主文 被告人を懲役1年2月及び罰金30万円に処する。 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,A,B及びCと共謀の上,第1 法定の除外事由がなく,かつ,著作権者及び出版権者の許諾を受けないで,平成29年5月29日頃,東京都中野区ab丁目c番d号ef号の前記C方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,Dが著作権を有し,株式会社Eが出版権を有する著作物である漫画「FG話 “H”」の画像データを,インターネットに接続された氏名不詳者が管理する場所不詳に設置されたサーバコンピュータの記録装置に記録保存して,その頃から同月31日までの間,インターネットを利用する不特定多数の者に自動的に公衆送信し得る状態にし,もって前記Dの著作権及び前記Eの出版権を侵害し,第2 法定の除外事由がなく,かつ,著作権者の許諾を受けないで,同月11日頃,前記C方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,Iが著作権を有する著作物である漫画『「J」K話「L」』の画像データ1ページから8ページまでを,インターネットに接続された氏名不詳者が管理する場所不詳に設置されたサーバコンピュータの記録装置に記録保存して,その頃から同月17日までの間,インターネットを利用する不特定多数の者に自動的に公衆送信し得る状態にし,もって前記Iの著作権を侵害した。 (事実認定の補足説明) 1 弁護人は,本件各公訴事実のいずれについても,被告人は実行行為を行ってい ない上,A,Bとの間ではもちろん,Cとの間でも具 し,もって前記Iの著作権を侵害した。 (事実認定の補足説明) 1 弁護人は,本件各公訴事実のいずれについても,被告人は実行行為を行ってい ない上,A,Bとの間ではもちろん,Cとの間でも具体的なやり取りは一切存在せず,共謀が認められないから,被告人は無罪であると主張する。 この点,本件各公訴事実に係る漫画の画像データをMのウェブサイト(以下,単に「M」という。)にアップロードして,インターネットを利用する不特定多数の者に自動的に公衆送信し得る状態にしたのが,被告人ではなくCであることについては,検察官も争っていない。 したがって,上記各漫画の画像データの違法アップロードに関して,被告人と他の共犯者らとの間で共謀が成立するか否かが本件の争点である。 2 検討するに,関係証拠によれば,被告人とCは平成27年頃から交際を始め,本件当時はC方で同棲していたところ,①Cは,Bから依頼され,平成29年3月からMの更新作業(他のウェブサイトから漫画の画像データをダウンロードし,これをMにアップロードする作業)を行うようになったこと,②同月14日,被告人は,CとともにBからMの更新作業について説明を受け,同月22日,Mに漫画の画像データを初めてアップロードしたこと,③Cは,同年4月以降,Mの更新作業をAから請け負うこととなり,その旨被告人に伝えたこと,④Cは,AあるいはBから,漫画雑誌の発売日のなるべく早い時間帯に漫画の画像データをアップロードするよう要求されており,同じ日に複数の漫画雑誌が発売されるときや,C自身に外出する用事があるときといった,C一人では更新作業ができないときなどには,被告人に更新作業を依頼していたこと,⑤被告人は,Cからの依頼を受けて,本件各公訴事実記載のアップロードがされた同年5月や,それ以降にも,Mに漫画 いった,C一人では更新作業ができないときなどには,被告人に更新作業を依頼していたこと,⑤被告人は,Cからの依頼を受けて,本件各公訴事実記載のアップロードがされた同年5月や,それ以降にも,Mに漫画の画像データを複数回アップロードしていたこと,⑥Cは,Mの更新作業により得た報酬を,その旨明かした上で被告人に手渡しており,この報酬は被告人及びCの生活費に充てられていたことが認められる。 以上によれば,被告人は,CとともにBからMの更新作業について説明を受け,実際に更新作業を行うことで,Mに継続的に漫画の画像データをアップロードすることにつき了承したものとみられる上,それ以降も,Cと分担してMの更新作 業を行うことを続け,これによる報酬を自身とCとの生活費に充てていたことになる。そうすると,被告人は,Cを含む共犯者らとの間で,Mに漫画の画像データを違法アップロードすることにつき,包括的な共謀を遂げていたと認めるのが相当であり,本件各公訴事実について,共謀共同正犯としての責任を負う。 (量刑の理由)被告人らは,漫画雑誌の画像データを著作権者及び出版権者に無断でインターネット上のウェブサイトで公開し,不特定多数の者が無料で閲覧できるようにして,著作権者及び出版権者に損害を与えている。主要な漫画雑誌の画像データを継続的にアップロードする中での犯行であり,著作物の収益構造を破壊するという意味において,著作権等の保護制度を根本から揺るがせかねない悪質な犯行というべきであって,厳しい非難に値する。被告人は,本件各犯行の実行行為を行っていない上,Cからの依頼を受けてMの更新作業を行っていたものであり,従属的な立場で犯行に関わったといえるが,Cを介して少なくない額の報酬を受け取っている。 以上の犯情に照らせば,被告人の刑事責任には決して Cからの依頼を受けてMの更新作業を行っていたものであり,従属的な立場で犯行に関わったといえるが,Cを介して少なくない額の報酬を受け取っている。 以上の犯情に照らせば,被告人の刑事責任には決して軽視し得ないものがあるが,被告人が,作者や出版社その他関係者に迷惑をかけたと述べて本件を謝罪していること,二十代と若く前科がないこと,母親が証人として出廷し,被告人と同居して監督する旨約束していることなど,酌むべき一般情状もある。 そこで,被告人に対しては,主文の懲役刑を定めた上,今回に限りその執行を猶予するが,この種犯罪が経済的に見合わないことを知らしめるため,相応の額の罰金刑を併科することとした。 〔求刑懲役1年6月及び罰金50万円〕令和元年12月9日福岡地方裁判所第3刑事部 裁判官足立勉
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