- 1 -平成18年(行ケ)第10307号審決取消請求事件平成19年1月23日判決言渡,平成18年11月1日口頭弁論終結判決原告株式会社栗原訴訟代理人弁理士萼経夫,舘石光雄,村越祐輔被告ヘッド,スポート,アクチエンゲゼルシャフト訴訟代理人弁理士水野勝文,菊地榮,岸田正行主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1原告の求めた裁判「特許庁が無効2004-89079号事件について平成18年5月22日にした審決を取り消す」との判決。 。 第2事案の概要本件は,後記本件商標の商標権者である原告が,被告の登録無効審判請求を受けた特許庁により,本件商標の登録を無効とする旨の審決がなされたため,同審決の取消しを求めた事案である。 特許庁における手続の経緯( )本件商標(甲第1号証) 登録番号:第4769256号- 2 -商標権者:株式会社栗原(原告)「商標の構成:」指定商品:第25類「帽子」登録出願日:平成15年9月1日(商願2003-75022号)設定登録日:平成16年5月14日( )本件手続 審判請求日:平成16年6月16日(無効2004-89079号)審決日:平成18年5月22日審決の結論:登録第4769256号の登録を無効とする」「。 審決謄本送達日:平成18年6月1日(原告に対し) 審決の理由の要点,,(「」「」,審決は下記( )( )の各商標以下引用1商標及び引用2商標といい 一括して表記する場合は「引用商標」という)を引用し,下記( )のとおり,本件。 商標をその指定商品に使用したときは,これに接する取引者,需要者は,その商品が,被告又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品で いう)を引用し,下記( )のとおり,本件。 商標をその指定商品に使用したときは,これに接する取引者,需要者は,その商品が,被告又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるから,本件商標は,商標法4条1項15号に違反して登録されたものであり,同法46条1項1号に基づき,その登録を無効とすべきものであると判断したものである。 ( )引用1商標(甲第2,第144号証) 登録番号:第1038256号,,,,,商標権者:ヘッドテクノロジーゲゼルシャフトミットベシュレンクテル- 3 -ハフツング(以下「ヘッド・テクノロジー」という)。 「商標の構成:」指定商品:第25類「被服(平成16年8月4日の書換登録前は,平成3年政」令第299号による改正前の商標法施行令別表(以下「旧別表」という)による。 第17類「被服(運動用特殊被服並びにマスク類を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く))」登録出願日:昭和42年12月12日設定登録日:昭和48年10月15日( )引用2商標(甲第3,第145号証) 登録番号:第1533062号商標権者:ヘッド・テクノロジー「商標の構成:」指定商品:第25類「被服(平成15年11月26日の書換登録前は,旧別表」による第17類「被服(ただし,溶接マスク,防毒マスク,防じんマスク及びこれらの類似商品を除く)布製身回品,寝具類)」登録出願日:昭和44年2月14日設定登録日:昭和57年8月27日( )審決の判断 - 4 -(審決が引用する各書証の番号は,本訴における当該書証の番号と同じである。 。)「1商標法第4条第1項第15号について(1)引用商標の著 昭和57年8月27日( )審決の判断 - 4 -(審決が引用する各書証の番号は,本訴における当該書証の番号と同じである。 。)「1商標法第4条第1項第15号について(1)引用商標の著名性について甲第41号証は,厳選された486ブランドの一流商品2237点が収録されている「男の一流品大図鑑’86年版」であり,そのなかに,請求人の商標「HEAD」が付されたスキー板が1986年のニューモデルとして掲載されている。 甲第42号証は「男の一流品大図鑑’94年版」であり,テニスラケットについて請求人の商標「HEAD」の掲載が認められる。 そして,上記の書証は何れも発行日等は明確ではないが’86年版’94年版であると,,’ころから,何れも本件商標の出願前の1986年,1994年前後に発行されたものと推認されるものである。 さらに,上記のスキー板,テニスラケットのほか,本件商標の登録出願前に発行された雑誌において,スキーウェア(甲第77号証ないし同第91号証及び同第93号証,テニスシュ)ーズ(甲第84号証,甲第93号証)などについて,商標「HEAD」が使用されていることが,上記甲各号証ほかにより認めるられる。 また’76年’80年’85年’90年,及び’94年の各「世界のスキー用具(別,,,,」冊『山と渓谷』skierほか(甲第99号証ないし同第103号証)において,それぞれ)商標「HEAD」が掲載され,スキー用具などに使用されていることが認められる。 