主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 控訴人a,同b及び同cの被控訴人長崎市及び同eに対する甲事件についての控訴(1) 原判決主文第1項中,上記控訴人3名関係部分を取り消す。 (2) 被控訴人eは,長崎市に対し,1億4700万1600円及びうち5000万円に対する平成8年7月10日から,うち5000万円に対する同年12月4日から,うち4700万1600円に対する平成9年8月22日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(以下「(A)請求」ともいう。)。 (3) 被控訴人長崎市は「母子像」を「爆心地公園」から撤去せよ(以下「(B)請求」ともいう。)。 2 控訴人らの被控訴人長崎市長及び同eに対する乙事件についての控訴(1) 原判決主文第2項中,控訴人ら関係部分を取り消す。 (2) 被控訴人eは,長崎市に対し,1億4700万1600円及びうち5000万円に対する平成8年7月10日から,うち5000万円に対する同年12月4日から,うち4700万1600円に対する平成9年8月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(以下「(C)請求」ともいう。)。 (3) 被控訴人長崎市長は「母子像」を「爆心地公園」から撤去せよ(以下「(D)請求」ともいう。)。 第2 事案の概要本件は,長崎市平和公園内の通称「爆心地公園」の一角に,被爆50周年記念事業碑として,いわゆる「母子像」が建立されたことにつき, 1 長崎市長として同事業に関与した被控訴人eに対し,(1) 甲事件において,控訴人a,同b及び同c(以下「控訴人3名」という。)が,(A)請求のとおり,(2) 乙事件において,控訴人らが,(C)請求 長崎市長として同事業に関与した被控訴人eに対し,(1) 甲事件において,控訴人a,同b及び同c(以下「控訴人3名」という。)が,(A)請求のとおり,(2) 乙事件において,控訴人らが,(C)請求のとおり,いずれも,地方自治法242条の2(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)第1項4号に基づき,それぞれ長崎市に代位して,被控訴人eから,長崎市に対し,損害賠償を支払うよう求めるとともに,2(1) 甲事件において,控訴人3名が,被控訴人長崎市に対し,不法行為上の妨害排除請求権に基づき,(B)請求のとおり,(2) 乙事件において,控訴人らが,被控訴人長崎市長に対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,(D)請求のとおり,それぞれ,上記「母子像」を,上記爆心地公園から撤去することを求める事案である。 第3 前提となる基礎事実(特に証拠を掲記しない限り,当事者間に争いがない。) 1 当事者(1) 控訴人らは,7(2)及び(3)の各アのとおり,長崎市(以下,区域としての長崎市をいうときは,単に「長崎市」という。)の住民として,住民監査請求をし,現在も同住民である。 (2) 被控訴人eは,平成7年5月以来,長崎市長の地位にある。 2 平和公園(1) 昭和20年8月9日,長崎市は,原子爆弾(以下「原爆」という。)の惨禍を被り,7万名余りの尊い命を失い,市域は焦土と化した。被控訴人長崎市は,戦災から再興するに当たり,原爆殉難者を悼み,核兵器廃絶による世界平和を希求して,同市松山町付近を平和公園として公園化した。 (2) 昭和57年当時,同公園は,別紙図面のとおり,ア道路東側に位置する,(ア) 平和祈念像があり,その前に原爆殉難者名簿奉安箱(以下「奉安箱」という。)が置かれていた平和祈念像前地区(以下「祈念像前地 当時,同公園は,別紙図面のとおり,ア道路東側に位置する,(ア) 平和祈念像があり,その前に原爆殉難者名簿奉安箱(以下「奉安箱」という。)が置かれていた平和祈念像前地区(以下「祈念像前地区」という。),(イ) 原爆が落下した中心地である原爆落下中心地区(爆心地公園とか松山公園ともいわれる。以下「中心地地区」という。),(ウ) 国際文化会館の存する国際文化会館地区,及びイ道路西側に位置する松山運動施設地区の4区域によって構成されていた。 〔以上,甲58,乙イ2〕 3 被控訴人eが市長に就任する前の平和公園整備計画(1) 長崎市は,戦後著しい復興を遂げ,多数の観光客が訪れるようになったが,平和公園を訪れる者の中には敬虔な意識に乏しい観光客もままみられ,同公園は祈りの場でありながら,観光地的雰囲気が混在することを避けられない状態となっていた。 (2) 平和公園聖域化検討委員会設置と答申ア平和公園聖域化検討委員会設置(昭和57年4月)(1)の状況にかんがみ,被控訴人長崎市は,同月,(ア) 平和公園のうち,祈念像前地区と中心地地区を特別な雰囲気を持つ区域として聖域化することを目的として,(イ) 「平和公園聖域化検討委員会要綱」を策定して,市長の任命する学識経験者等を委員とする「平和公園聖域化検討委員会」(以下「聖域化委員会」という。)を設置し,(ウ) 同委員会に,祈念像前地区と中心地地区を,厳粛かつ荘厳な環境を有する地域とするために必要な事項を検討することを委ねた。 イ聖域化計画の答申(平成5年3月)同委員会は,(ア) 約11年間にわたる検討を重ねた上,(イ) 平成5年3月,「平和公園聖域化に関する報告書」(甲58,乙イ2。以下「聖域化計画」という。)をまとめ,同月31日,当時のf市長に提出 会は,(ア) 約11年間にわたる検討を重ねた上,(イ) 平成5年3月,「平和公園聖域化に関する報告書」(甲58,乙イ2。以下「聖域化計画」という。)をまとめ,同月31日,当時のf市長に提出し,答申した。 ウ聖域化計画の内容同計画は,(ア)a 奉安箱と平和祈念像を分離し,b 聖域化対象地を奉安箱を中心とした「祈りのゾーン」とし,c 祈念像を中心とした観光地的区域を「願いのゾーン」として,原爆死没者の慰霊と観光の両立を図ることを基本に,(イ) 中心地地区を聖域化対象地とし,a 奉安箱を祈念像前から中心地地区に移設する甲案と,b 祈念像前地区を聖域化対象地とし,同地区を「祈りのゾーン」と「願いのゾーン」の2つの部分に分け,中心地地区は国際文化会館とともに「原爆を語り継ぐゾーン」とする乙案の両案を検討の上,(ウ) 甲案を採用したものであった。 〔以上(1),(2)につき,甲58,乙イ2,66,証人g〕(3) 平和公園再整備検討委員会設置と答申ア平和公園再整備検討委員会設置(同5年8月)被控訴人長崎市は,上記聖域化計画を受け,同月,(ア) 平和公園全体を再整備するため,「平和公園再整備検討委員会要綱」を策定して,市長の任命する学識経験者等を委員とする「平和公園再整備検討委員会」(以下「再整備委員会」という。)を設置し,(イ) 同委員会に,平和公園全体の再整備基本計画・基本設計を検討することを要請した。 イ基本計画の答申(同6年4月18日)同委員会は,検討の結果,(ア) 同年3月,「平和公園再整備基本計画報告書」(甲59,乙イ3。以下「基本計画」という。)をまとめ,(イ) 翌4月18日,f市長に提出し,答申した。 ウ基本計画の内容同内容は,(ア)a 祈念像前地区を「願いの空間 基本計画報告書」(甲59,乙イ3。以下「基本計画」という。)をまとめ,(イ) 翌4月18日,f市長に提出し,答申した。 ウ基本計画の内容同内容は,(ア)a 祈念像前地区を「願いの空間」,b 中心地地区を「祈りの空間」,c 国際文化会館地区を「学ぶ空間」と位置づけた上,(イ) 中心地地区では,a 原爆落下位置を示す既存の原爆落下中心碑を祈念のシンボルとして位置づけ,b 本来祈念の対象となるのは奉安箱であるとして,中心地に中心碑と奉安箱を一体化したモニュメントを置き,これを祈念のシンボルとすることとした。 (ウ) そして,奉安箱と中心碑を一体化したモニュメントのデザインの具体案として,aA案垂直な高さを持った形態が上空を指し示すことにより,上方に視線を誘導し,原爆の炸裂した史実をより鮮明に記憶し,印象づける,その一案としては,現在ある中心碑を生かし,祈念のシンボルとして設置することも考えられるとするA案(以下「A案」という。)と,bB案よりシンプルに中心点を示すことにとどめる,その一案としては,爆心地の位置を湧き出る泉によって表現することが考えられるとするB案(以下「B案」という。)とを,優劣について判断することなく,両案併記の答申となっていた。 〔以上,甲59,乙イ3,66,証人g〕(4) 被控訴人長崎市は,基本計画を受け,ア同年5月,祈念像前地区及び中心地地区の実施設計に着手し,イ翌6月,翌7年が被爆50周年に当たることから,平和公園整備計画を被爆50周年記念事業の一つと位置づけ,更に検討を進めることとし,ウ同7年3月,実施設計を完了させた。 〔以上,甲74,79,乙イ66,67,証人g〕 4 被控訴人eの市長就任(平成7年5月)後の推移-中 業の一つと位置づけ,更に検討を進めることとし,ウ同7年3月,実施設計を完了させた。 〔以上,甲74,79,乙イ66,67,証人g〕 4 被控訴人eの市長就任(平成7年5月)後の推移-中心碑撤去計画及びhとの随意契約の締結-(1) 同5年3月に聖域化計画が,同6年4月に基本計画が,それぞれ答申された当時の長崎市長はfであった。 (2) 同7年4月の市長選挙において,被控訴人eがfに代わって当選し,翌5月,同被控訴人が長崎市長に就任した。 (3) 被控訴人長崎市は,被控訴人eの市長就任後,都市計画部を中心に,被爆50周年記念事業の一環として,平和公園整備計画及び中心地地区聖域化計画の検討を更に進め,ア被爆者の冥福を祈るためには何か対象があった方がよいとして,基本計画で答申された2案のうちから,A案を採用する。 