平成25(ワ)27293 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年9月11日 東京地方裁判所
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平成26年9月11日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成25年(ワ)第27293号特許侵害差止等請求事件口頭弁論の終結の日平成26年7月15日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 原告のために控訴の付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙製造方法目録記載の方法により製造されたエピクロロヒドリンの輸入,譲渡又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告は,前項のエピクロロヒドリンを廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,1億7050万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,中国の会社である江苏扬农化工集团有限公司(江蘇揚農化工集団有限公司)又はその関連会社(以下「揚農」という。)が中国国内で製造しているエピクロロヒドリンを被告が輸入販売することは原告の有する特許権を侵害すると主張して,①被告製品の輸入等の差止め,②被告製品の廃棄,③特許権侵害に基づく損害賠償金の支払をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告は,発明の名称を「グリセロールからジクロロプロパノールを製造 するための方法であって,該グリセロールが最終的にバイオディーゼルの製造における動物性脂肪の転化から生じる方法」とする特許権(特許番号第4167288号。以下「本件特許権1」といい,この特許を「本件特許1」という。)及び発明の名称 ールが最終的にバイオディーゼルの製造における動物性脂肪の転化から生じる方法」とする特許権(特許番号第4167288号。以下「本件特許権1」といい,この特許を「本件特許1」という。)及び発明の名称を「グリセロールからジクロロプロパノールを製造するための方法であって,該グリセロールが最終的にバイオディーゼルの製造における動物性脂肪の転化から生じる方法」とする特許権(特許番号第4642142号。以下「本件特許権2」といい,この特許を「本件特許2」という。)を有している。本件特許1は,平成16年11月18日に出願され,平成20年8月8日に特許権の設定の登録がされたものであり,本件特許2は,本件特許1に係る特許出願からされた分割出願(特願2008-143659号)から,平成22年7月12日に分割出願され,平成22年12月10日に特許権の設定の登録がされたものである(甲1ないし3)。 (2) 本件特許権1及び2に係る発明本件特許1及び2の特許出願の願書に添付した特許請求の範囲の各請求項1の記載は,それぞれ本判決添付の各特許公報の各該当項記載のとおりである(以下,本件特許権1の請求項1に係る発明を「本件発明1」といい,本件特許権2の請求項1に係る発明を「本件発明2」という。)。 (3) 被告の行為被告は,平成20年8月8日から平成23年10月ころまで,業として,被告製品を日本に輸入し,日本国内で販売していた。 (4) 本件発明1及び2の構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A」のようにいう。)。 ア本件発明1A グリセロールを,アジピン酸の存在下で,塩素化剤との反応に付すB ジクロロプロパノールの製造方法 をそれぞれの符号に従い「構成要件A」のようにいう。)。 