1993年(平成5年)4月13日付けの日経産業新聞に「スポーツ用品進出へ」の項目の下「スキー板やテニスラケット,ゴルフ用具などで知られる総合スポーツ用具メーカー『ヘッド・・・後略・・・」の記事がある(甲第104号。 』())以上の事実を総合的に勘案すると,引用商標は,ス 下「スキー板やテニスラケット,ゴルフ用具などで知られる総合スポーツ用具メーカー『ヘッド・・・後略・・・」の記事がある(甲第104号。 』())以上の事実を総合的に勘案すると,引用商標は,スキー用具及びその他スポーツ用品について,本件商標の登録出願前はもちろんのこと登録査定時においても,わが国において広く知られた商標と認めることができる。 (2)出所の混同について- 5 -(ア)本件商標について本件商標は,別掲(1)のとおり,ややレタリングされた「Heads」の欧文字を右上あがりに傾斜して表示し,当該文字を挟むように,円輪郭の図形を描いてなるところ「Hea,ds」の文字部分と円輪郭の図形部分とを常に一体のものとして把握しなければならないとする格別の事情も認められないから「Heads」の文字部分は,独立して自他商品の識別標,識としての機能を有するというのが相当である。 そうすると,本件商標構成中「Heads」の文字部分より「ヘッズ」の称呼を生ずるも,のである。 なお,被請求人は「Heads』の文字(語)は『帽子を着用するところ』の意味を有,『,するものであるから,当該文字部分は自他商品識別標識としての機能を有さない」旨主張し。 ている。 しかしながら「Heads」が上記意味合いを有することの証拠は,何ら提出されておら,ず,また,それを認めるに足る事実も発見できないことから,被請求人の当該主張は採用できない。 (イ)引用商標について引用商標は,それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから,顕著に表示された「HEAD」の欧文字より,その構成文字に相応して「ヘッド」の称呼を生ずるものである。 (ウ)本件商標と引用商標について上記(1)で述べたとおり,引用商標は,取引者,需要者に広く知られていると認められるものであるから, より,その構成文字に相応して「ヘッド」の称呼を生ずるものである。 (ウ)本件商標と引用商標について上記(1)で述べたとおり,引用商標は,取引者,需要者に広く知られていると認められるものであるから,引用商標の称呼は,取引者,需要者の耳に馴染まれているということができるものである。 そして,本件商標より生ずる「ヘッズ」の称呼と引用商標より生ずる「ヘッド」の称呼とを比較するに,両者は,ともに促音を含めた3音よりなり,称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた2音「ヘッ」を同じくするものであるから,称呼上極めて近似した商標であるということができる。 (エ)商品の関連性について- 6 -引用商標が使用されている「テニス用ラケット,スキー板,テニス用衣服,テニス用靴,ゴルフ用具など」と本件商標の指定商品である「帽子」に包含される「テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子など」は,同時に使用される場合が多く,また,需要者の多くを共通にするものであるから,両者は密接な関連を有する商品であるということができる。 (3)むすび以上を総合勘案すれば,本件商標をその指定商品について使用するときは,これに接する取引者,需要者は,その商品が請求人の製造,販売に係る商品であると連想,想起し,請求人又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。 したがって,本件商標は,請求人のその余の主張について判断するまでもなく,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項第1号に基づき,その登録を無効とすべきものとする」。 第3原告の主張(審決取消事由)の要点審決は,引用商標の商標権者が被告であると誤って判断して被告の請求人適 ものであるから,同法第46条第1項第1号に基づき,その登録を無効とすべきものとする」。 第3原告の主張(審決取消事由)の要点審決は,引用商標の商標権者が被告であると誤って判断して被告の請求人適格の欠如を看過し,引用商標の著名性の認定を誤り,さらに,本件商標を指定商品に使用した場合に,混同を生ずるおそれがある旨誤って判断したものであるから,取り消されるべきである。 取消事由1(引用商標の商標権者の認定の誤り及び請求人適格の欠如の看過)( )本件審判において,被告は,引用商標の商標権者が被告である旨主張し, 審決は,この主張事実をそのまま審決の基礎として採用した。 しかしながら,引用商標の商標権者はヘッド・テクノロジーであって,被告ではない。 したがって,引用商標の商標権者についての審決の認定には誤りがある。 ( )商標登録無効審判の請求人は,請求人適格として,利害関係人であること - 7 -が必要である。本件審判請求について,請求人適格を有するのは,引用商標の商標権者であるヘッド・テクノロジーであり,その専用使用権者又は登録された通常使用権者ではない被告は,請求人適格を有しない。 ,。 したがって被告に請求人適格がないことを看過してなされた審決は違法である 取消事由2(引用商標の著名性の認定の誤り),「」,(。 ,審決は商標HEADがスキー板審決及び本訴とも甲第41号証以下引用する商標の番号は,審決及び本訴に共通である,テニスラケット(甲第42。)号証,スキーウェア(甲第77~第91号証,第93号証,テニスシューズ(甲))第84,第93号証,スキー用具(甲第99~第103号証)に使用されている)こと,及び「ヘッド」が「スキー板やテニスラケット,ゴルフ用具などで知られ,る総合スポーツ用 テニスシューズ(甲))第84,第93号証,スキー用具(甲第99~第103号証)に使用されている)こと,及び「ヘッド」が「スキー板やテニスラケット,ゴルフ用具などで知られ,る総合スポーツ用具メーカー」との新聞記事(甲第104号証)があることを認定した上で「引用商標は,スキー用具及びその他スポーツ用品について,本件商標,の登録出願前はもちろんのこと登録査定時においても,わが国において広く知られた商標」であるとの認定に及んだ。 しかしながら引用商標引用1商標及び引用2商標の指定商品はともに被,(),「服」であって「スキー用具及びその他スポーツ用品」や「靴」を包含するもので,。 ,「,,はないしたがって引用商標はスキー用具及びその他スポーツ用品について・・・わが国において広く知られた商標」であるとの審決の認定が誤りであることは明らかである。 取消事由3(出所の混同についての認定判断の誤り)( )審決は,本件商標構成中の「Heads」の文字部分より「ヘッズ」の称 呼を生じ,引用商標からは「ヘッド」の称呼を生ずるところ「両者は,ともに促,音を含めた3音よりなり,称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた2音『ヘッ』を同じくするものであるから,称呼上極めて近似した商標である」と- 8 -判断した。 しかしながら「ヘッズ」と「ヘッド」の各称呼の相違音である「ズ」と「ド」,,,,,,は子音母音のいずれも共通にしていないから本件商標と引用商標は称呼上むしろ近似していない商標である。 また,観念を対比しても,本件商標は,頭部を表す円輪郭の図形と帽子のひさしに見立てた文字部分から成るものであって「帽子をかぶった顔」の観念が生ずる,のに対し,引用商標からはいずれも「頭」の観念が また,観念を対比しても,本件商標は,頭部を表す円輪郭の図形と帽子のひさしに見立てた文字部分から成るものであって「帽子をかぶった顔」の観念が生ずる,のに対し,引用商標からはいずれも「頭」の観念が生ずるものであって,本件商標と引用商標とは,観念においても類似しない。 したがって,本件商標と引用商標とが類似するとした審決の判断は誤りである。 ( )審決は「引用商標が使用されている『テニス用ラケット,スキー板,テニ ,ス用衣服,テニス用靴,ゴルフ用具など』と本件商標の指定商品である『帽子』に包含される『テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子など』は,同時に使用される場合が多く,また,需要者の多くを共通にするものであるから,両者は密接な関連を有する商品であるということができる」と判断した。 。 しかしながら,原告は,ファッション性のある帽子の販売を専業としており,スポーツ用の帽子の販売を主とするものではなく,販売場所も専門店等である。これに対し「テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子」などは,スポーツ,用品店において,それぞれテニス用具,スキー用具,ゴルフ用具の販売箇所の傍らで販売されることが通常であるし,カタログによる宣伝広告の際も,テニス用具,スキー用具,ゴルフ用具のカタログに掲載されるものである。 したがって,本件商標を付した商品と「HEAD」の商標を付した商品とが,取引者,需要者を共通にするということはできない。 ( )審決は「本件商標をその指定商品について使用するときは,これに接する ,取引者,需要者は,その商品が請求人の製造,販売に係る商品であると連想,想起し,請求人又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがある」と判断した。 - 求人の製造,販売に係る商品であると連想,想起し,請求人又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがある」と判断した。 - 9 -しかしながら,商標「HEAD」については,引用2商標と同一構成の商標が,スキー用具及びその他のスポーツ用品並びにスキー靴について,広く認識されているものと考えられる。