- 1 -平成24年12月5日判決言渡平成21年(ワ)第2508号雇用関係確認等請求事件 主文 1 被告株式会社TEIは,原告P1,同P2,同P3,同P4,同P5,同P6,同P7,同P8,同P9,同P10,同P11及び同P12に対し,別紙1「支払金額一覧」の各原告に対応する「支払元金総額」欄記載の各金員及び各原告に対応する各「支払元金月額」に対する各「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 原告らの被告トルコ航空会社に対する請求をいずれも棄却する。 3 原告P13の被告株式会社TEIに対する請求を棄却する。 4 原告P1,同P2,同P3,同P4,同P5,同P6,同P7,同P8,同P9,同P10,同P11及び同P12の被告株式会社TEIに対するその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,被告らに生じた費用の13分の1及び原告P13に生じた費用を原告P13の負担とし,被告トルコ航空会社に生じたその余の費用,原告P13を除く原告らに生じた費用の10分の9及び被告株式会社TEIに生じた費用の13分の11をいずれも原告らの負担とし,原告P13を除く原告らに生じたその余の費用及び被告株式会社TEIに生じたその余の費用を被告株式会社TEIの負担とする。 6 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告らが,被告らに対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告らは,連帯して,原告らに対し,平成21年3月以降本判決確定の日ま- 2 -で,毎月末日限り,各51万4800円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は ,平成21年3月以降本判決確定の日ま- 2 -で,毎月末日限り,各51万4800円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告らが被告らに対し,いずれの被告との間にも雇用契約関係にあったことを前提として,被告らから平成21年1月15日に予告された同年2月28日付け解雇の意思表示(以下「本件解雇」という。)が無効であるとして,雇用契約に基づき,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,同年3月以降の賃金及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 前提となる事実(当事者間に争いのない事実及び後掲各証拠により容易に認めることができる事実)(1) 当事者ア被告ら(ア) 被告トルコ航空会社被告トルコ航空会社(以下「被告トルコ航空」という。)は,昭和8年(1933年)にトルコ国防省の国家航空事業運営部として設立され,公共事業省移管を経て昭和13年(1938年)に運輸省国家航空業務局となり,昭和31年(1956年)3月1日に国営の特別会社となって現在に至っており,日本国内にも支店を有し,その旨の登記手続をしている。同社は,平成20年(2008年)7月1日以降,トルコと日本との間の路線のコードシェア相手をP14に変更している。 (イ) 被告株式会社TEI被告株式会社TEI(以下「被告TEI」という。)は,昭和51年9月18日に設立された資本金5000万円の株式会社であり,平成19年1月時点での従業員数は1970名(内専従スタッフ72名)で,- 3 -日本国内に8か所の支店を有する。同社の主たる業務は,国内の主要空港での旅客送迎,関連施設の運営, 株式会社であり,平成19年1月時点での従業員数は1970名(内専従スタッフ72名)で,- 3 -日本国内に8か所の支店を有する。同社の主たる業務は,国内の主要空港での旅客送迎,関連施設の運営,委託業務,添乗員の派遣等であり,労働者派遣事業および紹介業を営む者として厚生労働大臣の許可を得ている。(以上,乙ロ1)被告らの間に資本関係,人的関係はなく,被告TEIは,被告トルコ航空以外の航空会社にも客室乗務員を派遣している(証人P15)。 イ原告ら原告らは,別紙2「原告生年月日等一覧」の「生年月日」欄記載の日に出生した女性であり,いずれも,同「採用年月日」欄記載の日に,被告TEIに採用された者である(甲2の1ないし13,甲3の1及び2,乙ロ2,3,13ないし23,35。以下,原告らについては,「原告P1」などと,その氏のみをもって呼称する。)。 (2) 被告らの間の契約関係被告らは,おおむね毎年7月1日(8月1日や9月1日にされるときもあった。),期間をほぼ1年間として,サービスアグリーメントと題する契約(以下,この契約を,単に「サービスアグリーメント」という。)を締結・更新してきた。同契約の内容については後記のとおり当事者間に争いがある上,時期による契約内容の変遷はあるが,その第1条において,被告TEIが被告トルコ航空に対し,被告トルコ航空のトルコと日本の間で就航される各定期航空便及び帰国便に対し日本人乗務員サービスを提供する旨の定めがある点は共通している(乙イ1など)。 そして,被告らは,平成20年7月には,暫定的に同月1日から同年8月末までの期間について,同旨の契約を締結し,その後,同年9月1日,期間を同日から平成21年8月末日までとする同旨の契約(以下「本件サービスアグリーメント」という。)を締結した(乙 月1日から同年8月末までの期間について,同旨の契約を締結し,その後,同年9月1日,期間を同日から平成21年8月末日までとする同旨の契約(以下「本件サービスアグリーメント」という。)を締結した(乙イ1ないし3)。 (3) 原告らの就労- 4 -ア応募・採用条件被告TEIは,客室乗務員として1年以上勤務した経験を有し,英検準1級もしくはTOEIC700点以上の能力と美しい日本語を話せること,30歳程度未満のものであることを条件として,被告トルコ航空の機内での業務に就く客室乗務員を募集していた(乙ロ4。ただし,募集の法的性質については,当事者間に争いがある。)。 イ契約書の作成被告TEIが作成して原告らに示し原告らが署名押印した契約書又は雇用契約書(以下「本件契約書」という。)において定められていた原告らの就労条件の概要は,以下のとおりである(甲22のBの16,乙ロ2,3,9,13ないし23,35)。 ①期間:契約締結の日から12か月間②勤務形態:業務は被告TEIの定めるスケジュール表に従って行うものとする。業務の都合によりスケジュール上の労働時間を超えて労働することがある。 ③休日:日曜祝祭日に拘わりなくスケジュールに定められた日を休日とする。 ④就業場所:トルコ航空機内,出発及び到着地の空港内または被告TEIが定める場所⑤業務内容:機内における通訳案内,旅客接遇,空港内における案内業務,または被告TEIの指定する業務⑥賃金:給与支払基準表で定める(「Standbydutyallowance」,「Dutydayallowance」,「Flightallowance」,「Layoverallowance」及び「交通費(往復)」の費目毎に,採用時期及びベース〔新東京国際空港か関西 ,「Dutydayallowance」,「Flightallowance」,「Layoverallowance」及び「交通費(往復)」の費目毎に,採用時期及びベース〔新東京国際空港か関西空港か〕に応じて単価が定められている。乙ロ9)- 5 -支払方法は,毎月末日締め翌月末日払(勤務表に基づき当該月末までに帰着分の給与及び交通費の金額を翌月末日までに口座に振り込む)とする。 ⑦遵守事項:別紙3「遵守事項」記載のとおり(以下「本件遵守事項」という。)⑧解約条項:被告トルコ航空の都合により同社と被告TEIとの契約内容が変更になった場合又は契約が終了した場合には,従業員(原告ら)との雇用期間の途中であっても本契約を解除又は終了させることができる(以下「本件解約条項」という。)。 ⑨契約更新:原告らと被告TEI双方の合意に基づき更新する場合があり,更新する場合には,(a)契約満了時点の業務の有無又は業務量,(b)本人の職務能力,就業成績,健康状態等に基づき,契約期間満了の1か月前までに更新手続きを完了する。 ウ就労状況原告らは,被告TEIから,別紙2「原告生年月日等一覧」の「採用年月日」欄記載の日付けで採用された旨の通知を受け,同時にイスタンブールにある被告トルコ航空の研修センターにおいて,同社のインストラクターから1週間の訓練を受け,訓練が終了したその日のうちに帰国して業務に就いた。 原告らは,採用後,上記のとおり被告トルコ航空での教育訓練を受けた上,本件契約書に記載されたところに従って業務を遂行してきた(本件訴訟提起時点において,被告TEIでは原告らに適用される就業規則は存しなかった。)。 (4) 乗務員人数の変更等- 6 -被告トルコ航空は,被告TEIに対し,平成20年8月15日,原告らの 訴訟提起時点において,被告TEIでは原告らに適用される就業規則は存しなかった。)。 (4) 乗務員人数の変更等- 6 -被告トルコ航空は,被告TEIに対し,平成20年8月15日,原告らの業務を「通訳」として,一便についてこれまでの2人体制から1人体制に変更することを通知した。 その後,被告TEIと被告トルコ航空との間で,同月29日,2名乗務を継続する期間をとりあえず2か月確保し,同年11月1日以降の業務については,引き続き関係当事者との間で協議することを確認した上,前記のとおり,同年9月1日,本件サービスアグリーメントの締結をした(乙イ1ないし3)。 その後,被告トルコ航空は,被告TEIに対し,被告TEIとの間の合意に基づき,同年11月1日以降の原告らの業務を1人体制として勤務割を実施することを通知した。その結果,原告らのフライト回数及び時間は大幅に減少し賃金は半額程度にまで減額されることとなった(以下「本件条件変更」という。)。 (5) 原告らによる労働組合の結成ア原告らは,従前から被告らに対し,労働条件の改善を求めていたところ,平成20年9月17日,P16ユニオンに加入し,P16ユニオン・P17支部(以下「本件組合」という。)を結成して,同日付け「組合結成通告兼要求書」と題する書面をもって,被告トルコ航空及び被告TEIにこれを通知するとともに,労働協約の締結,団体交渉の実施を求めた(甲11の1,2)。 イその後,本件組合は,同年10月28日付け「争議行為開始通知書」と題する書面をもって,被告トルコ航空が団体交渉に応じないことなどを理由として,同被告に対し,翌29日以降,争議行為を開始する旨を通知した(甲17)。 (6) 原告らの解雇等ア被告トルコ航空は,被告TEIに対し,平成20年11月27日 渉に応じないことなどを理由として,同被告に対し,翌29日以降,争議行為を開始する旨を通知した(甲17)。 (6) 原告らの解雇等ア被告トルコ航空は,被告TEIに対し,平成20年11月27日,原告- 7 -らが従事してきた業務にトルコ人乗務員をもって充てることを理由として,平成21年2月26日をもって約定に従い本件サービスアグリーメントを終了させる旨の通告をした(乙イ6)。 イ被告TEIは,原告ら(平成20年6月29日付けで雇用期間満了により雇用関係が終了した扱いとなっていた原告P13を除く。)に対し,平成20年11月28日,被告トルコ航空からの前記契約解除通告の事実を告知し,さらに平成21年1月15日付けで,同年2月28日をもって解雇する旨の解雇予告通知書を交付して,同日,原告らを解雇した(本件解雇,乙ロ7)。 ウまた,被告TEIは,平成21年5月16日付けの第1準備書面において,予備的に,原告P13を除く原告らとの雇用契約につき平成21年6月末日をもって契約期間満了により終了し,更新を行わない旨の意思表示をし,同意思表示は,そのころ,原告らに到達した(以下「本件雇止め」という。)。 なお,被告TEIは,原告P13に対しては,本件解雇以前の平成20年5月30日に,契約の更新を行わない旨の意思表示をしている(甲22のBの56。以下「原告P13に対する雇止め」という。)。 (7) 本件訴訟の経緯ア原告らは,本件訴訟において,当初,被告らの間の契約関係(サービスアグリーメント)が在籍出向契約であるとして構成し,原告らの雇用契約関係は,被告TEIとの間のみならず,被告トルコ航空との間にも分属する旨の主張をしていた。 イまた,原告らの上記主張に対応して,被告トルコ航空は,本案前の主張として,「被告らの間が在籍 雇用契約関係は,被告TEIとの間のみならず,被告トルコ航空との間にも分属する旨の主張をしていた。 イまた,原告らの上記主張に対応して,被告トルコ航空は,本案前の主張として,「被告らの間が在籍出向契約であると解されるとしても,被告TEIが賃金支払義務を負っていることに争いがない以上,出向労働者である原告らは,被告トルコ航空に対し労務の提供義務を負っているにすぎな- 8 -いから,結局,原告らの被告トルコ航空に対する雇用契約上の地位確認の訴えは,義務の存在確認を求める訴えにほかならず,確認の利益を欠くものであるから却下されるべきである。」旨主張していた。 ウそして,原告らは,同主張を前提として作成された争点整理書(平成23年4月14日の第14回弁論準備手続調書に添付されたもの)についても異議を述べなかった。 エしかるに,原告らは平成24年8月22日の第4回口頭弁論期日(最終の口頭弁論期日)において,「原告らは被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約の成立を主張するものであり,それが在籍出向に似ているという意味で『在籍出向類似の法律関係』と述べたのである。」と主張するに至り,サービスアグリーメントが在籍出向契約であることを前提とした主張を撤回した。被告らも,かような原告らの訴訟追行態度(主張内容の変遷)について,格別異議を述べなかった。 2 争点及び当事者の主張本件の争点及び当事者の主張は,以下のとおりである。 なお,前提事実(7)イ記載の被告トルコ航空の本案前の主張については,同エのとおり,原告らの「サービスアグリーメントは在籍出向契約である」旨の主張が撤回された以上,その前提を失ったといわざるを得ないから,これを採用する余地はないことに帰する。 (1) 原告らと被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約の成否(争点1) 在籍出向契約である」旨の主張が撤回された以上,その前提を失ったといわざるを得ないから,これを採用する余地はないことに帰する。 (1) 原告らと被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約の成否(争点1)(原告らの主張)以下の事実関係にかんがみれば,原告らと被告トルコ航空との間には,黙示の雇用契約が成立しているというべきである。 ア原告らの採用と就業(ア) 被告TEIは,被告トルコ航空の客室乗務員の募集,採用行為を代行して,同被告が設定した客室乗務員の募集,採用基準,条件の下に原- 9 -告らを選定し,被告トルコ航空は原告らをその設置する訓練機関において,訓練させた結果に基づいて原告らの採用を最終的に決定していた。 被告TEIが被告トルコ航空から独立した企業体であるのはそのとおりであるとしても,サービスアグリーメントによれば,被告TEIは,日本・イスタンブール間のトルコ航空機の運航に関し,個々のフライト毎に日本人スタッフを割り当てて配置する管理を分担するという意味で,実体的に被告トルコ航空の業務運営に有機的に組織されていたし,被告トルコ航空が28歳以下の女性であることなどをその採用の条件と定めるのみならず,一定の技能レベルを指定し,同サービスアグリーメント10条において,被告TEIからの労働者に技能が備わっていないと判断したときは,事実上その交替を求めることができる旨定められていた。