令和2(ワ)4331 特許権侵害損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年5月13日 東京地方裁判所
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令和4年5月13日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第4331号特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和4年3月11日判決 原告フィリップモーリスプロダクツソシエテアノニム同訴訟代理人弁護士本多広和江幡奈歩同訴訟代理人弁理士新井剛 石原俊秀 被告ジョウズ・ジャパン株式会社(以下「被告ジョウズ」という。) 被告アンカー・ジャパン株式会社(以下「被告アンカー」という。)被告ら訴訟代理人弁護士兼弁理士小林幸夫同訴訟代理人弁護士木村剛大藤沼光太 平田慎二 主文 1 被告らは、原告に対し、連帯して2172万7977円及びこれに対する令和2年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを5分し、その4を原告の負担とし、その余を被告らの負担 とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 5 原告のために、この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 5 原告のために、この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、原告に対し、連帯して9940万4113円及びこれに対する令和2年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要本件は、発明の名称を「加熱式エアロゾル発生装置、及び一貫した特性のエ アロゾルを発生させる方法」とする発明に係る特許権(特許第6125008号。以下「本件特許権」といい、同特許権に係る特許を「本件特許」という。)を有する原告が、被告らに対し、被告らが共同で別紙物件目録記載の各製品(加熱式タバコ用デバイスをいう。以下、「被告製品1」ないし「被告製品3」といい、総称して「被告製品」という。)の販売、輸出、輸入及び販売の申出を することが本件特許権の侵害に当たると主張して、不法行為に基づき、連帯して9940万4113円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(不法行為後の日)である令和2年3月10日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による金員の支払を求める事案である。 なお、原告は、本件と同時に、被告らの上記の行為が本件特許権の侵害に当たると主張して、被告らの上記行為の差止めを求める訴え(以下「差止訴訟」という。)を提起していたところ、侵害論までは、本件訴訟と差止訴訟は並行して審理が行われ、当事者双方は、本件とほぼ同一の主張立証を行った。そして、侵害論において充足有効の心証が示されたことから、本件訴訟については 損害論に移行し、差止訴訟については請求を認容する旨の判決が言い渡された。 ぼ同一の主張立証を行った。そして、侵害論において充足有効の心証が示されたことから、本件訴訟については 損害論に移行し、差止訴訟については請求を認容する旨の判決が言い渡された。 その後、裁判体の構成が代わったものの、上記心証が維持されて侵害論の審理が継続し、当事者双方において損害論の主張立証が尽くされたため、弁論が終結された。 1 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実をいう。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特 に記載しない限り、枝番を含むものとする。)当事者ア原告は、加熱式タバコ用の器具を製造、販売するスイス連邦の法人である。 イ被告ジョウズは、喫煙具類や電子製品の企画、製造、販売及び輸出入等 を目的として、平成30年2月28日に設立された株式会社である(甲11)。 ウ被告アンカーは、電化製品、コンピューター関連機器の企画、製造、販売及び輸出入等を目的として、平成25年1月30日に設立された株式会社であり、安克创新科技股份有限公司(以下「中国アンカー社」という。) を中核企業とし、米国、欧州、アジア各国でスマートフォンやタブレットの製造、販売を行う国際的な企業グループ「Anker グループ」の日本法人である(甲12の2、甲31)。 本件特許権原告は、以下の特許権を有している(甲1、2。以下、本件特許の願書に 添付された明細書及び図面を「本件明細書等」という。)。 発明の名称:加熱式エアロゾル発生装置、及び一貫した特性のエアロゾルを発生させる方法特許番号:特許第6125008号出願日:平成25年12月17日(特願2015-522125号) 優先日:平成24年12月28 及び一貫した特性のエアロゾルを発生させる方法特許番号:特許第6125008号出願日:平成25年12月17日(特願2015-522125号) 優先日:平成24年12月28日 優先権主張国:欧州特許庁登録日:平成29年4月14日本件特許に係る特許請求の範囲本件特許に係る特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである(甲2)。 ア請求項1(以下「本件発明1」という。) 「エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、前記装置は、エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、 を備え、前記方法は、前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置を動作させた直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が前記少なくとも1つの加熱要素に供給され、第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度に低下 するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給され、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む、ことを特徴とする方法。」 イ請求項15(以下「本件発明2」といい、本件発明1と併せて「本件各発明」という。)「電気作動式エアロゾル発生装置であって、エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、 前記加熱要素に電力を供給するための電源と、 前記電源から ゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、 前記加熱要素に電力を供給するための電源と、 前記電源から少なくとも前記1つの加熱要素への電力の供給を制御するための電気回路と、を備え、前記電気回路は、前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2 段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度より低い第2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くはならず、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、前記第1、第2及び第3段階中に電力が前記加熱要素に供給されるように制御するよう構成される、 ことを特徴とする電気作動式エアロゾル発生装置。」本件各発明の構成要件本件各発明を構成要件に分説すると、以下のとおりである。 ア本件発明11A エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法で あって、1B 前記装置は、エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、 を備え、1C 前記方法は、前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置を動作させた直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が前記少なくとも1 つの加熱要素に供給され、 第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力 つの加熱要素に供給され、 第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給され、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう 制御するステップを含む、ことを特徴とする方法。 イ本件発明22A 電気作動式エアロゾル発生装置であって、2B エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾ ルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、前記電源から少なくとも前記1つの加熱要素への電力の供給を制御するための電気回路と、を備え、 2C 前記電気回路は、前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度より低い第 2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くはならず、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、前記第1、第2及び第3段階中に電力が前記加熱要素に供給される ように制御するよう構成される、 ことを特徴とする電気作動式エアロゾル発生装置。 原告による加熱式タバコ用デバイス等の製造、販売原告は、「IQOS」という商品名の加熱式タバコ用デバイス(以下「原告製品」という。)及び原告製品専用のタバコスティックを製造、販売している(甲6、甲A41、乙A63)。 なお、原告製品は、本件各発明の実施品 」という商品名の加熱式タバコ用デバイス(以下「原告製品」という。)及び原告製品専用のタバコスティックを製造、販売している(甲6、甲A41、乙A63)。 なお、原告製品は、本件各発明の実施品である。 被告製品の販売等被告ジョウズは、平成30年6月頃から令和元年12月までの間、原告製品専用のタバコスティックの使用が可能な加熱式タバコ用デバイス(被告製品)の販売、輸入及び販売の申出をした(甲3ないし5、7ないし8、25 ないし27)。 被告製品の構成等ア被告製品(その外観は、以下の図のとおりである。)は、タバコスティックをキャップに挿入し、ファンクションボタンの押下により予熱を開始し、予熱完了後に一定時間又は一定回数、タバコスティックから発生する エアロゾルの吸入を可能にする加熱式タバコ用デバイスである(甲19ないし21)。そして、被告製品の加熱ブレードの片面には電気抵抗で発熱する電線が設けられており、この加熱ブレードによりタバコスティックのタバコ基材を加熱することにより、ユーザが吸入するニコチンを含むエアロゾルが生成される。 イ原告従業員が作成した侵害分析レポート(甲22ないし24)によれば、被告製品における加熱ブレードの温度変化の状況は、以下のとおりである。 被告製品1(甲22) 上記図のとおり、①被告製品1のファンクションボタンを2秒間押下すると、予熱が開始し、最初の約10秒間に温度が上昇し、その後の約40秒間、温度が約355℃に維持され、②次の数秒間で温度が低下し、約140秒間、温度が約330℃に維持され、③続いてその後の約180秒間、温度が約350℃になるまで徐々に上昇した後、加熱が終了す る。 ℃に維持され、②次の数秒間で温度が低下し、約140秒間、温度が約330℃に維持され、③続いてその後の約180秒間、温度が約350℃になるまで徐々に上昇した後、加熱が終了す る。 被告製品2(甲23) 上記図のとおり、①加熱開始後、最初の数秒間に温度が上昇し、約40秒間、温度が約385℃に維持され、②次の数秒間で温度が低下し、約140秒間、温度が約350℃に維持され、③続いてその後の約80 秒間、温度が約365℃になるまで徐々に上昇した後、加熱が終了する。 被告製品3(甲24) 第1段階第2段階第3段階 被告製品3では、温度設定について、Light、Medium、Full の3つのモードが選択できるところ(甲7、21)、上記各図のとおり、①加熱開始後、最初の数秒間に温度が上昇し、約40秒間、温度が約350~3 60℃に維持され、②次の数秒間で温度が低下し、約150秒間、温度が約330℃に維持され、③続いてその後の約120秒間、温度が約350℃になるまで徐々に上昇した後、加熱が終了する。 ウ被告製品に用いられている方法(以下「被告方法」といい、被告製品と併せて「被告製品等」という。)及び被告製品の構成は、以下のとおりで ある(なお、同構成等については、構成要件の充足性との関係で、当事者間に争いがある。)。 被告方法1a 加熱式タバコ用デバイスにおけるニコチンを含むエアロゾルの生成を制御する方法であって、1b 加熱式タバコ用デバイスは、グリセリン等を含むタバコスティックのタバコ基材を加熱するよ うに構成 バコ用デバイスにおけるニコチンを含むエアロゾルの生成を制御する方法であって、1b 加熱式タバコ用デバイスは、グリセリン等を含むタバコスティックのタバコ基材を加熱するよ うに構成された電線を含む加熱ブレードと、加熱ブレードの電線に電力を供給するためのバッテリーとを備え、1c 前記方法は、加熱ブレードの電線に供給される電力を、 加熱式タバコ用デバイスを動作させた直後の第1段階において、電線の温度が当初の温度から一定の温度(被告製品1については約355℃、被告製品2については約385℃、被告製品3については約350~360℃)に上昇するように電力が電線に供給され、第2段階において、電線の温度が一定の温度(被告製品1及び3 については約330℃、被告製品2については約350℃)に低下するように電力が電線に供給され、第3段階において、電線の温度が一定の温度(被告製品1及び3については約350℃、被告製品2については約365℃)に徐々に上昇するよう電力が電線に供給されるよう 制御するステップを含む、ことを特徴とする方法。 被告製品2a バッテリーを有する加熱式タバコ用デバイスであって、2b グリセリン等を含むタバコスティックのタバコ基材を加熱してニ コチンを含むエアロゾルを生成するように構成された加熱ブレード の電線と、加熱ブレードの電線に電力を供給するためのバッテリーと、バッテリーから電線への電力の供給を制御するための電気回路と、を備え、2c 電気回路は、加熱ブレードの電線に供給される前記電力を、加熱 式タバコ用デバイスを動作させた直後の第1段階において、電線の温度が当初の温度から一定の温度(被告 の電気回路と、を備え、2c 電気回路は、加熱ブレードの電線に供給される前記電力を、加熱 式タバコ用デバイスを動作させた直後の第1段階において、電線の温度が当初の温度から一定の温度(被告製品1については約355℃、被告製品2については約385℃、被告製品3については約350~360℃)に上昇し、第2段階において、電線の温度が一定の温度(被告製品1及び3 については約330℃、被告製品2については約350℃)に低下し、第3段階において、電線の温度が一定の温度(被告製品1及び3については約350℃、被告製品2については約365℃)に徐々に上昇し、 前記第1、第2及び第3段階中に電力が電線に供給されるように制御するよう構成される、ことを特徴とする加熱式タバコ用デバイス。 先行文献本件特許の優先日である平成24年12月28日より前に、以下の公刊物 が存在した。 ア発明の名称を「電気式香味生成物品加熱制御装置」とする公開特許公報(特開2000-41654号、平成12年2月15日公開。乙7。以下「乙7公報」といい、同公報に記載された発明を「乙7発明」という。)イ発明の名称を「気化式電子タバコ」とする中国公開特許公報(中国特許 出願公開第102754924号、平成24年10月31日公開。乙8。 以下「乙8公報」といい、同公報に記載された発明を「乙8発明」という。)ウ発明の名称を「電気式エーロゾル発生システムにおいて煙成分の形成を制御する方法」とする公開特許公報(特表2011-515093号公報、平成23年5月19日公開。乙9。以下「乙9公報」といい、同公報に記載された発明を「乙9発明」という。) 本件特許に関する無効審判 る公開特許公報(特表2011-515093号公報、平成23年5月19日公開。乙9。以下「乙9公報」といい、同公報に記載された発明を「乙9発明」という。) 本件特許に関する無効審判及び審決取消訴訟アブリティッシュアメリカンタバコ (インヴェストメンツ) リミテッド(以下「BAT」という。)は、平成30年8月29日、本件特許の請求項1ないし26について、特許庁に対し、特許無効審判(無効2018-800107号。以下「本件無効審判」という。)の請求 をした。 本件無効審判においてBATが主張した無効理由は、①乙7発明に基づく新規性・進歩性欠如、②乙8発明に基づく新規性・進歩性欠如、③サポート要件違反、④明確性要件違反、⑤実施可能要件違反である(甲28)。 特許庁は、令和元年8月20日、本件無効審判の請求は成り立たない旨の審決をした(甲28)。 イ BATは、上記審決を不服として、その取消訴訟(知的財産高等裁判所令和元年(行ケ)第10174号)を提起したところ、同裁判所は、令和2年8月26日、原告の請求を棄却する旨の判決をした(甲29)。 関連訴訟原告は、被告ジョウズに対し、被告製品の譲渡等が本件特許権とは別の特許権(特許第5854394号。以下「別件特許権」といい、別件特許権に係る発明を「別件発明」という。)を侵害すると主張して、不法行為に基づき、損害賠償金の一部7143万7327円の支払を求める訴訟(東京地方 裁判所令和元年(ワ)第20074号。以下「別件訴訟」という。)を提起 したところ、同裁判所は、令和4年1月27日、被告ジョウズに対し5185万2556円の支払を命じる一部認容判決(以下「別件訴訟判決」という。)をした 「別件訴訟」という。)を提起 したところ、同裁判所は、令和4年1月27日、被告ジョウズに対し5185万2556円の支払を命じる一部認容判決(以下「別件訴訟判決」という。)をした(乙A80、弁論の全趣旨)。 2 争点被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1) ア被告製品が「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか(争点1-1)イ被告製品が「第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか(争 点1-2)[なお、構成要件2Cの上記ア及びイの構成は、その文言に異なる部分はあるものの、同1Cの相当する構成と同義であることから、構成要件2Cを充足する場合には同1Cも充足することとなる。このため、争点1には物の発明に係る構成要件2Cのみを掲げることとする。] 本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点2)ア乙7発明に基づく新規性欠如(争点2-1)イ乙8発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-2)ウサポート要件違反(争点2-3) エ明確性要件違反(争点2-4)オ実施可能要件違反(争点2-5)被告アンカーの責任主体性(争点3)原告の損害額(争点4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(被告製品が「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加 熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか)について(原告の主張) 「前記装置の動作の直後の第1段階において前 いて前記加 熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか)について(原告の主張) 「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」(構成要件2C)の意義 被告らは、構成要件2Cの「直後の」との文言の意義について、「エアロゾル発生装置の動作開始後、何ら空白時間を入れずに直ちに、連続的にエアロゾルが発生する温度に上昇する」ことを意味すると主張するが、「直後の」という文言は「第1段階」に係るものであり、第1段階がエアロゾル発生装置を動作させた直後に始まることを意味するにすぎず、第1の温度に到達す る時間や態様を限定するものではない。 そして、被告らが「直後」との文言の解釈をするに当たって依拠する本件明細書等の記載(本件明細書等の段落【0013】、【0014】、【0016】、【図5】)をみても、第1段階における温度の上昇時間や態様を限定するものはない。むしろ、本件明細書等の段落【0021】に「目標温度 は、第1、第2及び第3の動作段階の制約範囲内であらゆる所望の時間的プロファイルを有するように選択できることが明らかであろう。」と記載されていることは、原告の主張を裏付けるものである。 また、被告らは、構成要件2Cの上記記載は、少なくとも意図的に第1の温度に上昇するまでにこれよりも低い温度設定をしている場合は含まないと 主張するが、当該記載は、第1段階では加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇することを意味するにすぎず、温度上昇の時間や態様を限定するものではない。 被告製品の構成要件充足性ア前提事実のとおり、被告製品1では、ファンクションボタンを2秒間押 下 上昇することを意味するにすぎず、温度上昇の時間や態様を限定するものではない。 被告製品の構成要件充足性ア前提事実のとおり、被告製品1では、ファンクションボタンを2秒間押 下すると、予熱が開始し、最初の約10秒間に温度が上昇し、その後の約 40秒間、温度が約355℃に維持される。他の被告製品についても、温度が350℃以上に上昇する。 そして、構成要件2Cの「第1の温度」とは、エアロゾル形成基材からエアロゾルが発生する温度を意味するところ、被告製品で使用されるタバコスティックのタバコ基材に含有され、エアロゾルを形成する物質である グリセリンの沸点は約290℃であるため、被告製品において加熱ブレードの電線の温度が350℃以上に上昇すると、「エアロゾル形成基材」であるタバコ基材からニコチンを含むエアロゾルが発生する。そうすると、被告製品は「加熱要素の温度が…第1の温度に上昇」するものである。 したがって、被告製品は、構成要件2Cの「前記装置の動作の直後の第 1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」との要件を充足する。 イ被告らは、被告製品においては、2段階の温度上昇設定を採用しているため、1段階目では最高温度の336℃より50℃低い286℃まで温度が上昇するにすぎず、所望の成分を含むエアロゾルを発生させることがで きないから、被告製品は、構成要件2Cの第1段階に係る要件を充足しないと主張する。 しかしながら、本件各発明は初期温度から第1の温度への温度上昇の態様について特段限定していないから、被告製品の第1段階の冒頭で温度がどのように上昇するかは、構成要件2Cの第1段階に係る要件の充足性と は関係がない。 また、被告製 の温度上昇の態様について特段限定していないから、被告製品の第1段階の冒頭で温度がどのように上昇するかは、構成要件2Cの第1段階に係る要件の充足性と は関係がない。 また、被告製品は、そのソフトウェア設計書(乙10の4頁注、同5頁)からも明らかなように、目標温度は336℃に設定されており、それよりも50℃低い286℃になった段階で、温度制御を98%の電流DutyCycleでの全速加熱からPID制御モードに切り替えて目標温度の 336℃まで上昇させ、温度を安定させるという加熱方法を採用している。 同設計書は、このような切替えをする理由について、「温度ポイントが…高過ぎたら加熱速度が速くなるが大幅の温度オーバーシュートにより温度を336度に安定させることが難しくな」るからであるとしている。同記載によれば、被告製品の2段階の温度上昇設定は、目標温度である検査平均温度336℃に温度を上昇させて安定させる手段であり、286℃ま での温度上昇は、そのための温度制御モードの切替えのタイミングとして設定された温度にすぎない。この切替え時の温度(286℃)がグリセリンの揮発温度である約290℃を下回っているか否かは、構成要件2Cの第1段階に係る要件の充足性とは関係がない。 (被告らの主張) 「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」(構成要件2C)の意義について本件明細書等の段落【0013】に「第1、第2及び第3段階中に連続的にエアロゾルが発生するように、第1、第2及び第3の温度を選択する。」との記載があることに照らすと、「第1の温度」とは、連続的にエアロゾル が発生する温度である必要がある。また、「直後」とは、時間的にすぐ後の 生するように、第1、第2及び第3の温度を選択する。」との記載があることに照らすと、「第1の温度」とは、連続的にエアロゾル が発生する温度である必要がある。また、「直後」とは、時間的にすぐ後のことを意味するところ、本件明細書等の段落【0014】には「加熱式喫煙装置では、装置の作動後にできるだけ早く所望の成分を含むエアロゾルを発生させることが望ましい。…第1段階では、加熱要素をできるだけ速く第1の温度に上昇させるための電力を加熱要素に供給することができる。」との 記載がある。さらに、同明細書等の【図5】には、初期温度から第1の温度に上昇する途中において温度設定がされることは示されていない。 以上の本件明細書等の記載を参酌すると、構成要件2Cにいう「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」とは、エアロゾル発生装置の動作開始後、何ら空白時間を 入れずに直ちに、連続的にエアロゾルが発生する温度に上昇するように電力 を供給することを意味し、少なくとも意図的に第1の温度に上昇するまでにこれよりも低い温度設定をして電力を供給している場合は含まれないと解すべきである。 被告製品の構成要件充足性被告製品においては、起動させるためにファンクションボタンを2秒間押 し続ける必要があり、「直ちに」予熱が開始されるわけではない。これは、誤作動を回避するという安全性への配慮によるものであり、この2秒間は予熱を開始するまでの空白時間に当たる。 また、被告製品においては、ソフトウェア設計書(乙10)の下図のとおり、予熱開始後に連続的にエアロゾルが発生する温度に上昇させるのではな く、あえて意図的に最高温度よりも50℃低い286℃まで一度上昇させ、 においては、ソフトウェア設計書(乙10)の下図のとおり、予熱開始後に連続的にエアロゾルが発生する温度に上昇させるのではな く、あえて意図的に最高温度よりも50℃低い286℃まで一度上昇させ、その後緩やかに連続的にエアロゾルが発生する336℃まで温度を上昇させるという2段階の温度上昇設定を採用している。このように、被告製品においては、意図的に最高温度よりも50℃低い286℃に温度設定しているので、上記の「少なくとも意図的に第1の温度に上昇するまでにこれよりも低 い温度設定をして電力を供給している場合」に当たり、構成要件2Cを充足しない。 加えて、「エアロゾル形成体」に該当するグリセリンの揮発温度は約290℃であり、286℃までの温度上昇では、所望の成分を含むエアロゾルを 発生させることができない。このように、被告製品では、最初の喫煙までの時間をあえて長くとっており、2段階の温度上昇の1段階目ではあえて揮発温度以下の温度上昇にとどめているのであるから、「装置の作動後にできるだけ早く所望の成分を含むエアロゾルを発生させる」との本件各発明の効果を有しない。 そうすると、被告製品においては、最高温度の336℃よりも50℃低い286℃までしか温度が上昇せず、エアロゾルを発生させることができないから、構成要件2Cの「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」との要件を充足しない。 2 争点1-2(被告製品が「第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2 の温度より高い第3の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか)について(原告の主張)構成要件2Cの「第2の温度より高い第3の温度に上昇」の意義構成要件2Cは 記第2 の温度より高い第3の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか)について(原告の主張)構成要件2Cの「第2の温度より高い第3の温度に上昇」の意義構成要件2Cは、「第2の温度より高い第3の温度に上昇」との構成を含 むところ、被告らは、この第2の温度から第3の温度への上昇は線形的な温度上昇に限定されると主張する。 しかしながら、本件明細書等では、第3段階の温度上昇につき、段落【0020】に「1つの実施形態では…第3段階中に加熱要素の温度を継続的に上昇させるように行われる。」、段落【0021】に「第3の目標温度は時 間と共に次第に上昇する。目標温度は、第1、第2及び第3の動作段階の制約範囲内であらゆる所望の時間的プロファイルを有するように選択できることが明らかであろう。」などと記載されているとおり、特定の態様に限定されず、あらゆる所望の時間的プロファイルを有することができることが前提となっており、第3の温度への上昇態様を線形的な上昇に限定するような記 載はない。 また、被告らは、本件明細書等の段落【0074】と【図8】に依拠するが、これらは発明の実施形態を「ほんの一例として」(段落【0050】)説明したものにすぎず、このことは、段落【0074】に「図8に、…目標温度プロファイルの例を示す。」とあることも明らかである。また、本件明細書等の【図8】は目標温度プロファイルの概略図であり、実際の温度プロ ファイルの概略図は【図5】であるところ、同図面が示すように、実際の温度プロファイルの温度上昇は線形的ではない。 さらに、本件明細書等の段落【0021】には、一実施態様として、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較結果に基づいて、加熱要素に供給する電力を調整するこ プロファイルの温度上昇は線形的ではない。 さらに、本件明細書等の段落【0021】には、一実施態様として、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較結果に基づいて、加熱要素に供給する電力を調整することが記載されているから、同記載に接した当業者は、温 度上昇が必ずしも線形的な上昇にはならないことを容易に理解し得る。 したがって、構成要件2Cの「第2の温度より高い第3の温度に上昇」を線形的な上昇に限定して解釈することは相当ではない。 被告製品の構成要件充足性被告製品は、加熱ブレードの電線の温度を、第2段階の温度より高い温度 に徐々に上昇するよう電力を供給するものであるから、被告製品は、構成要件2Cの「第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、」との要件を充足する。 (被告らの主張)構成要件2Cの「第2の温度より高い第3の温度に上昇」の意義について 本件明細書等には、第3の温度への上昇について、「第3段階74中には、目標温度が時刻t3まで時間の増加と共に線形的に上昇し」(段落【0074】)との記載があり、図8には線形的に温度が上昇することが示されている(下記の赤色の点線部分参照)。また、同明細書等の段落【002 0】には「第3段階中には、基材がますます枯渇するにつれて継続的に温度を高めることが望ましい。」などの記載が、更に同段落【0021】には「第3段階中には、目標温度を第3の目標温度とす ることができ、第3の目標温度は時間と共に次第に上昇する。」などの記載が存在する。 これらの記載や図面によれば、第3段階における時間的プロファイルについて、本件各発明の課題である「エアロゾル形成基材の連続的又は反復的加熱期間にわたって特性がより一貫したエア どの記載が存在する。 これらの記載や図面によれば、第3段階における時間的プロファイルについて、本件各発明の課題である「エアロゾル形成基材の連続的又は反復的加熱期間にわたって特性がより一貫したエアロゾルを提供するエアロゾル発生 装置及びシステムを提供する」(段落【0005】)ためには、基材の枯渇につれて継続的に温度を高める必要があり(段落【0020】、【0021】)、そのためには線形的な温度の上昇が求められる(段落【0074】、【図8】)。 他方、本件明細書等において、第3の温度に段階的に上昇することを許容する記載はなく、線形的な上昇をすることしか記載されていない。 したがって、構成要件2Cにいう「第2の温度より高い第3の温度に上昇」とは、第2の温度から第3の温度に線形的に温度が上昇することを意味すると解すべきである。 被告製品の構成要件充足性被告製品では、第3段階において、段階的に温度が上昇するのであって、 線形的に上昇するものではない。そのため、被告製品は、第3段階において、加熱要素の温度を「第2の温度より高い第3の温度に上昇する」よう電力を供給するものではない。 したがって、被告製品は、構成要件2Cの「第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、」との要件を充足 しない。 3 争点2-1(乙7発明に基づく新規性欠如)について(被告らの主張)本件各発明は、乙7発明と同一であるから新規性を欠くので、本件特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものであるから、特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項2号)。 