これに対し,本件商標は図形部分によって受ける印象が極めて強いものであり,一般の取引者,需要者が,本件商標の付された商品を,スキー用具及びその他のスポーツ用品並びにスキー靴について,引用2商標と同一構成の商標を有する権利者又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の製造販売に係る商品と混同するおそれは皆無である。 ( )引用商標は,いずれも「ヘッド」の称呼と「頭」の観念が生ずるものであ ,り,これらが指定商品中の「帽子」について用いられた場合には,商品の用途を表示したものであるから,単なる品質表示であるにすぎない。このことは,引用商標と同様,ヘッド・テクノロジーが有する登録第1526485号商標(ヘッド」「の文字を書して成る構成を有するもの)に係る登録出願の際に,指定商品とした旧「,,」,「,別表第17類被服布製身回品寝具類につき指定商品との関係において帽子,ヘルメット等の商品に使用したときは単に商品の用途を表示したものにすぎない」とする拒絶理由通知を受け,指定商品を「被服(但し,溶接マスク,防毒。 マスク,防じんマスク,帽子,ナイトキャップ,ずきん,ヘルメット,すげがさ,頭からかぶる防虫網及び海水帽を除く)布製身回品,寝具類」と減縮して登録さ。 れた経緯があることからも明らかである。したがって,引用商標は,商品「帽子」については,識別力の ,ヘルメット,すげがさ,頭からかぶる防虫網及び海水帽を除く)布製身回品,寝具類」と減縮して登録さ。 れた経緯があることからも明らかである。したがって,引用商標は,商品「帽子」については,識別力の乏しい商標である。 そうすると,仮に,引用商標が,スキー用具及びその他スポーツ用品並びに靴についての商標に置き換えられ,かつ,周知又は著名であったとしても,そのことによる「混同」の範囲は,上記のように識別力の乏しい商品「帽子」にまで及ぶことはないと解すべきである。 ( )したがって,本件商標が,商標法4条1項15号に違反して登録されたも のであるとする審決の判断は誤りである。 - 10 -第4被告の反論の要点 取消事由1(引用商標の商標権者の認定の誤り及び請求人適格の欠如の看過)に対して原告は,引用商標の商標権者はヘッド・テクノロジーであって,被告ではないから,引用商標の商標権者についての審決の認定には誤りがある旨主張し,さらに,引用商標の商標権者ではなく,その専用使用権者又は登録された通常使用権者でもない被告は,本件審判請求に係る請求人適格を有しないとして,この点を看過してなされた審決は違法である旨主張する。 しかしながら,被告は,引用商標を含む商標「HEAD」を多数の商品区分にわたって取得してきたところ,2001年(平成13年)12月13日に,全額出資子会社であるヘッド・テクノロジーを設立して,これらの商標をヘッド・テクノロジーに移転し,商標管理を委ねているものである。したがって,引用商標は,実質的に,被告の支配管理するものということができる。 また,このように,被告は,引用商標の商標権者であるヘッド・テクノロジーの全額出資に係る親会社であるから,本件審判請求について,利害関係を有する者であることは明らかである。 なお,原告は,審 きる。 また,このように,被告は,引用商標の商標権者であるヘッド・テクノロジーの全額出資に係る親会社であるから,本件審判請求について,利害関係を有する者であることは明らかである。 なお,原告は,審判においては,被告が引用商標の商標権者でないことを主張していなかったのであるから,本訴において,取消事由1に係る主張をすることは許されない。 取消事由2(引用商標の著名性の認定の誤り)に対し原告は,引用商標の指定商品は,ともに「被服」であって「スキー用具及びそ,の他スポーツ用品」や「靴」を包含するものではないから,審決の「引用商標は,スキー用具及びその他スポーツ用品について・・・わが国において広く知られた,商標」であるとの認定は誤りである旨主張する。 しかしながら,審決の上記認定説示に係る「引用商標」とは,引用商標(引用1- 11 -商標及び引用2商標)の各構成と同一構成の商標(被告のハウスマークである商標「HEAD)という意味合いで用いられていることが明らかであり,被告が,本」件商標の無効事由として商標法4条1項11号の事由を主張するに当たり,引用1商標と引用2商標を引用したために,これら引用に係る商標の構成と同一構成の商標が「スキー用具及びその他スポーツ用品」について著名である事実を認定する,際に,簡便に「引用商標」との表現を用いたにすぎないものである。 したがって,原告の上記主張は,失当である。 取消事由3(出所の混同についての認定判断の誤り)に対し,「」,「」( )原告は本件商標に係るヘッズとの称呼と引用商標に係るヘッド の称呼に,相違音である「ズ」と「ド」があるから,本件商標と引用商標は,称呼上,むしろ近似していない商標であると主張する。 