加えて,本件契約書には,被告トルコ航空の都合により契約が終了したときには原告らを解雇することができる旨の記載があるが(本件解約条項),このことは,被告トルコ航空が実質的に原告らの雇用関係を決していたことの証左であるといえる。 以上のとおり,実態として,被告トルコ航空が原告らの雇用について直接的かつ現実的な決定権を有していたという以外に 被告トルコ航空が実質的に原告らの雇用関係を決していたことの証左であるといえる。 以上のとおり,実態として,被告トルコ航空が原告らの雇用について直接的かつ現実的な決定権を有していたという以外にない。 (イ) 被告TEIは被告トルコ航空の運航スケジュールに従って原告ら客室乗務員の乗務する便を割り振って就業時間を調整・決定し,原告らは,その指示に従って,被告トルコ航空の指揮監督の下に就業してきた。 その経過において,被告トルコ航空は,雇用契約上自ずから指定した業務と責任の範囲をはるかに超えて,被告トルコ航空の業務上の必要に基づき,原告らに対し,被告トルコ航空のPR業務(TV出演など)や降機口からホテル送迎バス乗り場までのトルコ人乗務員のアテンド(本来であれば空港職員が行うべき業務)などの世話やき業務に従事するよう命令したり,緊急事態が生じた場合などには原告ら客室乗務員のフラ- 10 -イトを独自の判断に基づいて編成するなど,原告らの勤務の割振りを直接決定し,客室乗務員の勤務状況を問題にして解雇を求めたりすることもあった。 このような原告らの労務提供に対する賃金の支払は,乗務する便及び就業時間を割り振り決定した被告TEIの計算のもとに,同被告が源泉徴収・労働・社会保険料の徴収等賃金支払に必要な手続きをした上でされてきたが,原告らの労働時間及び賃金は実質的には被告トルコ航空が決定しており,原告らと被告トルコ航空との間で賃金等の待遇に関する話合いがもたれたこともあった。 (ウ) 被告らは,サービスアグリーメントが被告トルコ航空の都合により終了したことをもって自動的に原告らの雇用が終了するものとして解雇通告を発したものであり,被告トルコ航空は原告らの雇用の継続に決定権を有していた。 イ原告らと被告トルコ航空との待遇交渉 り終了したことをもって自動的に原告らの雇用が終了するものとして解雇通告を発したものであり,被告トルコ航空は原告らの雇用の継続に決定権を有していた。 イ原告らと被告トルコ航空との待遇交渉原告らの労働条件は劣悪であり,あまりの低賃金のために労働・社会保険に加入することもままならず,乗務員が耐えかねて短期で辞めるために職務の熟練も形成しがたい状況にあった。そのため原告らは,被告らに対し,悪循環を断ち切るためにも賃金等労働条件の改善を求めた。 平成20年5月13日には,被告トルコ航空と原告らの直接の協議の機会も持たれたが,これは,被告TEIが積極的に原告らにその機会を持つよう働きかけて設定されたもので,原告らの賃金等の待遇を決定しているのは被告トルコ航空であるがゆえになされた措置であった。 ウ被告TEIと被告トルコ航空間の契約関係(ア) 両被告間の契約関係は,1年の契約期間の定めのあるサービスアグリーメントであると説明されてきたが,その契約関係は,被告トルコ航空旅客機が日本に就航するようになって以降18年にわたって,毎年7- 11 -月1日に更新して継続させられてきたものであった。 (イ)a 被告TEIは,このサービスアグリーメントについて,労働者派遣契約であると主張しているが,そもそも労働者派遣とは,「自己の雇用する労働者を,第三者の指揮命令下において働かせ当該第三者が雇用しない」ものをいうとされており(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律〔以下「労働者派遣法」という。〕2条1項),それ故に,当該第三者は受け入れる労働者を選別することを許さない(労働者の特定行為禁止,同法26条7項)こととされ,労働者派遣契約として成立するのに必要な要素を法定している(同法26条1項)。また, れ故に,当該第三者は受け入れる労働者を選別することを許さない(労働者の特定行為禁止,同法26条7項)こととされ,労働者派遣契約として成立するのに必要な要素を法定している(同法26条1項)。また,労働者派遣法施行令4条所定の業務(いわゆる専門26業務)以外の業務(臨時的・一時的な業務)については,期間制限を置いてそれを超える役務の提供を禁止し(同法40条の2),原則1年を超える労働者派遣契約の締結をそもそも予定していない。そして,同法は,設定した期間制限を超える労働者派遣契約の締結を禁止し,しかもこの制限に違反したときは,同法49条の2に基づく制裁規定をもって,派遣先に当該労働者を直接雇用させるなどの制裁を課している。また,被告トルコ航空が主張するように,仮に原告の就労関係が海外派遣に当たるとした場合,派遣元事業主は労働者派遣法26条3項所定の事項を定める必要がある。 b しかるに,前記ア(ア)のとおり,被告トルコ航空は,被告TEIを自らの募集・採用代行者として,原告らにつき訓練を実施して客室乗務員としての知識や技能を有するかにつき審査して就業の受入を決定するなど,就業させる客室乗務員の特定行為を行っている。また,サービスアグリーメントの記載内容も,派遣元責任者・派遣先責任者・指揮命令者などの特定及び明示など労働者派遣契約に不可欠な要素が- 12 -特定されておらず,前記雇用契約書にも原告らが労働者派遣関係の下で働くことの明示もない。しかも,契約で指定された業務も,募集条件とされていた業務の内容(トルコ航空客室乗務員)も,上記専門26業種のいずれにも該当するものではなく,被告ら間の契約では,政令に定めるどの業務に当たるかの特定もなされていない。加えて,被告トルコ航空は,原告らに交付し署名捺印させた本件契約書において,年齢, 6業種のいずれにも該当するものではなく,被告ら間の契約では,政令に定めるどの業務に当たるかの特定もなされていない。加えて,被告トルコ航空は,原告らに交付し署名捺印させた本件契約書において,年齢,身長・体重,身につけた語学の種類や健康であることを直接要求し,しかもその業務の範囲を採用段階においてあらかじめ示している。 被告TEIは,許可を取得した派遣元事業主であることを自称するが,派遣元事業主である被告TEIが,労働者派遣法26条に定める規制を全く考慮しないで締結したサービスアグリーメントは,契約当事者の意思解釈としても労働者派遣契約とはいい難い。 そもそも,被告らの間のサービスアグリーメントに基づく契約関係は,就労する労働者を専ら被告トルコ航空においていかようにも訓練して使用することができるというものであり,契約の目的は,被告TEIが訓練した労働者が,その職務を遂行することを介して被告トルコ航空に対して提供する「サービス」ではなく,人材そのものを供給することを目的とするものであり,このような点からもサービスアグリーメントは労働者派遣契約とは言い難い。 以上によれば,労働者派遣法26条及び34条に違反する被告ら間のサービスアグリーメントの私法上の効力がないというべきであり(労働者派遣法の規定内容とその意味を考慮すれば,制裁的雇用責任を定めた同法49条の2を始め,その多くの規定が私法上の効力に影響を及ぼす規定(効力規定)であることを否定すべきではない。),被告トルコ航空が原告らを指揮監督の従属関係の下においてその権限- 13 -を行使できる法的根拠は,原告らと被告トルコ航空の間に,直接の雇用契約関係が成立しているという以外にはないといわざるを得ない。 c なお,被告トルコ航空は,そもそもサービスアグリーメントについ -を行使できる法的根拠は,原告らと被告トルコ航空の間に,直接の雇用契約関係が成立しているという以外にはないといわざるを得ない。 c なお,被告トルコ航空は,そもそもサービスアグリーメントについては,そのサービスが提供される場所の大半が海外であることにかんがみ,我が国の労働者派遣法が適用されない旨主張する。 しかし,海外派遣については,労働者派遣法26条3項により派遣元事業主に対し所定の事項を定めるよう義務付けており,海外法人にも契約上国内法を遵守するよう義務付けているものであるから,海外法人に対し全く規制が働かないという主張は誤りである。 また,航空機は,各国の航空関連の法規制である国際民間航空機関(ICAO)のシカゴ条約に基づいて国際運航されることになっているところ,同条約によれば,加盟国は条約に基づいて国内法を整備し,民間航空事業者を規制しなければならないとされるとともに,「運航者は,海外における全ての従業員が,運航が行われる国の諸法律,諸規則及び諸方式の遵守義務について周知徹底を確実にしなければならない。」(同条約第6付属書第1部第3章3.1.1,甲8の2)とされ,被告トルコ航空の規則等でも運航相手国の法律及び規則を遵守することを定めている。これによると,本件における原告らと被告らとの雇用関係についても,我が国の労働者派遣法の適用を受けるのは当然というべきである。 d そもそも,トルコ共和国民間航空規則(以下,単に「民間航空規則」という。)21条7項(乙イ7)には,「運航事業者が業務上必要と認識する状況で,民間航空局から事前に許可を受ける条件において,他の運航事業者に属する運航及び客室乗務員を,1か月を超える期間であれば,業務に従事させることができる。」などと規定されているところ,ここにいう「他の運航事業者に ら事前に許可を受ける条件において,他の運航事業者に属する運航及び客室乗務員を,1か月を超える期間であれば,業務に従事させることができる。」などと規定されているところ,ここにいう「他の運航事業者に属する運航及び客室乗務員」- 14 -とは,他の航空会社に所属する乗務員を意味するものである。すなわち,「運行事業者」とは,シカゴ条約の規定からは,所属する国から免許を受けた航空会社を意味することは明らかであって,被告TEIは「運行事業者」ではない。また,被告トルコ航空の乗務員資格証明書(Certificate,甲2の1ないし13)を交付されている者は,他の航空会社に所属する乗務員たり得ない。要するに,この条項は,客室乗務員が航空会社に直接雇用されずに乗務することを禁じている。また,トルコ共和国の労働法は,航空業務(航空業務に関する地上業務を除く。)に適用されないとされており,(トルコ国労働法4条,甲10),労働関係をはじめとする規律は,上記民間規則に委ねられているところ,同規則によれば,前記のとおり,航空事業者に直接雇用される者のみが乗務することを許されている。したがって,原告らの就業実態は,民間航空規則に則るものとして被告トルコ航空に直接雇用される労働者というべきであった。実際に,原告らについては,客室乗務員として航空機運航の編成人員とされており(甲4の1ないし15),当局との関係では,被告トルコ航空は,原告らを直接雇用している労働者として申告していたものである。この点も,本件サービスアグリーメントが労働者派遣契約関係であるとすれば矛盾する。 e このような契約関係の成立に至る過程と内容によれば,両被告間の契約関係が,その雇用する労働者を第三者の指揮命令の下で働かせ,第三者が当該労働者を雇用しないことを条件とする労働者派遣契約で 。 e このような契約関係の成立に至る過程と内容によれば,両被告間の契約関係が,その雇用する労働者を第三者の指揮命令の下で働かせ,第三者が当該労働者を雇用しないことを条件とする労働者派遣契約であるといえないことは明白である。 (ウ) 仮に本件契約関係を,労働者派遣法2条1号に定める労働者派遣の定義に基づく派遣契約として法的に容認できるとしても,派遣制限期間を超えて同一の業務で継続して1年を超えて就業した場合には,被告トルコ航空には,労働者派遣法40条の3に基づく制裁的雇用責任が課せ- 15 -られる関係にある。 エ原告と被告らとの雇用関係このように,被告TEIは,被告トルコ航空の採用条件に基づいて被告トルコ航空を代行し,また自己の名において募集採用手続きを踏み,原告らを採用した上,被告TEI及び被告トルコ航空が作成した雇用契約書に原告らに署名捺印させ,原告らの勤務を割り振って被告トルコ航空の指揮監督のもとに就労させ,併せて賃金計算その他所定の手続きを践んで原告らに賃金の支払をしてきたものであるから,原告らとの間で雇用関係上の地位にある。 そして,被告トルコ航空も,原告らに同被告が設定した前記契約条件に同意させて原告らを被告TEIに採用させ,原告らを自己の航空機の運航スケジュールと指揮監督の下に乗務させ,原告らの賃金等待遇を実質的に決定してきたものであって,原告らとの待遇交渉や前記のサービスアグリーメントの私法上の効力をも踏まえるときは,原告らとの間で雇用関係上の地位(直接の雇用契約関係)にあるというべきである。 (被告トルコ航空の主張)以下のとおり,原告らと被告トルコ航空との間の雇用契約関係を基礎付ける事実は存せず,両者間に雇用契約関係は存しない。 ア原告らの採用と就業(ア) 原告らは,被告TEIにお ルコ航空の主張)以下のとおり,原告らと被告トルコ航空との間の雇用契約関係を基礎付ける事実は存せず,両者間に雇用契約関係は存しない。 ア原告らの採用と就業(ア) 原告らは,被告TEIにおいて,別紙2「原告生年月日等一覧」の「採用年月日」欄記載の年月日付けで,トルコ航空便を就業場所とする派遣客室乗務員として採用されたものである(本件遵守事項ト)。 被告トルコ航空は,約18年前から被告TEIとのサービスアグリーメントに基づき,被告TEIと雇用関係にある者を機内通訳者として,被告TEIから受け入れていたもので,原告らと被告TEIとの間の雇用契約書やサービスアグリーメントには,原告らと被告トルコ航空との- 16 -間で雇用契約関係が成立していない旨の記載がある(乙イ1〔第5条〕,本件遵守事項ト参照)。また,被告トルコ航空が採用手続に関与することはなく,被告TEIが採用面接・筆記試験を実施して人選を行い,被告トルコ航空の派遣客室乗務員を採用していた。 (イ) 原告らの労務管理は被告TEIの定めに基づいて行われており,被告トルコ航空が定めていたわけではないし,原告らと被告TEIとの間の雇用契約書を作成したのは,被告TEIであり,この作成過程に被告トルコ航空は全く関与していない。また,被告トルコ航空が雇用契約上原告らに業務及び責任の範囲を指定していない。また,被告TEIと原告らとの間の本件契約書には,原告らは被告TEIの指示するPR活動及びセールスプロモーション活動に積極的に参加する旨規定されており(本件遵守事項ニ),被告TEIの業務命令の一環として原告らが被告トルコ航空のPR活動を行うことは被告TEIと原告らとの雇用契約の範囲内といえる。 なお,原告らは,被告トルコ航空が原告らに訓練を実施し,その機会に客室乗務員として 令の一環として原告らが被告トルコ航空のPR活動を行うことは被告TEIと原告らとの雇用契約の範囲内といえる。 なお,原告らは,被告トルコ航空が原告らに訓練を実施し,その機会に客室乗務員としての知識や技能を有するかを審査して就業の受入を決定しているもので,労働者の特定行為を行っている旨主張するが(労働者派遣法26条7項参照),被告トルコ航空は,原告らに対しては雇用した客室乗務員に対し実施する教育訓練の一部しか実施しておらず,この点からも,原告らと被告トルコ航空との間に客室乗務員としての雇用契約関係が存在しないことが裏付けられる(トルコ共和国の民間航空局が客室乗務員に交付する証明書は「CREWMEMBERCERTIFICATE」〔乙イ18〕であるところ,原告らに交付されている証明書は,被告トルコ航空が発行する「CABINCREWCERTIFICATE」(甲2など)であり,上記「CREWMENBERCERTIFICATE」ではない。)。 (ウ) また,被告トルコ航空は原告らに対して解雇の意思表示をしたこと- 17 -もなく,原告らと被告トルコ航空との間には契約関係はないので,そもそもそのような権限すらない。