イ中心碑については,従来のものを残すというのはあくまで一案として示されたにすぎない,「垂直な高さを持った形態により方向性を持たせ,自然に空を仰ぎ見るような視線誘導を促す」というA案の趣旨を生かすには,新しいモニュメント(以下「新モニュメント」という。)を制作するという考え方もありうるとして,新モニュメントの制作も考慮の対象とする。 ウ新モニュメントを制作する案については,(ア) デザインにつき,これを公募する方法と,制作者を選定して依頼する方法の両案を検討の対象としたが,(イ) 公募の場合には準備期間も含めるとなお数年間を要するので,被爆50周年事業の趣旨にもとるのではないか,(ウ) 制作者を選定して依頼する場合は,市民の納得が得られるよう,長崎とゆかりのある著名人で,被爆体験を有する等,原爆に対する深い知識と造詣を有する者であることが最低限必要となるが,そのような条件を満たす者がいるか等を議論した。 ,市民の納得が得られるよう,長崎とゆかりのある著名人で,被爆体験を有する等,原爆に対する深い知識と造詣を有する者であることが最低限必要となるが,そのような条件を満たす者がいるか等を議論した。 (4) 市長協議(平成7年10月31日)での内定同日,被控訴人e,助役,収入役,企画部長,財政部長,担当部長である都市計画部長及び各担当課長は,(3)の準備的議論を経た上,市長協議を開催し,次のとおり内定した。 ア被爆者の冥福を祈るためには何か対象があった方がよいとしてA案を採用する。 イ現在の中心碑は昭和43年に設置されたものですでに30年近くを経過していること,被爆50周年の節目で中心地地区も大きく変化することを考慮して,(ア) 従来の中心碑を撤去して,(イ) 同地点に新モニュメントを設置する。 ウ新モニュメントの制作者を公募するか1人にしぼって制作を依頼するかについては,(ア) 公募の場合には時間がかかりすぎるので,(イ) 1人にしぼって制作を依頼する。 エ新モニュメントの制作者として,(3)ウ(ウ)の条件を満たす数人の候補者のうちから,長崎市出身の日本芸術院会員で,文化勲章受章者でもあり,親族が被爆者で被爆の実情も知っていると考えられる彫刻家のhが,県立美術館その他に作品が展示されていて市民にも親しみがあることを考慮して,同人に制作を依頼する。 (5) 被控訴人長崎市が立てた方針(新モニュメントのイメージとhの内諾)ア新モニュメントのイメージ(ア) 被控訴人長崎市は,その後,新モニュメントの具体的イメージとして,A案に基づき,上空を指し示すことにより,原爆の炸裂した史実をより鮮明に記憶し,印象づけるものとする,頭を垂れて被爆者の冥福と平和を祈ることのできる対象物とするとの方針を再確認した上,(イ) 制作条 に基づき,上空を指し示すことにより,原爆の炸裂した史実をより鮮明に記憶し,印象づけるものとする,頭を垂れて被爆者の冥福と平和を祈ることのできる対象物とするとの方針を再確認した上,(イ) 制作条件として,a 原爆投下日のメモリアル性を考慮した宗教性のないものとする,b モニュメントには,奉安箱を組み込む,c 制作完了時期は,平成9年3月以前とする,d 未公開の作品とし,著作権は被控訴人長崎市に帰属させる等の諸点を定めた方針を立てた。 イ hの内諾(同7年11月22日)同日,主管である都市計画部部長のg及び収入役が東京に赴いて,hと交渉し,内諾を得た。 〔以上,(3)ないし(5)につき,乙イ66,証人g,被控訴人e〕(6) hの承諾と新モニュメント「母子像」の具体化ア hの承諾(同8年2月10日)同日,被控訴人eは,現地調査をすべく長崎市を訪れたhに対し,市議会の承認を得ることを条件に,中心地に置く新たなモニュメントの制作を依頼し,hはこれを了承した。 イ新モニュメント「母子像」の具体化(同月)遅くとも同月中に,hは,新モニュメントのデザインを,高さ約5メートルの「原爆で深く傷付いた少女を抱く女神の慈愛に満ちた姿」に具体化し(以下,この新モニュメントを「母子像」という。),これを高さ約4メートルの台座の上に設置して上空を仰ぎ見る雰囲気を醸成し,台座の中に奉安箱を設置するとの原案を考案して被控訴人長崎市の担当者に開示した。 〔以上,甲7,60,乙イ5,66,証人g,被控訴人e〕(7) 新モニュメント関係予算案の可決(同年3月28日)同月開催の長崎市議会の総務委員会及び定例会(本会議)で,(5)の方針が報告され,同日,同定例会で中心地に置く新モニュメントの制作費として1億5000万円が計上さ 関係予算案の可決(同年3月28日)同月開催の長崎市議会の総務委員会及び定例会(本会議)で,(5)の方針が報告され,同日,同定例会で中心地に置く新モニュメントの制作費として1億5000万円が計上された予算案が可決された。 〔甲41,60,乙イ4ないし6,66,証人g,被控訴人e〕(8) 市民の反対運動(同年4月以降)ア上記計画が新聞各紙で報道されたところ,同年4月以降,被爆者団体や平和団体,宗教団体を中心として,従前の中心碑を撤去することと母子像新設に対して,続々と反対意見が表明され,広汎な市民の反対運動が展開された。 イ市議会に対しても,新モニュメント設置計画を白紙撤回する旨を求める請願がされ,同年6月の常任委員会及び定例会において不採択とされたものの,この問題については,市議会においても真剣な議論が展開された。 〔以上,甲43,乙イ7ないし14(枝番を含む),66,証人g,控訴人d,被控訴人e〕(9) 被控訴人長崎市とhの作業ア委員会の承認(同8年6月11日)被控訴人長崎市は,hと随意契約を締結することを前提に,長崎市建設工事等競争入札参加者の資格審査及び選定要綱第27条ただし書の規定に従って,長崎市建設工事等指名業者選定委員会第一指名委員会に,hを中心地に置く新モニュメントの制作者に選定することを諮り,同日,その承認を得た。 イ随意契約締結の決定とhへの通知(同月13日)被控訴人長崎市は,美術品の制作を依頼するという契約の特殊性を考慮し,地方自治法施行令167条の2第1項2号及び長崎市契約規則23条1項2号を適用して,hと随意契約を締結することとし,同規則24条1項ただし書きの「特別の理由により市長がやむを得ないと認めるとき」に該当するとして,見積はhのみから受けることとして,同日,hにその旨 2号を適用して,hと随意契約を締結することとし,同規則24条1項ただし書きの「特別の理由により市長がやむを得ないと認めるとき」に該当するとして,見積はhのみから受けることとして,同日,hにその旨を通知した。 ウ(ア) 予定価格書の作成(同月17日)同日,被控訴人長崎市は,同規則25条に基づき,都市計画部長gにおいて予定価格を1億4708万4000円(うち消費税428万4000円)とする予定価格書を作成し,(イ) 見積書の提出(同月18日)同日,hは,被控訴人長崎市に対し,鋳造費合計5000万円(内訳・ブロンズ代4900万円,銘板100万円),台座費工事一式5000万円,制作費及び石膏原型諸経費4272万円,消費税428万1600円,以上合計1億4700万1600円とする見積書を提出した。 〔以上,甲12,62,63,乙イ66,71,証人g〕(10) 業務委託契約の締結(同8年6月19日)とその内容同日,被控訴人長崎市とhは,母子像の制作を目的とする業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結したが,その内容は概ね次のとおりである。 ア委託業務の名称は「平和公園原子爆弾落下中心碑制作業務委託」とする。 イ履行期間は同年6月19日から翌9年3月14日までとする。 ウ委託料は1億4700万1600円(うち消費税428万1600円)とし,(ア) 第1回目の前払金5000万円は同8年7月に,(イ) 第2回目の前払金5000万円は同年12月に,(ウ) 残金は被控訴人長崎市が業務完了を確認した旨をhに通知後,hから委託料の支払請求があった後30日内にそれぞれ支払う。 エ新モニュメント(母子像)は,原判決別紙2の仕様書に従って制作する。 〔以上,乙イ15の1・2,66,証人g,被控 旨をhに通知後,hから委託料の支払請求があった後30日内にそれぞれ支払う。 エ新モニュメント(母子像)は,原判決別紙2の仕様書に従って制作する。 〔以上,乙イ15の1・2,66,証人g,被控訴人e〕(11) 第1回目の前払金5000万円の支払(同年7月10日)同日,被控訴人長崎市は,hに対し,本件業務委託契約に従い,第1回目の前払金5000万円を支払った〔乙イ16〕。 5 中心碑撤去方針の変更(1) 母子像原型(5分の1)の一般公開(同年9月)同月,hは,母子像の原型を5分の1の大きさで制作して被控訴人長崎市に届け,これは一般にも公開された。 〔乙イ21,66,証人g,被控訴人e〕(2) 市民連絡会発足等(同年8月から12月)(1)と相前後して,ア同年8月,既存の中心碑を撤去し,新たにその場所に母子像を設置することを主な内容とする中心地整備計画に関して,「長崎『原爆中心碑』問題を考える市民連絡会」(以下「市民連絡会」という。)が発足したほか,イ芸術家団体や宗教関係者も反対を表明したり,10万人規模の反対署名を集める活動が展開されるなど反対運動が続き,ウ市議会内でも,同年9月の定例会,10月の臨時会及び12月の定例会で,この問題が議論された。 〔甲15,43,乙イ17,22,25,26,66,証人g,控訴人d,被控訴人e〕(3) 方針の一部見直し(同年10月ころ)ア (2)を受け,被控訴人eは,上記日時ころ,(ア) 奉安箱を台座の中に収めることは名簿が踏みにじられているという意見があることに配慮し,奉安箱は台座の中には納めず母子像の前に置く,(イ) 現存する中心碑は撤去するが,その代わりに被爆直後から現在までに制作された4つの中心碑のレプリカを別の場所に保存・展示するとして,従前の方針(4 は台座の中には納めず母子像の前に置く,(イ) 現存する中心碑は撤去するが,その代わりに被爆直後から現在までに制作された4つの中心碑のレプリカを別の場所に保存・展示するとして,従前の方針(4(5)参照)を一部見直す旨を発表した。 