しかしながら,本件商標に係る「Heads」の文字部分は, に係るヘッド の称呼に,相違音である「ズ」と「ド」があるから,本件商標と引用商標は,称呼上,むしろ近似していない商標であると主張する。 しかしながら,本件商標に係る「Heads」の文字部分は,被告の著名商標である「HEAD」と同一の綴りに複数形を表す「s」が付加されただけであり,両者からは,同じ「頭」との意味合いも直感されるところ,本件商標を呼称する場合,,,。 にはこれらの点が強く影響し両商標の呼称は酷似して聴取されるものである( )原告は,原告の商品である帽子が専門店等において販売され,被告の商品 であるスキー用の帽子等が,スポーツ用品店で販売されているから,本件商標を付した商品と「HEAD」の商標を付した商品とが,取引者,需要者を共通にするということはできないと主張する。 しかしながら,本件商標の指定商品である「帽子」には,スキー,ゴルフ等のスポーツに適した帽子が含まれていることが明らかであるし,原告の商品の販売場所が専門店に限られているわけでもないから,原告の上記主張は失当である。 ( )原告は,商標「HEAD」については,引用2商標と同一構成の商標が, スキー用具及びその他のスポーツ用品並びにスキー靴について,広く認識されているものと考えられるとした上,本件商標は図形部分によって受ける印象が極めて強- 12 -いものであり,一般の取引者,需要者が,本件商品の付された商品を,引用2商標と同一構成の商標を有する権利者又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の製造販売に係る商品と混同するおそれは皆無であると主張する。 しかしながら,引用2商標と同一構成の商標のほか,引用1商標と同一構成の商標も,スキー用具その他スポーツ用品等について著名である。また,本件商標が付された帽子が,市場におかれた場合に,容易に認識 。 しかしながら,引用2商標と同一構成の商標のほか,引用1商標と同一構成の商標も,スキー用具その他スポーツ用品等について著名である。また,本件商標が付された帽子が,市場におかれた場合に,容易に認識の手掛かりとなるのは,平易な書体で書された馴染みのある英語の「Heads」であり,そうすると,被告の著名商標である「HEAD」を記憶し,親しんでいる取引者,需要者が,本件商標の付された帽子に接した場合,これを被告又は被告と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の製造販売に係る商品と混同するおそれがあることは明白である。 ( )原告は,引用商標は,商品「帽子」については,商品の用途を表示したも のにすぎず,識別力の乏しい商標であるから,引用商標が,周知又は著名であったとしても,そのことによる「混同」の範囲は,識別力の乏しい商品「帽子」にまで及ぶことはないと主張する。 しかしながら,本件において「混同」の問題は,引用商標(引用1商標及び引,用2商標)の各構成と同一構成の著名商標との関係で論ずべきものであり,引用商標自体の問題ではない。また,仮に,引用商標が商品「帽子」については,商品の用途を表示したものにすぎず,識別力の乏しい商標であるとすれば,何ら顕著性のないありふれた円輪郭と「Heads」との文字部分から成る本件商標は,全体,としても,指定商品との関係で識別力がないということになるから,原告の当該主張は,自ら本件商標の効力を否定するものといわざるを得ない。 ( )したがって,本件商標が,商標法4条1項15号に違反して登録されたも のであるとする審決の判断に誤りはない。 第5当裁判所の判断 取消事由1(引用商標の商標権者の認定の誤り及び請求人適格の欠如の看過)- 13 -について,,,( )甲第144第145号証乙第 る審決の判断に誤りはない。 第5当裁判所の判断 取消事由1(引用商標の商標権者の認定の誤り及び請求人適格の欠如の看過)- 13 -について,,,( )甲第144第145号証乙第2~第4号証及び弁論の全趣旨によれば 被告は,引用1商標及び引用2商標を,平成4年12月17日に米国法人ヘッド・(),スポーツ・インコーポレーテッドから譲り受け平成5年11月22日移転登録これを保有していたが,平成16年3月ころ,これをヘッド・テクノロジーに移転したこと(同年4月13日登録,ヘッド・テクノロジーは,2001年(平成1)),,,3年12月13日に被告の全額出資によって設立された墺法人であり現在も被告の全額出資子会社であること,以上の事実を認めることができる。 ( )上記事実関係によれば,本件審判請求の時点において,引用商標の商標権 者は,審判請求人である被告ではなく,ヘッド・テクノロジーであったことになるが,審決には,その理由中の認定判断部分(第1本件商標「第2請求人の「」,引用商標」及び「第5当審の判断)に,引用商標の商標権者が被告である旨認」定した箇所,あるいは,そのことを前提として認定判断したと認められる箇所は存在せず,かえって「請求人の商標『HEAD」との語句を用いている(6頁35,』~36行,7頁1行)ことにかんがみると,そのような認定を避けていることが窺える。 