業務委託料相当額・本件解決金相当額)との因果関係))について (1) 地方自治法施行令167条の15第2項は,契約による給付完了の確認の ために普通地方公共団体の職員がしなければならない必要な検査(地方自治法234条の2第1項)は,契約書,仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行わなければならない旨を定めているから,普通地方公共団体が契約の相手方から受ける給付が契約の内容どおりに適正に行われているか否かは,上記関係書類に基づき確認されるべきものであるが,契約の態様には様 々なものがあるため,上記の定めによって必要な検査の方法が一義的に定まるものではない。 そして,証拠(甲14)及び弁論の全趣旨によれば,本件3契約の完了検査を担当する部署である学務課では,事務系職員と技術系職員(建築,電気等)が在籍し,受託者から提出された点検結果報告書については,事務系職 員において,その提出状況等の形式的要件やその報告内容が外形上疑義を生じさせるような内容でないことの確認をし,技術系職員において,その報告の結果を活用して不具合箇所の修繕をすることを主眼として業務を分担していたことが認められる。他方で,証拠(甲14,乙3,4)によれば,高槻市が業者に委託する法定点検の業務については,委託者が対象となる建築物 を業務委託契約書や仕様書で学校名等の施設名により特定し,受託者は,法定点検の業務を実施する際に,当該施設に臨場し,現場において具体的に法定点検の各点検事項の対象を特定しながら点検を実施することが想定 業務委託契約書や仕様書で学校名等の施設名により特定し,受託者は,法定点検の業務を実施する際に,当該施設に臨場し,現場において具体的に法定点検の各点検事項の対象を特定しながら点検を実施することが想定されていたと認められるから,当該施設に存在する法定点検の具体的な対象の特定も,受託者の業務の一部であったと解される。 そうすると,学務課の職員による点検結果報告書の確認方法等が上記のとおりのものであり,そこでは,法定点検の対象となる施設に存在する個々の具体的な対象を予め学務課において把握し特定した上で,各対象につき点検の実施の有無を個別に照合して確認するといった作業をしているものではないにしても,上記の特定自体が委託業務の一部であったのであるから,上記 のような個別の照合による確認作業をしていないことをもって,直ちに必要 な完了検査の方法として違法といえるものではない。Cは,本件3契約の当時の教育長であり,教育委員会の事務局所属の職員を指揮監督する者であるが(平成26年法律第76号による改正前の地方教育行政の組織及び運営に関する法律20条1項),上記のとおり,本件3契約の当時の学務課の職員による完了検査の方法が直ちに違法といえるものではないことを踏まえると, 教育長であるCに原告が主張するような体制を構築する義務があったということはできない。 したがって,上記の体制を構築する義務があることを前提にCの不法行為をいう原告の主張は,その前提において理由がない。 (2) また,本件解決金相当額(後行事件)について,本件各検査職員による完 了検査と本件解決金の支払との間に因果関係がないことは,前記3(2)のとおりであるから,点検事項が漏れていることを発見する体制構築と本件解決金の支払との間にも因果関係を認める 査職員による完 了検査と本件解決金の支払との間に因果関係がないことは,前記3(2)のとおりであるから,点検事項が漏れていることを発見する体制構築と本件解決金の支払との間にも因果関係を認めることはできない。 (3) 以上の次第であるから,教育長に対する不法行為に基づく損害賠償請求権は,いずれも存在すると認めることができないから,その行使を怠る事実の 確認を求める原告の請求は,いずれも理由がない。 5 争点(4)(本件職員らに対する国賠法2条2項に基づく求償請求権の存否(点検時の注意義務の内容・範囲,義務違反と損害(本件解決金相当額)との因果関係)(後行事件))について(1) 本件職員らの注意義務の内容について ア前提事実(4)イ及び証拠(甲14)によれば,本件小学校の校長は,平成28年2月25日,支援学級の整備に関する用務のため本件小学校を訪れた本件職員らに対し,口頭で「プールのブロック塀が大丈夫か調べてほしい」旨述べて本件ブロック塀の点検を依頼したことが認められる。 そうすると,本件職員らにおいては,上記のとおり,支援学級の整備に 関する用務のために本件小学校を訪れた際に依頼を受けて本件ブロック 塀の点検をしたのであるから,本件ブロック塀を点検するについて,耐震対策の状況を点検するために必要となる建築基準法令等の調査や精密な検査に必要な機材等の準備を予めしていたものではない。また,依頼をした校長においても,本来の用務とは無関係の本件ブロック塀の点検を当日その場で依頼したのであるから,予め建築基準法令等の調査等が必要とな る耐震対策の状況の点検や機材等の準備が必要となる精密な検査を依頼できるものではない。 