イしかし,この発表によっても反対運動が鎮静化することはなかった。 〔甲43,乙イ23ないし26,32ないし34,36,37,控訴人d〕(4) 第2回目の前払金5000万円の支払(同年12月4日)同日,被控訴人長崎市は,hに対し,本件業務委託契約に従い,第2回目の前払金5000万円を支払った〔乙イ28〕。 (5) 請願と不採択ア市民連絡会は,同月5日,市議会に対し,中心碑撤去・移設見直しの請願をした。 イしかし,同請願も同月の常任委員会及び定例会において不採択となった。 〔乙イ29,30,66,証人g,控訴人d〕(6) 市議会議長あっせん案提示(同9年1月24日)このような混乱の続く中,長崎市議会議長は,同日,ア既存の中心碑及び母子像は中心地地区内の中心点以外の場所に設置し,イ中心点に設置するものについては,a 新たな協議会を設置して検討し,b 市民的合意が形成されたものを存置する旨のあっせん案を提示した。 〔乙イ38の1・2〕(7) あっせん案受け入れ(同年2月1日)同日,被控訴人eは,上記あっせん案を受けて,ア既存の中心碑は撤去せずに現在の場所に残し,イ母子像は中心地地区内の別の場所に設置する旨を発表し,市民連絡会もこれを受け入れた。 (8) 母子像の名称と設置場所の変更(同月24日)同日,被控訴人eは,ア母子像の名称を「平和公園原子爆弾落下中心碑」(4(10)ア参照)から「被爆50周年記念事業碑」と変更し,イ設置場所を,中心地地区内の既存の中心 更(同月24日)同日,被控訴人eは,ア母子像の名称を「平和公園原子爆弾落下中心碑」(4(10)ア参照)から「被爆50周年記念事業碑」と変更し,イ設置場所を,中心地地区内の既存の中心碑が位置する点から南西約70メートルの国道沿いの緑地(原判決別紙4の「本件母子像」と表示した場所)に変更する方針を最終的に明らかにした。 〔乙イ41,43,44,46,66,証人g〕(9) 市民連絡会の解散(同年4月)同連絡会は,同月,解散した。 〔以上(6)ないし(9)につき,乙イ37,38の1・2,40ないし44,46ないし48,66,証人g,控訴人d,被控訴人e〕 6 業務委託契約の変更(1) 被控訴人長崎市は,5(8)の方針変更に伴って,本件業務委託契約を,逐次,ア同年3月3日,履行期間の終期を,同年6月30日に〔乙イ45の1・2〕,イ同年4月11日,奉安箱を母子像から分離させて,残すこととなった既存の中心碑の前に設置することとし,ウ委託業務の名称を,「平和公園(中心地地区)整備事業被爆50周年記念事業碑制作業務委託」に,エ仕様書を,原判決別紙1の変更後仕様書に〔乙イ49の1・2〕,オ同年6月20日,履行期間の終期を同年7月31日に〔乙イ56の1・2〕それぞれ変更した。 (2) しかし,被爆者団体や平和団体からは,市民連絡会解散後も,母子像は中心地地区にふさわしくないとか,その制作費の積算根拠や金額の多寡等を問題とする意見が出され続けた。 〔乙イ42,50ないし52,57ないし59,62ないし64,控訴人d〕(3) 完成母子像の設置(同9年7月16日)ア hは,原判決別紙3の写真で特定される母子像を完成し,イ被控訴人長崎市は,同日,これを中心地地区内の原判決別紙4の「本件母子像」と表示した場所に 3) 完成母子像の設置(同9年7月16日)ア hは,原判決別紙3の写真で特定される母子像を完成し,イ被控訴人長崎市は,同日,これを中心地地区内の原判決別紙4の「本件母子像」と表示した場所に設置し(以下,完成し,中心地地区に設置された母子像を「完成母子像」という。),(ア) 併せて,同母子像の前に献花台と碑文を設置し,(イ) 碑文には,「この碑は,・・・原爆の悲惨さと,被爆により亡くなられた多くの方々のご冥福を祈り,ひいてはこの尊い犠牲が今日の平和の礎となったことを念頭におき,偉大なる母の慈悲心と,永久に平和であれと念じ,あたたかく深く母の胸に眠る傷心の子供の姿を配することによって,21世紀に羽ばたく日本の未来を表現しています」と記載されている。 ウなお,同被控訴人は,奉安箱を既存の中心碑の前に設置した。 (4) 残金4700万1600円の支払(同9年8月7日)同日,被控訴人長崎市は,業務完了を確認し,hに対し,残金4700万1600円を支払った。 〔以上,(3),(4)につき,甲97,乙イ61の1・2,66,証人g,検証〕 7 監査請求と甲((A)請求及び(B)請求),乙事件((C)請求及び(D)請求)の提起(1)ア控訴人dの監査請求(同8年12月3日)同日,同控訴人は,母子像の制作につき,民意に反すること,信教の自由を規定する憲法20条に違反することなどを理由に違法・不当な支出であると主張して,それまでに支払った委託料の返還と今後の支出差止め及び母子像の制作差止めを求めて,長崎市監査委員に対し監査請求をした〔乙イ27〕。 イ同監査委員は,同9年1月27日,上記主張は理由がないとする決定をした〔乙イ39〕。 (2)ア控訴人3名を含む者の監査請求(同9年6月9日)同日,控訴人3名を含む9名は,母子像 イ27〕。 イ同監査委員は,同9年1月27日,上記主張は理由がないとする決定をした〔乙イ39〕。 (2)ア控訴人3名を含む者の監査請求(同9年6月9日)同日,控訴人3名を含む9名は,母子像の制作につき,被爆者や市民の意見を十分に聞いていないこと,随意契約ができない場合であるのにこれをしていること,制作費の内訳が不透明であること,本来の目的を失ったのに制作したことなどを理由に,違法・不当な支出であると主張して,委託料の返還・支出差止めと,母子像の制作差止めを求めて,長崎市市監査委員に対し監査請求をした〔甲1,乙イ54〕。 イ同監査委員は,同年7月23日,上記主張は理由がないとする決定をした〔乙イ60〕。 ウ甲事件の提起(同年8月22日)同日,控訴人3名を含む5名(ただし,うち2名は,原判決を受け,控訴を断念)は,甲事件を提起した。 〔本件記録から明らかである。〕(3)ア控訴人らを含む者の監査請求(同年12月9日)同日,控訴人らを含む10名は,母子像の制作につき,制作の必要がなかったこと,随意契約の理由が明確でないこと,信教の自由を侵害すること,市民の精神的平穏を侵害していることなどを理由に,違法・不当な支出であると主張して,委託料の返還と完成母子像の撤去を求めて,長崎市市監査委員に対し監査請求をした〔甲13,乙イ65〕。 イ同監査委員は,同10年1月30日,上記主張は理由がないとする決定をした〔甲13〕。 ウ乙事件の提起(同10年2月27日)同日,控訴人らは,乙事件を提起した。 〔本件記録から明らかである。〕第4 当事者の主張 1 (C)請求及び(D)請求に係る各訴えについての本案前の主張(被控訴人e及び同長崎市長)原判決9頁5行目から13行目までのとおり(ただし,同6行目及び9行目の「原告a外4名」を 事者の主張 1 (C)請求及び(D)請求に係る各訴えについての本案前の主張(被控訴人e及び同長崎市長)原判決9頁5行目から13行目までのとおり(ただし,同6行目及び9行目の「原告a外4名」を「控訴人3名」と改める。)であるから,これを引用する。 (控訴人ら)(1)ア控訴人3名は,(A)請求においては,母子像設置以前の平成9年6月9日にした監査請求に基づき,委託料の返還を求め,イ控訴人らは,(C)請求においては,完成母子像設置後の同年12月9日にした監査請求に基づき,委託料の返還を求めるものであるから,(A)請求及び(C)請求は異なる。 (2) 地方自治法242条の2第1項3号は,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認の請求ができることを認めたものであるが,被控訴人長崎市長は違法を確認されても,違法状態を解消する行動に出ない可能性が高いから,裁判所は,本件においては,市民の立場に立ち,単に違法を確認するだけでなく,撤去命令も発するべきである。 2 (A)請求及び(C)請求(損害賠償請求)について(控訴人らの主張)(1) 憲法20条1項ないし3項及び89条違反(母子像の宗教性)ア(ア) hは,a 「世界の神々が日本の国を抱く」とのイメージのもと,「国籍や宗教に関係なく,訪問者の誰もが思わず手を合わせたくなる」祈りの対象物として母子像を制作することを計画し,b ラ・トゥール作の「聖誕生」及びミケランジェロ作の「ピエタ」における聖母マリアとキリスト像をモチーフとし,更に,仏教における観音像が見る人に敬虔な気持を生ぜしめる手法等を活用することにより,完成母子像を祈りの対象としての雰囲気を有するものとして制作した。 (イ) 被控訴人長崎市は,a 完成母子像の前に献花台を設置して,これが祈りの対象であることを明示し, 等を活用することにより,完成母子像を祈りの対象としての雰囲気を有するものとして制作した。 (イ) 被控訴人長崎市は,a 完成母子像の前に献花台を設置して,これが祈りの対象であることを明示し,b 完成母子像の前に置いた碑文に,「被爆により亡くなられた多くの方々のご冥福を祈り」と記載した。 (ウ) してみると,完成母子像は,被爆者は今日の平和の礎となった尊い犠牲であるとの理念のもと,その冥福と永久の平和を祈る独自の宗教における祈りの対象物というべきである。hは,複数宗派を混交させることにより,宗派性をなくす,あるいは宗教を超越することを目指したものと思われるが,何ら宗教性を否定することとはなっていない。 イ仮に,完成母子像を宗教施設であるとはいうことができないとしても,(ア) これは人格像であり,キリスト教,イスラム教その他の諸宗教がそれに向かって祈念することを禁じる偶像であるから,(イ) 偶像崇拝を禁じる宗教を有する者は,これを祈りの対象とすることができず,完成母子像はこれらの者への圧迫,干渉となっている。 