したがって,審決に,引用商標に係る商標権者の認定の誤りがあるとの原告の主張は失当である。 ( )もっとも,商標の登録無効審判請求をするについては,請求人に当該審判 請求をする法律上の利益があることが必要であると解すべきである。 しかるところ,審決によれば,被告は,本件商標が引用商標と類似し,指定商品も同一又は類似するものと するについては,請求人に当該審判 請求をする法律上の利益があることが必要であると解すべきである。 しかるところ,審決によれば,被告は,本件商標が引用商標と類似し,指定商品も同一又は類似するものとして,商標法4条1項11号に基づき,また,本件商標は著名な被告の商標に類似するものであって,これが指定商品に使用されると,被告又は被告と経済的,組織的に何らかの関係がある者が提供する商品であるかのように,その出所につき,取引者,需要者が誤認,混同するものとして,同項15号に基づき,さらに,原告が,世界的に著名な被告の商標に類似させ,不正の目的を- 14 -持って本件商標の登録出願をしたものであるとして,同項19号に基づき,本件審判請求をした者であることが認められるところ,このことに,上記( )のとおり, 被告は,従来,引用商標の商標権者であった者であり,その商標権の移転先であるヘッド・テクノロジーは,被告の全額出資に係る子会社であること,また,後記のとおり,被告は「引用1商標の構成と同一の範囲内の構成である『HEAD』の,文字から成る商標(後記引用1構成商標)及び「引用2商標の構成と同一の範囲」内の構成である,スキー板の先端部分の図形と『HEAD』の文字を組み合わせて成る商標(後記「引用2構成商標)を使用する者であることを併せ考えれば,被」」告は,本件商標の登録無効について利害関係を有するものということができ,本件審判請求をする法律上の利益を有するものというべきである。 したがって,審決に,被告に請求人適格がないことを看過してなされた違法があるとの原告の主張は,採用することができない。 取消事由2(引用商標の著名性の認定の誤り)について原告は,引用商標の指定商品は,ともに「被服」であって「スキー用具及びそ,の他スポーツ用品」や るとの原告の主張は,採用することができない。 取消事由2(引用商標の著名性の認定の誤り)について原告は,引用商標の指定商品は,ともに「被服」であって「スキー用具及びそ,の他スポーツ用品」や「靴」を包含するものではないから「引用商標は,スキー,用具及びその他スポーツ用品について,本件商標の登録出願前はもちろんのこと登録査定時においても,わが国において広く知られた商標と認めることができる」。 との審決の認定が誤りであると主張する。 確かに,引用1商標及び引用2商標の指定商品が,いずれも「第25類被服」であることは,上記第2の2の( ),( )のとおりであり,スキー板等のスキー用品 や,テニスラケット等の他のスポーツ用品,テニスシューズ等の靴類は,引用1商標及び引用2商標の指定商品に含まれるものではない。したがって,審決の上記認定は,その説示に係る「引用商標」が,引用1商標及び引用2商標を意味するとすれば,不合理である。 しかしながら,審決の上記認定説示は,その直前の「甲第41号証は,厳選され- 15 -た486ブランドの一流商品2237点が収録されている『男の一流品大図鑑’86年版』であり,そのなかに,請求人の商標『HEAD』が付されたスキー板が1986年のニューモデルとして掲載されている。 甲第42号証は『男の一流品大図鑑’94年版』であり,テニスラケットについて請求人の商標『HEAD』の掲載が認められる・・・さらに,上記のスキー板,テニスラケットのほか,本。 件商標の登録出願前に発行された雑誌において,スキーウェア(甲第77号証ないし同第91号証及び同第93号証,テニスシューズ(甲第84号証,甲第93号)証)などについて,商標『HEAD』が使用されていることが,上記甲各号証ほかにより認めるられる。 また’76年 7号証ないし同第91号証及び同第93号証,テニスシューズ(甲第84号証,甲第93号)証)などについて,商標『HEAD』が使用されていることが,上記甲各号証ほかにより認めるられる。 また’76年’80年’85年’90年,及び’9,,,,4年の各『世界のスキー用具(別冊『山と渓谷』skierほか(甲第99号証』)ないし同第103号証)において,それぞれ商標『HEAD』が掲載され,スキー用具などに使用されていることが認められる。 1993年(平成5年)4月13日付けの日経産業新聞に『スポーツ用品進出へ』の項目の下『スキー板やテニスラケット,ゴルフ用具などで知られる総合スポーツ用具メーカー『ヘッド・・・後』(略・・・』の記事がある(甲第104号」との認定に基づくものであって,上))。 記認定説示に係る「引用商標」が,この認定部分における「請求人の)商標『H(EAD」を指していることは明白である。