さらに,原告らの労働時間及び賃金は,実質的にも形式的にも被告TEIが決定していた。すなわち,労働時間については,「日本-トルコ間」の運航スケジュール自体は被告トルコ航空が定めていたが,このスケジュールを基準として,原告ら個々人についての労働時間に関わる勤務割は,被告TEIが決定していた。 (エ) また,賃金について,被告トルコ航空は,原告らが被告TEIから支給を受けていた給与額さえ知らず,給与額を事実上決定していた事実もない。原告らの給与額は,被告TEIが自らの計算と裁量で決定していた。原告らの労働時間,配置を含む コ航空は,原告らが被告TEIから支給を受けていた給与額さえ知らず,給与額を事実上決定していた事実もない。原告らの給与額は,被告TEIが自らの計算と裁量で決定していた。原告らの労働時間,配置を含む具体的な就業態様決定についても,被告TEIが決定しており,被告トルコ航空は全く関与していない。 (オ) 被告トルコ航空は,サービスアグリーメントにつき,被告TEIから日本法においても適法な契約であるとの説明を受けて締結したものであることから,それ以上に日本法において,どのような性質を有する契約であるかまでは認識しておらず,この点を特に問題にしてこなかった。 なお,サービスアグリーメントにおいて被告TEIが提供するサービスの大半は,トルコ航空機内において他国の領空を通過しつつ行われるところ,これに従事する原告らの就労時間(1便につき約14ないし15時間)の大半は,わが国の労働者派遣法の施行地外で行われるもので(わが国での所要時間は,成田国際空港や関西国際空港における約2時間程度にすぎない。),いわゆる海外派遣(労働者派遣法23条3項)であるから,労働者派遣法は,派遣先において適用されないと解される。 原告らは,条約や民間航空規則等の規定を挙げて,被告トルコ航空には日本法を遵守すべき義務があると主張するが,そもそも,被告トルコ航空としては,上記のとおり日本の労働者派遣法が被告トルコ航空には適用されない旨主張しているのであるから,原告らの上記主張は当を得- 18 -ないものである。 (カ) さらに,原告らは,民間航空規則やトルコ国労働法を引用して,トルコ共和国の関係法規において,客室乗務員については直接航空会社に雇用される法制となっている旨主張するが,被告トルコ航空が,原告らを被告トルコ航空の客室乗務員として就労させた事実はない上, して,トルコ共和国の関係法規において,客室乗務員については直接航空会社に雇用される法制となっている旨主張するが,被告トルコ航空が,原告らを被告トルコ航空の客室乗務員として就労させた事実はない上,トルコ民間航空局その他の機関から,原告らを直接雇用していなかったことが民間航空規則等の関係法規に抵触するなどとの指摘を受けたことはないのであるから,この点をもって,原告らとの間の雇用契約関係が基礎付けられるものではない。 イ原告らと被告トルコ航空との待遇交渉平成21年2月当時,被告TEIには17名の被告トルコ航空への派遣客室乗務員が在籍していたが,平均勤続年数は4.7年と必ずしも短期ではなく,職務の熟練を形成しがたい状況であったわけではなく,その雇用条件は劣悪ではなかった。 また,原告ら数名と被告トルコ航空関係者及び被告TEI関係者とが面談した後に,同ミーティングに参加した原告ら数名と被告TEI関係者のみで,雇用保険導入等の話合いが行われていることからすれば,原告らの賃金等の処遇や社会保険の加入問題が,原告らと被告TEIとの間の労働条件の問題であることは,両者間の共通の認識であったといえる(平成20年5月14日付け「トルコ航空日本人客室乗務員とP18日本支社長のミーテイング報告」〔乙ロ5〕)。本件契約書(本件遵守事項ト)で,原告らと被告TEIとの間に雇用契約が締結され,原告ら及び被告トルコ航空間に雇用契約関係が存在しないとされていることや,待遇,労働条件などに関する問題は被告トルコ航空にではなく直接被告TEIに申し出るものとする旨定められていることからして,上記話合いが原告らと被告TEIとの間で行われたのは至極当然のことであった。)。 - 19 -(被告TEIの主張)原告らについては,被告TEIとの間のみに雇用契約関係 られていることからして,上記話合いが原告らと被告TEIとの間で行われたのは至極当然のことであった。)。 - 19 -(被告TEIの主張)原告らについては,被告TEIとの間のみに雇用契約関係が成立しており,被告トルコ航空に派遣され,同航空機内で勤務していたものである。そのことは,以下の事情に照らし明らかである。 ア雇用契約書等の文言被告TEIが作成した,トルコ航空派遣客室乗務員の募集要項(乙ロ4)には,「株式会社TEI第二事業部に派遣社員として所属し,トルコ航空機にて成田空港又は,関西空港=イスタンブール間に乗務していただきます。」と明示されており,これに基づき,原告らは被告TEIの採用面接を受け,その際,被告TEIから被告トルコ航空派遣客室乗務員として被告TEIが採用する旨の十分な説明を受けた上,就業場所をトルコ航空機内,出発及び到着地の空港内と定められた雇用契約書(乙ロ2,3)を作成している。 イ東京労働局長も派遣と評価していること東京労働局長による是正指導書(乙ロ6)においても,「貴社はトルコ航空と,『SERVICEAGREEMENT』を締結し,これに基づき業務を行っているが,当該業務の実態は貴社が雇用する労働者をトルコ航空の指揮命令の下フライトアテンダントとして・・・業務に従事させていたものであり,労働者派遣を行っていたと認められ」としている。 ウ原告らも派遣であることを認めていること原告P1は,社会保険審査会に対し求めた再審査請求において,「請求人の職業は,適用事務所(被告TEI)より派遣された国際線航空機の客室乗務員である。」と明確に主張している上,同様に再審査を請求した原告ら11名についても,同様に被告トルコ航空の派遣客室乗務員であった旨の記載がある(乙ロ10,31)。 エ原告らと 線航空機の客室乗務員である。」と明確に主張している上,同様に再審査を請求した原告ら11名についても,同様に被告トルコ航空の派遣客室乗務員であった旨の記載がある(乙ロ10,31)。 エ原告らと被告らとの間の契約関係- 20 -(ア) 本件契約書の内容からしても,原告らはトルコ航空の客室乗務員ではなく,被告TEIから被告トルコ航空に派遣された被告トルコ航空派遣客室乗務員であることは明らかである(乙ロ2,3,13ないし23,本件遵守事項ト参照)。また,被告トルコ航空は,原告らに対して,雇用契約書を交付してもいなければ,署名捺印もさせておらず,原告らに本件契約書を交付したのは,被告TEIであり,この意味でも被告トルコ航空と原告らとの間に雇用契約関係はない。 また,原告らと被告TEIとの雇用契約及びサービスアグリーメントに基づく被告トルコ航空への派遣については,労働者派遣法施行令4条6号の「通訳」にあたるといえ,同条柱書の「業務」に該当する。したがって,サービスアグリーメントの内容が労働者派遣法所定の派遣可能期間の規制にも抵触しないといえる。 (イ) 被告TEIと原告らは,被告トルコ航空からの影響を受けることなく,自由な意思に基づいて雇用契約を締結しており,契約の本来予定するところに基づき,被告TEIは,原告らをトルコ航空に派遣し,原告らの勤務の割振り,賃金計算,及びその支払事務などの労務管理を行っていたのであるから,このような形式及び実態に照らすと,原告らと被告ら間の関係は,労働者派遣契約に基づく派遣労働契約関係そのものであるといえる。 (2) 本件解雇の効力(争点2)(原告らの主張)本件契約書では,被告トルコ航空の都合によりサービスアグリーメントによる契約関係が終了した場合,被告TEIは,原告らを解雇することが える。 (2) 本件解雇の効力(争点2)(原告らの主張)本件契約書では,被告トルコ航空の都合によりサービスアグリーメントによる契約関係が終了した場合,被告TEIは,原告らを解雇することができる旨定めているが(本件解約条項),以下の理由により,同条項に基づく原告らの解雇は無効である。 ア原告らの雇用契約関係が両被告間の契約関係(サービスアグリーメント)- 21 -とは別物である以上,後者が一方当事者により解除されたところで前者の雇用契約関係も当然に解消されるものではないし,解雇することについて社会的相当性を付与するものでもない。したがって,本件解約条項は,それ自体合理性を欠くものであって,通謀虚偽表示(民法94条)又は公序(民法90条)に反するものであり,本件解約条項に基づく本件解雇は,労働契約法17条により違法無効である。 イまた,以下のとおり,本件解雇の実質的な動機は,被告トルコ航空が,原告らが労働組合を結成して待遇交渉を開始したのを嫌悪したことにあるから,本件解雇は,労働組合法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に該当し違法・無効であり,また,労働契約法16条ないし17条に反する解雇として違法・無効である。 (ア) 前記のとおり,原告らの労働条件は劣悪であったことから,原告らはその改善を求め,被告トルコ航空との間で協議を行っていたが,当初被告トルコ航空は原告らを受け入れることを基本に競合他社の見積をとり,平成20年8月29日,原告らを受け入れることを前提としてサービスアグリーメントの契約締結(本件サービスアグリーメント)に至った(同年11月以降の具体的な就労条件については協議を継続していた。)。 (イ) それにもかかわらず,被告トルコ航空は,原告らが,平成20年9月17日,本件組合を結成して団体交 リーメント)に至った(同年11月以降の具体的な就労条件については協議を継続していた。)。 (イ) それにもかかわらず,被告トルコ航空は,原告らが,平成20年9月17日,本件組合を結成して団体交渉を申し入れ,さらに同組合が被告トルコ航空の団体交渉拒否に抗議し,組合の要求を無視する姿勢をとったことに抗議して争議開始通告を行ったことを契機として(前提事実(5)),同年10月28日,突如原告らを排除すべく,本件サービスアグリーメントの中途解除を口頭で通告し,日本人客室乗務員を乗務させるという従前の方針を転換して,トルコ人乗務員を配置することとしたものである。 - 22 -(ウ) 被告トルコ航空の組合嫌悪の意思は,以下の事情から明らかである。 a 組合結成通告・団体交渉申入れの際,P18日本支社長が組合嫌悪の発言をしたことb 組合資格をあえて問題にしたことc 組合規約を開示させて団体交渉に応じるように示しながら,結局団体交渉を拒否したことd 上記方針転換が,原告らよりも格段に賃金の高いトルコ人乗務員を雇用するという点で,合理性に欠けるものであることe 上記のとおり,それまで原告らを受け入れる方針でいた被告トルコ航空が,原告らが争議開始通知書を提出した直後,被告TEIに対し,書面も準備することなくサービスアグリーメント解約の意思表示をしたことウ被告トルコ航空によるサービスアグリーメント解約の理由は,原告らが従事してきた業務にトルコ人乗務員をもって充てることにあるが,実際には,日本人の客室乗務員を充てなければならない業務は存在し,そのニーズにも極めて高いものがあった。したがって,同解約は何ら合理的根拠のない国籍ないし人種を理由とする差別であって,労働基準法3条の規制の趣旨に反し,また民法90条の公序にも反するものである ,そのニーズにも極めて高いものがあった。したがって,同解約は何ら合理的根拠のない国籍ないし人種を理由とする差別であって,労働基準法3条の規制の趣旨に反し,また民法90条の公序にも反するものである。 そうすると,本件サービスアグリーメントの中途解約は無効であるから,「被告トルコ航空の都合」は存在しないものということになり,結局,本件解約条項による解雇をすることができないということになる。 エまた,仮にサービスアグリーメントが労働者派遣契約と解されるとしても,労働者派遣法27条は,派遣労働者の国籍,信条,性別,社会的身分,派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として,労働者派遣契約を解除してはならない旨定めている。したがって,前記のとおり,被告トルコ航空の不当労働行為が存在する以上,仮に被告TEIに不当労- 23 -働行為意思がなかったとしても,サービスアグリーメントの解除は同条に違反するもので無効である。したがって,同解除を前提とする本件解雇もまた効力を有しない。 オ被告TEIは,原告らについて職種限定の合意があり,配転可能性がなかった旨主張するが,その点については否認ないし争う。 (被告トルコ航空の主張)ア原告らと被告トルコ航空との間に雇用契約関係がないことは前述のとおりである。その余の原告らの主張は争う。 イ被告TEIによる本件解雇が,原告らの労働組合結成等を嫌悪してなされた不当労働行為であるという点は否認する。 そして,被告トルコ航空が本件サービスアグリーメントを解約した理由は,原告らによる労働組合の結成等とは無関係である。その詳細は以下のとおりである。 (ア) 平成20年8月14日,被告トルコ航空本社は,同日本支社に対し,日本・イスタンブール便において被告TEIの従業員が客室乗務員の補 合の結成等とは無関係である。その詳細は以下のとおりである。 (ア) 平成20年8月14日,被告トルコ航空本社は,同日本支社に対し,日本・イスタンブール便において被告TEIの従業員が客室乗務員の補助業務を行っていることは,客室乗務員はトルコ共和国民間航空局から許可を受けた者を除き全員トルコ国籍者とする旨の規定(民間航空規則21条6項,乙イ7)の趣旨からして望ましくないとの指導をした。 (イ) 上記経緯により,被告トルコ航空と被告TEIは,同年9月以降,サービスアグリーメントに基づく被告TEIのサービスを「通訳」のみとし,1便に搭乗する人数は同年10月末日までの2か月間に限りこれまでどおり2名とするが,同年11月1日からは1名とすることで合意し(乙イ4,5),このとおりに実施された。 (ウ) しかし,その後,被告トルコ航空本社は,日本語が話せる客室乗務員をトルコ共和国内で採用する方針を採り,実際,被告トルコ航空本社は,日本語を話すことができる客室乗務員を採用し,かかる客室乗務員- 24 -を日本・イスタンブール便に搭乗させることが可能になったことから,平成20年11月27日付け書面(乙イ6)により,平成21年2月28日付けで本件サービスアグリーメントを解約したのである。 (エ) 被告トルコ航空が,原告らの労働組合結成を嫌悪していたという事実はない。被告トルコ航空が被告TEI以外の競合他社の見積りをとったのは,いずれも原告らが労働組合を結成する前のことであり(組合結成通告は,平成20年9月17日付けである〔甲11の1〕。),原告らを排除する目的から出たものでないことは明らかである(調査嘱託の結果,乙イ23の1,2)。 (被告TEIの主張)以下のとおり,本件解約条項に基づいてなされた本件解雇は有効である。 ア本件契約書は, る目的から出たものでないことは明らかである(調査嘱託の結果,乙イ23の1,2)。 (被告TEIの主張)以下のとおり,本件解約条項に基づいてなされた本件解雇は有効である。 ア本件契約書は,原告らの自由な意思に基づいて署名押印されたものであり,その内容である本件解約条項は,被告らの間のサービスアグリーメントに基づく労働者派遣契約が終了した場合には原告らと被告TEIとの間の雇用契約関係も終了することを定めるものであって,労働契約法17条に反するものではない。 イ本件解雇が,原告らの労働組合結成等を嫌悪してなされた不当労働行為であるという点は否認する。 前記のとおり,被告TEIは,被告トルコ航空との間に資本関係でも人的にも何ら関係のない独立の企業体であり,被告トルコ航空の内情について何ら知りうるものではないし,むしろ,サービスアグリーメントの継続を望んでいたものであった。