ア本件発明1A グリセロールを,アジピン酸の存在下で,塩素化剤との反応に付すB ジクロロプロパノールの製造方法 イ本件発明2C1 アジピン酸の存在下でグリセロールを塩素化剤との反応に付して得られたジクロロプロパノールのC2 少なくとも1種のフラクションを脱塩素化水素反応に付すD エピクロロヒドリンの製造方法 2 争点(1) 揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造しているか(2) 揚農が別紙製造方法目録記載の第2の工程によりエピクロロヒドリンを製造しているか 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造しているか)について(原告の主張)揚農は,別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造しており,このことは,以下の各事実から明らかである。 ア揚農は,グリセロールからジクロロプロパノールを合成する際に,アジピン酸の存在下で,塩素化剤との反応に付している。 かかる事実は,中国の化学雑誌である「化工時刊」の2010年(平成22年)2月号(第24巻第2号)21頁以下に掲載された,「グリセロールの塩素化によるジクロロプロパノール調製過程における副産物処理の研究」と題する記事(甲12。以下「本件揚農記事」という。)において,「揚農化工集団ジクロロプロパノール「工段」(中国語原文)より採取」されたジクロロプロパノール精留釜残を用いた回収実験で,アジピン酸ジメチルないしアジピン酸の固体を回収していることが記載されていることからも明らかである。ここで,「工段」とは,「工場内の生産工 取」されたジクロロプロパノール精留釜残を用いた回収実験で,アジピン酸ジメチルないしアジピン酸の固体を回収していることが記載されていることからも明らかである。ここで,「工段」とは,「工場内の生産工程の一部 である部門」を意味するから,ジクロロプロパノール精留釜残が,揚農の工場における製品の生産工程の一部であるところのジクロロプロパノール部門から取得したものといえる。 また,原告の代理人が,平成22年8月27日,中華人民共和国の公証人立会いの下,遼陽文聖化工有限公司のA氏に架電し,同人から,遼陽文聖化工有限公司が揚農に対して1ヶ月に35ないし70トンのアジピン酸を供給していること,揚農が「エピクロロなんとかヒドリン」を製造していることなどを聴取したこと(以下「本件電話録音」という。甲17の1,2,甲18)からも,揚農がグリセロールを塩素化してジクロロプロパノールを得る際の触媒としてアジピン酸を使用していたことが容易に認められる。 さらに,アジピン酸が触媒として優れていることは,平成20年から平成22年ころにかけて中国で行われた多数の研究(甲12,甲19ないし21)により確認されている。 イグリセロールを出発原料としてジクロロプロパノールを合成する場合には,グリセロールを塩素化剤との反応に付してジクロロプロパノールを得る必要がある。揚農は,グリセロールを出発原料としてジクロロプロパノールを合成しているから,その際に,グリセロールを塩素化剤との反応に付している。 (被告の主張)揚農によるジクロロプロパノールの製造方法に関する原告の主張は,以下のとおり誤りである。 アグリセロール法ではアジピン酸以外の触媒を用いることができ,古くからアジピン酸以外の触媒を用いた方法でエピクロロヒドリンが工業的に製造さ 法に関する原告の主張は,以下のとおり誤りである。 アグリセロール法ではアジピン酸以外の触媒を用いることができ,古くからアジピン酸以外の触媒を用いた方法でエピクロロヒドリンが工業的に製造されてきたことに照らせば,原告はアジピン酸の使用を具体的に証明しなければならないところ,かかる証明はない。アジピン酸以外の触媒でも アジピン酸と遜色のない効果を得られることに照らせば,揚農があえて本件特許権を侵害する方法を採用するのは不自然である。揚農は,中国国内において,有機ニトリルを触媒とするジクロロプロパノールの製造方法に関する特許を保有しており(乙23),揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程以外の方法を採用した可能性がある。 本件揚農記事は,学術的な研究論文であって,揚農における特定の製品の製造過程を示唆するものではない上,本件揚農記事の研究に用いられた残渣が製造工程から得られたものかは不明である。「工段」は,揚農のジクロロプロパノール部門と翻訳するのが正しく,原告の主張するように工業用エピクロロヒドリンの中間体としてのジクロロプロパノールを合成する工程から採取した残渣だとはいえない。 