そして,この認定部分において,審決』が掲記した各証拠によれば「請求人の)商標『HEAD」とは「HEAD」,(』,(,,,,,の文字から成る構成の商標甲第41第42第77第79~第81第93第94,第99~第101,第103号証「ヘッド」の文字から成る構成の商標),(甲第78,第87号証,スキー板の先端部分の図形と「HEAD」の文字を組)み合わせて成る「- 16 -」との構成の商標(甲第81~第86,第88~第91,第93,第102,第103号証)であることが認められるから,結局,審決の上記認定説示は,被告がスキー用具及びその他のスポーツ用品について使用する「引用1商標の構成と同,一の範囲内の構成である『HEAD』の文字から成る商標」及び「引用2商標の構成と同一の範囲内の構成である,スキー ,被告がスキー用具及びその他のスポーツ用品について使用する「引用1商標の構成と同,一の範囲内の構成である『HEAD』の文字から成る商標」及び「引用2商標の構成と同一の範囲内の構成である,スキー板の先端部分の図形と『HEAD』の文字を組み合わせて成る商標(以下「引用1構成商標「引用2構成商標」といい,」」,一括していうときには「引用構成商標」という)が,本件商標の登録出願前はも。 ちろんのこと登録査定時においても,我が国において広く知られた著名な商標と認められるとの趣旨であると解することができ,上掲各証拠に照らして,そのような認定であれば,誤りはない(ヘッド」の文字から成る商標の構成は,引用1商標「又は引用2商標と同一の範囲内である構成を有するとはいえないが,かかる構成の商標を除外したとしても,上記認定に誤りがあるとはいえない。 。)審決は,引用1商標及び引用2商標につき「以下,一括していうときは『引用,,商標』という(2頁25行)との定義付けをしたものであるから「引用商標」。」,との語句を用いた上記認定説示は不正確であるが,上記のとおり,審決のその余の記載に基づいて,その趣旨を理解し得るものであるから,これを誤りとまでいうことはできず,原告のこの点についての主張を採用することはできない。 取消事由3(出所の混同についての認定判断の誤り)について( )原告は,審決の「本件商標より生ずる『ヘッズ』の称呼と引用商標より生 『』,,,ずるヘッドの称呼とを比較するに両者はともに促音を含めた3音よりなり称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた2音『ヘッ』を同じくするものであるから,称呼上極めて近似した商標であるということができる」との判。 断(この判断における「引用商標」も,上記2と同様「 における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた2音『ヘッ』を同じくするものであるから,称呼上極めて近似した商標であるということができる」との判。 断(この判断における「引用商標」も,上記2と同様「引用構成商標」を意味す,るものと解すべきである)に対し「ヘッズ」と「ヘッド」の各称呼の相違音であ。 ,- 17 -る「ズ」と「ド」は,子音,母音のいずれも共通にしていないから,本件商標と引用商標(引用構成商標)は,称呼上,むしろ近似していないと主張する。 しかしながらズとドの各音の子音が異なるとしても現代仮名遣い昭,「」「」,(和61年7月1日内閣告示1号)が,本来は「づ」である音を,原則として「ず」と表記するよう定めていることから窺えるように「ズ」と「ヅ」の音はほぼ同一,,,「」「」,といってよい程に近似しているものでありしたがってズとドの各音は実質的に,母音「u」と「0」が相違するだけであるところ,このことに,審決が指摘するとおり,本件商標と引用構成商標が,ともに促音を含めた3音より成り,称呼における識別上,重要な要素を占める語頭音を含めた2音「ヘッ」を同じくすることを併せ考えれば,本件商標と引用構成商標の称呼は,近似するものということができ,審決の上記判断に誤りはない。 なお,原告は,本件商標が,頭部を表す円輪郭の図形と帽子のひさしに見立てた文字部分から成るものであって「帽子をかぶった顔」の観念が生ずるとした上,,「頭」の観念が生ずる引用商標(引用構成商標)と,観念においても類似しないと主張する。 しかしながら,本件商標の図形部分は,明瞭な筆記体による「Heads」の文字部分の背後にある,単純で極めてありふれた円輪郭にすぎず,例えば,人の顔を連想させるような特徴などもないから,たとえ, る。 しかしながら,本件商標の図形部分は,明瞭な筆記体による「Heads」の文字部分の背後にある,単純で極めてありふれた円輪郭にすぎず,例えば,人の顔を連想させるような特徴などもないから,たとえ,本件商標が,商品「帽子」に付されていたとしても,これに接した取引者,需要者の注意は,まず上記文字部分のみに向かうと考えられ,したがって,上記文字部分は,本件商標において,独立した自他商品識別機能を有するものであると認められる。