乙7発明乙7公報は、以下の乙7発明1及び2を開示している。 ア乙7発 定に違反してされたものであるから、特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項2号)。 乙7発明乙7公報は、以下の乙7発明1及び2を開示している。 ア乙7発明17-1A 加熱制御装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、 7-1B 前記装置は、エアロゾル基材を含む成形体30を加熱するように構成された加熱用ヒータ1と、加熱用ヒータ1に電力を供給するための直流電源2と、を備え、 7-1C 前記方法は、加熱用ヒータ1に供給される電力を、前記装置を動作させた直後の第1段階において加熱用ヒータ1の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が加熱用ヒータ1に供給され、 第2段階において加熱用ヒータ1の温度が第1の温度よりも低い第2の温度に低下するが、エアロゾル基材の揮発温度より低くならないように電力が供給され、第3段階において加熱用ヒータ1の温度が第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう 制御するステップを含む、 方法。 イ乙7発明27-2A エアロゾルを発生する電気式加熱制御装置であって、7-2B エアロゾル基剤を含む成形体30を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された加熱用ヒータ1と、 加熱用ヒータ1に電力を供給するための直流電源2と、直流電源2から加熱用ヒータ1への電力の供給を制御するための定電圧発生回路3と、を備え、7-2C 定電圧発生回路3は、 加熱用ヒータ1に供給される電力を、電気式加熱制御装置の動作の直後の第1段階において加熱用ヒータ1の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2段階において加熱用ヒータ1の温度が第1の温 加熱用ヒータ1に供給される電力を、電気式加熱制御装置の動作の直後の第1段階において加熱用ヒータ1の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2段階において加熱用ヒータ1の温度が第1の温度より低い第2の温度に低下するが、エアロゾル基剤の揮発温度より低くは ならず、第3段階において加熱用ヒータ1の温度が第2の温度より高い第3の温度に上昇し、第1、第2及び第3段階中に電力が加熱用ヒータ1に供給されるように制御するよう構成された、 電気式加熱制御装置。 乙7発明と本件各発明の同一性以下のとおり、乙7発明1は、本件発明1の構成を、乙7発明2は、本件発明2の構成を、全て備えている。 ア構成要件1A、1B、2A、2B 乙7発明の「加熱制御装置」は、エアロゾルを発生する装置であること から、本件各発明の「エアロゾル発生装置」に相当する。同様に、乙7発明の「エアロゾル基剤」、「成形体30」、「加熱用ヒータ1」、「直流電源2」は、それぞれ、本件各発明の「エアロゾル形成体」、「エアロゾル形成基材」、「加熱要素」及び「ヒータ」、「電源」に相当し、乙7発明2の「定電圧発生回路3」は、本件発明2の「電気回路」に相当する。 したがって、乙7発明1は構成要件1A、1Bを、乙7発明2は構成要件2A、2Bを備えている。 イ構成要件1C、2C乙7公報の段落【0027】及び【図3】には、定電圧発生回路を通じて直流電源2から加熱用ヒータ1に電力が供給され、加熱制御装置を 動作させた直後の第1段階(Ph1)において加熱用ヒータ1の温度が初期温度から第1の温度(T1)に上昇するように制御されることが記載されている。 また、乙7公報の段落【0021】、【0050】及 動作させた直後の第1段階(Ph1)において加熱用ヒータ1の温度が初期温度から第1の温度(T1)に上昇するように制御されることが記載されている。 また、乙7公報の段落【0021】、【0050】及び【図3】には、第2段階(Ph2)において、加熱用ヒータ1の温度が第1の温度(T 1)から第2の温度(T2)に低下すること、第2段階においてもエアロゾルが発生していること、加熱用ヒータが第2の温度の到達した時点で第2段階の終了時に加熱用ヒータがオンになることが開示されている。 さらに、乙7公報の【図3】には第3段階(Ph3)において加熱用ヒータ1の温度が第2の温度(T2)より高い第3の温度(T3)に上 昇することが開示されている。 そして、乙7発明は、乙7公報の段落【0012】に記載のとおり、加熱要素の温度を240~360℃までの範囲で最大で120℃も変化させることを意図した発明であり、装置の動作の直後の第1段階において第1の温度に上昇し、第2段階において第1の温度より低い第2の温 度に低下し、第3段階において第2の温度より高い第3の温度に上昇す るという温度制御を行う発明であるところ、本件各発明は、加熱要素の温度が、第1から第3の順に変化することを特定するのみで、加熱の持続時間や温度の高さといった事項は特定していないから、乙7発明と本件各発明との間に加熱要素の温度変化の点について差異はない。 乙7発明は、加熱用ヒータ1の通電路をオン・オフ制御することによ り加熱温度を制御するものであるところ、本件各発明が備える電力供給の制御の構成には、第2段階で電力供給をゼロに制御する場合も含まれるから、乙7発明のオフ制御は、本件各発明の「第2段階」に相当する。 仮に、第2段階において電力が供給されることが本 が備える電力供給の制御の構成には、第2段階で電力供給をゼロに制御する場合も含まれるから、乙7発明のオフ制御は、本件各発明の「第2段階」に相当する。 仮に、第2段階において電力が供給されることが本件各発明の要件であるとしても、上記のとおり、乙7発明においては、第2段階の終了 時に加熱用ヒータ1がオンになって第3段階が開始することにより、第2段階においても加熱用ヒータ1に電力が供給される。 したがって、乙7発明1は構成要件1Cを、乙7発明2は構成要件2Cを備えている。 以上のとおり、本件各発明は、乙7発明と構成が全て一致するから、新規 性を欠く。 (原告の主張)本件各発明は、構成要件1C、2Cを備える点で乙7発明と相違するので、乙7発明との関係で新規性を有する。 被告らは、乙7発明と本件各発明との間に加熱要素の温度変化の点につい て差異はないとして、乙7発明は、本件各発明の第1ないし第3段階の温度変化に相当する構成を備えると主張する。 しかしながら、乙7発明におけるオン・オフ制御による温度の振動は、本件各発明の意図的な温度プロファイルとは全く技術思想が異なる。すなわち、乙7発明は、発熱体を所定温度に制御するために、オン・オフ制御を繰り返 し実行するというもの(乙7公報の段落【0007】、【0035】、【0 044】、【0045】等)である。同発明は、本件明細書等の段落【0056】や【図3】、【図4】にあるような、動作中に一定の温度をもたらすように構成され、エアロゾル成分の送達がピークを迎えた後、エアロゾル形成基材が枯渇して熱拡散効果が弱まるにつれ、時間とともにエアロゾル成分の送達が低下する従来技術に相当するものである。 そして、乙7公報には、本件各発明のよ 送達がピークを迎えた後、エアロゾル形成基材が枯渇して熱拡散効果が弱まるにつれ、時間とともにエアロゾル成分の送達が低下する従来技術に相当するものである。 そして、乙7公報には、本件各発明のような、ユーザによる複数回の喫煙を含む期間にわたって、エアロゾルの送達量を一貫とするために、凝縮が抑えられてエアロゾルの送達量が増加することに応じて第1の温度から第2の温度へと温度を低下させたり、逆にエアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に応じて第2の温度から第3の温度へと温度を上昇させたりするという 技術思想については、記載も示唆もされていない。 したがって、乙7発明は、加熱要素の制御方法やそのための電気回路の構成が本件各発明と異なっており、本件各発明の第1ないし第3段階、第1ないし第3の温度(構成要件1C、2C)に相当する構成を有しない。 被告らは、本件各発明の第2段階には電力供給をゼロに制御する場合も含 まれ、仮にゼロに制御する場合が含まれないとしても、乙7発明では、第2段階の終了時に加熱用ヒータ1がオンになって第3段階が開始することにより、第2段階においても加熱用ヒータ1に電力が供給されるから、乙7発明でオフ制御される期間は「第2段階」に該当すると主張する。 しかしながら、本件各発明は、第2段階において、「電力が供給され…る よう制御する」ものであるから、同段階は電力供給があることが前提となっており、電力供給をゼロに制御する場合を含まない。 また、本件各発明の第2段階は、第3段階とは異なる温度変化を行う別の段階であるところ、乙7発明のオフ制御の期間は、電力が常にオフであるから、電力供給がないことは明らかであり、電力がオンに戻るときは、前の段 階の続きではなく、別の段階の始まりと説明さ 行う別の段階であるところ、乙7発明のオフ制御の期間は、電力が常にオフであるから、電力供給がないことは明らかであり、電力がオンに戻るときは、前の段 階の続きではなく、別の段階の始まりと説明されるべきものである。 したがって、乙7発明1は「第2段階において…電力が供給され」る(構成要件1C)構成を、乙7発明2は「第2…段階中に電力が前記加熱要素に供給される」(構成要件2C)構成を備えない。 以上のとおり、本件各発明は、乙7発明と同一ではないから、乙7発明を根拠とする被告らの新規性欠如の主張は理由がない。 4 争点2-2(乙8発明に基づく新規性・進歩性欠如)について(被告らの主張)本件各発明は、乙8発明と同一であるから新規性を欠く。仮に、乙8発明と本件各発明に相違点があるとしても、当業者は乙8発明に乙9発明を適用することにより相違点に係る構成を容易に想到し得たものであるから、本件各発明 は、進歩性を欠く。 乙8発明乙8公報は、以下の乙7発明1及び2を開示している。 ア乙8発明18-1A 気化式電子タバコにおける液状粒子の発生を制御する方法で あって、8-1B 気化式電子タバコは、タバコ組成物を加熱するように構成された電気加熱片と、電気加熱片に電力を供給するためのバッテリと、を備え、 8-1C 前記方法は、電気加熱片に供給される電力を、気化式電子タバコを動作させた直後の第1段階において電気加熱片の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が電気加熱片に供給され、 第2段階において電気加熱片の温度が第1の温度よりも低い第 2の温度に低下するが、タバコ組成物の気化温度よりも低くならないように電力が うに電力が電気加熱片に供給され、 第2段階において電気加熱片の温度が第1の温度よりも低い第 2の温度に低下するが、タバコ組成物の気化温度よりも低くならないように電力が供給され、第3段階において電気加熱片の温度が第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む、 方法。 イ乙8発明28-2A 液状粒子を発生する気化式電子タバコであって、8-2B タバコ組成物を加熱して液状粒子を発生させるように構成された電気加熱片と、 電気加熱片に電力を供給するためのバッテリと、バッテリから電気加熱片への電力の供給を制御するための電気回路と、を備え、8-2C 電気回路は、 電気加熱片に供給される電力を、気化式電子タバコの動作の直後の第1段階において電気加熱片の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2段階において電気加熱片の温度が第1の温度より低い第2の温度に低下するが、液状粒子の気化温度より低くはならず、 第3段階において電気加熱片の温度が第2の温度より高い第3の温度に上昇し、第1、第2及び第3段階中に電力が電気加熱片に供給されるように制御するよう構成された、気化式電子タバコ。 新規性 以下のとおり、乙8発明1は本件発明1の構成を、乙8発明2は本件発明2の構成を、全て備えているので、本件各発明は新規性を欠くものである。 ア構成要件1A、1B、2A、2B乙8発明の「気化式電子タバコ」は、本件各発明1の「エアロゾル発生装置」に相当する。同様に、乙8発明の「タバコ組成物」、「電気加熱片」、 「バッテリ」は、それぞれ、本件各発明の「エアロゾル形 乙8発明の「気化式電子タバコ」は、本件各発明1の「エアロゾル発生装置」に相当する。同様に、乙8発明の「タバコ組成物」、「電気加熱片」、 「バッテリ」は、それぞれ、本件各発明の「エアロゾル形成体」、「加熱要素」及び「ヒータ」、「電源」に相当する。 したがって、乙8発明1は本件発明1の構成要件1A及び1Bを、乙8発明2は本件発明2の構成要件2A及び2Bを備えている。 イ構成要件1C、2C 乙8公報の段落[0039]には、電気回路が、電気加熱片に電力を供給し、気化式電子タバコを動作させた直後の第1段階(Ph1)において電気加熱片の温度が初期温度から第1の温度(T1)に上昇するように制御されることが開示されている。 また、同段落には、第2段階において、電気加熱片の温度が第1の温 度(T1)よりも低い第2の温度(T2)に低下するが、タバコ組成物の気化温度より低くならないように電力が供給されていることが開示されている。また、電気加熱片は第2段階の終了時にオンになるので、第2段階においても電気加熱片に電力が供給される。 さらに、同段落には、第3段落(Ph3)において電気加熱片の温度 が第2の温度(T2)より高い第3の温度(T3)に上昇するように電力が供給されることが開示されている。 このように、乙8発明は、加熱要素の温度を180~240℃の範囲で変化させることを意図した発明であり、装置の動作の直後の第1段階において第1の温度に上昇し、第2段階において第1の温度より低い第 2の温度に低下し、第3段階において第2の温度より高い第3の温度に 上昇するという温度制御を行う発明である。上記3(被告らの主張)のとおり、本件各発明は、加熱要素の温度が、第1から第3の順に温度が変化する において第2の温度より高い第3の温度に 上昇するという温度制御を行う発明である。上記3(被告らの主張)のとおり、本件各発明は、加熱要素の温度が、第1から第3の順に温度が変化することを特定するのみで、加熱の持続時間や温度の高さといった事項は特定していないから、乙8発明と本件各発明との間に加熱要素の温度変化の点について差異はない。 乙8発明は、第2段階において電気加熱片を制御し加熱を停止させるものであるところ、上記3(被告らの主張)のとおり、本件各発明が備える電力供給の制御の構成には、第2段階で電力供給をゼロに制御する場合も含まれるから、乙8発明の第2段階は、本件各発明の「第2段階」に相当する。 仮に、第2段階において電力が供給されることが本件各発明の要件であるとしても、乙8発明においては、第2段階の終了時に電源がオンになって第3段階が開始することにより、第2段階においても電力が供給されるから、乙8発明は、本件各発明の「第2段階」に相当する構成を備える。 本件各発明は、加熱要素の温度が、エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給されるにすぎず、実際の加熱要素の温度が一時的にエアロゾル形成体の揮発温度よりも低くなることも含み得るものである。これに対し、乙8発明では、加熱要素(天火4)の動作温度が180~240℃に維持され、タバコ組成物が気化されて液体粒子 に転じるから(乙8公報の段落[0037]、[0039])、天火4の動作温度が揮発温度より低くならないことを意図した発明である。実際、乙8発明においては、180℃になった時点で加熱が開始されることにより、180℃から大きく温度が下回ることはないから、天火4の温度は実質的に180℃未満に低下しないように保た した発明である。実際、乙8発明においては、180℃になった時点で加熱が開始されることにより、180℃から大きく温度が下回ることはないから、天火4の温度は実質的に180℃未満に低下しないように保たれる。 したがって、乙8発明1は構成要件1Cを、乙8発明2は構成要件2 Cを備える。 ウ以上のとおり、本件各発明は、乙8発明の構成と全て同一であるので、新規性を欠く。 進歩性ア本件各発明と乙8発明の相違点 仮に、乙8発明が、構成要件1C、2Cに係る構成を備えず、本件各発明と同一でないとすれば、その相違点は、以下のとおりである。 (相違点8-1)本件発明1においては、第2段階において、エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給されるのに対し、乙8発明1に おいては、第2段階において加熱を停止させる点(相違点8-2)本件発明2においては、第2段階中に電力が加熱要素に供給されるのに対し、乙8発明2においては、第2段階において加熱を停止する点イ相違点の容易想到性 乙9公報の段落【0001】、【0030】ないし【0032】によれば、同公報には、「実際の作動温度が所定の最高作動温度の上側の領域よりも高い場合、加熱要素の温度が最高作動温度の上側の領域よりも低い最高作動温度の下側の領域に低下するが、前記最高作動温度の下側の領域より低くならないように電力が継続的に供給される電気加熱式 エーロゾル発生システム又はその方法」との乙9発明が開示されている。 乙8公報の段落[0039]には、天火4の動作温度が180~240℃に維持され、タバコの組成物は気化され、液体粒子に転じることが記載されているの の方法」との乙9発明が開示されている。 乙8公報の段落[0039]には、天火4の動作温度が180~240℃に維持され、タバコの組成物は気化され、液体粒子に転じることが記載されているので、乙8発明は、天火4の動作温度が揮発温度より低くならないようにすることを目的とした発明であるため、天火4の温度が18 0℃まで低下したときに加熱を再開する構成とすると、天火4の温度が 180℃よりも低い温度になってしまうのであれば、乙8発明の目的が達成されなくなってしまう。このため、当業者にとって、加熱を再開する温度を180℃よりも僅かに高い温度(例えば185℃等)に設定することは、通常の創作能力の発揮にすぎない。 したがって、乙8公報に接した当業者であれば、加熱要素の温度が1 80℃よりも僅かに高い温度(例えば185℃等)まで低下したときに加熱を再開する構成にして、天火4の温度が180℃よりも低くならないようにすることを容易に想到し得たものである。 乙8発明と乙9発明は、エアロゾル発生装置又はその方法という点で共通の技術分野に属するものであり、加熱要素の温度が一定の範囲に収 まるように電力を制御するという点で作用・機能を共通にする。また、乙9公報の段落【0032】には、「加熱要素温度の制御は、…あらゆる電気加熱式エーロゾル発生システムに適用可能である。」との示唆がある。 そうすると、乙9発明の温度制御方法を乙8発明に適用しようと試み ることは、当業者にとっての通常の創作能力の発揮にすぎないので、乙8発明に乙9発明を組み合わせて相違点8-1及び2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、乙8発明に乙9発明を組み合わせることにより、上記相 いので、乙8発明に乙9発明を組み合わせて相違点8-1及び2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、乙8発明に乙9発明を組み合わせることにより、上記相違点8-1及び2に係る構成を当業者が想到することは容易であったと いうことができる。 以上のとおり、本件各発明は、乙8発明と構成が一致するから、新規性を欠き、仮に乙8発明と構成が一致せず、相違点があるとしても、かかる相違点に係る構成は、乙8発明に乙9発明を組み合わせることにより当業者が容易に想到し得たものであるから、本件各発明は、進歩性を欠く。 (原告の主張) 本件各発明は、構成要件1C、2Cを備える点で乙8発明と相違し、かかる相違点は容易想到ではないから、乙8発明との関係で新規性、進歩性を有する。 乙8発明と本件各発明の同一性についてア被告らは、乙8発明と本件各発明との間に加熱要素の温度変化の点について差異はないとして、乙8発明は、本件各発明の第1ないし第3段階の 温度変化に相当する構成を備えると主張する。 しかしながら、乙8発明は、オン・オフ制御により、天火4の動作温度を一定範囲内に維持するものであり、本件明細書等の段落【0056】や【図3】、【図4】にあるような、動作中に一定の温度をもたらすように構成され、エアロゾル成分の送達がピークを迎えた後、エアロゾル形成基 材が枯渇して熱拡散効果が弱まるにつれ、時間とともにエアロゾル成分の送達が低下する従来技術に相当するものである。 そして、乙8公報には、本件各発明のような、ユーザによる複数回の喫煙を含む期間にわたって、エアロゾルの送達量を一貫とするために、凝縮が抑えられてエアロゾルの送達量が増加することに応じて第 である。 そして、乙8公報には、本件各発明のような、ユーザによる複数回の喫煙を含む期間にわたって、エアロゾルの送達量を一貫とするために、凝縮が抑えられてエアロゾルの送達量が増加することに応じて第1の温度か ら第2の温度へと温度を低下させたり、逆にエアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に応じて第2の温度から第3の温度へと温度を上昇させたりするという技術思想については、記載も示唆もされていない。 したがって、乙8発明は、加熱要素の制御方法やそのための電気回路の構成が本件各発明と異なっており、本件各発明の第1ないし第3段階、第 1ないし第3の温度(構成要件1C、2C)に相当する構成を有しない。 イ被告らは、本件各発明の第2段階には電力供給をゼロに制御する場合も含まれ、仮にゼロに制御する場合が含まれないとしても、乙8発明では、第2段階の終了時に電源がオンになって第3段階が開始することにより、第2段階においても電力が供給されるから、乙8発明は、本件各発明の第 2段階の電力供給に係る構成を備えると主張する。 しかしながら、上記3(原告の主張)のとおり、本件各発明の第2段階は、電力供給をゼロに制御する場合を含まない。そして、被告らが乙8発明の第2段階と主張する天火4の温度が低下する期間は、電力が常にオフで電力供給がないことは明らかである。 したがって、乙8発明1は、「第2段階において…電力が供給され」る (構成要件1C)構成を、乙8発明2は、「第2…段階中に電力が前記加熱要素に供給される」(構成要件2C)構成を備えない。 ウ被告らは、乙8発明は、本件各発明の第2段階においてエアロゾル形成体の揮発温度よりも低下させないようにする構成を備えていると主張する。 給される」(構成要件2C)構成を備えない。 ウ被告らは、乙8発明は、本件各発明の第2段階においてエアロゾル形成体の揮発温度よりも低下させないようにする構成を備えていると主張する。 しかしながら、乙8公報においては、タバコ組成物は、180~240℃の範囲で気化され液体粒子に転じると記載されている(段落[0027])ところ、同公報の段落[0037]、[0039]によれば、乙8発明は、天火4の温度がタバコ組成物の揮発温度を下回ったことを検出してから加熱を開始するから、乙8発明1は、本件発明の「第2段階において前記加熱要素の温度 が…前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならない」(構成要件1C)との構成を、乙8発明2は、「第2段階において前記加熱要素の温度が…前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くはならず」(構成要件2C)との構成を有しない。 進歩性について ア相違点被告らは、本件各発明と乙9発明との間には相違点8-1及び2(「電力供給に係る相違点」というべきものである。)が存在すると主張するが、被告らが主張する相違点のほかに、少なくとも以下の点が相違する。 (相違点8-3) 本件各発明では、本件各発明の「第1段階」での「第1の温度」、「第 2段階」での「第2の温度」、「第3段階」での「第3の温度」を用いて加熱要素の温度を制御しているのに対し、乙8発明は、そのような構成を備えていない点イ容易想到性以下のとおり、乙8発明に乙9発明を適用したとしても、当業者は本件 各発明の構成を容易に想到することはできない。 相違点8-3について乙9公報は、電気加熱式エールゾル発生システムに 8発明に乙9発明を適用したとしても、当業者は本件 各発明の構成を容易に想到することはできない。 相違点8-3について乙9公報は、電気加熱式エールゾル発生システムに関するものであり、乙8発明と同様に、加熱要素の温度を単一の不変の温度範囲に維持するために電気を制御する方法を開示するものである。 そして、乙9発明は、加熱要素の温度を所定の最高作動温度又はそれ未満の許容範囲内に維持するという、本件明細書等で従来技術と位置づけられている発明である。また、乙9公報には、本件各発明のような、ユーザによる複数回の喫煙を含む期間にわたって、エアロゾルの送達量を一貫とするために、凝縮が抑えられてエアロゾルの送達量が増加する ことに応じて第1の温度から第2の温度へと温度を低下させたり、逆にエアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に応じて第2の温度から第3の温度へと温度を上昇させたりするという技術思想については、記載も示唆もない。 したがって、乙8発明に乙9発明を適用したとしても、本件各発明の 技術思想に至ることはないから、当業者が、相違点8-3に係る構成を容易に想到し得たということはできない。 相違点8-1及び2について被告らは、乙9発明は「最高作動温度の下側の領域より低くならないように電力が継続的に供給される」ものであると主張するが、乙9公報 の段落【0031】には、単に「加熱要素20に供給される電気エネル ギを低減する」と記載されているにすぎず、低減する際に継続的に電力を供給することについては、記載も示唆もないから、被告らの乙9発明の認定は誤りである。 また、乙9発明は、望ましくない揮発性化合物の放出を防止、低減することに主眼を置くも 低減する際に継続的に電力を供給することについては、記載も示唆もないから、被告らの乙9発明の認定は誤りである。 また、乙9発明は、望ましくない揮発性化合物の放出を防止、低減することに主眼を置くものであり、揮発性化合物の放出温度に基づいて所 定の最高作動温度の値が選択される旨が記載されているが(段落【0030】)、エーロゾル形成剤の揮発温度に着目して、加熱要素の作動温度をこれより低くならないようにすることについては記載も示唆もない。 したがって、乙8発明に乙9発明を適用したとしても、相違点8-1及び2に係る本件各発明の構成に至らない。 以上のとおり、本件各発明は、乙8発明と同一ではなく、また、乙8発明に乙9発明を組み合わせても、本件各発明と乙8発明との相違点に係る構成を当業者が想到することが容易であったということはできないから、乙8発明を根拠とする被告らの新規性、進歩性欠如の主張は理由がない。 5 争点2-3(サポート要件違反)について (被告らの主張)以下のとおり、本件各発明の請求項は、各温度の関係や加熱の持続時間、第3段階以降の段階の有無を何ら特定しておらず、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載された課題を解決し得ない態様を含むから、サポート要件(特許法36条6項1号)に違反する。 加熱の持続時間と温度の関係本件各発明の請求項においては、第1ないし第3の温度や各段階の加熱の持続時間が何ら特定されていない。そのため、本件各発明の請求項には、例えば、第1段階の温度が360℃、第2段階の温度が359℃、第3段階の温度が360℃の場合や、各段階の加熱の持続時間が1秒の場合、加熱の持 続時間の合計が5ないし30秒の場合なども含むことになる。 しかしながら の温度が359℃、第3段階の温度が360℃の場合や、各段階の加熱の持続時間が1秒の場合、加熱の持 続時間の合計が5ないし30秒の場合なども含むことになる。 しかしながら、温度を1℃だけ上下させる構成や、各段階の加熱時間が1秒の構成では、「特性がより一貫したエアロゾルを提供する」(本件明細書等の段落【0005】)という課題を解決することができないことは明らかである。 また、本件明細書等の実施例には加熱の持続時間の合計が360秒の場合 の制御方法しか開示されておらず、加熱の持続時間の合計が360秒以外の制御方法は不明である。 第3段階以降の段階の有無本件各発明の請求項では、第1ないし第3段階が存在することが特定されているだけであり、その3つの段階に限られるのか、第3段階以降の段階が 存在するのかが特定されていない。そうすると、本件各発明は、第3段階以降の段階をも発明の構成に含む記載となっており、さらには、第3段階以降の段階において、第3の温度よりも温度が低下する場合をも含むことになる。 しかしながら、第3段階以降の段階において第3の温度よりも温度が低下する場合には、「特性がより一貫したエアロゾルを提供する」ことはできな いから、本件発明の課題を解決することができない。 以上のとおり、本件各発明の請求項は、発明の詳細な説明において課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであり、サポート要件に違反する。 (原告の主張) 本件各発明のサポート要件の具備本件各発明は、従来技術では達成し得なかった、エアロゾル形成基材の連続的又は反復的加熱期間にわたって特性がより一貫したエアロゾルを提供するエアロゾル発生装置及びシステムを提供す サポート要件の具備本件各発明は、従来技術では達成し得なかった、エアロゾル形成基材の連続的又は反復的加熱期間にわたって特性がより一貫したエアロゾルを提供するエアロゾル発生装置及びシステムを提供するという課題を解決するものである。このような課題を解決するために、本件各発明は、加熱要素の温度を、 第1段階において、第1の温度に上昇させ、第2段階において、第1の温度 よりも低い第2の温度に低下するがエアロゾル形成体の揮発温度より低くならないようにし、第3段階において、第2の温度より高い第3の温度に上昇させるように電力を供給するものである。 そして、当業者は、本件明細書等の記載(段落【0006】、【0014】、【0019】、【0020】、【0058】ないし【0060】、【図4】) により、従来技術の変動の大きいエアロゾル成分の送達プロファイルを理解するとともに、従来のエアロゾルの送達プロファイルの課題を解決するものとして、本件各発明の構成によりエアロゾル成分の送達がより一貫し得ることを認識し得る。 また、各段階の加熱の持続時間や各段階中の加熱要素の温度に関しては、 本件明細書等の段落【0013】ないし【0023】、【0025】、【0056】ないし【0061】、【0074】ないし【0081】、【図3】ないし【図8】等において、実施態様及び実施例が詳しく説明されている。 例えば、本件明細書等の段落【0074】ないし【0081】、【図8】には、実施例として、第1ないし第3段階の加熱の持続時間と温度の具体例を 含む温度プロファイルや時間的プロファイルが記載され、第1ないし第3の温度は「特定の基材及び特定の装置、加熱要素及び基材形状に適するように調整することができる」とされている(段落【0075】)。 含む温度プロファイルや時間的プロファイルが記載され、第1ないし第3の温度は「特定の基材及び特定の装置、加熱要素及び基材形状に適するように調整することができる」とされている(段落【0075】)。 当業者は、これらの明細書等の記載から、第1ないし第3の温度や一貫したエアロゾルの送達を制御するための各段階の持続時間について適宜設定す ることができる。 ア各温度の関係や加熱の持続時間について被告らは、本件各発明の請求項では、第1ないし第3の各段階の温度や各段階の加熱の持続時間が特定されていないから、本件発明の課題を解決できない態様を含むと主張する。 しかしながら、サポート要件は、特許請求の範囲に記載された発明が、 発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又は技術常識により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを判断すべきものであり、特許請求の範囲に文言上含まれ得るあらゆる実施形態について、発明の詳細な説明に具体的に記載されていることを要求するものではない。 イ第3段階以降の段階の存在について被告らは、本件各発明の請求項は、第3の温度よりも温度が低下する第3段階以降の段階という、本件各発明の課題を解決し得ない態様を含むと主張する。 しかしながら、上記のとおり、サポート要件は、特許請求の範囲に記載 された発明が、発明の詳細な説明に記載された技術的事項の範囲内のものであるか否かを判断するものである。しかるに、被告らが主張する「第3段階以降の段階」は、特許請求の範囲に全く記載のないものであり、そのような特許請求の範囲に記載のない構成を独自に想定し、かかる仮想構成において本件各発明の課題を解決できないと主張するのは、サポート要件 の段階」は、特許請求の範囲に全く記載のないものであり、そのような特許請求の範囲に記載のない構成を独自に想定し、かかる仮想構成において本件各発明の課題を解決できないと主張するのは、サポート要件 の理解を誤ったものである。 したがって、本件各発明は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、サポート要件に違反しない。 6 争点2-4(明確性要件違反)について (被告らの主張)本件各発明の請求項の記載にある「少なくとも1つの加熱要素」が複数の加熱要素である場合、同請求項に記載された「前記加熱要素」が、複数の加熱要素のうち1つの加熱要素を意味するのか、複数の加熱要素を意味するのか、全ての加熱要素を意味するのか不明である。 したがって、本件特許は明確性要件(特許法36条6項2号)に違反する。 (原告の主張)「少なくとも1つの加熱要素」が複数の加熱要素である場合、特許請求の範囲の「前記加熱要素」という文言は、適宜制御される複数の加熱要素を意味するのであって、不明確ではない。 