また,本件電話録音については,会話の相手方が揚農に対する納入業者であるか不明であり,反対尋問を経ない供述を録取したものであるのみならず,会話内容も不自然であって信用することができず,揚農がアジピン酸を用いてエピクロロヒドリンを製造したとの事実の証明に資するものではない。 イジクロロプロパノールを製造するためにはグリセロールを塩素化剤との反応に付す必要があること,揚農がグリセロールを出発原料としてジクロロプロパノールを合成していることはいずれも証明されていない。 (2) 争点(2)(揚農が別紙製造方法目録記載の第2の工程により の反応に付す必要があること,揚農がグリセロールを出発原料としてジクロロプロパノールを合成していることはいずれも証明されていない。 (2) 争点(2)(揚農が別紙製造方法目録記載の第2の工程によりエピクロロヒドリンを製造しているか)について(原告の主張)揚農は,別紙製造方法目録記載の第2の工程によりエピクロロヒドリンを製造しており,このことは,前記(1)で主張した事実に加えて,以下の各事実から明らかである。 アグリセロール法により工業的にエピクロロヒドリンを合成するためには, まず中間生成物としてジクロロプロパノールを合成してこれを得る必要がある。揚農がグリセロール法を用いてエピクロロヒドリンを工業的に生産していることは,揚農自身が公に認めている(甲12ないし16)。 イグリセロール法において,「少なくとも1種のフラクションを脱塩素化水素反応に付す」との工程は必ず含まれている。「少なくとも1種のフラクション」は,少なくとも一部程度の意味合いであるが,フラクションが蒸留により混合物から分離された部分を意味するとしても,本件揚農記事の記載から,揚農が,反応生成物を蒸留してジクロロプロパノールを分離し,そのフラクションを脱塩素化水素反応に付してエピクロロヒドリンを生産していることは明らかである。平成25年3月に発行された揚農の2013年度第一期コマーシャルペーパー募集説明書(甲16)には,揚農がジクロロプロパノールを苛性ソーダで「鹸化」してエピクロロヒドリンを生成していることが記載されており,これは「脱塩素化水素反応に付す」ことに他ならない。 ウ本件揚農記事は,エピクロロヒドリンの生産過程におけるジクロロプロパノールの合成を前提としたものであり,ジクロロプロパノールを,グリセロール法 塩素化水素反応に付す」ことに他ならない。 ウ本件揚農記事は,エピクロロヒドリンの生産過程におけるジクロロプロパノールの合成を前提としたものであり,ジクロロプロパノールを,グリセロール法によるエピクロロヒドリンの工業的な生産の過程における中間体として捉えている。揚農がジクロロプロパノールをエピクロロヒドリンの生産以外の目的で製造していることを示す証拠は全くない。 (被告の主張)揚農によるエピクロロヒドリンの製造方法に関する原告の主張は,前記(1)で主張した点に加えて,以下のとおり誤りである。 ア揚農がグリセロール法を用いていることは証明されておらず,エピクロロヒドリンの合成過程において,中間体としてジクロロプロパノールを合成しない方法として,過酸化水素法がある。 イ 「少なくとも1種のフラクションを脱塩素化水素反応に付す」工程がグ リセロール法の中に必ず含まれていることは証明されていない。また,「少なくとも1種のフラクション」は,その意味も明らかでない。 ウ本件揚農記事の研究対象となった残渣がエピクロロヒドリンの製造に供されていることについて一切の記載がない。ジクロロプロパノールには,エピクロロヒドリンの合成以外にも多様な用途がある(乙13の1ないし3)ところ,本件揚農記事記載のジクロロプロパノールが何に用いられているかも不明である。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造しているか)について(1) 揚農が,グリセロールからジクロロプロパノールを合成する際に,「アジピン酸の存在下で」,塩素化剤との反応に付していることを認めるに足りる証拠はない(2) 原告は,ア本件揚農記事の記載,イ本件電話録音の内 セロールからジクロロプロパノールを合成する際に,「アジピン酸の存在下で」,塩素化剤との反応に付していることを認めるに足りる証拠はない(2) 原告は,ア本件揚農記事の記載,イ本件電話録音の内容,ウ中国で行われた多数の研究などを根拠として,揚農がジクロロプロパノールの生産においてアジピン酸を触媒として用いている旨主張する。 