したがって,当日における本件ブロック塀の点検は,耐震対策の状況の点検(前記第 法令等の調査等が必要とな る耐震対策の状況の点検や機材等の準備が必要となる精密な検査を依頼できるものではない。 したがって,当日における本件ブロック塀の点検は,耐震対策の状況の点検(前記第2の4(4)(原告の主張)イ(イ)a①)や精密な検査(同b)を目的とするものではなく,特別の知識ないし技能も必要とせず,事前の 準備もなく,その場ですぐに実施することができる程度の確認,すなわち,本件ブロック塀に著しい劣化及び損傷があるか否かを目視等により確認すること(同a②)を目的とするものであったと認められる。 イまた,過去の地震においてブロック塀の倒壊による死亡事故が発生していることや,そうした事故からの教訓も踏まえて,数か月前に防犯アドバ イザーから35年以上前に建てられたブロック塀については特に注意が必要であるとの指摘があったとの事情があるにしても(前提事実(4)ア),その指摘が,通学路に存在するブロック塀の中から特に本件ブロック塀を取り上げて注意喚起したり,建築基準法令との適合性や内部構造の確認といった具体的な点検方法を挙げていたりするものではなかったこと(乙9, 10)に鑑みると,平成28年2月25日に実施することになった本件ブロック塀の点検は,通学路に存在するブロック塀について防犯アドバイザーから一般的な注意喚起を受けた後の対応の一つとして,当日その場ですぐに実施することのできる著しい劣化及び損傷があるか否かを目視等により確認することを目的とするものにとどまるというほかないから,上記の ような防犯アドバイザーからの指摘があったことを踏まえても,本件職員 らが,本件ブロック塀の点検の実施において,原告主張の耐震対策の状況の点検や精密な検査を義務付けられていたということはできない。 ウさ ーからの指摘があったことを踏まえても,本件職員 らが,本件ブロック塀の点検の実施において,原告主張の耐震対策の状況の点検や精密な検査を義務付けられていたということはできない。 ウさらに,本件職員らが,本件ブロック塀の点検をする際に,本件ブロック塀の築年数をその外観から推知したり,高さや控壁の有無その他の構造を外観上認識するとしても,点検の目的が前記アのとおり著しい劣化及び 損傷があるか否かを目視等により確認することであったことを踏まえると,本件職員らにおいて,更に進んで原告主張の耐震対策の状況の点検や精密な検査をすべき注意義務が生じたということはできない。 エしたがって,本件職員らは,本件ブロック塀の点検をするにつき,原告主張の耐震対策の状況の点検や精密な検査をする義務を負っていたと認め ることはできない。 (2) 著しい劣化及び損傷の点検についてア前記(1)アのとおり,本件職員らは,本件ブロック塀を点検するについて,本件ブロック塀に著しい劣化及び損傷があるか否かを目視等により確認すべきであったところ,前記2(1)イ(イ)bのとおり,その後の平成28年度 契約における法定点検の際に本件ブロック塀につき著しいひび割れ,破損又は傾斜は生じていなかったと認められるから,同年2月25日に実施された本件職員らによる点検の際も,同様に本件ブロック塀につき著しいひび割れ,破損又は傾斜は生じていなかったと認められる。 この点について,原告は,同日当時,本件ブロック塀には多数のひび割 れや外部の腐食が存在していた旨主張し,本件ブロック塀の写真(甲37の1・2,45の2)や事故調査委員会の調査報告書の記載(甲14)を指摘する。しかしながら,甲37号証の1・2の写真(平成27年11月当時の本件擁壁及び本件ブ 旨主張し,本件ブロック塀の写真(甲37の1・2,45の2)や事故調査委員会の調査報告書の記載(甲14)を指摘する。しかしながら,甲37号証の1・2の写真(平成27年11月当時の本件擁壁及び本件ブロック塀の道路側の一部が写ったもの)によっても,著しい損傷があったとは認められず,また,甲45号証の写真(倒 壊した本件ブロック塀のプール側の面が写った報道写真)や事故調査委員 会の調査報告書に「破断した接合筋には著しい腐食が多く見られた。」との記載があること(甲14・14頁)によっても,著しい劣化及び損傷といえる腐食による鉄筋の錆汁の外部への表れがあったとは認められない。 事故調査委員会の調査報告書には,本件事故後に高槻市内の小中学校におけるブロック塀等の緊急点検がされ,有害なひび割れ,傾きがあるなど倒 壊のおそれがあると判断されて緊急撤去の対象とされたブロック塀が複数存在することが示されているが(甲14・137ないし140頁),他校のブロック塀に関するものであり,本件ブロック塀のひび割れや傾きなどの状況を直ちに推認させるものではない。 イそうすると,本件職員らが本件ブロック塀を点検して異常なしとの報告 をした(前提事実(4)イ)ことにつき,著しい劣化及び損傷の状況について点検すべき注意義務に違反があったと認めることはできない。また,前記3(2)イのとおり,本件ブロック塀が倒壊した主原因である内部構造の不良箇所は,目視等による劣化・損傷状況の点検によっては確認することができないものであったから,仮に,本件職員らによる著しい劣化及び損傷の 状況の点検につき不備があったとしても,そのことと本件事故及び本件解決金の支払との間に因果関係を認めることはできない。 (3) 以上の次第であるから,本件職員らの注意義務 しい劣化及び損傷の 状況の点検につき不備があったとしても,そのことと本件事故及び本件解決金の支払との間に因果関係を認めることはできない。 (3) 以上の次第であるから,本件職員らの注意義務違反又は損害との間の因果関係を認めることはできず,本件職員らに対する求償請求権は,いずれも存在すると認めることができないから,その行使を怠る事実の確認を求める原 告の請求は,いずれも理由がない。 第4 結論よって,原告の請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用(補助参加により生じた費用を含む。)の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,66条を適用して,主文のとおり判決する。なお, 原告は,住民訴訟の制度が設けられた趣旨に鑑みると,敗訴者負担の原則を貫 くのではなく,自治体に正すべき点が少しでもある場合には,自治体の側に訴訟費用の相応の負担を求めるべきである旨主張するが,本件において,勝訴の当事者に訴訟費用の一部を負担させるべき民事訴訟法62条,63条所定の例外的事情は認められない。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官 森鍵一 裁判官齋藤毅 裁判官日比野幹 (別紙1)省略 (別紙2) 建築基準法施行令61条組積造のへいは,次の各号に定めるところによらなければならない。 一高さは,1.2メートル以下とすること。 (別紙1)省略 (別紙2) 建築基準法施行令61条組積造のへいは,次の各号に定めるところによらなければならない。 一高さは,1.2メートル以下とすること。 二各部分の壁の厚さは,その部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上とすること。 三長さ4メートル以下ごとに,壁面からその部分における壁の厚さの1.5倍以上突出した控壁(木造のものを除く。)を設けること。ただし,その部分における壁の厚さが前号の規定による壁の厚さの1.5倍以上ある場合に おいては,この限りでない。 四基礎の根入れの深さは,20センチメートル以上とすること。 62条の6 コンクリートブロックは,その目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し,鉄筋を入れた空胴部及び縦目地に接する空胴部は,モルタル又はコンクリートで埋めなければならない。 2項補強コンクリートブロック造の耐力壁,門又はへいの縦筋は,コンクリートブロックの空胴部内で継いではならない。ただし,溶接接合その他これと同等以上の強度を有する接合方法による場合においては,この限りでない。 62条の8 補強コンクリートブロック造の塀は,次の各号(高さ1.2メートル以下の塀にあっては,第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらな ければならない。ただし,国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては,この限りでない。 一高さは,2.2メートル以下とすること。 二壁の厚さは,15センチメートル(高さ2メートル以下の塀にあっては, 10センチメートル)以上とすること。 三壁頂及び基礎には横に,壁の端部及び隅角部には縦に,それぞれ径9ミリメートル以上の鉄 ンチメートル(高さ2メートル以下の塀にあっては, 10センチメートル)以上とすること。 三壁頂及び基礎には横に,壁の端部及び隅角部には縦に,それぞれ径9ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。 四壁内には,径9ミリメートル以上の鉄筋を縦横に80センチメートル以下の間隔で配置すること。 五長さ3.4メートル以下ごとに,径9ミリメートル以上の鉄筋を配置した 控壁で基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上突出したものを設けること。 六第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は,かぎ状に折り曲げて,縦筋にあっては壁頂及び基礎の横筋に,横筋にあってはこれらの縦筋に,それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし,縦筋をその径の40倍以上基 礎に定着させる場合にあっては,縦筋の末端は,基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。 七基礎の丈は,35センチメートル以上とし,根入れの深さは30センチメートル以上とすること。 以上
▼ クリックして全文を表示