したがって、本件各発明は、明確性要件に違反しない。 7 争点2-5(実施可能要件違反)について(被告らの主張)本件各発明により解決しようとする課題を解決するためには、第1ないし第3段階のそれぞれにおける温度及び加熱の持続時間を適切に調整する必要がある。そして、適切な温度及び加熱の持続時間は、エアロゾル形成基材の種類に よって異なるところ、本件明細書等にはエアロゾル形成素材の種類に応じて、どのようにして目標温度や持続時間を調整、設定するのかが、明らかにされていない。 続時間は、エアロゾル形成基材の種類に よって異なるところ、本件明細書等にはエアロゾル形成素材の種類に応じて、どのようにして目標温度や持続時間を調整、設定するのかが、明らかにされていない。 そのため、個々のエアロゾル形成基材に対して適切な目標温度と加熱の持続時間の組合せを発見することは、当業者において期待し得る程度を超える試行 錯誤を必要とするから、本件特許は実施可能要件(特許法36条4項1号)に違反し、特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張)前記のとおり、本件各発明の技術的な意義は明らかであり、本件明細書等には、設定されるべき許容温度の範囲の例(段落【0013】、【0015】、 【0016】)や3つの具体例を含む発明を実施するための形態(段落【0075】ないし【0078】)が記載されている。加えて、本件明細書等の従来技術についての記載(段落【0013】、【0015】、【0016】)や乙7ないし乙9公報の記載によれば、加熱式エアロゾル発生装置において、各種のエアロゾル形成基材の種類、香味などを考慮して、所定の目的を達成するた めに、加熱温度や時間を適宜設定することは、本件特許の出願当時における周 知技術であった。 以上によれば、当業者は、本件明細書等の記載及び技術常識に基づき、過度の試行錯誤を経ることなく、使用するエアロゾル形状基材に応じて、第1ないし第3の温度及び第1ないし第3段階を設定し、本件各発明を実施することができるから、本件各発明は、実施可能要件に違反しない。 8 争点3(被告アンカーの責任主体性)について(原告の主張)特許法上の侵害行為者が誰であるかを検討するに当たっては、事態を物理的、自然的に観察するだけでなく、社会的、経済的側面を 。 8 争点3(被告アンカーの責任主体性)について(原告の主張)特許法上の侵害行為者が誰であるかを検討するに当たっては、事態を物理的、自然的に観察するだけでなく、社会的、経済的側面をも含め総合的に観察して、侵害行為の法的な帰属主体が誰であるかを規範的に判断すべきであるところ、 以下の事実関係によれば、被告アンカーは、被告ジョウズと主観的かつ客観的に共同して、被告製品の販売等をしていたと評価し得る。 主観的共同関係ア被告ら相互及び被告らと中国アンカー社との関係被告らは、いずれも中国アンカー社を中心とするAnker グループの日本 法人であり、代表者が共通している。すなわち、被告ジョウズは、平成30年2月28日に被告アンカーの元代表取締役のA(以下「A」という。)によって設立され、Aを設立時代表取締役(かつ唯一の取締役)とし、全株式を中国アンカー社の完全子会社が所有する会社であり、被告アンカーとともに、Anker グループの100%子会社である日本法人である(甲1 1、12)。 イ被告製品の開発等に対するAnker グループの支援被告製品の説明には、「米国・日本・欧州のEC市場において、スマートフォン・タブレット関連製品でトップクラスの販売実績を誇る「Anker」のサポートのもと、精密かつ均一な温度管理と…最適な加熱環境を作り出 し」たと記載され、被告製品の開発に当たり、Anker グループの支援を受 けたと説明されている(甲4、5の各1)。 また、被告製品1及び2の記者発表に関する記事等(甲13)には、「Anker グループが技術的にサポートしたことから、アンカー・ジャパンのA社長がジョウズ・ジャパンの代表取締役を兼任する」などと記載され、同 製品1及び2の記者発表に関する記事等(甲13)には、「Anker グループが技術的にサポートしたことから、アンカー・ジャパンのA社長がジョウズ・ジャパンの代表取締役を兼任する」などと記載され、同記者会見は、両者の代表者を兼ねるAが自ら行った。そして、被告製品3 の記者発表に関する記事(甲32)には、当時被告アンカーの従業員であったB(以下「B」という。)が「ジョウズ・ジャパン株式会社事業戦略本部マネジャー」との肩書きで行ったと記載されている。 さらに、Anker グループのオフィシャルストアの海外のウェブサイトでは、被告製品が「Anker」のロゴを付して販売されている(甲14)。 ウ被告ジョウズの本店所在地被告ジョウズの登記簿上の本店所在地は東京都千代田区a丁目b番c号であり、Amazon の出品者プロフィール上の所在地は同住所に所在するCビル9階にあるシェアオフィスである「D内」となっている(甲4の2)。 同オフィスの利用契約は、当初、被告アンカーが契約し、被告ジョウズに 契約上の地位が譲渡されたものであり、かつ、利用契約上の利用者はA1名のみである。そして、平成30年10月に受付の端末で検索してみても被告ジョウズの名前は表示されず、被告アンカーの代表であるAの登録が確認されたのみである(甲4の2、甲11、15、16)。 エ被告ジョウズの従業員 被告ジョウズの勤務管理情報(甲17の1)によれば、被告ジョウズの令和元年9月時点での従業員数は2名であるところ、このうち少なくとも1名(B)は、平成31年4月末まで被告アンカーに在籍していた(甲17の2)。 また、被告ジョウズの従業員の勤務日数及び勤務時間が非常に短い(甲 17の1)ことからすると、被告ジョウズの従業員は、被告ジョウズでの で被告アンカーに在籍していた(甲17の2)。 また、被告ジョウズの従業員の勤務日数及び勤務時間が非常に短い(甲 17の1)ことからすると、被告ジョウズの従業員は、被告ジョウズでの 勤務時間帯以外は、被告アンカーの業務に従事していたと推察される。 オ以上によれば、被告らには、相互に相手方の役割、分担する行為の内容を認識し、これを利用する意思があった。 客観的共同関係ア楽天市場における被告製品の販売サイトにおいては、商品の返送先住所 が「東京都中央区d-e-fEビル4F」と記載されているが、これは被告アンカーの所在地と同じビルである(甲5の2)。 また、被告らは、本件特許権の侵害を理由とする仮処分手続において、被告ジョウズが、被告アンカーに対し、返品された商品の取扱い、マーケティング業務などを委託し、業務委託費を支払っていたことを認めている が、その具体的な業務内容を明らかにしない。 そして、前記のとおりの被告ジョウズの従業員の勤務日数及び勤務時間に照らすと、被告ジョウズの代表者及び社員が、ショッピングサイトとの日常的な業務連絡、輸入通関手続関連の業務、ウェブサイトの作成、広告宣伝活動等を行っているとは考え難いから、これらの業務は被告アンカー において行っていると考えるのが合理的である。また、被告アンカーが宣伝広告活動を行っていたことは、被告アンカーの元従業員であるBが、同社勤務中に行った上記記者発表(甲32)からも明らかである。 他方、被告らは、被告ジョウズが業務を行ったとして、外部業者作成に係る被告ジョウズ宛ての請求書を証拠として提出するが(乙11ないし1 7、20ないし23、30ないし35、37、39)、これらの請求書は、担当者名や連絡先が黒塗りされており(乙1 部業者作成に係る被告ジョウズ宛ての請求書を証拠として提出するが(乙11ないし1 7、20ないし23、30ないし35、37、39)、これらの請求書は、担当者名や連絡先が黒塗りされており(乙14、16、31の1、乙33ないし35等)、被告アンカーの担当者や連絡先が記載されていたのではないかとの疑問がある。 イこれに対して、被告らは、被告アンカーが被告ジョウズと共同して被告 製品の販売等をしていたことを否定する事情として、業務委託料が固定で あることを挙げる。 しかしながら、仮に業務委託費が毎月固定額であったとしても、被告アンカーに経済的な利益が帰属していることは否定できず、被告らはいずれも同じAnker グループの100%子会社であり、被告製品の販売行為による損益(計算)は、最終的には中国アンカー社に帰するから、利益の帰属 や計算を厳格に区別する意味はない。 そして、被告らが同じAnker グループの日本法人であることや、被告製品への被告アンカーの関与の程度に照らすと、被告アンカーは、被告ジョウズの単なる業務委託先の一つではなく、被告ジョウズと強い一体的な関係を有しており、他の一般的な業務委託とは全く異なる関係にあるという べきである。 ウ以上によれば、被告アンカーの行為は、被告ジョウズの行為と相互に関連して客観的に1つの実施行為とみることができる。 (被告らの主張)以下のとおり、被告アンカーは、被告ジョウズと共同して、被告製品の販売 等をしていない。 客観的共同関係発明の実施主体であるためには、自己の名義及び計算による実施行為が必要であるというべきところ、被告製品の販売等の実施行為を自己の名義及び計算で行ったのは、被告ジョウズであり、被告アンカーではな 係発明の実施主体であるためには、自己の名義及び計算による実施行為が必要であるというべきところ、被告製品の販売等の実施行為を自己の名義及び計算で行ったのは、被告ジョウズであり、被告アンカーではない。 そして、被告アンカーは、被告製品の返品及びマーケティング業務等の委託を被告ジョウズから受けていただけであり(乙11ないし13、20ないし22)、被告ジョウズから業務委託を受けていた複数の会社のうちの一つにすぎない。業務委託の対価も固定額であり、被告製品の販売実績によって金額が左右されるものではないから、被告アンカーに経済的な利益が帰属し ているということはできない。 また、被告製品の輸入業務(乙14、37)や、被告ジョウズのウェブサイトの作成(乙15)、楽天やAmazon との契約(乙16、17)、被告製品のPRイベント(乙23、30)や宣伝広告(乙31ないし36)については、被告アンカーの関与は一切なかった。そして、海外での被告製品の販売についても、被告アンカーは関与していない。 したがって、被告アンカーが、被告ジョウズと相互に関連して、被告製品の譲渡等を行っていたと客観的に評価することはできない。 主観的共同関係被告らは、全く別の法人であり、資本関係はなく、現時点では、代表取締役も異なる(甲11)。取扱製品群も、被告ジョウズは被告製品であるのに 対し、被告アンカーは、モバイルバッテリー、急速充電器、ケーブル、オーディオ、スマート機器、スマホ・PC周辺機器であって(乙4)、異なっている。 また、Anker グループによる支援とは、海外法人による支援であって、被告アンカーは被告ジョウズを支援したことなどない。そして、商品開発にお いて自社で開発できない なっている。 また、Anker グループによる支援とは、海外法人による支援であって、被告アンカーは被告ジョウズを支援したことなどない。そして、商品開発にお いて自社で開発できない部分を他社と協力して開発することや、効率的に業務を行うため、他社に業務委託をして事業を進めることは商取引上多くの会社で行われているのであるから、被告ジョウズが、Anker グループによる支援を受け、外部業務委託先に必要な業務を委託しながら事業を進めることは、通常の事業活動にすぎない。 さらに、仮に従業員がおらず代表取締役1名であっても、代表取締役自らが営業等を行い主体的に稼働している会社は多数存在する。被告ジョウズの事業は、被告製品の販売とその周辺アクセサリーの販売のみであり、製品の種類も少なく、本来的に多くの人手が必要な事業規模ではないから、従業員数が少ないことは、むしろ自然なことである。 したがって、被告らに、相互に相手方の役割、分担する行為の内容を認識 し、これを利用する意思はなかった。 9 争点4(原告の損害額)について(原告の主張)原告は、被告らによる本件特許権の侵害により、以下のとおり合計●(省略)●円の損害を被った。 特許法102条2項の損害金 ●(省略)●円(以下のア及びイの合計額)ア被告製品の販売により受けた利益 ●(省略)●円 売上高 ●(省略)●円被告製品の販売開始から販売終了までの売上高の合計は、被告らの主張する売上高●(省略)●円に、被告らが「売上戻り高」と称する費用 ●(省略)●円を追加した●(省略)●円である。 これに対し、被告らは、売上戻し高を加算すべきでないと主張する。 しかしながら、被告らの主張を前提 ●円に、被告らが「売上戻り高」と称する費用 ●(省略)●円を追加した●(省略)●円である。 これに対し、被告らは、売上戻し高を加算すべきでないと主張する。 しかしながら、被告らの主張を前提としても、売上戻し高は、被告製品の不具合によって生じた費用にすぎないから、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費には当たらない。 控除すべき経費 ●(省略)●円(以下のa及びcの合計額)a 商品原価 ●(省略)●円(争いなし)b 租税公課 0円被告らが主張する租税公課は、関税ではなく消費税及び地方消費税である。そして、仕入れに係る消費税は、売上げに係る消費税と相殺 した上で差額を国に納めるものであるから、被告製品の売上高から控除すべき経費とはいえない。 c 支払手数料 ●(省略)●円(a) Amazon での販売手数料Amazon での販売手数料に含まれるFBA(フルフィルメント by Amazon の略称であり、アマゾンフルフィルメントセンターにおい て商品の保管、注文商品のピッキング、梱包、出荷等を行うサービス)の在庫保管手数料や返品手数料(乙A76の1)は、在庫の保管や商品の返品に際して生じた費用であって、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要になった経費ではない。 また、令和元年7月のFBA運搬費は、●(省略)●円となって おり、その額は通常月の運搬費より少なくとも●(省略)●円は超過している(甲A38)。このように同月のFBA運搬費が高額になったのは、被告らが、別件特許権の侵害を理由に被告ジョウズによる被告製品1及び2の譲渡等を差し止める仮処分命令が発せら (省略)●円は超過している(甲A38)。このように同月のFBA運搬費が高額になったのは、被告らが、別件特許権の侵害を理由に被告ジョウズによる被告製品1及び2の譲渡等を差し止める仮処分命令が発せられること(乙26)を予期して、Amazon から被告製品の在庫の返送を 受けたか、あるいは、Amazon に被告製品の廃棄を依頼した可能性が考えられる。しかしながら、このような返送や廃棄に関する手数料は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、上記超過分の●(省略)●円は、被告製品の売上高から控除すべきでない。 これらの事情を踏まえると、限界利益の算定に当たり、被告製品から控除されうるAmazon での販売手数料は、多くても●(省略)●円にとどまる。 (b) 楽天市場での販売手数料初期登録費用や月額出店料(甲A37)は、楽天市場に出店する 以上、被告製品の販売にかかわらず生じる固定費であるから、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費には当たらない。そして、被告らが楽天市場での販売手数料として主張する費用には、初期登録費用6万円(税別)及び2年分の月額登録費用(スタンダードプランは月額5万円(税別))が含まれていると解され、 その合計額は消費税込みで●(省略)●円である。 したがって、被告製品の売上高から控除すべき楽天市場での販売手数料は、被告ジョウズが負担した販売手数料から上記各登録費用を控除した●(省略)●円にとどまる。 (c) その他の手数料被告らが主張するAmazon 及び楽天市場以外の手数料(Jouz.com、 Veritrans、BarCodesTalk とどまる。 (c) その他の手数料被告らが主張するAmazon 及び楽天市場以外の手数料(Jouz.com、 Veritrans、BarCodesTalk、ScoreJapan、square、TDLexpressjapan、netprotections)は、ECサイトにおける被告製品の販売手数料ではなく、変動費でもないから、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費とはいえない。 (d) 以上によれば、被告らの主張する支払手数料のうち、限界利益の 算定に当たり控除し得るのは、●(省略)●円●(省略)●にとどまる。 d 荷造運賃 0円被告らが主張する運送費は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるかどうか不明であるから、被告製品の売上 高から控除すべき経費とはいえない。 e 宣伝広告費 0円以下のとおり、被告らの主張する宣伝広告費は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費でないから、被告製品の売上高から控除すべき経費とはいえない。 (a) Advertorial のための費用Advertorial は、広告とは異なり、世の中の出来事等について出版社ないし記者が自主的な判断によって採り上げるべき出来事を選択した上で自己の名前と責任で記事の内容を決定して掲載するものであって、出版社ないし記者の自主的判断に係る記事掲載が被告製 品の販売に必要となることはない。仮に、被告らが記事掲載に対す る対価を支払ったとしても、その内容は、被告ジョウズの説明や、被告ジョウズによる新製品の発売や関連するイベントの開催、「jou 必要となることはない。仮に、被告らが記事掲載に対す る対価を支払ったとしても、その内容は、被告ジョウズの説明や、被告ジョウズによる新製品の発売や関連するイベントの開催、「jouz」という製品全般を一般的に世間に知らせるものであり、このような記事を掲載させるために被告らが支出した費用は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではない。 (b) DSPのための費用(MicroAD_DSP)についてDSP(Demand-Side-Plattform の略称)のための費用が、なぜ被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費となるのか不明である。被告らの主張するように、DSPが、広告のターゲット設定、広告枠の買付け、クリエイティブ最適化を自動で行い、広 告効果を最大化するためのものであるとしても、単に、自動化によって広告宣伝に掛かる人件費や宣伝広告費を削減し、ターゲットに広告を配信できる可能性があるという効果をもたらすにすぎない。 そのため、DSPのための費用は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではない。また、別件特許権の侵害を理 由とする仮処分命令の発令により被告ジョウズが被告製品以外の製品を販売しなかったとしても、被告らは他の製品の販売も当然予定しており、現に「jouz S」という電子タバコ用デバイスの販売も発表し、準備をしていたのであるから、被告らが結果的に被告製品以外の製品を販売しなかったからといって、被告らが一般的な広告宣 伝の目的で支出した費用が、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費となるわけではない。 (c) 楽天市場での宣伝広告費(Rakuten)について 告宣 伝の目的で支出した費用が、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費となるわけではない。 (c) 楽天市場での宣伝広告費(Rakuten)について被告らが楽天市場での宣伝広告費と主張する費用が、なぜ被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費となるのか不明 である。 (d) 自動車レースでの宣伝広告費(Store)について自動車レースのスポンサーになることは、被告製品を具体的に宣伝広告するものではないから、その費用は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となったものということはできない。 以上によれば、被告製品の販売により受けた利益は、●(省略)●円 ●(省略)●となる。 イ被告アンカーの受けた利益 ●(省略)●円被告アンカーは、被告ジョウズから毎月●(省略)●円の料金で業務委託を受け(甲A40)、平成30年3月分から令和元年4月分までの業務委託料として、●(省略)●円を受け取った。 この業務委託料は、被告らによる本件特許権の侵害により被告アンカーが受けた利益であるから、特許法102条2項により原告の損害額と推定される。 ウ推定覆滅事由について以下のとおり、被告らの主張する事情は、推定覆滅事由に当たらない。 被告製品の優位性について被告らが原告製品に比した被告製品の優位点として挙げる機能やデザインは、加熱式タバコ用デバイスにおける極めて重要な特徴となる一貫したエアロゾルの提供という本件各発明の効果を前提として成り立つものであり、付随的な要素にすぎない。また、被告製品は、原告製品専用 インは、加熱式タバコ用デバイスにおける極めて重要な特徴となる一貫したエアロゾルの提供という本件各発明の効果を前提として成り立つものであり、付随的な要素にすぎない。また、被告製品は、原告製品専用 のタバコスティックをそのまま使える互換品であるがゆえに購入される商品であって、機能やデザイン等に着目して購入される商品ではない。 したがって、被告らが主張する被告製品の性能は、推定覆滅事由になり得ない。 競合品の存在について 原告製品の互換機は、微々たる数量しか販売されておらず、しかも、 本件特許権の侵害品である蓋然性が極めて高い。 また、被告らが安価であると指摘する原告製品の互換機の価格は2000円程度であるのに対し、被告製品の価格は、被告製品1が6980円、被告製品2が6680円、被告製品3が1万2980円であり、被告らが指摘する互換機と比べ高額である。しかも、原告製品の価格帯(「I QOS 3 DUO」が6980円(税込)、「IQOSILUMA」が8980円、「IQOSILUMAPRIME」が1万2980円。甲A41)とも重なることからすると、被告製品がなければ、その需要は、安価な原告製品の互換機ではなく、原告製品に向かうといえる。 したがって、安価な互換品の存在は、推定覆滅事由にはならない。 本件各発明が被告製品の一部のみに実施されていることについて本件各発明は、新規に創造された加熱式タバコの市場に参入するために不可欠かつ重要な構成要素であるエアロゾル発生装置を対象とするものであって、本件各発明なくしてはユーザに一貫したエアロゾルを送達できないという意味において、原告製品及び被告製品において必須の構 成である。これに対し、被 るエアロゾル発生装置を対象とするものであって、本件各発明なくしてはユーザに一貫したエアロゾルを送達できないという意味において、原告製品及び被告製品において必須の構 成である。これに対し、被告らが主張する被告製品の本件各発明以外の性能は、本件各発明との関係では付随的なものであり、被告製品が原告製品専用のタバコスティックをそのまま使える互換機であるがゆえに購入されているということに照らしても、顧客吸引力に何ら寄与していないことが明らかである。 したがって、本件各発明が被告製品の一部にしか実施されていないということは、推定覆滅事由になり得ない。 被告ジョウズの営業努力について被告製品が顧客に購入される最大の理由は、被告製品が原告製品専用のタバコスティックをそのまま使える喫煙器具であるという点にある。 被告らが主張する被告ジョウズのプロモーション活動は、この種の商品 について通常行われる宣伝・広告の域を出ないものであり、原告製品専用のタバコスティックをそのまま使えることの訴求力に比べれば、微々たるものにすぎない。 したがって、被告ジョウズの営業努力は、推定覆滅事由になり得ない。 同一製品の製造等による別件特許権の侵害について 別件訴訟判決において、被告製品が別件特許権の侵害品であると認められたことは、被告製品の売上げにより原告製品の販売が減少しているという相当因果関係を阻害するものではないから、推定覆滅事由になり得ない。 これに対し、被告らは、損害金の二重払いを認めるべきでないと主張 する。 しかしながら、二重払いの問題は、被告ジョウズが、原告に対し、別件訴訟判決に基づき、特許法102条2項の損害金の全額の支払いをした後、本件訴訟の判決に基づき同項の損害金の全額につ する。 しかしながら、二重払いの問題は、被告ジョウズが、原告に対し、別件訴訟判決に基づき、特許法102条2項の損害金の全額の支払いをした後、本件訴訟の判決に基づき同項の損害金の全額について執行を受けた場合に、被告ジョウズの既払分(重複する部分)について生じ得るに すぎず、別件訴訟判決で被告製品が別件特許権の侵害品であると認められただけでは、二重払いのリスクは生じない。仮に、二重払いの懸念が残るとしても、原告が、一方の訴訟で認められた同項の損害金全額を回収した場合は、被告らは、原告に対する損害賠償債務をその限度で免れると解されるから、問題は生じない。 エ覆滅部分についての特許法102条3項の損害金原告製品と互換性のある被告製品の販売は、原告が多額の投資を行って開拓した原告製品の市場を不当に侵食し、原告製品の人気にフリーライドするものであるから、原告が被告製品の販売を許諾することはあり得ない。 そうすると、原告の意に反して被告らによって本件各発明が実施されたこ とについて原告が受け取るべき実施料は、業界の平均的実施料よりもはる かに高くなるべきである。 また、被告らが本件各発明の実施料率の根拠とする株式会社帝国データバンク作成「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書」(以下「本件報告書」という。乙A73)記載の「食料品、たばこ」の分野における実施料率の平均値(3.8%)は、原告製 品のように加熱式タバコという全く新しい市場を創造し、爆発的な人気を博した商品に関する実施料率ではない上、特許権侵害を前提としない場合も含む実施料率であるから、本件各発明の実施料率を低く算定する根拠にはなり得ない。 これらの事情を考慮 、爆発的な人気を博した商品に関する実施料率ではない上、特許権侵害を前提としない場合も含む実施料率であるから、本件各発明の実施料率を低く算定する根拠にはなり得ない。 これらの事情を考慮すれば、特許法102条3項により算定される損害 金は、被告製品の売上高の20%を下回らない。 特許法102条3項の損害金(予備的主張) ●(省略)●円上記エで主張したところによれば、本件各発明の実施料率は、被告製品の売上高の20%を下回らないので、本件各発明の実施料相当額は、●(省略)●円を下回らない。 弁護士・弁理士費用相当額 ●(省略)●円(被告らの主張) 特許法102条2項の損害金についてア被告製品の販売により受けた利益 ●(省略)●円売上高 ●(省略)●円 被告製品の販売開始から販売終了までの売上高の合計は●(省略)●円である。 これに対し、原告は、上記の額に、売上戻り高●(省略)●円を加えた額が被告製品の売上高であると主張する。しかしながら、売上戻り高は、被告製品の返品に伴い支出した費用であるから(乙A74、78)、 被告製品の売上高から控除すべきものといえるため、売上戻り高を追加 した額を被告製品の売上高とすべきでない。 控除すべき経費 ●(省略)●円(以下のaないしeの合計額)a 商品原価 ●(省略)●円(争いなし)b 租税公課 ●(省略)●円被告ジョウズは、被告製品を輸入する際、関税として●(省略)● 円を支払った(乙A75)。そして、被告製品の輸入に要した関税は、被告製品の販売に直接必要な経費であるから、限界利益の算定の際に控除されるべきである。 仮 税として●(省略)● 円を支払った(乙A75)。そして、被告製品の輸入に要した関税は、被告製品の販売に直接必要な経費であるから、限界利益の算定の際に控除されるべきである。 仮に、被告製品の輸入の際に支払われた税が輸入消費税に該当するとしても、被告ジョウズでは税込経理方式を採用しており、売上げ、 経費とも、消費税を含んで算定しているから、原告の主張を前提としても、被告製品の売上高から控除すべき経費に当たる。 c 支払手数料 ●(省略)●円被告ジョウズは、ECサイト等において被告製品を販売するための手数料として、●(省略)●円を支払った。そして、商品販売のため に支払う手数料は、被告製品の販売に直接関連する経費といえるから、限界利益の算定に当たり控除されるべきである。 d 荷造運賃 ●(省略)●円被告ジョウズは、被告製品の運送費として●(省略)●円を支出した。そして、運送費は、顧客に製品を送付する際に要する費用であり、 被告製品の販売に直接関連する経費であるから、限界利益の算定の際に控除すべきである。原告も、別件訴訟において、被告製品の運送費が被告製品の売上高から控除すべき費用であることを認めている。 e 宣伝広告費 ●(省略)●円以下のとおり、被告ジョウズは、被告製品のプロモーション費用と して、合計●(省略)●円を支出した。そして、被告ジョウズは、被 告製品以外の製品を販売していないから、具体的な広告内容の立証がなくても、上記の支出が被告製品の販売のための宣伝広告費であることは明らかである。 (a) Advertorial のための費用 ●(省略)● から、具体的な広告内容の立証がなくても、上記の支出が被告製品の販売のための宣伝広告費であることは明らかである。 (a) Advertorial のための費用 ●(省略)●円Advertorial とは、広告の一種であって、媒体の通常の記事と同 様の構成・体裁で編集された広告のことである(乙A40)。 そして、被告ジョウズは、Advertorial として、記事広告(乙A41ないし52)やYouTuber などのインフルエンサー(乙A53)を通じた被告製品の広告を行い、PR会社に●(省略)●円を支払った(乙A54ないし57)。 (b) DSPのための費用(MicroAD_DSP) ●(省略)●円DSPとは、広告主が広告効果を最大化するためのプラットフォームであり、広告のターゲット設定、広告枠の買付け、クリエイティブ最適化を自動で行い、広告効果を最大化することができるというものである(乙A58)。 そして、被告ジョウズは、DSPのための費用として、●(省略)●円を支払った。 (c) 楽天市場での宣伝広告費(Rakuten) ●(省略)●円被告ジョウズは、楽天市場で被告製品を広告するため、●(省略)●円を支出した。 (d) 自動車レースでの宣伝広告費(Store) ●(省略)●円被告ジョウズは、自動車レース「SuperGT」に協賛し、会場にブースを出展するなどして被告製品のPRを行った際(乙A59、60)、●(省略)●円を支出した(乙A61、62)。 以上によれば、被告製品の販売により受けた erGT」に協賛し、会場にブースを出展するなどして被告製品のPRを行った際(乙A59、60)、●(省略)●円を支出した(乙A61、62)。 以上によれば、被告製品の販売により受けた利益は、●(省略)●円 (●(省略)●円-●(省略)●円)にとどまる。 イ被告アンカーが受けた利益について争う。なお、被告らは、被告アンカーへの業務委託料を被告製品の売上高から控除すべき経費として計上していない。 ウ推定覆滅事由以下の事情を考慮すれば、原告の損害額の推定は覆滅されるというべき である。 被告製品の優位性以下のとおり、被告製品には、原告製品にはない優れた性能があり、これらの点が、被告製品の売上げに寄与している。 a 連続喫煙機能 被告製品は、その名のとおり、1回の充電で12本連続又は20本連続で喫煙することが可能である(乙A65ないし67)。これに対し、原告製品は、従来、1回の充電で連続して喫煙することができず、現在においては、連続喫煙をすることができる製品が存在するものの、その本数は、多くても10本にとどまり(乙A63)、被告製品の連 続喫煙本数には及ばない。 そして、連続喫煙は、一度に何本も煙草を吸いたいと考えるチェーンスモーカーにとっては必須の機能であり、加熱式タバコを購入する上で、重要な条件の1つであるから、被告製品には原告製品にはない優れた機能があるといえる。 b 高いデザイン性被告製品のデザインは、国際的に権威のあるデザイン賞の1つである「iFデザインアワード2019」を受賞するなど、世界でも高い評価を得ており(乙A64)、被告製品のウェブサイトにおいても、被告製品の特徴として訴求されていた 際的に権威のあるデザイン賞の1つである「iFデザインアワード2019」を受賞するなど、世界でも高い評価を得ており(乙A64)、被告製品のウェブサイトにおいても、被告製品の特徴として訴求されていた(乙A65ないし67)。 そして、加熱式タバコ用デバイスは、現在、ファッションアイテム の一つであり、購入に際してはそのデザインも重要であるから、原告製品にはない被告製品の高いデザイン性が被告製品の顧客誘引につながっていることは明らかである。 c 温度調節機能被告製品3では、本体での操作又はスマートフォンのアプリとの連 動により温度調節が可能となり、これにより、好みのフレーバーを好みの温度で吸うことができるようになった(乙A67、68)。このような味わいを変える機能は原告製品には存在しないから、被告製品には原告製品にない優れた機能があるといえる。 d 手動加熱クリーニング機能 被告製品には、任意のタイミングで煙草ホルダー内部に溜まったタバコスティックのカスを浮き立たせてクリーニングする手動加熱クリーニング機能がある(乙A69)。この機能は、現在販売されている原告製品には存在しないから、被告製品には原告製品にない優れた機能があるといえる。 競合品の存在被告製品以外にも、原告製品専用のタバコスティックを利用できる原告製品の互換機は多く販売されている(乙A71)。そして、これらの競合品は、価格の面で原告製品より優位性のある商品であるから、被告製品の販売がなかったとしても、その需要が原告製品に必ず向くという ことにはならないといえる。 本件各発明が被告製品の一部のみに実施されていること本件各発明は、エアロゾルの発生装置の構成に関するものであるから、被告製品の一部のみに実施さ ず向くという ことにはならないといえる。 