- 1 -令和元年第1524号威力業務妨害被告事件 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,令和元年8月2日午前6時32分頃,愛知県一宮市ab丁目c番d号甲a店において,同店に設置されたファクシミリ機能付きマルチコピー機を使用して,「あいちトリエンナーレ2019」が開催されていた名古屋市東区東桜1丁目13番2号愛知芸術文化センター愛知県美術館11階学芸員室に設置されたファクシミリ機能付き複合機に,「要らねえだろ史実でもねえ人形展示。」,「FAX届き次第大至急撤去しろや!!」,「さもなくば,うちらネットワーク民がガソリン携行缶持って館へおじゃますんで~」等と記載した書面を送信し,同日午前8時50分頃,前記愛知県美術館学芸員らを介して,あいちトリエンナーレ実行委員会事務局を務める愛知県県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室主幹乙らに前記書面を閲読させ,同人らに,関係部署への報告,警察への通報,経過報告資料の作成等を余儀なくさせ,同人らの正常な業務の遂行に支障を生じさせ,もって威力を用いて人の業務を妨害したものである。 (法令の適用)罰条 刑法234条刑種の選択 懲役刑を選択未決勾留日数の算入刑法21条刑の執行猶予 刑法25条1項訴訟費用の処理刑訴法181条1項ただし書(不負担)(量刑の理由)- 2 -本件は,被告人が,国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」での「平和の少女像」の展示を中止させるために,コンビニエンスストアから同少女 条1項ただし書(不負担)(量刑の理由)- 2 -本件は,被告人が,国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」での「平和の少女像」の展示を中止させるために,コンビニエンスストアから同少女像の展示会場である美術館に宛てて,その展示を中止しなければ,同美術館にガソリンをまいて放火することをほのめかす内容の書面を匿名でFAX送信し,同芸術祭の担当職員らの業務を妨害した事案である。 本件犯行は,ガソリンを用いた放火により多数の死傷者が出た事件の発生から間もない時期に,来館者の多い美術館に宛てて,同様の事件をほのめかす内容の書面を送付したものであって,同書面を閲読した者に強い恐怖心を抱かせるものといえるから,その点で悪質である。対応に追われた関係者が被告人の厳重処罰を望むのも当然である。 そうすると,被告人の刑事責任を軽く見ることはできないが,被告人が事実を認めて反省の態度を示すとともに,謝罪の意を示していること,30年以上前の過失犯による罰金前科以外に前科がないことなど,被告人のために酌むべき事情も認められるので,被告人に主文の刑を科した上でその執行を猶予するのが相当であると判断した。 (検察官吉川剛史,同河田夏緒里,同庭野永基,国選弁護人岩城善之各出席)(求刑懲役1年6月)令和元年11月14日名古屋地方裁判所刑事第5部裁判長裁判官板津正道裁判官西脇真由子裁判官新田浩志
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