実際,被告TEIは,被告トルコ航空に対し契約関係継続に向けて再考を求めるなど(乙ロ24,25),原告らの雇用を確保するため最善を尽くしているし,日本人客室乗務員の人数が1名体制になった時にも別の業務を提案するなどしたが(乙ロ8),原告らの反応はなかったものである。その他,サービスアグリーメント解約の詳細- 25 -については,被告トルコ航空の主張を援用する。 ウ被告トルコ航空が本件サービスアグリーメントを解約した理由は上記(被告トルコ航空の主張)のイ記載のとおりであって,合理性がある。 したがって,この点をもって合理性のない差別であるとする点,並びに労働基準法3条の規制の趣旨及び民法90条の公序に反するとする点については,否認ないし争う。 エ被告トルコ航空の解約によりサービスアグリーメントに基づく契約関係が終了した以上,原告らと被告TEIとの 基準法3条の規制の趣旨及び民法90条の公序に反するとする点については,否認ないし争う。 エ被告トルコ航空の解約によりサービスアグリーメントに基づく契約関係が終了した以上,原告らと被告TEIとの間の雇用契約を終了することには,以下の事情に照らし,やむを得ないものがあった。 (ア) 職種限定の合意が存したこと原告らとの雇用契約においては,被告トルコ航空の航空機内での客室乗務員以外の業務を行うことは全く想定されておらず,被告TEIと原告らとの間で同業務に職務を限定する旨の合意があったというべきである。 すなわち,原告らと被告TEIとの間の雇用契約書には,就業場所はトルコ航空機内,出発及び到着地の空港内,又は被告TEIが定める場所と記載され,また,就業する業務は機内における通訳案内,旅客接遇,空港内における案内業務,又は被告TEIが指定する業務と定められており,就業場所及び業務内容は同契約書上限定されていた。また,被告TEIにおけるトルコ航空派遣客室乗務員の採用基準は,① 日本人で国際線客室乗務員として1年以上の乗務経験があること,② 英検準1級又はTOEIC700点以上の英語能力があり,美しい日本語が話せること,③ 平成20年3月から新東京国際空港から乗務可能な30歳くらいまでの人とされていたが,このような条件が存すること自体がその職種を客室乗務員に限定したことの現れというべきである。また,賃金についても,原告らについては,日本とトルコとの間のフライトごとに定め- 26 -られており,他の業務内容に流用できるものではなかった。 なお,そのような職種の限定は,原告らの意向に沿うものでもあり,現に,被告TEIにおいては,原告らの被告トルコ航空機への乗務回数が減少した際に,その収入の途を確保すべく客室乗務員以外の業務につい なお,そのような職種の限定は,原告らの意向に沿うものでもあり,現に,被告TEIにおいては,原告らの被告トルコ航空機への乗務回数が減少した際に,その収入の途を確保すべく客室乗務員以外の業務についても提案したが,原告らの反応は全くなかった。 以上のとおり,被告両社間のサービスアグリーメントに基づく契約関係が終了し,原告らを被告トルコ航空に派遣することが不可能になった場合にまで,原告らとの雇用契約関係の存続が予定されていたわけではなかった。それ故に,原告らと被告TEIとの間の雇用契約書において,被告トルコ航空の都合により契約内容が変更になった場合,又は契約が終了した場合,雇用契約期間の途中であっても同契約を終了させることができると定められていたのであり,本件解雇はもとより有効である。 (イ) 配転の可能性がなかったこと原告らについて,他の航空会社への派遣客室乗務員として配転する可能性も現実にはなかった。すなわち,被告TEIが従前派遣していた航空会社については,いずれも当時,客室乗務員の派遣が中止されていたか,言語能力の問題などがあり,実際に,原告らに提案を行うことは不可能な状態にあった。したがって,原告らについては,他の航空会社への配転の可能性すらなかったというべきである。 (3) 本件雇止めの効力(争点3)(原告らの主張)ア原告らと被告TEIとの間の雇用契約は,期間経過後の更新による雇用継続を前提とするものである。すなわち,原告らが従事してきた業務は,日本人の顧客が航空機を利用する以上,航空運航上不可欠な業務として継続するものであり,トルコ航空機の運航にとって基幹的な業務であったといえるものである。したがって,原告らと被告らとの間の雇用契約は,本- 27 -件契約書に定める期間の定めにもかかわらず,実質的に期間の ものであり,トルコ航空機の運航にとって基幹的な業務であったといえるものである。したがって,原告らと被告らとの間の雇用契約は,本- 27 -件契約書に定める期間の定めにもかかわらず,実質的に期間の定めがない雇用契約と異ならないか,もしくは雇用継続に対する合理的な期待を有するというべきである。 イしかるに,前記(2)の(原告らの主張)のイ及びウ記載の事情にかんがみれば,本件雇止めには合理的理由がないから,無効である。 ウなお,原告P13についても,実質的に期間の定めがない雇用契約と異ならないか,もしくは雇用継続に対する合理的な期待を有するというべきである点は他の原告らと同じであるところ,原告P13に対する契約更新をしない旨の通知は,解雇の意思表示に相当するものであり,この解雇の意思表示は労働基準法19条1項(業務上の負傷又は疾病による休業中の解雇制限)に違反してなされたものであるから,違法無効である。 (被告トルコ航空の主張)前記(2)の(被告トルコ航空の主張)記載のとおり,原告らと被告トルコ航空との間には雇用契約関係がない。その余の原告らの主張は争う。 (被告TEIの主張)ア原告らと被告TEIとの間の雇用契約が実質的に期間の定めがない雇用契約と異ならないとする点及び原告らが雇用継続に対する合理的な期待を有するという点は否認ないし争う。 すなわち,被告TEIは,被告トルコ航空との間の労働者派遣契約に基づき,客室乗務員を被告トルコ航空に派遣しているが,その間,10回以上にわたり,日本・トルコ間の便数や乗務人員の変更があり,その変更に伴い,必要とされる派遣客室乗務員の人数も変動していた(乙ロ12)。 このような点からすれば,被告TEIと派遣客室乗務員との間の有期雇用契約は,更新するか否かの見通しが不安定なものであった その変更に伴い,必要とされる派遣客室乗務員の人数も変動していた(乙ロ12)。 このような点からすれば,被告TEIと派遣客室乗務員との間の有期雇用契約は,更新するか否かの見通しが不安定なものであった。 イ仮に,上記アの点が肯定されるとしても,前記(2)の(被告TEIの主張)イないしエ記載のとおり,本件雇止めには合理性がある。 - 28 -ウなお,原告P13に対する雇止めについては,原告P13が所属する労働組合の組合結成通告兼要求書にも要求事項としての記載すらされておらず(甲11の2),本件訴訟提起に至るまで,原告P13本人及び組合の側より何らの要求もなく,争点にもなっていなかった。したがって,被告TEIと原告P13との雇用契約は,平成20年6月29日付けをもって契約期間満了により終了している。 (4) 原告らに支払われるべき賃金額(争点4)(原告らの主張)ア賃金請求権の根拠原告らは,本件解雇に異議を唱えて就労を請求しているが,被告らはその労務の提供にもかかわらずこれを受領しない。 したがって原告らは被告らに対し,民法536条2項に基づき雇用関係が継続したとすれば受けられたはずの賃金の支払を請求することができるというべきである。 イ請求額(ア) 原告らの平均的勤務実態は,平成20年7月時点で,1か月あたり2泊4日パターンを3.5本フライトするというものであったが,この水準で原告らと同じフライト時間を行うトルコ人乗務員の賃金は,以下のとおりであった。 ① 基本給:30リラ/day×30日=900リラ基本給は,公休・有給にかかわらず月日数で計算する。病欠などで,欠勤した場合は欠勤日数は差し引きする。例えば,この月3日病欠した場合,30×27日が基本給となる。 ② フライト時間手当:21.96リラ/ho 公休・有給にかかわらず月日数で計算する。病欠などで,欠勤した場合は欠勤日数は差し引きする。例えば,この月3日病欠した場合,30×27日が基本給となる。 ② フライト時間手当:21.96リラ/hour基本フライト時間を80時間とし,21.96リラ/hour×80時間=1756.8リラとなる。 - 29 -③ 基本フライト時間オーバー手当:前記80時間を超えるオーバータイムは,前記フライト時間手当の5割増とし,21.96×1.5=32.94(リラ)となる。 したがって,96時間フライトとして,32.94リラ/hour×16時間(96時間-80時間)=527.04リラ④ 社会手当:130リラ⑤ 交通費:158.6リラこの金額は通勤交通費の実費を下回らない。 ⑥ 日本でのステイ費:1万2400円/day以上の合計①ないし⑤の合計3472.44リラに⑥ステイ費を加算した金額が原告らと同じ労働に従事していたトルコ人乗務員には支給されることになっていた。 (イ) これを,原告らの平均的な就業パターンである,1か月あたり2泊4日パターンを3.5本フライトする場合,1か月30日,1フライトあたり32時間・月当たりフライト時間を112時間として賃金を算定すれば以下のとおりとなる(1トルコリラ=100円とする。)。 ① 基本給:3000円/day×30日=9万円② 基本フライト時間手当:2200円/hour×80時間=17万6000円③ 基本フライト時間オーバー手当:3300円/hour×32時間=10万5600円④ 社会手当(福利厚生手当):1万3000円⑤ ステイ費:1万2400円×3日×3.5=13万0200円⑥ 通勤交通費(ウ) しかしながら,原告ら日本人乗務員の労働条件は,別紙4の賃金支払基準 会手当(福利厚生手当):1万3000円⑤ ステイ費:1万2400円×3日×3.5=13万0200円⑥ 通勤交通費(ウ) しかしながら,原告ら日本人乗務員の労働条件は,別紙4の賃金支払基準表のとおりであり,前記トルコ人乗務員との労働条件格差は,国- 30 -籍の違い以外に考えられない。これは,労働基準法3条の労働条件における国籍差別に該当し,雇用契約の格差部分は違法無効であって,労働基準法13条に基づき,前記(ア)の労働条件の適用を受ける権利を有する。 また,被告トルコ航空のした本件条件変更は,本件契約書に基づく労働条件(被告トルコ航空客室乗務員として2人体制で乗務すること)を原告らの同意なく一方的に不利益に変更するものであって,違法・無効である(労働契約法3条1項,8条違反)。 したがって,日本人である原告らに対しても,前記(イ)①ないし⑤の合計である51万4800円に通勤交通費の実費を加算した金額が支給されるべきであったから,本訴請求としても,各原告につき51万4800円を請求することができるというべきである。 (エ) なお,仮に,原告らに支給されるべき賃金が上記金額に満たないものであったとしても,原告らには,それぞれ,少なくとも本件条件変更前(平成22年8月分以前)の半年間に支給された月例賃金の平均額である以下の金額(ただし,原告P13については,療養・休業補償給付の給付日額8744円に各月日数を乗じた金額を平均した額)が支給されるべきである。 原告 P1 25万9811円同 P2 22万3656円同 P3 24万1153円同 P4 24万9430円同 P5 22万4105円同 P6 18万7968円同 P7 21万4382円同 同 P3 24万1153円同 P4 24万9430円同 P5 22万4105円同 P6 18万7968円同 P7 21万4382円同 P8 22万4740円- 31 -同 P9 21万4378円同 P13 26万8149円同 P10 20万5294円同 P11 19万1872円同 P12 22万2159円(被告TEIの主張)原告らが主張する,支給されるべき賃金額(51万4800円に通勤交通費の実費を加算した金額)を争う。 なお,もともと,原告らと被告TEIとの本件契約書には,被告トルコ航空派遣客室乗務員として2人体制で乗務することを内容とする,若しくはこのような内容を推認する規定はないことから,原告らと被告TEIとの間の雇用契約は,「被告トルコ航空派遣客室乗務員として2人体制で乗務すること」を内容としていないことは明らかである。そして,原告らの業務実態については,平成20年9月以降,被告トルコ航空のマネジメントから原告らは飲食物のサービスには参加しないように指示があり,「日本語アナウンス」,「土産物ホームデリバリー申込書配布」,「免税品販売の日本語案内」,「トルコ人乗務員と日本人旅客との必要に応じた通訳」に限られていた。実際,被告TEIには,原告らは業務中手持ち無沙汰であったとの状況報告が原告ら本人から多数寄せられた。 (被告トルコ航空の主張)原告らの行う業務・フライトは,被告トルコ航空におけるトルコ国籍の客室乗務員の業務・フライト内容と異なっており,原告らと同じフライト時間業務に従事するトルコ人乗務員は存在しない。したがって,その存在を前提とする原告らの主張は誤りである。 第3 当裁判所の 籍の客室乗務員の業務・フライト内容と異なっており,原告らと同じフライト時間業務に従事するトルコ人乗務員は存在しない。したがって,その存在を前提とする原告らの主張は誤りである。 第3 当裁判所の判断 1 原告らと被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約の成否(争点1)- 32 -(1) 認定事実前提事実に加えて,原告P1本人及び後掲各証拠並びに弁論の全趣旨を総合すれば,以下の各事実を認めることができる。 ア原告らが就労に至るまでの状況(ア) 被告ら間のサービスアグリーメント及びその別紙A(exhibit A)には,被告TEIが被告トルコ航空に提供すべき人材及びその業務内容について規定されており,平成7年5月1日から平成18年6月30日までは「日本語と英語を流暢に話すこと」が,同年7月1日以降は,(a)23歳以上33歳以下の女性であって,(b)日本語以外に英語も話すことができ,(c)身長は160㎝以上175㎝以下,体重は(身長-120)㎏から(身長-103+2)㎏であって障害がなく,健康状態が良好であること,がその条件とされていた(乙イ1ないし3並びに乙イ8,9及び17の各1ないし3)。 (イ) 被告TEIは,被告トルコ航空の日本航路の便数や1便当たりに必要な日本人客室乗務員数が増えた場合,または日本人客室乗務員に欠員が出て補充が必要になった場合等に,被告TEIの名で広告を出して労働者を募集し,面接及び試験を行った上で,被告トルコ航空の業務に従事する客室乗務員として採用していた。客室乗務員の新規募集を行うか否か,行う場合の時期,人数,採用の可否等の判断は,被告トルコ航空の業績の影響は受けるものの,最終的な判断は被告TEIが行っており,応募資格についても,必ずしもサービスアグリーメントの別紙A記載の要件と同じではなく( ,人数,採用の可否等の判断は,被告トルコ航空の業績の影響は受けるものの,最終的な判断は被告TEIが行っており,応募資格についても,必ずしもサービスアグリーメントの別紙A記載の要件と同じではなく(平成20年3月の募集における応募資格は,(a)日本人で国際線客室乗務員として1年以上の乗務経験があり,(b)英検準1級又はTOEIC700点以上の英語能力があり,(c)美しい日本語を話すことができ,(d)平成20年3月から新東京国際空港より乗務可能な30歳くらいの人材,とされていた),接客能力の高い,即戦力- 33 -となる人材を採用していた(証人P15,乙イ1,2,8の1及び2,9の1及び2,17の1及び2,乙ロ4,34)。 (ウ) 原告らは,採用試験の際,日本語の履歴書の他,英文の履歴書を被告TEIに提出するよう求められていた。