ア証拠(甲12)によれば,本件揚農記事は,平成21年11月ころ,揚農で有機合成等の研究に従事するBが責任著者として執筆した研究記事であり,その冒頭部分には,「ジクロロプロパノールはエピクロロヒドリンの合成における重要な中間原料であり,その製造方法は主にプロピレン高温塩素化法および酢酸アリル法であり,どちらもプロピレンを原料とする。」,「近年,バイオディーゼルの副産物であるグリセロールを利用して,塩素化によりジクロロプロパノールを合成する方法が,環境にやさしい化学製造法として中国および海外で開発の焦点となっている。」,「グリセロールを用いてジクロロプロパノールを合成する製造方法の多くは有機カルボン酸を触媒として用いるもので,ベルギーのソルヴェイ社やチェ コの化学冶金生産会社はそれぞれC2~C8 のカルボン酸を触媒としてグリセロールに作用させ,ジクロロプロパノールを製造している。そのうちC6 の二塩基酸が最も効果が高く,触媒した二塩化物の収率は90%以上にも達する。」,「グリセロールの触媒としてアジピン酸を用いることの主な欠点は,高温下でアジピン酸は原料のグリセロールおよび生成物のクロロプロパノール等と反応し,グリセロールダイマー,サラトリム等の高沸点副産物を生じる点である。」,「ジクロロプロパノールの精留過程で,これらの高沸点副産物は精留釜内に蓄積し釜残となる。」,「釜残を処理せずそのまま と反応し,グリセロールダイマー,サラトリム等の高沸点副産物を生じる点である。」,「ジクロロプロパノールの精留過程で,これらの高沸点副産物は精留釜内に蓄積し釜残となる。」,「釜残を処理せずそのまま排出すると,重大な環境汚染を引き起こす可能性があるが,釜残中のエステル類を分解してアジピン酸およびグリセロール,ジクロロプロパノール等のC3 有用物質を回収することで,廃棄物の排出を削減できるだけでなく,大きな経済効果を生むこともできる。」などの記載があること,「実験パート」の項において,「原料:ジクロロプロパノール精留釜残(揚農化工集団ジクロロプロパノール「工段」(中国語原文)より採取)」(なお,この「工段」という中国語の意味について争いがある。)を分析し,複数の方法によりアジピン酸の回収を試みた結果を研究成果として発表していることが認められる。 以上の認定事実によれば,本件揚農記事は,グリセロールを出発原料としてジクロロプロパノールを合成しエピクロロヒドリンを得る方法が開発の焦点となっていることを背景として,グリセロール法のうちアジピン酸を触媒として用いる方法につき,効果は高いものの高沸点副産物を生じる欠点があることを指摘した上で,この高沸点副産物の処理について研究した記事であると認められる。そうすると,平成21年11月ころの揚農において,アジピン酸を触媒として用いるグリセロール法が研究対象となっていたことが認められるとしても,これをもって,揚農が,別紙製造方法目録記載の第1の工程により工業的にジクロロプロパノールないしエピク ロロヒドリンを製造していたとはいえず,本件揚農記事は,揚農が工業的にアジピン酸を触媒として用いてジクロロプロパノールを生産している事実を認めるに足りるものではないと言わざるを得ない。 原 ロロヒドリンを製造していたとはいえず,本件揚農記事は,揚農が工業的にアジピン酸を触媒として用いてジクロロプロパノールを生産している事実を認めるに足りるものではないと言わざるを得ない。 原告は,中国語の「工段」は,「一工場内の生産過程の単位を,その作業工程の違いによって更に幾つかに分けたもの」を意味するのであるから,本件揚農記事における実験の原料であるジクロロプロパノール精留釜残は,揚農の工場における製品の生産工程の一部であるところのジクロロプロパノール部門から取得したものであることは明らかであり,これは,揚農がアジピン酸を触媒として工業的にジクロロプロパノールを製造していることを示すなどと主張するが,「工段」の語意が原告の主張するとおりだとしても,前記認定のとおり,本件揚農記事はアジピン酸を触媒として用いるグリセロール法の工業的な製造方法としての課題について研究した記事であることに照らせば,実験の原料であるジクロロプロパノール精留釜残は,試験・研究用の工程ないし部門から採取されたものである可能性があり,工業的にジクロロプロパノールを製造している工程から取得したものであるということを認めるには足りないから,原告の主張には理由がない。 