本件各発明が被告製品の一部のみに実施されていること本件各発明は、エアロゾルの発生装置の構成に関するものであるから、被告製品の一部のみに実施されているにすぎない。他方、被告製品は、上記の種々の性能等によって顧客吸引力が高められているのであるか ら、本件各発明の実施が被告製品の一部のみであることは、推定覆滅の 事情として考慮されるべきである。 被告ジョウズの営業努力被告ジョウズは、被告製品のプロモーションのために、SUPERGT でイベントを行うなど、通常とは異なる方法で多額の費用を掛けて宣伝広告を行ってきた。そのため、被告製品の売上げは、このような被告ジョウ ズの営業努力によるところが大きい。 同一製品の製造等による別件特許権の侵害別件訴訟判決において、本件訴訟で原告が侵害品と主張する被告製品の製造等が別件特許権を侵害するとして、原告の被告ジョウズに対する5185万2556円の損害賠償請求が認容された。 特許法102条2項の趣旨は、本来特許権者等が立証責任を負う、特許権等侵害との間における因果関係がある損害の立証が困難であることに鑑み、特許権者等に十分な損害賠償を受けることを可能にする点にあり、推定される損害額を超えて損害金の二重取りを許すものではない。 そして、同一の製品の製造販売等が複数の特許権の侵害に当たる場合に おいて、一つの事件として訴訟が提起されたときに推定される損害額の上限は、当該製品の利益の額となり、その額が複数の特許権侵害に基づく損害賠償の合計となるところ、別々の事件として訴訟が提起されたという理由のみから、二重払いや推定される損害額の上限を超えて損害金を認めることは、懲罰的賠償を となり、その額が複数の特許権侵害に基づく損害賠償の合計となるところ、別々の事件として訴訟が提起されたという理由のみから、二重払いや推定される損害額の上限を超えて損害金を認めることは、懲罰的賠償を認める結果となり妥当でない。 したがって、別件訴訟判決において認容された5185万2556円は、本件訴訟で推定された損害額から覆滅されるべきである。 以上によれば、被告製品の優位性、競合品の存在、本件各発明の実施が被告製品の一部にとどまること及び被告ジョウズの営業努力により、原告の損害額の推定は覆滅されるべきであり、その覆滅割合は9割を下 らない(上記ないし)。 また、別件訴訟判決において同一製品による別件特許権の侵害が認められたことにより、原告の損害額の推定は、別件訴訟判決の認容額である5185万2556円が覆滅されるべきである(上記)。 エ覆滅部分についての特許法102条3項の損害金について上記ウのとおり、顧客は、連続喫煙本数や温度調節などの機能やデ ザインを基に加熱式タバコ用デバイスを購入するのであり、本件各発明の顧客吸引力は極めて小さいから、本件各発明の被告製品の売上げに対する寄与率や実施料率は低いといえる。 また、原告の関連会社であるフィリップ・モーリス・インターナショナルは、米国のアルトリア・グループとの間で、原告製品の販売に関するラ イセンス契約を締結しているところ(乙A72)、原告が、上記契約のライセンス料率を被告らに開示することを拒否していることからすると、上記契約のライセンス料率は、原告の主張する実施料率の20%よりも相当低いものと推測できる。 これらの事情を踏まえると、本件各発明の実施に対し受けるべき料率は、 本件報告書記載の「食料 と、上記契約のライセンス料率は、原告の主張する実施料率の20%よりも相当低いものと推測できる。 これらの事情を踏まえると、本件各発明の実施に対し受けるべき料率は、 本件報告書記載の「食料品、たばこ」の分野における実施料率の平均値である3.8%を上回らない。 特許法102条3項の損害金争う。 上記エで主張したとおり、本件各発明の実施に対し受けるべき料率が3. 8%を上回ることはない。 弁護士・弁理士費用相当額争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件各発明の内容 本件明細書等には、以下の記載等が存在する。 ア技術分野「本発明は、エアロゾル発生装置、及びエアロゾル形成基材を加熱することによってエアロゾルを発生させる方法に関する。特に、本発明は、エアロゾル形成基材の連続的又は反復的加熱期間にわたって一貫した所望の特性のエアロゾルをエアロゾル形成基材から発生させるための装置及び方 法に関する。」(段落【0001】)イ背景技術「当業では、エアロゾル形成基材を加熱することによって動作する、例えば加熱式喫煙装置を含むエアロゾル発生装置が知られている。国際公開第2009/118085号には、基材の燃焼を防ぐのに望ましい温度範 囲内に温度を制御しながら基材を加熱してエアロゾルを発生させる加熱式喫煙装置が記載されている。」(段落【0002】)「エアロゾル発生装置は、時間経過にわたって一貫したエアロゾルを生成できることが望ましい。このことは、加熱式喫煙装置のようにエアロゾルが人間に消費される場合、特に当てはまる。枯渇性の基材が一定時間に わたって連続的又は反復的に加熱される装置では、基材に残っているエア が望ましい。このことは、加熱式喫煙装置のようにエアロゾルが人間に消費される場合、特に当てはまる。枯渇性の基材が一定時間に わたって連続的又は反復的に加熱される装置では、基材に残っているエアロゾル形成成分の量及び分布、並びに基材の温度の両方に関連して、連続的又は反復的加熱と共にエアロゾル形成基材の特性が大幅に変化する場合があるので、一貫したエアロゾルの生成は困難になり得る。特に、連続的又は反復的加熱装置のユーザは、ニコチンや、場合によっては香味料を 伝達するエアロゾル形成体が基材から枯渇するにつれ、エアロゾルの香り、味及び感覚が薄れていくのを体験することがある。従って、動作中に最初に送達されるエアロゾルが最後に送達されるエアロゾルとほぼ同程度になるように、時間経過にわたって一貫したエアロゾル送達を実現する。」(段落【0003】) ウ発明が解決しようとする課題 「本開示の目的は、エアロゾル形成基材の連続的又は反復的加熱期間にわたって特性がより一貫したエアロゾルを提供するエアロゾル発生装置及びシステムを提供することである。」(段落【0005】)エ課題を解決するための手段「第1の態様では、本開示は、エアロゾル発生装置におけるエアロゾル の発生を制御する方法を提供し、この装置は、エアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、加熱要素に電力を供給するための電源と、を備え、上記方法は、加熱要素に供給される電力を、第1段階において加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が供給され、第2段階において加熱要素の温度が 第1の温度よりも低い第2の温度に低下するように電力が供給され、第3段階において加熱要素の温度が第 度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が供給され、第2段階において加熱要素の温度が 第1の温度よりも低い第2の温度に低下するように電力が供給され、第3段階において加熱要素の温度が第2の温度よりも高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む。」(段落【0006】)「本明細書で使用する「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基材 と相互作用してエアロゾルを発生させる装置に関連する。エアロゾル形成基材は、例えば喫煙物品の一部などの、エアロゾル発生物品の一部とすることができる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材と相互作用して、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接吸入できるエアロゾルを発生させる喫煙装置とすることができる。エアロゾル発生 装置は、ホルダーとすることができる。」(段落【0007】)「本明細書で使用する「エアロゾル形成基材」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することが可能な基材に関連する。このような揮発性化合物は、エアロゾル形成基材を加熱することによって放出することができる。エアロゾル形成基材は、便宜上、エアロゾル発生物 品又は喫煙物品の一部とすることができる。」(段落【0008】) 「本明細書で使用する「エアロゾル発生物品」及び「喫煙物品」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することが可能なエアロゾル形成基材を含む物品を意味する。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接吸入できるエアロゾルを発生させる喫煙物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとするこ とができる。以下では、一般に「喫煙物品」という用語を使用する。喫煙 口を通じてユーザの肺に直接吸入できるエアロゾルを発生させる喫煙物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとするこ とができる。以下では、一般に「喫煙物品」という用語を使用する。喫煙物品は、タバコスティックとすることができ、或いはタバコスティックを含むことができる。」(段落【0009】)「通常、反復的又は連続的に基材を加熱することによってエアロゾルを発生させる既存のエアロゾル発生装置は、時間経過にわたって単一の一定 温度を達成するように制御される。しかしながら、エアロゾル形成基材は加熱によって枯渇し、すなわち基材における主要エアロゾル成分の量が減少し、このことは、所与の温度のエアロゾル発生が減少することを意味する。さらに、エアロゾル形成基材の温度が定常状態に達すると、熱拡散効果が低下することによってエアロゾルの送達が減少する。この結果、加熱 式喫煙装置の場合にはニコチンなどの、主要エアロゾル成分に関して測定したエアロゾルの送達が時間と共に減少する。加熱過程の最終段階中に加熱要素の温度を上昇させると、時間経過に伴うエアロゾル送達の減少を軽減又は防止することができる。」(段落【0010】)「本文脈では、連続的又は反復的加熱とは、通常は5秒よりも長く、場 合によっては30秒よりも長い持続時間にわたって基材又は基材の一部を加熱してエアロゾルを発生させることを意味する。加熱式喫煙装置、又はユーザが吸煙を行って装置からエアロゾルを吸引する他の装置の文脈では、このことが、ユーザが装置の吸煙を行っているか否かに関わらず、ユーザによる複数回の吸煙を含む期間にわたってエアロゾルが連続的に発生する ように基材を加熱することを意味する。本文脈では、基材の枯渇が重要な 問題に いるか否かに関わらず、ユーザによる複数回の吸煙を含む期間にわたってエアロゾルが連続的に発生する ように基材を加熱することを意味する。本文脈では、基材の枯渇が重要な 問題になる。このことは、ユーザによる吸煙毎に別個の基材又は基材の一部が加熱され、持続時間が約2~3秒の長さである1回の吸煙よりも長く基材部分が加熱されない瞬間的加熱とは対照的である。」(段落【0011】)「第1、第2及び第3段階中に連続的にエアロゾルが発生するように、 第1、第2及び第3の温度を選択する。第1、第2及び第3の温度は、基材内に存在するエアロゾル形成体の揮発温度に対応する温度範囲に基づいて決定されることが好ましい。例えば、エアロゾル形成体としてグリセリンを使用する場合には、摂氏290度~320度以上の温度(すなわち、グリセリンの沸点よりも高い温度)を使用する。第2段階中には、温度が 最低許容温度を下回らないことを確実にするための電力を加熱要素に供給することができる。」(段落【0013】)「第1段階では、加熱要素の温度を、エアロゾル形成基材からエアロゾルが発生する第1の温度に上昇させる。多くの装置、特に加熱式喫煙装置では、装置の作動後にできるだけ早く所望の成分を含むエアロゾルを発生 させることが望ましい。加熱式喫煙装置の消費者体験を満足のいくものにするには、「最初の吸煙までの時間」が極めて重要と考えられる。消費者は、装置が作動してから最初の吸煙までに長い時間待つ必要があることを望まない。このため、第1段階では、加熱要素をできるだけ速く第1の温度に上昇させるための電力を加熱要素に供給することができる。第1の温 度は、許容温度範囲内に収まるように選択することができるが、消費者への最初の送達として満足で 熱要素をできるだけ速く第1の温度に上昇させるための電力を加熱要素に供給することができる。第1の温 度は、許容温度範囲内に収まるように選択することができるが、消費者への最初の送達として満足できる量のエアロゾルを発生させるために、最大許容温度の近くを選択することができる。装置の最初の動作時間中には、装置内の凝縮によってエアロゾルの送達が減少する。」(段落【0014】)「許容温度範囲は、エアロゾル形成基材に依存する。エアロゾル形成基 材は、異なる温度において様々な範囲の揮発性化合物を放出する。エアロ ゾル形成基材から放出される揮発性化合物の中には、加熱過程を通じてしか形成されないものもある。各揮発性化合物は、固有の放出温度以上で放出される。最大動作温度をいくつかの揮発性化合物の放出温度未満に制御することにより、これらの揮発性化合物の成分の放出又は形成を回避することができる。最大動作温度は、通常の動作条件下では基材の燃焼が起き ないことを確実にするように選択することもできる。」(段落【0015】)「許容温度範囲は、摂氏240度~摂氏340度の下限と、摂氏340度~摂氏400度の上限とを有することができ、好ましくは摂氏340度~摂氏380度とすることができる。第1の温度は、摂氏340度~摂氏400とすることができる。第2の温度は、摂氏240度~摂氏340度、 好ましくは摂氏270度~摂氏340度とすることができ、第3の温度は、摂氏340度~摂氏400度、好ましくは摂氏340度~摂氏380度とすることができる。第1、第2及び第3の温度の最大動作温度は、いずれも従来の着火端部付きシガレットに存在する望ましくない化合物の燃焼温度又は約摂氏380度を超えないことが好ましい。」(段落【0016】 ることができる。第1、第2及び第3の温度の最大動作温度は、いずれも従来の着火端部付きシガレットに存在する望ましくない化合物の燃焼温度又は約摂氏380度を超えないことが好ましい。」(段落【0016】) 「第2段階及び第3段階では、加熱要素に供給される電力を制御するステップを、加熱要素の温度を許容温度範囲又は所望の温度範囲内に維持するように行うことが有利である。」(段落【0017】)「第1段階から第2段階にいつ遷移すべきか、同様に第2段階から第3段階にいつ遷移すべきかについての決定には多くの可能性がある。1つの 実施形態では、第1段階、第2段階及び第3段階の各々が、所定の持続時間を有することができる。この実施形態では、装置の作動後の時間を使用して第2及び第3段階をいつ開始していつ終了するかを決定する。別の例では、加熱要素が第1の目標温度に達したらすぐに第1段階を終了することもできる。さらに別の例では、加熱要素が第1の目標温度に達した後の 所定の時間に基づいて第1段階が終了する。別の例では、作動後に加熱要 素に送達された総エネルギーに基づいて第1段階及び第2段階を終了することができる。さらに別の例では、装置を、例えば専用の流量センサを用いてユーザによる吸煙を検出するように構成することができ、所定の吸煙回数後に第1及び第2段階を終了することができる。これらの選択肢の組み合わせを用いて、いずれか2つの段階の遷移に適用できることが明らか であろう。加熱要素の動作段階が3つよりも多くの異なるものであってよいことも明らかであろう。」(段落【0018】)「第1段階が終了すると第2段階が開始し、加熱要素の温度が第1の温度よりも低い温度ではあるが許容温度範囲内の第2の温度に低下 ものであってよいことも明らかであろう。」(段落【0018】)「第1段階が終了すると第2段階が開始し、加熱要素の温度が第1の温度よりも低い温度ではあるが許容温度範囲内の第2の温度に低下するように加熱要素への電力を制御する。この加熱要素の温度の低下が望ましい理 由は、装置及び基材が温まると、所定の加熱要素の温度で凝縮が抑えられてエアロゾルの送達が増加するからである。第1段階後には、基材が燃焼する可能性を抑えるためにも加熱要素の温度を低下させることが望ましい。 また、加熱要素の温度を低下させると、エアロゾル発生装置が消費するエネルギーの量も減少する。さらに、装置の動作中に加熱要素の温度を変化 させることにより、時間変調型の温度勾配を基材に導入できるようになる。」(段落【0019】)「第3段階では、加熱要素の温度を上昇させる。第3段階中には、基材がますます枯渇するにつれて継続的に温度を高めることが望ましい。第3段階中に加熱要素の温度を上昇させることにより、基材の枯渇及び熱拡散 の低下に起因するエアロゾル送達の減少が補償される。しかしながら、第3段階中における加熱要素の温度の上昇は、あらゆる所望の時間的プロファイルを有することができ、装置及び基材の形状、機材の組成、並びに第1及び第2段階の持続時間に依存することができる。加熱要素の温度は、第3段階全体を通じて許容範囲内に保たれることが望ましい。1つの実施 形態では、加熱要素への電力を制御するステップが、第3段階中に加熱要 素の温度を継続的に上昇させるように行われる。」(段落【0020】)「加熱要素への電力を制御するステップは、加熱要素の温度又は加熱要素の近くの温度を測定して測定温度を提供し、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較結 させるように行われる。」(段落【0020】)「加熱要素への電力を制御するステップは、加熱要素の温度又は加熱要素の近くの温度を測定して測定温度を提供し、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較結果に基づいて、加熱要素に供給する電力を調整するステップを含むことができる。目標温度は、装置の作動後の第1、第2及び 第3段階がもたらされる時間と共に変化することが好ましい。例えば、第1段階中には、目標温度を第1の目標温度とすることができ、第2段階中には、目標温度を第2の目標温度とすることができ、第3段階中には、目標温度を第3の目標温度とすることができ、第3の目標温度は時間と共に次第に上昇する。目標温度は、第1、第2及び第3の動作段階の制約範囲 内であらゆる所望の時間的プロファイルを有するように選択できることが明らかであろう。」(段落【0021】)「本発明の第2の態様では、電気作動式エアロゾル発生装置を提供し、この装置は、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、加熱要素に電力を供給するた めの電源と、電源から少なくとも1つの加熱要素への電力の供給を制御するための電気回路と、を備え、この電気回路は、加熱要素に供給される電力を、第1段階において加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2段階において加熱要素の温度が第1の温度未満に低下し、第3段階において加熱要素の温度が再び上昇し、第1、第2及び第3段階中に継 続的に電力が供給されるように制御するよう構成される。」(段落【0024】)「各段階の持続時間及び各段階中の加熱要素の温度についての選択肢は、第1の態様に関連して説明した通りである。電気回路は、第1段階、第2段階及び第3段階の各々が一定の持続時間を有す 【0024】)「各段階の持続時間及び各段階中の加熱要素の温度についての選択肢は、第1の態様に関連して説明した通りである。電気回路は、第1段階、第2段階及び第3段階の各々が一定の持続時間を有するように構成すること ができる。電気回路は、加熱要素に供給される電力を、第3段階中に加熱 要素の温度が継続的に上昇するように制御するよう構成することができる。」(段落【0025】)「この回路は、加熱要素に電力を電流パルスとして供給するように構成することができる。そして、加熱要素に供給される電力は、電流のデューティサイクルを調整することによって調整することができる。このデュー ティサイクルは、パルス幅又はパルスの周波数、或いはこれらの両方を変更することによって調整することができる。或いは、この回路を、加熱要素に電力を連続DC信号として供給するように構成することもできる。」(段落【0026】)「電気回路は、加熱要素の温度又は加熱要素の近くの温度を測定して測 定温度を提供するように構成された温度検知手段を含むことができるとともに、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較に基づいて、加熱要素に供給される電力を調整するように構成することができる。目標温度は、電子メモリに記憶することができ、装置の作動後の第1、第2及び第3段階がもたらされる時間と共に変化することが好ましい。」(段落【002 7】)オ発明を実施するための形態「図1に、電気加熱式エアロゾル発生装置100の実施形態の構成要素を単純化した形で示す。詳細には、図1では、電気加熱式エアロゾル発生装置100の要素を縮尺通りに示していない。図1では、本実施形態の理 解と関係のない要素については単純化のために省略している。」(段落【0 で示す。詳細には、図1では、電気加熱式エアロゾル発生装置100の要素を縮尺通りに示していない。図1では、本実施形態の理 解と関係のない要素については単純化のために省略している。」(段落【0052】) 【図1】 「電気加熱式エアロゾル発生装置100は、ハウジング10と、例えばシガレットなどのエアロゾル形成基材12とを備える。エアロゾル形成基材12は、ハウジング10の内部に押し込まれて加熱要素14と熱的に近接する。エアロゾル形成基材12は、異なる温度において様々な範囲の揮 発性化合物を放出する。電気加熱式エアロゾル発生装置100の動作温度をいくつかの揮発性化合物の放出温度未満になるように制御することにより、これらの揮発性化合物の成分の放出又は形成を回避することができる。」(段落【0053】)「ハウジング10内には、例えば充電式リチウムイオン電池などの電気 エネルギー供給源16が存在する。加熱要素14、電気エネルギー供給源16、及び、例えばボタン又はディスプレイなどのユーザインターフェイス20には、コントローラ18が接続される。コントローラ18は、加熱要素14の温度を調整するために、加熱要素14に供給される電力を制御する。通常、エアロゾル形成基材は、摂氏250度~摂氏450度の温度 に加熱される。」(段落【0054】)「説明する実施形態では、加熱要素14が、セラミック基板上に堆積された1又は複数の電気抵抗トラックである。セラミック基板はブレードの形をとり、使用時にはエアロゾル形成基材12に挿入される。図2は、装置の前端部の概略図であり、装置内を流れる空気流を示している。なお、 図2では、装置の要素の相対的寸法を正確に示していない。エアロゾル形 成基材12を含む される。図2は、装置の前端部の概略図であり、装置内を流れる空気流を示している。なお、 図2では、装置の要素の相対的寸法を正確に示していない。エアロゾル形 成基材12を含む喫煙物品102は、装置100のキャビティ22内に受け入れられる。装置内には、ユーザが喫煙物品102のマウスピース24を吸引する動作によって空気が吸い込まれる。空気は、ハウジング10の近位面を形成する入口26を通じて吸い込まれる。装置内に吸い込まれた空気は、キャビティ22の外側周囲の空気チャネル28を通過する。吸い 込まれた空気は、キャビティ22内に設けられたブレード状の加熱要素14の近位端に隣接する喫煙物品102の遠位端においてエアロゾル形成基材12に入り込む。吸い込まれた空気は、エアロゾル形成基材12内を進み、エアロゾルを同伴して、喫煙物品102の唇側端部に至る。エアロゾル形成基材12は、タバコベースの材料の円筒形プラグである。」(段 落【0055】)【図2】 「図3に示すように、現行のエアロゾル発生装置は、動作中に一定の温度をもたらすように構成されている。装置の作動後には、目標温度50に達するまで加熱要素に電力が供給される。目標温度50に達すると、加熱 要素は、装置が停止するまでこの温度に維持される。図4は、図3に示す平坦な温度プロファイルを用いた主要エアロゾル成分の送達を示す概略図である。線52は、装置の作動中に送達されるグリセロール又はニコチンなどの主要エアロゾル成分の量を表す。成分の送達はピークを迎え、その後、基材が枯渇して熱拡散効果が弱まるにつれ、時間と共に低下するこ とが分かる。」(段落【0056】)【図3】 【図4】 「図5は、本発明の実施形態による加熱要素 が枯渇して熱拡散効果が弱まるにつれ、時間と共に低下するこ とが分かる。」(段落【0056】)【図3】 【図4】 「図5は、本発明の実施形態による加熱要素の温度プロファイルの概略図である。線60は、経時的な加熱要素の温度を表す。」(段落【005 7】) 【図5】 「第1段階70では、加熱要素の温度が大気温度から第1の温度62に上昇する。温度62は、最低温度66と最高温度68の間の許容温度範囲内にある。許容温度変化は、基材から所望の揮発性化合物は揮発するものの、さらなる高温で揮発する望ましくない化合物は揮発しないように設定 される。また、許容温度範囲は、通常の動作条件下、すなわち通常の温度、圧力、湿度、ユーザの吸煙動作及び空気組成で基材の燃焼が生じ得る温度未満でもある。」(段落【0058】)「第2段階72では、加熱要素の温度が第2の温度に低下する。第2の温度は、許容温度範囲内にあるが、第1の温度よりも低い。」(段落【0 059】)「第3段階74では、加熱要素の温度が、停止時間76まで次第に上昇する。加熱要素の温度は、第3段階全体を通じて許容温度範囲内に保たれる。」(段落【0060】)「図6は、図5に示す加熱要素の温度プロファイルによる主要エアロゾ ル成分の送達プロファイルの概略図である。加熱要素の作動後の初期送達増加後、送達は、加熱要素が停止するまで一定を保つ。第3段階における 温度の上昇が、基材のエアロゾル形成体の枯渇を補償する。」(段落【0061】)【図6】 「図8に、3つの動作段階をはっきりと確認できる目標温度プロファイルの例を示す。第1段階70では、目標温度がT0 に設定される。加熱要素 。」(段落【0061】)【図6】 「図8に、3つの動作段階をはっきりと確認できる目標温度プロファイルの例を示す。第1段階70では、目標温度がT0 に設定される。加熱要素 の温度をできるだけ速くT0 に上昇させるように加熱要素に電力を供給する。上述したように、PIDレギュレータを用いて、装置の動作全体を通じて加熱要素の温度をできるだけ目標温度の近くに保持する。時刻t1 において目標温度がT1 に変化しており、これは第1段階70が終了して第2段階が開始したことを意味する。目標温度は、時刻t2 までT1 に維持される。 時刻t2 において、第2段階が終了して第3段階74が開始する。第3段階74中には、目標温度が時刻t3 まで時間の増加と共に線形的に上昇し、時刻t3 において目標温度がT2 になり、これ以上加熱要素に電力が供給されなくなる。」(段落【0074】) 【図8】 「図8に示す形状の目標温度プロファイルは、図5に示す形状の実際の温度プロファイルをもたらす。T0、T1、T2 の値は、特定の基材及び特定の装置、加熱要素及び基材形状に適するように調整することができる。同様に、t1、t2 及びt3 の値も、状況に適するように選択することができる。」 (段落【0075】)「1つの例では、第1段階が45秒の長さであってT0 が360℃に設定され、第2段階が145秒の長さであってT1 が320℃であり、第3段階が170秒の長さであってT2 が380℃である。喫煙体験は、合計360秒にわたって続く。」(段落【0076】) 「別の例では、第1段階が60秒の長さであってT0 が340℃に設定され、第2段階が180秒の長さであってT1 が320℃であり、第3段階が120秒の長さ って続く。」(段落【0076】) 「別の例では、第1段階が60秒の長さであってT0 が340℃に設定され、第2段階が180秒の長さであってT1 が320℃であり、第3段階が120秒の長さであってT2 が360℃である。この場合も、加熱サイクル又は喫煙体験は、合計360秒にわたって続く。」(段落【0077】)「さらに別の例では、第1段階が30秒の長さであってT0 が380℃に 設定され、第2段階が110秒の長さであってT1 が300℃であり、第3段階が220秒の長さであってT2 が340℃である。」(段落【0078】)「各動作段階の持続時間及び温度目標は、コントローラ18内のメモリ に記憶される。この情報は、マイクロコントローラによって実行されるソフトウェアの一部とすることができる。一方、この情報は、マイクロコントローラが異なるプロファイルを選択できるようにルックアップテーブルに記憶することもできる。消費者は、ユーザの好み又は加熱する特定の基材に基づいて、ユーザインターフェイスを介して異なるプロファイルを 選択することができる。装置は、光学リーダなどの基材識別手段、及び識別された基材に基づいて自動的に選択される加熱プロファイルを含むことができる。」(段落【0079】)「別の実施形態では、目標温度T0、T1 及びT2 のみがメモリに記憶され、各段階間の遷移が吸煙回数によって引き起こされる。例えば、マイクロコ ントローラは、流量センサから吸煙回数データを受け取ることができ、2回の吸煙後に第1段階を終了し、さらなる5回の吸煙後に第2段階を終了するように構成することができる。」(段落【0080】)「上述した実施形態の各々では、図3に示す平坦な加熱プロファイルと比較した場合、基材の加熱中に を終了し、さらなる5回の吸煙後に第2段階を終了するように構成することができる。」(段落【0080】)「上述した実施形態の各々では、図3に示す平坦な加熱プロファイルと比較した場合、基材の加熱中にエアロゾルがより均等に送達されるように なる。最適な加熱プロファイルは複数の要因に依存し、所与の装置、基材の形状及び基材の組成に関して実験的に求めることができる。例えば、装置は、1つよりも多くの加熱要素を含むことができ、加熱要素の構成は、基材の枯渇及び熱拡散効果に影響を与える。各加熱要素は、異なる加熱プロファイルを有するように制御することができる。加熱要素に対する基材 の形状及びサイズも重要な因子である。」(段落【0081】)「上述の例示的な実施形態は例示的なものであって限定的なものではないことが明らかであろう。上述した例示的な実施形態を考慮すれば、当業者には、これらの例示的な実施形態に従う他の実施形態が既に明らかであろう。」(段落【0082】) 本件各発明の特許請求の範囲及び上記の記載によれば、本件各発明は、 ①加熱式エアロゾル発生装置及びエアロゾル形成基材を加熱することによってエアロゾルを発生させる方法に関するものであり、②従来技術では、枯渇性のエアロゾル形成基材を一定時間にわたり連続的又は反復的に加熱することにより、エアロゾルの送達を時間経過にかかわらず一貫して行うことが困難であったという課題を解決するため、③エアロゾル発生装置の動作直後の 第1段階において加熱要素の温度を初期の温度から第1の温度に上昇させ、第2段階において加熱要素の温度を第1の温度より低いが、エアロゾル形成基材のエアロゾル揮発温度よりは低くならない第2の温度へと低下させ、第3段階において加熱要素の温度を第2の温度より 度に上昇させ、第2段階において加熱要素の温度を第1の温度より低いが、エアロゾル形成基材のエアロゾル揮発温度よりは低くならない第2の温度へと低下させ、第3段階において加熱要素の温度を第2の温度より高い第3の温度に上昇させるよう電力を供給するとの本件各発明の請求項の構成を採用することにより、 ④エアロゾル形成基材の加熱中にエアロゾルを均等に送達することを可能にする発明であると認められる。 2 争点1-1(被告製品が「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか)について 「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇」(構成要件2C)の意義について被告らは、構成要件2Cの上記構成は、エアロゾル発生装置の動作開始後、何ら空白時間を入れずに直ちに、連続的にエアロゾルが発生する温度に上昇するように電力を供給することを意味し、少なくとも意図的に第1の温度に 上昇するまでにこれよりも低い温度設定をして電力を供給している場合は含まれないと主張する。 アしかしながら、構成要件2Cの「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇」という記載は、「直後の」という文言が「第1段階」に係るものであり、その通常の意義 も踏まえると、「電気作動式エアロゾル発生装置の動作の直後から開始さ れる第1段階において、加熱要素の温度が初期温度から第1の温度まで上昇する」ことを意味するにすぎず、①同装置の動作開始後に空白時間を入れずに直ちに温度が上昇すること、②温度上昇が連続的であること、③少なくとも第1の温度に上昇するまでにこれよりも ら第1の温度まで上昇する」ことを意味するにすぎず、①同装置の動作開始後に空白時間を入れずに直ちに温度が上昇すること、②温度上昇が連続的であること、③少なくとも第1の温度に上昇するまでにこれよりも低い温度設定を設定する場合を含まないことなどを発明特定事項としている旨の示唆ないし記 載は存在しない。 イこの点について、被告らは、本件明細書等の段落【0013】、【0014】、【図5】などを根拠として、上記の限定を付した解釈をすべきであると主張する。 しかしながら、同明細書の段落【0013】の「第1、第2及び第3段 階中に連続的にエアロゾルが発生するように、第1、第2及び第3の温度を選択する。」という記載は、エアロゾルの発生態様についての好ましい形態を記述しているにすぎず、同記載をもって、加熱要素の温度の上昇態様を限定するものと解することはできない。 また、同明細書等の段落【0014】の「第1段階では、加熱要素をで きるだけ速く第1の温度に上昇させるための電力を加熱要素に供給することができる。」との記載は、第1段階において、設定された第1の温度に可能な限り早く上昇させることが望ましい旨を意味しているにすぎず、同記載をもって、電気作動式エアロゾル発生装置の動作開始後に空白時間が生じないことや温度が連続的に上昇することを意味すると解すること はできない。 