そうすると,本件商標が,その文字部分と図形部分とを一体として把握され「帽子をかぶった顔」の観念を生,ずるか否かはともかく,本件商標から,文字部分に応じて「頭」の観念が生ずることは明らかであるから,原告の上記主張は,その前提において失当である。 ( )審決の「引用商標が使用されている『テニス用ラケット,スキー板,テニ ス用衣服,テニス用靴,ゴルフ用具など』と本件商標の指定商品である『帽子』に- 18 -包含される『テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子など』は,同時に使用される場合が多く,また,需要者の多くを共通にするものであるから,両者は密接な関連を有する商品であるということができる」との判断(この判断におけ。 る「引用商標」も,上記2と同様「引用構成商標」を意味するものと解すべきで,ある)に対し,原告は,自己がファッション性のある帽子の販売を専業としてお。 り,販売場所も専門店等であるとして,本件商標を付した商品と引用構成商標を付した商品とが,取引者,需要者を共通にするということはできないと主張する。 しかしながら,本件商標の指定商品から「テニス用の帽子,スキー用の帽子,,ゴルフ用の帽子など」が除かれているわけではなく,また,本件商標が「テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子など」に使用されるこ ら,本件商標の指定商品から「テニス用の帽子,スキー用の帽子,,ゴルフ用の帽子など」が除かれているわけではなく,また,本件商標が「テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子など」に使用されることが,現在及び将来にわたってあり得ないという事情を認めるに足りる証拠もないから,原告の上記主張は失当であり,審決の上記判断に誤りはない。 ( )原告は,審決の「本件商標をその指定商品について使用するときは,これ に接する取引者,需要者は,その商品が請求人の製造,販売に係る商品であると連想,想起し,請求人又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない」との判断に対し,商標「HEAD」については,引用2商標と。 同一構成の商標(引用2構成商標)が,スキー用具及びその他のスポーツ用品並びにスキー靴について,広く認識されているものと考えられるのに対し,本件商標は図形部分によって受ける印象が極めて強いものであり,取引者,需要者が,本件商標の付された商品を,引用2商標の権利者又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の製造販売に係る商品と混同するおそれは皆無であると主張するが,引用2構成商標のほか,引用1構成商標も,スキー用具及びその他のスポーツ用品について著名と認められることは,上記2のとおりであり,また,本件商標に接した取引者,需要者の注意が,まず文字部分のみに向かうと考えられることは,上記( )のとおりであるから,原告の上記主張は,その前提において失当である。 - 19 -,,,,「」( )また原告は審決の上記判断に対し引用商標が指定商品中の帽子 について用いられた場合には,商品の用途を表示したものであるから,単な である。 - 19 -,,,,「」( )また原告は審決の上記判断に対し引用商標が指定商品中の帽子 について用いられた場合には,商品の用途を表示したものであるから,単なる品質表示であるにすぎず,引用商標は,商品「帽子」については,識別力の乏しい商標であるから「混同」の範囲は,識別力の乏しい商品「帽子」にまで及ぶことはな,いと解すべきであると主張する。 ,,「,,,しかしながら引用構成商標がテニス用ラケットスキー板テニス用衣服テニス用靴,ゴルフ用具など」について使用される著名商標であって,本件商標の指定商品中に含まれる「テニス用の帽子,スキー用の帽子,ゴルフ用の帽子など」が,引用構成商標が使用される上記各商品と,需要者の多くを共通とし,密接な関連を有するものであるとの審決の認定に誤りがないことは,上記のとおりである。 そして,そうであれば,仮に,引用構成商標が,商品「帽子」との関係において,商品の用途を表示したものに当たるとしても,識別力がないということはできないから,本件商標をその指定商品について使用するときは,いわゆる広義の混同が生ずるとした審決の上記判断に誤りがあるということはできない。 したがって,原告の上記主張も失当である。 結論 以上によれば,原告の主張はすべて理由がなく,原告の請求は棄却されるべきである。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官塚原朋一- 20 -裁判官石原直樹裁判官高野輝久
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