また,原告らは,被告TEIによる採用試験合格後,被告トルコ航空のイスタンブール本社の訓練センターにおいて,被告トルコ航空の客室責任者から,日本路線で使用されている航空機に関する保安業務や機内サービスについて指導を受け,保安業務の試験に合格した後,被告トルコ航空から「CABINCREWCERTIFICATE」と題する資格証明書を受領した。そして,原告らは,上記訓練中は賃金は支払われず,被告TEIとの間の契約書(本件契約書)についても,訓練合格後に提出するよう指導されていた(甲1,2,22,23,31ないし37,42ないし44,乙ロ4)。 イ指揮命令及び労務提供の態様について(ア) 原告ら日本人客室乗務員は,機内サービス及び通訳の業務を行うこととされており,平成20年5月ころに制服が新しくなるまでは,トルコ人客室乗務員と全く同じ制服を着用し,業務に当たっていた(上記切替え後は,スカーフ及びブラウスの柄が サービス及び通訳の業務を行うこととされており,平成20年5月ころに制服が新しくなるまでは,トルコ人客室乗務員と全く同じ制服を着用し,業務に当たっていた(上記切替え後は,スカーフ及びブラウスの柄が異なる制服を着用した。)。原告ら日本人客室乗務員は,機内において,被告トルコ航空のパーサー及び機長とともに日本人客室乗務員のみが参加するブリーフィングを行い,その日のワーキングポジションの指示を受け,飛行経路,飛行時間,日本人乗客等に関する情報を伝えられていた。原告ら日本人客室乗務員は,概ね4番または7番のドアに,時には一人で配置され,ドアのセレクターモードの操作等を行っていた。 また,原告ら日本人客室乗務員は,被告トルコ航空の宣伝活動に従事することがあり,原告P1は,平成14年ころ,テレビのバラエティー番組に被告トルコ航空の客室乗務員として出演した。また,被告トルコ- 34 -航空から,原告ら日本人客室乗務員に対し,平成19年9月には,被告TEIを通じて,被告トルコ航空日本支社が数か月に一度開催していたセミナーで,現地のタイムリーな情報を30分程度話すように指示があったほか,被告トルコ航空のホームページにも個人のブログとして現地のタイムリーな情報を写真とともに月1回の更新ペースで作成したいとの申入れもあった(甲22のBの62,甲23のBの9)。 (イ) 被告TEIは,原告ら日本人客室乗務員の業務について個々に指示を行うことはなかったが,機内サービスマニュアルやアナウンス要領等を作成して原告ら日本人客室乗務員に配布していたほか,機内では被告トルコ航空のパーサーやチーフの指示に従うこと,上下関係が厳しいので,TalkBack(口答え)は厳禁であること等について原告ら日本人客室乗務員の注意を喚起していた(甲22のBの2,5及び20)。 ルコ航空のパーサーやチーフの指示に従うこと,上下関係が厳しいので,TalkBack(口答え)は厳禁であること等について原告ら日本人客室乗務員の注意を喚起していた(甲22のBの2,5及び20)。 ウ人事労務管理の態様について原告ら日本人客室乗務員の飛行スケジュールは,被告TEIが,被告トルコ航空の飛行スケジュールに基づいて作成し,原告らに指示していた。 他方,被告TEIでは,原告ら日本人客室乗務員向けの有給休暇制度はなく,被告TEIは,原告らについて,社会保険及び雇用保険に加入していなかった。また,原告らの月間の乗務時間数については,被告TEI,被告トルコ航空ともに特に意識していなかった(証人P15,証人P18)。 エ賃金支払の態様について原告らの賃金は,被告TEIから支払われており,「Standbydutyallowance(待機手当。代替要員として待機していることに対し支払われる手当)」,「Dutydayallowance(就業日手当。乗務に就いた日に対し支払われる手当)」,「Flightallowance(乗務手当。乗務時間を基礎として支払われる手当)」,「Layoverallowance(外地滞在手当。帰路便を待つために外地に滞在する日に対し支払われる手当)」及び「交通費(往復)」- 35 -の費目毎に,採用時期及びベース(新東京国際空港か関西空港か)に応じて単価が定められていた(乙ロ9,証人P15)。 オその他の事情(ア) 被告ら間のサービスアグリーメントには,派遣元責任者,派遣先責任者及び指揮命令者に関する事項の記載がなく,契約上指定されている業務の内容(トルコ航空客室乗務員)が労働者派遣法施行令4条に定める26業種のどの業務に当たるかの特定もされていない(乙イ1ないし3,乙イ8,9 命令者に関する事項の記載がなく,契約上指定されている業務の内容(トルコ航空客室乗務員)が労働者派遣法施行令4条に定める26業種のどの業務に当たるかの特定もされていない(乙イ1ないし3,乙イ8,9及び17の各1ないし3)。 (イ) 前提事実(5)のとおり,平成20年9月17日に本件組合が結成され,同日付け書面において,被告トルコ航空に対し,その結成の事実が通知されたが,このとき,本件組合は,被告トルコ航空に対し,同被告には原告ら日本人客室乗務員を直接雇用する義務が生じているとして,日本人客室乗務員を期間を定めずに直接雇用するよう求めている(甲11)。 また,原告らは,同年10月17日の被告トルコ航空との交渉においても,被告トルコ航空に対し,原告らを直接雇用するよう求め,被告トルコ航空がそれを拒否すると,同月28日付けの争議行為開始通知書においてこれを非難し,その後も,複数回にわたって日本人客室乗務員の直接雇用等を申し入れている(甲17,18,乙イ29ないし31)。 (ウ) なお,原告P1は,港社会保険事務所長に対し,同年9月24日付けで,被告TEIに雇用されていたとして厚生年金保険の被保険者資格取得の確認を請求しているが,同手続中の社会保険審査会の口頭審理において,原告P1は,被告TEIに雇用されて被告トルコ航空に派遣されていた派遣労働者であることを認めていた(甲49,乙ロ31)。 (2) 認定事実に基づく判断前記(1)の認定事実を踏まえて,以下検討する。 - 36 -ア本件契約書及びサービスアグリーメントの法的性質前記(1)の認定事実に記載のとおり,被告TEIは,自己の名において募集して採用した原告らを,サービスアグリーメントに基づいて被告トルコ航空の業務に従事させ,原告らの被告トルコ航空における労務提供の実態 (1)の認定事実に記載のとおり,被告TEIは,自己の名において募集して採用した原告らを,サービスアグリーメントに基づいて被告トルコ航空の業務に従事させ,原告らの被告トルコ航空における労務提供の実態に応じて,被告TEIが設定した賃金体系に基づく賃金を支払っていたものである。このような実態にかんがみれば,原告らと被告らとの関係は,被告TEIを派遣元,被告トルコ航空を派遣先として,被告TEIに雇用されている原告らが被告トルコ航空に派遣されていたものというべきであり,被告トルコ航空と被告TEIとの間のサービスアグリーメントに基づく契約関係は労働者派遣契約,原告らと被告TEIとの間の本件契約書に基づく契約関係は派遣労働契約であると認めるのが相当である(原告ら,被告TEI及び被告トルコ航空の三者間に上記のような関係があり,かつ,原告らと被告トルコ航空との間に明示の雇用契約が締結されていない以上,上記サービスアグリーメントについては労働者派遣法2条1号にいう「労働者派遣」に当たるというべきであり,これが職業安定法4条6号にいう「労働者供給」に該当するという余地はないというべきである。)。 もっとも,前記認定のとおり,被告TEIが,原告らに被告トルコ航空用とも思われる英文の履歴書を準備させていることや,原告らに対し被告トルコ航空での訓練が終わった後に本件契約書を提出させていた点などは,労働者派遣法26条7項の派遣労働者の特定行為禁止規定に反するきらいがあるし,サービスアグリーメントに派遣元責任者,派遣先責任者及び指揮命令者に関する事項の記載がないことなど,原告ら,被告TEI,被告トルコ航空3者間の契約関係については,労働者派遣法に違反すると思われる点も見受けられる。しかしながら,労働者派遣法が行政取締法規としての性質を有し,直ちに対象行為の私 ど,原告ら,被告TEI,被告トルコ航空3者間の契約関係については,労働者派遣法に違反すると思われる点も見受けられる。しかしながら,労働者派遣法が行政取締法規としての性質を有し,直ちに対象行為の私法上の効力までを否定する性質のものではないことや,同法違反を理由として派遣労働者らと派遣元との- 37 -間の派遣労働契約を無効とするのは,かえって派遣労働者の保護に悖る面があることなどを考慮すれば,上記3者間の契約関係に上記のような労働者派遣法に対する違反があるとしても,そのことのみを理由に,原告らと被告TEIとの間の派遣労働契約を,無効と解することは困難である。 イ黙示の合意による雇用契約の成否(ア) ところで,派遣労働者と派遣先会社との間に黙示の雇用契約が成立するためには,①採用時の状況,②指揮命令及び労務提供の態様,③人事労務管理の態様,④対価としての賃金支払の態様等に照らして,両者間に雇用契約関係と評価するに足りる実質的な関係が存在し,その実質関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思表示の合致があることを必要とすると解するのが相当である。 そして,労働者派遣においては,労働者に対する労務の具体的指揮命令は,派遣先会社が行うことが予定されているから,黙示の雇用契約の成立が認められるためには,派遣元会社が名目的存在に過ぎず,労働者の採否の決定,労務提供の態様,人事労務管理の態様,賃金額の決定等が派遣先会社によって事実上支配されているような特段の事情が必要というべきである。 (イ) 本件においては,前記(1)で認定したとおり,① 採用時の状況として,原告らは,被告トルコ航空用と思われる英文の履歴書を提出するよう求められていたこと,被告TEIによる採用通知直後に,被告トルコ航空のイスタンブール本社の訓練センターにおいて, 採用時の状況として,原告らは,被告トルコ航空用と思われる英文の履歴書を提出するよう求められていたこと,被告TEIによる採用通知直後に,被告トルコ航空のイスタンブール本社の訓練センターにおいて,被告トルコ航空の客室責任者から,日本路線で使用されている航空機に関する保安業務や機内サービスについて指導を受けていたこと,② 指揮命令及び労務提供の態様として,原告らは,被告TEIの従業員からではなく,被告トルコ航空の従業員から具体的な業務指示・指導を受け,機内においては個別に担当すべきドアも指定されていたこと,平成20年5月ころまでは,- 38 -被告トルコ航空の客室乗務員と全く同じ制服を着用して業務に当たっており,その後も,スカーフとブラウス以外は被告トルコ航空の客室乗務員と変わらない制服を着用していたこと,被告トルコ航空の宣伝活動に従事することがあったこと,③ 労務管理の態様として,原告らは,被告TEIから有給休暇も与えられず,被告TEIは,原告らについて社会保険,雇用保険に加入しておらず,原告らの月間乗務時間数にも特段配慮していなかったこと等の事実が存在し,これらは,一応,原告らと被告トルコ航空との間の雇用契約関係を推認する方向に働く事実であるという面がある。 (ウ) しかし,以下に詳述するとおり,上記各事実は,直ちに,原告らと被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約の成立を肯定する方向に作用するわけではないというべきである。 a すなわち,まず,①採用時の状況については,原告ら,被告TEI及び被告トルコ航空の三者間の関係が労働者派遣に該当する場合においても,派遣先会社の被告トルコ航空としては,派遣労働者の就業に当たって,その身上関係,英語能力,業務経験等を把握する必要はあるといえる上,客室乗務員という職務に必要な能力の高さを考 当する場合においても,派遣先会社の被告トルコ航空としては,派遣労働者の就業に当たって,その身上関係,英語能力,業務経験等を把握する必要はあるといえる上,客室乗務員という職務に必要な能力の高さを考えれば,派遣予定の労働者に対し,要求水準を満たすか否かを図る目的で業務上必要な研修を行うことが一概に許されないわけではないから,(前記のとおり,派遣労働者の特定行為違反となる可能性は存するものの,)そのことをもって,直ちに,黙示の雇用契約の成立が基礎付けられるということはできない。 加えて,被告TEIが自らの名で募集広告を行い,応募した労働者に対し,自らの事務所において面接して被告トルコ航空における就業条件の説明をするなどし,その過程で,被告トルコ航空の採用基準とは異なる被告TEI固有の基準に基づく選別をしていること,被告TEIは,- 39 -被告トルコ航空以外の航空会社にも客室乗務員を派遣していること等にかんがみれば,被告TEIが被告トルコ航空の採用を代行していたと認めることもできない。 b 次に,②指揮命令及び労務提供の態様についても,原告ら及び被告らの三者間の法律関係が労働者派遣に該当することを前提とすれば,派遣先会社である被告トルコ航空が派遣労働者である原告らに対して具体的な業務指示をしていたことのみをもって,直ちに原告らと被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約を基礎付けることにはならない。 原告らがいわゆる「編成内」の客室乗務員として扱われていた様子が窺われること,平成20年5月ころまでは被告トルコ航空の客室乗務員と同じ制服を着用して業務に従事していたことは,前記認定のとおりであるが,その反面,原告らの飛行スケジュールについては被告TEIが作成しており,被告トルコ航空は,原告ら日本人客室乗務員の誰が,いつの業務に従事するか て業務に従事していたことは,前記認定のとおりであるが,その反面,原告らの飛行スケジュールについては被告TEIが作成しており,被告トルコ航空は,原告ら日本人客室乗務員の誰が,いつの業務に従事するかについては特に関心を抱いていないことが窺われること,被告TEIが独自の業務マニュアルを作成して原告らに配布していたこと等も併せかんがみれば,被告トルコ航空は,原告らについて,雇用契約の直接の相手方としてではなく,あくまで派遣労働者として待遇し,その労務提供を受けていたと推認するのが相当である。原告ら日本人客室乗務員が被告トルコ航空の宣伝活動に従事した点についても,本件契約書において,原告らが被告TEIの指示するPR活動等に積極的に参加することが義務付けられていることからすれば(本件遵守事項ニ),これもまた,原告らと被告トルコ航空の間の黙示の雇用契約を基礎づける事情とすることはできない。 c また,③人事労務管理の態様については,被告TEIにおける労務管理の不備が指摘できるものの,これが直ちに,原告らと被告トルコ航空との間の黙示の雇用契約の成立を肯定する方向に作用するわけで- 40 -はない。 d そして,④賃金支払の態様については,被告トルコ航空が,被告TEIによる原告らの賃金決定に関わるなど,原告らの賃金額を実質的に決定していたことを認めるに足りる証拠はない(両被告間のサービスアグリーメントで定められた料金が,事実上,被告TEIから原告らに対して支給される給与額の上限を画することにはなろうが,これは,派遣契約である以上当然のことである。)。 e 加えて,上記(1)オ認定の事実にかんがみれば,原告らは,自身が被告TEIと雇用契約を締結した上で,派遣労働者として被告トルコ航空で稼働していることについて十分了解していたというべきであっ e 加えて,上記(1)オ認定の事実にかんがみれば,原告らは,自身が被告TEIと雇用契約を締結した上で,派遣労働者として被告トルコ航空で稼働していることについて十分了解していたというべきであって,本件組合が,被告トルコ航空に対し,原告らの直接雇用を申し入れていたことも,その証左ということができる。 