さらに、本件明細書等の【図5】は、「本発明の実施形態による加熱要素の温度プロファイルの概略図」であって、温度変化の一例を示したものにすぎず、同図面に依拠して、本件各発明が、第1の温度に上昇するまでに意図的に低い温度設定をする場合を含まないと解することはできない。 かえって、本件明細書等の段落【0021】には、「目標温度は、第1、 第2 が、第1の温度に上昇するまでに意図的に低い温度設定をする場合を含まないと解することはできない。 かえって、本件明細書等の段落【0021】には、「目標温度は、第1、 第2及び第3の動作段階の制約範囲内であらゆる所望の時間的プロファイルを有するように選択できることが明らかであろう。」との記載があり、これによれば、本件各発明は、加熱要素の温度を所定の温度に上昇させる態様については特段の制限を設けていないと解するのが相当である。 その他に、本件明細書等には、上記ア①~③の限定をすべき記載ないし 示唆は存在しない。 ウ以上によれば、構成要件2Cの「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇」という記載は、「電気作動式エアロゾル発生装置の動作の直後から開始される第1段階において、加熱要素の温度が初期温度から第1の温度まで上昇する」こと を意味するものと解するのが相当である。 したがって、被告ら主張は、採用することができない。 被告製品等の充足性についてア前記前提事実のとおり、証拠(甲22ないし24)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品等では、装置の動作開始直後から開始される第1段階に おいて加熱ブレードの電線の温度をグリセリンの沸点温度より高い温度(被告製品1については約355℃、被告製品2については約385℃、被告製品3については約350~360℃)にまで上昇するよう電力が供給されていることが認められる。そうすると、被告製品は、構成要件2Cの「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期 温度から第1の温度に上昇」との要件を充足する。 イこれに対し、被告らは、被告製品においては、起動させるためにファンクショ 「前記装置の動作の直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期 温度から第1の温度に上昇」との要件を充足する。 イこれに対し、被告らは、被告製品においては、起動させるためにファンクションボタンを2秒間押し続ける必要があり、「直ちに」予熱が開始されるわけではないため、構成要件2Cを充足しないと主張する。 しかしながら、構成要件2Cの「直ちに」との文言が、電気作動式エア ロゾル発生装置の動作開始後に空白時間を入れずに直ちに温度が上昇す ることを意味するとは解し得ないことは、前記において判示したとおりである。 そして、被告製品においては、第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇すると認められることからすると、構成要件2Cを充足するということができ、同製品を起動させるためにファンク ションボタンを2秒間押し続けることが必要であるとしても、そのことは、当該結論を左右するものとはいえない。 ウこれに対し、被告らは、ソフトウェア設計書(乙10)に基づき、構成要件2Cの上記構成は、第1の温度に上昇するまでにこれよりも低い温度設定を設定する場合を含まないところ、被告製品においては、意図的に最 高温度よりも50℃低い286℃まで一度上昇させ、その後緩やかに連続的にエアロゾルが発生する336℃まで温度を上昇させるという2段階の温度上昇設定を採用しているのであるから、構成要件2Cを充足しないと主張する。 しかしながら、構成要件2Cの上記構成が、第1の温度に上昇するまで にこれよりも低い温度設定を設定する場合を含まないとの被告らの上記解釈を採用し得ないことは、前記において判示したとおりであり、同解釈を前提とする被告らの主張は、前提を欠くものといえる。 なお、被告らが依 も低い温度設定を設定する場合を含まないとの被告らの上記解釈を採用し得ないことは、前記において判示したとおりであり、同解釈を前提とする被告らの主張は、前提を欠くものといえる。 なお、被告らが依拠するソフトウェア設計書(乙10)には、被告製品の加熱要素の温度上昇の制御について、目標温度を336℃に設定した上 で、オーバーシュートを抑えて温度を336℃に安定させるため、286℃において温度制御を切り替えるものであると説明されており、これによれば、本件各発明の第1段階に相当するのは336℃に上昇するまでの間であり、286℃の時点は温度制御の切替えのタイミングにすぎないのであって、第1の温度は336℃と解すべきである。そうすると、乙10の同 図面に基づくとしても、被告製品は、第1段階において加熱要素の温度が 初期温度から第1の温度(目標温度)である336℃まで上昇するものであると認められ、構成要件2Cを充足するということができる。 以上によれば、被告らの主張は、いずれも採用することができない。 3 争点1-2(被告製品が「第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、」(構成要件2C)との構成を備えるか) について 構成要件2Cの「第2の温度より高い第3の温度に上昇」の意義についてア構成要件2Cは、「第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、」との構成を含むところ、被告らは、この第2の温度から第3の温度への上昇は線形的な温度上昇に限定される と主張する。 しかしながら、構成要件2Cの上記記載は、その文言に照らすと、第3段階において加熱要素の温度が第2の温度からそれより高い第3の温度まで上昇することを意味するにす に限定される と主張する。 しかしながら、構成要件2Cの上記記載は、その文言に照らすと、第3段階において加熱要素の温度が第2の温度からそれより高い第3の温度まで上昇することを意味するにすぎないというべきであり、第2の温度から第3への温度上昇が「線形的な温度上昇」に限定されると解すべき理由 はない。 また、本件明細書等には、「第3段階中には、基材がますます枯渇するにつれて継続的に温度を高めることが望ましい。第3段階中に加熱要素の温度を上昇させることにより、基材の枯渇及び熱拡散の低下に起因するエアロゾル送達の減少が補償される。しかしながら、第3段階中における加 熱要素の温度の上昇は、あらゆる所望の時間的プロファイルを有することができ、装置及び基材の形状、機材の組成、並びに第1及び第2段階の持続時間に依存することができる。」(段落【0020】)、「加熱要素への電力を制御するステップは、加熱要素の温度又は加熱要素の近くの温度を測定して測定温度を提供し、測定温度と目標温度の比較を行い、この比 較結果に基づいて、加熱要素に供給する電力を調整するステップを含むこ とができる。…第3段階中には、目標温度を第3の目標温度とすることができ、第3の目標温度は時間と共に次第に上昇する。目標温度は、…第3の動作段階の制約範囲内であらゆる所望の時間的プロファイルを有するように選択できることが明らかであろう。」(段落【0021】)との記載があり、これによれば、第3段階における温度上昇の態様にはあらゆる 種類のものが含まれることが前提とされているというべきである。 イこれに対し、被告らは、本件明細書等の段落【0074】に「第3段階74中には、目標温度が時刻t3まで時間の増加と共に線形的に上昇し」との記載があ れることが前提とされているというべきである。 イこれに対し、被告らは、本件明細書等の段落【0074】に「第3段階74中には、目標温度が時刻t3まで時間の増加と共に線形的に上昇し」との記載があり、図8には線形的に温度が上昇することが示されていることや、同段落【0020】の「第3段階中には、基材がますます枯渇するに つれて継続的に温度を高めることが望ましい。…第3段階中に加熱要素の温度を継続的に上昇させる」との記載などを根拠に、上記のとおり解釈すべきであると主張する。 しかしながら、本件明細書等の【図8】は目標温度プロファイルの例であり、段落【0074】における「第3段階74中には、目標温度が時刻 t3 まで時間の増加と共に線形的に上昇し、」との記載も、目標温度が時間とともに線形的に上昇することを記述しているにすぎない。 また、本件明細書等の段落【0020】に記載されている「温度を継続的に上昇させる」ことは、線形的に温度を上昇させることと同義であるとはいえず、その他に加熱要素の温度上昇を線形的なものに限定する記載は ない。なお、本件明細書等において、加熱要素の温度プロファイルは【図5】に示されているが、同図面によっても第3段階の温度上昇が線形的であるとはいい難く、また、仮にこれを「線形的」といい得るとしても、温度上昇の態様が同図面に示された実施形態に限定されるものではない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 被告製品の充足性について 前記前提事実のとおり、被告製品等では、加熱ブレードの電線の温度が一旦一定の温度(被告製品1及び3については約330℃、被告製品2については約350℃)にまで低下した後、温度が一定の温度(被告製品1及び3については約350℃、被 では、加熱ブレードの電線の温度が一旦一定の温度(被告製品1及び3については約330℃、被告製品2については約350℃)にまで低下した後、温度が一定の温度(被告製品1及び3については約350℃、被告製品2については約365℃)にまで上昇するよう電力が供給されているから、被告製品は、構成要件2Cの「第3段階に おいて前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇し、」との構成を備えるものであるということができる。 以上によれば、被告方法は本件発明1の技術的範囲に、被告製品は本件発明2の技術的範囲に、それぞれ属するものというべきである。 4 争点2-1(乙7発明に基づく新規性欠如)について 被告らは、本件各発明は、乙7発明と同一であるから新規性を欠くので、特許無効審判により無効にされるべきものであると主張する。そこで、以下検討する。 乙7公報の記載乙7公報には、以下の記載等が存在する。 ア発明の属する技術分野「本発明は香味生成物品の加熱温度を制御する電気式香味生成物品加熱制御装置に関する。」(段落【0001】)イ従来の技術「被加熱物体を加熱制御する場合、その被加熱物体の温度を直接温度セ ンサで検出し、この検出温度に基づいて被加熱物体の温度を制御するのが一般的であるが、エアロゾルシガレットのごとき香味生成物品では物性上の要因から温度センサを使用するのが難しい。しかも、香味生成物品は、一定温度以上の熱を与えたとき、熱分解等の悪影響を受けて所要の香味性能が得られなくなる。そこで、香味生成物品を加熱制御するために、間接 的にヒータの発熱温度を制御することにより香味生成物品の加熱温度を 制御する必要がある。」(段落【0002】 が得られなくなる。そこで、香味生成物品を加熱制御するために、間接 的にヒータの発熱温度を制御することにより香味生成物品の加熱温度を 制御する必要がある。」(段落【0002】)「従来、温度センサを使用しない電気ヒータの加熱制御装置は、一定温度上昇後に発熱体であるヒータの電源回路をオフする構成のものもあるが、温度の急降下および電源回路のオン時の急上昇の変化が激しく、被加熱物体の温度を安定に維持することが困難である。」(段落【0003】) 「また、上記以外の加熱制御技術としては、自己制御タイプのヒータを使用するとか、ヒータ表面またはヒータ内部に温度センサを設置し、この温度センサの検出温度を加熱制御装置内に取込んでヒータの温度を制御するものが考えられている。」(段落【0004】)ウ発明が解決しようとする課題 「しかしながら、香味生成物品を加熱する加熱用ヒータは、その適用物品である香味生成物品が外観的に小さいことからおのずとヒータサイズが小型となり、これに伴って加熱用ヒータの昇温速度も比較的速くなる。その結果、温度センサを利用した加熱制御装置は、センサの応答性や熱容量の関係から安定した制御特性が得られないばかりか、特定の温度で安定条 件が得られても、香味生成物品にとって最適な温度に設定するのが難しいといった問題がある。」(段落【0005】)「本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、通電時の発熱体の電気抵抗値を利用して香味生成物品の加熱温度を適切に制御する電気式香味生成物品加熱制御装置を提供することにある。」(段落【0006】) エ課題を解決するための手段「上記課題を解決するために、本発明は、香味生成物品を所定温度に加熱制御する電気式香 味生成物品加熱制御装置を提供することにある。」(段落【0006】) エ課題を解決するための手段「上記課題を解決するために、本発明は、香味生成物品を所定温度に加熱制御する電気式香味生成物品加熱制御装置において、直流定電圧を発生する定電圧発生手段の出力側に発熱温度に応じて電気抵抗値が変化する香味生成物品用発熱体を接続し、温度センサを用いることなく、通電時に 前記発熱体に流れる電流値から前記電気抵抗値を検出し、この検出電気抵 抗値が所定の電気抵抗値に達したとき、前記発熱体への通電路を所定時間ごとにオン・オフ制御する構成である。」(段落【0007】)「このような手段を講じたことにより、通電により香味生成物品用発熱体の発熱温度が上昇すると、この温度上昇に伴って電気抵抗値が増加するので、この電気抵抗値を有効に利用すれば、発熱体の発熱温度、ひいては 香味生成物品の所定温度を把握でき、また発熱体の発熱温度が香味生成物品の所定温度に達したとき、温度センサを用いることなく、発熱体への通電路をオン・オフ制御することにより、香味生成物品を所定の加熱温度に制御できる。」(段落【0008】)「また、別の発明は、直流定電圧を発生する定電圧発生手段と、この定 電圧発生手段の直流定電圧を受けている通電時の発熱温度に応じて電気抵抗値が変化する発熱体と、通電時に発熱体に流れる電流値から電気抵抗値を検出する抵抗検出手段と、前記香味生成物品の香味熱分解の生じない発熱体の所望温度に応じた所定の電気抵抗値に設定する抵抗設定手段と、この所定の電気抵抗値と前記抵抗検出手段による検出電気抵抗値とを比較 し、両値が一致したときに一致信号を出力する比較演算手段と、この比較演算手段からの一致信号を受けた後、前 る抵抗設定手段と、この所定の電気抵抗値と前記抵抗検出手段による検出電気抵抗値とを比較 し、両値が一致したときに一致信号を出力する比較演算手段と、この比較演算手段からの一致信号を受けた後、前記発熱体への通電路をオン・オフ制御するシーケンス制御手段とを設けた電気式香味生成物品加熱制御装置である。」(段落【0009】)「このような手段を講じたことにより、通電時に発熱温度に応じて電気 抵抗値が変化する発熱体の電流値から電気抵抗値を検出し、一方、香味生成物品の香味熱分解が生じない発熱体の所望温度に応じた所定の電気抵抗値に設定し、これら設定電気抵抗値と前記検出電気抵抗値とを比較すれば、その両値の一致から発熱体が所望温度に達したことを検出でき、しかも温度センサを用いることなく、確実、かつ、高精度に検出できる。さらに、 両値の一致信号を受けてシーケンス制御手段が発熱体への通電路を適切に オン・オフ制御することにより、発熱体を安定な状態で所望温度に制御できる。」(段落【0010】)「さらに、前記発熱体としては、通電時に昇温速度が速く、かつ、香味生成物品の香味熱分解が起らない所望温度に加熱可能なセラミックスヒータを用いることにより、速やかに香味生成物品の香味性能が発揮され、香 味生成物品の香味を得ることができる。」(段落【0011】)「さらに、前記定電圧発生手段としては、香味生成物品の未挿入時、通電初期時の通電時間10秒以内に発熱体の所望温度が300°Cとなるような直流定電圧を発生し、また前記シーケンス制御手段としては、香味生成物品の未挿入時、前記発熱体の所望温度300°Cに対して±60°C の温度変化範囲となるように前記発熱体への通電路をオン・オフ制御することにより、現 た前記シーケンス制御手段としては、香味生成物品の未挿入時、前記発熱体の所望温度300°Cに対して±60°C の温度変化範囲となるように前記発熱体への通電路をオン・オフ制御することにより、現在の香味生成物品において速やかに香味生成物品の香味が得られ、しかもある時間の間安定した状態で香味を確保できる。」(段落【0012】)「さらに、前記シーケンス制御手段としては、香味生成物品の香味の熱 分解を考慮しつつ予め前記発熱体への通電路のオフ時間およびオン時間のシーケンス制御時間が設定され、前記比較演算手段から一致信号を受けたとき、前記シーケンス制御時間に従って発熱体への通電路をオン・オフ制御することにより、安定、かつ、継続的に所要の香味を確保できる。」(段落【0013】) 「この香味生成物品20は、通常のシガレットとほぼ同じ使用感および香味性能が得られるように、使用材料、外観、寸法等が市販のシガレットに準じて作られている。すなわち、香味生成物品20は、通常のシガレットのたばこ巻きに相当する部分となる主管21と、その主管21の一端部にチップペーパー22を介して接続されるフィルタ23とによって構成さ れている。主管21は硬質の厚紙からなり、その先端部分には後述するよ うに香味成分等を含む固体状原料の筒状成形体30が同心状に内蔵され、一方、フィルタ23はプラグ巻取紙で巻かれたセルロースジアセテートなどの繊維濾過材が用いられている。」(段落【0017】)「主管21およびチップペーパー22は香味生成物品20のガス流路24を規定するためのケーシング25を構成する。このケーシング25は主 管21の先端側に空気を取込む空気取込口26が設けられ、一方、フィルタ23の端部には使用者に 2は香味生成物品20のガス流路24を規定するためのケーシング25を構成する。このケーシング25は主 管21の先端側に空気を取込む空気取込口26が設けられ、一方、フィルタ23の端部には使用者において香味を吸引する吸引口27が設けられている。そして、空気取込口26と吸引口27との間のケーシング25内にガス流路24が設けられている。」(段落【0018】)「ケーシング25は、市販のシガレットと同じ外径、すなわち使用者が シガレットと同様に口に自然にくわえることができる程度の外径をもった直線的な円筒形となっている。なお、ケーシング25の材料としては、通常のシガレットとほぼ同じ使用感を生み出すように紙が使用されるが、香味生成物品を燃焼させずに原料を加熱して吸引対象物である香味を生成することから、香味生成物品20の使用温度に応じて種々の材料が選択使用 される。ケーシング25の材料として、例えば使用温度が200°C以下の場合には紙、200°C~400°Cの場合には耐熱性プラスチック、400°C以上の場合にはセラミックス、金属などが使用される。」(段落【0019】)「前記筒状成形体30は、図5に示すような形状、つまり通気性の低い 緻密な円筒体として形成されている。この成形体30の中心にはヒータ挿入穴31が形成され、この挿入穴31には成形体30を加熱する加熱用ヒータ1が着脱自在に挿入される。この挿入穴31の後端面中心にはヒータ挿入穴31よりも十分小径の透孔32が形成され、さらに成形体中実部分である円筒壁33の外側面の相対向する2個所には軸方向にそって溝34 が形成されている。」(段落【0020】) 【図5】 「これらヒータ挿入穴31、透孔32および溝34は、成形 の相対向する2個所には軸方向にそって溝34 が形成されている。」(段落【0020】) 【図5】 「これらヒータ挿入穴31、透孔32および溝34は、成形体30で生成される香味やエアロゾルの成分を含む加熱ガスを搬送するための通路の機能の他、香味やエアロゾルの成分を含む加熱ガスを効率よく生成するように成形体30上の蒸発面積を確保する機能をもっている。」(段落【0 021】)「28はケーシング25に形成されたガス流路24に冷却空気を導入する小径の透孔である。成形体30で生成される香味やエアロゾルの成分を含む加熱ガスは透孔28により導入された外気と混合冷却され、エアロゾルの生成が助長される。なお、外気導入用の透孔28に代え、ケーシング 25の一部を通気性の材料で形成し、ケーシング25の壁の通気特性を利用して外気を導入することもありうる。」(段落【0022】)「ところで、燃焼せずに加熱により香味を生成する媒体である原料の成形体30は、熱分解の影響を受けるバインダー、香味成分の揮散を防止する担持素材、香味成分、エアロゾル基剤および水などが含有されている。 この成形体30は、押出し、プレス(金型、ラバー)、鋳込み、射出成形等の圧力による成形方法の何れを用いて、通気性の低い緻密な固体物として形成される。」(段落【0023】)「前記バインダーは内容成分を混合後に固結し、成形体30に必要な機械的強度を付与するために用いられ、有機、無機に拘らず種々の材料を選 択することができ、例えば鉱物系粘土、珪酸塩、リン酸塩、セメント、シリカ、石膏、石灰、でん粉、糖、海草、蛋白、たばこ粉末等を挙げることができる。香味を生成する香味成分およびエアロゾル煙を生成するエアロ ることができ、例えば鉱物系粘土、珪酸塩、リン酸塩、セメント、シリカ、石膏、石灰、でん粉、糖、海草、蛋白、たばこ粉末等を挙げることができる。香味を生成する香味成分およびエアロゾル煙を生成するエアロ ゾル基剤は、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質および/またはそれらの構成成分を選択することができる。香味成分としては、例えばメンソール、カフェイン、或いは熱分解により香味を生成する配糖体等の前駆体或いはたばこ抽出物成分やたばこ煙凝縮物成分等のたばこ成分を用いることができる。」(段落【0024】) 「次に、以上のような香味生成物品20を装着して成形体30を加熱制御する加熱制御装置について説明する。」(段落【0025】)「図1は本発明に係わる加熱制御装置の一実施の形態を示す構成図である。」(段落【0026】)【図1】 「同図において1は前述した香味生成物品20を加熱する加熱用ヒータ(発熱体)であって、この加熱用ヒータ1には直流電源2が定電圧発生回路3を介して印加されている。」(段落【0027】)「この加熱用ヒータ1は、通電時の抵抗損失により発熱するヒータであって、図2に示すように発熱温度Tの上昇に伴って抵抗値Rが上昇する特 性のものが使用される。加熱用ヒータ1は、具体的には成形体30のヒータ挿入穴31の穴径よりも小さい外径をもった円筒棒状の金属ヒータ(ステンレス鋼管)やセラミックスヒータなどが用いられる。セラミックスヒータは、昇温速度が速いこと、50°Cから800°Cの温度範囲まで発 熱可能である一方、例えば30秒以内に香味生成物品を熱分解させない最高温度300°C程度に昇温加熱できるなどのメリットがある。以上のような昇温速度の ら800°Cの温度範囲まで発 熱可能である一方、例えば30秒以内に香味生成物品を熱分解させない最高温度300°C程度に昇温加熱できるなどのメリットがある。以上のような昇温速度の点を考えれば、ニクロム線は昇温速度が遅いので、この種の香味生成物品の加熱用には不適当なものである。」(段落【0028】)【図2】 「前記直流電源2は例えば3.8V~12.0V内の何れかの直流電圧を発生する電池などが用いられる。この直流電源2の直流電圧は香味生成物品20を熱分解させずに所要の時間内に所望の香味性能を得るかに応じて決定される。因みに、香味生成物品20を熱分解させずに30秒以内に300°Cの温度に加熱するには7.2Vの直流電圧が必要となる。」(段 落【0029】)「前記定電圧発生回路3は、例えば三端子レギュレータが用いられ、加熱用ヒータ1などの負荷変動による電源電圧の変動を回避し常に加熱用ヒータ1に一定の電圧を印加する機能をもっている。」(段落【0030】)「この定電圧発生回路3の両出力端子間には、加熱用ヒータ1、電流検 出回路4およびスイッチ手段5からなる直列回路が接続されている。」(段落【0031】)「この電流検出回路4は、例えば温度係数が小さく、かつ、温度依存性をもたない抵抗体が用いられ、加熱用ヒータ1の発熱温度の上昇による抵抗値の上昇に伴って変化する電流値を検出し、この検出電流に応じた電圧 に変換して出力する。前記スイッチ手段5は、リレーまたは半導体スイッチング素子で構成され、外部からのオン・オフ制御信号を受けてオン・オフ動作する。」(段落【0032】)「なお、定電圧発生回路3は加熱用ヒータ1に対し変動の伴わない一定 ーまたは半導体スイッチング素子で構成され、外部からのオン・オフ制御信号を受けてオン・オフ動作する。」(段落【0032】)「なお、定電圧発生回路3は加熱用ヒータ1に対し変動の伴わない一定の電圧印加状態に設定すること、つまり適切な抵抗測定条件を作り出す機 能をもっていること、一方、電流検出回路4は加熱用ヒータ1の加熱により変化する抵抗値にのみ依存して変化する電流値を検出する機能をもっていることから、これら定電圧発生回路3および電流検出回路4は加熱用ヒータ1の変化する抵抗値を検出する機能をもった抵抗検出回路6と呼ぶことができる。」(段落【0033】) 「また、加熱制御装置には温度設定回路7および電圧変換回路8が設けられている。この温度設定回路7は、図2に示すように加熱用ヒータ1の最適発熱温度Tsのときの加熱用ヒータ1の抵抗値Rsが設定されるが、この最適発熱温度は香味成分物品20の成分含有量によって異なるものであり、そのため設定抵抗値Rsも任意に可変可能な構成とする。電圧変換 回路8は温度設定回路7の設定抵抗値に応じた電圧を発生させるものである。これら温度設定回路7および電圧変換回路8は、具体的には例えば可変抵抗器の両端に所定の電圧を印加し、当該可変抵抗器のうち設定抵抗値Rsに相当する部分に予め設定される可動端子から設定抵抗値Rsにのみ依存する電圧を取り出す構成によって実現でき、これら温度設定回路7お よび電圧変換回路8は抵抗設定回路9と呼ぶことができる。」(段落【0034】)「10は電流検出回路4から出力される検出電流に応じた電圧と電圧変換回路8から出力される電圧とを比較する比較演算回路であって、これら両電圧の比較結果がシーケンス制御回路11に送られる。このシーケンス 制御 出回路4から出力される検出電流に応じた電圧と電圧変換回路8から出力される電圧とを比較する比較演算回路であって、これら両電圧の比較結果がシーケンス制御回路11に送られる。このシーケンス 制御回路11は、タイマーが内蔵され、電圧変換回路8から出力される電 圧に一致する電圧が電流検出回路4で検出されたとき、つまり一致信号をうけたとき、香味生成物品20の熱分解を考慮しつつ予め設定された所定の時間のタイミングでオン・オフ制御を行うためのシーケンス制御信号を出力する機能をもっている。シーケンス制御回路11は、比較演算回路10から一致信号を受けたとき、例えば具体的には0.2秒~2秒間オフと するシーケンス制御信号を出力した後、本来の比較結果を取込んで同様の処理を繰り返すとか、或いは前記一致信号を受けたとき、所定の時間ごとにオフ・オンを繰り返し実行するシーケンス制御信号を出力することが挙げられる。」(段落【0035】)「12はスイッチ駆動制御回路であって、これはシーケンス制御回路1 1から入力されるシーケンス制御信号に基づいてスイッチ手段5をオン・オフ制御するものである。」(段落【0036】)「これら比較演算回路10、シーケンス制御回路11、スイッチ駆動制御回路12およびスイッチ手段5はヒータ電源制御装置13を構成するものである。」(段落【0037】) 「次に、以上のように構成された装置の動作について説明する。」(段落【0038】)「先ず、抵抗設定回路9を用いて、香味生成物品の熱分解を起こさず、かつ、香味性能が得られる図2に示す加熱用ヒータ1の最適加熱温度Tsに対応する抵抗値Rsに設定する。」(段落【0039】) 「この状態において装置に電源を投入 品の熱分解を起こさず、かつ、香味性能が得られる図2に示す加熱用ヒータ1の最適加熱温度Tsに対応する抵抗値Rsに設定する。」(段落【0039】) 「この状態において装置に電源を投入すると、シーケンス制御回路11が所定のシーケンス制御動作を開始し、スイッチ手段5をオンとするためのシーケンス制御信号を出力し、スイッチ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオンに設定する。」(段落【0040】)「ここで、スイッチ手段5がオンとなると、加熱用ヒータ1には定電圧 発生回路3から予め定める一定の直流電圧が印加される。その結果、加熱 用ヒータ1は、通電による抵抗損失で発熱し、この発熱温度の上昇に伴って加熱用ヒータ1の電気抵抗値が増大する。このとき、加熱用ヒータ1は常に一定の直流電圧が印加されているので、通電による発熱温度の上昇とともに抵抗値が増大し、逆に加熱用ヒータ1に流れる電流値が低下する。 電流検出回路4は、発熱用ヒータ1に流れる電流を検出し、この検出電流 を電圧値に変換し比較演算回路10に送出する。」(段落【0041】)「ここで、比較演算回路10は、基準抵抗設定側となる電圧変換回路8から入力される設定抵抗に依存する所定電圧と電流検出回路4から出力される電圧とを比較し、電流検出回路4から出力される電圧が所定電圧に一致したとき、つまり設定温度に相当する抵抗値と加熱用ヒータ1の抵抗値 とが等しくなったとき、例えばハイレベル信号Hを出力しシーケンス制御回路11に送出する。」(段落【0042】)「このシーケンス制御回路11は比較演算回路10からハイレベル信号Hを受けると、オフとするシーケンス制御信号を出力し、スイッチ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオフ制御にすると 】)「このシーケンス制御回路11は比較演算回路10からハイレベル信号Hを受けると、オフとするシーケンス制御信号を出力し、スイッチ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオフ制御にすると同時にタイマーを 作動させる。これにより加熱用ヒータ1への低電圧電源の供給が停止する。」(段落【0043】)「以後、シーケンス制御回路11は、所定のシーケンスプログラムに基づき、香味生成物品20の香味熱分解を考慮しつつ予め設定される所定の時間、例えばタイマーが例えば1秒経過した後、スイッチ駆動制御回路1 2を介してスイッチ手段5をオンとし、その後、比較演算回路10の比較結果に基づき、スイッチ手段5のオフ・オンを繰り返すとか、或いはハイレベル信号Hを受けてスイッチ手段5をオフとした後、予め定める所定時間ごとにオン・オフ制御を繰り返し実行する。」(段落【0044】)「なお、スイッチ手段5のオン・オフ制御時間は、短時間であればある ほど制御時の温度範囲が狭くなるが、抵抗検出回路6側のオン・オフ接点 の種類(リレー、半導体スイッチング素子)および被加熱物体の物性(比熱・熱伝達率)などの条件を考慮し、さらに香味生成物品20の熱分解および香味性能等を考慮し、0.2~2秒程度のインターバルで行うのが望ましいが、この時間も香味生成物品20の成分含有量の状態によって異なるものである。」(段落【0045】) 「また、筒状成形体30として例えば前述したようにバインダー、良伝熱素材、担持素材、香味成分、エアロゾル基剤および水などを含有成分とし、さらにバインダーとして例えば鉱物系粘土、珪酸塩、リン酸塩、セメント、シリカ、石膏、石灰、でん粉、糖、海草、蛋白、たばこ粉末等を適宜選択することにより、その香味 ゾル基剤および水などを含有成分とし、さらにバインダーとして例えば鉱物系粘土、珪酸塩、リン酸塩、セメント、シリカ、石膏、石灰、でん粉、糖、海草、蛋白、たばこ粉末等を適宜選択することにより、その香味生成物品の最適な加熱温度がほぼ30 0°C程度であるので、望ましくは300°C±30°Cの温度変化範囲であれば香味の熱分解がなく安定な香味性能が得られるが、例えばバインダーとして例えば鉱物系粘土を主成分とする場合には±60°Cの温度変化範囲であってもよい。」(段落【0046】)「従って、以上のような実施の形態によれば、加熱用ヒータ1に定電圧 発生回路3から常に一定の直流電圧を印加し、この通電時の抵抗損失による発熱温度の上昇に伴って変化する加熱用ヒータ1の抵抗値を利用し、当該加熱用ヒータ1の発熱温度を検出するので、温度センサを用いる必要がなく、また小形でかつ速い昇温速度を必要とする香味生成物品の加熱温度制御に非常に有効なものである。」(段落【0047】) 「また、通電時に発熱温度に応じて抵抗値が変化する加熱用ヒータ1の電流値から得られる抵抗値と予め香味生成物品の香味熱分解が生じない加熱用ヒータ1の所望温度に応じた所定の設定抵抗とを比較し、両抵抗値の一致から加熱用ヒータ1の所望の発熱温度を検出するので、確実、かつ、高精度に加熱用ヒータ1の所望の発熱温度、ひいては香味生成物品に最適 な加熱温度に設定できる。」(段落【0048】) 「さらに、比較演算回路10から両抵抗値の一致信号を受けたとき、シーケンス制御回路11は、予め定めた任意のインターバルで加熱用ヒータ1の通電路をオン・オフ制御するので、香味生成物品の物性を考慮しつつ香味性能を安定、かつ、継続的に得ることができる。」( たとき、シーケンス制御回路11は、予め定めた任意のインターバルで加熱用ヒータ1の通電路をオン・オフ制御するので、香味生成物品の物性を考慮しつつ香味性能を安定、かつ、継続的に得ることができる。」(段落【0049】)「なお、上記実施の形態では、加熱用ヒータ1として、金属ヒータまた はセラミックスヒータなどを用いた例を説明したが、例えば図3および図4に示すような白金線や熱電対を用いてもよい。図3は、白金線の加熱用ヒータ1を用い、かつ、香味生成物品の挿入時のオン・オフ制御およびPID(P:比例、I:積分、D:微分)制御を行ったときの経過時間とヒータ発熱温度との慣例をプロットした図である。この図から明らかなよう に、オン・オフ制御およびPID制御とも通電時の昇温速度が速い点において迅速に香味生成物品の香味性能を得ることができるが、PID制御の場合には加熱用ヒータ1の発熱温度が250°Cないし300°に上昇した後PID制御を実行すると、P、D制御パラメータがきいて発熱温度が大きく変化するのに対し、オン・オフ制御の場合には250°C±20° Cの温度変化幅に入るように加熱温度を制御することができ、安定した状態で香味生成物品の香味性能を得ることができる。」