ウまた,完成母子像は,(ア) 母が子を抱く姿が聖母マリアとキリストをイメージさせること,及び母子像のスカートに配されたバラの花は,キリスト教文化においては,マリアの象徴ないし代表としての意味を持つことから,見る人をしてキリスト教文化によるものとの感を抱かせ,(イ) また,見る者によっては仏教の観音像をイメージさせるから,それ以外の宗教の信者ないしは宗教を有しない者の宗教感情を害する彫像でもある。 エ(ア) 中心地地区は,単に公共の場所であるにとどまらず,常民が日常生活を生きていた空間に原爆が投下されたという特異な場所性と世界史性を有している。 (イ) 被控訴人長崎市は,ここを「祈りのゾーン」と位置づけ,それに 単に公共の場所であるにとどまらず,常民が日常生活を生きていた空間に原爆が投下されたという特異な場所性と世界史性を有している。 (イ) 被控訴人長崎市は,ここを「祈りのゾーン」と位置づけ,それに向けて整備もしてきた。 (ウ) そのような場所に,被爆者は今日の平和の礎となった尊い犠牲であるとの理念のもと,その冥福と永久の平和を祈る独自の宗教における祈りの対象物である完成母子像を設置することは,明らかに特定の宗教を支援するものである。 (エ) また,完成母子像が宗教施設ではないとしても,これは偶像であり,これに対しては,宗教の有無及び宗派を問わず,礼節行為として手を合わせ,祈念することはできないから,このような彫像物を中心地地区に設置することは,他人から干渉を受けない静謐の中で宗教上の感情と思考をめぐらせ,行為をなす宗教上の人格権の侵害に当たり,信教の自由を侵すものである。 (オ) キリスト教ないし仏教という特定宗教への援助,その他の宗教を信じる者及び無宗教者への圧迫,干渉ともなっている。 オしたがって,被控訴人eが母子像を中心地地区に設置することを前提に,hと本件業務委託契約を締結し,完成母子像を受領して代金支払をした行為及びこれを同地区内に設置した行為は憲法20条1項ないし3項及び89条に違反する。 (2) 地方自治法234条の2違反ア(ア) 被控訴人長崎市は,中心地地区を「祈りのゾーン」と位置づけ,祈念の対象として新しいモニュメントを制作することとした。 (イ) ここでいう祈念とは,自己が信じる神仏に祈るという宗教上の概念とは異なり,宗教の有無及び信じる宗教のいかんを問わず,礼節行為として行う儀礼的行為を指す。 (ウ) してみると,上記の意味での祈念の対象となる新モニュメントは,誰もが宗教上の感情を害することなく祈念する り,宗教の有無及び信じる宗教のいかんを問わず,礼節行為として行う儀礼的行為を指す。 (ウ) してみると,上記の意味での祈念の対象となる新モニュメントは,誰もが宗教上の感情を害することなく祈念することができるよう,宗教性を一切帯びないものである必要があった。 イそこで,被控訴人長崎市は,本件業務委託契約において,母子像は宗教性のないものとすることを絶対の契約条件とした。 ウまた,同契約においては,制作されるモニュメントは原爆投下日のメモリアル性を有すること,他の作品の模倣でないこと,及び芸術性の高いモニュメントであることも契約条件とされた。 エしかるに,完成母子像は,(1)で述べたとおり,宗教性を否定することができない。 オしかも,これは,ラ・トゥール作の「聖誕生」やミケランジェロ作の「ピエタ」の模倣合成であって,芸術性の高い作品ではなく,原爆投下日のメモリアル性にも欠けている。 カ被控訴人eがこのような完成母子像を受け取ったこと,その結果として代金全額を支払ったことは地方自治法234条の2(契約の適正履行の確保)に明らかに違反する。 (3) 憲法92条,地方自治法1条違反次に補正するほか,原判決10頁5行目から11頁12行目までのとおりであるから,これを引用する。 ア 10頁13行目の「新たな」から14行目の「いない」までを,「,既存中心碑の再生案と,よりシンプルな泉案の2案が示され,母子像のような偶像は建てないという方向性が決まっていた」に改める。 イ同19行目の「噴水案」を「泉案」に改める。 ウ同25行目の「被告eは」の次に,「,上記2案を提案した」を加える。 エ 11頁5行目の「でも」の次に,「,A案,B案の中心碑デザインを検討した部分をあえて削除した概要版の報告書(甲59)を提出することにより,」を加える。 (4 「,上記2案を提案した」を加える。 エ 11頁5行目の「でも」の次に,「,A案,B案の中心碑デザインを検討した部分をあえて削除した概要版の報告書(甲59)を提出することにより,」を加える。 (4) 地方自治法施行令167条の2,長崎市契約規則23条1項違反原判決11頁14行目から12頁12行目までのとおりであるから,これを引用する。 (5) 憲法13条,19条,21条1項違反原判決13頁10行目から15行目までのとおりであるから,これを引用する。 (6) 地方自治法10条,244条2項,3項違反原判決13頁17行目から22行目までのとおり(ただし,17行目の「④,⑤」を削る。)であるから,これを引用する。 ((A)請求に対する被控訴人eの主張-(C)請求関係で,本案について認否しない。)(1) 憲法20条1項ないし3項及び89条違反(完成母子像の宗教性)の主張についてア控訴人3名の主張を争う。 イ hは,被爆者の尊い犠牲が今日の平和の礎となったことを念頭に置き,原爆の悲惨さと被爆によって亡くなった多くの方々の冥福を祈り,永久に平和であれと念じて,あたたかく深く母の胸に眠る傷心の子供の姿を配することによって,偉大なる母の慈悲心と21世紀に羽ばたく日本の未来を表現しようとして,母子像を制作した。 ウここでは,子供の姿は「あの日」の日本の姿を,母の姿は日本を支える世界の国々の姿を表現している。 エしたがって,hのいう「世界の神々」とは世界の国々をイメージしたものであり,完成母子像に宗教性はない。 (2) 地方自治法234条の2違反の主張についてア (1)で述べたとおり,完成母子像に宗教性は認められない。 イまた,hは,「作品は未公開の作品とする」,「著作権は市に帰属する」との制作条件を十分に認識して完成母子像を制作した。同作 張についてア (1)で述べたとおり,完成母子像に宗教性は認められない。 イまた,hは,「作品は未公開の作品とする」,「著作権は市に帰属する」との制作条件を十分に認識して完成母子像を制作した。同作品は断じて模倣などではない。 (3) 憲法92条,地方自治法1条違反の主張について原判決14頁9行目から15頁11行目までのとおりであるから,これを引用する。 (4) 地方自治法施行令167条の2,長崎市契約規則23条1項違反の主張について原判決15頁13行目から16頁4行目までのとおりであるから,これを引用する。 3 (B)請求(甲事件の母子像撤去請求)について(控訴人3名の主張)(1) 控訴人3名は,被控訴人長崎市が完成母子像を中心地地区に設置した行為により,2(1),(5)及び(6)のとおり,宗教的人格権,精神的平穏権,精神的自由権及び公の施設の使用の自由権を,違法,不法に侵害されている。 (2) よって,控訴人3名は,被控訴人長崎市に対し,不法行為上の妨害排除請求権に基づき,中心地地区から完成母子像を撤去するよう求める。 (被控訴人長崎市の主張)争う。 4 (D)請求(乙事件の母子像撤去請求)について(控訴人らの主張)(1) 母子像の制作及び完成母子像の中心地地区への設置は,控訴人らが2で主張したとおり違法である。 (2) よって,控訴人らは,被控訴人長崎市長に対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,中心地地区から完成母子像を撤去するよう求める。 (被控訴人長崎市長の主張)(D)請求に係る訴えは却下されるべきであるから,本案について認否しない。 第5 当裁判所の判断 1 基本的考え方(1) 地方自治法242条の2に定める住民訴訟は,行政事件訴訟法5条にいわゆる民衆訴訟の一種であるから,「公共団体の機関の法規 ら,本案について認否しない。 第5 当裁判所の判断 1 基本的考え方(1) 地方自治法242条の2に定める住民訴訟は,行政事件訴訟法5条にいわゆる民衆訴訟の一種であるから,「公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で,選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する」訴訟であって,これは,「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる」(同法42条)。 (2) その目的は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による地方自治法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該普通地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害することから,これを防止するため,地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として,住民に対し,その予防,又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって,地方財務行政の適正な運営を確保することにある(最高裁判所第一小法廷昭和53年3月30日判決・民集32巻2号485頁参照)。 (3) 住民監査請求について規定する同法242条1項は,住民は,「違法若しくは不当な公金の支出,財産の取得,管理若しくは処分,契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき,又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは,・・・監査委員に対し,監査を求め,・・・必要な措置を講ずべきことを請求することができる」と規定し,住民訴訟について規定する同法242条の2第1項は,住民は,同法242条1項の請求をした場合において,監査委員の監査の結果等に不服があるときは,「裁判所に対し,同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る 訴訟について規定する同法242条の2第1項は,住民は,同法242条1項の請求をした場合において,監査委員の監査の結果等に不服があるときは,「裁判所に対し,同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき,訴えをもって次の各号に掲げる請求をすることができる」と規定している。 (4) してみると,住民訴訟の対象となり得る事項は,同法242条1項に定める事項である公金の支出,財産の取得,管理・処分,契約の締結・履行,債務その他の義務の負担,公金の賦課・徴収を怠る事実及び財産の管理を怠る事実に限られており,しかも,(2)の目的に照らすと,これらの事項は,財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為又は事実としての性質を有するものに限定されているというのが相当である(最高裁判所第一小法廷平成2年4月12日判決・民集44巻3号431頁参照)。 (5) 以上の見地に立って,本件について検討する。 2 (C)請求に係る訴え(控訴人らの被控訴人eに対する損害賠償請求。第1の2(2)及び第2の1(2)参照)について(1)ア (C)請求に係る訴えは,地方自治法242条の2第1項4号に基づくものである。 イ (A)請求に係る訴え(第1の1(2)及び第2の1(1)参照)も,同号に基づくものである。 (2) (C)請求と(A)請求とを,請求の原因(第4の2参照)をも併せ比べて検討すれば,次のとおりである。 ア(ア) 「委託料の返還を求める」点では全く同一であり,主たる請求金額も同一額である。 (イ) 異なるのは,附帯請求(遅延損害金)に係る内金の一部について,始期が異なるのみであるから,対象とする財務会計行為は,実質的に同一である。 イ控訴人らが主張する,被控訴人eのとった措置の違法性についての内容は,第4の2のとおり,(A)請求と(C)請求とを殊更区別するこ るのみであるから,対象とする財務会計行為は,実質的に同一である。 イ控訴人らが主張する,被控訴人eのとった措置の違法性についての内容は,第4の2のとおり,(A)請求と(C)請求とを殊更区別することがない。 ウ住民監査請求を経た以上,住民訴訟において同監査請求の理由として主張した事由以外の違法事由を主張することは何ら禁止されない(最高裁判所第二小法廷昭和62年2月20日判決・民集41巻1号122頁参照)。 (3)ア (1)・(2)によれば,(C)請求に係る訴えは,(A)請求に係る訴えと,訴訟物は同一である。 イ(ア) 控訴人らは,a (A)請求は,母子像設置以前の平成9年6月9日にした監査請求(第3の7(2)ア参照)に基づき,b (C)請求は,完成母子像設置後の同年12月9日にした監査請求(第3の7(3)ア参照)に基づき,委託料の返還を求めるものであるから,(A)請求と(C)請求は異なると主張する。 (イ) しかしながら,実質上の差異は,監査請求の時期が異なることと,その理由が母子像の完成の前後の違いにあることから,監査請求の理由が若干異なるにすぎない。 (ウ) (ア)の主張は,(2)ウの違法事由の主張に制限がないこと,及び1(2)で述べた住民訴訟の目的をも併せ考慮すると,独自の見解であるというべきであり,採用できない。 (4)ア控訴人dは,(C)請求の訴えに係る同控訴人関係は,甲事件とは,前提とする監査請求が異なる(第3の7(1)ア)とも主張する。 イしかしながら,(ア) 同監査請求(第3の7(1)ア)は,本件住民訴訟との関係では,地方自治法242条の2第2項1号の定める出訴期間が経過しているものである(同イ参照)。 (イ) (ア)の点を別にしても,同法242条の2第4項は,同条第1項の規定による訴訟が係属しているときは, 地方自治法242条の2第2項1号の定める出訴期間が経過しているものである(同イ参照)。 (イ) (ア)の点を別にしても,同法242条の2第4項は,同条第1項の規定による訴訟が係属しているときは,当該普通地方公共団体の他の住民は,別訴をもって同一の請求をすることができない旨を規定しているところ,その趣旨は,住民訴訟が,普通地方公共団体の財務行政の適正な運営を確保して住民全体の利益を守るために,当該普通地方公共団体の構成員である住民に対し,いわば公益の代表者として同条1項各号所定の訴えを提起する権能を与えたものであることにかんがみて,複数の住民による同一の請求については,必ず共同訴訟として提訴することを義務付け,これを一体として審判し,一回的に解決しようとする趣旨に出たものと解される(最高裁判所大法廷平成9年4月2日判決・民集51巻4号1673頁参照)。 (ウ) アの主張は,(イ)の説示に照らすと,やはり独自の見解であり,採用できない。 (5) したがって,ア (C)請求に係る訴え(第1の2(2)及び第2の1(2)参照)は,(ア) 控訴人3名関係部分は,民事訴訟法142条にいう重複起訴に該当し,(イ) 控訴人d関係部分は,地方自治法242条の2第4項に反し,いずれも不適法であるから,却下すべきものである。 イ以上のように解したとしても,(4)イ(イ)及び1(2)で述べた住民訴訟の趣旨,目的は,何ら損なわれない。 (6) まとめ以上の次第であるから,ア (5)ア(ア)・(イ)と同旨の原判決部分(原判決主文第2項の一部)は相当であり,イ同部分に関する控訴人らの控訴は理由がなく,棄却を免れない。 3 (D)請求に係る訴え(控訴人らの被控訴人長崎市長に対する母子像撤去請求。第1の2(3)及び第2の2(2)参照)について(1) 控訴人 同部分に関する控訴人らの控訴は理由がなく,棄却を免れない。 3 (D)請求に係る訴え(控訴人らの被控訴人長崎市長に対する母子像撤去請求。第1の2(3)及び第2の2(2)参照)について(1) 控訴人らは,地方自治法242条の2第1項3号に基づいて,上記請求をしている。 アしかし,同号は,執行機関に対し「怠る事実」の違法確認を求めることができる旨を規定しているが,作為を義務付けることまでは認めていないし,同号でいう「怠る事実」は,先に述べたとおり,財務会計上の性質を有するものに限定されている。 イ(ア) ところで,(D)請求に係る訴えは,母子像の撤去という作為(義務付け)を求めているものであるから,1(4)で掲げた住民訴訟の対象となり得る事項に含まれないことは明らかである。 (イ) 控訴人らは,当審では,違法確認だけでもすべきであると主張するごとくであるが,完成母子像を中心地地区に設置することは,財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為又は事実としての性質を有するものでもないから,違法確認をする対象ともなり得ない。 (ウ) したがって,(D)請求に係る訴えは,住民訴訟としてはなし得ないものであり,不適法である。 (2) まとめ以上の次第であるから,ア (D)請求に係る訴えは,不適法却下すべきものであり,これと同旨の原判決部分(原判決主文第2項の一部)は相当である。 イ同部分に関する控訴人らの控訴は理由がなく,棄却を免れない。 4 (A)請求(控訴人3名の被控訴人eに対する損害賠償請求。第1の1(2)及び第2の1(1)参照)について(1) 憲法20条1項ないし3項及び89条違反(完成母子像の宗教性)の主張についてア憲法は,明治維新以降,国家と神道が密接に結び付き種々の弊害を生じたことにかんがみ,新たに信教の自由を無条件に保障するこ 法20条1項ないし3項及び89条違反(完成母子像の宗教性)の主張についてア憲法は,明治維新以降,国家と神道が密接に結び付き種々の弊害を生じたことにかんがみ,新たに信教の自由を無条件に保障することとし,更にその保障を一層確実なものとするため,20条1項後段,3項,89条において,いわゆる政教分離の原則に基づく諸規定(以下「政教分離規定」という。)を設けた。政教分離規定は,いわゆる制度的保障の規定であって,信教の自由そのものを直接保障するものではなく,国家(地方公共団体を含む。以下同じ。)と宗教との分離を制度として保障することにより,間接的に信教の自由の保障を確保しようとするものである。そして,憲法の政教分離規定の基礎となり,その解釈の指導原理となる政教分離原則は,国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが,国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく,宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものであると解すべきである。 このような政教分離原則の意義に照らすと,憲法20条3項にいう宗教的活動とは,およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を指すものではなく,そのかかわり合いが上記にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。そして,ある行為が上記にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するに当たっては,当該行為の外形的側面のみに 宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。そして,ある行為が上記にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するに当たっては,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当該行為者が当該行為を行うについての意図,目的及び宗教的意識の有無,程度,当該行為の一般人に与える効果,影響等,諸般の事情を考慮し,社会通念に従って,客観的に判断しなければならない(最高裁昭和46年(行ツ)第69号同52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁,最高裁平成4年(行ツ)第156号同9年4月2日大法廷判決・民集51巻4号1673頁等)。 