f なお,原告らは,被告トルコ航空において,派遣制限期間(労働者派遣法40条の2第2項)を超えて同一の業務で継続して1年を超えて就業しているものであるから,同法40条の3に基づき雇用すべき責任が生じる旨主張する。しかしながら,原告らの業務に派遣期間の制限が及ぶとしても,同条はその文言に照らして派遣先の努力義務を定めたものにすぎないから,同条を根拠に雇用契約上の地位が発生すると解する余地はないし,このような事情があるからといって,黙示の雇用契約の成否に影響を与える余地もないというべきである。 (3) 小括以上の事情を総合考慮すると,原告らと被告トルコ航空との間において黙示の雇用契約が成立していたと認めることはできないというべきであり,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,原告らの被告トルコ航空に対する地位確認にかかる請求には理由がない。 - 41 - 2 本件解雇の効力(争点2)(1) 本件解約条項の効力原告らは,被告トルコ航空の都合によりサービスアグリーメントによる契約関係が終了した場合,被告TEIが原告らを解雇することができる旨定めた本件解約条項について,それ自体合理性を欠き,通謀虚偽表示(民法92条)又は公序(民法90条)に反するものである旨主張しており,これは,本件解約条項の効力について,通謀虚偽表示又は公序良俗違反により無効である旨を主張するものと解される。 しかし,本件全証拠を総合しても 公序(民法90条)に反するものである旨主張しており,これは,本件解約条項の効力について,通謀虚偽表示又は公序良俗違反により無効である旨を主張するものと解される。 しかし,本件全証拠を総合しても,原告らと被告TEIとの間で本件解約条項につき意を通じて合意を仮装したと認めることはできないし,派遣労働者との間の期間の定めのある雇用契約において,期間途中に解雇する場合として,「派遣先の都合により派遣契約関係が終了すること」を掲げておくことが契約自由の限界を超えているともいい難い。よって,この点に関する原告らの主張は採用できない(もっとも,本件解約条項を根拠としてなされた解雇が直ちに有効といえるか否かは,同条項の有効性とは,また別の問題である。)。 (2) 本件解雇の効力原告らは,本件解雇の無効事由として,① 本件組合による正当な組合活動を嫌悪したものであって,労組法7条1号,3号に違反する不当労働行為であるから無効である,あるいは,② 被告トルコ航空によるサービスアグリーメント(労働者派遣契約)の解除は,上記のとおり原告らが正当な組合活動を行ったことを理由とするもので,労働者派遣法27条に違反し無効であるから,同解除が有効であることを前提とし本件解約条項を適用してなされた本件解雇もまた無効となる旨主張する。したがって,以下,この点について検討する。 ア前提事実に加えて,証拠(甲22,23,乙イ27,乙ロ34,証人- 42 -P15,同P18及び原告P1本人のほか,後掲のもの。なお,上記各証拠についても必要に応じて掲記することとする。)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の各事実を認めることができる(なお,この項において,特に断らない限り,日付は平成20年のものである。)。 (ア) 平成19年以前の経緯まで被告TEIは )及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の各事実を認めることができる(なお,この項において,特に断らない限り,日付は平成20年のものである。)。 (ア) 平成19年以前の経緯まで被告TEIは,平成3年ころから,被告トルコ航空に客室乗務員を派遣するようになり,遅くとも平成7年ころには,被告トルコ航空との間で,契約書面としてサービスアグリーメントを作成するようになった(それ以前にサービスアグリーメントが作成されていたか否かは,証拠上不明である。)。その後,被告らは,1年ごとにexhibitB(別紙B・料金部分)のみを更新していたが,平成18年7月1日及び平成19年7月1日にそれぞれサービスアグリーメント本体を更新した(乙イ8,9及び17の各1ないし3,乙イ10ないし16)。 (イ) 平成20年1月原告らを含む被告トルコ航空に派遣されていた日本人乗務員は,従前から,被告らに対し,その労働環境に関する待遇改善を求めていたところ,被告TEIは,被告トルコ航空日本支社の支社長であったP18(以下「P18支社長」という。)に対し,1月31日,日本人客室乗務員に予想外の退職者が出ていること,その理由は,関西空港ベースのフライトパターンの身体的負担が大きく,他社と比較して被告トルコ航空の待遇が低い(乗務手当及び食事手当が低額,IDチケット等の優遇がない,社会保険未加入等)点にあると考えられること,日本人客室乗務員の労働条件の改善について,6月のサービスアグリーメントの更新時期に改めて正式に依頼したいこと等を記載した報告書を提出した(甲23のBの10)。 (ウ) 平成20年5月- 43 -a 原告らは,被告TEIの常務らの同席の下,P18支社長に対し,5月13日,①大阪から東京への通勤手段としてZチケット(航空会社勤務者が自社又 の10)。 (ウ) 平成20年5月- 43 -a 原告らは,被告TEIの常務らの同席の下,P18支社長に対し,5月13日,①大阪から東京への通勤手段としてZチケット(航空会社勤務者が自社又は他社のエアラインの航空券を飛行距離に応じて格安で購入できるシステム)を継続して発券して欲しい,②産休制度を整えてほしい,③給料を以前の水準に戻してほしい等,待遇改善を訴えた。これに対し,P18支社長は,①Zチケットについては,7月以降発券できなくなるので無理であるとして断ったものの,②産休取得については問題ない,③待遇の改善については本社へ報告する等と回答した(甲23のBの11,乙ロ5)。 b 他方,被告トルコ航空は,P19株式会社(以下「P19」という。)に対し,5月ころ,客室乗務員20名の派遣業務の見積りを依頼した。 P19は,P18支社長と同月23日に面談し,同月26日,見積書をメールで送信したが,それ以上の話には発展しなかった(調査嘱託の結果)。 (エ) 平成20年6月被告TEIは,被告トルコ航空に対し,6月,サービスアグリーメントの更新に向けた提案(原告らの労働条件の改善を含むもの)を行った。 これに対し,被告トルコ航空は,検討のために時間が必要であるとして,6月末で有効期限を迎える契約を2か月延長することを提案し,被告TEIはこれに合意した。 (オ) 平成20年8月a 被告トルコ航空本社は,P18支社長に対し,8月14日,被告TEIから派遣を受ける労働者数を2名から1名に変更すべきと考える旨のメールを送信した(乙イ25)。 このような本社側の動きに対し,P18支社長は,同日,「コスト等を踏まえて変更したいのは分かるが乗客の9割は日本人なので後か- 44 -ら問題が起こるかもしれない」「もし,そのような変更を このような本社側の動きに対し,P18支社長は,同日,「コスト等を踏まえて変更したいのは分かるが乗客の9割は日本人なので後か- 44 -ら問題が起こるかもしれない」「もし,そのような変更をするのであれば,数ヶ月前に私に言って欲しかった」「日本人クルーは当社スタッフとほとんど同じように働いているので,一人だけの日本人クルーを通訳のためだけに業務させるのであればexhibit も変えなければならない」等と懸念を示す一方で,「日本人クルーを通訳のためだけに雇うなら経験がある人でなくても大丈夫だと思う,そうすればもっとコストを下げることもできる」「(数ヶ月前に言ってもらっていれば)いろいろと会社を探したりすることも可能だった」等,被告TEI以外の第三者から原告ら以外の労働者の派遣を受けることも念頭に置いているかのようなメールを返信した(乙イ33)。 b 被告トルコ航空は,被告TEIに対し,同月15日,原告ら日本人乗務員が行うサービスを「通訳」のみに限定し,搭乗人員を2名から1名体制にしたいと申し出た。 c 被告TEIは,原告らに対し,「トルコ航空との契約更改について」と題する同月20日付けの書面で被告トルコ航空からの上記変更提案について伝え,上記変更内容は現行を大きく変えるものであり,被告TEIとしても予想し得ず対応に苦慮するところであること,一両日中に細部を含めて再協議をするが,被告トルコ航空本社のポリシーの変更なので,契約締結を前提に慎重に対応したいこと等を報告した。 同書面には,被告トルコ航空からの提案内容の概要として,JAA(JointAviationAuthorities 欧州共同航空局。以下「JAA」という。)からのかねてからの指摘を考慮して日本人客室乗務員を編成外とし,1便につき1名とすること,適用時期について ointAviationAuthorities 欧州共同航空局。以下「JAA」という。)からのかねてからの指摘を考慮して日本人客室乗務員を編成外とし,1便につき1名とすること,適用時期については12月からとすること,一定の条件の下にフリーチケットを認めること等が記載されていた(甲22のBの65)。なお,民間航空規則には,全ての客室乗務員はトルコ国籍であることが基本である旨の規定がある(乙イ- 45 -7)。 d 他方,被告トルコ航空は,P20株式会社(以下「P20」という。)に対し,同月25日,今後の検討のために業務委託形態での機内通訳の料金を聞きたいとして,面談を要望した(調査嘱託の結果)。 (カ) 平成20年9月a 被告らは,9月1日,前記日本人乗務員の減員等の問題について覚書(乙イ4)を締結した。これによると,① 被告らは,被告TEIが同日から被告トルコ航空のトルコ・日本路線に日本乗務員を1人提供することに同意する,② ①の同意にかかわらず,新手順の再編成のために,平成20年9月1日から同年10月末日までは,被告TEIが被告トルコ航空に対して2名の乗務員を提供することに同意し,その条件については,平成20年9月1日付けの別紙A及びBのとおりとするなどの内容で合意して,サービスアグリーメント(本件サービスアグリーメント)を更新した(甲25,乙イ1,4)。 b 他方,被告トルコ航空は,P20に対し,9月5日,面談の上,見積書の提示を依頼した。ただし,P20は,その後同月17日に上記見積りの依頼を断っている(調査嘱託の結果)。なお,このP20及び前記P19に対する見積依頼は,いずれも日本人が乗務することを前提としたものであった(証人P18)。 c 被告TEIは,原告らに対し,同月9日,「TKとの契約更改について」と なお,このP20及び前記P19に対する見積依頼は,いずれも日本人が乗務することを前提としたものであった(証人P18)。 c 被告TEIは,原告らに対し,同月9日,「TKとの契約更改について」と題する文書を発した。同文書には,① 11月からの条件については9月8日現在も被告トルコ航空と交渉中であること,② 被告トルコ航空日本支社は他社からの見積り待機中であるが,P18支社長は,被告TEIと他社との条件の大きな乖離がない限り,被告TEIと契約を継続したい意向を示していること等の記載があるほか,③業務の内容が機内での日本語サービスに特定されるので,9月から1- 46 -0月にかけての契約料金は適用できないというのが被告トルコ航空本社の意向であること,④ 日本人客室乗務員の取扱いについてはそのコストも含めて議論されたようであり,その結果として日本人乗務員は編成外とし,機内で日本語サービスと被告トルコ航空乗務員の補助業務にすることに決定されたの説明をP18支社長から受けたこと,⑤この件はP18支社長も寝耳に水と驚いている様子であること等の記載があった(甲15)。 d 本件組合は,被告らに対し,同月17日,組合結成通告兼要求書を提出し,被告トルコ航空に対しては,原告らを含む日本人客室乗務員を直接雇用すること,労働協約を締結すること等を,被告TEIに対しては,被告らの間の契約の法的性質を明らかにすること,雇用保険及び社会保険を2年間遡って加入させること等をそれぞれ要求した上で,団体交渉を申し入れた(甲11の1及び2)。 被告トルコ航空は,P16ユニオンに対し,同月22日付け書面をもって,上記申入れにかかる団体交渉の日時等の細目について追って連絡する旨回答するとともに,本件組合に対し,P16ユニオン及び本件組合の規約の開示を求め ,P16ユニオンに対し,同月22日付け書面をもって,上記申入れにかかる団体交渉の日時等の細目について追って連絡する旨回答するとともに,本件組合に対し,P16ユニオン及び本件組合の規約の開示を求め,さらに団体交渉参加者の人数を合計3名以内とさせてほしい旨要望した。そして,被告トルコ航空は,P16ユニオンに対し,その後の10月14日付け書面をもって,団体交渉の日時について同月17日午後3時から午後5時までの2時間とし,開催場所等についても具体的な指定を行った(甲12,13)。 P16は,同月16日,被告トルコ航空の上記要請に応じ,その組合規約を開示した(甲14)。 e 被告TEIは,原告らに対し,9月30日,「被告トルコ航空から11月以降も契約を継続したい旨の連絡があった,1便当たり1名乗務になり,業務内容が機内通訳に変更となることには変わりはない,- 47 -具体的な条件については現在支社長に確認中であり,提示があり次第連絡する」等と伝えるメールを送付した(甲26)。 (キ) 平成20年10月a 被告トルコ航空と原告らとの団体交渉が10月17日に開催されたが,被告トルコ航空側は,前記(カ)dの経過があるにもかかわらず,冒頭で「団交のつもりではない」と述べ,原告らの要望事項について答えず,直接雇用についても拒否した。また,被告TEIとのサービスアグリーメントについては,9月に日本支社で締結する予定だったが,本社から,契約の話の追加で,「2人から1人」「通訳」との話があった,トルコ国籍でないとクルーになれない旨の指導が政府からあり,通訳なら使えるとの指摘であった,被告トルコ航空がトルコ政府から指導を受けている以上,このような結論しかない,日本支社としてできることはしたが,力尽きた,11月以降は新しい契約に入るが,被告TE ,通訳なら使えるとの指摘であった,被告トルコ航空がトルコ政府から指導を受けている以上,このような結論しかない,日本支社としてできることはしたが,力尽きた,11月以降は新しい契約に入るが,被告TEIになるかどうかは分からないなどと説明した(甲18,証人P21)。 b 原告らは,被告トルコ航空に対し,10月28日,上記団体交渉における被告トルコ航空の態度に抗議し,争議行為を開始する旨をファックスで送信,通知し,同通知は,同日の午後4時44分に被告トルコ航空に到達した(甲17,乙イ32)。 P18支社長は,被告TEIに対し,同日,電話で,サービスアグリーメントを12月末日で解除したいとの意向を伝えた(甲24,乙ロ24,証人P15,同P18。なお,争議行為開始通知の到達とP18支社長の電話との先後関係は,本件全証拠に照らしても明らかではない。)。 被告TEIは,被告トルコ航空に対し,10月29日付けの「ご連絡」と題する書面において,サービスアグリーメントの期間である平- 48 -成21年8月31日まで契約を維持したいと考えており,そこまで維持することができない状況であるならば,被告TEIと派遣スタッフ個々人との雇用契約の期限である同年6月30日まで維持するようお願いしたい等と要望した(証人P15,乙ロ24)。 c 被告らは,10月31日,9月1日に締結した覚書が同日に締結した本件サービスアグリーメントに付属する一部であり,本件サービスアグリーメントの有効期間及び条件が11月1日以降も引き続き有効であることを確認する旨の確認覚書を締結した(乙イ5)。 (ク) 平成20年11月被告トルコ航空は,被告TEIに対し,11月27日,トルコ本国において日本語を話せる乗務員を雇用する決定をしたことを理由に,本件サービスアグリー 結した(乙イ5)。 (ク) 平成20年11月被告トルコ航空は,被告TEIに対し,11月27日,トルコ本国において日本語を話せる乗務員を雇用する決定をしたことを理由に,本件サービスアグリーメント第10条C項(被告トルコ航空は,いかなる理由でも,被告TEIに対して,90日前に通知を行うことによって契約を解除することができる旨の条項)に基づき,本件サービスアグリーメントを解約する旨書面で通知し,同書面は,同月28日,被告TEIに到達した(乙イ6)。 (ケ) 平成20年12月被告TEIは,P18支社長に対し,12月11日,本件サービスアグリーメントの継続につき再考するよう要望し,原告ら日本人乗務員との雇用契約の期限である平成21年6月末日までの継続を望むが,それが不可能な場合は,失業という深刻な事態を最小限にとどめるため,機内通訳の職務を1か月でも2か月でも維持してもらえるよう依頼した(乙ロ25)。 他方,被告TEIは,原告らの一部を含む関東地方在住者に対し,12月24日,平成21年3月に予定されている新車発表会の接客スタッフを募集するメールを送信したが,原告らはいずれも応じなかった(証- 49 -人P15,乙ロ8,34)。 (コ) 平成21年1月以降被告TEIは,原告らに対し,平成21年1月15日,被告トルコ航空からのサービスアグリーメントの解除に伴い,被告トルコ航空機内における日本人機内通訳業務が休止され,本件解約条項に該当する状況に至ったとして,原告らとの雇用契約を同年2月28日で解約する旨の解約予告通知書を出した(乙ロ7)。 原告らは,同年1月29日,本件訴訟を提起した。 原告らは,同年2月26日,被告トルコ航空と協議の機会をもったが,被告トルコ航空は,原告らを直接雇用することは考えてい を出した(乙ロ7)。 原告らは,同年1月29日,本件訴訟を提起した。 原告らは,同年2月26日,被告トルコ航空と協議の機会をもったが,被告トルコ航空は,原告らを直接雇用することは考えていない等と回答した(甲30)。 被告トルコ航空がサービスアグリーメントの解約日とした期限が同月28日に到来した。以後,被告ら間でサービスアグリーメントは締結されていない。 (サ) その他の事情被告トルコ航空は,これまでにも別紙5のとおりフライトスケジュールを変更しており,被告TEIから派遣される日本人客室乗務員の業務量に影響が出たが,その都度,日本人客室乗務員の業務量調整により対応できており,被告TEIが,本件解約条項に基づき客室乗務員を解雇した例はこれまでになかった(証人P15,乙ロ12,34)。 被告トルコ航空は,原告らに対し,平成21年2月26日の話合いの際,① トルコ国土交通省から,トルコ国籍がない客室乗務員を使うな,インタープリター(通訳)として使えという指導は平成20年春からあった(ただし,許可をとれば乗務は可能であり,実際に乗務している。),② 通訳に限定しようと思っていたところで被告TEIから適法な通訳の派遣にできないかという提案があった,③ トルコ国籍を有する人で日- 50 -本語ができる人なら通訳以外の仕事をできるので,サービスアグリーメントを解除することになった等と説明した(甲30)。 イ原告らの主張に対する判断(ア) 本件解雇が不当労働行為(労組法7条1号,3号)に当たり無効であるとの主張について前記1で詳細に説示したとおり,原告らと雇用契約関係にあるのは被告TEIであるから,本件解雇が労働組合法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に該当し違法・無効であるか否かは,被告TEI 前記1で詳細に説示したとおり,原告らと雇用契約関係にあるのは被告TEIであるから,本件解雇が労働組合法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に該当し違法・無効であるか否かは,被告TEIを基準に判断すべきである。そして,被告TEIが,被告トルコ航空に対し,一貫してこれまでの派遣体制を維持するよう働きかけていたことは前記認定事実のとおりであり,本件全証拠を総合しても,被告TEIが原告らの組合活動を嫌悪していたことをうかがわせる事実を認めることはできない。 したがって,本件解雇が労働組合法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に該当し違法・無効であるとする原告らの主張は採用できない。 (イ) 被告トルコ航空によるサービスアグリーメントの解除が労働者派遣法27条に違反するもので無効であり,その結果本件解雇も無効になるとの主張についてa まず,被告トルコ航空と被告TEIとの間のサービスアグリーメントが労働者派遣契約としての性質を有することは既に説示したとおりであるから,同契約については労働者派遣法の適用があるというべきである(準拠法については,本件サービスアグリーメント上その指定につき明記がなく,本件全証拠を総合しても,当事者による準拠法の選択を認定することはできないことから,法の適用に関する通則法8条1項及び同条2項により,密接関連地である日本法が準拠法になると解される。)。 - 51 -そこで,被告トルコ航空による本件サービスアグリーメントの解約が労働者派遣法27条に違反し,無効であるか否かについて,以下,検討する。 b 被告トルコ航空は,被告TEIに対し,平成20年8月に原告ら日本人乗務員が行うサービスを通訳のみに限定し,搭乗人員をそれまでの2人から1人体制にしたいと申し出て以来,被告TEIとの間で, 。 b 被告トルコ航空は,被告TEIに対し,平成20年8月に原告ら日本人乗務員が行うサービスを通訳のみに限定し,搭乗人員をそれまでの2人から1人体制にしたいと申し出て以来,被告TEIとの間で,次期のサービスアグリーメントにおける契約条件について交渉を重ね,被告TEIとの間で,同年9月1日,上記搭乗人員を1名とするものの,同年10月末日までは2名体制を維持するという形で合意の上,覚書を作成して本件サービスアグリーメントを更新し,同年10月31日には,その有効期間及び条件が翌11月1日以降も有効であることを確認しているにもかかわらず,その後その方針を変更して,同年11月27日には被告TEIに対し本件サービスアグリーメントの解除を通告していることは前記アにおいて認定したとおりである。 この間,原告らが,同年9月17日に本件組合を結成して被告に団体交渉を申し入れたところ,被告トルコ航空は,同月30日までは,被告TEIに対し,同年11月以降も同被告との間の契約関係の継続を希望する旨表明していたものの,同年10月17日に実施された団体交渉の席上において本件組合に対し「団交のつもりではない。」旨の発言をし,本件組合が被告トルコ航空に争議行為開始通知書をファックス送信したのと同じ日である同月28日,P18支社長が,被告TEIに対し,電話で,本件サービスアグリーメントを同年12月末日をもって解約したい旨伝え,同年11月27日,正式に本件サービスアグリーメントの解除通告を行っているものである。 以上のような本件サービスアグリーメントに関する被告トルコ航空の方針変更については唐突な感を否めないところ,前記認定の事実経- 52 -過に照らすと,原告らが本件組合を結成し団体交渉を求め,争議行為を開始するに至る時期と,被告トルコ航空がその方針 ルコ航空の方針変更については唐突な感を否めないところ,前記認定の事実経- 52 -過に照らすと,原告らが本件組合を結成し団体交渉を求め,争議行為を開始するに至る時期と,被告トルコ航空がその方針を変更した時期とは概ね重なる上,被告トルコ航空が本件サービスアグリーメントを解約した合理的な理由が認められないことからすれば,その主たる動機は,原告らによる組合活動を嫌悪したことにあったと推認するのが相当である。 c この点,被告トルコ航空は,日本語を話すことができる客室乗務員をトルコ共和国内で採用する方針を採り,かかる客室乗務員を搭乗させることが可能になったことから,本件サービスアグリーメントを解約したもので,その解約には合理的な理由がある旨主張し,被告TEIも同主張を援用する。 しかしながら,平成20年8月の日本人乗務員の搭乗人員減員は,トルコ共和国国土交通省民間航空局からの指摘(甲15には,JAAからの指摘とあるが,誤記ないし誤解と認められる。被告トルコ航空最終準備書面36頁参照)を受けて,日本人乗務員を通訳扱いとして編成外とすることにその目的があったと推認されるところ(前記ア(オ)aないしc参照),このような目的は,被告TEIが上記減員を了承して同年9月1日に覚書を締結し,原告ら日本人乗務員もそれを前提とした乗務を開始したことにより達成されたと解されるのであって,それにもかかわらず,なおも,被告トルコ航空が本国(トルコ共和国)において日本語を話すことができる客室乗務員を採用して,原告らを乗務から外さなければならない合理的な理由があると解することはできない(被告トルコ航空にとってみれば,客室乗務員としてであれ,通訳としてであれ,従前から被告トルコ航空の航空機に乗務し慣れている原告らを乗務させ続けることには相応のメリットがあ ると解することはできない(被告トルコ航空にとってみれば,客室乗務員としてであれ,通訳としてであれ,従前から被告トルコ航空の航空機に乗務し慣れている原告らを乗務させ続けることには相応のメリットがあったはずであり,通訳であるとはいえ,新規に従業員を雇用することには- 53 -有形無形の負担があったはずである。また,P18支社長も,平成20年9月9日時点では,他社との契約条件に大きな乖離がない限り,被告TEIと契約を継続したい旨明言している〔前記ア(カ)c〕。)。 また,被告トルコ航空が,原告らを乗務から完全に外す方針を有していたというのであれば,被告TEIとの上記の日本人乗務員減員に関する交渉過程において,少なくともそのような方針を検討していることを示唆してしかるべきであったと考えられるが,そのような方針は特に示唆すらもされないまま,被告TEIとの間で覚書を締結し,何ら留保を付けることなく本件サービスアグリーメントが有効であることを確認しているもので(前記ア(カ)a,(キ)c。その意味で,被告トルコ航空による覚書締結直後のサービスアグリーメントの解約の意思表示は,被告TEIにとっては不意打ちというべきものであった。 なお,被告トルコ航空の主張をみる限り,同被告本社が,前記覚書や確認覚書の作成過程に全く関与していないことを主張するかのようにも窺われるが,上記覚書等の作成に当たりP18支社長が本社の決裁を仰いでいないと認めることは困難である。),このような点に照らすと,被告トルコ航空の方針変更の経緯は,不自然といわざるを得ない(前記P20等に対する見積依頼も,通訳かどうかはともかくとしても,あくまで日本人が乗務することを前提とした見積依頼であったし〔前記ア(カ)b〕,その後のP18支社長の言動〔前記ア(カ)c〕からしても,基本的 等に対する見積依頼も,通訳かどうかはともかくとしても,あくまで日本人が乗務することを前提とした見積依頼であったし〔前記ア(カ)b〕,その後のP18支社長の言動〔前記ア(カ)c〕からしても,基本的に,被告TEIとの契約更新を前提とした相見積りであったと考えられるのであって,この点をもって,日本人を乗務させないという被告トルコ航空の方針が示唆されていたということもできない。)。 d もっとも,被告トルコ航空は,本件組合から争議行為の通知を受けた直後の平成20年10月31日,被告TEIとの間で原告らの被告- 54 -トルコ航空での稼働を認める内容の確認覚書(乙イ5)を締結しているもので(前記ア(キ)c),この点は,被告トルコ航空が原告らの組合活動を真に嫌悪していたといえるかについて疑義を挟ませる事情といえないではない。しかしながら,前記同年9月1日付けの覚書(乙イ4。前記ア(カ)a)により暫定的に定められた2人乗務の期限が同年10月31日であって,被告トルコ航空としては,その時点までに本件サービスアグリーメントに関し何らかの態度決定をせざるを得ない状況であったといえるところ,P18支社長が被告TEIに対し口頭でサービスアグリーメントの解除の意向を示したことはあったものの(前記ア(キ)b),上記の10月31日時点では,未だ被告トルコ航空本社において最終的な契約解除の方針が固まりきっていなかったことから,一応,前記確認覚書を作成したものの,その後原告らの組合活動を嫌悪した本社側が,原告らの通訳としての稼働も認めないとの方針を固めたことにより11月27日にサービスアグリーメントの解除に踏み切ったと推認するのが相当である。また,上記覚書の点を考慮しても,被告トルコ航空がそれまでの方針を変更して本件サービスアグリーメントを解除した経緯が不 1月27日にサービスアグリーメントの解除に踏み切ったと推認するのが相当である。また,上記覚書の点を考慮しても,被告トルコ航空がそれまでの方針を変更して本件サービスアグリーメントを解除した経緯が不自然であることに変わりはない。このような点を考慮すれば,上記の10月31日の確認覚書締結を考慮しても,前記説示が左右されるものではない。 e さらに,前記認定の経緯からすれば,被告トルコ航空は,平成20年1月には被告TEIを通じて,同年5月には原告らから直接に,待遇改善等を申し入れられた際に好意的,友好的に対応していたということができるし,また,同年8月にトルコ共和国国土交通省民間航空局からの指導を受け,それが日本人乗務員の搭乗人員減員の契機となったとする点も,それまで10年以上もの間日本人客室乗務員の派遣を受け入れてきた経緯からすればやや唐突な感はあるものの,その後- 55 -の経緯(前記ア(オ)c,(カ)c〔特に④⑤参照〕など)に照らして概ね信用できるものであって,このような点に照らすと,被告トルコ航空が原告らの待遇改善に向けた行動を嫌悪していなかったと考える余地がないではない。 しかしながら,原告らの待遇改善に向けた被告トルコ航空の対応が十分であったか否かという評価はおくとしても,被告トルコ航空としては,上記のとおり,原告らからの待遇改善等の要望に対して,それなりに好意的,友好的に接してきたにもかかわらず,原告らの行動が労働組合を結成して団体交渉等に及ぶに至って,これを嫌悪した対応を取ることは十分に想定できるものであって,当初の被告トルコ航空の好意的な態度を根拠にして,本件組合結成後の不当労働行為意思を否定するのは相当ではないというべきである。 f 以上のとおり,被告トルコ航空による本件サービスアグリーメント(労働者派遣 トルコ航空の好意的な態度を根拠にして,本件組合結成後の不当労働行為意思を否定するのは相当ではないというべきである。 f 以上のとおり,被告トルコ航空による本件サービスアグリーメント(労働者派遣契約)の解除は,原告らが正当な組合活動を行ったことを理由としてなされたものと認めるのが相当である。したがって,同解除は労働者派遣法27条に違反するもので無効であるから,同解除が有効であることを前提とした被告TEIの原告らに対する解雇(本件解雇)も,その前提を欠くものであって,前記(1)で留保した問題点について検討するまでもなく,無効であるというべきである。 よって,原告らは,被告TEIに対し,後記の雇止めがされるまでは雇用契約上の地位を有することとなる。 3 原告らに対する雇止めの効力(争点3)(1) 原告P13を除く原告らに対する雇止め(本件雇止め)の効力ア原告らと被告TEIとの間の雇用契約は,いずれも,期間の定めのある雇用契約であるところ,被告TEIは,原告P13との雇用契約については,平成20年5月30日,契約の更新を行わない旨の意思表示をし(原- 56 -告P13に対する雇止め),原告P13を除く原告らとの雇用契約については,平成21年5月16日付けの第1準備書面において,同年6月末日をもって契約期間満了により終了させ更新を行わない旨の意思表示をしたこと(本件雇止め)は,前提事実(6)のとおりである。