(段落【0050】) 【図3】 【図4】 乙7発明の内容上記の記載によれば、乙7発明の内容は、以下のとおりと認められる。 ア乙7発明1 7-1A 電気式香味生成物品加熱制御装置における香味の発生を制御する方法であって、7-1B 前記電気式香味生成物品加熱制御装置は、エアロゾル基剤を含む成形体30を加熱するように構成された 加熱用ヒータ1と、前記加熱用ヒータ1に電力を供給するための て、7-1B 前記電気式香味生成物品加熱制御装置は、エアロゾル基剤を含む成形体30を加熱するように構成された 加熱用ヒータ1と、前記加熱用ヒータ1に電力を供給するための直流電源2と、を備え、7-1C 前記方法は、前記直流電源2を投入すると、シーケンス制御回路11が所定 のシーケンス制御動作を開始し、スイッチ手段5をオンとすると、前記加熱用ヒータ1には定電圧発生回路3から予め定める一定の直流電圧が印加され、電流検出回路4が前記加熱用ヒータ1に流れる電流を検出し、比較演算回路10が基準抵抗設定側となる電圧変換回路8から入力される設定抵抗に依存する所定電圧と前記 電流検出回路4から出力される電圧とを比較し、前記電流検出回路4から出力される電圧が所定電圧に一致したとき、つまり、設定温度に相当する抵抗値と前記加熱用ヒータ1の抵抗値が等しくなったとき、前記シーケンス制御回路11が、前記スイッチ手段5をオフ制御にすると同時にタイマーを作動させ、これにより前 記加熱用ヒータ1への電力の供給が停止し、以後、前記シーケンス制御回路11が、所定のシーケンスプログラムに基づき、香味生成物品20の香味熱分解を考慮しつつ予め設定される所定の時間経過した後、前記スイッチ手段5をオンとし、その後、前記比較演算回路10の比較結果に基づき、前記スイッチ手段5のオフ・ オンを繰り返すとか、或いは前記スイッチ手段5をオフとした後、予め定める所定時間ごとにオン・オフ制御を繰り返し実行するよう制御するステップを含む、方法。 イ乙7発明2 7-2A 電気式香味生成物品加熱制御装置であって、 7-2B エアロゾル基剤を含む成形体30を加熱して香味を発生さ 方法。 イ乙7発明2 7-2A 電気式香味生成物品加熱制御装置であって、 7-2B エアロゾル基剤を含む成形体30を加熱して香味を発生させるように構成された加熱用ヒータ1と、前記加熱用ヒータ1に電力を供給するための直流電源2と、前記直流電源2から前記加熱用ヒータ1への電力の供給を制御するための電気回路Aと、 を備え、7-2C 前記電気回路Aは、前記直流電源2を投入すると、シーケンス制御回路11が所定のシーケンス制御動作を開始し、スイッチ手段5をオンとすると、前記加熱用ヒータ1には定電圧発生回路3から予め定め る一定の直流電圧が印加され、電流検出回路4が前記加熱用ヒータ1に流れる電流を検出し、比較演算回路10が基準抵抗設定側となる電圧変換回路8から入力される設定抵抗に依存する所定電圧と前記電流検出回路4から出力される電圧とを比較し、前記電流検出回路4から出力される電圧が所定電圧に一致 したとき、つまり、設定温度に相当する抵抗値と前記加熱用ヒータ1の抵抗値が等しくなったとき、前記シーケンス制御回路11が、前記スイッチ手段5をオフ制御にすると同時にタイマーを作動させ、これにより前記加熱用ヒータ1への電力の供給が停止し、以後、前記シーケンス制御回路11が、所定のシー ケンスプログラムに基づき、香味生成物品20の香味熱分解を考慮しつつ予め設定される所定の時間経過した後、前記スイッチ手段5をオンとし、その後、前記比較演算回路10の比較結果に基づき、前記スイッチ手段5のオフ・オンを繰り返すとか、或いは前記スイッチ手段5をオフとした後、予め定める所定時 間ごとに スイッチ手段5をオンとし、その後、前記比較演算回路10の比較結果に基づき、前記スイッチ手段5のオフ・オンを繰り返すとか、或いは前記スイッチ手段5をオフとした後、予め定める所定時 間ごとにオン・オフ制御を繰り返し実行するように制御するよ う構成される、電気式香味生成物品加熱制御装置。 本件各発明と乙7発明との対比ア構成の対比乙7発明1の「電気式香味生成物品加熱制御装置」、「香味の発生」、 「加熱制御装置」、「エアロゾル基材を含む成形体30」、「加熱用ヒータ1」、「前記加熱用ヒータ1に電力を供給するための直流電源2」は、それぞれ、本件発明1の「エアロゾル発生装置」、「エアロゾルの発生」、「エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材」、「少なくとも1つの加熱要素を含むヒータ」、「前記加熱要素に電力を供給するための電源」に 相当する。 これと同様に、乙7発明2の「電気式香味生成物品加熱制御装置」、「エアロゾル基剤を含む成形体30」、「香味」、「加熱用ヒータ1」、「前記加熱用ヒータ1に電力を供給するための直流電源2」、「電気回路A」は、それぞれ、本件発明2の「電気作動式エアロゾル発生装置」、「エア ロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材」、「エアロゾル」、「少なくとも一つの加熱要素」、「前記加熱要素に電力を供給するための電源」、「電気回路」に相当する。 イ一致点上記アによれば、本件各発明と乙7発明の一致点は、以下のとおりであ ると認められる。 本件発明1と乙7発明1の一致点「エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、前記装置は、 エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成さ 件発明1と乙7発明1の一致点「エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、前記装置は、 エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成さ れた少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、を備える方法。」の点本件発明2と乙7発明2の一致点「電気作動式エアロゾル発生装置であって、 エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、前記電源から少なくとも前記1つの加熱要素への電力の供給を制御するための電気回路と、 を備える電気作動式エアロゾル発生装置。」の点ウ相違点上記アによれば、本件各発明と乙7発明とは、以下の点で相違すると認められる。 (相違点7-A) 本件各発明は、加熱要素の温度を、第1段階において第1の温度に、第2段階において第2の温度に、第3段階において第3の温度に制御するものであるのに対し、乙7発明はそのような構成を備えていない点(相違点7-B)本件各発明においては第2段階において電力が加熱要素に供給される のに対し、乙7発明はそのような構成を備えていない点新規性についてア相違点7-Aについて被告らは、相違点7-Aに関し、乙7発明と本件各発明との間に加熱要素の温度変化の点について差異はないので、乙7発明は、本件各発明の第 1ないし第3の温度及び第1ないし第3段階に相当する構成を有すると 主張する。 しかしながら、本件明細書等には、本件各発明の第1ないし第3の温度に関し、以下の記載がある 1ないし第3の温度及び第1ないし第3段階に相当する構成を有すると 主張する。 しかしながら、本件明細書等には、本件各発明の第1ないし第3の温度に関し、以下の記載がある。 a 「第1、第2及び第3段階中に連続的にエアロゾルが発生するように、第1、第2及び第3の温度を選択する。第1、第2及び第3の温 度は、基材内に存在するエアロゾル形成体の揮発温度に対応する温度範囲に基づいて決定されることが好ましい。…第2段階中には、温度が最低許容温度を下回らないことを確実にするための電力を加熱要素に供給することができる。」(段落【0013】)b 「第1、第2及び第3の温度の最大動作温度は、いずれも従来の着 火端部付きシガレットに存在する望ましくない化合物の燃焼温度又は約摂氏380度を超えないことが好ましい。」(段落【0016】)c 「第2段階及び第3段階では、加熱要素に供給される電力を制御するステップを、加熱要素の温度を許容温度範囲又は所望の温度範囲内に維持するように行うことが有利である。」(段落【0017】) d 「第1段階では、加熱要素の温度を、エアロゾル形成基材からエアロゾルが発生する第1の温度に上昇させる。多くの装置、特に加熱式喫煙装置では、装置の作動後にできるだけ早く所望の成分を含むエアロゾルを発生させることが望ましい。」(段落【0014】)e 「第1段階が終了すると第2段階が開始し、加熱要素の温度が第1 の温度よりも低い温度ではあるが許容温度範囲内の第2の温度に低下するように加熱要素への電力を制御する。この加熱要素の温度の低下が望ましい理由は、装置及び基材が温まると、所定の加熱要素の温度で凝縮が抑えられてエアロゾルの送達が増加するからである。」(段落【0019】) への電力を制御する。この加熱要素の温度の低下が望ましい理由は、装置及び基材が温まると、所定の加熱要素の温度で凝縮が抑えられてエアロゾルの送達が増加するからである。」(段落【0019】) f 「第3段階では、加熱要素の温度を上昇させる。第3段階中には、 基材がますます枯渇するにつれて継続的に温度を高めることが望ましい。第3段階中に加熱要素の温度を上昇させることにより、基材の枯渇及び熱拡散の低下に起因するエアロゾル送達の減少が補償される。」(段落【0020】)上記各記載によれば、本件各発明における第1ないし第3の温度制御 の技術的意義は、①第1段階として、加熱要素の温度をエアロゾル形成基材からエアロゾルが発生する第1の温度まで上昇させ、装置及び基材が温まり、凝縮が抑えられてエアロゾルの送達が増加することに伴い、②第2段階として、エアロゾルの送達を抑えるため、第1の温度より低いが、エアロゾル形成基材のエアロゾル揮発温度よりは低くならない、 エアロゾルの送達を軽減する温度である第2の温度へと加熱要素の温度を低下させ、その後、エアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に起因するエアロゾル送達の減少が生じるため、それを補償するために、③第3段階として、加熱要素の温度を第2の温度より高い第3の温度に上昇させるという点にあり、これにより、「エアロゾル形成基材の連続 的又は反復的加熱期間にわたって特性がより一貫したエアロゾルを提供するエアロゾル発生装置及びシステムを提供する」との本件各発明の課題が解決されるものであると認められる。 これに対し、乙7公報には、加熱温度の制御に関し、以下の記載がある。 a 「本発明は、…通電時に前記発熱体に流れる電流値から前記電気抵抗値を検出し、この検出電 ものであると認められる。 これに対し、乙7公報には、加熱温度の制御に関し、以下の記載がある。 a 「本発明は、…通電時に前記発熱体に流れる電流値から前記電気抵抗値を検出し、この検出電気抵抗値が所定の電気抵抗値に達したとき、前記発熱体への通電路を所定時間ごとにオン・オフ制御する構成である。」(段落【0007】)b 「香味生成物品の未挿入時、通電初期時の通電時間10秒以内に発 熱体の所望温度が300°Cとなるような直流定電圧を発生し、また 前記シーケンス制御手段としては、香味生成物品の未挿入時、前記発熱体の所望温度300°Cに対して±60°Cの温度変化範囲となるように前記発熱体への通電路をオン・オフ制御することにより、現在の香味生成物品において速やかに香味生成物品の香味が得られ、しかもある時間の間安定した状態で香味を確保できる。」(段落【001 2】)c 「スイッチ手段5がオンとなると、加熱用ヒータ1には定電圧発生回路3から予め定める一定の直流電圧が印加される。その結果、加熱用ヒータ1は、通電による抵抗損失で発熱し、この発熱温度の上昇に伴って加熱用ヒータ1の電気抵抗値が増大する。」(段落【0041】) d 「ここで、比較演算回路10は、…設定温度に相当する抵抗値と加熱用ヒータ1の抵抗値とが等しくなったとき、例えばハイレベル信号Hを出力しシーケンス制御回路11に送出する。」(段落【0042】)e 「このシーケンス制御回路11は比較演算回路10からハイレベル信号Hを受けると、オフとするシーケンス制御信号を出力し、スイッ チ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオフ制御にすると同時にタイマーを作動させる。これにより加熱用ヒータ1への低電圧電源の供給が停止する。」 フとするシーケンス制御信号を出力し、スイッ チ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオフ制御にすると同時にタイマーを作動させる。これにより加熱用ヒータ1への低電圧電源の供給が停止する。」(段落【0043】)f 「以後、シーケンス制御回路11は、所定のシーケンスプログラムに基づき、香味生成物品20の香味熱分解を考慮しつつ予め設定され る所定の時間、例えばタイマーが例えば1秒経過した後、スイッチ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオンとし、その後、比較演算回路10の比較結果に基づき、スイッチ手段5のオフ・オンを繰り返すとか、或いはハイレベル信号Hを受けてスイッチ手段5をオフとした後、予め定める所定時間ごとにオン・オフ制御を繰り返し実行す る。」(段落【0044】) g 「香味生成物品の最適な加熱温度がほぼ300°C程度であるので、望ましくは300°C±30°Cの温度変化範囲であれば香味の熱分解がなく安定な香味性能が得られるが、例えばバインダーとして例えば鉱物系粘土を主成分とする場合には±60°Cの温度変化範囲であってもよい。」(段落【0046】) 上記各記載に加えて、乙7公報の【図3】及び【図4】によれば、乙7発明は、エアロゾル形成基材の最適な加熱温度を中心とした上下一定幅の温度を設定した上で、上限の設定温度になったときにスイッチ手段をオフにし、一定時間経過後にスイッチ手段をオンにするなどの制御を繰り返すことにより、被加熱物体の温度を安定的に維持するという発明 であることが認められる。他方、本件各発明の技術思想は、エアロゾル形成基材の加熱期間にわたり、エアロゾルの送達量を一貫させるために送達量の増加に応じて第1の温度から第2の温度へと温度を低下させ、逆にエアロゾル形成 られる。他方、本件各発明の技術思想は、エアロゾル形成基材の加熱期間にわたり、エアロゾルの送達量を一貫させるために送達量の増加に応じて第1の温度から第2の温度へと温度を低下させ、逆にエアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に応じて第2の温度から第3の温度へと温度を上昇させるというものである。そうすると、 本件各発明と乙7発明とは、加熱要素の制御方法や技術思想において、明らかに異なるものというべきである。 以上によれば、本件各発明と乙7発明では、加熱要素の制御方法やその技術思想が異なるというべきであるから、乙7発明が本件各発明の第1ないし第3の温度及び第1ないし第3段階に相当する構成を有すると いうことはできない。 イ相違点7-Bについて被告らは、相違点7-Bに関し、本件各発明が備える電力供給の制御の構成には、第2段階で電力供給をゼロに制御する場合も含まれるのであり、仮にそうでないとしても、乙7発明では、オフ制御の終了時に加熱用ヒー タがオンになって電力が供給されるのであるから、第2段階で電力が供給 されるということができると主張する。 しかしながら、本件発明1の構成要件1Cの「第2段階において…電力が供給され」るとの記載及び本件発明2の構成要件2Cの「第2…段階中に電力が前記加熱要素に供給される」との記載によれば、第2段階で温度を低下させる場合であっても、電力は供給されると認めるのが相当である。 また、本件明細書等には「第1段階が終了すると第2段階が開始し、加熱要素の温度が第1の温度よりも低い温度ではあるが許容温度範囲内の第2の温度に低下するように加熱要素への電力を制御する。」(段落【0019】)との記載があるが、ここにいう「電力を制御する」との文言は電力が供給されていることを も低い温度ではあるが許容温度範囲内の第2の温度に低下するように加熱要素への電力を制御する。」(段落【0019】)との記載があるが、ここにいう「電力を制御する」との文言は電力が供給されていることを前提としていると解するのが自然である。 これに対し、乙7公報には「このシーケンス制御回路11は比較演算回路10からハイレベル信号Hを受けると、オフとするシーケンス制御信号を出力し、スイッチ駆動制御回路12を介してスイッチ手段5をオフ制御にすると同時にタイマーを作動させる。これにより加熱用ヒータ1への低電圧電源の供給が停止する。」(段落【0043】)との記載があり、こ れによれば、スイッチ手段がオフの間には電力の供給が停止されているものと認めるのが相当である。 これに対し、被告らは、乙7発明では、オフ制御の終了時に加熱用ヒータがオンになって電力が供給されるため、第2段階で電力が供給されるということができると主張するが、これは、オフ制御に続くオン制御の開始 時に電力が供給されると解すべきものであり、オフ制御の段階で電力が供給されると解することはできない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 以上によれば、本件各発明と乙7発明は、相違点7-Bにおいて相違するというべきである。 小括 以上によれば、乙7発明に基づき、本件各発明が新規性を欠如するということはできない。 5 争点2-2(乙8発明に基づく新規性・進歩性欠如)について被告らは、本件各発明は、乙8発明と同一であることから新規性を欠き、仮に新規性を有するとしても、当業者は同発明に乙9発明を適用することにより 容易に想到し得たものであるから進歩性を欠くので、特許無効審判により無効にされるべきもの 一であることから新規性を欠き、仮に新規性を有するとしても、当業者は同発明に乙9発明を適用することにより 容易に想到し得たものであるから進歩性を欠くので、特許無効審判により無効にされるべきものであると主張する。そこで、以下検討する。 乙8公報の記載乙8公報には、以下の記載等が存在する。 ア技術分野 「本発明は電子タバコに関し、詳しくは、従来の燃焼方式ではなく、気化方式を採用した電子タバコに関する。」(段落[0001])イ背景技術「現在、世界全体の喫煙者人口は10億を上回る。喫煙中に、主成分としてニコチン、一酸化炭素、タール等が産生されるが、タバコの有効成分 はニコチンであり、それ以外の殆どの成分は人体に有害であるため、喫煙を一因として命を落とす人も多い。そのため、公共の場所はその多くが禁煙になっており、全国民に喫煙を禁止している国も数カ国ある。一方、ヘビースモーカーはどうしても喫煙がやめられないため、その要望に応えるべく、市場には種々の電子タバコが出回っている。しかしながら、電子タ バコは本来のタバコとは味がかなり異なり、喫煙者を満足させることができないことがある。」(段落[0002])ウ発明の概要「本発明の目的の1つは、口当たりが本来のタバコに近く、喫煙中や受動喫煙における一酸化炭素やタールの産生を防ぐことが可能、かつ、小さ く使い勝手のよい気化式電子タバコを提供することである。」(段落[000 3])「本発明の目的は、以下の技術的解決策により達成される。 本発明の気化式電子タバコは、殻部と、この殻部に配置したバッテリおよび制御部を備え、吸引ノズルが殻部の一端に設けられ、電気加熱片の動作状態 明の目的は、以下の技術的解決策により達成される。 本発明の気化式電子タバコは、殻部と、この殻部に配置したバッテリおよび制御部を備え、吸引ノズルが殻部の一端に設けられ、電気加熱片の動作状態を制御するための制御スイッチが殻部に設けられ、制御スイッチは 制御部に接続され、タバコ組成物を載置するための天火が殻部にさらに設けられ、吸気口と、タバコ組成物を気化させる電気加熱片が天火に配置されており、天火は吸引ノズルに連通しており、バッテリは、制御部を介して、電気加熱片に電気的に接続されている。」(段落[0004])「技術的解決策は、さらに次のように構成してもよい。 天火の温度を検出するための温度センサが天火に設けられ、この温度センサは制御部に接続され、動作状態において、制御部は電気加熱片の加熱状態を制御して、温度センサによる検出温度に応じて、天火の動作温度を180℃~240℃に維持し、制御部は、温度センサによる検出温度が240℃に達すると加熱を停止するよう、電気加熱片を制御し、温度センサ による検出温度が180℃を下回ると加熱を開始するよう、電気加熱片を制御する。」(段落[0005])「天火はバケツ形状を成し、電気加熱片は天火のバケツ形状の底部を形成し、吸気口は電気加熱片に形成されており、貫通穴は殻部に形成され、吸気口は貫通穴に連通している。」(段落[0006]) 「制御部はバッテリと電気加熱片の間に配置され、制御部に対する断熱制御を行い、かつ、電気加熱片を支持するための断熱支持マイカシートが、制御部と電気加熱片の間に配置されている。」(段落[0007])「吸引ノズルには吸引ノズルの穴部が形成されており、吸引ノズルは殻部にスリーブ接続されており、吸引ノズルの穴部 イカシートが、制御部と電気加熱片の間に配置されている。」(段落[0007])「吸引ノズルには吸引ノズルの穴部が形成されており、吸引ノズルは殻部にスリーブ接続されており、吸引ノズルの穴部に連通する溝部が、殻部 にスリーブ接続した吸引ノズルの端部に形成されており、溝部は天火の開 口端の反対側に位置し、天火内部の空洞に連通している。タバコ組成物が吸引ノズルの穴部から漏出することを防ぐためのニッケル製ワイヤーメッシュが、溝部の底部に設けられている。」(段落[0008])「制御部は、電気加熱片の加熱状態を制御するためのスイッチ回路を備えており、電気加熱片は、このスイッチ回路を介して、電源に接続されて いる。」(段落[0009])「ユニバーサル・シリアル・バス(USB)充電インターフェースが殻部に形成されており、バッテリは再充電可能なリチウム・イオン・バッテリであり、充電電流および充電電圧を調節するための充電回路が制御部に設けられており、バッテリは、この充電回路を介して、USB充電インタ ーフェースに接続されている。」(段落[0010])「また、充電回路の充電状態を示す充電表示ランプと電気加熱片の加熱状態を示す加熱表示ランプが殻部に設けられており、充電表示ランプはUSB充電インターフェースに接続され、加熱表示ランプは制御部に接続されている。」(段落[0012]) 「電気加熱片は厚膜電気加熱片である。」(段落[0013])「本発明は以下の利点を有する。 1)本発明によれば、タバコ組成物は、喫煙者が電気加熱片を介して吸引するために、加熱により気化して液体粒子となり、従来の電子タバコのようにタバコ液を燃焼させるのではなく、タバコ組成物 る。 1)本発明によれば、タバコ組成物は、喫煙者が電気加熱片を介して吸引するために、加熱により気化して液体粒子となり、従来の電子タバコのようにタバコ液を燃焼させるのではなく、タバコ組成物を気化させる方法 を採用することで、従来の電子タバコと比較して、電子タバコの方が口当たりが本来のタバコに近い。」(段落[0014])「2)本発明によれば、タバコ組成物を載置するための天火を殻部にさらに配置し、タバコ組成物を気化させるための電気加熱片と吸気口を天火に配置し、バッテリは制御部を介して電気加熱片に電気的に接続し、タバ コ組成物は電気加熱片を介して加熱され、液体粒子へと気化され、従来の 燃焼方式ではなく、気化方式を採用することで、喫煙中の一酸化炭素やタール等の有害物質の産生を防ぐ。さらに、煙ではなく気化による液体粒子が生成され、タバコ用ホールダーから吸引されるため、受動喫煙が回避される。さらに、この電子タバコは、従来のタバコと同等のサイズであり、小さいため、使い勝手がよい。」(段落[0015]) 「図1、図2、図3に示すように、本実施形態の気化式電子タバコは、殻部1と、殻部1に配置したバッテリ2および制御部3を備える。吸引ノズル11が殻部1の一端に設けられ、電気加熱片41の動作状態を制御するための制御スイッチ12が殻部1に設けられ、制御スイッチ12は制御部3に接続され、タバコ組成物を載置するための天火4が殻部1にさらに 設けられ、吸気口42と、タバコ組成物を気化させる電気加熱片41が天火4に配置されており、天火4は吸引ノズル11に連通し、バッテリ2は、制御部3を介して、電気加熱片41に電気的に接続されている。動作状態において、制御部3は電気加熱片41を制御して、タバコ組 1が天火4に配置されており、天火4は吸引ノズル11に連通し、バッテリ2は、制御部3を介して、電気加熱片41に電気的に接続されている。動作状態において、制御部3は電気加熱片41を制御して、タバコ組成物を加熱し、液体粒子へと気化させる。喫煙者は、吸引ノズル11を介して、タバコ組 成物から気化した液体粒子を吸引する。本実施形態では、従来の燃焼方式ではなく、気化方式を採用することで、煙ではなく、気化により液体粒子を発生させる。このため、一酸化炭素やタール等の有害物質の産生を防ぎ、また、喫煙者が喫煙中でない場合の受動喫煙も回避される。また、この電子タバコは使い勝手がよい。」(段落[0026]) 図1 図2 図3 「本実施形態では、タバコ組成物は、主にタバコ粉末および配合添加物から調製される半固体の混合物である。このタバコ組成物は、一酸化炭素 やタール等の有害な物質を産生することなく、180℃~240℃の温度範囲で気化され液体粒子に転じる。このタバコ組成物では、タバコ粉末の 粒度は約1mmであり、タバコ粉末の配合添加物に対する質量比は、例えば、(2~3):1である。本実施形態では、タバコ粉末の配合添加物に対する質量比は、例えば、2:1であってもよく、この場合、配合添加物は混合溶液状に調製される。配合添加物は、混合溶液の溶質として機能するプロピレングリコールと、溶媒として機能するグリセリンを含み、グリ セリンのプロピレングリコールに対する質量比は、例えば、(3~5):1である。本実施形態では、具体的に、グリセリンのプロピレングリコールに対する質量比は3:1であってもよい。さらに、配合添加物は天然香料をさらに含み、天然香料の含有量は、要件に応じて調 (3~5):1である。本実施形態では、具体的に、グリセリンのプロピレングリコールに対する質量比は3:1であってもよい。さらに、配合添加物は天然香料をさらに含み、天然香料の含有量は、要件に応じて調節可能である。また、本実施形態では、天然香料のグリセリンに対する質量比は1:3であ る。」(段落[0027])「図1、図2、図3に示すように、吸引ノズル11には吸引ノズルの穴部111が形成され、吸引ノズル11は殻部1にスリーブ接続され、吸引ノズルの穴部111に連通する溝部112が、殻部1にスリーブ接続した吸引ノズル11の端部に形成され、溝部112は天火4の開口端の反対側 に位置し、天火4内部の空洞に連通し、タバコ組成物が吸引ノズルの穴部111から漏出することを防ぐためのニッケル製ワイヤーメッシュ113が溝部112の底部に設けられている。本実施形態では、溝部112と天火4の開口端を互いの反対側に配置することで内部の空洞を形成しているため、タバコ組成物の載置スペースをより大きく確保でき、このため、一 度により多くのタバコ組成物を載置可能となる。また、ニッケル製ワイヤーメッシュ113によって、天火4のタバコ組成物が吸引ノズルの穴部111から漏出することを回避可能としている。吸気口42の口径は約0. 5mmに設定され、これにより、タバコ組成物に含まれる約1mmの粒度をもつタバコ粒子が吸気口42から漏出することを回避できるようにして いる。」(段落[0028]) 「図1と図2に示すように、充電インターフェース13が殻部1に形成されており、バッテリ2は再充電可能なリチウムイオンであり、充電電流および充電電圧を調節するための充電回路が制御部3に設けられ、バッテリ2は、充電回路を介して、US ンターフェース13が殻部1に形成されており、バッテリ2は再充電可能なリチウムイオンであり、充電電流および充電電圧を調節するための充電回路が制御部3に設けられ、バッテリ2は、充電回路を介して、USB充電インターフェース13に接続されている。バッテリ2は周期的に充電して使用可能であるため、使用コスト の削減が見込まれる。さらに、バッテリ2は、要件に応じて、別のタイプの再充電可能バッテリでもよく、通常のアルカリ電池を用いてもよい。」(段落[0029])「図1、図2、図3、図5に示すように、充電回路の充電状態を示す充電表示ランプ14と、電気加熱片41の加熱状態を示す加熱表示ランプ1 5が、殻部1設けられ、充電表示ランプ14はUSB充電インターフェース13に接続され、加熱表示ランプ15は制御部3に接続されている。本実施形態では、充電表示ランプ14は、USB充電インターフェース13に接続される発光ダイオード(LED)であり、加熱表示ランプ15は、2色表示機能をもつLEDである。加熱表示ランプ15はLED3とLE D4の合計2個のLEDで構成され、LED3は赤色LEDであり、LED4は緑色LEDである。LED3が発光している間は天火4の温度がその時点で180℃未満であることを示し、LED4が発光している間は天火4の温度がその時点で180℃~240℃の範囲内であることを示す。」(段落[0031]) 図5 「図2、図3、図7に示すように、本実施形態の制御部3は、電気加熱片41の加熱状態を制御するスイッチ回路31を備え、電気加熱片41は、このスイッチ回路31を介して、電源に接続されている。さらに、制御部3は、駆動回路として、電気加熱片41の加熱状態を直接駆動可能である。 熱状態を制御するスイッチ回路31を備え、電気加熱片41は、このスイッチ回路31を介して、電源に接続されている。さらに、制御部3は、駆動回路として、電気加熱片41の加熱状態を直接駆動可能である。 本実施形態では、スイッチ回路31は、高次駆動金属酸化物半導体(MOS)トランジスタQ2により実装され、MOSトランジスタQ2の制御端は、抵抗器R3を介して、ワンチップ型マイクロコンピュータSTC12C5204ADのピン26に接続されている。スイッチS1が押下されると、ワンチップ型マイクロコンピュータSTC12C5204ADのピン 26が低レベルから高レベルに切り替わり、これにより、MOSトランジスタQ2のスイッチが入り、電気加熱片41に加熱を開始させる。設定温度に到達したことが温度センサ43により検出されると、ワンチップ型マイクロコンピュータSTC12C5204ADのピン26が低レベルに切り替わり、MOSトランジスタQ2のスイッチが切られ、加熱を停止する。」 (段落[0033]) 図7 「図8に示すように、本実施形態の制御部3は、電圧安定化用のHT7540集積回路(IC)チップ(U1)を電圧安定化回路として用いて、電源を実装する。HT7530電圧安定化ICチップは、バッテリの電圧を3Vに維持し、ピンOUT+を介して、ワンチップ型マイクロコンピュ ータSTC12C5204ADに電源を供給する。また、この電圧安定化ICチップは、ワンチップ型マイクロコンピュータのAD取得モジュールに基準電圧を供する役割を担う。(段落[0034])図8 「図2に示すように、本実施形態の制御部3は、バッテリ2と電気加熱 片41の間に配置される。また、制御部3と電気加熱片41の間 供する役割を担う。(段落[0034])図8 「図2に示すように、本実施形態の制御部3は、バッテリ2と電気加熱 片41の間に配置される。また、制御部3と電気加熱片41の間に、制御部3に対して断熱制御を行い、かつ、電気加熱片41を支持するための断熱支持マイカシート40が配置されている。断熱支持マイカシート40は、電気加熱片41から制御部3に伝わった熱が回路基板上の回路部品に影響を与えないように、制御部3に対して断熱保護を行う。また、断熱支持マ イカシート40は、電気加熱片41と天火4を固定支持する役割も担う。」 (段落[0035])「図2に示すように、天火4はバケツ形状を成し、電気加熱片41は天火4のバケツ形状の底部を形成している。吸気口42は電気加熱片41に形成されており、貫通穴16は殻部1に形成され、吸気口42は貫通穴16に連通し、貫通穴16は、断熱支持マイカシート40に対応した殻部1 の所定の位置に形成されている。喫煙中、殻部1の外部の空気が殻部1の貫通穴16を介して殻部1内部の空洞に侵入し、その後、吸気口42を介して天火4内部の空洞に侵入し、気化により天火4の空洞に形成された液体粒子を、吸引ノズルの穴部111を介して、喫煙者の口腔へと運ぶ。本実施形態では、天火4のバケツ形状の壁部は鋼鉄製チューブで形成され、 天火4のバケツ形状の底部を形成する電気加熱片41は、天火4の壁部の鋼鉄製チューブに溶接されており、これによりバケツ形状が形成される。 本実施形態において、電気加熱片41は厚膜電気加熱片であるが、要件に応じて、別のタイプの加熱器を採用してもよい。」(段落[0036])「図2と図9に示すように、天火4の温度を検出するための温度センサ 加熱片41は厚膜電気加熱片であるが、要件に応じて、別のタイプの加熱器を採用してもよい。」(段落[0036])「図2と図9に示すように、天火4の温度を検出するための温度センサ 43が天火4に設けられている。温度センサ43は制御部3に接続されており、制御部3は、動作状態において、電気加熱片41の加熱状態を制御することで、温度センサ43による検出温度に応じて、天火4の動作温度を180℃~240℃に維持する。制御部3は、温度センサ43による検出温度が240℃に達すると加熱を停止するよう、電気加熱片41を制御 し、温度センサ43による検出温度が180℃を下回ると加熱を開始するよう、電気加熱片41を制御する。温度センサ43は負温度係数サーミスタRTである(負温度係数サーミスタRTの抵抗は温度に反比例し、温度上昇に伴って抵抗は低下する)。温度センサ43は天火4のバケツ形状の壁部上に設けられている。ワンチップ型マイクロコンピュータSTC12 C5204ADは、ピン18(ADCT)を介してサーミスタRTの電圧 を取得し、また、入力電圧を介してサーミスタRTの抵抗を算出後、テーブルを参照して温度を得る。電気加熱片41は、温度が180℃を下回ると加熱を開始し、温度が240℃を超えると加熱を停止する。