平成16(あ)455 殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成19年6月19日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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判決文本文1,394 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人大熊裕起,同山本志都の上告趣意のうち,憲法36条違反をいう点は,死刑制度がこれに違反するものでないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。被告人本人の上告趣意は,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,中国人留学生である被告人が,夫婦で来日していた同国人の女性に一方的に思いを寄せ,交際を求めたものの断られたことに絶望し,その夫を殺害した上で同女をも殺害しようと決意し,サバイバルナイフ2本を携帯して,両名が居住する埼玉県春日部市内のマンションに赴いてその帰宅を待ち受け,同マンション駐車場において,殺意をもって,上記サバイバルナイフで両名の胸部等を多数回突き刺した上,その頸部を切り裂くなどして殺害したという,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案である。身勝手な思い込みから,何の落ち度もない被害者夫婦を殺害した甚だ独善的で理不尽な犯行の動機に酌量の余地はなく,計画的- 2 -で,殺害の態様も執よう,冷酷かつ残虐であり,尊い2名の生命を奪ったという結果は極めて重大である。被告人は必ずしも自己の犯行に正面から向き合おうとはしておらず,真しな反省の情も認め難い - 2 -で,殺害の態様も執よう,冷酷かつ残虐であり,尊い2名の生命を奪ったという結果は極めて重大である。被告人は必ずしも自己の犯行に正面から向き合おうとはしておらず,真しな反省の情も認め難い。これらの事情に加え,各遺族の被害感情,本件が社会に与えた影響等に照らすと,被告人が犯行自体は認めていること,前科がなく,これまで問題を起こすことなく学生生活を送っていたことなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,被告人の罪責は誠に重大であり,被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官那須弘平の補足意見がある。 裁判官那須弘平の補足意見は,次のとおりである。 私は,被告人が女性被害者との交際関係について第1審及び原審を通じ主張してきたことについて,これを虚構の事実であるとか被害者両名を冒とくするものであるとして一概に排斥することはできないと考える。しかしながら,本件犯行が確信犯的な動機に基づくものであり,その態様,結果,社会的影響等に照らして被告人の罪責が誠に重大であることに相異はないのであるから,主文のとおりの結論をとることはなおやむを得ないものであると判断する。 検察官田内正宏公判出席(裁判長裁判官藤田宙靖裁判官上田豊三裁判官堀籠幸男裁判官那須弘平裁判官田原睦夫)

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