イまた,本件電話録音については,被告による電話の相手方に対する反対尋問の機会が保証されていない上,本件電話録音に係る会話に先立つ会話内容等の背景が明らかでなく,電話の相手方が故意又は過失により誤った内容の発言をしている可能性もあってその信用性に疑問があるから,証明力は極めて低いと言わざるを得ず,これをもって,揚農が本件発明の製造方法を実施した事実が認められるものではない。 ウさらに,原告の主張するように,アジピン酸が触媒として優れていることを示す研究があるとしても(甲12,甲19ないし21 もって,揚農が本件発明の製造方法を実施した事実が認められるものではない。 ウさらに,原告の主張するように,アジピン酸が触媒として優れていることを示す研究があるとしても(甲12,甲19ないし21),これらはあくまで研究報告にとどまるものであるし,他の触媒を用いる製造方法が存在すること(甲5,6,乙14ないし16,23)などからすれば,これ らをもって揚農が本件発明を実施した事実を認めるに足りるものではない。 エなお,原告は,被告が平成20年8月8日から現在に至るまで輸入しているエピクロロヒドリンは全て別紙製造方法目録記載の第1の工程により製造された物と認められる旨主張するが,そもそも,揚農が平成20年8月8日から現在に至るまで継続的にアジピン酸を触媒として用いていて,それ以外の方法により製造していないことを示す証拠は不十分であると言わざるを得ない。原告は,前記アないしウの時点において揚農がアジピン酸を用いていたことが認められるとした上で,揚農がそれ以前ないしそれ以後に製造方法を変更したことを示す証拠はないと主張するが,触媒の変更が困難であるとの立証がない以上,揚農が平成20年8月8日から現在に至るまで継続的にアジピン酸を触媒として用いていたと認めるには不十分であると考えられる。 (3) したがって,揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造していることを認めるに足りる証拠はないから,揚農がジクロロプロパノールを製造することが本件発明1の技術的範囲に属するとは認められない。 2 争点(2)(揚農が別紙製造方法目録記載の第2の工程によりエピクロロヒドリンを製造しているか)について上記1に判断したところによれば,揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノール )(揚農が別紙製造方法目録記載の第2の工程によりエピクロロヒドリンを製造しているか)について上記1に判断したところによれば,揚農が別紙製造方法目録記載の第1の工程によりジクロロプロパノールを製造していることを認めるに足りる証拠はないから,揚農がエピクロロヒドリンを製造することが本件発明2の技術的範囲に属するとは認められない。 3 以上のとおりであって,揚農がエピクロロヒドリンを製造することが本件発明1及び2の技術的範囲に属するとは認められないから,原告の請求はいずれも理由がない。 よって,原告の請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官高野輝久 裁判官藤田壮 裁判官宇野遥子 添付の特許公報は省略する。 (別紙)当事者目録 ベルギー・ブリュッセル<以下略>原告ソルヴェイ・エスエー同訴訟代理人弁護士窪田英一郎柿内瑞絵乾裕介今井優仁野口洋高中岡起代子熊谷郁同訴訟復代理人弁理士塩澤寿夫渡辺紫保大阪市<以下略>被告蝶理株式会社同訴訟代理人弁護士藤田知美森本宏 蝶理株式会社 同訴訟代理人弁護士 藤田知美 森本宏児 玉実史生 沼寿彦 飯島歩 中森亘 敷地健康 米倉裕樹 荒川雄二郎 吉田広明 木曽裕 酒井大輔 谷口明史 堀野桂子 同訴訟代理人弁理士 横井知理 以上 (別紙)製造方法目録 以下の第1および第2の工程からなる、エピクロロヒドリンの製造方法。 第1の工程:グリセロールを、アジピン酸の存在下で、塩素化剤との反応に付し、ジクロロプロパノールを得る。 第2の工程:第1の工程により得られたジクロロプロパノールの少なくとも1種のフラクションを脱塩素化水素反応に付し、エピクロロヒドリンを得る。 以上

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