上述の方法により一定の温度効果が達成されることで、天火4の動作温度は180℃~240℃に保たれ、タバコ組成物が加熱されて一酸化炭素やタール等の 有害物質が産生されないようにしている。」(段落[0037])図9 「本実施形態の作業工程を以下に示す。 1)充電:充電が必要な場合、直流(DC)5Vの電源プラグを、殻部1の底部にあるUSB充電インターフェース13に差し込むと、USB充 図9 「本実施形態の作業工程を以下に示す。 1)充電:充電が必要な場合、直流(DC)5Vの電源プラグを、殻部1の底部にあるUSB充電インターフェース13に差し込むと、USB充 電インターフェースの充電表示ランプ14が即座に点灯する。一方、BUCK充電回路は、バッテリ2の充電電流と充電電圧を制御してバッテリ2の充電を開始させる。充電中は、制御部3のワンチップ型マイクロコンピュータがバッテリ2の電力を取得し、充電表示ランプ14はその間オンのままである。バッテリ2がフル充電されると、制御部3は直ちにバッテリ 2の充電を停止するようBUCK充電回路を制御し、同時に充電表示ランプ14をオフに制御する。」(段落[0038])「2)使用法:適正量のタバコ組成物を天火4内に載置し、本実施形態の各部を組み立てる。制御スイッチ12を押下すると、制御部3の制御により、電気加熱片41が励振されて加熱を開始する。この時点で加熱表示 ランプ15は赤色点灯状態である。一方、制御部3のワンチップ型マイクロコンピュータは、温度センサ43を介して、天火4の温度を取得する。 天火4の温度が240℃に達したことが温度センサ43により検出されると、制御部3のワンチップ型マイクロコンピュータは、電気加熱片41を制御して加熱を停止させ、同時に、加熱表示ランプ15の点灯色が赤色か ら緑色に変わるよう制御する。天火4の温度が180℃を下回ることが温度センサ43により検出されると、制御部3のワンチップ型マイクロコンピュータの制御により、電気加熱片41が励振されて加熱を開始し、同時に、加熱表示ランプ15の点灯色が緑色から赤色に変わるよう制御される。 こうして、天火4の動作温度は180℃~240℃に維持される。この温 ータの制御により、電気加熱片41が励振されて加熱を開始し、同時に、加熱表示ランプ15の点灯色が緑色から赤色に変わるよう制御される。 こうして、天火4の動作温度は180℃~240℃に維持される。この温 度範囲内において、タバコ組成物は、一酸化炭素やタール等の有害物質を産生することなく気化され、液体粒子に転じる。さらに、タバコ組成物の気化による液体粒子は吸引ノズル11から流出することなく、喫煙者が喫煙中でない場合にも受動喫煙は発生しない。」(段落[0039]) 乙8発明の内容 上記の記載によれば、乙8発明の内容は、以下のとおりと認められる。 ア乙8発明18-1A 気化式電子タバコにおける液体粒子の発生を制御する方法であって、8-1B 前記気化式電子タバコは、 タバコ組成物を加熱するように配置された電気加熱片41及び天火4と、前記電気加熱片41に電力を供給するためのバッテリ2と、を備え、8-1C 前記方法は、 制御スイッチ12を押下すると、制御部3の制御により、前記 バッテリ2に接続された前記電気加熱片41が加熱を開始し、前記制御部3は、前記天火4の温度が240℃に達したことが温度センサ43により検出されると、前記電気加熱片41を制御して加熱を停止させ、前記天火4の温度が180℃を下回ることが前記温度センサ43により検出されると、前記電気加熱片41が加 熱を開始して、前記天火4の動作温度が180℃~240℃に維持されるよう制御するステップを含む、方法。 イ乙8発明28-2A 気化式電子タバコであって、 8-2B タバコ組成物を加熱して液体粒子を発生させるように配置された電 制御するステップを含む、方法。 イ乙8発明28-2A 気化式電子タバコであって、 8-2B タバコ組成物を加熱して液体粒子を発生させるように配置された電気加熱片41及び天火4と、前記電気加熱片41に電力を供給するためのバッテリ2と、前記バッテリ2から前記電気加熱片41への電力の供給を制御するための電気回路Bと、 を備え、8-2C 前記電気回路Bは、制御スイッチ12を押下すると、制御部3の制御により、前記バッテリ2に接続された前記電気加熱片41が加熱を開始し、前記制御部3は、前記天火4の温度が240℃に達したことが温度 センサ43により検出されると、前記電気加熱片41を制御して加熱を停止させ、前記天火4の温度が180℃を下回ることが前記温度センサ43により検出されると、前記電気加熱片41が加熱を開始して、前記天火4の動作温度は180℃~240℃に維持されるように制御するよう構成される、 気化式電子タバコ。 本件各発明と乙8発明との対比ア構成の対比乙8発明1の「気化式電気タバコ」、「液体粒子の発生」、「タバコ組成物」、「電気加熱片41」、「電気加熱片41及び天火4」、「バッテリ2」は、それぞれ、本件発明1の「エアロゾル発生装置」、「エアロゾ ルの発生」、「エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材」、「少なくとも1つの加熱要素」、「少なくとも1つの加熱要素を含むヒータ」、「前記加熱要素に電力を供給するための電源」に相当する。 同様に、乙8発明2の「気化式電気タバコ」、「タバコ組成物」、「液体粒子」、「電気加熱片41」、「電気加熱片41及び天火4」、「バッ テリ2」 熱要素に電力を供給するための電源」に相当する。 同様に、乙8発明2の「気化式電気タバコ」、「タバコ組成物」、「液体粒子」、「電気加熱片41」、「電気加熱片41及び天火4」、「バッ テリ2」、「電気回路B」は、それぞれ、本件発明2の「電気作動式エアロゾル発生装置」、「エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材」、「エアロゾル」、「加熱要素」、「少なくとも一つの加熱要素」、「前記加熱要素に電力を供給するための電源」、「電気回路」に相当する。 イ一致点 上記アによれば、本件各発明と乙8発明の一致点は、以下のとおりであると認められる。 本件発明1と乙8発明1の一致点「エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、 前記装置は、エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、を備える方法。」の点 本件発明2と乙8発明2の一致点 「電気作動式エアロゾル発生装置であって、エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、前記加熱要素に電力を供給するための電源と、前記電源から少なくとも前記1つの加熱要素への電力の供給を制御す るための電気回路と、を備える電気作動式エアロゾル発生装置。」の点ウ相違点上記アによれば、本件各発明と乙8発明とは、以下の点で相違すると認められる。 (相違点8-A)本件各発明は、加熱要素の温度を、第1段階において第1の温度に、第2段階において第2の温度に、第3段階において第3の温度に制御するものであるのに対し、乙 認められる。 (相違点8-A)本件各発明は、加熱要素の温度を、第1段階において第1の温度に、第2段階において第2の温度に、第3段階において第3の温度に制御するものであるのに対し、乙8発明は、そのような構成を備えていない点(相違点8-B) 本件各発明においては第2段階で電力が加熱要素に供給されるのに対し、乙8発明はそのような構成を備えていない点(相違点8-C)本件各発明においては第2段階において加熱要素の温度がエアロゾル形成体の揮発温度より低くならないのに対し、乙8発明はそのような構 成を備えていない点新規性についてア相違点8-Aについて被告らは、相違点8-Aに関し、乙8発明と本件各発明との間に加熱要素の温度変化の点について差異はないので、乙8発明は、本件各発明の第 1ないし第3の温度及び第1ないし第3段階に相当する構成を有すると 主張する。 しかしながら、本件各発明の第1ないし第3の温度の制御の技術的意義は前記4ア及びで判示したとおりであるところ、乙8公報には、加熱温度の制御に関し、以下の記載がある。 a 「動作状態において、制御部は電気加熱片の加熱状態を制御して、 温度センサによる検出温度に応じて、天火の動作温度を180℃~240℃に維持し、制御部は、温度センサによる検出温度が240℃に達すると加熱を停止するよう、電気加熱片を制御し、温度センサによる検出温度が180℃を下回ると加熱を開始するよう、電気加熱片を制御する。」(段落[0005]) b 「このタバコ組成物は、一酸化炭素やタール等の有害な物質を産生することなく、180℃~240℃の温度範囲で気化され液体粒子に転じる。」(段落[0027])c 「MOSトランジスタ b 「このタバコ組成物は、一酸化炭素やタール等の有害な物質を産生することなく、180℃~240℃の温度範囲で気化され液体粒子に転じる。」(段落[0027])c 「MOSトランジスタQ2のスイッチが入り、電気加熱片41に加熱を開始させる。設定温度に到達したことが温度センサ43により検 出されると、ワンチップ型マイクロコンピュータSTC12C5204ADのピン26が低レベルに切り替わり、MOSトランジスタQ2のスイッチが切られ、加熱を停止する。」(段落[0033])d 「制御部3は、温度センサ43による検出温度が240℃に達すると加熱を停止するよう、電気加熱片41を制御し、温度センサ43に よる検出温度が180℃を下回ると加熱を開始するよう、電気加熱片41を制御する。…電気加熱片41は、温度が180℃を下回ると加熱を開始し、温度が240℃を超えると加熱を停止する。」(段落[0037])上記各記載によれば、乙8発明は、加熱が開始された後、天火の温度が240℃に達すると、制御部の制御により、電気加熱片による加熱が 停止され、天火の温度が180℃を下回ると加熱が再開されることを繰 り返すことにより、天火の動作温度を180℃~240℃に制御するものである。他方、本件各発明の技術思想は、エアロゾル形成基材の加熱期間にわたり、エアロゾルの送達量を一貫させるために送達量の増加に応じて第1の温度から第2の温度へと温度を低下させ、逆にエアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に応じて第2の温度から第3の温度へ と温度を上昇させるというものである。そうすると、本件各発明と乙8発明とは、明らかに異なるものというべきである。 このように、本件各発明と乙8発明とは、加熱要素の制御方法や技術思想 温度へ と温度を上昇させるというものである。そうすると、本件各発明と乙8発明とは、明らかに異なるものというべきである。 このように、本件各発明と乙8発明とは、加熱要素の制御方法や技術思想が異なるというべきであるから、乙8発明が本件各発明の第1ないし第3の温度及び第1ないし第3段階に相当する構成を有するというこ とはできない。 イ相違点8-Bについて被告らは、相違点8-Bに関し、本件各発明が備える電力供給の制御の構成には、第2段階で電力供給をゼロに制御する場合も含まれるのであり、仮にそうでないとしても、乙8発明においては、第2段階の終了時に電源 がオンになって第3段階が開始することにより、第2段階においても電力が供給されるから、第2段階で電力が供給されるということができると主張する。 しかしながら、前記4イで判示したとおり、本件各発明においては、第2段階で温度を低下させる場合であっても、電力は供給されると認める のが相当である。また、乙8発明において温度センサによる検出温度が180℃を下回ると電気加熱片41による加熱が再開されるとしても、それは、加熱の再開時に電力が供給されるにすぎず、加熱が停止された段階で電力が供給されると解することはできない。 したがって、乙8発明は、相違点8-Bに係る構成を備えていないとい うべきである。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 ウ相違点8-Cについて被告らは、本件各発明は、加熱要素の温度が一時的にエアロゾル形成体の揮発温度よりも低くなることも含み得るところ、乙8発明は、天火の温度を実質的に180℃未満に低下しないよう保つものであるから、本件各 発明の構成と一致すると主張する。 しか アロゾル形成体の揮発温度よりも低くなることも含み得るところ、乙8発明は、天火の温度を実質的に180℃未満に低下しないよう保つものであるから、本件各 発明の構成と一致すると主張する。 しかしながら、本件発明1の構成要件1Cは、「第2段階において…エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給され」るというものであり、また、本件発明2の構成要件2Cは、「第2段階において…エアロゾル形成体の揮発温度より低くはなら」ないというものである から、本件各発明では、加熱を開始して加熱要素の温度がエアロゾル形成体の揮発温度を超えた後の第2段階でエアロゾル形成体の揮発温度より温度を低下させることは予定されていない。 これに対し、乙8発明は、天火の温度がタバコ組成物の揮発温度を下回ることを前提に、これを検知して加熱を再開するというものであるから、 相違点8-Cに係る構成を備えていないというべきである。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 進歩性について被告らは、仮に、本件各発明が新規性を有するとしても、乙8発明に乙9発明を適用することにより、当業者が相違点に係る構成を想到することは容 易であったと主張する。そこで、以下検討する。 ア乙9公報の記載乙9公報には、以下の記載等が存在する。 「本発明は、電気加熱式エーロゾル発生システムに関し、より詳細には、加熱時に電気加熱式エーロゾル発生システムによって放出される煙成分 の制御に関する。」(段落【0001】) 「…エーロゾル形成基体は、加熱時に複数の揮発性化合物を放出し、複数の揮発性化合物の各々は、最低放出温度を有し、その温度を超えると揮発性化合物が放出される。本発明による方法は、 「…エーロゾル形成基体は、加熱時に複数の揮発性化合物を放出し、複数の揮発性化合物の各々は、最低放出温度を有し、その温度を超えると揮発性化合物が放出される。本発明による方法は、所定の最高作動温度を選択する段階を含む。この所定の最高作動温度は、複数の揮発性化合物の少なくとも1つの最低放出温度より低く、従って、エーロゾル形成基体から のその放出を防止する。…」(段落【0005】)「最高作動温度を制御する準備において、電気加熱式エーロゾル発生システム100の最高作動温度の値が選択される。この選択は、放出すべき及びすべきでない揮発性化合物の放出温度に基づいている。この所定の値は、次に、満足できる範囲、例えば、所定の最高作動温度のマイナス5パ ーセントと共にコントローラ30に格納される。…」(段落【0030】)「…コントローラ30は、導出された実際の作動温度を所定の最高作動温度と比較する。実際の作動温度が所定の最高作動温度の下側の領域よりも低い場合、コントローラ30は、加熱要素20の実際の作動温度を上げるために加熱要素20に付加的な電気エネルギを供給する。実際の作動温 度が所定の最高作動温度の上側の領域よりも高い場合、コントローラ30は、加熱要素20の実際の作動温度を所定の最高作動温度の許容範囲に下げて戻すために、加熱要素20に供給される電気エネルギを低減する。」(段落【0031】)「加熱要素抵抗率ρ に基づく加熱要素温度の制御は、図1に関連して 説明した電気加熱式エーロゾル発生システムに制限されることはなく、加熱要素20が揮発性化合物を放出するためにタバコ又は他のエーロゾル形成基体に加熱エネルギを送出するあらゆる電気加熱式エーロゾル発生システムに適用可能である。」(段落【0032】) とはなく、加熱要素20が揮発性化合物を放出するためにタバコ又は他のエーロゾル形成基体に加熱エネルギを送出するあらゆる電気加熱式エーロゾル発生システムに適用可能である。」(段落【0032】) 【図1】 イ相違点に係る構成の容易想到性上記アの記載によれば、乙9発明は、実際の作動温度を所定の最高作動温度と比較し、実際の作動温度が所定の最高作動温度の下側の領域よりも低い場合、加熱要素20の実際の作動温度を上げるために加熱要素20に 付加的な電気エネルギを供給し、実際の作動温度が所定の最高作動温度の上側の領域よりも高い場合、加熱要素20の実際の作動温度を所定の最高作動温度の許容範囲に下げて戻すために、加熱要素20に供給される電気エネルギを低減するものであると認められる。 これに対し、本件各発明の第1ないし第3の温度の制御の技術的意義は 前記4ア及びで判示したとおり、エアロゾル形成基材の加熱期間にわたり、エアロゾルの送達量を一貫させるために送達量の増加に応じて第1の温度から第2の温度へと温度を低下させ、逆にエアロゾル形成基材の枯渇及び熱拡散の低下に応じて第2の温度から第3の温度へと温度を上昇させるものである。 そうすると、本件各発明と乙9発明では、加熱要素の制御方法や技術思想が異なり、乙9発明が相違点8-Aに係る構成を備えているということはできないことからすると、仮に乙8発明に乙9発明を組み合わることができたとしても、本件各発明の構成には至らないというべきである。 したがって、本件各発明が進歩性を欠如するということはできない。 小括以上によれば、乙8発明に基づき、本件各発明が新規性、進歩性を欠如するということはできない。 本件各発明が進歩性を欠如するということはできない。 小括以上によれば、乙8発明に基づき、本件各発明が新規性、進歩性を欠如するということはできない。 6 争点2-3(サポート要件違反)について被告らは、本件各発明の請求項は、各温度の関係や加熱の持続時間、第3段 階以降の段階の点で、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されていないものを含むから、サポート要件に違反すると主張する。 アそこで検討するに、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発 明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(知財高裁平成17年(行ケ)第10042号同年11月11日判決参照)。 イ各温度の関係や加熱の持続時間について被告らは、本件各発明の請求項は、各温度の関係や加熱の持続時間、第3段階以降の段階の有無を何ら特定しておらず、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載された課題を解決し得ない態様を含むから、サポート要件に違反すると主張し、具体例として、持続時間が5ないし30秒の場合の制御方法 が不明であることや、第1の温度が360℃、第2の温度が359℃、第3の温度が360℃の場合も含むことなどを挙げる。 しかしながら、本件明細書等には、例えば、各段階中の加熱要素の温度については、第1ないし第3段階中に連続的にエアロ 60℃、第2の温度が359℃、第3の温度が360℃の場合も含むことなどを挙げる。 しかしながら、本件明細書等には、例えば、各段階中の加熱要素の温度については、第1ないし第3段階中に連続的にエアロゾルが発生するように第1ないし第3の温度を選択し、各温度は基材内に存在するエアロゾル形成体 の揮発温度に対応する温度範囲に基づいて決定されることが好ましいこと (段落【0013】)や、全体としての許容温度範囲、第1ないし第3の温度の好ましい範囲、最大動作温度(段落【0016】)などが記載され、また、加熱の持続時間については、様々な実施形態があり、それに応じた持続時間を設定し得ることが説明されている(段落【0018】)。 その上で、本件明細書等は、加熱要素の温度プロファイルの概略図(【図 5】、主要エアロゾル成分の送達プロファイルの概略図(【図6】)、目標温度プロファイル(【図8】)を示した上で、3つの具体的な実施形態を挙げ(段落【0076】ないし【0078】)、これらの実施形態では「基材の加熱中にエアロゾルがより均等に送達されるようになる」(段落【0081】)と説明している。 さらに、従来技術について記載した本件明細書等の段落【0002】、【0003】や甲7公報の段落【0045】、【0046】、【0048】ないし【0050】、甲8公報の段落[0003]、[0027]、[0037]、[0039]などによれば、加熱式エアロゾル発生装置において、各種のエアロゾル形成基材の種類、香味などを考慮して、加熱温度や時間を適宜設定することは、 本件特許の出願当時における周知技術であったものと認められる。 これらの事情を踏まえると、本件明細書等に例示された上記の3つの実施形態においては、いずれも加熱サイクル又は喫 設定することは、 本件特許の出願当時における周知技術であったものと認められる。 これらの事情を踏まえると、本件明細書等に例示された上記の3つの実施形態においては、いずれも加熱サイクル又は喫煙体験が合計360秒と設定されているものの、本件明細書等の上記記載に接した当業者であれば、他の持続時間の場合についても、本件特許の出願当時の技術常識も勘案しつつ、 他の条件を適宜設定することにより、本件各発明の課題を解決することを理解し得るというべきである。 また、被告らは、本件各発明が、第1の温度が360℃、第2の温度が359℃、第3の温度が360℃の場合や、各段階の加熱の持続時間が1秒の場合も含むことなどを指摘するが、当業者であれば、本件各発明に含まれる 第1ないし第3の温度や各段階の加熱の持続時間などの条件が「基材の加熱 中にエアロゾルがより均等に送達されるように」(段落【0081】)適宜設定されるべきものであることを容易に理解し得るというべきである。当業者が、被告らが主張するような数値を想定した上で、本件各発明の課題を解決し得ない態様が本件特許の特許請求の範囲に含まれていると認識するものとはいえない。 ウ第3段階以降の段階の存在について被告らは、本件各発明の請求項は、第3段階以降の段階の存在の有無を特定しておらず、第3段階以降の段階に第3の温度よりも温度が低下するという、本件各発明の課題を解決できない態様を含むと主張するが、被告らが主張する「第3段階以降の段階」は、そもそも特許請求の範囲に全く記載のな いものであり、本件各発明のいずれかの構成要件に含まれると解すべき理由もない。 そもそも、サポート要件は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比して判断すべきところ 記載のな いものであり、本件各発明のいずれかの構成要件に含まれると解すべき理由もない。 そもそも、サポート要件は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比して判断すべきところ、上記のとおり、「第3段階以降の段階」は特許請求の範囲に含まれないのであるから、被告らの上記主張はサポート 要件違反の主張の前提を欠くものである。 したがって、被告らの主張は、いずれも採用することができない。 エ以上によれば、本件各発明の請求項は、第1ないし第3の温度の関係や加熱の持続時間、第3段階以降の段階の有無を特定していないとしても、当業者が発明の詳細な説明の記載により当該各発明の課題を解決できると認識で きる範囲のものであるというべきである。 したがって、本件特許がサポート要件に違反するとの被告らの主張は採用することができない。 7 争点2-4(明確性要件違反)について被告らは、本件各発明の請求項の記載にある「少なくとも1つの加熱要素」 が複数の加熱要素である場合、同請求項に記載された「前記加熱要素」が、複 数の加熱要素のうち1つの加熱要素を意味するのか、複数の加熱要素を意味するのか、全ての加熱要素を意味するのか不明であるから、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載は明確性要件に違反すると主張する。 しかしながら、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、 また、当業者の出願当時における技術的常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきであるところ(知財高裁平成21年(行ケ)第10434号同22年8月31日判決参照)、本 て、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきであるところ(知財高裁平成21年(行ケ)第10434号同22年8月31日判決参照)、本件各発明の請求項の「少なくとも1つの加熱要素」は、加熱要素が一つある場合には、その加熱要素を、加熱要素が複 数ある場合には、適宜制御される複数の加熱要素を意味するものであって、請求項の記載は、明確であるというべきである。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 8 争点2-5(実施可能要件違反)について被告らは、個々のエアロゾル形成基材に対して適切な目標温度と加熱の持続 時間の組合せを発見することは、当業者において期待し得る程度を超える試行錯誤を必要とするから、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、本件特許は、実施可能要件に違反すると主張する。 そこで検討するに、特許法36条4項1号は、発明の詳細な説明の記載が、 「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」に適合することを求めていることからすると、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に基づき、過度の試行錯誤を要することなく、方法の発明についてはその方法を使用することができる程 度の記載を、物の発明についてはその物の生産及び使用をすることができる程 度の記載を、それぞれ要するものと解するのが相当である。 前記6で判示したとおり、本件明細書等の記載に加え、加熱式エアロゾル発生装置において、各種のエアロゾル形成基材の種 る程 度の記載を、それぞれ要するものと解するのが相当である。 前記6で判示したとおり、本件明細書等の記載に加え、加熱式エアロゾル発生装置において、各種のエアロゾル形成基材の種類、香味などを考慮して、加熱温度や時間を適宜設定することが、本件特許の出願当時における周知技術であったことを踏まえると、当業者は、本件明細書等の記載及び技術常識に基づ いて、過度の試行錯誤を経ることなく、使用するエアロゾル形成基材に応じて、適切な目標温度と加熱の持続時間を組み合わせ、本件各発明を実施することができるというべきである。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 9 争点3(被告アンカーの責任主体性)について 前記のとおり、被告ジョウズの名義で販売されている被告製品及び被告方法は本件特許権を侵害していると認められるところ、被告アンカーが被告ジョウズと共同して被告製品の販売等をしていたと認められるかどうかについて、以下検討する。 認定事実 前提事実に加え、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア被告ジョウズは、平成30年2月28日、喫煙具類や電子製品の企画、製造、販売及び輸出入等を目的として、令和3年9月30日に辞任するまで被告アンカーの代表取締役であったAによって設立され、その設立時代 表取締役は同人である。そして、被告ジョウズの全株式は、平成30年4月18日、中国アンカー社の完全子会社であるPOWERMOBILELIFE, LLCに譲渡された(甲3の2、甲11、12、13の1・2・4)。 イ被告ジョウズは、平成30年3月1日、被告アンカーに対し、以下の約定で、業務を委託した(以下、当該契約を「本件業務委託契約」という 譲渡された(甲3の2、甲11、12、13の1・2・4)。 イ被告ジョウズは、平成30年3月1日、被告アンカーに対し、以下の約定で、業務を委託した(以下、当該契約を「本件業務委託契約」という。 甲A40)。 委託業務の内容(第2条)a 被告ジョウズの喫煙具製品の開発補助業務並びにそれに付随する一切の業務b 被告ジョウズの喫煙具製品のマーケティング並びにそれに付随する一切の業務 c 被告ジョウズの会計事務並びに経営管理に関する一切の業務d その他被告ら協議の上決定された業務業務委託料(月額) ●(省略)●円に消費税相当額を加算した金額(第5条)ウ楽天市場における被告製品の販売サイトで、被告ジョウズの住所及び商 品の返送先が、被告アンカーの住所の1階上である「東京都中央区d-e-fEビル4F」と記載されていた(甲5の2)。 エ被告ジョウズの登記簿上の本店所在地は、東京都千代田区a丁目b番c号であるところ(甲11)、Amazon の出品者プロフィール上の被告ジョウズの住所地は、同住所に所在するCビル9階にあるシェアオフィスである 「D内」である(甲4の2)。同オフィスの利用契約は、当初、被告アンカーが契約し、平成30年4月16日、被告ジョウズに契約上の地位が譲渡されたものであり、かつ、利用契約上の利用者はA1名のみであり、同年10月にDの受付端末で検索した結果、被告ジョウズを示す表示は見当たらず、被告アンカーの登録のみが確認された(甲4の2、甲11、15、 16)。 オ被告ジョウズの令和元年9月時点での従業員数は2名であり、そのうちの1名であるBは、平成30年4月から平成31年4月末まで被 録のみが確認された(甲4の2、甲11、15、 16)。 オ被告ジョウズの令和元年9月時点での従業員数は2名であり、そのうちの1名であるBは、平成30年4月から平成31年4月末まで被告アンカーに在籍し、令和元年5月から被告ジョウズに在籍していた。また、同年9月1日から同月30日までの被告ジョウズの従業員一人当たりの勤務 日数の平均は5、6日、勤務時間の平均は40時間程度である(甲17)。 カ被告製品の販売の申出等は平成30年6月頃に開始されたところ、Amazon において被告製品の紹介をするサイトには、被告製品について、「米国・日本・欧州のEC市場において、スマートフォン・タブレット関連製品でトップクラスの販売実績を誇る「Anker」のサポートのもと、精密かつ均一な温度管理と…最適な加熱環境を作り出し、たばこ本来の香りと味を忠実 に再現」などと紹介されている(甲4、5の各1)。 また、Anker グループのオフィシャルストアの海外のウェブサイトでは、被告製品が「Ankerjouz 20」などとして販売されている(甲14)。 キ被告製品のうち被告製品1及び2の記者発表に関する平成30年6月20日付け記事等(甲13)には、「Anker グループが技術的にサポートし たことから、アンカー・ジャパンのA社長がジョウズ・ジャパンの代表取締役を兼任する」などと記載されるとともに、同記者会見に登壇したAの写真などが掲載されている。 また、被告製品3の記者発表に関する平成31年4月9日付け記事(甲32)には、当時被告アンカーの従業員であったBが「ジョウズ・ジャパ ン株式会社事業戦略本部マネジャー」との肩書きでプレゼンテーションを行ったことが報道されている。 4月9日付け記事(甲32)には、当時被告アンカーの従業員であったBが「ジョウズ・ジャパ ン株式会社事業戦略本部マネジャー」との肩書きでプレゼンテーションを行ったことが報道されている。 検討上記認定事実によれば、被告らは、いずれもAnker グループに属する法人であり、被告ジョウズの設立時の代表者と被告アンカーの元代表者は同一で ある上、被告ジョウズの令和元年9月時点での従業員数は2名であり、そのうちの1名であるBは同年5月に被告アンカーから被告ジョウズに移籍していることが認められる。また、被告ジョウズの本店所在地のオフィスの利用契約上の地位は被告アンカーから譲り受けたものであるなど、両社には緊密な一体関係があるということができる。 のみならず、被告ジョウズは、被告製品1及び2の販売に関する記者発表 が行われる約4か月前に設立されたものであるが、その人的態勢は、代表者であるAのほか従業員が2名にすぎず、その2名についても、令和元年9月1日から同月30日までの1人当たりの勤務日数及び勤務時間を踏まえると、通常の事業活動をしていたものと認めることはできない。しかも、被告ジョウズのオフィスはシェアオフィスであり、平成30年10月時点において、 同オフィスの入居するビル1階の受付には被告ジョウズの表示はなかったことなどからすれば、被告ジョウズが被告製品に関する実質的な事業活動を行っていたものと認めることは困難である。 このような事情に加えて、上記認定事実によれば、被告アンカーは、被告ジョウズから、被告製品の開発補助業務及びマーケティング業務並びにそれ に付随する一切の業務(返品された商品を取り扱う業務を含む。)の委託を受けたことが認められるところ、その委託内容が包括的であることや、上 被告製品の開発補助業務及びマーケティング業務並びにそれ に付随する一切の業務(返品された商品を取り扱う業務を含む。)の委託を受けたことが認められるところ、その委託内容が包括的であることや、上記の被告ジョウズの物的・人的態勢も考慮すると、上記委託業務には被告製品の販売等の業務も含んでいたものと認めるのが相当である。 さらに、被告製品1及び2の記者発表に関する記事等には、「Anker グル ープが技術的にサポートしたことから、アンカー・ジャパンのA社長がジョウズ・ジャパンの代表取締役を兼任する」などと記載されていること、被告製品3の記者発表は当時まだ被告アンカーの在籍していたBが行っていること、被告製品に関するウェブページには、同製品がAnker グループないし中国アンカー社のサポートを受けて作られたものである旨の説明がされている こと、Anker グループのオフィシャルストアの海外のウェブサイトにおいて被告製品が「Ankerjouz 20」などとして販売されていること、以上の事実によれば、被告製品に関する事業には、被告アンカーを含むAnker グループや中国アンカー社が関与していることが認められる。 これらの事情を総合考慮すると、被告アンカーが被告ジョウズと共同して 被告製品の販売、輸入、販売の申出をしていたと認めるのが相当である。 被告らの主張についてア被告らは、被告製品に関する業務の委託先の一つにすぎず、被告製品の返品及びマーケティング業務等の委託を受けていただけであり、業務委託の対価も固定額であり、被告製品の販売実績によって金額が左右されるものではないと主張する。 