原告らは,これらの雇止めの効力を争うことから,この点が問題となる。 イ(a) 期間の定めのある雇用契約は,その期間が満了したことのみをもって当然に終了するのが原則であるが,期間の定めのない雇用契約に転化又はこれと実質的に異ならない状態に至った場合,もしくはそれに至らないまでも雇用継続に対する労働者の期待利益に合理性がある のみをもって当然に終了するのが原則であるが,期間の定めのない雇用契約に転化又はこれと実質的に異ならない状態に至った場合,もしくはそれに至らないまでも雇用継続に対する労働者の期待利益に合理性がある場合は,解雇権濫用法理が類推適用されると解すべきである(最高裁判所昭和49年7月22日第一小法廷判決・民集28巻5号927頁,同昭和61年12月4日第一小法廷判決・集民149号209頁)。 (b) 前提事実に加えて,証拠(甲22,39の1ないし3,乙ロ2,3,13ないし22,証人P15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告らは,それぞれ,別紙2「原告生年月日等一覧」の「採用年月日」欄記載の年月日ころ,被告TEIとの間で契約期間を1年とする雇用契約(派遣労働契約)を締結し,採用されたこと,被告TEIは,被告トルコ航空に派遣されている客室乗務員との契約について,毎年5月から6月にかけて更新手続を行っていたこと,原告P13を除く原告らは,被告TEIとの間で,平成20年6月に,それぞれ,雇用期間を平成20年7月1日から平成21年6月30日までとして雇用契約を更新したこと,の各事実を認めることができるところ,本件全証拠を総合しても,契約更新の手続が形骸化していたことをうかがわせる事実を認めることはできない。 しかし,前提事実に加えて,証拠(甲22,23,証人P15)によれば,原告らは,被告トルコ航空の日本路線に乗務し,機内サービス及び通訳の業務に従事していたこと,これは旅客運送業を営む被告トルコ- 57 -航空における恒常的,基幹的業務に当たること,原告らの中には,原告P1のように,少なくとも7回にわたって雇用契約が更新され,継続して被告トルコ航空に派遣されていた者がいたこと等の事実を認めることができる。 これらの事実は,原告らには被告TE らの中には,原告P1のように,少なくとも7回にわたって雇用契約が更新され,継続して被告トルコ航空に派遣されていた者がいたこと等の事実を認めることができる。 これらの事実は,原告らには被告TEIとの間の雇用契約につき雇用継続に対する合理的な期待があるとしてその雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されるとの原告らの主張(特に原告P1に関するもの)を肯定する方向に一応傾くものであるといいうる余地がないではない。 ウ(a) しかし,労働者派遣法は,派遣労働者の雇用の安定だけでなく,常用代替防止,すなわち派遣先の常用労働者の雇用の安定をも立法目的とし,派遣期間の制限規定をおくなどして両目的の調和を図っているところ,同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者の雇用の安定を図ることは,常用代替防止の観点から同法の予定するところではないといわなければならない。そして,このことは,同法の適用がある派遣関係である限り,派遣先が国内企業であるか国外企業であるかを問わないというべきである。 (b) そして,雇用主である派遣元が就業場所となることが予定されておらず,労働者派遣契約がなければ実際の就業場所を確保することができないという派遣労働の特徴,及び企業間の商取引である労働者派遣契約に更新の期待権や更新義務を観念し得ないことも併せかんがみれば,原告らの雇用契約(派遣労働契約)の継続に対する期待は,上記労働者派遣法の趣旨及び派遣労働の特徴に照らし,合理性を有さず,保護すべきものとはいえないと解するのが相当である。 エ(a) また,原告らと被告TEIとの雇用契約において予定されていた業務の内容にかんがみれば,原告らと被告TEIとの雇用契約は,被告らの間のサービスアグリーメントの存在を前提とするものであったとい- 58 -うこ らと被告TEIとの雇用契約において予定されていた業務の内容にかんがみれば,原告らと被告TEIとの雇用契約は,被告らの間のサービスアグリーメントの存在を前提とするものであったとい- 58 -うことができるところ,企業間の商取引である労働者派遣契約に更新の期待権や更新義務を観念することはできないことは前記ウ(b)のとおりであるから,被告トルコ航空と被告TEIとの間の本件サービスアグリーメントに基づく契約関係は,その期間が満了し,更新がなされなかったことによって終了するものというほかはない。これは,前記2(2)イ(イ)記載のとおり,被告トルコ航空による本件サービスアグリーメントの中途解約が無効と解される本件においても同様である。 (b) そして,被告トルコ航空が,被告TEIに対し,日本語を話すことができる客室乗務員をトルコ本国で雇用する決定をしたとして,派遣労働者の受入れを打ち切る意思を明確に示していること(前記2(2)ア(ク)参照)に照らせば,平成21年6月30日の本件雇止め(原告P13を除く原告らに対する雇止め)当時,既に被告らの間のサービスアグリーメントが再締結される見込みは皆無に等しかったものと認めることができる。 (c) 加えて,証拠(乙ロ7,8,証人P15,同P18)及び弁論の全趣旨によれば,被告TEIは,原告らの一部を含む関東地方在住者に対し,新車発表会の接客スタッフを募集するメールを送信するなど,不十分ながらも代替派遣先を提示している一方,原告らはいずれもこれに応じなかったこと,被告TEIは,原告P13を除く原告らに対し,両者間の雇用契約9条に基づき,期間満了日から30日以上前の平成21年5月16日付けの第1準備書面において,平成21年6月末日に契約を更新しない旨告知したことの各事実を認めることができる。 さらに 間の雇用契約9条に基づき,期間満了日から30日以上前の平成21年5月16日付けの第1準備書面において,平成21年6月末日に契約を更新しない旨告知したことの各事実を認めることができる。 さらに,被告TEIが労働者派遣を行っている航空会社はいずれも外国会社であり,客室乗務員として精通すべき機種,言語等が会社毎に異なることからすれば,被告トルコ航空の他に,原告らを客室乗務員として派遣できる派遣先は,容易に見出せないものと考えられる。 (d) そうすると,原告らと被告TEIとの雇用契約について,仮に,原- 59 -告ら(特に,原告P1)の雇用継続に対する期待に合理性を認める余地があったとしても,本件雇止めには客観的に合理的な理由があり,社会的相当性があるものというほかない。 オ以上によれば,原告P13を除く原告らと被告TEIとの間の雇用契約は,いずれも,平成21年6月30日の雇用期間の満了により終了したものというべきである。 (2) 原告P13に対する雇止めの効力前提事実に加えて,証拠(甲22,乙ロ23,証人P15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告P13は,平成19年10月22日,旅客を介助した際に腰部捻挫及び頚部捻挫等の傷害を負い,以後,乗務ができなくなったこと,被告TEIは,原告P13に対し,両者間の雇用契約(9条)に基づき,平成20年5月30日には契約を更新しない旨告知したことの各事実を認めることができるところ,原告P13と被告TEIとの雇用契約が客室乗務員としての派遣業務を前提としていることを考慮すれば,業務上の負傷によって客室乗務員としての業務ができなくなったことを考慮しても,被告TEIによる原告P13の雇止めには,客観的に合理的な理由があり,社会的相当性があるといえる。 なお,原告らは,本件のよう 傷によって客室乗務員としての業務ができなくなったことを考慮しても,被告TEIによる原告P13の雇止めには,客観的に合理的な理由があり,社会的相当性があるといえる。 なお,原告らは,本件のような解雇権濫用法理の類推適用がある有期雇用契約においても,労基法19条1項の解雇制限規定の適用ないし類推適用があると主張する。しかし,そもそも,原告らと被告TEIとの間の雇用契約において解雇権濫用法理の類推適用の余地があるか疑問であるし,同項は,事情のいかんを問わず,業務上負傷の療養期間中は一律に解雇を許さないという規定であるところ,一口に雇用継続の合理的期待がある有期雇用契約といっても,その雇用形態や労働者の抱く合理的期待の程度は様々であることからすれば,仮に,解雇権濫用法理の類推適用がある有期雇用契約であっても,労基法19条1項の類推適用はないと解するのが相当である(上記のよ- 60 -うに,業務上傷病の療養期間中であるという事情は,雇止めの合理性判断に関する一事情として捉えるに止めるのが相当である。)。 以上によれば,原告P13と被告TEIとの間の雇用契約は,遅くとも平成20年6月末日には,雇用期間の満了により終了したものというべきである。 (3) 小括以上によれば,原告らと被告TEIとの間の雇用契約は,いずれも,期間満了によって終了しているから,その余の点を判断するまでもなく,原告らの被告TEIに対する雇用契約上の地位確認請求には理由がない。 4 原告らに支払われるべき賃金額(争点4)(1) 賃金請求権の根拠前記2のとおり,原告P13を除く原告らに対する本件解雇は無効であるところ,原告らが,本件解雇に異議を唱えて就労を請求し,労務を提供する意思を示しているにもかかわらず,被告TEIはこれを受領しなかった。 した ,原告P13を除く原告らに対する本件解雇は無効であるところ,原告らが,本件解雇に異議を唱えて就労を請求し,労務を提供する意思を示しているにもかかわらず,被告TEIはこれを受領しなかった。 したがって,原告P13を除く原告らは,被告TEIに対し,民法536条2項に基づき,本件雇止め(平成21年6月30日)までの賃金支払請求権を有することになる。 なお,原告P13と被告TEIとの間の雇用契約が,本件解雇よりも前に期間満了により終了したことは,前記3(2)記載のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,原告P13の被告TEIに対する賃金請求には理由がない。 (2) 原告P13を除く原告らに支払われるべき賃金額前提事実記載のとおり,原告らの賃金は,毎月末日締め翌月末日払であり,実際に乗務した便数や滞在時間等に応じてその額が変動するものであるから,被告TEIが原告P13を除く原告らに支払うべき賃金額は,原告らの最終3か月の稼働実績に基づく賃金の平均額と認めるのが相当である。 - 61 -この点について,原告らは,トルコ人乗務員との賃金格差が労基法3条の国籍差別禁止規定に違反すると主張するが,同賃金格差が違法な差別であることを認めるに足りる的確な証拠はなく,原告らの主張については採用することができない。また,原告らは,被告トルコ航空のした本件条件変更が労働条件〔客室乗務員として2人体制で乗務すること〕の不利益変更に当たり無効であるとも主張するが,原告らと被告TEIとの間で締結された本件契約書には上記のような2人体制の乗務を保障するような条項はないのであって,その他,この点が原告らと被告TEIとの間の労働条件となっていたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,この点についても原告らの主張を採用する余地はない。 保障するような条項はないのであって,その他,この点が原告らと被告TEIとの間の労働条件となっていたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,この点についても原告らの主張を採用する余地はない。 そして,原告P13を除くその余の原告らに支払われるべき賃金額は,以下の(ア)ないし(シ)のとおり算定される3か月平均額の4か月分となる。したがって,被告TEIは,それぞれについて,別紙1「支払金額一覧」記載のとおりの金額及び各支払期日の翌日(平成21年3月分〔同年4月支払分〕は同年5月1日,同年4月分〔同年5月支払分〕は同年6月1日,同年5月分〔同年6月支払分〕は同年7月1日,同年6月分〔同年7月支払分〕は同年8月1日)から支払済みまで,商事法定利率の年6分の割合による遅延損害金を支払うべき義務を負う。 (ア) 原告P1(甲19の1)平成21年1月支払分 49万0065円同年2月支払分 15万4170円同年3月支払分 9万4685円3か月平均額 24万6307円(円未満四捨五入,以下同じ)(イ) 同P2(甲19の2)平成21年1月支払分 13万5439円同年2月支払分 14万2133円- 62 -同年3月支払分 8万6185円3か月平均額 12万1252円(ウ) 同P3(甲19の3)平成21年1月支払分 16万1090円同年2月支払分 19万9911円同年3月支払分 23万2209円3か月平均額 19万7737円(エ) 同P4(甲19の4)平成21年1月支払分 21万7136円同年2月支払分 17万7141円同年3月支払分 20万5305円3か月平均額 19万98 (エ) 同P4(甲19の4)平成21年1月支払分 21万7136円同年2月支払分 17万7141円同年3月支払分 20万5305円3か月平均額 19万9861円(オ) 同P5(甲19の5)平成21年1月支払分 17万7205円同年2月支払分 15万6940円同年3月支払分 8万9185円3か月平均額 14万1110円(カ) 同P6(甲19の6)平成21年1月支払分 24万8985円同年2月支払分 9万1345円同年3月支払分 8万6185円3か月平均額 14万2172円(キ) 同P7(甲19の7)平成21年1月支払分 16万2520円同年2月支払分 16万8890円同年3月支払分 6000円- 63 -3か月平均額 11万2470円(ク) 同P8(甲19の8)平成21年1月支払分 26万4054円同年2月支払分 17万3690円同年3月支払分 9万2580円3か月平均額 17万6775円(ケ) 同P9(甲19の9)平成21年1月支払分 21万2116円同年2月支払分 14万0210円同年3月支払分 16万2946円3か月平均額 17万1757円(コ) 同P10(甲19の10)平成21年1月支払分 26万7960円同年2月支払分 12万1586円同年3月支払分 14万5380円3か月平均額 17万8309円(サ) 同P11(甲19の11)平成21年1月支払分 7万6300円同年2月支払分 13万3647円 払分 14万5380円3か月平均額 17万8309円(サ) 同P11(甲19の11)平成21年1月支払分 7万6300円同年2月支払分 13万3647円同年3月支払分 15万4703円3か月平均額 12万1550円(シ) 同P12(甲19の12)平成20年12月分 10万2984円平成21年1月分 30万5309円同年2月分 9万4460円3か月平均額 16万7584円- 64 -第4 結論よって,原告らの被告トルコ航空に対する各請求は,いずれも理由がないからこれを棄却し,原告P13の被告TEIに対する請求は理由がないからこれを棄却し,その余の原告らの被告TEIに対する請求は,主文第1項掲記の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求については理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁判官白石 哲 裁判官西村康一郎 裁判官篠原絵理
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