平成29(わ)161 過失運転致死

裁判年月日・裁判所
平成29年5月11日 名古屋地方裁判所
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判決文本文2,051 文字)

主文 被告人を禁錮2年6月に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成28年8月11日午後7時47分頃,普通乗用自動車を運転し,愛知県春日井市ab丁目c番地d先道路を,e方面からf方面に向かい時速約50キロメートルで進行するに当たり,前方には横断歩道が設けられていたのであるから,前方左右を注視し,同横断歩道による横断歩行者等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,スマートフォンに充電コードを差し込むことに気を取られ,前方左右を注視しないまま漫然前記速度で進行した過失により,折から同横断歩道上を右方から左方に向かい横断中のA(当時29歳)運転の自転車を右前方約14メートルの地点に迫ってようやく認め,急制動の措置を講じたが間に合わず,自車右前部を同自転車に衝突させて同人を自転車とともに路上に転倒させ,よって,同月25日午後4時43分頃,同市gh丁目i番地B病院において,同人を高エネルギー外傷によるびまん性軸索損傷により死亡させたものである。 (法令の適用)罰条自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文刑種の選択禁錮刑を選択(量刑の事情)事故の態様は,被告人が,スマートフォンに充電コードを差し込むことに気をとられて前方左右を注視せず,前方の横断歩道上を横断中の自転車の存在に衝突直前に至ってようやく気付き,急制動の措置を講じたが間に合わずに同自転車に衝突したというものである。被告人は,自動車の運転を開始するに当たってスマートフォンのゲームアプリであるポケモンGOを起動し,運転の途中にその操作を繰り返し て,事故現場の約200メートル手前の地点でも ものである。被告人は,自動車の運転を開始するに当たってスマートフォンのゲームアプリであるポケモンGOを起動し,運転の途中にその操作を繰り返し て,事故現場の約200メートル手前の地点でも操作をしていた。そして,その後,電池残量が50パーセントを切ったとして,前方に横断歩道があるのを知っていたにもかかわらず,スマートフォンの充電を行おうとしていたというのであって,この操作地点付近及びその後事故現場に至るまでの被告人車両の走行は,大きく左右にふれ,対向車線にはみ出していたことも認められる。また,被告人は,被害者の自転車のすぐ前を走行し,被告人車両との衝突をわずかに免れた被害者の知人の自転車の存在は気付いておらず,被害者の存在に気付いたのも,窓の外から何か音が聞こえたことを契機に前を見たためであるという。 これによると,被告人は,自動車の運転中は運転動作に集中するという自動車運転者としての基本的な姿勢をないがしろにして,スマートフォンの操作や機能維持を優先させた末に,著しい前方不注視の状態で本件事故を惹起したものといえ,本件は単純な過失による事故とは一線を画する事案である。なお,弁護人は,本件はスマートフォンの画面を凝視する,あるいはゲームの操作をする等の悪質な態様の過失による事案ではないと主張し,関係証拠上も,被告人が,事故時にスマートフォンの画面を操作していた,あるいはポケモンGOの操作時に画面を凝視しながら運転を続けていたとまでは認められない。しかし,被告人車両の事故直前の走行態様や事故の状況をみると,この間,被告人の注意が運転動作よりもスマートフォンに向けられていたことは明らかである上,運転の途中にポケモンGOの操作を行い,さらにこれを続けようとすることがなければ,被告人が電池残量を気にするべくもなかったことも考慮すると よりもスマートフォンに向けられていたことは明らかである上,運転の途中にポケモンGOの操作を行い,さらにこれを続けようとすることがなければ,被告人が電池残量を気にするべくもなかったことも考慮すると,スマートフォンへの注意の向け方が画面の凝視等といった態様でなかったにしても,これらの態様に比べて被告人の過失の悪質性が大きく減じることにはならない。 本件事故により,被害者は頭部を負傷し,事故の2週間後に死亡しており,本件の結果も誠に重大である。 以上によれば,本件の犯情は,交通人身事故事案の中でもかなり重い部類に位置づけられるというべきであり,本件が禁錮刑の執行を猶予すべき事案とは認め られない。 そこで,さらに,被告人が事実を認め,真摯といえる反省の態度を示していること,人身事故事案とはいえ交通違反前歴1件を有するのみで,前科前歴がないこと,加入していた任意保険により今後相当額の賠償が行われることが見込まれるほか,少額とはいえ被告人自身も被害者遺族に見舞金を支払うなど,一定の慰謝の措置を講じていること,一方で,被害者遺族の処罰感情はいまだ厳しいことなどの事情を考慮して,主文の刑を量定した。 (求刑-禁錮3年6月)平成29年5月11日名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判官 諸徳寺 聡 子

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