しかしながら、前記判示のとおり、被告アンカーが被告ジョウズから委託された業務の内容や被告ら 務委託の対価も固定額であり、被告製品の販売実績によって金額が左右されるものではないと主張する。 しかしながら、前記判示のとおり、被告アンカーが被告ジョウズから委託された業務の内容や被告らの人的・物的関係や被告ジョウズの実態などを考慮すると、被告アンカーは被告ジョウズから一部の業務を受託していたにとどまらず、被告製品の販売等に関する業務を被告ジョウズと共同して行っていたと推認することが相当であり、これを覆すに足りる的確な証 拠は存在しない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 イ被告らは、被告らには資本関係がなく、取扱製品も異なる上、代表取締役自らが営業等を行っている会社は多数存在し、商品開発において他社と協力することも通常の事業活動にすぎないから、被告らに相互に相手方の 役割等を認識し、これを利用する意思はなかったと主張する。 しかしながら、被告らはいずれもAnker グループに属する法人であり、被告ジョウズの設立時の代表者と被告アンカーの代表者は同一である上、被告ジョウズは本店所在地のオフィスの利用契約上の地位を被告アンカーから譲り受けるなど、両社には緊密な一体関係があることは上記におい て説示したとおりである。また、被告ジョウズの実態などを考慮すると、被告アンカーが返品処理業務やマーケティングなど一部の業務を受託していたにとどまらず、被告製品の販売等に関する業務を被告ジョウズと共同して行っていたと評価し得ることも、上記において説示したとおりである。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 以上によれば、被告アンカーは、被告ジョウズと共同して、本件特許権の侵害についての不法行為責任を負うものといえる。 なお、原 主張は、採用することができない。 以上によれば、被告アンカーは、被告ジョウズと共同して、本件特許権の侵害についての不法行為責任を負うものといえる。 なお、原告は、被告らによる本件特許権の侵害行為には、被告製品の輸出を含めて主張しているものの、本件全証拠によっても、被告らが被告製品を輸出したことを認めるに足りず、当該主張は採用の限りでない。 争点4(原告の損害額)について 特許法102条2項の損害金についてア侵害行為により侵害者が受けた利益の額 利益の意義特許法102条2項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額は、 侵害者の侵害品の売上高から、侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であり、その主張立証責任は特許権者側にある(知財高裁平成30年(ワ)第10063号令和元年6月7日特別部判決参照)。 売上高 証拠(甲A43、乙A74、78)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品の売上高は、売上戻し高を控除した後の額である●(省略)●円であると認められる。 これに対し、原告は、上記の額に売上戻し高として計上した額を加算した額を、被告製品の売上高とすべきであると主張する。 しかしながら、証拠(乙A74、78)及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、被告製品の返品に伴う支出を売上戻り高の勘定で計上していたことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。そうすると、売上戻り高に相当する部分については、被告製品が被告ジョウズに返品等されているのであるから、実際にはその分売上げがあったものとはい えず、 認められ、これを覆すに足りる証拠はない。そうすると、売上戻り高に相当する部分については、被告製品が被告ジョウズに返品等されているのであるから、実際にはその分売上げがあったものとはい えず、売上戻り高を加算した額を被告製品の売上高とするのは相当でな い。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 控除すべき経費a 商品原価 ●(省略)●円(争いがない。)b 租税公課 証拠(甲A43、乙A75)及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、被告製品の輸入の際、消費税及び地方消費税として●(省略)●円を課されたものと認められる。 そして、被告製品の輸入に伴う消費税及び地方消費税は、被告製品を課税対象とするものであるから、被告製品の販売に直接関連して追 加的に必要となったものといえる。そうすると、上記消費税及び地方消費税は、被告製品の売上高から控除されるべき経費に当たる。 これに対し、原告は、仕入れに係る消費税は、売上げに係る消費税と相殺した上で差額を国に納めるものであるから、被告製品の売上高から控除すべき経費とはいえないと主張する。 しかしながら、弁論の全趣旨によれば、被告製品の売上高には消費税相当額が含まれると認められることからすると、原告の主張は本件に適切ではなく、上記認定を左右するものとはいえない。 したがって、原告の上記主張は、採用することができない。 c 支払手数料 (a) 証拠(甲A43)及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、ECサイトや自社サイトで被告製品を販売するための手数料等として、●(省略)●円を支払ったものと認められる。そして、これは被告製品の販売に直接関連して追加的 び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、ECサイトや自社サイトで被告製品を販売するための手数料等として、●(省略)●円を支払ったものと認められる。そして、これは被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となったものといえるから、被告製品の売上高から控除されるべき経費に当たる。 (b) これに対し、原告は、Amazon での販売手数料に含まれるFBAの 在庫保管手数料や返品手数料は、在庫の保管や商品の返品に際して生じた費用であるから、控除すべきではないと主張する。 しかしながら、弁論の全趣旨によれば、在庫の保管や商品の返品は、商品の販売量に応じて生ずるのは避けられないものであり、しかも、被告らは、被告製品以外の製品は販売するものではないため、 被告ジョウズの負担した在庫保管手数料や返品手数料は、被告製品を販売しなければ支出されなかったものといえるから、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費と認めるのが相当である。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 (c) 原告は、Amazon での販売手数料に含まれる令和元年7月のFBAの運搬費が他の月より●(省略)●円も超過している事実(甲A38)のほか、別件特許権の侵害を理由とする仮処分命令が発せられる間近であった事実(乙26)を根拠として、被告ジョウズが負担した同月のFBAの運搬費●(省略)●円のうち●(省略)●円は、 被告らが、Amazon に対し、被告製品の返送又は廃棄を依頼したことによって負担した費用であるから、控除すべきではないと主張する。 しかしながら、同月分のAmazon の明細書(乙A79)をみても、FBA配送代行手数料として●(省略)●と記載が 廃棄を依頼したことによって負担した費用であるから、控除すべきではないと主張する。 しかしながら、同月分のAmazon の明細書(乙A79)をみても、FBA配送代行手数料として●(省略)●と記載があるのみであって、上記金額の中に被告製品の返送や廃棄の費用が含まれることを 示す記載はない。そうすると、原告主張に係る上記各事実をもって、被告製品の返送又は廃棄が依頼された事実を推認するに足りず、その他にこれを認めるに足りる的確な証拠もない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 (d) 原告は、楽天市場での販売手数料に含まれる初期登録費用や月額 登録費用は、固定費であるから控除すべきではないと主張する。 しかしながら、弁論の全趣旨によれば、被告らは、被告製品以外の製品は販売していないと認められることからすると、被告ジョウズが支払った楽天市場での販売手数料に初期登録費用や月額登録費用が含まれているとしても、これらの費用は、被告製品を販売しなければ支出されなかったものといえるから、被告製品の販売に直接 関連して追加的に必要となった経費に当たるというべきである。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 (e) 原告は、Amazon 及び楽天市場以外の支払手数料(Jouz.com、Veritrans、BarCodesTalk、ScoreJapan、square、TDLexpressjapan、netprotections)は、控除すべきではないと主張する。 しかしながら、証拠(甲A43、乙A77)及び弁論の全趣旨によれば、Amazon 及び楽天市場以外で被告ジョウズが負担した支払手数料は、自社サイトでの販売に伴う手数料 ではないと主張する。 しかしながら、証拠(甲A43、乙A77)及び弁論の全趣旨によれば、Amazon 及び楽天市場以外で被告ジョウズが負担した支払手数料は、自社サイトでの販売に伴う手数料(Jouz.com)や、販売に際して決済サービスを利用することに伴う費用(Veritrans、square、netprotections)、運送サービスを利用するための費用(Scor eJapan、TDLexpressjapan)、Amazon で商品を販売するためのバーコードを購入するための費用(BarCodesTalk)であって、いずれも被告製品の販売がなければ負担する必要のなかったものと認められる。 そうすると、これらの費用も、被告製品と直接関連して追加的に 必要となった経費といえるから、被告製品の売上高から控除するのが相当である。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 d 荷造運賃証拠(甲A43)及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、被 告製品の運送費として●(省略)●円を支出したことが認められる。 そして、被告製品の運送費は、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要になったものといえるから、被告製品の売上高から控除されるべき経費に当たる。 e 宣伝広告費(a) 被告らは、被告ジョウズでは、被告製品以外の製品は販売してい ないから、被告ジョウズの宣伝広告のための支出は、具体的な広告内容の立証がなくても、被告製品の販売のためのものであることは明らかであると主張する。 しかしながら、企業が行う宣伝広告には、特定の商品の販売を直接促進するためのものだけではなく、販売店舗を宣伝す ても、被告製品の販売のためのものであることは明らかであると主張する。 しかしながら、企業が行う宣伝広告には、特定の商品の販売を直接促進するためのものだけではなく、販売店舗を宣伝するためのも のや、企業自体の知名度やブランドイメージを向上させるためのものなど様々なものがあり、宣伝広告の具体的な内容を踏まえない限り、当該宣伝広告のための支出が侵害品の製造販売に直接関連して追加的に必要となったものかどうか明らかにはならないといえる。 そのため、被告ジョウズにおいて被告製品以外の製品が販売され ていなかったという事情を踏まえても、被告ジョウズの宣伝広告のための支出が被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと直ちに認めることはできない。 そこで、被告らが被告製品の売上高から控除すべきと主張する宣伝広告費が、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となった 経費に当たるか否かにつき、以下検討する。 (b) Advertorial のための費用について証拠(乙A41ないし56(ただし、乙A54の3頁目を除く。))及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、●(省略)●円を支出して被告製品を紹介する記事広告の作成を依頼し、これにより各 メディアのウェブサイトに被告製品を紹介する記事広告が掲載され たこと、被告ジョウズは、●(省略)●円を支出してYouTuber による被告製品のPRを依頼し、これによりYouTube に被告製品を紹介する動画が掲載されたこと、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、記事広告やYouTube の動画掲載のために被告ジョウズが支払った上記の費用合計●(省略)●円は、被告製 品 を紹介する動画が掲載されたこと、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、記事広告やYouTube の動画掲載のために被告ジョウズが支払った上記の費用合計●(省略)●円は、被告製 品の販売と直接関連して追加的に必要となったものといえるから、被告製品の売上高から控除されるべき経費に当たる。 これに対し、原告は、Advertorial については、出版社ないし記者が自主的な判断によって記事の内容を掲載するものであり、また、記事の内容が、被告ジョウズの説明や、被告ジョウズによる新製品 の発売や関連するイベントの開催、「jouz」という製品全般を一般的に世間に知らせるものであるから、被告製品の販売に直接必要になることはないと主張する。 しかしながら、記事の内容が被告製品を紹介するものである場合には、その記事が被告製品の売上げに影響を与えるものであること を否定することはできず、記事の内容が出版社ないし記者の自主的な判断によるものであるとしても、その記事掲載のために被告ジョウズが費用を負担している以上、その費用は、被告製品の販売と直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めるのが相当である。また、被告ジョウズの負担で掲載された記事の内容が被 告製品自体を紹介するものであったことは、上記において認定したとおりであり、この認定を覆すに足りる証拠はなく、原告の主張は、上記認定と異なる前提で主張するものにすぎない。 したがって、原告の主張は、いずれも採用することができない。 (c) DSPのための費用(MicroAD_DSP)について 被告らは、DSPのための費用を控除すべきであると主張する。 しかしながら、DSPに関する一般的な説明( のための費用(MicroAD_DSP)について 被告らは、DSPのための費用を控除すべきであると主張する。 しかしながら、DSPに関する一般的な説明(乙A58)のみによっては、DSPが、被告製品の販売との関連性が明らかであるとはいえず、被告らの主張するDSPのための費用が、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となったということはできず、その他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。 そうすると、被告らの主張するDSPのための費用が、被告製品の売上高から控除されるべき経費であると認めることはできない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 (d) 楽天市場での宣伝広告費(Rakuten)について被告らは、楽天市場での宣伝広告費を控除すべきであると主張す る。 しかしながら、楽天市場での宣伝広告の内容を明らかにする証拠はなく、被告らの主張する楽天市場での宣伝広告費が、被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となったものと認めるに足りない。 そうすると、被告らの主張する楽天市場での宣伝広告費が、被告 製品の売上高から控除されるべき経費であると認めることはできない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 (e) 自動車レースでの宣伝広告費(Store)について被告らは、自動車レースでの宣伝広告費を控除すべきであると主 張する。 しかしながら、証拠(乙A60ないし62)及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、自動車レース「SuperGT」及び同レースに参戦するチームのスポンサーとなり、キービジュア 張する。 しかしながら、証拠(乙A60ないし62)及び弁論の全趣旨によれば、被告ジョウズは、自動車レース「SuperGT」及び同レースに参戦するチームのスポンサーとなり、キービジュアル作成費、プレス発表会費、SuperGT 協賛費、イベント企画運営費を支払ったこ と、被告ジョウズは、レース会場において被告製品のお試しブース を出展しただけでなく、レースカーのボンネットやレーシングスーツの前面中央部、チームフラッグ、記者会見のバックパネルに「jouz」のロゴを付し、レーサーのサイン会も実施したこと、ウェブサイト「マガジンサミット」に掲載された「加熱式たばこ専用デバイスブランド「jouz」がSUPERGT とAudi チームのスポンサーに」と 題する令和元年5月8日付けの記事では、「スポンサー契約を締結した加熱式たばこ専用デバイスブランド「jouz(ジョウズ)」のB氏が登壇」、「jouz は、イノベーションの力で愛煙家も非喫煙者も気持ち良く共存できる社会の実現を目指すハードウェアメーカー」と紹介されていたこと、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、被告ジョウズによる自動車レースでの宣伝広告は、被告ジョウズ自身の知名度あるいは被告ジョウズが展開するjouz ブランドのイメージの向上を図るために行われたものと認められ、他方、被告製品の販売自体にどのような影響を与えたかについては明らかであるとはいえない。そのため、被告製品に直接 関連して追加的に必要となったものとまで認めるに足りないというべきである。 そうすると、被告ジョウズが支出した自動車レースでの宣伝広告費が、被告製品の売上高から控除されるべき経費であると認めることはできない。 したがって、被告らの主 りないというべきである。 そうすると、被告ジョウズが支出した自動車レースでの宣伝広告費が、被告製品の売上高から控除されるべき経費であると認めることはできない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 (f) 以上によれば、被告らが控除すべきと主張する宣伝広告費●(省略)●円のうち、●(省略)●円を被告製品の売上高から控除するのが相当である。 f 以上によれば、被告製品の売上高から控除すべき経費は、●(省略) ●円(●(省略)●円)となる。 被告アンカーが受けた利益について被告アンカーが、被告ジョウズから業務委託を受けており、その業務委託料(月額)が、●(省略)●に消費税相当額を加算した額であったことは、前記において認定したとおりである。これを前提として、原告は、被告製品の販売により受けた利益に加え、被告アンカーが被告ジョ ウズから受け取った業務委託料●(省略)●も、特許法102条2項により損害額と推定される利益に当たると主張する。 しかしながら、被告製品の販売により受けた利益を算定するに当たり、上記において説示したところによれば、上記業務委託料は、被告製品の売上高から控除されていない。そのため、原告の主張によれば、上記業 務委託料につき、被告ジョウズが受けた利益として計上するほか、被告アンカーが受けた利益としても計上することになる。そうすると、原告の主張は、そもそも被告製品の販売により受けた利益につき、上記業務委託料を二重に計上すべきことをいうものであり、この意味において相当ではないというべきである。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 小括以上によ 委託料を二重に計上すべきことをいうものであり、この意味において相当ではないというべきである。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 小括以上によれば、3706万0935円(1億9752万7078円-1億6046万6143円)が、被告らの本件特許権の侵害行為により原告が被った損害の額と推定される。 イ推定覆滅事由 推定覆滅の事情特許法102条2項における推定の覆滅については、同条1項ただし書の事情と同様に、侵害者が主張立証責任を負うものであり、侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情がこ れに当たると解される。例えば、①特許権者と侵害者の業務態様等に相 違が存在すること(市場の非同一性)、②市場における競合品の存在、③侵害者の営業努力(ブランド力、宣伝広告)、④侵害品の性能(機能、デザイン等特許発明以外の特徴)などの事情について、特許法102条1項ただし書の事情と同様、同条2項についても、これらの事情を推定覆滅の事情として考慮することができるものと解される。また、特許発 明が侵害品の部分のみに実施されている場合においても、推定覆滅の事情として考慮することができるが、特許発明が侵害品の部分のみに実施されていることから直ちに上記推定の覆滅が認められるのではなく、特許発明が実施されている部分の侵害品中における位置付け、当該特許発明の顧客誘引力等の事情を総合的に考慮してこれを決するのが相当であ る(前掲知財高裁特別部判決参照)。 そこで、被告らが主張する推定覆滅の可否について、以下検討する。 被告製品の優位性について被告らは、被告製品には、①連 る(前掲知財高裁特別部判決参照)。 そこで、被告らが主張する推定覆滅の可否について、以下検討する。 被告製品の優位性について被告らは、被告製品には、①連続喫煙機能(乙A65ないし67)、②高いデザイン性(乙A64ないし67)、③温度調節機能(乙A67、 68)、④手動加熱クリーニング機能(乙A69)がある点において、原告製品より優位性があると主張する。 しかしながら、侵害品が特許権者の製品に比べて優れた性能を有するとしても、そのことから直ちに推定の覆滅が認められるのではなく、当該優れた性能が侵害者の売上げにまで貢献している事情が認められなけ ればならないというべきである。そして、本件全証拠によっても、上記①ないし④の性能が、本件各発明等による顧客吸引力と比較しても優れた性能であり、これらが被告らの売上げにまで貢献している事情を認めるに足りない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 競合品の存在について 被告らは、被告製品以外にも原告製品専用のタバコスティックを利用できる原告製品の互換機が多く存在することが、推定覆滅事由に当たると主張する。そして、証拠(乙A71)及び弁論の全趣旨によれば、令和2年12月の時点で、原告製品の互換機として、少なくとも7種類の製品が販売されていることが認められる。 しかしながら、上記互換品の販売時期、市場占有率等は明らかではない上、本件全証拠によっても、被告製品が販売されていた平成30年6月頃から令和元年12月までの間に(前提事実)、市場において、被告製品と競合関係に立つ製品があったものとまで認めることはできない。 した よっても、被告製品が販売されていた平成30年6月頃から令和元年12月までの間に(前提事実)、市場において、被告製品と競合関係に立つ製品があったものとまで認めることはできない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 被告製品における本件各発明の実施の範囲について被告らは、本件各発明がエアロゾルの発生装置の構成に関するものであり、被告製品の一部のみに実施されているにすぎないと主張する。 そこで検討するに、本件各発明は、エアロゾル形成基材の加熱中にエアロゾルを均等に送達することを可能にする発明であるところ、前提事 実のとおり、被告製品は、タバコスティックをキャップに挿入し、ファンクションボタンの押下により予熱を開始し、予熱完了後に一定時間又は一定回数、タバコスティックから発生するエアロゾルの吸入を可能にする加熱式タバコ用デバイスである。そうすると、被告製品の上記の構成を踏まえると、本件各発明は、被告製品の全体について実施されてい ると認めるのが相当である。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 被告ジョウズの営業努力について被告らは、被告製品の売上げは被告ジョウズの営業努力によるところが大きいと主張する。 しかしながら、事業者は、製品の製造、販売に当たり、製品の利便性 について工夫し、営業努力を行うのが通常であるから、通常の範囲の工夫や営業努力をしたとしても、推定覆滅事由に当たるものとはいえない。 そして、本件において、被告らが通常の範囲を超える格別の工夫や営業努力をしたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 したがって、被告らの主張は、採用す 覆滅事由に当たるものとはいえない。 そして、本件において、被告らが通常の範囲を超える格別の工夫や営業努力をしたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 同一製品の製造等による別件特許権の侵害について証拠(乙A80)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品は、本件各発明の実施品であるとともに、別件発明の実施品であること、別件発明は、エアロゾル発生のための加熱アセンブリに関するものであり、エアロゾル形成基材を加熱するための熱源を局所化し、エアロゾル発生装置のた めの頑丈でコストの低い加熱アセンブリを提供するためのものであること、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、別件発明は、安価で耐久性のある製品を提供するものとして、本件各発明と相等しく、被告製品の付加価値を高め、顧客吸引力を有するものとして、被告製品の売上げに貢献しているもの と認めるのが相当である。 そうすると、別件発明による上記貢献の事情は、特許法102条2項の推定を覆滅する事情であるといえる。 これに対し、被告らは、別件訴訟において別件発明に係る侵害を理由として認容された損害額につき、本件訴訟で推定された損害額から覆滅 されるべき旨主張するが、別件発明が被告製品の売上げに貢献した部分は、上記のとおり本件訴訟における推定覆滅の事情として考慮されているのであるから、被告らの主張は、上記判断を左右するに至らない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 推定覆滅の割合 以上によれば、本件においては、上記に掲げる事情の限度で推定を 覆滅させるのが相当であり、上 主張は、採用することができない。 推定覆滅の割合 以上によれば、本件においては、上記に掲げる事情の限度で推定を 覆滅させるのが相当であり、上記において認定した事情を踏まえると、推定覆滅の割合は、5割と認めるのが相当である。 ウまとめ本件特許権の侵害について、特許法102条2項により算定される損害額は、1853万0467円(3706万0935円×0.5(1円未満 切り捨てとする。以下同じ。))となる。 エ覆滅部分についての特許法102条3項の損害金について原告は、本件特許権の侵害における特許法102条2項の推定の覆滅部分について同条3項が適用されると主張して、覆滅部分について同項にいう実施料相当損害金を請求する。 しかしながら、本件特許権の侵害における推定の覆滅は、上記において説示したとおり、本件各発明以外にも別件特許権が被告製品の売上げに貢献していた事情を考慮したものである。そのため、本件各発明のみによっては売上げを伸ばせないといえる原告製品の数量について、原告が、被告ジョウズに対し本件各発明の実施の許諾をし得たとは認められないとい うべきである。そうすると、当該数量について同条3項を適用して、実施料相当損害金を請求する理由を認めることはできない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 特許法102条3項の損害金についてア特許法102条3項は、「特許権者…は、故意又は過失により自己の特 許権…を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。」旨規定する。そうすると、同項による損害は、原則として、侵害品の売上 し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。」旨規定する。そうすると、同項による損害は、原則として、侵害品の売上高を基準とし、そこに、実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。 そして、同項に基づく損害の算定に当たっては、必ずしも当該特許権に ついての実施許諾契約における実施料率に基づかなければならない必然性はなく、特許権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、実施に対し受けるべき料率は、むしろ、通常の実施料率に比べて自ずと高額になるであろうことを考慮すべきである。 したがって、実施に対し受けるべき料率は、①当該特許発明の実際の実 施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、他のものによる代替可能性、③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事 情を総合考慮して、合理的な料率を定めるべきである(前掲知財高裁特別部判決参照)。 イ前提事実及び前記認定事実のほか、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 本件報告書の表Ⅱ-3には、アンケートの調査結果として、技術分類 を「食料品、たばこ」とする特許権のロイヤリティ率の平均値は3.8%(最大値5.5%、最小値1.5%)(4件)、「健康;人命救助;娯楽」とする特許権のロイヤリティ率の平均値は5.3%(最大値14. 5%、最小値0.5%)(54件)と記載されている(乙A73)。 原告は、被告ジ 1.5%)(4件)、「健康;人命救助;娯楽」とする特許権のロイヤリティ率の平均値は5.3%(最大値14. 5%、最小値0.5%)(54件)と記載されている(乙A73)。 原告は、被告ジョウズが被告製品の販売等により別件特許権を侵害し たと主張して、別件訴訟を東京地方裁判所に提起したところ、同裁判所は、令和4年1月27日、別件発明の実施に対し受けるべき料率を被告製品の売上高の10%と判断した(乙A80)。そして、前記イのとおり、別件発明は、エアロゾル発生のための加熱アセンブリに関するものであり、エアロゾル形成基材を加熱するための熱源を局所化し、エ アロゾル発生装置のための頑丈でコストの低い加熱アセンブリを提供す るためのものである。 前記イのとおり、本件各発明は、エアロゾル形成基材の加熱中にエアロゾルを均等に送達することを可能にする発明であり、加熱式タバコの香りや味等に直結するものであるから、加熱式タバコにおいて相応の重要性を有し、被告製品の売上げ及び利益にも一定の貢献をしたもの である。また、エアロゾルを均等に送達することを可能にする代替技術が存在することは、本件全証拠によっても認めるに足りない。 原告と被告らは、いずれも原告製品専用のタバコスティックを使用することができる加熱式タバコ用デバイスを販売していたことからすると、その市場において競業関係にあったといえる。 ウ前記イないしの各事情その他の本件訴訟に現れた諸事情を総合すると、特許権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、本件での実施に対し受けるべき料率は、10%を下らないものと認めるのが相当である。 したがって、被告らによる本件特許権の侵害について、特許法102 害をした者に対して事後的に定められるべき、本件での実施に対し受けるべき料率は、10%を下らないものと認めるのが相当である。 したがって、被告らによる本件特許権の侵害について、特許法102条3項により算定される損害額は、1975万2707円(1億9752万 7078円×10%)となる。 総括その他に、原告及び被告らの準備書面及び提出証拠を改めて検討しても、その裏付けを欠くもの又は推定規定の趣旨を正解しないものに帰し、上記判断を左右するものとはいえない。上記判断とは異なる原告及び被告らの主張 は、いずれも採用することができない。 以上によれば、上記で認定した特許法102条3項(1975万2707円)に係る損害額が、上記で認定した同条2項に係る損害額(1853万0467円)より高いから、同条3項に係る損害額をもって原告の損害額と認めることになる。 また、被告らによる本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある弁護士・ 弁理士費用は、本件訴訟の難易度、審理の経過、認容する請求の内容その他本件において認められる諸般の事情を考慮して、上記損害額の1割である197万5270円と認めるのが相当である。 したがって、原告の損害額は、合計で2172万7977円となる。 第5 結論 よって、原告の請求は、主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官齊藤敦は退官のため、裁判官𠮷野俊太郎は転補のため,署名押印す ることができない。 判官 中島基至 裁判官齊藤敦は退官のため、裁判官吉野俊太郎は転補のため、署名押印することができない。 裁判長裁判官 中島基至 (別紙)物件目録 以下の加熱式タバコ用デバイス 1 jouz20 2 jouz12 3 jouz20 PRO以上

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