イそこで,以上の見地に立って,本件について検討するに,前記認定の事実に,摘示した証拠を併せれば,次のとおり認定,判断される。 (ア) 完成母子像は宗教施設かa 控訴人3名は,完成母子像を,被爆者は今日の平和の礎となった尊い犠牲であるとの理念のもと,その冥福と永久の平和を祈る独自の宗教における祈りの対象物であることを前提に,完成母子像が宗教施設であると主張する。 b 原爆は,7万余名の命を奪った大量破壊兵器であり,中心地地区はその原爆を落下された象徴的な場所であるから,その場所で,被爆をして亡くなった方々の冥福を祈り,死の原因となった戦争を廃絶すべく恒久平和を願うことは,宗教の有無と信じる宗教のいかんにかかわらず,人間として自然な感情である。 c 本件全証拠を参酌しても(特に甲5,7,11,14等参照),hが母子像を制作し,被控訴人長崎市が完成母子像を設置した意図が,bの限度を超えているとはいい難く,したがって,これを独自の宗教と位置づけるものでもなければ,独自の宗教における祈りの対象物であるとも断定し 像を制作し,被控訴人長崎市が完成母子像を設置した意図が,bの限度を超えているとはいい難く,したがって,これを独自の宗教と位置づけるものでもなければ,独自の宗教における祈りの対象物であるとも断定し難い。この判断は,被控訴人長崎市が,完成母子像の前に置いた碑文に「被爆者は今日の平和の礎となった尊い犠牲である」との記載があることを考慮しても,左右されない。 控訴人3名の主張する上記前提は,採用することができない。 d したがって,完成母子像は,控訴人3名が主張するように,宗教施設であるとは言い難い。 (イ) キリスト教又は仏教に対する援助,助長,促進ないしその他の宗教への圧迫,干渉となるかa 控訴人3名は,完成母子像の母が子を抱く姿が聖母マリアとキリストをイメージさせるとか,スカートに配されたバラの花は,マリアの象徴ないし代表としての意味を持つとして,見る人をしてキリスト教文化によるものとの感を抱かせるとも主張する。 b 確かに,そのように感じる者がいるかもしれない。しかし,そのように感じるのが一般的であるとまで断定するのも困難である。仮に,そのように感じる者がいたとしても,その効果は,特定の宗教たるキリスト教に対する援助,助長,促進又は他の宗教を信じる者ないし無宗教者への圧迫,干渉等になるとまでいうのは,論理に飛躍がありすぎる。 c 同じく,完成母子像から仏教の観音像をイメージする者があったとしても,そのように感じるのが一般的であるとまで断定するのは困難であるのみならず,その効果は,特定の宗教たる仏教に対する援助,助長,促進又は他の宗教を信じる者ないし無宗教者への圧迫,干渉等になるとまでいうのも,論理に飛躍がありすぎる。 d したがって,この点に関する控訴人3名の主張も採用できない。 (ウ) 偶像崇拝を禁じる宗教の信者への圧迫, を信じる者ないし無宗教者への圧迫,干渉等になるとまでいうのも,論理に飛躍がありすぎる。 d したがって,この点に関する控訴人3名の主張も採用できない。 (ウ) 偶像崇拝を禁じる宗教の信者への圧迫,干渉となるかa 控訴人3名は,完成母子像は,偶像であり,偶像崇拝を禁じる宗教の信者はこれに対して祈りを捧げることができないから,完成母子像を中心地地区内に設置することは偶像崇拝を禁じる宗教の信者への圧迫,干渉となると主張する。 b 中心地地区において本来祈りの対象となるのは,基本計画が指摘するとおり,奉安箱である(第3の3(3)ウ(イ)参照)。被控訴人長崎市は,これを前提に,平成9年4月11日,母子像の台座に奉安箱を収めるとの従来の方針を改め,奉安箱は既存の中心碑の前に置くこととし,委託業務の名称を「平和公園(中心地地区)整備事業被爆50周年記念事業碑制作業務委託」と変更した(同6(1)イ・ウ参照)。 c にもかかわらず,被控訴人長崎市は,完成母子像の前に献花台を置いている(同(3)イ(ア)参照)のであるが,これは,何が本来の祈りの対象かをぼやかすものであって,適切とは言い難いのではないかとの考えもあり得よう。 d しかし,献花台が置かれたからといって,これをもって祈りを強制するものであるとまではいうことはできない。実際,これまで完成母子像の前で式典その他が行われたことも,被控訴人長崎市から完成母子像に対して祈ってほしいと依頼された者があることを認めるに足りる証拠もない。献花台は,せいぜい,像に向かって祈りたい者があった場合へのサービスといった程度の意味を持つにすぎないように思われる。 e 仮に完成母子像が偶像に当たると解する者がいて,また,キリスト教その他偶像崇拝を禁じる宗教の信者が,不愉快な思いを抱くことはあるかもしれな といった程度の意味を持つにすぎないように思われる。 e 仮に完成母子像が偶像に当たると解する者がいて,また,キリスト教その他偶像崇拝を禁じる宗教の信者が,不愉快な思いを抱くことはあるかもしれないが,これらの者が祈りを強制されるとは言い難い。 f 完成母子像は,本来の祈りの対象である奉安箱から約70メートル離れた場所に設置されている。 g 以上によれば,中心地地区内に完成母子像が存在するというだけで,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるほどに,これら偶像崇拝を禁じる宗教の信者の宗教感情を害し,圧迫,干渉になるとまでいうことも困難である。 (エ) まとめしたがって,被控訴人eが本件業務委託契約を締結し,完成母子像を受領してこれを中心地地区内に設置した行為は,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとまでは認めることができないから,憲法上の政教分離原則及びそれに基づく政教分離規定に違反すると解することは困難である。控訴人3名の憲法20条1項ないし3項及び89条違反の主張は採用できない。 (2) 地方自治法234条の2違反の主張について前記認定の事実に,摘示した証拠を併せれば,次のとおり認定,判断される。 ア前記したとおり,完成母子像は宗教施設であるとは認め難く,仮に偶像であるとしても,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるほどにこれら偶像崇拝を禁じる宗教の信者の宗教感情を害し,これを圧迫,干渉するものとも,キリスト教ないし仏教等特定宗教への援助,助長,促進の効果を持つものとも,それ以外の宗教を有する者及び無宗教者への圧迫,干渉となるものとも言い難い。 イ(ア) 確かに これを圧迫,干渉するものとも,キリスト教ないし仏教等特定宗教への援助,助長,促進の効果を持つものとも,それ以外の宗教を有する者及び無宗教者への圧迫,干渉となるものとも言い難い。 イ(ア) 確かに,証拠(甲4の1・2,27,29,86の1ないし3,乙イ1)によれば,控訴人3名が主張するように,完成母子像は,母が子を抱く姿の彫像であるから,同じく母と子を題材にするラ・トゥール作の「聖誕生」(甲4の1)やミケランジェロ作の「ピエタ」(甲4の2。キリスト教美術で,聖母マリアが刑死したキリストを膝に抱いて悲しむ光景を表現した作品。中世末期にドイツで独立した図像として成立し,やがてヨーロッパ各地に広まる。講談社「日本語大辞典」より。)をモチーフとし,そこからヒントを得て制作された可能性があるという立場にも,それなりの理屈がないでもないように思われる。 (イ) しかし,芸術性やメモリアル性は人によって評価の異なる幅のある概念である(美術評論家連盟会長針生一郎(甲90)も,優れた芸術か否かが主観的な偏りを免れないことを承認している。)。したがって,原爆投下日のメモリアル性を有すること,他の作品の模倣でないこと,及び芸術性の高いモニュメントであることという契約条件を充たしているか否かの判断は,一見して,模倣であることが明らかであるとか,誰の目からも芸術性が認められない等,特段の事情のない限り,完成品を受領する者にある程度の裁量が認められるというのが相当である。 (ウ) かかる観点からすると,完成母子像は,一見して,模倣合成であることが明らかであるとか,芸術性が欠如しているとか,更に原爆投下日のメモリアル性がないとまでは言い難いから,これを契約の趣旨を充たしているとして受領した被控訴人eの行為は,裁量の範囲を逸脱しているとまでは言い難い。 ,芸術性が欠如しているとか,更に原爆投下日のメモリアル性がないとまでは言い難いから,これを契約の趣旨を充たしているとして受領した被控訴人eの行為は,裁量の範囲を逸脱しているとまでは言い難い。 同判断に反する控訴人らの主張は採用し難いところ,他に,同判断を動かすに足りる証拠はない。 ウしてみると,完成母子像には憲法の禁じるほどの宗教性があるとも,そのほかの契約条件を充たしていないとも認め難いから,これをhから受領し,平成9年8月7日,同人に対し,残金の4700万1600円を支払った行為が,地方自治法234条の2に違反するとまでいうのも困難である。 (3) 憲法92条,地方自治法1条違反の主張についてア引用に係る原判決10頁5行目から10行目までのa,11行目から14行目までのb,19行目から22行目までのd,23行目から24行目までのe,25行目から末行までのfの各主張について前記認定の事実に,摘示した証拠を併せれば,次のとおり認定,判断される。 (ア) 上記各主張は,聖域化計画(第3の3(2)イ参照)や基本計画(同(3)ウ参照)が執行機関に対して拘束力を有することを前提としている。 (イ) しかし,上記計画を答申した聖域化委員会(同(2)ア参照)及び再整備委員会(同(3)ア参照)は,いずれも,市長が行政を行う上で広く市民の意見を聞くために,行政機関の内部規定である各要綱(同(2)ア(イ)及び(3)ア(ア)参照)に基づいて設置し,市長自らが任命した委員によって構成される委員会であり,いわば市長の諮問機関というべきものである。 (ウ) したがって,上記両委員会の各答申(聖域化計画及び基本計画)は,執行機関である市長に対して法的な拘束力を持つものではないというのが相当である。市長としては,答申を尊重すべき のである。 (ウ) したがって,上記両委員会の各答申(聖域化計画及び基本計画)は,執行機関である市長に対して法的な拘束力を持つものではないというのが相当である。市長としては,答申を尊重すべきではあるが,これに従わなかったとしても,直ちに違法の問題は生じない。 (エ)a また,住民訴訟においては財務会計上の行為又は事実のみが請求の対象となり得るものである(1(4)参照)。 b 乙イ2,3を含む本件全証拠によるも,上記両委員会が,市長に対し,どのような契約を締結すべきであるかとか,あるいは締結してはならないとか,財務会計上の行為又は事実について具体的な答申をしているとは認めることができない。 (オ) したがって,控訴人3名の上記各主張はこれを採用することができない。 イ引用に係る原判決10頁15行目から18行目までのcの主張について前記認定の事実に,摘示した証拠を併せれば,次のとおり認定,判断される。 (ア) 控訴人3名が主張するとおり,被控訴人eが長崎県知事であるiから受けた個人的な恩義に報いるため,同知事の働きかけを受けて,それまでに決まっていた人格像は作らないとの方針を覆し,新モニュメント制作をhに依頼することとして本件業務委託契約を締結したのであれば,首長の地位を利用し,恣意に行政を行って財務会計行為である契約締結をしたものとして,住民訴訟の対象とする余地がないではない。 (イ) そこで検討するに,a 甲74,79によれば,被控訴人長崎市は,平成6年5月,中心地に水を配したデザインの実施設計を依頼し,同7年3月にはそのとおりの設計が終了したことが認められ,同年1月発行の「広報ながさき」(甲8)には,中心地を湧き出す泉で表現するとするB案を採用したかのようなイメージ図が掲載されているから,そのころは被控訴人長崎 とおりの設計が終了したことが認められ,同年1月発行の「広報ながさき」(甲8)には,中心地を湧き出す泉で表現するとするB案を採用したかのようなイメージ図が掲載されているから,そのころは被控訴人長崎市内部でも,方向的にはB案が有力であったことが窺われる。 b しかし,基本計画は,中心地に中心碑と奉安箱を一体化したモニュメントを置き,これを祈念のシンボルとすることは提言したものの,モニュメントのデザインの具体案までは示していない。A案においては既存の中心碑を利用する方法が,B案においては泉で中心地を表現する方法が提案されてはいるが,これは一例として示されたにすぎない。 c 実際,当時の市長のfは,当審において,同人の市長在任中にはA案かB案かを含め,中心地に置くモニュメントのデザインは決まっていなかったと証言している。 d してみると,被控訴人eが長崎市長に就任した同7年5月の段階では,まだ中心地のデザインについては,具体的な決定はされていなかったと認めるのが相当である。 e ところで,控訴人3名は,昭和56年にローマ法王が長崎市を訪れた際,平和公園で祈りを捧げなかったのは同公園内にある平和祈念像が偶像であったからであるとして,これをきっかけに設置された聖域化委員会及びその検討の結果を継承した再整備委員会では,中心地に新たに設けるモニュメントについては,少なくとも偶像たる人格像としないことは当然の前提とされており,その後被控訴人長崎市内部で行われた検討でも,この点は最小限の一致点として決定していたと主張する。 f しかし,教皇(ローマ法王のこと)訪日公式記録及び当時の新聞(乙イ68ないし70)には,ローマ法王は時間の都合がつかないので名代として国務長官が平和公園を訪れて献花をしたとする部分があり,他の本件各証拠によるも,同法 法王のこと)訪日公式記録及び当時の新聞(乙イ68ないし70)には,ローマ法王は時間の都合がつかないので名代として国務長官が平和公園を訪れて献花をしたとする部分があり,他の本件各証拠によるも,同法王が平和公園を訪れなかった理由が平和祈念像にあるのか,日程の都合によるのかは明らかでない。 g 証人fは,中心地に新たに設けるモニュメントを偶像たる人格像にしないことは当時の職員の共通認識であったと証言するが,あくまでそのように感じていたというだけであって,基本計画(乙イ3)その他本件各証拠によっても,そのことが正式に決定していたことを認めるに足りない。 h してみると,控訴人3名の主張は,そもそも前提を欠くから,これを採用することはできないというべきである。 (ウ)a なお,本件においては,hと随意契約を締結するようi知事から被控訴人eに働きかけがされたことを認めるに足りる証拠はない。 b したがって,この点からも,控訴人3名の主張は採用することができない。 ウ補正後の引用に係る原判決11頁初行から9行目までのgの主張について前記認定の事実に,摘示した証拠を併せれば,次のとおり認定,判断される。 (ア) 被控訴人eは,平成8年3月に開かれた長崎市議会の総務委員会及び定例会(本会議)において,中心地に置くモニュメントの制作はhに依頼したい旨の計画を報告し,同議会は,同月28日,その制作費として1億5000万円を計上した予算案を可決した。控訴人3名の主張は,上記議決を得る手続には瑕疵(違法)があるから,これを前提とする本件業務委託契約の締結はやはり違法であると主張するものと解される。 (イ) しかし,予算の議決を得たとしても,必ずしもその予算は執行しなければならないものではない。 (ウ) とすると,住民訴訟の対象として違法 契約の締結はやはり違法であると主張するものと解される。 (イ) しかし,予算の議決を得たとしても,必ずしもその予算は執行しなければならないものではない。 (ウ) とすると,住民訴訟の対象として違法の有無が審議されるべきは,あくまで財務会計行為である契約の締結や予算の執行としての公金の支出等である。予算の議決を得る手続に違法があったとしても,それだけでは,その後にこれを前提としてされた契約締結ないし公金の支出までが違法となるものではないというのが相当である。 (エ) また,a 平成8年2月28日付けの長崎新聞(甲7)には,中心碑に代えて女神の姿をした像を建立するとのhの談話が掲載されていたこと,b 乙イ4ないし6によれば,予算は同年3月28日の定例会で可決されたところ,被控訴人eは,同月4日の定例会で,「原子爆弾がその上空500メートルで炸裂した中心地公園には,その悲惨な史実を後世に伝え,被爆により尊い命を奪われた多くの方々のご冥福を祈り,平和を祈念するため,原爆落下中心地点に被爆50周年の大きな節目を機に新たな祈念碑を建立いたします」との施政方針演説をし,同月22日の総務委員会の席上で配付された資料にも中心碑の位置に像と推知できる図が描かれていたことがそれぞれ認められる。 (オ) したがって,議決をした議員が母子像建立の計画を認識していなかったとは到底考えられず,上記の市議会の議決には控訴人3名の主張する違法があるとも認められない。 (カ) よって,控訴人3名の上記gの主張はこれを採用することができない。 エ引用に係る原判決11頁10行目から12行目までのhの主張について当裁判所の判断も,原判決18頁15行目から20行目までのとおりであるから,これを引用する。 (4) 地方自 い。 エ引用に係る原判決11頁10行目から12行目までのhの主張について当裁判所の判断も,原判決18頁15行目から20行目までのとおりであるから,これを引用する。 (4) 地方自治法施行令167条の2,長崎市契約規則23条1項違反の主張についてア(ア) 地方自治法234条1項は,「売買,貸借,請負その他の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする」と,同2項は,「前項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる」と規定し,これを受けて,同法施行令167条の2第1項は随意契約によることができる場合を1号から7号まで規定する。 (イ) 乙イ66,証人gによれば,被控訴人eは,hと本件業務委託契約を締結することは,同2号の「不動産の買入れ又は借入れ,普通地方公共団体が必要とする物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものとするとき」(長崎市契約規則23条1項2号も同旨)に該当するとして,同契約を随意契約の方法によって締結したことが認められる。 イところで,ここにいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものとするとき」とは,当該契約の目的・内容に相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定してその者との間で契約を締結するという方法をとるのが契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながる場合であって,その判断は,普通地方公共団体の契約担当者が,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として,普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている政令の趣旨を勘案し,個々具体 つながる場合であって,その判断は,普通地方公共団体の契約担当者が,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として,普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている政令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質目的等諸般の事情を考慮して,その合理的な裁量に基づいて判断すべきものと解するのが相当である(最高裁判所第二小法廷昭和62年3月20日判決・民集41巻2号189頁参照)。 ウそこで,以上の観点から本件業務委託契約の締結をみるに,前記認定の事実に,摘示した証拠を併せれば,次のとおり認定,判断される。 (ア) 本件において,a 被控訴人長崎市が制作を依頼するのは原爆落下中心地に設置する新モニュメントたる美術品であるから,b そこで問題となるのは,価格もさることながら,まずは中心地に置くことがふさわしいモニュメント足り得るか否かであった。 (イ) とすれば,中心地に誰のどのような作品を設置するかについては,いきなり作者を決定するのではなく,広く作品を公募し,その中から中心地に置くことがふさわしく,かつ,価格的にも妥当なものを選定するという方法も十分考慮された。 (ウ) しかしながら,a 平和公園整備計画は,平成7年が被爆50周年に当たることから,長崎市被爆50周年記念事業市民委員会が,同6年4月,市長あてに提出した基本計画により,被爆50周年記念事業の一つと位置づけられていた(乙イ66。第3の3(3)及び(4)参照)。 b 同公園整備事業は,中心地地区を除いては順調に進捗していたが,同地区については,中心点に置くモニュメントのデザインが決まらないことから,事業の進捗が遅れていた。 c 広く作品を公募し,その中から作者を選ぶという方法は民意を反映するし,価格的にも妥当なものとなる可能性が高いから,時間 置くモニュメントのデザインが決まらないことから,事業の進捗が遅れていた。 c 広く作品を公募し,その中から作者を選ぶという方法は民意を反映するし,価格的にも妥当なものとなる可能性が高いから,時間さえ許せば確かに適切な方法ではあった。 d しかし,どのような範囲の者に作品を募集するか,誰がどのような方法で作品を選定するか等を更に検討し,実際に作品募集と選定作業をするとすれば,余りに時間がかかりすぎ,被爆50周年記念事業の一つとするには適切を欠く結果となることが予想された。 (エ) してみると,平和公園整備事業を被爆50周年事業と位置づけたことは法的拘束力を持つものではないとはいえ,行政としては,その趣旨をできる限り尊重すべきであるから,美術品の制作という契約の特殊性にかんがみれば,行政内部で何人かの候補者を選定し,その中から,中心地に置く新モニュメントを制作するにふさわしい技術,経験等を有する相手方を1名選定し,その者との間で随意契約を締結するという方法をとることは,その検討の過程が合理的な裁量の範囲を超えないものである限り,違法ということはできないと解するのが相当である。 (オ) そこで,更に検討を進めるに,a 乙イ66及び証人gの証言によれば,被控訴人長崎市は,新モニュメント制作者を選ぶに当たり,担当部局たる都市計画部内において,長崎にゆかりがあり,広く市民に知られている著名な芸術家で,平和,原爆に造詣を有する者という条件を設定し,その条件を満たす候補者として,h,j,k及びl等について検討を加え,平成7年10月31日開催の市長協議の際に,その中から,日本芸術院会員で,文化勲章を受賞した彫刻家であり,その作品は市内の長崎県立美術博物館や学校等の公共施設に数多く設置されていて市民への知名度も高く,長崎市出身で実家が被爆する 議の際に,その中から,日本芸術院会員で,文化勲章を受賞した彫刻家であり,その作品は市内の長崎県立美術博物館や学校等の公共施設に数多く設置されていて市民への知名度も高く,長崎市出身で実家が被爆するなど被爆の実情にも詳しいhに依頼する方針を内定したのである。 b 被控訴人eは,平成8年3月に開かれた長崎市議会の総務委員会及び定例会(本会議)において,中心地に置くモニュメントの制作はhに依頼したい旨の計画を報告し,同議会は,hに依頼することを前提に,同月28日,中心地に置くモニュメントの制作費として1億5000万円を計上した予算案を可決した。 (カ) 以上の事実に照らすと,a 被控訴人eが,同年6月にhとの間で随意契約を締結したことは,ベストの選択であったか否かはともかく,明らかに合理性を欠き,裁量の範囲を超えていて違法であるとまでいうのは困難であり,b 随意契約の方法によって,hと本件業務委託契約を締結したことを違法であるとまで断定することはできない。 エ(ア) 控訴人3名は,随意契約によったことに関し,h1人からしか見積書を徴しなかったとか,見積書の内訳が大まかにすぎる等として,引用に係る原判決11頁25行目から12頁2行目までのc,12頁3行目から5行目までのd,6行目から11行目までのe,12行目から13行目までのfの各主張をする。 (イ)a しかし,長崎市契約規則24条が随意契約による場合でも「2人以上の者から見積書を徴さなければならない」としているのは,随意契約によることによって価格が不当に高くなることを防止する趣旨であるから,同条は,契約の性質上規格,品質等があらかじめ決まっており,他の者でも代金を算出することが可能な契約類型を念頭に置いた規定であるというのが相当である。 b これに対し,本件業務委託 あるから,同条は,契約の性質上規格,品質等があらかじめ決まっており,他の者でも代金を算出することが可能な契約類型を念頭に置いた規定であるというのが相当である。 b これに対し,本件業務委託契約は美術品の制作を依頼するものであるから,契約の性質上,他の者でも同じ立場で価格を見積もるということは不可能であるといわざるを得ない。 c 加えて,被控訴人長崎市は,数人の候補者から条件を満たす者としてあえてhを選んだものでもある。 d 以上の諸事情を考慮すると,被控訴人eが,本件は上記規則24条1項ただし書の「特別の理由により市長がやむを得ないと認めるとき」に該当すると判断し,h以外から見積書を徴しなかったことが違法であるとまでいうことはできない。 e したがって,引用に係る原判決11頁25行目から12頁2行目までのcの主張は,採用できない。 (ウ)a 引用に係る原判決12頁3行目から12行目までのd,e,fの主張について判断するに,随意契約締結後の予定価格書の作成及び見積書の内容(第3の3(9)ウ(ア)・(イ)参照)はやや簡略であるとの感は免れないものの,本件業務委託契約の目的が美術品の制作であり,客観的に価格を把握することが困難であることその他上記認定の諸事情にかんがみれば,これをもって違法であるとまでいうことも困難である。 b よって,上記d,e,fの主張も理由がない。 (5) 憲法13条,19条,21条1項違反の主張についてア当裁判所も,本件においては,所論の違法はないと判断する。 イその理由は,原判決22頁6行目から13行目までのとおり(ただし,6行目から7行目にかけて及び12行目の各「原告a外4名」を各「控訴人ら」に改める。)であるから,これを引用する。 (6) 地方自治法10条2項 原判決22頁6行目から13行目までのとおり(ただし,6行目から7行目にかけて及び12行目の各「原告a外4名」を各「控訴人ら」に改める。)であるから,これを引用する。 (6) 地方自治法10条2項,244条2項,3項違反の主張についてア当裁判所も,本件においては,所論の違法はないと判断する。 イその理由は,原判決22頁15行目から23行目までのとおり(ただし,21行目から22行目にかけての「原告a外4名」を「控訴人ら」に改める。)であるから,これを引用する。 (7) まとめアよって,(A)請求は理由がないから,これを棄却した原判決部分(原判決主文第1項の一部)は相当である。 イ同部分に関する控訴人らの控訴は理由がなく,棄却を免れない。 5 (B)請求(控訴人3名の被控訴人長崎市に対する母子像撤去請求。第1の1(3)及び第2の2(1)参照)について(1) 4(1),(5)及び(6)において,認定,判断したとおり,被控訴人長崎市が完成母子像を中心地地区内に設置したことは,ア憲法20条1項ないし3項及び89条イ同13条,19条及び21条1項,ウ地方自治法10条2項,244条2項,3項に反するものと認めることはできない。 (2) したがって,(1)アないしウ違反を前提とする(B)請求(控訴人3名のなす,不法行為に基づく妨害排除請求としての完成母子像撤去請求)は,その前提を欠くところ,他に,同被控訴人の完成母子像設置が不法行為に当たると認めるに足りる証拠もないから,(B)請求は根拠を欠くものである。 (3) まとめアよって,(B)請求は理由がないから,これを棄却した原判決部分(原判決主文第1項の一部)は相当である。 イ同部分に関する控訴人らの控訴は理由がなく,棄却を免れない。 第6 結論 1 以上のとおり,( って,(B)請求は理由がないから,これを棄却した原判決部分(原判決主文第1項の一部)は相当である。 イ同部分に関する控訴人らの控訴は理由がなく,棄却を免れない。 第6 結論 1 以上のとおり,(1)ア (C)請求に係る訴えを不適法として却下し,イ (D)請求に係る訴えを不適法として却下し,(2)ア (A)請求を棄却し,イ (B)請求を棄却した原判決は,いずれも相当である(第5の2(6),3(2),4(7)及び5(3)の各ア参照)。 2 よって,(1) 本件控訴はいずれも理由がないから,これを棄却し(第5の2(6),3(2),4(7)及び5(3)の各イ参照),(2) 控訴費用は控訴人らに負担させることとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官簑田孝行裁判官駒谷孝雄裁判官藤本久俊(別紙図面省略)
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